説明

プリント配線板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法

【課題】 ブリッジの発生が抑制されたプリント配線板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 このプリント配線板の製造方法では、まず、複数の銅配線4が表面2a上に設けられた基板2上に、複数の銅配線4を露出させる開口6aを有する絶縁マスク6を形成する。次に、複数の銅配線4間に絶縁物8を形成する。絶縁物8を形成した後、複数の銅配線4上に、ニッケルめっき皮膜12、パラジウムめっき皮膜14及び金めっき皮膜16を順に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器では、パソコン、携帯電話等の小型化、軽量化、高性能化、高機能化が進められている。産業用機器では、無線基地局、光通信装置、サーバ、ルータ等のネットワーク関連機器等、大型、小型を問わず、民生機器と同じように機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、年々扱う信号の高周波化が進む傾向にあるため、高速処理及び高速伝送技術の開発が進められている。実装関係についてみると、CPU、DSPや各種のメモリ等のLSIの高速化、高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)などの開発が盛んに行われている。このため、半導体チップ搭載基板やマザーボードにおいても、高周波化、高密度配線化、高機能化に対応するために、ビルドアップ方式の多層プリント配線板が使用されるようになってきた。
【0003】
電子機器メーカ各社は、製品の小型化・薄型化・軽量化を実現するために競って高密度実装に取り組んでいる。その結果、パッケージの多ピン狭ピッチ化の急速な技術進歩がなされ、プリント配線板への実装は従来のQFP(Quad Flat Package)からエリア表面実装のBGA(Ball Grid Array)/CSP(Chip SizePackage)へと進化した。半導体チップと半導体チップ搭載基板との接続方法としては金ワイヤボンディングが一般的である。この場合、基板側の端子に、金ワイヤの接着層となる金めっきを施すことが必要である。半導体チップの高速化、高集積化に伴い、基板の配線が微細化してきており、従来の電気めっき(電解めっきともいう。)を用いて導体配線を引き回すこと等が困難なため、孤立パターンにめっきを施すことができる無電解めっきへの要求が強まっている。
【0004】
しかしながら、銅配線に、無電解ニッケルめっき及び金めっきを施す場合、無電解ニッケルめっき工程において、銅配線上のみならず、隣り合う銅配線間にもニッケルが析出する「ブリッジ」という現象が発生する。この「ブリッジ」が銅配線間のショートの原因となる。無電解ニッケルめっき後において、銅配線間の絶縁信頼性を確保することが重要である。この絶縁信頼性を確保するため、従来の方法として、下記に示した方法が行われてきた。
【0005】
特許文献1には、無電解ニッケル前処理工程の直前に、チオ硫酸塩を含んだ溶液に基材を浸漬することにより「ブリッジ」を防止する方法が記載されている。また、特許文献2には、銅配線形成後にOプラズマを施した後に、水洗工程を追加することによって、「ブリッジ」を防止する方法が記載されている。
【特許文献1】特許第3387507号公報
【特許文献2】特開平11−40951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、半導体チップの高速化、高集積化に伴い、基板の配線が微細化してきている。近年ではセミアディティブ法が使用され始め、配線幅/配線間隔(以下、L/Sという。)=35μm/35μmレベルの微細配線を有する製品が量産化されてきている。セミアディティブ法では、まず、基板の表面に比較的薄いめっき層を形成しておき、そのめっき層上にめっき用レジストを形成する。続いて、電気めっきで配線を必要な厚さに形成し、めっき用レジストを剥離した後に、比較的薄いめっき層をソフトエッチングで除去する。
【0007】
特許文献1及び特許文献2のいずれの方法においても、ブリッジ抑制効果は弱く、ニッケルの異常析出が発生する。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ブリッジの発生が抑制されたプリント配線板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明のプリント配線板の製造方法は、複数の銅配線が表面上に設けられた基板上に、前記複数の銅配線を露出させる開口を有する絶縁マスクを形成する工程と、前記複数の銅配線間に絶縁物を形成する工程と、前記絶縁物を形成した後、前記複数の銅配線上に、ニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成するか又はニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成する工程とを含む。
【0010】
本発明のプリント配線板の製造方法では、絶縁物が銅配線間に配置された状態でニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜、又はニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を形成するので、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上したプリント配線板を製造することができる。ブリッジが発生し難い理由は、例えば以下のように考えられる。
【0011】
複数の銅配線間に例えばCu、Cr、Pd等の金属残渣が存在していると、当該金属残渣を核としてニッケルの異常析出が生じることが考えられる。これに対して本発明のプリント配線板の製造方法では、このような金属残渣が絶縁物によって覆われるため、ニッケルの異常析出に起因するブリッジの発生を抑制できる。
【0012】
また、ニッケルめっきを行う際に、複数の銅配線間においてめっき液の攪拌効率が悪いために例えば水素ガスが溜まることによって、ニッケルの異常析出が生じることも考えられる。これに対して本発明のプリント配線板の製造方法では、絶縁物によって銅配線間に水素ガスが溜まり難くなっているので、ニッケルの異常析出に起因するブリッジの発生を抑制できる。
【0013】
さらに、絶縁マスクを形成することによって、絶縁物を形成する際に当該絶縁物が銅配線以外の部分に付着することを防止できる。
【0014】
前記絶縁物を形成する工程は、前記複数の銅配線を覆う絶縁層を形成するステップと、前記複数の銅配線の一部が露出するように前記絶縁層の一部を除去するステップとを含むことが好ましい。これにより、複数の銅配線間に絶縁物を容易に形成することができる。
【0015】
前記絶縁層の一部を除去する際には、ドライエッチングプロセス及びウェットエッチングプロセスのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。これにより、絶縁層の一部を簡便に除去することができる。
【0016】
前記ドライエッチングプロセスでは、異方性エッチングを行うことが好ましい。この場合、銅配線の側面上に絶縁物が残存し易くなる。
【0017】
前記ウェットエッチングプロセスでは、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、及び硝酸のうち少なくとも1種類以上を含む溶液を用いることが好ましい。この場合、絶縁層のエッチング速度が大きくなるので、絶縁層の一部を短時間で除去することができる。なお、「過酸化水素/硫酸」は、過酸化水素及び硫酸の両方を含む溶液を意味する。
【0018】
前記絶縁マスク及び前記絶縁物が、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。これにより、絶縁マスク及び絶縁物を簡便に形成することができる。
【0019】
本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法は、本発明のプリント配線板の製造方法によりプリント配線板を製造する工程と、前記プリント配線板上に外部接続端子を形成する工程と、前記プリント配線板上に、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子を形成する工程とを含む。
【0020】
ここで、プリント配線板を製造する工程において外部接続端子及び半導体チップ接続端子を形成してもよい。
【0021】
本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法では、上述した本発明のプリント配線板の製造方法を用いている。このため、得られる半導体チップ搭載基板において、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【0022】
本発明のプリント配線板は、基板上に設けられ開口を有する絶縁マスクと、前記基板上に設けられ前記開口内に配置された複数の銅配線と、前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜、又は前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜と、前記複数の銅配線間に配置された絶縁物とを備える。
【0023】
本発明のプリント配線板では、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【0024】
前記絶縁マスクが、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。この場合、加熱により絶縁マスクを簡便に形成することができる。
【0025】
前記絶縁マスクが、光硬化性樹脂を含むことが好ましい。この場合、光照射により絶縁マスクを高精度に形成することができる。
【0026】
隣り合う前記複数の銅配線間の距離が100μm以下であることが好ましい。この場合であっても、銅配線間にはブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性は向上する。
【0027】
前記絶縁物が、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。この場合、加熱により絶縁物を簡便に形成することができる。
【0028】
本発明の半導体チップ搭載基板は、本発明のプリント配線板と、前記プリント配線板上に設けられた外部接続端子と、前記プリント配線板上に設けられ、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子とを備える。なお、プリント配線板複数の銅配線が半導体チップ接続端子を兼ねていてもよい。
【0029】
本発明の半導体チップ搭載基板は、上記プリント配線板を備える。このため、本発明の半導体チップ搭載基板では、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【0030】
本発明の半導体パッケージは、本発明の半導体チップ搭載基板と、前記半導体チップ搭載基板に搭載された前記半導体チップとを備える。
【0031】
本発明の半導体パッケージは、上記半導体チップ搭載基板を備える。このため、本発明の半導体パッケージでは、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ブリッジの発生が抑制されたプリント配線板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るプリント配線板を模式的に示す断面図である。図1に示されるプリント配線板10は、基板2上に設けられ開口6aを有する絶縁マスク6と、基板2上に設けられ開口6a内に配置された複数の銅配線4と、複数の銅配線4上に設けられためっき層18と、複数の銅配線4間に配置された絶縁物8とを備える。絶縁物8は、複数の銅配線4間に充填されることが好ましい。プリント配線板10は、多層プリント配線板であってもよい。
【0035】
本実施形態において、めっき層18は、銅配線4上に順に設けられたニッケルめっき皮膜12、パラジウムめっき皮膜14及び金めっき皮膜16を有する。めっき層18は、銅配線4上に順に設けられたニッケルめっき皮膜12及び金めっき皮膜16を有していてもよい。
【0036】
本実施形態のプリント配線板10では、銅配線4間にブリッジが発生し難く、銅配線4間の絶縁性が向上する。
【0037】
絶縁マスク6は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、又はこれらの混合物を含む。これらの中でも、熱硬化性樹脂が好ましい。この場合、加熱により絶縁マスク6を簡便に加工することができる。また、光硬化性樹脂が好ましい。この場合、光照射により絶縁マスク6の形状を高精度に加工することができる。また、絶縁マスク6は、一般に用いられているソルダレジストからなってもよい。
【0038】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。
【0039】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0040】
光硬化性樹脂としては、ソルダレジスト形状を精度良く仕上げることができることから紫外線硬化型のソルダレジストが好ましい。
【0041】
また、隣り合う複数の銅配線4間の距離Dは、100μm以下であることが好ましい。通常、隣り合う銅配線間の距離が100μm以下であるとブリッジが発生し易い傾向にある。しかしながら、プリント配線板10では、銅配線4間にはブリッジが発生し難く、銅配線4間の絶縁性は向上する。
【0042】
絶縁物8は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合物を含む。これらの中でも、熱硬化性樹脂が好ましい。この場合、加熱により絶縁物8を簡便に加工することができる。また、ドライエッチングプロセス又はウェットエッチングプロセスにおいて、絶縁物8のエッチング速度は、絶縁マスク6のエッチング速度よりも大きいことが好ましい。
【0043】
熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂としては、絶縁マスク6の説明における熱硬化性樹脂と同様のものが挙げられる。
【0044】
図2及び図3は、それぞれ、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。図1〜図3を参照しながら、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法の一例として、プリント配線板10の製造方法について説明する。プリント配線板10は、例えば以下の工程を経ることによって製造される。
【0045】
(絶縁マスク形成工程)
図2(a)及び図2(b)に示されるように、複数の銅配線4が表面2a上に設けられた基板2上に、複数の銅配線4を露出させる開口6aを有する絶縁マスク6を形成する。表面2aからの絶縁マスク6の高さdは、表面2aからの銅配線4の高さd3よりも高いことが好ましい。
【0046】
(絶縁物形成工程)
図3(a)〜図3(c)に示されるように、複数の銅配線4間に絶縁物8を形成する。絶縁物形成工程は、下記の絶縁層形成ステップ及び絶縁層除去ステップを含むことが好ましい。これにより、複数の銅配線4間に絶縁物8を容易に形成することができる。絶縁物8の表面2aからの高さの最大値d5は、銅配線4の高さd3以下であることが好ましい。
【0047】
<絶縁層形成ステップ>
図3(a)に示されるように、複数の銅配線4を覆うワニス層8aを形成する。ワニス層8aは、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又はこれらの混合樹脂を含むワニスからなる。ワニス層8aは、絶縁マスク6上には形成されず、絶縁マスク6の開口6a内に形成されることが好ましい。ワニス層8aを形成する際には、注射器、マイクロ・ピペット、又はその他の液体注入用の毛細管、ディスペンサ、インクジェット装置等の塗布装置を使用して、ワニスを開口6a内に塗布することが好ましい。塗布装置としては、ワニスが開口6aから溢れないように塗布することができる装置であれば特に限定されない。
【0048】
図3(b)に示されるように、ワニス層8aを硬化させることにより、複数の銅配線4を覆う絶縁層8bを形成する。絶縁層8bにおける銅配線4間の部分の表面2aからの高さd1は、銅配線4の表面2aからの高さd3以下であることが好ましい。また、絶縁層8bにおける銅配線4と絶縁マスク6と間の部分の表面2aからの高さd2は、銅配線4の表面2aからの高さd3以下であることが好ましい。絶縁層8bにおける銅配線4上の部分の厚さd4は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが特に好ましい。厚さd4が10μmを超えると、絶縁層除去ステップにおいて銅配線4の一部を露出させるのに要する時間が長くなる結果、作業性が低下する傾向にある。また、厚さd4が厚さd1よりも小さくなるように、例えばワニスの粘度等を予め調整しておくことが好ましい。
【0049】
<絶縁層除去ステップ>
図3(c)に示されるように、複数の銅配線4の一部が露出するように絶縁層8bの一部を除去する。これにより絶縁層8bから絶縁物8が形成される。絶縁層8bの一部を除去する際には、ドライエッチングプロセス及びウェットエッチングプロセスのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。これにより、絶縁層8bの一部を簡便に除去することができる。また、必要に応じてドライエッチングプロセス及びウェットエッチングプロセスを適宜組み合わせることがより好ましい。
【0050】
ドライエッチングプロセスでは、例えば、プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、大気圧プラズマエッチング法等を用いることができる。ドライエッチングプロセスでは、異方性エッチングを行うことが好ましい。この場合、銅配線4の側面上に絶縁物8が残存し易くなる。
【0051】
プラズマエッチング法に用いる装置としては、例えば、バレル型、平行平板型、ダウンフロー型の装置等が挙げられるが、これらに限定されない。反応性イオンエッチング法に用いる装置としては、例えば、平行平板型、マグネトロン型、2周波型、ECR型、へリコン型、ICP型の装置等が挙げられるが、これらに限定されない。反応性イオンビームエッチング法に用いる装置としては、例えば、ECR型、カウフマン型、ICP型の装置等が挙げられるが、これらに限定されない。いずれの方法を用いた場合でも、エッチングガスを適宜選択することが可能である。エッチングガスとしては、無機ガス、有機化合物蒸気又はこれらの混合物のいずれを用いてもよい。
【0052】
無機ガスとしては、例えば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、NO、NO、CO、CO、NH、SO、フレオンガス(例えばCF、CH、C、C、CHF、CHF等)、若しくはこれらの混合ガス、又はこれらのガスにO若しくはOを混入した混合ガス等が挙げられる。これらの中でも、表面が安定した絶縁物8が得られることからArが特に好ましい。
【0053】
有機化合物蒸気としては、例えば、有機珪素化合物、アクリル酸等の不飽和化合物、有機窒素化合物、有機フッ素化合物、一般有機溶媒等が挙げられる。なお、Arガス中に、適当な蒸気圧になるように適量の有機化合物蒸気を混合することも好ましい。
【0054】
ウェットエッチングプロセスでは、エッチング液として、酸化剤を含有する溶液、アルカリ性の溶液、又はこれらを組み合わせた溶液を用いることができる。エッチング液は、絶縁層8bを1μm以上エッチング可能であることが好ましい。
【0055】
ウェットエッチングプロセスでは、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、及び硝酸のうち少なくとも1種類以上を含む溶液(酸化剤を含有する溶液)を用いることが好ましい。この場合、絶縁層8bのエッチング速度が大きくなるので、絶縁層8bの一部を短時間で除去することができる。
【0056】
アルカリ性の溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも1種以上含む溶液等が挙げられる。また、酸化剤を含むアルカリ性の溶液をエッチング液として用いてもよい。
【0057】
(めっき層形成工程)
図3(d)及び図1に示されるように、絶縁物8を形成した後、複数の銅配線4上に、ニッケルめっき皮膜12、パラジウムめっき皮膜14及び金めっき皮膜16を順に形成する。なお、複数の銅配線4上に、ニッケルめっき皮膜14及び金めっき皮膜16を順に形成してもよい。
【0058】
ニッケルめっき皮膜12はニッケルを含有しており、例えば、Ni−P、Ni−P−Cu、Ni−B、Ni−P−B−W等のニッケル合金又は純Ni等からなる。また、ニッケルめっき皮膜12は、例えば、電気めっき、無電解めっきにより形成される。これらの中でも、無電解めっきが特に好ましい。ニッケルめっき皮膜12の厚さは、0.5〜10μmであることが好ましい。ニッケルめっき皮膜12の厚さが0.5μm未満であると、加熱処理後のワイヤボンディングの成功率が低下する傾向がある。また、ニッケルめっき皮膜12の厚さの上限値は、L/Sの値によって決定される。
【0059】
パラジウムめっき皮膜14はパラジウムを含有しており、例えば、置換パラジウムめっき、無電解パラジウムめっき、又はこれらを組み合わせて形成される。パラジウムめっき皮膜14の厚さは、0.05〜2μmであることが好ましい。パラジウムめっき皮膜14の厚さが0.05μm未満であると、加熱処理後のワイヤボンディングの成功率が低下する傾向がある。パラジウムめっき皮膜14の厚さが2μmを超えると、コストが増大する傾向にある。
【0060】
金めっき皮膜16は金を含有しており、例えば、置換金めっき、又は置換金めっきを行った後に無電解金めっきを行うことにより形成される。また、金めっき皮膜16は、電気めっきにより形成してもよい。金めっき皮膜16の厚さは、0.04〜2μmであることが好ましい。金めっき皮膜16の厚さが0.04μm未満であると、加熱処理後のワイヤボンディングの成功率が低下する傾向がある。金めっき皮膜16の厚さが2μmを超えると、コストが増大する傾向にある。
【0061】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、絶縁物8が銅配線4間に配置された状態でニッケルめっき皮膜12、パラジウムめっき皮膜14及び金めっき皮膜16を形成するので、銅配線4間にブリッジが発生し難く、銅配線4間の絶縁性が向上したプリント配線板10を製造することができる。ブリッジが発生し難い理由は、例えば以下のように考えられる。
【0062】
複数の銅配線4間に例えばCu、Cr、Pd等の金属残渣が存在していると、当該金属残渣を核としてニッケルの異常析出が生じることが考えられる。これに対して本実施形態のプリント配線板の製造方法では、このような金属残渣が絶縁物8によって覆われるため、ニッケルの異常析出に起因するブリッジの発生を抑制できる。
【0063】
また、通常、ニッケルめっきを行う際に、複数の銅配線間においてめっき液の攪拌効率が悪いために例えば水素ガスが溜まることによって、ニッケルの異常析出が生じることも考えられる。これに対して、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、絶縁物8によって銅配線4間に水素ガスが溜まり難くなっているので、ニッケルの異常析出に起因するブリッジの発生を抑制できる。
【0064】
さらに、絶縁マスク6を形成することによって、絶縁物8を形成する際に絶縁物8が銅配線4以外の部分に付着することを防止できる。
【0065】
なお、絶縁物形成工程に先立って、必要に応じて、銅配線4の表面に、(A)凹凸を形成する工程、(B)Si−O−Si結合を形成する工程、(C)カップリング処理を施す工程、(D)光触媒を付与する工程、(E)密着性改良剤を用いた処理を施す工程、(F)腐食抑制剤を用いた処理を施す工程等の工程のうち少なくとも1つを実施してもよい。
【0066】
(A)凹凸を形成する工程
例えば、(1)酸性溶液、(2)アルカリ性溶液、(3)酸化剤を含む処理液及び還元剤を含む処理液等を用いることによって、銅配線4の表面に凹凸を形成することができる。
【0067】
(1)酸性溶液
酸性溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄等の鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウム等の化合物、又はこれらを組み合わせた水溶液等が挙げられる。また、クロム酸、クロム酸と硫酸との混合物、クロム酸とフッ酸との混合物、重クロム酸、重クロム酸とホウフッ酸との混合物といった酸性の6価クロムを含む水溶液を酸性溶液として用いてもよい。酸性溶液の酸濃度及び処理時間については、銅配線4の表面の算術平均粗さRaが0.01〜0.4μmとなるように制御されることが好ましい。
【0068】
(2)アルカリ性溶液
アルカリ性溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物溶液が挙げられる。アルカリ性溶液には、有機酸、キレート剤等を加えることも可能である。アルカリ性溶液のアルカリ濃度及び処理時間については、銅配線4の表面の算術平均粗さRaが0.01〜0.4μmとなるように制御されることが好ましい。
【0069】
(3)酸化剤を含む処理液及び還元剤を含む処理液
まず、酸化剤を含む処理液に銅配線4を浸漬させ、銅配線4の表面に酸化銅皮膜を形成する。続いて、還元剤を含む処理液を用いて酸化銅皮膜を還元する。これにより、銅配線4の表面に微細な凹凸形状が形成される。(3)酸化剤を含む処理液及び還元剤を含む処理液を用いた処理は、上記(1)酸性溶液又は(2)アルカリ性溶液を用いた処理の後に実施してもよい。(3)酸化剤を含む処理液及び還元剤を含む処理液を用いた処理の条件は、銅配線4の表面の算術平均粗さRaが0.01〜0.4μmとなるように制御されることが好ましい。
【0070】
酸化剤を含む処理液としては、例えば、亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を含む溶液が挙げられる。酸化剤を含む水溶液は、例えば、OH陰イオン源及びリン酸三ナトリウム等の緩衝剤を含んでもよい。
【0071】
還元剤を含む処理液としては、pH9.0〜13.5に調整したアルカリ性溶液中にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、芳香族アルデヒド化合物を添加した水溶液、又は例えば次亜リン酸及び次亜リン酸塩等を含んだ水溶液が挙げられる。
【0072】
また、(3)酸化剤を含む処理液及び還元剤を含む処理液を用いた処理の前処理として、溶剤、酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を用いて銅配線4の表面を清浄化する脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理は、アルカリ性水溶液又は酸性水溶液を用いることが好ましい。さらに、1〜5Nの硫酸水溶液を用いて銅配線4の表面を洗浄することが好ましい(硫酸洗浄)。脱脂処理及び硫酸洗浄は適宜組み合わせて行ってもよい。
【0073】
(B)Si−O−Si結合を形成する工程
Si−O−Si結合を有する化合物を用いて銅配線4の表面にSi−O−Si結合を形成する。Si−O−Si結合を有する化合物としては、例えば、(1)シリカガラス、(2)ラダー構造を含む化合物等が挙げられる。
【0074】
(1)シリカガラス
銅配線4の表面にシリカガラス(SiO)皮膜を形成する。シリカガラス皮膜の厚さは、好ましくは0.002〜5μm、より好ましくは0.005〜1μm、特に好ましくは0.01〜0.2μmである。シリカガラス皮膜の厚さが5μmを超えると、バイアホール形成工程においてレーザー等によるビア加工が困難となる傾向にある。シリカガラス皮膜の厚さが0.002μm未満であると、シリカガラス皮膜の形成が困難になる傾向にある。
【0075】
(2)ラダー構造を含む化合物
ラダー構造を含む化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。式(1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、反応性基、親水性基及び疎水性基から選択される基を示す。反応性基としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、オキサゾリン基、環状エステル基、環状エーテル基、イソシアネ−ト基、酸無水物基、エステル基、アミノ基、ホルミル基、カルボニル基、ビニル基、ヒドロキシ置換シリル基、アルコキシ置換シリル基、ハロゲン置換シリル基等が挙げられる。親水性基としては、例えば、多糖基、ポリエーテル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホニウム塩基、複素環基、アミノ基、又はこれらの塩若しくはエステル等が挙げられる。疎水性基としては、例えば、炭素数が1〜60の脂肪族炭化水素基、炭素数が6〜60の芳香族炭化水素基、複素環基等が挙げられる。これらの中でも、反応性基が特に好ましい。ラダー構造を含む化合物は、ポリシロキサン残渣から選択された化合物であってもよい。
【化1】


(上式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、反応性基、親水性基及び疎水性基から選択される基を示す。)
【0076】
(C)カップリング処理を施す工程
カップリング剤を含む溶液を用いて銅配線4の表面にカップリング処理を施す。銅配線4の表面にSi−O−Si結合を形成した後に、カップリング処理を実施してもよい。カップリング剤を用いることによって、銅配線4と絶縁物8との密着強度を向上できる。カップリング剤を含む溶液におけるカップリング剤の含有割合は、溶液全体を基準として、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
【0077】
カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、シラン系カップリング剤が好ましい。
【0078】
シラン系カップリング剤としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イミダゾール基、ビニル基、又はメタクリル基等の官能基を分子中に有するものが挙げられる。このようなシラン系カップリング剤のうち1種又は2種以上の混合物を含有する溶液を使用することができる。シラン系カップリング剤を含む溶液の調整に使用される溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン類等が挙げられる。
【0079】
また、カップリング剤の加水分解を促進するために、カップリング剤を含む溶液に少量の酢酸や塩酸等の酸を添加することもできる。
【0080】
カップリング処理では、上述のカップリング剤を含む溶液を用いて、例えば、浸漬、スプレー噴霧、塗布等の方法が好適に用いられる。シラン系カップリング剤を用いた場合、基板の乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、又は真空乾燥により行われる。使用するカップリング剤の種類によっては、基板を乾燥する前に基板の水洗又は超音波洗浄を行うことも可能である。
【0081】
(D)光触媒を付与する工程
銅配線4の表面にSi−O−Si結合を形成した後に、銅配線4の表面に光触媒を付与することが好ましい。光触媒は、例えば、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO等からなる。光触媒は、例えば、Ti、Nb、Ta及びVのうち少なくとも1種類以上の元素を有する層状酸化物からなってもよい。これらの中でも、無害であり、かつ化学的安定性にも優れるTiOが特に好ましい。TiOの結晶構造は、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれであってもよい。
【0082】
また、光触媒と上記一般式(1)で表される化合物とを混合して用いてもよい。さらに、カップリング処理の前、後又は前後に光触媒を付与してもよい。カップリング剤を含む溶液中に光触媒を混合して用いてもよい。
【0083】
光触媒を銅配線4上に塗布し、乾燥した後、必要に応じて熱処理、更には光照射することができる。光照射の光源としては、例えば、紫外光、可視光、赤外光を使用できる。これらの中でも紫外光が特に好ましい。
【0084】
(E)密着性改良剤を用いた処理を施す工程
銅配線4の表面に密着性改良剤を塗布する。密着性改良剤としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合樹脂が挙げられる。より具体的には、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0085】
(F)腐食抑制剤を用いた処理を施す工程
銅配線4の表面の少なくとも一部に腐食抑制剤を含む溶液を塗布する。腐食抑制剤としては、例えば、S含有有機化合物及びN含有有機化合物のいずれか一方を含むものが挙げられる。より具体的には、メルカプト基、スルフィド基、若しくはジスルフィド基といったイオウ原子を含有する化合物が挙げられる。また、分子内に−N=、N=N又は−NHを含む窒素原子を含有する化合物が挙げられる。
【0086】
上述の酸性溶液、アルカリ性溶液、カップリング剤を含む溶液に腐食抑制剤を加えて用いることもできる。さらに、カップリング処理の前、後又は前後に腐食抑制剤を含む溶液を塗布することもできる。
【0087】
イオウ原子を含有する化合物としては、例えば、脂肪族チオール(HS−(CH−R)等が挙げられる。ここで、nは1〜23の整数を表し、Rは、一価の有機基、水素基又はハロゲン原子を表す。
【0088】
Rは、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基又はヒドロキシル基のいずれかであることが好ましい。Rとしては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素基、チオアルキル基、チオール基、置換されていてもよいフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、複素環等が挙げられる。R中のアミノ基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の数は、2個以上であってもよい。Rは例えばアルキル基等の置換基を有していてもよい。
【0089】
nは、4〜15の整数であることが好ましく、6〜12の整数であることがより好ましい。
【0090】
脂肪族チオ−ルとしては、例えば、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノチアゾール−4−カルボン酸、アミノチオフェン、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾロール、2,3−ジヒドロイミダゾ〔2,1−b〕ベンゾチアゾール−6−アミン、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノ酢酸エチル、2−メチルベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルチアゾール等)、チアジアゾール誘導体(例えば、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチル−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−メチルメルカプト−5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−(エチルアミノ)−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール等)、メルカプト安息香酸、メルカプトナフトール、メルカプトフェノール、4−メルカプトビフェニル、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオウラシル、3−チオウラゾール、2−チオウラミル、4−チオウラミル、2−メルカプトキノリン、チオギ酸、1−チオクマリン、チオクモチアゾン、チオクレゾール、チオサリチル酸、チオチアヌル酸、チオナフトール、チオトレン、チオナフテン、チオナフテンカルボン酸、チオナフテンキノン、チオバルビツル酸、チオヒドロキノン、チオフェノール、チオフェン、チオフタリド、チオフテン、チオールチオン炭酸、チオルチドン、チオールヒスチジン、3−カルボキシプロピルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、2−アミノプロピオン酸、ジチオジグリコール酸、D−システイン、ジ−t−ブチルジスルフィド、チオシアン、チオシアン酸等が挙げられる。
【0091】
窒素原子を含有する化合物としては、例えば、トリアゾール誘導体(例えば、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−オキシ−1,2,4−トリアゾール、アミノウラゾール等)、テトラゾール誘導体(例えば、テトラゾリル、テトラゾリルヒドラジン、1H−1,2,3,4−テトラゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−エチル−1,4−ジヒドロキシ5H−テトラゾール−5−オン、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、テトラゾールメルカプタン等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、オキサゾリル、オキサゾリン、ベンゾオキサゾール、3−アミノ−5−メチルイソオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−アミノオキサゾリン、2−アミノベンゾオキサゾール等)、オキサジアゾール誘導体(例えば、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾロン−5、1,3,4−オキサジアゾロン−5等)、オキサトリアゾール誘導体(例えば、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール等)、プリン誘導体(例えば、プリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−8−メルカプトプリン、2−アミノ−6−メチルメルカプトプリン、2−メルカプトアデニン、メルカプトヒポキサンチン、メルカプトプリン、尿酸、グアニン、アデニン、キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−5−イミダゾールカルボン酸アミド、ヒスチジン等)、インダゾール誘導体(例えば、インダゾール、3−インダゾロン、インダゾロール等)、ピリジン誘導体(例えば、2−メルカプトピリジン、アミノピリジン等)、ピリミジン誘導体(例えば、2−メルカプトピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、4−アミノ−6−メルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−メルカプト−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン等)、チオ尿素誘導体(例えば、チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−チオバルビツール酸等)、アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン等)、1,3,4−チオオキサジアゾロン−5、チオクマゾン、2−チオクマリン、チオサッカリン、チオヒダントイン、チオピリン、γ−チオピリン、グアナジン、グアナゾール、グアナミン、オキサジン、オキサジアジン、メラミン、2,4,6−トリアミノフェノール、トリアミノベンゼン、アミノインドール、アミノキノリン、アミノチオフェノール、アミノピラゾール等が挙げられる。
【0092】
腐食抑制剤を含む溶液の調整には、水又は有機溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、フェノール等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの有機溶媒を単独で又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0093】
腐食抑制剤を含む溶液における腐食抑制剤の濃度は、0.1〜5000ppmであることが好ましく、0.5〜3000ppmであることがより好ましく、1〜1000ppmであることが特に好ましい。腐食抑制剤の濃度が0.1ppm未満では、マイグレーション抑制効果が十分でなく、また銅配線4と絶縁物8との十分な密着強度を得ることが困難になる傾向にある。腐食抑制剤の濃度が5000ppmを超えると、マイグレーション抑制効果は得られるが、銅配線4と絶縁物8との十分な密着強度を得ることが困難になる傾向にある。銅配線4の表面を、腐食抑制剤を含む溶液により処理する時間については特に限定されず、腐食抑制剤の種類及び腐食抑制剤の濃度に応じて適宜変化させることが好ましい。
【0094】
図4は、絶縁物8の形成方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図4(a)に示されるように、図3(a)のワニス層8aに代えてワニス層8cを形成する。ワニス層8cはワニス層8aと同様の材料から構成されることが好ましい。ワニス層8cは、銅配線4上に加えて絶縁マスク6上にも形成される。ワニス層8cを基板2上に形成する際には、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等の塗布装置を使用することが好ましい。また、スプレー噴霧によりワニスを基板2上に塗布してもよい。ワニスの塗布方法は、これらの方法に限定されない。熱硬化性樹脂を含むワニスを使用する場合、通常の方法のようにワニスを塗布した後硬化してもよいが、ワニスを真空状態に置いた後硬化すること又は真空状態において硬化することがより好ましい。
【0095】
次に、図4(b)に示されるように、ワニス層8cを硬化させることにより、複数の銅配線4を覆う絶縁層8dを形成する。絶縁層8dにおける銅配線4間の部分の表面2aからの高さd6は、銅配線4の表面2aからの高さd3以下であることが好ましい。また、絶縁層8dにおける銅配線4と絶縁マスク6と間の部分の表面2aからの高さd7は、銅配線4の表面2aからの高さd3以下であることが好ましい。絶縁層8dにおける銅配線4上の部分の厚さd8は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが特に好ましい。厚さd8が10μmを超えると、絶縁層除去ステップにおいて銅配線4の一部を露出させるのに要する時間が長くなる結果、作業性が低下する傾向にある。また、厚さd8が厚さd6よりも小さくなるように、例えばワニスの粘度等を予め調整しておくことが好ましい。
【0096】
次に、図4(c)に示されるように、複数の銅配線4の一部が露出するように絶縁層8dの一部を除去する。これにより絶縁層8dから絶縁物8が形成される。
【0097】
図5は、絶縁物8の形成方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図5(a)に示されるように、ワニス層8cを形成する。次に、図5(b)に示されるように、ワニス層8cを硬化させることにより、複数の銅配線4を覆う絶縁層8dを形成する。次に、図5(c)に示されるように、バフロール、サンドペーパー、サンドブラスト等の機械的な研磨によるプロセスによって、絶縁層8dにおける絶縁マスク6上の部分の一部又は全部を研磨除去する。これにより、絶縁層8dから絶縁層8eが形成される。次に、図5(d)に示されるように、複数の銅配線4の一部が露出するように絶縁層8eの一部を除去する。これにより絶縁層8eから絶縁物8が形成される。
【0098】
(第2実施形態)
図6(a)は、第2実施形態に係るプリント配線板を備えた半導体チップ搭載基板を模式的に示す平面図である。図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線に沿った断面図である。図6(a)及び図6(b)に示される半導体チップ搭載基板20は、プリント配線板50と、プリント配線板50上に設けられた外部接続端子38とを備える。プリント配線板50は、基板22上に設けられ開口26aを有する絶縁マスク26と、基板22上に設けられ開口26a内に配置された複数の銅配線24と、複数の銅配線24上に設けられためっき層36と、複数の銅配線24間に配置された絶縁物28とを備える。本実施形態において、複数の銅配線24は、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子としても機能する。銅配線24と外部接続端子38とは、展開配線40によって互いに電気的に接続されている。プリント配線板50は、多層プリント配線板であってもよい。
【0099】
本実施形態において、めっき層36は、銅配線24上に順に設けられたニッケルめっき皮膜30、パラジウムめっき皮膜32及び金めっき皮膜34とを有する。めっき層36は、銅配線24上に順に設けられたニッケルめっき皮膜30及び金めっき皮膜34を有していてもよい。
【0100】
本実施形態の半導体チップ搭載基板20はプリント配線板50を備えるので、銅配線24間にブリッジが発生し難く、銅配線24間の絶縁性が向上する。
【0101】
図7〜図9は、それぞれ、本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法を模式的に示す工程図である。図7(a)は、本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法の一工程を模式的に示す平面図である。図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線に沿った断面図である。図8(a)は、本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法の一工程を模式的に示す平面図である。図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線に沿った断面図である。図9(a)及び図9(b)は、それぞれ、本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。
【0102】
以下、図6〜図9を参照しながら、本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法の一例として、半導体チップ搭載基板20の製造方法について説明する。半導体チップ搭載基板20は、例えば以下の工程を経ることによって製造される。
【0103】
まず、図7(a)及び図7(b)に示されるように、銅配線24、外部接続端子38及び展開配線40を基板22上に形成する。次に、図8(a)及び図8(b)に示されるように、複数の銅配線24が表面22a上に設けられた基板22上に、複数の銅配線24を露出させる開口26aを有する絶縁マスク26を形成する。さらに、図9(a)に示されるように、複数の銅配線24間に絶縁物28を形成する。次に、図9(b)及び図6に示されるように、絶縁物28を形成した後、複数の銅配線24上に、ニッケルめっき皮膜30、パラジウムめっき皮膜32及び金めっき皮膜34を順に形成する。なお、複数の銅配線24上に、ニッケルめっき皮膜30及び金めっき皮膜34を順に形成してもよい。
【0104】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係るプリント配線板を備えた半導体チップ搭載基板を模式的に示す断面図である。図10に示される半導体チップ搭載基板60は、プリント配線板70と、プリント配線板70の一方の面上に設けられた外部接続端子116と、プリント配線板70の他方の面上に設けられ、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子102aとを備える。外部接続端子116は、例えばマザーボードに電気的に接続される。
【0105】
プリント配線板70は、コア基板100a(基板)上に設けられ開口118aを有する絶縁マスク118と、コア基板100a上に設けられ開口118a内に配置された複数の銅配線102と、複数の銅配線102上に設けられためっき層124と、複数の銅配線102間に配置された絶縁物122とを備える。コア基板100a内には、層間接続用IVH(インターステイシャルバイアホール)104が設けられている。また、コア基板100a上には、銅配線102及び層間接続用IVH104に電気的に接続された半導体チップ接続端子102aが配置されている。半導体チップ接続端子102a上にはめっき層124aが設けられている。めっき層124aは絶縁マスク118の開口内に配置されている。めっき層124及びめっき層124aは、めっき層36と同様の構成を有する。
【0106】
半導体チップ接続端子102aが設けられている表面とは反対側のコア基板100aの表面上には、配線106及び層間接続端子106aが設けられている。配線106及び層間接続端子106a上にはビルドアップ層(層間絶縁層)108aが設けられている。層間接続端子106aと半導体チップ接続端子102aとは層間接続用IVH104によって互いに電気的に接続されている。
【0107】
ビルドアップ層108a上には、配線112及び層間接続端子112aが設けられている。配線112及び層間接続端子112a上にはビルドアップ層114が設けられている。層間接続端子112aと層間接続端子106aとは互いに電気的に接続されている。
【0108】
ビルドアップ層114上には、外部接続端子116及び絶縁層120が設けられている。絶縁層120は開口を有しており、当該開口に露出した外部接続端子116上にはめっき層126が設けられている。めっき層126は、めっき層36と同様の構成を有する。外部接続端子116と層間接続端子112aとは互いに電気的に接続されている。
【0109】
本実施形態の半導体チップ搭載基板60では、銅配線102間にブリッジが発生し難く、銅配線102間の絶縁性が向上する。
【0110】
コア基板100aとしては、例えば、有機基板、セラミック基板、シリコン基板、ガラス基材板等が挙げられる。これらの中でも、熱膨張係数や絶縁性を考慮すると、セラミック基板又はガラス基板が好ましい。ガラス基板を構成するガラスのうち非感光性ガラスとしては、例えば、ソーダ石灰ガラス(成分例:SiO 65〜75wt%、Al 0.5〜4wt%、CaO 5〜15wt%、MgO 0.5〜4wt%、NaO 10〜20wt%)、ホウ珪酸ガラス(成分例:SiO 65〜80wt%、B 5〜25wt%、Al 1〜5wt%、CaO 5〜8wt%、MgO 0.5〜2wt%、NaO 6〜14wt%、KO 1〜6wt%)等が挙げられる。また、感光性ガラスとしては、例えば、LiO−SiO系結晶化ガラス中に感光剤として金イオン及び銀イオンを含むガラス等が挙げられる。
【0111】
有機基板としては、例えば、ガラス布に樹脂を含浸させた材料を積層した基板や樹脂フィルム等が挙げられる。使用する樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合樹脂が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。なお、これらの樹脂には充填材を添加してもよい。充填材としては、例えば、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
【0112】
コア基板100aの厚さは、IVHを好適に形成する観点から100〜800μmであることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。
【0113】
ビルドアップ層108a及びビルドアップ層114は、絶縁材料からなる。絶縁材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0114】
絶縁材料には充填材を添加してもよい。充填材としては、例えば、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
【0115】
また、半導体チップの熱膨張係数α1とコア基板100aの熱膨張係数α2とが近似していて、かつコア基板100aの熱膨張係数α2とビルドアップ層の熱膨張係数α3とが近似していることが好ましい。熱膨張係数α1,α2,α3は、α1≦α2≦α3の関係を満たすことがより好ましい。なお、熱膨張係数α1,α2,α3の単位はppm/℃で表される。
【0116】
コア基板100aの熱膨張係数α2は、好ましくは7〜13ppm/℃、より好ましくは9〜11ppm/℃である。ビルドアップ層の熱膨張係数α3は、好ましくは10〜40ppm/℃、より好ましくは10〜20ppm/℃であり、特に好ましくは11〜17ppm/℃である。
【0117】
ビルドアップ層のヤング率は、1〜5GPaであることが熱ストレスに対する応力緩和の点から好ましい。ビルドアップ層中の充填材は、ビルドアップ層の熱膨張係数が10〜40ppm/℃、ヤング率が1〜5GPaになるように添加量を適宜調整して添加されることが好ましい。
【0118】
図11及び図12は、それぞれ、本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。以下、図10〜図12を参照しながら、本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法の一例として、半導体チップ搭載基板60の製造方法について説明する。半導体チップ搭載基板60は、例えば以下の工程を経ることによって製造される。なお、工程の順序を適宜入れ替えてもよい。
【0119】
(工程a)
図11(a)に示されるように、コア基板100上に複数の銅配線102及び半導体チップ接続端子102aを形成する。銅配線102及び半導体チップ接続端子102aは、例えば、(1)サブトラクト法、(2)アディティブ法、(3)セミアディティブ法等を用いて形成される。
【0120】
(1)サブトラクト法
この方法では、コア基板100上に金属箔を形成した後、金属箔の不要な部分をエッチングにより除去する。金属箔のうち銅配線102及び半導体チップ接続端子102aとなる部分上にエッチングレジストを形成し、露出した部分に化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属箔をエッチングにより除去する。これにより、銅配線102及び半導体チップ接続端子102aを形成することができる。化学エッチング液としては、例えば、塩化第二銅と塩酸との溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素との溶液、過硫酸アンモニウム溶液等、通常のプリント配線板に用いられる化学エッチング液を用いることができる。
【0121】
金属箔として例えば銅箔を用いる場合、エッチングレジストとしては、通常のプリント配線板に用いることのできるエッチングレジストを使用できる。例えば、レジストインクをシルクスクリーン印刷することによりエッチングレジストを形成できる。また、エッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートし、そのドライフィルム上に銅配線102及び半導体チップ接続端子102aの形状に対応する光透過部を有するフォトマスクを重ねて紫外光により露光を行い、未露光部分を現像液により除去することによってエッチングレジストを形成してもよい。
【0122】
金属箔を形成する方法としては、例えば、蒸着又はめっきによる方法、金属箔を貼り合わせる方法等が挙げられる。
【0123】
(2)アディティブ法
この方法では、コア基板100上の必要な部分にめっきにより銅配線102及び半導体チップ接続端子102aを形成する。例えば、コア基板100上に無電解めっき用の触媒を付着させた後、めっきが行われない部分にめっきレジストを形成する。その後、コア基板100を無電解めっき液に浸漬し、めっきレジストに覆われていない部分に無電解めっきが行われる。
【0124】
(3)セミアディティブ法
この方法では、コア基板100上に薄い金属層(シード層)を形成した後、めっきレジストを必要なパターンに形成し、電気めっきにより銅配線102及び半導体チップ接続端子102aを形成する。その後、めっきレジストを剥離し、シード層をエッチングにより除去する。シード層を形成する方法としては、例えば、蒸着又はめっきによる方法、金属箔を貼り合わせる方法等が挙げられる。
【0125】
蒸着又はめっきによる方法では、例えば、スパッタリングにより下地金属層と薄膜銅層とからなるシード層を形成する。シード層を形成するために使用されるスパッタリング装置としては、例えば、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等が挙げられる。下地金属層を形成する際に用いられるターゲットは、密着性を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属からなる。下地金属層の厚さは、5〜50nmであることが好ましい。薄膜銅層を形成する際に用いられるターゲットは銅からなる。薄膜銅層の厚さは、200〜500nmであることが好ましい。また、無電解銅めっきにより厚さ0.5〜3μmのシード層を形成することもできる。
【0126】
コア基板100に接着機能がある場合は、金属箔をプレスやラミネートによってコア基板100に貼り合わせることによりシード層を形成することもできる。しかし、薄い金属層であるシード層をコア基板100に直接貼り合わせることは非常に困難である。そのため、厚い金属箔をコア基板100に貼り合わせた後に金属箔をエッチング等により薄くする方法、キャリア層付き金属箔をコア基板100に貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法等を用いることが好ましい。
【0127】
前者の方法では、キャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層からなる銅箔を用いることが好ましい。この場合、キャリア銅をアルカリエッチング液により除去し、ニッケルをニッケルエッチング液により除去する。また、厚さ9〜18μmの銅箔をコア基板100に貼り付け、銅箔の厚さが5μm以下になるように、エッチングにより銅箔を均一に薄くすることによってシード層を形成してもよい。また、後者の方法では、アルミニウム、銅、絶縁樹脂等からなるキャリア層が形成されたピーラブル銅箔等を用いることが好ましい。この場合、厚さ5μm以下のシード層を形成できる。
【0128】
(工程b)
図11(b)に示されるように、コア基板100に貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電材料を充填することにより、層間接続用IVH104が内部に形成されたコア基板100aを得る。貫通孔の形成方法としては、例えば、パンチやドリル等を用いた機械加工、レーザ加工、薬液による化学エッチング、プラズマを用いたドライエッチング法等が挙げられる。
【0129】
コア基板100が例えば非感光性基板である場合、貫通孔を形成するためには、レーザを用いることができる。非感光性基板の材料としては、例えば、前述した非感光性ガラス等が挙げられるが、非感光性基板の材料は特に限定されない。この場合、使用するレーザの種類は特に限定されない。例えば、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等が用いられる。
【0130】
コア基板100が例えば感光性基板である場合、層間接続用IVH104を形成するための領域以外の領域をマスクして紫外光を照射する。なお、感光性基板の材料としては、例えば、前述した感光性ガラス等が挙げられるが、非感光性基板の材料は特に限定されない。この場合、紫外光を照射した後、熱処理及びエッチングにより貫通孔を形成する。
【0131】
コア基板100が、例えば有機溶剤等の薬液による化学エッチングが可能な基板である場合、化学エッチングによって貫通孔を形成することもできる。
【0132】
上述のように形成された貫通孔には、層間を電気的に接続するために、導電性のペーストやめっき等が充填される。これにより、導体からなる層間接続用IVH104が形成される。
【0133】
(工程c)
図11(c)に示されるように、銅配線102及び半導体チップ接続端子102aが設けられている表面とは反対側のコア基板100aの表面上に、配線106及び層間接続端子106aを形成する。配線106は、例えば銅配線102と同様の方法を用いて形成される。層間接続端子106aは、例えば半導体チップ接続端子102aと同様の方法を用いて形成される。配線106が微細配線の場合には、セミアディティブ法を用いて配線106を形成することが好ましい。
【0134】
(工程d)
図11(d)に示されるように、配線106及び層間接続端子106a上にビルドアップ層108を形成する。ビルドアップ層108を形成する前に、配線106の表面を例えば脱脂処理又は硫酸洗浄してもよい。酸性、アルカリ性、又は酸化剤を含む水溶液に配線106を浸漬させ、配線106の表面の算術平均粗さRaが0.01〜0.4μmとなるように処理することが好ましい。例えば酸化剤を含む水溶液に配線106を浸漬させた後、還元剤を含む水溶液に配線106を浸漬させ、配線106の表面の算術平均粗さRaが0.01〜0.4μmとなるように酸化銅皮膜を還元処理することが好ましい。
【0135】
ビルドアップ層108は絶縁材料からなる。絶縁材料としては、例えば、上述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合樹脂が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂が好ましい。絶縁材料を含むワニスを用いる場合、印刷やスピンコート等の手法を用いてビルドアップ層108を好適に形成できる。絶縁材料を含むフィルムを用いる場合、ラミネートやプレス等の手法を用いてビルドアップ層108を好適に形成できる。絶縁材料が例えば熱硬化性材料である場合は、絶縁材料を加熱硬化させることが好ましい。
【0136】
(工程e)
図11(e)に示されるように、ビルドアップ層108に貫通孔110を形成することにより、ビルドアップ層108aを得る。貫通孔110を形成するためには、一般的なレーザ穴あけ装置を使用することができる。レーザ穴あけ装置において用いられるレーザの種類としては、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。これらの中でも、生産性及び穴の品質等の観点からCO2レーザが好ましい。また、貫通孔110の径が30μm未満の場合、レーザを絞ることが可能なYAGレーザが好ましい。また、ビルドアップ層108が、有機溶剤等の薬液による化学エッチングが可能な材料からなる場合、化学エッチングによって貫通孔110を形成できる。
【0137】
(工程f)
図12(a)に示されるように、ビルドアップ層108a上に配線112及び層間接続端子112aを形成する。層間接続端子112aは、貫通孔110内にも形成される。これにより、層間接続端子112aと層間接続端子106aとは電気的に接続される。配線112が、L/S=35μm/35μm以下の微細配線である場合、セミアディティブ法を用いて配線112を形成することが好ましい。
【0138】
また、配線112及び層間接続端子112aを形成する際に、表面に予め導体層が設けられたビルドアップ層を、例えばプレス等によりコア基板100a上に積層してもよい。
【0139】
(工程g)
図12(b)に示されるように、配線112及び層間接続端子112a上にビルドアップ層を工程dと同様に形成する。その後、ビルドアップ層に貫通孔を工程eと同様に形成することにより、ビルドアップ層114を得る。さらに、ビルドアップ層114上に外部接続端子116を工程fと同様に形成する。なお、工程d〜工程fを更に繰り返すことによって複数のビルドアップ層を形成してもよい。最外のビルドアップ層上に形成される端子が外部接続端子116となる。
【0140】
(工程h)
図12(c)に示されるように、半導体チップ接続端子102a上に絶縁マスク118を形成する。絶縁マスク118の開口には半導体チップ接続端子102aの一部が露出している。また、外部接続端子116上に絶縁層120を形成する。絶縁層120の開口には、外部接続端子116の一部が露出している。絶縁マスク118及び絶縁層120は、例えば、熱硬化型又は紫外線硬化型のソルダレジストからなる。ソルダレジストの形状を精度よく仕上げる観点から、紫外線硬化型のソルダレジストを用いることが好ましい。また、絶縁マスク118及び絶縁層120を、カバーレイフィルム、フィルム状レジストを用いて形成してもよい。絶縁マスク118及び絶縁層120は、例えば、エポキシ系、ポリイミド系、エポキシアクリレート系、フルオレン系の材料からなる。
【0141】
絶縁マスク118及び絶縁層120のいずれか一方だけを形成すると、絶縁材料の硬化時の収縮により、コア基板100aに大きな反りを生じやすい。そこで、必要に応じて絶縁マスク118及び絶縁層120の両方を形成することが好ましい。さらに、コア基板100aの反り量は、絶縁マスク118及び絶縁層120の厚さによって変化するため、反りが発生しないように絶縁マスク118及び絶縁層120の厚さを調整することがより好ましい。その場合、反りが発生するか否かの予備検討を行った後に、絶縁マスク118及び絶縁層120の厚さを決定することが好ましい。また、半導体チップ搭載基板60の厚さを薄くするためには、絶縁マスク118及び絶縁層120の厚さが50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0142】
(工程i)
図12(d)に示されるように、銅配線102間に絶縁物122を形成する。絶縁物122は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合樹脂等を含むワニスを硬化した後にエッチングすることにより形成される。絶縁マスク118の開口118a内にのみワニスを塗布してもよいし、開口118a内及び絶縁マスク118上にワニスを塗布してもよい。
【0143】
開口118a内にのみワニスを塗布する場合、塗布装置としては、例えば、注射器、マイクロ・ピペット、又はその他の液体注入用の毛細管、ディスペンサ、インクジェット装置等が挙げられる。なお、塗布装置はこれらに限定されない。開口118a内及び絶縁マスク118上にワニスを塗布する場合、塗布装置としては、例えば、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等が挙げられる。このとき、ワニスを塗布してもよいし、スプレー噴霧してもよい。なお、ワニスの塗布方法はこれらに限定されない。熱硬化性樹脂を含むワニスを用いる場合、ワニスを塗布した後に硬化することが好ましい。ワニスを硬化する際には、ワニスを真空状態に置いた後又は真空状態において硬化することがより好ましい。
【0144】
硬化したワニスをエッチングする際には、ドライエッチングプロセス及びウェットエッチングプロセスのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。また、必要に応じてドライエッチングプロセス及びウェットエッチングプロセスを適宜組み合わせることがより好ましい。
【0145】
(工程j)
コア基板100aをアルカリ溶液に浸漬させた後、水洗する。
【0146】
(工程k)
図10に示されるように、銅配線102上にめっき層124、半導体チップ接続端子102a上にめっき層124a、外部接続端子116上にめっき層126をそれぞれ形成する。より具体的には、ニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成することが好ましい。
【0147】
図13は、半導体チップ搭載基板における配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。図13に示される配線パターンP内には、銅配線24と、外部接続端子38と、展開配線40とが配置されている。外部接続端子38は、銅配線24よりも内側に配置されている。よって、配線パターンPは、ファン−インタイプのパターン形状を示す。銅配線24のパターン形状は、ワイヤボンド接続及びフリップチップ接続が可能なように設計されることが好ましい。
【0148】
ワイヤボンド接続を行う際には、配線パターンP内にダイボンドフィルム接着用領域84及び半導体チップ搭載用領域86を設定することが好ましい。ダイボンドフィルム接着用領域84は、半導体チップ搭載用領域86よりも広い。半導体チップ搭載用領域86内に、外部接続端子38が配置される。ダイボンドフィルム接着用領域84外に、銅配線24が配置される。
【0149】
フリップチップ接続を行う際には、配線パターンP内にダイボンドフィルム接着用領域80及び半導体チップ搭載用領域82を設定することが好ましい。ダイボンドフィルム接着用領域80は、半導体チップ搭載用領域82よりも広い。半導体チップ搭載用領域82内に、外部接続端子38及び銅配線24が配置される。
【0150】
図14は、半導体チップ搭載基板における配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。図14に示される配線パターンP1内には、銅配線24と、外部接続端子38と、展開配線40と、ダミーパターン90とが配置されている。外部接続端子38は、銅配線24よりも外側に配置されている。ダミーパターン90は、銅配線24よりも内側に配置されており、半導体チップと電気的に接続されない。よって、配線パターンPは、ファン−アウトタイプのパターン形状を示す。銅配線24のパターン形状は、ワイヤボンド接続及びフリップチップ接続が可能なように設計されることが好ましい。
【0151】
ワイヤボンド接続を行う際には、配線パターンP1内にダイボンドフィルム接着用領域84及び半導体チップ搭載用領域86を設定することが好ましい。ダイボンドフィルム接着用領域84は、半導体チップ搭載用領域86よりも広い。半導体チップ搭載用領域86内に、ダミーパターン90が配置される。ダイボンドフィルム接着用領域84外に、銅配線24及び外部接続端子38が配置される。
【0152】
フリップチップ接続を行う際には、配線パターンP1内にダイボンドフィルム接着用領域80及び半導体チップ搭載用領域82を設定することが好ましい。ダイボンドフィルム接着用領域80は、半導体チップ搭載用領域82よりも広い。半導体チップ搭載用領域82内に、銅配線24及びダミーパターン90が配置される。ダイボンドフィルム接着用領域80外に、外部接続端子38が配置される。
【0153】
ワイヤボンド接続及びフリップチップ接続のいずれであっても、ダミーパターン90は、半導体チップ搭載用領域82又は半導体チップ搭載用領域86内に均一に配置されることが好ましい。これにより、ダイボンドフィルムを用いて半導体チップを半導体チップ搭載用領域82又は半導体チップ搭載用領域86に搭載する際に、ボイドが発生し難くなるため、半導体パッケージの信頼性を向上できる。
【0154】
図15(a)は、半導体チップ搭載基板における配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。図15(b)は、図15(a)における領域Aを拡大した図である。図15(a)に示される配線パターンP2は、フレーム形状を有している。配線パターンP2内には、複数のブロック202が配置されている。各ブロック202内には、複数の配線パターンPが配置されている。配線パターンPに代えて配線パターンP1を用いてもよい。
【0155】
配線パターンPは例えば所定の間隔で格子状に配置されている。なお、ブロック202を所定の間隔で格子状に配置してもよい。隣り合う配線パターンP間の幅は、50〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましく、配線パターンPを切り分ける際に使用されるダイサーのブレード幅と同じであることが特に好ましい。
【0156】
配線パターンP2のの端部には、位置合わせに用いられるマーク204が設けられていることが好ましい。マーク204は、例えば貫通孔であることが好ましい。また、ブロック202の外側には、ダイサーにより切断する際の位置合わせに用いられるマーク208が設けられていることが好ましい。
【0157】
隣り合う配線パターンP間及び隣り合うブロック202間には、補強パターン206が配置されることが好ましい。補強パターン206は、配線パターンP内の銅配線24と同時に形成される金属パターンであることが好ましい。補強パターン206上に、ニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜等のめっき層、又は絶縁マスク等を形成してもよい。補強パターン206が金属からなる場合、電気めっきを行う際のリードとして補強パターン206を用いることができる。補強パターン206は、別途作製された後に半導体チップ搭載基板に貼り合わせることにより形成されてもよい。
【0158】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係るプリント配線板を備えた半導体チップ搭載基板を模式的に示す断面図である。図16に示される半導体チップ搭載基板61は、プリント配線板71と、プリント配線板71の一方の面上に設けられた外部接続端子116と、プリント配線板71の他方の面上に設けられ、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子102bとを備える。外部接続端子116は、例えばマザーボードに電気的に接続される。
【0159】
プリント配線板71は、コア基板100aを備える。コア基板100a内には、層間接続用IVH104が設けられている。コア基板100a上には、配線132及び層間接続端子132aが設けられている。層間接続端子132aは、層間接続用IVH104に電気的に接続されている。配線132を覆うように、コア基板100a上にはビルドアップ層130が設けられている。
【0160】
ビルドアップ層130上には、配線136及び層間接続端子136aが設けられている。層間接続端子136aは、層間接続端子132aに電気的に接続されている。配線136を覆うように、ビルドアップ層130上にはビルドアップ層134が設けられている。
【0161】
ビルドアップ層134上には、半導体チップ接続端子102bと、開口118aを有する絶縁マスク118と、開口118a内に配置された銅配線102と、銅配線102間に配置された絶縁物122とが設けられている。半導体チップ接続端子102bは、層間接続端子136aに電気的に接続されている。銅配線102上には、めっき層124が設けられている。半導体チップ接続端子102b上には、めっき層124aが設けられている。
【0162】
半導体チップ接続端子102bが設けられている表面とは反対側のコア基板100aの表面上には、配線106及び層間接続端子106aが設けられている。配線106及び層間接続端子106a上にはビルドアップ層108aが設けられている。層間接続端子106aと半導体チップ接続端子102bとは層間接続用IVH104によって互いに電気的に接続されている。
【0163】
ビルドアップ層108a上には、配線112及び層間接続端子112aが設けられている。配線112及び層間接続端子112a上にはビルドアップ層114が設けられている。層間接続端子112aと層間接続端子106aとは互いに電気的に接続されている。
【0164】
ビルドアップ層114上には、外部接続端子116及び絶縁層120が設けられている。絶縁層120は開口を有しており、当該開口に露出した外部接続端子116上にはめっき層126が設けられている。外部接続端子116と層間接続端子112aとは互いに電気的に接続されている。
【0165】
図17は、第3実施形態に係る半導体チップ搭載基板を備えた半導体パッケージの一例を模式的に示す断面図である。図17に示される半導体パッケージ300は、フリップチップタイプの半導体パッケージである。半導体パッケージ300は、半導体チップ搭載基板60と、半導体チップ搭載基板60に搭載された半導体チップ302とを備える。
【0166】
半導体チップ搭載基板60と半導体チップ302との間には、接続バンプ304が配置されている。接続バンプ304によって、半導体チップ302と半導体チップ接続端子102aとは互いに電気的に接続される。半導体チップ搭載基板60と半導体チップ302との間には、アンダーフィル材306が配置されることが好ましい。アンダーフィル材306によって、半導体チップ搭載基板60と半導体チップ302との間は封止される。アンダーフィル材306の熱膨張係数β1は、半導体チップ302の熱膨張係数β2及びコア基板100aの熱膨張係数β3と略同じであることが好ましい。さらに、熱膨張係数β1,β2,β3は、β2≦β1≦β3の関係を満たすことが好ましい。
【0167】
なお、例えば、異方導電性フィルム(ACF)又は導電性粒子を含まない接着フィルム(NCF)等を用いることにより、半導体チップ搭載基板60と半導体チップ302とを接続してもよい。この場合、アンダーフィル材306を用いて封止する必要がない。半導体チップ搭載基板60と半導体チップ302とを接続する際には、超音波を用いることが好ましい。この場合、低温かつ短時間で接続を行うことができる。
【0168】
外部接続端子116には、はんだボール308が電気的に接続されている。はんだボール308は、例えば、共晶はんだ、Pbフリーはんだ等からなる。外部接続端子116とはんだボール308とを接続するための装置としては、例えば、Nガスを用いたリフロー装置等が挙げられる。
【0169】
図18は、第3実施形態に係る半導体チップ搭載基板を備えた半導体パッケージの一例を模式的に示す断面図である。図18に示される半導体パッケージ400は、ワイヤボンドタイプの半導体パッケージである。半導体パッケージ400は、半導体チップ搭載基板60と、半導体チップ搭載基板60に搭載された半導体チップ402とを備える。
【0170】
半導体チップ搭載基板60と半導体チップ302とは、ダイボンドフィルム406によって接続されることが好ましい。なお、ダイボンドフィルム406に代えてダイボンドペーストを使用してもよい。また、半導体チップ302と半導体チップ接続端子102aとは、金ワイヤ404を用いたワイヤボンドによって電気的に接続されることが好ましい。半導体チップ302は、例えばトランスファモールド方式を用いて封止樹脂408によって封止されることが好ましい。外部接続端子116には、はんだボール308が電気的に接続されている。
【0171】
封止樹脂408は、半導体チップ302のフェース面を少なくとも封止することが好ましい。封止樹脂408は、半導体チップ302全体を覆うように形成されることがより好ましい。これにより、複数の半導体チップ302が半導体チップ搭載基板60に搭載されている場合であっても、半導体チップ搭載基板60と封止樹脂408とをダイサーを用いて同時に切断し易くなる。
【0172】
半導体パッケージ300及び半導体パッケージ400はいずれも半導体チップ搭載基板60を備えているので、銅配線102間にブリッジが発生し難く、銅配線102間の絶縁性が向上する。
【0173】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されない。
【実施例】
【0174】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0175】
(実施例1)
(工程a)
コア基板100として厚さ0.4mmのソーダガラス基板(熱膨張係数:11ppm/℃)を用意した。さらに、ソーダガラス基板の一方の面上にスパッタリングにより厚さ200nmの銅薄膜を形成した。スパッタリングを行う際には、スパッタリング装置(日本真空技術株式会社製、装置型番:MLH−6315)を用いた。スパッタリング条件を下記に示す。
・電流:3.5A
・電圧:500V
・アルゴン流量:35sccm
・圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
・成膜速度:5nm/秒
【0176】
続いて、電気めっきにより厚さ20μmの銅めっき皮膜を銅薄膜上に形成した。さらに、銅配線102及び半導体チップ接続端子102aのパターン形状に対応したエッチングレジストを銅めっき皮膜上に形成した。次に、塩化第二鉄エッチング液を用いて銅めっき皮膜及び銅薄膜をエッチングした。これにより、L/S=30μm/40μmレベルの銅配線102と、半導体チップ接続端子102aとをソーダガラス基板上に形成した(図11(a)参照)。
【0177】
(工程b)
銅配線102が形成された面とは反対側のソーダガラス基板の面から半導体チップ接続端子102aに向けて、径が50μmの貫通孔をレーザにより形成した。レーザとしては、YAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用した。レーザを使用する際には、周波数を4kHz、ショット数を50、マスク径を0.4mmとした。
【0178】
続いて、得られた貫通孔に導電性ペーストMP−200V(日立化成工業株式会社製、商品名)を充填した。その後、160℃で30分間、導電性ペーストを硬化することにより、層間接続用IVH104を形成した(図11(b)参照)。
【0179】
(工程c)
銅配線102が形成された面とは反対側のソーダガラス基板の面上に、工程aと同様に、スパッタリングにより厚さ200nmの銅薄膜を形成した。続いて、電気めっきにより厚さ10μmの銅めっき皮膜を銅薄膜上に形成した。さらに、配線106及び層間接続端子106aのパターン形状に対応したエッチングレジストを銅めっき皮膜上に形成した。次に、塩化第二鉄エッチング液を用いて銅めっき皮膜及び銅薄膜をエッチングした。これにより、配線106及び層間接続端子106aをソーダガラス基板上に形成した(図11(c)参照)。
【0180】
(工程d)
配線106が形成されたソーダガラス基板の面を、濃度が200ml/Lに調整され液温が50℃の酸性脱脂液Z−200(ワールドメタル社製、商品名)に、2分間浸漬した。なお、Lはリットルを表す。その後、配線106が形成されたソーダガラス基板の面を、液温が50℃の水に2分間浸漬することにより湯洗した後、1分間水洗した。次いで、配線106が形成されたソーダガラス基板の面を、3.6Nの硫酸水溶液に1分間浸漬した後、1分間水洗した。
【0181】
続いて、酢酸によりpH5に調整された水溶液に、γ−アミノプロピルトリエトキシシランA−1100(日本ユニカー株式会社製、商品名)を加えることにより、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの濃度が0.5質量%の溶液を調製した。その溶液に、配線106が形成されたソーダガラス基板の面を、25℃で1分間浸漬した。さらに、水洗することなく、120℃にて3分間の乾燥を行った。
【0182】
次に、配線106及び層間接続端子106aを覆うようにビルドアップ層108を形成した。まず、シアネートエステル系の材料を含有するワニスを、スピンコート法を用いて、回転数1500rpmでソーダガラス基板上に塗布した。これにより、厚さ20μmの絶縁層を形成した。その後、6℃/minの昇温速度で常温(25℃)から230℃まで絶縁層を加熱し、230℃で80分間保持することにより絶縁層を熱硬化させた。これにより、厚さ15μmのビルドアップ層108を形成した(図11(d)参照)。
【0183】
(工程e)
ビルドアップ層108の表面から層間接続端子106aに向けて、レーザにより径が50μmの貫通孔110を形成した。これにより、ビルドアップ層108aを得た(図11(e)参照)。レーザとしては、YAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用した。レーザを使用する際には、周波数を4kHz、ショット数を50、マスク径を0.4mmとした。
【0184】
(工程f)
スパッタリングにより、厚さ20nmのNi層をビルドアップ層108a上に形成した。その後、スパッタリングにより、Ni層上に厚さ200nmの銅薄膜を形成した。このようにして、Ni層及び銅薄膜からなるシード層を形成した。スパッタリングを行う際には、スパッタリング装置(日本真空技術株式会社製、装置型番:MLH−6315)を用いた。スパッタリング条件を下記に示す。
(Ni層)
・電流:5.0A
・電圧:350V
・アルゴン流量:35sccm
・圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
・成膜速度:0.3nm/秒
(銅薄膜)
・電流:3.5A
・電圧:500V
・アルゴン流量:35sccm
・圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
・成膜速度:5nm/秒
【0185】
次に、めっきレジストPMER P−LA900PM(東京応化工業株式会社製、商品名)を、スピンコート法を用いてシード層上に塗布した。これにより、厚さ20μmのめっきレジスト層を得た。その後、露光量を1000mJ/cmとしてめっきレジスト層に露光を施した。さらに、露光が施されためっきレジスト層を、PMER現像液P−7G(東京応化工業株式会社製、商品名)に23℃で6分間揺動させながら浸漬した。これにより、L/S=10μm/10μmのレジストパターンをシード層上に形成した。その後、硫酸銅めっき液を用いて、パターニングされた厚さ5μmの銅めっき皮膜をシード層上に形成した。続いて、レジストパターンを室温(25℃)で1分間メチルエチルケトンに浸漬することにより、レジストパターンを剥離除去した。さらに、シード層をエッチング液CPE−700(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)の5倍希釈液に30℃で30秒間揺動させながら浸漬することにより、シード層のクイックエッチングを行った。これにより、配線112及び層間接続端子112aを形成した(図12(a)参照)。
【0186】
(工程g)
工程d及び工程eと同様にして、配線112及び層間接続端子112a上にビルドアップ層114を形成した。その後、工程fと同様にして、外部接続端子116をビルドアップ層114上に形成した(図12(b)参照)。
【0187】
(工程h)
ソルダーレジストPSR−4000 AUS5(太陽インキ製造株式会社、商品名)を、ロールコータを用いて厚さが25μmになるように、銅配線102が形成されたソーダガラス基板の面及びビルドアップ層114上に塗布した。ソルダーレジストを乾燥した後、露光及び現像を行うことにより、銅配線102が形成されたソーダガラス基板の面上に開口118aを有する絶縁マスク118を形成すると共に、ビルドアップ層114上に開口を有する絶縁層120を形成した(図12(c)参照)。
【0188】
(工程i)
シアネートエステル系の材料を含有するワニスを、マイクロ・ピペットを用いて絶縁マスク118の開口118a内に収まるように滴下した。その後、ワニスを180℃で10分間半硬化させた後、230℃で80分間保持することにより熱硬化させた。
【0189】
次に、硬化したワニスを、反応性スパッタエッチング装置(ULVAC社製、装置型番:CSE−1110)を用いて異方性エッチングすることにより、絶縁物122を形成した(図12(d)参照)。スパッタリング条件を下記に示す。
・パワー:125W
・ガスの種類及びガスの流量:Ar 17.5sccm、O 50sccm
・処理時間:2min
【0190】
(工程j)
ソーダガラス基板を、濃度が30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬した。その後、ソーダガラス基板を50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。次に、脱脂液Z−200(ワールドメタル社製、商品名)にソーダガラス基板を50℃で3分間浸漬した後、2分間水洗した。
【0191】
(工程k)
ソーダガラス基板を、濃度が100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬した後、2分間水洗した。その後、ソーダガラス基板を、10%の硫酸に1分間浸漬した後、2分間水洗した。次に、めっき活性化処理液SA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)にソーダガラス基板を25℃で5分間浸漬した後、2分間水洗した。
【0192】
次に、無電解ニッケルめっき液NIPS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)にソーダガラス基板を85℃で15分間浸漬した。これにより、厚さ5μmのニッケルめっき皮膜を形成した。
【0193】
次に、無電解パラジウムめっき液APP(石原薬品株式会社製、商品名)にソーダガラス基板を50℃で20分間浸漬した。これにより、厚さ0.2μmのパラジウムめっき皮膜を形成した。
【0194】
次に、置換金めっき液HGS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)にソーダガラス基板を85℃で10分間浸漬した。さらに、無電解金めっき液HGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)にソーダガラス基板を65℃で40分間浸漬した。これにより、厚さ0.4μmの金めっき皮膜を形成した。
【0195】
以上のようにして、めっき層124を銅配線102上に形成し、めっき層124aを半導体チップ接続端子102a上に形成し、めっき層126を外部接続端子116上に形成した。
【0196】
工程a〜工程kを経ることにより、ファン−インタイプBGA用の半導体チップ搭載基板60を作製した(図10参照)。
【0197】
(工程l)
ダイボンドフィルムDF−100(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、所定の数の半導体チップ402を半導体チップ搭載基板60に搭載した。次に、ワイヤボンダUTC230(株式会社新川製、商品名)を用いて、半導体チップ302の端子と、半導体チップ接続端子102aとを、直径25μmの金ワイヤにより電気的に接続した。さらに、封止樹脂CEL9200(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、圧力10MPa、温度180℃、時間90秒の条件で半導体チップ402をトランスファモールド方式によって封止した。
【0198】
次に、温度180℃のオーブン中で、ダイボンドフィルム及び封止樹脂を5時間熱処理することにより、完全に硬化させた。その後、鉛・錫共晶はんだからなる直径0.45mmのはんだボールをNリフロー装置を用いて外部接続端子116に融着させた。さらに、幅200μmのブレードが装着されたダイサーを用いて、封止樹脂及び半導体チップ搭載基板を同時に切断した。このようにして、半導体パッケージ400を作製した(図18参照)。
【0199】
(実施例2)
工程iを下記のように実施した以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0200】
(工程i)
シアネートエステル系の材料を含有するワニスを、マイクロ・ピペットを用いて絶縁マスク118の開口118a内に収まるように滴下した。その後、ワニスを180℃で10分間半硬化させた後、230℃で80分間保持することにより熱硬化させた。
【0201】
次に、酸化剤として過マンガン酸塩を含む溶液を用いて、硬化したワニスをウェットエッチングした。ウェットエッチングプロセスでは、デスミア処理システム(商品名:サーキュポジット200MLB、シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いた。
【0202】
まず、膨潤処理では、サーキュポジットMLBコンディショナ211及びサーキュポジットZの混合水溶液(水:70vol%、コンディショナ211:20vol%、サーキュポジットZ:10vol%)に、硬化したワニスを70℃で5分間浸漬した。
【0203】
次に、除去処理では、サーキュポジットMLBプロモータ213A及びサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水:75vol%、プロモータ213A:10vol%、プロモータ213B:15vol%)に、硬化したワニスを70℃で10分間浸漬した。
【0204】
次に、中和処理では、サーキュポジットMLBニュートラライザ216−4を含む水溶液(水:80vol%、ニュートラライザ216−4:20vol%)に、硬化したワニスを40℃で5分間浸漬した。
【0205】
(実施例3)
工程iを下記のように実施した以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0206】
(工程i)
シアネートエステル系の材料を含有するワニスを、スクリーン印刷法を用いて絶縁マスク118の開口118a内及び絶縁マスク118上に塗布した。その後、ワニスを180℃で10分間半硬化させた後、230℃で80分間保持することにより熱硬化させた。
【0207】
次に、硬化したワニスを、反応性スパッタエッチング装置(ULVAC社製、装置型番:CSE−1110)を用いて異方性エッチングすることにより、絶縁物122を形成した(図12(d)参照)。スパッタリング条件を下記に示す。
・パワー:125W
・ガスの種類及びガスの流量:Ar 17.5sccm、O 50sccm
・処理時間:10min
【0208】
(実施例4)
工程iを下記のように実施した以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0209】
(工程i)
シアネートエステル系の材料を含有するワニスを、スクリーン印刷法を用いて絶縁マスク118の開口118a内及び絶縁マスク118上に塗布した。その後、ワニスを180℃で10分間半硬化させた後、230℃で80分間保持することにより熱硬化させた。
【0210】
次に、酸化アルミニウムからなる砥粒を備え粒度が1000番のバフ(角田ブラシ株式会社製)を用いて、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値10A、ラインスピード8m/分の条件で、硬化したワニスを研磨した(1回目の機械研磨)。なお、バフモーター電流値はバフの押圧の値から算出される。
【0211】
続いて、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値2A、ラインスピード8m/分の条件で、硬化したワニスを再び研磨した(2回目の機械研磨)。これにより、絶縁マスク118上に残存していた硬化したワニスを除去した。
【0212】
次に、硬化したワニスを、反応性スパッタエッチング装置(ULVAC社製、装置型番:CSE−1110)を用いて異方性エッチングすることにより、絶縁物122を形成した(図12(d)参照)。スパッタリング条件を下記に示す。
・パワー:125W
・ガスの種類及びガスの流量:Ar 17.5sccm、O 50sccm
・処理時間:10min
【0213】
(実施例5)
工程iを下記のように実施した以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0214】
(工程i)
シアネートエステル系の材料を含有するワニスを、スクリーン印刷法を用いて絶縁マスク118の開口118a内及び絶縁マスク118上に塗布した。その後、ワニスを180℃で10分間半硬化させた後、230℃で80分間保持することにより熱硬化させた。
【0215】
次に、酸化アルミニウムからなる砥粒を備え粒度が1000番のバフ(角田ブラシ株式会社製)を用いて、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値10A、ラインスピード8m/分の条件で、硬化したワニスを研磨した(1回目の機械研磨)。なお、バフモーター電流値はバフの押圧の値に対応する。
【0216】
続いて、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値2A、ラインスピード8m/分の条件で、硬化したワニスを再び研磨した(2回目の機械研磨)。これにより、絶縁マスク118上に残存していた硬化したワニスを除去した。
【0217】
次に、酸化剤として過マンガン酸塩を含む溶液を用いて、硬化したワニスをウェットエッチングした。ウェットエッチングプロセスでは、デスミア処理システム(商品名:サーキュポジット200MLB、シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いた。
【0218】
まず、膨潤処理では、サーキュポジットMLBコンディショナ211及びサーキュポジットZの混合水溶液(水:70vol%、コンディショナ211:20vol%、サーキュポジットZ:10vol%)に、硬化したワニスを70℃で5分間浸漬した。
【0219】
次に、除去処理では、サーキュポジットMLBプロモータ213A及びサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水:75vol%、プロモータ213A:10vol%、プロモータ213B:15vol%)に、硬化したワニスを70℃で10分間浸漬した。
【0220】
次に、中和処理では、サーキュポジットMLBニュートラライザ216−4を含む水溶液(水:80vol%、ニュートラライザ216−4:20vol%)に、硬化したワニスを40℃で5分間浸漬した。
【0221】
(比較例1)
工程iを実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0222】
(比較例2)
工程iを実施しなかったこと、及び工程jと工程kとの間に下記工程x1を実施したこと以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0223】
(工程x1)
下記処理液Aにソーダガラス基板を30℃で3分間浸漬した。その後、ソーダガラス基板を50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。
処理液A
・チオ硫酸カリウム(関東化学株式会社製):50g/L
・pH:6
・pH調整剤:クエン酸ナトリウム(関東化学株式会社製)
【0224】
(比較例3)
工程iを実施しなかったこと、及び工程jと工程kとの間に下記工程x2を実施したこと以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0225】
(工程x2)
下記処理液Bにソーダガラス基板を30℃で3分間浸漬した。その後、ソーダガラス基板を50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。
処理液B
・チオ硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製):30g/L
・pH:9
・pH調整剤:ピロリン酸カリウム(関東化学株式会社製)
【0226】
(比較例4)
工程iを実施しなかったこと、及び工程jと工程kとの間に下記工程x3を実施したこと以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0227】
(工程x3)
下記処理液Cにソーダガラス基板を30℃で3分間浸漬した。その後、ソーダガラス基板を50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。
処理液C
・チオ硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製):30g/L
・pH:9
・pH調整剤:ピロリン酸カリウム(関東化学株式会社製)
【0228】
(比較例5)
工程iを実施しなかったこと、及び工程hと工程jとの間に下記工程x4を実施したこと以外は実施例1と同様にして半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0229】
(工程x4)
銅配線102が形成されたソーダガラス基板の面にOプラズマエッチング処理を施した後、ソーダガラス基板を流水中で5分間洗浄した。Oプラズマエッチング処理では、OプラズマアッシャーDEM−451M(日電アネルバ社製、商品名)を用いた。Oプラズマエッチング処理の条件を下記に示す。
・パワー:300W
・ガスの種類及びガスの流量:O 50sccm
・ガス圧:10Pa
・自己バイアス:−700V
・処理時間:15min
【0230】
(めっき析出性評価)
銅配線上に、厚さ5μmのニッケルめっき皮膜、厚さ0.2μmのパラジウムめっき皮膜、及び厚さ0.4μmの金めっき皮膜を順に形成した後に、銅配線を上方から観察してブリッジの発生の有無を確認することによりめっき析出性を評価した。結果を表1に示す。表中、○はブリッジの発生が確認されなかったことを示し、×はブリッジの発生が確認されたことを示す。
【0231】
ブリッジの発生が確認されなかった場合の一例を図19(a)に示す。図19(a)は、複数の銅配線502が表面上に設けられたソーダガラス基板500を模式的に示す平面図である。一方、ブリッジの発生が確認された場合の一例を図19(b)に示す。図19(b)は、複数の銅配線502が表面上に設けられたソーダガラス基板500を模式的に示す平面図である。図19(b)では、めっきのはみ出し部504及びめっきの異常析出部506等が複数の銅配線502間において確認された。
【0232】
(絶縁信頼性評価)
実施例1〜5及び比較例1〜5の半導体チップ搭載基板を用いて、半導体チップ搭載基板の絶縁信頼性の評価を行った。評価は、隣り合う銅配線間の絶縁抵抗を測定することにより行った。絶縁抵抗は、抵抗測定装置(アドバンテスト社製、商品名:R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER)を用いて、DC20Vを隣り合う銅配線間に印加することによって測定した。
【0233】
初期における絶縁抵抗、及び、温度85℃、相対湿度85%、DC20Vの条件下で半導体チップ搭載基板を500時間、1000時間放置した後の絶縁抵抗を測定した。結果を表1に示す。表中、○は絶縁抵抗が1.0×10Ω以上であることを示し、×は絶縁抵抗が1.0×10Ω未満であることを示す。
【0234】
【表1】

【0235】
表1から明らかなように、実施例1〜5の半導体チップ搭載基板では、ブリッジの発生が確認されず、絶縁信頼性も極めて良好であった。これに対し、比較例1〜5の半導体チップ搭載基板では、ブリッジの発生が確認され、絶縁信頼性も不十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】第1実施形態に係るプリント配線板を模式的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【図3】第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【図4】絶縁物の形成方法の一例を模式的に示す工程断面図である。
【図5】絶縁物の形成方法の一例を模式的に示す工程断面図である。
【図6】図6(a)は、第2実施形態に係るプリント配線板を備えた半導体チップ搭載基板を模式的に示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線に沿った断面図である。
【図7】第2実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法を模式的に示す工程図である。
【図8】第2実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法を模式的に示す工程図である。
【図9】第2実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【図10】第3実施形態に係るプリント配線板を備えた半導体チップ搭載基板を模式的に示す断面図である。
【図11】第3実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【図12】第3実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【図13】半導体チップ搭載基板における配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。
【図14】半導体チップ搭載基板における配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。
【図15】図15(a)は、半導体チップ搭載基板における配線パターンの一例を模式的に示す平面図であり、図15(b)は、図15(a)における領域Aを拡大した図である。
【図16】第4実施形態に係るプリント配線板を備えた半導体チップ搭載基板を模式的に示す断面図である。
【図17】第3実施形態に係る半導体チップ搭載基板を備えた半導体パッケージの一例を模式的に示す断面図である。
【図18】第3実施形態に係る半導体チップ搭載基板を備えた半導体パッケージの一例を模式的に示す断面図である。
【図19】複数の銅配線が表面上に設けられたソーダガラス基板を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0237】
2,22…基板、2a,22a…表面、4,24,102…複数の銅配線、6,26,118…絶縁マスク、6a,26a,118a…開口、8,28,122…絶縁物、8b,8d…絶縁層、10,50,70,71…プリント配線板、12,30…ニッケルめっき皮膜、14,32…パラジウムめっき皮膜、16,34…金めっき皮膜、20,60,61…半導体チップ搭載基板、38,116…外部接続端子、100a…コア基板(基板)、102a,102b…半導体チップ接続端子、300,400…半導体パッケージ、302,402…半導体チップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の銅配線が表面上に設けられた基板上に、前記複数の銅配線を露出させる開口を有する絶縁マスクを形成する工程と、
前記複数の銅配線間に絶縁物を形成する工程と、
前記絶縁物を形成した後、前記複数の銅配線上に、ニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成するか又はニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成する工程と、
を含む、プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁物を形成する工程は、
前記複数の銅配線を覆う絶縁層を形成するステップと、
前記複数の銅配線の一部が露出するように前記絶縁層の一部を除去するステップと、
を含む、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁層の一部を除去する際には、ドライエッチングプロセス及びウェットエッチングプロセスのうち少なくとも1つを用いる、請求項2に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記ドライエッチングプロセスでは、異方性エッチングを行う、請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記ウェットエッチングプロセスでは、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、及び硝酸のうち少なくとも1種類以上を含む溶液を用いる、請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
意味する。
【請求項6】
前記絶縁マスク及び前記絶縁物が、熱硬化性樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法によりプリント配線板を製造する工程と、
前記プリント配線板上に外部接続端子を形成する工程と、
前記プリント配線板上に、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子を形成する工程と、
を含む、半導体チップ搭載基板の製造方法。
【請求項8】
基板上に設けられ開口を有する絶縁マスクと、
前記基板上に設けられ前記開口内に配置された複数の銅配線と、
前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜、又は前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜と、
前記複数の銅配線間に配置された絶縁物と、
を備える、プリント配線板。
【請求項9】
前記絶縁マスクが、熱硬化性樹脂を含む、請求項8に記載のプリント配線板。
【請求項10】
前記絶縁マスクが、光硬化性樹脂を含む、請求項8に記載のプリント配線板。
【請求項11】
隣り合う前記複数の銅配線間の距離が100μm以下である、請求項8〜10のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項12】
前記絶縁物が、熱硬化性樹脂を含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載のプリント配線板と、
前記プリント配線板上に設けられた外部接続端子と、
前記プリント配線板上に設けられ、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子と、
を備える、半導体チップ搭載基板。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体チップ搭載基板と、
前記半導体チップ搭載基板に搭載された前記半導体チップと、
を備える、半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−103648(P2007−103648A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291191(P2005−291191)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】