プリント配線板とそのプリント配線板への実装部品の実装方法
【課題】実装部品の両端の下面側のリードが対称的な略同形状としていても、位置ずれなく、溶接強度を確保して、円滑に、実装部品を、実装できるプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板10は、実装部品1の両端のリード3が、リフロー方式により、一対のパッド14に対してはんだ20付けされて、実装部品が実装される。パッドは、レジスト18に囲まれて、細幅部15と広幅部16とを備える凸字形状とし、かつ、細幅部の幅寸法B2をリードの幅寸法B1より僅かに大きくし、細幅部の広幅部から突出する長さ寸法L2をリードの長さ寸法L1より小さくして、細幅部側を相互に接近させて配設される。パッドは、細幅部相互の離隔距離S2を、実装部品の両端のリード間の離隔距離S1より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離S3を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離S0より、大きくする。
【解決手段】プリント配線板10は、実装部品1の両端のリード3が、リフロー方式により、一対のパッド14に対してはんだ20付けされて、実装部品が実装される。パッドは、レジスト18に囲まれて、細幅部15と広幅部16とを備える凸字形状とし、かつ、細幅部の幅寸法B2をリードの幅寸法B1より僅かに大きくし、細幅部の広幅部から突出する長さ寸法L2をリードの長さ寸法L1より小さくして、細幅部側を相互に接近させて配設される。パッドは、細幅部相互の離隔距離S2を、実装部品の両端のリード間の離隔距離S1より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離S3を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離S0より、大きくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側のリードを、リフロー方式により、はんだ付けして、実装部品を実装するプリント配線板とそのプリント配線板への実装部品の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リフロー方式によるはんだ付けによって実装部品を実装するプリント配線板としては、実装部品の両端のリードを固着させるように、所定位置に、一対のパッドを配設させていた(例えば、特許文献1参照)。このプリント配線板では、断線を招くような実装部品の位置ずれを防止できるように、パッドが、平面視を、狭い幅の細幅部と広い幅の広幅部とを有した凸字形状とするように、形成されていた。そして、このプリント配線板への実装部品の実装では、パッド上にはんだを載せ、さらに、はんだの上に実装部品のリードを載せて加熱し、その際の溶融したはんだの表面張力を利用して、細幅部において、幅方向の位置ずれを防止し、広幅部において、浮き上がりを防止して、実装部品を実装していた。
【0003】
また、他のリフロー方式によって実装部品を実装するプリント配線板では、パッドの外周縁のレジストを利用するように、すなわち、実装部品のリードを、パッドの外周縁におけるレジストの側壁に当てて、位置ずれを防止し、実装部品をはんだ付けするものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、他のリフロー方式によって実装部品を実装するプリント配線板では、パッドの外周縁のレジストを利用する別のタイプとして、溶融したはんだのパッド上でのぬれの力を利用し、一方側のパッドを基準点とするように、そのパッドの外周縁におけるレジストの側壁に、一方側のリードを当てて、位置ずれを防止し、実装部品をはんだ付けするものもあった(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−37144号公報
【特許文献2】特開平5−21943号公報
【特許文献3】特開平10−229263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のプリント配線板において、特許文献1のように、パッドを平面視で凸字形状とした場合では、パッドの周囲にレジストを設けることなく、広幅部の広い部位も含めて、パッドの上面側の全域ではんだを溶融させるように、はんだをパッドの全域に塗布するとともに、パッドの広幅部側のはんだ上にリードを載せていた。そのため、はんだの溶融時、リードにおけるパッドの細幅部での幅方向の位置ずれやパッドの広幅部での浮き上がりは防止できるものの、パッドの幅方向と直交する方向、すなわち、パッド相互の配設方向(パッドや実装部品の長さ方向)に沿う方向の位置ずれは、抑制し難くなって、改善の余地があった。
【0007】
また、特許文献2のように、リードをレジストの側壁に当てて位置ずれを防止するタイプのプリント配線板では、リードの周囲の全周をレジストで囲って、リードを嵌合させるように、レジストで囲まれる凹部を、パッド上に形成していた。そのため、リードをはんだ付けする際のフィレットの面積が小さくなって、溶接強度を確保し難くなる場合が生じていた。
【0008】
さらに、特許文献3のように、はんだのぬれ力を利用して位置ずれを防止するタイプのプリント配線板では、一方側のパッドを基準点としており、その基準点側のパッドでのはんだのぬれ力を利用できるように、一方側のパッドとそのパッドに対応するリードとが、他方側のパッドやリードに比べて、大きな平面形状を必要としており、実装部品の両端のリードが相互に対称的な略同状としていては、容易に対処できない。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、実装部品の両端の下面側のリードが対称的な略同形状としていても、位置ずれなく、かつ、溶接強度を確保して、円滑に、実装部品を、実装できるプリント配線板とそのプリント配線板への実装部品の実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るプリント配線板は、所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードが、リフロー方式により、はんだ付けされて、実装部品が実装されるプリント配線板であって、
一対のパッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプリント配線板では、実装部品を実装する際、一対のパッドにはんだを塗布して、実装部品を載せ、リフロー炉等を利用して加熱すれば、はんだが溶融し、ついで、はんだが固化すれば、実装部品をはんだ付けして実装できる。
【0012】
その際、パッドが、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、さらに、細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくしている。そのため、実装部品の両端のリードは、相互の接近する内側部位を、細幅部の外周縁のレジストの側壁に規制されつつ、レジストに囲まれるパッドの細幅部に、嵌め、一対のパッドの配列方向に沿う長さ方向と、その長さ方向と直交する幅方向と、における配置位置を、位置決めされる。この位置決めは、実装部品の両端のリードにおける相互の接近している内側部位のパッドの細幅部への嵌合により、達成できることから、両端のリードが相互に対称的な略同形状に形成されていても、あるいは、非対称としていても、両端のリードの内側部位に対応するように、細幅部が形成されていれば、円滑に、位置ずれなく、両端のリードが、パッド上に配置される。
【0013】
そして、この位置決め時、パッドの広幅部側では、実装部品の両端のリードが、それぞれ、相互に離れる外側部位を、細幅部から飛び出させて、広幅部上に配置させている。そのため、はんだが溶融すれば、実装部品の両端のリードは、広幅部上におけるリードの外側部位の周囲、詳しくは、細幅部側を除いた三方に、細幅部より幅広で、かつ、リードの外縁から広幅部の外縁側に延びるように、フィレットを広く配設させることとなる。そして、その状態で、はんだが固化すれば、広い面積のフィレットを形成した状態で、リードが、パッドに溶接されることとなって、安定した溶接強度が確保される。
【0014】
また、本発明に係るプリント配線板への実装部品の実装方法では、所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードを、リフロー方式により、はんだ付けするプリント配線板への実装部品の実装方法であって、
プリント配線板の一対のパッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されて、
はんだの少なくとも溶融時、リードがレジストの上面より上方に位置するように、はんだを、レジストの上面を越える厚さ寸法として、パッドの細幅部とその近傍部位だけに塗布し、リードを、パッドに対して、はんだ付けすることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る実装方法では、一対のパッドにはんだを塗布する際、はんだを、レジストの上面を越える厚さ寸法として、パッドの細幅部とその近傍部位だけに塗布し、ついで、実装部品を載せ、リフロー炉等を利用して加熱すれば、はんだが溶融し、ついで、はんだが固化する。
【0016】
その際、パッドの周囲のレジストは、不要な部位へのはんだの付着を防止するものであって、エポキシ樹脂等の合成樹脂から形成されて、はんだとのぬれ力が無く、はんだをはじき易い。一方、パッドは、リードとともに、導電性を有した銅箔等の金属からなって、はんだとのぬれ力が大きい。そのため、はんだが、レジストの上面を越える厚さ寸法として、細幅部からその近傍の広幅部に塗布されていれば、加熱時、溶融したはんだが、レジスト上面に乗り上げようとしても、レジスト上ではじかれ、パッドの細幅部の幅方向の両縁とその細幅部の内縁(細幅部相互の接近している側の縁)とにおいて、表面張力を発揮して膨らむ形状となる。
【0017】
そして、細幅部の幅方向では、その幅方向の中央に、リードの幅方向の中央を配置させるように、両縁側のはんだの表面張力が作用する。また、細幅部の長さ方向(一対のパッドの配設方向)では、一対のパッドの細幅部の内縁側でのはんだの表面張力が、実装部品の両端のリード相互を、細幅部相互の中央位置を基準に、対称的な位置に配置させるように、作用する。
【0018】
さらに、一対のパッドの長さ方向において、はんだは、細幅部から細幅部の近傍部位に塗布されるだけで、広幅部の外縁側まで塗布されないことから、パッドの細幅部近傍の広幅部上で溶融しているはんだのぬれ力が、実装部品の両端のリードを、それぞれ、両パッドの広幅部の外縁側に、引っ張る状態となり、一対のパッド相互の中央位置を基準に、対称的な位置に配置させるように、作用する。
【0019】
さらに、実装部品の両端のリードが、相互に対称的な略同形状に形成されていれば、それらのリードに作用するはんだのぬれ力やはじき力も、パッドの幅方向や長さ方向に沿って、対称的に均等に作用し易い。
【0020】
その結果、一対のパッドの細幅部とその近傍の広幅部に塗布されたはんだが、溶融時、パッドとのぬれ力とレジストとのはじき力とによって、実装部品の両端のリードを、細幅部の幅方向の中央で、かつ、一対のパッド相互の中央位置を基準に、対称的な位置に配置させることとなり、そして、その状態で、はんだが固化すれば、パッドの幅方向と長さ方向とに沿って位置ずれなく、リードをパッドに対してはんだ付けでき、さらに、リードの広幅部側での周囲に広い面積でフィレットも形成できることから、実装部品が、安定した溶接強度を確保して、位置ずれなく、はんだ付けされて、プリント配線板に実装されることとなる。
【0021】
さらに、本発明の実装方法では、実装部品の両端のリードをレジストの側壁に積極的に当接させて位置規制させなくとも、はんだによるパッドとのぬれ力とレジストとのはじき力とによって、リードの位置ずれを抑制できるものであり、リードの実装部品からの下方や側方への突出量が小さく、リードにおけるレジストの側壁との当接代(係止代)が小さくとも、円滑に、リードの位置ずれを抑制して、リードをパッドにはんだ付けすることができる。
【0022】
勿論、本発明の実装方法では、はんだの固化時、はんだの熱収縮によって、リードの下面が、レジストの上面より下降しても、リードが、パッドの外周縁のレジストの側壁との干渉が抑制されている。すなわち、パッドが、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、さらに、細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくしており、はんだの固化時、リードの下面が、レジストの上面より下降しようとしても、パッド周縁のレジストの縁と当たらず、パッドに接近可能となって、パッドに対し、傾斜すること無く接近して、電気的に接続可能となる。
【0023】
そして、プリント配線板が、実装部品の実装後に、パチンコ遊技機、詳しくは、遊技機における遊技球の打ち込まれる遊技領域が前面に形成される遊技盤、に取り付けられる構成であれば、断線を抑えて、歩留まりを向上させたプリント回路板を、パチンコ遊技機の遊技盤に取り付けることができ、パチンコ遊技機の製造コスト・工数を低減することに寄与できる。
【発明の効果】
【0024】
したがって、本発明に係るプリント配線板とそのプリント配線板への実装部品の実装方法では、実装部品の両端の下面側のリードが対称的な略同形状としていても、位置ずれなく、かつ、溶接強度を確保して、円滑に、実装部品を、実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態のプリント配線板のパッド付近の平面図である。
【図2】実施形態のプリント配線板の断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】実施形態に実装する実装部品の平面図である。
【図4】実施形態に実装する実装部品の正面図である。
【図5】実施形態のはんだ付けの工程を順に説明する概略断面図である。
【図6】実施形態のはんだ付けの工程を順に説明する概略断面図であり、図1のVI−VI部位に対応する。
【図7】実施形態のはんだ付けの工程を順に説明する概略断面図であり、図1のVII−VII部位に対応する。
【図8】実施形態のプリント配線板に実装部品を実装した概略平面図である。
【図9】実施形態のプリント配線板が配設されるパチンコ遊技機の概略正面図である。
【図10】実施形態のプリント配線板が取り付けられるパチンコ遊技機の遊技盤の概略正面図である。
【図11】実施形態のプリント配線板に実装部品が取り付けれられたプリント回路板の正面図である。
【図12】実施形態の変形例の実装方法を説明するパッドの長さ方向に沿った概略断面図である。
【図13】実施形態の変形例の実装方法を説明するパッドの幅方向に沿った概略断面図である。
【図14】図12に示す実装方法で実装部品を実装したプリント回路板の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のプリント配線板10は、図1,2に示すように、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させた基板11に、銅箔12からなるプリント配線が印刷され、さらに、所定位置に、実装部品1の両端のリード3(3L,3R)をはんだ付けするための一対のパッド14(14L,14R)が、配設されている。一対のパッド14L,14Rは、銅箔12等の表面を被覆するエポキシ樹脂等の絶縁性を有した合成樹脂からなるレジスト18により、外周縁を囲まれて、レジスト18から露出するように配設されている。
【0027】
実装部品1は、実施形態の場合、LEDとしており、図3,4に示すように、略直方体形状の本体2の両端2a,2bの下面2c側に、対称的、詳しくは、平面視の両端間における中央の中央線CLを基準とした線対称、として、リード3(3L,3R)を配設させている。これらのリード3は、両端2a,2bを結ぶ方向と直交する方向の寸法、すなわち、幅方向BDの幅寸法B1を、本体2の幅寸法B0より小さくし、かつ、外縁4を本体2から若干突出させて、本体2の下面2c側に隠れるように、配設されている。また、各リード3の下面3aは、本体2の下面2cから若干下方に突出し、下方から見て、長方形としている。
【0028】
ちなみに、実施形態の場合、平面視のリード3の外縁4における本体2からの突出量P1は、約0.15mm、正面視のリード3の下面3aにおける本体2の下面2cからの突出量P2は、約0.08mmとしている。
【0029】
プリント配線板10に設けられた一対のパッド14(14L,14R)は、図1,8に示すように、それぞれ、パッド14L,14Rの配設方向(長さ方向LD)と直交する方向の寸法、すなわち、幅方向BDの幅寸法B2、を小さくする長方形状の細幅部15と、幅寸法B3を細幅部15より大きくする長方形状の広幅部16と、を備えて、平面視を凸字形状として、レジスト18から露出するように、配設されている。一対のパッド14L,14Rは、細幅部15の幅寸法B2をリード3の幅寸法B1より僅かに大きくし(0.1〜1.0mm程度大きく、望ましくは、0.1〜0.4mm程度大きくし)、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2をリード3の長さ寸法L1(図3,4参照)より小さくして、細幅部15,15側を相互に接近させるように配設されている。
【0030】
また、一対のパッド14L,14Rは、細幅部15,15相互の内縁15a間の離隔距離S2を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける内縁5間の離隔距離S1より、僅かに小さくし(0.1〜1.0mm程度小さく、望ましくは、0.1〜0.4mm程度小さくし)、かつ、広幅部16,16相互の外縁16a間の離隔距離S3を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける外縁4間の離隔距離S0より、大きくするように、構成されている。
【0031】
ちなみに、実施形態の場合、本体2の幅寸法B0は、約2.3mm、リード3の幅寸法B1は、約1.4mm、細幅部15の幅寸法B2は、約1.6mm、広幅部16の幅寸法B3は、約2.8mm、リード3,3の外縁4間の離隔距離S0は、約3.0mm、リード3,3の内縁5間の離隔距離S1は、約1.8mm、細幅部15,15の内縁15a間の離隔距離S2は、約1.6mm、広幅部16,16の外縁16a間の離隔距離S3は、約4.5mmとしている。また、リード3の長さ寸法L1は、約0.6mm、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2は、約0.3mmとし、さらに、レジスト18の銅箔12上に塗布される厚さ寸法t(図2参照)は、約0.15mmとしている。
【0032】
実施形態のプリント配線板10に実装部品1を実装したプリント回路板25は、図9,10に示すように、パチンコ遊技機31における遊技球の打ち込まれる遊技領域を前面に形成した遊技盤32の後面側に、取り付けられるものである。詳しくは、この遊技盤32は、透明なアクリル樹脂等の合成樹脂からなる盤本体33の後面側に、模様等を設けた加飾層が、配設されて構成されている。そして、その加飾層の模様を、後方からの光によって、浮び上がらせるように、プリント回路板25が、配設されている。すなわち、プリント回路板25の実装部品1が、そのLEDを発光させて、遊技盤32の装飾効果を高めるように、配設されている。
【0033】
つぎに、プリント配線板10への実装部品1の実装方法(実装工程)を説明すると、まず、図1,2の二点鎖線に示すように、プリント配線板10における一対のパッド14L,14Rの細幅部15からその近傍の広幅部16にかけて、はんだ(クリームはんだ)20を塗布する。この時、はんだ20は、少なくともはんだ20の溶融時、リード3(3L,3R)がレジスト18の上面18aより上方に位置するように、レジスト18の上面18aを越える厚さ寸法T分(実施形態では約0.2mm)、塗布する。また、はんだ20の塗布エリアは、図1の二点鎖線に示すように、上方から見て、パッド14L,14Rの細幅部15からリード3の外縁4付近まで、換言すれば、リード3の下面3aと略同等の長方形のエリア、としている。
【0034】
ついで、図5のA、図6のA、及び、図7のAに示すように、両端2a,2bのリード3L,3Rをパッド14L,14Rの細幅部15の上方に配置させて、リード3L,3Rの下面3aを、パッド14L,14Rに塗布したはんだ20の上面20a側に当てつつ、プリント配線板10上に実装部品1を載せる。その後、リフロー炉等に投入して加熱すれば、はんだ20が溶融する。
【0035】
この時、図5のBや図6のBに示すように、パッド14L,14Rの周囲のレジスト18は、不要な部位へのはんだ20の付着を防止するものであって、エポキシ樹脂等の合成樹脂から形成されて、はんだ20とのぬれ力(ぬれ性)が無く、はんだ20をはじき易い。一方、パッド14L,14Rは、リード3L,3Rとともに、導電性を有した銅箔等の金属からなって、はんだ20とのぬれ力が大きい。そのため、はんだ20が、レジスト18の上面18aを越える厚さ寸法Tとして、細幅部15からその近傍の広幅部16に塗布されていれば、加熱時、溶融したはんだ20が、レジスト18の上面18aに乗り上げようとしても、レジスト18上ではじかれ、パッド14L,14Rの細幅部15の幅方向BDの両縁15b,15cとその細幅部15の内縁(細幅部15,15相互の接近している側の縁)15aとのレジスト18の上縁18ae側において、表面張力を発揮して膨らむ形状となる。
【0036】
そして、細幅部15の幅方向BDでは、図6のBに示すように、その幅方向BDの中央15dに、リード3L,3Rの幅方向BDの中央3bを配置させるように、両縁15b,15c側のはんだ20の表面張力が作用する。また、広幅部16の幅方向BDでは、図7のBに示すように、その幅方向BDの中央16bに、リード3L,3Rの幅方向BDの中央3bを配置させるように、広幅部16上で溶融しているはんだ20のぬれ力が、作用する。
【0037】
さらに、細幅部15の長さ方向(一対のパッド14L,14Rの配設方向)LDでは、図5のBに示すように、一対のパッド14L,14Rの細幅部15の内縁15a側でのはんだ20の表面張力が、実装部品1の両端2a,2bのリード3相互を、細幅部15,15相互の中央位置CPを基準に、対称的(線対称的)な位置に配置させように、作用する。
【0038】
さらにまた、一対のパッド14の長さ方向LDにおいて、はんだ20は、細幅部15から細幅部15の近傍部位に塗布されるだけで、広幅部16の外縁16a側まで塗布されないことから、パッド14の細幅部15近傍の広幅部16上で溶融しているはんだ20のぬれ力が、実装部品1の両端のリード3を、それぞれ、両パッド14,14の広幅部16の外縁16a側に、引っ張る状態となり、一対のパッド14,14相互の中央位置CPを基準に、対称的(線対称的)な位置に配置させるように、作用する。
【0039】
さらに、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rは、相互に、中央線CLを基準とした線対称的な略同形状に形成されており、それらのリード3L,3Rに作用するはんだ20のぬれ力やはじき力も、パッド14の幅方向BDや長さ方向LDに沿って、対称的に均等に作用し易い。
【0040】
その結果、一対のパッド14,14の細幅部15とその近傍の広幅部16に塗布されたはんだ20が、溶融時、パッド14とのぬれ力とレジスト18とのはじき力とによって、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rを、細幅部15や広幅部16の幅方向BDの中央15d,16bで、かつ、一対のパッド14,14相互の中央位置CPを基準に、対称的な位置に配置させることとなる。
【0041】
そしてその後、溶融したはんだ20が固化(凝固)すれば、図5のC、図6のC、図7のC、及び、図8に示すように、パッド14L,14Rの幅方向BDと長さ方向LDとに沿って位置ずれなく、リード3L,3Rをパッド14L,14Rに対してはんだ付けでき、さらに、リード3L,3Rの広幅部16側での周囲に広い面積でフィレット21も形成できる。このフィレット21は、広幅部16上で、リード3の外縁4から広幅部16の外縁16a側の外側に延びる外縁部21aと、細幅部15より幅広となるようにリード3から幅方向に沿って延びる側縁部21b,21cと、から構成されて、広く形成されることとなる。そのため、実装部品1が、安定した溶接強度を確保して、位置ずれなく、プリント配線板10に実装されて、プリント回路板25が製造される。
【0042】
さらに、実施形態の実装方法では、実装部品1の両端のリード3L,3Rを、レジスト18における細幅部15の周囲の側壁18c,18d,18eに、積極的に当接させて位置規制させなくとも、はんだ20によるパッド14とのぬれ力とレジスト18とのはじき力とによって、リード3L,3Rの位置ずれを抑制できるものであり、リード3L,3Rの実装部品1からの側方や下方への突出量P1,P2が小さく、リード3におけるレジスト18の側壁18c,18d,18eとの当接代(係止代)が小さくとも、円滑に、リード3L,3Rの位置ずれを抑制して、リード3L,3Rをパッド14L,14Rに対し、はんだ付けすることができる。
【0043】
勿論、実施形態の実装方法では、はんだ20の固化時、はんだ20の熱収縮によって、リード3L,3Rの下面3aが、レジスト18の上面18aより下降しても、リード3L,3Rが、パッド14の外周縁のレジスト18の側壁18b,18c,18d,18eとの干渉が抑制されている。すなわち、パッド14が、細幅部15の幅寸法B2をリード3の幅寸法B1より僅かに大きくし、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2をリード3の長さ寸法L1より小さくして、さらに、細幅部15,15相互の離隔距離S2を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける内縁5間の離隔距離S1より、僅かに小さくし、かつ、広幅部16,16相互の外縁16a間の離隔距離S3を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rの外縁4間の離隔距離S0より、大きくしている(図1,3参照)。そのため、はんだ20の固化時、リード3の下面3aが、レジスト18の上面18aより下降しようとしても、パッド14周縁のレジスト18の上縁18aeと当たらず、パッド14に接近可能となって、パッド14の銅箔12に対し、傾斜すること無く接近して、電気的に接続可能となる。
【0044】
なお、実施形態では、はんだ20付け完了時、リード3の下面3aが、パッド14の周囲のレジスト18の上面18aと略一致する高さ寸法としたが、はんだ20付け完了後においても、リード3の下面3aが、レジスト18の上面18aより上方に位置するように、厚さ寸法Tを大きくして、はんだ20の塗布量を多くしても良い。
【0045】
また、実施形態の実装方法と相違して、はんだ20の塗布量を少なくし、はんだ20の溶融前に、リード3の下面3aが、パッド14の周囲のレジスト18の上面18aと略同等、若しくは、上面18aより若干下方、に位置するように、はんだ20を、パッド14の細幅部15とその近傍部位の広幅部16とに、換言すれば、リード3の下面3aと同等のエリアに、塗布してはんだ付けしても良い。
【0046】
すなわち、この場合、実施形態のプリント配線板10では、図12のA,Bや図13のA,Bに順に示すように、一対のパッド14にはんだ20を塗布して、実装部品1を載せ、リフロー炉等を利用して加熱すれば、はんだ20が溶融し、ついで、はんだが固化すれば、実装部品1をはんだ付けして実装できて、プリント回路板25Aを製造できる。
【0047】
その際、既述したように、パッド14が、細幅部15の幅寸法B2をリード3の幅寸法B1より僅かに大きくし、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2をリード3の長さ寸法L1より小さくして、さらに、細幅部15,15相互の離隔距離S2を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける内縁5間の離隔距離S1より、僅かに小さくし、かつ、広幅部16,16相互の外縁16a間の離隔距離S3を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rの外縁4間の離隔距離S0より、大きくしている(図1,3,8参照)。
【0048】
そのため、実装部品1の両端のリード3L,3Rは、はんだ20上に載せられる際、相互の接近する内側部位3cを、細幅部15の外周縁のレジスト18の側壁18c,18dに規制されつつ、レジスト18に囲まれるパッド14L,14Rの細幅部15に、嵌る状態となって、一対のパッド14L,14Rの配列方向に沿う長さ方向LDと、その長さ方向LDと直交する幅方向BDと、における配置位置を、位置決めされる。この位置決めは、実装部品1の両端のリード3における相互の接近している内側部位3cのパッド14L,14Rの細幅部15への嵌合により、達成できることから、両端のリード3L,3Rが相互に対称的な略同形状に形成されていても、あるいは、非対称としていても、両端のリード3L,3Rの内側部位3cに対応するように、細幅部15が形成されていれば、円滑に、位置ずれなく、両端のリード3L,3Rが、パッド14上に配置される。
【0049】
そして、この位置決め時、パッド14の広幅部16側では、実装部品1の両端のリード3L,3Rが、それぞれ、相互に離れる外側部位3dを、細幅部15から飛び出させて、広幅部16上に配置させている。そのため、はんだ20が溶融すれば、実装部品1の両端のリード3L,3Rは、広幅部16上におけるリード3L,3Rの外側部位3dの周囲、詳しくは、細幅部15側を除いた三方に、フィレット21を広く配設させることとなる(図14参照)。すなわち、この場合でも、フィレット21は、広幅部16上で、リード3の外縁4から広幅部16の外縁16a側の外側に延びる外縁部21aと、細幅部15より幅広となるようにリード3から幅方向に沿って延びる側縁部21b,21cと、から構成されて、広く形成されることとなる。そして、その状態で、はんだ20が固化すれば、広い面積のフィレット21を形成した状態で、リード3L,3Rが、パッド14L,14Rに溶接されることとなって、安定した溶接強度が確保される。
【0050】
したがって、実施形態のプリント配線板10では、実装部品1の両端の下面2c側のリード3L,3Rが、対称的な略同形状としていても、リード3L.3Rの下面3aと同等に、パッド14L,14Rの細幅部15とその近傍部位の広幅部16上に、はんだ20を塗布し、レジスト18の上面18aより高くなるように、塗布量を多くしても(図5〜8参照)、あるいは、レジスト18の上面18aと同等若しくは上面18aより低くなるように、塗布量を少なくしても(図12〜14参照)、共に、位置ずれなく、かつ、溶接強度を確保して、円滑に、実装部品1を実装することができる。
【0051】
そして、プリント配線板10が、実装部品1の実装後に、パチンコ遊技機31、詳しくは、パチンコ遊技機31における遊技球の打ち込まれる遊技領域が前面に形成される遊技盤32、に取り付けられる構成であれば、断線を抑えて、歩留まりを向上させたプリント回路板25,25Aを、パチンコ遊技機31に取り付けることができ、パチンコ遊技機31の製造コスト・工数を低減することに寄与できる。
【0052】
なお、実施形態では、リード3を本体2の側方と下方とから僅かに突出させた構成の実装部品1を使用したが、プリント配線板へ実装する実装部品としては、はんだ20の塗布量の調整と併せて、リードを本体の側方若しくは下方の一方側だけから僅かに突出させたり、あるいは、リードを、本体の下面側で、単に露出させるように、本体から突出させないように、配設させているもの、を使用することができる。
【0053】
また、プリント回路板25,25Aを取り付ける遊技機は、パチンコ遊技機31に限らず、パチスロ機であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…実装部品、
3,3L,3R…リード、
4…(リードの)外縁、
5…(リードの)内縁、
10…プリント配線板、
14,14L,14R…パッド、
15…細幅部、
16…広幅部、
18…レジスト、
20…はんだ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側のリードを、リフロー方式により、はんだ付けして、実装部品を実装するプリント配線板とそのプリント配線板への実装部品の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リフロー方式によるはんだ付けによって実装部品を実装するプリント配線板としては、実装部品の両端のリードを固着させるように、所定位置に、一対のパッドを配設させていた(例えば、特許文献1参照)。このプリント配線板では、断線を招くような実装部品の位置ずれを防止できるように、パッドが、平面視を、狭い幅の細幅部と広い幅の広幅部とを有した凸字形状とするように、形成されていた。そして、このプリント配線板への実装部品の実装では、パッド上にはんだを載せ、さらに、はんだの上に実装部品のリードを載せて加熱し、その際の溶融したはんだの表面張力を利用して、細幅部において、幅方向の位置ずれを防止し、広幅部において、浮き上がりを防止して、実装部品を実装していた。
【0003】
また、他のリフロー方式によって実装部品を実装するプリント配線板では、パッドの外周縁のレジストを利用するように、すなわち、実装部品のリードを、パッドの外周縁におけるレジストの側壁に当てて、位置ずれを防止し、実装部品をはんだ付けするものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、他のリフロー方式によって実装部品を実装するプリント配線板では、パッドの外周縁のレジストを利用する別のタイプとして、溶融したはんだのパッド上でのぬれの力を利用し、一方側のパッドを基準点とするように、そのパッドの外周縁におけるレジストの側壁に、一方側のリードを当てて、位置ずれを防止し、実装部品をはんだ付けするものもあった(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−37144号公報
【特許文献2】特開平5−21943号公報
【特許文献3】特開平10−229263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のプリント配線板において、特許文献1のように、パッドを平面視で凸字形状とした場合では、パッドの周囲にレジストを設けることなく、広幅部の広い部位も含めて、パッドの上面側の全域ではんだを溶融させるように、はんだをパッドの全域に塗布するとともに、パッドの広幅部側のはんだ上にリードを載せていた。そのため、はんだの溶融時、リードにおけるパッドの細幅部での幅方向の位置ずれやパッドの広幅部での浮き上がりは防止できるものの、パッドの幅方向と直交する方向、すなわち、パッド相互の配設方向(パッドや実装部品の長さ方向)に沿う方向の位置ずれは、抑制し難くなって、改善の余地があった。
【0007】
また、特許文献2のように、リードをレジストの側壁に当てて位置ずれを防止するタイプのプリント配線板では、リードの周囲の全周をレジストで囲って、リードを嵌合させるように、レジストで囲まれる凹部を、パッド上に形成していた。そのため、リードをはんだ付けする際のフィレットの面積が小さくなって、溶接強度を確保し難くなる場合が生じていた。
【0008】
さらに、特許文献3のように、はんだのぬれ力を利用して位置ずれを防止するタイプのプリント配線板では、一方側のパッドを基準点としており、その基準点側のパッドでのはんだのぬれ力を利用できるように、一方側のパッドとそのパッドに対応するリードとが、他方側のパッドやリードに比べて、大きな平面形状を必要としており、実装部品の両端のリードが相互に対称的な略同状としていては、容易に対処できない。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、実装部品の両端の下面側のリードが対称的な略同形状としていても、位置ずれなく、かつ、溶接強度を確保して、円滑に、実装部品を、実装できるプリント配線板とそのプリント配線板への実装部品の実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るプリント配線板は、所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードが、リフロー方式により、はんだ付けされて、実装部品が実装されるプリント配線板であって、
一対のパッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプリント配線板では、実装部品を実装する際、一対のパッドにはんだを塗布して、実装部品を載せ、リフロー炉等を利用して加熱すれば、はんだが溶融し、ついで、はんだが固化すれば、実装部品をはんだ付けして実装できる。
【0012】
その際、パッドが、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、さらに、細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくしている。そのため、実装部品の両端のリードは、相互の接近する内側部位を、細幅部の外周縁のレジストの側壁に規制されつつ、レジストに囲まれるパッドの細幅部に、嵌め、一対のパッドの配列方向に沿う長さ方向と、その長さ方向と直交する幅方向と、における配置位置を、位置決めされる。この位置決めは、実装部品の両端のリードにおける相互の接近している内側部位のパッドの細幅部への嵌合により、達成できることから、両端のリードが相互に対称的な略同形状に形成されていても、あるいは、非対称としていても、両端のリードの内側部位に対応するように、細幅部が形成されていれば、円滑に、位置ずれなく、両端のリードが、パッド上に配置される。
【0013】
そして、この位置決め時、パッドの広幅部側では、実装部品の両端のリードが、それぞれ、相互に離れる外側部位を、細幅部から飛び出させて、広幅部上に配置させている。そのため、はんだが溶融すれば、実装部品の両端のリードは、広幅部上におけるリードの外側部位の周囲、詳しくは、細幅部側を除いた三方に、細幅部より幅広で、かつ、リードの外縁から広幅部の外縁側に延びるように、フィレットを広く配設させることとなる。そして、その状態で、はんだが固化すれば、広い面積のフィレットを形成した状態で、リードが、パッドに溶接されることとなって、安定した溶接強度が確保される。
【0014】
また、本発明に係るプリント配線板への実装部品の実装方法では、所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードを、リフロー方式により、はんだ付けするプリント配線板への実装部品の実装方法であって、
プリント配線板の一対のパッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されて、
はんだの少なくとも溶融時、リードがレジストの上面より上方に位置するように、はんだを、レジストの上面を越える厚さ寸法として、パッドの細幅部とその近傍部位だけに塗布し、リードを、パッドに対して、はんだ付けすることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る実装方法では、一対のパッドにはんだを塗布する際、はんだを、レジストの上面を越える厚さ寸法として、パッドの細幅部とその近傍部位だけに塗布し、ついで、実装部品を載せ、リフロー炉等を利用して加熱すれば、はんだが溶融し、ついで、はんだが固化する。
【0016】
その際、パッドの周囲のレジストは、不要な部位へのはんだの付着を防止するものであって、エポキシ樹脂等の合成樹脂から形成されて、はんだとのぬれ力が無く、はんだをはじき易い。一方、パッドは、リードとともに、導電性を有した銅箔等の金属からなって、はんだとのぬれ力が大きい。そのため、はんだが、レジストの上面を越える厚さ寸法として、細幅部からその近傍の広幅部に塗布されていれば、加熱時、溶融したはんだが、レジスト上面に乗り上げようとしても、レジスト上ではじかれ、パッドの細幅部の幅方向の両縁とその細幅部の内縁(細幅部相互の接近している側の縁)とにおいて、表面張力を発揮して膨らむ形状となる。
【0017】
そして、細幅部の幅方向では、その幅方向の中央に、リードの幅方向の中央を配置させるように、両縁側のはんだの表面張力が作用する。また、細幅部の長さ方向(一対のパッドの配設方向)では、一対のパッドの細幅部の内縁側でのはんだの表面張力が、実装部品の両端のリード相互を、細幅部相互の中央位置を基準に、対称的な位置に配置させるように、作用する。
【0018】
さらに、一対のパッドの長さ方向において、はんだは、細幅部から細幅部の近傍部位に塗布されるだけで、広幅部の外縁側まで塗布されないことから、パッドの細幅部近傍の広幅部上で溶融しているはんだのぬれ力が、実装部品の両端のリードを、それぞれ、両パッドの広幅部の外縁側に、引っ張る状態となり、一対のパッド相互の中央位置を基準に、対称的な位置に配置させるように、作用する。
【0019】
さらに、実装部品の両端のリードが、相互に対称的な略同形状に形成されていれば、それらのリードに作用するはんだのぬれ力やはじき力も、パッドの幅方向や長さ方向に沿って、対称的に均等に作用し易い。
【0020】
その結果、一対のパッドの細幅部とその近傍の広幅部に塗布されたはんだが、溶融時、パッドとのぬれ力とレジストとのはじき力とによって、実装部品の両端のリードを、細幅部の幅方向の中央で、かつ、一対のパッド相互の中央位置を基準に、対称的な位置に配置させることとなり、そして、その状態で、はんだが固化すれば、パッドの幅方向と長さ方向とに沿って位置ずれなく、リードをパッドに対してはんだ付けでき、さらに、リードの広幅部側での周囲に広い面積でフィレットも形成できることから、実装部品が、安定した溶接強度を確保して、位置ずれなく、はんだ付けされて、プリント配線板に実装されることとなる。
【0021】
さらに、本発明の実装方法では、実装部品の両端のリードをレジストの側壁に積極的に当接させて位置規制させなくとも、はんだによるパッドとのぬれ力とレジストとのはじき力とによって、リードの位置ずれを抑制できるものであり、リードの実装部品からの下方や側方への突出量が小さく、リードにおけるレジストの側壁との当接代(係止代)が小さくとも、円滑に、リードの位置ずれを抑制して、リードをパッドにはんだ付けすることができる。
【0022】
勿論、本発明の実装方法では、はんだの固化時、はんだの熱収縮によって、リードの下面が、レジストの上面より下降しても、リードが、パッドの外周縁のレジストの側壁との干渉が抑制されている。すなわち、パッドが、細幅部の幅寸法をリードの幅寸法より僅かに大きくし、細幅部における広幅部から突出する長さ寸法をリードの長さ寸法より小さくして、さらに、細幅部相互の離隔距離を、実装部品の両端のリード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、広幅部相互の外縁間の離隔距離を、実装部品の両端のリードの外縁間の離隔距離より、大きくしており、はんだの固化時、リードの下面が、レジストの上面より下降しようとしても、パッド周縁のレジストの縁と当たらず、パッドに接近可能となって、パッドに対し、傾斜すること無く接近して、電気的に接続可能となる。
【0023】
そして、プリント配線板が、実装部品の実装後に、パチンコ遊技機、詳しくは、遊技機における遊技球の打ち込まれる遊技領域が前面に形成される遊技盤、に取り付けられる構成であれば、断線を抑えて、歩留まりを向上させたプリント回路板を、パチンコ遊技機の遊技盤に取り付けることができ、パチンコ遊技機の製造コスト・工数を低減することに寄与できる。
【発明の効果】
【0024】
したがって、本発明に係るプリント配線板とそのプリント配線板への実装部品の実装方法では、実装部品の両端の下面側のリードが対称的な略同形状としていても、位置ずれなく、かつ、溶接強度を確保して、円滑に、実装部品を、実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態のプリント配線板のパッド付近の平面図である。
【図2】実施形態のプリント配線板の断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】実施形態に実装する実装部品の平面図である。
【図4】実施形態に実装する実装部品の正面図である。
【図5】実施形態のはんだ付けの工程を順に説明する概略断面図である。
【図6】実施形態のはんだ付けの工程を順に説明する概略断面図であり、図1のVI−VI部位に対応する。
【図7】実施形態のはんだ付けの工程を順に説明する概略断面図であり、図1のVII−VII部位に対応する。
【図8】実施形態のプリント配線板に実装部品を実装した概略平面図である。
【図9】実施形態のプリント配線板が配設されるパチンコ遊技機の概略正面図である。
【図10】実施形態のプリント配線板が取り付けられるパチンコ遊技機の遊技盤の概略正面図である。
【図11】実施形態のプリント配線板に実装部品が取り付けれられたプリント回路板の正面図である。
【図12】実施形態の変形例の実装方法を説明するパッドの長さ方向に沿った概略断面図である。
【図13】実施形態の変形例の実装方法を説明するパッドの幅方向に沿った概略断面図である。
【図14】図12に示す実装方法で実装部品を実装したプリント回路板の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のプリント配線板10は、図1,2に示すように、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させた基板11に、銅箔12からなるプリント配線が印刷され、さらに、所定位置に、実装部品1の両端のリード3(3L,3R)をはんだ付けするための一対のパッド14(14L,14R)が、配設されている。一対のパッド14L,14Rは、銅箔12等の表面を被覆するエポキシ樹脂等の絶縁性を有した合成樹脂からなるレジスト18により、外周縁を囲まれて、レジスト18から露出するように配設されている。
【0027】
実装部品1は、実施形態の場合、LEDとしており、図3,4に示すように、略直方体形状の本体2の両端2a,2bの下面2c側に、対称的、詳しくは、平面視の両端間における中央の中央線CLを基準とした線対称、として、リード3(3L,3R)を配設させている。これらのリード3は、両端2a,2bを結ぶ方向と直交する方向の寸法、すなわち、幅方向BDの幅寸法B1を、本体2の幅寸法B0より小さくし、かつ、外縁4を本体2から若干突出させて、本体2の下面2c側に隠れるように、配設されている。また、各リード3の下面3aは、本体2の下面2cから若干下方に突出し、下方から見て、長方形としている。
【0028】
ちなみに、実施形態の場合、平面視のリード3の外縁4における本体2からの突出量P1は、約0.15mm、正面視のリード3の下面3aにおける本体2の下面2cからの突出量P2は、約0.08mmとしている。
【0029】
プリント配線板10に設けられた一対のパッド14(14L,14R)は、図1,8に示すように、それぞれ、パッド14L,14Rの配設方向(長さ方向LD)と直交する方向の寸法、すなわち、幅方向BDの幅寸法B2、を小さくする長方形状の細幅部15と、幅寸法B3を細幅部15より大きくする長方形状の広幅部16と、を備えて、平面視を凸字形状として、レジスト18から露出するように、配設されている。一対のパッド14L,14Rは、細幅部15の幅寸法B2をリード3の幅寸法B1より僅かに大きくし(0.1〜1.0mm程度大きく、望ましくは、0.1〜0.4mm程度大きくし)、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2をリード3の長さ寸法L1(図3,4参照)より小さくして、細幅部15,15側を相互に接近させるように配設されている。
【0030】
また、一対のパッド14L,14Rは、細幅部15,15相互の内縁15a間の離隔距離S2を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける内縁5間の離隔距離S1より、僅かに小さくし(0.1〜1.0mm程度小さく、望ましくは、0.1〜0.4mm程度小さくし)、かつ、広幅部16,16相互の外縁16a間の離隔距離S3を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける外縁4間の離隔距離S0より、大きくするように、構成されている。
【0031】
ちなみに、実施形態の場合、本体2の幅寸法B0は、約2.3mm、リード3の幅寸法B1は、約1.4mm、細幅部15の幅寸法B2は、約1.6mm、広幅部16の幅寸法B3は、約2.8mm、リード3,3の外縁4間の離隔距離S0は、約3.0mm、リード3,3の内縁5間の離隔距離S1は、約1.8mm、細幅部15,15の内縁15a間の離隔距離S2は、約1.6mm、広幅部16,16の外縁16a間の離隔距離S3は、約4.5mmとしている。また、リード3の長さ寸法L1は、約0.6mm、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2は、約0.3mmとし、さらに、レジスト18の銅箔12上に塗布される厚さ寸法t(図2参照)は、約0.15mmとしている。
【0032】
実施形態のプリント配線板10に実装部品1を実装したプリント回路板25は、図9,10に示すように、パチンコ遊技機31における遊技球の打ち込まれる遊技領域を前面に形成した遊技盤32の後面側に、取り付けられるものである。詳しくは、この遊技盤32は、透明なアクリル樹脂等の合成樹脂からなる盤本体33の後面側に、模様等を設けた加飾層が、配設されて構成されている。そして、その加飾層の模様を、後方からの光によって、浮び上がらせるように、プリント回路板25が、配設されている。すなわち、プリント回路板25の実装部品1が、そのLEDを発光させて、遊技盤32の装飾効果を高めるように、配設されている。
【0033】
つぎに、プリント配線板10への実装部品1の実装方法(実装工程)を説明すると、まず、図1,2の二点鎖線に示すように、プリント配線板10における一対のパッド14L,14Rの細幅部15からその近傍の広幅部16にかけて、はんだ(クリームはんだ)20を塗布する。この時、はんだ20は、少なくともはんだ20の溶融時、リード3(3L,3R)がレジスト18の上面18aより上方に位置するように、レジスト18の上面18aを越える厚さ寸法T分(実施形態では約0.2mm)、塗布する。また、はんだ20の塗布エリアは、図1の二点鎖線に示すように、上方から見て、パッド14L,14Rの細幅部15からリード3の外縁4付近まで、換言すれば、リード3の下面3aと略同等の長方形のエリア、としている。
【0034】
ついで、図5のA、図6のA、及び、図7のAに示すように、両端2a,2bのリード3L,3Rをパッド14L,14Rの細幅部15の上方に配置させて、リード3L,3Rの下面3aを、パッド14L,14Rに塗布したはんだ20の上面20a側に当てつつ、プリント配線板10上に実装部品1を載せる。その後、リフロー炉等に投入して加熱すれば、はんだ20が溶融する。
【0035】
この時、図5のBや図6のBに示すように、パッド14L,14Rの周囲のレジスト18は、不要な部位へのはんだ20の付着を防止するものであって、エポキシ樹脂等の合成樹脂から形成されて、はんだ20とのぬれ力(ぬれ性)が無く、はんだ20をはじき易い。一方、パッド14L,14Rは、リード3L,3Rとともに、導電性を有した銅箔等の金属からなって、はんだ20とのぬれ力が大きい。そのため、はんだ20が、レジスト18の上面18aを越える厚さ寸法Tとして、細幅部15からその近傍の広幅部16に塗布されていれば、加熱時、溶融したはんだ20が、レジスト18の上面18aに乗り上げようとしても、レジスト18上ではじかれ、パッド14L,14Rの細幅部15の幅方向BDの両縁15b,15cとその細幅部15の内縁(細幅部15,15相互の接近している側の縁)15aとのレジスト18の上縁18ae側において、表面張力を発揮して膨らむ形状となる。
【0036】
そして、細幅部15の幅方向BDでは、図6のBに示すように、その幅方向BDの中央15dに、リード3L,3Rの幅方向BDの中央3bを配置させるように、両縁15b,15c側のはんだ20の表面張力が作用する。また、広幅部16の幅方向BDでは、図7のBに示すように、その幅方向BDの中央16bに、リード3L,3Rの幅方向BDの中央3bを配置させるように、広幅部16上で溶融しているはんだ20のぬれ力が、作用する。
【0037】
さらに、細幅部15の長さ方向(一対のパッド14L,14Rの配設方向)LDでは、図5のBに示すように、一対のパッド14L,14Rの細幅部15の内縁15a側でのはんだ20の表面張力が、実装部品1の両端2a,2bのリード3相互を、細幅部15,15相互の中央位置CPを基準に、対称的(線対称的)な位置に配置させように、作用する。
【0038】
さらにまた、一対のパッド14の長さ方向LDにおいて、はんだ20は、細幅部15から細幅部15の近傍部位に塗布されるだけで、広幅部16の外縁16a側まで塗布されないことから、パッド14の細幅部15近傍の広幅部16上で溶融しているはんだ20のぬれ力が、実装部品1の両端のリード3を、それぞれ、両パッド14,14の広幅部16の外縁16a側に、引っ張る状態となり、一対のパッド14,14相互の中央位置CPを基準に、対称的(線対称的)な位置に配置させるように、作用する。
【0039】
さらに、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rは、相互に、中央線CLを基準とした線対称的な略同形状に形成されており、それらのリード3L,3Rに作用するはんだ20のぬれ力やはじき力も、パッド14の幅方向BDや長さ方向LDに沿って、対称的に均等に作用し易い。
【0040】
その結果、一対のパッド14,14の細幅部15とその近傍の広幅部16に塗布されたはんだ20が、溶融時、パッド14とのぬれ力とレジスト18とのはじき力とによって、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rを、細幅部15や広幅部16の幅方向BDの中央15d,16bで、かつ、一対のパッド14,14相互の中央位置CPを基準に、対称的な位置に配置させることとなる。
【0041】
そしてその後、溶融したはんだ20が固化(凝固)すれば、図5のC、図6のC、図7のC、及び、図8に示すように、パッド14L,14Rの幅方向BDと長さ方向LDとに沿って位置ずれなく、リード3L,3Rをパッド14L,14Rに対してはんだ付けでき、さらに、リード3L,3Rの広幅部16側での周囲に広い面積でフィレット21も形成できる。このフィレット21は、広幅部16上で、リード3の外縁4から広幅部16の外縁16a側の外側に延びる外縁部21aと、細幅部15より幅広となるようにリード3から幅方向に沿って延びる側縁部21b,21cと、から構成されて、広く形成されることとなる。そのため、実装部品1が、安定した溶接強度を確保して、位置ずれなく、プリント配線板10に実装されて、プリント回路板25が製造される。
【0042】
さらに、実施形態の実装方法では、実装部品1の両端のリード3L,3Rを、レジスト18における細幅部15の周囲の側壁18c,18d,18eに、積極的に当接させて位置規制させなくとも、はんだ20によるパッド14とのぬれ力とレジスト18とのはじき力とによって、リード3L,3Rの位置ずれを抑制できるものであり、リード3L,3Rの実装部品1からの側方や下方への突出量P1,P2が小さく、リード3におけるレジスト18の側壁18c,18d,18eとの当接代(係止代)が小さくとも、円滑に、リード3L,3Rの位置ずれを抑制して、リード3L,3Rをパッド14L,14Rに対し、はんだ付けすることができる。
【0043】
勿論、実施形態の実装方法では、はんだ20の固化時、はんだ20の熱収縮によって、リード3L,3Rの下面3aが、レジスト18の上面18aより下降しても、リード3L,3Rが、パッド14の外周縁のレジスト18の側壁18b,18c,18d,18eとの干渉が抑制されている。すなわち、パッド14が、細幅部15の幅寸法B2をリード3の幅寸法B1より僅かに大きくし、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2をリード3の長さ寸法L1より小さくして、さらに、細幅部15,15相互の離隔距離S2を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける内縁5間の離隔距離S1より、僅かに小さくし、かつ、広幅部16,16相互の外縁16a間の離隔距離S3を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rの外縁4間の離隔距離S0より、大きくしている(図1,3参照)。そのため、はんだ20の固化時、リード3の下面3aが、レジスト18の上面18aより下降しようとしても、パッド14周縁のレジスト18の上縁18aeと当たらず、パッド14に接近可能となって、パッド14の銅箔12に対し、傾斜すること無く接近して、電気的に接続可能となる。
【0044】
なお、実施形態では、はんだ20付け完了時、リード3の下面3aが、パッド14の周囲のレジスト18の上面18aと略一致する高さ寸法としたが、はんだ20付け完了後においても、リード3の下面3aが、レジスト18の上面18aより上方に位置するように、厚さ寸法Tを大きくして、はんだ20の塗布量を多くしても良い。
【0045】
また、実施形態の実装方法と相違して、はんだ20の塗布量を少なくし、はんだ20の溶融前に、リード3の下面3aが、パッド14の周囲のレジスト18の上面18aと略同等、若しくは、上面18aより若干下方、に位置するように、はんだ20を、パッド14の細幅部15とその近傍部位の広幅部16とに、換言すれば、リード3の下面3aと同等のエリアに、塗布してはんだ付けしても良い。
【0046】
すなわち、この場合、実施形態のプリント配線板10では、図12のA,Bや図13のA,Bに順に示すように、一対のパッド14にはんだ20を塗布して、実装部品1を載せ、リフロー炉等を利用して加熱すれば、はんだ20が溶融し、ついで、はんだが固化すれば、実装部品1をはんだ付けして実装できて、プリント回路板25Aを製造できる。
【0047】
その際、既述したように、パッド14が、細幅部15の幅寸法B2をリード3の幅寸法B1より僅かに大きくし、細幅部15における広幅部16から突出する長さ寸法L2をリード3の長さ寸法L1より小さくして、さらに、細幅部15,15相互の離隔距離S2を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rにおける内縁5間の離隔距離S1より、僅かに小さくし、かつ、広幅部16,16相互の外縁16a間の離隔距離S3を、実装部品1の両端2a,2bのリード3L,3Rの外縁4間の離隔距離S0より、大きくしている(図1,3,8参照)。
【0048】
そのため、実装部品1の両端のリード3L,3Rは、はんだ20上に載せられる際、相互の接近する内側部位3cを、細幅部15の外周縁のレジスト18の側壁18c,18dに規制されつつ、レジスト18に囲まれるパッド14L,14Rの細幅部15に、嵌る状態となって、一対のパッド14L,14Rの配列方向に沿う長さ方向LDと、その長さ方向LDと直交する幅方向BDと、における配置位置を、位置決めされる。この位置決めは、実装部品1の両端のリード3における相互の接近している内側部位3cのパッド14L,14Rの細幅部15への嵌合により、達成できることから、両端のリード3L,3Rが相互に対称的な略同形状に形成されていても、あるいは、非対称としていても、両端のリード3L,3Rの内側部位3cに対応するように、細幅部15が形成されていれば、円滑に、位置ずれなく、両端のリード3L,3Rが、パッド14上に配置される。
【0049】
そして、この位置決め時、パッド14の広幅部16側では、実装部品1の両端のリード3L,3Rが、それぞれ、相互に離れる外側部位3dを、細幅部15から飛び出させて、広幅部16上に配置させている。そのため、はんだ20が溶融すれば、実装部品1の両端のリード3L,3Rは、広幅部16上におけるリード3L,3Rの外側部位3dの周囲、詳しくは、細幅部15側を除いた三方に、フィレット21を広く配設させることとなる(図14参照)。すなわち、この場合でも、フィレット21は、広幅部16上で、リード3の外縁4から広幅部16の外縁16a側の外側に延びる外縁部21aと、細幅部15より幅広となるようにリード3から幅方向に沿って延びる側縁部21b,21cと、から構成されて、広く形成されることとなる。そして、その状態で、はんだ20が固化すれば、広い面積のフィレット21を形成した状態で、リード3L,3Rが、パッド14L,14Rに溶接されることとなって、安定した溶接強度が確保される。
【0050】
したがって、実施形態のプリント配線板10では、実装部品1の両端の下面2c側のリード3L,3Rが、対称的な略同形状としていても、リード3L.3Rの下面3aと同等に、パッド14L,14Rの細幅部15とその近傍部位の広幅部16上に、はんだ20を塗布し、レジスト18の上面18aより高くなるように、塗布量を多くしても(図5〜8参照)、あるいは、レジスト18の上面18aと同等若しくは上面18aより低くなるように、塗布量を少なくしても(図12〜14参照)、共に、位置ずれなく、かつ、溶接強度を確保して、円滑に、実装部品1を実装することができる。
【0051】
そして、プリント配線板10が、実装部品1の実装後に、パチンコ遊技機31、詳しくは、パチンコ遊技機31における遊技球の打ち込まれる遊技領域が前面に形成される遊技盤32、に取り付けられる構成であれば、断線を抑えて、歩留まりを向上させたプリント回路板25,25Aを、パチンコ遊技機31に取り付けることができ、パチンコ遊技機31の製造コスト・工数を低減することに寄与できる。
【0052】
なお、実施形態では、リード3を本体2の側方と下方とから僅かに突出させた構成の実装部品1を使用したが、プリント配線板へ実装する実装部品としては、はんだ20の塗布量の調整と併せて、リードを本体の側方若しくは下方の一方側だけから僅かに突出させたり、あるいは、リードを、本体の下面側で、単に露出させるように、本体から突出させないように、配設させているもの、を使用することができる。
【0053】
また、プリント回路板25,25Aを取り付ける遊技機は、パチンコ遊技機31に限らず、パチスロ機であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…実装部品、
3,3L,3R…リード、
4…(リードの)外縁、
5…(リードの)内縁、
10…プリント配線板、
14,14L,14R…パッド、
15…細幅部、
16…広幅部、
18…レジスト、
20…はんだ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードが、リフロー方式により、はんだ付けされて、前記実装部品が実装されるプリント配線板であって、
一対の前記パッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、前記細幅部の幅寸法を前記リードの幅寸法より僅かに大きくし、前記細幅部における前記広幅部から突出する長さ寸法を前記リードの長さ寸法より小さくして、前記細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
前記細幅部相互の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、前記広幅部相互の外縁間の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
遊技球が打ち込まれる遊技領域が前面に形成される遊技盤に、前記請求項1に記載のプリント配線板を取り付けたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項3】
所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードを、リフロー方式により、はんだ付けするプリント配線板への実装部品の実装方法であって、
前記プリント配線板の一対の前記パッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、前記細幅部の幅寸法を前記リードの幅寸法より僅かに大きくし、前記細幅部における前記広幅部から突出する長さ寸法を前記リードの長さ寸法より小さくして、前記細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
前記細幅部相互の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、前記広幅部相互の外縁間の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されて、
前記はんだの少なくとも溶融時、前記リードが前記レジストの上面より上方に位置するように、前記はんだを、前記レジストの上面を越える厚さ寸法として、前記パッドの前記細幅部とその近傍部位だけに塗布し、前記リードを、前記パッドに対して、はんだ付けすることを特徴とするプリント配線板への実装部品の実装方法。
【請求項1】
所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードが、リフロー方式により、はんだ付けされて、前記実装部品が実装されるプリント配線板であって、
一対の前記パッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、前記細幅部の幅寸法を前記リードの幅寸法より僅かに大きくし、前記細幅部における前記広幅部から突出する長さ寸法を前記リードの長さ寸法より小さくして、前記細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
前記細幅部相互の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、前記広幅部相互の外縁間の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
遊技球が打ち込まれる遊技領域が前面に形成される遊技盤に、前記請求項1に記載のプリント配線板を取り付けたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項3】
所定位置に配設された一対のパッドに対し、実装部品の両端の下面側に設けられたリードを、リフロー方式により、はんだ付けするプリント配線板への実装部品の実装方法であって、
前記プリント配線板の一対の前記パッドが、
外周縁をレジストに囲まれるとともに、
平面視として、細幅部と広幅部とを備える凸字形状とし、かつ、前記細幅部の幅寸法を前記リードの幅寸法より僅かに大きくし、前記細幅部における前記広幅部から突出する長さ寸法を前記リードの長さ寸法より小さくして、前記細幅部側を相互に接近させるように配設され、さらに、
前記細幅部相互の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リード間の離隔距離より、僅かに小さくし、かつ、前記広幅部相互の外縁間の離隔距離を、前記実装部品の両端の前記リードの外縁間の離隔距離より、大きくするように、構成されて、
前記はんだの少なくとも溶融時、前記リードが前記レジストの上面より上方に位置するように、前記はんだを、前記レジストの上面を越える厚さ寸法として、前記パッドの前記細幅部とその近傍部位だけに塗布し、前記リードを、前記パッドに対して、はんだ付けすることを特徴とするプリント配線板への実装部品の実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−79974(P2012−79974A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224981(P2010−224981)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]