説明

プリント配線板の設計支援システム、プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法およびプログラム

【課題】プリント配線板の未実装部品の接続箇所としての端子の中から、ノイズの対策部品の取り付けが必要とされる端子を人手を介さずに判別したり表示できるプリント配線板の設計支援システム、プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法およびプログラムを得ること。
【解決手段】未実装部品用端子特定手段13は、互いに関連する製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンにそのうちの1つの製品の部品を配置したときの未実装部品の端子を特定する。対策部品要否判別手段14はこれらの端子がノイズ対策が必要かを判別して対策必要端子記憶手段15がその結果を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の設計支援システム、プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法およびプログラムに係わり、特にノイズの影響を抑制する部品をプリント配線板の一部に接続する際に好適なプリント配線板の設計支援システム、プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに関連する複数種類の電気製品を製造する際には、標準化を図るためや原価を低減するために1つの共通となるプリント配線板を設計しておき、このプリント配線板に搭載する部品の一部を幾通りか異ならせることで、機能や製品価格が異なる複数の製品とする場合がある。また、電気製品を新たに開発する際には、予備の部品を取り付けるための端子をプリント配線板に予め実装することも行われている。
【0003】
このような設計思想で製造される電気製品では、幾つかの互いに関連する製品に備わる機能のすべてに対応した部品群を搭載できる共通となるプリント配線板を設計する。この共通となるプリント配線板を用いて、個々の製品ごとに部品を一部異ならせながら実装を行う。したがって、部品を実装した後のそれぞれの製品のプリント配線板は、その製品に必要としない機能に関する部品が搭載されず、未実装の状態となる。また、未実装の状態の存在する場所では、これらの部品の実装用の端子に部品が接続されない状態が生じて空の端子が出現するのが通常である。部品が搭載されない空の端子は、ノイズを拾って電気製品自体に誤動作を生じさせたり、反対にノイズの発信源としてのアンテナになって他の機器に悪影響を与える場合がある。
【0004】
特に部品を取り付けるための端子が剥き出しになっていたり、未実装の状態の存在によって面積が広いパッドが露出したり、余剰の配線長がプリント配線板上に存在することになると、ノイズに関しての不具合が発生する確率が高くなる。本明細書では、部品が実装されない状態の端子、パッドあるいは余剰の配線長の箇所を、「未実装部品の端子」と総称することにする。
【0005】
未実装部品の端子に関しては、本発明の関連技術として、抵抗やコンデンサを用いて終端処理を行うことでノイズの発生を抑えたり、ノイズによる誤動作を防止することが提案されている(たとえば特許文献1参照)。そこで、従来では前記した各製品に共通となるプリント配線板を設計した後、それぞれの製品用にプリント配線板を変更する際に、終端処理のためのコンデンサや抵抗を接続する箇所を設計者が目視でチェックするようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−161903号公報(第0022段落、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように本発明の関連技術を使用すると、設計者はプリント配線板のパターンを目視して、未実装部品の端子に関して終端処理が行われているかをそれぞれについてチェックする必要があった。このためチェックのための時間がかなり掛かるだけでなく、人手による作業なのでチェック漏れが発生する可能性があった。また、未実装部品の端子を見つけた場合でも、それらの端子がノイズを発生させる程度やノイズを受信して誤動作を発生させる程度は場合により大きく異なる。したがって、未実装部品の端子のすべてに終端処理を行うことは効率的でない。
【0008】
そこで本発明の目的は、プリント配線板の未実装部品の接続箇所としての端子の中から、ノイズの対策部品の取り付けが必要とされる端子を人手を介さずに判別することのできるプリント配線板の設計支援システム、プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法およびプログラムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、プリント配線板の未実装部品の接続箇所としての端子の中から、ノイズの対策部品の取り付けが必要とされる端子が存在したときこれらの端子の存在を効果的に認知できるプリント配線板の設計支援システム、プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、(イ)互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを格納する共通化配線パターンデータ格納手段と、(ロ)前記した実装部品のすべてから前記した特定の複数の製品の中の選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品として前記した選択された1つの製品では前記したプリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを記憶した未実装部品データ格納手段と、(ハ)前記したプリント配線板に前記した選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記した未実装部品のそれぞれについての前記した共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定手段と、(ニ)この未実装部品用端子特定手段によって特定された前記した未実装部品用端子のそれぞれについて前記したプリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別手段と、(ホ)前記した未実装部品用端子のうち対策部品要否判別手段が対策部品の接続を必要と判別したものを前記した選択された1つの製品ごとに記憶する対策必要端子記憶手段とをプリント配線板の設計支援システムが具備する。
【0011】
また、本発明では(イ)互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む共通化配線パターンデータ読込ステップと、(ロ)前記した特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する製品選択ステップと、(ハ)前記した実装部品のすべてから前記した製品選択ステップで選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記したプリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む未実装部品データ読込ステップと、(ニ)前記したプリント配線板に前記した製品選択ステップで選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記した未実装部品のそれぞれについての前記した共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定ステップと、(ホ)この未実装部品用端子特定ステップによって特定された前記した未実装部品用端子のそれぞれについて前記したプリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別ステップと、(へ)前記した未実装部品用端子のうち対策部品要否判別ステップで対策部品の接続を必要と判別したものを前記した選択された1つの製品について表示する対策必要端子表示ステップとをプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法が具備する。
【0012】
更に本発明では、コンピュータに、プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラムとして、(イ)互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む共通化配線パターンデータ読込処理と、(ロ)前記した特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する製品選択処理と、(ハ)前記した実装部品のすべてから前記した製品選択処理で選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記したプリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む未実装部品データ読込処理と、(ニ)前記したプリント配線板に前記した製品選択処理で選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記した未実装部品のそれぞれについての前記した共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定処理と、(ホ)この未実装部品用端子特定処理によって特定された前記した未実装部品用端子のそれぞれについて前記したプリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別処理と、(へ)前記した未実装部品用端子のうち対策部品要否判別処理で対策部品の接続を必要と判別したものを前記した選択された1つの製品について表示する対策必要端子表示処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装する設計が行われているときで、この特定の複数の製品のうちの1つの製品用に部品を実装するとき、未実装部品に対応する未実装部品用端子をデータ処理によって特定することにした。そして、この特定された未実装部品用端子のそれぞれが、プリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別することにした。これにより、システムの操作者の経験や熟達度に依存することなく、ノイズ対策を確実に行うことができる。
【0014】
また、本発明のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法およびノイズ対策プログラムによれば、未実装部品用端子のうちのプリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があると判別したものを表示するようにした。したがって、システムの操作者は特別の注意力を発揮しなくても、この表示を知覚することで、ノイズ対策を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のプリント配線板の設計支援システムのクレーム対応図である。
【図2】本発明のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラムのクレーム対応図である。
【図4】本発明の実施の形態によるプリント配線板の設計支援システムの構成の概要を表わしたシステム構成図である。
【図5】本実施の形態のプリント配線板パターン設計部の処理の概要を表わした流れ図である。
【図6】本実施の形態のプリント配線板データ格納部により設計されるプリント配線板の一例を示した説明図である。
【図7】3つの端子以上の端子を接続する配線が行われた場合における余剰配線長の定義を示した説明図である。
【図8】本実施の形態のプリント配線板の設計支援システムで対策部品のチェックを行う際の第1段階の処理の様子を表わした流れ図である。
【図9】本実施の形態の表示部の設定内容に関する表示内容の一例を表わした平面図である。
【図10】本実施の形態のプリント配線板の設計支援システムで対策部品のチェックを行う際の第2段階の処理の様子を表わした流れ図である。
【図11】本実施の形態のプリント配線板の設計支援システムで対策部品のチェックを行う際の第3段階の処理の様子を表わした流れ図である。
【図12】本発明の変形例としての未実装部品に関する表示処理の概要を示した流れ図である。
【図13】この変形例で表示部に未実装部品と前記したマークが表示される様子の一例を表わした平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明のプリント配線板の設計支援システムのクレーム対応図を示したものである。本発明のプリント配線板の設計支援システム10は、共通化配線パターンデータ格納手段11と、未実装部品データ格納手段12と、未実装部品用端子特定手段13と、対策部品要否判別手段14と、対策必要端子記憶手段15を備えている。ここで、共通化配線パターンデータ格納手段11は、互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを格納する。未実装部品データ格納手段12は、前記した実装部品のすべてから前記した特定の複数の製品の中の選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品として前記した選択された1つの製品では前記したプリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを記憶する。未実装部品用端子特定手段13は、前記したプリント配線板に前記した選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記した未実装部品のそれぞれについての前記した共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する。対策部品要否判別手段14は、未実装部品用端子特定手段13によって特定された前記した未実装部品用端子のそれぞれについて前記したプリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを判別する。対策必要端子記憶手段15は、前記した未実装部品用端子のうち対策部品要否判別手段14が対策部品の接続を必要と判別したものを前記した選択された1つの製品ごとに記憶する。
【0017】
図2は、本発明のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法のクレーム対応図を示したものである。本発明のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法20は、共通化配線パターンデータ読込ステップ21と、製品選択ステップ22と、未実装部品データ読込ステップ23と、未実装部品用端子特定ステップ24と、対策部品要否判別ステップ25と、対策必要端子表示ステップ26を備えている。ここで、共通化配線パターンデータ読込ステップ21では、互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む。製品選択ステップ22では、前記した特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する。未実装部品データ読込ステップ23では、前記した実装部品のすべてから前記した製品選択ステップ22で選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記したプリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む。未実装部品用端子特定ステップ24では、前記したプリント配線板に前記した製品選択ステップ22で選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記した未実装部品のそれぞれについての前記した共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する。対策部品要否判別ステップ25では、未実装部品用端子特定ステップ24によって特定された前記した未実装部品用端子のそれぞれについて前記したプリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを判別する。対策必要端子表示ステップ26では、前記した未実装部品用端子のうち対策部品要否判別ステップ25で対策部品の接続を必要と判別したものを前記した選択された1つの製品について表示する。
【0018】
図3は、本発明のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラム30は、コンピュータに共通化配線パターンデータ読込処理31と、製品選択処理32と、未実装部品データ読込処理33と、未実装部品用端子特定処理34と、対策部品要否判別処理35と、対策必要端子表示処理36を実行させるようにしている。ここで、共通化配線パターンデータ読込処理31では、互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む。製品選択処理32では、前記した特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する。未実装部品データ読込処理33では、前記した実装部品のすべてから前記した製品選択処理32で選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記したプリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む。未実装部品用端子特定処理34では、前記したプリント配線板に製品選択処理32で選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記した未実装部品のそれぞれについての前記した共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する。対策部品要否判別処理35では、未実装部品用端子特定処理34によって特定された前記した未実装部品用端子のそれぞれについて前記したプリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを判別する。対策必要端子表示処理36では、前記した未実装部品用端子のうち対策部品要否判別処理35で対策部品の接続を必要と判別したものを前記した選択された1つの製品について表示する。
【0019】
<発明の実施の形態>
【0020】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態によるプリント配線板の設計支援システムの構成の概要を表わしたものである。本実施の形態のプリント配線板の設計支援システム100は、CPU(Central Processing Unit)101とメモリ102を備えた制御部103を有している。制御部103は、データバス等のバス104を通じて次の各部と接続されており、CPU101がメモリ102に格納された制御プログラムを実行することでプリント配線板の設計支援システム100としての全体的な制御を行うようになっている。
【0022】
プリント配線板パターン設計部105は、プリント配線板の実装設計CAD(Computer Aided Design)としての機能を持った回路部分であり、互いに関連する複数種類の電気製品を製造する際の標準化を図るための1つのプリント配線板のパターンを設計する。また、プリント配線板パターン設計部105は、設計した共通のプリント配線板パターンを用いて前記した複数種類の電気製品を製造する際における機種別の必要部品の配置に関するデータも作成する。これらプリント配線板パターン設計部105の作成したデータを本実施の形態ではプリント配線板データと総称することにする。
【0023】
プリント配線板データ格納部106は、プリント配線板データを格納する。未実装部品データ格納部107は、該当する機種ごとに、プリント配線板に未実装の部品であり、終端処理のために実装する可能性のある部品としての未実装部品についてのデータを格納する。フラグ格納部108は、後に説明する各種のフラグのオン・オフ状態を記憶する。設定内容格納部109は、各種の設定内容を格納するメモリ領域である。端子接続状況演算部111は、パッド等の部品の接続箇所(広義の「端子」)における部品の接続の有無や接続の状況を演算する。入力部112は、システムの操作者が各種のデータを入力するためのデバイスである。表示部113は、プリント配線板の処理結果を表示するデバイスである。表示部113の表示はディスプレイを用いた視覚的なものであってもよいし、警告音や音声メッセージを用いた聴覚的なものであってもよい。
【0024】
なお、本実施の形態のプリント配線板の設計支援システム100ではプリント配線板パターン設計部105がその他の回路部分と同一の装置内に配置された構成となっているが、これに限るものではない。たとえばプリント配線板パターン設計部105が独立したCAD装置として外部に存在し、これと有線あるいは無線によるネットワークを介してプリント配線板の設計支援システム100が接続される構成となっていてもよい。
【0025】
図5は、プリント配線板パターン設計部の処理の概要を表わしたものである。図4と共に説明する。
【0026】
プリント配線板パターン設計部105は、予め定めた複数の機種に対応する共通した1つのプリント配線板パターンを実装設計CADとして設計する(ステップS201)。たとえば携帯電話機について、カメラ付きの基本タイプの機種と、これにテレビジョンの視聴機能が付いた上位タイプの2種類の機種を同時に製品化するものとする。この場合、上位タイプは基本タイプと比べてテレビジョンの視聴機能に関するチューナ等の回路部分が追加される。また、映像処理回路等の所定の部品が必要に応じて基本タイプの部品よりも高機能の部品に置き換えられる。共通したプリント配線板パターンは、共通した回路の部品を接続するパターンに、基本タイプと上位タイプの双方の部品が取捨選択されるパターンが組み合わされた構成となる。
【0027】
共通したプリント配線板パターンが設計されたら、それぞれの機種別に実装する部品としての実装部品を、それらの配置されるパターン上の位置と組み合わせたプリント配線板データを生成する(ステップS202)。たとえばカメラ付きの基本タイプの機種の場合には、テレビジョンの視聴機能に関するチューナ等の回路部分以外の実装部品がプリント配線板パターンのそれぞれ対応する位置に配置されたプリント配線板データが生成される。
【0028】
実装部品は、この例の場合に基本タイプの機種と上位タイプの機種で部分的に異なる。このため共通した1つのプリント配線板パターンに対して基本タイプの機種の実装部品を実装した場合には、「未実装部品の端子」が幾箇所か発生することになる。上位タイプの機種の場合には、このような「未実装部品の端子」が発生しない場合もあるが、同一機能の実装部品でもサイズや接続端子の位置が異なると、同様に「未実装部品の端子」が発生する。
【0029】
以上のようにしてプリント配線板パターン設計部105はステップS202で機種別にプリント配線板データを生成したら、これをプリント配線板データ格納部106に格納して(ステップS203)、プリント配線板パターン設計部105の処理を終了する(エンド)。
【0030】
以上、図5を用いて説明した設計処理が終了した段階では、基本タイプの機種および上位タイプの機種の双方で「未実装部品の端子」の存在する場所のいずれにノイズ抑制のための部品を配置するかの処理はまだ行っていない。本明細書では、ノイズ抑制のための部品を「対策部品」と呼ぶことにする。次に「対策部品」の配置の対象となる「未実装部品の端子」の判別と、判別された「未実装部品の端子」のいずれに終端処理のための「対策部品」が接続されるかの説明を行う。
【0031】
図6は、プリント配線板データ格納部により設計されるプリント配線板の一例を示したものである。この例では説明の便宜ために簡略化した回路構成のプリント配線板を表わしている。また、この例では前記した例における基本タイプの機種を前提として説明するが、上位タイプの機種との対比は特に行わない。
【0032】
プリント配線板131は、一例として3層の基板構成となっている。プリント配線板131は長方形の基板外形データ132を有しており、この形状よりも一回り小さなサイズの内層多角形パターン133が上から2番目の層からなる導体パターンとして配置されるデータ構成となっている。内層多角形パターン133はこの例で長方形であるが、他の多角形形状であってもよい。
【0033】
プリント配線板131の一番上の層には、銅箔が貼られており、図で破線で示す3箇所の中抜き135〜137では、窓状にこの一番上の層が抜き取られており、内層多角形パターン133が露出している。プリント配線板131には、表面実装部品(SMD;surface mount device)のIC(integrated circuit)141と、同じく表面実装部品のコンデンサ142と、挿入タイプの部品(DIP;Dual Inline Package)としてのコネクタ143が実装される。IC141は、8つの端子P1〜P8を備えている。コンデンサ142は2つの端子P11、P12を備えている。コネクタ143も2つの端子P21、P22を備えている。
【0034】
IC141の端子P2に一端を接続する配線長L1の配線151は、その他端がコネクタ143の端子P21と接続している。また、コネクタ143の端子P21と一端を接続した配線長L2の配線152は、その他端がコンデンサ142の一方の端子P11と接続している。コンデンサ142の他方の端子P12と一端を接続した配線153の他端は、ビア(VIA)161を通って内層多角形パターン133と接続している。これにより、内層多角形パターン133が接地されている状態でコンデンサ142の他方の端子P12は接地される。
【0035】
更にIC141の端子P3に一端を接続する配線長L1の配線154は、その他端がコネクタ143の端子P22と接続している。IC141の端子P1に一端を接続する配線156は、その他端がビア(VIA)162と接続している。また、IC141の端子P8に一端を接続する配線157は、その他端がビア163を通って内層多角形パターン133と接続している。
【0036】
この図6に示したプリント配線板131では、コネクタ143が未実装部品であるものとする。コネクタ143は、プリント配線板131に挿入(DIP)することで実装されることになる。プリント配線板131における「未実装部品の端子」が存在する箇所が所定の基準を満たす場合には、図示しないコンデンサあるいは抵抗を用いてプルアップあるいはプルダウンによる終端処理が行われる。
【0037】
終端処理を行う基準となる値として、本実施の形態では「余剰配線長値」、「パッドの面積値」および「対策部品の線長値」の各値をシステムの操作者が予め設定するようにしている。ここで余剰配線長値とは、他の機種で配線に接続する必要部品が自機種で未実装部品となるために生じる余剰の配線長が、ノイズとの関係で終端処理を行う必要があるかを判別する際の基準となる値である。また、パッドの面積値とは、他の機種でパッドに接続する必要部品が自機種で未実装部品となるために生じる未接続状態のパッドの面積が、ノイズとの関係で終端処理を行う必要があるかを判別する際の基準となる値である。対策部品の線長値とは、コンデンサあるいは抵抗で端子の一部をプルアップあるいはプルダウン処理を行う対策部品までの長さを示す値である。
【0038】
余剰配線長値について更に説明する。本実施の形態では、2つの端子の間で配線が行われる場合、その全配線長を用いて余剰配線長であるかを判別する。これに対して3つの端子以上の端子を接続する配線(パターン)となっている場合には、実装部品の間を接続している配線部分を除いて未実装部品に対応する端子の接続のみに必要な配線部分を余剰配線長とする。
【0039】
図7は、3つの端子以上の端子を接続する配線が行われた場合における余剰配線長の定義を説明するためのものである。ここでは、図6に示した回路とは無関係な回路を用いて説明を行う。図7に示す例では第1のIC171の端子P1と第2のIC172の端子P1およびコンデンサ173の端子P11の3つを接続する配線(パターン)174が存在するものとする。
【0040】
ここで、コンデンサ173は、今回説明しようとする製品(機種)で未実装部品であるとする。この場合、図でハッチングを付した配線部分174Aが実装部品としての第1のIC171の端子P1と第2のIC172の端子P1を結ぶ必要な配線箇所となる。したがって、残りの白抜きにした配線部分174Bが未実装部品に係わる余剰の配線箇所となる。そこで、配線部分174Bの長さが余剰配線長となる。すなわち、配線部分174Bの長さが設定した基準値以上の長さである場合には、これに対して対策部品の接続が必要とされる。
【0041】
図8は、本実施の形態のプリント配線板の設計支援システムで対策部品のチェックを行う際の第1段階の処理の様子を表わしたものである。図4と共に説明する。
【0042】
システムの操作者が図示しない電源を投入してプリント配線板の設計支援システム100の運用を開始させると、制御部103は設定内容格納部109から設定内容を読み出して(ステップS221)、その内容を表示部113に表示する(ステップS222)。
【0043】
図9は、表示部の設定内容に関する表示内容の一例を表わしたものである。図4と共に説明する。
【0044】
対策部品の取り付けの要否を定める際の3つの基準となる余剰配線長値、パッドの面積値および対策部品の線長値を過去に設定していれば、プリント配線板の設計支援システム100の運用を開始した時点でそれらの内容が設定内容格納部109から読み出され、表示部113のそれぞれの表示枠181〜183内に表示されている。したがって、システムの操作者は、これら表示枠181〜183に表示した値を参考にして、入力部112から今回の設定内容を表示枠181〜183に入力することができる。
【0045】
余剰配線長値、パッドの面積値および対策部品の線長値を過去に一度も設定していない場合には、設定内容格納部109に設定内容が格納されておらず、表示枠181〜183内が空欄となっている。そこで、システムの操作者は表示枠181〜183に基準となる設定内容を入力することになる。ただし、パッドの面積値の表示枠182については、表面実装部品のみを入力対象とする。表示枠181〜183の下側には設定OKボタン184が配置されている。
【0046】
図8に戻って説明を続ける。システムの操作者は、今回処理の対象となる基本タイプの機種でのノイズ除去の目的や装置で使用される信号の波形あるいは周波数といった各種状況を考慮して設定内容を入力したら、図9に示した設定OKボタン184を押下する(ステップS223:Y)。これにより、制御部103は表示部113に表示された各設定内容を設定内容格納部109に上書き保存することになる(ステップS224)。
【0047】
制御部103は、次にプリント配線板データ格納部106から共通のプリント配線板パターンと、今回処理の対象となる基本タイプの機種についての必要部品の配置に関するデータからなるプリント配線板データを読み出してメモリ102内の図示しない作業領域に格納する(ステップS225)。
【0048】
制御部103は次に未実装部品データ格納部107に格納されている未実装部品データの中から今回処理の対象となる基本タイプの機種を選択して、これについての未実装部品データを読み出して、これらの一覧リストの情報をメモリ102内の前記した作業領域に格納する(ステップS226)。図6に示した例の場合、前記したようにコネクタ143のみが未実装部品であるので、このデータがメモリ102内の作業領域に格納されることになる。
【0049】
制御部103は次にステップS225で読み込んだプリント配線板データを用いて未実装部品の端子を検索する(ステップS227)。図6に示した例では未実装部品がコネクタ143なので、このコネクタ143についての2つの端子P21、P22が検索対象となる。
【0050】
第1段階における処理の最後に、制御部103は未実装部品の端子の情報の検索結果を、メモリ102内の所定の領域に記憶して(ステップS228)、処理を終了する(エンド)。図6に示した例では未実装部品としてのコネクタ143の2つの端子P21、P22についての情報がメモリ102の所定の領域に格納されることになる。
【0051】
図10は、プリント配線板の設計支援システムで対策部品のチェックを行う際の第2段階の処理の様子を表わしたものである。図4および図6と共に説明する。
【0052】
制御部103は、まず未実装部品の端子について逐次処理を行うためのパラメータTを初期値である値「1」に設定する(ステップS241)。そして、図8のステップS228でメモリ102に格納した部品の端子の情報の検索結果からT番目(この場合には1番目。)の端子の情報の読み出しを行う(ステップS242)。
【0053】
なお、この例ではコネクタ143の2つの端子P21、P22についての情報がメモリ102に格納されているので、第2段階の処理の対象となる端子(「未実装部品の端子」)の数は「2」であり、後に説明する端子の最大値TMAXは「2」となる。また、1番目の端子は端子P21となり、2番目の端子はP22となる。
【0054】
制御部103は、1番目の端子の情報から、その端子P21にパターンが存在していないかをチェックする(ステップS243)。端子P21には、配線151と配線152の2つの配線のパターンが存在している。したがって、この場合には(N)、フラグ格納部108に格納されている1番目の端子に関する各フラグを「オフ」に初期化する(ステップS244)。具体的には、NG(no good)フラグ、配線長フラグ、パッドフラグおよびDIPフラグをそれぞれオフに設定する。そして、これらのフラグがそれぞれオンであるかオフであるかを個別にチェックすることになる。
【0055】
まず最初に、余剰配線がすべて設定値以内であるかを判別する(ステップS245)。具体的には端子P21に関する余剰配線の長さが、すべて設定内容格納部109に格納した余剰配線長値以内であるかを判別することになる。
【0056】
図9に示した余剰配線長値L3が図6に示す配線長L1よりも短く、配線長L2よりも長い所定の値に設定されていたとする。この場合、端子P21に接続する配線151の配線長L1は余剰配線長値L3よりも長いので余剰配線長値以内ではないと判別されることになる。また、同じく端子P21に接続する配線152の配線長L2は余剰配線長値L3よりも短いので、余剰配線長値L3以内であると判別されることになる。このように1番目の端子としての端子P21に関して余剰配線のすべてが余剰配線長値L3以内であるとは言えない(ステップS245:N)。そこで、この場合には配線長フラグをオンにする(ステップS246)。この例の場合には対策部品の配置の必要性があることになる。
【0057】
一方、端子P21に接続する配線のすべてが余剰配線長値L3以内であった場合には、この余剰配線長に関しては対策部品を配置する必要がない。そこで、この場合には(ステップS245:Y)、配線長フラグをオフにしたままでステップS247の処理に進むことになる。
【0058】
ステップS247では、1番目の端子としての端子P21が「パッド」である場合にその端子の形状に関するデータから、その端子に接続されるコネクタ143が挿入タイプの部品であるかを判別することをいう。コネクタ143は挿入タイプの部品であるので(ステップS247:Y)、対策部品を配置する必要がない。そこで、ステップS247の処理で対象とされる端子としてのパッドと接続する部品が挿入タイプの部品ではない場合、次のパッドの面積の大小から対策部品の配置の要否を考察するステップS248の処理に進むことになる。
【0059】
一方、1番目の端子としての端子P21の場合とは異なるが、ステップS247でパッドがDIPであると判別された場合には(N)、DIPフラグをオンに設定することになる(ステップS249)。ここでステップS247で表面実装タイプの部品(SMD)と挿入タイプの部品(DIP)を区別することにしたのは、ノイズの影響に違いがあるからである。挿入タイプの部品(DIP)は、端子をプリント配線板に貫通させる穴を設ける必要がある。このためプリント配線板の両面にノイズの影響を受けやすいが、表面実装タイプの部品(SMD)ではプリント配線板の片面のみパッドを設けるため、ノイズの影響が少ない。
【0060】
ステップS248の処理ではパッドの面積をプリント配線板データ中のパッドの座標データから求めて、これが図9で示すパッドの面積値S1以内であるかを判別する。そして、1番目の端子がパッドであり、これがパッドの面積値S1以内でなければ(N)、パッドフラグをオンにする(ステップS250)。この場合には対策部品の配置の必要性があることになる。
【0061】
一方、ステップS248でパッドの面積値S1以内であるとされた場合には(Y)、配線長フラグ、パッドフラグおよびDIPフラグのそれぞれがオフのままとなっている。また、対策部品の配置を必要とする状態を表わすNGフラグもオフの状態となっている。この状態で処理は、次のステップS251に進むことになる。ステップS246、ステップS249、ステップS250に処理が進んだ場合にも、同様にステップS251に進むことになる。
【0062】
一方、ステップS243に配線のパターンが存在していないような場合には(Y)、ステップS251に処理が進み、現在の端子の番号を示すパラメータTが最大値TMAX以上であるかの判別が行われる。現時点で1番目の端子(T=1)の処理が行われており、図6に示した例では最大値TMAXは「2」である。そこでこの場合には(N)、パラメータTを「1」だけ加算する(ステップS252)。そして、ステップS242に処理を進める。これにより、2番目の端子P22についてのステップS242以降の処理が開始されることになる。
【0063】
2番目の端子P22については、ステップS244でこの端子P22用の各フラグがオフに初期化された後、ステップS245では余剰配線がすべて設定値以内であるかの判別が行われる。余剰配線長値L3が前記した値に設定されている場合、端子P22に接続する配線154の配線長L1は余剰配線長値L3よりも長いので余剰配線長値以内ではないと判別されることになる(ステップS245:N)。そこで配線長フラグをオフからオンに変更して(ステップS246)、ステップS251の処理に進む。
【0064】
ステップS251では、現在の端子の番号を示すパラメータTが最大値TMAX以上であるかの判別が行われる。この時点で2番目の端子(T=2)の処理が行われており、図6に示した例では最大値TMAXは「2」である。そこで最大値TMAXに到達していることになり(Y)、以上説明した第2段階の処理が終了することになる(エンド)。
【0065】
以上説明した第2段階の処理におけるステップS247の処理では、該当する端子の形状から表面実装部品(SMD)がこれに接続されると判別された場合に(Y)、DIPフラグがオフの状態のままでステップS248の処理に進むことになる。
【0066】
また、ステップS247およびステップS248の処理では、処理の対象となる端子としての「未実装部品の端子」が「パッド」である場合を判別の対象としている。したがって、ここで説明している1番目の端子としての端子P21および2番目の端子としての端子P22は、元々、ステップS247およびステップS248で判別の対象にならない。
【0067】
以上のようにして、すべての未実装部品の端子についてステップS242〜ステップS250の処理が行われることになる。これらの処理が終了すると、第2段階の処理に進むことになる。
【0068】
図11は、プリント配線板の設計支援システムで対策部品のチェックを行う際の第3段階の処理の様子を表わしたものである。図4および図6と共に説明する。
【0069】
制御部103は、まず未実装部品の端子について逐次処理を行うためのパラメータTを初期値である値「1」に設定する(ステップS271)。そして、図10のステップS242で説明したと同様にT番目(この場合には1番目。)の端子の情報の読み出しを行う(ステップS272)。
【0070】
次に制御部103は、フラグ格納部108に格納されているT番目(この場合には1番目。)に関する各フラグのうちの配線長フラグ、パッドフラグおよびDIPフラグのすべてがオフとなっているかを判別する(ステップS273)。これらのフラグがすべてオフとは、終端処理を行うコンデンサあるいは抵抗からなる対策部品を接続する必要がない場合である。
【0071】
この場合には(ステップS273:Y)、現在の端子の番号を示すパラメータTが最大値TMAX以上であるかの判別が行われる(ステップS274)。現在1番目の端子(T=1)の処理が行われており、今回説明している例では最大値TMAXは「2」である。そこでこの場合には(N)、パラメータTを「1」だけ加算する(ステップS275)。そして、ステップS272に処理を進める。これにより、2番目の端子P22についてのステップS272以降の処理が開始されることになる。
【0072】
一方、ステップS273で配線長フラグ、パッドフラグおよびDIPフラグのうちの最低1つでもフラグがオンになっていた場合には(N)、処理が行われているT番目(この場合には1番目。)の端子P21の現在の接続状況によっては対策部品を接続する必要が生じる。そこでこれを個別に判別することになる。
【0073】
まず、この判別のための最初のステップとしてのステップS276では、抵抗あるいはコンデンサが図9で示した線長値L4以内に接続されているかを判別する。この判別は、端子接続状況演算部111がプリント配線板データに含まれる座標データから最寄りの対策部品までの配線(パターン)における線長値を求め、これを設定した線長値L4と比較することで行う。
【0074】
この判別の結果、最寄りの対策部品までの線長値が線長値L4以内になければ(ステップS276:N)、抵抗あるいはコンデンサからなる対策部品を新たに接続する理由となる。そこで、この場合にはNGフラグをオフからオンに変更して(ステップS277)、1番目の端子P21については対策部品を接続しなければならない状態にする。この後、ステップS274に処理を進める。
【0075】
これに対して、最寄りの抵抗あるいはコンデンサまでの線長値が線長値L4を超えていた場合には(ステップS276:Y)、次のステップS278の判別が行われる。ステップS278では、抵抗あるいはコンデンサが存在したとしても、これがグランド(地気)あるいは電源パターンと接続されているかの判別がプリント配線板データを用いて行われる。これらの抵抗あるいはコンデンサが対策部品であるかの1つのチェックである。たとえばグランドと接続されている抵抗はプルダウン抵抗であり、電源パターンと接続されている抵抗はプルアップ抵抗であって、共に終端機能を発揮する。端子接続状況演算部111は、プリント配線板データ格納部106に格納されているプリント配線板データを用いて、抵抗あるいはコンデンサの接続状況の演算を行う。
【0076】
1番目の端子P21から線長値L4以内に抵抗あるいはコンデンサが存在していても、これらが他の電気部品と接続されているような場合には(ステップS278:N)、ステップS277に処理が進み、NGフラグがオフからオンに変更される。この後、ステップS274に処理を進める。
【0077】
一方、抵抗あるいはコンデンサがグランドあるいは電源パターンと接続されていることが判別された場合には(ステップS278:Y)、次のステップS279の判別が行われる。ステップS279では、該当する抵抗あるいはコンデンサが未実装部品データ格納部107に存在しないかをチェックする。
【0078】
たとえば1番目の端子P21にコンデンサが接続されていたとする。そのコンデンサの容量や種類を特定する製品の型番等の識別データが、未実装部品データ格納部107に格納されている終端処理のために実装する可能性のある未実装の部品を表わす識別データのいずれにも該当しないものとする。この場合には、1番目の端子P21に接続されているコンデンサは終端処理の対策以外の用途のコンデンサということになる。
【0079】
このように抵抗やコンデンサが接続されていても(ステップS276:Y)、それが対策部品ではないと判別された場合には(ステップS278:Y、ステップS279:N)、終端処理のための抵抗あるいはコンデンサの接続が新たに必要となる。そこで、この場合には、NGフラグをオフからオンに変更して(ステップS277)、1番目の端子P21については対策部品を接続しなければならない状態にする。この後、ステップS274に処理を進める。
【0080】
これに対して、ステップS279で未実装部品データ格納部107に格納されている抵抗あるいはコンデンサであると制御部103が判別した場合には(Y)、更に対策部品を取り付ける必要がない。そこで、この場合には、NGフラグがオフの状態のままで1番目の端子P21についての処理が終了して、ステップS274に処理が進むことになる。
【0081】
この例の場合、ステップS274では現在の端子の番号を示すパラメータTが最大値TMAX未満であると判別するので、制御部103はパラメータTを「1」だけ加算する(ステップS275)。そして、ステップS272に処理を進める。これにより、2番目の端子P22についてのステップS272以降の処理が開始されることになる。
【0082】
ここで1番目の端子P21と2番目の端子P22に対する第3段階の処理の概要を説明する。前提としてコネクタ143が未実装部品となっている。このコネクタ143についての1番目の端子P21については、配線長フラグとDIPフラグがオンとなる(ステップS273:N)。このため、ステップS276では1番目の端子P21がコンデンサか抵抗と接続しているか判別する。1番目の端子P21は、コンデンサ142と配線152のパターンに接続している(ステップS276:Y)。コンデンサ142はその他方の端子P12が、貫通ビア(VIA)161を通って内層多角形パターン133と接続している(ステップS278:Y)。そこで、ステップS279の処理に進む。したがって、コンデンサ142が対策部品の未実装品として未実装部品データ格納部107に格納されているものであれば(Y)、終端処理のためにの新たな対策部品は必要なくなり、NGフラグはオフのままとなる。
【0083】
2番目の端子P22についても、配線長フラグとDIPフラグがオンとなる(ステップS273:N)。このため、ステップS276では2番目の端子P22がコンデンサか抵抗と接続しているか判別する。この例の場合、2番目の端子P22にはコンデンサも抵抗も接続されていない(ステップS278:N)。したがって、NGフラグがオフからオンに変更される(ステップS277)。
【0084】
以上のようにして2番目の端子P22に対する第3段階の処理が終了すると、ステップS274で現在の端子の番号を示すパラメータTが最大値TMAX以上であることが判別される(Y)。すると、制御部103はフラグ格納部108に格納されたNGフラグがオンになっている未実装部品(対策部品)の各端子と、フラグがオンの項目を表示部113に表示する(ステップS280)。そして、第3段階の処理が終了することになる(エンド)。
【0085】
以上説明した例では2番目の端子P22のみがNGフラグがオンとなっている。したがって、ステップS280では、表示部113に2番目の端子P22が終端処理を必要とする旨の表示と、終端処理を必要とする原因として、配線154の配線長L1が余剰配線長値L3よりも長いことと、パッドがDIPでありノイズの影響を受けやすいことが示される。したがって、システムの操作者は2番目の端子P22に対して確実に対策部品を取り付ける設計を行うことができる。
【0086】
以上説明した実施の形態によれば、未実装部品の端子の形状や接続状況といったデータを解析し、対策部品の有無を判別するので、対策が必要で対策部品が取り付けられていないな端子類を人手を介することなく特定することができる。また、このような処理をプログラム化することでプリント配線板の設計支援を効率的かつ確実に行うことができる。
【0087】
<発明の変形可能性>
【0088】
以上説明した実施の形態では、プリント配線板で未実装部品の端子の処理について説明を行った。本発明は更に拡張して、未実装部品の存在に対してアラーム(警告)を表示するようにしてもよい。この場合に、未実装部品の位置を表示すると共に、未実装部品でアラーム表示した端子に対してマークを追記するようにすることもできる。これを次の変形例として説明する。
【0089】
図12は、本発明の変形例としての未実装部品に関する表示処理の概要を示したものである。先に説明した実施の形態と同一部分については、これらの詳細な説明を省略する。
【0090】
まず、実装設計CADを用いて作成したプリント配線板データの読み込みを行って、作業用のメモリ領域にこれを格納する(ステップS301)。次に、未実装部品の一覧リストの情報を、前記したメモリ領域に記憶させる(ステップS302)。
【0091】
この後に端子ごとに対策部品による対策が必要であるかのチェックを行って、対策が必要な端子に対してNGフラグを付したNGデータを生成して、前記したメモリ領域に記憶させる(ステップS303)。
【0092】
次に、プリント配線板データと未実装部品の一覧リストを用いてプリント配線板における未実装部品の各位置を検索する(ステップS304)。そして、これら未実装部品の位置が分かるように、これらの未実装部品の位置にマークを追記する(ステップS305)。
【0093】
次にステップS303で生成したNGデータを用いて、対策が必要な端子の位置をプリント配線板データから検索する(ステップS306)。ステップS305では未実装部品自体の位置であるのに対して、ステップS306ではNGとなった端子(NG端子)の位置である。次に、対策が必要な端子の位置にマークを追記する(ステップS307)。最後にプリント配線板ノイズ全体あるいは要部と共にこれらのマークを表示部113(図4参照)に表示して(ステップS308)、この変形例における未実装部品に関する表示処理を終了する(エンド)。
【0094】
図13は、この変形例で表示部に未実装部品と前記したマークが表示される様子の一例を表わしたものである。図4および図12と共に説明する。
【0095】
この表示例ではプリント配線板131の全体が比較的簡単な構成なので、その全体が表示部113の表示画面401一杯に表示されている。表示する配線構造が複雑な場合には、プリント配線板131の全体が分割して表示されたり、システムの操作者が適宜の範囲を拡大して表示できるようにしてもよい。
【0096】
この表示画面401には、図6で示した各部品が線画として表示されている。そして、未実装部品であるコネクタ143の位置には、大きな×印のマーク411が表示され、対策が必要な端子としての端子P22には小さな×印のマーク412が表示されている。したがって、システムの操作者はコネクタ143が未実装となっているということと、これによる終端処理が必要な端子が端子P22であることを即座に了解することができる。
【0097】
なお、この変形例では大きな×印のマーク411と小さな×印のマーク412を表示画面401におけるプリント配線板131の該当位置に表示することにしたが、これに限るものではない。たとえば、マークの大小の代わりに、該当部品を色分けして表示してもよい。たとえば未実装部品を青色で着色し、対策部品を赤色で表示する。このような色による表示の他に点滅や濃淡の反転といった手法で該当する部品を表示してもよい。
【0098】
図11〜図13に示した変形例によれば、システムの操作者が視覚的に必要な部品を注視することができるので、込み入った配線に対しても対策部品の確認を容易かつ確実に行うことができるという利点がある。
【0099】
なお、先の実施の形態では第1〜第3段階の処理が個別に行われるものとして説明したが、これに限るものではない。たとえば第1〜第3段階の処理のうちの全部または第2および第3段階の処理を連続した形で行うようにしてもよい。このうち第2および第3段階の処理を連続した形で行う場合には、図10のステップS251に入力する処理の代わりに、図11のステップS273に進むように処理の経路を変更するようにしてもよい。
【0100】
また、実施の形態および発明の変形例ではプリント配線板として3層構造のものを説明したが、2層あるいは4層以上のプリント配線板にも本発明を同様に適用することができることは当然である。
【0101】
また、実施の形態では対策部品の接続が必要な箇所の判別を行ったが、これらの箇所に対してコンデンサや抵抗を用いた終端処理のための具体的な回路の接続までもプリント配線板の設計支援システムが行うようにしてもよい。この場合に、予め終端処理用の抵抗およびコンデンサを複数リストアップしておき、これらを選択するような設計システムとなっていてもよい。
【0102】
また、このように対策部品を複数の中から選択できるようにした場合に、対策部品の線長を基にしてそれぞれの候補となる対策部品に対するノイズ対策の有効性を算出する演算手段を備えるようにしてもよい。これにより、システムの操作者はコストや製品に求められる仕様を勘案しながら、最も適した対策部品を容易に選別することができる。
【0103】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0104】
(付記1)
互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを格納する共通化配線パターンデータ格納手段と、
前記実装部品のすべてから前記特定の複数の製品の中の選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品として前記選択された1つの製品では前記プリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを記憶した未実装部品データ格納手段と、
前記プリント配線板に前記選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記未実装部品のそれぞれについての前記共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定手段と、
この未実装部品用端子特定手段によって特定された前記未実装部品用端子のそれぞれについて前記プリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別手段と、
前記未実装部品用端子のうち対策部品要否判別手段が対策部品の接続を必要と判別したものを前記選択された1つの製品ごとに記憶する対策必要端子記憶手段
とを具備することを特徴とするプリント配線板の設計支援システム。
【0105】
(付記2)
前記対策部品要否判別手段は、前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの長さに余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の配線パターンの長さを算出する余剰配線パターン長算出手段と、この余剰配線パターン長算出手段の算出した余剰配線パターン長が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰配線パターン長用基準値を超えるか否かを判別する余剰配線パターン長用判別手段と、この余剰配線パターン長用判別手段が前記余剰配線パターン長用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰配線パターン長用接続要判別手段を具備することを特徴とする付記1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0106】
(付記3)
前記対策部品要否判別手段は、前記未実装部品用端子に接続される端子の形状を前記共通化配線パターンデータから算出する端子形状算出手段と、この端子形状算出手段により算出した端子の形状を前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した端子の基準形状と比較する形状用比較手段と、この形状用比較手段による比較結果により前記対策部品の接続の要否を判別する形状用接続要否判別手段を具備することを特徴とする付記1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0107】
(付記4)
前記対策部品要否判別手段は、前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの面積に余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の面積を算出する余剰面積算出手段と、この余剰面積算出手段の算出した余剰面積が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰面積用基準値を超えるか否かを判別する余剰面積用判別手段と、この余剰面積用判別手段が前記余剰面積用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰面積用接続要判別手段を具備することを特徴とする付記1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0108】
(付記5)
前記余剰配線パターン長算出手段は、前記未実装部品用端子とそれ以外の端子の2点間のみの配線パターンについては、その配線パターンの全長を前記余剰の配線パターンの長さとして算出することを特徴とする付記2記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0109】
(付記6)
前記余剰配線パターン長算出手段は、前記未実装部品用端子とそれ以外の複数の端子を共に接続する配線パターンについては、前記それ以外の複数の端子の間を結ぶパターン部分を除去した配線パターンの長さを前記余剰の配線パターンの長さとして算出することを特徴とする付記2記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0110】
(付記7)
前記対策必要端子記憶手段に記憶した前記未実装部品用端子を他の端子と区別して表示する対策部品用端子表示手段を具備することを特徴とする付記1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0111】
(付記8)
前記対策必要端子記憶手段に記憶した前記未実装部品用端子の接続する前記未実装部品を他の部品と区別して表示する対策部品用未実装部品表示手段を具備することを特徴とする付記1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0112】
(付記9)
前記対策部品要否判別手段は、前記未実装部品が前記プリント配線板に穴を貫通して実装する挿入タイプの部品であるか表面実装部品であるかを判別する部品実装タイプ判別手段を具備し、前記挿入タイプの部品であるとき対策部品を接続する必要があると判別することを特徴とする付記1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0113】
(付記10)
前記対策必要端子記憶手段に記憶された前記未実装部品用端子に対して前記対策部品を接続する設計を行う対策部品接続設計手段を具備することを特徴とする付記1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0114】
(付記11)
前記対策部品接続設計手段は、終端処理用の抵抗およびコンデンサの中から配線パターンに適合する部品を選択する対策部品種別選択手段を具備することを特徴とする付記10記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0115】
(付記12)
前記対策部品接続設計手段は、前記未実装部品の端子とこれに接続する前記対策部品の線長を基にしてノイズ対策の有効性を判別するノイズ対策有効性判別手段を具備することを特徴とする付記10記載のプリント配線板の設計支援システム。
【0116】
(付記13)
互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む共通化配線パターンデータ読込ステップと、
前記特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する製品選択ステップと、
前記実装部品のすべてから前記製品選択ステップで選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記プリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む未実装部品データ読込ステップと、
前記プリント配線板に前記製品選択ステップで選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記未実装部品のそれぞれについての前記共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定ステップと、
この未実装部品用端子特定ステップによって特定された前記未実装部品用端子のそれぞれについて前記プリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別ステップと、
前記未実装部品用端子のうち対策部品要否判別ステップで対策部品の接続を必要と判別したものを前記選択された1つの製品について表示する対策必要端子表示ステップ
とを具備することを特徴とするプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法。
【0117】
(付記14)
前記対策部品要否判別ステップは、前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの長さに余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の配線パターンの長さを算出する余剰配線パターン長算出ステップと、この余剰配線パターン長算出ステップで算出した余剰配線パターン長が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰配線パターン長用基準値を超えるか否かを判別する余剰配線パターン長用判別ステップと、この余剰配線パターン長用判別ステップで前記余剰配線パターン長用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰配線パターン長用接続要判別ステップを具備することを特徴とする付記13記載のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法。
【0118】
(付記15)
前記対策部品要否判別ステップは、前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの面積に余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の面積を算出する余剰面積算出ステップと、この余剰面積算出ステップで算出した余剰面積が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰面積用基準値を超えるか否かを判別する余剰面積用判別ステップと、この余剰面積用判別ステップで前記余剰面積用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰面積用接続要判別ステップを具備することを特徴とする付記13記載のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法。
【0119】
(付記16)
コンピュータに、
互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む共通化配線パターンデータ読込処理と、
前記特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する製品選択処理と、
前記実装部品のすべてから前記製品選択処理で選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記プリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む未実装部品データ読込処理と、
前記プリント配線板に前記製品選択処理で選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記未実装部品のそれぞれについての前記共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定処理と、
この未実装部品用端子特定処理によって特定された前記未実装部品用端子のそれぞれについて前記プリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別処理と、
前記未実装部品用端子のうち対策部品要否判別処理で対策部品の接続を必要と判別したものを前記選択された1つの製品について表示する対策必要端子表示処理
とを実行させることを特徴とするプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラム。
【0120】
(付記17)
前記対策部品要否判別処理では、前記コンピュータに前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの長さに余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の配線パターンの長さを算出する余剰配線パターン長算出処理と、この余剰配線パターン長算出処理で算出した余剰配線パターン長が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰配線パターン長用基準値を超えるか否かを判別する余剰配線パターン長用判別処理と、この余剰配線パターン長用判別処理で前記余剰配線パターン長用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰配線パターン長用接続要判別処理を実行させることを特徴とする付記16記載のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラム。
【0121】
(付記18)
前記対策部品要否判別処理では、前記コンピュータに前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの面積に余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の面積を算出する余剰面積算出処理と、この余剰面積算出処理で算出した余剰面積が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰面積用基準値を超えるか否かを判別する余剰面積用判別処理と、この余剰面積用判別処理で前記余剰面積用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰面積用接続要判別処理を実行させることを特徴とする付記16記載のプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラム。
【符号の説明】
【0122】
10、100 プリント配線板の設計支援システム
11 共通化配線パターンデータ格納手段
12 未実装部品データ格納手段
13 未実装部品用端子特定手段
14 対策部品要否判別手段
15 対策必要端子記憶手段
20 プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法
21 共通化配線パターンデータ読込ステップ
22 製品選択ステップ
23 未実装部品データ読込ステップ
24 未実装部品用端子特定ステップ
25 対策部品要否判別ステップ
26 対策必要端子表示ステップ
30 プリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラム
31 共通化配線パターンデータ読込処理
32 製品選択処理
33 未実装部品データ読込処理
34 未実装部品用端子特定処理
35 対策部品要否判別処理
36 対策必要端子表示処理
101 CPU
102 メモリ
103 制御部
105 プリント配線板パターン設計部
106 プリント配線板データ格納部
107 未実装部品データ格納部
108 フラグ格納部
109 設定内容格納部
111 端子接続状況演算部
112 入力部
113 表示部
141 (表面実装部品としての)IC
142 (表面実装部品としての)コンデンサ
143 (挿入タイプの部品としての)コネクタ
151〜154、156、157 配線
161〜163 貫通ビア
411 大きな×印のマーク
412 小さな×印のマーク
P 端子
L 配線長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを格納する共通化配線パターンデータ格納手段と、
前記実装部品のすべてから前記特定の複数の製品の中の選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品として前記選択された1つの製品では前記プリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを記憶した未実装部品データ格納手段と、
前記プリント配線板に前記選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記未実装部品のそれぞれについての前記共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定手段と、
この未実装部品用端子特定手段によって特定された前記未実装部品用端子のそれぞれについて前記プリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別手段と、
前記未実装部品用端子のうち対策部品要否判別手段が対策部品の接続を必要と判別したものを前記選択された1つの製品ごとに記憶する対策必要端子記憶手段
とを具備することを特徴とするプリント配線板の設計支援システム。
【請求項2】
前記対策部品要否判別手段は、前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの長さに余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の配線パターンの長さを算出する余剰配線パターン長算出手段と、この余剰配線パターン長算出手段の算出した余剰配線パターン長が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰配線パターン長用基準値を超えるか否かを判別する余剰配線パターン長用判別手段と、この余剰配線パターン長用判別手段が前記余剰配線パターン長用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰配線パターン長用接続要判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【請求項3】
前記対策部品要否判別手段は、前記未実装部品用端子に接続される端子の形状を前記共通化配線パターンデータから算出する端子形状算出手段と、この端子形状算出手段により算出した端子の形状を前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した端子の基準形状と比較する形状用比較手段と、この形状用比較手段による形状の比較結果により前記対策部品の接続の要否を判別する形状用接続要否判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【請求項4】
前記対策部品要否判別手段は、前記未実装部品用端子に接続されないことで配線パターンの面積に余剰分が発生する配線パターンについてその余剰の面積を算出する余剰面積算出手段と、この余剰面積算出手段の算出した余剰面積が前記ノイズ対策用の対策部品との関係で予め設定した余剰面積用基準値を超えるか否かを判別する余剰面積用判別手段と、この余剰面積用判別手段が前記余剰面積用基準値を超えると判別したとき前記対策部品の接続を必要と判別する余剰面積用接続要判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【請求項5】
前記余剰配線パターン長算出手段は、前記未実装部品用端子とそれ以外の端子の2点間のみの配線パターンについては、その配線パターンの全長を前記余剰の配線パターンの長さとして算出することを特徴とする請求項2記載のプリント配線板の設計支援システム。
【請求項6】
前記余剰配線パターン長算出手段は、前記未実装部品用端子とそれ以外の複数の端子を共に接続する配線パターンについては、前記それ以外の複数の端子の間を結ぶパターン部分を除去した配線パターンの長さを前記余剰の配線パターンの長さとして算出することを特徴とする請求項2記載のプリント配線板の設計支援システム。
【請求項7】
前記対策必要端子記憶手段に記憶した前記未実装部品用端子を他の端子と区別して表示する対策部品用端子表示手段を具備することを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【請求項8】
前記対策必要端子記憶手段に記憶した前記未実装部品用端子の接続する前記未実装部品を他の部品と区別して表示する対策部品用未実装部品表示手段を具備することを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の設計支援システム。
【請求項9】
互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む共通化配線パターンデータ読込ステップと、
前記特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する製品選択ステップと、
前記実装部品のすべてから前記製品選択ステップで選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記プリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む未実装部品データ読込ステップと、
前記プリント配線板に前記製品選択ステップで選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記未実装部品のそれぞれについての前記共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定ステップと、
この未実装部品用端子特定ステップによって特定された前記未実装部品用端子のそれぞれについて前記プリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別ステップと、
前記未実装部品用端子のうち対策部品要否判別ステップで対策部品の接続を必要と判別したものを前記選択された1つの製品について表示する対策必要端子表示ステップ
とを具備することを特徴とするプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策方法。
【請求項10】
コンピュータに、
互いに関連する特定の複数の製品のいずれかに少なくとも使用する実装部品のすべてを1枚のプリント配線板に実装可能に設計した共通化配線パターンを表わす共通化配線パターンデータを読み込む共通化配線パターンデータ読込処理と、
前記特定の複数の製品の中の1つの製品を選択する製品選択処理と、
前記実装部品のすべてから前記製品選択処理で選択された1つの製品に使用するすべての実装部品を差し引いたときの部品としてこの選択された1つの製品で前記プリント配線板に実装しない未実装部品についての一覧データを読み込む未実装部品データ読込処理と、
前記プリント配線板に前記製品選択処理で選択された1つの製品に実装するすべての実装部品を実装したときの前記未実装部品のそれぞれについての前記共通化配線パターンにおける接続箇所としての未実装部品用端子を特定する未実装部品用端子特定処理と、
この未実装部品用端子特定処理によって特定された前記未実装部品用端子のそれぞれについて前記プリント配線板のノイズ対策用の対策部品を接続する必要があるかを予め定めた基準値と比較することで判別する対策部品要否判別処理と、
前記未実装部品用端子のうち対策部品要否判別処理で対策部品の接続を必要と判別したものを前記選択された1つの製品について表示する対策必要端子表示処理
とを実行させることを特徴とするプリント配線板の未実装部品に対するノイズ対策プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−230608(P2012−230608A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99444(P2011−99444)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】