説明

プリント配線板差込延長部

【課題】スペースを必要とせず、従来慣用のカード縁部コネクタ部分内に差し込まれ得るプリント配線板差込延長部を提供する。
【解決手段】プラスチックから成り、プリント配線板に取り付けられ得るボディ(16,18)と、第1および第2のグループのコンタクト(26,27)とが設けられており、該コンタクト(26,27)がそれぞれ、プリント配線板に設けられた導体路のコンタクト形成のための接続端部(32)と、コネクタ部分のコンタクトのコンタクト形成のための差込端部(28)とを有しており、両グループのコンタクト(26,27)の接続端部(32)が、ボディ(16,18)の同一の側に配置されている一方、第1のグループの差込端部(28)が、ボディ(16,18)の、第2のグループの差込端部(28)とは異なる側に配置されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、プリント配線板を別のプリント配線板、大抵の場合いわゆる「バックプレーン(Backplane)」に接続する分野に関する。本発明は特に、プリント配線板差込延長部(Leiterplatten−Steckfortsatz)ならびにこの差込延長部を備えた構成群に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板を直接差込コネクタ、例えばカード縁部差込コネクタ(Kartenrand−Steckverbinder)内に差し込むことが知られている。それにより、プリント配線板の縁部領域へと案内されている導体路は、直接コンタクト形成される。その際の問題は特に、プリント配線板が一般にかなり大きな公差を有して製作される点にある。例えば、厚さに関する公差は±10%というのが一般的である。このことから生じる問題は、プリント配線板を収容する差込コネクタが、公差の下限にあるプリント配線板において、それにもかかわらず十分に高いコンタクト力を保証しなければならない一方、公差の上限にあるプリント配線板において、コネクタ部分内に設けられたばねコンタクトの損傷のリスクが回避されていなければならないと同時に、高い差込力が回避されるべきであるという点にある。
【0003】
例えば米国特許第6899546号明細書から、プリント配線板の縁部領域に被せ嵌められ、そこに配置された導体路をコンタクト形成するコンタクトを有するプリント配線板差込延長部を使用することは既に公知である。この公知の差込延長部はその際、やはり適当な差込コネクタ内に差し込まれることができる。この解決策における欠点は1つには、比較的大きな構成スペースが必要である点にある。それというのも、このプリント配線板差込延長部はプリント配線板を両側で包囲するからである。さらに、不都合なことに、この差込延長部を収容するために特別な差込コネクタが必要である。それというのも、この差込延長部の厚さはプリント配線板の厚さよりも大きいからである。
【特許文献1】米国特許第6899546号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、スペースを必要とせず、従来慣用のカード縁部コネクタ部分内に差し込まれ得るプリント配線板差込延長部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明の構成によれば、プリント配線板差込延長部において、プラスチックから成り、プリント配線板に取り付けられ得るボディと、第1および第2のグループのコンタクトとが設けられており、該コンタクトがそれぞれ、プリント配線板に設けられた導体路のコンタクト形成のための接続端部と、コネクタ部分のコンタクトのコンタクト形成のための差込端部とを有しており、両グループのコンタクトの接続端部が、ボディの同一の側に配置されている一方、第1のグループの差込端部が、ボディの、第2のグループの差込端部とは異なる側に配置されているようにした。上記課題を解決した本発明の別の構成によれば、2つまたは複数の差込延長部を備えた構成群において、差込延長部間にスペーサが配置されており、該スペーサが差込延長部の側方に配置されており、スペーサと、差込延長部の側方の領域とを通してそれぞれ嵌合ピンが延在しているようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明による解決策は、プリント配線板の、導体路のコンタクト形成のために役立つ領域を、プリント配線板差込延長部に「コピー」する、ただし同時に改善するという基本思想に基づいている。改善は特に寸法および公差に関する。プラスチック部分は、プリント配線板に対して、100分の数ミリメートルの精度で製作されることができる。こうして、差込延長部を、対応配置されたコネクタ部分内に差し込む際の差込力のばらつきは、減じられることができる。特に、差込延長部は、許容し得る公差範囲の下限にある寸法を有して製作されることができる。こうして、差込力のさらなる減少が得られる。さらに、差込延長部の、コンタクト形成のために役立つ領域は、プリント配線板と同じ平面内に存在する。プリント配線板はつまり従来慣用の形式で案内され、差し込まれることができる。さらに、差込延長部のコンタクトが片側でのみプリント配線板に接続される一方、差込端部が差込延長部の両側に位置しているので、極めて小さな寸法が得られる。
【0007】
有利には、ボディが、差込延長部を位置決めするために形状結合(formschluessig:形状による束縛)式にプリント配線板の収容部内に装入され得る少なくとも1つの位置決め突起を有している。このことは、プリント配線板差込延長部を精緻に方向付けてプリント配線板に取り付けることを可能にする。このことは、複数のプリント配線板を1つのグループにまとめる際に特に有意義である。
【0008】
有利には、位置決め突起が円筒形のピンである。そのようなピンは容易に、プリント配線板に設けられた孔内に差し込まれることができる。
【0009】
有利には、ボディが一方のグループのコンタクト間に開口を有しており、該開口が打抜によるコンタクトの解放を可能にする。このことは、差込延長部のボディを貫いて案内されなければならない複数のコンタクトを、まずなお材料ブリッジ(Materialbruecke)により互いに結合されているように打ち抜くことを可能にする。それにより、取扱は簡単化される。差込延長部のボディに取り付けた後に初めて、材料ブリッジは、適当な工具がボディの開口内に進入することにより除去される。その後、コンタクトは互いに切り離されている。
【0010】
有利には、コンタクトの差込端部が、それぞれ異なるレベルで終わっている。このことは、差込延長部が差し込まれるコネクタ部分のすべてのばねコンタクトが同時に変位されるのではなく、段階的に変位されることを保証する。こうして、差込力は減じられる。
【0011】
有利には、差込方向で見て後方に位置するレベルで終わっている差込端部の前方に、スリットが設けられている。スリットは、コネクタ部分のばねコンタクトを、後方に位置するコンタクトの差込端部へと案内するために役立つ。案内は、ばねコンタクトが誤って隣のコンタクトに滑り込むことを阻止する。ばねコンタクトの案内は、スリットの前方の端部に斜めの導入チャンファが設けられていると、さらに改善される。
【0012】
有利には、コンタクトとボディとの間にエアポケットが設けられている。エアポケットは、コンタクトのインピーダンスを所望の形式で調節することを可能にする。その際、別のエアポケットが差込端部の最も前方の端部に、コネクタ部分のばねコンタクトが作用する領域の前方に設けられていることができる。
【0013】
有利には、ボディが一体的に、互いにオーバラップする2つの部分領域から成っており、かつコンタクトが、ほぼ直角に曲げられた移行区分により、第1の部分領域から第2の部分領域に向かって案内される。ボディのこの構成は特にコンパクトな構造形態を生ぜしめる。さらに、コンタクトの移行区分は有利には、コンタクト自体の固定のためにも、差込端部の適当な予圧のためにも使用されることができる。コンタクトの差込端部はこの目的のために移行区分に対して正確に直角に曲げられるのではなく、配置次第で90°よりも僅かに大きな角度または小さな角度で曲げられる。移行区分を正確な位置に最終的に挿入することにより初めて、コンタクトはその後移行区分に対して90°の角度に曲げられる。その際、このことから生じる弾性的なプリロードもしくは予荷重は、差込端部を適当に、差込端部に対応配置された収容部内に押し込むために使用されることができる。
【0014】
有利には、移行区分が、減じられた幅を有して構成されており、その結果、係止フックが、ほぼコンタクトの幅を有して形成されることができる。移行区分の幅の減少は、コンタクトをこの領域でより僅かな力で曲げ得ることを可能にする。係止フックはその寸法により、どの程度密に相並んでコンタクトが材料ウェブから打ち抜かれ得るかを決定する。係止フックが、減じられた幅を有する領域に形成されると、コンタクトは結局より密に相並んで打ち抜かれることができる。
【0015】
有利には、第1のグループのコンタクトのアースコンタクトの接続端部が、あるレベルに位置し、差込端部から見てこのレベルの後方に、第1のグループの信号コンタクトの接続端部が位置し、該信号コンタクトの接続端部の後方に、第2のグループのコンタクトのアースコンタクトの接続端部が位置し、その後方に、第2のグループの信号コンタクトの接続端部が位置している。両グループのコンタクトのアースコンタクトはそれにより、両グループの信号コンタクト間の遮蔽のために役立つ。このことはクロストーク減衰を改善する。
【0016】
有利には、差込延長部間にスペーサが配置されており、該スペーサが側方で差込延長部に差し込まれており、スペーサと、差込延長部の側方の領域とを通してそれぞれ嵌合ピンが延在している。スペーサは、複数のプリント配線板と所属のプリント配線板差込延長部とを構成群に組み立てることを可能にする。その結果、複数のプリント配線板が同時に相応のバックプレーンコネクタ部分内に挿入されることができる。
【0017】
択一的には、スペーサがプリント配線板差込延長部に一体成形されている。各スペーサはその際1つの保持ピンと2つの位置決め開口とを有している。この一体的な構成は製作手間、組立手間および発生する公差を減じる。
【0018】
本発明は、複数のバックプレーンコネクタ部分と、スペーサにより1つの構成群にまとめられているプリント配線板差込延長部を備えた複数のプリント配線板とを備えたバックプレーンにも関する。
【0019】
本発明の有利な構成は従属請求項から得られる。
【0020】
本発明について以下に、添付の図面に示した種々異なる実施形態を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1〜図6を参照しながら、まず、本発明によるプリント配線板差込延長部10の一般的な構造について説明する。プリント配線板差込延長部10は、プリント配線板差込延長部の一部がプリント配線板から張り出すように、プリント配線板の縁部に取り付けられるために設けられている。プリント配線板差込延長部をプリント配線板に固定し、かつコンタクト形成するために、プリント配線板差込延長部10には接続領域12が設けられている。接続領域12に対向して、プリント配線板を接続するために差込コネクタ内に差し込まれるために設けられている差込領域14が位置している。接続領域12はプリント配線板差込延長部10の第1の部分領域16に形成されており、差込領域14は第2の部分領域18に形成されている(特に図5参照)。両部分領域16,18は一般に長方形に形成されており、互いにプリント配線板差込延長部10の中央部でオーバラップしている。プリント配線板差込延長部10はそれにより横から見て階段状の形状を有している。両部分領域16,18は互いに一体的に構成されており、極めて高い精度で型取り、特に射出成形され得るプラスチックから成っている。
【0022】
第2の部分領域18に設けられた差込領域14は、広幅の、一般に長方形の舌片の形式で構成されている。その際、側方に2つのくびれ20が設けられている。くびれ20は、プリント配線板差込延長部10、ひいてはこのプリント配線板差込延長部10に取り付けられるプリント配線板を差込コネクタに係止するために役立つことができる。くびれ20の領域でコンタクトは内方に寄せられている。
【0023】
第1の部分領域16は第2の部分領域18よりも若干大きな厚さを有して構成されており、その側方の縁部にそれぞれ1つの円筒形のピンの形の位置決め突起22を有している。位置決め突起22は、プリント配線板差込延長部10を、精緻に規定された位置でプリント配線板に保持するために使用される。位置決め突起22の近傍に、第1の部分領域16は合計で3つの開口24を有している。開口24の役割については後述する。
【0024】
プリント配線板差込延長部は2つのグループのコンタクトを装備している。コンタクトは接続領域12から差込領域14へと延在している。第1のグループのコンタクト26は差込端部28でもって第2の部分領域18に沿って延在し、その後、移行区分30として第1の部分領域16に向かって延在し、その後、接続端部32として再び第1の部分領域16から離れる方向で延在している。第2のグループのコンタクト27は差込端部28でもって第2の部分領域18の、第1のグループのコンタクト26の差込端部28とは反対側の面に沿って延在し、その後、移行区分30により第1の部分領域16の下面に向かって延在し、その後、屈曲した接続端部32により第1の部分領域16を貫いて接続領域12に向かって延在している。第1のグループのコンタクト26は第2のグループのコンタクト27とはつまり主として、第1のグループのコンタクト26が常にプリント配線板差込延長部10のボディ16,18の同じ面、図6に関してつまり上側の面に留まる一方、第2のグループのコンタクト27が部分領域16を一度横断する点で区別される。やはり図6に関して、第2のグループのコンタクト27の差込端部28はプリント配線板差込延長部の下面に存在する一方、接続端部32は上面に存在する。
【0025】
遮蔽を改善するために、1つのグループの、移行区分30の最も近傍に位置する接続端部32が属するコンタクトは、アースコンタクトとして使用される。これらのアースコンタクトは図6および図11に符号Mで示した。そのような配置は、第1のグループのコンタクト26のその他の接続端部32が、コンタクト26の、アース導体として役立つ接続端部32により、差込領域から隔離され、第2のグループのコンタクト27のアース導体の接続端部32により、第2のグループのコンタクト27のその他の、信号導体として使用される接続端部から隔離されていることに至る。
【0026】
第1のグループのコンタクト26は、打抜後、例えばその接続端部32が搬送のために使用されることにより簡単にボディ16,18に配置されることができる。第2のグループのコンタクト27に関して、このことは若干困難なものとなる。それというのも、コンタクト27の接続端部32は第1の部分領域16を貫いて差し込まれる必要があるからである。これらの理由から、コンタクト27の取扱のために、コンタクト27は打抜後なお材料ブリッジにより結合されている。そうすると、なお一体的に互いに結合された多数のコンタクトから成る唯一の物体が取り扱われるだけでよい。コンタクト27をプリント配線板差込延長部10に取り付けた後に初めて、材料ブリッジは除去される。この目的のために、第2の部分領域18には、小さな打抜開口56が設けられている。打抜開口56内には、コンタクト27間の、この箇所に設けられた材料ブリッジを除去する際に、打抜工具が進入することができる。
【0027】
図6および特に図8〜図9に明らかに見て取れるように、差込領域14はその最も前方の端部で面取りされている。この目的のために、差込領域14はその上面およびその下面にそれぞれ1つのチャンファ34を有している。チャンファ34は、プリント配線板差込延長部10が差し込まれる差込コネクタのばねコンタクトが差込時にゆっくりと外方に変位されることに至る。付加的に、コンタクトの差込端部28は、それぞれ異なって段階付けられたレベルで終わっている。図8に示されているように、コンタクトはそれぞれ異なるレベルで終わっている。その際、ここに示すように4つのレベルI〜IVが設けられている。第1のレベルIで始まるコンタクトは有利にはアースコンタクトMとして使用される。
【0028】
第2または第3のレベルで終わるもしくは始まるコンタクトの差込端部28の前方には、相並んで位置し同じレベルで始まる2つのコンタクトの場合、仕切り壁38により隔離されているスリット36が設けられている。各スリット36の後方の端部にはやはりチャンファ34が設けられている。この構成は、差込コネクタのばねコンタクトがプリント配線板差込延長部10の差込時にそれぞれ異なる時点で変位されることに至る。遅れて変位させたいばねコンタクトはその際スリット36内を滑動し、場合により、仕切り壁38と、前縁に設けられた導入チャンファ40(特に図9参照)とにより、ばねコンタクトに対応配置されたコンタクトの差込端部に向かって案内される。
【0029】
コンタクト26,27の差込端部28は第2のボディ18の適当な収容部42内に位置している。差込端部28の下側には収容部42内に複数のエアポケット44が設けられている(特に図7および図10参照)。エアポケットは一方ではインピーダンス適合のために役立ち、他方では、収容部42内での差込端部28の、正確に方向付けられた平坦な配置にとって有利である。差込端部28を適当に部分的に支持することは、連続した平らな載置面を形成しなければならないことよりも容易である。第1のレベルIで始まるコンタクトにおいて、エアポケット44は、プリント配線板差込延長部10が完全に差込コネクタ内に差し込まれているときに、差込コネクタのばねコンタクトがコンタクトに当て付けられている領域のなお前方に配置されていることができる。この領域は図10に符号Bで示した。
【0030】
図11にはコンタクト26,27が見て取れる。この図面には良好に、各コンタクト26,27が、移行区分30の両側面に形成されている2つの係止フック46を有していることが見て取れる。これらの係止フックは図12および図13にも見て取れる。特に良好に図13に見て取れるように、1つのグループの、相並んで位置するコンタクトの係止フック46は、それぞれ異なるレベルに配置されている。係止フックをそれぞれ異なる高さに配置したことは1つには、プリント配線板差込延長部10のボディ内でのより高いアンカー固定力が得られるという利点を有している。隣接するコンタクトの係止フックが同じ高さで保持されずに済むと、保持力の伝達のためにより多くの材料が利用可能である。もう一つには、遮蔽に関してより良好な値が得られる。それというのも、係止フックがそれぞれ異なるレベルに配置されていると、係止フック間の最小の間隔がより大きくなるからである。さらに、コンタクトが移行区分で、減じられた幅を有して構成されていることは注目に値する。このことは良好に図12および図13に見て取れ、係止フックの領域で拡大された材料幅を追加する必要なしに、係止フックをコンタクトの材料幅から打ち抜くことを可能にする。この手段により、隣接するコンタクトの係止フック間の間隔はさらに拡大される。このことは保持力および遮蔽に関する付加的な利点をもたらす。
【0031】
移行区分に設けられた係止フック46に対して付加的に、第2のグループのコンタクト27はそれぞれ2つの係止フック48を接続端部32の両側面に有している。
【0032】
プリント配線板差込延長部10の部分領域16,18へのコンタクト26,27の固定は、実質的に溝50により実施される。溝50は、第1の部分領域16から第2の部分領域18への移行部に、接続領域12の側に形成されている(特に図6、図14および図15参照)。溝50内には第1のグループのコンタクト26および第2のグループのコンタクト27の移行区分30が収容される。横断面で見て、溝50は、図16に示した台形の形状を有している。台形の形状に基づいて、溝は外側に向かって狭窄している。その結果、コンタクト26,27の移行区分30は部分領域16もしくは18に向かって保持されている。
【0033】
移行区分を溝内に装入するその上面に、各溝50は導入区分52を有している。導入区分52は凹面状の樋(Rinne)として構成されている。樋の底はそれぞれ側方で溝50の隣に位置し、その最も深い点をほぼ、移行区分30が装入後に存在すべき箇所に有している。コンタクトがその移行区分でもって溝50内に装入されるとき、移行区分、特に係止フック46は、導入区分52により正確な位置に案内される。コンタクトはその後、係止フック46が相応の部分領域16,18の材料内に埋入し、そこで移行区分をアンカー固定するまで圧入される。同時に、第2のグループのコンタクト27の接続端部32は、付加的な係止フック48(図17参照)が第1の部分領域16の材料内に埋入するように圧入されなければならない。
【0034】
コンタクト26,27の差込端部28を正確に位置決めする目的のために、コンタクト26,27は、第2のグループのコンタクト27の差込端部28と移行区分30との間の角度α(図6参照)が90°よりも僅かに大きい一方、第1のグループのコンタクト26の差込端部28と移行区分30との間の角度βが90°よりも僅かに小さいように構成されている。その後、移行区分30が図6に示した矢印Pの方向で圧入されると、角度βは90°に拡げられる一方、角度αは90°に縮められる。両事例で、差込端部28は弾性的に、第1のボディ18に差込端部28のために設けられた収容部42内へと負荷され、そこに別の手段なしに留まる。
【0035】
コンタクト26,27の図示の配置により、特に、コンタクトの極めて密な配置が達成されることができる。慣用の構成ではコンタクトが0.75mmのピッチ幅で配置されている。このことから、どれだけ僅かなスペースがコンタクト間にそのアンカー固定のために利用可能であるかが判る。
【0036】
コンタクト26,27を装備したプリント配線板差込延長部10は、プリント配線板60(図18および図19参照)の縁部に載置されることができる。その際、コンタクト26,27の接続端部32は、プリント配線板60の相応の導体路に接続される。接続端部32はその際載置されてはんだ付けされるか、挿入されてはんだ付けされるか、または圧入されることができる。第2のグループのコンタクト27の付加的な係止フック48はその際、このコンタクトの接続端部32が第1の部分領域16から押し出されないことを保証する。コンタクト26の接続端部32は別の手段なしに確実に第1の部分領域16に支持される。プリント配線板差込延長部10をプリント配線板60に位置決めするために、プリント配線板60は適当な孔を有している。孔内には位置決め突起22が係入することができる。プリント配線板60はその後プリント配線板差込延長部10でもってカード縁部差込コネクタ70内に差し込まれることができる。カード縁部差込コネクタ70はここでは別のプリント配線板72、例えばバックプレーンに配置されている。プリント配線板差込延長部10の使用は、その差込領域14がプリント配線板の縁部領域よりも著しく高い精度を有して構成され得るという特別な利点を有している。それにより、プリント配線板差込延長部10をカード縁部差込コネクタ70内に差し込む際に発生するコンタクト力は、著しく良好にコントロールされることができる。
【0037】
図20には、ここでは4つの互いに結合されたプリント配線板60から成る構成群が示されている。プリント配線板を結合するために、プリント配線板差込延長部の間で、それぞれスペーサ80(特に図24参照)が使用される。スペーサ80は両側にそれぞれ2つの保持ピン82を有している。中央部には各スペーサ80を貫いて位置決め開口84が延在している。保持ピン82および位置決め開口84の位置は、プリント配線板差込延長部10に設けられた開口24の配置と一致する。
【0038】
複数のプリント配線板60を1つの構成群に繋ぎ合わせるために、スペーサ80の保持ピン82が、プリント配線板60に配置されたプリント配線板差込延長部60の、外側に位置する開口24内に差し込まれる。その後、嵌合ピン86(図23参照)がスペーサ80の位置決め開口84と、プリント配線板差込延長部10の中央の開口24とを通して挿入される。こうして、すべての構成部分は互いに相対的に精緻に方向付けられる。その結果、複数のプリント配線板60から成る構成群は、別のプリント配線板72、例えばバックプレーンに配置されていて、密に相並んで位置するカード縁部差込コネクタ70内に挿入されることができる。
【0039】
プリント配線板60におけるプリント配線板差込延長部10の精緻な位置決めならびにスペーサ80を介したプリント配線板差込延長部10の相互の精緻な方向付けは、特に重要である。それというのも、幾つかのプリント配線板60は大抵の場合ガイド(図示せず)内で、正確にカード縁部差込コネクタ70内に挿入され得るように案内されるからである。幾つかのプリント配線板差込延長部10が正確に位置決めされていないと、このことは方向付けエラーに至る。例えばプリント配線板60は扇状に互いにずらされている場合がある。この場合、プリント配線板を、設けられたガイドにより正確に、プリント配線板差込延長部10が、それに対応配置された差込コネクタ内に進入するように案内することは全く不可能である。
【0040】
プリント配線板差込延長部10の、その相互の間隔に関する精緻な位置決めを保証するために、保持ピン82は、本来その間に配置される部分領域16が過度に小さな厚さを有しているとき、直接互いに当接するような長さを有して構成されている。こうして、やはり個々のプリント配線板差込延長部10間の過度に小さな間隔に至りかねない、スペーサ80が互いに過度に小さな間隔を置いて配置され得ることは阻止されることができる。
【0041】
図25には、スペーサ80′が一体的に差込延長部10に成形されている択一的な構成が示されている。各スペーサ80′はその際1つの保持ピン82と2つの位置決め開口84とを有している。この一体的な構成は製作手間、組立手間および発生する公差を減じる。
【0042】
図26〜図29には、択一的な構成による差込延長部が示されている。この差込延長部は、図1〜図5に示した差込延長部とは、側方のくびれが省略されている点で区別される。それゆえ、コンタクトを内方に寄せる必要はない。その代わり、すべてのコンタクトは直線的に構成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明によるプリント配線板差込延長部の上面図である。
【図2】図1に示したプリント配線板差込延長部の後面図である。
【図3】図1に示したプリント配線板差込延長部の下面図である。
【図4】図1に示したプリント配線板差込延長部の前面図である。
【図5】図1に示したプリント配線板差込延長部の側面図である。
【図6】図1に示したプリント配線板差込延長部の断面図である。
【図7】図6の一部を拡大した寸法で示す詳細図である。
【図8】プリント配線板差込延長部の差込側の端部の詳細図である。
【図9】プリント配線板差込延長部の差込側の一部をやはり拡大した寸法で示す詳細図である。
【図10】幾つかのコンタクトが取り除かれた状態の、プリント配線板差込延長部の差込側の下面図である。
【図11】明瞭性のためにプリント配線板差込延長部のボディが図示されていない状態の、プリント配線板差込延長部の幾つかのコンタクトの抜粋図である。
【図12】幾つかのコンタクトの移行区分を示す図である。
【図13】コンタクトの一部を拡大した寸法で示す詳細図である。
【図14】コンタクトが図示されていない状態の、プリント配線板差込延長部のボディの詳細図である。
【図15】コンタクトが前組立された状態の、プリント配線板差込延長部の一部を拡大した寸法で示す抜粋図である。
【図16】組み立てられたコンタクトの上面の詳細図である。
【図17】前組立された幾つかのコンタクトの接続端部の拡大詳細図である。
【図18】カード縁部差込コネクタ内に装入されている本発明によるプリント配線板差込延長部を備えたプリント配線板の斜視図である。
【図19】図18に示した構成群の側面図である。
【図20】複数のプリント配線板と、それに取り付けられたプリント配線板差込延長部とから成り、カード縁部差込コネクタ内に差し込まれ得る別の構成群の斜視図である。
【図21】組み合わせる直前のプリント配線板の斜視図である。
【図22】図20に示した構成群の、なお組み合わされていないプリント配線板の概略的な側面図である。
【図23】図21に示した構成群で使用される嵌合ピンの斜視図である。
【図24】図21に示した構成群で使用されるスペーサの斜視図である。
【図25】択一的な構成によるプリント配線板差込延長部の斜視図である。
【図26】別の択一的な構成によるプリント配線板差込延長部の上面図である。
【図27】図26に示したプリント配線板差込延長部の後面図である。
【図28】図26に示したプリント配線板差込延長部の下面図である。
【図29】図26に示したプリント配線板差込延長部の側面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 プリント配線板差込延長部
12 接続領域
14 差込領域
16 第1の部分領域
18 第2の部分領域
20 くびれ
22 位置決め突起
24 開口
26 第1のグループのコンタクト
27 第2のグループのコンタクト
28 差込端部
30 移行区分
32 接続端部
34 チャンファ
36 スリット
38 仕切り壁
40 導入チャンファ
42 切欠き
44 エアポケット
46 係止フック
48 付加的な係止フック
50 溝
52 導入区分
60 プリント配線板
70 カード縁部差込コネクタ
72 別のプリント配線板
80 スペーサ
82 保持ピン
84 位置決め開口
86 嵌合ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板差込延長部(10)において、プラスチックから成り、プリント配線板に取り付けられ得るボディ(16,18)と、第1および第2のグループのコンタクト(26,27)とが設けられており、該コンタクト(26,27)がそれぞれ、プリント配線板に設けられた導体路のコンタクト形成のための接続端部(32)と、コネクタ部分のコンタクトのコンタクト形成のための差込端部(28)とを有しており、両グループのコンタクト(26,27)の接続端部(32)が、ボディ(16,18)の同一の側に配置されている一方、第1のグループの差込端部(28)が、ボディ(16,18)の、第2のグループの差込端部(28)とは異なる側に配置されていることを特徴とするプリント配線板差込延長部。
【請求項2】
ボディ(16,18)が、差込延長部(10)を位置決めするために形状結合式にプリント配線板の収容部内に装入され得る少なくとも1つの位置決め突起(22)、有利には円筒形のピン(22)を有している、請求項1記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項3】
ボディ(16,18)が側方に2つのくびれ(20)を有しており、該くびれ(20)がコネクタ部分内での係止のために役立つ、請求項1または2記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項4】
ボディ(16,18)が一方のグループのコンタクト(26,27)間に打抜開口(56)を有しており、該打抜開口(56)が打抜によるコンタクトの解放を可能にする、請求項1から3までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項5】
第2のグループのコンタクト(27)がボディ(16,18)を貫いて延在している、請求項1から4までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項6】
コンタクトの差込端部(28)が、それぞれ異なるレベル、特に4つのそれぞれ異なるレベル(I,II,III,IV)で終わっている、請求項1から5までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項7】
ボディ(16,18)が、差込方向で見て各差込端部(28)の前方にチャンファ(34)を有している、請求項6記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項8】
差込方向で見て後方に位置するレベルで終わっている差込端部(28)の前方に、スリット(36)が設けられている、請求項6または7記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項9】
スリット(36)が、斜めの導入チャンファ(40)を有している、請求項8記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項10】
コンタクト(26,27)とボディ(16,18)との間にエアポケット(44)が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項11】
コンタクト(26,27)が、コネクタ部分とのコンタクト形成の領域(B)で、ボディ(16,18)により支持されている、請求項10記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項12】
差込方向で見て最も前方のレベルで終わっている差込端部(28)の下側に、コンタクト形成の、コネクタ部分により支持される領域のさらに前方に、別のエアポケット(44)が設けられている、請求項11記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項13】
ボディが、互いにオーバラップする2つの部分領域(16,18)から成っており、かつコンタクト(26,27)が、ほぼ直角に曲げられた移行区分(30)により、第1の部分領域(16)から第2の部分領域(18)に向かって案内される、請求項1から12までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項14】
両部分領域(16,18)が互いに一体的に構成されている、請求項13記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項15】
移行区分(30)が溝(50)内で案内されている、請求項13または14記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項16】
溝(50)が導入区分(52)を有している、請求項15記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項17】
導入区分(52)が、コンタクト(26,27)の装入の方向で見て、凹面状の形状を有しており、特に半円形の樋の形式で構成されている、請求項16記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項18】
溝(50)が、コンタクト(26,27)の装入の方向に対して垂直に見て、台形の横断面を有している、請求項15から17までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項19】
溝(50)が移行区分(30)を案内する、請求項15から18までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項20】
移行区分が溝(50)内で少なくとも1つの係止フック(46)により固定されている、請求項15から19までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項21】
隣接する移行区分の係止フック(46)が、それぞれ異なる高さに存在する、請求項20記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項22】
移行区分(30)が、減じられた幅を有して構成されており、かつコンタクトが、係止フック(46)の高さで、その他とほぼ同じ幅を有している、請求項20または21記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項23】
第1のグループのコンタクト(26)において、移行区分(30)と差込端部(28)との間の角度(β)が90°よりも僅かに小さく、その結果、差込端部(28)が、ボディ(16,18)内へのコンタクト(26)の圧入時に、ボディ(16,18)に対して緊張される、請求項19から22までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項24】
第2のグループのコンタクト(27)において、移行区分(30)と差込端部(28)との間の角度(α)が90°よりも僅かに大きく、その結果、差込端部(28)が、ボディ(16,18)内へのコンタクト(27)の圧入時に、ボディ(16,18)に対して緊張される、請求項19から23までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項25】
第2のグループのコンタクト(27)が接続端部に少なくとも1つの係止フック(48)を有しており、該係止フック(48)がボディ(16,18)内に圧入され得る、請求項1から24までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項26】
第1のグループのコンタクト(26)のアースコンタクト(M)の接続端部(32)が、あるレベルに位置し、差込端部から見てこのレベルの後方に、第1のグループの信号コンタクトの接続端部(32)が位置し、該信号コンタクトの接続端部の後方に、第2のグループのコンタクト(27)のアースコンタクト(M)の接続端部が位置し、その後方に、第2のグループの信号コンタクトの接続端部が位置している、請求項1から25までのいずれか1項記載のプリント配線板差込延長部。
【請求項27】
請求項1から26までのいずれか1項記載の2つまたは複数の差込延長部を備えた構成群において、差込延長部間にスペーサ(80)が配置されており、該スペーサ(80)が差込延長部(10)の側方に配置されており、スペーサ(80)と、差込延長部の側方の領域とを通してそれぞれ嵌合ピン(86)が延在していることを特徴とする、差込延長部を備えた構成群。
【請求項28】
スペーサ(80)が一体的にプリント配線板差込延長部(10)に成形されている、請求項27記載の構成群。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−227379(P2007−227379A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40762(P2007−40762)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(503134653)ハルティング エレクトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (13)
【氏名又は名称原語表記】HARTING Electronics GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Marienwerderstr. 3, D−32339 Espelkamp, Germany
【Fターム(参考)】