プレキャストコンクリート壁相互の接合構造
【課題】PCa壁相互を、現場での溶接を行うことなく強固に接合する。これにより、溶接工の技量に頼ることなく確実な接合を行う。
【解決手段】1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁1、2を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁1、2の接合端部に凹状のコッタ4、6を、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ4、6部から突出する接合筋5、7を設け、該各接合筋5、7の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋5a、7aを形成し、該複数の曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋10を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリート11を打設する。
【解決手段】1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁1、2を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁1、2の接合端部に凹状のコッタ4、6を、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ4、6部から突出する接合筋5、7を設け、該各接合筋5、7の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋5a、7aを形成し、該複数の曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋10を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリート11を打設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプレキャストコンクリート壁相互の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プレキャストコンクリート(以下PCaともいう)壁とPCa壁とを相互に接合する方法として、接合するPCa壁の夫々の端面から挿し筋を突設し、この両PCa壁の端面を相互に近接し、両PCa壁から突設した両挿し筋を、添え筋を介して溶接し、壁相互の動きを固定した後、溶接が施されたPCa壁のつぎ目部にジョイントコンクリートを流し込み、PCa壁相互を接合する方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の従来のPCa壁相互の接合方法においては、現場において両PCa壁を組み立てる際に、鉄筋の溶接を必要とすることから、現場において溶接熟練工が必要となり、また、溶接工の技量により溶接のバラつきも生じ、更に、雨天の際には溶接が困難な場合もある。
【0004】
そこで、本発明は、PCa壁相互の接合を、溶接を用いることなく行えるようにし、前記の問題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、該複数の曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするものである。
【0006】
本発明においては、現場において、接合部にコンクリート或いはモルタルなどのジョイントコンクリートを打設することにより、スパイラル筋がタガのような作用をし、コンファインド効果により、初期の段階でマイクロクラックが接合部に入ることが抑制され、破壊線が接合部の中央部を通ることがなくなる。また、スパイラル筋で覆われているコンクリートは割れずに鉄筋を拘束する。したがって、溶接を用いることなく接合部の最大強度の向上を図ることが出来る。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接合部に、縦ジョイント筋を立設し、該縦ジョイント筋を、前記スパイラル筋の内側に配置したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、縦ジョイント筋もスパイラル筋の内側に配置したことにより、接合部の強度を向上させることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2記載のプレキャストコンクリート壁の接合構造において、プレキャストコンクリート壁の接合端面からそのプレキャストコンクリートの表裏面の一方の面に向かって開くテーパ面を、そのプレキャストコンクリート壁の上下方向の全長にわたって形成し、該テーパ面に前記コッタを部分的に形成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、テーパ面により接合部に切欠されたコンクリート充填口が形成され、該充填口を通じてスパイラル筋の挿入配置作業が容易に行え、かつ、ジョイントコンクリートの打設も容易に行える。
【0011】
請求項4記載の発明は、1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、対向するプレキャストコンクリートの接合面間に、両端に上下方向の一方に折曲した脚部を有するジョイント筋を配置し、該ジョイント筋の脚部と、前記曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするものである。
【0012】
本発明においても、前記請求項1記載の発明と同様の作用、効果を発揮できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ジョイントコンクリートが硬化すると、接合する複数のプレキャストコンクリート壁から突出した複数の曲げ鉄筋の外周を囲むスパイラル筋により、そのスパイラル筋の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果により、初期の段階でのマイクロクラックが接合部に入ることが抑制され、破壊線が接合部の中央部に通ることがなくなる。また、スパイラル筋で覆われているコンクリートは割れずに鉄筋を拘束する。したがって、接合部の最大強度の向上を図ることが出来る。
【0014】
このように、ジョイントコンクリートにより、接合されるプレキャストコンクリートが強固に一体化されることにより、接合部での溶接が不要となり、天候に関係なく、溶接工の技量に頼ることなく、更に、ジョイント部分のみに特殊工である溶接工を現場に配置することも不要になる。
【0015】
更に、溶接工の技量に頼ることがないため、通常の作業者によって確実な施工ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至図4は実施例1を示す。
本実施例1は、PCa壁を、上から見て直線状に配置する場合の接合構造を示し、図1は2枚のPCa壁の接合状態を示す正面図。図2は図1のA−A線の拡大平断面図。図3は図2においてB−B線側から見た図でジョイントコンクリートを充填していない図、図4は図2においてC−C線側から見た図でジョイントコンクリートを充填していない図である。
【0018】
一方のPCa壁1の接合端面形状は、図2に示すように、そのPCa壁本体部1aの軸心と直交する端面1bと、該端面1bの内側から表裏面の一方に拡開するように形成されたテーパ面1cとからなる。他方のPCa壁2の接合端面形状も、そのPCa壁本体部2aの軸心と直交する端面2bと、該端面2bの内側から表裏面の一方に拡開するように形成されたテーパ面2cとからなる。このテーパ面1c、2cは両PCa壁1、2の上下方向の全長にわたって形成されている。
【0019】
そして、両PCa壁1、2を図1に示すように接合した場合に、両テーパ面1c、2cとにより、ラッパ状に開口したジョイントコンクリートの充填部(空間)3が形成されるようになっている。この充填部3の開口幅は、後述するコッタ部へのコンクリートの充填作業と、後述するスパイラル筋の挿入が可能な幅に形成されている。
【0020】
前記一方のPCa壁1のテーパ面1cには、図1に示すように、PCa壁1の上下方向において所定の間隔で、部分的にコッタ4が形成されている。該コッタ4は、前記テーパ面1c側が開口した凹状に形成されている。該コッタ4の上下方向の長さは約200mmに形成され、このコッタ4をPCa壁1の上下方向に約200mm間隔で複数形成されている。
【0021】
前記各コッタ4部には、一方のPCa壁1の体内に固定された接合筋5が突設されており、該接合筋5の先部は、充填部3において上方へ曲げられている。この接合筋5の上方への曲げ鉄筋部5aに、後述するスパイラル筋を係合させるようになっている。
【0022】
他方のPCa壁2のテーパ面2cにも、前記コッタ4と同様のコッタ6が形成され、前記接合筋5と同様の接合筋7が設けられ、該接合筋7の先部には前記と同様に充填部3において上方へ曲げた曲げ鉄筋部7aが形成されている。
【0023】
前記両PCa壁1、2のコッタ4、6は、図1及び図2に示すように、接合時に相互に略同一の高さの位置で対向するように形成され、また、両接合筋5、7は、その曲げ鉄筋部5a、7aが接合時に相互に近接するように突出長が設定されている。
【0024】
図2に示す縦ジョイント筋8は、前記両PCa壁1、2の接合部において、基礎等に固定されて立ち上げられており、両PCa壁1、2の上下全長にわたり、1本状で形成されている。
【0025】
そして、両PCa壁1、2を接合位置に設置した際には、その曲げ鉄筋部5a、7aと縦ジョイント筋8の3者が図2に示すように相互に近接する位置に配置されるようになっている。
【0026】
10はスパイラル筋で、その内径が、前記両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8の外部を囲むことができる直径に形成されているとともに、その上下長は図1乃至図4に示すように、前記コッタ4、6の上下長より若干長く形成されている。そして、このスパイラル筋10は、前記各コッタ4、6部が位置する充填部3において、両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8を囲むように配置されている。
【0027】
次に、両PCa壁1、2の接合工程について説明する。
先ず、両PCa壁1、2の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0028】
次に、両PCa壁1、2を、図1に示すように、接合する状態で基礎等の上面に配置する。
【0029】
次に、コンクリートの充填部3からスパイラル筋10を挿入するとともに、このスパイラル筋10を回転させて、その一端を、両曲げ鉄筋部5a、7aと縦ジョイント筋10の外周に位置させ、更に、このスパイラル筋10を回転して、このスパイラル筋10の全長を、両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8の外周に図1及び図3に示すように配置する。このように配置されたスパイラル筋10は、その一部が、両接合筋5、7のいずれか一方に係止されて、その配置状態が保持される。
【0030】
上下方向において複数形成された他のコッタ4、6における両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8にも前記と同様にスパイラル筋10を配置する。
【0031】
また、両PCa壁1、2間に目地材12を充填する。
次に、前記充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、両PCa壁1、2の接合部の上部から、コンクリート用型枠内(充填部3内)へ生コンクリート(ジョイントコンクリート)11を打設して充填する。
【0032】
この生コンクリート11の充填により、そのコンクリート11は、コッタ4、6内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3部の全体に充填される。
【0033】
そして、この充填されたコンクリートの養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のように、コンクリートが硬化すると、両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8の外周を囲むスパイラル筋10により、そのスパイラル筋10の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果により、初期の段階でのマイクロクラックが接合部の中央に入ることが抑制され、破壊線が接合部の中央に通ることがなくなる。また、スパイラル筋で覆われているコンクリートは割れずに鉄筋を拘束する。したがって、接合部の最大強度の向上を図ることが出来る。
【0034】
また、PCa壁相互の接合において、現場溶接がなくなることにより、溶接する場合に比べて工賃が低減できる。更には溶接工も不要になり、溶接工の技量に頼ることもなくなり、また、ジョイント部分のみのために特殊工である溶接工を現場に配置することも不要となる。
【0035】
したがって、溶接工の技量に頼ることなく、通常の作業者によって確実な施工ができる。
【実施例2】
【0036】
図5乃至図8は実施例2を示す。
本実施例2は、3枚のPCa壁を、上から見てT状に配置する場合の接合構造を示し、図5は平断面図、図6は第1のPCa壁21と第2のPCa壁22を図5のD−D線側から見た図、図7は図5のE−E線から見た図、図8は第3のPCa壁23の端面図である。
【0037】
この実施例2は、第1のPCa壁21と第2のPCa壁22を直線状に配置し、これらの接合部に第3のPCa壁23を直交的に配置している。
【0038】
この実施例2における第1及び第2のPCa壁21、22は前記第1実施例の一方のPCa壁1と他方のPCa壁2と同様の構造であるため、前記と同一部材及び部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
第3のPCa壁23は、その接合端面23aに凹状のコッタ24が形成され、該コッタ24は、前記第1、第2のPCa壁21、22のコッタ4、6と略同一位置において複数個設けられている。該第3のPCa壁23のコッタ部24にも前記と同様の接合筋25が、その曲げ鉄筋25aが前記曲げ鉄筋5a、7aに近接するように突設されている。
【0040】
また、スパイラル筋10は、3枚のPCa壁21、22、23に設けられた曲げ鉄筋5a、7a、25aの外周を囲むような直径に形成されている。
【0041】
この実施例2における接合工程について説明する。
先ず、3枚のPCa壁21、22、23の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0042】
次に、3枚のPCa壁21、22、23を図5に示すように、T状に接合する状態で基礎等の上面に配置する。このとき、第3のPCa壁23は、図5に示すように、その端面23aが他のPCa壁21、22から若干離れた状態で配設する。これにより、3枚のPCa壁21、22、23の接合には充填部(空間)3が形成される。
【0043】
また、第1、第2、第3の曲げ鉄筋5a、7a、25aは充填部3において相互に近接した位置に配置される。
【0044】
次に、充填部3からスパイラル筋10を前記実施例1と同様に挿入するとともに回転させて、3本の曲げ鉄筋5a、7a、25aと縦ジョイント筋8の外側を囲むように配置する。
【0045】
また、両PCa壁21、22間に目地材12を充填する。
次に、充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、前記実施例1と同様に形枠内に生コンクリート(ジョイントコンクリート)11を打設して充填する。
【0046】
このコンクリートの打設により、前記実施例1と同様に、そのコンクリートが、コッタ4、6、24内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3の全体に充填される。
【0047】
そして、この充填されたコンクリート11の養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のようにコンクリートが硬化すると、両曲げ鉄筋5a、7a、25aと縦ジョイント筋8の外周を囲むスパイラル筋10により、そのスパイラル筋10の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果による前記実施例1と同様の作用、効果を発揮できる。更に、現場溶接がなくなることによる前記実施例1と同様の効果も発揮できる。
【0048】
本実施例2は、例えば図19に示す配置図において、Xで示す部分の溶接に用いられる。
【実施例3】
【0049】
図9乃至図12は実施例3を示す。
本実施例3はPCa壁を、上から見てL状に配置する場合の接合構造を示し、図9は平断面図、図10は一方のPCa壁31を図9のF−F線で見た端面図、図11は図9のG−G線から見た図、図12は他方のPCa壁32のコッタ部を示す図である。
【0050】
一方のPCa壁31の接合端面形状は、前記実施例1における一方のPCa壁1と同様であり、更に、コッタ及び接合筋も同様に設けられている。そのため、該PCa壁31において、前記一方のPCa壁1と同一部分、同一部材は前記と同一符号を付してその説明は省略する。
【0051】
他方のPCa壁32は、前記一方のPCa壁31の端面に直交的に配置されるもので、その一方のPCa壁31の端面と対向する面32aには、コッタ33が形成されている。該コッタ33は、一方のPCa壁31と対向する側面が開口する凹状に形成され、かつ、このコッタ33は、その他方のPCa壁32の上下方向において、前記一方のPCa壁32のコッタ4と略同一長で、かつ、略同間隔に複数形成され、両コッタ、4、33が相互に略同一位置で対向するように形成されている。
【0052】
前記各コッタ33部には、他方のPCa壁32の体内に固定された接合筋34が突設されており、該接合筋34の先端は上方へ曲げられている。この接合筋34の上方への曲げ鉄筋34aに後述するスパイラル筋を係合させるようになっている。
【0053】
また、前記一方のPCa壁31の前記曲げ鉄筋5aと前記他方のPCa壁32の前記曲げ鉄筋34aは、一方のPCa壁31と他方のPCa壁32の間に配筋される後述する縦ジョイント筋8に近接するように形成されている。
【0054】
図9及び図11に示すジョイント筋8は、前記両PCa壁31、32の接合部(充填部3)において、基礎等に固定されて立ち上げられており、両PCa壁31、32の上下全長にわたり一本状で形成されている。
【0055】
そして、両PCa壁31、32を接合位置に設置した際に、その曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の3者が図9に示すように相互に近接する位置に配置されるようになっている。
【0056】
10はスパイラル筋で、その内径が、前記両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の外部を囲むことができる直径に形成されているとともに、その上下長は、図11に示すように、前記コッタ4、33の上下長より若干長く形成されている。そして、このスパイラル筋10は前記各コッタ4、33部において、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8を囲むように配置されている。
【0057】
次に、両PCa壁31、32の接合工程について説明する。
先ず、両PCa壁31、32の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0058】
次に、両PCa壁31、32を、図9に示すように、接合する状態で基礎等の上面に配置する。
【0059】
次に、充填部3からスパイラル筋10を挿入するとともに、このスパイラル筋10を回転させて、その一端を、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋10の外周に位置させ、更に、このスパイラル筋10を回転して、このスパイラル筋10の全長を、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の外周に図9及び図11に示すように配置する。このように配置されたスパイラル筋10は、その一部が、両接合筋5、34のいずれか一方に係止されて、その配置状態が保持される。
【0060】
上下方向において設けられた他のコッタ4、33における両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8にも前記と同様にスパイラル筋10を配置する。
【0061】
また、両PCa壁31、32間に目地材12を充填する。
次に、前記充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、両PCa壁31、32の接合部の上部から、コンクリート用型枠内(充填部3内)へ生コンクリートを打設して充填する。
【0062】
この生コンクリート11の充填により、そのコンクリート11は、コッタ4、33内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3部の全体に充填される。
【0063】
そして、この充填されたコンクリートの養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のように、コンクリートが硬化すると、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の外周を囲むスパイラル筋10により、そのスパイラル筋10の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果により、前記実施例1と同様の作用、効果を発揮できる。更に、現場溶接がなくなることによる前記実施例1と同様の効果も発揮できる。
【0064】
本実施例3は、例えば図19に示す配置図において、Yで示す部分の接合に用いられる。
【実施例4】
【0065】
図13乃至図15は実施例4を示す。
本実施例4は、4枚のPCa壁を上から見て十字状に配置する場合の接合構造を示し、図13は平断面図、図14は図13におけるH−H線から見た図、図15は図13におけるI−I線から見た図である。
【0066】
この実施例4は、前記実施例2における第3のPCa壁23と同様のPCa壁を4枚用いて十字状に配置している。
【0067】
すなわち、各PCa壁41〜44には、その接合端面41a〜44aに前記と同様の凹状のコッタ45〜48が上下に複数形成され、かつ、相互に略同一位置(同一高さ)において対向するように形成されている。
【0068】
更に、各コッタ45〜48部には、前記と同様な接合筋49〜52が突設され、その先端に前記と同様の曲げ鉄筋49a〜52aが形成されている。これらの曲げ鉄筋49a〜52aは、図13に示すように、各PCa壁41〜44を接合状態に配置した場合に、図13に示すように、充填部3において相互に近接するように設けられている。
【0069】
また、前記と同様のスパイラル筋10は、4本の曲げ鉄筋49a〜52aと縦ジョイント筋8の外周を囲むような直径に形成されている。
【0070】
この実施例4における接合工程について説明する。
先ず、4枚のPCa壁41〜44の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0071】
次に、4枚のPCa壁41〜44を、図13に示すように、十字状に接合する状態で基礎等の上面に配置する。このとき、各PCa壁41〜44は、図13に示すように、各端面41a〜44aが、他のPCa壁の側面から若干離れた位置で配設する。これにより、4枚のPCa壁41〜44の接合端面41a〜44a間には充填部(空間)3が形成される。
【0072】
また、各PCa壁41〜44に設けられた接合筋49〜52の曲げ鉄筋49a〜52aと縦ジョイント筋8は図10に示すように充填部3において相互に近接した状態に配置される。
【0073】
次に、充填部3からスパイラル筋10を挿入するとともに、前記実施例1と同様に回転させて、4本の曲げ鉄筋49a〜52aと縦ジョイント筋8を囲むように配置する。
【0074】
次に、充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、前記実施例と同様に型枠内に生コンクリート(ジョイントコンクリート)11を打設して充填する。
【0075】
このコンクリート11の打設により、前記実施例1と同様に、そのコンクリート11が、コッタ45〜48内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3部の全体に充填される。
【0076】
そして、この充填されたコンクリートの養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のように、コンクリートが硬化することにより、本実施例4においても、前記実施例1と同様の作用、効果を発揮する。
【0077】
本実施例4は、例えば図19に示す配置図において、Zで示す部分の接合に用いられる。
【実施例5】
【0078】
図16乃至図18は、前記実施例4の変形例である。
本実施例5は、前記実施例4における接合筋49〜52の突出量を少なくし、その接合筋49〜52の曲げ鉄筋49a〜52aを前記縦ジョイント筋8に近接させることなく、各PCa壁41〜44の端面41a〜44aの近くに配置している。
【0079】
そして、2本のコ字状のジョイント筋55、56をその脚部55a、55a、56a、56aが下向きになるようにして、十字状に配置し、その一方のジョイント筋55の脚部55a、55aが、前記対向する位置の曲げ鉄筋49a、51aに近接するように配置し、また、他方のジョイント筋56の脚部56a、56aが対向する位置の曲げ鉄筋50a、52aに近接するようにして、各近接した脚部と曲げ鉄筋の外周に各々スパイラル筋10を配置したものである。
【0080】
その他の構造は前記実施例4と同様でるため、同一部には前記と同一符号を付してその説明を所略する。
【0081】
本実施例5の接合工法について説明する。
先ず、前記実施例4と同様に、縦ジョイント筋8と各PCa壁41〜44を配設する。
【0082】
次に、一方のジョイント筋55を、その両脚部55a、55aを下向きにして、対向するPCa壁41、43の曲げ鉄筋49a、51aに近接させて、手で支持しながら、一方の脚部55aと一方の曲げ鉄筋49aの外周にスパイラル筋10を回転して配置する。また、他方の脚部55aと他方の曲げ鉄筋51aの外周に、他のスパイラル筋10を回転して配置する。
【0083】
次に、他方のジョイント筋56を上記とは別の対向するPCa壁42、44の曲げ鉄筋50a、52aの間に配置し、前記と同様に、他のスパイラル筋10を回転して脚部56aと曲げ鉄筋50aの外周及び、脚部56aと曲げ鉄筋52aの外周にスパイラル筋10を配置する。
【0084】
すなわち、図16に示すように、接合部の4隅に位置して4本の曲げ鉄筋49a〜52aが配置され、2本のジョイント筋55、56が十字状に配置され、その2本のジョイント筋55、56の各脚部55a、56aと各曲げ鉄筋49a〜52aが近接され、各近接した脚部と曲げ鉄筋がそれぞれ一本のスパイラル筋10で囲まれる。
【0085】
次に、充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、この形枠内に前記と同様に生コンクリート11を打設する。
【0086】
以降の工程は前記と同様である。
本実施例5においても前記と同様の作用、効果を発揮する。
【0087】
なお、前記各実施例においては、曲げ鉄筋5a、7a、34a、49a〜52aを上向きに曲げたが、これを下向きに曲げても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施例1を示す正面図。
【図2】図1におけるA−A線拡大平断面図。
【図3】図2におけるB−B線側からみた図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図4】図2におけるC−C線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図5】本発明の実施例2を示すもので、接合部の平断面図。
【図6】図5におけるD−D線側からみた図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図7】図5におけるE−E線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図8】図5における第3のPCa壁23の端面図。
【図9】本発明の実施例3を示すもので、接合部の平断面図。
【図10】図9におけるF−F線側から見たPCa壁31の端面図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図11】図9におけるG−G線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図12】図9における一方のPCa壁32のコッタ部を示す図。
【図13】本発明の実施例4を示すもので、接合部の平断面図。
【図14】図13におけるH−H線側からみた図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図15】図13におけるI−I線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図16】本発明の実施例5を示すもので、接合部の平断面図。
【図17】図16におけるJ−J線側からみた図。
【図18】図16におけるK−K線側から見た図。
【図19】本発明の接合構造を適用したPCa壁の配置側を示す図。
【符号の説明】
【0089】
1、2、21、22、31、32、41〜44 PCa壁
1c、2c テーパ面
3 充填部
5、7、25、34、49〜52 接合筋
5a、7a、25a、34a、49a〜52a 曲げ鉄筋
8 縦ジョイント筋
10 スパイラル筋
11 ジョイントコンクリート
【技術分野】
【0001】
本発明はプレキャストコンクリート壁相互の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プレキャストコンクリート(以下PCaともいう)壁とPCa壁とを相互に接合する方法として、接合するPCa壁の夫々の端面から挿し筋を突設し、この両PCa壁の端面を相互に近接し、両PCa壁から突設した両挿し筋を、添え筋を介して溶接し、壁相互の動きを固定した後、溶接が施されたPCa壁のつぎ目部にジョイントコンクリートを流し込み、PCa壁相互を接合する方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の従来のPCa壁相互の接合方法においては、現場において両PCa壁を組み立てる際に、鉄筋の溶接を必要とすることから、現場において溶接熟練工が必要となり、また、溶接工の技量により溶接のバラつきも生じ、更に、雨天の際には溶接が困難な場合もある。
【0004】
そこで、本発明は、PCa壁相互の接合を、溶接を用いることなく行えるようにし、前記の問題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、該複数の曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするものである。
【0006】
本発明においては、現場において、接合部にコンクリート或いはモルタルなどのジョイントコンクリートを打設することにより、スパイラル筋がタガのような作用をし、コンファインド効果により、初期の段階でマイクロクラックが接合部に入ることが抑制され、破壊線が接合部の中央部を通ることがなくなる。また、スパイラル筋で覆われているコンクリートは割れずに鉄筋を拘束する。したがって、溶接を用いることなく接合部の最大強度の向上を図ることが出来る。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接合部に、縦ジョイント筋を立設し、該縦ジョイント筋を、前記スパイラル筋の内側に配置したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、縦ジョイント筋もスパイラル筋の内側に配置したことにより、接合部の強度を向上させることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2記載のプレキャストコンクリート壁の接合構造において、プレキャストコンクリート壁の接合端面からそのプレキャストコンクリートの表裏面の一方の面に向かって開くテーパ面を、そのプレキャストコンクリート壁の上下方向の全長にわたって形成し、該テーパ面に前記コッタを部分的に形成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、テーパ面により接合部に切欠されたコンクリート充填口が形成され、該充填口を通じてスパイラル筋の挿入配置作業が容易に行え、かつ、ジョイントコンクリートの打設も容易に行える。
【0011】
請求項4記載の発明は、1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、対向するプレキャストコンクリートの接合面間に、両端に上下方向の一方に折曲した脚部を有するジョイント筋を配置し、該ジョイント筋の脚部と、前記曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするものである。
【0012】
本発明においても、前記請求項1記載の発明と同様の作用、効果を発揮できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ジョイントコンクリートが硬化すると、接合する複数のプレキャストコンクリート壁から突出した複数の曲げ鉄筋の外周を囲むスパイラル筋により、そのスパイラル筋の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果により、初期の段階でのマイクロクラックが接合部に入ることが抑制され、破壊線が接合部の中央部に通ることがなくなる。また、スパイラル筋で覆われているコンクリートは割れずに鉄筋を拘束する。したがって、接合部の最大強度の向上を図ることが出来る。
【0014】
このように、ジョイントコンクリートにより、接合されるプレキャストコンクリートが強固に一体化されることにより、接合部での溶接が不要となり、天候に関係なく、溶接工の技量に頼ることなく、更に、ジョイント部分のみに特殊工である溶接工を現場に配置することも不要になる。
【0015】
更に、溶接工の技量に頼ることがないため、通常の作業者によって確実な施工ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至図4は実施例1を示す。
本実施例1は、PCa壁を、上から見て直線状に配置する場合の接合構造を示し、図1は2枚のPCa壁の接合状態を示す正面図。図2は図1のA−A線の拡大平断面図。図3は図2においてB−B線側から見た図でジョイントコンクリートを充填していない図、図4は図2においてC−C線側から見た図でジョイントコンクリートを充填していない図である。
【0018】
一方のPCa壁1の接合端面形状は、図2に示すように、そのPCa壁本体部1aの軸心と直交する端面1bと、該端面1bの内側から表裏面の一方に拡開するように形成されたテーパ面1cとからなる。他方のPCa壁2の接合端面形状も、そのPCa壁本体部2aの軸心と直交する端面2bと、該端面2bの内側から表裏面の一方に拡開するように形成されたテーパ面2cとからなる。このテーパ面1c、2cは両PCa壁1、2の上下方向の全長にわたって形成されている。
【0019】
そして、両PCa壁1、2を図1に示すように接合した場合に、両テーパ面1c、2cとにより、ラッパ状に開口したジョイントコンクリートの充填部(空間)3が形成されるようになっている。この充填部3の開口幅は、後述するコッタ部へのコンクリートの充填作業と、後述するスパイラル筋の挿入が可能な幅に形成されている。
【0020】
前記一方のPCa壁1のテーパ面1cには、図1に示すように、PCa壁1の上下方向において所定の間隔で、部分的にコッタ4が形成されている。該コッタ4は、前記テーパ面1c側が開口した凹状に形成されている。該コッタ4の上下方向の長さは約200mmに形成され、このコッタ4をPCa壁1の上下方向に約200mm間隔で複数形成されている。
【0021】
前記各コッタ4部には、一方のPCa壁1の体内に固定された接合筋5が突設されており、該接合筋5の先部は、充填部3において上方へ曲げられている。この接合筋5の上方への曲げ鉄筋部5aに、後述するスパイラル筋を係合させるようになっている。
【0022】
他方のPCa壁2のテーパ面2cにも、前記コッタ4と同様のコッタ6が形成され、前記接合筋5と同様の接合筋7が設けられ、該接合筋7の先部には前記と同様に充填部3において上方へ曲げた曲げ鉄筋部7aが形成されている。
【0023】
前記両PCa壁1、2のコッタ4、6は、図1及び図2に示すように、接合時に相互に略同一の高さの位置で対向するように形成され、また、両接合筋5、7は、その曲げ鉄筋部5a、7aが接合時に相互に近接するように突出長が設定されている。
【0024】
図2に示す縦ジョイント筋8は、前記両PCa壁1、2の接合部において、基礎等に固定されて立ち上げられており、両PCa壁1、2の上下全長にわたり、1本状で形成されている。
【0025】
そして、両PCa壁1、2を接合位置に設置した際には、その曲げ鉄筋部5a、7aと縦ジョイント筋8の3者が図2に示すように相互に近接する位置に配置されるようになっている。
【0026】
10はスパイラル筋で、その内径が、前記両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8の外部を囲むことができる直径に形成されているとともに、その上下長は図1乃至図4に示すように、前記コッタ4、6の上下長より若干長く形成されている。そして、このスパイラル筋10は、前記各コッタ4、6部が位置する充填部3において、両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8を囲むように配置されている。
【0027】
次に、両PCa壁1、2の接合工程について説明する。
先ず、両PCa壁1、2の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0028】
次に、両PCa壁1、2を、図1に示すように、接合する状態で基礎等の上面に配置する。
【0029】
次に、コンクリートの充填部3からスパイラル筋10を挿入するとともに、このスパイラル筋10を回転させて、その一端を、両曲げ鉄筋部5a、7aと縦ジョイント筋10の外周に位置させ、更に、このスパイラル筋10を回転して、このスパイラル筋10の全長を、両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8の外周に図1及び図3に示すように配置する。このように配置されたスパイラル筋10は、その一部が、両接合筋5、7のいずれか一方に係止されて、その配置状態が保持される。
【0030】
上下方向において複数形成された他のコッタ4、6における両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8にも前記と同様にスパイラル筋10を配置する。
【0031】
また、両PCa壁1、2間に目地材12を充填する。
次に、前記充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、両PCa壁1、2の接合部の上部から、コンクリート用型枠内(充填部3内)へ生コンクリート(ジョイントコンクリート)11を打設して充填する。
【0032】
この生コンクリート11の充填により、そのコンクリート11は、コッタ4、6内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3部の全体に充填される。
【0033】
そして、この充填されたコンクリートの養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のように、コンクリートが硬化すると、両曲げ鉄筋5a、7aと縦ジョイント筋8の外周を囲むスパイラル筋10により、そのスパイラル筋10の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果により、初期の段階でのマイクロクラックが接合部の中央に入ることが抑制され、破壊線が接合部の中央に通ることがなくなる。また、スパイラル筋で覆われているコンクリートは割れずに鉄筋を拘束する。したがって、接合部の最大強度の向上を図ることが出来る。
【0034】
また、PCa壁相互の接合において、現場溶接がなくなることにより、溶接する場合に比べて工賃が低減できる。更には溶接工も不要になり、溶接工の技量に頼ることもなくなり、また、ジョイント部分のみのために特殊工である溶接工を現場に配置することも不要となる。
【0035】
したがって、溶接工の技量に頼ることなく、通常の作業者によって確実な施工ができる。
【実施例2】
【0036】
図5乃至図8は実施例2を示す。
本実施例2は、3枚のPCa壁を、上から見てT状に配置する場合の接合構造を示し、図5は平断面図、図6は第1のPCa壁21と第2のPCa壁22を図5のD−D線側から見た図、図7は図5のE−E線から見た図、図8は第3のPCa壁23の端面図である。
【0037】
この実施例2は、第1のPCa壁21と第2のPCa壁22を直線状に配置し、これらの接合部に第3のPCa壁23を直交的に配置している。
【0038】
この実施例2における第1及び第2のPCa壁21、22は前記第1実施例の一方のPCa壁1と他方のPCa壁2と同様の構造であるため、前記と同一部材及び部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
第3のPCa壁23は、その接合端面23aに凹状のコッタ24が形成され、該コッタ24は、前記第1、第2のPCa壁21、22のコッタ4、6と略同一位置において複数個設けられている。該第3のPCa壁23のコッタ部24にも前記と同様の接合筋25が、その曲げ鉄筋25aが前記曲げ鉄筋5a、7aに近接するように突設されている。
【0040】
また、スパイラル筋10は、3枚のPCa壁21、22、23に設けられた曲げ鉄筋5a、7a、25aの外周を囲むような直径に形成されている。
【0041】
この実施例2における接合工程について説明する。
先ず、3枚のPCa壁21、22、23の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0042】
次に、3枚のPCa壁21、22、23を図5に示すように、T状に接合する状態で基礎等の上面に配置する。このとき、第3のPCa壁23は、図5に示すように、その端面23aが他のPCa壁21、22から若干離れた状態で配設する。これにより、3枚のPCa壁21、22、23の接合には充填部(空間)3が形成される。
【0043】
また、第1、第2、第3の曲げ鉄筋5a、7a、25aは充填部3において相互に近接した位置に配置される。
【0044】
次に、充填部3からスパイラル筋10を前記実施例1と同様に挿入するとともに回転させて、3本の曲げ鉄筋5a、7a、25aと縦ジョイント筋8の外側を囲むように配置する。
【0045】
また、両PCa壁21、22間に目地材12を充填する。
次に、充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、前記実施例1と同様に形枠内に生コンクリート(ジョイントコンクリート)11を打設して充填する。
【0046】
このコンクリートの打設により、前記実施例1と同様に、そのコンクリートが、コッタ4、6、24内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3の全体に充填される。
【0047】
そして、この充填されたコンクリート11の養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のようにコンクリートが硬化すると、両曲げ鉄筋5a、7a、25aと縦ジョイント筋8の外周を囲むスパイラル筋10により、そのスパイラル筋10の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果による前記実施例1と同様の作用、効果を発揮できる。更に、現場溶接がなくなることによる前記実施例1と同様の効果も発揮できる。
【0048】
本実施例2は、例えば図19に示す配置図において、Xで示す部分の溶接に用いられる。
【実施例3】
【0049】
図9乃至図12は実施例3を示す。
本実施例3はPCa壁を、上から見てL状に配置する場合の接合構造を示し、図9は平断面図、図10は一方のPCa壁31を図9のF−F線で見た端面図、図11は図9のG−G線から見た図、図12は他方のPCa壁32のコッタ部を示す図である。
【0050】
一方のPCa壁31の接合端面形状は、前記実施例1における一方のPCa壁1と同様であり、更に、コッタ及び接合筋も同様に設けられている。そのため、該PCa壁31において、前記一方のPCa壁1と同一部分、同一部材は前記と同一符号を付してその説明は省略する。
【0051】
他方のPCa壁32は、前記一方のPCa壁31の端面に直交的に配置されるもので、その一方のPCa壁31の端面と対向する面32aには、コッタ33が形成されている。該コッタ33は、一方のPCa壁31と対向する側面が開口する凹状に形成され、かつ、このコッタ33は、その他方のPCa壁32の上下方向において、前記一方のPCa壁32のコッタ4と略同一長で、かつ、略同間隔に複数形成され、両コッタ、4、33が相互に略同一位置で対向するように形成されている。
【0052】
前記各コッタ33部には、他方のPCa壁32の体内に固定された接合筋34が突設されており、該接合筋34の先端は上方へ曲げられている。この接合筋34の上方への曲げ鉄筋34aに後述するスパイラル筋を係合させるようになっている。
【0053】
また、前記一方のPCa壁31の前記曲げ鉄筋5aと前記他方のPCa壁32の前記曲げ鉄筋34aは、一方のPCa壁31と他方のPCa壁32の間に配筋される後述する縦ジョイント筋8に近接するように形成されている。
【0054】
図9及び図11に示すジョイント筋8は、前記両PCa壁31、32の接合部(充填部3)において、基礎等に固定されて立ち上げられており、両PCa壁31、32の上下全長にわたり一本状で形成されている。
【0055】
そして、両PCa壁31、32を接合位置に設置した際に、その曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の3者が図9に示すように相互に近接する位置に配置されるようになっている。
【0056】
10はスパイラル筋で、その内径が、前記両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の外部を囲むことができる直径に形成されているとともに、その上下長は、図11に示すように、前記コッタ4、33の上下長より若干長く形成されている。そして、このスパイラル筋10は前記各コッタ4、33部において、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8を囲むように配置されている。
【0057】
次に、両PCa壁31、32の接合工程について説明する。
先ず、両PCa壁31、32の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0058】
次に、両PCa壁31、32を、図9に示すように、接合する状態で基礎等の上面に配置する。
【0059】
次に、充填部3からスパイラル筋10を挿入するとともに、このスパイラル筋10を回転させて、その一端を、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋10の外周に位置させ、更に、このスパイラル筋10を回転して、このスパイラル筋10の全長を、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の外周に図9及び図11に示すように配置する。このように配置されたスパイラル筋10は、その一部が、両接合筋5、34のいずれか一方に係止されて、その配置状態が保持される。
【0060】
上下方向において設けられた他のコッタ4、33における両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8にも前記と同様にスパイラル筋10を配置する。
【0061】
また、両PCa壁31、32間に目地材12を充填する。
次に、前記充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、両PCa壁31、32の接合部の上部から、コンクリート用型枠内(充填部3内)へ生コンクリートを打設して充填する。
【0062】
この生コンクリート11の充填により、そのコンクリート11は、コッタ4、33内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3部の全体に充填される。
【0063】
そして、この充填されたコンクリートの養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のように、コンクリートが硬化すると、両曲げ鉄筋5a、34aと縦ジョイント筋8の外周を囲むスパイラル筋10により、そのスパイラル筋10の内側のコンクリートが拘束され、コンファインド効果により、前記実施例1と同様の作用、効果を発揮できる。更に、現場溶接がなくなることによる前記実施例1と同様の効果も発揮できる。
【0064】
本実施例3は、例えば図19に示す配置図において、Yで示す部分の接合に用いられる。
【実施例4】
【0065】
図13乃至図15は実施例4を示す。
本実施例4は、4枚のPCa壁を上から見て十字状に配置する場合の接合構造を示し、図13は平断面図、図14は図13におけるH−H線から見た図、図15は図13におけるI−I線から見た図である。
【0066】
この実施例4は、前記実施例2における第3のPCa壁23と同様のPCa壁を4枚用いて十字状に配置している。
【0067】
すなわち、各PCa壁41〜44には、その接合端面41a〜44aに前記と同様の凹状のコッタ45〜48が上下に複数形成され、かつ、相互に略同一位置(同一高さ)において対向するように形成されている。
【0068】
更に、各コッタ45〜48部には、前記と同様な接合筋49〜52が突設され、その先端に前記と同様の曲げ鉄筋49a〜52aが形成されている。これらの曲げ鉄筋49a〜52aは、図13に示すように、各PCa壁41〜44を接合状態に配置した場合に、図13に示すように、充填部3において相互に近接するように設けられている。
【0069】
また、前記と同様のスパイラル筋10は、4本の曲げ鉄筋49a〜52aと縦ジョイント筋8の外周を囲むような直径に形成されている。
【0070】
この実施例4における接合工程について説明する。
先ず、4枚のPCa壁41〜44の接合位置において、縦ジョイント筋8を基礎等に固定して立設する。
【0071】
次に、4枚のPCa壁41〜44を、図13に示すように、十字状に接合する状態で基礎等の上面に配置する。このとき、各PCa壁41〜44は、図13に示すように、各端面41a〜44aが、他のPCa壁の側面から若干離れた位置で配設する。これにより、4枚のPCa壁41〜44の接合端面41a〜44a間には充填部(空間)3が形成される。
【0072】
また、各PCa壁41〜44に設けられた接合筋49〜52の曲げ鉄筋49a〜52aと縦ジョイント筋8は図10に示すように充填部3において相互に近接した状態に配置される。
【0073】
次に、充填部3からスパイラル筋10を挿入するとともに、前記実施例1と同様に回転させて、4本の曲げ鉄筋49a〜52aと縦ジョイント筋8を囲むように配置する。
【0074】
次に、充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、前記実施例と同様に型枠内に生コンクリート(ジョイントコンクリート)11を打設して充填する。
【0075】
このコンクリート11の打設により、前記実施例1と同様に、そのコンクリート11が、コッタ45〜48内、スパイラル筋10で囲まれた内部及び外部、充填部3部の全体に充填される。
【0076】
そして、この充填されたコンクリートの養生、硬化後、前記の型枠を外す。
以上のように、コンクリートが硬化することにより、本実施例4においても、前記実施例1と同様の作用、効果を発揮する。
【0077】
本実施例4は、例えば図19に示す配置図において、Zで示す部分の接合に用いられる。
【実施例5】
【0078】
図16乃至図18は、前記実施例4の変形例である。
本実施例5は、前記実施例4における接合筋49〜52の突出量を少なくし、その接合筋49〜52の曲げ鉄筋49a〜52aを前記縦ジョイント筋8に近接させることなく、各PCa壁41〜44の端面41a〜44aの近くに配置している。
【0079】
そして、2本のコ字状のジョイント筋55、56をその脚部55a、55a、56a、56aが下向きになるようにして、十字状に配置し、その一方のジョイント筋55の脚部55a、55aが、前記対向する位置の曲げ鉄筋49a、51aに近接するように配置し、また、他方のジョイント筋56の脚部56a、56aが対向する位置の曲げ鉄筋50a、52aに近接するようにして、各近接した脚部と曲げ鉄筋の外周に各々スパイラル筋10を配置したものである。
【0080】
その他の構造は前記実施例4と同様でるため、同一部には前記と同一符号を付してその説明を所略する。
【0081】
本実施例5の接合工法について説明する。
先ず、前記実施例4と同様に、縦ジョイント筋8と各PCa壁41〜44を配設する。
【0082】
次に、一方のジョイント筋55を、その両脚部55a、55aを下向きにして、対向するPCa壁41、43の曲げ鉄筋49a、51aに近接させて、手で支持しながら、一方の脚部55aと一方の曲げ鉄筋49aの外周にスパイラル筋10を回転して配置する。また、他方の脚部55aと他方の曲げ鉄筋51aの外周に、他のスパイラル筋10を回転して配置する。
【0083】
次に、他方のジョイント筋56を上記とは別の対向するPCa壁42、44の曲げ鉄筋50a、52aの間に配置し、前記と同様に、他のスパイラル筋10を回転して脚部56aと曲げ鉄筋50aの外周及び、脚部56aと曲げ鉄筋52aの外周にスパイラル筋10を配置する。
【0084】
すなわち、図16に示すように、接合部の4隅に位置して4本の曲げ鉄筋49a〜52aが配置され、2本のジョイント筋55、56が十字状に配置され、その2本のジョイント筋55、56の各脚部55a、56aと各曲げ鉄筋49a〜52aが近接され、各近接した脚部と曲げ鉄筋がそれぞれ一本のスパイラル筋10で囲まれる。
【0085】
次に、充填部3の外側にコンクリート用型枠(図示せず)を配置し、この形枠内に前記と同様に生コンクリート11を打設する。
【0086】
以降の工程は前記と同様である。
本実施例5においても前記と同様の作用、効果を発揮する。
【0087】
なお、前記各実施例においては、曲げ鉄筋5a、7a、34a、49a〜52aを上向きに曲げたが、これを下向きに曲げても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施例1を示す正面図。
【図2】図1におけるA−A線拡大平断面図。
【図3】図2におけるB−B線側からみた図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図4】図2におけるC−C線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図5】本発明の実施例2を示すもので、接合部の平断面図。
【図6】図5におけるD−D線側からみた図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図7】図5におけるE−E線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図8】図5における第3のPCa壁23の端面図。
【図9】本発明の実施例3を示すもので、接合部の平断面図。
【図10】図9におけるF−F線側から見たPCa壁31の端面図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図11】図9におけるG−G線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図12】図9における一方のPCa壁32のコッタ部を示す図。
【図13】本発明の実施例4を示すもので、接合部の平断面図。
【図14】図13におけるH−H線側からみた図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図15】図13におけるI−I線側から見た図で、ジョイントコンクリートを打設していない図。
【図16】本発明の実施例5を示すもので、接合部の平断面図。
【図17】図16におけるJ−J線側からみた図。
【図18】図16におけるK−K線側から見た図。
【図19】本発明の接合構造を適用したPCa壁の配置側を示す図。
【符号の説明】
【0089】
1、2、21、22、31、32、41〜44 PCa壁
1c、2c テーパ面
3 充填部
5、7、25、34、49〜52 接合筋
5a、7a、25a、34a、49a〜52a 曲げ鉄筋
8 縦ジョイント筋
10 スパイラル筋
11 ジョイントコンクリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、該複数の曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【請求項2】
前記接合部に、縦ジョイント筋を立設し、該縦ジョイント筋を、前記スパイラル筋の内側に配置したことを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【請求項3】
前記請求項1又は2記載のプレキャストコンクリート壁の接合構造において、プレキャストコンクリート壁の接合端面からそのプレキャストコンクリートの表裏面の一方の面に向かって開くテーパ面を、そのプレキャストコンクリート壁の上下方向の全長にわたって形成し、該テーパ面に前記コッタを部分的に形成したことを特徴とするプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【請求項4】
1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、対向するプレキャストコンクリートの接合面間に、両端に上下方向の一方に折曲した脚部を有するジョイント筋を配置し、該ジョイント筋の脚部と、前記曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【請求項1】
1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、該複数の曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【請求項2】
前記接合部に、縦ジョイント筋を立設し、該縦ジョイント筋を、前記スパイラル筋の内側に配置したことを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【請求項3】
前記請求項1又は2記載のプレキャストコンクリート壁の接合構造において、プレキャストコンクリート壁の接合端面からそのプレキャストコンクリートの表裏面の一方の面に向かって開くテーパ面を、そのプレキャストコンクリート壁の上下方向の全長にわたって形成し、該テーパ面に前記コッタを部分的に形成したことを特徴とするプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【請求項4】
1つの接合部において複数のプレキャストコンクリート壁を接合する接合構造であって、各プレキャストコンクリート壁の接合端部に凹状のコッタを、該各コッタが相互に略同一高さの位置になるように形成し、各プレキャストコンクリート壁には、前記コッタ部から突出する接合筋を設け、該各接合筋の突出端には上下方向の一方に折曲した曲げ鉄筋を形成し、対向するプレキャストコンクリートの接合面間に、両端に上下方向の一方に折曲した脚部を有するジョイント筋を配置し、該ジョイント筋の脚部と、前記曲げ鉄筋の外周を囲むようにスパイラル筋を配置し、プレキャストコンクリート壁の接合部に、前記コッタと曲げ鉄筋とスパイラル筋を埋設するようにジョイントコンクリートを打設することを特徴とするプレキャストコンクリート壁相互の接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−217869(P2007−217869A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36135(P2006−36135)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000241474)トヨタT&S建設株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000241474)トヨタT&S建設株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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