プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法
【課題】プレキャストコンクリート部材の接合部における目地部外周に容易に、且つ確実に位置決めできるチューブ体を使用することにより、天候に左右されずに作業を行うことができ、グラウトの外部への漏出を確実に防止できる、施工性、経済性、融通性に非常に優れたプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を提供する。
【解決手段】プレキャストコンクリート部材の接合部１０の外周面に沿って閉塞部材３を巻き付けて同接合部１０における目地部Ｘ外周を閉塞する工程と、前記閉塞部材３を取り囲むように膨張及び収縮が可能なチューブ体４を配置する工程と、前記チューブ体４にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体４を膨張させることにより前記閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成る。
【解決手段】プレキャストコンクリート部材の接合部１０の外周面に沿って閉塞部材３を巻き付けて同接合部１０における目地部Ｘ外周を閉塞する工程と、前記閉塞部材３を取り囲むように膨張及び収縮が可能なチューブ体４を配置する工程と、前記チューブ体４にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体４を膨張させることにより前記閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、プレキャストコンクリート部材同士の接合をグラウト充填方式で行う場合に、同接合部の目地部からグラウトが漏出することを防止する目地止め方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【０００２】
従来、プレキャスト工法において、プレキャストコンクリート部材同士の接合をグラウト充填方式で行う場合、同接合部の目地部からグラウトが漏出することを防止するべく、目地部外周縁部に沿ってパッカーを設置して行う目地止め方法（以下、パッカー案という。）や、目地部外周縁部に沿ってグラウトの固練り材を詰める目地止め方法（以下、グラウト案という。）が広く知られているところである。
【０００３】
パッカー案は、通常、目地部外周縁部に沿ってパッカーを設置して目地部外周を閉塞した後、プレキャストコンクリート部材の接合部にグラウトを充填する。グラウトが硬化した後にパッカーを撤去し、パッカー糊をケレンした後、パッカー設置跡にグラウトを詰める手順で実施される。
グラウト案は、通常、目地部外周縁部に沿ってグラウトの固練り材を詰めて十分に養生した後、プレキャストコンクリート部材の接合部にグラウトを充填する手順で実施される（例えば、特許文献１の図６参照）。
【０００４】
前記パッカー案は、施工手順が多く、手間がかかり、作業性及び経済性が悪いという問題があった。また、降雨時にはパッカー糊が定着しないため作業ができないという問題があった。さらに、パッカーの弾性変形により、プレキャストコンクリート梁の通り（建ち）直しをした後に修正前の位置に戻る虞があった。その他、パッカーは使い捨てのため、産業廃棄物になるという問題もあった。
前記グラウト案は、施工手順は少ないものの、通常、グラウト充填作業の前日までにグラウトの固練り材を詰めて養生しておかねばならず、工期がかかり、経済的でなかった。また、前記パッカー案同様、降雨時にはグラウト施工ができず、寒冷地においてはグラウトの凍結防止養生がさらに必要になるなど、天候に左右されるという問題もあった。さらに、各階床までグラウト材料を荷揚げして供給する必要もあり、作業性が悪かった。
【０００５】
そこで近年、前記パッカー案やグラウト案のような天候に左右される湿式方式に対し、型枠を使用した天候に左右されない乾式方式が採用されている（例えば、特許文献１、２を参照）。
【０００６】
前記特許文献１に係る技術は、目地部外周にゴムパッキンを装着し、その外側に、４体の鋼製枠片を、溶接や蝶番或いはボルト及びナットを利用して組み立てた型枠をセットして実施している（同文献１の図１〜図５を参照）。
前記特許文献２に係る技術は、直線状の４本のシール枠を、各シール枠の一端にその端面に対向して前後移動する押しボルトがねじ調整可能に設けられ、各シール枠の押しボルトとその対向端面との間に他のシール枠の押しボルトを有しない方の端部を挟みつけることにより井桁状に組み立てた型枠を、目地部外周に隙間なく設置して実施している。
【０００７】
前記特許文献１、２に係る技術は、ともに乾式方式で実施しているが故に、天候等に左右されずに実施できる利点がある。また、施工手順も少なく、グラウト材料を荷揚げする必要もない。
【０００８】
【特許文献１】実開平５−８３１９５号公報
【特許文献２】特開平６−４３１４３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
特許文献１に係る技術は、型枠の大きさを調整する手段が一切なく、果たして、プレキャストコンクリート部材同士の接合部にきっちり位置決めして定着できるのかはなはだ疑問である。ましてやゴムパッキンをグラウト充填圧より大きい圧力で押圧してグラウトの流出を防止することは到底できないと考えられる。また、径の異なるプレキャストコンクリート部材に対応するには、新たに型枠を製作しなければならず、融通性もなく不経済である。
【００１０】
特許文献２に係る技術は、型枠の大きさを調整できるので、前記特許文献１に係る問題は生じない。しかしながら、調整手段を設けたことで、部材点数も多く、所定の位置に位置決めして定着させる作業が面倒で作業性が悪いという問題がある。また、径の異なるプレキャストコンクリート部材にはある程度対応できるものの、異形状のプレキャストコンクリート部材、極端に言えば円柱形状のプレキャストコンクリート部材には一切対応できないという問題がある。
【００１１】
本発明の目的は、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地部外周に容易に、且つ確実に位置決めできるチューブ体を使用することにより、天候に左右されずに作業を行うことができ、グラウトの外部への漏出を確実に防止できることは勿論、径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる、施工性、経済性、融通性に非常に優れたプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項１に記載した発明に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように、膨張及び収縮が可能なチューブ体を配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させることにより、前記閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする。
【００１３】
請求項２に記載した発明に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように非伸縮性部材をルーズに設け、前記閉塞部材と前記非伸縮性部材との間に、チューブ体を周方向に複数配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させてその外側の非伸縮性部材を緊張させることにより、その内側の閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする。
【００１４】
請求項３に記載した発明は、請求項１又は２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記閉塞部材は、ゴム、或いはポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成るシール部材とすることを特徴とする。
【００１５】
請求項４に記載した発明は、請求項１に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張する複数のチューブと、隣り合うチューブを連通する連結パイプとで形成することを特徴とする。
【００１６】
請求項５に記載した発明は、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張することを特徴とする。
【００１７】
請求項６に記載した発明は、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記非伸縮性部材はチェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ材とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１８】
請求項１〜請求項６に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、下記する効果を奏する。
１）プレキャストコンクリート部材の接合部における目地部外周をしっかり閉塞する閉塞部材（ゴム、或いはポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成るシール部材）を、容易に、且つ確実に位置決めできるチューブ体を利用してグラウト充填圧より大きな圧力で支持させて実施するので、グラウトの外部への漏出を確実に防止することができる。また、グラウト充填後の目地部の追加充填が不要となる。よって、施工性に優れている。
２）径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる。よって、融通性に優れている。
３）所謂乾式方式で実施しているが故に、天候等に左右されずに実施でき、施工手順も少なく、モルタル材料を荷揚げする必要もない。よって、施工性に優れている。
４）グラウト充填作業を行い、当該グラウトが硬化したことを確認した後は、容易に取り外して他の接合部のグラウト充填作業にスムーズに転用することができるので、産業廃棄物を少なくすることができる。よって、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、上述した発明の効果を奏するべく、以下のように実施される。
【実施例１】
【００２０】
図１〜図３は、請求項１に記載したプレキャストコンクリート部材１、２の接合部１０における目地止め方法の実施例を示している。この目地止め方法は、前記接合部１０の外周面に沿って閉塞部材３を巻き付けて同接合部１０における目地部Ｘの外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材３を取り囲むように、膨張及び収縮が可能なチューブ体４を配置する工程と、
前記チューブ体４にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体４を膨張させることにより、前記閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成る（請求項１記載の発明）。
【００２１】
図示例に係る前記プレキャストコンクリート部材１、２は、ともに柱部材として実施しており、前記目地部Ｘは、上位側の柱部材１の柱脚部と下位側の柱部材２の柱頭部との間に形成して実施している。図示例に係る前記プレキャストコンクリート部材１、２の内部構造については、下位側の柱部材２の上面に複数の柱主筋５を突設し、上位側の柱部材１の柱脚部に主筋のスリーブ継手６を設けた所謂串刺し構造で実施している。実施形態は勿論これに限定されず、図示は省略するが、上位側の柱部材１の下面に複数の柱主筋５を突設し、下位側の柱部材１の柱頭部に主筋のスリーブ継手６を設けた所謂逆串刺し構造にも同様に適用できる。ちなみに、図中の符号６ａは、グラウト充填孔、或いは空気抜き孔を示している。以下に説明する実施例２についても同様の技術的思想とする。
【００２２】
前記目地部Ｘの外周を閉塞する閉塞部材３としては、ゴム製のシール（止水性）部材３を使用しているが、これに限定されるものではなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニール等の熱可塑性樹脂からなるシール部材でも同様に実施できる（請求項３記載の発明）。要するに、前記シール部材３は、止水性を有するものであればよい。本実施例では、前記目地部Ｘの上下位のプレキャストコンクリート柱部材１、２に十分に跨る幅を有するシール部材３を使用し、同柱部材１、２の外周面に沿ってテーピングして目地部Ｘの外周を閉塞する。ちなみに、前記シール部材３は、グラウト充填圧に十分に対処するべく、前記柱部材１、２の外周面に沿って二重、三重に巻き付けて実施することもできる。以下に説明する実施例２についても同様の技術的思想とする。
【００２３】
前記チューブ体４は、本実施例では、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張する複数のチューブ４ａ…と、隣り合うチューブ４ａ、４ａを連通する連結パイプ４ｂとで形成して実施している（請求項４記載の発明）。なお、本実施例に係る流動性材料にはエアを使用し、チューブ体４はこれに応じてエアチューブ体４を使用して実施している。勿論、前記流動性材料はエアに限定されるものではなく、水等の流動性材料でも同様に実施することができる。具体的に、図示例に係る前記チューブ４ａは計１２体使用し、前記柱部材１、２の一側面当たり３体当接するようにバランス良く配設して実施している。前記チューブ４ａ及び連結パイプ４ｂの数及び大きさは勿論図示例に限定されず、適用する前記柱部材１、２の大きさや形態等に応じて適宜設計変更可能である。ちなみに、図中の符号９は、エア等の流動性材料を供給する供給口を示している。また、前記チューブ体４のチューブ４ａは、前記柱部材１、２の側面中央部に配置するように実施することが好ましい。当該部位にグラウト充填圧が大きく作用し、前記シール部材（閉塞部材）３が外方に膨らみ易いからである。さらに、前記チューブ４ａは、連結パイプ４ｂと比して膨張し易い材質で形成して実施することにも留意する。
【００２４】
なお、前記チューブ体４は、複数のチューブ体４を機械式継手等で一連に接続することにより無端状に形成して実施している。また、前記チューブ体４のチューブ４ａの膨張形状は、特に太鼓形状に限定されるものでもない。さらに、グラウト充填圧がさほど大きくない場合には、汎用のチューブ体、即ちエア等の流動性材料を供給すると細長い棒状に膨張するチューブ体で実施することもできる。
【００２５】
したがって、上述した目地止め工法によれば、前記接合部１０における目地部Ｘの外周をしっかりテーピングして閉塞したシール部材（閉塞部材）３の外側面に、チューブ体４を容易に且つ確実に位置決めし、前記チューブ体４にエア、水等の流動性材料を供給して該チューブ体４を膨張させて前記シール部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で押圧して実施するので、充填するグラウトの外部への漏出を確実に防止することができる。また、前記シール部材３及びチューブ体４は、前記（柱）部材１、２に大きさ及び形状に応じてフレキシブルに変形可能なので、径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる。
【実施例２】
【００２６】
図１と図４、図５は、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材１、２の接合部１０における目地止め方法の実施例を示している。この実施例２に係る目地止め方法は、上記実施例１と比して、前記閉塞部材３を押圧する手法（部材）のみが主に相違する。
【００２７】
すなわち、この実施例２に係る目地止め方法は、前記接合部１０の外周面に沿って閉塞部材３を巻き付けて同接合部１０における目地部Ｘの外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材３を取り囲むように非伸縮性部材７をルーズに設け、前記閉塞部材３と前記非伸縮性部材７との間に、チューブ体８を周方向に複数配置する工程と、
前記チューブ体８にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体８を膨張させてその外側の非伸縮性部材７を緊張させることにより、その内側の閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成る（請求項２記載の発明）。
【００２８】
前記プレキャストコンクリート部材１、２は柱部材１、２で実施する等の説明は、上記段落［００２１］で説明した通りなので、割愛する。また、前記閉塞部材３に係る説明は、上記段落［００２２］で説明した通りなので、割愛する。
【００２９】
前記非伸縮性部材７は、チェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ材が好適に使用される（請求項６記載の発明）。前記非伸縮性部材７は、前記目地部Ｘに沿って前記柱部材１、２を取り囲む形態で、該柱部材１、２の外周より十分に長い寸法で実施される。具体的には、その内側の閉塞部材３との間に設けるチューブ体８を介在させ得る長さで実施する。なお、前記非伸縮性部材７は、現場で複数のチェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ７を一連に接続して無端状に形成して実施している。前記ワイヤーロープで実施する場合には、接続専用クリップを使用して一連に連結するのが好ましい。
【００３０】
前記チューブ体８は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張するものが好適に使用される（請求項５記載の発明）。本実施例では、閉塞部材３と非伸縮性部材７との間に、柱部材１、２の一側面当たり１体ずつ、計４体設けて実施している。また、前記チューブ体８は、前記柱部材１、２の側面中央部に配置するように実施することが好ましい。当該部位にグラウト充填圧が大きく作用し、前記閉塞部材３が外方に膨らみ易いからである。なお、前記チューブ体８の設置数及び大きさは勿論図示例に限定されず、適用する前記柱部材１、２の大きさや形態等に応じて適宜設計変更可能である。
【００３１】
したがって、上述した目地止め工法によれば、前記接合部１０における目地部Ｘの外周をしっかりテーピングして閉塞したシール部材（閉塞部材）３の外側面に、前記閉塞部材３の外側面に沿って、非伸縮性部材７をルーズに設け、前記閉塞部材３と前記非伸縮性部材７との間にチューブ体８を周方向に複数配置し、前記チューブ体８にエア、水等の流動性材料を供給して該チューブ体８を膨張させてその外側の非伸縮性部材７を緊張させることにより、その内側の閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させて実施するので、充填するグラウトの外部への漏出を確実に防止することができる。また、前記閉塞部材３及び非伸縮性部材７並びにチューブ体８は、前記（柱）部材１、２に大きさ及び形状に応じてフレキシブルに変形可能なので、径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる。
【００３２】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。例えば、本実施例では、プレキャストコンクリート柱部材１、２同士の接合に適用しているが、プレキャストコンクリート梁部材同士の接合にもほぼ同様に適用できる。また、図６Ａ〜Ｃにバリエーションを概略的に示したように、柱１、２又は梁１１における柱梁接合部位の形状を、柱１、２又は梁１１に対して若干（図示例では１０ｃｍ程度）突き出した形態で実施することにより、柱と梁との接合にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】実施例１及び実施例２に係るプレキャストコンクリート部材の接合部の外周面に閉塞部材を巻き付けた段階を示した立断面図である。
【図２】実施例１に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した正面図である。
【図３】実施例１に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した平面図である。
【図４】実施例２に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した正面図である。
【図５】実施例２に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した平面図である。
【図６】Ａ〜Ｃはそれぞれ、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法のバリエーションを概略的に示した正面図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ プレキャストコンクリート部材（柱部材）
２ プレキャストコンクリート部材（柱部材）
３ 閉塞部材（シール部材）
４ チューブ体
４ａ チューブ
４ｂ 連結パイプ
５ 主筋（柱主筋）
６ スリーブ継手
６ａ グラウト充填孔（空気抜き孔）
７ 非伸縮性部材
８ チューブ体
９ 供給口
１０ 接合部
【技術分野】
【０００１】
この発明は、プレキャストコンクリート部材同士の接合をグラウト充填方式で行う場合に、同接合部の目地部からグラウトが漏出することを防止する目地止め方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【０００２】
従来、プレキャスト工法において、プレキャストコンクリート部材同士の接合をグラウト充填方式で行う場合、同接合部の目地部からグラウトが漏出することを防止するべく、目地部外周縁部に沿ってパッカーを設置して行う目地止め方法（以下、パッカー案という。）や、目地部外周縁部に沿ってグラウトの固練り材を詰める目地止め方法（以下、グラウト案という。）が広く知られているところである。
【０００３】
パッカー案は、通常、目地部外周縁部に沿ってパッカーを設置して目地部外周を閉塞した後、プレキャストコンクリート部材の接合部にグラウトを充填する。グラウトが硬化した後にパッカーを撤去し、パッカー糊をケレンした後、パッカー設置跡にグラウトを詰める手順で実施される。
グラウト案は、通常、目地部外周縁部に沿ってグラウトの固練り材を詰めて十分に養生した後、プレキャストコンクリート部材の接合部にグラウトを充填する手順で実施される（例えば、特許文献１の図６参照）。
【０００４】
前記パッカー案は、施工手順が多く、手間がかかり、作業性及び経済性が悪いという問題があった。また、降雨時にはパッカー糊が定着しないため作業ができないという問題があった。さらに、パッカーの弾性変形により、プレキャストコンクリート梁の通り（建ち）直しをした後に修正前の位置に戻る虞があった。その他、パッカーは使い捨てのため、産業廃棄物になるという問題もあった。
前記グラウト案は、施工手順は少ないものの、通常、グラウト充填作業の前日までにグラウトの固練り材を詰めて養生しておかねばならず、工期がかかり、経済的でなかった。また、前記パッカー案同様、降雨時にはグラウト施工ができず、寒冷地においてはグラウトの凍結防止養生がさらに必要になるなど、天候に左右されるという問題もあった。さらに、各階床までグラウト材料を荷揚げして供給する必要もあり、作業性が悪かった。
【０００５】
そこで近年、前記パッカー案やグラウト案のような天候に左右される湿式方式に対し、型枠を使用した天候に左右されない乾式方式が採用されている（例えば、特許文献１、２を参照）。
【０００６】
前記特許文献１に係る技術は、目地部外周にゴムパッキンを装着し、その外側に、４体の鋼製枠片を、溶接や蝶番或いはボルト及びナットを利用して組み立てた型枠をセットして実施している（同文献１の図１〜図５を参照）。
前記特許文献２に係る技術は、直線状の４本のシール枠を、各シール枠の一端にその端面に対向して前後移動する押しボルトがねじ調整可能に設けられ、各シール枠の押しボルトとその対向端面との間に他のシール枠の押しボルトを有しない方の端部を挟みつけることにより井桁状に組み立てた型枠を、目地部外周に隙間なく設置して実施している。
【０００７】
前記特許文献１、２に係る技術は、ともに乾式方式で実施しているが故に、天候等に左右されずに実施できる利点がある。また、施工手順も少なく、グラウト材料を荷揚げする必要もない。
【０００８】
【特許文献１】実開平５−８３１９５号公報
【特許文献２】特開平６−４３１４３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
特許文献１に係る技術は、型枠の大きさを調整する手段が一切なく、果たして、プレキャストコンクリート部材同士の接合部にきっちり位置決めして定着できるのかはなはだ疑問である。ましてやゴムパッキンをグラウト充填圧より大きい圧力で押圧してグラウトの流出を防止することは到底できないと考えられる。また、径の異なるプレキャストコンクリート部材に対応するには、新たに型枠を製作しなければならず、融通性もなく不経済である。
【００１０】
特許文献２に係る技術は、型枠の大きさを調整できるので、前記特許文献１に係る問題は生じない。しかしながら、調整手段を設けたことで、部材点数も多く、所定の位置に位置決めして定着させる作業が面倒で作業性が悪いという問題がある。また、径の異なるプレキャストコンクリート部材にはある程度対応できるものの、異形状のプレキャストコンクリート部材、極端に言えば円柱形状のプレキャストコンクリート部材には一切対応できないという問題がある。
【００１１】
本発明の目的は、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地部外周に容易に、且つ確実に位置決めできるチューブ体を使用することにより、天候に左右されずに作業を行うことができ、グラウトの外部への漏出を確実に防止できることは勿論、径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる、施工性、経済性、融通性に非常に優れたプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項１に記載した発明に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように、膨張及び収縮が可能なチューブ体を配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させることにより、前記閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする。
【００１３】
請求項２に記載した発明に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように非伸縮性部材をルーズに設け、前記閉塞部材と前記非伸縮性部材との間に、チューブ体を周方向に複数配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させてその外側の非伸縮性部材を緊張させることにより、その内側の閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする。
【００１４】
請求項３に記載した発明は、請求項１又は２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記閉塞部材は、ゴム、或いはポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成るシール部材とすることを特徴とする。
【００１５】
請求項４に記載した発明は、請求項１に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張する複数のチューブと、隣り合うチューブを連通する連結パイプとで形成することを特徴とする。
【００１６】
請求項５に記載した発明は、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張することを特徴とする。
【００１７】
請求項６に記載した発明は、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法において、前記非伸縮性部材はチェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ材とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１８】
請求項１〜請求項６に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、下記する効果を奏する。
１）プレキャストコンクリート部材の接合部における目地部外周をしっかり閉塞する閉塞部材（ゴム、或いはポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成るシール部材）を、容易に、且つ確実に位置決めできるチューブ体を利用してグラウト充填圧より大きな圧力で支持させて実施するので、グラウトの外部への漏出を確実に防止することができる。また、グラウト充填後の目地部の追加充填が不要となる。よって、施工性に優れている。
２）径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる。よって、融通性に優れている。
３）所謂乾式方式で実施しているが故に、天候等に左右されずに実施でき、施工手順も少なく、モルタル材料を荷揚げする必要もない。よって、施工性に優れている。
４）グラウト充填作業を行い、当該グラウトが硬化したことを確認した後は、容易に取り外して他の接合部のグラウト充填作業にスムーズに転用することができるので、産業廃棄物を少なくすることができる。よって、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法は、上述した発明の効果を奏するべく、以下のように実施される。
【実施例１】
【００２０】
図１〜図３は、請求項１に記載したプレキャストコンクリート部材１、２の接合部１０における目地止め方法の実施例を示している。この目地止め方法は、前記接合部１０の外周面に沿って閉塞部材３を巻き付けて同接合部１０における目地部Ｘの外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材３を取り囲むように、膨張及び収縮が可能なチューブ体４を配置する工程と、
前記チューブ体４にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体４を膨張させることにより、前記閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成る（請求項１記載の発明）。
【００２１】
図示例に係る前記プレキャストコンクリート部材１、２は、ともに柱部材として実施しており、前記目地部Ｘは、上位側の柱部材１の柱脚部と下位側の柱部材２の柱頭部との間に形成して実施している。図示例に係る前記プレキャストコンクリート部材１、２の内部構造については、下位側の柱部材２の上面に複数の柱主筋５を突設し、上位側の柱部材１の柱脚部に主筋のスリーブ継手６を設けた所謂串刺し構造で実施している。実施形態は勿論これに限定されず、図示は省略するが、上位側の柱部材１の下面に複数の柱主筋５を突設し、下位側の柱部材１の柱頭部に主筋のスリーブ継手６を設けた所謂逆串刺し構造にも同様に適用できる。ちなみに、図中の符号６ａは、グラウト充填孔、或いは空気抜き孔を示している。以下に説明する実施例２についても同様の技術的思想とする。
【００２２】
前記目地部Ｘの外周を閉塞する閉塞部材３としては、ゴム製のシール（止水性）部材３を使用しているが、これに限定されるものではなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニール等の熱可塑性樹脂からなるシール部材でも同様に実施できる（請求項３記載の発明）。要するに、前記シール部材３は、止水性を有するものであればよい。本実施例では、前記目地部Ｘの上下位のプレキャストコンクリート柱部材１、２に十分に跨る幅を有するシール部材３を使用し、同柱部材１、２の外周面に沿ってテーピングして目地部Ｘの外周を閉塞する。ちなみに、前記シール部材３は、グラウト充填圧に十分に対処するべく、前記柱部材１、２の外周面に沿って二重、三重に巻き付けて実施することもできる。以下に説明する実施例２についても同様の技術的思想とする。
【００２３】
前記チューブ体４は、本実施例では、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張する複数のチューブ４ａ…と、隣り合うチューブ４ａ、４ａを連通する連結パイプ４ｂとで形成して実施している（請求項４記載の発明）。なお、本実施例に係る流動性材料にはエアを使用し、チューブ体４はこれに応じてエアチューブ体４を使用して実施している。勿論、前記流動性材料はエアに限定されるものではなく、水等の流動性材料でも同様に実施することができる。具体的に、図示例に係る前記チューブ４ａは計１２体使用し、前記柱部材１、２の一側面当たり３体当接するようにバランス良く配設して実施している。前記チューブ４ａ及び連結パイプ４ｂの数及び大きさは勿論図示例に限定されず、適用する前記柱部材１、２の大きさや形態等に応じて適宜設計変更可能である。ちなみに、図中の符号９は、エア等の流動性材料を供給する供給口を示している。また、前記チューブ体４のチューブ４ａは、前記柱部材１、２の側面中央部に配置するように実施することが好ましい。当該部位にグラウト充填圧が大きく作用し、前記シール部材（閉塞部材）３が外方に膨らみ易いからである。さらに、前記チューブ４ａは、連結パイプ４ｂと比して膨張し易い材質で形成して実施することにも留意する。
【００２４】
なお、前記チューブ体４は、複数のチューブ体４を機械式継手等で一連に接続することにより無端状に形成して実施している。また、前記チューブ体４のチューブ４ａの膨張形状は、特に太鼓形状に限定されるものでもない。さらに、グラウト充填圧がさほど大きくない場合には、汎用のチューブ体、即ちエア等の流動性材料を供給すると細長い棒状に膨張するチューブ体で実施することもできる。
【００２５】
したがって、上述した目地止め工法によれば、前記接合部１０における目地部Ｘの外周をしっかりテーピングして閉塞したシール部材（閉塞部材）３の外側面に、チューブ体４を容易に且つ確実に位置決めし、前記チューブ体４にエア、水等の流動性材料を供給して該チューブ体４を膨張させて前記シール部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で押圧して実施するので、充填するグラウトの外部への漏出を確実に防止することができる。また、前記シール部材３及びチューブ体４は、前記（柱）部材１、２に大きさ及び形状に応じてフレキシブルに変形可能なので、径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる。
【実施例２】
【００２６】
図１と図４、図５は、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材１、２の接合部１０における目地止め方法の実施例を示している。この実施例２に係る目地止め方法は、上記実施例１と比して、前記閉塞部材３を押圧する手法（部材）のみが主に相違する。
【００２７】
すなわち、この実施例２に係る目地止め方法は、前記接合部１０の外周面に沿って閉塞部材３を巻き付けて同接合部１０における目地部Ｘの外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材３を取り囲むように非伸縮性部材７をルーズに設け、前記閉塞部材３と前記非伸縮性部材７との間に、チューブ体８を周方向に複数配置する工程と、
前記チューブ体８にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体８を膨張させてその外側の非伸縮性部材７を緊張させることにより、その内側の閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成る（請求項２記載の発明）。
【００２８】
前記プレキャストコンクリート部材１、２は柱部材１、２で実施する等の説明は、上記段落［００２１］で説明した通りなので、割愛する。また、前記閉塞部材３に係る説明は、上記段落［００２２］で説明した通りなので、割愛する。
【００２９】
前記非伸縮性部材７は、チェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ材が好適に使用される（請求項６記載の発明）。前記非伸縮性部材７は、前記目地部Ｘに沿って前記柱部材１、２を取り囲む形態で、該柱部材１、２の外周より十分に長い寸法で実施される。具体的には、その内側の閉塞部材３との間に設けるチューブ体８を介在させ得る長さで実施する。なお、前記非伸縮性部材７は、現場で複数のチェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ７を一連に接続して無端状に形成して実施している。前記ワイヤーロープで実施する場合には、接続専用クリップを使用して一連に連結するのが好ましい。
【００３０】
前記チューブ体８は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張するものが好適に使用される（請求項５記載の発明）。本実施例では、閉塞部材３と非伸縮性部材７との間に、柱部材１、２の一側面当たり１体ずつ、計４体設けて実施している。また、前記チューブ体８は、前記柱部材１、２の側面中央部に配置するように実施することが好ましい。当該部位にグラウト充填圧が大きく作用し、前記閉塞部材３が外方に膨らみ易いからである。なお、前記チューブ体８の設置数及び大きさは勿論図示例に限定されず、適用する前記柱部材１、２の大きさや形態等に応じて適宜設計変更可能である。
【００３１】
したがって、上述した目地止め工法によれば、前記接合部１０における目地部Ｘの外周をしっかりテーピングして閉塞したシール部材（閉塞部材）３の外側面に、前記閉塞部材３の外側面に沿って、非伸縮性部材７をルーズに設け、前記閉塞部材３と前記非伸縮性部材７との間にチューブ体８を周方向に複数配置し、前記チューブ体８にエア、水等の流動性材料を供給して該チューブ体８を膨張させてその外側の非伸縮性部材７を緊張させることにより、その内側の閉塞部材３をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させて実施するので、充填するグラウトの外部への漏出を確実に防止することができる。また、前記閉塞部材３及び非伸縮性部材７並びにチューブ体８は、前記（柱）部材１、２に大きさ及び形状に応じてフレキシブルに変形可能なので、径の異なるプレキャストコンクリート部材や、円柱形状等の方形状以外の形状のプレキャストコンクリート部材の接合に対してもフレキシブルに対応することができる。
【００３２】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。例えば、本実施例では、プレキャストコンクリート柱部材１、２同士の接合に適用しているが、プレキャストコンクリート梁部材同士の接合にもほぼ同様に適用できる。また、図６Ａ〜Ｃにバリエーションを概略的に示したように、柱１、２又は梁１１における柱梁接合部位の形状を、柱１、２又は梁１１に対して若干（図示例では１０ｃｍ程度）突き出した形態で実施することにより、柱と梁との接合にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】実施例１及び実施例２に係るプレキャストコンクリート部材の接合部の外周面に閉塞部材を巻き付けた段階を示した立断面図である。
【図２】実施例１に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した正面図である。
【図３】実施例１に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した平面図である。
【図４】実施例２に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した正面図である。
【図５】実施例２に係るプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法を示した平面図である。
【図６】Ａ〜Ｃはそれぞれ、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法のバリエーションを概略的に示した正面図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ プレキャストコンクリート部材（柱部材）
２ プレキャストコンクリート部材（柱部材）
３ 閉塞部材（シール部材）
４ チューブ体
４ａ チューブ
４ｂ 連結パイプ
５ 主筋（柱主筋）
６ スリーブ継手
６ａ グラウト充填孔（空気抜き孔）
７ 非伸縮性部材
８ チューブ体
９ 供給口
１０ 接合部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法であって、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように、膨張及び収縮が可能なチューブ体を配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させることにより、前記閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項２】
プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法であって、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように非伸縮性部材をルーズに設け、前記閉塞部材と前記非伸縮性部材との間に、チューブ体を周方向に複数配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させてその外側の非伸縮性部材を緊張させることにより、その内側の閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項３】
前記閉塞部材は、ゴム、或いはポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成るシール部材とすることを特徴とする、請求項１又は２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項４】
前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張する複数のチューブと、隣り合うチューブを連通する連結パイプとで形成することを特徴とする、請求項１に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項５】
前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張することを特徴とする、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項６】
前記非伸縮性部材はチェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ材とすることを特徴とする、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項１】
プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法であって、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように、膨張及び収縮が可能なチューブ体を配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させることにより、前記閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項２】
プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法であって、
前記接合部の外周面に沿って閉塞部材を巻き付けて同接合部における目地部外周を閉塞する工程と、
前記閉塞部材を取り囲むように非伸縮性部材をルーズに設け、前記閉塞部材と前記非伸縮性部材との間に、チューブ体を周方向に複数配置する工程と、
前記チューブ体にエア等の流動性材料を供給して該チューブ体を膨張させてその外側の非伸縮性部材を緊張させることにより、その内側の閉塞部材をグラウト充填圧より大きな圧力で支持させる工程とから成ることを特徴とする、プレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項３】
前記閉塞部材は、ゴム、或いはポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から成るシール部材とすることを特徴とする、請求項１又は２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項４】
前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張する複数のチューブと、隣り合うチューブを連通する連結パイプとで形成することを特徴とする、請求項１に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項５】
前記チューブ体は、エア等の流動性材料を供給すると太鼓形状に膨張することを特徴とする、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【請求項６】
前記非伸縮性部材はチェーン、或いはワイヤーロープ等のロープ材とすることを特徴とする、請求項２に記載したプレキャストコンクリート部材の接合部における目地止め方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−３２７２５１（Ｐ２００７−３２７２５１Ａ）
【公開日】平成１９年１２月２０日（２００７．１２．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１５９４５７（Ｐ２００６−１５９４５７）
【出願日】平成１８年６月８日（２００６．６．８）
【出願人】（０００００３６２１）株式会社竹中工務店 (1,669)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１２月２０日（２００７．１２．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年６月８日（２００６．６．８）
【出願人】（０００００３６２１）株式会社竹中工務店 (1,669)
【Ｆターム（参考）】
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