説明

プレス金型の動的変形測定方法および装置

【課題】プレス金型にセンサを取り付けることなく、プレス成形時におけるプレス金型の動的変形を高精度で測定し得るようにする。
【解決手段】プレス金型の動的変形測定装置は、下金型13および上金型14を備えたプレス金型11と、ボルスタ16およびスライダ17を備えたプレス機本体10との間に着脱自在に配置される測定治具本体33を有し、プレス成形時におけるプレス金型11の動的変形を測定する。測定治具本体33に両端部が滑り支持された水平棒材41には、プレス金型11の弾性変形量を検出するための渦電流変位センサが設けられている。測定治具本体33に設けられた荷重受け駒36には、プレス金型11の圧力分布を検出するための歪みゲージが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機本体に装着されたプレス金型によるワーク成形時におけるプレス金型の動的変形を測定するための動的変形測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の板材を被加工物つまりワークとしてこれに外力を加えてプレス成形品を加工するためにプレス機械が使用されている。例えば、自動車車体を構成するドアパネルやフードパネルなどのパネル材つまりプレス成形品は、所定の長さに切断された圧延板からなるブランク材をワークとしてこれをプレス加工することにより成形されている。プレス機械は、上金型および下金型を備えたプレス金型と、下金型を支持するボルスタおよび上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体とを有しており、ボルスタはベッドに取り付けられている。スライダはベッドに取り付けられたコラムに上下動自在に装着されており、コラムの上部に設けられたクラウンにはスライダを上下動するための駆動装置が設けられている。駆動装置のタイプとしては、電動モータを駆動源としてモータ主軸の回転をスライダの上下動に変換するようにしたメカニカル式と、油圧シリンダを駆動源としてこれによりスライダを上下動するようにした油圧式とがある。
【0003】
下金型と上金型はそれぞれ内部に複数の空洞部が形成された本体部と、ワークを押圧する加工面が形成された金型表面側の押圧部とを有し、本体部には空洞部を形成するためのリブが設けられている。下金型と上金型のそれぞれの加工面の形状は、加工すべきプレス成形品の形状に応じて設定され、上金型と下金型とからなるプレス金型はプレス機本体に着脱自在に装着される。プレス機本体に装着されるプレス金型を交換することによって同一のプレス機本体を用いて種々のプレス成形品を成形することができる。
【0004】
プレス金型の加工面の形状は、プレス成形後に上金型を下金型から離すとプレス成形品がスプリングバック現象によって元に戻る方向に弾性変形するので、スプリングバック量を加味して設定されることもある。一方、プレス成形時にはプレス金型は弾性変形することになる。この弾性変形の挙動はプレス金型自体の形状や構造のみならず、プレス機本体の形状や構造の影響を受けることになり、プレス金型がプレス成形時に弾性変形すると、プレス成形品の品質を低下させることになる。
【0005】
このため、プレス金型の形状や構造は、必要に応じてプレス成形時のプレス金型とプレス機本体の弾性変形の挙動を想定して設計されており、設計に基づいて製造されたプレス金型を用いてワークをプレス加工することによって、プレス金型の弾性変形に起因した動的変形を測定し、設計通りにプレス成型品が製造されるか否かを検証する必要がある。
【0006】
プレス金型の動的変形を測定するため、特許文献1には、プレス金型に変位量を検出するセンサを取り付けて、プレス金型の特定部位の弾性変形量を測定する手法が提案されている。また、特許文献2には、プレス金型に加速度センサを取り付けて、プレス成形時における特定部位の加速度値を積分することによりその部位の速度値を演算し、さらに速度値を積分することによりその部位の変位量を演算するようにした手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−347354号公報
【特許文献2】特開2007−155335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、プレス金型を構成する上金型や下金型に直接センサを取り付けるには、センサの取付作業や取り外し作業に加えて、取付部位等の追加加工が必要となる場合があるので、これらの作業は、実際にプレス金型を製作する際に大きな負担となっている。また、プレス成形時の特定部位の加速度を検出して、加速度値を2回積分して変位量を測定する手法では、積分計算毎に誤差が増幅されて正確な弾性変形量を測定することができないだけでなく、上金型をゆっくりと下降移動させるようにした油圧式のプレス機械には適用できないという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、プレス金型にセンサを取り付ける加工を行うことなく、プレス成形時におけるプレス金型の動的変形を高精度に測定し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプレス金型の動的変形測定方法は、下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定方法であって、前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、前記測定治具本体の表面に沿って隙間を隔てて延びるとともに前記ボルスタの外周部に対応させて前記測定治具本体に設けられた支持部材に両端部が滑り支持される水平棒材とを有する測定治具を用い、前記水平棒材に設けられて前記測定治具本体の特定部位と前記水平棒材との変位量を検出する変位量検出手段により、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因する前記特定部位の上下方向の弾性変形量を検出し、検出された弾性変形量に基づいて前記プレス金型のプレス形成時の弾性変形量を演算することを特徴とする。本発明のプレス金型の動的変形測定方法において、前記測定治具は、前記測定治具本体に配置されてプレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒と、前記荷重受け駒に設けられてプレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を測定する圧力検出手段とを有し、前記上金型の前記下金型に対する位置に応じた前記プレス金型の弾性変形量と前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布とを同期させて演算することを特徴とする。
【0011】
本発明のプレス金型の動的変形測定方法は、下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定方法であって、前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、前記測定治具本体に配置されてプレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒とを有する測定治具を用い、前記荷重受け駒に設けられた圧力検出手段により、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を検出し、検出された圧力に基づいて前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布を演算することを特徴とする。
【0012】
本発明のプレス金型の動的変形測定装置は、下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定装置であって、前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、前記測定治具本体の表面に沿って隙間を隔てて延びるとともに前記ボルスタの外周部に対応させて前記測定治具本体に設けられた支持部材に両端部が滑り支持される水平棒材と、前記水平棒材に設けられ、前記測定治具本体の特定部位と前記水平棒材との変位量を測定し、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因する前記特定部位の上下方向の弾性変形量を検出する変位量検出手段とを有し、前記弾性変形量に基づいて前記プレス金型のプレス形成時の弾性変形量を求めることを特徴とする。本発明のプレス金型の動的変形測定装置は、前記測定治具本体に配置され、プレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒と、前記荷重受け駒に設けられ、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、前記金上型の前記下金型に対する位置に応じた前記プレス金型の弾性変形量と前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布とを同期して演算することを特徴とする。
【0013】
本発明のプレス金型の動的変形測定装置は、下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定装置であって、前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、前記測定治具本体に配置され、プレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒と、前記荷重受け駒に設けられ、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を検出する圧力検出手段とを有し、前記圧力に基づいて前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布を演算することを特徴とする。
【0014】
本発明のプレス金型の動的変形測定装置において、前記測定治具本体は、前記水平棒材が設けられるとともに前記ボルスタと前記スライダの一方に装着される第1の測定プレートと、前記第1の測定プレートに隙間を隔てて対向し前記隙間内に複数の前記荷重受け駒が分散して配置されるとともに前記ボルスタと前記スライダの他方に装着される第2の測定プレートとを有し、前記変位量測定手段は、前記第1の測定プレートと前記第2の測定プレートの一方の特定部位の上下方向の弾性変形量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレス機本体とプレス金型との間に測定治具本体が着脱自在に装着されるようになっており、プレス金型を加工してセンサを取り付けることなく、プレス金型の動的変形を測定することができる。したがって、種々のプレス金型の動的変形を測定するために同じ測定治具を繰り返して使用することができる。
【0016】
プレス金型の弾性変形量を検出するための変位量検出手段は、プレス機本体とプレス金型との間にフローティング支持されるので、変位量検出手段が設けられた特定部位に対応するプレス金型の特定部位における弾性変形量を高精度で検出することができ、変位量検出手段を複数設けることにより、複数個所の弾性変形量を検出することができる。
【0017】
プレス金型に加わる圧力を検出する圧力検出手段は、測定治具に設けられた荷重受け駒に設けられており、圧力検出手段が設けられた特定部位に対応するプレス金型の特定部位における圧力分布を高精度で検出することができ、圧力検出手段が設けられた荷重受け駒を複数設けることにより、複数個所の圧力を検出して圧力分布を検出することができる。
【0018】
上金型の下金型に対するストローク位置に応じてプレス金型の弾性変形量と圧力分布とを同期させて検出することにより、プレス成形時のプレス金型の動的弾性変形挙動をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態であるプレス金型の動的変形測定装置が搭載されたプレス機械を示す一部切欠き正面図である。
【図2】図1に示された測定治具本体の第1のプレートを示す斜視図である。
【図3】図1および図2に示された荷重受け駒を示す一部切欠き斜視図である。
【図4】図2に示された水平棒材の一部切欠き拡大斜視図である。
【図5】図4における5−5線断面図である。
【図6】図4における6−6線断面図である。
【図7】(A)はプレス成形前における弾性変形前の下金型と測定治具本体を示す一部切欠き側面図であり、(B)はプレス成形後における弾性変形後の下金型と測定治具本体を示す一部切欠き側面図である。
【図8】プレス金型の成形時における動的変形を演算する信号処理回路を示すブロック図である。
【図9】プレス機本体のモデルの校正を含むプレス金型の設計からプレス成形品の量産までの手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に示す手順でモデルの校正が終わったプレス機本体を用いて図9のプレス金型とは異なる新たなプレス金型を用いてプレス成形品の量産を行う際のプレス金型の設計からプレス成型品の量産までの手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1には、プレス機本体10にプレス金型11と測定装置12とが装着された状態のプレス機械が示されている。プレス金型11は下金型13とこれに向けて上下動する上金型14とを備えている。プレス機本体10は、ベッド15に取り付けられて下金型13を支持するボルスタ16と上金型14を上下動するスライダ17とを備えており、スライダ17はベッド15に取り付けられたコラム18に上下動自在に装着され、コラム18の上部に設けられたクラウン19には、スライダ17を上下動するための駆動装置20が設けられている。この駆動装置20は油圧シリンダを有する油圧式であるが、メカニカル式の駆動装置を有するプレス機械に対しても測定装置12を搭載することができる。ベッド15とボルスタ16には、ボルスタ16の中央部に対応させて収容孔15aが形成されている。この収容孔15aの内部には、ブランクホルダの動力源であるクッションピン等が組み込まれるようになっている。
【0021】
下金型13は本体部21とその上端部に設けられた押圧部22とを有し、押圧部22の表面にはワークWを押圧する加工面22aが形成されている。本体部21の内部には複数の空洞部23が形成されており、空洞部23は本体部21に設けられたリブ24により形成されている。同様に、上金型14は本体部25とその下端部に設けられた押圧部26とを有し、押圧部26の表面には下金型13の加工面22aとの間でワークWを押圧する加工面26aが形成されている。本体部25の内部には複数の空洞部27が形成されており、空洞部27は本体部25に設けられたリブ28により形成されている。
【0022】
図1に示す下金型13にはワークWの外周部を上金型14との間で挟持するブランクホルダ29が装着されており、このブランクホルダ29は下金型13の一部を構成している。
【0023】
測定装置12はプレス金型11とプレス機本体10の間に取り外し自在つまり着脱自在に配置されるようになっている。この測定装置12は、プレス金型11によりワークWを加工する際に、プレス金型11の弾性変形に起因した動的変形を測定するために使用され、測定が終了してプレス成形品を量産加工する際にはプレス機本体10から取り外されることになる。図1に示すプレス機械においては、測定装置12がプレス金型11の下金型13とプレス機本体10のボルスタ16との間に配置された状態となっているが、この測定装置12は、上金型14とスライダ17との間に配置するようにしてもプレス金型の動的変形を測定することができる。
【0024】
測定装置12は、図1に示されるように、第1のプレート31と第2のプレート32とを有する測定治具本体33を有している。それぞれのプレート31,32は四辺形の鋼材により形成されており、幅はボルスタ16の幅寸法にほぼ対応し、長さは図1における左右のコラム間の長さ寸法にほぼ対応している。図1に示されるように、測定治具本体33をボルスタ16の上に配置すると、測定治具本体33はボルスタ16の外周部を含めてほぼ全体を覆うようになる。
【0025】
図2は測定治具本体33の第1のプレート31を示す斜視図である。第1のプレート31の四隅にはボルト34が取り付けられ、それぞれのボルト34は第2のプレート32にボルト34に対応して形成された貫通孔に貫通するようになっている。それぞれのボルト34にナットをねじ結合することにより、2枚のプレート31,32は組み合わされて測定治具本体33が組み立てられる。プレート31の周囲には複数の切欠き溝35が形成されており、それぞれの切欠き溝35には、プレス機本体10に取り付けられた図示しないピンが挿入され、ピンによりプレート31はプレス機本体10に位置決めされる。図1に示すように、測定治具本体33がボルスタ16に装着される場合には、切欠き溝35にはボルスタ16に設けられたピンが挿入されることになる。第2のプレート32には図示しない搬送用のアイボルトやフックピンが取り付けられており、両方のプレート31,32が組み合わされた状態のもとで、アイボルトやフックピンにワイヤを引っ掛けて巻上げ機等によりプレス機本体10に対する測定治具本体33の装着作業と、プレス機本体10からの搬出作業とが行われる。
【0026】
図2および図3に示されるように、第1のプレート31の表面には複数の円柱形状の荷重受け駒36がボルト37により取り付けられている。荷重受け駒36は、鋼材により形成されており、図示する場合には、プレート31の長手方向に所定の間隔毎に8つ一列となって配置され、プレート31の幅方向に6列配置されている。したがって、荷重受け駒36は6行8列となって合計48個がマトリックス状に分散して配置されてプレート31に設けられている。第1のプレート31に第2のプレート32を組み合わせると、プレート32の下面つまりプレート31の表面に対向する対向面が荷重受け駒36の端面に接触する。これにより、プレス成形時にはプレス金型11に加わる荷重がプレート32を介してそれぞれの荷重受け駒36に加えられることになる。荷重受け駒36に加わる荷重は、荷重受け駒36の位置に対応したプレス金型11の特定部位の荷重に対応する。両方のプレート31,32の間には、図1に示されるように、荷重受け駒36の高さ寸法に対応した隙間38が形成されることになる。
【0027】
それぞれの荷重受け駒36の外周面には、プレス成形時にプレス金型11の弾性変形に起因して荷重受け駒36に加わる圧力を測定するために、歪みゲージ39が圧力検出手段として設けられている。歪みゲージ39は、荷重受け駒36がプレス成形時の荷重により弾性変形すると、その歪みにより電気抵抗が変化することから、抵抗値の変化に起因した電流の変化を検出することによってそれぞれの荷重受け駒36の歪み量を検出することができる。そして検出した歪み量と荷重受け駒36の弾性係数より荷重受け駒36に加わる応力つまり圧力を検出することができる。それぞれの荷重受け駒36の位置は予め設定されているので、歪みゲージ39により検出された特定部位の圧力に基づいて、プレス成形時にプレス金型11の各部位に加わる圧力の分布を測定することができる。歪みゲージ39により検出された圧力分布は、下金型13の加工面22aと上金型14の加工面26aにおける圧力分布に対応することになる。荷重受け駒36の数とそれが配置される位置は、図2に示された数と位置に限られることなく、圧力分布を測定すべき位置に応じて任意に設定される。
【0028】
図2に示されるようにプレート31には水平棒材41が設けられている。この水平棒材41は横断面四角形の角パイプにより形成されており、プレート31の長手方向中央部に幅方向に延びて設けられている。プレート31の外周部には、図2および図4に示されるように、水平棒材41の両端部に対応させてそれぞれ2つのL字形状のブラケット42が相互に対向するようにボルト43により取り付けられている。図4に示されるように、対向し合う2つのブラケット42に取り付けられたピン44が水平棒材41の端部に長手方向に延びて形成された長孔45を貫通している。長孔45を貫通するピン44とブラケット42とにより、水平棒材41をその長手方向に滑り移動自在に支持する支持部材46が形成されている。水平棒材41は2枚のプレート31,32の間に形成される隙間38内に、それぞれのプレート31,32には接触しないように、支持部材46によりフローティングした状態となって配置されている。
【0029】
水平棒材41の長手方向中央部には、図4および図6に示されるように、センサ取付ブロック47がボルト48により取り付けられており、このセンサ取付ブロック47にはプレート31と水平棒材41との間の距離を検出するための渦電流変位センサ49が変位量検出手段として装着されている。渦電流変位センサ49は絶縁体に巻き付けられたコイルを有し、コイルに交流電圧を印加すると、コイルにより生成された交流磁界によって測定対象物である鋼材製のプレート31に渦電流が発生する。渦電流によって発生する磁界は、コイルの電流により生成された磁界と逆方向であり、これら2つの磁界が重なり合って、コイルの出力が変化することから、コイルからの電気信号を取り出すことによりプレート31と水平棒材41との間の距離を検出することができる。
【0030】
水平棒材41は、上述のように、その両端部が支持部材46により滑り支持されており、支持部材46はボルスタ16の外周部つまりベッド15の外周部に対応させてプレート31に取り付けられている。したがって、図7に示すように、測定装置12をプレス機本体10とプレス金型11との間に装着した状態のもとで、スライダ17を下降移動させてワークWをプレス加工することにより、プレス成形時にプレス金型11に成形荷重が加えられると、収容孔15aに対応する測定治具本体33の中央部は、図7(A)に示すように、プレス金型11の弾性変形によって上下方向に弾性変形して変位することになる。これに対し、プレート31の外周部は、ベッド15にボルスタ16を介して支持されているので、上下方向には変位しない。しかも、水平棒材41の両端部はピン44が長孔45を貫通して支持部材46により滑り支持されているので、ボルスタ16が成形荷重により撓んでも、水平棒材41はプレス成形前と同様に全体的に水平状態を保持することになる。これにより、水平棒材41に取り付けられた渦電流変位センサ49はプレス成形の前後で上下に変位することがないので、プレス成形時におけるプレス金型11の弾性変形に起因したプレート31の変位量を測定することができる。渦電流変位センサ49により検出されたプレート31の変位量は、プレス金型11の上下方向に変位量に対応するので、渦電流変位センサ49によりプレス成形時のプレス金型11の動的変形量を検出することができる。
【0031】
渦電流変位センサ49は、図示する場合には、水平棒材41に対する第1のプレート31の変位量を検出するようにしているが、2枚のプレート31,32は同一の変位量で弾性変形するので、渦電流変位センサ49の位置を上下反転させることにより、水平棒材41に対する第2のプレート32の変位量を検出するようにしても良い。図1は、水平棒材41には1つの渦電流変位センサ49が設けられた形態が示されているが、水平棒材41に複数の渦電流変位センサ49を設けるようにした形態、および1つまたは複数の渦電流変位センサ49が設けられた複数の水平棒材をプレート31に設けるようにした形態とすると、複数の特定個所の弾性変形量を検出することができる。
【0032】
図1に示されるように、測定治具本体33は2枚のプレート31,32を有しているが、1枚のプレートにより測定治具本体33を形成することもできる。測定治具本体33が1枚のプレートにより形成される形態においては、水平棒材41をプレートに形成された溝内に配置するようにして、水平棒材41にプレス金型11が直接接触しないようにすることになる。また、測定治具本体33を2枚のプレート31,32により形成すると、プレート32のうちリブ24が当接しない部位における圧力分布を測定することができるという利点がある。これに対し、1枚のプレートにより測定治具本体33を形成する場合には、下金型13のリブ24の位置、または上金型14のリブ28の位置に対応させてプレートの表面に荷重受け駒36を取り付けることになる。
【0033】
スライダ17により上下に駆動される上金型14には、図1に示されるように、上金型14の上下動ストロークに応じた上金型14の下金型13に対する位置ないし距離を測定するために、レーザー変位計51がストローク検出手段として設けられている。このレーザー変位計51はレーザー光を下金型13に向けて照射する発光素子と、下金型13からの反射光を受光する受光素子とを有しており、反射光が受光素子に到達する位置に応じて上金型14と下金型13の距離が測定され、上金型14の下降移動開始時からの下金型13と上金型14の距離に基づいて上金型14の下金型13に対する距離が検出される。なお、ストローク検出手段としてのレーザー変位計51の発光素子と受光素子の設定位置は上金型14の下金型13に対する位置ないし距離を計測することができれば、スライダやボルスタ等に直接又は間接的に設けても良い。また、ストローク検出手段としては、レーザー変位計の他に、超音波センサー、渦電流計センサー、接触式センサー等、成形ストローク以上の距離を検出できれば、いずれの手段でも構わない。
【0034】
図8は歪みゲージ39、渦電流変位センサ49およびレーザー変位計51からの信号に基づいてプレス金型11の動的変形を演算する信号処理回路を示すブロック図である。
【0035】
歪みゲージ39、渦電流変位センサ49およびレーザー変位計51からの検出信号はコントローラ52に送られるようになっている。このコントローラ52にはそれぞれのセンサからのアナログ信号を増幅するアンプ、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、および入出力ポートなどが設けられている。コントローラ52には操作盤53が接続されており、この操作盤53に設けられたキーを操作することにより測定開始が指令される。コントローラ52にはモニタ54が接続されており、このモニタ54の画面にはそれぞれの歪みゲージ39により検出された信号に基づいて圧力値がそれぞれの歪みゲージ39の位置情報とともに点灯表示される。さらに、モニタ54には渦電流変位センサ49により検出された信号に基づいて変位量がその渦電流変位センサ49の位置情報とともに点灯表示され、レーザー変位計51により検出された信号に基づいて上金型14の下金型13に対するストローク情報が点灯表示される。コントローラ52は、それぞれの検出信号に基づいて圧力値等を演算するプログラムが格納されたROMと、一時的にデータを保存するRAM等を有している。
【0036】
変位量はストローク情報と同期してモニタ54に表示されるようになっており、上金型14の下金型13に対する位置に応じた変位量がモニタ54に表示される。同様に、圧力値はストローク情報と同期してモニタ54に表示されるようになっており、上金型14の下金型13に対する位置に応じた圧力値がモニタ54に表示される。それぞれの歪みゲージ39により検出された圧力値を表示するモニタと、渦電流変位センサ49により検出された変位量を表示するモニタとを別々に設けるようにしても良い。
【0037】
コントローラ52にはデータ記録装置55が接続されており、ストロークに応じた圧力値と変位量のデータはデータ記録装置55に格納される。データ記録装置55に格納された圧力値などのデータはプリンタ56により印字することができる。
【0038】
上述した測定装置12をプレス機本体10に搭載してプレス金型11の動的変形を測定するには、図1に示すように測定装置12をプレス機本体10とプレス金型11との間に装着する。この状態のもとで、スライダ17により上金型14を上昇限位置から下金型13に向けて下降移動させる。上金型14の下金型13に対するストローク情報はレーザー変位計51からコントローラ52に送られる。上金型14が下金型13にワークWを介して押し付けられると、それぞれの歪みゲージ39と渦電流変位センサ49からはコントローラ52に検出信号が送られる。
【0039】
歪みゲージ39は2枚のプレート31,32の間に配置されているので、図7(B)に示されるように、プレス金型11から両方のプレート31,32に加わる荷重に応じてプレート31,32が弾性変形し、荷重受け駒36に加わる圧力値が歪みゲージ39により検出される。検出される圧力値は、下金型13の加工面22aと上金型14の加工面26aに加わる圧力に対応する。一方、渦電流変位センサ49は水平棒材41によりフローティング支持されているので、プレート31,32が図7(B)に示されるように弾性変形しても、渦電流変位センサ49は変位することなく、プレート31の弾性変形量を検出することになり、検出された弾性変形量はプレス金型11の弾性変形量に対応する。これにより、上金型14の下降移動ストロークに対応した下金型13と上金型14の加工面における圧力分布と、特定部位の変位量が演算されてそれぞれのデータがデータ記録装置55に格納される。それぞれのデータはモニタ54に点灯表示することがきる。なお、図7(B)においては、弾性変形量が誇張して示されている。
【0040】
渦電流変位センサ49が設けられた水平棒材41のみを有する形態の測定装置を用いてプレス成形時のプレス金型11の動的弾性変形を測定する場合には、特定部位の変形量のデータのみがデータ記録装置55に格納される。一方、歪みゲージ39が設けられた荷重受け駒36のみを有する形態の測定装置を用いて、プレス成形時のプレス金型の動的弾性変形を測定する場合には、圧力値のデータのみがデータ記録装置55に格納されることになる。ただし、図示するように、測定装置12により上金型14の下金型13に対する移動ストロークに同期させて、特定部位の変形量と圧力とを検出することによってプレス金型11のプレス成型時の弾性変形挙動をより正確に迅速に測定することができる。また、レーザー変位計51により上金型14の下金型13に対するストローク情報を検出するようにすると、全ての歪みゲージ39からの圧力情報を同時に検出することなく、複数回に分けて検出するようにしても、それぞれの検出情報をストロークに対応させることができる。
【0041】
図9および図10は、測定装置12によって得られたデータに基づいてプレス金型11の形状や構造を決定して、プレス成形品を量産する手順を示すフローチャートである。図9はプレス機本体10のモデルの校正を含むプレス金型の設計からプレス成形品の量産までの手順を示すフローチャートであり、図10は図9に示す手順でモデル校正が終わったプレス機本体10を用いて図9のプレス金型とは異なる新たなプレス金型によりプレス成形品の量産を行う際のプレス金型の設計からプレス成型品の量産までの手順を示すフローチャートである。
【0042】
まず、プレス機本体のモデルの校正を初めて行った上で、プレス成形品の量産を行う手順について、図9を参照しつつ説明する。プレス金型11を製作するには、加工すべきプレス成形品の形状に基づいてプレス金型11のモデルつまり下金型13の加工面22aの形状、リブ24の厚みや位置等についてと、上金型14の加工面26aの形状、リブ26の厚みや位置等についての金型モデルの形状や構造が設計される一方、プレス金型11が搭載されるプレス機本体10の簡略モデルの形状や構造が設定される(ステップS0,S1,S4)。プレス金型11の金型モデルのデータとプレス機本体10の簡略モデルのデータとに基づいて、プレス成形時のプレス金型の動的変形をFEM解析により解析する(ステップS5)。
【0043】
一方で、加工すべきプレス成形品に対応して設計したプレス金型11を製作し(ステップS2)、そのプレス金型11と測定装置12とを図1に示すようにプレス機本体10に搭載してプレス金型11を用いて実際にワークWをプレス加工する。プレス加工時に上述した測定装置12を用いて、プレス金型11の動的変形を測定する(ステップS3)。測定結果は図8に示したデータ記録装置55に格納されており、この測定結果とステップS5の解析結果とを照合する(ステップS6)。これらの照合により、プレス金型の動的変形がプレス成形時のプレス金型の動的変形の解析結果の誤差の範囲内であると判定されれば、ステップS9へと進む。
【0044】
一方、金型モデルの解析結果とプレス金型の動的挙動の測定結果とを照合した結果、測定結果が誤差の範囲を超えていた場合には、測定された動的変形のデータと解析結果とが一致するようにプレス機本体10のモデルを校正する(ステップS8)。モデルの校正に際しては、プレス機本体10とプレス金型11との境界条件が測定結果に基づいて設定される。解析結果と測定結果とが大きく相違するのは、ステップS0で設定したプレス機本体10の簡易のモデルが実際のプレス機本体10と相違していた場合であり、測定された動的変形のデータに基づいてプレス機本体10のモデルを校正する。そして、プレス金型11の金型モデルのデータと校正されたプレス機本体10のモデルのデータとに基づいて、プレス成形時のプレス金型の動的変形をFEM解析により再度解析し(ステップS5)、ステップS3にて測定した測定結果と校正したプレス機本体10のモデルに基づいて行ったステップS5の解析結果とを照合する(ステップS6)。ステップS6の照合により、プレス金型11の動的変形がプレス成形時のプレス金型11の動的変形の解析結果の誤差の範囲内であると判定されれば、ステップS9へと進み、許容誤差範囲を超えていた場合には、再度ステップS8,S5,S6の処理を行う。
【0045】
次に、校正されたプレス機本体10のモデルとプレス金型のモデルとのデータをプレス機本体10の解析時の入力値や境界値としてプレス成形時のプレス金型の動的変形をFEM解析により解析し(ステップS9)、この解析結果から得られるデータを基準値と照合する(ステップS10)。照合結果が許容範囲を超えている場合には、プレス金型11のモデルを修正して(ステップS12)、再度プレス金型の動的変形を解析し、基準値と照合する(ステップS9,S10)。一方、照合結果が許容範囲内であると判定されれば、修正されたプレス金型11のモデルに対応するようにプレス金型11の修正を行い(ステップS13)、ステップS14へ進む。
【0046】
ステップS14ではステップS13で修正したプレス金型11を用いてプレス成形品の試作を行う。そして、試作したプレス成形品の品質合否を判定し、要求品質を満足している場合には、試作を行ったプレス金型11を用いてプレス成形品の量産へと移行する(ステップS17)。一方、ステップS15にて試作したプレス成形品が要求品質を満足しない場合にはプレス金型11を修正し(ステップS16)、修正したプレス金型11を用いてプレス成形品の試作を行う(ステップS14)。
【0047】
次に、モデルの校正が終わったプレス機本体10を用いて図9のプレス金型とは異なる新たなプレス金型を用いてプレス成形品の量産を行う際のプレス金型の設計からプレス成形品の量産までの手順について図10を参照して説明する。なお、図9と同様の処理については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
この場合、プレス金型11を製作するには、加工すべきプレス成形品の形状に基づいてプレス金型11のモデルつまり下金型13の加工面22aの形状、リブ24の厚みや位置等についてと、上金型14の加工面26aの形状、リブ26の厚みや位置等についての金型モデルの形状や構造が設定されるとともに、図9の処理の中で校正された金型プレス機本体10のモデルを取得して設定される(ステップS1,S4,S2−0)。
【0049】
そして、設定されたプレス機本体10のモデルとプレス金型11のモデルとのデータをプレス機本体10の解析時の入力値や境界値としてプレス成形時のプレス金型の動的変形をFEM解析により解析し(ステップS9)、この解析結果から得られるデータを基準値と照合する(ステップS10)。この照合結果が許容範囲内であると判定されるまで、プレス金型11のモデルの修正(ステップS12)を繰り返す。
【0050】
そして、照合結果が許容範囲内であると判定されると修正されたプレス金型11のモデルに基づいてプレス金型10を製作する(ステップS2−2)。以降は、図9のステップS14〜S17と同様にしてプレス金型による量産へと至る。
【0051】
このように、プレス金型11の設計モデルのデータとプレス機本体10の簡易モデルのデータとに基づいてFEM解析された解析結果と、プレス金型11を作動させて測定された動的変形の測定結果とを照合することによって、プレス機本体10のモデルを校正することができるので、プレス機本体10が経年変化により動的変形特性が変化したとしても、プレス金型11の動的変形を測定することによってプレス機本体10の解析モデルのデータを校正することができる。同様に、プレス機本体10についての形状や構造の詳細なデータが不明であっても、プレス金型11についての形状や構造のデータがあれば、FEM解析とプレス金型11についての動的変形の測定とを行うことにより、プレス機本体10のモデリングを正確に行うことができる。これにより、プレス金型11を修正する回数を少なくすることが可能となり、短期間に迅速にプレス金型11を製作することができる。また、プレス機本体10のモデルを取得した後に係る図9の手順ではステップS10での照合を経て修正されたプレス金型のモデルに基づいてプレス金型を修正するため、図9のステップS13に係るプレス金型の修正に関する工程が不要となり、より迅速にプレス金型11を製作することができる。
【0052】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図1は絞り加工用のプレス機械を示すが、張り出し成形や絞り成形と張り出し成形とが複合されたプレス成型品を加工するためのプレス機械に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 プレス機本体
11 プレス金型
12 測定装置
13 下金型
14 上金型
15 ベッド
16 ボルスタ
17 スライダ
18 コラム
19 クラウン
20 駆動装置
21 本体部
22 押圧部
22a 加工面
25 本体部
26a 加工面
31 第1のプレート
32 第2のプレート
33 測定治具本体
36 荷重受け駒
39 歪みゲージ
41 水平棒材
49 渦電流変位センサ
51 レーザー変位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定方法であって、
前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、前記測定治具本体の表面に沿って隙間を隔てて延びるとともに前記ボルスタの外周部に対応させて前記測定治具本体に設けられた支持部材に両端部が滑り支持される水平棒材とを有する測定治具を用い、
前記水平棒材に設けられて前記測定治具本体の特定部位と前記水平棒材との変位量を検出する変位量検出手段により、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因する前記特定部位の上下方向の弾性変形量を検出し、
検出された弾性変形量に基づいて前記プレス金型のプレス形成時の弾性変形量を演算することを特徴とするプレス金型の動的変形測定方法。
【請求項2】
下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定方法であって、
前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、前記測定治具本体に配置されてプレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒とを有する測定治具を用い、
前記荷重受け駒に設けられた圧力検出手段により、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を検出し、
検出された圧力に基づいて前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布を演算することを特徴とするプレス金型の動的変形測定方法。
【請求項3】
請求項1記載のプレス金型の動的変形測定方法において、
前記測定治具は、前記測定治具本体に配置されてプレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒と、前記荷重受け駒に設けられてプレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を測定する圧力検出手段とを有し、
前記上金型の前記下金型に対する位置に応じた前記プレス金型の弾性変形量と前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布とを同期させて演算することを特徴とするプレス金型の動的変形測定方法。
【請求項4】
下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定装置であって、
前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、
前記測定治具本体の表面に沿って隙間を隔てて延びるとともに前記ボルスタの外周部に対応させて前記測定治具本体に設けられた支持部材に両端部が滑り支持される水平棒材と、
前記水平棒材に設けられ、前記測定治具本体の特定部位と前記水平棒材との変位量を測定し、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因する前記特定部位の上下方向の弾性変形量を検出する変位量検出手段とを有し、
前記弾性変形量に基づいて前記プレス金型のプレス形成時の弾性変形量を求めることを特徴とするプレス金型の動的変形測定装置。
【請求項5】
下金型および前記下金型に向けて上下動する上金型を備えたプレス金型のプレス成形時の動的変形を測定するプレス金型の動的変形測定装置であって、
前記下金型を支持するボルスタおよび前記上金型を上下動するスライダを備えたプレス機本体と前記プレス金型との間に着脱自在に配置されるプレート状の測定治具本体と、
前記測定治具本体に配置され、プレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒と、
前記荷重受け駒に設けられ、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を検出する圧力検出手段とを有し、
前記圧力に基づいて前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布を演算することを特徴とするプレス金型の動的変形測定装置。
【請求項6】
請求項4記載のプレス金型の動的変形測定装置において、
前記測定治具本体に配置され、プレス成形時に前記プレス金型から前記測定治具本体の特定部位に加えられる荷重を受ける荷重受け駒と、
前記荷重受け駒に設けられ、プレス形成時における前記プレス金型の弾性変形に起因して前記荷重受け駒に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、
前記金上型の前記下金型に対する位置に応じた前記プレス金型の弾性変形量と前記プレス金型の成形面に加わる圧力分布とを同期して演算することを特徴とするプレス金型の動的変形測定装置。
【請求項7】
請求項6記載のプレス金型の動的変形測定装置において、
前記測定治具本体は、前記水平棒材が設けられるとともに前記ボルスタと前記スライダの一方に装着される第1の測定プレートと、前記第1の測定プレートに隙間を隔てて対向し前記隙間内に複数の前記荷重受け駒が分散して配置されるとともに前記ボルスタと前記スライダの他方に装着される第2の測定プレートとを有し、
前記変位量測定手段は、前記第1の測定プレートと前記第2の測定プレートの一方の特定部位の上下方向の弾性変形量を検出することを特徴とするプレス金型の動的変形測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−145247(P2011−145247A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7926(P2010−7926)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】