説明

プロジェクタおよびプロジェクタ機能を有する電子機器

【課題】投影される画像の色に関わらず検出対象物を検出することが可能なプロジェクタおよびプロジェクタ機能を有する電子機器を提供することである。
【解決手段】このプロジェクタ100(プロジェクタ機能を有する電子機器)は、入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光源60と、レーザ光源60から照射されるレーザ光を走査させることにより任意の投影領域に画像を投影するMEMSミラー68aと、レーザ光源60から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出するシリコンフォトダイオード10aと、入力される画像信号の階調に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光のシリコンフォトダイオード10aによる検出が期待できないと判断した場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個のシリコンフォトダイオード10aの検出用の検出ガイド光をレーザ光源60から照射して任意の投影領域に投影する制御を行う制御部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクタおよびプロジェクタ機能を有する電子機器に関し、特に、レーザ光発生部から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出する光検出部を備えるプロジェクタおよびプロジェクタ機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光発生部から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出する光検出部を備えるプロジェクタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光源(レーザ光発生部)と、レーザ光源から照射されるレーザ光を走査させることにより任意の投影領域に画像を投影する走査部(投影部)と、レーザ光源から照射されて、外部障害物(検出対象物)により反射されたレーザ光を検出する受光センサ(光検出部)とを備えたプロジェクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−123006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来のプロジェクタでは、受光センサにより外部障害物(検出対象物)からの反射光を検出することにより外部障害物を検出するので、外部障害物からの反射光を検出しにくい黒色や黒色に準じる色などの画像を投影した際に、外部障害物を検出することができない場合があるという問題点があると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、投影される画像の色が検出対象物からの反射光を検出しにくい色である場合にも、検出対象物を確実に検出することが可能なプロジェクタおよびプロジェクタ機能を有する電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面によるプロジェクタは、入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光発生部と、レーザ光発生部から照射されるレーザ光を走査させることにより任意の投影領域に画像を投影する投影部と、レーザ光発生部から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出する光検出部と、入力される画像信号の色情報に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光の光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の光検出部の検出用の検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行う制御部とを備える。
【0008】
この発明の第1の局面によるプロジェクタでは、上記のように、入力される画像信号の色情報に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光の光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の光検出部の検出用の検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行う制御部を設けることによって、光検出部による検出が期待できない色の画像を投影する場合でも、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の検出専用の検出ガイド光が投影領域に投影されるので、光検出部により検出対象物による検出ガイド光の反射光を検出することができる。これにより、投影される画像の色が検出対象物からの反射光を検出しにくい色である場合にも、検出対象物を確実に検出することができる。また、光検出部の検出用の検出ガイド光を、投影画像を形成するための画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光発生部から照射することによって、レーザ光発生部を検出ガイド光の発生部として流用することができるので、赤外線発生部のような検出ガイド光専用の発生部を設ける必要がない。その結果、プロジェクタの構成を簡素化することができる。
【0009】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、入力される画像信号の色情報に基づいて光検出部の検出期待値を取得し、取得した検出期待値が所定の閾値よりも小さい場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の光検出部の検出用の検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、入力される画像信号の色情報に基づいた光検出部の検出期待値が所定の閾値よりも小さい場合でも、レーザ光発生部から照射される検出ガイド光の反射光を用いて光検出部により検出対象物を確実に検出することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、検出期待値が所定の閾値よりも小さく、かつ、所定時間継続して投影状態が変化しない場合に、検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検出期待値が所定の閾値よりも小さくて光検出部による検出が期待できない状態が所定時間継続した場合にのみ、レーザ光発生部から検出ガイド光が照射されるので、入力される画像信号に基づく画像に検出ガイド光に起因するノイズなどが発生するのを極力抑制することができる。
【0011】
上記色情報に基づいて検出期待値を取得する構成において、好ましくは、制御部は、取得した検出期待値が所定の閾値以上の場合には、検出ガイド光を投影することなく、入力された画像信号に対応するレーザ光の検出対象物による反射光の検出結果に基づいて、検出対象物の位置を特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検出期待値が所定の閾値以上であり光検出部による検出が期待できる場合には、検出ガイド光を用いることなく入力される画像信号に対応するレーザ光を用いて検出対象物の位置が特定されるので、入力される画像信号に基づく画像に検出ガイド光に起因するノイズなどが発生するのを極力抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、検出対象物による検出ガイド光の反射光が光検出部に検出された際の投影部による検出ガイド光の走査位置に基づいて、検出対象物の位置を特定するように構成されている。このように構成すれば、入力される画像信号に対応するレーザ光の反射光の光検出部による検出が期待できない場合でも、検出ガイド光の検出対象物による反射光と光検出部により検出した際の投影部による検出ガイド光の走査位置とに基づいて、容易に、検出対象物の位置を特定することができる。
【0013】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、入力される画像信号が黒色または黒色に準じる色の画像信号である場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検出対象物からの反射光が得られないかまたは得られにくい黒色またはそれに準じる色の画像が投影領域に投影される場合でも、レーザ光発生部から照射される検出ガイド光を用いて検出対象物を確実に検出することができる。
【0014】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、レーザ光発生部は、赤色のレーザ光を照射する赤色レーザ光発生部と、緑色のレーザ光を照射する緑色レーザ光発生部と、青色のレーザ光を照射する青色レーザ光発生部とを含むとともに、制御部は、赤色レーザ光発生部、緑色レーザ光発生部および青色レーザ光発生部のうちの検出対象物の反射率の高いレーザ光を発生する少なくとも1つのレーザ光発生部から、検出ガイド光を照射する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検出対象物の反射率の高いレーザ光により検出ガイド光を構成することができるので、光検出部により、検出対象物による検出ガイド光の反射光を精度よく検出することができる。
【0015】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、レーザ光発生部は、赤色のレーザ光を照射する赤色レーザ光発生部と、緑色のレーザ光を照射する緑色レーザ光発生部と、青色のレーザ光を照射する青色レーザ光発生部とを含むとともに、光検出部は、検出するレーザ光の波長により検出感度が異なる特性を有し、制御部は、赤色レーザ光発生部、緑色レーザ光発生部および青色レーザ光発生部のうちの光検出部による検出感度が良好な波長のレーザ光を発生する少なくとも1つのレーザ光発生部から、検出ガイド光を照射する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、光検出部による検出感度が良好な波長の色のレーザ光により検出ガイド光を構成することができるので、光検出部により、検出対象物による検出ガイド光の反射光を精度よく検出することができる。
【0016】
上記検出対象物の反射率の高いレーザ光または光検出器による検出感度が良好なレーザ光を検出ガイド光として照射する構成において、好ましくは、光検出部は、赤色のレーザ光の検出感度が緑色および青色のレーザ光の検出感度よりも良好な光検出部を含み、制御部は、赤色レーザ光発生部から赤色のレーザ光からなる検出ガイド光を照射する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、赤色レーザ光発生部から検出ガイド光として、検出対象物からの反射率が最も高く、かつ、検出感度が最も高い赤色のレーザ光が照射されるので、光検出部により、赤色のレーザ光からなる検出ガイド光の反射光を高精度に検出することができる。
【0017】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、入力される画像信号の色情報の解析結果に基づいて、投影領域に投影される画像表示フレームごとに検出ガイド光の位置を任意の投影領域内で変更しながら投影する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検出ガイド光の位置が画像表示フレームごとに投影領域内で変更されるので、投影領域における検出対象物の位置に関わらず、検出対象物を確実に検出することができる。
【0018】
上記第1の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、通常モードにおいて、入力される画像信号の色情報に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光の光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行うとともに、入力される画像信号に基づく画像が投影されない省エネルギモードの場合には、省エネルギモードが所定時間継続された場合に、検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、入力される画像信号に基づく画像が投影されない省エネルギモードの場合であっても、レーザ光発生部から照射される検出ガイド光を用いて検出対象物を確実に検出することができる。また、この検出結果に基づいて、省エネルギモードから通常モードに切り替える(通常モードへの復帰)などの処理を行うことができる。
【0019】
この場合、好ましくは、制御部は、通常モードにおいて入力される画像信号に対応するレーザ光を投影する場合には、入力される画像信号に対応するレーザ光に加えて検出ガイド光を任意の投影領域に投影するとともに、省エネルギモードの場合には、検出ガイド光のみを任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通常モードの場合には、入力される画像信号に基づく画像を投影した状態で検出ガイド光を投影して確実に検出対象物を検出することができるとともに、省エネルギモードの場合には、検出ガイド光のみを投影して検出対象物を検出することができる。
【0020】
上記省エネルギモードが所定時間継続された場合に検出ガイド光を投影する構成において、好ましくは、制御部は、省エネルギモードにおいて、光検出部により、検出ガイド光の検出対象物による反射光が検出された場合には、省エネルギモードから通常モードに復帰する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、省エネルギモードにおいて、ユーザは投影領域に検出対象物を配置させるだけで容易にプロジェクタを通常モードから省エネルギモードに復帰させることができる。
【0021】
この発明の第2の局面によるプロジェクタ機能を有する電子機器は、入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光発生部と、レーザ光発生部から照射されるレーザ光を走査させることにより任意の投影領域に画像を投影する投影部と、レーザ光発生部から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出する光検出部と、入力される画像信号の色情報に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光の光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の光検出部の検出用の検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行う制御部とを備える。
【0022】
この発明の第2の局面によるプロジェクタ機能を有する電子機器では、上記のように、入力される画像信号の色情報に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光の光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の光検出部の検出用の検出ガイド光をレーザ光発生部から照射して任意の投影領域に投影する制御を行う制御部を設けることによって、光検出部による検出が期待できない色の画像を投影する場合でも、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の検出専用の検出ガイド光が投影領域に投影されるので、光検出部により検出対象物による検出ガイド光の反射光を検出することができる。これにより、投影される画像の色が検出対象物からの反射光を検出しにくい色である場合にも、検出対象物を確実に検出することができる。また、光検出部の検出用の検出ガイド光を、投影画像を形成するための画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光発生部から照射することによって、レーザ光発生部を検出ガイド光の発生部として流用することができるので、赤外線発生部のような検出ガイド光専用の発生部を設ける必要がない。その結果、プロジェクタ機能を有する電子機器の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの使用状態を示した模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの光検出部の検出感度特性を示した図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの検出期待電圧の算出方法を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの投影領域に検出ガイド光を投影する状態を示した図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの通常モードにおける位置検出処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態によるプロジェクタの通常モードにおける位置検出処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態によるプロジェクタの省エネルギモードにおけるシステム復帰処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態によるプロジェクタ100の構成を説明する。プロジェクタ100は、本発明の「プロジェクタ機能を有する電子機器」の一例である。
【0026】
本発明の第1実施形態によるプロジェクタ100は、図1に示すように、テーブル1上に配置して使用されるように構成されている。そして、プロジェクタ100は、スクリーン2などの投影領域に向けてプレゼンテーション用(表示用)の画像2aが投影されるように構成されている。また、プロジェクタ100は、テーブル1などの投影領域の上面に対して、プレゼンテーション用の画像2aと同様の画像1aが投影されるように構成されている。なお、テーブル1上に投影される画像1aの大きさは、スクリーン2に投影される画像2aの大きさよりも小さくなるように投影される。テーブル1およびスクリーン2は、本発明の「投影領域」の一例である。
【0027】
また、プロジェクタ100の画像1aが投影される側の側面には、ユーザの指またはタッチペンにより反射されたレーザ光を検出するためのシリコンフォトダイオード10aが設けられている。シリコンフォトダイオード10aは、受光したレーザ光を電流に変換することによりレーザ光を検出する機能を有する。また、シリコンフォトダイオード10aは、図3に示すように、受光する光の波長(色)により検出感度が異なるという検出感度特性を有している。具体的には、シリコンフォトダイオード10aは、赤色(650nm)、緑色(520nm)、青色(440nm)の順で検出感度が高く、青色から赤色に近づくにつれ徐々に検出感度が高くなる特性を有している。なお、シリコンフォトダイオード10aは、本発明の「光検出部」の一例である。
【0028】
また、プロジェクタ100のシリコンフォトダイオード10aの上方には、図1に示すように、赤色、緑色および青色の可視光のレーザ光が照射されるレーザ投影口10bが設けられている。
【0029】
プロジェクタ100は、図2に示すように、操作パネル20と、制御処理ブロック30と、データ処理ブロック40と、デジタル信号プロセッサ(DSP)50と、レーザ光源60と、Video RAM71と、ビームスプリッタ80と、2つの拡大レンズ90および91とを含む。なお、レーザ光源60は、本発明の「レーザ光発生部」の一例である。
【0030】
制御処理ブロック30は、プロジェクタ100全体の制御を司る制御部31と、外部ビデオ信号を受信するためのインターフェース(I/F)であるVideo I/F32と、RAM33と、外部I/F34とを含む。
【0031】
データ処理ブロック40は、データ/階調変換器41と、ビットデータ変換器42と、タイミングコントローラ43と、データコントローラ44とを含んでいる。
【0032】
デジタル信号プロセッサ50は、ミラーサーボブロック51と、変換器52とを含んでいる。
【0033】
また、レーザ光源60は、赤色レーザ制御回路61と、緑色レーザ制御回路62と、青色レーザ制御回路63とを含んでいる。また、赤色レーザ制御回路61と、緑色レーザ制御回路62と、青色レーザ制御回路63とには、それぞれ、赤色レーザ光(可視光のレーザ光)を照射する赤色LD(レーザダイオード)61aと、緑色レーザ光(可視光のレーザ光)を照射する緑色LD62aと、青色レーザ光(可視光のレーザ光)を照射する青色LD63aとが接続されている。レーザ光源60は、後述するプロジェクタ100に入力される外部ビデオ信号または可搬型メモリ92に記憶されたデータに基づいてレーザ光を照射するように構成されている。なお、赤色LD61aは、本発明の「赤色レーザ光発生部」の一例である。また、緑色LD62aは、本発明の「緑色レーザ光発生部」の一例である。また、青色LD63aは、本発明の「青色レーザ光発生部」の一例である。
【0034】
また、レーザ光源60は、3つのコリメートレンズ64と、3つの偏光ビームスプリッタ65a、65bおよび65cと、光検出器66と、レンズ67とを含んでいる。また、レーザ光を水平方向および垂直方向に走査するためのMEMSミラー68aと、MEMSミラー68aを水平方向および垂直方向に駆動させるためのアクチュエータ70とが設けられている。なお、MEMSミラー68aは、本発明の「投影部」の一例である。
【0035】
また、赤色LD61aと、緑色LD62aと、青色LD63aとがそれぞれ照射するレーザ光は、共通のMEMSミラー68aに入射されるように構成されている。また、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aからそれぞれ照射される赤色、緑色および青色のレーザ光がMEMSミラー68aに走査されることにより、テーブル1およびスクリーン2にそれぞれ画像1aおよび2aが投影される。MEMSミラー68aは、レーザ光源60から照射されるレーザ光を走査させることにより任意の投影領域に画像を投影するように構成されている。
【0036】
また、図2に示すように、操作パネル20は、プロジェクタ100の筐体の表面または側面に設けられている。操作パネル20は、たとえば、操作内容を表示するためのディスプレイ装置(図示せず)や、プロジェクタ100に対する操作入力を受け付けるスイッチなどを含む。操作パネル20は、使用者からの操作を受け付けると、操作内容に応じた信号を制御処理ブロック30の制御部31に送信するように構成されている。
【0037】
また、プロジェクタ100の外部から与えられた外部ビデオ信号は、Video I/F32に入力されるように構成されている。また、外部I/F34は、たとえば、SDカードやUSBメモリなどの可搬型メモリ92を装着することが可能に構成されている。なお、外部I/F34には、ケーブルなどを介してPCなどが接続可能であり、外部I/F34は、ユーザの把持するタッチペンの位置情報などをPCに送信可能な出力部として機能するように構成されている。そして、制御部31は、可搬型メモリ92からデータを読み出し、読み出されたデータは、Video RAM71に格納されるように構成されている。
【0038】
また、制御部31は、データ処理ブロック40のタイミングコントローラ43と相互に通信することにより、Video RAM71に一時的に保持されている画像データに基づく映像の表示を制御するように構成されている。
【0039】
また、データ処理ブロック40では、タイミングコントローラ43は、制御部31から出力される信号に基づいて、データコントローラ44を介してVideo RAM71に保持されているデータを読み出すように構成されている。データコントローラ44は、読み出したデータをビットデータ変換器42に送信するように構成されている。ビットデータ変換器42は、タイミングコントローラ43からの信号に基づいて、データをデータ/階調変換器41に送信するように構成されている。ビットデータ変換器42は、外部から与えられた画像データをレーザ光により投影可能な形式に適合したデータに変換する機能を有する。
【0040】
データ/階調変換器41は、ビットデータ変換器42から出力されたデータを赤色(R:Red)、緑色(G:Green)および青色(B:Blue)の3色の階調に変換し、変換後の階調データを赤色レーザ制御回路61と、緑色レーザ制御回路62と、青色レーザ制御回路63とにそれぞれ送信するように構成されている。
【0041】
また、赤色レーザ制御回路61は、データ/階調変換器41からの階調データに基づいて赤色LD61aが階調に対応するレーザ出力値になるように制御するように構成されている。また、緑色レーザ制御回路62は、データ/階調変換器41からの階調データに基づいて緑色LD62aが階調に対応するレーザ出力値になるように制御するように構成されている。また、青色レーザ制御回路63は、データ/階調変換器41からの階調データに基づいて青色LD63aが階調に対応するレーザ出力値になるように制御するように構成されている。
【0042】
また、プロジェクタ100の画像1aが投影される側の側面に設けられるシリコンフォトダイオード10aは、レーザ光源60から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出するように構成されている。シリコンフォトダイオード10aにより受信された信号は、変換器52を介して、制御部31に入力されるように構成されている。
【0043】
ここで、第1実施形態では、制御部31は、入力される画像信号の階調に基づいてシリコンフォトダイオード10aの検出期待電圧を取得し、取得した検出期待電圧がシリコンフォトダイオード10aの所定の閾値よりも小さい場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個のシリコンフォトダイオード10aの検出用の検出ガイド光を赤色LD61aから照射して任意の投影領域に投影するように構成されている。すなわち、制御部31は、入力される画像信号に対応するレーザ光のシリコンフォトダイオード10aによる検出が期待できない場合に、赤色の検出ガイド光を任意の投影領域に投影するように構成されている。なお、検出期待電圧は、本発明の「検出期待値」の一例である。
【0044】
また、制御部31は、Video I/F32を介して入力された外部ビデオ信号または外部I/F34を介して接続された可搬型メモリ92から入力された画像信号から階調に関する情報を読み込み、階調の解析結果として赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aのレーザ出力値を取得するように構成されている。また、制御部31は、Video I/F32を介して入力された外部ビデオ信号または外部I/F34を介して接続された可搬型メモリ92から入力された画像信号から階調に関する情報を読み込むことにより、新たな画像が入力されたことを認識するように構成されている。また、制御部31は、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aの各々についてレーザ出力値を算出する。たとえば、図4に示すように、白色を投影する場合には、赤、緑、青のいずれもが最大階調である256階調で出力され、その際の赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aのレーザ出力値は、それぞれ235(mW)、200(mW)および80(mW)である。このように、赤色、緑色、青色によって最大階調の出力値が異なる。投影する色が白色以外の場合には、白色に対する赤、緑、青の各色の階調の変化割合に応じて赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aの各レーザ出力値が変動される。なお、階調は、本発明の「色情報」の一例である。
【0045】
また、検出対象物の反射率は、赤色、緑色、青色の各レーザ光で互いに異なる。また、光学系の透過率は、コリメートレンズ64、偏光ビームスプリッタ65a、65b、65c、レンズ67、ビームスプリッタ80および拡大レンズ90、91に対するレーザ光の透過率であり、赤色、緑色、青色の各レーザ光で互いに異なっている。
【0046】
制御部31は、プロジェクタ100に画像が入力される前に、検出対象物における赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のレーザ光ごとに異なる反射率と、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のレーザ光ごとに異なる光学系の透過率との測定(オフセット計算)を行うように構成されている。また、制御部31は、図3に示すシリコンフォトダイオード10aの検出感度特性に基づいて得られる赤色、緑色、青色のそれぞれの感度係数を用いて検出期待電圧を算出する。第1実施形態では、シリコンフォトダイオード10aによる赤色、緑色および青色の感度係数は、それぞれ、0.00045(mA/mW)、0.00027(mA/mW)および0.00018(mA/mW)であり、赤色が最も感度が高い。制御部31は、シリコンフォトダイオード10aの検出感度特性の情報をRAM33から読み込むように構成されている。
【0047】
制御部31は、図4に示すように、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のそれぞれで、階調の解析結果としてのレーザ出力値と、検出対象物の反射率と、光学系の透過率と、感度係数とを乗じて出力電流を算出し、各色の出力電流を加算して総出力電流を算出する。その後、制御部31は、総出力電流に電気アナログI/Vゲイン(40000倍)を乗じて検出期待電圧を算出する。制御部31は、通常モードにおいて、上記の手順で算出された検出期待電圧がシリコンフォトダイオード10aの所定の閾値よりも小さい場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個のシリコンフォトダイオード10aの検出用の検出ガイド光を赤色LD61aから照射して任意の投影領域に投影するように構成されている。詳細には、制御部31は、検出期待電圧がシリコンフォトダイオード10aの閾値よりも小さく、かつ、所定時間(たとえば1分間)継続して投影状態が変化しない場合に、検出ガイド光を赤色LD61aから照射して任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている。なお、第1実施形態ではR(赤)、G(緑)およびB(青)の階調を、それぞれ、80、0および0にした場合の検出期待電圧0.74025(V)をシリコンフォトダイオード10aの所定の閾値として設定している。
【0048】
また、制御部31は、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aのうちシリコンフォトダイオード10aによる検出感度が緑色、青色よりも良好であるとともに、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aのうち検出対象物からの反射率が緑色、青色よりも高い赤色のレーザ光を照射する赤色LD61aから検出ガイド光を照射するように構成されている。すなわち、制御部31は、赤色LD61aから赤色のレーザ光からなる検出ガイド光を照射する制御を行う。また、第1実施形態では、赤色LD61aから照射する赤色のレーザ光からなる検出ガイド光のR(赤)の階調は120に設定されている。すなわち、検出ガイド光の検出期待電圧は、シリコンフォトダイオード10aの閾値(R(赤)の階調を80にした場合の検出期待電圧)よりも大きくなる。また、制御部31は、通常モードにおいて、入力される画像信号の階調に基づく検出期待電圧が、シリコンフォトダイオード10aの閾値よりも小さい場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光に加えて検出ガイド光を投影する制御を行うように構成されている。また、制御部31は、検出ガイド光の検出対象物による反射光がシリコンフォトダイオード10aに検出された際のMEMSミラー68aによる走査位置に基づいて検出対象物の位置を特定するように構成されている。また、制御部31は、入力された画像信号の階調に基づく検出期待電圧がシリコンフォトダイオード10aの所定の閾値よりも大きい場合には、検出ガイド光を投影することなく、入力される画像信号に対応するレーザ光のみを任意の投影領域に投影し、入力される画像信号に対応するレーザ光の検出対象物による反射光がシリコンフォトダイオード10aに検出された際のMEMSミラー68aによる走査位置に基づいて検出対象物の位置を特定するように構成されている。
【0049】
また、第1実施形態では、入力される画像信号が黒色の画像信号の場合には、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aのいずれからも入力された画像信号に対応するレーザ光は照射されない。この場合、制御部31は、検出ガイド光のみを投影するように制御を行う。また、入力される画像信号がグレーなどの黒色に準じる色の画像信号の場合には、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aのうち少なくとも1つから黒色に準じる色に対応するレーザ光が照射されるが、この場合の検出期待電圧はシリコンフォトダイオード10aの閾値よりも小さくなるため、制御部31は、検出ガイド光を照射する制御を行う。つまり、本実施形態では、検出対象物(指またはタッチペン)からの反射光が得られないか、または、十分な反射光が得られにくい黒色または黒色に準じる色の場合には、検出ガイド光が照射されるように構成されている。
【0050】
RAM33には、検出ガイド光を生成するための情報が記憶されている。制御部31は、RAM33に記憶されている情報に基づいて、検出ガイド光を1フレームにつき1本の水平ラインに投影するように制御を行う。また、制御部31は、フレームごとにガイド光の位置を変えるように制御を行う。たとえば、図5に示すように、800×600(ピクセル)の投影領域の場合、600本の水平ラインのうち上方から下方に向かって10ラインずつ(10ライン間隔で)位置をずらしながら検出ガイド光を投影する。このように、制御部31は、投影領域全体を上方から下方に向かって検出対象物を大まかに検索(ラフサーチ)する制御を行う。なお、第1実施形態では、1/60(秒)ごとにフレームが切り替えられる。
【0051】
次に、図6および図7を参照して、第1実施形態のプロジェクタ100の制御部31による通常モードにおける位置検出処理について説明する。
【0052】
まず、プロジェクタ100に電源が投入されると通常モードにおける位置検出処理が開始される。
【0053】
ステップS1において、Video I/F32または外部I/F34を介してプロジェクタ100に新たな画像が入力されたか否かが判断される。プロジェクタ100に新たな画像が入力されるまでこの判断が繰り返され、プロジェクタ100に新たな画像が入力された場合には、ステップS2に進む。次に、ステップS2において、入力された画像の画像信号から階調に関する情報が読み取られ、読み取られた情報に基づいて画像信号の階調が解析される。
【0054】
次に、ステップS3において、階調の解析結果に基づいて、黒色の画像であるか否かが判断される。制御部31は、赤、緑、青の全ての階調が0階調である場合には、黒色の画像であると判断し、ステップS15に進む。
【0055】
次に、ステップS4において、取得されたレーザ出力値と各色の反射率と、各色の光学系の透過率と、各色の感度係数とに基づいて、検出期待電圧を算出する。ステップS5において、制御部31は、入力された画像信号から算出された検出期待電圧とシリコンフォトダイオード10aの所定の閾値(0.74025(V))とを比較する。検出期待電圧が所定の閾値より大きい場合には、入力される画像信号に対応するレーザ光のシリコンフォトダイオード10aによる検出が期待できると判断してステップS12に進む。また、検出期待電圧が所定の閾値より小さい場合には、入力される画像信号に対応するレーザ光のシリコンフォトダイオード10aによる検出ができないと判断してステップS6に進む。
【0056】
ステップS6において、投影領域における投影状態が所定時間変化していないか否かが判断される。投影領域における投影状態が所定時間変化してないと判断された場合には、ステップS7に進む。一方、新しい画像が入力された場合など、所定時間内に投影状態が変化した場合には、ステップS1に戻る。
【0057】
ステップS7において、制御部31は、検出ガイド光を生成する情報をRAM33から読み込み、検出ガイド光を生成する。具体的には、制御部31は、投影する画像情報として検出ガイド光の情報を組み込む。
【0058】
そして、ステップS8において、制御部31は、検出ガイド光が加えられた投影する画像情報をデータ送信ブロック40を介してレーザ光源60に送信する。これにより、投影領域に入力された画像信号に基づく画像に加えて、1本の水平ラインに検出ガイド光が投影される。すなわち、入力された画像信号に基づく画像上に赤色の1本の水平ラインが投影される。
【0059】
次に、ステップS9において、制御部31は、検出ガイド光の位置をフレームごとに投影領域の上方から下方に向けて10ラインずつ変更する。そして、ステップS10において、検出ガイド光の検出対象物による反射光を検出したか否かが判断される。反射光を検出するまでこの判断が繰り返される。反射光が検出されると、ステップS11において、シリコンフォトダイオード10aが検出対象物からの反射光を検出したタイミングと、その際のMEMSミラー68aによる走査位置に基づいて検出対象物の投影領域における位置座標が特定される。
【0060】
ステップS5において検出期待電圧が所定の閾値より大きいと判断された場合には、ステップS12において、入力された画像信号に対応する画像が投影される。そして、ステップS13において、入力された画像信号に対応するレーザ光の検出対象物による反射光を検出したか否かが判断される。反射光を検出するまでこの判断が繰り返される。反射光が検出されると、ステップS14において、シリコンフォトダイオード10aが検出対象物からの反射光を検出したタイミングと、その際のMEMSミラー68aによる走査位置に基づいて検出対象物の投影領域における位置座標が特定される。
【0061】
ステップS3において画像が黒色の画面であると判断された場合には、ステップS15において、投影領域における投影状態が所定時間変化していないか否かが判断される。投影領域における投影状態が所定時間変化してないと判断された場合には、ステップS16に進む。また、新しい画像が入力されたなど、所定時間内に投影状態が変化した場合には、ステップS1に戻る。
【0062】
ステップS16において、制御部31は、検出ガイド光を生成する情報をRAM33から読み込み、検出ガイド光を生成する。そして、ステップS17において、制御部31は、投影領域に検出ガイド光だけが投影されるように制御を行う。すなわち、投影領域には黒色の画像に赤色の1本の水平ラインのみが投影される。
【0063】
次に、ステップS18において、制御部31は、検出ガイド光の位置をフレームごとに投影領域の上方から下方に向けて10ラインずつ変更する。そして、ステップS19において、検出ガイド光の検出対象物による反射光を検出したか否かが判断される。反射光を検出するまでこの判断が繰り返される。反射光が検出されると、ステップS20において、シリコンフォトダイオード10aが検出対象物からの反射光を検出したタイミングと、その際のMEMSミラー68aによる走査位置に基づいて検出対象物の投影領域における位置座標が特定される。
【0064】
第1実施形態では、上記のように、入力される画像信号の階調に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光のシリコンフォトダイオード10aによる検出が期待できないと判断した場合に、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の検出ガイド光をレーザ光源60から照射して投影領域に投影する制御を行う制御部31を設けることによって、黒色や黒色に準じる色の画像を投影した際に、検出対象物からの反射光が得られないかまたは得られにくい場合でも、入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の検出ガイド光が投影されるので、検出対象物による反射光を検出することができる。これにより、投影される画像の色が検出対象物からの反射光を検出しにくい色である場合にも、検出対象物を確実に検出することができる。また、投影画像を形成するための画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光源60を検出ガイド光の発生部として流用することができるので、赤外線発生部のような検出ガイド光専用の発生部を設ける必要がない。その結果、プロジェクタ100の構成を簡素化することができる。
【0065】
第1実施形態では、上記のように、画像信号の階調に基づいて検出期待電圧を取得し、取得した検出期待電圧が所定の閾値よりも小さい場合に、検出ガイド光を赤色LD61aから照射して投影領域に投影する制御を行うように制御部31を構成することによって、画像信号の階調に基づいた検出期待電圧が所定の閾値よりも小さい場合でも、赤色LD61aから照射される検出ガイド光の反射光を用いて検出対象物を確実に検出することができる。
【0066】
第1実施形態では、上記のように、検出期待電圧が所定の閾値よりも小さく、かつ、所定時間継続して投影状態が変化しない場合に、検出ガイド光を赤色LD61aから照射する制御を行うように制御部31を構成することによって、検出期待電圧が所定の閾値よりも小さくてシリコンフォトダイオード10aによる検出が期待できない状態が所定時間継続した場合にのみ、赤色LD61aから検出ガイド光が照射されるので、入力される画像信号に基づく画像に検出ガイド光に起因するノイズなどが発生するのを極力抑制することができる。
【0067】
第1実施形態では、上記のように、検出期待電圧が所定の閾値以上の場合には、検出ガイド光を投影することなく、入力された画像信号に対応するレーザ光の検出対象物による反射光の検出結果に基づいて、検出対象物の位置を特定する制御を行うように制御部31を構成することによって、検出期待値が所定の閾値以上である場合には、検出ガイド光を用いることなく入力される画像信号に対応するレーザ光を用いて検出対象物の位置が特定されるので、入力される画像信号に基づく画像に検出ガイド光に起因するノイズが発生するのを極力抑制することができる。
【0068】
第1実施形態では、上記のように、検出対象物による検出ガイド光の反射光が検出された際の投影部による検出ガイド光の走査位置に基づいて、検出対象物の位置を特定するように制御部31を構成することによって、画像信号に対応するレーザ光の反射光の検出が期待できない場合でも、検出ガイド光の検出対象物による反射光と検出ガイド光の走査位置とに基づいて、容易に、検出対象物の位置を特定することができる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、画像信号が黒色または黒色に準じる色の画像信号である場合に、画像信号に対応するレーザ光とは別個の検出ガイド光を投影領域に投影する制御を行うように制御部31を構成することによって、検出対象物からの反射光が得られないかまたは得られにくい黒色またはそれに準じる色の画像が投影領域に投影される場合でも、検出ガイド光を用いて検出対象物を確実に検出することができる。
【0070】
第1実施形態では、上記のように、赤色のレーザ光を照射する赤色LD61aと、緑色のレーザ光を照射する緑色LD62aと、青色のレーザ光を照射する青色LD63aとを含むレーザ光源60を設けるとともに、赤色LD61a、緑色LD62aおよび青色LD63aのうちの検出対象物の反射率の高い赤色のレーザ光を発生する赤色LD61aから、検出ガイド光を照射する制御を行うように制御部31を構成することによって、検出対象物の反射率の高い赤色のレーザ光により検出ガイド光を構成することができるので、シリコンフォトダイオード10aにより、検出対象物による検出ガイド光の反射光を精度よく検出することができる。
【0071】
第1実施形態では、上記のように、赤色のレーザ光の検出感度が緑色および青色のレーザ光の検出感度よりも良好なシリコンフォトダイオード10aを含み、赤色LD61aから赤色の検出ガイド光を照射する制御を行うように制御部31を構成することによって、検出ガイド光として検出対象物からの反射率が最も高く、かつ、検出感度が最も高い赤色のレーザ光が照射されるので、シリコンフォトダイオード10aにより、赤色のレーザ光からなる検出ガイド光の反射光を高精度に検出することができる。
【0072】
第1実施形態では、上記のように、画像信号の階調の解析結果に基づいて、画像表示フレームごとに検出ガイド光の位置を任意の投影領域内で変更する制御を行うように制御部31を構成することによって、検出ガイド光の位置が画像表示フレームごとに投影領域内で変更されるので、投影領域における検出対象物の位置に関わらず、検出対象物を確実に検出することができる。
【0073】
(第2実施形態)
以下、図8を参照して、本発明の第2実施形態のプロジェクタ100(図1参照)について説明する。
【0074】
この第2実施形態では、上記した第1実施形態とは異なり、制御部31は、プロジェクタ100が消費電力を抑えた状態で待機する省エネルギモードにおいて、検出用の検出ガイド光を投影する構成について説明する。
【0075】
制御部31は、省エネルギモードである場合には、省エネルギモードが所定時間(たとえば1分間)継続された場合に、検出ガイド光を赤色LD61aから照射して任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている。省エネルギモードの場合、投影領域には入力される画像信号に基づく画像が投影されないので、制御部31は、検出ガイド光のみを投影するように制御を行う。また、制御部31は、省エネルギモードにおいて、検出ガイド光の検出対象物による反射光がシリコンフォトダイオード10aにより検出された際に、プロジェクタ100を省エネルギモードから通常モードに復帰させる制御を行うように構成されている。
【0076】
次に、図8を参照して、第2実施形態のプロジェクタ100の制御部31による省エネルギモードにおけるシステム復帰処理について説明する。
【0077】
ステップS21おいて、省エネルギモードであるか否かが判断される。制御部31は、プロジェクタ100が省エネルギモードでないと判断した場合には、通常モードにおける位置検出処理(図6および図7参照)を実行する。
【0078】
ステップS22において、所定時間省エネルギモードが継続されているか否かが判断される。所定時間が経過するまでステップS21およびステップS22の判断が繰り返される。所定時間省エネルギモードが継続されると、ステップS23において、制御部31は、検出ガイド光を生成する情報をRAM33から読み込み、検出ガイド光を生成する。そして、ステップS24において、制御部31は、投影領域に検出ガイド光だけが投影されるように制御を行う。すなわち、投影領域には赤色の1本の水平ラインのみが投影される。
【0079】
次に、ステップS25において、制御部31は、検出ガイド光の位置をフレームごとに投影領域の上方から下方に向けて10ラインずつ変更する。そして、ステップS26において、検出ガイド光の検出対象物による反射光を検出したか否かが判断される。反射光を検出するまでこの判断が繰り返される。反射光が検出されると、ステップS27において、制御部31は、プロジェクタ100を省エネルギモードから通常モードに復帰させる。
【0080】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
第2実施形態では、上記のように、通常モードにおいて、画像信号の階調に基づいて、画像信号に対応するレーザ光の検出が期待できないと判断した場合に、検出ガイド光の投影領域に投影する制御を行うとともに、省エネルギモードの場合には、省エネルギモードが所定時間継続された場合に、検出ガイド光を投影領域に投影する制御を行うように制御部31を構成することによって、入力される画像信号に基づく画像が投影されない省エネルギモードの場合であっても、検出ガイド光を用いて検出対象物を確実に検出することができる。
【0082】
第2実施形態では、上記のように、通常モードにおいて画像信号に対応するレーザ光を投影する場合には、画像信号に対応するレーザ光に加えて検出ガイド光を投影するとともに、省エネルギモードの場合には、検出ガイド光のみを投影する制御を行うように制御部31を構成することによって、通常モードの場合には、画像信号に基づく画像を投影した状態で検出ガイド光を投影して確実に検出対象物を検出することができるとともに、省エネルギモードの場合には、検出ガイド光のみを投影して検出対象物を検出することができる。
【0083】
第2実施形態では、上記のように、制御部31を、省エネルギモードにおいて、シリコンフォトダイオード10aにより、検出ガイド光の検出対象物による反射光が検出された場合には、省エネルギモードから通常モードに復帰する制御を行うように構成する。このように構成すれば、省エネルギモードにおいて、ユーザは投影領域に検出対象物を配置させるだけで容易にプロジェクタ100を通常モードから省エネルギモードに復帰させることができる。
【0084】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0086】
上記第1および第2実施形態では、本発明の色情報が階調である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、階調以外の色情報であってもよい。
【0087】
上記第1および第2実施形態では、色情報の解析結果から算出される検出期待値としての検出期待電圧に基づいて検出ガイド光を投影する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、検出期待値を用いることなく、色情報(階調)に基づいて、入力される画像信号に対応するレーザ光の検出対象物による反射光の検出を期待できないと判断した場合に、検出ガイド光を投影してもよい。
【0088】
上記第1および第2実施形態では、光検出部としてのシリコンフォトダイオードが閾値(0.74025(V))を有する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、0.74025(V)以外の閾値であってもよい。
【0089】
上記第1および第2実施形態では、光検出部の一例として、シリコンフォトダイオードを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、シリコンフォトダイオード以外の光検出部であってもよい。
【0090】
上記第1および第2実施形態では、検出ガイド光として赤色のレーザ光を赤色LD(赤色レーザ光発生部)から照射する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検出ガイド光として赤色以外の色のレーザ光を照射してもよい。たとえば、赤色の次に反射率が高く、かつ、シリコンフォトダイオードの検出感度の高い緑色のレーザ光を検出ガイド光として用いてもよいし、赤色と緑色との混色を検出ガイド光として用いてもよい。また、検出ガイド光を、青色レーザ光発生部から照射してもよいし、赤色レーザ光発生部、緑色レーザ光発生部および青色レーザ光発生部のうちの2つ以上を組み合わせて検出ガイド光を照射してもよい。
【0091】
上記第1および第2実施形態では、フレームの上方から下方に向かって1本の水平ラインに投影する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フレームの左側から右側(または右側から左側)に向かって垂直ラインに検出ガイド光を投影してもよいし、斜めのラインに検出ガイド光を投影してもよい。また、水平ライン、垂直ラインおよび斜めのラインを組み合わせて検出ガイド光を投影してもよい。
【0092】
上記第1および第2実施形態では、1フレームにつき1本の水平ラインに投影する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1フレームにつき複数本の検出ガイド光を投影してもよい。
【0093】
上記第1および第2実施形態では、検出ガイド光は連続したフレームごとに投影される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検出ガイド光を、たとえば、1つおきのフレームごと(2フレームごと)や任意のフレームごとに投影してもよい。このように構成すれば、1フレームごとではなく複数フレームごとに検出ガイド光を投影することにより、検出ガイド光に起因するノイズが発生するのを極力抑制することができる。その結果、画面のちらつきなどが発生するのを極力抑制することができる。
【0094】
上記第1および第2実施形態では、検出ガイド光を1本の水平ラインに投影する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、所定の領域に検出ガイド光を投影しフレームごとにその領域を移動させてもよい。
【0095】
上記第1および第2実施形態では、所定時間として1分間投影状態に変化がない場合に検出ガイド光を投影する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、1分間未満または1分よりも長い時間の時間投影状態に変化がない場合に検出ガイド光を投影してもよい。
【0096】
上記第1および第2実施形態では、投影領域の1フレームが800×600(ピクセル)の解像度である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、800×600(ピクセル)以外の解像度であってもよい。
【0097】
上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作をスタート時はイベント駆動的に記載し、スタート以降の処理動作はフロー駆動的に記載したフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。制御部の処理動作を完全なイベント駆動型で行ってもよいし、完全なフロー駆動型で行ってもよいし、並行処理的に行ってもよい。
【0098】
上記第1および第2実施形態では、本発明を、プロジェクタ(プロジェクタ専用機)に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、プロジェクタ(プロジェクタ専用機)以外のプロジェクタ機能を有する電子機器に適用してもよい。たとえば、プロジェクタ機能を有する携帯機器(携帯情報端末および携帯電話など)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10a シリコンフォトダイオード(光検出部)
31 制御部
60 レーザ光源(レーザ光発生部)
61a 赤色LD(赤色レーザ光発生部)
62a 緑色LD(緑色レーザ光発生部)
63a 青色LD(青色レーザ光発生部)
68a MEMSミラー(投影部)
100 プロジェクタ(プロジェクタ機能を有する電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光発生部と、
前記レーザ光発生部から照射されるレーザ光を走査させることにより任意の投影領域に画像を投影する投影部と、
前記レーザ光発生部から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出する光検出部と、
前記入力される画像信号の色情報に基づいて、前記入力される画像信号に対応するレーザ光の前記光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、前記入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の前記光検出部の検出用の検出ガイド光を前記レーザ光発生部から照射して前記任意の投影領域に投影する制御を行う制御部とを備えた、プロジェクタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記入力される画像信号の色情報に基づいて前記光検出部の検出期待値を取得し、取得した前記検出期待値が所定の閾値よりも小さい場合に、前記入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の前記光検出部の検出用の前記検出ガイド光を前記レーザ光発生部から照射して前記任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出期待値が前記所定の閾値よりも小さく、かつ、所定時間継続して投影状態が変化しない場合に、前記検出ガイド光を前記レーザ光発生部から照射して前記任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている、請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記取得した検出期待値が所定の閾値以上の場合には、前記検出ガイド光を投影することなく、前記入力された画像信号に対応するレーザ光の前記検出対象物による反射光の検出結果に基づいて、前記検出対象物の位置を特定する制御を行うように構成されている、請求項2または3に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出対象物による前記検出ガイド光の反射光が前記光検出部に検出された際の前記投影部による前記検出ガイド光の走査位置に基づいて、前記検出対象物の位置を特定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記制御部は、前記入力される画像信号が黒色または黒色に準じる色の画像信号である場合に、前記入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の前記検出ガイド光を前記レーザ光発生部から照射して前記任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記レーザ光発生部は、赤色のレーザ光を照射する赤色レーザ光発生部と、緑色のレーザ光を照射する緑色レーザ光発生部と、青色のレーザ光を照射する青色レーザ光発生部とを含むとともに、
前記制御部は、前記赤色レーザ光発生部、前記緑色レーザ光発生部および前記青色レーザ光発生部のうちの前記検出対象物の反射率の高いレーザ光を発生する少なくとも1つのレーザ光発生部から、前記検出ガイド光を照射する制御を行うように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
前記レーザ光発生部は、赤色のレーザ光を照射する前記赤色レーザ光発生部と、緑色のレーザ光を照射する前記緑色レーザ光発生部と、青色のレーザ光を照射する前記青色レーザ光発生部とを含むとともに、
前記光検出部は、検出するレーザ光の波長により検出感度が異なる特性を有し、
前記制御部は、前記赤色レーザ光発生部、前記緑色レーザ光発生部および前記青色レーザ光発生部のうちの前記光検出部による検出感度が良好な波長のレーザ光を発生する少なくとも1つのレーザ光発生部から、前記検出ガイド光を照射する制御を行うように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記光検出部は、赤色のレーザ光の検出感度が緑色および青色のレーザ光の検出感度よりも良好な光検出部を含み、
前記制御部は、前記赤色レーザ光発生部から赤色のレーザ光からなる前記検出ガイド光を照射する制御を行うように構成されている、請求項7または8に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記制御部は、前記入力される画像信号の色情報の解析結果に基づいて、前記投影領域に投影される画像表示フレームごとに前記検出ガイド光の位置を前記任意の投影領域内で変更しながら投影する制御を行うように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記制御部は、通常モードにおいて、前記入力される画像信号の色情報に基づいて、前記入力される画像信号に対応するレーザ光の光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、前記検出ガイド光を前記レーザ光発生部から照射して前記任意の投影領域に投影する制御を行うとともに、前記入力される画像信号に基づく画像が投影されない省エネルギモードの場合には、前記省エネルギモードが所定時間継続された場合に、前記検出ガイド光を前記レーザ光発生部から照射して前記任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項にプロジェクタ。
【請求項12】
前記制御部は、前記通常モードにおいて前記入力される画像信号に対応するレーザ光を投影する場合には、前記入力される画像信号に対応するレーザ光に加えて前記検出ガイド光を前記任意の投影領域に投影するとともに、前記省エネルギモードの場合には、前記検出ガイド光のみを前記任意の投影領域に投影する制御を行うように構成されている、請求項11に記載のプロジェクタ。
【請求項13】
前記制御部は、前記省エネルギモードにおいて、前記光検出部により、前記検出ガイド光の前記検出対象物による反射光が検出された場合には、前記省エネルギモードから前記通常モードに復帰する制御を行うように構成されている、請求項11または12に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
入力される画像信号に基づいてレーザ光を照射するレーザ光発生部と、
前記レーザ光発生部から照射されるレーザ光を走査させることにより任意の投影領域に画像を投影する投影部と、
前記レーザ光発生部から照射されて、検出対象物により反射されたレーザ光を検出する光検出部と、
前記入力される画像信号の色情報に基づいて、前記入力される画像信号に対応するレーザ光の前記光検出部による検出が期待できないと判断した場合に、前記入力される画像信号に対応するレーザ光とは別個の前記光検出部の検出用の検出ガイド光を前記レーザ光発生部から照射して前記任意の投影領域に投影する制御を行う制御部とを備えた、プロジェクタ機能を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61598(P2013−61598A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201591(P2011−201591)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】