説明

プロジェクタ装置およびその制御方法

【課題】主制御プロセッサのソフトウェア暴走で制御情報の誤りを発生させない。
【解決手段】プロジェクタ装置は、映像に対応した光源からの光を投射する投射部20と、制御情報を保持するEEPROM13と、様々な操作を行うユーザインタフェース11,12と、起動後に制御情報に基づいて投射部20を制御するメインCPU14と、ユーザインタフェース11,12の操作に従ってメインCPU14を起動または停止させる制御およびメインCPU14の動作の監視を行うサブCPU15とを備える。サブCPU15はメインCPU14のソフトウェア暴走を検出し、この検出時点までにメインCPU14の動作において生じた制御情報の変更をEEPROM13に保持される制御情報に反映させ、さらにメインCPU14を再起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待機状態での消費電力を抑制するために主制御プロセッサを副制御プロセッサにより停止させるプロジェクタ装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なプロジェクタ装置は、高圧水銀ランプからの白色光を利用して映像を外部のスクリーンに投射する。近年では、高い輝度と長寿命を両立できるパワーLEDが複数メーカから相次いで量産され始めていている。また、このようなパワーLED(以下、LEDと称す)は電力を効率的に光に変換できるため、プロジェクタ装置の光源として採用されつつある。
【0003】
プロジェクタ装置では、映像を投射しない待機状態での消費電力を低減することが求められている。これを実現する方策として、従来、映像の投射を制御するメインCPU(主制御プロセッサ)を補助するために、待機状態で消費電力の低いサブCPU(副制御プロセッサ)を使用する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2007−219165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプロジェクタ装置では、投射ランプが不点灯になるようなメインCPUの異常が発生した場合に、メインCPUおよびサブCPUの両方が動作する異常待機状態となる。この場合、サブCPUはメインCPUをリセットして通常状態に復帰させる。
しかしながら、プロジェクタ装置は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリに光源の累積点灯時間データや様々な設定データのような制御情報をプロジェクタ装置保持させ、メインCPUが電源オフ操作によって待機状態になる際に制御情報を最新の内容に書き換えることがある。特許文献1の技術では、メインCPUが動作中にソフトウェア暴走すると、制御情報の書き換えが行われずにメインCPUがリセットされる。このため、制御情報の誤りが発生してしまう。
【0005】
本発明の目的は、主制御プロセッサのソフトウェア暴走によって制御情報の誤りが発生しないプロジェクタ装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点によれば、映像に対応した光源からの光を投射する投射部と、制御情報を保持する不揮発性メモリと、様々な操作を行うユーザインタフェースと、起動後に制御情報に基づいて投射部を制御する主制御プロセッサと、ユーザインタフェースの操作に従って主制御プロセッサを起動または停止させる制御および主制御プロセッサの動作の監視を行う副制御プロセッサとを備え、副制御プロセッサは主制御プロセッサのソフトウェア暴走を検出し、この検出時点までに主制御プロセッサの動作において生じた制御情報の変更を不揮発性メモリに保持される制御情報に反映させ、さらに主制御プロセッサを再起動するように構成されるプロジェクタ装置が提供される。
【0007】
本発明の第2観点によれば、映像に対応した光源からの光を投射する投射部と、制御情報を保持する不揮発性メモリと、様々な操作を行うユーザインタフェースと、起動後に制御情報に基づいて投射部を制御する主制御プロセッサと、ユーザインタフェースの操作に従って主制御プロセッサを起動または停止させる制御および主制御プロセッサの動作の監視を行う副制御プロセッサとを備えるプロジェクタ装置の制御方法であって、主制御プロセッサのソフトウェア暴走を副制御プロセッサで検出し、副制御プロセッサによってこの検出時点までに主制御プロセッサの動作において生じた制御情報の変更を不揮発性メモリに保持される制御情報に反映させ、さらに主制御プロセッサを再起動する制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
これらプロジェクタ装置およびその制御方法では、副制御プロセッサが主制御プロセッサのソフトウェア暴走を検出し、この検出時点までに主制御プロセッサの動作において生じた制御情報の変更を不揮発性メモリに保持される制御情報に反映させ、さらに主制御プロセッサを再起動する。従って、主制御プロセッサのソフトウェア暴走を検出するためのウォッチドックタイマが必要とされず、かつ確実に不揮発性メモリに保持された制御情報が更新される。従って、主制御プロセッサのソフトウェア暴走によって制御情報の誤りが発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ装置について添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1はこのプロジェクタ装置の概略的な回路構成を示す。プロジェクタ装置は装置全体を制御する制御部10および光源からの光で映像を表示する投射部20を備える。制御部10は電源キー11、リモコン受光素子12、EEPROM13、メインCPU(主制御プロセッサ)14、サブCPU(副制御プロセッサ)15、レギュレータ16、電源LED17、および照度センサ18を含む。
【0011】
電源キー11は装置本体に設けられて電源オンおよび電源オフのために操作される。リモコン受光素子12は外部リモコンから赤外線のリモコン信号として送信される電源オンおよび電源オフの電源キーコードを含む様々な操作コマンドを受光する。ここで、電源キー11およびリモコン受光素子12はユーザインタフェースとして設けられている。EEPROM13は、累積LED点灯時間データ、メニュー設定データ、および入力ソース設定データを含む制御情報を保持する不揮発性メモリであり、メインCPU14およびサブCPU15にICバスを介して接続される。メインCPU14は起動後に制御情報に基づいて投射部20を制御する。サブCPU15はユーザインタフェースの操作に従ってメインCPU14を起動または停止させる制御およびメインCPU14の動作の監視を行う。レギュレータ16はAC商用電源から主電源および副電源を生成する。主電源はメインCPU14および投射部20の動作用であり、副電源はリモコン受光素子12、EEPROM13、サブCPU15、レギュレータ16、電源LED17、および照度センサ18の動作用である。レギュレータ16がAC商用電源に接続されたとき、副電源がレギュレータ16から出力される。主電源は、サブCPU15から供給されるイネーブル信号に応答してレギュレータ16から出力される。電源LED17は電源オン状態および電源オフ状態(待機状態)を別の色で表示する。照度センサ18はプロジェクタ装置の周囲の明るさ(照度)を検出し、この検出結果をサブCPU15に照度信号として通知する。
【0012】
投射部20は映像に対応した光を生成する光源である投射LED21、投射LED21からの光を投射する投射レンズ22、投射レンズ22から投射される光に対応する映像を表示する投射スクリーン23、および投射LED21および投射レンズ22の光学系のフォーカス等を調整する光学系調整器24を含む。
【0013】
メインCPU14は主電源の供給に伴って起動し、内部に設けられる制御プログラムを実行することにより投射部20の制御を行う。この制御では、メインCPU14が様々な入力ソースから選択的に供給される映像信号および主電源を投射部20に出力する。また、メインCPU14には、EEPROM13から読み出される累積LED点灯時間データ、メニュー設定データ、および入力ソース設定データを含む制御情報等を一時的に保持する内蔵RAM14A、および投射LED21の点灯時間測定用にRAM14Aに設けられる点灯時間カウンタ14Bを含む。メインCPU14はメインCPU14の起動から投射LED21の点灯時間を計測するために周期的に点灯時間カウンタ14Bを更新する。また、メインCPU14はユーザインタフェースの操作に従ってメニュー設定データや入力ソース設定データを内蔵RAM14Aにおいて変更し、設定データ変更通知および変更結果とをサブCPU15にICバスを介して出力する。内蔵RAM14Aにおいて、変更された設定データは変更フラグを付加して表される。ちなみに、メインCPU14は電源オフするユーザインタフェースの操作があると、点灯時間カウンタ14Bのカウント値から点灯時間を求めて、この点灯時間を内蔵RAM14Bに保持された累積LED点灯時間データに加算し、この加算結果の累積LED点灯時間データ、メニュー設定データおよび入力ソース設定データを最新の制御情報としてEEPROM13に書き込み、この後サブCPU15に電源オフ、すなわちイネーブル信号の供給停止を要求する。さらに、メインCPU14は動作中にアライブ信号をサブCPU15に出力する。このアライブ信号は、HレベルとLレベルが例えば100ms周期で交互に切り替わるようなクロック信号でよい。
【0014】
サブCPU15は副電源の供給に伴って起動し、内部に設けられる制御プログラムを実行することによりメインCPU14や他のコンポーネントの制御を行う。すなわち、サブCPU15は、上述のようにユーザインタフェースの操作に従ってメインCPU14を起動または停止させる制御およびメインCPU14の動作の監視を行うだけでなく、例えば照度センサ18からの照度信号に対応してPWM(パルス幅変調)信号を電源LED17に出力する。サブCPU15はEEPROM13から読み出される累積LED点灯時間データ、メニュー設定データ、および入力ソース設定データを含む制御情報等を一時的に保持する内蔵RAM15A、投射LED21の点灯時間測定用にRAM15Aに設けられる点灯時間カウンタ15B、およびサブCPU15のソフトウェア暴走を検出して再起動するウォッチドックタイマ15Cを含む。サブCPU15はメインCPU14の起動から投射LED21の点灯時間を計測するために周期的に点灯時間カウンタ15Bを更新する。さらに、サブCPU15は動作中アライブ信号をメインCPU14に出力すると共に、メインCPU14を再起動する際にリセット信号をメインCPU14に出力する。このアライブ信号は、HレベルとLレベルが例えば100ms周期で交互に切り替わるようなクロック信号でよい。ちなみに、サブCPU15は副電源の供給後にレギュレータ16に対するイネーブル信号の供給を行い、メインCPU14からの電源オフ要求に応答してこのイネーブル信号の供給を停止する。
【0015】
図2はサブCPU15によるセットアップ処理を示す。このセットアップ処理は、副電源の供給に伴って行われる。セットアップ処理が開始すると、ブロックB1でサブCPU15の初期設定を行い、ICバスの利用モードをマスターモードに設定する。ブロックB2では、ICバス経由でEEPROM13から内蔵RAM15Aに制御情報を読み出す。ここで、制御情報は、投射LED21の点灯時間の合計である累積LED点灯時間データ、投射LED21のLEDパワー、スクリーン23での画面輝度、スクリーン23での画面コントラスト等であるメニュー設定データ、さらに入力ソースの選択結果である入力ソース設定データを含む。ブロックB3では、電源キー11の操作を検出したかチェックする。電源キー11の操作が検出されなければ、ブロックB4でリモコンからの電源キーコードを検出したかチェックする。電源キーコードが検出されなければ、ブロックB5で所定時間ウェイトし、ブロックB3へ戻る。
【0016】
ブロックB3で電源キー11の操作が検出された場合、またはブロックB4でリモコンからの電源キーコードが検出された場合、ブロックB6でレギュレータ16の主電源出力をイネーブル信号によりオンし、メインCPU14をリセット信号により再起動し、LED点灯時間カウンタ15Bをクリアする。ブロックB7では、メインCPU15からのコマンドを受信可能にするために、ICバスの利用モードをスレーブモードに設定する。これにより、サブCPU15によるセットアップ処理が終了する。
【0017】
図3はメインCPU14によるセットアップ処理を示す。このセットアップ処理は、主電源の供給状態で行われるリセット信号の供給に伴って行われる。セットアップ処理が開始すると、ブロックB11でメインCPU14の初期化を行い、ICバスの利用モードをマスターモードに設定する。ブロックB12では、ICバス経由でEEPROM13から内蔵RAM14Aに制御情報を読み出す。ここで、制御情報は、上述のように、投射LED21の点灯時間の合計である累積LED点灯時間データ、投射LED21のLEDパワー、スクリーン23での画面輝度、スクリーン23での画面コントラスト等であるメニュー設定データ、さらに入力ソースの選択結果である入力ソース設定データを含む。ブロックB13では、投射部20の内部デバイスを順次起動し、投射LED21を点灯させ、さらにLED点灯時間カウンタ14Bをクリアする。ブロックB14では、EEPROM13から読み出した制御情報に基づいてソース映像の投射設定を投射部20に対して行う。これにより、メインCPU14によるセットアップ処理が終了する。
【0018】
図4はサブCPU15による制御情報退避処理を示す。この制御情報退避処理は図2に示すセットアップ処理に続いて行われる。この制御情報退避処理が開始すると、ブロックB21で所定時間ウェイトし、ブロックB22でLED点灯時間カウンタ15Bをインクリメントし、ブロックB23でメインCPU14からの設定データ変更通知があるかチェックする。設定データ変更通知があれば、ブロックB24でメインCPU14で変更された設定データを受信し、この受信結果で内蔵RAM15Aに保持される該当設定データを書き換える。
【0019】
ブロックB23で設定データ変更通知がない場合、またはブロックB24の処理が終了した場合、ブロックB25でメインCPU14からのアライブ信号のレベルを検出する。ブロックB26では、アライブ信号は基準時間を越えて無変化かチェックされる。基準時間は例えば4秒間でよい。アライブ信号が基準時間内において変化すれば、ブロックB21に戻る。
【0020】
これに対し、アライブ信号が基準時間を越えて無変化であれば、メインCPU14がソフトウェア暴走したと判断され、ブロックB27が実行される。このブロックB27では、LED点灯時間カウンタ15Bのカウント値から点灯時間を求め、RAM15Aに保持される累積LED点灯時間データに加算する。ブロックB28では、ICバスの利用モードをマスターモードに設定する。ブロックB29では、RAM15Aに保持される制御情報、すなわち累積LED点灯時間データ、メニュー設定データ、および入力ソース設定データをEEPROM13に最新の制御情報として書き込む。ブロックB30では、メインCPU14をリセット信号により再起動し、LED点灯時間カウンタ15Bをクリアする。ブロック31では、メインCPU14からのコマンドを受信可能にするためにICバスの利用モードをスレーブモードに設定する。ブロックB31の処理後、ブロックB21に戻る。この場合、マスタCPU14は、再起動後に図3に示すセットアップ処理を実行し、EEPROM13から最新の制御情報を取得できる。また、この制御情報は内蔵RAM15Aに保持される制御情報に一致する。
【0021】
図5はメインCPU14による制御情報退避処理を示す。この制御情報退避処理は図3に示すセットアップ処理に続いて行われる。この制御情報退避処理が開始すると、ブロックB41で所定時間ウェイトし、ブロック43でLED点灯時間カウンタ14Bをインクリメントし、ブロックB43で内蔵RAM14Aにおいてメニュー設定データおよび入力ソース設定データに付加される変更フラグを確認する。ブロックB44で変更フラグがあることが検出されると、ブロックB45で変更フラグによって特定される設定データのみをICバス経由でサブCPU15に送信し、送信済の設定データに付加された変更フラグをクリアする。
【0022】
ブロックB44で変更フラグが無い場合、またはブロックB45の処理が終了した場合、ブロックB46でサブCPU15からのアライブ信号のレベルを検出する。ブロックB47では、アライブ信号は基準時間を越えて無変化かチェックされる。基準時間はサブCPU15のウォッチドックタイマ15Cの動作待ち時間より短い例えば3秒間でよい。従って、この基準時間はメインCPU14に対する基準時間よりも短い。アライブ信号が基準時間内において変化すれば、ブロックB41に戻る。
【0023】
これに対し、アライブ信号が基準時間を越えて無変化であれば、サブCPU15がソフトウェア暴走したと判断され、ブロックB48が実行される。このブロックB48では、LED点灯時間カウンタ14Bのカウント値から点灯時間を求め、RAM14Aに保持される累積LED点灯時間データに加算する。ブロックB49では、内蔵RAM14Aに保持される制御情報、すなわち累積LED点灯時間データ、メニュー設定データ、および入力ソース設定データをEEPROM13に最新の制御情報として書き込む。ブロックB50では、サブCPU15のリセットを待つためのスリープ状態に入る設定を行う。これにより、メインCPUによる制御情報退避処理が終了する。
【0024】
ちなみに、メインCPU 14はプロジェクタ装置の動作全てを担当するため、サブCPU 15の監視動作は1タスクとして実装される。本タスクの動作周期は図4に示すサブCPU14による制御情報退避処理の動作周期に近いことが望ましい。理由は、メインCPU14からの設定データ送信周期とサブCPU15のデータ受信周期を一致させるのが両CPUのデータを同期させる上で最も効率がよいからである。このタスクの基本動作は図4のサブCPUの動作と同じで、ランプ点灯時間を計測すると共に、メニュー設定値等のデータの変更があったら、ICバス経由でサブCPU 15に該当データを送信する。設定データ変更の有無の管理は、図6に示すように設定データと変更フラグのペアで管理し、別タスク(例えば入力ソース切換タスク)で入力ソース設定データが変更されたら、対応する変更フラグをセットにする。そして、本タスク内で順次変更フラグをチェックし、フラグが立っているデータのみサブCPU 15に送信した後、変更フラグをクリアする。以上の処理により両CPUが持つデータは常時一致する。
【0025】
メインCPU14はサブCPU15のソフトウェア暴走を検出したら直ちに内蔵RAM14Aに保持される制御情報をEEPROM13に書き込むが、その後サブCPU15のウォッチドックタイマ15CによりサブCPUが再起動し、図2に示すセットアップ処理に従って待機状態に戻るまでスリープする。
【0026】
図7は照度センサ18により検出されるプロジェクタ装置の周囲の照度と電源LED 17に供給されるPWM信号のデューティ比との関係を示す。図7に示す例において、PWM信号のデューティ比は、照度が高レベル域である場合に100%に設定され、照度が中レベル域である場合に80%に設定され、照度が低レベル域である場合に60%に設定される。
【0027】
図8はサブCPU15によって行われる電源LED17の調光処理を示す。この調光処理が開始されると、ブロックB61で照度センサ18の検出結果として出力される照度信号から照度を読み出す。ブロックB62で照度が高レベル域であることが検出さされると、ブロックB63でデューティ比(オンデューティ)100%のPWM信号で電源LED17を駆動する。また、ブロックB64で照度が中レベル域であることが検出さされると、ブロックB65でデューティ比(オンデューティ)80%のPWM信号で電源LED17を駆動する。さらに、照度が高レベル域および中レベル域のいずれでもなければ、低レベル域であると判断され、ブロックB66でデューティ比(オンデューティ)60%のPWM信号で電源LED17を駆動する。ブロックB63,B65,B66の処理後、ブロックB67で所定時間ウェイトし、ブロックB61へ戻る。
【0028】
すなわち、サブCPU15は定期的に照度センサ18の検出結果から照度を求め、この照度を3段階のレベル域に分けて、求めた照度に応じたPWM信号のデューティ比を図7に示す関係で設定する。その結果、電源LED17の輝度がPWM信号に対応して適切に調光される。当然ながら、照度レベルの段階数やPWMデューティ比は、プロジェクタ装置仕様や部品精度に合わせて任意に決めてよい。プロジェクタ装置周囲の照度が低ければ、その分PWMデューティ比を下げて電源LED17の輝度を落としてもユーザはLED17の表示色を違和感なく認識できるため、待機時の消費電力削減に有効である。
【0029】
本実施形態のプロジェクタ装置は、待機電力低減のため、待機時はメインCPU14への電源供給を停止し、サブCPU15が電源キー11やリモコン受光素子12からの電源オン操作を監視し、電源オン操作を検出したらメインCPU14を起動して映像を投射する。電源オン中、サブCPU15はメインCPU14からのアライブ信号を監視する。そして、サブCPU15がメインCPU14のソフトウェア暴走を検出したら直ちにメインCPU14を再起動する。これにより、メインCPU14用にウォッチドックタイマIC(Watch Dog Timer IC)を設ける必要がなくなる。
【0030】
また、サブCPU15は待機時にEEPROM13から累積LED点灯時間データを読み出す。そして、電源オン時にメインCPU14を起動すると共にLED点灯時間の計測を開始する。さらに電源オン中はサブCPU15がメインCPU14からのアライブ信号を監視する。通常は電源オフ時にメインCPU14が累積LED点灯時間データをEEPROM13に書き込むが、サブCPU15がメインCPU14のソフトウェア暴走を検出したらLED点灯時間を算出の上、累積LED点灯時間データをEEPROM13に書き込んでからメインCPU14を再起動する。メインCPU14は起動時に累積LED点灯時間データをEEPROM13から読み出すことで暴走直前の状態を再現できる。
【0031】
また、サブCPU15は待機時にEEPROM13からメニュー設定データおよび入力ソース設定データを読み出す。そして、電源オン時にメインCPU14を起動する。電源オン中、メインCPU14はメニュー設定データや入力ソース設定データが変更される度に該当する設定データをサブCPU15に送信する。一方、サブCPU15はメインCPU14からのアライブ信号を監視する。通常は電源オフ時にメインCPU14がこれら設定データをEEPROM 13に書き込むが、サブCPU15がメインCPU14のソフトウェア暴走を検出したら、これらメニュー設定データおよび入力ソース設定データをEEPROM13に書き込んでからメインCPU14を再起動する。メインCPU14は起動時にメニュー設定データおよび入力ソース設定データをEEPROM 13から読み出すことで暴走直前の状態を再現できる。
【0032】
また、電源オン中、メインCPU14はメニュー設定データや入力ソース設定データが変更される度に該当する設定データをサブCPU15に送信する。また、サブCPU 15からのアライブ信号を監視する。そして、サブCPU15のソフトウェア暴走を検出したら、LED点灯時間を算出の上、サブCPU15がウォッチドックタイマ15Cによってリセットされる前にメニュー設定データおよび入力ソース設定データをEEPROM13に書き込む。これによりサブCPU15のソフトウェア暴走時もEEPROM13に最新制御情報が保持される。
【0033】
さらに、待機時、消費電力の大半が電源LED17の駆動に消費される。尚、電源LED17はユーザが待機状態と電源オン状態が判別できるよう、サブCPU15からの制御によって複数の色を点灯できるものである。サブCPU15はプロジェクタ装置に設置された照度センサ18を使ってプロジェクタ装置の周囲の照度を検出し、それに併せて電源LED17の輝度をPWM信号で調光することで、特に待機時の消費電力を削減できる。
【0034】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々に変形可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ装置の概略的な回路構成を示す図である。
【図2】図1に示すサブCPUによるセットアップ処理を示す図である。
【図3】図1に示すメインCPUによるセットアップ処理を示す図である。
【図4】図1に示すサブCPUによる制御情報退避処理を示す図である。
【図5】図1に示すメインCPUによる制御情報退避処理を示す図である。
【図6】図1に示すメインCPU側内蔵RAMの内容を示す図である。
【図7】図1に示す照度センサにより検出されるプロジェクタ装置の周囲の照度と電源LEDに供給されるPWM信号のデューティ比との関係を示す図である。
【図8】図1に示すサブCPUによって行われる電源LEDの調光処理を示す。
【符号の説明】
【0036】
10…制御部、11…電源キー、12…リモコン受光素子、13…EEPROM、14…メインCPU、14A…内蔵RAM、14B…LED点灯時間カウンタ、15…サブCPU、15A…内蔵RAM、15B…LED点灯時間カウンタ、15C…ウォッチドックタイマ、16…レギュレータ、17…電源LED、18…照度センサ、20…照射部、21…投射LED。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光で映像を投射する投射部と、制御情報を保持する不揮発性メモリと、様々な操作を行うユーザインタフェースと、起動後に前記制御情報に基づいて前記投射部を制御する前記主制御プロセッサと、前記ユーザインタフェースの操作に従って前記主制御プロセッサを起動または停止させる制御および前記主制御プロセッサの動作の監視を行う副制御プロセッサとを備え、前記副制御プロセッサは前記主制御プロセッサのソフトウェア暴走を検出し、この検出時点までに前記主制御プロセッサの動作において生じた前記制御情報の変更を前記不揮発性メモリに保持される前記制御情報に反映させ、さらに前記主制御プロセッサを再起動するように構成されることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項2】
前記不揮発性メモリは前記光源の累積点灯時間データを前記制御情報として保持し、前記副制御プロセッサは前記主制御プロセッサの起動から前記光源の点灯時間を計測し、前記主制御プロセッサのソフトウェア暴走に伴って、前記不揮発性メモリに保持される前記累積点灯時間データを前記点灯時間の計測結果を加算した内容に書き換えるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項3】
前記不揮発性メモリは様々な設定データを前記制御情報として保持し、前記主制御プロセッサは起動後に前記不揮発性メモリから前記様々な設定データを取得し、前記ユーザインタフェースの操作に従って前記様々な設定データの少なくとも1つを変更し、この変更結果を前記副制御プロセッサに出力するように構成され、前記副制御プロセッサは前記主制御プロセッサから出力される前記変更結果を最新の設定データとして保持し、前記主制御プロセッサのソフトウェア暴走に伴って、前記不揮発性メモリに保持される前記様々な設定データを前記最新の設定データで書き換えるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項4】
前記主制御プロセッサは、前記副制御プロセッサのソフトウェア暴走を検出し、この検出時点までに前記主制御プロセッサの動作において生じた前記制御情報の変更を前記不揮発性メモリに保持される前記制御情報に反映させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項5】
前記不揮発性メモリは前記光源の累積点灯時間データを前記制御情報として保持し、 前記主制御プロセッサは前記主制御プロセッサの起動から前記光源の点灯時間を計測するように構成されると共に、前記副制御プロセッサのソフトウェア暴走に伴って、前記不揮発性メモリに保持される前記累積点灯時間データを前記主制御プロセッサによる前記点灯時間の計測結果を加算した内容に書き換えるように構成されることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ装置。
【請求項6】
前記不揮発性メモリは様々な設定データを前記制御情報として保持し、前記主制御プロセッサは起動後に前記不揮発性メモリから前記様々な設定データを取得し、前記ユーザインタフェースの操作に従って前記様々な設定データの少なくとも1つを変更し、この変更結果を最新の設定データとして保持するように構成されると共に、前記副制御プロセッサのソフトウェア暴走に伴って、前記不揮発性メモリに保持される前記様々な設定データを前記最新の設定データで書き換えるように構成されることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ装置。
【請求項7】
前記主制御プロセッサおよび前記副制御プロセッサは、それぞれ前記副制御プロセッサからのアライブ信号および前記主制御プロセッサからのアライブ信号が基準時間を越えて変化しない場合をソフトウェア暴走として検出するように構成されることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ装置。
【請求項8】
さらに前記主制御プロセッサの電源状態を示す電源LEDと、周囲の照度を検出する照度センサとを備え、前記副制御プロセッサは前記照度センサからの照度に対応したパルス幅変調信号により前記電源LEDの輝度を調整するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項9】
前記不揮発性メモリは前記主制御プロセッサおよび前記副制御プロセッサにICバスにより接続されることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項10】
光源からの光で映像を投射する投射部と、制御情報を保持する不揮発性メモリと、様々な操作を行うユーザインタフェースと、起動後に前記制御情報に基づいて前記投射部を制御する前記主制御プロセッサと、前記ユーザインタフェースの操作に従って前記主制御プロセッサを起動または停止させる制御および前記主制御プロセッサの動作の監視を行う副制御プロセッサとを備えるプロジェクタ装置の制御方法であって、前記主制御プロセッサのソフトウェア暴走を前記副制御プロセッサで検出し、前記副制御プロセッサによってこの検出時点までに前記主制御プロセッサの動作において生じた前記制御情報の変更を前記不揮発性メモリに保持される前記制御情報に反映させ、さらに前記主制御プロセッサを再起動することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−152131(P2010−152131A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330852(P2008−330852)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】