説明

プロジェクタ

【課題】単板型の液晶プロジェクタの照明光学系において、ロッドインテグレータを用いた構成でありながら、偏光変換が高効率で実行され、光利用効率の高いプロジェクタを提供する。
【解決手段】照明光学系10の照明レンズ光軸73に対し同じ間隔で第1の導光部材の光軸71と第2の導光部材の光軸72とが設けられ、第1の導光部材の光軸71からの出射光は照明レンズ41、42を経由して反射型偏光板51に入射し、第1の偏光の光は透過して液晶パネル53に投写され、第2の偏光の光は反射して照明レンズ42、41から第2の導光部材の光軸72を経由して第2の選択反射透光膜24で反射され、第2の導光部材の光軸72および照射レンズ光軸73を戻って、1/4波長板52で第1の偏光に偏光変換され、反射型偏光板51を透過して液晶パネル53に投写される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロジェクタに関し、特に単板型の液晶プロジェクタの照明光学系を用いるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、投射型表示装置であるプロジェクタとして、角柱状の導光部材の入射端に光源を配置して、この導光部材の出射端側には画像形成素子である液晶パネルを配置し、導光部材から出射する光を直接液晶パネルに入射させる照明光学系を有するプロジェクタが知られている。
【0003】
液晶パネルを表示素子に用いるプロジェクタにおいては、光源が放電ランプであっても発光ダイオードであっても、非偏光を発する光源を使う限り、光利用効率を高めるためにどちらか一方の直線偏光光に統一するための偏光変換を実施することが行われている。また、偏光変換と同時に、投射画像の輝度の均一性の確保も非常に重要なので、偏光変換と輝度均一化を両立させることが必要であった。
【0004】
この両立を果たすことのできる構成としては、放電ランプ(白色の非偏光光)と、フライアイレンズと、そしてフラットPBS(偏光ビームスプリッター)とを用いる構成が、セイコーエプソン社により確立されて、現在の液晶プロジェクタにおける最先端の技術として認められている。
【0005】
この構成の優れている点は、フライアイレンズによる光束分割と、この分割光束の集光によって作り出される空間的な隙間を巧みに利用して、その隙間に位相差板が一体化されている偏光ビームスプリッタアレイを配置することで、ランプリフレクタから供給される光束の、光束径が増加することを抑制しつつ偏光変換を実施しているところにある。
【0006】
しかしながら、この構成は、光源が発光ダイオードを使った超小型プロジェクタに適用しようとする場合には、最適な構成とはいい難い。それは、この方式が、発光長が約1mm〜1.2mm程度の光源放電ランプに、放物面を有するリフレクタを組み合わせて略平行光を作り出すことを前提としており、発光ダイオードを用いて小型薄型で電池駆動も可能なプロジェクタを目指す場合には、光学系が大きくなって適用することが難しいからである。
【0007】
小型の光源である発光ダイオードの発光部の大きさは、通常約2mm四方以上である。放電ランプと同じようにリフレクタを組み合わせたのでは、光源部の大きさが数十mm径にも及んでしまい、小型のプロジェクタを実現することはできない。仮に口径の小さなリフレクタと組み合わせれば、ランプリフレクタ(光源部)としては小型になるものの、放電ランプの2倍以上もある発光部からの光を平行化することは非常に困難であり、高い光利用効率を獲得することはできない。
【0008】
投射画面輝度の均一性を高めるという点においてはロッドインテグレータ用いることは非常に有効な手段である。このことは以前から露光装置の照明系において知られている。ロッドインテグレータのプロジェクタ照明系への適用例としては、白色放電ランプを用いたDLP((Digital Light Processing)プロジェクタの光学系で実用化されていて、標準となっている。DLPは、その素子の性格上、液晶と大きく異なり、非偏光の光は全く要求されないので偏光変換を実施する必要はない。
【0009】
数年前、米Moxtek社により、反射型の偏光板が実用化された。反射型であることを利用し、それを単なる偏光板としてではなく、PBS(偏光ビームスプリッター)の代替として利用できれば、偏光変換の新たな構成が期待できると考えられた。
【0010】
実際、過去において、ロッドインテグレータの入射開口に穴あきミラーを配し、出射側に1/4波長板と反射型偏光板を備えるという構成で、ロッドインテグレータによって輝度均一化の機能と偏光変換(偏光統一)機能とを一体化したものが開示された。海外メーカーも、マイクロディスプレィ関連の国際学術会議の論文で発表している。
【0011】
しかしながら、この構成を具現化したプロジェクタは、今のところどこのメーカーからも発売されていない。その大きな理由は2つ考えられる。一つは、ロッドインテグレータの入射端面に配置する穴あきミラーの存在である。この穴は入射光の開口制限になるとともに、偏光板反射光の損失を招く。
【0012】
即ち、この穴あきミラーに向けて光源からの収束光束が入射するが、より多くの光を入射させようとすると穴はできるだけ大きい方がよい。しかしながら、出射端面の反射型偏光板で反射された光は、入射端面の穴あきミラーの方向に一旦戻ってくる。それ故に穴が大きいと戻ってきた光が穴あきミラーのミラー部分で反射せずに穴を通って光源側に抜けて使用されないという問題がある。
【0013】
それに対して穴を小さくすると別の問題が発生する。穴が小さくなったことによって光源側に抜ける反射型偏光板からの反射光は減少するものの、最初にロッドインテグレータに入射させるべき光が少なくなってしまうので、これもまた問題である。
【0014】
それでは相対的にロッドインテグレータの外形を大きくすればよいように思われるが、それは避けなければならない。もしそうした場合には、結果として光利用効率を低下させることとなる。ロッドインテグレータの出射端面の形状の出射光は、表示パネルに対応するまで拡大されるのだから、光利用効率を上げたい場合は、ロッドインテグレータの出射端面は小さいほどよい。
【0015】
より詳しく説明すると、ロッドインテグレータの出射端面の大きさは、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)の表示パネルの大きさよりも小さくするというのが通常である。ロッドインテグレータの出射面の大きさがDMDより小さいということは、DMDの表示領域相応の大きさに拡大して結像するための照明系を構成する必要がある。
【0016】
この拡大する過程の中で、ロッドインテグレータ出射時の光線の広がり角度が小さくなってDMDへ達するのである。広がり角度が小さくなれば、DMDを効率よく照明し、その後のレンズ系も通過しやすくなるから、トータルとして高い光利用効率が達成できる。
【0017】
実用化していないもうひとつの理由は、偏光変換過程、すなわちロッドインテグレータ内を伝播中における偏光の乱れである。この乱れは、特に偏光板反射光が偏光変換される過程で生ずる。反射型偏光板において直線偏光光に効率良く分離されても、ロッドインテグレータ内で何回も反射している間に偏光の乱れが生じてしまう。乱れた偏光は最終的には反射型偏光板を透過することができず、光の損失を招くこととなる。
【0018】
ロッドインテグレータの性格上、内面反射が多いほど輝度の均一性は高まる。しかし、一方では偏光の乱れが増大するのは必至である。均一性の確保と偏光の乱れの抑制とを両立させることは難しい。
【0019】
以上の2つの大きな理由で、反射型の偏光板を利用してPBS(偏光ビームスプリッター)の代替としての利用する方法はなかなか実用化に至ってないと考えられる。当然のこととして、光源が発光ダイオード(LED)に変わったからといって改善できる訳ではない。
【0020】
近年LEDを光源に使用したプロジェクタが開示されている。LEDを光源にすることで、従来の白色放電ランプを使ったプロジェクタに比べて低コスト化が期待でき、小型で低消費電力、かつ、色再現範囲が広いといった特徴を実現することができる。
【0021】
特許文献1(特開2006-106683号公報)には、表示パネルに単一のDMD素子を用い、光源に発光ダイオードを用いた従来例のプロジェクタが開示されており、特許文献2(特開2006-106682号公報)にも、表示パネルに単一のDMD素子を用い、光源に発光ダイオードを用いた従来例のプロジェクタが開示されている。
【0022】
また、非特許文献1には発光ダイオード光源を有し表示素子に単一の反射型液晶デバイスであるLCoS素子(反射型液晶デバイス)を用いた従来例のプロジェクタが開示されており、非特許文献2と非特許文献3とには発光ダイオード光源と3枚の液晶パネルを使用した携帯型のミニプロジェクタが開示されている。
【特許文献1】特開2006−106683号公報
【特許文献2】特開2006−106682号公報
【非特許文献1】"Single−Panel LCoS Color Projector with LED Light Source” SID 05 DIGEST pp1698−1701
【非特許文献2】"A Handheld Mini−Projector Using LED Light Sources” SID 05 DIGEST pp1706−1709
【非特許文献3】“Compact Three Panel LED Projector Engine for Portable Applications” SID 06 DIGEST pp2011−2014
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
プロジェクタの低コスト化のためには、光学エンジンの部品点数が少ないことが望ましい。従って非特許文献2や3に開示されている3つの表示素子を用いるプロジェクタよりも単一の表示素子を用いるプロジェクタの方が有利といえる。また、光学系の部品点数の少ないことはプロジェクタ全体の小型化にも少なからず寄与する。
【0024】
従って、反射光学系の構成が必要となる特許文献1、2に開示されているDMD素子を用いるよりも、単一の液晶パネルを用いることが好ましい。
【0025】
また、プロジェクタの色再現性を高め、しかも輝度を明るくするには、光源の発光ダイオードは、赤、青、緑の色光のものを個別に用意することが好ましい。しかしながら、単一の表示パネルに個別に設けられた発光ダイオードからの光を照射するには、各々の光源からの光をダイクロイックミラーやダイクロイックプリズム等を用いて、それぞれの光の経路を一旦合流させた上で表示パネルに光を照射する必要があり、それらの光学部品を配置するための空間が必要となるので小型化という意味では、好ましいとはいい難い。
【0026】
また、単一の液晶パネルに対しLED光源を用いてプロジェクタの光学系を実現するときには、液晶パネルには偏光光を照射しなければならない。LEDからの光は非偏光光なので、そのためには偏光変換を実施する必要がある。
【0027】
一般的には、表示パネルがTN液晶パネルである場合には、直線偏光光を照射する必要がある。すなわち、光源からの非偏光光の直交する直線偏光成分のうち、どちらか一方を他の偏光成分と同じになるように変換して照射する必要がある。
【0028】
この偏光変換が効率よく実行されないと、光利用効率の低下が生ずる。仮に偏光変換を全く行わないなら、約半分の光が捨てられてしまうことになる。この対策として、例えば、非特許文献1では、光源であるLED素子のすぐ後にCPC reflectorと呼ばれる複合放物面形状を有する導光部材が配置されている。
【0029】
光源からの光束をCPC reflectorでの全反射を利用して略平行光に変換して出射させ、表示パネルの照明を行っている。偏光変換は、CPC reflectorの出口のところに1/4波長板と反射型の偏光板を配置している。
【0030】
反射型の偏光板で反射した成分の直線偏光光(例えばS偏光)を、光源であるLEDまで戻し、LED表面で再び反射させてCPC reflectorから取り出すことで、1/4波長板の2回通過を利用して偏光板透過可能な直線偏光光(例えばP偏光)に変換している。
【0031】
しかしながら、この手法では高い偏光変換効率を達成することはできない。反射型の偏光板で反射した成分の光は効率よくLED光源の表面までは戻っていく。しかしながら、半導体であるLED素子表面の反射率はせいぜい17%から20%程度しかないので、ここでの反射は、さほど期待できない。このLED表面での光損失が大きいので反射型の偏光板を設けない場合と比較して、偏光変換の効率(ゲイン)としては1.2程度にとどまる。
【0032】
また、単一の表示パネルを用いた単板型のプロジェクタを用いる場合、この表示パネルには赤→青→緑→赤→青→緑→・・・という色光の繰り返しが供給される必要がある。光源を発光ダイオードに限定するなら、プロジェクタとしての色再現性を高め、高輝度化を達成するためには赤、青、緑の3種の発光ダイオードを配備して光学系を構成するのがこのましい。
【0033】
異なる色光の発光ダイオードからの光を液晶パネルに照射する必要があるので、発光ダイオードの各々にロッドインテグレータを対応させて、その各々のロッドインテグレータからの光が液晶パネルに照射されるように照明レンズを構成し、各々の発光ダイオードが順番に点灯するように制御することが最も望ましい。単板型であるので、色再現性を高め、高輝度化を達成するためには、異なる色光の発光ダイオードと、複数のロッドインテグレータは必要不可欠な構成要素である。あとは、偏光変換の手段をどうするかということが問題であるが、構造的に大型化や複雑化となることは避けたい。
【0034】
本発明の目的は、単板型の液晶プロジェクタの照明光学系において、ロッドインテグレータを用いた構成でありながら、偏光変換が高効率で実行され、光利用効率の高いプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明のプロジェクタは、
光源からの第1の色光と第2の色光と第3の色光とを、導光部材と照明レンズとを経由して単一の画像形成素子に入射させ、形成された画像を投射するプロジェクタであって、第1の色光は透過し第2の色光および第3の色光は反射する選択反射透光膜が設けられた第1の導光部材と、第1の導光部材の光軸上に配置されて第1の色光を発光する第1の光源とからなる第1の光源部と、照明レンズの光軸を対称軸として、第1の導光部材および第1の光源と対称の位置に設けられており、第2の色光および第3の色光は透過し第1の色光は反射する選択反射透光膜が設けられた第2の導光部材と、第2の導光部材の光軸上に配置されて第2の色光および第3の色光を選択して発光する、第1の光源と共に光源を形成する第2の光源とからなる第2の光源部と、照明レンズと画像形成素子との間に設けられ、第1の偏光光は透過し第2の偏光光は反射する反射型偏光板と、反射型偏光板からの反射光を円偏光に変換し、選択反射透光膜からの反射光を第1の偏光に変換させる位相差板と、第1の光源部からの出射光と反射光とを反射型偏光板に出射し、反射型偏光板からの反射光を第2の光源部の選択反射透光膜に出射し、第2の光源部からの出射光と反射光とを反射型偏光板に出射し、反射型偏光板からの反射光を第1の光源部の選択反射透光膜に出射する照明レンズ群と、を有する光学系を備えたことを特徴とする。
【0036】
第1の光源部と、その第1の光源部と組み合わされる第2の光源部との組合せが1つ以上設けられ、組となる第1の光源部の第1の導光部材の光軸と第2の光源部の第2の導光部材の光軸とは、照明レンズの光軸を対称軸として対象に配置されており、かつ複数の第1の導光部材の光軸、および複数の第2の導光部材の光軸は、それぞれが同一平面上に配置されていてもよい。
【0037】
第1の光源部と第2の光源部の組合せが2組以上であり、第2の光源は、第2の色光を発光する第3の光源および第3の色光を発光する第4の光源に分割され、第3の光源と第4の光源とがそれぞれ所定の個数となるように第2の光源部に配置されていてもよい。また、第1の色光は緑色であり、第2の色光は赤色であり、第3の色光は青色であってもよい。また、選択反射透光膜はガラス基板上に形成され、そのガラス基板が導光部材の入射側および出射側のいずれかに配置されていてもよい。
【0038】
照明レンズ群は、第1の導光部材および第2の導光部材のそれぞれの出射側に設けられた光源用の補助レンズ、ならびに、第1の導光部材側の補助レンズからの出射光を反射型偏光板に出射し、反射型偏光板からの反射光を第2の導光部材側の補助レンズを経由して第2の導光部材の選択反射透光膜に出射し、第2の導光部材側の補助レンズからの出射光を反射型偏光板に出射し、反射型偏光板からの反射光を第1の導光部材の補助レンズを経由して第1の導光部材の選択反射透光膜に出射する、第1の照明レンズおよび第2の照明レンズから構成されてもよい。
【0039】
単板型の画像形成素子が単一の液晶パネルであってもよく、第1から第4の光源は発光ダイオードであってもよい。
【0040】
第2の導光部材の光軸を照明レンズ光軸と直交する方向に変換する反射ミラーを有し、反射ミラーで変換された第2の導光部材の光軸上に第2の光源と、第2のロッドインテグレータと、補助レンズとが設けられていてもよく、第1の導光部材の光軸を照明レンズ光軸と直交する方向に変換する反射ミラーを有し、反射ミラーで変換された第1の導光部材の光軸上に第1の光源と、第1のロッドインテグレータと、補助レンズとが設けられていてもよい。
【0041】
光源からの光をロッドインテグレータに入射させ、ロッドインテグレータから出射した光を照明レンズにより所定の倍率で拡大して単一の液晶パネルに照射し、液晶パネルの画像を投射レンズにより拡大投射する単板型の液晶プロジェクタにおいて、液晶パネルの入射側近傍に、反射型の偏光板を備えている。
【0042】
また、少なくとも2個のロッドインテグレータを備え、各々のロッドインテグレータは、その中心軸が、照明レンズの光軸に対して平行かつ所定の距離離れて配置されている。ここで、所定の距離とは2つのロッドインテグレータの中心軸が、照明レンズの光軸と等距離離れていることである。つまり、照明レンズの光軸に対して2つのロッドインテグレータは対称に配置されている。照明レンズの光軸と表示パネルの中心軸とは略一致してしてもそうでなくともかまわない。
【0043】
1対となる2個のロッドインテグレータの入射面近傍にはそれぞれ光源が配置されている。第1のロッドインテグレータには、例えば緑の色光の光源が配置され、第2のロッドインテグレータには例えば青と赤の色光を選択して発光する光源が配置される。2個のロッドインテグレータには互いに異なる色光の光源が配置されることが望ましい。
【0044】
各ロッドインテグレータの入射端面もしくは出射端面には、配置されている光源の色光を透過し、他のロッドインテグレータに配置されている光源の色光の光を反射させる特性を有する選択反射型透光膜が設けられている。即ち、第1のロッドインテグレータに緑の光源が配置され、第2のロッドインテグレータに赤と青の光源が配置されているならば、第1のロッドインテグレータの入射端面もしくは出射端面には、緑の色光を透過し青と赤の色光を反射する選択反射型透光膜が蒸着されており、第2のロッドインテグレータの入射端面もしくは出射端面には青と赤の色光を透過し緑の色光を反射させる選択反射型透光膜が蒸着されている。
【0045】
個々のロットインテグレータの出射端面側には補助レンズが備えられている。この補助レンズの中心軸は、ロッドインテグレータの中心軸と一致していることが好ましい。補助レンズは複数個備えられていてもよい。
【0046】
第1のロッドインテグレータに入射する緑の色光の光(非偏光光)はロッドインテグレータ内での内面反射により、たとえ光源に輝度ムラが存在しても、輝度が均一化され出射端面より出射される。出射された光は、補助レンズによりその広がりが抑制されて照明レンズに入射し、照明レンズにより液晶パネルの表示領域相応の大きさに拡大されて液晶パネル近傍に結像する。
【0047】
それは、ロッドインテグレータの出射端面と液晶パネル面とが共役となるように照明レンズの諸元(焦点距離や材質等)が定められているからである。
【0048】
液晶パネルに向かう光(非偏光光)のうち、一方の直線偏光光(たとえばP偏光光)は、液晶パネル直前に配置されている反射型の偏光板を透過し、最終的に液晶パネルの照明光として投射レンズを通過後にスクリーン上に到達する。反射型の偏光板は、照明レンズの光軸と垂直であることが望ましい。
【0049】
反射型偏光板で反射された直線偏光光(例えばS偏光は)の殆どは、照明レンズを進んできた経路とは逆方向に戻ってゆくが、第1のロッドインテグレータの出射面には到達せず、対称関係にある第2のロッドインテグレータの出射面に集光されて到達する。
【0050】
この出射面に緑の色光を反射させる特性の選択反射透光膜が蒸着されているので、その膜により殆どの光が反射されて、再び、液晶パネルに向かって補助レンズ、そして照明レンズを通過して進み、さらに反射型の偏光板まで到達する。
【0051】
ここで、選択反射透光膜と反射型偏光板との間に位相差板、例えば1/4波長板が配置されていれば、この光は反射型偏光板を透過可能な偏光光、すなわちP偏光光に殆どが偏光変換される。
【0052】
しかも、ロッドインテグレータからの照明光と共通の照明レンズを経由しているので、最初に反射型偏光板を透過した光も反射した光も同じ結像倍率で液晶パネルを照明することになる。即ち、光源の非偏光の光は、その殆どがP偏光光に偏光変換されて、液晶パネルの照明光となる。
【0053】
第2のロッドインテグレータには、例えば赤と青の光源が1パッケージ化された光源が配置されている。光源から第2のロッドインテグレータに入射した光(非偏光光)はロッドインテグレータ内での内面反射によりその輝度が均一化され出射端面より出射する。
【0054】
出射後の光の動作、進行経路は第1のロッドインテグレータのそれと同様である。異なるのは、第1のロッドインテグレータの出射端面に赤および青の色光が反射される特性の選択反射透光膜が蒸着されている点である。
【0055】
このように光源から出射された非偏光の光のうち、反射型の偏光板から反射される光も、再び偏光変換されて反射型の偏光板を透過可能な光として照明に利用されるので、反射型の偏光板を直接透過する光と合わさることによって、高い偏光変換効率と光利用効率を両立させることができる。
【0056】
さらに、この構成では異なる色光の光路を合成するための光学素子が不要となるので小型、低コスト化が促進でき、光利用効率の高い、小型で明るいプロジェクタが実現できる。
【0057】
各光源を順次点灯すれば、すなわち、第1のロッドインテグレータに配置される緑の発光ダイオードをまず点灯し、それを消灯後、第2のロッドインテグレータに配置される赤の発光ダイオードを点灯し、それを消灯後に第2のロッドインテグレータに配置される青の発光ダイオードを点灯するというような繰り返しを実施することで、時分割で液晶パネルに緑、赤、青の照明光を順次供給することができ、その色光の変化に同期させて液晶パネルを駆動することでカラー表示を容易に実施できることができる。
【発明の効果】
【0058】
以上説明したように、本発明のプロジェクタでは、光源からの非偏光の光のうち、まず、反射型偏光板を通過したP偏光光を液晶パネルの照明光として利用し、反射型偏光板で反射された成分の光も、一旦、元の光源とは異なる位置に集光し、それを二次的な光源として、反射型偏光板通過可能な偏光成分の光に偏光変換して、即ち、P偏光光に偏光変換して液晶パネルの照明光として利用している。特に、この反射型偏光板から反射された成分の光は、光源まで戻ることはなく反射されるので、偏光変換過程での光の損失は殆ど起きず非常に高い偏光変換効率を達成でき、結果として光利用効率を高める効果がある。
【0059】
さらに、本発明の構成においては、反射型偏光板から反射された光の再利用過程で、他の光源が配備される光路を巧みに利用していること、そして、光源と表示パネルとの間に、異なる色の光の経路を合流させるための光学部品を必要としないことによって小型化が促進できるという効果を併せ持つ。
【0060】
さらにまた、光源の数を容易に増加させることができ、かつ高い偏光変換効率は維持できるので、光利用効率の高い、色再現性の良い高輝度なプロジェクタを提供できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
本発明のプロジェクタは、単板型の液晶プロジェクタの照明光学系において、導光部材であるロッドインテグレータを用いた構成でありながら、分離した偏光の統合が高効率で実行できることにより、光利用効率の高いプロジェクタが提供できることを特徴とする。
【0062】
次に、本発明のプロジェクタの実施の形態の構成と機能について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の光学系を備えたプロジェクタの模式的構成図であり、図2は本発明の第1の実施の形態の光学系の模式的構成図である。
【0063】
本発明のプロジェクタ1は、照明光学系10と、液晶パネル53を含む画像形成素子と、投射レンズ55とを有する光学系2を備える。
【0064】
照明光学系10は、第1の色光を発光する第1の光源11と、第2の色光と第3の色光とを選択して発光する第2の光源12と、第1のロッドインテグレータ21と、第2のロッドインテグレータ22と、複数の補助レンズ31〜34と、2個の照明レンズ41、42とを有している。さらに、第1のロッドインテグレータ21と、第2のロッドインテグレータ22との出射面あるいは入射面には本願発明の特徴である選択反射透光膜23、24を備えている。ここでは出射面に設けられているものとして説明する。
【0065】
第1の導光部材の光軸71上において、第1の光源11が第1のロッドインテグレータ21の入射面側となるように配置され、第2の導光部材の光軸72上において、第2の光源12が第2のロッドインテグレータ22の入射面側となるように配置されている。
【0066】
第1の導光部材の光軸71と第2の導光部材の光軸72とは、照明レンズ光軸73を対称軸として対称に設けられており、第1の光源11と第1のロッドインテグレータ21、および第2の光源12と第2のロッドインテグレータ22もそれぞれ対称の位置に配置されている。
【0067】
ここでは、照明光学系10の小型化のために、光源11、12には発光ダイオードを使用するものとして説明する。しかし、光源は発光ダイオードに限定されるものではなく、画像形成に使用できる光源であれば例えば有機ELなどの固体光源あっても、本願の照明光学系を適用することができる。
【0068】
発光ダイオードは、単一の色光を発する光源であって、赤、青、緑の発光ダイオードを用いれば、プロジェクタとして広い色再現を実現できる利点がある。
【0069】
ここでは、第1の光源11には緑色の色光の発光ダイオードが使用されている。実施例では、発光素子の大きさとしては1mm四方の発光素子を4個用い、これらが微小の間隔で同一平面上に並べられており、全体として約2mm四方の大きさの発光面積を有する固体光源が形成されている。
【0070】
第2の光源12には青色と赤色の色光の発光ダイオードが使用されている。実施例では、約1mm四方の赤色の発光素子を2個備え、同じく青色の発光素子を2個備え、計4個の発光素子が微小の間隔で同一平面上に並べられており、全体として約2mm四方の発光面積を有する固体光源が形成されている。赤色の発光素子と青色の発光素子とは独立して駆動できる。
【0071】
光源となる発光ダイオードの発光部の大きさは、実施例のように約2mm四方に限定されるものではない。発光素子の大きさが大きくなれば、それだけ発光光量も増えるが、点灯に必要な消費電力の増大も伴うので、製品の目標性能等の製品企画を勘案して決定される必要がある。
【0072】
第1の光源の色光と第2の光源の色光も、それぞれ緑色、および青色と赤色に限定されるものではないが、2個のロッドインテグレータ21、22には互いに異なる色光の光源が配置されることが望ましい。
【0073】
ロッドインテグレータ21および22は、光学ガラス製でも樹脂製でもかまわない。実施例では、大きさとして、上述の光源11、12のサイズに対応させて縦×横が2mm×2.7mmで長さが15mmのものが使用された。
【0074】
本実施の形態では導光部材をロッドインテグレータとして説明するが、これに限定されるものではなく例えばライトトンネルであってもよい。さらに入射端面と出射端面とが異なる大きさでもよい。ただし、入射端面の大きさは発光素子よりも大きいことが好ましい。
【0075】
また、出射端面の形状としては、表示パネル53のアスペクト比と相似としておくことが好ましい。さらに、ロッドインテグレータの長さは、長いほうが光源の輝度むら低減効果は高いが、その長さも15mmに限定されるものではない。
【0076】
光源とロッドインテグレータとの間隔はできるだけ近い方が好ましい。それは、光源の発光ダイオードから発する光はあらゆる方向に出射しているので、ロッドインテグレータと光源との距離が離れるに従ってロッドインテグレータに入射する光が減ってしまい、その結果、最終的にスクリーンに到達する光量の低下を招くからである。
【0077】
各々のロッドインテグレータ21、22の入射端面もしくは出射端面には、自らの光源の色光を透過し、他の色光を反射する特性を有する選択反射透光膜23、24が蒸着されている。
【0078】
図3は選択反射透光膜の反射特性を示すグラフであり、(a)は赤と青とを反射する第1の選択反射透光膜の特性であり、(b)は緑を反射する第2の選択反射透光膜の特性であり、図4はロッドインテグレータと、選択反射透光膜を形成したガラス基板とを示す斜視図である。
【0079】
ここでは、第1のロッドインテグレータ21に緑色の第1の光源11が配置され、第2のロッドインテグレータ22には赤色と青色の第2の光源12が配置されている。
【0080】
従って、第1のロッドインテグレータ21の入射端面もしくは出射端面には、図3(a)に示した特性のごとく、第2の光源12の青色と赤色の色光を反射し、第1の光源11の緑色の色光は透過させる特性の第1の選択反射透光膜23が蒸着されている。また、第2のロッドインテグレータ22の入射端面もしくは出射端面には、図3(b)に示す特性のような、第1の光源11の緑色の色光を反射し、第2の光源12の青色と赤色の色光を透過させる特性の第2の選択反射透光膜24が蒸着されている。
【0081】
このような特性を有する薄膜は、誘電多層膜を真空蒸着すれば得ることができ周知の技術で形成できる。なお、選択反射透光膜は必ずしもロッドインテグレータの入射または出射端面への薄膜形成には限定されない。例えば、図4に示すようにガラス基板82等に選択反射透光膜83を形成して、これをロッドインテグレータ81の入射または出射端面に隣接して配置してもよい。
【0082】
選択反射透光膜23、24は、ここではロッドインテグレータ21、22の出射端面に形成することとしているが、入射端面に形成されていてもよい。
【0083】
第1のロットインテグレータ21の出射端面側には第1の補助レンズ31および第2の補助レンズ32が設けられており、第2のロットインテグレータ22の出射端面側には第3の補助レンズ33および第4の補助レンズ34が設けられている。
【0084】
これらの補助レンズ31、32の中心軸は、第1のロッドインテグレータ21の中心軸と一致し、補助レンズ33、34の中心軸は、第2のロッドインテグレータ22の中心軸と一致していることが好ましい。ロッドインテグレータの中心軸とは、入射端面の中心と出射端面の中心とを結ぶ直線を意味する。
【0085】
補助レンズには正の屈折力を有するレンズが使用されている。これらの補助レンズは必ずしも必要なわけではないが、光学系を小型化するにはあった方が好ましい。ロッドインテグレータからの出射光束はかなりの広がりもった光束なので、補助レンズによりその広がりを抑制することで、照明レンズの大型化を抑止できるためである。
【0086】
補助レンズは2枚構成には限定されない。また、補助レンズの外形形状は、円形に限定されるものではない。なぜなら、矩形の出射面を有するロッドインテグレータから出射する光は、その直後においては円形ではないからである。レンズの小型化や製造コストを勘案して決定すればよい。例えば、矩形の補助レンズを使用して、それらを一体成形で得ることも可能である。
【0087】
ここでは、第1のロッドインテグレータ21と第2のロッドインテグレータ22、第1の補助レンズ31と第3の補助レンズ33、および第2の補助レンズ32と第4の補助レンズ34は光学的に同一諸元のものが使用されている。
【0088】
同一諸元とは、焦点距離や屈折率、物理形状が同じであるという意味である。同一諸元のものを使用することで部品の共通化が図れ、大量生産したときのコストメリットを引き出すことができる。
【0089】
第2の補助レンズ32、第4の補助レンズ34と液晶パネル53との間には、第1の照明レンズ41および第2の照明レンズ42が配置されている。
【0090】
第1のロッドインテグレータ21に入射する緑色の色光の光(非偏光光)は、たとえ光源に輝度ムラが存在しても、第1のロッドインテグレータ21内での内面反射によって輝度が均一化されて出射端面より出射される。
【0091】
第1のロッドインテグレータ21から出射された光は、第1の補助レンズ31、第2の補助レンズ32によりその広がりが抑制されて、第1の照明レンズ41に入射し、第1の照明レンズ41および第2の照明レンズ42によって、液晶パネル53の表示領域相応の大きさに拡大されて液晶パネル53近傍に結像する。
【0092】
また、第2の光源12から出射された光も、第3の補助レンズ33、第4の補助レンズ34によりその広がりが抑制されて、第1の照明レンズ41に入射し、第1の照明レンズ41および第2の照明レンズ42によって、液晶パネル53の表示領域相応の大きさに拡大されて液晶パネル53近傍に結像する。
【0093】
それは、ロッドインテグレータの出射面と液晶パネル面とが共役となるように照明レンズの諸元(焦点距離や形状材質等)が定められているからである。照明レンズと表示パネルの中心軸とは略一致していることが望ましいが一致していなくともかまわない。
【0094】
第1の照明レンズ41、第2の照明レンズ42は、第1のロッドインテグレータ21、および第2のロッドインテグレータ22の出射面の照明情報を液晶パネル53の入射面上に結像するように、その配置位置や焦点距離が決定されている。ここでは2枚構成としているが、必ずしも2枚構成に限定する必要はない。
【0095】
第2のロッドインテグレータ22に入射する青色と赤色の色光の光(非偏光光)も同様の経路を経て液晶パネル53近傍に結像する。
【0096】
画像形成素子は、液晶パネル53と、反射型偏光板51と、1/4波長板52と、偏光板54とを備える。
【0097】
液晶パネル53の直前には反射型偏光板51が配置されている。この反射型偏光板51は偏光子である。反射型偏光板51は、第2の照明レンズ42から入射した非偏光光に対して、相直交する成分の直線偏光光のうち一方の直線偏光成分を透過させ、他方を反射させる特性を有するものが使用されている。
【0098】
このような反射型偏光板51は、周知の技術で製造可能であり、商用ルートで入手することができる。図5は反射型偏光板の模式的側面図である。反射型偏光板51には1/4波長板52が反射型偏光板51の入射側に貼合されて一体化された構成となっている。
【0099】
入射する非偏光光91は透過光92(P偏光、ここでは第1の偏光と略称する)と反射光93(ここでは第2の偏光と略称する)に分離される。第2の偏光は反射型偏光板51で反射された時にはS偏光であるが、1/4波長板52を通過したので円偏光となっている。液晶パネル53の出射側には検光子として偏光板54を備えている。
【0100】
実施例では、液晶パネル53としては透過型の対角寸法で0.5型の大きさのものが使われた。液晶パネル53は単板型のプロジェクタで構成されているので、液晶の応答速度ができるだけ速いものが好ましい。
【0101】
表示パネルとしてLCoSやDMD等を使用することもできるが、この場合には光路を反射光路にするための光学素子が追加になる。装置全体の小型化のためには単一の透過型の液晶を使うことが好ましい。
【0102】
第1のロッドインテグレータ21から出射されて液晶パネル53に向かう光(非偏光光)のうち、一方の第1の偏光である直線偏光光(たとえばP偏光光)は、液晶パネル53の直前に配置されている反射型偏光板51を透過し、液晶パネル53の照明光として投射レンズ55を通過後に最終的に不図示の投射面上に到達する。ここで反射型偏光板51は、照明レンズの光軸73と垂直であることが望ましい。
【0103】
反射型偏光板51で反射された第2の偏光である直線偏光光(例えばS偏光)の殆どは、1/4波長板52を通過して円偏光となり、第2の照明レンズ42から第1の照明レンズ41を経由して、進んできた経路とは逆方向に戻っていく。
【0104】
しかし、第1のロッドインテグレータ21から出射された光線は第1のロッドインテグレータ21の出射面には到達せず、第4の補助レンズ34、第3の補助レンズ33を経由して、照明レンズの光軸73を対称軸として対称の関係にある第2のロッドインテグレータ22の出射面に集光されて到達する。
【0105】
ここで、この第2のロッドインテグレータ22の出射端面に緑色の色光を反射させる特性の第2の選択反射透光膜24が蒸着されているので、入射した光の殆どが第2の選択反射透光膜24で反射されて、再び補助レンズ33、34、および照明レンズ41、42を通過して液晶パネル53に向かって進み、反射型偏光板51まで到達する。
【0106】
第2の選択反射透光膜24と反射型偏光板51との光路の間に位相差版、例えば1/4波長板52が配置されているので、この円偏光光は反射型偏光板51を透過可能な第1の偏光光、すなわちP偏光光に殆どが偏光変換される。
【0107】
しかも、第2のロッドインテグレータ22からの照明光と共通の照明レンズ41、42を経由しているので、最初に反射型偏光板51を透過した光も反射された光も同じ結像倍率で液晶パネル53を照明することになる。
【0108】
すなわち、第1の光源11から出射された非偏光の光は、最終的にその殆どがP偏光光に偏光変換されて、液晶パネル53の照明光となる。
【0109】
一方、例えば赤色と青色の発光ダイオードが1パッケージ化された第2の光源12から第2のロッドインテグレータ22に入射した赤色または青色の光(非偏光光)は、第2のロッドインテグレータ22内での内面反射によりその輝度が均一化されて出射端面より出射される。出射後の光の挙動、進行経路は第1のロッドインテグレータ21の場合と殆ど同様であるので詳細な説明は省略する。
【0110】
異なるのは、第1のロッドインテグレータ21の出射端面に緑色は透光し赤色および青色の色光を反射する特性の第1の選択反射透光膜23が蒸着されている点である。
【0111】
このように光源から発する非偏光の光のうち、反射型偏光板から反射した成分の光の殆どが偏光板透過可能な直線偏光光に変換されて照明光として利用できるので、高い偏光変換効率と光利用効率とを両立させて液晶パネルの照明を行うことができる。
【0112】
さらに、異なる色光の光路を合成するための光学素子が不要となるので照明光学系の小型、低コスト化が促進できる。従って、光利用効率の高い、小型で明るいプロジェクタが実現できる。
【0113】
各光源の発光ダイオードを順次点灯すれば、すなわち、第1のロッドインテグレータ21に配置されている緑色の発光ダイオードをまず点灯し、それを消灯後、第2のロッドインテグレータ22に配置されている赤色の発光ダイオードを点灯し、それを消灯後に同じ第2のロッドインテグレータ22に配置されている青色の発光ダイオードを点灯する、というような繰り返しの点灯動作を実施することで、時分割で液晶パネル53に緑色、赤色、青色の照明光を順次供給することができるので、その色光の変化に同期させて液晶パネル53を駆動することによってカラー表示が容易に実施できる。
【0114】
投射レンズ55は、液晶パネル22に形成された画像を投射面に投射するための複数のレンズから構成される。本実施の形態では、単一の液晶表示パネルを用いているので投射レンズのバックフォーカスは短くでき、プロジェクタの光学系全体の小型化も実現しやすい。
【0115】
次に本実施の形態のプロジェクタの光学系の動作について図面を参照しながら説明する。図6は本発明の第1の実施の形態のプロジェクタの光学系の動作を説明するための模式的構成図であり、図7は本発明の第1の実施の形態のプロジェクタの光学系の反射型偏光板で反射された光束の動作を説明するための模式的構成図である。図7では反射型偏光板以降の光束の表示を省略している。
【0116】
図6を参照すると、緑色の色光を発する第1の光源11からの非偏光の光は、まず第1のロッドインテグレータ21の入射端面に入射する。光源は発光ダイオードなので、それから発する光は非偏光の光である。
【0117】
第1のロッドインテグレータ21に入射した非偏光の光は、第1のロッドインテグレータ21の壁面での多数の全反射により、光源の輝度ムラが均一に変換されて出射端面に到達する。
【0118】
出射端面には、緑色の色光を透過し、青色および赤色の色光を反射させる特性の第1の選択反射透光膜23が形成されているので、出射端面に達した緑色の色光はその殆どが損失なく出射端面より出射される。
【0119】
出射端面の直後には、正の屈折力を有する第1の補助レンズ31および第2の補助レンズ32の2枚が配置されており、第1のロットインテグレータ21から出射された光は、その補助レンズ31、32により拡散が抑制されて第1の照明レンズ41に入射する。
【0120】
その後、第1の照明レンズ41および第2の照明レンズ42を経由して、液晶パネル53の画像表示領域を照明する。
【0121】
ロッドインテグレータ21の出射端面は矩形であり、かつ液晶パネル53の画像表示領域と相似形であるので、出射端面と液晶表示パネルの画像表示領域とがほぼ共役関係となるように照明レンズ41および42の諸元(相互の位置関係とレンズの焦点距離など)が定められている。
【0122】
図6の入射光束61はロッドインテグレータ21の出射端面と液晶パネル53との共役関係を示すものである。
【0123】
液晶表示パネル53の直前には反射型偏光板51があり、液晶パネル53に達する非偏光の直交する直線偏光成分の光のうち、例えば第1の偏光であるP偏光の光が反射型偏光板51を透過して液晶パネル53に到達する。この光が液晶パネルの照明光となる。
【0124】
なお、反射型偏光板51の光源側には1/4波長板52が貼合されているが、非偏光の光は1/4波長板52を透過しても非偏光のままである。もう一方の偏光成分の光、例えば第2の偏光であるS偏光光はその殆どが反射される。反射型偏光板51と液晶パネル53との間隔はできるだけ接近していることが好ましい。
【0125】
液晶パネル53の照明に寄与した光は、液晶パネル53を透過後、検光子である偏光板54、投射レンズ55を経由して不図示の投射面に液晶パネル53の画像を拡大投射する。
【0126】
反射型偏光板51で反射された第2の偏光であるS偏光の光の動作を、図7を用いて説明する。第1のロッドインテグレータ21から出射されて反射型偏光板51に達する非偏光の入射光束61のうち、反射されたS偏光の光は、反射型偏光板51の光源側に貼合されている1/4波長板52により直ちに円偏光に偏光変換されて、第2の照明レンズ42および第1の照明レンズ41を逆方向に進行して行く。即ち第1の反射光束63および第2の反射光束64である。
【0127】
これらの光は、今度は第2の照明レンズ42、第1の照明レンズ41、第4の補助レンズ34、および第3の補助レンズ33を経由して、第2のロッドインテグレータ22の出射端面に集光する。
【0128】
それは、図2に示されるように第1の導光部材の光軸71と第2の導光部材の光軸72とが照明レンズの光軸73(中心軸)に対してT=T’となるように照明レンズの光軸73を対称軸として対称の関係に配置されていて、出射端面と液晶表示パネルの画像表示領域とがほぼ共役関係となるように照明レンズ41および42の諸元が設定されているからである。
【0129】
第2のロッドインテグレータ22の出射端面には、緑色の色光を反射し、赤色および青色の色光を透過させる特性を有する第2の選択反射透光膜24が形成されている。従って、この第2のロッドインテグレータ22の出射面に集光する緑色の色光(円偏光)は、出射面の第2の選択反射透光膜24でその殆どが反射され、再び液晶パネル53の方向に向かって進行して行く第1の反射光束63および第2の反射光束64に変わる。これは、緑色の色光の二次光源が第2のロッドインテグレータ22の出射端面に出現したのと等価と見ることもできる。
【0130】
この第1の反射光束63および第2の反射光束64は、第3の補助レンズ33、第4の補助レンズ34、第1の照明レンズ41および第2の照明レンズ42により所定の倍率、すなわち、液晶表示パネル53の表示領域相応の大きさに拡大されて、液晶パネル直前の反射型偏光板51に達する。
【0131】
これも、第1の導光部材の光軸71と第2の導光部材の光軸72とが照明レンズの光軸73(中心軸)に対してT=T’となるように照明レンズの光軸73を対称軸として対称の関係に配置されており、第1のロッドインテグレータ21と第2のロッドインテグレータ22に対応する補助レンズの諸元が同一だからである。
【0132】
ここで、先にも説明したように、反射型偏光板51には1/4波長板52が貼合されおり、この1/4波長板52を通過した光束は直ちに円偏光からP偏光光に偏光変換される。即ち、この偏光変換により反射型偏光板51を透過可能な偏光成分の光に変化する。
【0133】
そして、この光は液晶パネル53の照明光として、偏光板54と投射レンズ55を経由して不図示の投射面に液晶パネル53の画像を拡大投射する。
【0134】
このようにして、緑色の発光ダイオードからの非偏光の光は、反射型偏光板51での偏光分離そして1/4波長板52での偏光変換という過程を通じて、その殆どが液晶パネル53の照明光として利用されるので、非常に高い光利用効率が得られる。しかも偏光分離後の光は一旦集光され、そのほとんどが再度、反射型偏光板51を透過可能な偏光成分に変換されるので非常に高い偏光変換効率を達成できる。
【0135】
次に、第2のロッドインテグレータ22の入射端面に配置される第2の光源12の赤色および青色の発光ダイオードからの光について、その動作を説明する。
【0136】
その動作は第1のロッドインテグレータ21に配置された第1の光源からの緑色の光の動作と殆ど同様である。異なるのは、反射型偏光板51で反射され、第1のロッドインテグレータ21の出射端面に戻ってきたとき、この出射端面には赤色および青色の色光を反射する特性を有する第1の選択反射透光膜23が形成されていることである。
【0137】
即ち、第2のロッドインテグレータ22から出射された赤色または青色の光(非偏光光)は、先ず、第3の補助レンズ33、第4の補助レンズ34、第1の照明レンズ41、および第2の照明レンズ42により所定の倍率で拡大されて液晶パネル53直前の反射型偏光板51に達する。ここで、第1の偏光であるP偏光の光が反射型偏光板51を透過して液晶パネル53に到達し、反射型偏光板51で反射されるS偏光の偏光成分の光は、反射型偏光板51に貼合されている1/4波長板52を透過して円偏光の光となって、逆方向すなわち、光源側に進行してゆく。
【0138】
この光は、第2の照明レンズ42、第1の照明レンズ41、第2の補助レンズ32、および第1の補助レンズ31を進行後、第1のロッドインテグレータ21の出射端面に集光する。
【0139】
そして、出射端面に形成された赤色および青色の色光を反射し、緑色の色光を透過させる特性を有する第2の選択反射透光膜24によって、入射した赤色.および青色の色光(円偏光)は、出射面でその殆どが反射され、再び液晶パネル53の方向に進行してゆく反射光束に変わる。これは、赤色または青色の色光の二次光源が第1のロッドインテグレータ21の出射端面に出現したのと等価と見ることもできる。
【0140】
再び液晶パネル側に進路を変更した赤色または青色の色光は、第1の補助レンズ31、第2の補助レンズ32、第1の照明レンズ41、および第2の照明レンズ42の順番に進行したあと、反射型偏光板51に貼合されている1/4波長板52に到達し、ここで円偏光光からP偏光光への偏光変換が実施されて反射型偏光板51を透過可能な光となって液晶パネル53の照明に寄与できる。緑色の色光のときと同様、高い偏光変換効率と高い光利用効率を得ることが可能である。
【0141】
図8は、第1のロッドインテグレータおよび第2のロッドインテグレータを出射した光束のうち、反射型偏光板を透過した光と、反射型偏光板で反射され、第2のロッドインテグレータおよび第1のロッドインテグレータまで戻って反射され、再度反射型偏光板に到達後、偏光変換されて液晶パネルに到達した光の両方を描いた光路図である。
【0142】
なお、第1および第2のロッドインテグレータの出射端面に、それぞれ選択反射透光膜を形成した例で説明したが、選択反射透光膜の形成場所としてはロッドインテグレータの出射端面に限定されるものでなく、入射端面に形成されていても同様の動作および効果を実現できる。すなわち、第1のロッドインテグレータの入射端面に緑の光を透過させ、赤および青の光を反射する特性の選択反射透光膜を形成し、第2のロッドインテグレータの入射端面に赤および青の光を透過させ、緑の光を反射する特性の選択反射透光膜を形成してもよい。
【0143】
それは、反射型偏光板から戻ってきて、各ロッドインテグレータの出射端面に集光する光は、そこからロッドインテグレータに進入し、反射されながらロッドインテグレータの入射端面に達するからである。しかもロッドインテグレータ内を進行中は、ロッドインテグレータ壁面での反射が全反射なので光の損失も殆ど起きない。従って、選択反射透光膜がロッドインテグレータの入射端面にあっても出射端面にあっても、同様の効果を得られる。
【0144】
次に、本発明のプロジェクタの第2の実施の形態について図面を参照して説明する。図9は、第2の実施の形態のプロジェクタの光学系の模式的斜視図であり、図10は第2の実施の形態のプロジェクタの光学系の模式的上面図であり、図11は第2の実施の形態のプロジェクタの光学系の模式的側面図であり、図12は第2の実施の形態の光源とロッドインテグレータと補助レンズを示す斜視図である。
【0145】
プロジェクタの輝度を増加させるために光源を増やすことは容易に可能である。光源を増やせば、それに応じて高輝度化が期待できる。
【0146】
第1の実施の形態では、光源としては、緑の色光の発光ダイオードと赤色と青色の色光の発光ダイオードが1パッケージ化された発光素子をそれぞれ1個使用していた。しかし、例えば図9の斜視図に示すごとく、光源を6個備えた構成をとることもできる。光源を増やせば、それに応じて高輝度化が期待できる。
【0147】
図12に示すように、光源付近では、6個の光源のうち、緑色の発光ダイオードを備えた第1の光源111を3個備え、赤色と青色の発光ダイオードが1パッケージ化した発光素子を備えた第2の光源112を3個備えている。
【0148】
ここでは、第1の光源111と第1のロッドインテグレータ121とからなる第1の光源部と、第2の光源112と第2のロッドインテグレータ122からなる第2の光源部との組合せが複数設けられ、それぞれの1組の第1の光源部の第1の導光部材の光軸と、第2の光源部の第2の導光部材の光軸とは、照明レンズ光軸73を対称軸として対象に配置されており、かつ複数の第1の導光部材の光軸、および複数の第2の導光部材の光軸は、それぞれが同一平面上に配置されている、
即ち、図12では、第1の光源111aが第2の光源112cと1組となり、第1の光源111bが第2の光源112bと1組となり、第1の光源111cが第2の光源112aと1組となっている。
【0149】
例えば、第1の光源111aの出射光の反射型偏光板51からの反射光は第2の光源112cの第2のロッドインテグレータ122cの出射端に入射し、第2の光源112cの出射光の反射型偏光板51からの反射光は第1の光源111aの第1のロッドインテグレータ121aの出射端に入射する。
【0150】
図10のYZ面を示す上面図に示されるように、3個ある第2の光源112a、112b、112cは、赤色と青色の発光素子が1パッケージ化した発光ダイオードを備えた光源である。この3個の第2の光源112の発光面は、3個の第2のロッドインテグレータ122a、122b、122cの入射面に近接して設けられている。3個の第2のロッドインテグレータ122のそれぞれの出射面に近接して、第3の補助レンズ133a、133b、133cが設けられている。
【0151】
3個の第2のロッドインテグレータ122の出射端には、第1の光源111の緑色の色光を反射し、第2の光源112の青色と赤色の色光を透過させる特性の第2の選択反射透光膜124が蒸着されている。
【0152】
図10における第2の光源、第2のロッドインテグレータ、および第3の補助レンズのそれぞれの下側には、一部が図11に示されるように、不図示の第1の光源111a、111b、111c、第1のロッドインテグレータ121a、121b、121c、および第1の補助レンズ131a、131b、131cが設けられている。
【0153】
3個の第1のロッドインテグレータ121の出射端面には、第2の光源112の青色と赤色の色光を反射し、第1の光源111の緑色の色光を透過させる特性の第1の選択反射透光膜123が蒸着されている。
【0154】
3個の第1の補助レンズ131および3個の第3の補助レンズ133のそれぞれの出射側には、第2の補助レンズ132a、132b、132cと第4の補助レンズ134a、134b、134cとが一体となった第2の補助レンズ群135が設けられている。
【0155】
第2の補助レンズ群135からの出射光は、第1の照明レンズ41に入射する。第1の照明レンズ41以降の構成と動作は第1の実施の形態と同じなので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0156】
光源の数が増えても、第1の照明レンズ41と第2の照明レンズ42の設計仕様を対応させることにより、各光源から発した光の動作は第1の実施の形態と同じとすることができ、高い偏光変換効率が維持され、光源が増加したことに対応して格段の高輝度が達成できる。ここでは、それぞれを3個の光源としているが、3個に限定されるものではない。
【0157】
次に、本発明のプロジェクタの第3の実施の形態について図面を参照して説明する。図13は第3の実施の形態の光源とロッドインテグレータと補助レンズを示す斜視図である。
【0158】
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の応用例であり、光源の数が増加したことから光源には単色の発光ダイオードを使用した。第1および第2の実施の形態では、青色と赤色の発光ダイオードを1パッケージ化した光源を用いたが、第3の実施の形態では赤色のみの発光ダイオードと青色のみの発光ダイオードをそれぞれ1パッケージ化した光源を用いて光源部を構成した。
【0159】
図13に示すような配置で、緑色の発光ダイオードからなる第1の光源211と、赤色の発光ダイオードからなる第3の光源213と、青色の発光ダイオードからなる第4の光源214とを使用することもできる。
【0160】
図13の例では、緑色の発光ダイオードからなる第1の光源211が3個下段に配置されており、赤色の発光ダイオードからなる第3の光源213の2個と青色の発光ダイオードからなる第4の光源214の1個との計3個が上段に配置されている。どのような組み合わせにするかは、使用する発光ダイオードの光出力に応じて適宜決めればよい。
【0161】
この組み合わせの場合には、ロッドインテグレータに設けられる選択反射透光膜は第1の実施の形態と同じでよい。
【0162】
次に、本発明のプロジェクタの第4の実施の形態について図面を参照して説明する。図14は第4の実施の形態の光学系の模式的構成図であり、図15は、本発明の第4の実施の形態のプロジェクタの光学系の反射型偏光板で反射された光束の動作を説明するための模式的構成図である。
【0163】
第4の実施の形態では、図14に示すように、第1の光源311、第1のロッドインテグレータ321、第1の補助レンズ331、および第2の補助レンズ332の第1の導光部材の光軸371と、第2の光源312、第2のロッドインテグレータ322、第3の補助レンズ333、および第4の補助レンズ334の第2の導光部材の光軸72とが直交するように配置されている。
【0164】
そのため、第2の導光部材の光軸72を直角に折り曲げるための反射ミラー341を備えている。照明レンズ光軸73と、第1の導光部材の光軸371および第2の導光部材の光軸372aとは、結果的に平行でかつ、照明レンズ光軸73と距離T、およびT’だけ離れている。T=T'であることが好ましい。
【0165】
動作の説明は省略する。なぜなら、このような配置であっても、第1の実施の形態で説明した効果が得られることは自明であるからである。図15には、この構成による、光路図が示されている。光路図にはロッドインテグレータから反射型偏光板までの光線が描かれており、偏光板以降の光線の描画は省略してある。
【0166】
この配置によれば、第1の光源311、第1のロッドインテグレータ321、第1の補助レンズ331、および第2の補助レンズ332と、第2の光源312、第2のロッドインテグレータ322、第3の補助レンズ333、および第4の補助レンズ334とを平行に配置する必要がない。従って、光学系全体を、プロジェクタの外装ケースに収容するときに、光学系以外のプロジェクタ構成要素である電気回路基板等も含めて配置の空間自由度の高い設計が可能となる。すなわち、デザイン性に富んだ外形設計に寄与するものである。
【0167】
次に、本発明のプロジェクタの第5の実施の形態について図面を参照して説明する。図16は第5の実施の形態の光学系の模式的構成図であり、図17は、本発明の第5の実施の形態のプロジェクタの光学系の反射型偏光板で反射された光束の動作を説明するための模式的構成図である。
【0168】
図14、図15に示す第4の実施の形態と、図16、図17に示す第5の実施の形態との違いは、第5の実施の形態では第1の導光部材の光軸471と第2の導光部材の光軸472の両方ともが、第1の反射ミラー441および第2の反射ミラー442を用いて、中間で直角に光軸を折り曲げている点である。
【0169】
当然のこととして、このような構成にしても、高い偏光変換効率と、高い光利用効率は達成される。この配置では特に照明レンズの光軸方向の距離Lを短くすることができるので、光学系をコンパクトにできるという効果がある。第4の実施の形態と同様に、断面光路図の一部を図17に示す。ここでも偏光板以降の光線の描画は省略してある。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】本発明の第1の実施の形態の光学系を備えたプロジェクタの模式的構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の光学系の模式的構成図である。
【図3】選択反射透光膜の反射特性を示すグラフであり、(a)は赤と青とを反射する第1の選択反射透光膜の特性であり、(b)は緑を反射する第2の選択反射透光膜の特性である。
【図4】ロッドインテグレータと、選択反射透光膜を形成したガラス基板とを示す斜視図である。
【図5】反射型偏光板の模式的側面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態のプロジェクタの光学系の動作を説明するための模式的構成図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態のプロジェクタの光学系の反射型偏光板で反射された光束の動作を説明するための模式的構成図である。
【図8】第1のロッドインテグレータおよび第2のロッドインテグレータを出射した光束のうち、反射型偏光板を透過した光と、反射型偏光板で反射され、第2のロッドインテグレータおよび第1のロッドインテグレータまで戻って反射され、再度反射型偏光板に到達後、偏光変換されて液晶パネルに到達した光の両方を描いた光路図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態のプロジェクタの光学系の模式的斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態のプロジェクタの光学系の模式的上面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態のプロジェクタの光学系の模式的側面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の光源とロッドインテグレータと補助レンズを示す斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態の光源とロッドインテグレータと補助レンズを示す斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態の光学系の模式的構成図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態のプロジェクタの光学系の反射型偏光板で反射された光束の動作を説明するための模式的構成図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態の光学系の模式的構成図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態のプロジェクタの光学系の反射型偏光板で反射された光束の動作を説明するための模式的構成図である。
【符号の説明】
【0171】
1 プロジェクタ
2 光学系
10 照明光学系
11、111a、111b、111c、211a、211b、211c、311、411 第1の光源
12、112a、112b、112c、212、312、412 第2の光源
21、121、221a、221b、221c、321、421 第1のロッドインテグレータ
22、122、222a、222b、222c、322、422 第2のロッドインテグレータ
23、123a、123b、123c、223、323、423 第1の選択反射透光膜
24、124a、124b、124c、224、324、424 第2の選択反射透光膜
31、131、231、331、431 第1の補助レンズ
32、132、232、332、432 第2の補助レンズ
33、133a、133b、133c、233、333、433 第3の補助レンズ
34、134、234、334、434 第4の補助レンズ
41 第1の照明レンズ
42 第2の照明レンズ
51 反射型偏光板
52 1/4波長板
53 液晶パネル
54 偏光板
55 投射レンズ
61 入射光束
63 第1の反射光束
64 第2の反射光束
71、371、471a、471b 第1の導光部材の光軸
72、372a、372b、472a、472b 第2の導光部材の光軸
73 照明レンズ光軸
81 ロッドインテグレータ
82 ガラス基板
83 選択反射透光膜
91 非偏光光
92 透過光(P偏光)
93 反射光(円偏光)
135 第2の補助レンズ群
213a、213b 第3の光源
214 第4の光源
341 反射ミラー
441 第1の反射ミラー
442 第2の反射ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの第1の色光と第2の色光と第3の色光とを、導光部材と照明レンズとを経由して単一の画像形成素子に入射させ、形成された画像を投射するプロジェクタであって、
前記第1の色光は透過し前記第2の色光および前記第3の色光は反射する選択反射透光膜が設けられた第1の導光部材と、前記第1の導光部材の光軸上に配置されて前記第1の色光を発光する第1の光源とからなる第1の光源部と、
前記照明レンズの光軸を対称軸として、前記第1の導光部材および前記第1の光源と対称の位置に設けられており、前記第2の色光および前記第3の色光は透過し前記第1の色光は反射する選択反射透光膜が設けられた第2の導光部材と、前記第2の導光部材の光軸上に配置されて前記第2の色光および前記第3の色光を選択して発光する、前記第1の光源と共に前記光源を形成する第2の光源とからなる第2の光源部と、
前記照明レンズと前記画像形成素子との間に設けられ、第1の偏光光は透過し第2の偏光光は反射する反射型偏光板と、
前記反射型偏光板からの反射光を円偏光に変換し、前記選択反射透光膜からの反射光を前記第1の偏光に変換させる位相差板と、
前記第1の光源部からの出射光と反射光とを前記反射型偏光板に出射し、前記反射型偏光板からの反射光を前記第2の光源部の前記選択反射透光膜に出射し、前記第2の光源部からの出射光と反射光とを前記反射型偏光板に出射し、前記反射型偏光板からの反射光を前記第1の光源部の前記選択反射透光膜に出射する照明レンズ群と、を有する光学系を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の光源部と、該第1の光源部と組み合わされる前記第2の光源部との組合せが1つ以上設けられ、組となる前記第1の光源部の前記第1の導光部材の光軸と前記第2の光源部の前記第2の導光部材の光軸とは、前記照明レンズの光軸を対称軸として対象に配置されており、かつ複数の前記第1の導光部材の光軸、および複数の前記第2の導光部材の光軸は、それぞれが同一平面上に配置されている、プロジェクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の光源部と前記第2の光源部の組合せが2組以上であり、
前記第2の光源は、前記第2の色光を発光する第3の光源および前記第3の色光を発光する第4の光源に分割され、前記第3の光源と前記第4の光源とがそれぞれ所定の個数となるように前記第2の光源部に配置されている、プロジェクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の色光は緑色であり、前記第2の色光は赤色であり、前記第3の色光は青色である、プロジェクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプロジェクタにおいて、
前記選択反射透光膜はガラス基板上に形成され、該ガラス基板が前記導光部材の入射側および出射側のいずれかに配置されている、プロジェクタ。
【請求項6】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記照明レンズ群は、
前記第1の導光部材および前記第2の導光部材のそれぞれの出射側に設けられた光源用の補助レンズ、ならびに、
前記第1の導光部材側の前記補助レンズからの出射光を前記反射型偏光板に出射し、前記反射型偏光板からの反射光を前記第2の導光部材側の前記補助レンズを経由して前記第2の導光部材の前記選択反射透光膜に出射し、前記第2の導光部材側の前記補助レンズからの出射光を前記反射型偏光板に出射し、前記反射型偏光板からの反射光を前記第1の導光部材の前記補助レンズを経由して前記第1の導光部材の選択反射透光膜に出射する、第1の照明レンズおよび第2の照明レンズから構成される、プロジェクタ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプロジェクタにおいて、
前記単板型の画像形成素子が単一の液晶パネルである、プロジェクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1から前記第4の光源は発光ダイオードである、プロジェクタ。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のプロジェクタにおいて、
前記第2の導光部材の光軸を前記照明レンズ光軸と直交する方向に変換する反射ミラーを有し、
前記反射ミラーで変換された前記第2の導光部材の光軸上に前記第2の光源と、前記第2のロッドインテグレータと、前記補助レンズとが設けられている、プロジェクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1の導光部材の光軸を前記照明レンズ光軸と直交する方向に変換する反射ミラーを有し、
前記反射ミラーで変換された前記第1の導光部材の光軸上に前記第1の光源と、前記第1のロッドインテグレータと、前記補助レンズとが設けられている、プロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−96707(P2008−96707A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278636(P2006−278636)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(300016765)NECディスプレイソリューションズ株式会社 (289)
【Fターム(参考)】