説明

プロセスカートリッジ、および画像形成装置

【課題】小型であっても画像形成装置に装着された後のハウジングのがたつきを最小限に抑えることができる構造を持つプロセスカートリッジ、作業者がプロセスカートリッジを挿入するときにプロセスカートリッジを落としてしまう恐れを軽減することができる構造を持つ画像形成装置を提供する。
【解決手段】筐体に設けられているレール103の入口に載置部1031を設け、さらに、その載置部1031にプロセスカートリッジ15の挿入に伴いプロセスカートリッジに接触してプロセスカートリッジをレールへと案内する案内壁10311を設ける。筐体の、レールの奥に位置するところに突起部102を設けてプロセスカートリッジのハウジングに穿たれた長孔の長径方向がプロセスカートリッジ内のクリーニング部材が感光ドラムの周面から不要物を掻き落とす際に周面から受ける反力の方向とは交わる方向になるように長孔を突起部に嵌め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に挿抜自在に装着されるプロセスカートリッジ、およびプロセスカートリッジが挿抜自在に装着される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置内には、像を形成するために必要なプロセスカートリッジやトナーカートリッジ等が配備されており、必要に応じてこれらのカートリッジが適宜交換される。このため、画像形成装置においては、これらのカートリッジを挿抜自在に簡単に装着することができるようにする機構がいろいろと考えられている(例えば特許文献1〜特許文献8参照)。
【0003】
ここでプロセスカートリッジには、大抵、回転しながら周面に像が形成されその形成された像を保持するロール状の感光ドラムが備えられているために、プロセスカートリッジを筐体内に挿抜自在に装着するときには感光ドラムの軸受と画像形成装置内の回転軸とを精度良く結合させる必要がある。
【0004】
このため、画像形成装置の筐体には、大抵、回転軸と軸受とを精度良く結合させるための案内用のレールが配備されている。
【0005】
しかし、回転軸と軸受とを精度良く結合させるためにプロセスカートリッジとレールとの嵌合精度を高精度にすると、作業者がプロセスカートリッジをレールに嵌めようとするときに嵌め難くなるという問題が発生する。こうして嵌め難くなると、作業者の中にはプロセスカートリッジをレールに嵌めるときに誤って落としてしまう人が出てくる。特許文献1の技術を採用してプロセスカートリッジを下から支える部分をレールに設けたとしても挿入時にプロセスカートリッジを落としてしまうことを防止することはできない。
【0006】
これを解決するためにレールの精度を緩めて、プロセスカートリッジのハウジングに孔を設けるとともに画像形成装置の筐体にプロセスカートリッジの姿勢決め用の突起部を設けてその突起部と孔とが嵌り合うことで軸受と回転軸とを結合させる構成にすることが考えられる。
【0007】
しかし、軸受の位置を回転軸の軸位置に合わせることができるようにするためには、プロセスカートリッジの姿勢決め用の突起部に嵌り合うハウジングの孔をやや大きめにしなけれならなくなる。ここで、プロセスカートリッジ内には、大抵、感光ドラムの他に回転中の感光ドラムに接触して不要物を除去するクリーニング部材が備えられているために、装着後においては、そのクリーニング部材からの力を受けて突起部と孔とが嵌り合うことで保持されているプロセスカートリッジのハウジングががたついてしまうことがある。特許文献9には、補強部材を設けてハウジングのがたつきを最小限に抑える提案がなされているが、部品点数が増えるとハウジングが大型化してしまう。
【特許文献1】特開2004−212986号公報
【特許文献2】特開平9−16054号公報
【特許文献3】特開2001−188456号公報
【特許文献4】特開2004−280070号公報
【特許文献5】特開2004−170727号公報
【特許文献6】特開2004−170821号公報
【特許文献7】特開2006−154410号公報
【特許文献8】実開平5−20075号公報
【特許文献9】特開2000−019930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、小型であっても画像形成装置に装着された後のハウジングのがたつきを最小限に抑えることができる構造を持つプロセスカートリッジ、作業者がプロセスカートリッジを挿入するときにプロセスカートリッジを誤って落としてしまう恐れを軽減することができる構造を持つ画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のプロセスカートリッジは、
回転しながら周面に像が形成されその形成された像を保持する像保持体を備え、画像形成装置に本体に対して挿抜自在に装着されるプロセスカートリッジであって、
上記画像形成装置内にこのプロセスカートリッジが挿入されることでその画像形成装置に設けられた駆動伝達手段と結合して駆動を受け入れる駆動受入手段を備える像保持体と、
上記像保持体の周面に接触してその周面上の不要物を掻き落とすクリーニング部材と、
上記像保持体を回転自在に保持し上記クリーニング部材が固定されたハウジングとを備え、
上記ハウジングは、上記画像形成装置内に設けられている上記プロセスカートリッジの姿勢決め用の突起に嵌り込む長孔を有し、上記長孔の長径方向が、上記像保持体の回転中心に向かっているとともに、上記像保持体が回転した状態で上記クリーニング部材が上記像保持体の周面から不要物を掻き落とす際にその周面から受ける反力の方向と略直交していることを特徴とする。
【0010】
上記本発明のプロセスカートリッジによれば、上記画像形成装置内にこのプロセスカートリッジの上記姿勢決め用に設けられている突起部に嵌り込む長孔の長径方向が、像保持体の回転中心に向かうとともに、上記クリーニング部材が上記像保持体の周面から不要物を掻き落とす際にその周面から受ける反力の方向とは交わる方向になるように上記長孔が設けられる。
【0011】
このため、このプロセスユニットが画像形成装置に装着された後、像保持体が回転してクリーニング部材がその保持体の周面から不要物を掻き落としているときにその周面から力を受けたときには、像保持体の回転に対する反力の影響も、クリーニング部材が受ける反力の影響も長孔の短径、又は短径に近い部分により規制されてプロセスユニットのハウジングのがたつきが抑えられる。
【0012】
また上記課題を達成する本発明の第1の画像形成装置は、
駆動伝達手段と突起が設けられた筐体;
上記筐体に対して挿抜自在に装着されるプロセスカートリッジであって、
回転しながら周面に像が形成されその形成された像を保持するロール状の像保持体であって、上記筐体内にこのプロセスカートリッジが挿入されることで上記駆動伝達手段と結合して駆動を受け入れる駆動受入手段を備えた像保持体と、
上記像保持体の周面に接触してその周面上の不要物を掻き落とすクリーニング部材と、
上記像保持体を回転自在に保持し上記クリーニング部材が固定されたハウジングであって、上記筐体内にこのプロセスカートリッジの姿勢決め用に設けられている上記突起に嵌り込む長孔が設けられ、その長孔の長径方向が、上記像保持体の回転中心に向かっているとともに、上記クリーニング部材が上記像保持体の周面から不要物を掻き落とす際にその周面から受ける反力の方向とは交わっているハウジングとを備えたプロセスカートリッジ;
上記像保持体上に像を形成する像形成部;
上記像保持体上の像を記録媒体上に転写する転写部:および
その記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着部;
を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記本発明の画像形成装置によれば、上記本発明のプロセスカートリッジが筐体に挿抜自在に装着されることによって装着後のプロセスカートリッジのハウジングのがたつきが最小限に抑えられるので、上記像保持体の回転状態が非常に安定する。このため、上記像形成部、および上記転写部および上記定着部の動作が安定してこの画像形成装置が形成する画像の画質が向上するという効果が得られる。
【0014】
また、上記課題を達成する本発明の第2の画像形成装置は、
筐体と、
表面に像が形成されてその像を保持する像保持体と、
上記筐体に設けられたレールと、
上記像保持体を内包した、上記レールに挿抜自在な、そのレールに挿入されることでその像保持体が上記筐体に対して位置決めされるプロセスカートリッジと、
上記レールの、上記プロセスカートリッジが挿入される一端に隣り合って設けられた、そのレールよりも広い、そのレールに挿入される上記プロセスカートリッジが載せられる載置部であって、そのプロセスカートリッジの挿入に伴いそのプロセスカートリッジに接触してそのプロセスカートリッジをそのレールへと案内する案内壁を有する載置部と、
上記筐体に対して位置決めされた像保持体の表面に像を形成する像形成部と、
上記像保持体上の像を記録媒体上に転写する転写部、
その記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記本発明の第2の画像形成装置によれば、作業者がプロセスカートリッジを挿入するときに上記レールよりも広い上記載置部にプロセスカートリッジを載置しさらにその載置部の案内壁の案内にしたがってプロセスカートリッジを挿入していく操作を行なえば、自然とプロセスカートリッジとレールとを嵌め合うことができる。従来においては、レールの嵌合精度が高精度であったために、作業者がプロセスカートリッジをレールに嵌め込もうとしているときにプロセスカートリッジを誤って落としてしまうという事態が発生していたが、上記本発明によれば挿入当初にプロセスカートリッジが載置される上記載置部の作用によりそのような事態が回避される。
【0016】
ここで上記レールの奥に設けられ、上記プロセスカートリッジがそのレールに挿入されることでそのプロセスカートリッジと嵌り合うことで、上記像保持体を上記筐体に対して、そのレールによる位置決めよりも厳密に位置決めし、そのプロセスカートリッジをそのレールから離間した状態に保持する保持部材を備えた態様であることが好ましい。
【0017】
上記保持部材がレールから離間した状態にプロセスカートリッジを保持する構成であると、レールを介して筐体内の他のところから振動が伝えられてきてもその振動がプロセスカートリッジ内の像保持体には伝えられなくなる。その結果、像保持体の回転が非常に安定するという効果が得られる。
【0018】
また上記レールが、上記保持部材によって上記筐体に対して位置決めされたものであることが好ましい。
【0019】
そうすると、上記保持部材を基準にして上記レールを、筐体の前側から奥方向に向かって好適に這わせることができ、作業者がそのレールに沿ってプロセスカートリッジを挿入していくことで保持部材にプロセスカートリッジを自然と嵌め込む構成にすることができる。
【0020】
ここで、上記像形成部が、上記像保持体の表面に静電潜像を形成し、その静電潜像を現像して現像像を形成するものであり、
上記転写部が、上記現像像を記録媒体上に転写するものであり、
上記転写部によって像が転写された後の上記像保持体の表面を照らすことで該表面を除電する、上記レールに固定された除電ランプを備えると良い。
【0021】
上記保持部材を基準にして這わせたレールに上記徐電ランプを設けると、上記保持部材によって保持される像保持体の周面の所定の位置に上記徐電ランプを高精度に取り付けることが可能となる。
【0022】
また、上記プロセスカートリッジが、上記像保持体の表面を帯電させる帯電器を備えたものであり、
上記レールと上記載置部とが一体化された、上記帯電器に対応する箇所に孔が穿たれたレール部材を備えた態様であると良い。
【0023】
そうすると、上記帯電部で生成された放電生成物を上記レール部材で一旦受けて上記孔からその放電生成物を放出することができる。このときにはレール部材にエアを流す構成にしておくとより効果が高まる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように、本発明によれば、小型であっても画像形成装置に装着された後のハウジングのがたつきを最小限に抑えることができる構造を持つプロセスカートリッジ、作業者がプロセスカートリッジを挿入するときにプロセスカートリッジを誤って落としてしまう恐れを軽減することができる構造を持つ画像形成装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の画像形成装置の1実施形態であるカラーコピー機1の構成を示す斜視図である。この図1には、カラーコピー機1の内部構成が模式的に示されている。また図2は、図1のプロセスカートリッジと一次転写部の構成の詳細を示す図である。なお図1の斜視図の手前側がカラーコピー機1のフロント側になり、図1の斜視図の奥側がカラーコピー機1のリア側になるとして以降説明する。
【0026】
図1にはカラーコピー機1の内部構成の一例としてタンデム方式のカラーコピー機1の構成が模式的に示されている。その模式的に示されている構成の中には、複数のローラ101A〜103Aとその複数のローラ101A〜103Aに張り架けられた環状ベルト100Aとで構成されるベルトユニット10と、記録媒体としての普通紙110を収容するトレイ11と、そのトレイ11から抜き出される普通紙110上にトナー像を転写しさらにそのトナー画像を普通紙110に定着させる転写定着部12と、環状ベルト100の表面の不要物を除去するクリーニングユニット13と、クリーニングユニット13で掻き落とされたトナーを回収するトナー回収箱14と、各色のトナー画像を形成する4本のプロセスカートリッジ15K,15C、15M,15Yと、その形成された各トナー画像が互いに重なるように環状ベルト100A上に転写してカラートナー像を形成する一次転写部を構成する4つの転写ローラ16K,16C,16M,16Yとが示されている。
【0027】
なお、4本のプロセスカートリッジはすべて同じ構成であり、また4つの一次転写部もすべて同じ構成であるので、以降においては、プロセスカートリッジに符号15を付し、転写ローラには符号16を付して説明する。
【0028】
図2に示す様に、プロセスカートリッジ15のハウジング150内には、感光ドラム151とクリーニング部材152であるゴム製のブレードとが備えられており、更にこの例では、そのプロセスカートリッジ15のハウジング150内に帯電器として帯電ローラ153が内包されている例が示されている。そして、このプロセスカートリッジ15の感光ドラム151の周囲には、図2に示す様に、静電潜像形成装置17と現像装置18とが配備され、さらに環状ベルト100Aを挟むようにして一次転写部を構成する転写ローラ16が配備される。
【0029】
つまり4つのプロセスカートリッジ15が備える各感光ドラム151上には、帯電ローラ153で感光ドラム151の表面が帯電された後に、静電潜像形成装置17によって感光ドラム151上に、原稿台1Aにセットされた原稿の画像が表わす静電潜像が形成され、さらに現像装置18で各感光ドラム上に各色のトナー像が形成されることとなる。そして、図1に示す様に、プロセスカートリッジ15の感光ドラム151上のトナー像が4つの転写ローラ16で環状ベルト100A上の同じ箇所に重なるように一次転写されてカラートナー像が環状ベルト100A上に形成される。
【0030】
さらに、図1に示す様に、環状ベルト100Aが回転してトレイ11から搬送されてくる記録媒体、ここでは普通紙110にその環状ベルト100A上のカラートナー像が転写定着部12で2次転写・定着され、カラートナー像が定着した普通紙110がカラーコピー機1の外部へと排出される。この4つの一次転写部と4つの静電潜像形成装置と4つの現像機とによって本発明にいう像形成部の一例が構成されている。
【0031】
ここで、図1のカラーコピー機1の内部の構成を図3〜図7を参照して説明する。
【0032】
図3は、図1のカラーコピー機1内部の筐体10とプロセスカートリッジ15の係わりを示す図であり、図4は、図1のプロセスカートリッジ15とレール1031との係わりのみを抜き出して示した図であり、図5はレール1031の構成を示す図であり、図6はプロセスカートリッジ15のハウジング150とレール1031との係わりを示す図である。
【0033】
図3から図6を参照してまずレール1031の構成を説明する。
【0034】
図3に示す様に、フロント側からリア側に向かって4本のレールが設けられている。作業者が、プロセスカートリッジ15をその4本のうちの一番右側のレール1031に沿って挿入していくと、図3に示す左側の3本のプロセスカートリッジ15のように筐体10に装着される。
【0035】
図3に示すレール1031には、図4、図5に示す様に、レール1031の入口に、レール1031の、プロセスカートリッジ15が挿入される一端に隣り合って設けられた、そのレール1031よりも広い、レール1031に挿入されるプロセスカートリッジ15が載せられる載置部1032が設けられている。さらにこの載置部1032には、プロセスカートリッジ15の挿入に伴いプロセスカートリッジ15に接触してプロセスカートリッジ15をレール1031へと案内する、絞り加工によって製作された案内壁1033が設けられている。
【0036】
このため、作業者が、図5のプロセスカートリッジ15を図3に示す筐体10に装着するときには、まずその載置部1032にプロセスカートリッジ15を一旦載せて案内壁1033に沿って挿入していくという操作を行なうことになる。この操作を行なってプロセスカートリッジ15を挿入していくと、図6に示す様に自然とプロセスカートリッジ15とレール1031とが嵌りあうことになる。
【0037】
また、作業者がプロセスカートリッジ15を挿入するときにはレール1031の入口にある載置部1032に一旦載せてから挿入操作を開始することができるので、プロセスカートリッジ15を誤って落としてしまう恐れが著しく軽減される。
【0038】
また、図5に示すレール1031と載置部1032とが一体化されたレール部材103には、プロセスカートリッジ15を挿入しているときの落下を防止するための補強部1034も一体的に設けられている。このため、作業者が、案内壁1033にそってプロセスカートリッジ14を挿入していったときにプロセスカートリッジ15をレール1031にうまく嵌め込むことができなかった場合においてもその補強部1034でプロセスカートリッジ15の落下を阻止することができる。
【0039】
また図6に示す様に、レール部材103の補強部1034が帯電ローラ153の部分に位置していることを利用して、図5に示す補強部1034に孔1035を穿って帯電ローラ153で生成された放電生成物をその孔1034から放出することができる構成にもなっている。このときには帯電ローラ153に対して図6中の矢印Aで示す方向にファン等でエアーの流れを形成しておくとレール部材103の補強部1032の孔1035から放電生成物が効率的に放出される。
【0040】
さらに、図6に示す様に、感光ドラム151の表面を照らすことで感光ドラム151を除電する除電ランプ19がレール部材103に固定されている。
【0041】
このように本実施形態では、レール1031と載置部1032とが一体化されたレール103部材を、落下防止用の部材として機能させたり、放電生成物の放出用の部材として機能させたりするほか、除電ランプ19を固定する固定具にも用いている。
【0042】
このレール部材103は、1枚の板材を板金加工することで製作可能であって小型であってしかも薄型の形状にすることができ、図3に示す様にレール部材103を隣接して並べて複数配置する構成にすることが可能である。このためこのレール部材103は、画像形成装置であるカラーコピー機を小型にすることに寄与する。
【0043】
ここで、図1〜図6に加えて、図7と図8を参照してその小型化が図られたカラーコピー機の筐体10に挿抜自在に装着されるプロセスカートリッジ15の構成を説明する。
【0044】
プロセスカートリッジ14には、図7、図8に示す様に、図3に示す筐体10のプロセスカートリッジ15の姿勢決め用の突起部102に嵌り合い、その突起部102にプロセスカートリッジ15を保持させるために用いられる孔1501が穿たれているのでその孔1501の構成を、プロセスカートリッジ15のハウジング150内に収容されている感光ドラム151の軸受154等の構成を絡めて説明する。
【0045】
図7は、プロセスカートリッジ15に穿たれた孔1501が筐体10側の姿勢決め用の突起部102を受け入れてプロセスカートリッジ15の姿勢が決められて、ドライブシャフト101がプロセスカートリッジ15のハウジング150内の感光ドラムの軸受154に結合した後のプロセスカートリッジ15を示す図である。図8は、図7の状態から突起部102を取り去ってプロセスカートリッジ15のハウジング150に穿たれた孔1501を見た図である。
【0046】
前述した様に、プロセスカートリッジ15には、回転しながら周面に像が形成されその形成された像を保持するロール状の像保持体であって、図1のカラーコピー機1内にこのプロセスカートリッジ15が挿入されることでカラーコピー機1内に設けられ、感光体に対して駆動を伝達する駆動伝達手段の一例である回転軸であるドライブシャフト101と結合してドライブシャフト101を中心に回転する像保持体である感光ドラム151(図2、図6参照)が備えられている。
【0047】
このため感光ドラム151には、図7、図8に示す様に回転軸であるドライブシャフト101を受け入れるための駆動受入手段の一例である軸受154が設けられている。また、プロセスカートリッジのハウジング150には、軸受154の脇に、筐体10の突起部102と嵌り合う孔1501が穿たれている。この孔1501は長孔形状になっており、長径の方向が感光ドラム151(図2,図6参照)の回転中心に向かっているので、ドライブシャフト101を軸受154に結合させるときにはその長孔1501の長径に沿ってプロセスカートリッジ101の位置を調整することができる。この長孔1501の機能、作用については図9を説明するときに詳述する。
【0048】
本実施例においては、駆動伝達手段の一例として回転軸であるドライブシャフト101、駆動受入手段の一例として軸受154としているが、感光体ドラム151がドライブシャフト101を有し、筐体10に設けられたカップリング部材と係合するカップリング部材を感光体151側のドライブシャフト101に設けることで駆動伝達手段、および、駆動受入手段としても良い。
【0049】
ここで図3に戻ってプロセスカートリッジ15とレール1031と筐体10の突起部102との係わりを説明する。
【0050】
図3に示すレール1031は、プロセスカートリッジ15の姿勢決め用の突起部102によって筐体10に対して位置決めされており、さらに突起部102には挿入方向に沿って徐々に径が大きくなっていくテーパが設けられている。このため、作業者がプロセスカートリッジ15をレール1031に沿って挿入していくと、プロセスカートリッジ15のハウジング150の長孔1501(図8参照)が自然と突起部102と嵌り合って、さらにプロセスカートリッジ15のハウジング150に穿たれている長孔1501がその突起部102の根元側の径の最も大きい部分に達したときに感光ドラムが筐体10に対して、レール1031による位置決めよりも厳密に位置決めされ、プロセスカートリッジ15がレール1031から離間した状態に保持される。このときに筐体10側のドライブシャフト101がハウジング150の軸受154に精度良く結合してプロセスカートリッジ15内の感光ドラム151が回転自在に筐体10に装着される。本実施形態においては、上記突起部102が本発明にいう保持部材の一例に相当する。
【0051】
レールと載置部とを一体的に設けたレール部材は、小型・薄型構造にすることができるので、この画像形成装置の小型化並びに低廉化に寄与することになる。
【0052】
また、上記構成であると、感光ドラム151の軸受154(図7、図8参照)が、上記長孔1501と突起部102の嵌り合いの助けを借りて精度良くドライブシャフト101に結合するとともに、プロセスカートリッジ15がレール1031からは離間した状態に保持される。
【0053】
こうして感光ドラム151がレール1031からは離間した状態に保持されると、レールが長い距離に渡っていても、筐体10内の他のところからの振動がレール1031を介してプロセスカートリッジ15のハウジング150内に収容されている感光ドラム151に伝えられ難くなり、感光ドラム151上での画像形成の安定性に寄与する。このことはレール近傍にいろいろな部材を高密度に配置することができるということを意味しており、画像形成装置の更なる小型化にも寄与することになる。
【0054】
なお、上記実施形態では、2次転写部121と定着部122が別々に構成されているが、本発明にいう転写部と定着部は、転写定着部であって、転写と定着とを同時に行なうものであっても良い。また本発明で用いられる記録媒体はOHPシート等であっても良い。また図1には4本のプロセスカートリッジを環状ベルト100に沿って直列に並べたタンデム方式のカラーコピー機を例に掲げたが、画像形成装置であるカラーコピー機は、1本のプロセスカートリッジ(感光ドラム)を環状ベルト100に沿って配設しその感光ドラム上に4色のトナー像を順次形成するロータリー方式のカラーコピー機であっても良い。さらに本発明の画像形成装置は、図1のようにカラー画像を形成するカラーコピー機ではなく、1本のプロセスカートリッジで済むモノクロ画像を形成するモノクロのコピー機であっても良い。また、上記実施形態では中間転写方式のカラーコピー機を例に挙げたが、本発明の画像形成装置は、プロセスカートリッジが備える感光ドラムから直接記録媒体に転写する構成のものであっても良い。また本発明の画像形成装置は、プリンタで合っても良く、FAXであっても良い。
【0055】
次に筐体10に装着された後のプロセスカートリッジ15のハウジング150に穿たれた長孔1501(図7参照)の機能および作用を説明する。
【0056】
本実施形態のプロセスカートリッジのハウジング150に穿たれた長孔1501が、ドライブシャフト101を軸受部154に結合させるときにはプロセスカートリッジ15の姿勢調整を行なう姿勢調整用の部材として機能することは前述のとおりである。
【0057】
さらにこの長孔1501は、ドライブシャフト101が軸受154に結合した後においては、感光ドラムが回転しているときのハウジング150のがたつきも防止する。
【0058】
ここで前述した様に、その長孔1501に嵌めこまれる突起部102は、装着された後においてはプロセスシャフト15のハウジング150を保持する、本発明にいう保持部材として機能する。さらに本実施形態においては、長孔1501に、上記突起部102が嵌め込まれてその突起部102がハウジング150を保持しているときのハウジング150のがたつきを防止する機能も持たせている。
【0059】
図9は、ハウジング150に穿たれた長孔1501を示す図である。
【0060】
図9には、ハウジング150とハウジング150内の感光ドラム151とブレード152とが抜き出されて模式的に示されている。
【0061】
図9に示すハウジング150には、像保持体である感光ドラム151が回転自在に保持されるとともにクリーニング部材であるブレード153が固定されている。そのハウジング150には、プロセスカートリッジ15を装着するときには姿勢決め用の突起部102に嵌り込まれる長孔1501が穿たれている。その長孔1501は、その長径方向が感光ドラム151の回転中心に向かっているので、上述したとおりに姿勢調整用の部材としての機能を発揮する。さらにこの長孔1501は、その長孔の長径がクリーニング部材であるブレード153が感光ドラム151の周面から不要物を掻き落とす際に周面から受ける反力Fの方向とは交わっている。ここでは一例として直交している例を掲げている。
【0062】
図9には、反力Fが感光ドラム151の接線方向に働く力F1と、感光ドラム151の中心から放射方向に働く力F2との合力として示されている。この図9に示す状態においては、接線方向の力F1の影響が、長孔1501に嵌め込まれている、プロセスカートリッジのハウジングを保持する保持部となる突起部102と長孔1501とに強く現われる。
【0063】
そこで、保持部材である突起部102によってプロセスカートリッジ15が保持された後においては、ハウジング150の長孔1501が上記反力によるハウジング150のがたつきを規制するための位置規制用としての機能を発揮するように、長孔の長径がクリーニング部材であるブレード153が感光ドラム151の周面から不要物を掻き落とす際に周面から受ける反力Fの方向とは交わっている長孔、つまり反力Fの方向に沿って短径が位置する長孔がハウジングに穿たれている。
【0064】
こうしておくと、図9に示す反力Fを受けたとしてもその反力が短径、またはその短径に近い部分で抑えられてハウジングのがたつきが抑えられる。
【0065】
このように長孔の配置を工夫することで装着後のハウジングのがたつきが好適に抑えられると、ハウジングにわざわざ補強部材を設けなくても良くなるのでハウジングを小型にすることができるという効果が得られる。この小型化されたプロセスカートリッジが上記小型化が達成されたカラーコピー機の筐体内部に装着されるということになる。
【0066】
なお、上記実施形態ではプロセスカートリッジ15のハウジング150内には帯電ローラ153が内包されているが、本発明のプロセスカートリッジには帯電器は内包されていなくても良い。また、上記実施形態では、プロセスカートリッジ15のハウジング150内に現像機153は内包されていないが、本発明のプロセスカートリッジは、現像装置153をハウジング内に内包したものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の画像形成装置の1実施形態であるカラーコピー機1の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のプロセスカートリッジ15と一次転写部16の構成の詳細を示す図である。
【図3】図1のカラーコピー機1内部の筐体10とプロセスカートリッジ15の係わりを示す図である。
【図4】図1のプロセスカートリッジ15とレール1031との係わりのみを抜き出して示した図である。
【図5】レール1031の構成を示す図である。
【図6】プロセスカートリッジ15のハウジング150とレール1031との係わりを示す図である。
【図7】プロセスカートリッジ15に穿たれた孔1501が筐体10側の姿勢決め用の突起部102を受け入れてプロセスカートリッジ15の姿勢が決められて、回転軸であるドライブシャフト101がプロセスカートリッジ15のハウジング150内の感光ドラムの軸受154に結合した後のプロセスカートリッジ15を示す図である。
【図8】図7の状態から突起部102を取り去ってプロセスカートリッジ15のハウジング150に穿たれた孔1501を見た図である。
【図9】ハウジング150に穿たれた長孔1501を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 カラーコピー機
10 筐体
101 ドライブシャフト(回転軸)
102 突起部
103 レール
1031 載置部
1032 補強部
10A ベルトユニット
100A 環状ベルト
101A 102A 103A 張架ロール
11 トレイ
12 転写定着部
13 クリーニングユニット
14 回収箱
15 プロセスカートリッジ
150 ハウジング
151 像保持体(感光ドラム)
152 クリーニング部材(ブレード)
153 帯電ローラ
154 軸受
16 一次転写部
17 静電潜像形成装置
18 現像装置
19 除電ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら周面に像が形成されその形成された像を保持する像保持体を備え、画像形成装置に本体に対して挿抜自在に装着されるプロセスカートリッジであって、
前記画像形成装置内にこのプロセスカートリッジが挿入されることで該画像形成装置に設けられた駆動伝達手段と結合して駆動を受け入れる駆動受入手段を備える像保持体と、
前記像保持体の周面に接触して該周面上の不要物を掻き落とすクリーニング部材と、
前記像保持体を回転自在に保持し前記クリーニング部材が固定されたハウジングとを備え、
前記ハウジングは、前記画像形成装置内に設けられている前記プロセスカートリッジの姿勢決め用の突起に嵌り込む長孔を有し、前記長孔の長径方向が、前記像保持体の回転中心に向かっているとともに、前記像保持体が回転した状態で前記クリーニング部材が前記像保持体の周面から不要物を掻き落とす際に該周面から受ける反力の方向と略直交していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
駆動伝達手段と突起が設けられた筐体;
前記筐体に対して挿抜自在に装着されるプロセスカートリッジであって、
回転しながら周面に像が形成されその形成された像を保持するロール状の像保持体であって、前記筐体内にこのプロセスカートリッジが挿入されることで前記駆動伝達手段と結合して該駆動伝達手段の駆動を受け入れる駆動受入手段を備えた像保持体と、
前記像保持体の周面に接触して該周面上の不要物を掻き落とすクリーニング部材と、
前記像保持体を回転自在に保持し前記クリーニング部材が固定されたハウジングであって、前記筐体内にこのプロセスカートリッジの姿勢決め用に設けられている前記突起に嵌り込む長孔が設けられ、該長孔の長径方向が、前記像保持体の回転中心に向かっているとともに、前記クリーニング部材が前記像保持体の周面から不要物を掻き落とす際に該周面から受ける反力の方向とは交わっているハウジングとを備えたプロセスカートリッジ;
前記像保持体上に像を形成する像形成部;
前記像保持体上の像を記録媒体上に転写する転写部;、および
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着部;
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
筐体と、
表面に像が形成されてその像を保持する像保持体と、
前記筐体に設けられたレールと、
前記像保持体を内包した、前記レールに挿抜自在な、該レールに挿入されることで該像保持体が前記筐体に対して位置決めされるプロセスカートリッジと、
前記レールの、前記プロセスカートリッジが挿入される一端に隣り合って設けられた、該レールよりも広い、該レールに挿入される前記プロセスカートリッジが載せられる載置部であって、該プロセスカートリッジの挿入に伴い該プロセスカートリッジに接触して該プロセスカートリッジを該レールへと案内する案内壁を有する載置部と、
前記筐体に対して位置決めされた像保持体の表面に像を形成する像形成部と、
前記像保持体上の像を記録媒体上に転写する転写部と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記レールの奥に設けられ、前記プロセスカートリッジが該レールに挿入されることで該プロセスカートリッジと嵌り合うことで、前記像保持体を前記筐体に対して、該レールによる位置決めよりも厳密に位置決めし、該プロセスカートリッジを該レールから離間した状態に保持する保持部材を備えたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記レールが、前記保持部材によって前記筐体に対して位置決めされたものであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像形成部が、前記像保持体の表面に静電潜像を形成し、その静電潜像を現像して現像像を形成するものであり、
前記転写部が、前記現像像を記録媒体上に転写するものであり、
前記転写部によって像が転写された後の前記像保持体の表面を照らすことで該表面を除電する、前記レールに固定された除電ランプを備えたことを特徴とする請求項3から5のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセスカートリッジが、前記像保持体の表面を帯電させる帯電器を備えたものであり、
前記レールと前記載置部とが一体化された、前記帯電器に対応する箇所に孔が穿たれたレール部材を備えたことを特徴とする請求項3から6のうちいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−122539(P2009−122539A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298447(P2007−298447)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】