説明

プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】 トナー像が形成される像担持体と、該像担持体を固定支持する支軸と、該支軸を軸受を介して回転可能に支持するカートリッジケースとを具備し、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジにおいて、プロセスカートリッジを画像形成装置本体にセットした後、そのプロセスカートリッジを容易に位置決めできるようにする。
【解決手段】 プロセスカートリッジ40Yを画像形成装置本体にセットした後、画像形成装置本体側の面板105を閉じるとき、その面板105に設けられた筒状体110Yにプロセスカートリッジ40Yの軸受102Yが入り込むように、その軸受102Yを案内するガイド部材111Yを支軸100Yに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像が形成される像担持体と、該像担持体を固定支持する支軸と、該支軸を軸受を介して回転可能に支持するカートリッジケースとを具備し、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジ及びそのプロセスカートリッジを具備する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される上記形式の画像形成装置は従来より公知である(例えば、特許文献1参照)。かかる画像形成装置において、プロセスカートリッジを画像形成装置本体にセットしたとき、そのプロセスカートリッジを画像形成装置本体に対して正しく位置決めする必要がある。その際、プロセスカートリッジを画像形成装置本体にセットした後、画像形成装置本体の面板を閉じるとき、その面板に設けられた位置決め部にプロセスカートリッジの軸受が入り込むように構成すると、プロセスカートリッジの手前側の部位を画像形成装置本体に対して正しく位置決めすることができる。ところが、面板の閉動作に伴って、その位置決め部に、プロセスカートリッジの軸受をスムーズに導き入れることは容易でなく、面板を閉じる際の操作が煩雑なものとなるおそれがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−316107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来の欠点を除去できるプロセスカートリッジと、該プロセスカートリッジを具備する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載したプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジが画像形成装置本体にセットされた状態で、画像形成装置本体側の面板を閉じるとき、該面板に設けられた位置決め部に前記軸受が入り込むように、該軸受を案内するガイド部材を、前記支軸に設けたことを特徴とするプロセスカートリッジを提案する(請求項1)。
【0006】
その際、上記請求項1に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記ガイド部材は、前記軸受が前記カートリッジケースから外れることを阻止するストッパを兼ねていると有利である(請求項2)。
【0007】
また、上記請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記ガイド部材は、前記支軸に嵌合していると共に、前記軸受とは反対側の端部から、軸受側の端部に向けて漸次直径が大きく形成されていると有利である(請求項3)。
【0008】
さらに、本発明は、上記目的を達成するため、請求項1乃至3のいずれかに記載のプロセスカートリッジを具備する画像形成装置を提案する(請求項4)。
【0009】
また、上記請求項4に記載の画像形成装置において、複数のプロセスカートリッジが設けられていると有利である(請求項5)。
【0010】
さらに、上記請求項4又は5に記載の画像形成装置において、前記プロセスカートリッジが、像担持体にトナー像を形成する現像装置を有していると共に、プロセスカートリッジとは別個に、トナーボトルが画像形成装置本体に着脱可能に装着され、該トナーボトル内のトナーを前記現像装置に搬送して該トナーを使用するように構成されていると有利である(請求項6)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置本体にセットしたプロセスカートリッジを容易に位置決めすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0013】
図1はフルカラー画像を形成する画像形成装置の一例を示す垂直断面図である。ここに示した画像形成装置は、その本体1内に配置されたドラム状の感光体より成る第1乃至第4の像担持体2Y,2C,2M,2BKと、同じく画像形成装置本体1内に配置された無端状の中間転写ベルト3を有している。中間転写ベルト3は支持ローラ4,5,6に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される。各像担持体2Y乃至2BKには、それぞれ互いに異なる色のトナー像が形成される。上記中間転写ベルト3は、各像担持体2Y乃至2BKの上方に位置し、該中間転写ベルト3の下側の走行辺が各像担持体2Y乃至2BKの周面に当接している。
【0014】
第1乃至第4の各像担持体2Y,2C,2M,2BK上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成は、そのトナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるため、第1の像担持体2Yにトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成だけを説明する。
【0015】
図2は、この像担持体2Yと、その像担持体2Yの表面にトナー像を形成するための各作像装置を示す拡大図である。像担持体2Yは図2における時計方向に回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電ローラ7Yによって像担持体2Yが所定の極性に帯電される。帯電後の像担持体2Yには、図1に示した光書き込み装置8から出射する光変調された書き込み光(この例ではレーザビーム)Lが照射され、これによって像担持体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置9Yによってイエロートナー像として可視像化される。
【0016】
現像装置9Yは、乾式の現像剤Dを収容した現像ケース10Yと、この現像ケース10Yに回転自在に支持され、かつ該現像ケースに形成された開口を通して像担持体2Yに近接して対向配置された現像ローラ11Yと、その現像ローラ11Y内に配置されたマグネットローラ75Yと、現像ローラ11Y上の現像剤量を規制する現像ブレード31Yと、現像ローラ11Yに対向して配置された搬送スクリュー32Y,33Yと、シール部材76Yとを有している。現像ケース10Y内の現像剤Dは、搬送スクリュー32Y,33Yによって搬送されながら撹拌され、図2における反時計方向に回転駆動された現像ローラ11Y上に、マグネットローラ75Yの磁力の作用により汲み上げられ、その現像ローラ11Yに担持されて搬送される。このとき現像ブレード31Yによって、現像ローラ11Y上の現像剤の高さが規制され、規制後の現像剤が現像ローラ11Yと像担持体2Yとの間の現像領域に運ばれ、ここで現像剤中のトナーが像担持体に形成された静電潜像に静電的に移行して、該潜像がトナー像として可視像化される。現像剤として一成分又は二成分のいずれの現像剤を用いることもできるが、ここではトナーとキャリアを有する二成分系現像剤が用いられている。
【0017】
中間転写ベルト3を挟んで、像担持体2Yと反対側に一次転写ローラ12Yが配置され、この一次転写ローラ12Yに転写電圧が印加されることにより、像担持体2Y上のトナー像が、矢印A方向に回転する中間転写ベルト3上に一次転写される。トナー像転写後の像担持体2Y上に付着する転写残トナーはクリーニング装置13Yによって除去される。
【0018】
本例のクリーニング装置13Yは、像担持体2Yを向いた側に開口を有するクリーニングケース34Yと、基端部がそのクリーニングケース34Yに固定支持され、先端部が像担持体2Yの表面に圧接して、該像担持体2Y上の転写残トナーを除去するクリーニングブレード35Yと、除去されたトナーを図示していない廃トナーボトルに搬送する廃トナースクリュー36Yとを有している。帯電ローラ7Yには、直流に交流成分の重畳された帯電電圧が印加されているので、クリーニング装置13Yを通過した像担持体2Yが帯電ローラ7Yを通るとき、除電と同時に帯電され、次の作像に備える。
【0019】
上述したところと全く同様にして、図1に示した第2乃至第4の像担持体2C,2M,2BK上にシアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に合成トナー像が形成される。トナー像転写後の各像担持体2C,2M,2BK上の転写残トナーがクリーニング装置により除去されることも第1の像担持体2Yの場合と変わりはない。
【0020】
図1に示すように、第2乃至第4の像担持体2C,2M,2BKのまわりにも第1の像担持体2Yのまわりに設けられた各作像装置と同じく作用する作像装置が配置されているが、図1には、これらの作像装置に対して、第1の像担持体2Yのまわりに設けられた作像装置に付した符号のYの代りにC,M,BKを添えた符号を付してある。
【0021】
一方、図1に示すように、画像形成装置本体1内の下部には、例えば転写紙より成る記録媒体Pを収容した給紙カセット14と、給紙ローラ15を有する給紙装置16が配置され、給紙ローラ15の回転によって最上位の記録媒体Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録媒体は、レジストローラ対17によって、所定のタイミングで支持ローラ4に巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された二次転写ローラ18との間に給送される。このとき、二次転写ローラ18には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0022】
合成トナー像を二次転写された記録媒体Pはさらに上方に搬送されて定着装置19を通り、このとき記録媒体P上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対20によって、画像形成装置本体1の上部の排紙部22に排出される。このようにして、フルカラー画像が形成された記録媒体を得ることができる。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーはベルトクリーニング装置24によって除去される。
【0023】
また、図示した画像形成装置においては、各像担持体2Y乃至2BKに対向して、その各像担持体に潤滑剤を塗布する滑剤塗布装置63Y,63C,63M,63BKが設けられている。ここでも、像担持体2Yに対向して位置する滑剤塗布装置63Yを説明すると、この滑剤塗布装置は、図2に示すように、剤ケース64Yと、そのケース64Yに支持されて反時計方向に回転駆動されるブラシローラ65Yと、ばね66Yによってブラシローラ65Yに圧接された固形状の滑剤67Yとを有している。ブラシローラ65Yは像担持体2Yの表面に当接しながら回転し、このとき滑剤67Yから削り取られた粉末状の潤滑剤がブラシローラ65Yを介して像担持体上に塗布される。滑剤67Yとしては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどが用いられる。他の滑剤塗布装置63C,63M,63BKも、滑剤塗布装置63Yと全く同じく構成されている。
【0024】
像担持体表面の摩擦係数が不安定になると、クリーニングブレードによるクリーニング不良が発生するが、上述のように各像担持体に潤滑剤を塗布することによって、クリーニング性能の安定化を図り、像担持体の寿命を伸ばすことが可能となる。
【0025】
図2及び図3に示すように、ドラム状に形成された像担持体2Yは、これと同心状の支軸100Yに固定支持されている。図示した例では、図3に示すように、支軸100Yの軸線方向各端部にフランジ101Y(一方のみを示す)が固定され、その各フランジが支軸100Yに固定され、像担持体2Yが各フランジを介して支軸100Yに固定支持されている。他の像担持体2C乃至2Bも、図4に示すように、全く同様に、フランジを介して各支軸100C,100M,100BKに固定支持され、その各支軸が駆動装置により回転駆動されることにより、各像担持体2Y乃至2BKが図1における時計方向に回転駆動される。
【0026】
ここで、図2及び図3に示した像担持体2Y、支軸100Y、帯電ローラ7Yより成る帯電装置、現像装置9Y、滑剤塗布装置63Y及びクリーニング装置13Yは、一体的に組み付けられたプロセスカートリッジ40Yとして構成されている。すなわち、現像ケース10Yと剤ケース64Yとクリーニングケース34Yが一体化されたカートリッジケース41Yとして形成され、支軸100Yの軸線方向各端部が、例えばボールベアリングより成る軸受102Y(図3に一方だけを示す)を介してカートリッジケース41Yに回転可能に支持され、帯電ローラ7Yもカートリッジケース41Yに回転可能に支持されていて、像担持体2Yと、支軸100Yと、現像装置9Yと、クリーニング装置13Yと、帯電ローラ7Yと、滑剤塗布装置63Yとが一体的に組み付けられてプロセスカートリッジ40Yが構成されている。図1、図4及び図5に示すように、他の各像担持体2C,2M,2BKと、そのまわりにそれぞれ設けられた作像装置によっても、全く同様なプロセスカートリッジ40C,40M,40BKがそれぞれ構成され、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKは、画像形成装置本体1に対して、図1、図2及び図4の紙面に対して垂直な方向に着脱できるように構成されている。
【0027】
図示した例では、像担持体と支軸と帯電装置と現像装置と滑剤塗布装置とクリーニング装置の全てを一体的に組み付けてプロセスカートリッジを構成したが、プロセスカートリッジは、少なくとも、トナー像が形成される像担持体と、その像担持体を固定支持する支軸と、該支軸を軸受を介して回転可能に支持するカートリッジケースとを具備すればよく、これらが一体的に組み付けられてなるプロセスカートリッジが画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される。図8及び図9は、かかるプロセスカートリッジ40Yの外観斜視図である。
【0028】
図4は、中間転写ベルトがそのケースに収容された状態を正面側から示すと共に、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKを正面側から示した図であり、図7はプロセスカートリッジ40Y乃至40BKを取り出した後の画像形成装置本体1を示す図である。ここで図7に示すように、画像形成装置本体1内には、画像形成装置本体1に対する各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKの脱着時に、該プロセスカートリッジを下から支えて案内する支え板43Y,43C,43M,43BKと、その各支え板に対して上方に向けてほぼ直角に立ち上がった規制板54Y,54C,54M,54BK(図1には示さず)が固定配置され、各支え板43Y乃至43BKは、各像担持体2Y乃至2BKが対向した中間転写ベルトの辺にほぼ平行に傾斜している。
【0029】
また、図1及び図2から判るように、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKにおけるカートリッジケース41Y乃至41BKのケース底壁68Y,68C,68M,68BKが、各支え板43Y乃至43BKと平行に傾斜し、各プロセスカートリッジが傾斜して画像形成装置本体1内にセットされる。各支え板43Y乃至43BKと、プロセスカートリッジ40Y乃至40BKのケース底壁68Y乃至68BKには、光書き込み装置8から出射して、各像担持体2Y乃至2BKに向かう書き込み光Lが通過する光通過孔44Y,44C,44M,44BK;69Y,69C,69M,69BKがそれぞれ形成されている。
【0030】
図4、図5及び図7に示すように、画像形成装置本体1の前側板103には開口104が形成され、通常の画像形成動作時には、その前側板103よりも手前側に、図3、図5及び図6に示した画像形成装置本体の面板105(これらの図以外の図には示さず)が位置し、さらにその手前側には、画像形成装置本体1の外装カバー(図示せず)に回動可能に支持された前ドア(同じく図示せず)が位置している。この前ドアを開くと共に、面板105を図5に示すように開き、開口104を開放した上で、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKを、画像形成装置本体1から図3、図7、図8及び図9に矢印Fで示す手前方向に引き出し、また矢印Eで示す奥方向に押し込んで画像形成装置本体1内にセットすることができる。このとき、図1に示すように、各カートリッジケース41Y乃至41BKのケース底壁68Y乃至68BKが各支え板43Y乃至43BK(図7も参照)によって案内されると共に、各プロセスカートリッジにおけるカートリッジケース41Y乃至41BKの側部が、各プロセスカートリッジの自重によって各規制板54Y乃至54BK(図7)に当接する。このようにして、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKは、幅方向にずれ動くことなく、スムーズに画像形成装置本体に対して脱着される。
【0031】
図5及び図6に示した面板105は、その下部がヒンジを介して画像形成装置本体1の前側板103に矢印G,H方向に回動可能に支持されている。面板105は、通常、図3及び図6に示すように閉じられてロックされ、プロセスカートリッジを着脱するとき、そのロックが解除されて図5に示すように開放される。また、本例の面板105は、図3に示すように、例えば、板金より成る面板本体106と、この本体106に固定されたカバー107により構成されている。図6においては、カバー107を省略した状態で面板105を示してある。
【0032】
ここで、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKを画像形成装置本体1内に装填すべく、各プロセスカートリッジを図4及び図5に示すように画像形成装置本体1内に押し込んでセットしたとき、各プロセスカートリッジの奥側の部位は画像形成装置本体1に対して位置決めされる。すなわち、図3を参照して先に説明したように、プロセスカートリッジ40Yの支軸100Yは、その手前側の端部が手前側の軸受102Yを介してカートリッジケース41Yに回転可能に支持されていると共に、支軸100Yの奥側の端部も、図示していない奥側の軸受を介してカートリッジケース41Yに回転可能に支持されているが、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKを奥方向に押し込んで画像形成装置本体内にセットしたとき、その各奥側の軸受が、画像形成装置本体の奥側の後側板に形成された位置決め孔(図示せず)に嵌合する。これにより、各プロセスカートリッジの奥側の部位が画像形成装置本体1に対して位置決めされる。これに対し、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKの手前側の部位は次のようにして位置決めされる。
【0033】
図3及び図6に示すように、面板105には、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKの各支軸100Y乃至100BKに対応して位置決め部108Y,108C,108M,108BKが設けられている。図示した例では、図3に示すように、面板本体106に形成された孔109Yに固着された筒状体110Yによって位置決め部108Yが構成されている。他の位置決め部108C,108M,108BKも、図6に示すように、面板本体106に形成された孔に固着された筒状体110C,110M,110BKによって構成されている。
【0034】
図5に示したように各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKを奥方向に押し込んで画像形成装置本体内にセットした後、面板105を矢印G方向に回動して、その面板105を図6に示したように閉じると、図3及び図6から判るように、各筒状体110Y乃至110BKに、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKの手前側の軸受102Yが入り込む。これにより、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BK、特にその像担持体2Y乃至2BKの手前側が、画像形成装置本体1に対して高い精度で位置決めされる。
【0035】
上述のように、プロセスカートリッジ40Y乃至40BK、特に像担持体2Y乃至2BKの手前側と奥側を、画像形成装置本体に対して正しく位置決めできるので、高品質なフルカラー画像を得ることができる。
【0036】
ところが、ここで問題となるのは、面板を閉じるとき、その面板に設けられた各筒状体に、各プロセスカートリッジの各軸受がスムーズに入らずに、面板を回動させるだけで、その筒状体にプロセスカートリッジの軸受を嵌合させることができず、面板を閉じる際の操作が煩雑なものとなるおそれのある点である。特に本例の画像形成装置のように、複数のプロセスカートリッジを有していると、その各軸受を面板の各筒状体にほぼ同時にスムーズに嵌合させることは困難である。
【0037】
そこで、本例のプロセスカートリッジ40Y乃至40BKにおいては、図3乃至図6及び図8、図9に示すように、その各支軸100Y乃至100BKにガイド部材111Y,111C,111M,111BKが設けられている。図3に示すように、ガイド部材111Yは、軸受102Yよりも手前側の支軸100Yの部分に嵌合し、軸受102Yとは反対側の端部112Yから、軸受102Yの側の端部113Yに向けて漸次、直径が大きく形成されている。他のガイド部材111C乃至111BKも全く同じく構成されている。又、各ガイド部材111Y乃至111BKは、支軸100Y乃至100BKに対して、その軸線方向に不動に嵌合しているが、その各支軸に対して回転可能であっても、回転不能であってもよい。
【0038】
図3に二点鎖線で示したように、面板105を矢印G方向に回動させて閉じるとき、プロセスカートリッジ40Yの軸受102Yの中心が、面板105Yの筒状体110Yの中心に一致していなくとも、面板105の回動に伴って、ガイド部材111Yが筒状体110Yに嵌合し始めると、テーパ状に形成されたガイド部材111Yが筒状体11Yに倣うように動き、軸受102Yの中心と筒状体110Yの中心が一致して行く。他の軸受と筒状体110C乃至110BKも同様に作用する。このため、単に面板105を回動させて閉じるだけで、各軸受は、各筒状体111Y乃至111BKに円滑に入り込み、各プロセスカートリッジ40Y乃至40BKが位置決めされる。作業者が、各プロセスカートリッジを位置決めすることを意識することなく、単に面板105を閉じるだけで、各プロセスカートリッジを位置決めすることができるのである。
【0039】
上述のように、プロセスカートリッジが画像形成装置本体にセットされた状態で、画像形成装置本体側の面板を閉じるとき、その面板に設けられた位置決め部に軸受が入り込むように、軸受を案内するガイド部材を、支軸に設けることによって、プロセスカートリッジを位置決めしながら、面板を楽に閉じることができるのである。
【0040】
各ガイド部材111Y乃至111BKは、樹脂又は金属などの適宜な材料によって構成できるが、摺動性の良好な樹脂によってガイド部材を構成すると、そのガイド部材111Y乃至111BKと筒状体110Y乃至110BKとの摩擦抵抗を小さくすることができるので、より一層楽に面板105を閉じることができる。
【0041】
また、本例のガイド部材は、図3に示したように、ほぼ円錐台形に形成されているが、これ以外の適宜な形態に形成することもできる。また、各ガイド部材の最大外径寸法を、軸受の外径寸法と同等か、又はこれより若干小さめに設定することによって、軸受を容易に筒状体内に入れることができる。
【0042】
また、図3に示すように、軸受102Yは、カートリッジケース41Yに圧入によって組み付けられているが、ガイド部材111Yがその軸受102Yを保持するストッパとしての働きをなすので、軸受102Yをカートリッジケース41Yに圧入する力を弱めることができる。このように、ガイド部材は、軸受がカートリッジケースから外れることを阻止するストッパを兼ねることにより、軸受とカートリッジケースとの組み付けを容易に行うことが可能となると共に、カートリッジケースに対する軸受の位置精度を高めることができる。
【0043】
上述した位置決め部とガイド部材に関する構成は、プロセスカートリッジが1つ設けられた画像形成装置にも適用できるが、複数のプロセスカートリッジが設けられた画像形成装置に特に有利に適用できる。複数のプロセスカートリッジを容易に位置決めできるからである。
【0044】
また、図1に示した画像形成装置においては、画像形成装置本体1内の上部の位置に、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色のトナーを収容したトナーボトル37Y,37C,37M,37BKが、画像形成装置本体1に対して着脱可能に装着され、その各トナーボトル37Y乃至37BKから、その各色のトナーが図示していない搬送路を通して、各現像装置9Y,9C,9M,9BKにそれぞれ補給される。すなわち、図2に示すように、現像ケース10Yの上壁には、ドーム上に形成されたトナー案内部材77Yが固定され、トナーボトル37Yからこのトナー案内部材77Yに、図示していないトナー搬送パイプを介してイエロートナーが供給され、そのトナーが現像ケース10Yの上壁に形成されたトナー補給口62Yを通して現像ケース10Yの奥側の部分に補給される。補給されたトナーは、搬送スクリュー33Yによって紙面奥側から手前側に搬送され、次いで搬送スクリュー32Yによって紙面手前から奥側に向けて搬送される。このとき、そのトナーがキャリアと撹拌され、トナーとキャリアが所定の極性にそれぞれ摩擦帯電される。他の現像装置9C,9M,9BKも同じく構成されている。このように、プロセスカートリッジが、像担持体にトナー像を形成する現像装置を有していると共に、そのプロセスカートリッジとは別個に、トナーボトルが画像形成装置本体に着脱可能に装着され、そのトナーボトル内のトナーを現像装置に搬送して該トナーを使用するように構成されていると、トナーボトルをプロセスカートリッジとは関係なく、単独で交換することができ、画像形成装置のメンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】画像形成装置の一例を示す断面図である。
【図2】像担持体と、そのまわりに設けられた作像装置の拡大断面図である。
【図3】プロセスカートリッジの部分断面図である。
【図4】画像形成装置本体にプロセスカートリッジがセットされているときの図である。
【図5】図4と同じ状態を示す斜視図である。
【図6】面板を閉じたときの様子を示す斜視図である。
【図7】画像形成装置本体からプロセスカートリッジを取り出したときの画像形成装置本体の様子を示す図である。
【図8】プロセスカートリッジの外観斜視図である。
【図9】プロセスカートリッジの外観斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置本体
2Y,2C,2M,2BK 像担持体
9Y,9C,9M,9BK 現像装置
37Y,37C,37M,37BK トナーボトル
40Y,40C,40M,40BK プロセスカートリッジ
41Y,41C,41M,41BK カートリッジケース
10Y,100C,100M,100BK 支軸
102Y 軸受
105 面板
108Y,108C,108M,108BK 位置決め部
111Y,111C,111M,111BK ガイド部材
112Y,113Y 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される像担持体と、該像担持体を固定支持する支軸と、該支軸を軸受を介して回転可能に支持するカートリッジケースとを具備し、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジが画像形成装置本体にセットされた状態で、画像形成装置本体側の面板を閉じるとき、該面板に設けられた位置決め部に前記軸受が入り込むように、該軸受を案内するガイド部材を、前記支軸に設けたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記軸受が前記カートリッジケースから外れることを阻止するストッパを兼ねている請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記支軸に嵌合していると共に、前記軸受とは反対側の端部から、軸受側の端部に向けて漸次直径が大きく形成されている請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のプロセスカートリッジを具備する画像形成装置。
【請求項5】
複数のプロセスカートリッジが設けられている請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスカートリッジが、像担持体にトナー像を形成する現像装置を有していると共に、プロセスカートリッジとは別個に、トナーボトルが画像形成装置本体に着脱可能に装着され、該トナーボトル内のトナーを前記現像装置に搬送して該トナーを使用する請求項4又は5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−11112(P2006−11112A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189247(P2004−189247)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】