説明

プロセスライン駆動モータの非常停止方法および装置

【課題】帯板を連続的に通板・処理する、複数のライン駆動モータ及びドライブ装置を有するプロセスラインを対象に、各ライン駆動モータの速度指令を決定し設備の全体または一部の通板制御および張力制御を司る制御装置に故障が発生した場合に、プロセスライン全体又は一部のライン駆動モータを安全に停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止方法および装置を提供することを課題とする。
【解決手段】各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止工程Aとともに、速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止工程Bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯板を連続的に通板・処理する、複数のライン駆動モータ及びドライブ装置を有するプロセスラインを対象に、各ライン駆動モータの速度指令を決定し設備の全体または一部の通板制御および張力制御を司る制御装置に故障が発生した場合に、プロセスライン全体又は一部のライン駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のライン駆動モータ及びドライブ装置を有する帯板プロセスラインにおいては、ライン駆動モータを含む設備全体を非常停止させなければならない場合が生ずる。この非常停止の要因および停止方法としては、設備を早く停止させる目的で行なう運転室や機側などに設けた非常停止ボタンの操作による場合と、なんらかの設備異常発生を検知して自動的にライン駆動モータを含む設備全体を非常停止させる場合の2通りがある。
【0003】
前述した2通りの非常停止方法にしてもライン駆動モータを停止させる制御回路は共通であり、いずれからの非常停止でも同様な設備停止が行なわれる。そして、非常停止時のライン駆動モータの停止方法としては、電源遮断による場合と個別のドライブ装置内で制御停止する方法があるものの、近年のプロセスラインにおけるライン駆動モータは可変速の速度制御が行なわれており、後者の場合がほとんどである。
【0004】
これまでに、帯板の生産設備で、駆動モータを有する設備の非常停止方法として、特許文献1に開示された技術がある。この技術は、連続圧延ミルの複数基存在するスタンドのうちいずれかの駆動装置に設備トラブルが発生した場合の非常停止方法に関するものであり、設備トラブルの発生した圧延スタンドの動力電源を遮断するとともに、該動力電源を遮断した圧延スタンドの減速率に追従させて、他の圧延スタンドの減速率を制御することを特徴とする(図4および5参照)。
【特許文献1】特開2003−205305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、設備トラブルの発生した圧延スタンドの減速率に追従させて、他の圧延スタンドの減速率を制御しようとするものであり、トラブルの発生した圧延スタンドの減速率が正確に測定でき、かつ他の圧延スタンドを正確に測定した減速率に確実に制御できるということが前提である。すなわち、これらすべての圧延スタンドでの速度検出機能が正常でなければならないという問題がある。
【0006】
また、特許文献1に開示の技術は、連続圧延ミルに複数基存在するスタンドの駆動装置、いわゆる主機を対象にした技術であり、トラブルが発生した主機の減速率にあわせて帯板プロセスラインにある他の補機(例えば、図3に示す焼鈍炉にある多数の駆動ロール用のモータなど、図の説明は後述)全部の減速率を制御する、または逆にある補機のトラブルにあわせて他の補機および主機全部の減速率を制御することは、設備的に考えても、操業的に考えても適当でない。
【0007】
非常停止要因が発生してライン駆動モータを含む設備全体を停止させる場合には、ドライブ装置毎にそのドライブ装置が持つ最大能力を使って駆動モータを停止する、もしくは、あらかじめ定められた最大レートで各ライン駆動モータを停止させることになるが、この非常停止を行なうと各駆動モータは互いの協調をとらずに個別に停止することから、帯板の過張力破断、張力ロストによる蛇行破断、絞り込み、および帯板の溜まりこみ(早く停止した駆動ロールの手前に停止が遅れた駆動ロールから帯板が送り込まれて帯板がだぶりこむ現象)といったトラブルが発生し、処理する帯板だけでなく生産設備そのものにダメージを与える場合も少なくなかった。特に、焼鈍炉を有するプロセスラインでは、復旧に長時間を要するなど生産への影響が大きい。
【0008】
非常停止ボタンの操作による場合は設備を可能な限り早く停止させることが目的で行われることから、ある程度の生産物被害および設備ダメージは容認されるべきものである。しかしながら、各ライン駆動モータの速度指令を決定し設備の全体または一部の通板制御および張力制御を司る制御装置に故障が発生した場合にも、非常停止ボタンの操作と同様の非常停止を行なうことには疑問の余地があった。
【0009】
本発明は、これら従来技術の問題点に鑑み、帯板を連続的に通板・処理する、複数のライン駆動モータ及びドライブ装置を有するプロセスラインを対象に、各ライン駆動モータの速度指令を決定し設備の全体または一部の通板制御および張力制御を司る制御装置に故障が発生した場合に、プロセスライン全体又は一部のライン駆動モータを安全に停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止方法であって、各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止工程Aとともに、速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止工程Bを有することを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止方法である。
【0011】
また本発明の請求項2に係る発明は、複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止方法であって、各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止工程Aとともに、速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの間の非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限範囲を通常運転中のトルクリミット制限範囲とは別に設け、該非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限を行いながら停止する非常停止工程Cを有するか、または、該非常停止工程Cと、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止工程Bとの両方を有するかのいずれかであることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止方法である。
【0012】
また本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のプロセスライン駆動モータの非常停止方法において、前記プロセスラインは、焼鈍炉を有するプロセスラインであることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止方法である。
【0013】
また本発明の請求項4に係る発明は、複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止装置であって、各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止手段Aとともに、速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止手段Bを備えることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止装置である。
【0014】
さらに本発明の請求項5に係る発明は、複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止装置であって、各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止手段Aとともに、速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止となってからゼロ速度となって停止するまでの間の非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限範囲を通常運転中のトルクリミット制限範囲とは別に設け、該非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限を行いながら停止する非常停止手段Cを有するか、または、該非常停止手段Cと、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止手段Bとの両方を有するかのいずれかであることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止工程Aとともに、速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止工程Bを有するようにしたので、速度指令を司る制御装置が故障した状態であっても各駆動モータが協調して停止するようになり、帯板の過張力破断、張力ロストによる蛇行破断、絞り込み、および帯板の溜まりこみを発生することなく、また生産設備へダメージを与えることなく設備を停止させることができるようになった(請求項1、3、4)。
【0016】
また、本発明では、各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止工程Aとともに、速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止となってからゼロ速度となって停止するまでの間の非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限範囲を通常運転中のトルクリミット制限範囲とは別に設け、該非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限を行いながら停止する非常停止工程Cを有するか、または、該非常停止工程Cと、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止工程Bとの両方を有するかのいずれかであるようにしたので、速度指令を司る制御装置が故障した場合であっても各駆動モータが無理にがんばることなく通常よりもトルクを制限した状態で停止するようになり、帯板の過張力破断、張力ロストによる蛇行破断、絞り込み、および帯板の溜まりこみを発生することなく、また生産設備へダメージを与えることなく設備を停止させることができるようになった(請求項2、3、5)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプロセスライン駆動モータの非常停止方法および装置を説明する。
【0018】
図3は、本発明に係るプロセスライン駆動モータの非常停止装置およびプロセスライン駆動モータの一例を示す図である。焼鈍炉を中心にした帯板プロセスラインの例であり、図中、1はルーパー、2はブライドルロール、3は焼鈍炉、4は駆動モータ、5はドライブ装置、6は非常停止手段A、7は非常停止手段B、8は非常停止手段C、9は非常停止装置、および10は制御装置をそれぞれ表す。
【0019】
帯板を連続的に通板・処理する、駆動モータ4及びドライブ装置5が、連続焼鈍する焼鈍炉3、およびこの焼鈍炉3の入出に設置したブライドルロール2などに多数設けられている。また、制御装置10は、各ライン駆動モータの速度指令を決定し設備の全体または一部の通板制御および張力制御を司っている。そして、各ドライブ装置5に設置した非常停止装置9は、非常停止手段A6、非常停止手段B7および非常停止手段C8で構成される。非常停止手段A6は、各ドライブ装置5にあらかじめ設定した非常停止減速レートで各駆動モータ4を停止する。さらに、非常停止手段B7は、制御装置10に故障が発生した場合に、故障が発生し非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする減速レートで各駆動モータ4を停止する。さらに、非常停止手段C8は、制御装置10に故障が発生した場合に、通常運転中とは異なるより範囲を狭めたトルクリミット制限を行いながら各駆動モータ4を停止する。
【0020】
制御装置10がライン全体の帯板速度を制御するにあたっては、各々のドライブ装置5に対して必要な速度を算出・指令し、各ドライブ装置は速度指令装置からの速度指令(0〜100%速度指令)に基づき該モータが指令速度となるよう駆動・制御するが、複数のライン駆動モータを有する設備の制御装置では、駆動モータから駆動ロール間の減速機減速比や、駆動ロールの径、各ドライブ装置および駆動モータ固有の仕様の違いなどから、各々のドライブ装置で異なった速度指令のレンジ定義を有している。
【0021】
つまり、設備全体が同一速度で運転されている場合であっても、制御装置10から各々のドライブ装置5への指令速度は同一値ではない。一例を挙げると、あるドライブ装置は80%指令速度で運転、また別のドライブ装置では50%速度指令で運転、さらに別のドライブ装置では66%速度指令値で運転することによって、ライン全体として同一速度にて帯板送りが行なわれるといった具合である。
【0022】
図1は、本発明に係るプロセスライン駆動モータの非常停止方法を説明するタイムチャートである。図1(a)にそれぞれ個別に停止減速レートを設定する従来方法(非常停止手段A)、図1(b)に非常停止となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止方法(非常停止手段B)でのタイムチャートをそれぞれ模式的に示している。
【0023】
従来方法では、非常停止時は非常停止ボタンの操作による場合でも設備異常に起因する場合であっても、あらかじめドライブ装置内に設定した最大減速レート(α秒/0〜100%速度)にてドライブ装置毎に停止制御が行なわれる。例えば、最大減速レート10秒/0〜100%速度で設定されたドライブ装置が100%速度で運転している際に非常停止要因が発生したとすると10秒後に該当モータが停止し、50%速度で運転している他のドライブ装置(最大減速レート設定は同一とする)は5秒後に該当駆動モータを停止することとなり、同じライン内の駆動モータが協調することなく各々のドライブ装置の最大レートにて停止制御が行なわれる結果、図1(a)に示すように停止のタイミングがずれて、帯板の破断及び溜まりこみを誘発する結果となる。
【0024】
これに比較して本発明の方法によれば、制御装置の異常に起因する非常停止の場合は、各ドライブ装置が制御装置の異常を検出した時点から一定時間にて停止制御が行なわれることとなり、どのような速度指令で運転しているドライブ装置も同一タイミングで停止するようになる。この結果、各駆動モータは、制御装置の異常を検出した時点から停止するまで、ほぼ協調して停止するので、帯板の破断や溜まりこみせずに設備を停止させることができる。
【0025】
なお、この制御装置の異常を検出した時点から停止させるまでの停止時間設定は、ドライブ装置の最大減速レート(α秒/0〜100%速度)と同一の値とすることが適当である。この設定では、設備が停止するまでに要する時間は長くなるが、速度指令装置故障の場合は最大速度で設備を停止させる必要はないことから何ら問題はない。また、各ドライブ装置に対して制御装置が異常となった場合の停止時間を同一値として設定しておかなければならないことはいうまでもない。
【0026】
図2は、本発明に係る他のプロセスライン駆動モータの非常停止方法を説明するタイムチャートである。図2(a)には非常停止中のトルクリミット範囲を通常運転中と別に設ける非常停止手段Cを適用した場合と従来方法との対比を、図2(b)には前述した非常停止となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止方法(非常停止手段B)に加えて非常停止手段Cを適用した場合と非常停止手段Bのみとの対比のタイムチャートをそれぞれ模式的に示している。
【0027】
(a)(b)ともに、駆動モータ1は、あらかじめ設定した非常停止中のトルクリミット制限範囲内、すなわちトルクリミット制限がかからないで速度制御が行われた結果、従来方法での指令速度通りに実績速度(非常停止手段C適用)が制御された例である。一方、駆動モータ2は、非常停止中のトルクリミット制限範囲のうち下限側トルク制限によってトルクが規定値以下にならないように制限され、結果として指令速度よりも減速が遅れた例である。モータ3は、非常停止中のトルクリミット制限範囲のうち上限側トルク制限によってトルクが規定値以上にならないように制限され、結果として指令速度よりも減速が早く行われた例である。モータ4は、停止中の一部で、非常停止中のトルクリミット制限範囲のうち上限側トルク制限によってトルクが規定値以上にならないように制限され、結果として指令速度よりも減速が早く行われた例である。
【0028】
ここで、上限側のトルクリミットで制限される状態とは、該モータが予定とする指令速度よりも実績速度が遅くなりがちな状態であり、該駆動モータを停止させるに際して鋼板で繋がっている他の駆動モータやロールに引きずられて予定よりも速度が垂下していることを示しており、このような状態下では該モータの発生トルクをさらに増加させて速度指令に追従させるよりも発生トルクに制限をかけて他の駆動モータと協調を取った方が鋼板の過張力やロスト張力を防止することができる。
【0029】
また、下限側のトルクリミットで制限される状態とは、該モータが予定とする指令速度よりも実績速度が速くなりがちな状態であり、該駆動モータを停止させるに際して鋼板で繋がっている他の駆動モータやロールに引っぱられて予定よりも速度が上昇していることを示しており、このような状態下では該モータの発生トルクをさらに減少させて速度指令に追従させるよりも発生トルクに制限をかけて他の駆動モータと協調を取った方が鋼板の過張力やロスト張力を防止することができる。
【0030】
なお、この非常停止中のトルクリミット制限範囲は、通常運転中のトルクリミット制限範囲よりも狭く設定すべきであり、通常停止時のプロセスの挙動をよく観察した上でそのプロセスに適切な設定値を決めることが重要である。
【0031】
非常停止の際は、速度指令を司る制御装置が行う各駆動モータ間の協調制御機能(鋼板張力制御、ロードバランス制御など)が停止し、プロセスの状態フィードバックを用いた補正機能が消失した状態となっており、非常停止要因が発生した時点で確定するあらかじめ定められた停止レートに則って各モータ駆動装置が個別にモータの速度制御を実施しているのみの状態となる。非常停止手段Bを適用した方法は、このような状況下で各駆動モータが他の駆動モータと最も揃速しやすい停止時の速度指令パターン生成方法を提供するものであり、非常停止手段Cを適用した方法は、非常停止中であっても時々刻々と変化するプロセスの状態に応じて設備の挙動がより鋼板の破断を発生し難い方向に働く仕組みを提供するものである。
【0032】
なお、本発明による非常停止手段Bと非常停止手段Cは併用する(図2(b))ことが非常停止時の鋼板の破断を防止するには最も有効であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るプロセスライン駆動モータの非常停止方法を説明するタイムチャートである。
【図2】本発明に係る他のプロセスライン駆動モータの非常停止方法を説明するタイムチャートである。
【図3】本発明に係るプロセスライン駆動モータの非常停止装置およびプロセスライン駆動モータの一例を示す図である。
【図4】特許文献1に開示された非常停止方法を説明するタイムチャートである。
【図5】特許文献1に開示された連続圧延ミルの設備と制御系を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ルーパー
2 ブライドルロール
3 焼鈍炉
4 駆動モータ
5 ドライブ装置
6 非常停止手段A
7 非常停止手段B
8 非常停止手段C
9 非常停止装置
10 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止方法であって、
各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止工程Aとともに、
速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止工程Bを有することを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止方法。
【請求項2】
複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止方法であって、
各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止工程Aとともに、
速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの間の非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限範囲を通常運転中のトルクリミット制限範囲とは別に設け、該非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限を行いながら停止する非常停止工程Cを有するか、または、該非常停止工程Cと、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止工程Bとの両方を有するかのいずれかであることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロセスライン駆動モータの非常停止方法において、
前記プロセスラインは、焼鈍炉を有するプロセスラインであることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止方法。
【請求項4】
複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止装置であって、
各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止手段Aとともに、
速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止手段Bを備えることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止装置。
【請求項5】
複数の駆動モータ及びドライブ装置を有し、帯板を連続的に通板・処理するプロセスラインのプロセスライン全体又は一部の駆動モータを非常停止させるプロセスライン駆動モータの非常停止装置であって、
各ドライブ装置にあらかじめそれぞれ個別に設定した非常停止減速レートで停止する非常停止手段Aとともに、
速度指令を司る制御装置に故障が発生した場合に、非常停止となってからゼロ速度となって停止するまでの間の非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限範囲を通常運転中のトルクリミット制限範囲とは別に設け、該非常停止時にのみ有効なトルクリミット制限を行いながら停止する非常停止手段Cを有するか、または、該非常停止手段Cと、非常停止状態となってからゼロ速度となって停止するまでの時間を一定とする非常停止減速レートで停止する非常停止手段Bとの両方を有するかのいずれかであることを特徴とするプロセスライン駆動モータの非常停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−74165(P2009−74165A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145226(P2008−145226)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】