説明

プロテアーゼ阻害剤として化合物の調製およびその使用

式(I)


式中、Xは−C(R)−であり;Yは−N(R)−であり;Zは−C(=N−R’)−であり;そしてR、R、RおよびRは、明細書に規定する通りである化合物、その立体異性体、互変異性体、薬学的に許容しうる塩または溶媒和物、および式Iの化合物を含む薬学的組成物を開示する。また、アスパルチルプロテアーゼを阻害する方法、特に、循環器疾患、認知性および神経変性疾患を処置する方法およびヒト免疫不全ウィルス、プラスメプシン、カテプシンDおよび原虫酵素を阻害する方法を開示する。式Iの化合物を、コリンエステラーゼ阻害剤またはムスカリン拮抗剤と組合わせて使用することにより、認知性疾患または神経変性疾患を処置する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アスパルチルプロテアーゼ阻害剤として作用するヘテロ環化合物、これらの製造、これらの化合物を含む薬学的組成物、循環器疾患、認知性および神経変性疾患の処置におけるこれらの使用、およびヒト免疫不全ウィルス、プラスメプシン、カテプシンDおよび原虫酵素の阻害剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
現在まで、ペプシンAおよびC、レニン、BACE、BACE2、ナプシンAおよびカテプシンDを始めとする、数多くのアスパラギン酸プロテアーゼが知られ、これらは病的な状態に関与している。
【0003】
血圧および体液電解質の調節におけるレニン−アンギオテンシン系(RAS)の役割は、確立されている(非特許文献1)。強力な血管収縮因子かつ副腎アルドステロンの放出促進因子であるオクタペプチドアンギオテンシンIIは、前駆体デカペプチドアンギオテンシンIから調製され、後者は、レニン酵素によってアンジオテンシノーゲンから調製された。また、アンギオテンシンIIは、血管平滑筋細胞成長、炎症、活性酸素種の産生および血栓においてある役割を担い、アテローム形成および血管障害に影響することが発見された。臨床的には、アンギオテンシンIの変換の拮抗作用によるアンギオテンシンIIの産生を妨害する効果がよく知られ、数多くのACE阻害薬が市場に出回っている。アンジオテンシノーゲンのアンギオテンシンIへの早期の変換の遮断、すなわち、レニン酵素の阻害は、類似のしかし同一ではない効果を有することが期待される。レニンは、その唯一の天然基質がアンジオテンシノーゲンであるアスパルチルプロテアーゼであるので、アンギオテンシンIIにより調節される、高血圧および関連症状をアンギオテンシンIIの阻害を介して抑制することは、副作用の頻度がより少ないと考えられている。
【0004】
別のプロテアーゼであるカテプシン−Dは、リソソーム性生物発生およびタンパク質のターゲティングに関与し、また、抗原プロセッシングおよびペプチドフラグメントの提示にも関与し得る。それは、アルツハイマー病、結合組織疾患、筋ジストロフィーおよび乳癌を含む数多くの疾患に関連している。
【0005】
アルツハイマー病(AD)は、最終的に死に至る進行性の神経変性疾患である。疾患の進行過程は、記憶、理性、見当識および判断に関連する認知性機能が徐々に失われていくことを伴う。錯乱、うつ状態および攻撃性を含む行動の変化も疾患が進行するにつれて現れる。認知性および行動の機能不全は、海馬および大脳皮質中の変化した神経細胞機能および神経細胞の欠損の結果であると考えられる。現在利用可能なAD処置は対症的であり、認知性および行動障害を軽減するが、疾患の進行を防止するものではない。したがって、疾患の進行を停止するAD処置において、未達成の医学的欠乏がある。
【0006】
ADの病理学的に顕著な特徴は、細胞外β−アミロイド(Aβ)プラークおよび異常にリン酸化されたタウタンパク質で構成された細胞内神経原線維変化の蓄積である。ADを患う個々人は、記憶および認知において重要であることが知られている脳領域内に、特徴的なAβ蓄積を示す。Aβは、神経細胞の喪失および認知性および行動の衰退を伴う機能障害の基本的な原因物質であると考えられる。アミロイドプラークは、主に、40〜42個のアミノ酸残基で構成されるAβペプチドからなり、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセッシングから誘導される。APPは、複数の異なるプロテアーゼ活性によってプロセッシングされる。Aβペプチドは、AβのN末端に対応する位置でのβ−セクレターゼおよびC末端でのγ−セクレターゼ活性によって、APPが切断されることによって生じる。またAPPは、α−セクレターゼ活性によっても切断され、溶解性APPとして知られる、分泌された非アミロイド形成性フラグメントとなる。
【0007】
BACE−1として知られるアスパルチルプロテアーゼは、AβペプチドのN末端に対応する位置でのAPPの切断を生じるβ−セクレターゼ活性として同定されてきた。
【0008】
蓄積されている生化学的および遺伝学的証拠は、ADの原因論において、Aβが中心的な役割を担うことを支持している。たとえば、Aβは、インビトロおよびげっ歯類の脳に注射した場合、神経細胞に毒性があることが示されている。さらに、遺伝的に受け継がれた形態の早期発症型のADには、APPまたはプレセニリンの、明確に規定された突然変異が存在することが公知である。これらの突然変異は、Aβの産生を促進し、ADの原因であると考えられる。
【0009】
Aβペプチドは、結果として、β−セクレターゼ活性を作り出すので、BACE−1の阻害は、Aβペプチドの形成を阻害することになる。したがって、BACE−1の阻害は、AD、ならびにAβプラーク蓄積によって引き起こされる他の認知性疾患および神経変性疾患の処置に対する治療的アプローチである。
【0010】
ヒト免疫不全ウィルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質である。従来、研究者の主な標的は、HIV−1プロテアーゼ、レニンに関連するアスパルチルプロテアーゼであった。HIVアスパルチルプロテアーゼの阻害剤である、インジナビル、リトナビルおよびサキナビルのような化合物は、ウィルス量を低減する結果となることが臨床的に実証されてきた。このように、本明細書で記載した化合物は、AIDSの処置に有用であることが期待される。
【0011】
さらに、ヒトT細胞白血病ウィルスI型(HTLV−I)は、成人T細胞白血病および他の慢性疾患と臨床的に関連するヒトレトロウィルスである。他のレトロウィルスのように、HTLV−Iは、成熟ビリオンを生成するウィルス前駆体タンパク質をプロセッシングするために、アスパルチルプロテアーゼを必要とする。これによって、プロテアーゼは、阻害剤設計のための魅力的な標的になる(非特許文献2)。
【0012】
プラスメプシンは、マラリア原虫の必須アスパルチルプロテアーゼ酵素である。アスパルチルプロテアーゼプラスメプシン、特に、I、II、IVおよびHAPを阻害する化合物は、マラリアの処置のために開発される(Freireらの特許文献1、非特許文献3)。さらに、アスパルチルプロテアーゼプラスメプシン(たとえば、I、II、IVおよびHAP)を標的とするために使用される化合物は、マラリア原虫を殺すために使用され、これによってマラリアに悩まされている患者を処置してきた。ある化合物は、カテプシンDに対する阻害活性も示す。
【0013】
アスパルチルプロテアーゼ阻害剤として作用する化合物は、たとえば、2004年12月13日出願された米国特許出願第11/010,772号明細書に記載され、これは参照として本明細書中に援用される。
【0014】
特許文献2(参照として本明細書中に援用される)には、キナゾリン−2−(チ)オン核を有する化合物が記載されている。この文献では、ここに記載された化合物はHIV逆トランスクリプターゼの阻害剤であると主張する。
【0015】
特許文献3(参照として本明細書中に援用される)は、ジフェニルイミダゾピリミジン類または−イミダゾールアミン類が記載され、これらは、患者のβ−アミロイド蓄積またはβ−アミロイドレベルの上昇を特徴とする疾患または障害の治療的処置、疾患または障害の予防または改善に有用であると言われる。この公報に記載されている疾患状態としては、アルツハイマー病、軽度の認知障害、ダウン症候群、ダッチ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド血管症および変性痴呆が挙げられている。
【0016】
特許文献4(参照として本明細書中に援用される)には、アミノ−5,5−ジフェニルイミダゾロン類が記載され、これらは、患者のβ−アミロイド蓄積またはβ−アミロイドレベルの上昇を特徴とする疾患または障害の治療的処置、疾患または障害の予防または改善に有用であると言われている。この公報に記載されている疾患状態として、アルツハイマー病、軽度の認知障害、ダウン症候群、ダッチ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド血管症および変性痴呆が挙げられる。
【0017】
アルツハイマー病の処置に有用な化合物が開示されている他の公報として、β−セクレターゼの阻害剤と言われるスピロピペリジン化合物類を開示する特許文献5、およびAβ関連疾患の処置または予防に有用と言われる置換アミノ化合物類を開示する特許文献6が挙げられる。これらの公報は両方とも参照として本明細書中に援用される。
【特許文献1】国際公開第2002074719号パンフレット
【特許文献2】国際公開第9304047号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0282826号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0282825号明細書
【特許文献5】国際公開第2006/044492号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/041404号パンフレット
【非特許文献1】Oparil,Sら、N Engl J Med 1974;291:381−401/446−57
【非特許文献2】Mooreら、Purification of HTLV−1 Protease and Synthesis of Inhibitors for the treatment of HTLV−1 Infection 55th Southeast Regional Meeting of the American Chemical Society,Atlanta,GA,US November 16−19,2003(2003),1073.CODEN;69EUCH Conference,AN2004:137641 CAPLUS
【非特許文献3】Na Byoung−Kukら、Aspartic proteases of Plasmodium vivax are highly conserved wild isolates,Korean Journal of Prasitology(2004年6月),42(2)61−6.Journal code:9435800
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の要旨
本発明は、構造式I
【0019】
【化9】

を有する化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容しうる塩、溶媒和物に関する。
式中、
Xは−C(R)−であり;
Yは−N(R)−であり;
Zは−C(=N−R5’)−であり:そして必要に応じて、
(i)RおよびRは、一緒に結合して、O、S、Nおよび−N(R)−から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、3〜7員ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルまたはヘテロアリール環を形成し得、ここでこれらの環は必要に応じて、独立して選択される1〜5個のR14部分で置換され、そして/または、これらの環がヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルの場合、オキソによって置換される;または
(ii)RおよびRは、一緒に結合して、O、S、Nまたは−N(R)−から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜7員シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロサイクルアルケニル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し得、ここでこれらの環は必要に応じて、独立して選択される1〜5個のR14部分で置換され、そして/または、これらの環がシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルの場合、オキソによって置換される;あるいは
ここで、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、−OR15、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)または−S(O)N(R11)(R12)である;
およびRは、独立して、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、−OR15、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−NO、−N=C(Rおよび−N(Rからなる群から選択され、ただし、両方が、−NO、−N=C(Rおよび−N(Rからなる群から選択されることはない;
または必要に応じてRおよびRは、一緒になって、0〜4個の、好ましくは0〜2個のO、S、Nおよび−N(R)−から独立して選択されるヘテロ原子を有する、3〜7員シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニル環を形成し、ここでこれらの環は必要に応じて、独立して選択される1〜5個のR14部分および/またはオキソによって置換される;
およびR5’は、各存在において独立して、H、OH、−NHR、−O−アルキル、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたは−CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、ハロ、−CH−O−Si(R)(R10)(R19)、−SH、−CN、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R11)(R12)、−SR19、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−N(R11)C(O)R、−N(R11)S(O)R10、−N(R11)C(O)N(R12)(R13)、−N(R11)C(O)ORおよび−C(=NOH)Rからなる群から選択され;
あるいは、必要に応じて、
(i)RおよびRは、それらが結合する炭素と一緒になって、a)必要に応じて1〜5個のR14部分によって置換される、3〜7員シクロアルキル環または(b)必要に応じて1〜5個のR14部分によって置換される、1個の酸素原子を有する3〜7員シクロアルキルエーテル基を形成し;または
(ii)RおよびRは、それらが結合する炭素と一緒になって、以下の多環基:
【0020】
【化10】

のうちの1つを形成し、
式中、Mは、独立して、−(CH)−、−S−、−N(R19)−、−O−、−S(O)−、−S(O)−または−C(O)−であり;
qは、0、1または2であり;
AおよびBは、独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクリルであり;
Eは、アリールまたはヘテロアリールであり;そして
Fは、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルである;
ただし、これらの環構造において、隣接する酸素原子および/または隣接するイオウ原子が存在することはなく;好ましくは、RおよびRは、これらが結合する炭素と一緒になって、以下の多環基:
【0021】
【化11】

のうちの1つを形成し;
式中、
Mは−CH−、−S−、−N(R19)−、−O−、−CH−CH−、−CH=CH−、−CH−S−、−CH−O−、−O−CH−、−S−CH−、−CH−N(R19)−または−N(R19)−CH−であり;
AおよびBは、独立して、アリールまたはヘテロアリールであり、
qは0または1である;
は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR15、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群から選択され;
は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され;
10は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび−N(R15)(R16)からなる群から選択され;
11、R12およびR13は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)および−CNからなる群から選択され;
14は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群から選択され;
15、R16およびR17は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、R18−アルキル、R18−シクロアルキル、R18−シクロアルキルアルキル、R18−ヘテロシクロアルキル、R18−ヘテロシクロアルキルアルキル、R18−アリール、R18−アリールアルキル、R18−ヘテロアリールおよびR18−ヘテロアリールアルキルからなる群から選択されるか;または
15、R16およびR17は、
【0022】
【化12】

であり;
式中、R23は、0〜5個の置換基を含み、mは0〜6であり、nは1〜5であり;
18は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、−NO、ハロ、ヘテロアリール、HO−アルキルオキシアルキル、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R19、−C(O)OH、−C(O)OR19、−C(O)NHR20、−C(O)NH、−C(O)NH−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR19、−S(O)20、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR19、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OCF、−OH、−OR20、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR20、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)−(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R20、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)20、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基であるか;または
隣接する炭素上の2個のR18部分は、一緒に結合して、
【0023】
【化13】

を形成し得る;
19は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり;
20は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ハロ置換アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
ここで、
i)R、R、RおよびR中のアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリールの各々、および
ii)R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14中のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニル基の各々は、
独立して、非置換であるか、またはアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−アルキル−C(O)OR15、C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−アルキル−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16、−CH−N(R15)C(O)OR16、−N、−NO、−S(O)R15および−S(O)15からなる群から独立して選択される1〜5個のR22基で置換され;
あるいは隣接する炭素上の2個のR21または2個のR22部分は、一緒に結合して、
【0024】
【化14】

を形成し得る;
そしてR21またはR22が、−C(=NOR15)R16、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16および−CH−N(R15)C(O)OR16からなる群から選択される場合は、R15およびR16は、一緒になって、必要に応じて1,2または3個の環炭素が−C(O)−または−N(H)−によって置き換えられ得るC〜C鎖であり得、そしてR15およびR16は、これらが結合する原子と一緒になって、必要に応じてR23で置換される5〜7員環を形成する;
23は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、−C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群から独立して選択される1〜5個の基であり;ここで、R23中のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニ基は、独立して、非置換であるか、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、アルキル−C(O)OR24、C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群から独立して選択される1〜5個のR27で置換される;
24、R25およびR26は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、R27−アルキル、R27−シクロアルキル、R27−シクロアルキルアルキル、R27−ヘテロシクロアルキル、R27−ヘテロシクロアルキルアルキル、R27−アリール、R27−アリールアルキル、R27−ヘテロアリールおよびR27−ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され;
27は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、−NO、ハロ、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R28、−C(O)OH、−C(O)OR28、−C(O)NHR29、−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR28、−S(O)29、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR28、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OH、−OR29、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR29、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R29、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)29、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基であり;
28は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり;および
29は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。
【0025】
別の局面では、本発明は、式Iの化合物の少なくとも1種および薬学的に許容しうるキャリアを含む薬学的組成物に関する。
【0026】
別の局面では、本発明は、アスパルチルプロテアーゼを阻害する方法を包含し、少なくとも1種の式Iの化合物を、そのような処置を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0027】
さらに具体的には、本発明は、高血圧、腎不全またはレニン阻害によって変調された疾患のような循環器疾患を処置する方法;ヒト免疫不全ウィルスを処置する方法;アルツハイマー病のような認知性疾患または神経変性疾患を処置する方法;マラリアの処置のためにプラスメプシンIおよびIIを阻害する方法;アルツハイマー病、乳癌、および卵巣がんの処置のためにカテプシンDを阻害する方法;および真菌感染症の治療のために原虫酵素を阻害する、たとえば、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falcipamum)の阻害を含む。この処置方法は、式Iの化合物の少なくとも1種を、そのような処置を必要とする患者へ投与する工程を包含する。特に、本発明は、アルツハイマー病を処置する方法を包含し、式Iの化合物の少なくとも1種を、そのような処置を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0028】
別の局面では、本発明は、アルツハイマー病を処置する方法を包含し、そのような処置を必要とする患者に、少なくとも1種の式Iの化合物と、コリンエステラーゼ阻害剤またはムスカリンm2拮抗剤またはm1ムスカリン作用薬のようなムスカリン受容体の調節剤とを組合わせて投与する工程を含むがこれらに限定されない。
【0029】
本発明の別の局面は、有効量の請求項1の化合物およびβセクレターゼ阻害剤;γセクレターゼ阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ阻害剤;非ステロイド系抗炎症剤;N−メチル−D−アスパラギン酸受容体拮抗剤;抗アミロイド抗体;ビタミンE;ニコチンアセチルコリン受容体作用薬;CB1受容体逆作用薬またはCB1受容体拮抗剤;抗生物質;成長ホルモン分泌促進剤;ヒスタミンH3拮抗剤;AMPA作用薬;PDE4阻害剤;GABA逆作用薬;アミロイド凝集の阻害剤;グリコーゲン合成キナーゼβ阻害剤;およびαセクレターゼ活性の促進剤からなる群から選択される少なくとも1種の第二の薬剤を含む薬学的組成物、ならびにこれらの化合物に関連する疾患状態を処置する方法である。
【0030】
最後の局面では、本発明は、組合わせて使用するための、単一包装中の分離した容器中に薬学的組成物を含むキットであって、1つの容器は、薬学的に許容しうるキャリア中に式Iの化合物を含み、第2の容器は、薬学的に許容しうるキャリア中にコリンエステラーゼ阻害剤またはムスカリン拮抗剤を含み、組合わせた量が、アルツハイマー病のような認知性疾患または神経変性疾患を処置するのに有効な量であるキットに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
詳細な説明
本明細書で使用される用語は通常の意味であり、それらの用語の意味は、それが記載されている箇所で独立している。しかし、他に記載がない限り、以下の定義が明細書および請求項全体を通して適用され、化学名、慣用名、および化学構造は、同じ構造を記載するために、相互互換的に使用されてもよい。これらの定義は、他に記載がない限り、用語が単独で使用されるか、または他の用語と組合わせて使用されるかに関わらず適用される。したがって、「アルキル」の定義は、「アルキル」、および「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルコキシ」などの「アルキル」部分に適用される。
【0032】
先に使用したように、および明細書全体で使用するように、以下の用語は、他に記載がない限り、以下の意味を有すると考えるべきである。
【0033】
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0034】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0035】
「アルキル」は、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分岐状であってもよく、約1〜約20個の炭素原子を鎖中に含む。鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル基が好ましい。鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含むアルキル基がさらに好ましい。分岐状は、1個以上の低級アルキル基、たとえば、メチル、エチルまたはプロピルが、直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、約1〜約6個の炭素原子を鎖中に有する基を意味し、これは、直鎖でも分岐状でもよい。適切なアルキル基の非限定的な例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、およびデシルが挙げられる。R32−置換アルキル基として、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0036】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、直鎖でも分岐状でもよく、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましく、さらに好ましくは、鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分岐状は、1個以上の低級アルキル基、たとえば、メチル、エチルまたはプロピルが、直鎖アルケニル鎖に結合されることを意味する。「低級アルケニル」は、鎖中の炭素原子が約2〜約6個であることを意味し、これは直鎖でも分岐状でもよい。適切なアルケニル基の非限定的な例として、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブテ−2−ニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0037】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、これは直鎖でも分岐状でもよく、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。鎖中に約2〜約12個の炭素原子を含むアルキニル基が好ましく、さらに好ましくは鎖中に約2〜約4個の炭素原子を含む。分岐状は、1個以上の低級アルキル基、たとえば、メチル、エチルまたはプロピルが直鎖アルキニル鎖に結合されることを意味する。「低級アルキニル」は、鎖中の炭素原子が約2〜約6個であることを意味し、これは直鎖でも分岐状でもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例として、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニルおよびデセニルが挙げられる。
【0038】
「アリール」は、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環構造を意味する。アリール基は、必要に応じて、1個以上の置換基(たとえば、R18、R21、R22など)で置換され得、これら置換基は同じであっても異なっていてもよく、これら置換基は、本明細書で規定されるとおりであるか、または隣接する炭素上の2個の置換基は、一緒に結合し、
【0039】
【化15】

を形成することもできる。適切なアリール基の非限定的な例として、フェニルおよびナチフルが挙げられる。
【0040】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む芳香族単環式または多環式環構造を意味し、この構造中の1〜4個の環原子は、単独または組合せて、炭素以外の原子、たとえば、窒素、酸素またはイオウである。約5〜約6個の環原子を含むヘテロアリールが好ましい。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1個以上のR21置換基で置換され得、この置換基は同じであっても異なっていてもよく、本明細書で規定する通りである。ヘテロアリールを基礎にした名前の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素またはイオウ原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−酸化物に酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例として、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0041】
「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む非芳香族単環または多環式環構造を意味する。約5〜約7個の環原子を含むシクロアルキル環が好ましい。シクロアルキルは、必要に応じて、1個以上のR21置換基で置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、先に規定する通りである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例として、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。さらに、シクロアルキルの非限定的な例として、以下のものが挙げられる。
【0042】
【化16】

「シクロアルキルエーテル」は、1個の酸素原子および2〜7個の炭素原子とを含む3〜7員非芳香族環を意味する。環炭素原子は置換され得るが、環酸素に隣接する置換基は、ハロも酸素、窒素またはイオウ原子を介して環に結合する置換基も含まない。
【0043】
「シクロアルケニル」は、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む非芳香族単環式または多環式環構造であって、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む環構造を意味する。シクロアルケニル環は、必要に応じて、1個以上のR21置換基で置換され得、これら置換基は、同じであっても異なっていてもよく、先に規定する通りである。約5〜約7個の環原子を含むシクロアルケニル環が好ましい。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例として、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例として、ノルボルニレニルが挙げられる。
【0044】
「ヘテロシクレニル」(または「ヘテロシクロアルケニル」)は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む非芳香族単環式または多環式環構造を意味し、これら環構造中の1個以上の原子は、単独であるいは組合わせて、炭素以外の元素、たとえば、窒素、酸素またはイオウ原子であり、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む。これら環構造中には、隣接する酸素および/またはイオウ原子が隣接して存在することはない。約5〜約6個の環原子を含むヘテロシクレニル環が好ましい。ヘテロシクレニルを基礎にした名前の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素またはイオウ原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルは、必要に応じて、1個以上の環構造置換基によって置換され得る。ここで、「環構造置換基」は、先に規定する通りである。ヘテロシクレニルの窒素またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−酸化物、S−酸化物またはS,S−二酸化物に酸化され得る。適切な単環式アザヘテロシクレニル基の非限定的な例として、1,2,3,4−テトラヒドロピリジル、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニルなどが挙げられる。適切なオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例として、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適切な多環式オキサヘテロシクレニル基の非限定的な例として、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニルが挙げられる。適切な単環式チアヘテロシクレニル環の非限定的な例として、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0045】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、さらに好ましくはフルオロおよびクロロである。
【0046】
「ハロアルキル」は、先に規定したアルキルであって、このアルキル上の1個以上の水素原子が先に規定されたハロ基で置き換わったアルキルを意味する。
【0047】
「ヘテロシクリル」(またはヘテロシクロアルキル)は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む非芳香族飽和単環式または多環式環構造であって、これら環構造中の1〜3個、好ましくは1または2個の原子は、単独でまたは組合わせて、炭素以外の元素、たとえば、窒素、酸素またはイオウである環構造を意味する。環構造中に隣接する酸素および/またはイオウ原子が存在することはない。約5〜約6個の環原子を含むヘテロシクリルが好ましい。ヘテロシクリルを基礎にした名前の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素またはイオウ原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、必要に応じて、1個以上のR21置換基で置換され得、これら置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書に規定する通りである。ヘテロシクリルの窒素またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−酸化物、S−酸化物またはS,S−二酸化物に酸化され得る。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例として、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0048】
「アリールアルキル」は、アリールおよびアルキルは先に記載された通りであるアリールアルキル基を意味する。低級アルキル基を含むアラルキルが好ましい。適切なアラルキル基の非限定的な例として、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。これはアルキルを介して、親部分へ結合する。
【0049】
「アリールシクロアルキル」は、本明細書で規定するような、縮合アリールおよびシクロアルキルから誘導される基を意味する。アリールがフェニルであり、シクロアルキルが約5〜約6個の環原子で構成されるアリールシクロアルキルが好ましい。アリールシクロアルキルは、必要に応じて、1〜5個のR21置換基で置換され得る。適切なアリールシクロアルキルの非限定的な例として、インダニルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナチフルなどが挙げられる。これは非芳香族炭素原子を介して、親部分に結合する。
【0050】
「アリールヘテロシクロアルキル」は、本明細書で規定するような、縮合アリールおよびヘテロシクロアルキルから誘導される基を意味する。アリールがフェニルであり、ヘテロシクロアルキルが約5〜約6個の環原子で構成されるアリールシクロアルキルが好ましい。アリールヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、1〜5個のR21置換基で置換され得る。適切なアリールヘテロシクロアルキルの非限定的な例として、
【0051】
【化17】

が挙げられる。
【0052】
親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介する。
【0053】
同様に、「ヘテロアリールアルキル」、「シクロアルキルアルキル」および「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、ヘテロアリール−、シクロアルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキル基を意味し、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびアルキルは先に記載された通りである。「アリールシクロアルキルアルキル」、「ヘテロアリールシクロアルキルアルキル」、「アリールヘテロシクロアルキルアルキル」、「ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル」、「ヘテロアリールシクロアルキル」、「ヘテロアリールヘテロシクロアルキル」、「アリールシクロアルケニル」、「ヘテロアリールシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「アリールヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル」、「シクロアルキルアリール」、「ヘテロシクロアルキルアリール」、「ヘテロシクロアルケニルアリール」、「ヘテロシクロアルキルヘテロアリール」、「シクロアルケニルアリール」および「ヘテロシクロアルケニルアリール」の用語も、同様に、先に記載したように、アリール−、シクロアルキル−、アルキル−、ヘテロアリール−、ヘテロシクロアルキル−、シクロアルケニル−およびヘテロシクロアルケニル−の基の組合せによって表されると理解される。低級アルキル基を含む基が好ましい。これらはアルキルを介して親部分に結合する。
【0054】
「アシル」は、H−C(O)−、アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、アリール−C(O)−またはシクロアルキルC(O)−基(これらの用語の種々の基は、先に記載した通りである)を意味する。これらはカルボニルを介して親部分に結合する。低級アルキルを含むアシルが好ましい。適切なアシル基の非限定的な例として、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0055】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基(ここで、アルキル基は先に記載する通りである)を意味する。適切なアルコキシ基の非限定的な例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。これは、エーテル酸素を介して親部分と結合する。
【0056】
「アルキルオキシアルキル」は、本明細書で規定する通りアルコキシおよびアルキルから誘導される基を意味する。これはアルキルを介して親部分に結合する。
【0057】
「アリールアルケニル」は、本明細書で規定する通りアリールおよびアルケニルから誘導される基を意味する。アリールがフェニルであり、アルケニルが約3〜約6個の原子で構成されるアリールアルケニルが好ましい。アリールアルケニルは、必要に応じて、1個以上のR27置換基で置換され得る。これは、非芳香族炭素原子を介して、親部分に結合する。
【0058】
「アリールアルキニル」は、本明細書で規定するアリールおよびアルケニルから誘導される基を意味する。アリールがフェニルであり、アルキニルが約3〜約6個の原子で構成されるアリールアルキニルが好ましい。アリールアルキニルは、必要に応じて、1個以上のR27置換基で置換され得る。これは、非芳香族炭素原子を介して親部分に結合する。
【0059】
アルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルなどの接尾辞「エン」は、2価部分であることを示し、たとえば、−CHCH−はエチレンであり、
【0060】
【化18】

はパラ−フェニレンである。
【0061】
用語「必要に応じて置換される」は、可能な位置(単数または複数)での特定の基(group)、基(radical)または部分による任意の置換を意味する。
【0062】
シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキル部分上の置換は、これらの基の環部分上および/またはアルキル部分上の置換を含む。
【0063】
1つの基の中に1つより多い可変部分が存在する場合、たとえば、−N(R中のR、または式Iの構造中に1つより多い可変部分が存在する場合、たとえば、R15は、RおよびRの両方に存在し得る場合、この可変部分は同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
化合物中のある部分(たとえば、置換基、基または環)の数に関して、他に規定がない限り、語句「1またはそれ以上」および「少なくとも1」は、化学的に容認される限り多くの部分がありえることを意味し、そのような部分の最高の数の決定は当業者の知識の範囲内である。「少なくとも1個の式Iの化合物」の使用を含む組成物および方法に関しては、1〜3個の式Iの化合物を一度に投与することができ、好ましくは1個である。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、および特定の成分の特定量の組合せから直接または間接的に得られる任意の生成物を含むものである。
【0066】
結合としての波線
【0067】
【化19】

は、一般的に、可能性のある異性体(たとえば(R)−および(S)−立体化学化合物を含む)の混合物またはどちらか一方を示す。たとえば、
【0068】
【化20】

は、
【0069】
【化21】

の両方を含むことを意味する。
【0070】
環構造の中へ引かれた線、たとえば、
【0071】
【化22】

で示された線(結合)は、置換され得る環炭素原子のどこに結合してもよいことを示す。
【0072】
「オキソ」は、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニル環中の環炭素に二重結合で結合する酸素原子と規定され、たとえば、
【0073】
【化23】

である。
【0074】
本明細書において、環構造中に複数の酸素および/またはイオウ原子がある場合、これら環構造中に、隣接する酸素および/またはイオウが存在することはない。
【0075】
全ての原子価の必要条件を満たす限り、式Iに関する炭素原子は、1〜3個のケイ素原子で置き換えられてもよいことを記載しておく。
【0076】
当該分野において周知であるように、結合の終端で、部分が示されていない、特定の原子から引かれている結合は、他に記載しない限り、この結合を介して原子に結合するメチル基を示す。たとえば、
【0077】
【化24】

を表す。
【0078】
本明細書の本文、スキーム、例示、構造式および任意の表において、原子価が足りないヘテロ原子はどれも、該原子価を満足するように、水素原子(単数または複数)有するものと考えるべきである。
【0079】
当業者は、式Iのある化合物は互変異性体であり、そのような互変異性体は全て、本発明の一部として、本明細書中に想定すると理解する。
【0080】
21およびR22が、たとえば、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)であり、かつR15およびR16が環を形成する場合、形成された部分は、たとえば、
【0081】
【化25】

である。
【0082】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も本明細書中に意図される。本明細書で使用される場合、用語「プロドラッグ」は、薬物前駆体である化合物を示し、被験体に投与された場合、代謝または化学過程によって化学的な変換が起こり、式Iの化合物またはその塩および/または溶媒和物となる。プロドラッグに関する検討は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)the A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編集,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに掲載され、これらは両方とも参照として本明細書に組み込まれる。
【0083】
たとえば、式(I)の化合物、またはこの化合物の薬学的に許容しうる塩、水和物あるいは溶媒和物がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、酸基の水素原子を、たとえば、(C−C)アルキル、(C−C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノールアクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(たとえば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C−C)アルキル、N,N−ジ(C−C)アルキルカルバモイル−(C−C2)アルキル、およびピペリジノ−、ピロリジノ−あるいはモルホリノ(C−C)アルキルなどの基で置き換えることによって形成されるエステルを含みうる。
【0084】
同様に、式(I)の化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、このアルコール基の水素原子を、たとえば、(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C−C)アルカニル、アリールアシル、およびα−アミノアシルあるいはα−アミノアシル−α−アミノアシル(各α−アミノアシル基は、独立して、天然起源のL−アミノ酸から選択される)、P(O)(OH)、−P(O)(O(C−C)アルキル)、またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール型のヒドロキシル基の脱離によって得られるラジカル)などの基によって置き換えることによって形成することができる。
【0085】
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合は、プロドラッグは、アミン基の水素原子を、たとえば、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキル、またはベンジルであり、あるいはR−カルボニルは、天然α−アミノアシルまたは天然α−アミノアシルである)、−C(OH)C(O)OY(ここで、YはH、(C−C)アルキルまたはベンジルである)、−C(OY)Y(ここで、Yは(C−C)アルキルであり、Yは(C−C)アルキル、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキル、またはモノ−N−あるいはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y)Y(ここで、YはHまたはメチルであり、Yは、モノ−N−またはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノモルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イルなどの基によって置き換えることによって形成することができる。
【0086】
式Iの化合物は、非溶媒和物および溶媒和物の形として存在してもよい。「溶媒和物」は、本発明の化合物と1個以上の溶媒分子との物理的な集合を意味する。この物理的な集合は、水素結合を含む様々な程度のイオン結合および共有結合を包含する。ある例では、たとえば、1個以上の溶剤分子が結晶質固体の結晶格子中に含まれている場合、溶媒和物は解離することができる。「溶媒和物」は、溶液相および分離可能な溶媒和物の両方を包含するものである。適切な溶媒和物の非限定的な例として、エタノラート、メタノラートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOの溶媒和物である。
【0087】
「有効量」または「治療的に有効量」は、アスパルチルプロテアーゼを阻害および/またはBACE−1阻害し、したがって、適切な患者において所望の治療効果を生じるのに効果的な、本発明の化合物または組成物の量を記載することを意味する。
【0088】
式Iの化合物は、これも本発明の範囲内である塩を形成する。ここで、他に記載がなければ、式Iの化合物への言及は、その塩への言及を含むものと理解される。本明細書で使用される用語「塩(類)」は、無機および/または有機酸と形成される酸塩、および無機および/または有機塩基と形成される塩基塩を示す。さらに、式Iの化合物が、ピリジンまたはイミダゾール(これらに限定されない)のような塩基部分およびカルボン酸(これらに限定されないが)のような酸部分の両方を含む場合、双性イオン(「分子内塩」)を形成してもよく、これは、本明細書で使用される用語「塩(類)」に含まれる。薬学的に許容しうる(すなわち、非毒性で生理学的に許容しうる)塩が好ましが、他の塩も有用である。式Iの化合物の塩類は、式Iの化合物を、当量のようなある量の酸または塩基と、塩が析出する溶媒のような溶媒中または水性溶媒中で反応させ、次いで凍結乾燥することによって形成してもよい。塩基性(または酸性)薬学的化合物から薬学的に有用な塩類を形成するために適していると一般的に考えられる酸類(および塩基類)は、たとえば、S.Bergeら,Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.のウェブサイト);およびP.Heinrich Stahl,Camille G.Wermuth(Eds.),Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(2002)Int’l.Union of Pure and Applied Chemistry,p330−331に記載されている。これらの開示は参照として本明細書中に援用される。
【0089】
代表的な酸付加塩類として、酢酸塩類、アジピン酸塩類、アルギン酸塩類、アスコルビン酸塩類、アスパラギン酸塩類、安息香酸塩類、ベンゼンスルホン酸塩類、硫酸水素塩類、ボロン酸塩類、酪酸塩類、クエン酸塩類、ショウノウ酸塩類、ショウノウスルホン酸塩類、シクロペンタンプロピオン酸塩類、プロピオン酸塩類、ジルグコン酸塩類、ドデシルスルホン酸塩類、エタンスルホン酸塩類、フマール酸塩類、グルコヘプタン酸塩類、グリセロリン酸塩類、ヘミ硫酸塩類、ヘプタン酸塩類、ヘキサン酸塩類、塩酸塩類、臭化水素酸塩類、ヨウ化水素酸塩類、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩類、乳酸塩類、マレイン酸塩類、メタンスルホン酸塩類、硫酸メチル、2−ナフタレンスルホン酸塩類、スルホン酸塩類、ニコチン酸塩類、硝酸塩類、シュウ酸塩類、パモ酸塩類、ペクチン酸塩類、過硫酸塩類、3−フェニルプロピオン酸塩類、リン酸塩類、ピクリン酸塩類、ピバル酸塩類、ピロピオン酸塩類、サリチル酸塩類、サクシン酸塩類、硫酸塩類、スルホン酸塩類(たとえば、本明細書に記載したもの)、酒石酸塩類、チオシアン酸塩類、トルエンスルホン酸塩類(トシレートとしても知られる)、ウンデカン酸塩類などが挙げられる。
【0090】
代表的な塩基塩として、アンモニウム塩類、アルカリ金属塩、たとえば、ナトリウム、リチウムおよびカリウム塩類、アルカリ土塁金属塩類、たとえば、カルシウムおよびマグネシウム塩類、アルミニウム塩類、亜鉛塩類、ベンザチン類、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン類、ヒドラバミン類(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンと形成された)、N−メチル−D−グルカミン類、N−メチル−D−グルカミド類、t−ブチルアミン類、ピペラジン、フェニルシクロヘキシルアミン、クロリン、トロメタミンのような有機塩基(たとえば有機アミン類)との塩類、およびアルギニン、リシンのようなアミノ酸との塩類などが挙げられる。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド類(たとえば、メチル、エチル、プロピルおよびブチル塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ジアルキル硫酸塩(たとえば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル)、長鎖ハライド類(たとえば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、臭化物およびヨウ化物)、アラルキルハライド類(たとえば、臭化ベンジルおよびフェネチル)などのような薬剤で、四級化してもよい。
【0091】
このような酸塩および塩基塩は全て、本発明の範囲内の薬学的に許容しうる塩であり、全ての酸および塩基塩は、本発明の目的に関して、対応する遊離の形の化合物と同等であると考えられる。
【0092】
本発明の化合物(この化合物の塩類、溶媒和物およびプロドラッグ、さらにプロドラッグの塩類、および溶媒和物を含む)の立体異性体(たとえば、幾何異性体、光学異性体など)の全て、たとえば、エナンチオマー型(不斉炭素の非存在下であっても存在する場合がある)、回転異性体型、アトロプ異性体およびジアステレオマー型を含む、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在するものも本発明の範囲内と考えられる。たとえば、式(I)の化合物が二重結合または縮合環を含む場合、シス−およびトランス−体の両方、およびその混合物も本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、たとえば、他の異性体を実質的に含まなくても、あるいはたとえば、ラセミ体として、または他の全てのあるいは他の選択された立体異性体を含んでいてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC1974推奨基準によって定義されるSまたはR立体配置を有しうる。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグにも同様に適用されるものである。
【0093】
ジアステレオマー混合物は、たとえば、クロマトグラフおよび/または分別結晶化のような、当業者に周知の方法によって、それらの物理的化学的相違に基づいて、個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、適正な光学的に活性な化合物(たとえば、キラルアルコールまたはモッシャーの酸塩化物のようなキラル補助物質)と反応により、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(たとえば、加水分解)することにより、分離することができる。また、式(I)の化合物の中には、アトロプ異性体(たとえば、置換ビアリール類)のものもあり、これらも本発明の一部と考えられる。エナンチオマーもキラルHPLCカラムを使用することにより分離することができる。
【0094】
式Iの化合物、ならびに式Iの化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグの多形相も、本発明に包含されるものである。
【0095】
また、本発明では、本明細書で挙げられたものと同じである本発明の同位体標識された化合物を含むが、実際には1個以上の原子が、通常天然で発見される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられている。本発明の化合物に導入され得る同位元素の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位元素が含まれ、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。
【0096】
式(I)のある同位体標識された化合物(たとえば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわちH)同位元素および炭素−14(すなわち14C)同位元素は、調製および検出が容易であるため、特に好ましい。さらに、重水素(すなわちH)のようなより重い同位元素による置換によって、より大きな代謝安定性(たとえば、インビボ半減期の増加または投与必要条件の軽減)に起因するある治療的有用性が得られ、したがって、ある状況においては好ましい。式(I)の同位体標識された化合物は、一般的に、以下に記載するスキームおよび/または実施例中に開示された手順に類似の手順に習い、適正な、同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の変わりに使用することにより、調製することができる。
【0097】
本明細書および添付の請求項の範囲のすべてに渡って原子価が足りない式、化合物、部分あるいは化学的説明はどれも、その前後関係が結合を示されていない限り、原子価を満たすように、水素原子を有することを想定していることに注意すべきである。
【0098】
式Iの化合物(ここで、可変部分は先に規定した通りである)は、独立して、以下の好ましい構造を含む。
【0099】
【化26】

好ましい実施形態は、式:
【0100】
【化27】

式中、RおよびRは、独立して、アリールまたはアリールアルキルであり、これらは、必要に応じて、1〜3個のR14基で置換されている、化合物である。
【0101】
別の好ましい実施形態は、式
【0102】
【化28】

の化合物である。
【0103】
別の好ましい実施形態は、式:
【0104】
【化29】

式中、
Xは、−N(R14)−または−CH(R14)−であり、
n’は、1または2であり、
残りの可変部分は先に規定した通りである、化合物である。
【0105】
に関して好ましい基は、Hまたは−OHである。
【0106】
式Iの化合物は、当該分野で公知の手順を使用して製造することができる。出発物質および式Iの化合物を製造するための調製法を、一般的反応スキームとして以下に示すが、当業者は、他の手順もまた適切でありうることを理解するであろう。以下のスキームでは、以下の略語を使用する。
【0107】
メチル:Me;エチル:Et;プロピル:Pr;ブチル:Bu;ベンジル:Bn;第三ブチルオキシカルボニル:BocまたはBOC
(ジエチルアミノ)イオウ三フッ化物:DAST
2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタミン−2,4−ジスルフィド:Lawesson試薬
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩:EDCl
ベンジルオキシカルボニル:CBZ
リチウムジイソプロピルアミド:LDA
トリエチルアミン:Et
n−ブチルリチウム:n−BuLi
テトラブチルアンモニウムフルオライド:TBAF
保護基:PG
NMRデータの全ては、他に記載がない限り、400MHzのNMR スペクトロメーターで収集する。分子質量および保持時間を測定するために、C−18カラムと移動相として水中5%〜95%MeCNを用いてLC−エレクトロスプレー−質量分光器を使用する。
【0108】
任意の特定の化合物の合成に関し、当業者は、保護基の使用が必要な場合があることを理解するであろう。適切な保護基の説明は、「Protective Goups in Organic Synthesis」,第3編,John Wiley and Sons,New York(1999)、T.W.Greeneにある。
【0109】
一般的に、本発明中の化合物は、当業者に公知のプロセスおよびそれに類似する公知のプロセスによって調製され得る。以下の反応スキームは、これらのプロセスの例示として役割を果たす。具体的な実施形態を製造するために、反応スキームを以下に記載した。当業者は理解するであろう。実際使用された試薬および溶剤は、有効な等価であることが当該分野でよく知られている数種の試薬および溶剤から選択されることを理解する。したがって、具体的な溶剤または試薬が記載されている場合、それは、以下に記載される調製および実施例における特定の反応スキームに望ましい条件の説明的な例示であることを意味する。
【実施例】
【0110】
(式Iの化合物を製造する一般的方法)
以下の反応スキームにおいて、各可変部分は、その定義の範囲内のどの部分であってもよい。
【0111】
式IAの化合物は反応スキーム1に従って製造され得る。化合物1(ここで、PGはイミン保護基である)を、化合物2(ここで、Xは、−OCHまたはハライド(たとえば塩素)のような脱離基である)と、LDAまたはEtNのような塩基の存在下で反応させ、式3の化合物を得る。式3の化合物を、Lawesson試薬またはPで反応させ、チオアミド4を得、4をH/RNHと反応させるか、または4をヨウ化メチルと反応させ、次いで酸化(H)およびアミンRNHとの反応によって、式IAの化合物に変換させることができる。(J.Chem Soc.Chem.Comm.,15,818−19(1983)参照)。
【0112】
(反応スキーム1)
【0113】
【化30】

式IBの化合物は、反応スキーム2によって、化合物4をHのような酸化剤で処理し、アンモニアのようなアミンで処理することによって調製され得る。
【0114】
(反応スキーム2)
【0115】
【化31】

式ICの化合物は、反応スキーム3に従って調製され得、化合物5は、the Journal of Organic Chemistry(2003),68(4),1207−1215に記載された手順を改変して調製され得る。化合物5を、化合物1Aおよび1Bを調製するための先に記載された手順を使用して、化合物1Cに変換され得る。
【0116】
(反応スキーム3)
【0117】
【化32】

式中、
Xは、−N(R14)−または−CH(R14)−であり、
n’は、1または2であり、
残った可変部分は先に規定した通りである。
【0118】
以下のアッセイが、本発明の化合物の生物学的特性を評価するために使用してもよい。
【0119】
(ヒトカテプシンD FRETアッセイ)
以下で検討する基質は、(Y.Yasudaら,J.Biochem.,125,1137(1999))に記載されている。基質および酵素は市販されているものである。4μMのKmを、記載されたアッセイ条件の下、以下の基質について測定する。これはYasudaらと整合性がある。
【0120】
アッセイは、最終容積30μlで、384ウェルNuncブラックプレートを使用して行う。化合物の8つの濃度を、酵素を使用し、37℃で30分プレインキュベートし、次いで、基質を加え、37℃で45分間、インキュベートを続ける。蛍光強度の増加の割合は1時間にわたり直線状であり、この割合を、インキュベート期間の最後に、Molecular Devices FLEXステーションプレートレコーダーを使用して、測定する。Kiを、4μMのKm値および2.5μMの基質濃度を使用し、IC50から補間する。
【0121】
(試薬)
酢酸Na pH5
10%ストックから1%Brij35(Calbiochem社)
DMSO
精製(>95%)ヒト肝臓カテプシンD(Athens Research & Technology社、CatNo.16−12−030104)
ペプチド基質(Km=4μM)Bachem社、Cat No.M−2455
ペプスタチンをコントロール阻害剤(Ki約0.5nM)として使用する。これは、Sigma社から入手可能である。
【0122】
Nunc384ウェルブラックプレート
(最終アッセイ緩衝液条件)
100mMの酢酸Na pH5.0
0.02%Brij35
1%DMSO
化合物を、3%DMSOを含むアッセイ緩衝液中で最終濃度の3倍に希釈する。化合物10μlを、DMSOを含まないアッセイ緩衝液中に希釈された10μLの2.25nM酵素(3×)に加え、簡単に混合し、回転し、37℃で30分間インキュベートする。3×基質(7.5μM)を、DMSOを含まない1×アッセイ緩衝液中に調製する。10μlの基質を各ウェルに加え、混合し、簡単に回転して、反応を開始する。アッセイプレートを37℃で45分培養し、328nmのExおよび393nmのEmを使用して、384コンパーティブル蛍光強度プレートリーダーで読む。
【0123】
BACE−1クローニング、タンパク質発現および精製
ヒトBACE1(sBACE1、アミノ酸1−454に対応する)の予測可溶型を、完全長BACE1 cDNA(pCDNA4/mycHisA構成物中の完全長ヒトBACE1 cDNA;トロント大学)から、アドバンテージ−GC cDNA PCRキット(Clontech社,Palo Alto,CA)を使用し、PCRによって産生する。pCDNA4−sBACE1myc/HisからのHindIII/Pmelフラグメントを、Klenowを使用して、平滑末端に変え、pFASTBACl(A)(Invitrogen社)のStu I部位にサブクローン化する。sBACE1mycHis組換えバクミドを、DH10Bac細胞(GIBCO/BRL)中での転移によって産生する。続けて、組換えバキュロウィルスを産生するために、sBACE1mycHisバクミド構成物を、CellFectin(Invitrogen社,San Diego,CA)を使用して、sf9に導入する。sf9細胞を、3%熱不活性化FBSおよび0.5Xペニシリン/ストレプトマイシン溶液(Invitrogen社)が添加されたSF900−II培地(Invitrogen社)中で成長させる。5ミリリットルの高力価プラーク精製sBACEmyc/Hisウィルスを使用し、対数増殖期のsf9細胞1Lを72時間感染する。完全な細胞を、3000×gで15分間遠心分離することによりペレットにする。分泌されたsBACE1を含む上清を集め、100mMのHEPES(pH8.0)で50%v/vに希釈する。希釈培地をQ−セファロースカラムに置く。Q−セファロースカラムを緩衝液A(20mMのHEPES,pH8.0、50mMのNaCl)で洗浄する。
【0124】
タンパク質を、Q−セファロースカラムから、緩衝液B(20mMのHEPES,pH8.0、500mMのNaCl)で溶離する。Q−セファロースカラムからのタンパク質ピークをプールし、Ni−NTAアガロースカラムに置く。次いで、Ni−NTAカラムを緩衝液C(20mMのHEPES,pH8.0、500mMのNaCl)で洗浄する。次いで、結合タンパク質を、緩衝液D(緩衝液C+250mMのイミダゾール)で溶離する。Bradfordアッセイ(Biorad社,CA)によって測定したピークタンパク質分画を、Centricon30濃縮器(Millipore社)を使用して濃縮する。sBACE1純度を、SDS−PAGEおよびクマシーブルー染色によって評価した場合、約90%と評価される。N末端シークエンスは、90%を超える精製sBACE1がプロドメインを含むことを示し、したがってこのタンパク質を、sproBACE1という。
【0125】
(ペプチド加水分解アッセイ)
阻害剤、25nMのEuK−ビオチン標識APPsw基質(EuK−KTEEISEVNLDAEFRHDKC−ビオチン;CIS−Bio International社,フランス)、5μMの非標識APPswペプチド(KTEEISEVNLDAEFRHDK;American Peptide Company,Sunnyvale,CA)、7nMのsproBACE1、20mMのPIPES(pH5.0)、0.1%Brij35(タンパク質グレード,Calbiochem社,San Diego,CA)、および10%グリセロールを、30℃で30分間プレインキュベートする。反応を、5μlの分量で全体容積25μlとなるように基質を加えて開始する。30℃で3時間後、反応を、50mMのトリス−HCl(pH8.0)、0.5MのKF、0.001%Brij35、20μg/mlのSA−XL665(ストレプトアビジンにカップリングした架橋アロフィコシアニンタンパク質;CIS−Bio International社,フランス)(0.5μg/ウェル)を含む2×停止緩衝液と同容積の添加によって停止する。培養の前に、プレートを簡単に振盪し、1200×gで10秒回転し、プレートの底に全液体をペレットとする。HTRF測定を、337nmのレーザー光を使用して、Packard Discovery(登録商標)HTRFプレートリーダーで行い、サンプルを励起し、次いで、50μs遅らせ、620nmおよび665nmの両方の発光で400μs間同時測定を行う。
【0126】
阻害剤のIC50測定、(I)は、種々の濃度の、および固定濃度の酵素および基質の存在下において、665nmでの相対蛍光強度を620nmでの相対蛍光強度で除算してパーセント変化(665/620 比率)を計算することによって測定する。これらのデータの非線形回帰分析を、4個のパラメーター理論方程式を選択するGraphPad Prism 3.0ソフトウェアを使用して行い、変数の傾きを与える。Y=底部+(頂部−底部)/(1+10^((LogEC50−X)ヒルスロープ))ここで、Xは、Iの濃度の対数であり、Yは、比率におけるパーセント変化であり、Yは底部から出発し、S字曲線で頂部に向かう。
【0127】
ヒト成熟レニン酵素アッセイ:
ヒトレニンをヒト腎臓cDNAライプラリーからクローニングし、V5−6HisシークエンスでC末端エピトープ標識して、pCDNA3.1とする。pCNDA3.1−レニン−V5−6Hisを、HEK293細胞中で安定的に発現させ、標準Ni−アフィニティークロマトグラフを使用し、>80%に精製する。組換えヒトレニン−V5−6Hisのプロドメインを、固定化TPCK−トリプトシンを使用して、制限タンパク質分解によって除去し、成熟−ヒトレニンを与える。レニン酵素活性を、50mMのトリス−HCl(pH8.0)、100mMのNaCl、0.1%のBrij35および5%DMSO緩衝液中で、30℃で40分間、異なる濃度の試験化合物の存在下または非存在下で、市販の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ペプチド基質、RS−1(Molecular Probes社,Eugene,OR)を用いてモニタリングする。成熟ヒトレニンは、約200nMで存在する。阻害活性は、40分インキュベーションの終わりでビヒクルコントロールおよびサンプルを含まない酵素と比較して、レニン誘発蛍光強度の減少パーセントとして規定する。
【0128】
式Iの化合物とコリンエステラーゼ阻害剤との組合せに関する本発明の局面では、アセチル−および/またはブチリルコリンステラーゼ阻害剤を、使用し得る。コリンエステラーゼ阻害剤の例としては、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、ピリドスチグミンおよびネオスチグミンであり、タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンが好ましい。
【0129】
式Iの化合物とムスカリン拮抗剤との組合せに関する本発明の局面では、mまたはm拮抗剤を使用することができる。m拮抗剤の例は、当該分野で公知である。m拮抗剤の例もまた、当該分野で公知であり、特にm拮抗剤は、米国特許第5,883,096号明細書、第6,037,352号明細書、第5,889,006号明細書、第6,043,255号明細書、第5,952,349号明細書、第5,935,958号明細書、第6,066,636号明細書、第5,977,138号明細書、第6,294,554号明細書、第6,043,255号明細書および第6,458,812号明細書、ならびに国際公開第03/031412号パンフレットに記載され、これらは全て参照として本明細書中に援用される。
【0130】
薬学的薬剤の他の例として、βセクレターゼ阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、たとえば、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンおよびロスバスタチン;非ステロイド系抗炎症剤、たとえば、イプブロフェン、N−メチル−D−アスパラギン酸受容体拮抗剤、たとえば、メマンチン、ヒト化モノクロナール抗体を含む抗アミロイド抗体;ビタミンE;ニコチンアセチルコリン受容体作用薬;CB1受容体逆作用薬またはCB1受容体拮抗剤;抗生物質、たとえば、ドシルサイクリン(docycycline);成長ホルモン分泌促進剤;ヒスタミンH3拮抗剤;AMPA作用薬;PDE4阻害剤;GABA逆作用薬;アミロイド凝集の阻害剤;グリコーゲン合成キナーゼβ阻害剤;αセクレターゼ活性の促進剤、およびコレステロール吸収阻害剤、たとえば、胆汁封鎖剤アゼチジオン、たとえば、エゼチミブ(ZETIA)が挙げられる。
【0131】
本発明によって記載された化合物から薬学的組成物を調製するために、固体または液体の不活性な薬学的に許容しうるキャリアを使用することができる。固形調製物として、粉剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が挙げられる。粉末剤および錠剤は、約5〜約95%の活性成分で構成されてもよい。適切な固体キャリアは、当該分野で知られており、たとえば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖またはラクトースが挙げられる。錠剤、粉末剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与のための適切な固体投与形態として使用することができる。薬学的に許容しうるキャリアの例および種々の組成物の製造方法は、A.Gennaro(編集),Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18編,(1990),Mack Publishing社,Easton,Pennsylvaniaに記載されている。
【0132】
液体形状製剤として、溶液、懸濁液および乳剤が挙げられる。例示として、注射剤用の水−プロピレングリコール溶液、経口溶液、懸濁液および乳剤用の甘味料および乳濁剤の添加が記載される。また、液体形状製剤として、鼻腔内投与用の溶液も含まれる。
【0133】
吸入に適切なエアゾール製剤として、溶液および粉末形状の固体が挙げられ、これは、不活性圧縮ガス、たとえば窒素のような薬学的に許容しうるキャリアと組合わせてもよい。
【0134】
また、使用の直前に、経口または非経口投与用の液体形状製剤に変換されることが意図される固体形状製剤も含まれる。そのような液体形状として、溶液、懸濁液および乳剤が挙げられる。
【0135】
また、本発明の化合物は、経皮的に送達可能であってもよい。経皮的組成物は、クレーム、ローション、エアゾールおよび/または乳剤の形態を取ることができ、これらはマトリックスの経皮パッチまたはこの目的のために当該分野で従来通りのレザバタイプ内に含有され得る。
【0136】
化合物を経口的に投与するのが好ましい。
【0137】
薬学的調製物は、単位投薬形態であるのが好ましい。そのような形態では、この調製物は、適切な量の活性成分、たとえば、所望の目的を達成するのに有効な量を含む適切なサイズの単位用量に小分けされる。
【0138】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約1mg〜約100mg、好ましくは約1mg〜約50mg、さらに好ましくは約1mg〜約25mgの範囲で変化しあるいは調整される。
【0139】
実際に使用される投薬量は、患者の要件および処置される状態の重篤度によって変化する。特定の状況に対する適正な投薬レジメンの決定は、当該分野の熟練の範囲内である。便宜上、1日の総用量を分け、必要な日数の間分けて投与してもよい。
【0140】
本発明の化合物および/またはその薬学的に許容しうる塩の投与の量および回数は、患者の年齢、状態およびサイズのような要因および処置すべき症状の重篤度を考慮して、担当医師の判断に従って調節される。経口投与のための代表的な推奨される1日の投薬レジメンは、約1mg/日〜約300mg/日の範囲、好ましくは1mg/日〜50mg/日の範囲で、2〜4回に分けて投与しうる。
【0141】
有用な用語のいくつかを以下に記載する。
【0142】
カプセル−活性成分を含む組成物を保持するまたは含有するための、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、あるいは変性ゼラチンまたはデンプンで作られた特別な容器または封入体を言う。硬質シェルカプセルは、代表的に、比較的高いゲル強度の骨格とブタ皮ゼラチンの混合物で作られている。カプセルそれ自体は、少量の染料、遮光剤(opaquing agent)、可塑剤および保存剤を含んでもよい。
【0143】
錠剤−活性成分を適切な希釈剤とともに含む圧縮または成形された固体の剤形を言う。錠剤は、湿式造粒法、乾式造粒法または圧密化(compaction)によって得られる混合物または顆粒の圧縮により調製され得る。
【0144】
経口ゲル−親水性半固体マトリックス中に分散または可溶化された活性成分を言う。
【0145】
形成用粉末−活性成分と、水または液汁(juice)中に懸濁することができる適切な希釈剤とを含む粉末混合物を言う。
【0146】
希釈剤−通常の組成物または剤形の主要部を作り上げる物質を言う。適切な希釈剤として、ラクトース、サッカロース、マンニトールおよびソルビトールのような糖類;小麦、トウモロコシ、コメおよびジャガイモ由来のデンプン;および微晶質セルロースのようなセルロースが挙げられる。組成物中の希釈剤の量は、全組成物の約10〜約90重量%、好ましくは約25〜約75%、より好ましくは約30〜約60重量%、さらに好ましくは約12〜約60%の範囲にあり得る。
【0147】
崩壊剤−組成物に加えられて、ばらばらになり(崩壊し)薬剤が放出されるのを助ける物質を言う。好ましい崩壊剤として、デンプン;「冷水溶解性」改変されたデンプン、たとえば、カルボキシメチルスターチナトリウム;天然または合成ゴム、たとえばローカストビーン、カラヤ、グア、トラガカントおよび寒天;セルロース誘導体、たとえば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム;微晶質セルロースおよび架橋微晶質セルロース、たとえば、クロスカルメロースナトリウム;アルギン酸類、たとえばアルギン酸およびアルギン酸ナトリウム;クレイ、たとえば、ベントナイト;および発泡性混合物が挙げられる。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約2〜約15重量%、より好ましくは約4〜約10重量%の範囲にあり得る。
【0148】
結合剤−粉末どうしを結合または「接着」し、顆粒剤を形成することによってそれらを凝集させ、処方中で「接着剤」としての役目を担う物質を言う。結合剤は、希釈剤または増量剤においてすでに利用可能な結合力を加える。適切な結合剤として、糖類、たとえば、ショ糖;小麦、トウモロコシ、コメ、およびジャガイモ由来のデンプン;天然ゴム、たとえば、アカシア、ゼラチンおよびトラガカント;海草の誘導体、たとえば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムアンモニウム;セルロース系材料、たとえば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルピロリドン;および無機物、たとえば、ケイ酸アルミニウムマグネシウムが挙げられる。組成物中の結合剤の量は、組成物の約2〜約20重量%、より好ましくは約3〜約10重量%、さらに好ましくは約3〜約6重量%の範囲にあり得る。
【0149】
潤滑剤(lubricant)−剤形に加えられて、圧縮された後、摩擦または磨耗を減少させることによって型またはダイから取り出し、錠剤、顆粒剤などとすることができるようにする物質を言う。適切な潤滑剤として、金属ステアリン酸塩、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはステアリン酸カリウム;ステアリン酸;高融点ワックス;および水溶性潤滑剤、たとえば、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびd’l−ロイシンが挙げられる。潤滑剤は、顆粒剤の表面、それらと錠剤プレスの部分との間に存在しなくてはならないので、普通、圧縮の直前のステップで加えられる。組成物中の潤滑剤の量は、組成物の約0.2〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2%、より好ましくは約0.3〜約1.5重量%の範囲にあり得る。
【0150】
滑沢剤(glident)−固化を防ぎ、造粒の流れ特性を改良し、流れを平滑かつ均一にする材料をいう。適切な滑沢剤として、二酸化ケイ素およびタルクが挙げられる。組成物中の滑沢剤の量は、全組成物の約0.1%〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の範囲にあり得る。
【0151】
着色剤−組成物または剤形を着色する賦形剤。そのような賦形剤としては、食品グレート色素およびクレイや酸化アルミニウムのような適切な吸着剤上に吸着された食品グレード色素を含む。着色剤の量は、組成物の約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1%の範囲で変化し得る。
【0152】
バイオアベイラビリティ−標準またはコントロールに比べた、活性薬物成分または治療部分が投与剤形から体循環系に吸収される割合および程度を言う。錠剤を調製する従来の方法は公知である。そのような方法として、乾式法、たとえば、直接圧縮および圧により製造した顆粒物の圧縮、または湿式法、その他特別の手順が挙げられる。カプセル、坐剤など、他の投与形態を製造する従来の方法もよく知られている。
【0153】
式Iの化合物をコリンエステラーゼ阻害剤と組合わせて使用し認知性障害を処置する場合、これらの2種の活性成分は、同時にまたは分離して、同時投与してもよいし、あるいは薬学的に許容しうるキャリア中に式Iの化合物およびコリンエステラーゼ阻害剤を含む単一の薬学的組成物を投与することもできる。組合わせた成分は、カプセル、錠剤、粉末剤、カシェ剤、懸濁液、溶液、坐剤、鼻スプレーなどのような、任意の従来の経口または非経口剤形で、別々にあるいは同時に投与することができる。コリンエステラーゼ阻害剤の投与量は刊行物から決定することができ、0.001〜100mg/kg体重の範囲に及びうる。
【0154】
式Iの化合物およびコリンエステラーゼ阻害剤の別々の薬学的組成物を投与する場合、薬学的に許容しうるキャリア中に式Iの化合物を含む1つの容器と、薬学的に許容しうるキャリア中にコリンエステラーゼ阻害剤を含む別の容器とを単一のパッケージ中に含むキットであって、式Iの化合物およびコリンエステラーゼ阻害剤は、組合わせて治療的効果のある量で存在するキットとして提供することができる。キットは、たとえば、成分を異なる時間間隔で投与しなければならない場合、またはそれらが異なる剤形の場合、組合わせて投与するのに好都合である。
【0155】
本発明を、先に記載した特定の実施形態とともに記載したが、それらの多くの代替物、改変および変更、当業者には明らかであろう。そのような代替物、改変および変更は全て、本発明の精神および範囲内に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I
【化1】

の構造式を有する化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容しうる塩または溶媒和物であって、式中、
Xは−C(R)−であり;
Yは−N(R)−であり;
Zは−C(=N−R5’)−であり:そして必要に応じて、
(i)RおよびRは、一緒に結合して、O、S、Nおよび−N(R)−から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、3〜7員ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルまたはヘテロアリール環を形成し得、ここで該環は必要に応じて、独立して選択される1〜5個のR14部分で置換され、そして/または、該環がヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルの場合、オキソによって置換される;または
(ii)RおよびRは、一緒に結合して、O、S、Nまたは−N(R)−から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜7員シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロサイクルアルケニル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し得、ここで該環は必要に応じて、独立して選択される1〜5個のR14部分で置換され、そして/または、該環がシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルの場合、オキソによって置換される;あるいは
ここで、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、−OR15、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)または−S(O)N(R11)(R12)である;
およびRは、独立して、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、−OR15、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−NO、−N=C(Rおよび−N(Rからなる群から選択され、ただし、両方が、−NO、−N=C(Rおよび−N(Rからなる群から選択されることはない;
または必要に応じてRおよびRは、一緒になって、0〜4個の、好ましくは0〜2個のO、S、Nおよび−N(R)−から独立して選択されるヘテロ原子を有する、3〜7員シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニル環を形成し、ここで該環は必要に応じて、独立して選択される1〜5個のR14部分および/またはオキソによって置換される;
およびR5’は、各存在において独立して、H、OH、−NHR、−O−アルキル、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたは−CNからなる群から選択され;
およびRは、独立して、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルヘテロアリール、ハロ、−CH−O−Si(R)(R10)(R19)、−SH、−CN、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R11)(R12)、−SR19、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−N(R11)C(O)R、−N(R11)S(O)R10、−N(R11)C(O)N(R12)(R13)、−N(R11)C(O)ORおよび−C(=NOH)Rからなる群から選択され;
あるいは、必要に応じて、
(i)RおよびRは、それらが結合する炭素と一緒になって、a)必要に応じて1〜5個のR14部分によって置換される、3〜7員シクロアルキル環または(b)必要に応じて1〜5個のR14部分によって置換される、1個の酸素原子を有する3〜7員シクロアルキルエーテル基を形成し;または
(ii)RおよびRは、それらが結合する炭素と一緒になって、以下の多環基:
【化2】

のうちの1つを形成し、
式中、Mは、独立して、−(CH)−、−S−、−N(R19)−、−O−、−S(O)−、−S(O)−または−C(O)−であり;
qは、0、1または2であり;
AおよびBは、独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクリルであり;
Eは、アリールまたはヘテロアリールであり;そして
Fは、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクレニルである;
ただし、該環構造において、隣接する酸素原子および/または隣接するイオウ原子が存在することはなく;
は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR15、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群から選択され;
は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され;
10は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび−N(R15)(R16)からなる群から選択され;
11、R12およびR13は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)および−CNからなる群から選択され;
14は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群から選択され;
15、R16およびR17は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、R18−アルキル、R18−シクロアルキル、R18−シクロアルキルアルキル、R18−ヘテロシクロアルキル、R18−ヘテロシクロアルキルアルキル、R18−アリール、R18−アリールアルキル、R18−ヘテロアリールおよびR18−ヘテロアリールアルキルからなる群から選択されるか;または
15、R16およびR17は、
【化3】

であり;
式中、R23は、0〜5個の置換基を含み、mは0〜6であり、nは1〜5であり;
18は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、−NO、ハロ、ヘテロアリール、HO−アルキルオキシアルキル、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R19、−C(O)OH、−C(O)OR19、−C(O)NHR20、−C(O)NH、−C(O)NH−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR19、−S(O)20、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR19、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OCF、−OH、−OR20、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR20、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)−(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R20、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)20、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基であるか;または
隣接する炭素上の2個のR18部分は、一緒に結合して、
【化4】

を形成し得る;
19は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり;
20は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ハロ置換アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
ここで、
i)R、R、RおよびR中のアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリールの各々、および
ii)R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14中のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニル基の各々は、
独立して、非置換であるか、またはアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ハロ、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−CH(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−アルキル−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−R15、−CHN(R15)(R16)、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16、−CH−N(R15)C(O)OR16、−S(O)R15、−N、−NOおよび−S(O)15からなる群から独立して選択される1〜5個のR21で置換され;そしてR21中のアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニル基の各々は、独立して、非置換であるか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−アルキル−C(O)OR15、C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−アルキル−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16、−CH−N(R15)C(O)OR16、−N、−NO、−S(O)R15および−S(O)15からなる群から独立して選択される1〜5個のR22基で置換され;
あるいは隣接する炭素上の2個のR21または2個のR22部分は、一緒に結合して、
【化5】

を形成し得る;
そしてR21またはR22が、−C(=NOR15)R16、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16および−CH−N(R15)C(O)OR16からなる群から選択される場合は、R15およびR16は、一緒になって、必要に応じて1,2または3個の環炭素が−C(O)−または−N(H)−によって置き換えられ得るC〜C鎖であり得、そしてR15およびR16は、これらが結合する原子と一緒になって、必要に応じてR23で置換される5〜7員環を形成する;
23は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、−C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群から独立して選択される1〜5個の基であり;ここで、R23中のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニ基は、独立して、非置換であるか、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、アルキル−C(O)OR24、C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群から独立して選択される1〜5個のR27で置換される;
24、R25およびR26は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、R27−アルキル、R27−シクロアルキル、R27−シクロアルキルアルキル、R27−ヘテロシクロアルキル、R27−ヘテロシクロアルキルアルキル、R27−アリール、R27−アリールアルキル、R27−ヘテロアリールおよびR27−ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され;
27は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、−NO、ハロ、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R28、−C(O)OH、−C(O)OR28、−C(O)NHR29、−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR28、−S(O)29、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR28、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OH、−OR29、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR29、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R29、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)29、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基であり;
28は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり;および
29は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである、化合物。
【請求項2】
以下の式:
【化6】

のうちの1つを有する請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の構造:
【化7】

を有する請求項1に記載の化合物であって、
式中、RおよびRは、独立して、1〜3個のR14基で必要に応じて置換される、アリールおよびアリールアルキルである、化合物。
【請求項4】
式:
【化8】

の請求項1に記載の化合物であって、式中、Xは−N(R14)−または−CH(R14)−であり、n’は1または2である、化合物。
【請求項5】
有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に効果的なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項6】
アスパルチルプロテアーゼを阻害する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項7】
アスパルチルプロテアーゼがBACEである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
循環器疾患、認知性疾患および神経変性疾患の処置を必要とする患者において、それらを処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項9】
哺乳動物において、ヒト免疫不全ウィルス、プラスメプシン、カテプシンDレニンおよび原虫酵素を阻害する方法であって、哺乳動物に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項10】
認知性疾患または神経変性疾患を処置する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
アルツハイマー病を処置する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
薬学的に効果的なキャリア中に、有効量の請求項1に記載の化合物と、有効量のコリンエステラーゼ阻害剤、ムスカリンm拮抗剤またはムスカリンm作用薬を含む、薬学的組成物。
【請求項13】
有効量の請求項1に記載の化合物、ならびに有効量の請求項1に記載の化合物およびβセクレターゼ阻害剤;γセクレターゼ阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ阻害剤;非ステロイド系抗炎症剤;N−メチル−D−アスパラギン酸受容体拮抗剤;抗アミロイド抗体;ビタミンE;ニコチンアセチルコリン受容体作用薬;CB1受容体逆作用薬またはCB1受容体拮抗剤;抗生物質;成長ホルモン分泌促進物質;ヒスタミンH3拮抗剤;AMPA作用薬;PDE4阻害剤;GABA逆作用薬;アミロイド凝集の阻害剤;グリコーゲン合成キナーゼβ阻害剤;αセクレターゼ活性の促進剤またはコレステロール吸収阻害剤からなる群から選択される少なくとも1種の第二の薬剤を含む少なくとも1種第二の薬学的組成物を含む、薬学的組成物。
【請求項14】
認知性疾患または神経変性疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、有効量の請求項1に記載の化合物を、有効量のコリンエステラーゼ阻害剤と組合わせて投与する工程を含む、方法。
【請求項15】
認知性疾患または神経変性疾患を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、有効量の請求項1に記載の化合物を、有効量のγセクレターゼ阻害剤と組合わせて投与する工程を含む、方法。

【公表番号】特表2008−543846(P2008−543846A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516986(P2008−516986)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/022849
【国際公開番号】WO2006/138230
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】