説明

プロテインキナーゼのインヒビターとして有用なチアゾール化合物

本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体を提供する。これらの化合物は、プロテインキナーゼのインヒビター(特に、GSK3、Aurora2またはSyk哺乳動物プロテインキナーゼのインヒビター)である。本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物、および種々のプロテインキナーゼが媒介する障害を治療する際のこれらの化合物および組成物を使用する方法を提供する。GSK3、Aurora2またはSykプロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する量の化合物、および薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含有する、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2001年6月1日に出願された米国仮特許出願第60/295,158号に対して優先権を主張しており、その米国仮特許出願第60/295,158号の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、プロテインキナーゼインヒビターである化合物、その化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物、およびそれらの使用方法に関する。さらに特定すると、これらの化合物は、GSK−3プロテインキナーゼのインヒビター、Aurora2プロテインキナーゼのインヒビターおよびSykプロテインキナーゼのインヒビターであり、種々の疾患および状態(例えば、糖尿病、アルツハイマー病、発作、増殖性障害および喘息)を治療するかその重篤度を軽減するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
新しい治療剤の研究は、近年、標的疾患に関連した酵素および他の生体分子の構造をよく理解することにより、非常に助けられている。広範囲な研究の対象となっている1つの重要な種類の酵素には、プロテインキナーゼがある。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内シグナル伝達を媒介する。それらは、ヌクレオシド三リン酸からシグナル伝達経路に関与しているタンパク質アクセプターへのホスホリルの移動に影響を与えることにより、これを行う。細胞外刺激および他の刺激により種々の細胞応答が細胞の内側で引き起こされる多数のキナーゼおよび経路が存在している。このような刺激の例には、環境ストレスシグナルおよび化学ストレスシグナル(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、細菌内毒素、H)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子(TNF−α))、ならびに増殖因子(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および線維芽細胞成長因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞の成長、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉の収縮、グルコースの代謝、タンパク質合成の制御および細胞分裂周期の調節に関連した1種またはそれ以上の細胞応答をもたらし得る。
【0005】
多くの疾患および状態は、プロテインキナーゼ媒介事象により誘発される異常な細胞応答に関連している。これらの疾患には、自己免疫疾患、炎症疾患、神経疾患および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病およびホルモン関連疾患が挙げられる。従って、医薬品化学において、治療薬として有効なプロテインキナーゼインヒビターを発見する相当な努力がなされている。
【0006】
グリコーゲン合成酵素キナーゼ(GSK−3)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これは、αアイソフォームおよびβアイソフォームから構成され、これらのアイソフォームは、別個の遺伝子で各々コードされている[Coghlanら、Chemistry & Biology,7,pp.793〜803(2000);KimおよびKimmel,Curr.Opinion Genetics Dev.,10,pp.508〜514(2000)]。GSK−3は、糖尿病、アルツハイマー病、CNS障害(例えば、躁鬱病および神経変性疾患)および心筋細胞肥大を含めた種々の疾患に関与している[WO99/65897;WO00/38675;およびHaqら、J.Cell Biol.,151,pp.117(2000)]。これらの疾患は、GSK−3が一定の役割を果たす特定の細胞シグナル伝達経路の異常な動作により引き起こされ得るか、そのような異常な動作を招き得る。GSK−3は、多数の調節タンパク質の活性をリン酸化して調節することが発見されている。これらには、グリコーゲン合成酵素(これは、グリコーゲン合成に必要な律速酵素である)、微小管関連タンパク質Tau、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子elF2B、ならびに、ATPシトレートリアーゼ、アキシン、熱ショック因子−1、c−Jun、c−Myc、c−Myb、CREBおよびCEPBaが挙げられる。これらの多様な標的は、細胞の代謝、増殖、分化および発生の多くの局面において、GSK−3と関係する。
【0007】
II型糖尿病の治療に関連しているGSK−3媒介経路では、インシュリンで誘発したシグナル伝達は、細胞グルコースの取り込みおよびグリコーゲンの合成を引き起こす。この経路に沿って、GSK−3は、このインシュリン誘発シグナルの負の調節因子である。通常、インシュリンが存在していると、グリコーゲン合成酵素のGSK−3媒介リン酸化および不活性化の阻害を生じる。GSK−3を阻害すると、グリコーゲンの合成およびグルコースの取り込みが増大する[Kleinら、PNAS,93,pp.8455〜9(1996);Crossら、Biochem.J.,303,pp.21〜26(1994);Cohen,Biochem.Soc.Trans.,21,pp.555〜567(1993);Massillonら、Biochem.J.299,pp.123〜128(1994)]。しかしながら、インシュリン応答が損なわれた糖尿病患者では、グリコーゲンの合成およびグルコースの取り込みは、比較的高い血中インシュリンレベルの存在にもかかわらず、増大しない。これにより、短期または長期の影響を伴って、異常に高い血中グルコースレベルが生じ、この異常に高い血中グルコースレベルは、最終的には、心血管疾患、腎不全および失明を引き起こし得る。このような患者では、GSK−3の正常なインシュリン誘発阻害が起こらない。また、II型糖尿病の患者では、GSK−3は、過剰発現されることが報告されている[WO 00/38675]。従って、GSK−3の治療的インヒビターは、インシュリンの応答が損なわれた糖尿病患者を治療するのに有用となる可能性がある。
【0008】
GSK−3活性はまた、アルツハイマー病と関連している。この疾患は、周知のβ−アミロイドペプチドおよび細胞内神経原線維変化の形成により、特徴付けられる。この神経原線維変化は、過剰リン酸化Tauタンパク質を含有し、この場合、Tauは、異常な部位でリン酸化されている。GSK−3は、細胞モデルおよび動物モデルにおいてこれらの異常部位をリン酸化することが明らかとなっている。さらに、GSK−3の阻害は、細胞中でTauの過剰リン酸化を阻止することが明らかとなっている[Lovestoneら、Current Biology,4,pp.1077〜86(1994);Brownleesら、Neuroreport,8,pp.3251〜55(1997)]。従って、GSK−3活性は、神経原線維変化の発生およびアルツハイマー病の進行を促進し得ると考えられる。
【0009】
GSK−3の他の基質は、β−カテニンであり、これは、GSK−3によるリン酸化後、分解される。精神分裂病の患者では、β−カテニンのレベルが低下していることが報告されており、β−カテニンのレベルの低下はまた、神経細胞死の増大に関係している他の疾患と関連している[Zhongら、Nature,395,698〜702(1998);Takashimaら、PNAS,90,7789〜93(1993);Peiら、J.Neuropathol.Exp.,56,70〜78(1997)]。
【0010】
Aurora−2は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これは、ヒトの癌(例えば、結腸癌、乳癌および他の固形腫瘍)に関係している。このキナーゼは、細胞周期を調節するタンパク質リン酸化事象に関与している。具体的には、Aurora−2は、有糸分裂中の染色体の正確な隔離を制御する役割を果たす。細胞周期の調節不全は、細胞の増殖および他の異常を引き起こし得る。ヒトの結腸癌組織では、aurora−2タンパク質は、過剰発現されることが発見されている[Bischoffら、EMBO J.,17,3052〜3065(1998);Schumacherら、J.Cell Biol.,143,1635〜1646(1998);Kimuraら、J.Biol.Chem.,272,13766〜13771(1997)]。
【0011】
Sykは、チロシンキナーゼであり、これは、FcεRIが媒介する肥満細胞の脱顆粒および好酸球の活性化において、重要な役割を果たす。従って、Sykキナーゼは、種々のアレルギー障害(特に、喘息)に関係している。
【0012】
Sykは、N−末端SH2ドメインを経由して、FcεRIレセプターのリン酸化したγ鎖に結合し、下流シグナル伝達に必須であることが明らかとなっている[Taylorら、Mol Cell Biol 1995;15:4149]。
【0013】
好酸球アポトーシスの阻害は、喘息において血液および組織の好酸球増加症が進行するための重要な機構として、提案されている。IL−5およびGM−CSFは、喘息において上方制御され、そして好酸球アポトーシスを阻害することにより、血液および組織の好酸球増加症を引き起こすことが提案されている。好酸球アポトーシスの阻害は、喘息において血液および組織の好酸球増加症が進行するための重要な機構として、提案されている。Sykキナーゼは、(アンチセンスを使用して)サイトカインによる好酸球アポトーシスを阻止するのに必要であることが報告されている[Yousefiら、J Exp Med 1996;183:1407]。
【0014】
骨髄由来マクロファージにおけるFcγR依存性応答および非依存性応答におけるSykの役割は、照射マウスキメラ(これは、Syk−/−胚に由来の胎児肝細胞で再構成される)を使用することにより、決定されている。Syk欠損マクロファージは、FcγRで誘導した食作用を欠損したが、補体に応答して、正常な食作用を示した[Kieferら、Mol Cell Biol 1998;18:4209]。また、エアロゾル化Sykアンチセンスは、Sykの発現およびマクロファージからのメディエータの放出を抑制することが報告されている[Stentonら、J Immunology 2000;164:3790]。
プロテインキナーゼ(特に、GSK−3、Aurora−2およびSyk)に関連した状態の大部分に現在利用できる治療選択肢が欠けていることを考慮して、依然として、これらのタンパク質標的を阻害する新しい治療剤が大いに必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、式Iの化合物およびその薬学的に受容可能な誘導体を提供することにより、この必要性を指向する:
【0016】
【化1】

ここで、RおよびArは、以下で定義するとおりである。
【0017】
本発明はまた、式Iの化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物を提供する。
【0018】
本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な組成物は、GSK−3プロテインキナーゼ、Aurora−2プロテインキナーゼおよびSykプロテインキナーゼのインヒビターとして、有用である。それゆえ、それらはまた、種々の障害(例えば、アレルギー疾患、増殖性障害、癌、神経変性障害および糖尿病)を治療するかその症状を軽減する方法において、有用である。
【0019】
(発明の説明)
本発明は、式Iの化合物:
【0020】
【化2】

またはその薬学的に受容可能な誘導体に関し、ここで、
は、R、ハロゲン、CN、NOまたはTRから選択される;
Tは、必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Tの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、独立して、O、N(R)、C(O)、S、SOまたはSOで置き換えられる;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択され、ここで、同じ窒素原子に結合した2個のRは、必要に応じて、この窒素と一緒になって、3員〜7員の飽和環、部分不飽和環または完全不飽和環を形成し、この3員〜7員環は、そこに結合したこの窒素に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
Arは、以下から選択される必要に応じて置換した環である:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、この複素環は、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、このヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1個〜4個のヘテロ原子を有し、ここで、
Arは、必要に応じて、以下からなる群から選択される1個〜4個の置換基で置換されている:
(a)QR、ArまたはQArから選択される1個の基;および
(b)4個までのR基;
各Qは、独立して、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖から選択され、ここで、
Qの1個または2個の非隣接メチレン単位は、必要に応じて、独立して、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)C(O)−、−C(O)C(O)−、−NRC(O)−、NRCO−、−NRC(O)NR−、−S(O)−、−SO−、−NRSO−、−SONR−または−NRSONR−で置き換えられる;
各Arは、以下から独立して選択される必要に応じて置換した環である:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、この複素環は、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、このヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される1個〜4個のヘテロ原子を有し、ここで、
Arは、1個〜4個のR基により、必要に応じて、置換されている;そして
各Rは、独立して、R、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、N(R)、NRCOR、NRCON(R)、NRCOR、C(O)R、COR、CON(R)、OC(O)N(R)、SOR、SOR、SON(R)、NRSOR、NRSON(R)、C(O)C(O)RまたはC(O)CHC(O)Rから選択され、ここで、
ArまたはAr上の隣接位置にある2個のRは、必要に応じて、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜6員環を形成し、この4員〜6員環は、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する。
【0021】
特に明記しない限り、本明細書中で使用される場合、以下の定義を適用する。
【0022】
「必要に応じて置換した」とは、「置換または非置換」との句と交換可能に使用される。特に明記しない限り、必要に応じて置換した基は、その基の各置換可能部分にて、置換基を有し得、各置換は、他のものと無関係である。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖または分枝のC〜C炭化水素鎖(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)または単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)を意味するが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」または「シクロアルキル」とも呼ぶ)、これは、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、この二環式の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。例えば、適当な脂肪族基には、直鎖または分枝のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらの混成体(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「アルキル」、「アルコキシ」、「ヒドロキシアルキル」、「ヒドロキシアルキル」および「アルコキシカルボニル」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、1個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含む。「アルケニル」および「アルキニル」との用語は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、2個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含む。
【0025】
「ヘテロ原子」との用語は、窒素、酸素またはイオウを意味し、そして窒素およびイオウの任意の酸化形態、および任意の塩基性窒素の四級化形態を含む。「窒素」との用語は、複素環の置換可能窒素を含む。例として、酸素、イオウまたは窒素から選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する飽和環または部分不飽和環では、その窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル(pyrrolyl)におけるように)、NH(ピロリジニルにおけるように)またはNR(N−置換ピロリジニルにおけるように)であり得る。
【0026】
「アリール」との用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を含有する。「アリール」との用語は、「アリール環」との用語と交換可能に使用され得る。「アリール」との用語はまた、以下で定義するヘテロアリール環系を意味する。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリル」または「複素環」との用語は、5員〜14員を有する非芳香族の単環式、二環式または三環式の環系であって、1員またはそれ以上がヘテロ原子であるものを意味し、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を含有する。
【0028】
「ヘテロアリール」との用語は、単独で、または「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員〜7員を含有する。「ヘテロアリール」との用語は、「ヘテロアリール環」との用語または「ヘテロ芳香族」との用語と交換可能に使用され得る。
【0029】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含めて)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含めて)基は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、ハロゲン、−R、−OR、−SR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、必要に応じてRで置換したフェニル(Ph)、必要に応じてRで置換した−O(Ph)、必要に応じてRで置換した−CH(Ph)、必要に応じてRで置換した−CHCH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−(CHNHC(O)Rから選択され、ここで、各Rは、独立して、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環、フェニル、−O(Ph)または−CH(Ph)から選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択される。
【0030】
脂肪族基または非芳香族複素環は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。脂肪族基または非芳香族複素環の飽和炭素上の適切な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したものおよび以下から選択される:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NRであって、ここで、各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択される。
【0031】
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−NRSOから選択される;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph)、必要に応じて置換した−CH(Ph)、必要に応じて置換した−CHCH(Ph)、または非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環である。Rの脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択される。
【0032】
「アルキリデン鎖」との用語は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得るかまたは1個もしくはそれ以上の不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するものを意味する。
【0033】
置換基または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を生じる場合にのみ、許容できる。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、水分も他の化学的に反応性の状態もない状態で、少なくとも1週間にわたって、40℃以下の温度で保ったとき、実質的に変化しないものである。
【0034】
本発明の特定の化合物が互変異性形状で存在し得、これらの化合物のこのような互変異性形状の全てが本発明の範囲内であることは、当業者に明らかである。
【0035】
特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、これらの構造の全ての立体化学形状(すなわち、各不斉中心に対するR立体配置およびS立体配置)を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体だけでなく、鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物もまた、本発明の範囲内である。特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個またはそれ以上の同位体に富む原子の存在のみが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置換したこと以外あるいは炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置換したこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的検定での分析用ツールまたはプローブとして、有用である。
【0036】
1実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0037】
【化3】

ここで、RおよびArは、上で定義したとおりであるが、但し、Arが2個のR置換基を有するフェニルの場合、その2個のRは、Arのメタ位置およびパラ位置で同時にORにはならない。
【0038】
他の実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0039】
【化4】

ここで、RおよびArは、上で定義したとおりであるが、但し、Rは、CN以外である。
【0040】
式Iの好ましいAr基は、以下から選択される必要に応じて置換した環である:
(a)フェニル環、インダニル環またはナフチル環;
(b)5員〜6員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する;あるいは
(c)5員〜6員の単環式または9員〜10員の二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、酸素、窒素、またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する。
【0041】
さらに好ましくは、式IのAr基は、以下から選択される環である:
(a)フェニル環、インダニル環またはナフチル環;
(b)5員〜6員の複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する;あるいは
(c)5員〜6員の単環式ヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、1個〜2個の窒素を有し、ここで、
Arは、以下からなる群から選択される1個〜4個の置換基で置換されている:
(a)QR、ArまたはQArから選択される1個の基;および
(b)4個までのR基。
【0042】
最も好ましいAr環は、置換したフェニル、インダニル、ナフチル、ピリミジニルまたはピリジルから選択される。Ar上の好ましいR置換基は、ハロゲン、CN、COR、R、NO、OR、ハロアルキル、SON(R)またはN(R)である。Ar上のさらに好ましいR置換基は、フルオロ、ヨード、クロロ、ブロモ、COCH、メチル、エチル、t−ブチル、NH、NHMe、N(Me)、OH、OCH、OCHCH、CF、SONHまたはSONHMeである。他の好ましい化合物には、2個のRが一緒になってメチレンジオキシ置換基またはエチレンジオキシ置換基を形成するものが挙げられる。
【0043】
式IのAr上の好ましいQR置換基またはQAr置換基には、QがC1〜4アルキリデン鎖のものがあり、ここで、Qの1個または2個のメチレン単位は、必要に応じて、O、NR、NRCO、NRCO、NRSOまたはCONRで置き換えられ、ここで、各Rは、水素または必要に応じて置換したC1〜4脂肪族基であり、ここで、Arは、3員〜6員の炭素環または必要に応じて置換したフェニル、5員〜6員の複素環またはヘテロアリール環(これは、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する)である。
【0044】
式IのQAr部分のAr基は、必要に応じて、R、OR、N(R)、SOR、ハロゲン、NO、CN、SR、SON(R)、COR、C(O)Rまたはオキソで置換されている。式Iのさらに好ましいQAr基は、O(CHピロリジン−1−イル、O(CHモルホリン−4−イル、O(CH(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、O(CHピペラジン−1−イル、O(CH(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、O(CH(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、NHCOCHピリジン−2−イル、NHCOCH(2−アミノチアゾール−4−イル)、NHCOCHシクロプロピル、NHCO(CH(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、NHCOピロリジン−1−イル、NHCOモルホリン−4−イル、NHCOCHテトラヒドロフラン−2−イル、NHCOテトラヒドロフラン−2−イル、NHCOテトラヒドロピラン−4−イル、NHCOCHテトラヒドロピラン−2−イル、Oフェニル、OCH(シクロヘキシル)、OCHフェニル、OCH(3−CN−フェニル)、OCH(2−NO−フェニル)、OCH(3−NH−フェニル)、OCH(4−COR−フェニル)、OCH−ピリジル、OCH(モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲン化フェニル)、OCH(C〜C脂肪族置換フェニル)、OCHCH−ピロリル、OCH−ピロリルおよびOCH(1個または2個のRで置換したフェニル)から選択される。
【0045】
式IのAr上の好ましいAr置換基は、以下から選択される必要に応じて置換した環である:
(a)フェニル環、インダニル環またはナフチル環;
(b)5員〜6員の複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する;あるいは
(c)5員〜6員の単環式または9員〜10員の二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、酸素、窒素、またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有し、ここで、
Arは、必要に応じて、1個〜2個のR基で置換されている。
【0046】
式IのAr上のさらに好ましいAr置換基は、フェニル、ピリジル、インドリル、ナフチルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリルから選択される、必要に応じて置換した環である。
【0047】
式IのAr上のAr置換基上の好ましいR基は、存在する場合には、R、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、N(R)、C(O)R、SON(R)またはSORから選択される。式IのAr上のAr置換基上のより好ましいR基は、存在する場合には、メチル、エチル、t−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、CF、OMe、OEt、CN、SOMe、SONH、NH、NHMe、N(Me)、SMe、SEt、OH、C(O)Me、NOまたはCHOHから選択される。
【0048】
本発明の1実施形態は、式Iaの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0049】
【化5】

ここで、Arは、上で定義したとおりである。
【0050】
式Iaの好ましいAr基は、式Iについて上で記述したものである。
【0051】
本発明の他の実施形態は、式IIの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0052】
【化6】

ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0053】
式IIの好ましいR基は、式Iについて上で記述したものであり、2個のRが一緒になってメチレンジオキシ置換基またはエチレンジオキシ置換基を形成するものを含む。
【0054】
本発明の好ましい実施形態は、式IIaもしくはIIa’の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0055】
【化7】

ここで、QR、QArおよびRは、上で定義したとおりである。
【0056】
式IIaまたはIIa’の好ましいR基は、式Iの化合物について上で記述したものである。
【0057】
式IIaまたはIIa’の好ましいQR基およびQAr基は、式Iの化合物について上で記述したものである。
【0058】
他の好ましい実施形態は、式IIIの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0059】
【化8】

ここで、R、RおよびQArは、上で定義したとおりである。
【0060】
式IIIの好ましいR基およびQAr基は、式Iについて上で記述したものである。
【0061】
式IIIの好ましいR基は、水素、N(R)、SR、ORまたはTRから選択される。さらに好ましいR基は、OH、OCH、CHOH、CHOCH、CHNHまたはCHNHCHから選択される。
【0062】
他の好ましい実施形態は、式IVの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0063】
【化9】

ここで、RおよびArは、上で定義したとおりである。
【0064】
式IVの好ましいR基およびAr基は、式Iの化合物について上で記述したものである。
【0065】
式Iの代表的な構造を、以下の表1で示す。
【0066】
(表1、式Iの化合物)
【0067】
【表1】






式IIaおよびIIa’の代表的な構造は、以下の表2で示す。
【0068】
(表2、式IIaおよびIIa’の化合物)
【0069】
【表2】





本発明の化合物は、一般に、以下で示す一般図式Iおよび合成実施例により説明されるように、類似の化合物について当業者な公知の方法により、調製され得る。
【0070】
(図式I)
【0071】
【化10】

試薬および条件:(a)DMF−DMA、THF、12〜18時間、室温;(b)HNCN、ジオキサン中の4N HCl、12〜18時間、120℃;(c)エタノール、還流、12〜18時間。
【0072】
上記図式Iは、式Iの化合物を調製するのに使用され得る一般的な合成経路を示す。
【0073】
工程(a)では、2−アセチルチアゾール(1)のTHF溶液は、ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタールで処理され、得られた混合物は、室温で、一晩攪拌される。その反応混合物は、真空中で濃縮され、その濃縮物は、ジエチルエーテルで粉末にされて、2が得られる。
【0074】
工程(b)にて、アニリン3から中間体4を調製するには、3およびシアナミドのHCl(ジオキサン中の4N)混合物は、120℃で、一晩加熱される。室温まで冷却した後、水性ワークアップにより、所望のグアニジン化合物4が得られる。当業者は、工程(b)にて、多種多様なアリールグアニジンが調製され得、それにより、多種多様なAr環を有する式Iの化合物を調製するのに使用され得ることを認識している。
【0075】
工程(c)では、グアニジン4は、封管中にて、エタノール中のエナミノン2と混ぜ合わされる。得られた混合物は、還流状態で、一晩加熱され、次いで、濃縮され、その粗生成物は、カラムクロマトグラフィーで精製されて、所望のピリミジン化合物5が得られる。これらの化合物を生成するのに使用される条件の詳細は、以下の実施例で示す。
【0076】
GSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼのインヒビターとして本発明で使用される化合物の活性は、当該技術分野で公知の方法に従って、以下の実施例で示した方法により、インビトロ、インビボまたは細胞株にて、アッセイされ得る。インビトロアッセイには、活性化したGSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼのリン酸化活性またはATP分解酵素活性のいずれかを決定するアッセイが挙げられる。別のインビトロアッセイは、そのインヒビターがGSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼに結合する能力を定量化する。インヒビターの結合は、そのインヒビターを結合前に放射標識し、インヒビター/GSK3、インヒビター/Aurora2またはインヒビター/Syk複合体を単離し、そして結合した放射標識の量を決定することにより、測定され得る。あるいは、インヒビターの結合は、競争実験を実行することにより決定され得、この場合、新しいインヒビターは、公知の放射性リガンドに結合したGSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼとともにインキュベートされる。GSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼのインヒビターとして本発明で利用される化合物をアッセイする詳細な条件は、以下の実施例で示す。
【0077】
他の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体と、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含有する組成物または薬学的に受容可能な組成物を提供する。本発明の組成物中での化合物の量は、生体試料または患者において、プロテインキナーゼキナーゼ(特に、GSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼキナーゼ)を検出可能に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物が必要な患者に投与するように処方される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者に経口投与するように、処方される。
【0078】
本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0079】
「薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル」との用語は、処方する化合物の薬理学的な活性を損なわない非毒性のキャリア、アジュバントまたはビヒクルを意味する。本発明の組成物で使用され得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書中で使用する「検出可能に阻害する」との用語は、該組成物およびGSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼを含有する試料と、該組成物なしでGSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼを含有する等価試料との間のGSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼの測定可能な変化を意味する。
【0081】
「薬学的に受容可能な誘導体」とは、本発明の化合物の任意の非毒性の塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。本明細書中で使用する「それらの阻害活性代謝物または残留物」との用語は、その代謝物または残留物がまた、GSK3、Aurora2またはSykのプロテインキナーゼのインヒビターでもあることを意味する。
【0082】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導したものが挙げられる。適切な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体は薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で、使用できる。
【0083】
適切な塩基から誘導した塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性または油溶性または水分散性または油分散性の生成物を得ることができる。
【0084】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、または移植したレザバを介して、投与できる。本明細書中で使用する「非経口的」との用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、肝内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含める。好ましくは、これらの組成物は、経口的、腹腔内または静脈内で投与される。本発明の組成物の無菌の注射可能な形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って、処方できる。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用できる受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の非揮発性油が使用されている。
【0085】
この目的には、いずれかのブランドの非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、乳濁液および懸濁液を含めた薬学的に受容可能な剤形を処方する際に、通例、使用される)を含有できる。他の通例使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spansおよび他の乳化剤)または生体利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液状または他の剤形を製造する際に、通例使用される)もまた、処方の目的のために、使用できる。
【0086】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、いずれかの経口的に適切な剤形(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、経口的に投与できる。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的には、添加される。カプセル形状での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液が必要なとき、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。望ましいなら、ある種の甘味料、香料または着色剤を添加してもよい。
【0087】
あるいは、本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、直腸投与のための座剤の形状で投与され得る。これらは、この試薬と、適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で融けて活性成分を放出する)と混合することにより、調製できる。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0088】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を含むとき、局所的に投与できる。これらの領域または器官のそれぞれに適切な局所処方物は、容易に調製される。
【0089】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤処方(上記)により、または適切な浣腸処方にて、行うことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用できる。
【0090】
局所的に適用するためには、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上のキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切な軟膏で、処方できる。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切なローションまたはクリームで処方できる。適切なキャリアには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)と共にまたはそれなしで、pHを調整した等張性無菌生理食塩水の微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整した等張性無菌食塩水溶液として、処方できる。あるいは、眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、軟膏(例えば、ペトロラタム)に処方できる。
【0092】
本発明の薬学的に受容可能な化合物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与され得る。このような薬学的に受容可能な組成物は、薬学的処方物の当該技術分野で周知の技術に従って、調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、調製できる。
【0093】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与用に処方される。
【0094】
単一剤形の組成物を製造するキャリア物質と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、処置される患者および特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、これらの組成物は、これらの組成物を受ける患者に0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量のインヒビターが投与できるように、処方されるべきである。
【0095】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、常食、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、処置する医師の判断、および処置される特定の疾患の重篤度を含む)に依存することが理解できるはずである。この組成物中の本発明の化合物の量はまた、その組成物中の特定の化合物に依存する。
【0096】
治療または予防する特定の状態または疾患に依存して、本発明の組成物中には、その状態を治療または予防するのに通常投与される追加治療剤もまた、存在し得る。本明細書中で使用するように、特定の疾患または状態を治療または予防するのに通常投与される追加治療剤は、「治療する疾患または状態に適切である」として、知られている。
【0097】
例えば、糖尿病の治療では、糖尿病を治療するために、他の抗糖尿病剤が本発明の化合物と併用され得る。これらの薬剤には、注射可能または吸入可能な形状のインシュリン、インシュリン類似物、グリタゾン、スルホニル尿素、α−グリコシダーゼインヒビター、ビグアナイドおよびインシュリン感作物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明のインヒビターと併用され得る薬剤の他の例には、また、以下が挙げられるが、これらに限定されない:化学療法剤(例えば、Gleevec(登録商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロンおよび白金誘導体);アルツハイマー病の治療剤(例えば、Aricept(登録商標)およびExcelon(登録商標));パーキンソン病の治療剤(例えば、L−DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピンロール、プロミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキシフェンジルおよびアマンダジン);多発性硬化症(MS)の治療剤(例えば、β−インターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)およびミトキサントロン);喘息の治療剤(例えば、アルブテロールおよびSingulair(登録商標));精神分裂病の治療剤(例えば、ジプレキサ、リスパダール、セロクエルおよびハロペリドール);抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、TNF遮断剤、IL−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびスルファサラジン);免疫調節剤または免疫抑制剤(例えば、サイクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、MAOインヒビター、インターフェロン、抗痙攣剤、イオンチャンネル遮断剤、リルゾールおよび抗パーキンソン病剤);循環器疾患の治療剤(例えば、β−遮断剤、ACEインヒビター、利尿剤、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断剤およびスタチン);肝臓疾患の治療剤(例えば、コルチコステロイド、コレステラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス剤);血液障害の治療剤(例えば、コルチコステロイド、抗白血病剤および成長因子);および免疫不全障害の治療剤(γ−グロブリン)。
【0099】
本発明の組成物中に存在する追加治療剤の量は、唯一の活性剤としてその治療剤を含有する組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、現在開示された組成物中の追加治療剤の量は、唯一の活性剤としてその治療剤を含有する組成物中で存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0100】
他の実施形態によれば、本発明は、生体試料において、GSK3プロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する方法に関し、該方法は、該生体試料を、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0101】
他の実施形態によれば、本発明は、生体試料において、Aurora2プロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する方法に関し、該方法は、該生体試料を、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0102】
他の実施形態によれば、本発明は、生体試料において、Sykプロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する方法に関し、該方法は、該生体試料を、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0103】
本明細書中で使用する「生体試料」との用語は、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺乳動物またはその抽出物から得られる生検材料;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
生体試料でのGSK3、Aurora2またはSykプロテインキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例には、輸血、臓器移植、生体試料の保存および生物的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
他の実施形態によれば、本発明は、患者において、GSK3が媒介する疾患または状態を治療するかその症状を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0106】
本明細書中で使用する「GSK3が媒介する疾患」または「GSK3が媒介する状態」との用語は、GSK3プロテインキナーゼが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。このような状態には、糖尿病、神経変性障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏症、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、発作、心筋細胞肥大および禿頭症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において、Aurora2が媒介する疾患または状態を処置するかその症状を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0108】
本明細書中で使用する「Aurora2が媒介する疾患」または「Aurora2が媒介する状態」とは、Aurora2プロテインキナーゼが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。このような状態には、癌(例えば、結腸癌および乳癌)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
別の実施形態によれば、本発明は、患者において、Sykが媒介する疾患または状態を処置するかその症状を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0110】
本明細書中で使用する用語「Sykが媒介する疾患」または「Sysが媒介する状態」とは、Sykプロテインキナーゼが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。このような病気には、アレルギー障害(例えば、喘息)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
代替実施形態では、追加治療剤を含有しない組成物を利用する本発明の方法は、前記患者に、追加治療剤を別々に投与する追加工程を包含する。これらの追加治療剤は、別々に投与されるとき、本発明の組成物の投与前、投与と連続して、または投与後、投与され得る。
【0112】
本発明をさらに十分に理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことが理解できるはずである。
【実施例】
【0113】
(実施例)
(実施例1)
【0114】
【化11】

3−ジメチルアミノ−1−チアゾール−2−イル−プロペノン(2):2−アセチルチアゾール(500mg、3.93mmol)のTHF(2mL)溶液に、ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール(1.6ml、7.86mmol)を加え、得られた溶液を、室温で、一晩攪拌した。この反応混合物をエバポレートし、その残留物を酢酸エチルで粉砕し、その生成物を濾過により単離した。濾過した固体をジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して、黄色固体として、2(400mg)を得た。
【0115】
(実施例2)
【0116】
【化12】

N−(3−ベンジルオキシ−フェニル)−グアニジン(4):3−ベンジルオキシアニリン(1g、5mmol)およびシアナミド(420mg、10mmol)を、ジオキサン中4NのHCl(4mL)に溶解し、そして120℃で、一晩加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水でクエンチし、そしてジエチルエーテルで抽出した。その水層を2N NaOHで塩基性にし、そしてジクロロメタンで3回抽出した。その有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして濃縮して、淡褐色固体として、4(450mg)を得た。
【0117】
(実施例3)
【0118】
【化13】

(3−ベンジルオキシ−フェニル)−(4−チアゾール−2−イル−ピリミジン−2−イル)−アミン(I−7):3−ベンジルオキシグアニジン4(50mg、0.20mmol)およびエナミノン2(50mg、0.27mmol)のエタノール(3mL)溶液を、封管中にて、加熱還流した。この反応混合物を濃縮し、その残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物I−7(20mg)を得た。M+1(obs)347.1。R=4.28分。
【0119】
(実施例4)
本発明者は、上記実施例1〜3で記述したものおよびスキームIで図示したものと実質的に類似の方法により、式Iの他の化合物を調製した。これらの化合物についての特徴付けデータは、以下の表3で要約し、LC/MS(観察されたM+1)、HPLCおよびHNMRデータを含む。
【0120】
「R(分)」との用語は、以下のHPLC法を使用した保持時間(分)を意味し、これは、その化合物に関連している。このRは、5分間にわたって、水中で10→90%CHCNの勾配を使い、4nMの増分で、平均190〜380nMとして検出した吸光度を使って、周囲温度で、Waters ODS−AQ(2×50mm)を使用して、決定した。
【0121】
「Y」との用語は、得られたHNMRデータが帰属した構造と一致していることが分かったことを示す。化合物番号は、表1で列挙した化合物番号に対応している。
【0122】
(表3、式Iの選択化合物の特徴付けデータ)
【0123】
【表3−1】

【0124】
【表3−2】

(実施例5)
(GSK−3阻害アッセイ)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがGSK3−P(AA 1−420)の活性を阻害する能力について、スクリーンした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgC1、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、10μm ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および300μMペプチド(HSSPHQS(PO)EDEEE,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応は、30℃および60nM GSK−3βで実行した。この結合酵素系の化合物の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、300μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸脱水素酵素であった。
【0125】
ATPおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有するアッセイストック緩衝液を調製した。試験反応物59μlを、96ウェルの1/2直径プレート(Corning,Corning,NY)に入れ、次いで、この試験化合物を含有する2mM DMSO(1μl)で処理した(最終化合物濃度、30μM)。このプレートを、30℃で、約10分間インキュベートし、次いで、ATP7μl(最終濃度、10μM)を加えることにより、その反応を開始した。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレート読み取り値(Sunnyvale,CA)を使用して、反応速度を得た。DMSOを含有するが化合物を含有しない標準ウェルと対比して50%より高い阻害を示す化合物を滴定し、K値を決定した。
【0126】
表4は、GSK3阻害アッセイでの本発明の選択化合物の活性結果を示す。化合物番号は、表1の化合物番号に対応している。0.1マイクロモル(μM)より低いKを有する化合物は、「A」と評定し、0.1μMと1μMとの間のKを有する化合物は、「B」と評定し、そして1μMより高いKを有する化合物は、「C」と評定する。
【0127】
(表4、選択化合物のGSK3−β活性)
【0128】
【表4−1】

【0129】
【表4−2】

(実施例6)
(Aurora2阻害アッセイ)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがAurora2の活性を阻害する能力について、スクリーンした。0.1M HEPES 7.5、10mM MgCl、1mM DTT、25mM NaCl、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300mM NADH、30mg/mlピルビン酸キナーゼ、10mg/ml乳酸脱水素酵素、40mM ATPおよび800μMペプチド(LRRASLG,American Peptide,Sunnyvale,CA)を含有するアッセイストック緩衝液に、30μMの最終濃度まで、本発明の化合物のDMSO溶液を加える。得られた混合物を、30℃で、10分間インキュベートする。このアッセイにおいて、70nMの最終濃度を得るために、Aurora2ストック溶液10μLを加えることにより、その反応を開始した。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、BioRad Ultramarkプレート読み取り値(Hercules,CA)を使用して、340nmでの吸光度をモニターすることにより、反応速度を得た。インヒビター濃度の関数として、この速度データから、そのIC50値を決定する。
【0130】
表5は、Aurora2阻害アッセイでの本発明の選択化合物の活性結果を示す。化合物番号は、表1の化合物番号に対応している。0.5マイクロモル(μM)より低いIC50を有する化合物は、「A」と評定し、0.5μMと2μMとの間のIC50を有する化合物は、「B」と評定し、そして2μMより高いIC50を有する化合物は、「C」と評定する。
【0131】
(表5、選択化合物のAurora2活性)
【0132】
【表5−1】

【0133】
【表5−2】

(実施例7)
(Syk阻害アッセイ)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがSykの活性を阻害する能力について、スクリーンした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgC1、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、200μM ATP(Sigma Chemical Co.)および4μMポリGly−Tyrペプチド(Sigma Chemical Co.)であった。アッセイは、30℃および200nM Sykで実行した。この結合酵素系の化合物の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、300μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸脱水素酵素であった。
【0134】
Syk、DTTおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有するアッセイストック緩衝液を調製した。試験反応物56μlを、96ウェルプレートに入れ、続いて、この試験化合物を含有する2mM DMSOストック1μlで処理した(最終化合物濃度、30μM)。このプレートを、30℃で、約10分間プレインキュベートし、そして酵素10μl(最終濃度、25nM)を加えることにより、その反応を開始した。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、BioRad Ultramarkプレート読み取り値(Hercules,CA)を使用して、反応速度を得た。DMSOを含有するが化合物を含有しない標準ウェルと対比して>50%を示す化合物を滴定し、類似のプロトコルを使用して、IC50を決定した。
【0135】
表6は、Syk阻害アッセイでの本発明の選択化合物の活性結果を示す。化合物番号は、表1の化合物番号に対応している。0.5マイクロモル(μM)より低いIC50を有する化合物は、「A」と評定し、0.5μMと2μMとの間のIC50を有する化合物は、「B」と評定し、そして2μMより高いIC50を有する化合物は、「C」と評定する。
【0136】
(表6、選択化合物のSyk活性)
【0137】
【表6】

本発明者は、本発明の多数の実施形態を記述しているものの、本発明者の基本的な例は、他の実施形態(これらは、本発明の化合物および方法を利用する)を提供するように変更できることが明らかである。従って、本発明の範囲は、特定の実施形態(これらは、一例として、表わされている)よりもむしろ、添付の請求の範囲で規定され得ることが理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化14】

の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体であって、
ここで、
は、R、ハロゲン、CN、NOまたはTRから選択され;
Tは、必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Tの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、O、N(R)、C(O)、S、SOまたはSOで置き換えられる;
各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族基から選択され、ここで、同じ窒素原子に結合した2個のRは、必要に応じて、該窒素と一緒になって、3員〜7員の飽和環、部分不飽和環または完全不飽和環を形成し、該3員〜7員環は、そこに結合した該窒素に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され;
Arは、以下:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリール環、
から選択される必要に応じて置換された環であり、ここで、
Arは、必要に応じて、以下:
(a)QR、ArまたはQArから選択される1個の基;および
(b)4個までのR基、
からなる群から選択される1個〜4個の置換基で置換されており;
各Qは、別個に、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖から選択され、ここで、
Qの1個または2個の非隣接メチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)C(O)−、−NRC(O)−、NRCO−、−NRC(O)NR−、−S(O)−、−SO−、−NRSO−、−SONR−または−NRSONR−で置き換えられる;
各Arは、以下:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリール環、
から別個に選択される必要に応じて置換された環であり:ここで、
Arは、1個〜4個のR基により、必要に応じて、置換される;そして
各Rは、別個に、R、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、N(R)、NRCOR、NRCON(R)、NRCOR、C(O)R、COR、CON(R)、OC(O)N(R)、SOR、SOR、SON(R)、NRSOR、NRSON(R)、C(O)C(O)RまたはC(O)CHC(O)Rから選択され、ここで、
ArまたはAr上の隣接位置にある2個のRは、必要に応じて、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜6員環を形成し、該4員〜6員環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有し;
但し、
(a)Arがフェニルのとき、2個のRは、Arのメタ位置およびパラ位置で同時にORにはならず;そして
(b)Rは、CN以外である、
化合物。
【請求項2】
Arが、以下:
(a)フェニル環、インダニル環またはナフチル環;
(b)5員〜6員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式ヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、1個〜2個の窒素を有する、ヘテロアリール環
から選択される環である、請求項1に記載の化合物であり、ここで、
Arは、以下:
(a)QR、ArまたはQArから選択される1個の基;および
(b)4個までのR基、
からなる群から選択される1個〜4個の置換基で置換されている、化合物。
【請求項3】
Arが、フェニル環、インダニル環、ナフチル環、ピリミジニル環またはピリジル環から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、以下:
(a)QRまたはQArから選択される1個の基;および
(b)4個までのR基、
からなる群から選択される1個〜4個の置換基で置換されている、請求項2または3のいずれかに記載の化合物であって、ここで、
各Rは、ハロゲン、CN、COR、R、NO、OR、ハロアルキル、SON(R)またはN(R)から別個に選択され;
各Qは、C1〜4アルキリデン鎖から別個に選択され、ここで、Qの1個または2個のメチレン単位は、必要に応じて、O、NH、NHCO、NHCO、NHSOまたはCONHで置き換えられる;そして
Arは、3員〜6員炭素環または必要に応じて置換されたフェニル環、または5員〜6員複素環またはヘテロアリール環であり、該複素環または該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個または2個のヘテロ原子を有する、
化合物。
【請求項5】
Arが、Arで置換されており、必要に応じて、1個〜2個のR置換基で置換されている、請求項2または3のいずれかに記載の化合物であって、ここで、
各Arは、以下:
(a)フェニル環、インダニル環またはナフチル環;
(b)5員〜6員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式または9員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、酸素、窒素またはイオウから別個に選択される1個〜2個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリール環、
から別個に選択される必要に応じて置換された環であり:ここで、
Arは、1個〜2個のR基により、必要に応じて、置換されており;そして
各Rは、R、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、N(R)、C(O)R、SON(R)またはSORから別個に選択される、
化合物。
【請求項6】
以下の表1の化合物から選択される、化合物:
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【請求項7】
以下の表2の化合物から選択される、化合物:
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【請求項8】
GSK3、Aurora2またはSykプロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する量の請求項1に記載の化合物、および薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含有する、組成物。
【請求項9】
さらに、抗糖尿病剤、化学療法剤または抗増殖剤、アルツハイマー病の治療剤、パーキンソン病の治療剤、多発性硬化症(MS)の治療剤、喘息の治療剤、精神分裂病の治療剤、抗炎症剤、免疫調節剤または免疫抑制剤、神経栄養因子、循環器疾患の治療剤、肝臓疾患の治療剤、血液障害の治療剤、または免疫不全障害の治療剤から選択される追加治療剤を含有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
生体試料において、GSK3、Aurora2またはSykプロテインキナーゼ活性を検出可能に阻害する方法であって、該方法は、該生体試料を、以下:
a)請求項8に記載の組成物;または
b)式I:
【化25】

の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体、
と接触させる工程を包含する方法であって、
ここで、
は、R、ハロゲン、CN、NOまたはTRから選択され;
Tは、必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Tの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、O、N(R)、C(O)、S、SOまたはSOで置き換えられ;
各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族基から選択され、ここで、同じ窒素原子に結合した2個のRは、必要に応じて、該窒素と一緒になって、3員〜7員の飽和環、部分不飽和環または完全不飽和環を形成し、該3員〜7員環は、そこに結合した該窒素に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され;
Arは、以下:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリール環、
から選択される必要に応じて置換された環であり、ここで、
Arは、必要に応じて、以下:
(a)QR、ArまたはQArから選択される1個の基;および
(b)4個までのR基、
から選択される1個〜4個の置換基で置換されており;
各Qは、原子価結合または必要に応じて置換されたC1〜6アルキリデン鎖から別個に選択され、ここで、
Qの1個または2個の非隣接メチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)C(O)−、−NRC(O)−、NRCO−、−NRC(O)NR−、−S(O)−、−SO−、−NRSO−、−SONR−または−NRSONR−で置き換えられ;
各Arは、以下:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリール環、
から選択される必要に応じて置換された環であり:ここで、
Arは、1個〜4個のR基により、必要に応じて、置換されており;そして
各Rは、別個に、R、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、N(R)、NRCOR、NRCON(R)、NRCOR、C(O)R、COR、CON(R)、OC(O)N(R)、SOR、SOR、SON(R)、NRSOR、NRSON(R)、C(O)C(O)RまたはC(O)CHC(O)Rから選択され、ここで、
ArまたはAr上の隣接位置にある2個のRは、必要に応じて、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜6員環を形成し、該4員〜6員環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する、
方法。
【請求項11】
患者において、GSK3、Aurora2またはSykが媒介する疾患または状態を治療するかまたはその症状を軽減する方法であって、該方法は、該患者に、以下:
a)請求項8に記載の組成物;または
b)式I:
【化26】

の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体、
を投与する工程を包含し、
ここで、
は、R、ハロゲン、CN、NOまたはTRから選択され;
Tは、必要に応じて置換されたC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Tの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、O、N(R)、C(O)、S、SOまたはSOで置き換えられ;
各Rは、水素または必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族基から別個に選択され、ここで、同じ窒素に結合した2個のRは、必要に応じて、該窒素と一緒になって、3員〜7員の飽和環、部分不飽和環または完全不飽和環を形成し、該3員〜7員環は、そこに結合した該窒素に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され;
Arは、以下:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリール環、
から選択される必要に応じて置換された環であり、ここで、
Arは、必要に応じて、以下:
(a)QR、ArまたはQArから選択される1個の基;および
(b)4個までのR基、
から選択される1個〜4個の置換基で置換されており;
各Qは、原子価結合または必要に応じて置換されたC1〜6アルキリデン鎖から別個に選択され、ここで、
Qの1個または2個の非隣接メチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)C(O)−、−NRC(O)−、NRCO−、−NRC(O)NR−、−S(O)−、−SO−、−NRSO−、−SONR−または−NRSONR−で置き換えられる;
各Arは、以下:
(a)3員〜8員単環式または8員〜10員二環式の飽和環、部分不飽和環またはアリール環;
(b)3員〜7員複素環であって、該複素環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、複素環;または
(c)5員〜6員単環式または8員〜10員二環式のヘテロアリール環であって、該ヘテロアリール環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する、ヘテロアリール環、
から選択される必要に応じて置換された環であり、ここで、
Arは、1個〜4個のR基により、必要に応じて、置換されており;そして
各Rは、R、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、N(R)、NRCOR、NRCON(R)、NRCOR、C(O)R、COR、CON(R)、OC(O)N(R)、SOR、SOR、SON(R)、NRSOR、NRSON(R)、C(O)C(O)RまたはC(O)CHC(O)Rから別個に選択され、ここで、
ArまたはAr上の隣接位置にある2個のRは、必要に応じて、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜6員環を形成し、該4員〜6員環は、窒素、酸素またはイオウから別個に選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する、
方法。
【請求項12】
前記GSK3が媒介する疾患が、糖尿病、神経変性障害、CNS障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症(MS)、発作、精神分裂病、心筋細胞肥大、躁鬱病または禿頭症から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記Aurora2が媒介する疾患が、癌から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記Sykが媒介する疾患が、アレルギー障害から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記患者に、抗糖尿病剤、化学療法剤または抗増殖剤、アルツハイマー病の治療剤、パーキンソン病の治療剤、多発性硬化症(MS)の治療剤、喘息の治療剤、精神分裂病の治療剤、抗炎症剤、免疫調節剤または免疫抑制剤、神経栄養因子、循環器疾患の治療剤、肝臓疾患の治療剤、血液障害の治療剤、または免疫不全障害の治療剤から選択される追加治療剤を投与する追加工程を包含し、
該追加治療剤が、治療する疾患に適当であり、そして
該追加治療剤が、単一用量形態として、前記組成物と共に投与されるか、または複数用量形態の一部として、該組成物とは別に投与される、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2006−516110(P2006−516110A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−500084(P2003−500084)
【出願日】平成14年5月23日(2002.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2002/016352
【国際公開番号】WO2002/096905
【国際公開日】平成14年12月5日(2002.12.5)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】