説明

プロピレンオキサイドの製造方法

【課題】プロピレンのプロピレンオキサイドへの接触気相酸化反応の選択性を高め、反応器内で使用可能な内部管単位体積当たりのプロピレンオキサイドの生産率を高め、さらに同時に反応管の全長の温度特性を制御することで、特に反応の暴走及び爆発のリスクについて反応の安全性を向上させたプロピレンオキサイドの製造方法を提供すること。
【解決手段】管型反応器の中で、酸素分子によるプロピレンの接触気相酸化反応によってプロピレンオキサイドを製造する方法であって、該管型反応器は入口チャンバー、中央チャンバー、出口チャンバーを備えており、該中央チャンバーは、反応ガス流と接触してプロピレンオキサイドを生成させる固体触媒を充填した反応管の束を有しており、方法は、該反応管の内部断面積が、該反応管の入口と出口の間で該反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少し、任意の残りの部分にわたって一定であることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレンの接触気相酸化反応によるプロピレンオキサイドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素分子によるプロピレンの接触気相酸化反応の発熱量は非常に大きいことが知られている。通常、管型反応器で、特に垂直多管シェル交換型反応器または垂直シェル管交換型反応器で反応が行われる。一般的には、該管型反応器は、プロピレン及び酸素分子を含む反応ガス流が横切る3つの連続して隣接するチャンバー:反応ガス流の入口チャンバーと、接触反応の結果、プロピレンオキサイドがガス流に形成される中央チャンバーと、生じたガス流の出口チャンバーとを備えている。中央チャンバーは、一般的には反応ガス流と接触してプロピレンオキサイドを生成させる固体触媒を充填した、熱交換流体に浸漬された反応管の束を有している。反応ガス流は反応管の内部に通って、触媒と接触することで反応の結果、プロピレンオキサイドがガス流に生成する。各々の該反応管は、入口チャンバーに繋がる入口と出口チャンバーに繋がる出口を有する。各々の反応管において、反応管の入口から出口までの3つの連続した領域は、一般的には、ガス流の流れる方向に向かって、管の入口近くに位置する予熱領域、反応領域、及び管の出口近くに位置するクエンチ又は冷却領域とみなされている。
プロピレンの接触気相酸化反応の所望の生成物は、プロピレンオキサイドである。しかし、望まれない副反応、すなわちプロピレン及びプロピレンオキサイドの二酸化炭素と水への完全酸化、プロピレンオキサイドのプロピオンアルデヒドへの異性化、プロピレンのアクロレインへの酸化等も生じうる。この副反応によって、プロピレンのプロピレンオキサイドへの接触気相酸化反応の選択率低下が生じる。
【0003】
プロピレンオキサイドの製造でいくつかの問題が同時に発生する。最も深刻な問題は、プロピレンの接触気相酸化反応の大きな発熱量と、特に反応ガス混合物が管型反応器に入る入口から反応で生成するガス混合の出口までの反応管の全長にわたる反応温度の制御に関係する。本反応の主要なリスクは、排気管爆発として一般に知られている反応暴走につながるホットスポットの形成と、二酸化炭素、一酸化炭素およびアクロレイン、プロピオンアルデヒド等のアルデヒドの生成とである。これら副生物のいくつかは、プロピレンオキサイドから後に分離することが特に困難である。制御が不十分であり、特に反応管の全長に沿って上昇する不規則な反応温度特性は、ホットスポットだけではなく、高すぎる最終温度にも繋がりうる。ホットスポットと高すぎる最終温度は、プロピレンオキサイドの反応選択率にも影響を与える。さらに、局所的な高温および高すぎる最終温度は、ガス混合物の最高燃焼温度値に到達することもあり、それによって爆発が引き起こされる可能性もある。
【0004】
エチレンの接触気相酸化反応において、上記に類する問題の解決策が、様々な複雑な方法で上記問題を部分的に解決するために提案されている。AU211242には、アルミナ球等の不活性の小片で充填された入口領域と空の出口領域とを含む従来の反応管を備える管型反応器を用いたエチレンオキサイドの製造方法が提案されている。2つの領域の間で、反応管は、入口領域と出口領域の間で触媒濃度が上昇する銀ベースの担持触媒を充填した反応領域を含む。その結果、反応管の入口から出口に、反応ガス流の流れる方向に向かって、反応管に沿って触媒活性が増加する。
US5292904には、管の入口近くに位置する予熱領域と、管の出口近くに位置する冷却領域とを備え、それら領域が耐火物アルミナ等の不活性耐火物で充填されている従来の反応管を備える管型反応器を用いたエチレンオキサイドの製造方法が提案されている。
WO02/26370には、管の入口近くに位置する上流領域と、管の出口近くに位置する下流領域とを備え、それらの領域が反応管の全長の1〜20%程度の長さで主に棒の形の熱交換装入物を含む従来の反応管を備えた管型反応器を用いた接触気相酸化反応が提案されている。この方法をエチレンオキサイドの製造に用いる場合、反応管の上流領域と下流領域が装入物を含み、上流領域に含まれる装入物は反応管の全長の1〜10%の長さを占め、下流領域に含まれる装入物は上流領域に含まれる装入物の2倍の長さを占める。しかし、すべての場合に触媒は反応管の中央領域のみに配置され、反応管の大部分が熱交換を促進するために不活性の固体材料で満たされることが記載されている。従って、従来の反応管の相対的に多くの部分は、エチレンオキサイド製造のために用いられておらず、反応器で使用可能な内部管の単位体積当たりのエチレンオキサイドの生産率に影響を与える。
【0005】
WO03/01149には、有機化合物の発熱的な化学反応に用いられる管型反応器が記載されている。管型反応器は、触媒で充填され、反応ガス流が内部を流れる反応管が備えられている。各反応管は、連続する領域を有しており、その各下流領域は隣接する上流領域よりも断面積が小さく、または好ましくはより大きい。しかし、図に示されているのは、反応管の断面積が、管状反応器内の前の上流領域よりも大きいものだけである。また、その管型反応器は、特に無水マレイン酸の製造のために用いられ、さらに無水フタル酸、エチレンオキサイド、アクリル酸、酢酸ビニルまたはエチレンジクロライド等の他の有機化合物を製造するために用いられる。
DE2929300には、内部を流体が流れ、触媒で充填された反応管が備えられ、その反応管が熱放出流体又は熱吸収流体と接触する、吸熱反応又は発熱反応に用いるための触媒反応器であって、反応完結に必要な熱量、又は反応中に放出される熱量に応じて、反応流体の流れる方向に沿って、反応管の断面積を変えることを特徴とする触媒反応器が記載されている。しかし、図1及び図4では、反応管の断面積は、反応流体の流れる方向に沿って、最初減少して、その後増加する。図2では、断面積は、最初増加して、その後減少する。図3では、反応器内のいくつかの反応管は断面積が増加するが、他の反応管では減少する。図5では、断面積が減少する。DE2929300に記述された反応器は、メタノール又はアンモニアの合成に用いることが提案されている。図2の反応器は特に発熱反応であるメタノール合成のために用いられる。
特許文献1には、エチレンの接触気相酸化反応によるエチレンオキサイドの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2004/056463
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の従来の技術的問題を解決するプロピレンオキサイドの製造方法を提供することにある。特に、プロピレンのプロピレンオキサイドへの接触気相酸化反応の選択率を高め、反応器内で使用可能な内部管単位体積当たりのプロピレンオキサイドの生産率を高め、さらに同時に反応管の全長の温度特性を制御することで、特に反応の暴走及び爆発のリスクについて反応の安全性を向上させたプロピレンオキサイドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。
[1] 管型反応器の中で、酸素分子によるプロピレンの接触気相酸化反応によってプロピレンオキサイドを製造する方法であって、
該管型反応器は、プロピレン及び酸素分子を含む反応ガス流が横切る3つの連続して隣接するチャンバー:反応ガス流の入口チャンバーと、反応の結果生じるプロピレンオキサイドを含有するガス流を形成する中央チャンバーと、生じたガス流の出口チャンバーとを備えており、
該中央チャンバーは、反応ガス流と接触してプロピレンオキサイドを生成させる固体触媒を充填した、熱交換流体に浸漬された反応管の束を有しており、
各々の該反応管は、入口チャンバーに繋がる入口と出口チャンバーに繋がる出口を有しており、
該反応管の内部断面積が、該反応管の入口と出口の間で該反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少し、任意の残りの部分にわたって一定であることを特徴とする方法。
【0009】
[2] 該反応管の内部断面積が連続的に減少する、[1]記載の方法。
[3] 該反応管の内部断面積が、不連続に、好ましくは段階ごとに減少する、[1]記載の方法。
[4] 該反応管の入口の内部断面積(A1)が、該反応管の出口の内部断面積(A2)よりも1.5倍〜12倍、好ましくは2倍〜10倍、より好ましくは3倍〜9倍大きい、[1]〜[3]のいずれか記載の方法。
[5] 該反応管の内部断面積の減少が、該反応管の全長にわたって1回だけか、該反応管の全長の一部にわたって連続的に、又は不連続に、好ましくは段階ごとに、例えば該反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前で減少するようになされている、[1]〜[4]のいずれか記載の方法。
[6] 該反応管の内部断面積の減少が、該反応管の全長にわたって2回以上か、該反応管の全長の2ケ所以上にわたって連続的に、又は不連続に、好ましくは2ケ所以上で段階的に、例えば該反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前で最初に減少するようになされている、[1]〜[4]のいずれか記載の方法。
[7] 該反応管の長さ(L)が6m〜20m、好ましくは8m〜15mであり、該反応管の入口の内部断面積(A1)が12cm〜80cm、好ましくは16cm〜63cmであり、該反応管の出口の内部断面積(A2)がA1より小さく、1.2cm〜16cm、好ましくは1.8cm〜12cmである、[1]〜[6]のいずれか記載の方法。
【0010】
[8] 該反応管は円筒形であって円形の内部断面を示し、その円形の内部断面の内径(Di)が該反応管の入口と出口の間で該反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少し、任意の残りの部分にわたって一定である、[1]〜[7]のいずれか記載の方法。
[9] 該反応管の入口の内径(D1i)が、該反応管の出口の内径(D2i)よりも1.2〜3.5倍、好ましくは1.4〜3.1倍、より好ましくは1.7〜3倍長い、[8]記載の方法。
[10] 該反応管の長さ(L)が6m〜20m、好ましくは8m〜15mであり、該反応管の入口の内径(D1i)が38mm〜100mm、好ましくは45mm〜90mmであり、該反応管の出口の内径(D2i)がD1iより小さく、12mm〜45mm、好ましくは15mm〜40mmである、[8]記載の方法。
[11] 該反応管の壁の厚さが該反応管の入口から出口まで一定である、[1]〜[10]のいずれか記載の方法。
[12] 該反応管の壁の厚さが該反応管の入口から出口まで異なる、[1]〜[10]のいずれか記載の方法。
[13] 該反応管の外径が該反応管の入口と出口の間で一定であり、好ましくは該反応管の入口の外径と等しい、[8]〜[10]のいずれか記載の方法。
【0011】
[14] 該反応管の束を浸漬する熱交換流体が、加圧下で過熱した水、及び有機熱媒体、好ましくは油又は炭化水素の混合物から選択される、[1]〜[13]のいずれか記載の方法。
[15] 該有機熱媒体が、100〜1500kPa、好ましくは200〜800kPa、より好ましくは200〜600kPaのゲージ圧で使用される、[14]記載の方法。
[16] 該過熱水が、1500〜1800kPaのゲージ圧で使用される、[14]記載の方法。
[17] 該反応管の反応ガス流の温度が、140〜350℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは190〜280℃の範囲で選択される、[1]〜[16]のいずれか記載の方法。
[18] 該反応ガス流が、100〜200℃、好ましくは140〜190℃の温度で予熱される、[1]〜[17]のいずれか記載の方法。
[19] 反応の結果生じるガス流の該反応管の出口での温度が、反応ガス流によって該反応管内で獲得した最高温度のまま維持され、または好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下、最も好ましくは230℃、特に180〜250℃の範囲、好ましくは190〜240℃の範囲、より好ましくは200〜230℃の範囲から選択される温度にまで下がる、[1]〜[18]のいずれか記載の方法。
[20] プロピレンの接触気相酸化反応が、金属触媒存在下でプロピレン及び酸素分子を反応させる、[1]〜[19]のいずれか記載の方法。
[21] 金属触媒が、(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒である、[20]記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプロピレンオキサイドの製造方法によれば、プロピレンのプロピレンオキサイドへの触媒酸化反応の選択性を高め、反応器内で使用可能な内部管単位体積当たりのプロピレンオキサイドの生産率を高め、さらに同時に反応管の全長の温度特性を制御することで、特に反応の暴走及び爆発のリスクについて反応の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明方法で使用される反応管を備えた管型反応器を表す図である。
【図2】本発明方法で使用される様々な反応管を表す図である。
【図3】本発明方法で使用される様々な反応管を表す図である。
【図4】本発明方法で使用される様々な反応管を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が適用できるプロピレンの接触気相酸化反応としては、例えば、金属酸化物等を含有するような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素分子を反応させる製法等が挙げられる。このような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素分子を反応させる製法については、例えば、WO2011/075458、WO2011/075459、WO2012/005822、WO2012/005823、WO2012/005824、WO2012/005825、WO2012/005831、WO2012/005832、WO2012/005835、WO2012/005837、WO2012/009054、WO2012/009059、WO2012/009058、WO2012/009053、WO2012/009057、WO2012/009055、WO2012/009052、WO2012/009056等に記載されている。その製法において用いる触媒としては、下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)及び(j)からなる群から選ばれる少なくとも2種を含む触媒が挙げられる。
(a)銅酸化物
(b)ルテニウム酸化物
(c)マンガン酸化物
(d)ニッケル酸化物
(e)オスミウム酸化物
(f)ゲルマニウム酸化物
(g)クロミウム酸化物
(h)タリウム酸化物
(i)スズ酸化物
(j)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分
好ましくは(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒であり、より好ましくは(a)銅酸化物、(b)ルテニウム酸化物及び(j)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分を含有する触媒である。
【0015】
本発明によれば、特に、反応管の入口から出口に(例えば、反応ガス流の流れる方向に)、反応管の内部断面積が、反応管の全長にわたって減少する、又は反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少して、残りの部分にわたって一定である場合、反応管の全長の比較的安定な反応温度特性を得ることができ、反応の暴走を避けることでき、反応の最終温度を著しく低下することができ、また同時にプロピレンオキサイドへの反応の選択率と生産量が向上する。特に、反応管は、反応管の内部断面積が反応ガス流の流れる方向には反応管のいかなる部分にわたっても増加しない形状を有する。断面積は、連続的に、又は好ましくは不連続に、特に段階ごとに減少してもよい。さらに、好ましくは反応器のすべての反応管は前記の通りの断面を有する。
反応管の入口の内部断面積(A1)が、反応管の出口の内部断面積(A2)よりも1.5倍〜12倍、好ましくは2倍〜10倍、より好ましくは3倍〜9倍大きいとき、本発明の効果は特に顕著である。
【0016】
それに加えて、以下の条件では本発明の効果はさらに特に顕著である。反応管の内部断面積の減少が、反応管の全長にわたって1回だけか、反応管の全長の一部にわたって連続的にか、又は不連続に、好ましくは段階ごとになされている場合、反応ガス流の流れる方向で長くとも、反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前、好ましくは最後の4分の1の前、特に最後の3分の1の前、より好ましくは最後の2分の1の前、又は短くとも反応管の全長の最初の3分の1よりも後ろで、減少させてもよい。反応管の内部断面積の減少が、反応管の全長にわたって2回以上か、反応管の全長の2ケ所以上にわたって連続的にか、又は不連続に、好ましくは2ケ所以上で段階的になされている場合、反応ガス流の流れる方向で最初に長くとも、反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前、好ましくは最後の4分の1の前、特に最後の3分の1の前、より好ましくは最後の2分の1の前、又は反応管の全長の最初の3分の1よりも後ろで、減少させてもよい。
例えば、反応管の長さ(L)は6m〜20m、好ましくは8m〜15mであり、反応管の入口の内部断面積(A1)は12cm〜80cm、好ましくは16cm〜63cmであり、該反応管の出口の内部断面積(A2)はA1より小さく、1.2cm〜16cm、好ましくは1.8cm〜12cmである。
【0017】
管型反応器は、一般的には垂直シェル管交換型反応器、すなわち反応管の垂直方向の束を有する管型反応器である。反応管の束とは、一般的には、相互に独立した平行の反応管の集合体を意味する。本発明の実用的な形態によれば、反応管は円筒形であって円形の内部断面を示し、その円形の内部断面の内径(Di)が該反応管の入口と出口の間で該反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少し、任意の残りの部分にわたって一定である。したがって、反応器の入口から出口で反応管の内径(Di)は反応管の全長にわたって減少してもよく、又は反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少し、残りの部分に渡って一定であってよい。内径(Di)は該反応管の入口と出口の間で連続的に、又は不連続に、特に段階ごとに減少する。特に、反応管の入口の内径(D1i)が、該反応管の出口の内径(D2i)よりも1.2〜3.5倍、好ましくは1.4〜3.1倍、より好ましくは1.7〜3倍長いときに、良好な効果が得られる。
【0018】
以下の条件では本発明の効果は顕著である。反応管の内径(Di)が、反応管の全長にわたって1回だけか、反応管の全長の一部にわたって連続的にか、又は不連続に、特に段階ごとに減少する場合、反応ガス流の流れる方向で長くとも、反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前、好ましくは最後の4分の1の前、特に最後の3分の1の前、より好ましくは最後の2分の1の前、又は短くとも反応管の全長の最初の3分の1よりも後ろで、Diを減少させてもよい。反応管の内径(Di)が、反応管の全長にわたって2回以上か、反応管の全長の2ケ所以上にわたって連続的にか、又は不連続に、好ましくは2ケ所以上で段階的に減少する場合、反応ガス流の流れる方向で最初に長くとも、反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前、好ましくは最後の4分の1の前、特に最後の3分の1の前、より好ましくは最後の2分の1の前、又は反応管の全長の最初の3分の1よりも後ろで、Diを減少させてもよい。
【0019】
例えば、円筒形の反応管において、反応管の長さ(L)は6m〜20m、好ましくは8m〜15mであり、反応管の内径(Di)は反応管の入口から出口の間で減少し、12mm〜100mm、好ましくは15mm〜90mmの範囲から選択されてもよい。加えて、反応管の入口の内径(D1i)は38mm〜100mm、好ましくは45mm〜90mmの範囲から選択されてもよく、反応管の出口の内径(D2i)はD1iより小さく、12mm〜45mm、好ましくは15mm〜40mmの範囲から選択されてもよい。
本発明によれば、反応管の内部断面積は反応管の入口と出口の間で減少する。それに加えて、反応管の壁の厚さは一定であるか、又は逆に、例えば、反応ガス流の流れる方向に反応管の入口から出口に減少するか、増加するかなど、変化してもよい。特に、反応管の入口から出口に、例えば、前記のように連続的に、又は不連続に、特に段階ごとに減少する内径(Di)を有し、加えて、反応管の入口から出口の間、一定であるか、または特に反応管の入口の外径(D1e)に等しい外径(De)を有してもよく、円筒形の反応管を使用することができる。この場合、反応管の入口から出口に反応管の壁が結果として厚くなることが、本発明方法の効果に影響を与えないか、又はわずかしか影響がない。
【0020】
本発明の利点の一つは、反応管の入口から出口まで、反応管の全長のすべて、又は少なくともそのほとんどすべて(例えば、95%以上)にわたって、特に出口近くの領域に、触媒を含む反応管を使用することができることである。一般に反応管の全長の多くとも5%程度の出口近くの一部分には、格子又はスプリング等の触媒充填の支持部材を入れても良い。したがって、本発明の反応管の特定の構成のおかげで、反応器で使用可能な内部管の容積に触媒を最大限、充填することができ、この触媒充填によってプロピレンオキサイド製造がさらに促進される。同時に、プロピレンオキサイドへの反応の高選択性を維持し、反応管の全長にわたって特定の比較的安定した反応温度特性を保ちながら、さらにこの利点は得られる。しかし、もし望むのであれば、反応管の中に不活性の固体材料を装入すること、又は適用可能あれば、触媒をそのような固体材料と混合することは、可能である。不活性の固体材料は、不活性の小片又は固体、特に中空装入物、例えば、金属製のもの又は金属合金製のもの、又は固体不活性の充填材料として特に使用される不活性の耐火物製のもの、例えば、粉末状、球状若しくは半球状の小片、リング、ペレット又は顆粒から、必要に応じて選択することができる。必要に応じて用いられる不活性の耐火物は、触媒に存在する支持部材と同一又は異なる性質を有するものであっても良い。不活性の耐火物は、触媒の支持部材、特に前記したもの、及び特に小さなBET比表面積を有する耐火物、好ましくは0.1m/g以下の耐火物、より好ましくは0.05m/g以下の耐火物、特に0.01m/g以下の耐火物から選択することができる。小さなBET比表面積を有する耐火物は、シリカ、アルミナ、炭化ケイ素、必要に応じてアルカリ金属又はアルカリ土類金属で改質されたアルミナとシリカの混合物、セラミック生成物、化学量論的に過剰のシリカを含有するナトリウムポリシリケート等のガラス型材料から選択しても良い。
【0021】
プロピレンオキサイドの製造方法で使用する酸素分子としては、95体積%以上の純度の酸素等の純粋な酸素分子の形態でも、空気の形態でも用いることができる。管型反応器を横切る反応ガス流は、プロピレン、酸素分子、及び必要に応じて二酸化炭素、窒素、アルゴン、メタン、エタン等から選択される1種以上の他のガス、及びWO2012/102918に記載されている有機塩素化合物等の添加剤から構成される。反応ガス流中のプロピレンの濃度としては、一般的にはできるだけ高く、より好ましくは95体積%又はそれ以下とし、特に15〜50体積%の範囲から選択される。反応ガス流中の酸素分子の濃度としては、3〜20体積%、好ましくは4〜10体積%の範囲から選択することができる。反応ガス流中の二酸化炭素の濃度としては、一般的に10体積%以下であり、2〜10体積%の範囲から選択することができる。メタン及び/又は窒素は、ガス混合物の燃焼範囲を下げて、その燃焼範囲を反応に用いない領域に移動させるために、反応ガス流の希釈剤として用いることができる。したがって、メタン及び/又は窒素は、反応ガス流中にできるだけ高い濃度で存在させることができる。例えば、反応ガス流は、1〜40体積%のプロピレン、3〜12体積%の酸素分子、0〜10体積%の二酸化炭素、0〜3体積%のプロパン、0.3〜10000ppmの添加剤、及び残る部分としてアルゴン及び/又は窒素及び/又はメタンを含むことができる。管型反応器の反応ガス流の絶対圧としては、0.01〜5MPa、好ましくは0.02〜3MPaの範囲から選択することができる。反応管内の反応ガス流のガス空間速度(GHSV)としては、標準温度及び圧力の条件下の測定で100〜100000h−1(m/m・h)、好ましくは500〜50000h−1の範囲から選択することができる。
【0022】
反応ガス流は、有効に100〜200℃、好ましくは140〜190℃の温度に予熱することができる。反応管内の反応ガス流の温度としては、140〜350℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは190〜280℃の範囲から選択することができる。本発明方法によって、反応管の入口の反応ガス流の温度は非常に急速に、例えば210℃以上の温度まで瞬時に、上昇する可能性がある。その後、温度は上昇し続けるものの、はるかに緩やかであり、特に反応ガス流の流れる方向に反応管の全長の4等分の1番目〜5等分の4番目、好ましくは2等分の1番目〜4等分の3番目の反応管の全長の一部にわたって、高くて270℃、好ましくは高くて265℃、より好ましくは高くて260℃の最高温度となる。反応管の出口で、反応から生じたガス流の温度は、前記の最高温度で維持されるか、又は好ましくは250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下、例えば、180〜250℃の範囲、好ましくは190〜240℃の範囲、より好ましくは200〜230℃の範囲の温度まで低下する。
【0023】
本発明方法において、反応管に沿った熱交換によって、比較的安定した反応温度特性を保ちつつ、反応器で使用可能な反応管内部体積当たりの最適活性条件で使用される触媒量(反応管の全長すべて、及び特に反応管の出口近くの領域)を最大にすることが可能となり、特に有利である。これによって、反応管の比較的大きな部分を、プロピレンオキサイドの製造以外のための使用、及び反応管中の触媒充填の維持で、特に触媒の欠如で、すなわち熱交換の制御及びホットスポット防止を唯一の目的にして、無駄にすることを避けることができる。本発明方法の主な利点の1つとして、さらに、反応で生じるガス流の反応管の出口の温度が、従来の方法と比べて、実質的に少なくとも5℃、例えば少なくとも10℃低下することが挙げられる。この温度の実質的な低下によって、反応ガス流の酸素分子の同一濃度等の他のさらなる相等しい条件であれば、反応ガス流の可燃範囲の限界から離れて、またプロピレンオキサイド製造の収率及び選択性を下げずに遥かに安全に、反応を行うことができる。
【0024】
反応管の束は、加圧下で過熱した水(飽和温度の水)及び有機熱媒体から特に選択されてもよい熱交換流体に、浸漬される。有機熱媒体としては、特に最大反応温度より高い沸点を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルカン等の油又は炭化水素の混合物であってもよい。100〜1500kPa、好ましくは200〜800kPa、より好ましくは200〜600kPaのゲージ圧で有機熱媒体を使用することができる。有機熱媒体は、Isopar(登録商標:エクソン社)、Therminol(登録商標:モンサント社)及びDowtherm(登録商標:ダウケミカル社)から特に選択しても良い。これらは、EP821678、特に図1若しくは2、又はUS4759313に記載された方法及び熱交換装置に従って使用することができる。熱交換流体は、加圧下で過熱した水であってもよく、特に1500〜1800kPaのゲージ圧で使用してもよい。この場合、過熱水は、US5292904に記載された方法及び熱交換装置に従って使用することができる。管型反応器の出口における熱交換流体の温度は、一般に210〜300℃の間、好ましくは220〜280℃の間、より好ましくは210〜280℃の間にある。管型反応器の入口における熱交換流体の温度は、一般に120〜250℃の間、好ましくは130〜250℃の間、より好ましくは130〜240℃の間にある。
本発明方法は、利点を持って連続して、特に反応管の3つのチャンバーを連続的に続けて横切る反応ガス流を連続して用いることで、また反応で生じ、プロピレンオキサイドを含むガス流を反応器の出口で連続的に回収することで、実施することができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明をさらに詳しく述べるために、図面に基づいて具体的な実施態様を説明する。しかし本発明はこの実施態様のみによって本発明の範囲を規制するものでない。
図1は、本発明方法に使用される管型反応器の概略図である。本管型反応器は、垂直シェル管交換型反応器である。本管型反応器は、3つの連続して隣接するチャンバー:入口チャンバー(1)、中央チャンバー(2)、出口チャンバー(3)を備えている。入口チャンバー(1)には、プロピレンと酸素分子を含む反応ガス流を供給する配管(4)が繋がる。中央チャンバー(2)には、相互に独立した平行で、好ましくは円筒形の反応管の束(5)が繋がり、各々の反応管(5)は入口チャンバーに繋がる入口(6)と、出口チャンバー(3)に繋がる出口(7)を有する。反応管(5)は、反応管の全長のすべて又はほぼすべて(格子、スプリング等の触媒充填の支持部材を除く。図1には図示せず。)にわたって固体触媒(8)(斜線で示す部分)で満たされている。各々の反応管(5)の内部の断面積は、反応管の入口(6)から出口(7)の間で不連続に、3つの連続する段階(9)で減少する。それによって、各々の反応管(5)は4つの連続して隣接する筒状の領域(10)で構成されて、各々は入口(6)から出口(7)にかけて次第に減少する内部断面積を有する。反応管(5)は熱交換流体(11)に浸漬され、熱交換流体(11)は流体を供給する配管(12)を通って中央チャンバー(2)に導入され、中央チャンバー(2)から排出配管(13)を通って排出される。出口チャンバー(3)は、プロピレンオキシドを含有する反応で生じたガス流を排出する配管(14)が設けられている。
【0026】
図2a及び図2bは、図1に示された管型反応器に使用され、本発明方法を実施することができる反応管(5)の概略図である。図2a及び図2bの要素は、図1に示された要素と同一であり、同じ参照番号を付けている。図2aは、入口(6)と出口(7)を有し、入口(6)から出口(7)に連続的に内部断面積が減少する反応管(5)を図示する。図2bは、入口(6)と出口(7)を有する反応管(5)を図示する。反応管(5)の内部断面積は、反応管の全長の一部(15)にわたって連続して減少し、入口(6)近くに位置する残りの上流部分(16)及び出口(7)近くに位置する残りの下流部分(17)にわたって一定に維持されている。図2aおよび図2bに示される反応管(5)には、図1に示された触媒(8)は記載が省略されている。
図3は、図1に示した管型反応器で用いることができる反応管(5)の概略図である。図3の要素は、図1に示された要素と同一であり、同じ参照番号を付けている。反応管(5)は、入口(6)と出口(7)を有する。反応管(5)の内部断面積は、入口(6)と出口(7)の間で不連続に、2つの段階(9)で減少する。それによって、反応管(5)は、3つの連続して隣接する筒状の領域(10)を有し、各々の領域の内部断面積は入口(6)から出口(7)に減少する。図3に示される反応管(5)には、図1に示された触媒(8)は記載が省略されている。
【0027】
図4a及び図4bは、図1に示された管型反応器に使用され、本発明方法を実施することができる反応管(5)の概略図である。図4a及び図4bの要素は、図1に示された要素と同一であり、同じ参照番号を付けている。図4aは、入口(6)と出口(7)を有する円筒状の反応管(5)を図示する。反応管(5)の円筒形の内部断面積は、入口(6)と出口(7)との間で不連続に2つの連続する段階(9)で減少する。それによって、反応管(5)は3つの連続して隣接する円筒状の管状領域(10)を有し、各々の領域の内径(Di)は入口(6)から出口(7)に減少する。反応管(5)の外径(De)は、入口(6)と出口(7)の間で一定である。反応管(5)は、3つの円筒状の同軸管(10、10及び10)を互いに挿入して、すなわち、管(10)の外部表面が管(10)の内部表面と接触して、管(10)の外部表面が管(10)の内部表面と接触して、構成しても実用上良い。図4bは、図4aは、入口(6)と出口(7)を有する円筒状の反応管(5)を図示する。反応管(5)の内径(Di)は、反応管の全長の一部(15)にわたって連続して減少し、入口(6)近くに位置する残りの上流部分(16)及び出口(7)近くに位置する残りの下流部分(17)にわたって一定である。反応管(5)の外径(De)は、入口(6)と出口(7)の間で一定である。反応管(5)は、2つの円筒状の同軸管(16及び17)を互いに挿入して、すなわち、管(17)の外部表面が管(16)の内部表面と接触して、構成しても実用上良い。また、管(17)は、引き延ばされ、2つの管(16及び17)と同軸の管(15)と接触する。管(15)は、管(16)の内部表面と接触する円筒状の外壁を有し、また管(17)と接触する大きな部分の直径が管(17)の内径と同じであり、その先端の小さな部分の直径が管(16)の内径(Di)と同じである、回転する先端が切られた内壁を有する。図4aおよび図4bに示される反応管(5)には、図1に示された触媒(8)は記載が省略されている。
【0028】
本発明方法は、特に以下の利点を提供する。
(1)プロピレンオキサイドの生産量を同レベルにしたときのプロピレンオキサイドへの反応の選択性の実質的な増加
(2)管型反応器で使用可能な反応管の内部体積当たりのプロピレンオキサイドの生産量の明確な増加
(3)管型反応器で使用可能な反応管の内部体積当たりのプロピレンオキサイドの生産における活性触媒の充填量の最大化
(4)反応管の全長すべてにわたる比較的安定した反応温度特性
(5)反応管の出口での温度の従来方法と比較した実質的な減少
(6)ガス流の燃焼範囲からより離れた運転条件による、より安全なプロピレンオキサイド生産方法
(7)プロピレンオキサイド生産量に対する二酸化炭素の副生量の実質的な減少、及び環境への二酸化炭素排出の顕著な減少
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によって、プロピレンのプロピレンオキサイドへの接触気相酸化反応の選択性を高め、反応器内で使用可能な内部管単位体積当たりのプロピレンオキサイドの生産率を高め、さらに同時に反応管の全長の温度特性を制御することで、特に反応の暴走及び爆発のリスクについて反応の安全性を向上させたプロピレンオキサイドの製造方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管型反応器の中で、酸素分子によるプロピレンの接触気相酸化反応によってプロピレンオキサイドを製造する方法であって、
該管型反応器は、プロピレン及び酸素分子を含む反応ガス流が横切る3つの連続して隣接するチャンバー:反応ガス流の入口チャンバーと、反応の結果生じるプロピレンオキサイドを含有するガス流を形成する中央チャンバーと、生じたガス流の出口チャンバーとを備えており、
該中央チャンバーは、反応ガス流と接触してプロピレンオキサイドを生成させる固体触媒を充填した、熱交換流体に浸漬された反応管の束を有しており、
各々の該反応管は、入口チャンバーに繋がる入口と出口チャンバーに繋がる出口を有しており、
該反応管の内部断面積が、該反応管の入口と出口の間で該反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少し、任意の残りの部分にわたって一定であることを特徴とする方法。
【請求項2】
該反応管の内部断面積が連続的に減少する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該反応管の内部断面積が、不連続に、好ましくは段階ごとに減少する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
該反応管の入口の内部断面積(A1)が、該反応管の出口の内部断面積(A2)よりも1.5倍〜12倍、好ましくは2倍〜10倍、より好ましくは3倍〜9倍大きい、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
該反応管の内部断面積の減少が、該反応管の全長にわたって1回だけか、該反応管の全長の一部にわたって連続的に、又は不連続に、好ましくは段階ごとに、例えば該反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前で減少するようになされている、請求項1〜4のいずれか記載の方法。
【請求項6】
該反応管の内部断面積の減少が、該反応管の全長にわたって2回以上か、該反応管の全長の2ケ所以上にわたって連続的に、又は不連続に、好ましくは2ケ所以上で段階的に、例えば該反応管の全長を5等分した出口近くの最後の5分の1の前で最初に減少するようになされている、請求項1〜4のいずれか記載の方法。
【請求項7】
該反応管の長さ(L)が6m〜20m、好ましくは8m〜15mであり、該反応管の入口の内部断面積(A1)が12cm〜80cm、好ましくは16cm〜63cmであり、該反応管の出口の内部断面積(A2)がA1より小さく、1.2cm〜16cm、好ましくは1.8cm〜12cmである、請求項1〜6のいずれか記載の方法。
【請求項8】
該反応管は円筒形であって円形の内部断面を示し、その円形の内部断面の内径(Di)が該反応管の入口と出口の間で該反応管の全長の少なくとも一部にわたって減少し、任意の残りの部分にわたって一定である、請求項1〜7のいずれか記載の方法。
【請求項9】
該反応管の入口の内径(D1i)が、該反応管の出口の内径(D2i)よりも1.2〜3.5倍、好ましくは1.4〜3.1倍、より好ましくは1.7〜3倍長い、請求項8記載の方法。
【請求項10】
該反応管の長さ(L)が6m〜20m、好ましくは8m〜15mであり、該反応管の入口の内径(D1i)が38mm〜100mm、好ましくは45mm〜90mmであり、該反応管の出口の内径(D2i)がD1iより小さく、12mm〜45mm、好ましくは15mm〜40mmである、請求項8記載の方法。
【請求項11】
該反応管の壁の厚さが該反応管の入口から出口まで一定である、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
【請求項12】
該反応管の壁の厚さが該反応管の入口から出口まで異なる、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
【請求項13】
該反応管の外径が該反応管の入口と出口の間で一定であり、好ましくは該反応管の入口の外径と等しい、請求項8〜10のいずれか記載の方法。
【請求項14】
該反応管の束を浸漬する熱交換流体が、加圧下で過熱した水、及び有機熱媒体、好ましくは油又は炭化水素の混合物から選択される、請求項1〜13のいずれか記載の方法。
【請求項15】
該有機熱媒体が、100〜1500kPa、好ましくは200〜800kPa、より好ましくは200〜600kPaのゲージ圧で使用される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
該過熱水が、1500〜1800kPaのゲージ圧で使用される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
該反応管の反応ガス流の温度が、140〜350℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは190〜280℃の範囲で選択される、請求項1〜16のいずれか記載の方法。
【請求項18】
該反応ガス流が、100〜200℃、好ましくは140〜190℃の温度で予熱される、請求項1〜17のいずれか記載の方法。
【請求項19】
反応の結果生じるガス流の該反応管の出口での温度が、反応ガス流によって該反応管内で獲得した最高温度のまま維持され、または好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下、最も好ましくは230℃、特に180〜250℃の範囲、好ましくは190〜240℃の範囲、より好ましくは200〜230℃の範囲から選択される温度にまで下がる、請求項1〜18のいずれか記載の方法。
【請求項20】
プロピレンの接触気相酸化反応が、金属触媒存在下でプロピレン及び酸素分子を反応させる、請求項1〜19のいずれか記載の方法。
【請求項21】
金属触媒が、(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒である、請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107873(P2013−107873A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−229895(P2012−229895)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】