説明

プロピレン重合反応装置及びプロピレン系ブロック共重合体の製造方法

【課題】 オレフィン重合用触媒を用いたプロピレン系ブロック共重合体の多段連続気相重合法において、剛性/耐低温衝撃性のバランスに優れ、加えてゲルの発生が抑制された、流動性が高いプロピレン系ブロック重合体を、効率良く製造できるプロピレン重合反応装置及びこれを用いたプロピレン系ブロック共重合体の製造方法の提供。
【解決手段】 プロピレン系重合体を多段連続気相重合法で製造するための反応装置であって、少なくとも2槽の内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽と、少なくとも1槽の完全混合槽とを、すべて直列に配置してなることを特徴とするプロピレン重合反応装置及びこれを用いたプロピレン系ブロック共重合体の製造方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン重合反応装置及びプロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関し、更に詳しくは、オレフィン重合用触媒を用いたプロピレン系ブロック共重合体の多段連続気相重合法により、剛性/耐低温衝撃性のバランスに優れ、加えてゲルの発生が抑制された、流動性が高いプロピレン系ブロック重合体を、効率良く製造できるプロピレン重合反応装置及びプロピレン系ブロック共重合体の製造方法を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
結晶性ポリプロピレンは、安価で剛性及び耐熱性に優れた特性を有する反面、耐衝撃強度、特に低温における衝撃強度が弱いという問題があった。この点を改良する方法として、プロピレンとα−オレフィンまたはその他のオレフィンを段階的に重合させてブロック共重合体を生成させる方法が知られている。プロピレン系ブロック共重合体は、結晶性プロピレン重合体部と非晶性プロピレン/α−オレフィン共重合体部からなり、剛性が高く、かつ耐低温衝撃性に優れる成形品を調整することができる。このことから、自動車部材、家電部材等の用途に広く使用されている。
【0003】
特に自動車部材においては、部材の大型化や軽量化を目的としてプロピレン系ブロック共重合体の剛性/耐低温衝撃性バランスの向上と同時に該共重合体の高流動化が望まれている。
【0004】
プロピレン系ブロック共重合体において、耐低温衝撃性の付与は主に非晶性プロピレン/α−オレフィン共重合体の含有量を多くすること、非晶性プロピレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィンの含有量を高めること、更には非晶性プロピレン/α−オレフィン共重合体の分子量を高くすることで成される。しかしながら、これらの方法はプロピレン系ブロック共重合体中のゲルを増加させ、多量のゲルは製品の外観を悪化させるばかりでなく、耐衝撃性をも低下させる要因となる。そもそも、ゲル発生の主因は、第1段重合工程において触媒成分の重合時間(重合槽内滞留時間)に分布を生じ、比較的短時間で重合槽から排出された粒子(ショートパス粒子)が第2段重合工程の重合槽に入ると、プロピレン/α−オレフィン共重合体の含量が多い粒子が生成する為である。特に高い分子量を生成するための条件下にある第2段重合工程においては、高い分子量の共重合体成分が生成し易くゲル増加の要因となり、プロピレン系ブロック共重合体の耐衝撃性低下の原因となる。
ゲル抑制が抑制された製造方法としては、回分法の採用にて著しく低減できる。しかしながら、回分法は経済性および生産性の面で劣るという問題がある。
【0005】
一方、プロピレン系ブロック共重合体の高流動化においては、主に結晶性プロピレン重合体部分の高流動化(分子量を低下)することで成される。別の方法としては、非晶性プロピレン/α−オレフィン共重合体成分の分子量を低くする方法もあるが、この方法では同時にプロピレン系ブロック共重合体の耐低温衝撃性も低下するため本発明の目的を達成するためには好ましくない。
一般に、結晶性プロピレン成分の分子量を調整するために、水素などの分子量調整剤が使用されるが、特に本発明が所望するプロピレン系ブロック共重合体の高い流動性を発現させるためには、第1段重合工程における重合反応器内(以下、反応器は反応槽ともいう)を高い水素濃度に維持し、更に共重合工程においては低い水素濃度を維持する必要がある。
【0006】
多段連続気相重合法による耐衝撃性を向上させたプロピレン系ブロック共重合体を製造する方法としては、非晶性プロピレン/α−オレフィン共重合体の分子量やα−オレフィン含有量を高める方法(例えば、特許文献1、2参照)が開示されているが、第1段重合工程が完全混合槽にて実施されている為、ゲルの抑制という点で課題が残っている。一方、ゲルの抑制された重合方法として、横型反応器を用いる方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、反応器内での滞留時間分布が狭く、ひとつの反応器でショートパス粒子の低減が得られるため、ゲルの抑制という面では有利であるが、重合熱の除去を液プロピレンの蒸発潜熱で行うため、第2段重合工程で使用するα−オレフィンがエチレンなどの沸点が低いコモノマーを使用する場合、未反応ガスの凝縮が困難となりコモノマーの含有量を高くできない等の課題を有している。更には、ふたつの横型反応器を用いているので、連続運転の場合、第1反応器からの水素の漏れこみにより、所望する高い分子量の共重合体成分を製造するのは困難である。
【0007】
別の方法として、3つの完全混合槽を直列に接続して第1反応槽で第1段重合工程を実施して、第2,3の反応槽でα−オレフィン含量を高めた共重合体成分を製造する方法(例えば、特許文献4参照)が開示されている。この方法では、ゲル抑制のため各槽の分子量に制限を設ける必要があり、非晶性プロピレン/α−オレフィン共重合体成分の分子量をより高めるためには課題を有している
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−30127号公報
【特許文献2】特開2008−260546号公報
【特許文献3】特開2007−321136号公報
【特許文献4】特開2004−217896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、オレフィン重合用触媒を用いたプロピレン系ブロック共重合体の多段連続気相重合法により、剛性/耐低温衝撃性のバランスに優れ、加えてゲルの発生が抑制された、流動性が高いプロピレン系ブロック重合体を、効率良く製造するための装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プロピレン系重合体を多段連続気相重合法で製造するための反応装置であって、少なくとも2槽の内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽と、少なくとも1槽の完全混合槽とを、すべて直列に配置してなるプロピレン重合反応装置を作製することにより、さらにはそれを用いるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法により、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系重合体を多段連続気相重合法で製造するための反応装置であって、少なくとも2槽の内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽と、少なくとも1槽の完全混合槽とを、すべて直列に配置してなることを特徴とするプロピレン重合反応装置が提供される。
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記完全混合槽が、主に循環ガスの顕熱を利用して重合熱の除去を行なう反応槽であることを特徴とするプロピレン重合反応装置が提供される。
【0013】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記完全混合槽が、縦型攪拌槽、攪拌式流動床反応槽又は流動床反応槽から選ばれる反応槽であることを特徴とするプロピレン重合反応装置が提供される。
【0014】
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は2の発明において、前記完全混合槽が、流動床反応槽であることを特徴とするプロピレン重合反応装置が提供される。
【0015】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記横型反応槽のうち少なくとも2槽を、前記完全混合層のうち最もプロセス上流に配置される完全混合槽より、上流側に配置してなることを特徴とするプロピレン重合反応装置が提供される。
【0016】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、プロセス上流側から、前記横型反応槽のうちの1槽−前記横型反応槽のうちの別の1槽−完全混合層との順番で配置してなることを特徴とするプロピレン重合反応装置が提供される。
【0017】
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に記載のプロピレン重合反応装置を用いて、オレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンの多段連続気相重合を行うことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、プロピレンを単独重合またはプロピレンとα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)とを共重合して、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が95重量%以上である重合体成分(A)を製造する第1段重合工程を行い、引き続き、プロピレンとα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)とを共重合して、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が90〜10重量%である共重合体成分(B)を製造する第2段重合工程を行うことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
【0019】
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、第1段重合工程が、少なくとも1槽の前記横型反応槽にて行われることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
【0020】
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、第1段重合工程が、少なくとも2槽の前記横型反応槽にて行われることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
【0021】
また、本発明の第11の発明によれば、第8〜10のいずれかの発明において、第2段重合工程が、少なくとも1槽の前記完全混合槽にて行われることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
【0022】
また、本発明の第12の発明によれば、第8〜11のいずれかの発明において、重合体成分(A)のメルトフローレート(MFR)と共重合体成分(B)のメルトフローレート(MFR)が、3≦log(MFR/MFR)≦7の関係を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の装置及び製造方法によれば、自動車外装材等に好適な、剛性/耐低温衝撃性のバランスに優れ、加えてゲルの発生が抑制された、流動性が高いプロピレン系ブロック重合体を効率良く製造出来る。加えて、連続気相重合方法であることから、より安価で品質的に安定したプロピレン系ブロック共重合体の供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明において、2層の横型反応槽と1槽の攪拌式流動床反応槽を組み合わせたプロピレン重合反応装置のフローシートを表す概略図である。
【図2】図2は、本発明において、2層の横型反応槽と1槽の(縦型)攪拌槽を組み合わせたプロピレン重合反応装置のフローシートを表す概略図である
【図3】図3は、本発明において、2層の横型反応槽と1槽の流動床反応槽を組み合わせたプロピレン重合反応装置のフローシートを表す概略図である
【図4】図4は、本発明において、2層の横型反応槽と1槽の流動床反応槽を組み合わせた場合の好ましい態様のプロセスフローおよび実施例で用いた製造方法のフローシートを表す概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1および2 触媒成分供給配管
3、4および5 原料プロピレン補給配管
6、7および8−1 原料補給配管(水素・エチレンなど)
8−2 電子供与性化合物供給配管
10 横型反応槽A
11および21 気液分離槽
12および22 反応槽上流末端
13、23および33 未反応ガス抜出し配管
14および24 反応槽下流末端
15および25 凝縮機
16、26および36 圧縮機
17および27 原料液化プロピレン補給配管
18および28 原料混合ガス供給配管
20 横型反応槽B
30、31および32 受器
37、38および39 重合体抜出し配管
40 完全混合槽C
41および42 重合体供給配管
45 循環ガスクーラー
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のプロピレン重合反応装置は、プロピレン系重合体を多段連続気相重合法で製造するための反応装置であって、少なくとも2槽の内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽と、少なくとも1槽の完全混合槽とを、すべて直列に配置してなることを特徴とする。
また、本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法は、前述のプロピレン重合反応装置を用いて、オレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンの多段連続気相重合を行なうことを特徴とする。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない
【0027】
<プロピレン重合反応装置>
本発明のプロピレン重合反応装置は、少なくとも2槽の内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽と、少なくとも1槽の完全混合槽とを、すべて直列に配置してなることを特徴とする。本発明における最小の反応槽の構成での装置の例を図1から図3に示す。
【0028】
<横型反応槽>
本発明のプロピレン重合反応装置を構成する横型反応槽としては、内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽であれば公知の反応槽を使用することができる。一例として、図1〜3に示したような横型反応槽を使用することができる。
図1〜3において、少なくとも2槽用いられる、内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽10又は20は細長く、上流端12又は22と下流端14又は24を持ち、図1に示すように、一般的には水平位置で設置されている。攪拌軸は反応槽10又は20の中へ延び、攪拌の為の翼が取り付けられている。攪拌翼はポリマー粒子を反応槽10又は20内でその中へ導入される他物質と混合する。
図1〜3においては、プロセス上流より、横型反応槽10−横型反応槽20の順で配置されている。
反応槽10の上流部配管1および2より導入された触媒成分は、攪拌翼にてポリマー粒子と混合されながら、重合を開始する。重合の際、発生する重合熱は、頂部配管17から供給される原料液化プロピレンの蒸発潜熱により除去される。未反応のプロピレンガスは配管13にて反応系外へ出され、凝縮器15にてその一部分が凝縮され、気液分離槽11で液相と気相へ分離される。液相部は重合熱除去のため配管17へ導入され、気相部は、分子量調節のための水素等と混合され、反応槽10底部に設置された配管18を経由して供給される。
【0029】
本発明での必須の重合槽である横型反応槽が他の反応槽と大きく異なるところは、触媒成分が反応槽の上流部へ添加され、それが重合によりパウダー粒子として成長しながら、反応槽の下流側へ移動するという点にある。
そのため横型反応槽は、完全混合槽型の反応槽に比べ、滞留時間分布が狭く、特に反応槽出口付近に存在する比較的滞留時間の短い粒子(ショートパス粒子)の濃度は非常に少ないものとなる。よって、ゲルの低減を目的としている本発明においては、横型反応槽にて実施することが必須となる。
【0030】
本発明における横型反応槽のL/Dは、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上であり、一方、好ましくは10以下である。Lは反応槽の水平長手方向の長さ、Dは反応槽の内径を示す。L/Dが過小な場合は、十分なショートパス粒子濃度の低減効果が得られず、ゲルが増加するおそれがある。また、L/Dが過大な場合は、強度上攪拌軸を太くする必要があり、実反応容積が減少し生産性が低下するおそれがある。
【0031】
本発明ではこの横型反応槽を少なくとも2台を直列に配置させる。横型反応槽を2台以上設置することで、より滞留時間分布を狭くすることが可能であり、ショートパス粒子の濃度を更に小さくすることができる。また、2槽目の横型反応槽内の水素濃度を1槽目の横型反応槽内の水素濃度より低く設定することで、それ以降の反応槽への水素漏れこみを少なくすることができ、より高い分子量の共重合体成分が製造し易くなる。
【0032】
2台目以降に設置される横型反応槽は、前述した反応槽と同形状のものを用いることが好ましい。反応槽の大きさは特に制約はないが、前段の反応槽と同容積若しくはそれより大きい容積を有する反応槽を用いるのが望ましい。前段の反応槽に比べ過小な容積を有する反応槽を用いた場合、その槽内での滞留時間が極めて短いものとなり、ショートパス粒子の抑制という面では不利となる。
【0033】
横型反応槽10にて生成した重合体は重合体供給配管41より横型反応槽20の反応器上流末端22近辺へ供給される。重合器20へ供給された重合体は攪拌翼にて混合されながら、引き続き重合が行われる。重合の際、発生する重合熱は、頂部配管27から供給される原料液化プロピレンの蒸発潜熱により除去される。未反応のプロピレンガスは配管23にて反応系外へ出され、凝縮器25にてその一部が凝縮され、気液分離槽21で液相と気相へ分離される。液相部は重合熱除去のため配管27へ導入され、気相部は、必要に応じて水素やエチレン等と混合され、反応槽20底部に配置された配管28を経由して供給される。
【0034】
<完全混合槽>
本発明の必須要件のひとつである「完全混合槽」とは、槽内にある物質が流入し、そして流出される場合、槽内の濃度と流出流れの濃度が等しいことを特徴とする反応槽である。すなわち、完全混合槽は、槽内の温度や反応ガスの組成などが均一であるため、反応槽内で製造される物質の品質の均一性という点で有利である。
プロピレンの重合槽として広く利用されている完全混合槽としては、(縦型)攪拌槽、攪拌式流動床反応槽、流動床反応槽が挙げられる。一例として、図1〜3に示したような完全混合層を使用することができる。図1では完全混合層として攪拌式流動床反応槽を、図2では縦型撹拌槽を、図3では流動床反応槽を使用した例を示す。
【0035】
特に、本発明における「完全混合槽」としては、重合熱の除去を主として循環ガスの顕熱により除去することを特徴とする反応槽が好ましい。ここで、プロピレン系重合体の連続多段気相重合法による完全混合槽での反応ガスとは、反応帯域のガスであり、また、循環ガスとは、循環帯域のガスであり、これらは、前述した原料であるプロピレン、エチレンを含むα−オレフィン、水素、その他の原料である。
プロピレン系樹脂の気相製造プロセスでは、重合熱の除去を、主に原料液化プロピレンの蒸発潜熱で除去する様式(例えば、横型反応槽)、反応槽内の主として循環ガスの顕熱により除去する様式(例えば、攪拌式流動床反応槽や流動床反応槽)があるが、本発明においては主として循環ガスの顕熱を利用する様式が好ましい。
重合熱の除去の方式が、原料液化プロピレンの蒸発潜熱で行う方式であるプロセスでは、反応槽底部よりプロピレン/α−オレフィン(例えばエチレンなど)ガス等が供給、反応槽上部より原料液化プロピレンが供給されるため、反応槽内部においてガス組成が不均一となり易く、そのため重合体粒子周りで共重合されるα−オレフィンの組成分布や分子量分布が生じることとなる。結果として、α−オレフィン含量が少ない成分や分子量が低い成分が共重合体中に存在することとなり、最終製品の耐低温衝撃性を低下させてしまう。これを回避する為には、更にα−オレフィンの含有量を高くする必要があるが、過剰のα−オレフィンはゲル増加の要因となる。よって、本発明が所望する特性を発現するためには、反応槽内部の反応ガス組成の均一化が必須であり、その為には大量のガスを流通させて重合熱を除去する様式が好適である。
加えて、原料液化プロピレンの蒸発潜熱を重合熱の除去に利用するプロセスでは、必然的に反応ガス中のプロピレン濃度が高くなるため、共重合体成分(後で説明する成分(B))中のα−オレフィン含量を高め難い欠点があるが、主として循環ガスの顕熱より熱の除去を行うプロセスでは、その制約がなく、耐低温衝撃性の付与という点では優れている。
【0036】
主として循環ガスによる重合熱を除去するプロセスとしては、攪拌式流動床反応槽、流動床反応槽が挙げられるが、本発明においては流動床式反応槽が、反応ガスの均一性および共重合体粒子の均一攪拌という観点からより望ましい。該反応槽の数は、特に制限はないが、循環ガスによる重合熱を除去する反応槽を少なくともひとつ以上有することが好ましい。
【0037】
本発明の装置の一例として、図3に完全混合槽として流動床反応槽を利用した装置のフロー図を示す。流動床反応槽40は縦に細長く、前段の工程で製造された重合体は、配管42より供給される。流動床反応槽40内の重合体は、該反応槽へ最小流動化速度以上の線速度で供給される原料プロピレンおよび水素やエチレンなどの他の原料ガスにて流動化され、重合反応が行われる。未反応の混合ガスは、未反応ガス抜き出し配管33より反応系外へ抜き出され、循環ガスクーラー45にて冷却され、循環ガス(流動化用ガス)として反応槽40へ供給される。
反応槽40にて製造された重合体は配管39及び受器32を経由して、次工程へ移送される。
【0038】
<装置の構成>
本発明による多段連続気相重合法の高い生産性の提供に関しては、2槽以上の横型反応槽及び1槽以上の完全混合槽が連結した装置であれば良く、設置順序に制約はない。好ましくは、横型反応槽のうち2槽以上が、最もプロセス上流に配置される完全混合槽より前に配置されている。そのような装置の構成としては、プロセスの上流から、横型反応槽−横型反応槽−完全混合槽、横型反応槽−横型反応槽−完全混合槽−横型反応槽、横型反応槽−横型反応槽−完全混合槽−完全混合槽、横型反応槽−横型反応槽−横型反応槽−完全混合槽などの順序に配置されてなるものが挙げられる。
【0039】
本発明においては、横型反応槽から完全混合層へ重合体を移送する際に、受器を該反応相間に設置し、使用しても良い。これにより、同伴するガス量を少なくし、かつ、配管内に残留する重合体の量を少なくすることができる。前記受器としては、脱ガス槽又はレベル計が設置された受器などを用いることができ、レベル計が設置された受器が好ましい。また、一連の処理を、各遮断バルブの一連のシーケンス動作により自動的に実施することが好ましい。
【0040】
前記レベル計が設置された受器を使用する場合の一例を説明すると、受器30は横型反応槽の直下、かつ次反応槽重合体入り口より高い位置に配列される。受器30に設置されるレベル計は、受器30内の重合体の量を測定するものであり、γ線式レベル計やアドミッタンス式レベル計などが例示できる。
受器30には、横型反応槽からの重合体抜き出し配管、次反応槽への重合体供給配管、加圧ガス供給配管、ガス排出配管が取り付けられ、そられ配管には重合体排出弁、重合体移送弁が取り付けられ、好ましくは、さらに、ガス導入弁、ガス排出弁が取り付けられる(図示せず)。
【0041】
剛性/耐衝撃性のバランスに優れ、加えてゲルの発生が抑制されたプロピレン系ブロック重合体を効率良く製造するとの効果を得るためには、極力水素等の分子量調節剤の次工程への流入を極力遮断し、かつ次工程反応槽内の反応ガス組成の変動を小さくすることが好ましい。そのため、該受器内に重合体とともに同伴したガスを可能な限り排除し、かつ該受器から重合体を排出する際、極力少量の加圧ガス量で重合体を排出する必要がある。受器を横型反応槽抜き出し口の直下、かつ流動床反応槽入り口より高い位置に配置するのは、同伴するガス量を極力少なくし、かつ配管内に残留する重合体の量を極力少なくするのに有効である。また受器へレベル計を設置して重合体の排出を制御することは、次工程へ過剰な加圧ガスが流入することを防止するのに効果がある。
【0042】
重合反応により反応槽内の重合体の量が設定量より増加すると、重合体排出弁が開き、所定量の重合体が受器30中に間欠的に導入される。該受器30中に重合体と共に同伴したガスは、ガス排出弁を開くことによりガス回収系(図示せず)に排出され、受器30の圧力が所定の値となった後、ガス排出弁が閉じられる。その後、加圧ガス導入弁を開いて、配管より受器30に加圧ガスを導入し、次いで該弁を閉じる。次に、重合体移送弁を開いて受器30および移送管中の重合体を加圧ガスによって次工程に移送する。受器30に設置されたレベル計により、受器30内の重合体量を計測し、該重合体の量が設定量以下となった後、重合体移送弁Xを閉じることにより重合体の移送操作の1サイクルが終了する。一連の処置は各遮断バルブの一連のシーケンス動作により自動的に実施される。
【0043】
前記レベル計が設置された受器を用いる場合の移送の工程は、
a)第1段重合工程から重合体を間欠的に該受器に抜き出す工程、
b)該重合体に同伴して導入されたガスを該受器から排除する工程、
c)再度、該受器をプロピレンガス或いは不活性ガスにて昇圧する工程、
d)該受器中の重合体を第2段重合工程に導入する工程
から成ることが好ましい。
【0044】
工程a)において、1回の間欠抜き出し操作で抜き出される重合体の量は、該受器の容量の50容量%以上が望ましく、より好ましくは60容量%以上、90容量%以下、より好ましくは80容量%以下である。抜き出し量が過小な場合は、同伴するガス量が多くなり、また過大な場合は、工程b)にて抜き出された重合体の一部も排出系へ混入し、閉塞等のトラブルを引き起こす。
重合体の抜き出しには第1段重合工程のガス成分の漏出を伴うので、該受器を第1段重合工程との連通を遮断した後落圧することにより前記漏出ガスを受器より排出する(工程b)。落圧は、0.5MPa以下、好ましくは0.2MPa以下である。次いで、該重合体を入れた受器をガスで昇圧する。昇圧に用いるガスとしては、触媒毒とならない不活性ガス、例えば窒素、炭素数1〜4の飽和炭化水素、あるいはプロピレン更にはこれらの混合物を用いることが出来る。好ましく用いられる昇圧用ガスとしてはプロピレン単ガスである。昇圧は、重合体の第2段重合工程への移送を容易にするため、第2段重合工程の重合圧力より高く、好ましくは0.2MPa以上高くすることが望ましい。受器は所定の値まで昇圧された後第2段重合工程と連通され、該重合体は第2段重合工程へ移送される。移送の際、受器内の重合体減衰量を該受器に設置されたレベル計で監視し、重合体の排出完了と同時に、該受器と第2段重合工程が遮断される。受器からの排出を完全にすべく過剰量の加圧用ガスを使用することは、移送配管内の残留を防ぐのに有用な方法であるが、過剰の加圧ガス使用は、第2段重合工程の反応ガス組成比を不安定にし、結果として共重合体中のαオレフィン含量の分布を広げることとなるおそれがあるため、本発明の目的においては望ましい方法ではない。本発明において、該受器は第2段重合工程反応器入り口より高い位置に配置されることにより、配管内の滞留を極力抑え、且つ加圧ガスとして不活性ガスあるいはプロピレン単ガスを用いることで付着成分の発生を抑制することが好ましい。
上記一連の処置は各遮断バルブの一連のシーケンス動作により自動的に実施されるが、この一連のシーケンス(工程a→工程d)は、15分以内、好ましくは10分以内、より好ましくは3分以内で実施されることが望ましい。一連のシーケンスが15分以上かかる場合、移送配管内で滞留している重合体による閉塞が発生するおそれがある。
【0045】
第1段重合工程と第2段重合工程間に設置される上記受器は、上記条件を満たせば複数台設置しても良い。
【0046】
本発明の装置においては、横型反応槽、完全混合槽以外の反応槽やその他の機器については、通常プロピレン系重合体の重合反応装置に用いられるものが使用できる。
【0047】
<オレフィン重合用触媒、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法等>
続いて、本発明の連続多段気相重合装置における、オレフィン重合用触媒およびプロピレン系ブロック共重合体の製造方法等について詳しく説明する。
【0048】
<オレフィン重合用触媒>
本発明に用いられるオレフィン重合用触媒の種類としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022)が使用できる。プロピレン/α−オレフィン共重合体の分子量が高い方が耐低温衝撃性が向上する方向であることから、一般的に重合時連鎖移動の少ないチーグラー・ナッタ触媒がより好ましい。チーグラー・ナッタ触媒は、チタン化合物として有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば特開昭47−34478、特開昭58−23806、特開昭63−146906)、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させることにより得られるいわゆる担持型触媒(例えば、特開昭58−157808、特開昭58−83006、特開昭58−5310、特開昭61−218606)等が含まれる。これらの触媒は特に制限なく公知の触媒が使用可能である。
【0049】
また、助触媒として有機アルミニウム化合物を使用することができる。有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
【0050】
また、上述の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御等を目的とする各種重合添加剤を使用することが出来る。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。
【0051】
<予備重合処理>
本発明におけるオレフィン重合用触媒は、本重合で使用する前に予備重合処理して用いることが好ましい。本重合に先立って、予備重合処理により、予め少量のポリマーを触媒周囲に生成させることによって、触媒がより均一となり、微粉の発生量を抑えることができる。
【0052】
予備重合処理は、本重合に用いる有機アルミニウム化合物と同様の有機アルミニウム化合物の存在下で実施できる。使用する有機アルミニウム化合物の添加量は、使用する重合触媒成分の種類によって異なるが、通常、チタン原子1モルに対して有機アルミニウム化合物を好ましくは0.1〜40モル、より好ましくは0.3〜20モルの範囲で用いる。予備重合処理時の温度は、好ましくは−150℃〜150℃、より好ましくは0℃〜80℃である。予備重合処理の時間は、10分〜48時間が好ましい。予備重合処理量は、オレフィン重合用触媒成分1グラム当たり好ましくは0.1〜100グラム、より好ましくは0.5〜50グラムのα−オレフィン等のモノマーを重合させることができる。予備重合処理は、通常、不活性溶媒中で行われる。
【0053】
予備重合処理においては、必要に応じて本重合に用いる電子供与体(電子供与性化合物ともいう。)と同様の電子供与体を用いることもできる。電子供与体が有機ケイ素化合物の場合、有機アルミニウム化合物1モルに対して0.01〜10モルの範囲で用いてもよい。
【0054】
オレフィン重合用触媒の予備重合処理に用いられるモノマーとしては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。具体的な化合物の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどに代表されるオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、クロロスチレン、などに代表されるスチレン類似化合物、及び、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジビニルベンゼン類、などに代表されるジエン化合物類、などを挙げる事が出来る。中でも、エチレン、プロピレン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン類、などが特に好ましい。
これらは単独のみならず、他のα−オレフィンとの2種以上の混合物であってもよい。また、その重合に際して生成するポリマーの分子量を調節するために水素等の分子調節剤を併用することもできる。
【0055】
予備重合処理は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのとき不活性溶媒を存在させることもできる。オレフィン重合用触媒の予備重合処理に用いられる不活性溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび流動パラフィン等の液状飽和炭化水素やジメチルポリシロキサンの構造を持ったシリコンオイル等重合反応に著しく影響を及ぼさない不活性溶媒である。これらの不活性溶媒は1種の単独溶媒または2種以上の混合溶媒のいずれでもよい。これらの不活性溶媒の使用に際しては重合に悪影響を及ぼす水分、イオウ化合物等の不純物を取り除いた後で使用することが好ましい。
【0056】
予備重合処理は複数回行っても良く、この際用いるモノマーは同一であっても異なっていても良い。また、予備重合処理後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行う事も出来る。予備重合処理を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
【0057】
<プロピレン系ブロック共重合体の製造方法>
本発明の重合工程は、好ましくは、第1段重合工程および第2段重合工程の二段階よりなる。第1段重合工程および第2段重合工程はこの順序(第1段重合工程→第2段重合工程)で実施する。
本発明においては、第1段重合工程において、プロピレンを単独重合またはプロピレンとα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)とを共重合して、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が95重量%以上である重合体成分(A)を製造し、引き続き、第2段重合工程において、プロピレンとα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)とを共重合して、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が90〜10重量%である共重合体成分(B)を製造することが好ましい。
【0058】
<第1段重合工程>
第1段重合工程の重合は、実質気相状態で、プロピレン単独、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの混合物をオレフィン重合用触媒および必要に応じて電子供与体の存在下で、連続重合させて、結晶性のプロピレン重合体(重合体成分(A))を製造する工程である。α−オレフィンとしてはエチレンが一般的である。
この第1段重合工程では、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が95重量%以上である重合体成分を製造することが好ましい。
また、プロピレン単独重合体またはα−オレフィン含量が、好ましくは5重量%未満のプロピレン/α−オレフィン共重合体を形成させることが好ましい。第1段重合工程で得られるプロピレン/α−オレフィン重合体中のα−オレフィン含量が5重量%以上であると、最終共重合体の剛性が低下するおそれがある。
【0059】
第1段重合工程は、1台若しくは2台以上の横型反応槽で成されることが好ましい。更に好ましくは、第1段重合工程を2槽以上の横型反応槽で実施する。第1段重合工程を2槽以上の横型反応器で行うことにより、よりゲルを低減させることが出来る。一方、第1段重合工程を1台の横型反応槽で行う場合は、残りの1台以上の横型反応槽で第2段重合工程であるプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合の一部を行うこととなる。しかしながら、横型反応槽へ過剰のα−オレフィンを導入、特にエチレンなどの沸点の低いα−オレフィンを過剰に導入する場合は、反応槽内の露点が大きく低下し凝縮機の能力によっては生産性が大きく低下するおそれがある。更には製品中のゲルが増加する可能性も高くなるおそれがある。横型反応槽で第2段重合工程の一部を製造する場合、該横型反応槽における共重合体成分中のα−オレフィン含量は、30重量%以下、好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下とすることが望ましい。
【0060】
温度や圧力の様な重合条件は、本発明の効果を阻害しない限り任意に設定する事が出来る。具体的には、重合温度は好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、一方、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。重合圧力は大気圧以上、好ましくは600kPa以上、更に好ましくは1000kPa以上、特に好ましくは1600kPa以上であり、一方、好ましくは4200kPa以下、更に好ましくは3500kPa以下、特に好ましくは3000kPa以下を例示できる。ただし、重合圧力は重合温度におけるプロピレンの蒸気圧力より高く設定するべきではない。
滞留時間は重合槽の構成や製品インデックスに合わせて任意に調整する事が出来る。一般的には、30分から10時間の範囲内で設定される。
【0061】
第1段重合工程においては、水素などの分子量調節剤を用いて重合体のメルトフローレート(MFR)を制御することができる。特に、高い流動性を有するプロピレン系ブロック共重合体を得るためには、第1段重合工程でのMFRを10g/10分以上、好ましくは30g/10分以上、更に好ましくは50g/10分以上とすることが望ましい。第1段重合工程を横型反応槽2槽以上で行う場合、各反応槽間でMFR格差をつけることもできる。各反応槽間で重合パウダーを移送する際、パウダー粒子と同伴して水素も次反応槽へ少なからず移送される。第2段重合工程で高い分子量の共重合体成分を製造するためには、この同伴される水素量も無視できない。特に高流動のプロピレン系ブロック共重合体を製造する場合、必然的に第1段重合工程で高濃度の水素が必要となり、これに伴い第2段重合工程への水素同伴量も多くなる。第1段重合工程を横型反応槽2槽以上でおこなった場合、後段の横型反応槽内の水素濃度を低く設定することで、第2段重合工程への水素同伴量を低く抑えることが可能となる。
【0062】
さらに、第1段重合工程を横型反応槽2槽で行う場合、前段の横型反応槽からのショートパス粒子を選択的に、かつ効率的に失活させる目的で、特開2002−265516号公報等に例示される電子供与体を必要に応じて2槽目に添加してもよい。
【0063】
<第2段重合工程>
第2段重合工程の重合は、プロピレンとα−オレフィンとの混合物を一つ以上の完全混合槽で重合させて、ゴム状重合体(重合体成分(B))を製造する工程である。α−オレフィンとしては、エチレンが好ましい。
第2段重合工程においては、プロピレンとα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)とを共重合して、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が90〜10重量%である共重合体成分(B)を製造することが好ましい。より好ましくは70/30〜10/90、更に好ましくは60/40〜20/80、特に好ましくは55/45〜30/70の割合であるプロピレン/α−オレフィン共重合体を製造することが好ましい。α−オレフィンが30重量%以下では、プロピレン系ブロック共重合体の耐低温衝撃性が低下し、α−オレフィンが過剰な場合は、ゲルの増加やプロピレン系ブロック共重合体の引張り特性等の低下を招くおそれがある。
また、この工程での重合量は、全重合量の好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは25重量%以上であり、一方、好ましくは90重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。ゴム状重合体が過小な場合は、十分な衝撃強度が得られず、また過大な場合は、プロピレン系ブロック共重合体のパウダー流動性が著しく悪化し、系内への付着が発生するおそれがある。
第2段重合工程では、エチレンの他のコモノマーを共存させてもよい。コモノマーとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンを用いることができる。
【0064】
温度や圧力の様な重合条件は、本発明の効果を阻害しない限り任意に設定する事が出来る。具体的には、重合温度は好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、一方、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。重合圧力は大気圧以上、好ましくは600kPa以上、更に好ましくは1000kPa以上、特に好ましくは1600kPa以上であり、一方、好ましくは4200kPa以下、更に好ましくは3500kPa以下、特に好ましくは3000kPa以下を例示できる。ただし、重合圧力は重合温度におけるプロピレンの蒸圧力より高く設定するべきではない。
滞留時間は重合槽の構成や製品インデックスに合わせて任意に調整する事が出来る。一般的には、30分から10時間の範囲内で設定される。
第2段重合工程で、分子量調節剤は、目的に応じて用いてもよいが、前反応槽からの水素漏れこみにより、第2段重合工程の反応槽が目的とする水素濃度が維持できている場合は、改めて用いなくても良い
【0065】
さらに、必要に応じて第1工程重合槽からのショートパス粒子を選択的に、かつ効率的に失活させる目的で、特開2002−265516号公報等に例示される電子供与体を添加してもよい。
【0066】
<プロピレン系ブロック共重合体の特性>
本発明により製造されるプロピレン系ブロック共重合体は、重合体成分(A)のメルトフローレート(MFR)と共重合体成分(B)のメルトフローレート(MFR)を成業することにより、3≦log(MFR/MFR)≦7の関係を満たすものを製造することが好ましい。これにより、プロピレン系ブロック共重合体の剛性/耐衝撃性のバランスを高いレベルで維持できる。但し、過度のMFR格差は、成型品の引っ張り特性低下を招くおそれがある。また過少な場合は十分な剛性/耐衝撃性のバランスを得ることが出来ないおそれがある。
【0067】
本発明の製造方法により得られるプロピレン系ブロック共重合体は、剛性/耐低温衝撃性のバランスに優れ、かつゲルの発生が少ないという特性を持つ。そのため、射出成形分野や押出し成形分野で用いられ、特に自動車用材料に好適である。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例は図4記載の装置を用いて実施した。
本発明における各物性値の測定方法を以下に示す。
【0069】
(各種物性測定法)
a)MFR(単位:g/10分):JIS−K6921の方法に従い、230℃、21.18Nの条件で測定した。
b)α−オレフィン含有率(重量%):赤外線吸収スペクトル法により測定した。
c)ゲル:射出成形品を、蛍光灯下、目視にて観察しゲル発生量を比較した。評価は、
◎(僅か)<○(少ない)< △(若干発生) < ×(多い)
で行った。
【0070】
(機械物性測定方法)
a)曲げ弾性率(MPa):JIS K7203に準拠して測定した。
b)アイゾット衝撃値:JIS K7110に準拠して測定した。
【0071】
(実施例1)
1)オレフィン重合用触媒(固体触媒成分)の調製
撹拌機を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体触媒成分のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体触媒成分のTi含量は2.7wt%、Mg含有量は18wt%であった。また、固体触媒成分の平均粒径は33μmであった。
【0072】
2)オレフィン重合用触媒(固体触媒成分)の予備重合処理
内容積20リットルの傾斜羽根付きステンレス製反応槽を窒素ガスで置換した後、ヘキサン17.7リットル、トリエチルアルミニウム100.6mmol、ジイソプロピルジメトキシシラン15.1mmol、前項で調整した固体触媒成分120.4gを室温で加えた後、30℃まで加温した。次いで、攪拌しながらプロピレン240.8gを3時間かけて供給し、予備活性化処理を行った。分析の結果、オレフィン重合触媒1g当たりプロピレン1.9gが反応していた。
【0073】
3)第1段重合工程
図4に示したフローシートによって説明する。攪拌羽根を有する横形反応槽(L/D=5.2、内容積100リットル)2台(反応槽Aおよび反応槽B)を直列に設置し、上記予備活性化処理した固体触媒成分を0.51g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物としてジイソプロピルジメトキシシランを、Al/Mgモル比が6、Al/Siモル比が6となるよう反応槽A(10)最上流部へ連続的に供給した。反応温度65℃、反応圧力2.2MPa、攪拌速度35rpmの条件を維持しながら、反応槽内の気相中の水素濃度を表1に示した水素/プロピレンモル比に維持するように、水素ガスを循環配管6より連続的に供給して、反応槽AのMFRを調節した。
反応熱は配管17から供給する原料液化プロピレンの気化熱により除去した。反応槽から排出される未反応ガスは配管13を通して反応槽系外で冷却、凝縮させて配管17にて反応槽A(10)に還流した。
生成した第1段重合の重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の60容量%となる様に配管37を通して反応槽A(10)から間欠的に抜き出し、反応槽B(20)に供給した。
この時、配管41から重合体の一部を間欠的に採取して、MFRおよび触媒単位重量当たりの重合体収量を測定する試料とした。触媒単位重量当たりの重合体収量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)により測定した重合体中のMg含有量から算出した。
【0074】
攪拌羽根を有する横形反応槽B(20)の上流部より反応槽A(10)から排出されたパウダーを受け入れた。反応温度70℃、反応圧力2.1MPa、攪拌速度35rpmの条件を維持しながら、反応槽内の気相中の水素濃度を表1に示した水素/プロピレンモル比に維持するように、水素ガスを循環配管7より連続的に供給して、反応槽BのMFRを調節した。
反応熱は配管27から供給する原料液化プロピレンの気化熱により除去した。反応槽から排出される未反応ガスは配管23を通して反応槽系外で冷却、凝縮させて配管27にて反応槽20に還流した。
反応槽Bで生成した重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の60容量%となる様に配管38を通して反応槽B(20)から間欠的に抜き出し、第2反応槽である反応槽C(40)に供給した。
この時、配管42から重合体の一部を間欠的に採取して、MFRおよび触媒単位重量当たりの重合体収量を測定する試料とした。触媒単位重量当たりの重合体収量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)により測定した重合体中のMg含有量から算出した
【0075】
4)第2段重合工程
第1段重合工程に引き続き、内容積2000リットルの流動床反応槽にて第2段重合工程の重合を実施した。この流動床反応槽は、第1段重合工程の第2反応槽の直後に、直列に接続されたものである。反応温度60℃で、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.33となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/エチレンのモル比で0.01となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して1.2倍モルになるように供給した。流動床反応槽で重合したパウダーは、空塔速度が0.40m/secとなるように流動させ、また、反応槽内のパウダー保有量が、平均して40kgとなるように1回約2Kgずつ間欠的に、5〜10分に1回ベッセルに抜き出し、更に別のベッセルに移送し、そこでは、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止、残留ガスをパージさせ、プロピレン系ブロック共重合体を得た。
【0076】
得られたプロピレン系ブロック共重合体の一部はMFRの測定、および赤外線吸収スペクトル分析によるエチレン含有量の測定、ICP法による重合体中のMg含量の測定による共重合体の生成量、各種機械物性およびゲルの測定に供した。
更に、得られたプロピレン系ブロック共重合体4kgにフェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を2.0g、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フオスフアイトを2.0g、中和剤として、ステアリン酸カルシウムを2.0g添加し、およびタルクを12g加え、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて、室温下にて2分間混合し、混合物をスクリュウ径40mmの押出造粒機を用いて造粒した。次いで、造粒物からテストピースを射出成形機を用いて溶融樹脂温度250℃、金型温度50℃で作成した。得られたテストピースを湿度50%、室温23℃の室内で72時間状態調整して機械物性値を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
(比較例1)
攪拌羽根を有する横形反応槽(L/D=5.2、内容積100リットル)2個を、第1反応槽、第2反応槽として、直列に連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。
まず、第1反応槽に予備活性化処理したオレフィン重合用触媒(固体触媒成分)を0.53g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物としてジイソプロピルジメトキシシランを、Al/Mgモル比が6、Al/Siモル比が6となるよう連続的に供給した。反応温度65℃、反応圧力2.2MPa、攪拌速度35rpmの条件を維持しながら、反応槽内の気相中の水素濃度を表1に示した水素/プロピレンモル比に維持するように、水素ガスを連続的に供給して、第1段重合体のMFRを調節した。生成した第1段重合の重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の60容量%となる様に間欠的に抜き出し、第2段重合工程の反応槽に供給した(第1段重合工程)。
重合温度60℃で、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.39となるように連続的に供給した。分子量制御剤としての水素の供給は行わなかった。活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して1.1倍モルになるように供給した。第2反応槽で重合したパウダーは、重合体の保有レベルが反応容積の60容量%となる様に間欠的に抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体を得た(第2段重合工程)。
得られたプロピレン系ブロック共重合体4kgにフェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を2.0g、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを2.0g、中和剤として、ステアリン酸カルシウムを2.0g添加し、およびタルクを12g加え、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて、室温下にて2分間混合し、混合物をスクリュウ径40mmの押出造粒機を用いて造粒した。次いで、造粒物からテストピースを射出成形機を用いて溶融樹脂温度250℃、金型温度50℃で作成した。得られたテストピースを湿度50%、室温23℃の室内で72時間状態調整して機械物性値を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
表1から明らかなように、本発明の製造方法の特定事項である、「少なくとも2槽以上の内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽と少なくとも1槽以上の完全混合槽型反応槽にてプロピレン/αオレフィン共重合体成分を製造する」との要件を満たさない方法である比較例1で得られたものは、ゲルの発生が多いプロピレン系ブロック共重合体であるのに比べて、本発明の製造方法の実施例によるポリプロピレン系ブロック共重合体組成物は、ゲルの発生が抑制されたプロピレン系ブロック共重合体である事が分かる。
加えて2槽目の横型反応槽における水素濃度を制御することで、第2段重合工程における水素濃度をより低下させることが可能となり、共重合体成分の分子量もより高くすることが可能であることが分かる。
また、本発明の製造方法の実施例によるポリプロピレン系ブロック共重合体組成物は、流動性維持の目標であるMFRが25g/10分以上との値も満たしている。
従って、実施例はプロピレン系ブロック共重合体の製造方法において、本発明の製造方法の特定事項である、各重合工程でのプロセスを規定することで、流動性が高く、ゲル発生の抑制およびより高い分子量の共重合体成分を製造するという点で、優れた結果が得られていると言える。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の製造方法は、ゲルの発生を抑制されたプロピレン系ブロック共重合体が得られることから、外観および剛性/耐低温衝撃性に優れた射出成形品等を得ることが可能である。加えて、連続気相重合方法であることから、より安価で品質的に安定したプロピレン系ブロック共重合体の供給が可能となる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系重合体を多段連続気相重合法で製造するための反応装置であって、少なくとも2槽の内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応槽と、少なくとも1槽の完全混合槽とを、すべて直列に配置してなることを特徴とするプロピレン重合反応装置。
【請求項2】
前記完全混合槽が、主に循環ガスの顕熱を利用して重合熱の除去を行なう反応槽であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン重合反応装置。
【請求項3】
前記完全混合槽が、縦型攪拌反応槽、攪拌式流動床反応槽又は流動床反応槽から選ばれる反応槽であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン重合反応装置。
【請求項4】
前記完全混合槽が、流動床反応槽であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン重合反応装置。
【請求項5】
前記横型反応槽のうち少なくとも2槽を、前記完全混合層のうち最もプロセス上流に配置される完全混合槽より、上流側に配置してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン重合反応装置。
【請求項6】
プロセス上流側から、前記横型反応槽のうちの1槽−前記横型反応槽のうちの別の1槽−前記完全混合層のうちの1槽との順番で配置してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレン重合反応装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロピレン重合反応装置を用いて、オレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンの多段連続気相重合を行うことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
【請求項8】
プロピレンを単独重合またはプロピレンとα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)とを共重合して、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が95重量%以上である重合体成分(A)を製造する第1段重合工程を行い、引き続き、プロピレンとα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)とを共重合して、プロピレンに基づく単量体単位の含有量が90〜10重量%である共重合体成分(B)を製造する第2段重合工程を行うことを特徴とする請求項7記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
【請求項9】
第1段重合工程が、少なくとも1槽の前記横型反応槽にて行われることを特徴とする請求項8に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
【請求項10】
第1段重合工程が、少なくとも2槽の前記横型反応槽にて行われることを特徴とする請求項8に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
【請求項11】
第2段重合工程が、少なくとも1槽の前記完全混合槽にて行われることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
【請求項12】
重合体成分(A)のメルトフローレート(MFR)と共重合体成分(B)のメルトフローレート(MFR)が、3≦log(MFR/MFR)≦7の関係を満たすことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−116978(P2011−116978A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248934(P2010−248934)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(596133485)日本ポリプロ株式会社 (577)
【Fターム(参考)】