説明

プロポリスの抗アレルギー作用

【課題】ロイコトリエンの産生もしくは遊離を抑制し、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症を予防ないし治療する。
【解決手段】プロポリスまたはその抽出物を有効成分とするロイコトリエン産生もしくは遊離抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロポリス由来の抗アレルギー有効成分を含むアレルギーの予防または治療剤に関する。プロポリス由来の有効成分は特にロイコトリエンの産生ないし遊離を抑制し、スギ花粉症などの花粉症、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に有効である。
【背景技術】
【0002】
プロポリスはミツバチにより集められた樹木の樹液、植物の新芽や浸出物などがミツロウ等と混ざり合ってできた膠状の物質であり、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用などが知られている(特許文献1〜4)。
【0003】
一方、気管支喘息、スギやブタクサに代表される花粉症、アレルギー性鼻炎の患者は近年増加の一途をたどっており、その作用機序としてヒスタミンの1000倍程度も強い気管支収縮作用を有するロイコトリエンが注目されている。
【特許文献1】特開2002−308830
【特許文献2】特開平9−143179
【特許文献3】特開2004−159563
【特許文献4】特開平8−228701
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ロイコトリエンの産生もしくは遊離を抑制し、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症を予防ないし治療することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、プロポリスのロイコトリエンの産生抑制作用もしくは遊離抑制作用に注目してその有効成分を探索したところ、アルテピリンC及び(E)-3-(2,2-ジメチル-8-プレニル-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)-2-プロペン酸、ドゥルパニン、バッカリンおよびケンフェライドが強力なロイコトリエンの産生抑制作用もしくは遊離抑制作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、以下のロイコトリエン産生抑制剤もしくは遊離抑制剤、気管支喘息・花粉症・アレルギー性鼻炎の予防または治療剤を提供するものである。
1. プロポリスまたはその抽出物を有効成分とするロイコトリエン産生もしくは遊離抑制剤。
2. プロポリスまたはその抽出物を有効成分とする気管支喘息の予防または治療剤。
3. プロポリスまたはその抽出物を有効成分とする花粉症の予防または治療剤。
4. 花粉症が、スギ花粉症である項3に記載の予防または治療剤。
5. プロポリスまたはその抽出物を有効成分とするアレルギー性鼻炎の予防または治療剤。
6. 有効成分がアルテピリンC、(E)-3-(2,2-ジメチル-8-プレニル-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)-2-プロペン酸、ドウルパニン、バッカリン及びケンフェライドからなる群から選ばれる少なくとも1種である項1〜5のいずれかに記載のロイコトリエン産生抑制剤もしくは遊離抑制剤、気管支喘息・花粉症・アレルギー性鼻炎の予防または治療剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プロポリスに由来する成分によりロイコトリエンの産生ないし遊離を抑制することができる。ロイコトリエンは、気管支平滑筋を強力に収縮させるので、本発明は、気管支喘息を予防または治療するのに有用である。
【0008】
また、ロイコトリエンは、花粉症ないしアレルギー性鼻炎に対しても深く関与しており、花粉症ないしアレルギー性鼻炎の予防ないし治療剤としても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、ロイコトリエン阻害作用(産生抑制、遊離抑制、受容体拮抗作用など)を有するプロポリス由来の有効成分としては、以下のものが挙げられる:
【0010】
【化1】

【0011】
なお、(E)-3-(2,2-dimethyl-8-preny-2H-1-benzopyran-6-yl)-2-propenoic acidは、2,2-ジメチル-8-プレニルクロメン-6-プロペン酸とも命名されるが、以下本明細書では「クリフォリン」と記載する。
【0012】
上記の5つの有効成分は、いずれもプロポリスに含まれている。
【0013】
本明細書において、プロポリスは特に限定されず、例えばブラジル、中国、ヨーロッパ諸国、オセアニア、アメリカなど、いずれの産地・植物由来のものであってもよい。したがって、アレクリン、スーパーグリーン、ユーカリ、ウルトラグリーンなどいずれのプロポリスも使用できるが、これらのうちブラジル産のアレクリンプロポリスが特に好ましい。
【0014】
本発明の「プロポリスまたはその抽出物」は、プロポリス自体を使用することもできるが、上記5つの有効成分がプロポリス自体よりも濃縮されたものを好ましく使用できる。なお、「有効成分が濃縮された」とは、上記5つの化合物の少なくとも1つの全体に対する割合が高くなっていることを意味し、具体的には、抽出ないし精製の過程で、上記5つの有効成分化合物以外の物質を除去することが例示される。最も好ましい「プロポリスまたはその抽出物」は、上記5つの有効成分の少なくとも1種が精製・単離された物質(単一物質または混合物)である。
【0015】
プロポリス抽出物を得るための溶媒としては、上記5つの物質の少なくとも1種が抽出できる限り特に限定されないが、例えば水、CO2や、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどの低級アルコール、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、グライム、ジグライムなどのグライム類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、DMF,DMSOなどが挙げられる。
【0016】
プロポリスの抽出物を得る方法は特に限定されない。原料としてのプロポリスは、通常、プロポリス原塊またはアルコール洗浄したプロポリス原塊が用いられる。これらのプロポリス原塊は、そのまま用いてもよいが、適当な大きさに切断もしくは粉砕したものを用いれば、抽出効率が向上して好ましい。
【0017】
抽出時間は特に限定されず、原料として用いられるプロポリスの形態、抽出に用いられる溶媒の種類および量、抽出の際の温度や攪拌条件などにより適宜設定することができる。抽出操作の終了後、通常の方法、例えばろ過などにより抽出混合物から固形物を除去し、さらに必要に応じて遠心分離などによりプロポリスの溶媒抽出画分を得ることができる。
【0018】
このようにして得られるプロポリス溶媒抽出画分は、そのまま本発明の有効成分として用いることができるが、該抽出画分を通常の方法により濃縮して得られる濃縮液の形態、あるいは濃縮液を噴霧乾燥、凍結乾燥して得られる粉末の形態で用いることもできる。
【0019】
本発明の有効成分の5つの化合物は、遊離の酸の形態であってもよく、塩の形態であってもよい。塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)等が挙げられ、好ましくはアルカリ金属塩が挙げられる。このような塩は、前記化合物とアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などを作用させて容易に塩の形態に変換することができる。
【0020】
本発明の有効成分は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶、液体クロマトグラフィーなどによりプロポリスまたはその抽出物をさらに精製することができる。
【0021】
本発明の有効成分は、ロイコトリエンの産生抑制、遊離抑制、ロイコトリエンの受容体への結合阻害、ロイコトリエンとの結合などのメカニズムにより、ロイコトリエンの作用を抑制する。抑制対象のロイコトリエン(LT)としては、LTC,LTD,LTEなどが挙げられる。
【0022】
例えば成人1日あたりの有効量は、プロポリス又はプロポリス抽出物の場合には、10 mg〜2g程度、好ましくは100 mg〜1g程度、より好ましくは150〜500mg程度、最も好ましくは300mg程度が挙げられ、これらを1日1回、或いは2〜4回に分割して摂取することができる。プロポリスの5つの有効成分を単離した場合には、各有効成分の有効量は、1μgから100mg程度である。
【0023】
本発明の有効成分は、ヒトに投与することが望ましいが、イヌ、ネコなどの動物/ペットおよび馬、牛、豚、家禽などの家畜に投与しても同様に、気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎などを予防ないし治療することができる。本発明の有効成分は、経口摂取製剤として摂取され得る。本発明の有効成分は、通常、経口投与に適した液体製剤または固体製剤の形態で用いられる。
【0024】
液体製剤としては液剤、ドリンク剤、シロップ剤など、固体製剤としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤などの経口投与用形態が挙げられる。
【0025】
液体製剤を製造する際には、賦形剤として、水、グリセリン、プロピレングリコール、単シロップ、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールなどを用いることができる。
【0026】
また、固体製剤を製造する際には、賦形剤として、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ゼラチン、澱粉、デキストリン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、合成又は天然のケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、乾 燥酵母などを用いることができる。
【0027】
さらに、本発明の有効成分には、所望によりクエン酸、リン酸、リンゴ酸またはそれらの塩類などの安定化剤;スクラロース、アセスルファムカリウムなどの高甘味度甘味料や、ショ糖、果糖、はちみつなどの甘味剤;アルコール類、グリセリンなどの防腐剤;希釈剤、緩衝剤、着香剤及び着色剤のような通常の添加剤が加えられてもよい。
【0028】
本発明の有効成分は保健、健康維持、増進等を目的とする食品、例えば健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、あるいは厚生労働省の定める特別用途食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、病者用食品、病者用組合せ食品、高齢者用食品など)として提供することも可能である。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
製造例1
以下の方法に従い、アルテピリンCとクリフォリンを単離した。
(i)アレクリンプロポリス原塊(ミナスジェライス州産)のエタノール抽出物をロータリーエバポレーターで濃縮し、粘性が上がったところで減圧乾燥法に切り換え、室温で一晩乾燥した。
(ii)乾燥後のプロポリス抽出物(3.3 g)についてカラムクロマトグラフィー(ゲルの種類: シリカゲル ワコーゲル C-200、カラムサイズ:φ5×40 cm、溶離溶媒:酢酸エチル)に付し、n-ヘキサン、酢酸エチル、クロロホルム、エタノール、メタノールで順次溶出した。得られた各成分に対しロイコトリエン遊離阻害作用を検討したところ、主たる活性本体は酢酸エチル溶出物にあった。
(iii)上記抽出物をカラムクロマトグラフィー(ゲルの種類: シリカゲル ワコーゲル C-200、カラムサイズ:φ5×40 cm、溶離溶媒:1%, 2%, 3%, 4%, 5%, 6%, 8% 酢酸エチルを含むn-ヘキサン、溶出条件:各200 mlを流し20 mlずつ分取)で精製し、クロマトパターンの比較から9フラクション(Fr 4-6; 28 mg、Fr 7-12; 53 mg、Fr 15-17; 23 mg、Fr 18-24; 105 mg、Fr 25-32; 105 mg、Fr 33-41; 340 mg、Fr 42-49; 393 mg、Fr 50-79; 622 mg、回収;310 mg)にわけた。得られた9フラクションについてロイコトリエン遊離阻害作用を検討した結果、主たる活性本体は溶出の遅い後半の部分、Fr.25〜Fr.79にあった。
(iv)最も活性が強かったFr.25〜32を液体クロマトグラフィー(機種:日本分光製 880-PU型システム、カラム:ナカライ テスク製 Cosmosil5C18-AR-II 10×250 mm、移動層: A液: 0.05%トリフルオロ酢酸、B液:アセトニトリル、A:B= 50:50(v/v)から10:90 (v/v) 15分 のリニアグラジエント後10:90 (v/v)で5分保持、検出波長:254 nm、流速: 2.5 ml/min)で精製し、アルテピリンC(208 mg)とクリフォリン(10.4 mg)を得た。
【0030】
アルテピリンCとクリフォリンの同定結果を以下に示す。
測定装置
N M R ; ブルカー・バイオスピン製 A V A N C E 5 0 0 型
M S ; 日本電子製 J M S − T 1 0 0 L C 型
【0031】
(i)アルテピリンC
EI-MS m/z:3 0 0 「M」, C I − M S m/z:3 0 1 [M + H]
H − N M R ( 5 0 0 M H z ; C D O D ) : δ 1 .7 3 ( 6 H , s , a − C H×2 ),1 .7 6( 6 H ,s ,a − C H ×2 ),3 .3 1( 4 H ,m ,g − C H ×2 : 測定溶媒と重なり) , 5 . 3 2 ( 2 H , m , H c ×2 ) , 6 . 2 ( 1 H , d ,J d f = 1 6 H z , H d ) , 7 . 1 4 ( 2 H , s , H e ) , 7 . 5 3 ( 1 H , d ,J d f = 1 6 H z , H f )
【0032】
【化2】

【0033】
(ii)クリフォリン
ESI−MS(ネガティブモード)m/z:297[M−H]
H−NMR(500MHz;CDOD):δ1.42(6H,s,a−CH×2),1.72(3H,s,b−CH),1.73(3H,s,b−CH),3.25(2H,d,Jcd=8Hz,c−CH),5.25(1H,m,d−CH),5.72(1H,d,Jeg=10Hz,He),6.25(1H,d,Jfi=16Hz,Hf),6.38(1H,d,Jeg=10Hz,Hg),7.11(1H,d,Jhh’=2Hz,Hh),7.19(1H,d,Jhh’=2Hz,Hh’),7.55(1H,d,Jfi=16Hz,Hi)
【0034】
【化3】

【0035】
製造例2
以下の方法に従いドゥルパニン、バッカリン、ケンフェライドを単離および同定した。
(i) アレクリンプロポリス原塊2 g (ミナスジェライス州産)の80%エタノール抽出物をロータリーエバポレーターで濃縮、乾燥した。
(ii)乾燥後のプロポリス抽出物(1.3 g)を酢酸エチルと水で分配し、酢酸エチル区(970 mg)を得た。
(iii)酢酸エチル区(726 mg)をカラムクロマトグラフィー(ゲルの種類:シリカゲル Yamazen Hi FlashTM、カラムサイズ:φ26×100 mm、溶離溶媒:2%, 5%, 10%, 20%, 40%酢酸エチル含有クロロホルム、溶出条件:各200 mlずつ流し20 mlずつ分取)で精製し、クロマトパターンの比較から11フラクション(Fr 4-5; 29.4 mg, Fr 6-7; 20.2 mg, Fr 8-10; 139.2 mg, Fr 11-13; 133.0 mg, Fr 14-17; 57.6 mg, Fr 18-20; 9.6 mg, Fr 21-25; 25.5 mg, Fr 26-31; 34.3 mg, Fr 32-40; 39.0 mg, Fr 41-45; 18.9 mg, Fr 46-50; 62.6 mg)にわけた。
(iv)上記フラクション26-31を薄層クロマトグラフィー(ゲルの種類:シリカゲル60 F254、展開溶媒:酢酸エチル:クロロホルム=1:1、検出:254 nm)で分取し、Rf値0.43を示す物質を得た。さらに液体クロマトグラフィー(機種:ウォーターズ 600シリーズ、カラム: ナカライ テスク製 Cosmosil 5C18-AR-II 10×250 mm、移動層: A液: 0.1%トリフルオロ酢酸(5 min)、B液:アセトニトリル、A:B= 50:50(v/v)で5分保持後A:B=50:50(v/v)から10:90 (v/v) 30 分のリニアグラジエント)、検出波長:260 nm、流速: 1 ml/min)で精製し、ドゥルパニン(3.1 mg)を得た。
(v)フラクション11-13を中圧カラム(ゲルの種類: ODS-SM 26×100 mm、溶離溶媒:70%、80%、90%、100%メタノールを含む0.1%トリフルオロ酢酸、溶出条件:270 mlずつ流して18 mlずつ分取)で精製し、7フラクション(Fr 1-9; 12.9 mg、Fr 10-13; 50.3 mg、Fr 14-20; 8.4 mg、Fr 21-25; 34 mg、Fr 26-30; 23.1 mg、Fr 31-45; 8.0 mg、Fr 46-60; 7.1 mg)にわけた。
(vi)フラクション26-30に数滴のアセトンを加えた後、液がにごる程度にヘキサンを加えて室温で放置し、無色針状結晶のバッカリン(9.8 mg)を得た。
(vii)フラクション10-13にメタノールを加えて放置し、黄色針状結晶のケンフェライド(24.4 mg)を得た。
【0036】
ドゥルパニン、バッカリン、ケンフェライドの同定結果を以下に記す。
測定装置
質量分析装置: 日本電子製 JMS-AX505
核磁器共鳴装置: 日本電子製 ECP-500 NMR

ドゥルパニン
EIMS (m/z):m/z 232 [M]+ (81.3%), 177 (100)
1H NMR (Acetone-d6): dH 1.72 (6H, s), 3.32 (2H, d, 7.4 Hz), 5.35 (1H, m), 6.28 (1H, d, 15.8Hz), 6.89 (1H, d, 8.3 Hz), 7.32 (1H, dd, 2.1, 8.3 Hz), 7.39 (1H, d, 2.1 Hz), 7.55 (1H, d, 15.8 Hz)

バッカリン
EIMS (m/z):m/z 364 [M]+ (8.2%), 232 (100), 214 (25.8), 177 (34.8), 105 (31.6), 91 (38.4)
1H NMR (CDCl3): dH 1.67 (3H, s), 1.76 (3H, s), 2.92 (2H, dd, 7.6, 8.0 Hz), 3.09 (2H, dd, 7.6, 7.8 Hz), 3.15 (2H, d, 7.1 Hz), 5.18 (1H, m), 6.38 (1H, d, 16.1 Hz), 6.98 (1H, d, 8.7 Hz), 7.28-7.40 (7H, m), 7.37 (1H, d, 16.1 Hz)

ケンフェライド
EIMS (m/z): 300 [M]+ (100%), 299 (31.3), 285 (34.8), 232 (43.4)
1H NMR (Acetone-d6):dH 3.89 (3H, s), 6.36 (1H, d, 2.1 Hz), 6.53 (1H, d, 2.1 Hz), 7.11 (1H, ddd, 2.1, 3.0, 9.2 Hz), 8.22 (1H, ddd, 2.1, 3.0, 9.2 Hz)
【0037】
実施例1:LT遊離抑制
以下の手順に従い、プロポリス由来のアルテピリンC等のLT遊離抑制作用を調べた。
【0038】
使用Kit:ロイコトリエン濃度測定 ELISA Kit(キット名CAST(登録商標)-2000:The BUHLMANN)
その他:洗浄用Solution:(HEPES-Tyrod's BSASolution,Ca2+抜き,pH=7.4)
被験物質調製用Solition:(HEPES-Tyrod's BSASolution,抗生物質入り,pH=7.4)
Calcium Ionophore A23187(Sigma):最終濃度10μmol/L
被験物質の調製:各被験物質を所定の最終濃度になるように,調製する.
Calcium Ionophore A23187は10mgを1mlのDMSOに溶解しCa抜きのHEPES-Tyrode’sで317倍に希釈する.
細胞抽出手順:9週齢のラットを断頭にて放血致死させた後,直ちに腹腔内に24mL生理食塩液を注入し,腹部を軽くマッサージし,開腹後,注入液を採取する.その後,Stimulation Bufferで3回の洗浄を行う.洗浄後,細胞をStimilation Buffer 1mLに浮遊させ,細胞数を計測し,遠心分離を行なう.上清を除去し,Stimulation Bufferにて2×104 cells/mLに調製する.調製後,1.5mLのチューブに200μL細胞浮遊液を小分けし,ロイコトリエン濃度測定ELISA Kitを用いて,次の方法でLT遊離および測定を行う.
LT遊離: 細胞浮遊液200μLずつ小分けする.
Back ground (BG)の場合
200μL:細胞浮遊液
50μL:被験物質調製用Solition
50μL:Stimulation Buffer
Positive Control (PC)の場合
200μL:細胞浮遊液
50μL:被験物質調製用Solition
50μL:最終濃度10μmol/L Calcium ionophore液
Sampleの場合
200μL:細胞浮遊液
50μL:各サンプル溶液(最終濃度になるよう調製済み)
50μL:最終濃度10μmol/L Calcium ionophore液
それぞれを混合後,やさしくかくはんする.かくはん後,37℃・40分間インキュベーションする.インキュベーション後氷冷し,反応を停止させた後,遠心分離(1000×G,4℃,3分間)する.遠心分離後上清を回収し,回収した上清を用いてLT濃度測定を行なう.
吸光度測定の際には,ELISA Bufferにて32倍希釈する

ロイコトリエン遊離阻害率(%)
【0039】
【数1】

【0040】
結果を以下に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例2
以下の手順に従い、プロポリス由来のドゥルパニン、バッカリン、ケンフェライドのLT遊離抑制作用を調べた。陽性コントロールとしてはフォルボールミリステートアセテート(PMA)を用いた。
【0043】
Diluent:137 mM NaCl, 2.68 mM KCL, 0.5 mM MgCl2, 0.9 mM CaCl2, 8.1 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4 (pH 7.4)
Calcium Ionophore A23187(Sigma):最終濃度5μmol/L
細胞浮遊液:分化させたHL-60細胞6×105cells/well
Assay volume: 250 μl
細胞浮遊液を37℃・15分間インキュベートした後、各サンプル溶液、PMA溶液もしくは水を加え、37℃・15分間インキュベーションする.インキュベーション後4℃で5分氷冷し,反応を停止させた後,遠心分離(250×G,4℃,5分間)する.遠心分離後上清を回収し,回収した上清を用いてLT濃度測定を行なう.

結果を以下の表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
処方例1
プロポリスのエタノール抽出液200mlを、乳糖 1kgに噴霧・乾燥し、粉末化して、ハードカプセルに充填し、プロポリス のエタノール抽出物含有カプセルを得た。
【0046】
処方例2
アルテピリンCを濃縮したプロポリスのエタノール抽出物 50ml
水飴 250g
砂糖 300g
水 50ml
水飴250g、砂糖300g、水50mlを加熱して溶かし、アルテピリンCを濃縮したプロポリスのエタノール抽出物50mlを加える。適当な大きさにとりわけ、成型し、プロポリスのエタノール抽出物含有キャンディを得た。
【0047】
処方例3
プロポリス の含水エタノール抽出物 0.5ml
アスコルビン酸 300mg
ハチミツ 10g
レモン果汁 10ml
水 適量
上記の材料を混合し、全量50mlのプロポリス のエタノール抽出物含有ドリンクを得た。
【0048】
処方例4
クリオフォリンを濃縮したプロポリスの80%エタノール抽出液を用いた下記の処方でサプリメントを調製した。
下記の処方の粉末を均一に混合し、常法により打錠機を用いて160mgの錠剤のサプリメントとした。
クリオフォリンを濃縮したプロポリスのエタノール抽出物の噴霧乾燥物 10 mg
乾燥ビール酵母粉末 50 mg
還元麦芽糖 75 mg
ショ糖脂肪酸エステル 20 mg
セルロース 5 mg
【0049】
処方例5
ドゥルパニンを濃縮したプロポリスの10%エタノール抽出液の凍結乾燥物を用いた下記の処方で錠剤を調製した。
ドゥルパニンを濃縮したプロポリスのエタノール抽出物の噴霧乾燥物 10 mg
微結晶セルロース 80 mg
トウモロコシデンプン 78 mg
ステアリン酸マグネシウム 2 mg
【0050】
処方例6
バッカリンが濃縮されたエタノール抽出物75gに、コーティング剤としてコーンスターチ32.15gを添加(コーティング)し、エタノール抽出物のコーティング顆粒107.15gを得た。なお、この顆粒のコーティング比は0.3である。
【0051】
処方例7
ケンフェライドが濃縮されたエタノール抽出物50μgに大豆油 150mg ミツロウ 20mg、グリセリン脂肪酸エステル30mgを、定法に従って混合しゼラチン軟カプセルに充填し、粒状の健康食品(本経口組成物)とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロポリスまたはその抽出物を有効成分とするロイコトリエン産生もしくは遊離抑制剤。
【請求項2】
プロポリスまたはその抽出物を有効成分とする気管支喘息の予防または治療剤。
【請求項3】
プロポリスまたはその抽出物を有効成分とする花粉症の予防または治療剤。
【請求項4】
花粉症が、スギ花粉症である請求項3に記載の予防または治療剤。
【請求項5】
プロポリスまたはその抽出物を有効成分とするアレルギー性鼻炎の予防または治療剤。
【請求項6】
有効成分がアルテピリンC、(E)-3-(2,2-ジメチル-8-プレニル-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)-2-プロペン酸、ドウルパニン、バッカリン及びケンフェライドから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のロイコトリエン産生抑制剤もしくは遊離抑制剤、気管支喘息・花粉症・アレルギー性鼻炎の予防または治療剤。

【公開番号】特開2008−214235(P2008−214235A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52271(P2007−52271)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(598162665)株式会社山田養蜂場本社 (32)
【Fターム(参考)】