説明

ヘアピンリボザイムによるヒト乳頭腫ウイルスの阻害

【課題】ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)由来の遺伝子から転写されるRNAを、そのE6遺伝子領域において、解裂させる際に利用可能なヘアピンリボザイムの提供。
【解決手段】合成リボザイム、すなわちヘアピン部分と、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のそれぞれウイルス塩基419および434の後に結合する結合部位と、HPVウイルスを解裂する解裂部位を有するリボザイムを開示する。また、本発明は、PCR増幅に基づく組織内ウイルスの検出法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、RNA触媒、すなわちヒト乳頭腫ウイルスを5’水酸基を有するフラグメントと2’,3’環状リン酸塩を有するフラグメントに分解するリボザイムに関する。ここに記載する反応の生成物は、RNAの自然加水分解物に似ている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
乳頭腫ウイルスは小さなDNAウイルスであり、上皮細胞の過形成を誘導する。ヒトからは、約70種類のゲノタイプが分離されている。これらゲノタイプの一部(1,2,4および7)はヒトの良性扁平上皮乳頭腫(いぼ;コンジローマ)に関連し、一方少なくとも2種類(16および18)はヒトの腫瘍性および前腫瘍性病変と関連があるとされている(DiPaoloら、1993、Critical Reviews in Oncogenesis 4: 337-360)。米国では、毎年100,000人あたり約8.6人の婦人に子宮頚管癌が発生している。婦人のHPV−16は、しばしば良性および前悪性子宮頚管病変(ディスプレシア/CIN)および半転移性子宮頚管癌の潜伏性感染と関連がある。男性のHPV−16は、無症性疾患または臨床的丘診性病変と関連がある。陰茎のボウエノイド丘診症は、in situで癌に似ている。子宮頚管癌で死亡する婦人数は全世界で年間少なくとも500,000人で、この癌は進行性細胞変化を経由して良性のコンジローマから高度のディスプレシア/CINに進展し、さらに転移性癌に進展する。米国では、これらの病変の検出および処置に毎年5百万ドル以上の保健費が支出されている。
【0003】
疫学的調査で、ヒトの全口腔腫瘍の最高89%がHPV型で、ヒトの一次ケラチノサイトを不滅化し、げっ歯類細胞を変形させることが知られている。HPVの発癌性は、2種類のウイルス遺伝子E6およびE7の産物と関連があると思われる。これらの産物は、変形フェノタイプの導入および維持に必要である。これらの遺伝子によってコードされたタンパクは、腫瘍関連型と高い親和性を有し、Rbおよびp53腫瘍抑制細胞の産物に結合し、それを中和する(Nasseri,1991,Virol.194: 136; Sedmanら,1991,J.Virol.65: 4860-4866; Smotkin & Wettstein,1989,J.Virol.63: 1441-1447; Smotkin & Wettstein,1986,J.Virol.63: 1441-1447; Steeleら,1993,Cancer Res.53: 2330; Storeyら,1991,Nuc.Acids Res.19(15):4109)。
【0004】
ほかに優れた方法がないため、泌尿科病院では、高度の病変については手術が行われている。子宮頚管レーザー切除治療は、婦人の子宮頚管ヒト乳頭腫ウイルス関連疾患の自然発生に長期の影響はない。インターフェロンは、通常、適時に処置を開始することができないため、それ自体では急性ウイルス感染に関する限り期待はもてない。
【0005】
したがって、インターフェロンの利点は抗増殖効果であり、抗ウイルス効果ではないと推定されている。
【0006】
また、癌の治療には混合化学療法も使用され、子宮頚管癌にはシスプラチンが単独または他の化学療法剤と混用されている。しかし、現在化学療法による成功はきわめて低い。第二相試験で、子宮頚管癌患者に対するシスプラチンと5FUの併用効果はわずか22%であり、一方、同じ併用は、頭部および頚部の扁平上皮癌に対しては、88%の効果を上げている。
【0007】
細胞毒性を有する薬剤の癌治療への使用は、毒性副作用および多剤耐性獲得のため、きわめて限られている。したがって、直接的な毒性反応はないが、腫瘍細胞の生育を調整することのできる治療法へのシフトが考えられている。
【0008】
HPV感染の治療法として、現在アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用によるウイルスmRNA利用の妨害が注目されている(DiPaoloら,1993,Critical Reviews in Oncogenesis 4: 337-360; Steelsら,1993,Cancer Res.53: 2330; Storeyら,1991,Nuc.Acids Res.19(15):4109)。しかし、アンチセンス治療は、化学量論的観点から限界がある(Sarverら,1990,Gene Regulation and Acids,pp. 305-325)。
【0009】
リボザイムはRNA分子であり、標的RNAの特異的部位を解裂するRNA触媒能を有する(Cechら,米国特許第4,987,071号参照)。リボザイムによって解裂されるRNA分子数は、化学量論的に予測される数よりも多い(Hampel & Tritz,1989,Biochem.28: 4929-4933; Uhlenbeck,1987,Nature 328: 596-600)。
【0010】
これは、アンチセンスを用いた治療法に比較して利点がある。
【0011】
リボザイムに比較して、アンチセンスによる治療法には2つの欠点がある。(1)アンチセンス分子は、その性質上触媒作用を有さない。(2)アンチセンス分子は、通常リボザイムの標的認識配列よりも長い。これは、同じ遺伝子ファミリー中で認められる同様なmRNA配列に対して有害作用を有するアンチセンス分子の可能性を増加させる。
【0012】
リボザイムは、"ハンマーヘッド"モチーフに基づいて設計されてきた(Sedmanら,1991,J.Virol.65:4860-4866)。しかし、"ハンマーヘッド"モデルに基づいて設計されたような触媒性RNAはいくつかの制限を有し、in vitroでの使用を制限し、in vivoでの使用を妨害する。例えば、反応最適温度は50〜55℃である(Haseloff & Gerlach,1988,Nature 328:585; Uhlenbeck,1987,Nature 328:596-600)。さらに、Kmは0.6μMであり(Uhlenbeck,1987,Nature 328: 596-600)、反応には高濃度の基質を要求し、不可能ではないにしても、触媒性RNAが、in vivoで遭遇するような、低濃度の標的RNA基質を解裂することを困難にする。
【0013】
"ヘアピン"モチーフは、"ハンマーヘッド"モチーフに比較して効率が高いといわれている(Hampel & Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933; Hampelら,1990,Nuc.Acids Res.18: 299-304)。さらに、ヘアピン リボザイムは、HIV上の標的部位を解裂するために使用されている(Ojwangら,1992,Oroc.Batl.Acid Sci.USA 89,10802-10806; Yuら,1993,Proc.Natl.Acid Sci.USA 90:6340-6344)。しかし、1種類のウイルスに対して作用するリボザイムは、一般に別の種類のウイルスを解裂しない。リボザイムは解裂のために特異的標的配列を要求するのみならず、リボザイムの構造自体が特異的標的を効果的に解裂できるように改変される必要がある。現在、HPV RNAを解裂することが知られているヘアピン リボザイムはなく、ヘアピン リボザイムによって解裂されるHPVの部位も知られていない。
【0014】
従来、リボザイムを運搬するために、ある種の分子的な構成要素が用いられている。例えば、リボザイムを運搬するために、レトロウイルスが使用されている。Pol IIIプロモータおよびPol IIIプロモータを有するレトロウイルスベクターも使用されている。

【非特許文献1】DiPaoloら、1993、Critical Reviews in Oncogenesis 4: 337-360
【非特許文献2】Nasseri,1991,Virol.194: 136
【非特許文献3】Sedmanら,1991,J.Virol.65: 4860-4866
【非特許文献4】Smotkin & Wettstein,1989,J.Virol.63: 1441-1447
【非特許文献5】Steeleら,1993,Cancer Res.53: 2330
【非特許文献6】Storeyら,1991,Nuc.Acids Res.19(15):4109
【非特許文献7】DiPaoloら,1993,Critical Reviews in Oncogenesis 4: 337-360
【非特許文献8】Hampel & Tritz,1989,Biochem.28: 4929-4933
【非特許文献9】Uhlenbeck,1987,Nature 328: 596-600
【非特許文献10】Haseloff & Gerlach,1988,Nature 328:585
【非特許文献11】Hampel & Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933
【非特許文献12】Hampelら,1990,Nuc.Acids Res.18: 299-304
【非特許文献13】Ojwangら,1992,Oroc.Batl.Acid Sci.USA 89,10802-10806
【非特許文献14】Yuら,1993,Proc.Natl.Acid Sci.USA 90:6340-6344
【特許文献1】米国特許第4,987,071号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明の要約および利点
本発明に従って、ヘアピン部分と、ウイルス塩基419の後または塩基434の後の、ヒト乳頭腫ウイルスと結合するための結合部位と、結合部位でウイルスを解裂する解裂部位を有する合成触媒RNA、すなわちリボザイムを構築した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、一形態において、ヘアピン部分と、ヒト乳頭腫ウイルスのヌクレオチド配列に結合する結合部位と、配列を解裂する解裂部位とからなる合成リボザイムで構成される。解裂部位は、ウイルス配列の塩基434の後の部位、またはウイルス配列の塩基419の後の部位である。このような合成リボザイムの結合部位は、以下の配列のいずれかと選択的に結合する。すなわち、
430−ACUG U*GUC CUGAAGA−444(配列識別番号2)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAA−445(配列識別番号3)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAAA−446(配列識別番号4)、
415−UAAC U*GUC AAAAGC−428(配列識別番号7)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCC−429(配列識別番号8)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCCA−430(配列識別番号9)、および
415−UAAC U*GUC AAAAGCCAC−431(配列識別番号10)。*は、解裂部位を示す。また、リボザイムのヘアピン部分は、配列識別番号5の配列からなることが好ましい。
【0017】
好ましい態様では、合成リボザイムはHPV−16のヌクレオチド配列と結合する。この態様では、リボザイムが配列識別番号6または配列識別番号11の配列からなっていることが好ましい。別の実施例では、合成リボザイムは図2に示すように二次元配置を有していてもよいし、図6に示す二次元配置を有していてもよい。
【0018】
本発明は、別の形態で、上記の合成リボザイムをコードしたDNA配列からなるベクターを含む。この場合、DNA配列は機能的に表現制御配列とリンクしていることが好ましい。例えば、ベクターは、プラスミッドであってもよい。
【0019】
さらに、本発明は別の形態で、上記のベクターによって変形された宿主細胞からなり、ここで宿主細胞はベクターからリボザイムを表現することができる。また、本発明は別の形態で、リボザイムを用いたヒト乳頭腫ウイルスの解裂法からなる。この方法は、以下の工程からなる。すなわち、
ウイルスゲノム上の解裂部位を決定し、
解裂部位のいずれかの側の配列を測定し、
合成リボザイム上の結合部位が解裂部位を補足しない配列を有し、かつ解裂部位のいずれかの側の配列と相補的な結合領域を有するヘアピン合成リボザイムを構築し、
さらに、ヘアピン合成リボザイムをウイルスゲノムに接触されることによって、ウイルスゲノムを解裂させる。
【0020】
本発明のかかる形態では、前記接触をin vitroで行ってもよい。あるいは、前記接触を、in vivoで行うこともできる。また、ヘアピン合成リボザイムの構築工程は、配列識別番号5のテトラループ配列をリボザイムに組み込むことを含む。
【0021】
また、本発明は別の形態では、本発明は、ヒトの組織中に存在するヒト乳頭腫ウイルス−16(HPV−16)を検出する方法からなる。この方法は、以下の工程からなる。すなわち、
RNAを含むヒト組織試料を採取し、
HPV−16RNA由来のヌクレオチド配列に結合するリボザイムに組織中のRNAを曝露させて、試料中に存在するHPV−16RNAをリボザイムにより解裂し、
完全長HPV−16トランスクリプトの5’末端と、完全長HPV−16トランスクリプトのリボザイム解裂部位のフラグメント5’と、完全長HPV−16トランスクリプトのリボザイム解裂部位のフラグメント3’に相補的なプライマーを用いてcDNAを増幅させ、
増幅したDNAフラグメントを同定する。
【0022】
上記の方法では、大きなDNAフラグメントは完全長HPVトランスクリプトを示し、小さなDNAフラグメントは完全長HPVトランスクリプトのリボザイム解裂によって生成したフラグメントを示す。試料中にHPV−16RNAが存在すると、大きなフラグメントに比較して小さなフラグメントが多く検出される。一つの態様で、リボザイムで解裂されるHPV−16RNAは、HPV−16のE6トランスクリプトである。この方法に用いるリボザイムは、RHPV434またはRHPV419のいずれかであることが好ましく、また、ヒト組織は子宮頚管組織である。この方法は、曝露工程の後、増幅工程に先立ち、さらに試料中に存在するRNAからcDNAを生成する工程を設けてもよい。
【0023】
本発明の別の形態は、以下の工程からなる子宮頚管癌の処置法からなる。すなわち、
ヘアピン部分と、ヒト乳頭腫ウイルスのヌクレオチド配列に結合する結合部位と、配列を解裂する解裂部位とからなり、該解裂部位は、配列の塩基434の後の部位と配列の塩基419の後の部位のいずれかであることを特徴とする合成リボザイムを構築し、
合成リボザイムの有効量を子宮頚管組織に配達する。
【0024】
この方法では、配達工程は、リポフェクションに基づくリポソーム運搬システムに合成リボザイムを懸濁させることを含んでもよい。さらに、この方法は、免疫賦活剤または化学療法剤等の別の薬剤を合成リボザイムと混合投与する工程を含んでもよい。
【0025】
好ましくは、免疫賦活剤はLAK細胞であり、用いる化学療法剤はシスプラチンである。
【0026】
図面の簡単な説明
本発明のその他の利点は、添付する図面を関連させて、熟視しつつ、以下の記載を参照することによって、容易に理解することができる。
【0027】
図1は、ヘアピンリボザイムにより解裂のために選んだ標的部位の位置、HPV16のE6およびE7領域におけるmRNA標的部位のオーバーラップ、およびヌクレオチド434およびヌクレオチド419の後の"*"で起こるヘアピンリボザイムによるこの標的部位の解裂点を示すHPV標的部位の模式図である。
【0028】
図2は、最適リボザイム(RHPV)と基質(SHPV)の配列、標的基質とリボザイム(ヘリックス1およびヘリックス2と表示)の間の塩基対領域、および触媒の"ヘアピン"部分(ヘリックス3および4と表示)に要求される塩基対の領域を示す部分434の後のHPV−16を解裂するように設計した最適ヘリックス(8bpでなる)を有するヘアピンリボザイムの模式図である。
【0029】
図3は、本発明によって、図に示すように7bp,8bpおよび9bpの長さを有するヘリックス1を用いて、434部位の後でHPV基質を解裂した後のオートラジオグラフである。参照対照は、リボザイムR53および基質S17(レーン1および2)であり、反応は25nMのリボザイムと50nMの基質を用い、37℃で60分間行った。前記対照の反応では、表示した時間に対して、未変性の(−)sTRSV配列S17/R53を10nMおよび100nMとした(Hampel & Tritz,1989,Biochem.28: 4929-4933)。
【0030】
図4は、RHPV434による解裂の経時的変化を示し、図4Aは、各時間における解裂のオートラジオグラフであり、図4Bは、図4Aの結果を図示したものである。ここで解裂条件は図3と同じとし、表示した各時間に対して、[R]=25nMおよび[S]=100nMであった。
【0031】
図5は、RHPV434による解裂の速度論的解析を示し、図5Aは、図4Bの結果を図示したものであり、図5Bは、[S]の各濃度で10分間後の解裂のオートラジオグラフである。ここで、解裂条件は、図3と同じとし、[R]=20nM、ならびに[S]=400nM(レーン1)、200nM(レーン2)、150nM(レーン3)、100nM(レーン4)、75nM(レーン5)、50nM(レーン6)および25nM(レーン7)であった。
【0032】
図6は、位置419の後のHPV−16を解裂するように設計した、最適ヘリックス1(7bpからなる)を有するヘアピンリボザイムの模式図であり、最適リボザイム(RHPV)および基質(SHPV)の配列、標的基質とリボザイム(ヘリックス1およびヘリックス2と表示)の間の塩基対領域、および触媒の"ヘアピン"部分(ヘリックス3および4と表示)に要求される塩基対の領域を示す。
【0033】
図7は、図に示すように6bp,7bp,8bpおよび9bpの長さを有するヘリックス1を用いて、419部位の後でHPV基質を解裂した後のオートラジオグラフである。参照対照は、リボザイムR53および基質S17(レーン1および2)であり、反応は25nMのリボザイムと50nMの基質を用い、37℃で60分間行った。参照の反応には、表示した時間に対して、未変性の(−)sTRSV配列S17/R53を10nMおよび100nMとした(Hampel & Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)。
【0034】
図8は、RHPV419による解裂の経時的変化を示し、図8Aはm各時間における解裂のオートラジオグラフであり、図8Bmは図8Aの結果を図示したものである。ここで解裂条件は図3と同じとし、表示した各時間に対して、[R]=25nMおよび[S]=100nMであった。
【0035】
図9は、RHPV419による解裂速度論的解析を示し、図9Aは、図9Bの結果を図示したものであり、図9Bは、[S]の各濃度で10分間後の解裂のオートラジオグラフである。ここで解裂条件は図3と同じとし、[R]=20nMおよび[S]=200nM(レーン1)、150nM(レーン2)、100nM(レーン3)、75nM(レーン4)、50nM(レーン5)および25nM(レーン6)であった。反応終了時間の対照は、[S]=20nMで0分(レーン7)および1時間(レーン8)とした。
【0036】
図10は、プラスミッドpBKS LNKRを得るためにpBluescript KSにクローン化したポリリンカー領域の模式図である。
【0037】
図11は、tRNAvalプロモータ、その上流領域、テトラループ変異体およびpolyT終了配列を含むプラスミッドptV1の模式図である。これは、tRNAvalプロモータとその上流領域をpBKS LNKRにクローン化して調製した。
【0038】
図12は、ポリリンカー、tRNAvalプロモータ、上流領域、テトラループ、終了領域を含むプラスミッドptV1のDNA配列(配列識別番号19)を示す。新しいリボザイムをXho1/Mlu1部位にクローン化することができる。
【0039】
図13は、プラスミッドptV1にRHPV434リボザイムを含むプラスミッドpBtV1−434の模式図である。
【0040】
図14は、プラスミッドpBtV1−434におけるポリリンカーおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号20)を示す。
【0041】
図15は、"syn"配位のRHPV434リボザイムを含み、転写がレトロウイルスベクターのレトロウイルスゲノムと同じ方向であるプラスミッドpZIPV1−434(syn)の模式図である。
【0042】
図16は、プラスミッドpZIPV1−434(syn)のデリバリーカセットおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号21)を示す。
【0043】
図17は、"anti"配位のRHPV434リボザイムを含み、転写がレトロウイルスベクターのレトロウイルスゲノムとは逆の方向であるプラスミッドpZIPV1−434(anti)の模式図である。
【0044】
図18は、プラスミッドpZIPV1−434(anti)のポリリンカーおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号22)を示す。
【0045】
図19は、ptV1にクローン化した触媒作用を有さない突然変異RHPV434リボザイムクローンを含むプラスミッドpB1V1−434(i)の模式図である。
【0046】
図20は、プラスミッドpBtV1−434(i)のデリバリーカセットおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号23)の模式図である。
【0047】
図21は、トランスクリプトのRNアーゼ保護によって検定した変形ヒトCXT1癌細胞におけるHPV特異性リボザイムの表現を示す。矢印はpol IIIプロモータからの保護リボザイムトランスクリプトの期待した大きさ160ntを示す。
【0048】
図22は、RTおよびPCR法で検定したときのヘアピンリボザイムを含むCXT1細胞におけるHPV E6トランスクリプトの表現を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
発明の詳細な説明
テトラループを改変したヘアピンリボザイムを設計し、試験したところ、ヒト乳頭腫ウイルス16型からの一次トランスクリプトにおける特異的配列を解裂することが認められた。解裂部位は、このウイルスの配列におけるヌクレオチド434および419のすぐ後であった。リボザイムの最適化を行ったところ、434には8ntのヘリックス1が最適であり、419には7ntのヘリックス1が最適であることが確認された。経時的に反応を追跡し、基質がほとんど完全に解裂されることが確認された。
【0050】
標準的なMichaelis酵素速度論的解析により、434部位の速度論的パラメーターを測定した。反応のKmは21nMであり、リボザイムと基質の強固な結合が確認された。kcatまたはターンオーバー数は0.083min-1で、全体的な触媒効果(kcat/Km)は4μM-1・min-1であった。また、419部位の速度論的パラメーターも測定した。反応のKmは98nMであり、kcatまたはターンオーバー数は0.18min-1で、全体的な触媒効果(kcat/Km)は1.8μM-1・min-1であった。
【0051】
最適化した標的部位を図1に示す。模式図に示すように、解裂はそれぞれ塩基434の後および塩基419の後のGUC配列の前で起こった。この標的配列全体は、HPV16のE6およびE7領域の一次トランスクリプト(配列識別番号1)の一部である(Nasseri,1991,Virol.194:136; Smotkin & Wettstein,1989,J.Virol.63: 1441-1447)。このmRNAのキャップは、nt97にある。nt226にスプライス供与体が存在し、nt409およびnt526に二つのスプライス受容体が存在する。その結果、3種類のE6−E7 mRNA、すなわちE6E7、EB:(1)E7およびE6(II)E7が生成する。E6E7はnt226のスプライス供与体が利用されなかった完全長E6E7トランスクリプトによるものである。E6E7では、E6の翻訳終了がnt557で起こる。主要なトランスクリプトであるE6(1)E7は、nt226のスプライス供与体およびnt409のスプライス受容体が利用されたもので、そのE6(I)翻訳終了シグナルはnt415に存在する。これによって、トランケートE6をコードした領域と完全長E7が得られる。非主要トランスクリプトであるE6(II)E7は、nt226のスプライス供与体およびnt526のスプライス受容体が利用されたもので、そのE6(II)翻訳終了シグナルはnt541に存在し、トランケートE6をコードした領域と完全長E7が得られる(Nassari,1991,Virol.194: 136)。
【0052】
きわめて正確にHPVを解裂することのできるRNA配列と比較し、RNA触媒(リボザイム)が同定されている。リボザイムによる解裂の標的配列は、主要なトランスクリプトである一次トランスクリプトE6E7およびE6(I)E7に存在する。これらのトランスクリプトの解裂は、ケラチノサイトの変形に重要な役割を果たしていると思われる完全長E6およびE7タンパクの生成を低下させる効果があると考えられている(Sedmanら,1991,J.Virol.65: 4860-4866)。HPVの434部位の後を解裂するように設計されたヘアピンリボザイム(Hampelら,1990,Nuc.Acids Res.18: 299-304)を図2に示し、RHPV434と表示する。好ましい態様では、図示するようにこのヘアピンリボザイムのテトラループを改変した(Andersonら,1994,Nuc.Acids Res.22:1096-1100)。
【0053】
本発明では、基本構造のループ3のGUU配列をテトラループ配列GGAC (UUCG) GUCCで置換し、高い触媒効果を有し、きわめて安定な構造とした。
【0054】
特に、本発明は、以下の標的配列を含むRNA基質を解裂することができるある種の合成RNA触媒からなる。すなわち、
430−ACUG U*GUC CUGAAGA−444(配列識別番号2)
430−ACUG U*GUC CUGAAGAA−445(配列識別番号3)
430−ACUG U*GUC CUGAAGAAA−446(配列識別番号4)
HPVの419部位の後を解裂するように設計されたヘアピンリボザイムを図6に示し、RHPV419と表示する。好ましい態様では、図示するようにこのヘアピンリボザイムのテトラループを改変した。本発明では、基本構造のループ3のGUU配列をテトラループ配列GGAC (UUCG) GUCCで置換し、高い触媒効果を有し、きわめて安定な構造とした。
【0055】
特に、本発明は、以下の標的配列を含むRNA基質を解裂することができるある種の合成RNA触媒からなる。すなわち、
415−UAAC U*GUC AAAAGC−428(配列識別番号7)
415−UAAC U*GUC AAAAGCC−429(配列識別番号8)
415−UAAC U*GUC AAAAGCCA−430(配列識別番号9)
415−UAAC U*GUC AAAAGCCAC−431(配列識別番号10)。
【0056】
ここで用いた"合成RNA触媒"は天然のRNA触媒ではない触媒(リボザイム)を意味するが、"合成触媒"は天然の触媒のトランケートまたは変形であってもよい。"合成触媒"はin vitroで合成された触媒およびin vivoで合成された触媒を含む。特に、"合成触媒"は触媒をコードした配列を有するベクターによって変形された宿主によって生産された触媒を含む。
【0057】
RNAは、その長さおよび種類を問わず、式5’−F1−CS−F2−3’で表される標的配列を含んでいる限り基質として使用することができる。ここで、CSは解裂配列、すなわち触媒によって解裂される基質の部位を含む塩基の配列である。CSは短い配列の塩基であり、リボザイムと塩基対を形成せず、本発明ではCSは好ましくは5’−NGUC−3’の配列を有する。ここで、Nは塩基であり、基質はリボザイムによってNとGの間で解裂され、5’末端にOHを有するフラグメントと3’末端に2’,3’環状リン酸塩を有するフラグメントが生成する。
【0058】
CSは2種類の短い塩基配列F1およびF2によってフランクされ、RNA触媒と塩基対を形成しない。好ましくは、F1の長さは少なくとも3塩基であり、4塩基の長さが最も好ましい。好ましくは、F2の長さは少なくとも3塩基であり、6〜12塩基の長さが最も好ましい。
【0059】
また、本発明によるリボザイムは、基質結合部分と"ヘアピン"部分を含む。
【0060】
触媒の基質結合部分は、次式で表される。
【0061】
3’−F4−L1−F3−5’
ここで、
3は、触媒が基質と結合したとき、F3がF2と実質的に塩基対を形成するように選んだ塩基の配列であり(ヘリックス1、図2および6)、
4は、触媒が基質と結合したとき、F4がF1と実質的に塩基対を形成するように選んだ塩基の配列であり(ヘリックス2、図2および6)、
3およびF4の配列は、それぞれがRNA基質とRNA触媒との結合に必要な十分な数の塩基を含み、それによって基質の解裂が起こるように選び、
1は、触媒が基質に結合したとき、L1がCSと塩基対を形成しないように選んだ塩基の配列である(ループ1、図2および6)。
【0062】
ここで用いたように、”実質的な塩基対の形成”とは、該当する2種類のRNA配列の塩基の65%以上が塩基対を形成していることを意味し、また、塩基の75%以上が塩基対を形成していることが好ましい。
【0063】
“実質的に塩基が対を形成していない”とは、該当する2種類の配列の塩基の65%以上が塩基対を形成していないことを意味し、また、75%以上が塩基対を形成していないことが好ましい。
【0064】
好ましくは、F3の長さは少なくとも3塩基であり、6〜12塩基であることが最も好ましい。F4の長さは3〜5塩基であることが好ましく、4塩基であることが最も好ましい。
【0065】
1は短い塩基の配列であり、CSの配列が5’−NGUC−3’であるとき、5’−AGAA−3’の配列を有することが好ましい。さらに、L1が5’−AGAA−3’で、CSが5’−NGUC−3’であるとき、L1に隣接するF1およびF4と、CSと間の最初の塩基対は、G:CまたはC:Gであることが好ましい(図2および6)。したがって、本発明で選んだ基質の好ましい標的配列は5’−BNGUC−3’の配列を有する(Andersonら,1994,Nuc.Acids Res.22: 1096-1100)。ただし、Bは、G,CまたはUである。
【0066】
"ヘアピン"部分、最少限のエネルギーでファールディングするように、基質−触媒複合体を二次元状に形成した際、ヘアピン様の配置に折り畳まれている、触媒の一部である。これを、図2および6に示す。"ヘアピン"部分は、"ヘアピン"部分の塩基全てが塩基対を形成しているとは限らないという意味では、絶対的なヘアピンではない。実際に、"ヘアピン"部分は、少なくとも1カ所のかなりの非塩基対領域を有する必要があり、そのため、より優れたまたは最高の触媒活性を発揮するための三次元構造を触媒はとることが可能である。
【0067】
触媒の"ヘアピン"部分は、以下の配列を有することが好ましい。
【0068】
【化1】

【0069】
ここで、
1およびP4は、P1およびP4が実質的に塩基対を形成するように選んだ塩基配列であり(ヘリックス3、図2および6)、
1はF4と共有結合しており、
1およびS2は、実質的にS1(ループ2)およびS2(ループ4)が塩基対を形成しないように選んだ配列であり、
2およびP3は、P2およびP3が実質的に塩基対を形成するように選んだ塩基配列であり(ヘリックス4、図2および6)、
2は、対を形成していない塩基の配列である(ループ3)。
【0070】
"実質的な塩基対形成"および"実質的に塩基対を形成しない"とは、上記と同じ意味である。
【0071】
好ましくは、P1およびP4の長さは3〜6塩基であり、そして、P1は5’−ACCAG−3’、またP4は5’−CUGGUA−3’の配列であることが最も好ましい。
【0072】
5’−CCAG−3’の5’末端のA(下線で表示)は5’−CUGGA−3’の3’末端のU(下線で表示)とは塩基対を形成しないことが発見され、対を形成していないAは”ヒンジ”の役割をしていると思われる(図2および6)。
【0073】
1およびS2の長さは4〜9塩基であることが好ましく、S1は5’−AGAAACA−3’、またS2は5’−GUAUAUUAC−3’の配列であることが最も好ましい。
【0074】
予想とは異なり、HIV標的配列のために構築されたヘアピンリボザイム(Ojwangら,1992,Proc.Natl.Acid Sci.USA,89:10802-10806)は、"テトラループ"の改変で構築したヘアピンリボザイムほどの効果がなかった。
【0075】
従来の技術においては、好ましいP2配列は5’−CAC−3’の配列であり、P3は5’−GUG−3’の配列で、L2は5’−GUU−3’の配列であった(Ojwangら,1992,Proc.Natl.Acid Sci.USA,89:10802-10806)。
【0076】
本発明の好ましい態様によると、L2、P2およびP3(図2および6、ループ3、ヘリックス4)は安定なRNAヘアピン配列を有するように構築する。
【0077】
5’−GGAC UUCG GUCC−3’(配列識別番号5)は、"テトラループ"改変となる。その結果、ループ3のGUU配列は、UUCG配列によって置換される。得られたリボザイムは、非改変リボザイムと比較して活性が高く、熱に安定である。RHVP434について図2に示すように、また、上記のように、本発明の構造は、次式によって模式的に表すことができる。
【0078】
【化2】

【0079】
かかる本発明の好ましい態様の完全な配列は、5’−UUCUUCAGAGAACAGU ACCAGAGAAACACACGGACUUCGUCCGUGGUAUA UUACCUGGUA−3’(配列識別番号6)である。
【0080】
RHVP419について図6に示すように、また、上記のように、本発明の構造は次式によって模式的に表すことができる。
【0081】
【化3】

【0082】
かかる本発明の好ましい態様の完全な配列は、5’−GGUUUUAGAAGUUAACCAGAGAAACACACGGACUUCGUCCGUGGUAUAUUACCUGGUA−3’(配列識別番号11)である。
【0083】
本発明のリボザイムは、HPVのRNAを解裂し、生殖器官のいぼおよび腫瘍に関連したHPV感染の処置に治療剤として使用することができる。
【0084】
好ましい態様として、2種類の治療剤投与法がある。すなわち、遺伝子治療法と改良アンチセンス法である。本発明で用いる治療剤は、GMPに準拠して他剤と混用または単独で投与することができる。この組成物は、各患者の臨床状態、投与の部位および方法、投与計画、医師として知り得たその他の要因を考慮し、GMPに準拠して投与する。ここでいう"有効量"は、従来公知のことを考慮して決定する。
【0085】
ヒトの遺伝子治療法
HPV16特異性リボザイムをコードした配列をここに記載し、ヒトの遺伝子治療に使用されているベクター(Mulligan,1993,Science 260: 926-932)にクローン化する。例えば、U6プロモーターをベクターにクローン化し、リボザイムコード領域のすぐ前に位置させる。U6プロモーターは、宿主細胞のRNAポリメラーゼIIを用いてリボザイムのトランスクリプトを分割することができる真核細胞性pol IIIプロモータである(Das,1988,EMBO J.7(2): 503-512)。コード化リボザイムの担体としてレトロウイルスを利用すると、リボザイムをコードした配列を細胞のゲノムDNA内にインテグレーションすることができ、細胞内で長期にわたって抗HPV16リボザイムを生産させることができる(Chatterjee & Wong,1993,Methods: Companion to Methods in Enzymology 5(1): 51-59)。
【0086】
リボザイムをコードしたベクターを標的細胞に運搬するためには、リポフェクチンベースのリポソーム運搬系を用いる。リポソームはヌクレアーゼに対して保護バリアーとして作用する(Sullivan,1993,Method: Companin to Methods in Enzymology,5(1): 61-66)ので、リポソームを用いると、分解されることなくベクター−リボザイムDNAを細胞に運搬することができる。細胞は、本来有するエンドシトーシスにより、ベクターを含むリポソームを取り込む。リポフェクチン試薬を用いる利点は、一旦細胞に取り込まれたリポソームがエンドシトーシスされた物質の通常の運命であるリポソーム酵素による分解を受けないことである(Felgnerら,1993,Methods: Companion to Methods in Enzymology 5(1): 67-75)。好ましい態様では、E6およびE7のいずれか、またはその両方に対して指向させたリボザイムを、子宮頚管癌の治療に使用されているLAK細胞等の免疫賦活剤またはシスプラチン等の化学療法剤と併用する。子宮頚管部へのリボザイムの投与は、塗布または注射によって行う。
【0087】
遺伝子治療には、上記のベクターの他にもHPV特異的リボザイムの運搬に使用することができる。このようなベクターは、以下にさらに詳しく述べる。
【0088】
以下の実施例により、本発明に用いた方法および本発明の利用をさらに詳しく示す。
【0089】
材料および方法
酵素および化学薬品:
使用した制限酵素はすべて、ベセスダ・リサーチ・ラボラトリーズ(Bethesda Research Laboratories,BRL)、またはベーリンガー・マンハイム・バイオケミカルズ(Boehringer Mannhaim Biochemicals)から入手した。制限酵素のための緩衝液はその製造業者から入手した。T4DNAリガーゼおよび配列決定用キットは、ファルマシア(Pharmacia)から入手した。イン・ビトロ転写キットおよびこれに関係する酵素は、プロメガ(Promega)から入手した。子牛血清、抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン)、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)およびダルベッコ変性イーグル培地(Dulbecco modified Eagle medium,DMEM)は、ジブコ(GIBCO)から購入した。
【0090】
使用したT7RNAポリメラーゼは、ユー・エス・バイオケミカルズ(US Biochemicals,USB)により製造されたものである。T7RNAポリメラーゼを除き、使用した酵素のための緩衝液は、その製造業者から入手した。T7RNAポリメラーゼ転写緩衝液は、下記から成っていた。40mMトリス pH8.0、6mM MgCl2、5mM DTT、1mM スペルミジン、1% トリトン(Triton)−X100。イン・ビトロ転写およびクローニングのために使用した合成DNAテンプレートは、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)392DNA合成装置を用いて製造した。
【0091】
組換えDNA手法:
特に断らない限り、この手法は、サムブルックら(Sambrook,et al,1989,Molelcular Cloning: A Laboratory Manual(2nd.ed),Sections 1.25-1.28,1.60-1.61,1.68-1.69,1.82-1.84,6.9-6.13,6.46-6.48)の記載の通りに実施し、その開示内容の全体は、本明細書の引用文献として含まれる。
【0092】
HPV基質の解裂:
解裂は、12mM MgCl2、2mM スペルミジンおよび40mM トリス pH7.5内で、すでに公開の方法(Hampel and Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)を用いて行った。反応は、特に断らない限り、すべて37℃において25nMリボザイムおよび50nM基質を用い、60分間行った。基準反応は、天然(−)sTRSV配列S17/R53を10nMおよび100nMで、記載の時間行った(Hampel and Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)。
【0093】
32標識:
基質とリボザイムとは、すでに公開の文献(Hampel and Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)に従って、T7RNAポリメラーゼを用いて合成DNAテンプレートから転写し、反応生成物を7M尿素中の15〜18%ポリアクリルアミド上で分離して、P32−CTPを用いて標識を行った。
【0094】
リボザイムの構築:
リボザイムは、相補的な合成DNAテンプレートからT7転写により構築した。これはすでに公開の文献(Hampel and Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)に従って行った。
【0095】
RHPVを含むプラスミドおよびベクターの構築:
RHPVのためのコード化および非コード化ストランドを合成し、HELC精製した。このストランドは、EcoRIサイト、リボザイムコード化領域、RNAポリメラーゼIIIのためのポリ−T終止シグナル、およびBamHIサイトを含んでいた。引き続き、このストランド2個は、これらそれぞれの等モル量を加えてアニーリングし、水中、90℃で5分間インキュベーションし、次いで30分間でゆっくりと室温に冷却した。得られた二重ストランドを有するフラグメントをEcoRIとBamHIを用いて消化した。消化生成物をアガロース・ゲル上に注ぎ、次いでリボザイムコード化フラグメントを単離、精製した。
【0096】
プラスミドpHC(Altschuler,1992,Gene,122:85-90)をEcoRIとBamHIを用いて消化し、フラグメントを上記のようにして単離、精製した。このRHPV434またはRHVP419フラグメントを次いでpHC中に結合し、結合物混合物をコンピテントDH5α菌細胞の形質転換に用いた。一個のコロニーを選出し、Circle Grow細菌培地中で培養し、プラスミドを標準ミニプレッププロトコール(Sambrook,et al,1989,Molelcular Cloning: A Laboratory Manual(2nd.ed),Sections 1.25-1.28,1.60-1.61,1.68-1.69,1.82-1.84,6.9-6.13,6.46-6.48)を用いて抽出、精製した。このプラスミドを、RHPV434またはRHVP419インサートの組み込みに関して、スクリーニングした。次いで、インサートを組み込んだコロニーをシーケナーゼバージョン2.0酵素および適当なDNA配列決定を確認するプロトコールを用いて配列決定した。得られたプラスミドをそれぞれpHC−434またはpHC−419と呼ぶ。
【0097】
これらのリボザイムを、HVP−16を用いて形質転換したヒト細胞中でイン・ビボ試験するためにモロニー・レトロウイルスをベースとする発現ベクター中にクローニングする。このクローン化の手順は以下である。リボザイムオリゴは、Pol III終止シグナルおよびEcoRI/BamHI末端を有するように合成した。次いで、これらをpHC(Altschuler,1992,Gene,122:85-90)中にクローニングし、標準細菌発現ベクターを好ましい実施例中で使用した。このリボザイムは、EcoRI HindIIIを用いて切り出し、マウスU6プロモーター(Das,1988,EMBO J.,7(2):503-512)を含むBluescriptベクターであるpU6中にクローン化した。次いで、U6プロモーターを含むインサートをpZIP-NeoSV(X)(Cepko,et al.,1984,Cell 37:1053-1082)のBamHIサイト中にクローン化した。
【0098】
RNAポリメラーゼIIIプロモータ領域(Das,1988,EMBO J.7(2):508-512)を含むpHCV−434およびpMU6を、EcoRIおよびHindIIIを用いて消化した。ヘアピンカセット領域を保持するこのRHPV434、およびpMU6フラグメントを単離し、上記のようにして精製した。2種のフラグメントの結合および形質転換を上記のようにして行った。コロニーをスクリーニングして、上記のようにして配列決定した。得られたプラスミドをpMU6−434と呼んだ。
【0099】
解裂サイトに関するHPV配列(配列番号第1番)のスクリーニング:
HPV16配列データは、ゲン・バンク(Gen Bank)から入手した。上記のようにして、HPV16 E6およびE7領域について、見込まれる目標配列を検査した。見込まれる目標配列を含む可能性のあるサイトをすべて試験し、著しい触媒活性を示したリボザイムをさらに展開した。RHPV434およびRHVP419が、著しい触媒活性を示したリボザイムの例である。
【実施例】
【0100】
本発明の一般原理は、下記の実施例を参照してさらに完全に理解できるが、ただし、これに限定されるものではない。
【0101】
実施例1
図2に示した本発明の好ましい態様では、ループ3およびヘリックス4を安定なRNAヘアピン配列を含むように構築している。
【0102】
5’−GGAC UUCG GUCC−3’(配列番号第5番)は、「テトラループ」改変となる(Cheong,et al.,1990,Nature,346:680-682; Varani,et al.,1991,Biochem.30:3280-89)。その結果、ヘリックス4は非改変配列にわたって4塩基対ほど伸びる。さらに、ループ3のGUU配列は配列UUCGに置換される。
【0103】
リボザイムの活性を測定するために、これを基質RNAに比率1:30で加え、パラメーターとして、試験した解裂の時間経過を変化させる。この反応は12mM MgCl2、40mMトリス pH7.5および2mM スペルミジン中で150分間実行する。温度依存性に関して、テトラループ改変を含むリボザイムの解裂速度をある温度範囲で試験し、37℃の対照反応と比較する。反応生成物をポリアクリルアミド/尿素ゲル上で分析する。バンドを切り出し、液体シンチレーションカウンターで計数する。対照反応では、基質の2%だけが150分後に残り、リボザイムの30倍の基質があるので、リボザイムは反応進行の間に複数の基質と反応したに違いないことを示している。さらに、リボザイムの量は、触媒として予想されるように同じままであり、変化していない。
【0104】
従来技術に対して、比較するテトラループ改変の温度依存性試験において、リボザイムの活性を20℃、27℃、33℃、37℃、41℃および45℃で測定した。
【0105】
この反応は、塩基対となったRNA分子を含む反応で予想されるものと同様の温度依存性を示した。データのアレニウス・プロットから、この反応に関して最適温度37℃となった。高温では速度低下が低下し、約41℃で著しく急速なに低下し、触媒RNA構造の融出と一致する。50℃においては、いかなる反応も検出できなかった。37℃以下の温度における反応速度は、温度の逆数に直線的に比例し、これはこの反応に対する活性化エネルギーの古典的低下傾向と一致する。アレニウス・プロットにおける直線の傾斜から、活性化エネルギー 19kcal/モルとなり、ハンマー・ヘッド型切断機構に適合する触媒で見だされたもの(13.1kcal/モル)に近い(Uhlenbeck,1987,Nature 328:596-600)。
【0106】
この実施例は、テトラループ改変を有するリボザイムが、従来技術のものよりさらに反応性が高く、さらに安定であることを示す。この形のリボザイムは、45℃でもまだ活性を有するが、非改変リボザイムは大部分の活性をこの温度では失った。
【0107】
この実験から、ループ3が保存性または不変性の塩基配列を持たず、また、ヘリックス4はループ3中に少なくとも4塩基対を、活性を低下させないで延長できることが結論される。ヘリックス4中の追加の4塩基対は、この領域におけるヘリックスを安定化する。従来技術の基質における、ヘリックス4およびループ3の二次フォールディングエネルギーは+0.6kcal/モルであり、一方、本発明の延伸ヘリックス4およびUUGC(テトラループ)のループ3を有するリボザイムのエネルギーは、−11.1kcal/モルと測定された。従って、テトラループ配列の存在は、フォールディングエネルギーを11.7kcal/モルだけ増加させる。
【0108】
実施例2
解裂反応およびRHVP434のヘリックス1長さの最適化:
ヘリックス1の長さを最適化するために、解裂試験を実施した。図3は、リボザイム、基質および解裂生成物を決定する変性ポリアクリルアミドゲル上のバンドを示す。いずれも、異なるヘリックス1長さを有する3種の基質がリボザイムにより解裂された。これらの基質は下記の通りである。
【0109】
【表1】

【0110】
最も効率的に解裂された基質は、8bpヘリックス1(配列番号第3番)を有する基質であり、これをすべての以後の試験に使用した。これをSHPVと呼び、これに相当するリボザイムをRHPV−434と呼ぶ(図2)。
【0111】
解裂の時間経過:
RHPV−434によるSHPVの解裂の時間経過は、180分間にわたって行った(図4)。リボザイムは88%の達成率で基質を効率よく解裂した。
【0112】
解裂の反応速度パラメーター:
初期速度を測定するために、一定のリボザイム濃度における限定リボザイムおよび過剰の基質を用い、基質濃度を変化させて反応のミカエリス反応速度解析を行った(図5)。反応に対するKmは、21nMであり、kcat、あるいは、回転数は0.083min-1であった。これから、全体的な触媒効率(kcat/Km)4μM-1min-1となり、オリジナルの天然ヘアピン配列のもの(Hampel and Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)の約7%である。
【0113】
実施例3
解裂反応およびRHVP419のヘリックス1長さの最適化:
ヘリックス1の長さを最適化するために、解裂試験を実施した。図7は、リボザイム、基質および解裂生成物を決定する変性ポリアクリルアミドゲル上のバンドを示す。4種の基質がリボザイムにより解裂された。これら基質は下記の通りである。
【0114】
【表2】

【0115】
最も効率的に解裂された基質は、7bpヘリックス1(配列番号第8番)を有する基質であり、これをすべての以後の試験に使用した。これをSHPVと呼び、これに相当するリボザイムをRHPV−419と呼ぶ(図6)。
【0116】
解裂の時間経過:
RHPV−419によるSHPVの解裂の時間経過は、180分間にわたって行った(図8)。リボザイムは88%の達成率で該基質を効率よく解裂した。
【0117】
解裂の反応速度パラメーター:
最初の速度を測定するために、一定のリボザイム濃度における限定リボザイムおよび過剰の基質、また一定リボザイム濃度に対して過剰の基質を用い、基質濃度を変化させて反応のミカエリス−メンテン反応速度解析を行った(図9)。反応に対する、Kmは98nMであり、kcat、あるいは回転数は0.18min-1であった。これから、全体的な触媒効率(kcat/Km)1.8μM-1min-1となり、オリジナルの天然ヘアピン配列のもの(Hampel and Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)の約3%である。
【0118】
我々の改善したベクターの好ましい態様を下記の実施例に記載するが、これに限定されるものではない。
【0119】
配達カセット(delivery cassette)を含むベクターptV1の構築:
ベクターptV1(図11および12)は、新しいポリリンカー、ヒト上流領域を有するヒトtRNAvalpol IIIプロモータ(Arnold,et al.,1986,Gene 44:287-297)、テトラループ配列変異、およびポリ−T配列から成る配達カセットをベクターpBluescript(Stratageneより入手)中にクローニングして調製した。ヒト上流領域は、例えば、図12に示してある(Arnold and Gross,1987,Gene 51:237-246も参照のこと)。
【0120】
ベクター構築の手順は下記である。新しい119ntリンカー領域の両方のストランド(図10)を化学的オリゴヌクレチオド合成法により調製した。このリンカー領域は、種々の制限サイト、上記のテトラループ配列、およびpol III転写を終止させるためのポリ−Tトラクトを含んでいた。これを、pBluescript KS(Stratagene)のAsp718(Kpn1)/Sac1サイト中にクローニングして、pBKSLNKR(図示せず)を得た。プラスミドpHTV1(Arnold,et al.,1986,Gene 44:287-297参照)は、ヒトtRNAvalプロモータを含んでいる。このtRNAval遺伝子と追加の上流配列50ntとを一緒にしたものは、EcoRI/XhoI末端を有するPCRにより増幅される。これをpBKSLNKRのリンカー領域の相当する側の中にクローニングすると、最終的なptV1構築体が得られる(図11および12)。
【0121】
リボザイムをコードする配列は、ptV1のXhoI/MluIサイト中にクローニングできる。DNAオリゴヌクレチオドの化学合成は全て、ABI392 DNA/RNA合成装置の標準方法を用いて行った(製造者の推奨手順を使用)。
【0122】
プラスミドの構築は全て、標準の手順を用いて行った(Sambrook et al,1989,Molelcular Cloning: A Laboratory Manual(2nd.ed))。
【0123】
リボザイムの3’末端におけるテトラループ変異体は、配列CCUG(UUCG)CAGG(配列番号第16番)を有する。この配列は、各種の天然RNA配列に見だされている(Cheong,et al.,1990,Nature,346:680)高度に安定なテトラループ配列GGAC(UUCG)GUCC(配列番号第5番)の変異体である。天然のテトラループとは異なり、この変異体は、ヘリックスを形成する2種の配列は、オリジナルなものに対して、反転されている。天然テトラループおよびその他の合成ヘアピンリボザイム構築体(Anderson,et al.,1994,Nuc.Acids Res 22:1096-1100)に対する、この差違は、該構築体と天然またはその他の合成配列との間のイン・ビボ組換えの確率を低下させる。また、このベクター構築は、ベクターをMluI/BstxIを用いて単に消化し、適当な末端を有する他のテトラループ配列体を挿入することにより、このテトラループ変異体は、除去および他のテトラループ配列により置換できるという利点を有する。
【0124】
ptV1プラスミドは、その構成要素およびその配列に基づく別の利点をも有する。
【0125】
pol IIIプロモータは、リボザイムの著しく高いイン・ビボ転写をする(Yamada et al.,1994,Gene Therapy 1:38-45)。上流領域は、リボザイムのイン・ビボ転写レベルを改善する(Arnold and Gross,1987,Gene 51:237-246)。テトラループ変異体は、3’末端を3’エクソヌクレアーゼによる分解から保護して、リボザイムの安定性を改善する。ポリT−配列は、pol IIIプロモータを起点とする転写を、効果的に終止させる。tRNAコード化領域の後の制限サイト(XhoI/MluIまたはBgl II/MluI)は、リボザイムのコード配列の挿入に適している。例えば、Bgl IIオーバーハングは、BamHI オーバーハングに結合させることができる。転写はtRNAのコード領域から開始し、ポリT−トラクトが、リボザイムのポリ−U部分中に転写された後に効果的に終止さす。
【0126】
配達カセット全体は、ユニットとして、ptV1から容易に消化され、モロニー−レトルウイルスをベースとするベクター、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス等を含む、ウイルス発現ベクターの相当する制限サイト中にクローニングされる。この方法は、生体細胞に対してHPV特異性リボザイムを配達するための一連の構築体を構築するために使用されている。
【0127】
ヒト乳頭腫ウイルス特異性リボザイムをヒト細胞に配達するためのベクターの構築:
配達カセット、ヘアピンリボザイム配列およびレトロウイルスベクターを含むわれわれの構築は、HPV配列を特異的に解裂するために設計されている。
【0128】
リボザイムRHPV434は、ヒト乳頭腫ウイルスHPV−16(GenBank accession #KD2718)の配列中のサイト434を解裂するように設計されている。この434サイトは、ヒトガン腫に発見されたヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のE6/E7の配列中にある(DiPaolo,et al,1983,Critical Reviews in Oncogenesis 4:337-380)。使用したレトロウイルスベクターは、pZIP−NeoSV(X)1(Cepko,et al.,1984,Cell 37:1053-1062)であり、これはヒトの遺伝子工学に使用される、モロニーレトロウイルをベースとしたベクターである(例えば、the 1994 RCA application of Wong-Stallを参照)。
【0129】
HPV−16配列中の434サイトに対する、HPV−16特異性ヘアピンリボザイムに相当するDNAを合成し、上記のようにしてベクターptV1のXhoI/MluIサイト中にクローニングして、プラスミドpBtV1−434を得た(図13および14)。このベクターpBtV1−434をSau3A1Aを用いて消化すると、その挿入されたリボザイムを有する配達カセットを含む226bpインサートが、標準方法を用いてアガロースゲル電気泳動により分離して単離された。Sau3A1Aを用いて、プラスミドを消化すると、多数のフラグメントが生成する。226bpフラグメント(BamHIとBelIサイトの間で切断)は、pBtV1−434の消化と平行して、pBluescript KSの対照消化を行って同定した。この226bpフラグメントを、pZIP−NeoSV(X)1のBamHIサイト中に、両方向にクローニングして、それぞれプラスミドpZIPV1−434(syn)(図15および16)およびpZIPV1−434(anti)(図17および18)を得た。「syn」配置は、挿入されたpol IIIプロモータがレトロウイルスのpol IIIプロモータと同じ配置にある構築体のことである。「anti」配置は、挿入されたpol IIIプロモータがレトロウイルスのpol IIIプロモータの配置に対して反対の配置にある構築体のことである。
【0130】
これらの構築体において、RHPV434リボザイムをコードする領域は下流側であり、従って、モロニーレトロウイルスベースベクター中の非常に強力なpol IIIプロモータから転写された。このpol IIIプロモータは、イン・ビボで有効なリボザイムを非常に高率で転写する(Yamada,et al.,1994,Gene Therapy 1:38-45)。上流領域はリボザイムのイン・ビボ転写レベルを改善する(Arnold and Gross,1987,Gene 51:237-246)。テトラループは、ヌクレアーゼ分解に対してリボザイムの3’末端を保護して安定性を改善する。ポリT−配列は、pol IIIプロモータからの転写を終止させる。
【0131】
相当する不活性構築体も作製した。不活性構築体は、ptV1中にクローニングされたヘアピンリボザイムのループ2中で、AAAをCGUに変換させる変異を有していた(上記の通り)。触媒として負活性のリボザイムは、pBtV1−434(i)プラスミドによりコード化される(図19および20)。
【0132】
これらおよび類似の構築体がイン・ビボで活性を有することを確認するために、構築体を組織培養細胞中にトランスフェクションさせ、リボザイムの産生を試験した。
【0133】
実施例4
イン・ビボ試験:
イン・ビボ試験は、HPV−16特異性構築体を用いて行った。標準方法を用いて、pZIPV1−434(syn)およびpZIPV1−434(anti)ベクターをヒトCXT1細胞中に安定にトランスフェクションさせた(Sambrook,et al,1989,Molelcular Cloning: A Laboratory Manual(2nd.ed))。CXT1細胞系統は、自発性ヒト頸ガン腫瘍に由来しており、HPV16のE6およびE7タンパクを発現することが知られている。
【0134】
リボザイムは、レトロウイルスベクター中の配達カセットによりイン・ビボで発現される。リボザイム発現は、RNアーゼ保護試験により測定された(図21;Lee and Costlow,1987,Methods Enzymol.152:633-648の方法を使用)。CXT1細胞は、pZIP−NeoSV(X)、pZIP−V1434(anti)およびpZIP−V1434(syn)構築体を用いてトランスフェクションさせ、形質転換体を薬剤G418に対する耐性により選別した。酸フェノール法を用いて、RNAをトランスフェクション細胞から単離した(Sambrook,et al,1989,Molelcular Cloning: A Laboratory Manual(2nd.ed))。使用したプローブは、BamHIを用いて予め切断したプラスミドpBtB1−434(図13および14)から、T7RNAポリメラーゼを用いて転写し、このようにして作製した265ntのRNA転写体をプローブとして用いた。RNアーゼ保護を行い、標準方法を用いてゲル電気泳動により産物を分離した(Sambrook,et al,1989,Molelcular Cloning: A Laboratory Manual(2nd.ed))。
【0135】
図21中で、矢印は、pol IIIプロモータから転写された保護リボザイム転写体の160ntサイズを示す。リボザイムは、pZIPV1−434(syn)レーン中に認められるが、一方、pZIP−Neo−SV(X)およびpZIP−V1434(anti)を用いてトランスフェクションした細胞からのRNAに相当するレーン中には認められない。同様に、トランスフェクションされていない細胞に対する対照レーン(「NT」レーン)中にも160ntフラグメントは認められない。その他のレーンは、32Pプローブが不変なこと(「プローブ」レーン)、およびRNアーゼが細胞RNAおよびプローブの消化に対して活性であること(「RNアーゼ+」レーン)を示す対照である。
【0136】
160ntバンドだけが認められることも注意すること。これより長い230ntバンドが認められる場合には、これは、ベクターのpol IIIプロモータから始まった転写を示すのであろう。160ntフラグメントだけが存在することは、リボザイム転写は、配達カセットのpol IIIプロモータから転写されたのであって、ベクタープロモーターからではなかったことを示す。
【0137】
ヘアピンリボザイムは、イン・ビボにおいてE6mRNAの発現を低下するように見える。リボザイム発現がHPV発現に影響するか否かを測定するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による逆転写(RT)および増幅に基づく試験を利用した。pZIP−Neo−SV(X)、pZIP−V1434(anti)およびpZIP−V1434(syn)構築体を用いて安定してトランスフェクションされ、G418耐性により選択されたCXT1細胞は、HPVmRNAの生産源として使用した。mRNAは酸フェノール法により単離し、標準法を用いて、ポリ−Aへの結合を用いてさらに精製した(Sambrook,et al,1989,Molelcular Cloning: A Laboratory Manual(2nd.ed))。mRNAを逆転写してcDNAを作製し、E6mRNAの損失を検出するために、E6特異性プライマーを用いてこれをPCR精製した。E6mRNAの3’末端に相補的である逆転写に用いたプライマー(「16E7R」と呼ぶ)は、5’TTATGGTTTCTGAG3’(配列番号第12番)である。
【0138】
PCRプライマーの一つは、E6cDNAに特異性の固定プローブであって、これは、リボザイムにより解裂されているか否かに係わらず、E6cDNAの下部ストランドを増幅する。別の2種のPCRプライマーは、E6cDNAの上部ストランドの増幅に対して特異性を有していた。これらの上部ストランドプライマーの一つは、nt434のリボザイム切断サイトの5’であり、他は、リボザイム切断サイトの3’である。これらの3種のプライマーは、配列5’CCCTCTAGAGGCACACAATTCCTAGTG3’(配列番号第13番)を有する。E7Xと呼ばれる固定プライマー、配列5’CACGTAGAGAAACCCAGC3’(配列番号第14番)を有する、E6−U2と呼ばれるリボザイム切断サイトのプライマー3’、および配列5’CAGCAATACAACAAACCG3’(配列番号第15番)を有する、E6−16Uと呼ばれるリボザイム切断サイトのプライマー5’である。
【0139】
PCR増幅は、次の標準条件:メルティングのために1分間94℃、次いでアニーリングのために45秒間65℃、および重合のために1分間72℃、25サイクルを用いて、自動熱サイクル装置(Perkin Elmer Model 480)を使用して行った。Amplitaqポリメラーゼ(Perkin Elmer)5単位、各NTPを100μM、プライマーE6−16U(配列番号第15番)10ng、プライマーE6−U2(配列番号第14番)10ngおよびプライマーE7X(配列番号第13番)20ngを用いた。
【0140】
3種のプライマーの組み合わせは、E6mRNAが作用しない細胞中にそれぞれ約300ntおよび500ntの2種のPCR産物を生成させた。しかし、その中でリボザイムがE6mRNAを切断する細胞中では、2種のPCR産物中の小さい方の300ntが大量であったが、これは全長E6mRNAに対するリボザイム切断E6mRNAのモル比率によるものである。産生物をゲル電気泳動で分離した。
【0141】
図22は、RTおよびPCR試験が感染細胞中のHPVE8mRNAの存在を検出することを示している。また、この図は、リボザイムを発現するトランスフェクションされた細胞中でリボザイムがE6mRNAを切断することも示している。矢印は、2種のPCR増幅産物がゲル上に移動する位置を示し、最も左の矢印は300bpフラグメントの位置を示し、最も右の矢印は500bpフラグメントの位置を示しており、これらは分子量マーカー(「MWM」レーン)のゲル上の位置から測定した。陽性対照レーン(「HPV−16」)は、CXT1細胞中にE6mRNAが存在し、また試験が有効に両方のフラグメントを増幅していることを示す両方の位置にあるバンドを示す。pZIP−NeoSV(X)を用いてトランスフェクションされた細胞も対照の役に立つが、それは、このプラスミドがHPV−特異性リボザイムをコードせず、また、バンドは両方の位置で認められからである。
【0142】
3種のプライマーを用いる増幅は、ヒト組織中のHPV−16の存在の確認に使用できる。ヒト組織からのRNAを含む試料は、リボザイムを作用させ、引き続き、3種のプライマーを用いて増幅できる。リボザイムは、HPV−16結合配列を有するRNAだけを切断する。従って、HPV−16RNAを有する試料は、リボザイムにより切断され、リボザイム切断サイトのプライマー5’により生成するさらに短い生成物の選択的増幅となる。
【0143】
実施例5
HPV−16特異性リボザイムを用いる非HPV−16転換細胞系統の選定およびHPV−16/E7発現ベクターを用いるトランスフェクション:
HeLa細胞は、HPV中のサイト434に対して特異的なHPVリボザイムの発現ができる構築体を用いて、安定にトランスフェクションできる。これらの構築体は、マウスU6(MU6)またはヒトtRNAval(tV1)のいずれかに由来するpol IIIプロモータを用いてリボザイムを発現する。リボザイム発現の確認は、RNAプローブおよびRNアーゼ保護試験を用いて決定できる。
【0144】
マウスU6(MU6)またはヒトtRNAval(tV1)pol IIIプロモータのいずれかから転写されたリボザイム構築体を用いて、HPVのサイト434に特異性のリボザイムをベクター中にクローニングする。細菌プラスミド構築体およびモロニーレトロウイルスをベースとする構築体の両方を作製する。細菌プラスミド構築体は、pBluescript(KS)プラスミド(Stratageneから入手できる)中にクローニングしたヒトtRNAvalプロモータを有する。434特異性リボザイムを、マルチ・クローニングサイトにtRNAvalプロモータを用いて、pBluescript中にクローニングして、pTB1−434プラスミドが得られる。インサートは、制限酵素Sau3A1を用いて切断して、このプラスミドから取り去り、標準ゲル精製法を用いてインサートを含む適当なフラグメント・サイズを単離する。次いで、モロニー・マウス白血病ウイルスベースのプラスミドであるpZIP−neoのBamHIサイトにインサートをサブクローニングすると、「syn」または「anti」配置のいずれかにインサートを有するプラスミドpZIP−434が得られる。
【0145】
リボザイム構築体を用いて、HeLa細胞をトランスフェクションし、G418耐性選択法を用いて、安定な感染体を選出する。細胞を培養し、発現されたリボザイムを同定するためのRNアーゼ保護試験に使用するために、細胞からRNAを分離する。リボザイム確認のために用いるプローブは、T3とT7プロモーターの間に挿入されたリボザイムを伴うプラスミドから得られる。これらの2種のプラスミドのうち、U6プロモーター−リボザイム構築体は、pMU6−434A、tRNAvalプロモーター−リボザイム構築体は、pBTV1−434と呼ばれる。
【0146】
MU6プロモータ構築体のためのプローブは、標準法を用いて、MUB含有プラスミドのpMU6−434AをEcoR1と一緒にして直線化し、直線化したプラスミドをT3−RNAポリメラーゼを用いて転写して生成させる。長さ100ntのこのプローブをアニーリングして、pZIP−434(syn)プラスミドの長い末端重複(LTR)およびプラスミドpZIP−434(syn)およびpZIP−434(anti)のpol IIIプロモータの両方から生成するリボザイムとなる。pZIP−434(anti)配置からのLTRからはリボザイムは生産できない。アニーリングおよびRNアーゼ消化の後、LTRから生産した保護フラグメントは。長さ77ntであり、一方、pol IIIプロモータから生産した保護フラグメントは、長さ64ntである。
【0147】
tV1プロモータ構築体と一緒に使用したプローブは、BamHIと一緒にプラスミドpBtV1−434を直線化し、標準重合条件を用いてプラスミドDNAから、T7RNAポリメラーゼで転写して、生産させる。長さ265ntのこのプローブをアニーリングすると、pZIPV1−434(syn)のLTRおよびpZIPV1−434(syn)およびpZIPV1−434(anti)のpol IIIプロモータの両方により生成するリボザイムにとなるが、保護フラグメントの大きさは異なる。RNアーゼ消化の後に、LTRからの保護フラグメントは長さ230ntであり、一方、pol IIIプロモータから生成した保護フラグメントは長さ160ntである。
【0148】
E6/E7遺伝子を発現できるレトロウイルスベクターに細胞を細胞に感染させる。これらの2種のタンパクのための3種のmRNA種(E6E7、E6(I)E7およびE6(II)E7と呼ぶ。始めの2種は、多量の種であり、最後の種は少量の種である)の比較量は、コルネリッセンら(Cornelissen et al.,J.Gen.Viral.71:1243-1246,1990)に説明してあるようにして、逆転写酵素およびポリメラーゼ連鎖反応(RT/PCR)試験を用いて測定する。
【0149】
RT/PCR試験に使用するプライマーは、次の、5’NNNAAGCTTCTGCAATGTTTCAGGACCC3’(配列番号第17番)のプライマー1および5’NNNGGATCCCCATTGGTACCTGCAGGATC3’(配列番号第18番)のプライマー2である。プライマー2は、RT反応中に使用されるプライマーである。プライマー1および2の両方は、PCR反応中に使用される。RT/PCR反応は、下記の大きさを有するフラグメント:E6E7産物に相当する791bp、E6(I)E7産物に相当する608bpおよびE6(II)E7産物に相当する491bpを生成する。
【0150】
リボザイム434は、2種の大量mRNA(E6E7およびE6(I)E7)を解裂し、また少量の種(E6(II)E7)は解裂しないので、この少量の種は、この試験で内部対照標準として用いる。少量の種(491bp生成物)対する大量の2種のmRNA(791bpおよび608bp生成物)の量比率を、434リボザイムのイン・ビボ活性を決定するために測定する。リボザイムが発現されると、内部少量種に対して、大量種は10〜50%の低下を示す。対照として、リボザイムインサートを含まないリボザイムベクターのみを用いてトランスフェクションされた細胞、および不活性リボザイムを用いてトランスフェクションされた細胞も使用する。これらのプラスミドがトランスフェクションされると、RT/PCR試験では、少量種に対して、2種類の大量種が低下しないことを示す。
【0151】
当業者には、419サイトに特異性のリボザイムを用いて、同様の構築体および試験が実施できることを了解されるであろう。これらの構築体を使用し、トランスフェクションされた細胞中に419特異性リボザイムが生産されると、419特異性リボザイムにより解裂されない内部基準少量種に対して、HPVmRNAの大量種に同様な低下が認められる。
【0152】
配列表
(1)一般情報:
(i)出願人:ハンペル, アーノルド
ディパオロ, ヨゼフ
シフコフスキー, アンドリュー M.
(ii)発明の名称:ヘアピンリボザイムによるヒト乳頭腫ウイルスの抑制
(iii)配列の数:
(iv)連絡先:
(A)住所:Knobbe, Martens, Olson & Bear
(B)通り:620 Newport Center Drive
(C)市:Newport Beach
(D)州:California
(E)国名:USA
(F)ZIPコード:92660
(v)コンピューター読み取り形式:
(A)媒体の型式:3.5”Disk
(B)コンピューター:PC compatible
(C)オペレイティング・システム:PC-DOS/MS-DOS
(D)ソフトウェア:
(vi)最新の出願情報:
(A)出願番号:
(B)出願日:
(C)種別:
(vii)代理人に関する情報:
(A)氏名:アルトマン, ダニエル E.
(B)登録番号:
(C)識別番号:NIH113.001QPC
(viii)電気通信に関する情報
(A)電話:(714) 760-0404
(B)テレファックス:(714) 760-9502
(2)配列識別番号1に関する情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:7904 塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)鎖の種類:二本鎖
(D)形態:環状
(ii)分子のタイプ:DNA(genomic)
(iii)仮想的:否
(iv)アンチセンス:否
(v)起源:
(A)生物:ヒト乳頭腫ウイルス
(B)系統:HPV16
(vi)配列の記載:配列識別番号1:
【0153】
【化4】

【0154】
【化5】

【0155】
【化6】

【0156】
【化7】

【0157】
【化8】

【0158】
(xi)配列の記載:配列識別番号2:
ACUGUGUCCU GAAGA
(xi)配列の記載:配列識別番号3:
ACUGUGUCCU GAAGAA
(xi)配列の記載:配列識別番号4:
ACUGUGUCCU GAAGAAA
(xi)配列の記載:配列識別番号5:
GGACUUCGGU CC
(xi)配列の記載:配列識別番号6:
UUCUUCAGAG AACAGUACCA GAGAAACACA CGGACUUCGG UCCGUGGUAU
AUUACCUGGU A
(xi)配列の記載:配列識別番号7:
UAACUGUCAA AAGC
(xi)配列の記載:配列識別番号8:
UAACUGUCAA AAGCC
(xi)配列の記載:配列識別番号9:
UAACUGUCAA AAGCCA
(xi)配列の記載:配列識別番号10:
UAACUGUCAA AAGCCAC
(xi)配列の記載:配列識別番号11:
GGCUUUUAGA AGUUAACCAG AGAAACACAC GGACUUCGGU CCGUGGUAUA
UUACCUGGUA
(xi)配列の記載:配列識別番号12:
5’ TTATGGTTTC TGAG 3’
(xi)配列の記載:配列識別番号13:
5’ CCCTCTAGAGG CACACAATTCCTAGTG 3’
(xi)配列の記載:配列識別番号14:
5’ CACGTAGAGA AACCCAGC 3’
(xi)配列の記載:配列識別番号15:
5’ CAGCAATAC AACCCAGC 3’
(xi)配列の記載:配列識別番号16:
5’ CCUGUUCGCA GG 3’
(xi)配列の記載:配列識別番号17:
5’ NNNAAGCTTC TGCAATGTT CAGGA CCC 3’
(xi)配列の記載:配列識別番号18:
5’ NNNGGATCCC CATTGGTACC TGCAGGATC 3’
(xi)配列の記載:配列識別番号19:
(図12参照)
(xi)配列の記載:配列識別番号20:
(図14参照)
(xi)配列の記載:配列識別番号21:
(図16参照)
(xi)配列の記載:配列識別番号22:
(図18参照)
(xi)配列の記載:配列識別番号23:
(図20参照)
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明のヘアピン リボザイムは、HPV RNAを部位特異体的に解裂することできる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】図1は、ヘアピンリボザイムにより解裂のために選んだ標的部位の位置、HPV16のE6およびE7領域におけるmRNA標的部位のオーバーラップ、およびヌクレオチド434およびヌクレオチド419の後の"*"で起こるヘアピンリボザイムによるこの標的部位の解裂点を示すHPV標的部位の模式図である。
【図2】図2は、最適リボザイム(RHPV)と基質(SHPV)の配列、標的基質とリボザイム(ヘリックス1およびヘリックス2と表示)の間の塩基対領域、および触媒の"ヘアピン"部分(ヘリックス3および4と表示)に要求される塩基対の領域を示す部分434の後のHPV−16を解裂するように設計した最適ヘリックス(8bpでなる)を有するヘアピンリボザイムの模式図である。
【図3】図3は、本発明によって、図に示すように7bp,8bpおよび9bpの長さを有するヘリックス1を用いて、434部位の後でHPV基質を解裂した後のオートラジオグラフである。参照対照は、リボザイムR53および基質S17(レーン1および2)であり、反応は25nMのリボザイムと50nMの基質を用い、37℃で60分間行った。前記対照の反応では、表示した時間に対して、未変性の(−)sTRSV配列S17/R53を10nMおよび100nMとした(Hampel & Tritz,1989,Biochem.28: 4929-4933)。
【図4A】図4は、RHPV434による解裂の経時的変化を示し、図4Aは、各時間における解裂のオートラジオグラフであり、図4Bは、図4Aの結果を図示したものである。ここで解裂条件は図3と同じとし、表示した各時間に対して、[R]=25nMおよび[S]=100nMであった。
【図4B】図4は、RHPV434による解裂の経時的変化を示し、図4Aは、各時間における解裂のオートラジオグラフであり、図4Bは、図4Aの結果を図示したものである。ここで解裂条件は図3と同じとし、表示した各時間に対して、[R]=25nMおよび[S]=100nMであった。
【図5A】図5は、RHPV434による解裂の速度論的解析を示し、図5Aは、図4Bの結果を図示したものであり、図5Bは、[S]の各濃度で10分間後の解裂のオートラジオグラフである。ここで、解裂条件は、図3と同じとし、[R]=20nM、ならびに[S]=400nM(レーン1)、200nM(レーン2)、150nM(レーン3)、100nM(レーン4)、75nM(レーン5)、50nM(レーン6)および25nM(レーン7)であった。
【図5B】図5は、RHPV434による解裂の速度論的解析を示し、図5Aは、図4Bの結果を図示したものであり、図5Bは、[S]の各濃度で10分間後の解裂のオートラジオグラフである。ここで、解裂条件は、図3と同じとし、[R]=20nM、ならびに[S]=400nM(レーン1)、200nM(レーン2)、150nM(レーン3)、100nM(レーン4)、75nM(レーン5)、50nM(レーン6)および25nM(レーン7)であった。
【図6】図6は、位置419の後のHPV−16を解裂するように設計した、最適ヘリックス1(7bpからなる)を有するヘアピンリボザイムの模式図であり、最適リボザイム(RHPV)および基質(SHPV)の配列、標的基質とリボザイム(ヘリックス1およびヘリックス2と表示)の間の塩基対領域、および触媒の"ヘアピン"部分(ヘリックス3および4と表示)に要求される塩基対の領域を示す。
【図7】図7は、図に示すように6bp,7bp,8bpおよび9bpの長さを有するヘリックス1を用いて、419部位の後でHPV基質を解裂した後のオートラジオグラフである。参照対照は、リボザイムR53および基質S17(レーン1および2)であり、反応は25nMのリボザイムと50nMの基質を用い、37℃で60分間行った。参照の反応には、表示した時間に対して、未変性の(−)sTRSV配列S17/R53を10nMおよび100nMとした(Hampel & Tritz,1989,Biochem.28:4929-4933)。
【図8A】図8は、RHPV419による解裂の経時的変化を示し、図8Aはm各時間における解裂のオートラジオグラフであり、図8Bmは図8Aの結果を図示したものである。ここで解裂条件は図3と同じとし、表示した各時間に対して、[R]=25nMおよび[S]=100nMであった。
【図8B】図8は、RHPV419による解裂の経時的変化を示し、図8Aはm各時間における解裂のオートラジオグラフであり、図8Bmは図8Aの結果を図示したものである。ここで解裂条件は図3と同じとし、表示した各時間に対して、[R]=25nMおよび[S]=100nMであった。
【図9A】図9は、RHPV419による解裂の速度論的解析を示し、図9Aは、図9Bの結果を図示したものであり、図9Bは、[S]の各濃度で10分間後の解裂のオートラジオグラフである。ここで解裂条件は図3と同じとし、[R]=20nMおよび[S]=200nM(レーン1)、150nM(レーン2)、100nM(レーン3)、75nM(レーン4)、50nM(レーン5)および25nM(レーン6)であった。反応終了時間の対照は、[S]=20nMで0分(レーン7)および1時間(レーン8)とした。
【図9B】図9は、RHPV419による解裂の速度論的解析を示し、図9Aは、図9Bの結果を図示したものであり、図9Bは、[S]の各濃度で10分間後の解裂のオートラジオグラフである。ここで解裂条件は図3と同じとし、[R]=20nMおよび[S]=200nM(レーン1)、150nM(レーン2)、100nM(レーン3)、75nM(レーン4)、50nM(レーン5)および25nM(レーン6)であった。反応終了時間の対照は、[S]=20nMで0分(レーン7)および1時間(レーン8)とした。
【図10】図10は、プラスミッドpBKS LNKRを得るためにpBluescript KSにクローン化したポリリンカー領域の模式図である。
【図11】図11は、tRNAvalプロモータ、その上流領域、テトラループ変異体およびpolyT終了配列を含むプラスミッドptV1の模式図である。これは、tRNAvalプロモータとその上流領域をpBKS LNKRにクローン化して調製した。
【図12】図12は、ポリリンカー、tRNAvalプロモータ、上流領域、テトラループ、終了領域を含むプラスミッドptV1のDNA配列(配列識別番号19)を示す。新しいリボザイムをXho1/Mlu1部位にクローン化することができる。
【図13】図13は、プラスミッドptV1にRHPV434リボザイムを含むプラスミッドpBtV1−434の模式図である。
【図14】図14は、プラスミッドpBtV1−434におけるポリリンカーおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号20)を示す。
【図15】図15は、"syn"配位のRHPV434リボザイムを含み、転写がレトロウイルスベクターのレトロウイルスゲノムと同じ方向であるプラスミッドpZIPV1−434(syn)の模式図である。
【図16】図16は、プラスミッドpZIPV1−434(syn)のデリバリーカセットおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号21)を示す。
【図17】図17は、"anti"配位のRHPV434リボザイムを含み、転写がレトロウイルスベクターのレトロウイルスゲノムとは逆の方向であるプラスミッドpZIPV1−434(anti)の模式図である。
【図18】図18は、プラスミッドpZIPV1−434(anti)のポリリンカーおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号22)を示す。
【図19】図19は、ptV1にクローン化した触媒作用を有さない突然変異RHPV434リボザイムクローンを含むプラスミッドpB1V1−434(i)の模式図である。
【図20】図20は、プラスミッドpBtV1−434(i)のデリバリーカセットおよびリボザイムのDNA配列(配列識別番号23)の模式図である。
【図21】図21は、トランスクリプトのRNアーゼ保護によって検定した変形ヒトCXT1癌細胞におけるHPV特異性リボザイムの表現を示す。矢印はpol IIIプロモータからの保護リボザイムトランスクリプトの期待した大きさ160ntを示す。
【図22】図22は、RTおよびPCR法で検定したときのヘアピンリボザイムを含むCXT1細胞におけるHPV E6トランスクリプトの表現を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアピン部分と、ヒト乳頭腫ウイルスのヌクレオチド配列に結合する結合部位と、前記配列を解裂する解裂部位とからなり、
前記解裂部位が、前記配列の塩基434の後の部位、および前記配列の塩基419の後の部位のいずれかである
ことを特徴とする合成リボザイム。
【請求項2】
前記の結合部位が、
430−ACUG U*GUC CUGAAGA−444(配列識別番号2)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAA−445(配列識別番号3)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAAA−446(配列識別番号4)、
415−UAAC U*GUC AAAAGC−428(配列識別番号7)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCC−429(配列識別番号8)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCCA−430(配列識別番号9)、および
415−UAAC U*GUC AAAAGCCAC−431(配列識別番号10)
(ここで、*は解裂部位を示す)のいずれかの配列に結合する
ことを特徴とする請求項1に記載の合成リボザイム。
【請求項3】
前記ヘアピン部分が配列識別番号5からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の合成リボザイム。
【請求項4】
前記リボザイムがHPV−16のヌクレオチド配列に結合する
ことを特徴とする請求項1に記載の合成リボザイム。
【請求項5】
配列識別番号6の配列からなる
ことを特徴とする請求項4に記載の合成リボザイム。
【請求項6】
配列識別番号11の配列からなる
ことを特徴とする請求項4に記載の合成リボザイム。
【請求項7】
図2に示すように二次元配位を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の合成リボザイム。
【請求項8】
図6に示すように二次元配位を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の合成リボザイム。
【請求項9】
請求項1に記載のリボザイムをコードしたDNA配列からなり、前記DNA配列が表現制御配列に機能的にリンクしている
ことを特徴とするベクター。
【請求項10】
前記ベクターがプラスミッドである
ことを特徴とする請求項9に記載のベクター。
【請求項11】
宿主細胞が、前記のベクターから前記のリボザイムを表現する
ことを特徴とする請求項9に記載のベクターで変形された宿主細胞。
【請求項12】
ウイルスゲノム上の解裂部位を識別し、解裂部位のいずれかの側の配列を測定し、合成リボザイム上の結合部位が解裂部位に非相補的な配列と解裂部位のいずれの側の配列に相補的な結合部位とを有することを特徴とするヘアピン合成リボザイムを構築し、
次いで、ヘアピン合成リボザイムをウイルスゲノムと接触させることによりウイルスゲノムを解裂させる工程からなる
リボザイムによるヒト乳頭腫ウイルスを解裂する方法。
【請求項13】
前記の接触させる工程をin vitroで行う
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記の接触させる工程をin vivoで行う
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ヘアピン合成リボザイムの構築工程が、配列識別番号5のテトラループ配列の挿入を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
RNAを含むヒトの組織を採取し、前記組織の前記RNAをHPV−16 RNA由来のヌクレオチド配列に結合するリボザイムに曝露させて前記組織に存在するHPV−16 RNAを前記リボザイムで解裂させ、
完全長HPV−16トランスクリプトの5’末端、完全長HPV−16トランスクリプトのリボザイム解裂部位のフラグメント5’および完全長HPV−16トランスクリプトのリボザイム解裂部位のフラグメント3’に相補的なプライマーを用いてcDNAを増幅させ、
次いで、増幅されたDNAフラグメントを大きなDNAフラグメントは完全長HPVトランスクリプトとし、小さなDNAフラグメントは完全長HPVトランスクリプトのリボザイム解裂により生成したフラグメントとして同定することからなり、
試料中にHPV−16 RNAが存在することを、大きなフラグメントに対する小さなフラグメントの比で判定する
ことを特徴とするヒト組織中のヒト乳頭腫ウイルス−16(HPV−16)を検出する方法。
【請求項17】
リボザイムによって解裂されるHPV−16 RNAが、HPV−16のE6トランスクリプトである
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
リボザイムがRHPV434である
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
リボザイムがRHPV419である
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ヒト組織が子宮頚管組織である
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
曝露工程と増幅段間の間に、試料中に存在するRNAからcDNAを生成させる工程を追加した請求項16に記載の方法。
【請求項22】
ヘアピン部分と、ヒト乳頭腫ウイルスのヌクレオチド配列に結合する結合部位と、前記配列を解裂する解裂部位とからなり、
前記解裂部位が前記配列の塩基434の後の部位および前記配列の塩基419の後の部位のいずれかであるあることを特徴とする合成リボザイムを構築し、
合成リボザイムの有効量を子宮頚管組織に投与することからなる子宮頚管癌の処置法。
【請求項23】
投与の工程が合成リボザイムをリポフェクチンベースのリポソーム運搬系に懸濁させることからなる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
合成リボザイムを他剤と混合投与することからなり、他剤が免疫賦活剤または化学療法剤のいずれかである
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
免疫賦活剤がLAK細胞である
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
化学療法剤がシスプラチンである
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト乳頭腫ウイルス由来の転写RNA中に含まれる、標的部位に対する結合能と、当該標的部位中に存在する、塩基434の直後の解裂部位における解裂能とを有する合成ヘアピン・リボザイムであって、
前記標的配列は、下記
430−ACUG U*GUC CUGAAGA−444(配列識別番号2)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAA−445(配列識別番号3)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAAA−446(配列識別番号4)
(但し、*は、解裂部位を示す)で示される標的部位からなる群より選択される
ことを特徴とする合成リボザイム。
【請求項2】
前記合成ヘアピン・リボザイムは、ヘアピン部分中に、
GGAC(UUCG)GUCC (配列識別番号5)からなるテトラループ配列を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の合成リボザイム。
【請求項3】
前記合成ヘアピン・リボザイムは、
5’−UUCUUCAGAGAACAGU ACCAGAGAAACACACGGACUUCGGUCCGUGGUAUAUUACCUGGUA−3’ (配列識別番号6)で示される完全配列からなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の合成リボザイム。
【請求項4】
ヒト乳頭腫ウイルス由来の転写RNA中に含まれる、標的部位に対する結合能と、当該標的部位中に存在する、塩基434の直後の解裂部位における解裂能とを有する合成ヘアピン・リボザイムを構築する方法であって、
前記標的配列は、下記
430−ACUG U*GUC CUGAAGA−444(配列識別番号2)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAA−445(配列識別番号3)、
430−ACUG U*GUC CUGAAGAAA−446(配列識別番号4)
(但し、*は、解裂部位を示す)で示される標的部位からなる群より選択され、
該合成ヘアピン・リボザイムの結合部位は、3’−F4−L1−F3−5’の塩基配列で示され、それぞれ、
該F4は、前記標的配列中の5’−ACUG−3’部分と相補的な塩基配列、
該L1は、前記標的配列中の解裂部位を含む5’−U*GUC−3’部分に対して、非相補的な塩基配列、
該F4は、前記標的配列中の5’−CUGAAGA−3’、5’−CUGAAGAA−3’、5’−CUGAAGAAA−3’の何れかの部分と相補的な塩基配列に選択した上で、
該ヘアピン・リボザイムを構築する工程を含む
ことを特徴とする合成リボザイムの構築方法。
【請求項5】
該ヒト乳頭腫ウイルス由来の転写RNAの解裂能を有する合成ヘアピン・リボザイムの、ヘアピン部分中に、
GGAC(UUCG)GUCC (配列識別番号5)からなるテトラループ配列を含むように選択した上で、
該ヘアピン・リボザイムを構築する工程を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の合成リボザイムの構築方法。
【請求項6】
前記請求項1〜3の何れか一項に記載のリボザイムをコードするDNAを含んでなるベクターであって、
該DNAは、発現制御配列に対して機能的に連結されている
ことを特徴とするベクター。
【請求項7】
請求項6に記載のベクターで形質転換された宿主細胞であって、
該ベクターによりコードされている前記リボザイムの発現能を有する
ことを特徴とする宿主細胞。
【請求項8】
ヒト組織由来の採取試料中のヒト乳頭腫ウイルス−16(HPV−16)のin vitro検出方法であって、下記工程a〜工程cを含み、
工程a:ヒト組織試料より採取されるRNAを、HPV−16のRNA由来の塩基配列と結合する請求項1〜3の何れか一項に記載のリボザイムに曝して、前記試料中に存在しているHPV−16のRNAを前記リボザイムによって解裂する;
工程b:完全長HPV−16の転写RNAの5’末端、完全長HPV−16転写RNAの該リボザイム解裂部位の5’側フラグメント、ならびに完全長HPV−16転写RNAの該リボザイム解裂部位の3’側フラグメントに対して、それぞれ相補的なプライマーを用いて、転写RNA由来のcDNAを増幅させる;そして、
工程c:大きなDNAフラグメントは、完全長HPV−16転写RNAを示しており、また、小さなDNAフラグメントは、完全長HPV−16転写RNAのリボザイム解裂に起因する断片を示していると、増幅されたDNAフラグメントの同定を行う;
その際、試料中にHPV−16由来のRNAが存在する場合、大きなフラグメントに比較して、小さなDNAフラグメントの優位が確認される
ことを特徴とするin vitro検出方法。
【請求項9】
該リボザイムによって解裂されるHPV−16のRNAは、HPV−16のE6の転写RNAである
ことを特徴とする請求項8に記載のin vitro検出方法。
【請求項10】
該リボザイムは、
5’−UUCUUCAGAGAACAGU ACCAGAGAAACACACGGACUUCGGUCCGUGGUAUAUUACCUGGUA−3’ (配列識別番号6)で示される塩基配列を含んでなる
ことを特徴とする請求項8または9に記載のin vitro検出方法。
【請求項11】
該ヒト組織は、子宮頚管組織である
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のin vitro検出方法。
【請求項12】
更に、前記工程aの後、工程bに先立ち、該試料中に存在している該RNAに由来するcDNAを作製する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のin vitro検出方法。
【請求項13】
医薬治療において使用するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項14】
子宮頚管癌、あるいは子宮頚管の前癌症状の治療において使用するための、請求項13に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項15】
該ヘアピン・リボザイムは、リポフェクチンベースのリポソームへの搬送系中に懸濁されている
ことを特徴とする請求項13または14に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項16】
免疫賦活剤または化学療法剤と組み合わされている
ことを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項17】
LAK細胞と組み合わされている
ことを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項18】
シスプラチンと組み合わされている
ことを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項19】
ヒト乳頭腫ウイルス由来の転写RNA中に含まれる、標的部位に対する結合能と、当該標的部位中に存在する、塩基419の直後の解裂部位における解裂能とを有する合成ヘアピン・リボザイムであって、
前記標的配列は、下記
415−UAAC U*GUC AAAAGC−428(配列識別番号7)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCC−429(配列識別番号8)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCCA−430(配列識別番号9)、415−UAAC U*GUC AAAAGCCAC−431(配列識別番号10)
(但し、*は、解裂部位を示す)で示される標的部位からなる群より選択される
ことを特徴とする合成リボザイム。
【請求項20】
前記合成ヘアピン・リボザイムは、ヘアピン部分中に、
GGAC(UUCG)GUCC (配列識別番号5)からなるテトラループ配列を含む
ことを特徴とする請求項19に記載の合成リボザイム。
【請求項21】
前記合成ヘアピン・リボザイムは、
5’−GGCUUUUAGAAGUUA ACCAGAGAAACACACGGACUUCGGUCCGUGGUAUAUUACCUGGUA−3’ (配列識別番号11)で示される完全配列からなる
ことを特徴とする請求項19または20に記載の合成リボザイム。
【請求項22】
ヒト乳頭腫ウイルス由来の転写RNA中に含まれる、標的部位に対する結合能と、当該標的部位中に存在する、塩基419の直後の解裂部位における解裂能とを有する合成ヘアピン・リボザイムを構築する方法であって、
前記標的配列は、下記
415−UAAC U*GUC AAAAGC−428(配列識別番号7)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCC−429(配列識別番号8)、
415−UAAC U*GUC AAAAGCCA−430(配列識別番号9)、415−UAAC U*GUC AAAAGCCAC−431(配列識別番号10)
(但し、*は、解裂部位を示す)で示される標的部位からなる群より選択され、
該合成ヘアピン・リボザイムの結合部位は、3’−F4−L1−F3−5’の塩基配列で示され、それぞれ、
該F4は、前記標的配列中の5’−UAAC−3’部分と相補的な塩基配列、
該L1は、前記標的配列中の解裂部位を含む5’−U*GUC−3’部分に対して、非相補的な塩基配列、
該F4は、前記標的配列中の5’−AAAAGC−3’、5’−AAAAGCC−3’、5’−AAAAGCCA−3’、5’−AAAAGCCAC−3’の何れかの部分と相補的な塩基配列に選択した上で、
該ヘアピン・リボザイムを構築する工程を含む
ことを特徴とする合成リボザイムの構築方法。
【請求項23】
該ヒト乳頭腫ウイルス由来の転写RNAの解裂能を有する合成ヘアピン・リボザイムの、ヘアピン部分中に、
GGAC(UUCG)GUCC (配列識別番号5)からなるテトラループ配列を含むように選択した上で、
該ヘアピン・リボザイムを構築する工程を含む
ことを特徴とする請求項22に記載の合成リボザイムの構築方法。
【請求項24】
前記請求項19〜21の何れか一項に記載のリボザイムをコードするDNAを含んでなるベクターであって、
該DNAは、発現制御配列に対して機能的に連結されている
ことを特徴とするベクター。
【請求項25】
請求項24に記載のベクターで形質転換された宿主細胞であって、
該ベクターによりコードされている前記リボザイムの発現能を有する
ことを特徴とする宿主細胞。
【請求項26】
ヒト組織由来の採取試料中のヒト乳頭腫ウイルス−16(HPV−16)のin vitro検出方法であって、下記工程a〜工程cを含み、
工程a:ヒト組織試料より採取されるRNAを、HPV−16のRNA由来の塩基配列と結合する請求項19〜21の何れか一項に記載のリボザイムに曝して、前記試料中に存在しているHPV−16のRNAを前記リボザイムによって解裂する;
工程b:完全長HPV−16の転写RNAの5’末端、完全長HPV−16転写RNAの該リボザイム解裂部位の5’側フラグメント、ならびに完全長HPV−16転写RNAの該リボザイム解裂部位の3’側フラグメントに対して、それぞれ相補的なプライマーを用いて、転写RNA由来のcDNAを増幅させる;そして、
工程c:大きなDNAフラグメントは、完全長HPV−16転写RNAを示しており、また、小さなDNAフラグメントは、完全長HPV−16転写RNAのリボザイム解裂に起因する断片を示していると、増幅されたDNAフラグメントの同定を行う;
その際、試料中にHPV−16由来のRNAが存在する場合、大きなフラグメントに比較して、小さなDNAフラグメントの優位が確認される
ことを特徴とするin vitro検出方法。
【請求項27】
該リボザイムによって解裂されるHPV−16のRNAは、HPV−16のE6の転写RNAである
ことを特徴とする請求項26に記載のin vitro検出方法。
【請求項28】
該リボザイムは、
5’−GGCUUUUAGAAGUUA ACCAGAGAAACACACGGACUUCGGUCCGUGGUAUAUUACCUGGUA−3’ (配列識別番号11)で示される塩基配列を含んでなる
ことを特徴とする請求項26または27に記載のin vitro検出方法。
【請求項29】
該ヒト組織は、子宮頚管組織である
ことを特徴とする請求項26〜28のいずれか一項に記載のin vitro検出方法。
【請求項30】
更に、前記工程aの後、工程bに先立ち、該試料中に存在している該RNAに由来するcDNAを作製する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項26〜29のいずれか一項に記載のin vitro検出方法。
【請求項31】
医薬治療において使用するための、請求項19〜21のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項32】
子宮頚管癌、あるいは子宮頚管の前癌症状の治療において使用するための、請求項31に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項33】
該ヘアピン・リボザイムは、リポフェクチンベースのリポソームへの搬送系中に懸濁されている
ことを特徴とする請求項31または32に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項34】
免疫賦活剤または化学療法剤と組み合わされている
ことを特徴とする請求項31〜33のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項35】
LAK細胞と組み合わされている
ことを特徴とする請求項31〜34のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。
【請求項36】
シスプラチンと組み合わされている
ことを特徴とする請求項31〜34のいずれか一項に記載のヘアピン・リボザイム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−149387(P2006−149387A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346709(P2005−346709)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【分割の表示】特願平7−529813の分割
【原出願日】平成7年5月15日(1995.5.15)
【出願人】(505407416)ザ ガヴァメント オヴ ザ ユナイテッド ステイツ オヴ アメリカ、リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー、ディパートメント オヴ ヘルス アンド ヒューマン サーヴィスィーズ (1)
【出願人】(505407427)ノーザン イリノイ ユニヴァーシティ (1)
【Fターム(参考)】