ヘッダー及びヘッダーの止水方法
【課題】簡単な構成でヘッダー本体とパイプの外部に対する止水構造を実現したヘッダーを提供する。
【解決手段】一つの配管を複数のパイプに分岐すると共に外部に対する止水を図るヘッダーであって、流路を分岐するヘッダー本体110と、一端がパイプ190に接続されると共に他端がヘッダー本体に接続され、内部に流路が貫通形成されると共にヘッダーとパイプとの接続部にそれぞれシール部を有し、ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコア130と、インコアをヘッダー本体に着脱自在に保持すると共に、ヘッダー本体からパイプが抜けるのを防止する抜け止め部材を有するパイプ保持キャップ120とを備えている。
【解決手段】一つの配管を複数のパイプに分岐すると共に外部に対する止水を図るヘッダーであって、流路を分岐するヘッダー本体110と、一端がパイプ190に接続されると共に他端がヘッダー本体に接続され、内部に流路が貫通形成されると共にヘッダーとパイプとの接続部にそれぞれシール部を有し、ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコア130と、インコアをヘッダー本体に着脱自在に保持すると共に、ヘッダー本体からパイプが抜けるのを防止する抜け止め部材を有するパイプ保持キャップ120とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水道水の一次側配管を複数のパイプに分岐するヘッダー及びこのヘッダーの外部に対する止水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭において料理や洗濯、入浴等を可能とするために、家屋には水回りのパイプが方々に張り巡らされており、水道水の一次側配管をこれらの複数のパイプに分岐するのにヘッダーが用いられている(例えば、特許文献1参照)。これらのパイプやヘッダーは家屋の床下や壁裏、天井裏に配設されているので、この部分から万が一水漏れが生じると大変な事態になる。そのため、パイプ及びヘッダーは外部に対して止水されている。
【0003】
かかるシール構造を備えたヘッダーの一例として、図10及び図11に示すようなものが知られている。このヘッダー5は、ヘッダー本体510と継手520を有し、パイプ590に挿入したインコア530をパイプ590の端部ごと継手520に収容する構造になっている。また、継手520は、異型筒型の継手本体521と、継手本体内に収容された内装部材である止水用のO−リング522、内部にパイプ590を把持してパイプ590の抜けを防止するグリップリング523、O−リング522のシール面を保持するスペーサ524、及びグリップリング523でパイプ590を把持させるためにグリップリング523を縮径させるサポートカラー525と、継手本体521から各内装部材が脱抜しないようにカバーするエンドキャップ526を備えている。
【0004】
そして、継手520を組付けるにあたって、継手本体521に上述した内装部材をすべて挿入した後、エンドキャップ526をカシメ若しくはネジ込んで継手本体521に被着させる。継手内でのパイプ590及びインコア530の外部に対する止水は、インコア530に設けられたO−リング531,532を介してパイプ590の内面(又は外面)をシールすることで達成するようになっている。
【0005】
また、ヘッダー本体510と継手520には双方ともテーパネジ部510a,520aが形成され、これらのテーパネジ部間を螺合させつつ継手520をヘッダー本体510に対して適正なトルクで締め付けてヘッダー5を組付けるようになっている。なお、ヘッダー本体510及び継手520の外部に対する止水は継手520のテーパネジ部520aに予めシールテープを巻いて継手520をヘッダー本体510にネジ込んでいくことで達成するようになっている。
【特許文献1】特開2002−295774号公報(3−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、継手520は継手本体521に加えて各種の内装部材から構成され、継手単体でも使用されることを考慮して容積が大きくなっており、継手自体の組付けにも手間がかかる。また、止水性を高めるために継手520とヘッダー本体510の螺合部をテーバーネジで形成する必要があり、ネジ部の全長が長くなり、結果的にヘッダー5の容積が大きくなる。このような理由により、ヘッダー5の組付けにも手間がかかり、ヘッダー組付け後の止水性の確認も必要となる。
【0007】
また、ヘッダー本体510が大型化すると共にヘッダー本体510に取り付けられた継手520の高さが高くなると、これらが例えばホウ金(CAC406)等でできている場合、材料コストや加工コストが嵩んでしまう。また、一次側水道水の水圧を継手520とヘッダー510の組付け部で受ける構造となっているため、組付け部で止水性を保つために継手520とヘッダー本体510との螺合部をシールテープでシールすることが必要となる。そして、シールテープを継手520のテーパネジ部520aに巻きながらヘッダー本体510にネジ込んでいくに際してトルク管理が必要となる。
【0008】
また、パイプ590にインコア530を差し込む作業を間違えたときにインコア530を嵌合したパイプ590を継手520と共に外して、継手内に備わったC型のグリップリング523を外し、継手520及びヘッダー本体510のテーパネジ部510aに付着したシールテープの残りを取り除き、再びシールテープを継手520のテーパネジ部520aに巻いて継手520をヘッダー本体510にねじ込む複雑な作業を必要とする。
【0009】
このように継手520をヘッダー本体510から一度外すと、継手520のテーパネジ部520aのシール部分をシールテープで再び巻いて継手520のテーパネジを一定の締め付けトルクで締め付ける必要があり、トルクレンチ等を用いた煩雑な作業となる。また、これらの締め付け作業を可能とするために隣接する継手間の間隔をかなり大きくとる必要があるので、ヘッダー自体が長手方向にも長くなってしまう。
【0010】
一方、図12に示すような別の従来型のヘッダー6も知られている。このヘッダー6は、ヘッダー本体(図示せず)からヘッダー分岐管611が突出し、このヘッダー分岐管611の先端にフランジ615を備えると共に、フランジ615に当接するフランジ625を備えたアダプタ620を有している。このフランジ625は、アダプタ620の長手方向中央部から若干ヘッダー取付け側に偏倚して形成されている。また、フランジ625からヘッダー取付け側先端に向かうアダプタ620の周方向に二条のO−リング嵌合溝が全周にわたって形成され、このO−リング嵌合溝にO−リング631,632が嵌合され、ヘッダー本体610のヘッダー分岐管内で二重シール部を形成するようになっている。また、アダプタ620の他方の端部(図中上方端部)は拡径されてパイプ挿入部626を形成している。そして、アダプタ620の内部はここでは図示ないが、パイプの内部に嵌合される嵌合円筒部が形成されている。この嵌合円筒部には図示ない2つのO−リングが備わり、パイプをアダプタ620に挿入するとこのO−リングがパイプの内周との間で二重シール部を形成するようになっている。
【0011】
また、この別の従来例にかかるヘッダー6は例えば金属の板材でできて弾性を有する平面視異型C字型のクリップ640を備えている。そして、このクリップ640には、その幅方向にヘッダー分岐管611のフランジ615とアダプタ620のフランジ625との合わさり部に係合する細長い長方形状の係合孔645が対向して形成されている。そして、作業者は例えばアダプタ620にパイプを挿入した状態でアダプタ620をヘッダー分岐管611に押し込んでそれらのフランジ同士を当接させ、クリップ640の開放端部641を押し広げてクリップ640のフランジ係合孔645にこの当接されたフランジ615,625を係合させ、アダプタ620をヘッダー分岐管611に固定するようになっている。
【0012】
このように当接し合ったアダプタ620のフランジ625とヘッダー本体610のフランジ615に弾性を有したクリップ640を横から差し込んで固定する構造ではヘッダー6の部品点数が多くなり、クリップ640も外力によって外れる可能性がある。そのため、クリップ取り付け後にクリップ640が外れないように樹脂等のバンドで締め付けておく余分な作業を必要とし、組付け作業性が良くない。
【0013】
本発明の目的は、簡単な構成でヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水構造を実現したヘッダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1にかかるヘッダーは、
一つの配管を複数のパイプに分岐すると共に外部に対する止水を図るヘッダーにおいて、
流路を分岐するヘッダー本体と、
一端がパイプに接続されると共に他端が前記ヘッダー本体に接続され、内部に流路が貫通形成されると共に前記ヘッダーとパイプとの接続部にそれぞれシール部を有し、前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、
前記インコアを前記ヘッダー本体に着脱自在に保持すると共に、前記ヘッダー本体から前記パイプが抜けるのを防止する抜け止め部材を有するパイプ保持キャップとを備えたことを特徴としている。
【0015】
このようなヘッダーによると、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアからなる一部材しか介在させていないので、余分な部品を必要とせず、従来例のヘッダー本体に取り付ける継手のように高さが高くならない。すなわち、構造が簡単となって全体寸法も小さくでき、製造コストを下げることが可能となる。また、従来例のように継手をヘッダー本体に取り付ける際のシールテープを必要とせず簡単な構造でヘッダー及びパイプの外部に対する止水を達成することができる。
【0016】
また、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアの一部材しか介在させておらずかつインコアが一体構造であるので、ヘッダーとパイプ間で水が余分に分岐する心配がなく、漏水のリスクも低下させることができる。
【0017】
また、従来は継手をヘッダーに締め付けるにあたってトルク管理が必要であったため、継手間の作業空間をとる必要上パイプ同士の間隔が大きくなっていたが、本発明にかかるヘッダーはパイプ保持キャップを指で締め付けることができるので、パイプ同士の間隔を小さくできる。これによって、ヘッダーの高さや設置幅に関して省スペースを図ることができる。これに加えて、トルク管理に伴う無駄な作業も必要なくなる。
【0018】
また、ヘッダー自体が大型化する従来の構造では水廻りの設置空間の取り合わせでヘッダーの配置空間が確保できない場合があり、ヘッダーを水廻りの最適な位置から離れた位置に配置しなければならなかったが、本発明にかかるヘッダーの場合、小型化が図られているのでこのような心配がいらない。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載のヘッダーは、請求項1に記載のヘッダーにおいて、
前記インコアのシール部はそれぞれO−リングを介した二重シール部からなり、
前記抜け止め部材は、円筒状をなし一端部が前記パイプの外径よりも僅かに大きい程度まで縮径すると共に他端部にはヘッダー本体と着脱自在に螺合するネジ部が形成されたパイプ保持キャップと、パイプ保持キャップの内部に収容された抜け止めスペーサ及び当該抜け止めスペーサとパイプ保持キャップの一端側縮径部との間に介装された抜け止めリングを備え、
前記抜け止めスペーサは円筒状なし、一端部が若干拡径し、パイプ保持キャップの内周壁に形成された係合溝に当該一端部が係合してパイプ保持キャップ内に固定収容され、
前記抜け止めリングは、C字状のリング支持部と、当該リング支持部と一体形成され、C字型をなしかつ断面視で前記ヘッダー本体内部に向かって縮径し、一旦挿入されたパイプに食い付きパイプ保持キャップからのパイプの抜けを防止するC型リングを備えている。
【0020】
ヘッダーがこのような具体的構成を有することで、請求項1に記載した作用を確実に奏することができるようになる。
【0021】
また、本発明の請求項3に記載のヘッダーの止水方法は、内部にヘッダー本体とパイプとを連通する流路を備えたインコアを介してヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成するヘッダーの止水方法であって、
パイプと当該パイプに嵌合されるインコア間のシールを図ると共に、ヘッダー本体と当該ヘッダー本体に嵌合されるインコア間のシールを図ることによってヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴としている。
【0022】
また、本発明の請求項4に記載のヘッダーの止水方法は、ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合すると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法であって、
前記パイプとの間のシール部を有したインコアを当該パイプに嵌合して当該パイプとインコア間のシールを図り、
次いで、前記インコアの嵌合されたパイプを前記ヘッダー本体に挿入して当該インコア及びヘッダー本体の外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の請求項5に記載のヘッダーの止水方法は、ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合されると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され、内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法であって、
前記ヘッダー本体との間のシール部を有したインコアを前記ヘッダー本体に挿入して当該ヘッダー本体とインコアのシールを図り、
次いで、前記ヘッダー本体に挿入されたインコアに前記パイプを嵌合して当該インコアとパイプの外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴としている。
【0024】
このようなヘッダーの止水方法によると、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアの一部材しか介在させておらずかつインコアとヘッダー本体間及びインコアとパイプ間をシールしているので、ヘッダーとパイプ間で水が余分に分岐する心配がなく、ヘッダーの外部に対する止水を確実に行うことができる。これに加えて、構造が簡単となって全体寸法も小さくでき、コストを下げつつ漏水のリスクも低下させることができる。
【0025】
また、ヘッダー自体が大型化する従来の構造では水廻りの設置空間の取り合わせでヘッダーの配置空間が確保できない場合があり、ヘッダーを水廻りの最適な位置から離れた位置に配置しなければならなかったが、本発明にかかるヘッダーの止水方法によると、ヘッダー自体の小型化が図られて、このような心配がいらない。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、簡単な構成でヘッダー本体とパイプの外部に対する止水構造を実現したヘッダー及びヘッダーの止水方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態にかかるヘッダーについて図面に基づいて説明する。本発明の一実施形態にかかるヘッダー1は、図1に示すように、流路を分岐するヘッダー本体110と、ヘッダー本体110に接続されるパイプ190と、一端がパイプ190に接続されると共に他端がヘッダー本体110に接続され、ヘッダー本体110とパイプ190との間を液密状態に保つインコア130と、インコア130をヘッダー本体110に保持すると共に、ヘッダー本体110からパイプ190が抜けるのを防止するパイプ保持キャップ120とを備えている。
【0028】
ヘッダー本体110は、たとえばホウ金などの材料でできており、図2に示すように、端面視異型円形状の細長い管体からなり、上部長手方向一定の幅に亘って分岐管取り付け用の平面部110aが備わっている。
【0029】
ヘッダー本体110の内部には、図1に示すように、長手方向にわたって共通管路111が貫通形成され、その共通管路の両端部には、例えば水道水の一側配管等と螺合接続される雌ねじ部111aが形成されている。また、本実施形態にかかるヘッダー1の場合、この共通管路111から2つの分岐管路112が分岐形成されている。
【0030】
そして、ヘッダー本体110の平面部110aには上面視円環状をなす分岐管開口部113(図3参照)が突出形成されている。なお、分岐管開口部113はその周方向に雄ネジ113aが形成され、パイプ保持キャップ120を作業者が指で着脱自在に螺合できるようになっている。
【0031】
インコア130は、例えばホウ金などの材質でできており、管状をなし長手方向中央からヘッダー本体挿入側に若干偏倚した位置に一方の面がテーパ状をなすホルダ係合用突出部135が全周に亘って形成されている。
【0032】
インコア130のヘッダー本体挿入側外周部には二条のO−リング嵌合溝131,132(図1参照)が形成され、これらのO−リング嵌合溝131,132にO−リング141,142が嵌合されている。
【0033】
また、インコア130のパイプ嵌合側外周部の端部近傍にも二条のO−リング嵌合溝133,134が形成され、このO−リング嵌合溝133,134に2つのO−リング143,144が嵌合されている。
【0034】
なお、分岐管路112の内径はインコア130の外径とほぼ等しくなっており、インコア130のヘッダー本体挿入側外周面に嵌合された2つのO−リング141,142を介してヘッダー本体110とインコア130とのシール性を確保するようになっている。
【0035】
また、インコア130のパイプ挿入側外周部の外径は、これが嵌合されるパイプ内径とほぼ等しくなっており、インコア130をパイプ190に嵌合することで2つのO−リング143,144を介してインコア130とパイプ190との間をしっかりとシールするようになっている。
【0036】
また、インコア130の外周に形成されたホルダ係合用突出部135の他方の面は外周面に対して垂直に形成され、インコア130をパイプ190に嵌合する際にこの部分にパイプ190の端部が突き当たってインコア130の挿入を規制するようになっている。
【0037】
パイプ保持キャップ120は、例えば真鍮でできており、円筒状をなし上方端部はパイプ190の外径よりも僅かに大きい程度まで縮径している。パイプ保持キャップ120は、その内部に抜け止めスペーサ160と、抜け止めスペーサ160とパイプ保持キャップ120の上端縮径部との間に介装された抜け止めリング170を備えている。そして、パイプ保持キャップ120の下方端部にはパイプ保持キャップ120とヘッダー本体110との螺合部を覆う樹脂製のカバーリング125が着脱自在に備わっている。
【0038】
抜け止めスペーサ160は例えば真鍮でできており、円筒状なし、上端部が若干拡径しており、パイプ保持キャップ120の係合溝121にこの上端部が係合してパイプ保持キャップ内に固定収容されるようになっている。また、抜け止めスペーサ160の他方の端部近傍における内壁部はテーパ部を介して徐々に縮径している。なお、このテーパ部は、パイプ190に嵌合されたインコア130をパイプ保持キャップ内に挿入したとき、インコア130の係合用突出部135のテーパ部と当接し、インコア130のヘッダー本体内への移動を規制するようになっている。
【0039】
抜け止めリング170は、図1に示すように、樹脂でできた平面視C字状のリング支持部171と、リング支持部171と一体形成され、平面視C字型をなしかつ断面視でヘッダー本体内部に向かって縮径した金属製のC型リング172からなる。
【0040】
そして、抜け止めリング170にパイプ190が一旦挿入されると、抜け止めリング170の縮径部がパイプ190に食い込んで、パイプ190を逆方向に引っ張ってもパイプ190に食い込んだC型リング172がパイプ保持キャップ120から外れることがなく、結果的にパイプ190をヘッダー本体110から抜けないようにする役目を果たしている。なお、リング支持部171の上端部にはテーパ部が形成されている。このテーパ部は、インコア130を挿入する際にインコア130に備わったO−リング141,142が捲れ上がらないようにする役目を果たしている。
【0041】
続いて、本発明の一実施形態にかかるヘッダー1にパイプ190を接続する手順及び作用について説明する。なお、図3及び図4はパイプ保持キャップ120を除いてインコア120とヘッダー本体110とパイプ190との組付け関係を示した斜視図である。
【0042】
最初にパイプ保持キャップ120にネジ止めスペーサ160及びネジ止めリング170を内装する。そして、このパイプ保持キャップ120の下端ネジ部をヘッダー本体110のネジ部112aにねじ込む。なお、このねじ込み作業は作業者が指で容易に行うことができる。そして、パイプ保持キャップ120の下端部にリングカバー125を嵌め込み、パイプ保持キャップ120とヘッダー本体110との螺合部を覆う。
【0043】
一方、パイプ190にインコア130を当該インコア130の突出部135がパイプ190の端部に突き当たるまで挿入する。
【0044】
挿入作業は、インコア130及びインコア130の挿入されたパイプ190をパイプ保持キャップ120の上端開口部からパイプ保持キャップ内に挿入する。これは、インコア130のホルダ係合用突出部135のテーパ部がパイプ保持キャップ内の抜け止めスペーサ160の縮径されたテーパ部に突き当たるまで行う。
【0045】
パイプ保持キャップ120にパイプ190を挿入する際に、インコア先端の2つのO−リング141,142は、パイプ抜け止めリング170の上側端部に形成されたテーパ部によって捲れ上がるのが防止される。また、パイプ抜け止めリング170のC型リング172は、パイプ190を挿入するに伴って拡径し、パイプ挿入時の支障とはならない。しかしながら、一旦パイプ190を挿入すると、C型リング172の内径部が樹脂でできたパイプ190の外周部に食い込んでパイプ190の抜けを確実に防止する。
【0046】
このようにしてインコア130の嵌入されたパイプ190をパイプ保持キャップ120に挿入することによって、インコア130とヘッダー本体110の分岐管路112との間はインコア130に備わった2つのO−リング141,142によって二重シールされる。また、インコア130とパイプ190との間はインコア130に備わった2つのO−リング143,144によって二重シールされる。これによって簡単な構成でパイプ190及びヘッダー本体110の外部に対する止水を達成することができる。
【0047】
なお、一旦ヘッダー本体110にパイプ190を接続した後に何らかの事情でパイプ190をヘッダー本体110から外したり別の分岐管に繋ぎ変えたりする場合は、リングカバー125を指で外すと共に保持キャップ120を指で摘んで螺合を解除し、保持キャップ120とインコア130及びパイプ190をヘッダー本体110から外せば良い。すなわち、パイプ190をヘッダー本体110に接続する際に従来のようにヘッダー本体と継手との間にテーパネジ部にシールテープを巻く必要がないため、簡単な手作業でパイプをヘッダー本体から外すことが可能となる。
【0048】
また、図3及び図4から特に明らかなように、本実施形態にかかるヘッダー1は、従来構造のヘッダーに比べてその構成が簡略化しているので、ヘッダー全体の高さや幅を小型化することができる(従来の継手の備わったヘッダーの断面図(図6(a))と本実施形態にかかるヘッダー1の断面図(図6(b))を比較参照)。そのため、台所などの水廻りの空間での限られたスペースの適所にヘッダーを配置することができるようになり、配管の余分な取りまわしを必要としなくなる。
【0049】
続いて、上述の実施形態の変形例について説明する。上述の実施形態の変形例にかかるヘッダー2は、ヘッダー本体210に図7乃至図9に示す特別な管継手220を接続した構成を有している。この管継手220は、図8及び図9に示すように、インコア230と外キャップ221からなる継手本体と、継手本体に収容された透明円筒体240及び表示用円筒体250と、透明円筒体240と外キャップ221とで保持された抜け止めリング261及びスペーサ262と、透明円筒体240及び表示用円筒体250によって保持された捩りバネ263と、表示用円筒体250とインコア230との間に介装されたシール捲れ防止リング264を備えている。そして、捩りバネ263の弾性復元力を利用して表示用円筒体250を第1の回転位置から第2の回転位置に確実に移動させ、表示用円筒体250が第2の回転位置に移動したことによるパイプ挿入完了を管継手外部から確認可能とすることで、管継手内へのパイプ290の挿入確認を可能としている。
【0050】
なお、インコア230には、ヘッダー本体210の分岐管路とインコア間を二重シールするO−リング231,232と、パイプ290とインコア間を二重シールするO−リング233,234が備わっている。
【0051】
ここで、図8は、パイプ290を管継手220に挿入し始めた状態を示した断面図であり、図9は、図8に示したパイプ290を更に管継手220の奥に挿入した状態を示した断面図である。
【0052】
このような管継手220をヘッダー本体210に接続してヘッダー2を組付ける場合であっても、ヘッダー本体210の分岐管路212からパイプ290への連通流路を内部に形成したインコア230を介してヘッダー本体210とパイプ290と接続する構成となっており、ヘッダー本体210とインコア230との間にO−リング231,232による二重シール部を形成すると共に、インコア230とパイプ290の内周との間にもO−リング233,234による二重シール部を形成することによって、余分な水の分岐流路を形成する必要がなくなり、従来例のヘッダーと継手との組み合わせにおけるテーパネジ部にシールテープを巻くような余分な作業を必要としなくなる。そのため、上述した実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
【0053】
以上説明したように、本発明にかかるヘッダーによると、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアからなる一部材しか介在させていないので、余分な部品を必要とせず、従来例のヘッダー本体に取り付ける継手のように高さが高くならない。すなわち、構造が簡単となって全体寸法も小さくでき、コストを下げることが可能となる。また、従来例のように継手をヘッダー本体に取り付ける際のシールテープを必要とせず簡単な構造でヘッダーの外部に対する止水を達成する。
【0054】
また、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアの一部材しか介在させておらずかつインコアが一体構造であるので、ヘッダーとパイプ間で水が余分に分岐する心配がなく、漏水のリスクも低下させることができる。
【0055】
また、従来は継手をヘッダーに締め付けるにあたってトルク管理が必要であったため、継手間の作業空間を確保するためにパイプ同士の間隔が大きくなっていたが、本発明にかかるヘッダーはパイプ保持キャップを指で締め付けることができるので、パイプ同士の間隔を小さくできる。これによって、ヘッダーの高さや設置幅に関して省スペースを図ることができる。これに加えて、トルク管理に伴う無駄な作業も必要なくなる。
【0056】
また、ヘッダー自体が大型化する従来の構造では水廻りの設置空間の取り合わせでヘッダーの配置空間が確保できない場合があり、ヘッダーを水廻りの最適な位置から離れた位置に配置しなければならなかったが、本発明にかかるヘッダーの場合、小型化が図られているので、このような心配がいらない。
【0057】
なお、上述の実施形態で記載した材質はあくまで例示的に示したもので、本発明の作用を発揮する材質であればどのようなものを使用しても構わない。
【0058】
また、以上説明したように、図10及び図11に示す従来型のヘッダー5は、ヘッダー本体510と継手520を有し、パイプ590に挿入したインコア530をパイプ590の端部ごと継手520に収容する構造になっている。また、継手520は、異型筒型の継手本体521と、継手本体内に収容された内装部材である止水用のO−リング522、内部にパイプ590を把持してパイプ590の抜けを防止するグリップリング523、O−リング522のシール面を保持するスペーサ524、及びグリップリング523でパイプ590を把持させるためにグリップリング523を縮径させるサポートカラー525と、継手本体521から各内装部材が脱抜しないようにカバーするエンドキャップ526を備えている。
【0059】
このようにヘッダー5を構成する部品点数が多いため、ヘッダー本体510に接続される継手520の高さ方向及び幅方向がどうしても大きくなってしまい、ヘッダー自体の大型化を招いてしまう。
【0060】
しかしながら、図1に示す本発明におけるヘッダー1は、流路を分岐するヘッダー本体110と、ヘッダー本体110に接続されるパイプ190と、一端がパイプ190に接続されると共に他端がヘッダー本体110に接続され、ヘッダー本体110とパイプ190との間を液密状態に保つインコア130と、インコア130をヘッダー本体110に保持すると共に、ヘッダー本体110からパイプ190が抜けるのを防止するパイプ保持キャップ120とを備え、パイプ保持キャップ120は、その内部に抜け止めスペーサ160と、抜け止めスペーサ160とパイプ保持キャップ120の上端縮径部との間に介装された抜け止めリング170を備えているに過ぎない。
【0061】
このようにヘッダー1を構成する部品点数が少なくなるので、ヘッダー本体110に接続されるパイプ保持キャップ120の高さ方向及び幅方向を小さくすることができ、ヘッダー自体を従来のヘッダーに較べて小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態にかかるヘッダーを当該ヘッダーに接続されるパイプと共にこれらの長手方向中心軸線に沿って示す断面図である。
【図2】図1に示したヘッダーの分解斜視図である。
【図3】図1に示したヘッダーを組付けると共にパイプを接続する工程をパイプ保持キャップを除いて示す斜視図である。
【図4】図3に示したヘッダーの組付け及びパイプの接続工程に続くヘッダーの組付け及びパイプの接続工程を示す斜視図である。
【図5】図4に示したヘッダーの組付け工程に続くヘッダーの組付け及びパイプの接続完了状態を示す斜視図である。
【図6】従来の継手の備わったヘッダーの図1に対応する断面図(図6(a))及び本発明のヘッダーの図1に対応する断面図(図6(b))である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるヘッダーの変形例を示す図5に対応する斜視図である。
【図8】図7に示したヘッダーの変形例の図1に対応する断面図であり、パイプを管継手に挿入し始めた状態を示している。
【図9】図8に示したパイプを更に管継手の奥に挿入した状態を示した断面図である。
【図10】従来の継手の備わったヘッダーを示す図1に対応する断面図である。
【図11】図9に示した従来の継手の備わったヘッダーの一方の継手を分解して示す斜視図である。
【図12】図9及び図10とは異なるアダプタを備えた従来のヘッダーを部分的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1,2,5,6 ヘッダー
110 ヘッダー本体
110a 平面部
111 共通管路
111a 雌ねじ部
112 分岐管路
112a ネジ部
113 分岐管開口部
113a 雄ネジ
120 パイプ保持キャップ
121 係合溝
125 カバーリング
130 インコア
131,132,133,134 O−リング嵌合溝
135 ホルダ係合用突出部
141,142,143,144 O−リング
160 抜け止めスペーサ
170 抜け止めリング
171 リング支持部
172 C型リング
190 パイプ
210 ヘッダー本体
212 分岐管路
220 管継手
221 外キャップ
230 インコア
231,232,233,234 O−リング
240 透明円筒体
250 表示用円筒体
261 抜け止めリング
262 スペーサ
263 捩りバネ
264 シール捲れ防止リング
290 パイプ
510 ヘッダー本体
510a,520a テーパネジ部
520 継手
521 継手本体
522 O−リング
523 グリップリング
524 スペーサ
525 サポートカラー
526 エンドキャップ
530 インコア
531,532 O−リング
590 パイプ
611 ヘッダー分岐管
615 フランジ
620 アダプタ
625 フランジ
626 パイプ挿入部
631,632 O−リング
640 クリップ
641 開放端部
645 フランジ係合孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水道水の一次側配管を複数のパイプに分岐するヘッダー及びこのヘッダーの外部に対する止水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭において料理や洗濯、入浴等を可能とするために、家屋には水回りのパイプが方々に張り巡らされており、水道水の一次側配管をこれらの複数のパイプに分岐するのにヘッダーが用いられている(例えば、特許文献1参照)。これらのパイプやヘッダーは家屋の床下や壁裏、天井裏に配設されているので、この部分から万が一水漏れが生じると大変な事態になる。そのため、パイプ及びヘッダーは外部に対して止水されている。
【0003】
かかるシール構造を備えたヘッダーの一例として、図10及び図11に示すようなものが知られている。このヘッダー5は、ヘッダー本体510と継手520を有し、パイプ590に挿入したインコア530をパイプ590の端部ごと継手520に収容する構造になっている。また、継手520は、異型筒型の継手本体521と、継手本体内に収容された内装部材である止水用のO−リング522、内部にパイプ590を把持してパイプ590の抜けを防止するグリップリング523、O−リング522のシール面を保持するスペーサ524、及びグリップリング523でパイプ590を把持させるためにグリップリング523を縮径させるサポートカラー525と、継手本体521から各内装部材が脱抜しないようにカバーするエンドキャップ526を備えている。
【0004】
そして、継手520を組付けるにあたって、継手本体521に上述した内装部材をすべて挿入した後、エンドキャップ526をカシメ若しくはネジ込んで継手本体521に被着させる。継手内でのパイプ590及びインコア530の外部に対する止水は、インコア530に設けられたO−リング531,532を介してパイプ590の内面(又は外面)をシールすることで達成するようになっている。
【0005】
また、ヘッダー本体510と継手520には双方ともテーパネジ部510a,520aが形成され、これらのテーパネジ部間を螺合させつつ継手520をヘッダー本体510に対して適正なトルクで締め付けてヘッダー5を組付けるようになっている。なお、ヘッダー本体510及び継手520の外部に対する止水は継手520のテーパネジ部520aに予めシールテープを巻いて継手520をヘッダー本体510にネジ込んでいくことで達成するようになっている。
【特許文献1】特開2002−295774号公報(3−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、継手520は継手本体521に加えて各種の内装部材から構成され、継手単体でも使用されることを考慮して容積が大きくなっており、継手自体の組付けにも手間がかかる。また、止水性を高めるために継手520とヘッダー本体510の螺合部をテーバーネジで形成する必要があり、ネジ部の全長が長くなり、結果的にヘッダー5の容積が大きくなる。このような理由により、ヘッダー5の組付けにも手間がかかり、ヘッダー組付け後の止水性の確認も必要となる。
【0007】
また、ヘッダー本体510が大型化すると共にヘッダー本体510に取り付けられた継手520の高さが高くなると、これらが例えばホウ金(CAC406)等でできている場合、材料コストや加工コストが嵩んでしまう。また、一次側水道水の水圧を継手520とヘッダー510の組付け部で受ける構造となっているため、組付け部で止水性を保つために継手520とヘッダー本体510との螺合部をシールテープでシールすることが必要となる。そして、シールテープを継手520のテーパネジ部520aに巻きながらヘッダー本体510にネジ込んでいくに際してトルク管理が必要となる。
【0008】
また、パイプ590にインコア530を差し込む作業を間違えたときにインコア530を嵌合したパイプ590を継手520と共に外して、継手内に備わったC型のグリップリング523を外し、継手520及びヘッダー本体510のテーパネジ部510aに付着したシールテープの残りを取り除き、再びシールテープを継手520のテーパネジ部520aに巻いて継手520をヘッダー本体510にねじ込む複雑な作業を必要とする。
【0009】
このように継手520をヘッダー本体510から一度外すと、継手520のテーパネジ部520aのシール部分をシールテープで再び巻いて継手520のテーパネジを一定の締め付けトルクで締め付ける必要があり、トルクレンチ等を用いた煩雑な作業となる。また、これらの締め付け作業を可能とするために隣接する継手間の間隔をかなり大きくとる必要があるので、ヘッダー自体が長手方向にも長くなってしまう。
【0010】
一方、図12に示すような別の従来型のヘッダー6も知られている。このヘッダー6は、ヘッダー本体(図示せず)からヘッダー分岐管611が突出し、このヘッダー分岐管611の先端にフランジ615を備えると共に、フランジ615に当接するフランジ625を備えたアダプタ620を有している。このフランジ625は、アダプタ620の長手方向中央部から若干ヘッダー取付け側に偏倚して形成されている。また、フランジ625からヘッダー取付け側先端に向かうアダプタ620の周方向に二条のO−リング嵌合溝が全周にわたって形成され、このO−リング嵌合溝にO−リング631,632が嵌合され、ヘッダー本体610のヘッダー分岐管内で二重シール部を形成するようになっている。また、アダプタ620の他方の端部(図中上方端部)は拡径されてパイプ挿入部626を形成している。そして、アダプタ620の内部はここでは図示ないが、パイプの内部に嵌合される嵌合円筒部が形成されている。この嵌合円筒部には図示ない2つのO−リングが備わり、パイプをアダプタ620に挿入するとこのO−リングがパイプの内周との間で二重シール部を形成するようになっている。
【0011】
また、この別の従来例にかかるヘッダー6は例えば金属の板材でできて弾性を有する平面視異型C字型のクリップ640を備えている。そして、このクリップ640には、その幅方向にヘッダー分岐管611のフランジ615とアダプタ620のフランジ625との合わさり部に係合する細長い長方形状の係合孔645が対向して形成されている。そして、作業者は例えばアダプタ620にパイプを挿入した状態でアダプタ620をヘッダー分岐管611に押し込んでそれらのフランジ同士を当接させ、クリップ640の開放端部641を押し広げてクリップ640のフランジ係合孔645にこの当接されたフランジ615,625を係合させ、アダプタ620をヘッダー分岐管611に固定するようになっている。
【0012】
このように当接し合ったアダプタ620のフランジ625とヘッダー本体610のフランジ615に弾性を有したクリップ640を横から差し込んで固定する構造ではヘッダー6の部品点数が多くなり、クリップ640も外力によって外れる可能性がある。そのため、クリップ取り付け後にクリップ640が外れないように樹脂等のバンドで締め付けておく余分な作業を必要とし、組付け作業性が良くない。
【0013】
本発明の目的は、簡単な構成でヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水構造を実現したヘッダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1にかかるヘッダーは、
一つの配管を複数のパイプに分岐すると共に外部に対する止水を図るヘッダーにおいて、
流路を分岐するヘッダー本体と、
一端がパイプに接続されると共に他端が前記ヘッダー本体に接続され、内部に流路が貫通形成されると共に前記ヘッダーとパイプとの接続部にそれぞれシール部を有し、前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、
前記インコアを前記ヘッダー本体に着脱自在に保持すると共に、前記ヘッダー本体から前記パイプが抜けるのを防止する抜け止め部材を有するパイプ保持キャップとを備えたことを特徴としている。
【0015】
このようなヘッダーによると、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアからなる一部材しか介在させていないので、余分な部品を必要とせず、従来例のヘッダー本体に取り付ける継手のように高さが高くならない。すなわち、構造が簡単となって全体寸法も小さくでき、製造コストを下げることが可能となる。また、従来例のように継手をヘッダー本体に取り付ける際のシールテープを必要とせず簡単な構造でヘッダー及びパイプの外部に対する止水を達成することができる。
【0016】
また、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアの一部材しか介在させておらずかつインコアが一体構造であるので、ヘッダーとパイプ間で水が余分に分岐する心配がなく、漏水のリスクも低下させることができる。
【0017】
また、従来は継手をヘッダーに締め付けるにあたってトルク管理が必要であったため、継手間の作業空間をとる必要上パイプ同士の間隔が大きくなっていたが、本発明にかかるヘッダーはパイプ保持キャップを指で締め付けることができるので、パイプ同士の間隔を小さくできる。これによって、ヘッダーの高さや設置幅に関して省スペースを図ることができる。これに加えて、トルク管理に伴う無駄な作業も必要なくなる。
【0018】
また、ヘッダー自体が大型化する従来の構造では水廻りの設置空間の取り合わせでヘッダーの配置空間が確保できない場合があり、ヘッダーを水廻りの最適な位置から離れた位置に配置しなければならなかったが、本発明にかかるヘッダーの場合、小型化が図られているのでこのような心配がいらない。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載のヘッダーは、請求項1に記載のヘッダーにおいて、
前記インコアのシール部はそれぞれO−リングを介した二重シール部からなり、
前記抜け止め部材は、円筒状をなし一端部が前記パイプの外径よりも僅かに大きい程度まで縮径すると共に他端部にはヘッダー本体と着脱自在に螺合するネジ部が形成されたパイプ保持キャップと、パイプ保持キャップの内部に収容された抜け止めスペーサ及び当該抜け止めスペーサとパイプ保持キャップの一端側縮径部との間に介装された抜け止めリングを備え、
前記抜け止めスペーサは円筒状なし、一端部が若干拡径し、パイプ保持キャップの内周壁に形成された係合溝に当該一端部が係合してパイプ保持キャップ内に固定収容され、
前記抜け止めリングは、C字状のリング支持部と、当該リング支持部と一体形成され、C字型をなしかつ断面視で前記ヘッダー本体内部に向かって縮径し、一旦挿入されたパイプに食い付きパイプ保持キャップからのパイプの抜けを防止するC型リングを備えている。
【0020】
ヘッダーがこのような具体的構成を有することで、請求項1に記載した作用を確実に奏することができるようになる。
【0021】
また、本発明の請求項3に記載のヘッダーの止水方法は、内部にヘッダー本体とパイプとを連通する流路を備えたインコアを介してヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成するヘッダーの止水方法であって、
パイプと当該パイプに嵌合されるインコア間のシールを図ると共に、ヘッダー本体と当該ヘッダー本体に嵌合されるインコア間のシールを図ることによってヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴としている。
【0022】
また、本発明の請求項4に記載のヘッダーの止水方法は、ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合すると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法であって、
前記パイプとの間のシール部を有したインコアを当該パイプに嵌合して当該パイプとインコア間のシールを図り、
次いで、前記インコアの嵌合されたパイプを前記ヘッダー本体に挿入して当該インコア及びヘッダー本体の外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の請求項5に記載のヘッダーの止水方法は、ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合されると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され、内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法であって、
前記ヘッダー本体との間のシール部を有したインコアを前記ヘッダー本体に挿入して当該ヘッダー本体とインコアのシールを図り、
次いで、前記ヘッダー本体に挿入されたインコアに前記パイプを嵌合して当該インコアとパイプの外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴としている。
【0024】
このようなヘッダーの止水方法によると、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアの一部材しか介在させておらずかつインコアとヘッダー本体間及びインコアとパイプ間をシールしているので、ヘッダーとパイプ間で水が余分に分岐する心配がなく、ヘッダーの外部に対する止水を確実に行うことができる。これに加えて、構造が簡単となって全体寸法も小さくでき、コストを下げつつ漏水のリスクも低下させることができる。
【0025】
また、ヘッダー自体が大型化する従来の構造では水廻りの設置空間の取り合わせでヘッダーの配置空間が確保できない場合があり、ヘッダーを水廻りの最適な位置から離れた位置に配置しなければならなかったが、本発明にかかるヘッダーの止水方法によると、ヘッダー自体の小型化が図られて、このような心配がいらない。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、簡単な構成でヘッダー本体とパイプの外部に対する止水構造を実現したヘッダー及びヘッダーの止水方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態にかかるヘッダーについて図面に基づいて説明する。本発明の一実施形態にかかるヘッダー1は、図1に示すように、流路を分岐するヘッダー本体110と、ヘッダー本体110に接続されるパイプ190と、一端がパイプ190に接続されると共に他端がヘッダー本体110に接続され、ヘッダー本体110とパイプ190との間を液密状態に保つインコア130と、インコア130をヘッダー本体110に保持すると共に、ヘッダー本体110からパイプ190が抜けるのを防止するパイプ保持キャップ120とを備えている。
【0028】
ヘッダー本体110は、たとえばホウ金などの材料でできており、図2に示すように、端面視異型円形状の細長い管体からなり、上部長手方向一定の幅に亘って分岐管取り付け用の平面部110aが備わっている。
【0029】
ヘッダー本体110の内部には、図1に示すように、長手方向にわたって共通管路111が貫通形成され、その共通管路の両端部には、例えば水道水の一側配管等と螺合接続される雌ねじ部111aが形成されている。また、本実施形態にかかるヘッダー1の場合、この共通管路111から2つの分岐管路112が分岐形成されている。
【0030】
そして、ヘッダー本体110の平面部110aには上面視円環状をなす分岐管開口部113(図3参照)が突出形成されている。なお、分岐管開口部113はその周方向に雄ネジ113aが形成され、パイプ保持キャップ120を作業者が指で着脱自在に螺合できるようになっている。
【0031】
インコア130は、例えばホウ金などの材質でできており、管状をなし長手方向中央からヘッダー本体挿入側に若干偏倚した位置に一方の面がテーパ状をなすホルダ係合用突出部135が全周に亘って形成されている。
【0032】
インコア130のヘッダー本体挿入側外周部には二条のO−リング嵌合溝131,132(図1参照)が形成され、これらのO−リング嵌合溝131,132にO−リング141,142が嵌合されている。
【0033】
また、インコア130のパイプ嵌合側外周部の端部近傍にも二条のO−リング嵌合溝133,134が形成され、このO−リング嵌合溝133,134に2つのO−リング143,144が嵌合されている。
【0034】
なお、分岐管路112の内径はインコア130の外径とほぼ等しくなっており、インコア130のヘッダー本体挿入側外周面に嵌合された2つのO−リング141,142を介してヘッダー本体110とインコア130とのシール性を確保するようになっている。
【0035】
また、インコア130のパイプ挿入側外周部の外径は、これが嵌合されるパイプ内径とほぼ等しくなっており、インコア130をパイプ190に嵌合することで2つのO−リング143,144を介してインコア130とパイプ190との間をしっかりとシールするようになっている。
【0036】
また、インコア130の外周に形成されたホルダ係合用突出部135の他方の面は外周面に対して垂直に形成され、インコア130をパイプ190に嵌合する際にこの部分にパイプ190の端部が突き当たってインコア130の挿入を規制するようになっている。
【0037】
パイプ保持キャップ120は、例えば真鍮でできており、円筒状をなし上方端部はパイプ190の外径よりも僅かに大きい程度まで縮径している。パイプ保持キャップ120は、その内部に抜け止めスペーサ160と、抜け止めスペーサ160とパイプ保持キャップ120の上端縮径部との間に介装された抜け止めリング170を備えている。そして、パイプ保持キャップ120の下方端部にはパイプ保持キャップ120とヘッダー本体110との螺合部を覆う樹脂製のカバーリング125が着脱自在に備わっている。
【0038】
抜け止めスペーサ160は例えば真鍮でできており、円筒状なし、上端部が若干拡径しており、パイプ保持キャップ120の係合溝121にこの上端部が係合してパイプ保持キャップ内に固定収容されるようになっている。また、抜け止めスペーサ160の他方の端部近傍における内壁部はテーパ部を介して徐々に縮径している。なお、このテーパ部は、パイプ190に嵌合されたインコア130をパイプ保持キャップ内に挿入したとき、インコア130の係合用突出部135のテーパ部と当接し、インコア130のヘッダー本体内への移動を規制するようになっている。
【0039】
抜け止めリング170は、図1に示すように、樹脂でできた平面視C字状のリング支持部171と、リング支持部171と一体形成され、平面視C字型をなしかつ断面視でヘッダー本体内部に向かって縮径した金属製のC型リング172からなる。
【0040】
そして、抜け止めリング170にパイプ190が一旦挿入されると、抜け止めリング170の縮径部がパイプ190に食い込んで、パイプ190を逆方向に引っ張ってもパイプ190に食い込んだC型リング172がパイプ保持キャップ120から外れることがなく、結果的にパイプ190をヘッダー本体110から抜けないようにする役目を果たしている。なお、リング支持部171の上端部にはテーパ部が形成されている。このテーパ部は、インコア130を挿入する際にインコア130に備わったO−リング141,142が捲れ上がらないようにする役目を果たしている。
【0041】
続いて、本発明の一実施形態にかかるヘッダー1にパイプ190を接続する手順及び作用について説明する。なお、図3及び図4はパイプ保持キャップ120を除いてインコア120とヘッダー本体110とパイプ190との組付け関係を示した斜視図である。
【0042】
最初にパイプ保持キャップ120にネジ止めスペーサ160及びネジ止めリング170を内装する。そして、このパイプ保持キャップ120の下端ネジ部をヘッダー本体110のネジ部112aにねじ込む。なお、このねじ込み作業は作業者が指で容易に行うことができる。そして、パイプ保持キャップ120の下端部にリングカバー125を嵌め込み、パイプ保持キャップ120とヘッダー本体110との螺合部を覆う。
【0043】
一方、パイプ190にインコア130を当該インコア130の突出部135がパイプ190の端部に突き当たるまで挿入する。
【0044】
挿入作業は、インコア130及びインコア130の挿入されたパイプ190をパイプ保持キャップ120の上端開口部からパイプ保持キャップ内に挿入する。これは、インコア130のホルダ係合用突出部135のテーパ部がパイプ保持キャップ内の抜け止めスペーサ160の縮径されたテーパ部に突き当たるまで行う。
【0045】
パイプ保持キャップ120にパイプ190を挿入する際に、インコア先端の2つのO−リング141,142は、パイプ抜け止めリング170の上側端部に形成されたテーパ部によって捲れ上がるのが防止される。また、パイプ抜け止めリング170のC型リング172は、パイプ190を挿入するに伴って拡径し、パイプ挿入時の支障とはならない。しかしながら、一旦パイプ190を挿入すると、C型リング172の内径部が樹脂でできたパイプ190の外周部に食い込んでパイプ190の抜けを確実に防止する。
【0046】
このようにしてインコア130の嵌入されたパイプ190をパイプ保持キャップ120に挿入することによって、インコア130とヘッダー本体110の分岐管路112との間はインコア130に備わった2つのO−リング141,142によって二重シールされる。また、インコア130とパイプ190との間はインコア130に備わった2つのO−リング143,144によって二重シールされる。これによって簡単な構成でパイプ190及びヘッダー本体110の外部に対する止水を達成することができる。
【0047】
なお、一旦ヘッダー本体110にパイプ190を接続した後に何らかの事情でパイプ190をヘッダー本体110から外したり別の分岐管に繋ぎ変えたりする場合は、リングカバー125を指で外すと共に保持キャップ120を指で摘んで螺合を解除し、保持キャップ120とインコア130及びパイプ190をヘッダー本体110から外せば良い。すなわち、パイプ190をヘッダー本体110に接続する際に従来のようにヘッダー本体と継手との間にテーパネジ部にシールテープを巻く必要がないため、簡単な手作業でパイプをヘッダー本体から外すことが可能となる。
【0048】
また、図3及び図4から特に明らかなように、本実施形態にかかるヘッダー1は、従来構造のヘッダーに比べてその構成が簡略化しているので、ヘッダー全体の高さや幅を小型化することができる(従来の継手の備わったヘッダーの断面図(図6(a))と本実施形態にかかるヘッダー1の断面図(図6(b))を比較参照)。そのため、台所などの水廻りの空間での限られたスペースの適所にヘッダーを配置することができるようになり、配管の余分な取りまわしを必要としなくなる。
【0049】
続いて、上述の実施形態の変形例について説明する。上述の実施形態の変形例にかかるヘッダー2は、ヘッダー本体210に図7乃至図9に示す特別な管継手220を接続した構成を有している。この管継手220は、図8及び図9に示すように、インコア230と外キャップ221からなる継手本体と、継手本体に収容された透明円筒体240及び表示用円筒体250と、透明円筒体240と外キャップ221とで保持された抜け止めリング261及びスペーサ262と、透明円筒体240及び表示用円筒体250によって保持された捩りバネ263と、表示用円筒体250とインコア230との間に介装されたシール捲れ防止リング264を備えている。そして、捩りバネ263の弾性復元力を利用して表示用円筒体250を第1の回転位置から第2の回転位置に確実に移動させ、表示用円筒体250が第2の回転位置に移動したことによるパイプ挿入完了を管継手外部から確認可能とすることで、管継手内へのパイプ290の挿入確認を可能としている。
【0050】
なお、インコア230には、ヘッダー本体210の分岐管路とインコア間を二重シールするO−リング231,232と、パイプ290とインコア間を二重シールするO−リング233,234が備わっている。
【0051】
ここで、図8は、パイプ290を管継手220に挿入し始めた状態を示した断面図であり、図9は、図8に示したパイプ290を更に管継手220の奥に挿入した状態を示した断面図である。
【0052】
このような管継手220をヘッダー本体210に接続してヘッダー2を組付ける場合であっても、ヘッダー本体210の分岐管路212からパイプ290への連通流路を内部に形成したインコア230を介してヘッダー本体210とパイプ290と接続する構成となっており、ヘッダー本体210とインコア230との間にO−リング231,232による二重シール部を形成すると共に、インコア230とパイプ290の内周との間にもO−リング233,234による二重シール部を形成することによって、余分な水の分岐流路を形成する必要がなくなり、従来例のヘッダーと継手との組み合わせにおけるテーパネジ部にシールテープを巻くような余分な作業を必要としなくなる。そのため、上述した実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
【0053】
以上説明したように、本発明にかかるヘッダーによると、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアからなる一部材しか介在させていないので、余分な部品を必要とせず、従来例のヘッダー本体に取り付ける継手のように高さが高くならない。すなわち、構造が簡単となって全体寸法も小さくでき、コストを下げることが可能となる。また、従来例のように継手をヘッダー本体に取り付ける際のシールテープを必要とせず簡単な構造でヘッダーの外部に対する止水を達成する。
【0054】
また、ヘッダー本体とパイプとの間にインコアの一部材しか介在させておらずかつインコアが一体構造であるので、ヘッダーとパイプ間で水が余分に分岐する心配がなく、漏水のリスクも低下させることができる。
【0055】
また、従来は継手をヘッダーに締め付けるにあたってトルク管理が必要であったため、継手間の作業空間を確保するためにパイプ同士の間隔が大きくなっていたが、本発明にかかるヘッダーはパイプ保持キャップを指で締め付けることができるので、パイプ同士の間隔を小さくできる。これによって、ヘッダーの高さや設置幅に関して省スペースを図ることができる。これに加えて、トルク管理に伴う無駄な作業も必要なくなる。
【0056】
また、ヘッダー自体が大型化する従来の構造では水廻りの設置空間の取り合わせでヘッダーの配置空間が確保できない場合があり、ヘッダーを水廻りの最適な位置から離れた位置に配置しなければならなかったが、本発明にかかるヘッダーの場合、小型化が図られているので、このような心配がいらない。
【0057】
なお、上述の実施形態で記載した材質はあくまで例示的に示したもので、本発明の作用を発揮する材質であればどのようなものを使用しても構わない。
【0058】
また、以上説明したように、図10及び図11に示す従来型のヘッダー5は、ヘッダー本体510と継手520を有し、パイプ590に挿入したインコア530をパイプ590の端部ごと継手520に収容する構造になっている。また、継手520は、異型筒型の継手本体521と、継手本体内に収容された内装部材である止水用のO−リング522、内部にパイプ590を把持してパイプ590の抜けを防止するグリップリング523、O−リング522のシール面を保持するスペーサ524、及びグリップリング523でパイプ590を把持させるためにグリップリング523を縮径させるサポートカラー525と、継手本体521から各内装部材が脱抜しないようにカバーするエンドキャップ526を備えている。
【0059】
このようにヘッダー5を構成する部品点数が多いため、ヘッダー本体510に接続される継手520の高さ方向及び幅方向がどうしても大きくなってしまい、ヘッダー自体の大型化を招いてしまう。
【0060】
しかしながら、図1に示す本発明におけるヘッダー1は、流路を分岐するヘッダー本体110と、ヘッダー本体110に接続されるパイプ190と、一端がパイプ190に接続されると共に他端がヘッダー本体110に接続され、ヘッダー本体110とパイプ190との間を液密状態に保つインコア130と、インコア130をヘッダー本体110に保持すると共に、ヘッダー本体110からパイプ190が抜けるのを防止するパイプ保持キャップ120とを備え、パイプ保持キャップ120は、その内部に抜け止めスペーサ160と、抜け止めスペーサ160とパイプ保持キャップ120の上端縮径部との間に介装された抜け止めリング170を備えているに過ぎない。
【0061】
このようにヘッダー1を構成する部品点数が少なくなるので、ヘッダー本体110に接続されるパイプ保持キャップ120の高さ方向及び幅方向を小さくすることができ、ヘッダー自体を従来のヘッダーに較べて小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態にかかるヘッダーを当該ヘッダーに接続されるパイプと共にこれらの長手方向中心軸線に沿って示す断面図である。
【図2】図1に示したヘッダーの分解斜視図である。
【図3】図1に示したヘッダーを組付けると共にパイプを接続する工程をパイプ保持キャップを除いて示す斜視図である。
【図4】図3に示したヘッダーの組付け及びパイプの接続工程に続くヘッダーの組付け及びパイプの接続工程を示す斜視図である。
【図5】図4に示したヘッダーの組付け工程に続くヘッダーの組付け及びパイプの接続完了状態を示す斜視図である。
【図6】従来の継手の備わったヘッダーの図1に対応する断面図(図6(a))及び本発明のヘッダーの図1に対応する断面図(図6(b))である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるヘッダーの変形例を示す図5に対応する斜視図である。
【図8】図7に示したヘッダーの変形例の図1に対応する断面図であり、パイプを管継手に挿入し始めた状態を示している。
【図9】図8に示したパイプを更に管継手の奥に挿入した状態を示した断面図である。
【図10】従来の継手の備わったヘッダーを示す図1に対応する断面図である。
【図11】図9に示した従来の継手の備わったヘッダーの一方の継手を分解して示す斜視図である。
【図12】図9及び図10とは異なるアダプタを備えた従来のヘッダーを部分的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1,2,5,6 ヘッダー
110 ヘッダー本体
110a 平面部
111 共通管路
111a 雌ねじ部
112 分岐管路
112a ネジ部
113 分岐管開口部
113a 雄ネジ
120 パイプ保持キャップ
121 係合溝
125 カバーリング
130 インコア
131,132,133,134 O−リング嵌合溝
135 ホルダ係合用突出部
141,142,143,144 O−リング
160 抜け止めスペーサ
170 抜け止めリング
171 リング支持部
172 C型リング
190 パイプ
210 ヘッダー本体
212 分岐管路
220 管継手
221 外キャップ
230 インコア
231,232,233,234 O−リング
240 透明円筒体
250 表示用円筒体
261 抜け止めリング
262 スペーサ
263 捩りバネ
264 シール捲れ防止リング
290 パイプ
510 ヘッダー本体
510a,520a テーパネジ部
520 継手
521 継手本体
522 O−リング
523 グリップリング
524 スペーサ
525 サポートカラー
526 エンドキャップ
530 インコア
531,532 O−リング
590 パイプ
611 ヘッダー分岐管
615 フランジ
620 アダプタ
625 フランジ
626 パイプ挿入部
631,632 O−リング
640 クリップ
641 開放端部
645 フランジ係合孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの配管を複数のパイプに分岐すると共に外部に対する止水を図るヘッダーにおいて、
流路を分岐するヘッダー本体と、
一端がパイプに接続されると共に他端が前記ヘッダー本体に接続され、内部に流路が貫通形成されると共に前記ヘッダーとパイプとの接続部にそれぞれシール部を有し、前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、
前記インコアを前記ヘッダー本体に着脱自在に保持すると共に、前記ヘッダー本体から前記パイプが抜けるのを防止する抜け止め部材を有するパイプ保持キャップとを備えたことを特徴とするヘッダー。
【請求項2】
前記インコアのシール部はそれぞれO−リングを介した二重シール部からなり、
前記抜け止め部材は、円筒状をなし一端部が前記パイプの外径よりも僅かに大きい程度まで縮径すると共に他端部にはヘッダー本体と着脱自在に螺合するネジ部が形成されたパイプ保持キャップと、パイプ保持キャップの内部に収容された抜け止めスペーサ及び当該抜け止めスペーサとパイプ保持キャップの一端側縮径部との間に介装された抜け止めリングを備え、
前記抜け止めスペーサは円筒状なし、一端部が若干拡径し、パイプ保持キャップの内周壁に形成された係合溝に当該一端部が係合してパイプ保持キャップ内に固定収容され、
前記抜け止めリングは、C字状のリング支持部と、当該リング支持部と一体形成され、C字型をなしかつ断面視で前記ヘッダー本体内部に向かって縮径し、一旦挿入されたパイプに食い付きパイプ保持キャップからのパイプの抜けを防止するC型リングを備えたことを特徴とする、請求項1に記載のヘッダー。
【請求項3】
内部にヘッダー本体とパイプとを連通する流路を備えたインコアを介してヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成するヘッダーの止水方法であって、
パイプと当該パイプに嵌合されるインコア間のシールを図ると共に、ヘッダー本体と当該ヘッダー本体に嵌合されるインコア間のシールを図ることによってヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴とするヘッダーの止水方法。
【請求項4】
ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合されると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法であって、
前記パイプとの間のシール部を有したインコアを当該パイプに嵌合して当該パイプとインコア間のシールを図り、
次いで、前記インコアの嵌合されたパイプを前記ヘッダー本体に挿入して当該インコア及びヘッダー本体の外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴とするヘッダーの止水方法。
【請求項5】
ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合されると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され、内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法において、
前記ヘッダー本体との間のシール部を有したインコアを前記ヘッダー本体に挿入して当該ヘッダー本体とインコアのシールを図り、
次いで、前記ヘッダー本体に挿入されたインコアに前記パイプを嵌合して当該インコアとパイプの外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴とするヘッダーの止水方法。
【請求項1】
一つの配管を複数のパイプに分岐すると共に外部に対する止水を図るヘッダーにおいて、
流路を分岐するヘッダー本体と、
一端がパイプに接続されると共に他端が前記ヘッダー本体に接続され、内部に流路が貫通形成されると共に前記ヘッダーとパイプとの接続部にそれぞれシール部を有し、前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、
前記インコアを前記ヘッダー本体に着脱自在に保持すると共に、前記ヘッダー本体から前記パイプが抜けるのを防止する抜け止め部材を有するパイプ保持キャップとを備えたことを特徴とするヘッダー。
【請求項2】
前記インコアのシール部はそれぞれO−リングを介した二重シール部からなり、
前記抜け止め部材は、円筒状をなし一端部が前記パイプの外径よりも僅かに大きい程度まで縮径すると共に他端部にはヘッダー本体と着脱自在に螺合するネジ部が形成されたパイプ保持キャップと、パイプ保持キャップの内部に収容された抜け止めスペーサ及び当該抜け止めスペーサとパイプ保持キャップの一端側縮径部との間に介装された抜け止めリングを備え、
前記抜け止めスペーサは円筒状なし、一端部が若干拡径し、パイプ保持キャップの内周壁に形成された係合溝に当該一端部が係合してパイプ保持キャップ内に固定収容され、
前記抜け止めリングは、C字状のリング支持部と、当該リング支持部と一体形成され、C字型をなしかつ断面視で前記ヘッダー本体内部に向かって縮径し、一旦挿入されたパイプに食い付きパイプ保持キャップからのパイプの抜けを防止するC型リングを備えたことを特徴とする、請求項1に記載のヘッダー。
【請求項3】
内部にヘッダー本体とパイプとを連通する流路を備えたインコアを介してヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成するヘッダーの止水方法であって、
パイプと当該パイプに嵌合されるインコア間のシールを図ると共に、ヘッダー本体と当該ヘッダー本体に嵌合されるインコア間のシールを図ることによってヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴とするヘッダーの止水方法。
【請求項4】
ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合されると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法であって、
前記パイプとの間のシール部を有したインコアを当該パイプに嵌合して当該パイプとインコア間のシールを図り、
次いで、前記インコアの嵌合されたパイプを前記ヘッダー本体に挿入して当該インコア及びヘッダー本体の外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴とするヘッダーの止水方法。
【請求項5】
ヘッダー本体と、前記ヘッダー本体に接続されるパイプと、一端が前記パイプに嵌合されると共に他端が前記ヘッダー本体に挿入され、内部に流路が貫通形成され、かつ前記ヘッダー本体及びパイプを外部に対して液密状態に保つインコアと、を備えたヘッダーの止水方法において、
前記ヘッダー本体との間のシール部を有したインコアを前記ヘッダー本体に挿入して当該ヘッダー本体とインコアのシールを図り、
次いで、前記ヘッダー本体に挿入されたインコアに前記パイプを嵌合して当該インコアとパイプの外部に対するシールを図ることで、前記ヘッダー本体及びパイプの外部に対する止水を達成することを特徴とするヘッダーの止水方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−170585(P2007−170585A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371255(P2005−371255)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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