説明

ヘッドライトユニットを車両に固定するための調節エレメント

【課題】 ヘッドライトユニットを車両に固定するための調節エレメントを改良して、ヘッドライトユニットのために3次元の調節を可能にする。
【解決手段】 ナットエレメントが、開口5に挿入可能であって調節可能である拡張ナット7により形成されていて、この拡張ナット7が、偏心的に形成された受容溝を有しており、前記開口5が、押込み方向A及びこの方向に対して直交する方向で、受容溝の内径より大きな寸法を有しており、位置決めされた拡張ナット7へねじエレメント4をねじ込むことによって、拡張ナット7が支持薄板6に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッドライトユニットを車両に固定するための調節エレメントであって、この調節エレメントが、ナットエレメントとねじエレメントとを有していいて、ねじエレメントがナットエレメントにねじ込まれており、ボディ側の支持薄板に開口が形成されている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】フランス特許公開2606341号明細書により、ヘッドライトユニットを車両に固定するための、ナットエレメントとねじエレメントとから組み合わされた調節エレメントが公知である。ねじエレメントは、その一方の端部領域でヘッドライトユニットに結合されているのに対し、ねじエレメントのもう一方の端部領域は、ボディ側の支持薄板の円形開口を貫通して案内されていて、突き出たねじ山領域にナットエレメントがねじ込まれている。この種の差込みエレメントでは、一方向、つまり長手方向の調節しか可能でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、ヘッドライトユニットを車両に固定するための調節エレメントを改良して、ヘッドライトユニットのために3次元の調節を可能にすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本発明による構成では、ナットエレメントが、開口に挿入可能であって調節可能である拡張ナットにより形成されていて、この拡張ナットが、偏心的に形成された受容溝を有しており、前記開口が、押し込み方向及びこの方向に対して直交する方向で、受容溝の内径より大きな寸法を有しており、ねじエレメントを位置決めされた拡張ナットへねじ込むことによって、拡張ナットが支持薄板に固定されている。
【0005】
【発明の効果】本発明による調節エレメントの本質的な特徴は、偏心的に形成された受容溝が拡張ナットに設けられ、かつ開口が形成されていることによって、ヘッドライトユニットのための3次元的な調節を可能にする差込みエレメントが得られることである。締付け機能と偏心的に形成された受容溝とを備えた拡張ナットは、簡単にボディ側の支持薄板の開口に挿入することができ、固定装置を用いて位置決めすることができる。過剰寸法穴により、平面(この場合Y−Z)での自由な調節を可能にすることが保証される。ヘッドライトユニットに結合しているねじエレメントをねじ込むことにより、拡張ナットが支持薄板に固く緊締される。つまり、調節エレメントは、Y−Z平面で固定される。第3の調節、すなわち通常の、緊締面に対する調節は、ねじエレメントのねじ込み深さ調節によって行われる。ねじ込みの際、拡張ナットとねじエレメントとの間に生ぜしめられる摩擦モーメントによって、拡張ナットの偏心的な受容溝は、過剰寸法穴の下縁部に当接する。これにより、付加的に締付け結合のために、Z方向での支持が得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0007】ヘッドライトユニット2を車両に固定するための調節エレメント1は、ナットエレメント3とねじエレメント4とを有している。このナットエレメント3は、ボディ側の支持薄板6の開口5に挿入可能であり調節可能である拡張ナット7によって形成される。拡張ナット7には、偏心的に形成された受容溝8が設けられており、この受容溝8は、上方のカラー区分9と下方のリップ区分10とから成っている。
【0008】カラー区分9及びリップ区分10は、支持薄板6に、それぞれ互いに反対の側で接触している。拡張ナット7は、ねじエレメント4のねじ部分12を受容するための中央の受容部11を有している。受容溝8が偏心的に形成されているので、受容部11及び受容溝8の底部との間に延びるウェブ13の壁厚は一様でない。
【0009】支持薄板6に設けられた開口5は、片側が開放された縦長のスリット開口によって形成されて、このスリット開口は、拡張ナット7のための挿入領域で拡開部14を有している。開口5は、差し込み方向A及びこの方向に対して直交する方向で、受容溝8の内径よりも大きな寸法を有している(過剰寸法穴)ので、拡張ナット7の回転によって、拡張ナット7と開口5との間の調節が可能となる。
【0010】ねじエレメント4は、拡張ナット7にねじ込み可能であって外周ねじ山15を備えたねじ部分12を有しており、このねじ部分12と反対の側で、ヘッドライトユニット2の球エレメント17のための受容部16を有している。拡張ナット7へねじエレメント4をねじ込むと、拡張ナット7は拡張して、支持薄板6に締付け固定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヘッドライトユニットを固定するための調節エレメントの斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った断面図である。
【図3】図2に対応する、調節エレメントの締付け状態が示された図である。
【図4】図3の矢印方向Rで見た図である。
【符号の説明】
1 調節エレメント、 2 ヘッドライトユニット、 3 ナットエレメント、 4 ねじエレメント、 5 開口、 6 支持薄板、 7 拡張ナット、8 受容溝、 9 カラー区分、 10 リップ区分、 11 受容部、 12ねじ部分、 13 ウェブ、 14 拡開部、 15 外周ねじ山、 16球エレメントのための受容部、 17 球エレメント、 A ねじ込み方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヘッドライトユニットを車両に固定するための調節エレメントであって、該調節エレメントが、ナットエレメントとねじエレメントとを有していいて、ねじエレメントがナットエレメントにねじ込まれており、ボディ側の支持薄板に開口が形成されている形式のものにおいて、ナットエレメント(3)が、開口(5)に挿入可能であって調節可能である拡張ナット(7)により形成されていて、この拡張ナット(7)が、偏心的に形成された受容溝(8)を有しており、前記開口(5)が、押込み方向(A)及びこの方向に対して直交する方向で、受容溝(8)の内径より大きな寸法を有しており、位置決めされた拡張ナット(7)へねじエレメント(4)をねじ込むことによって、拡張ナット(7)が支持薄板(6)に固定されることを特徴とする、ヘッドライトユニットを車両に固定するための調節エレメント。
【請求項2】 支持薄板(6)に設けられた開口(5)が、片側が開放されていて縦長の、挿入領域で拡開部(14)を有するスリット開口により形成されている、請求項1記載の調節エレメント。
【請求項3】 受容溝(8)が、上方のカラー区分(9)及び下方のリップ区分(10)によって制限されており、これらのカラー区分(9)及びリップ区分(10)が、支持薄板(6)の互いに反対側に接触している、請求項1記載の調節エレメント。
【請求項4】 偏心的な受容溝(8)を備えているために、拡張ナット(7)をねじ込むことによって2つの面での調節が可能となる、請求項1から3までのいずれか1項記載の調節エレメント。
【請求項5】 第3の面での調節が、ねじエレメント(4)の、拡張ナット(7)への異なるねじ込み深さによって可能となる、請求項1から4までのいずれか1項記載の調節エレメント。
【請求項6】 ねじエレメント(4)が、拡張ナット(7)にねじ込み可能なねじ部分(12)を有しており、さらに該ねじ部分(12)とは反対側に、ヘッドライトユニット(2)の球エレメント(17)のための受容部(16)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の調節エレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−240620(P2002−240620A)
【公開日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−386033(P2001−386033)
【出願日】平成13年12月19日(2001.12.19)
【出願人】(390009335)ドクトル インジエニエール ハー ツエー エフ ポルシエ アクチエンゲゼルシヤフト (123)
【氏名又は名称原語表記】Dr.Ing.h.c.F.Porsche Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】