説明

ヘッドレスト成形用金型

【課題】本発明は、ヘッドレストの成形作業を容易にし、ヘッドレストの側部が確実に成形されるようにしたヘッドレスト成形用金型を提供する。
【解決手段】本発明に係る金型10は、下型12に対して出し入れ自在なベース板21と、ベース板21に固定されると共に、ヘッドレスト1の側部8の凹部6に対して嵌合と離隔とを行うように水平方向に移動自在であって、第1のバネ28によって嵌合方向に付勢された第1のスライド駒24と、第1のスライド駒24の外周面に対して摺動すると共に、ヘッドレスト1の側面7に対して当接と離隔とを行うように水平方向に移動自在であって、第2のバネ33によって当接方向に付勢された第2のスライド駒25と、備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側部に凹部が設けられたヘッドレストを成形するための金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2003−25348号公報がある。この公報に記載されたヘッドレストは、ヘッドレスト本体の両側部に凹部を有し、ヘッドレスト本体の表皮は縫製により袋状に形成されている。また、合成樹脂からなるクリップの一端が、表皮の凹部予定部内に突出するように逢着によって固定され、クリップの他端は、凹部予定部内に装着されるインサートブロックに係止されている。ヘッドレストを製造するにあたって、先ず、表皮の側部の凹部予定部内にインサートブロックを取り付ける。このインサートブロックの内側の形状は、ヘッドレスト本体の両側部の凹部に対応する形状になっている。インサートブロックの外側にはフランジが形成され、このフランジに形成されているスリット内にクリップの中間部を嵌合させ、クリップの他端をフランジに係止させる。
このような状態で、発泡成形金型に表皮をセットし、表皮内に発泡液を注入して、発泡液硬化後に金型から一体発泡成形品を取り出す。そして、ヘッドレストの側部の凹部内に入っているインサートブロックを外すために、インサートブロックに対してクリップの端部の係止を解除し、その後、凹部内にクリップが残らないようにするために、クリップの中間部をカットして、ヘッドレストの凹部の成形が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−25348号公報
【特許文献2】特開2004−243640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の金型でヘッドレストを成形すると、クリップの切断や除去作業を必要とし、ヘッドレストの成形が煩雑になる。しかも、表皮の凹部内にインサートブロックを装着した状態で金型内に表皮をセットするとき、作業者の勘に頼って、表皮の側部を金型内に押し込むと、成形完了後、ヘッドレストの凹部の周縁が蛇行したり、皺になったりし易くなるといった不具合があった。
【0005】
本発明は、ヘッドレストの成形作業を容易にし、ヘッドレストの側部が確実に成形されるようにしたヘッドレスト成形用金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表皮の側部が凹部とこの凹部を包囲する側面とからなるヘッドレストを一体発泡成形するための下型と上型とを備えた金型において、
前記下型に対して出し入れ自在なベース板と、
前記ベース板に固定されると共に、前記ヘッドレストの前記凹部に対して嵌合と離隔とを行うように水平方向に移動自在であって、第1のバネによって嵌合方向に付勢された第1のスライド駒と、
前記第1のスライド駒の外周面に対して摺動すると共に、前記ヘッドレストの前記側面に対して当接と離隔とを行うように水平方向に移動自在であって、第2のバネによって当接方向に付勢された第2のスライド駒と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る金型にヘッドレストの表皮をセットするにあたって、下型からベース板を出して第1及び第2のスライド駒を露出させる。その後、第2のスライド駒を、第2のバネの付勢力に抗して外側に移動させた状態でヘッドレストの表皮の位置合わせを行う。このとき、凹部内に第1のスライド駒が嵌り込んだ状態で、ヘッドレストの表皮と第2のスライド駒とが離隔しているので、表皮の位置合わせを容易に行うことができる。そして、位置合わせ完了後に、第2のバネの付勢力によって表皮の側面に第2のスライド駒が当接する。その後、第1のスライド駒を、第1のバネの付勢力に抗して外側に移動させた状態で表皮の凹部の位置調整を行う。このとき、ヘッドレストの側面に第2のスライド駒が当接した状態で、ヘッドレストの表皮と第1のスライド駒とが離隔しているので、凹部の奥側の位置調整を容易に行うことができる。そして、位置調整完了後に、第1のバネの付勢力によって表皮の凹部に第1のスライド駒が嵌り込む。このように、第1及び第2のスライド駒は、それぞれ独立して移動し、第1及び第2のスライド駒を水平方向に移動させるだけで、ヘッドレストの表皮における側部のセッティングを行うことができるので、ヘッドレストのセッティング作業が容易になり、その結果として、ヘッドレストの成形作業が容易になる。しかも、表皮の側部のセッティングを行う際に、第1のスライド駒の移動と第2のスライダ駒の移動とによる2段階のセッティング作業がなされるので、表皮の側部のセッティングを確実に行うことができ、特に、凹部の周縁が蛇行したり、皺になったりするようなセッティングを無くすことができる。その結果として、ヘッドレストの側部が確実に成形されることになる。
さらに、エアーシリンダを利用した金型に比べ、バネを利用することで、金型の簡素化及び小型化することができる。
【0008】
また、前記第2のスライド駒から水平方向に突出して前記ベース板を貫通し、先端が前記下型の外枠に当接可能な位置決めピンを更に備え、前記第2のスライド駒と前記ベース板との間に前記第2のバネが配置されていると好適である。
このような構成を採用すると、金型内に第2のスライド駒をセットすると、位置決めピンの先端が下型の外枠に自動的に当接するので、第2のスライド駒の水平方向の移動を自動的に規制することができる。これにより、金型内に配置された表皮内に充填される発泡液の圧力で第2のスライド駒が外側に広がることを防止することができる。
このロック機構は、特殊なロック機構を利用した従来の金型に比べて、金型の簡素化及び小型化に寄与している。
【0009】
また、前記ベース板は、前記下型の前側で、前記下型と前記上型とを後側で連結する第1の回動部の第1の回動軸線に対して平行に延在する第2の回動軸線を有する第2の回動部によって連結され、前記下型には、前記ベース板の差し込み自在な位置決め溝が、前記第1の回動部に対して直交する方向に延在すると好適である。
このような構成を採用すると、第2の回動部を中心にベース板を回動させることで、ベース板を位置決め溝内に差し込まれ、この状態で、第1のスライド駒の水平方向の移動を自動的に規制することができる。これにより、金型内に配置された表皮内に充填される発泡液の圧力で第1のスライド駒が外側に広がることを防止することができる。
このロック機構は、特殊なロック機構を利用した従来の金型に比べて、金型の簡素化及び小型化に寄与している。
【0010】
また、前記第1のスライド駒には、前記ベース板を貫通する操作ピンが設けられていると好適である。
このような構成を採用すると、操作ピンを引くことで、第1のスライド駒を容易に外側に移動させることができる。この操作ピンによって、作業性の向上を図ることができる。
【0011】
また、前記ベース板には、前記下型に対して前記ベース板を出し入れ自在にする取っ手部が設けられていると好適である。
作業者が取っ手部を握ることができるので、下型からベース板を容易に取り出したり、下型にベース板を入れたりすることができる。この取っ手部によって、作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヘッドレストの成形作業を容易にし、ヘッドレストの側部を確実に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るヘッドレスト成形用金型によって成形されたヘッドレストを示す斜視図である。
【図2】本発明に係るヘッドレスト成形用金型の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2に示された金型の要部拡大断面図である。
【図4】第2のスライド駒を外側に移動させた状態を示す断面図である。
【図5】第1のスライド駒を外側に移動させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るヘッドレスト成形用金型の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、ヘッドレスト1は、一体発泡成形品であり、袋状の表皮2と、表皮2内のヘッドレストフレームに固定されたヘッドレストステー3と、表皮2内に注入された発泡液が硬化してなるパッド体4とからなる。そして、ヘッドレスト1の本体部5の両側部8には、美観品質向上のために、中央に配置された凹部6と、この凹部6を包囲する側面7とが設けられている。
【0016】
図2に示すように、発泡成形金型10は、後側で第1のヒンジ部11によって開閉自在に連結された下型12と上型13とを備え、下型12には、下型キャビティー部12aを中央に有する下型本体部12Aと、下型キャビティー部12aの包囲する箱状の外枠12Bと、下側外枠12Bの前側に設けられたブロック状の保持部12C(図3参照)とで構成されている。
【0017】
同様に、上型13には、上型キャビティー部13aを中央に有する上型本体部13Aと、上型キャビティー部13aの包囲する箱状の上側外枠13Bとで構成されている。そして、ヒンジ部11を介して上型13を回動させることで、金型10のキャビティー15を形成するために、下型本体部12Aに対して上型本体部13Aが重ね合わされ、金型10の外枠16を形成するために、下側外枠12Bに対して上側外枠13Bが重ね合わされる。
【0018】
さらに、図2及び図3に示すように、保持部12Cには、セッティング装置20が回動自在に取り付けられ、このセッティング装置20には、下型12に対して出し入れ自在な左右一対のベース板21が設けられている。左右のベース板21は、互いに平行をなすと共に、第1のヒンジ部(第1の回動部)11の第1の回動軸線L1に対して平行に延在する第2の回動軸線L2を有する第2のヒンジ部(第2の回動部)22を介して保持部12Cに連結されている。この第2のヒンジ部22は、保持部12Cの回動軸12dに取り付けられている。
【0019】
そして、第2のヒンジ部22を中心に回動させた各ベース板21の縁部は、下型本体部12Aの下型キャビティー部12aの両側に設けられた駒受け部12bに形成された位置決め溝23にそれぞれ差し込まれる。この位置決め溝23は、第1の回動軸線L1に対して直交する方向に延在する。
【0020】
なお、図示しないが、上型13にも、位置決め溝が設けられ、上型13の位置決め溝23と下型12の位置決め溝は、型締め時に対向する。これによって、ベース板21を金型10内で確実に保持させることができる。
【0021】
このような左右一対のベース板21には、独立して水平方向に移動自在な第1のスライド駒24と第2のスライド駒25とがそれぞれ取り付けられている。第1のスライド駒24は、ベース板21にスペーサ27を介して固定され、第1のスライド駒24には、表皮2の凹部6内に嵌り込む成形部24aが形成されている。
【0022】
さらに、第1のスライド駒24が固定されたベース板21の第2のヒンジ部22は、保持部12Cに設けられて水平方向に延びる回動軸12dに対してスライド自在をなしている。このような構成を採用することで、第1のスライド駒24の成形部24aは、ベース板21に追従して、水平方向に移動自在をなし、凹部6に対して嵌合と離隔とを行うことができる。
【0023】
また、第2のヒンジ部22の第2の回動軸線L2を中心にベース板21を回動させて、ベース板21が位置決め溝23内に差し込まれることで、第1のスライド駒24の水平方向の移動が自動的に規制される。これにより、金型10内に配置された表皮2内に充填される発泡液の圧力で第1のスライド駒24が外側に広がることを防止することができる。
このロック機構は、特殊なロック機構を利用した従来の金型に比べて、金型10の簡素化及び小型化に寄与している。
【0024】
さらに、回動軸12dの端部には、バネ受け座部12eが固定され、ベース板21とバネ受け座部12eとの間には、第1のスライド駒24を嵌合方向に付勢させるための圧縮コイルバネをなす第1のバネ28が装着されている。従って、作業者がベース板21を外側に移動させることで、第1のバネ28が圧縮され、作業者が手を離すことで、ベース板21を、第1のバネ28の付勢力によって自動的に復帰させることができる。
さらに、第1のバネ28を利用することで、エアーシリンダを利用した従来の金型に比べて、金型10の簡素化及び小型化を可能にしている。
【0025】
また、第1のスライド駒24には、ベース板21を貫通する操作ピン29の一端が固定され、操作ピン29の他端には、操作ハンドル30が固定されている。従って、作業者が、操作ハンドル30を握って操作ピン29を引くことで、第1のスライド駒24を容易に外側に移動させることができる。この操作ピン29によって、作業性の向上を図ることができる。
【0026】
さらに、ベース板21には、第1のスライド駒24の外周面24bに対して摺動する第2のスライド駒25が取り付けられている。この第2のスライド駒25には、ガイドピンとして機能する位置決めピン31の一端が固定され、位置決めピン31は、水平方向にベース板21を貫通すると共に、ベース板21に設けられたガイド筒32によって支持されている。
【0027】
従って、第2のスライド駒25は、位置決めピン31によって水平方向に確実に案内される。このような構成を採用することで、第2のスライド駒25の成形部25aは、ベース板21から独立して、水平方向に移動自在をなし、ヘッドレスト1の表皮2の側面7に対して当接と離隔とを行うことができる。
【0028】
そして、第2のスライド駒25とベース板21との間には、位置決めピン31を巻回するように、第2のスライド駒25を当接方向に付勢させるための圧縮コイルバネをなす第2のバネ33が装着されている。従って、作業者が第2のスライド駒25を外側に移動させることで、第2のバネ33が圧縮され、作業者が手を離すことで、第2のスライド駒25を、第2のバネ33の付勢力によって自動的に復帰させることができる。
さらに、第2のバネ33を利用することで、エアーシリンダを利用した従来の金型に比べて、金型10の簡素化及び小型化に寄与している。
【0029】
また、位置決めピン31の先端は、ベース板21を位置決め溝23内に差し込んだとき、下型12の下側外枠12Bの内壁面12fに当接する。このような構成を採用すると、金型10内に第2のスライド駒25をセットすると、位置決めピン31の先端が下型12の下側外枠12Bの内壁面12fに自動的に当接するので、第2のスライド駒25の水平方向の移動を自動的に規制することができる。これにより、金型10内に配置された表皮2内に充填される発泡液の圧力で第2のスライド駒25が外側に広がることを防止することができる。
このロック機構は、特殊なロック機構を利用した従来の金型に比べて、金型10の簡素化及び小型化に寄与している。
【0030】
ベース板21には、下型12の位置決め溝23に対してベース板21の縁部を出し入れ容易にするためのL形の取っ手部34が設けられている。作業者がこの取っ手部34を握ることで、下型12からセッティング装置20を容易に取り出したり、下型12にセッティング装置20を容易に入れたりすることができる。この取っ手部34によって、作業性の向上を図ることができる。
【0031】
セッティング装置20において、左側の第1及び第2のスライド駒24,25と右側の第1及び第2のスライド駒24,25とは、ブロック状の載置台35の両端に配置されている。この載置台35の両端から水平方向に突出するガイドピン36は、ベース板21に対して摺動自在に係合し、ベース板21が側方への移動する際のガイドとして機能する。また、載置台35は、保持部12Cに設けられた回動軸12dに対して回動自在になるように取り付けられている。
【0032】
さらに、このような載置台35には、注入ノズル40(図1参照)を保持するためのノズル受け半部38が形成され、このノズル受け半部38の両側には、ヘッドレストステー3を保持するためのステー受け半部37が形成されている。また、図示しないが、上型13にも、同様のノズル受け半部及びステー受け半部が形成されている。
【0033】
次に、ヘッドレスト1の成形手順について説明する。
【0034】
先ず、型開きされた状態で、図示しないロック機構を解除して、第2の回動軸線L2を中心にセッティング装置20を90度回転させ、下型12からセッティング装置20を取り出して第1及び第2のスライド駒24,25を露出させる(図2参照)。
【0035】
その後、図4に示すように、作業者が操作ハンドル30を握って、第2のスライド駒25を、第2のバネ33の付勢力に抗して外側に移動させ、その状態でヘッドレスト1の表皮2の位置合わせを行う。このとき、凹部6内に第1のスライド駒24の成形部24aが嵌り込んだ状態で、ヘッドレスト1の表皮2と第2のスライド駒25の成形部25aとが離隔しているので、表皮2の位置合わせを容易に行うことができる。そして、位置合わせ完了後に、第2のバネ33の付勢力によって表皮2の側面7に第2のスライド駒25の成形部25aが当接する。
【0036】
その後、図5に示すように、第1のスライド駒24を、第1のバネ28の付勢力に抗して外側に移動させた状態で表皮2の凹部6の位置調整を行う。このとき、側面7に第2のスライド駒25の成形部25aが当接した状態で、ヘッドレスト1の表皮2と第1のスライド駒24の成形部24aとが離隔しているので、凹部6の奥側の位置調整を容易に行うことができる。そして、位置調整完了後に、第1のバネ28の付勢力によって表皮2の凹部6に第1のスライド駒24の成形部24aが嵌り込む。
【0037】
このように、第1及び第2のスライド駒24,25は、それぞれ独立して移動し、第1及び第2のスライド駒24,25を水平方向に移動させるだけで、ヘッドレスト1の表皮2における側部8のセッティングを行うことができるので、ヘッドレスト1のセッティング作業が容易になり、その結果として、ヘッドレスト1の成形作業が容易になる。
【0038】
しかも、表皮2の側部8のセッティングを行う際に、第1のスライド駒24の移動と第2のスライダ駒25の移動とによる2段階のセッティング作業がなされるので、表皮2の側部8のセッティングを確実に行うことができ、特に、凹部6の周縁が蛇行したり、皺になったりするようなセッティングを無くすことができる。その結果として、ヘッドレスト1の側部8が確実に成形されることになる。
【0039】
セッティング装置20にヘッドレスト1のヘッドレストステー3及び本体部5のセッティングが完了した後、第2の回動軸線L2を中心にセッティング装置20を90度回転させると、作業者の感に頼ることなく、下型12内にセッティング装置20を入れ込むことができる。その後、セッティング装置20をロックする。
【0040】
このとき、各ベース板21の縁部は、下型本体部12Aの位置決め溝23にそれぞれ差し込まれている。さらには、位置決めピン31の先端が、下型12の下側外枠12Bの内壁面12fに当接している。これらによって、金型10内に配置された表皮2内に充填される発泡液の圧力で第1及び第2のスライド駒24,25が外側に広がることを防止している。
【0041】
また、注入ノズル40(図1参照)をノズル受け半部38に嵌め込む。このとき、表皮2のノズル差し込み口41内に注入ノズル40の先端が差し込まれる。この状態で、上型13を閉めて、図示しない型締め装置で下型12に対して上型13が開かないようにする。そして、注入ノズル40から発泡液を表皮2内に注入し、発泡液を金型10内で硬化させる。
【0042】
発泡液硬化後、セッティング装置20のロックを外し、作業者が取っ手部34を握って、第2の回動軸線L2を中心にセッティング装置20を90度回転させ、下型12からセッティング装置20を取り出す。
【0043】
このとき、セッティング装置20と一緒に、一体発泡成形品としてのヘッドレスト1が下型12から取り出されるので、第1及び第2のスライド駒24,25を同時に外側に移動させてヘッドレスト1を金型10から外す。これによって、一体発泡成形が完了する。
【符号の説明】
【0044】
1…ヘッドレスト、2…表皮、6…凹部、7…側面、8…側部、10…金型、11…第1の回動部、12…下型、12B…外枠、13…上型、21…ベース板、22…第2の回動部、23…位置決め溝、24…第1のスライド駒、25…第2のスライド駒、28…第1のバネ、29…操作ピン、31…位置決めピン、33…第2のバネ、34…取っ手部、L1…第1の回動軸線、L2…第2の回動軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮の側部が凹部とこの凹部を包囲する側面とからなるヘッドレストを一体発泡成形するための下型と上型とを備えた金型において、
前記下型に対して出し入れ自在なベース板と、
前記ベース板に固定されると共に、前記ヘッドレストの前記凹部に対して嵌合と離隔とを行うように水平方向に移動自在であって、第1のバネによって嵌合方向に付勢された第1のスライド駒と、
前記第1のスライド駒の外周面に対して摺動すると共に、前記ヘッドレストの前記側面に対して当接と離隔とを行うように水平方向に移動自在であって、第2のバネによって当接方向に付勢された第2のスライド駒と、
を備えたことを特徴とするヘッドレスト成形用金型。
【請求項2】
前記第2のスライド駒から水平方向に突出して前記ベース板を貫通し、先端が前記下型の外枠に当接可能な位置決めピンを更に備え、前記第2のスライド駒と前記ベース板との間に前記第2のバネが配置されていることを特徴とする請求項1記載のヘッドレスト成形用金型。
【請求項3】
前記ベース板は、前記下型の前側で、前記下型と前記上型とを後側で連結する第1の回動部の第1の回動軸線に対して平行に延在する第2の回動軸線を有する第2の回動部によって連結され、前記下型には、前記ベース板の差し込み自在な位置決め溝が、前記第1の回動部に対して直交する方向に延在することを特徴とする請求項1又は2記載のヘッドレスト成形用金型。
【請求項4】
前記第1のスライド駒には、前記ベース板を貫通する操作ピンが設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のヘッドレスト成形用金型。
【請求項5】
前記ベース板には、前記下型に対して前記ベース板を出し入れ自在にする取っ手部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のヘッドレスト成形用金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−228411(P2010−228411A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81044(P2009−81044)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】