説明

ヘミアスタリン(hemiasterlin)アナログを使用する癌治療におけるチューブリンのアイソタイプのスクリーニング

細胞において微小管の重合もしくは脱重合を妨げる化学療法剤は、細胞の複製の強力なインヒビターである。このような薬剤の例としては、ヘミアスタリンアナログが挙げられる。ヘミアスタリンのアナログに対する特定の癌の感受性が特定のチューブリンのアイソタイプの発現または他の微小管結合タンパク質(例えば、MAP−4およびスタスミン)の発現と相関することが、示されている。これらのような相関は、特定の化学療法剤を使用する処置に適した患者を同定するのに使用され得る。このようなシステムは、その癌に対する効果が最小限であるか、またはその効果がない細胞傷害性化合物による患者の処置を回避する。本発明はまた、異なる化合物および癌の型について、これらの相関を確立するシステムを提供する。そのシステムは、抗微小管薬剤と癌(例えば、肺癌、乳癌、および卵巣癌)との間の相関を確立するのに特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国特許法119条の下で、2004年12月9日出願の米国仮特許出願第60/634,756号(本明細書中に参考として援用される)に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの場合において、癌の処置は、その疾患に罹った患者に対する細胞傷害性化合物の全身投与を包含する。癌細胞は、患者において正常細胞より迅速に分裂し、これらの細胞傷害性化合物は、患者の正常細胞に対してより、癌細胞に対して大きい効果を発揮する。しかし、この現象は、これらの化合物が重篤で有害な副作用を有することを妨げない。これらの副作用は、体重減少、下痢、悪心、および毛髪の喪失から、貧血、二次的な癌、器官に対する毒性、および死でさえもあるような、より重篤な副作用までに及び得る得る。不運なことに、かなりの数の患者は、処置に応答しないか、または処置による実質的な利益を受けない;しかし、これらの患者は、上記副作用を被る。したがって、患者が処置に応答することを、最初の用量が投与される前に予測し得ることは、非常に有用である。しかし、多くの場合において、癌が処置に応答するか否かを、患者に薬物を実際に投与することなく決定することは、困難である。そして、多くの場合において、その処置は、癌がその処置に対して耐性であるか、または感受性ではないことが明確になる前に、数週間継続され得る。種々のシステムが、腫瘍を分類(例えば、病理学的分類、腫瘍マーカー)し、それによって薬物の効力を予測するために設計されている。しかし、癌が特定の化学療法剤に対して応答するか否かを十分に予測することに対する必要性が、存在し続ける。
【0003】
ゲノミクスおよびプロテオミクスの出現に伴って、臨床家が患者に対する癌治療を患者個人に合わせて行なって、癌に対する、より大きい効果、および最も少ない数の副作用を伴う最適化された治療を提供することを、癌細胞における遺伝子の発現の特徴付けが、可能にすることが一般的には望まれる。特定の場合において、遺伝子の発現は、その癌が特定の薬物または薬物のクラスに対して応答しないことを、示し得る。他の場合において、遺伝子の発現は、その癌が応答することを示し得る。患者の癌が処置に応答するか否かを予測し得ることは、医師が処置を要求に合わせて行なって、有害な副作用の危険性を最小にしつつ癌の首尾よい処置の見込みを最大にすることを、可能にする。
【0004】
微小管重合を妨げる化合物は、特定の癌の治療において有効でないことが示されている。例えば、パクリタキセル(タキソール(Taxol))は、クラスII β−チューブリンを発現する細胞の処置において有効でないことが見出されている(非特許文献1;本明細書中に参考として援用される)。微小管重合を妨げることが公知である薬剤に対してその癌が感受性である患者を選択するシステムに対する必要性が、存在し続ける。このような診断システムは、上記薬剤に対してその癌が感受性である患者のみがこれらの細胞傷害性薬剤によって処置されることを、可能にする。
【非特許文献1】Haberら、J.Biol.Chem.、1995年、第270巻、第52号、p.31269−31275
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、癌患者が特定の化合物による処置に対して応答するか否かを予測するための、システム(例えば、方法、装置、材料、ポリヌクレオチド、試薬、ソフトウェア、キットなどが挙げられる)を提供する。上記患者の癌細胞におけるチューブリンのアイソタイプの発現または他の微小管結合生体分子の発現を評価(assess)することによって、その癌が特定の化合物に応答するか否かを評価(evaluate)し得る。この様式において、本発明は、癌(例えば、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌など)を有する患者を選択および/または処置するために使用され得る。本発明の方法は、特に、上記患者が、微小管の重合(assembly)もしくは脱重合(disassembly)を妨げるか、微小管を結合するか、またはチューブリンを結合する有機化合物に、応答するか否かを予測するのに有用である。
【0006】
特定の実施形態において、効力について試験される化合物は、抗癌活性および/または抗有糸分裂活性を有するヘミアスタリンアナログである。一般に、上記アナログは、式(I):
【0007】
【化28】

を有し、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)(alicyclicc(aryl))部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る。
【0008】
ヘミアスタリンアナログ、その合成、処置の方法、および薬学的組成物は、2003年9月22日出願の米国特許出願第10/667,864号および2004年9月22日出願の同第10/508,607号(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)、ならびに2003年5月21日出願の国際PCT特許出願PCT/US03/08888および2004年9月22日出願の同PCT/US04/30921(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。ヘミアスタリンの1つの特に有用なアナログは、E7974(ER−807974としても公知である)であり、このアナログは、式:
【0009】
【化29】

を有する。
【0010】
1つの局面において、本発明のシステムは、患者の癌が特定の化合物による処置に感受性であるか否かを、その癌細胞によるチューブリンのアイソタイプおよび/もしくは微小管結合タンパク質の発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて予測することによって、処置のための患者を同定する方法を含む。特定の実施形態において、上記患者の癌は、特に関連するチューブリンのアイソタイプまたは他の微小管結合生体分子を、コントロール細胞もしくはコントロール細胞の集団と比較して、2倍、3倍、4倍、または5倍高く発現する。その方法は、特定の化合物による処置に対する適当な(good)候補または不適当な(bad)候補として、患者を分類することを可能にする。上記患者が処置に対する「適当な」候補として同定される場合、その患者は、必要に応じて、上記化合物の治療有効量を投与され得る。
【0011】
上記方法において、上記癌からのサンプルが得られ、そして1つ以上のチューブリンのアイソタイプもしくはチューブリン結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。検出された発現レベルまたはタンパク質レベルに基づき、本明細書中に記載される相関を使用して、ヘミアスタリンアナログなどの化合物が上記癌を有する患者を処置するのに有効であるか否かを、予測し得る。その方法は、特に、抗微小管薬剤(anti−microtubule agent)または微小管結合性薬剤に感受性である癌(例えば、乳癌、卵巣癌、および肺癌)の処置における効力を予測するのに有用である。遺伝子の発現を検出するためか、またはタンパク質レベルを検出するための利用可能な技術が、使用され得る。例えば、チューブリンのアイソタイプもしくはチューブリン結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルは、PCR、遺伝子チップ、イムノアッセイ、または質量分析によって検出され得る。
【0012】
特定の実施形態において、(式I〜VIに記載されるような)ヘミアスタリンアナログによる処置のために癌を有する患者を同定する診断方法は、
(a)患者の上記癌からサンプルを得る工程;ならびに
(b)上記サンプルを、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルについて分析する工程であって、相関が、上記ヘミアスタリンアナログに対する感受性と、上記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルとの間に存在する、工程;ならびに
(c)少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて上記患者を同定する工程;
を包含する。
【0013】
他の実施形態において、(式I〜VIに記載されるような)ハリコンドリン(halichondrin)Bアナログによる処置のために癌を有する患者を同定する診断方法は、
(a)患者の上記癌からのサンプルを、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルについて分析する工程であって、相関が、上記ヘミアスタリンアナログに対する感受性と、上記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルとの間に存在する、工程;ならびに
(b)上記患者を、少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて同定する工程;
を包含する。
【0014】
本発明者らは、乳癌細胞におけるβ−チューブリンのクラスIII アイソタイプの発現が、特定のチューブリン結合性薬剤(ハリコンドリンBの特定のアナログ(例えば、E7389)およびヘミアスタリンの特定のアナログ(例えば、E7974)が挙げられる)に対する感受性と相関することを、実証した(実施例1を参照のこと)。本発明者らは、さらに、β−チューブリンクラスIIII アイソタイプの発現が、特定のチューブリン結合性薬剤(特定のヘミアスタリンアナログが挙げられる)に対する感受性と相関することを、実証した(実施例1、および発明の名称「Tubulin Isotype Screening in Cancer Therapy using Halichondrin B Analogs」の米国特許出願第60/634,734号(2004年12月9日出願)(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。他のチューブリンのアイソタイプおよび微小管結合生体分子(クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、スタスミン(stathmin)、MAP4、およびTAUが挙げられ、そして特に、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ、TAU、およびスタスミンが挙げられる)もまた、E9774に対する感受性と相関することが見出された。
【0015】
別の局面において、本発明は、ヘミアスタリンアナログによる処置に対する「適当な」候補として同定された患者を処置するための方法を提供する。特定の実施形態において、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて、癌を有する患者を処置するための化合物を選択する方法は、上記患者に、上に記載されるような式(I)の化合物を、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて投与する工程を包含する。
【0016】
別の局面において、本発明は、癌の処置のための医薬の製造における、本明細書中に記載されるような式I〜VIの化合物の使用を提供し、ここで患者の上記癌は、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルを有するとして同定され、相関が、化合物に対する感受性と、上記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルとの間に存在する。
【0017】
別の局面において、本発明は、癌の処置のための医薬の製造における、式I〜VIの化合物の使用を提供し、ここで上記癌を有する患者は、本明細書中に記載される本発明の診断方法によって同定される。
【0018】
本発明のシステムはまた、チューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルと、他の細胞傷害性薬剤に対する癌の感受性との相関を決定するためのシステムを提供する。この方法において、種々の癌細胞株は、試験化合物に曝される。細胞増殖阻害が、試験され、そして特定のチューブリンのアイソタイプおよび特定の微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルが、評価される。次いで、細胞株の試験薬剤に対する感受性と、目的の遺伝子の発現レベルとの間の相関が、算出される。相関係数(Pearson r)の通常の閾値は、0.05以下のp値で有意と見なされる。0.20以下のp値、0.15以下のp値、または0.10以下のp値もまた、使用され得る。次いで、これらの相関は、上記試験化合物を使用して患者を選択し、そして患者を処置するための本発明のシステムに使用され得る。
【0019】
特定の実施形態において、化合物に対する感受性と、マーカー(例えば、チューブリンのアイソタイプ、微小管結合生体分子(例えば、MAP4、スタスミン、Tau))の遺伝子の発現との間の相関を決定する方法は、
(a)細胞(代表的には、癌細胞)を提供する工程;
(b)上記細胞と、上に記載されるような式(I)の化合物とを接触させる工程;
(c)上記細胞を、増殖阻害についてアッセイする工程;
(d)上記細胞における、チューブリンのアイソタイプの遺伝子または微小管結合遺伝子の発現を決定する工程;および
(e)1つ以上のチューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルと、試験された上記化合物に対する感受性との間の相関を決定する工程;
を包含する。特定の実施形態において、相関を決定する方法は、インビトロの方法である。特定の実施形態において、上記相関は、線形回帰分析を使用することによって決定される。他の実施形態において、上記相関は、重回帰分析を使用して決定される。
【0020】
別の局面において、本発明は、特定のチューブリンのアイソタイプまたは特定のチューブリン結合タンパク質を発現する癌細胞を処置するのに有用である化合物を同定するためのスクリーニング方法を提供する。試験化合物は、特定の長さの時間にわたって、細胞(例えば、癌細胞株)と接触させられる。上記細胞の増殖の阻害が、決定され、そしてチューブリンのアイソタイプおよび微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルが、評価される。次いでこれらのデータは、特定のチューブリンのアイソタイプまたは特定の微小管結合生体分子を発現する細胞の上記試験化合物に対する感受性の間に、相関を確立するために使用され得る。相関係数(Pearson r)の通常の閾値は、0.05以下のp値で有意と見なされる。0.20以下のp値、0.15以下のp値、または0.10以下のp値もまた、使用され得る。この方法は、臨床上の候補を同定するためか、または臨床上の候補についての探索におけるリード化合物を同定するために使用され得る。化合物をスクリーニングするためのこのようなシステムは、特に、他の公知である化学療法剤に対して耐性である癌を処置するための化合物に対する探索において、有用である。例えば、パクリタキセル(タキソール)は、クラスII β−チューブリンを発現する細胞の処置において有効でないことが、示されている(Haberら、J.Biol.Chem.270(52):31269−31275、1995;本明細書中に参考として援用される)。本発明のスクリーニング方法は、クラスII β−チューブリンのアイソタイプもしくは任意の他のチューブリンのアイソタイプまたは微小管結合生体分子を発現する癌において有効である化合物に対する探索に、有用である。
【0021】
本発明はまた、上に記載されるスクリーニング方法、分類方法、または同定方法の実施に有用であるキットを包含する。上記キットは、酵素、緩衝液、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド(例えば、プライマーおよびプローブ)、試験化合物(例えば、抗腫瘍性薬剤)、細胞株などのような、上記方法を実施するための試薬を含み得る。上記方法が、PCRを使用する場合、チューブリンのアイソタイプまたは微小管結合タンパク質に特異的なプライマー、ポリメラーゼ、ヌクレオチド、コントロールのテンプレート、緩衝液などのようなPCR用の試薬が、上記キットに含まれ得る。上記方法が、遺伝子発現を検出するためにイムノアッセイを使用する場合、1つ以上のチューブリンのアイソタイプに対する抗体、またはチューブリン結合タンパク質もしくは微小管結合タンパク質に対する抗体、または他の生体分子に対する抗体などの試薬が、上記キットに含まれ得る。チューブリンのアイソタイプの遺伝子または微小管結合遺伝子の領域に相補的なヌクレオチド配列を備える遺伝子チップもまた、遺伝子発現を評価するためのキット中に提供され得る。上記キットはまた、上記癌のサンプルを得るためのツールおよび試薬(例えば、注射器、針、保存容器、緩衝液など)を含み得る。上記キットは、上記癌細胞からRNAを抽出するための材料(例えば、ポリ−TTTTT樹脂)を含み得る。
【0022】
本発明はまた、例えば、上記1つ以上のチューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルを検出するための、プローブあるいはプライマーとして有用なポリヌクレオチドを提供する。特に有用なプローブまたはプライマーは、チューブリンのアイソタイプのmRNAまたはcDNAに対して特異的に結合し、他のアイソタイプと交差反応(cross−react)しない(例えば、そのプローブまたはプライマーは、上記チューブリンのC末端において見られるアイソタイプ間の配列改変体を利用し得る)。プライマーおよびプローブはまた、他の微小管結合生体分子のmRNAまたはcDNAを指向し得る。特定の実施形態において、上記PCRプライマーおよび上記プローブは、チューブリンのアイソタイプ(特に、α−チューブリンのアイソタイプおよびβ−チューブリンのアイソタイプ)の発現レベルを決定するのに有用である。他の実施形態において、上記PCRプライマーおよび上記プローブは、微小管結合生体分子(例えば、Tau、スタスミン、およびMAP4)の発現レベルを決定するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(定義)
以下は、本明細書および特許請求の範囲において使用される化学用語である。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「アシル」とは、一般式−C(=O)Rを有する基をいい、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環式、複素環式、または芳香族複素環式である。アシル基の例は、アセチルである。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」とは、単一の水素原子の除去を伴う1個と20個との間の炭素原子を含む炭化水素部分から誘導される、飽和の直鎖炭化水素ラジカルまたは飽和の分枝鎖炭化水素ラジカルをいう。いくつかの実施形態において、本発明において利用されるアルキル基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、利用されるアルキル基は、1〜8個の炭素原子を含む。なお他の実施形態において、上記アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、上記アルキル基は、1〜4個の炭素を含む。アルキルラジカルの例としては、1つ以上の置換基を有し得る、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、sec−ペンチル、イソ−ペンチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、ドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「アルコキシ」とは、酸素原子を介して親分子部分に結合される、飽和基(すなわち、アルキル−O−)または不飽和基(すなわち、アルケニル−O−およびアルキニル−O−)をいう。特定の実施形態において、上記アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、本発明において利用されるアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、上記アルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、上記アルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「アルケニル」は、単一の水素原子の除去を伴い、少なくとも1つの炭素間二重結合を有する炭化水素部分から誘導される一価の基を示す。特定の実施形態において、本発明において利用されるアルケニル基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、本発明において利用されるアルケニル基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、利用されるアルケニル基は、1〜8個の炭素原子を含む。なお他の実施形態において、上記アルケニル基は、1〜6個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、上記アルケニル基は、1〜4個の炭素原子を含む。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられる。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキニル」とは、単一の水素原子の除去を伴い、少なくとも1つの炭素間三重結合を有する炭化水素から誘導される一価の基をいう。特定の実施形態において、本発明において利用されるアルキニル基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、本発明において利用されるアルキニル基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、本発明において利用されるアルキニル基は、1〜8個の炭素原子を含む。なお他の実施形態において、上記アルキニル基は、1〜6個の炭素原子を含む。代表的なアルキニル基としては、エチニル、2−プロピニル(プロパギル)、1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキルアミノ」、「ジアルキルアミノ」、および「トリアルキルアミノ」とは、それぞれ、窒素原子を介して親分子部分に結合される、1個、2個、または3個の先に定義されるようなアルキル基をいう。用語「アルキルアミノ」とは、構造−NHR’を有する基をいい、R’は、先に定義されるようなアルキル基である;そして用語「ジアルキルアミノ」とは、構造−NR’R’’を有する基をいい、R’およびR’’は、それぞれ独立して、アルキル基からなる群より選択される。用語「トリアルキルアミノ」とは、構造−NR’R’’R’’’を有する基をいい、R’、R’’、およびR’’’は、それぞれ独立して、アルキル基からなる群より選択される。特定の実施形態において、そのアルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、そのアルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、そのアルキル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、そのアルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、そのアルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。さらに、R’、R’’、および/またはR’’’は、一緒になり、必要に応じて、−(CH−であり得、kは、2〜6の整数である。例としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジエチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノ、イソ−プロピルアミノ、ピペリジノ、トリメチルアミノ、およびプロピルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
用語「アルキルチオエーテル」および「チオアルコキシル」とは、硫黄原子を介して親分子部分に結合される、飽和基(すなわち、アルキル−S−)または不飽和基(すなわち、アルケニル−S−およびアルキニル−S−)をいう。特定の実施形態において、上記アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、上記アルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、上記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を有する。なお他の実施形態において、上記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、上記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。チオアルコキシル部分の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書中で使用される場合、用語「アリール」とは、少なくとも1つの芳香環を含む不飽和の環式部分をいう。アリール基は、5〜15個の炭素原子(好ましくは、5〜12個の炭素原子)を有し得、そして5員環〜7員環を含み得る。特定の実施形態において、アリール基とは、1個もしくは2個の芳香環を有する単環式または二環式の炭素環系をいい、この芳香環としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されなくても、分枝鎖アルキルおよび非分枝鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、メルカプト、ニトロ、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ならびにカルボキサミドからなる群より選択される置換基によって置換されてもよい。さらに、置換アリール基としては、テトラフルオロフェニルおよびペンタフルオロフェニルが挙げられる。
【0032】
本明細書中で使用される場合、用語「カルボン酸」とは、式−COHの基をいう。
【0033】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「複素環式」とは、芳香族もしくは非芳香族の、部分的に不飽和であるか、または完全に飽和した、大きさが3〜8個の原子の単環、ならびに二環式環系および三環式環系を含む3員環系〜10員環系をいい、その二環式環系および三環式環系は、非芳香環に縮合した、5員環の芳香族アリール基もしくは6員環の芳香族アリール基または芳香族複素環式基を含み得る。これらの複素環としては、独立して、酸素、硫黄、および窒素から選択される、1〜3個の異種原子を有する複素環が挙げられ、ここで、その窒素異種原子および硫黄異種原子は、必要に応じて、酸化され得、そしてその窒素異種原子は、必要に応じて、四級化され得る。特定の実施形態において、用語「複素環式」とは、非芳香族の、5員環、6員環、もしくは7員環または多環式基をいい、ここで少なくとも1つの環原子が、O、S、およびNから選択される異種原子(この窒素異種原子および硫黄異種原子は、必要に応じて、酸化され得る)であり、その多環式基としては、独立して、酸素、硫黄、および窒素から選択される1個と3個との間の異種原子を有する縮合6員環を含む、二環式基または三環式基が挙げられるが、これらに限定されず、ここで(i)各5員環は、0〜2個の二重結合を有し、各6員環は、0〜2個の二重結合を有し、そして各7員環は、0〜3個の二重結合を有し、(ii)その窒素異種原子および硫黄異種原子は、必要に応じて、酸化され得、(iii)その窒素異種原子は、必要に応じて、四級化され得、そして(iv)上記の複素環のいずれかは、アリール環またはヘテロアリール環に縮合され得る。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「芳香族複素環式」とは、1個の環原子が、硫黄、酸素、および窒素から選択される5〜10個の環原子を有する環式の芳香族ラジカルをいう;0個、1個、または2個の環原子は、独立して、硫黄、酸素、および窒素から選択されるさらなる異種原子である;そして残りの環原子は、炭素、その環原子のいずれかを介してその分子の残部に結合されるラジカル(例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなど)である。芳香族複素環式基は、置換されなくても、分枝鎖アルキルおよび非分枝鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、メルカプト、ニトロ、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ならびにカルボキサミドからなる群より選択される置換基によって置換されてもよい。
【0036】
本発明の化合物中に含まれ得る特定の複素環式基および芳香族複素環式基としては、以下が挙げられる:3−メチル−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン、3メチルピペリジン、4−(ビス−(4−フルオロフェニル)メチル)ピペラジン、4−(ジフェニルメチル)ピペラジン、4−(エトキシカルボニル)ピペラジン、4−(エトキシカルボニルメチル)ピペラジン、4−(フェニルメチル)ピペラジン、4−(1−フェニルエチル)ピペラジン、4−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)ピペラジン、4−(2−(ビス−(2−プロペニル)アミノ)エチル)ピペラジン、4−(2−(ジエチルアミノ)エチル)ピペラジン、4−(2−クロロフェニル)ピペラジン、4−(2−シアノフェニル)ピペラジン、4−(2−エトキシフェニル)ピペラジン、4−(2−エチルフェニル)ピペラジン、4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、4−(2−メトキシエチル)ピペラジン、4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン、4−(2−メチルフェニル)ピペラジン、4−(2−メチルチオ、フェニル)ピペラジン、4−(2−ニトロフェニル)ピペラジン、4−(2−ニトロフェニル)ピペラジン、4−(2−フェニルエチル)ピペラジン、4−(2−ピリジル)ピペラジン、4−(2−ピリミジニル)ピペラジン、4−(2,3−ジメチルフェニル)ピペラジン、4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン、4−(2,4−ジメトキシフェニル)ピペラジン、4−(2,4−ジメチルフェニル)ピペラジン、4−(2,5−ジメチルフェニル)ピペラジン、4−(2,6−ジメチルフェニル)ピペラジン、4−(3−クロロフェニル)ピペラジン、4−(3−メチルフェニル)ピペラジン、4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン、4−(3,4−ジクロロフェニル)ピペラジン、4−3,4−ジメトキシフェニル)ピペラジン、4−(3,4−ジメチルフェニル)ピペラジン、4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピペラジン、4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピペラジン、4−(3,5−ジクロロフェニル)ピペラジン、4−(3,5−ジメトキシフェニル)ピペラジン、4−(4−(フェニルメトキシ)フェニル)ピペラジン、4−(4−(3,1−ジメチルエチル)フェニルメチル)ピペラジン、4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン、4−(4−クロロフェニル)−3−メチルピペラジン、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン、4−(4−クロロフェニルメチル)ピペラジン、4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン、4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン、4−(4−メチルフェニル)ピペラジン、4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン、4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン、4−シクロヘキシルピペラジン、4−エチルピペラジン、4−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニル)メチルピペリジン、4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン、4−ヒドロキシピロリジン、4−メチルピペラジン、4−フェニルピペラジン、4−ピペリジニルピペラジン、4−(2−フラニル)カルボニル)ピペラジン、4−((1,3−ジオキソラン−5−イル)メチル)ピペラジン、6−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−メチルキノリン、1,4−ジアザシクロヘプタン、2,3−ジヒドロインドリル、3,3−ジメチルピペリジン、4,4−エチレンジオキシピペリジン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、アザシクロオクタン、デカヒドロキノリン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、チオモルホリン、およびトリアゾール。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「カルバモイル」とは、式−CONHのアミド基をいう。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「カルボニルジオキシル」とは、式−O−CO−ORのカルボネート基をいう。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「炭化水素」とは、水素および炭素を含む任意の化学基をいう。上記炭化水素は、置換されても置換されなくてもよい。上記炭化水素は、不飽和でも、飽和でも、分枝鎖でも、非分枝鎖でも、環式でも、多環式でも、複素環式でもよい。例示の炭化水素としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、シクロプロピル、アリル、ビニル、n−ブチル、tert−ブチル、エチニル、シクロヘキシル、メトキシ、ジエチルアミノなどが挙げられる。当業者にとって公知であるように、全ての原子価は、任意の置換の実行において満たされなければならない。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「置換される」(用語「必要に応じて」が先行するか否かにかかわらず)および「置換基」とは、当業者によって理解されるように、1つの官能基を別の官能基に交換する能力をいうが、但し、全ての原子の原子価は、維持される。任意の所与の構造中の1つより多い位置が、指定された基から選択される1つより多い置換基によって置換され得る場合、その置換基は、全ての位置において、同一であるかまたは異なるかのいずれかであり得る。上記置換基はまた、さらに置換され得る(例えば、アリール基の置換基は、その置換基とは別に、別の置換基を有し得る(例えば、1つ以上の位置においてフッ素によってさらに置換される別のアリール基))。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「チオヒドロキシル」または「チオール」とは、式−SHの基をいう。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「ウレイド」とは、式−NH−CO−NHの尿素基をいう。
【0043】
以下は、本願全体を通して使用される、より一般的な用語である:
「抗体」:用語「抗体」とは、天然に産生されるか、全体的または部分的に合成で産生されるかにかかわらず、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンのフラグメントをいう。特異的結合能力を維持する抗体の全ての誘導体もまた、この用語に含まれる。これらのタンパク質は、天然の供給源に由来しても、全体的または部分的に合成で産生されてもよい。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。上記抗体は、あらゆる免疫グロブリンのクラスのメンバーであり得、その免疫グロブリンのクラスとしては、以下の任意のヒトのクラスが挙げられる:IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE。しかし、IgGのクラスの誘導体が、本発明において好ましい。特定の実施形態において、本発明において有用な抗体は、特定のマーカーに対して特異的である。上記抗体は、好ましくは、チューブリンの特定のアイソタイプに対して特異的であり、別のチューブリンのアイソタイプと交差反応する。特定の実施形態において、上記抗体は、その抗体を検出可能にするために、標識(例えば、ラジオアイソトープ、蛍光色素)されるか、タグ(例えば、アルカリホスファターゼ)を付けられる(tagged)か、または誘導体化される。
【0044】
「抗体フラグメント」:用語「抗体フラグメント」とは、完全長より短い、抗体の任意の誘導体をいう。好ましくは、上記抗体フラグメントは、完全長抗体の特異的結合能力の少なくとも重要な部分を保持する。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、Fv、dsFvダイアボディ(diabody)、およびFdフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。上記抗体フラグメントは、任意の手段によって産生され得る。例えば、上記抗体フラグメントは、インタクトな抗体の断片化によって、酵素的もしくは化学的に産生され得るか、またはその抗体フラグメントは、部分的な抗体配列をコードする遺伝子から組換え的に産生され得る。あるいは、上記抗体フラグメントは、全体的または部分的に合成で産生され得る。上記抗体フラグメントは、必要に応じて、単鎖抗体フラグメントであり得る。あるいは、上記フラグメントは、例えば、ジスルフィド結合によって共に連結される複数の鎖を含み得る。上記フラグメントはまた、必要に応じて、複数分子の複合体であり得る。機能的抗体フラグメントは、代表的に、少なくとも約50アミノ酸を含み、そしてより代表的には、少なくとも約200アミノ酸を含む。
【0045】
「動物」:本明細書中で使用される場合、用語「動物」とは、ヒトおよび非ヒト動物をいい、その非ヒト動物としては、例えば、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、および魚類が挙げられる。好ましくは、上記非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、霊長類、またはブタ)である。動物は、飼いならされた動物であり得る。動物は、トランスジェニック動物であり得る。特定の好ましい実施形態において、上記動物は、ヒトである。
【0046】
「と結合する(associated with)」:2つの実体が、本明細書中に記載されるように、互い「と結合する」場合、それらは、直接もしくは間接の共有結合的相互作用または非共有結合的相互作用によって連結される。好ましくは、この結合は、共有結合(例えば、アミド結合、ジスルフィド結合、またはエステル結合)である。望ましい非共有結合的相互作用としては、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性相互作用、静電相互作用などが挙げられる。
【0047】
「化合物」:一般に、本明細書中で使用される場合、用語「化合物」とは、細胞の増殖を阻害するためか、もしくは細胞を殺すために、化学療法剤として使用され得る任意の薬剤、または細胞の増殖を阻害するその能力、もしくは細胞を殺すその能力について試験される任意の薬剤をいう。具体的には、癌細胞を殺すか、または癌細胞の増殖を阻害する薬剤が、含まれる。上記化合物は、有機化合物または無機化合物であり得る。好ましい化合物は、有機化合物(特に、低分子)である。特定の実施形態において、上記化合物は、本明細書中に記載されるような、ヘミアスタリンアナログである。化合物とはまた、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、脂質などのような生体分子をいい得る。
【0048】
「有効量」:一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を誘発するのに必要な量、または所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量をいう。当業者によって認識されるように、化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される化合物、処置される疾患、標的組織などのような因子に依存して変動し得る。特定の実施形態において、上記化合物の有効量は、寛解または治癒を達成するのに必要な量である。
【0049】
「相同性の(homologous)」または「ホモログ」:本明細書中で使用される場合、用語「相同性の」は、ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列のレベルで高度に関連する核酸またはポリペプチドに言及する、当該分野で理解される用語である。互いに相同性である核酸またはポリペプチドは、「ホモログ」と称される。
【0050】
用語「相同性の」とは、必然的に、2つの配列間の比較をいう。本発明に従って、2つのヌクレオチド配列は、それらがコードするポリペプチドが、少なくとも20アミノ酸の少なくとも1つの範囲(stretch)について、少なくとも約50〜60%同一、好ましくは約70%同一である場合に、相同性であると見なされる。好ましくは、相同性のヌクレオチド配列はまた、少なくとも4〜5個の固有に特定されるアミノ酸の範囲をコードする能力によって特徴付けられる。これらのアミノ酸の互いに対する同一性および適切なスペーシングは両方とも、相同性であると見なされるヌクレオチド配列について検討されなければならない。60ヌクレオチド長未満のヌクレオチド配列に関して、相同性は、少なくとも4〜5個の固有に特定されるアミノ酸の範囲をコードする能力によって決定される。
【0051】
「単離される」:本明細書中で使用される場合、用語「単離される」とは、以下である化学的実体または生物学的実体をいう:1)天然に存在しないか;2)人の介入を必要とする工程によって産生もしくは精製されるか;3)その実体が天然において関連する少なくともいくつかの成分から分離されるか;そして/または4)最初に産生したときに、その実体が関連する少なくともいくつかの成分から分離される。
【0052】
「ペプチド」または「タンパク質」:本発明に従って、「ペプチド」または「タンパク質」は、ペプチド結合によって共に連結された一連の少なくとも3個のアミノ酸を含む。用語「タンパク質」および「ペプチド」は、交換可能に使用され得る。ペプチドとは、個々のペプチドまたはペプチドの集合(collection)をいい得る。本発明のペプチドは、好ましくは、天然のアミノ酸のみを含むが、当該分野において公知であるような非天然のアミノ酸(すなわち、天然に生じないが、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る化合物)および/またはアミノ酸アナログが、代替的に利用され得る。また、本発明のペプチド中のアミノ酸の1個以上は、例えば、化学的実体(例えば、炭水化物基、ホスフェート基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、結合体化、官能化、または他の改変のためのリンカーなど)の付加によって改変され得る。好ましい実施形態において、上記ペプチドの改変は、より安定(例えば、インビボでのより長い半減期)なペプチドをもたらす。これらの改変は、上記ペプチドの結晶化、D−アミノ酸の組み込みなどを含み得る。上記改変は、上記ペプチドの所望の生物学的活性を、実質的に妨げるべきではない。
【0053】
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」:ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドとは、ヌクレオチドのポリマーをいう。代表的に、ポリヌクレオチドは、少なくとも3個のヌクレオチドを含む。上記ポリマーは、天然のヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、C5−プロピニルシチジン、C5−プロピニルウリジン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジン)、化学的に改変された塩基、生物学的に改変された塩基(例えば、メチル化された塩基)、インターカレーションされた塩基(intercalated base)、改変された糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、および/または改変されたホスフェート基(例えば、ホスホロチオエート結合および5’−N−ホスホラミダイト(phosphoramidite)結合)を含み得る。
【0054】
「低分子」:本明細書中で使用される場合、用語「低分子」とは、天然に存在するか、または(例えば、化学合成によって)人工的に生成されるかにかかわらず、比較的低い分子量を有し、かつタンパク質でも、ポリペプチドでも、または核酸でもない有機化合物をいう。代表的に、低分子は、約1500g/mol未満の分子量を有する。また、低分子は、代表的に、複数の炭素間結合を有する。
【0055】
「微小管結合生体分子」:本明細書中で使用される場合、用語「微小管結合タンパク質」は、細胞内の微小管の重合もしくは脱重合に直接的かまたは間接的に関与することが見出される、あらゆるタンパク質、ポリヌクレオチド、または他の生体分子を含むことを意味する。例としては、チューブリン(重合型および非重合型)の種々のアイソタイプ、チューブリンのモノマーと結合する生体分子、微小管と結合する生体分子(例えば、MAP4、MAP2c、Tau、およびXMAP215などの微小管結合タンパク質(I型およびII型);CLIP−170;EB1;p150)、チューブリンを分解する酵素、チューブリンの転写、翻訳、もしくはレベルを増加または減少させる生体分子、中心小体、中心体、細菌タンパク質FtsZ、微小管形成中心(MTOC)、プロテインホスファターゼ(例えば、MAPを脱リン酸化するホスファターゼ)、増殖因子のシグナルカスケードにおける生体分子、プロテインキナーゼ(例えば、MAPのリン酸化を触媒するキナーゼ)、XMAP215、およびカタストロフ促進タンパク質(catastrophe−promoting protein)(カタストロフィン(catastrophin))(例えば、スタスミンおよびXKCM1)が挙げられる。
【0056】
「多剤耐性の」:癌または癌細胞株に適用される場合、用語「多剤耐性の」とは、種々の化学的に関連していない化学療法剤に対する同時の耐性をいう。多剤耐性は、癌処置の失敗の主要な原因である。上記多剤耐性の表現型は、代表的に、P−糖タンパク質(Pgp)または多剤耐性タンパク質(MRP)(癌細胞から毒性因子を汲み出し得る2つの膜貫通トランスポータータンパク質)の発現に関連する。多剤耐性は、癌において最初から存在し得るか、または多剤耐性は、時間の経過とともに発生し得る。細胞におけるPgpまたはMRPの発現は、50分の1〜500分の1へ減少する化学療法剤の濃度をもたらし、その薬剤を上記癌の処置において有用にし得る。
【0057】
「パクリタキセル耐性の」:癌または癌細胞株に適用される場合、用語「パクリタキセル耐性」とは、パクリタキセルまたは他のタキサン系化学療法剤に対する耐性をいう。特定の実施形態において、患者の癌は、患者がパクリタキセルまたは別のタキサン系化学療法剤による化学療法処置を受容し、そしてその癌が、応答しなかった(例えば、腫瘍量(tumor burden)が減少しない、増殖の阻害がないなど)後に、パクリタキセル耐性であると分類され得る。他の実施形態において、癌は、その癌が、0.001μM、0.1μM、1μM、2μM、または5μMの濃度のパクリタキセルに応答しない場合に、パクリタキセル耐性であり得る。特定の実施形態において、パクリタキセル耐性の癌またはパクリタキセル耐性の細胞株は、パクリタキセルに対して、100分の1、1000分の1、または1500倍分の1の感受性である。特定の実施形態において、パクリタキセル耐性の癌またはパクリタキセル耐性の細胞株は、P−糖タンパク質(Pgp)または多剤耐性タンパク質(MRP)を発現する。
【0058】
「チューブリンのアイソタイプ」:チューブリン(微小管の構築された集合体(block))は、3つの形態(α−チューブリン、β−チューブリン、およびγ−チューブリン)になる。ヒトでは、α−チューブリンの6種のアイソタイプおよびβ−チューブリンの7種のアイソタイプが存在する。α−チューブリンのアイソタイプは、TUBA1(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号I77403)、TUBA2(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号CAA25855)、TUBA3(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号Q13748)、TUBA4(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号A25873)、TUBA6(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号Q9BQE3)、およびTUBA8(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号Q9NY65)である。β−チューブリンの7種のアイソタイプは、クラスIアイソタイプ、遺伝子HM40/TUBB(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号AAD33873);クラスIIアイソタイプ、遺伝子Hb9/TUBB2(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号AAH01352);クラスIIIアイソタイプ、遺伝子Hb4/TUBB4(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号AAH00748);クラスIVaアイソタイプ、遺伝子Hb5/TUBB5(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号P04350、NP_006078);クラスIVbアイソタイプ、遺伝子Hb2(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号P05217);クラスVアイソタイプ、遺伝子5−beta/BetaV(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号NP_115914);およびクラスVIアイソタイプ、遺伝子Hb1/TUBB1(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号NP_110400)である。NCBIタンパク質データベースから得た上記チューブリンのアイソタイプの配列を含む記載事項は、本明細書中に参考として援用される。当業者によって認識されるように、他の種は、チューブリンの異なるアイソタイプを有し得る。
【0059】
(発明の特定の好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、特定の化学療法剤による処置に対する候補である癌を有する患者、または逆に、特定の化学療法剤による処置に対する候補ではない癌を有する患者を同定するための方法および材料を提供する。具体的には、癌を有する患者は、その癌が化学療法剤に対して感受性である場合、処置のために選択され、そして上記薬剤が癌に影響を及ぼさない場合、その患者は選択されない。本発明は、患者が処置のために選択された場合に、その患者を処置するための方法および材料をさらに提供する。最後に、本発明は、チューブリンのアイソタイプまたはチューブリン結合タンパク質を発現する癌細胞において微小管の重合/脱重合に影響を及ぼす化合物を同定するための方法および材料を提供する。癌細胞株を使用することによって、特定の遺伝子の発現と上記試験化合物との間の相関が、当該分野において公知である統計学的方法を使用して決定される。
【0060】
(処置のための癌患者の選択)
化学療法レジメンのための患者の選択において、患者の癌は、送達される化学療法剤に対して感受性である。例えば、上記薬剤は、上記患者を治癒し得るか、腫瘍量を減少させ得るか、転移を予防し得るか、または上記癌のさらなる増殖を予防し得る。上記薬剤の副作用、上記患者の状態、予後、上記癌の病期分類、処置の他の選択肢の使用による成功または成功の欠如などもまた、処置のために患者を選択するか否かの決断を行なう上で検討され得る。検討に供するためのこれらのさらなる要因は、処置を行なう医師にとって明白である。
【0061】
患者を選択するための本発明のシステムは、処置のための任意の動物を選択するのに使用され得る。特定の実施形態において、上記動物は、哺乳動物である;しかし、鳥類、爬虫類、魚類、または他の動物もまた、本発明のシステムを使用して選択され得る。特定の実施形態において、上記患者は、ヒトである。他の実施形態において、上記患者は、飼いならされた動物(例えば、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマなど)である。さらに他の実施形態において、上記患者は、実験動物(例えば、マウス、ラット、他のげっ歯類、イヌ、ブタ、サル、他の霊長類など)である。総合すると、任意の動物種が、本発明のシステムを使用して、処置のために選択されても、選択されなくてもよい。
【0062】
上記患者は、代表的に、癌を有する;しかし、上記患者は、本発明のシステムを使用してスクリーニングされる細胞の任意の異常な増殖を有し得る(その異常な増殖が、癌性または良性であるかにかかわらず)。癌は、あらゆる起源(例えば、皮膚、肺、乳房、上皮細胞、間葉細胞、中胚葉由来の細胞など)の癌、あらゆる重症度(例えば、悪い予後または順調な予後、転移の有無)の癌、あらゆる病理(例えば、形成異常の程度、未分化細胞、分化の欠如)の癌、またはあらゆる位置(例えば、必須の器官、原発性腫瘍または転移)の癌を含む。特定の実施形態において、上記癌は、皮膚癌(例えば、黒色腫)、脳癌(例えば、多形性グリア芽細胞腫)、肺癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、精巣癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌、内分泌腺の癌、骨の癌、白血病、肉腫、リンパ腫、または筋肉の癌である。特定の実施形態において、上記患者は、乳癌、卵巣癌、肺癌、膵臓癌(例えば、膵腺癌)、または前立腺癌を罹患する。他の実施形態において、上記患者は、乳癌、卵巣癌、または肺癌と診断されている。さらに他の実施形態において、上記患者は、乳癌を有する。
【0063】
代表的に、上記患者の癌は、検討されている上記化合物に対する感受性を示している。上記癌は、インビトロ試験またはインビボ試験において、上記化合物に対する感受性を示し得る。例えば、上記癌は、他の患者または上記癌の動物モデルにおいて、上記化合物に対して応答性であり得る。癌細胞株の増殖は、検討されている上記化合物の投与によって阻害され得るか、または上記化合物は、その細胞株に対して細胞傷害性であり得る。
【0064】
下に記載されるように、本発明の1つの局面は、ハリコンドリンBアナログ、ヘミアスタリンアナログ、パクリタキセル(タキソール)、タキソテール、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン)、コルヒチンなどのような、微小管を安定化する薬剤または微小管を不安定化する薬剤(すなわち、抗微小管薬剤)に対して感受性である癌を同定する。これらの癌は、乳癌、卵巣癌、および肺癌を含む。特定の実施形態において、前立腺癌が、含まれ得る。特定の実施形態において、上記癌は、ヘミアスタリンアナログ(特に、E7974)に対して感受性であることが示されている。
【0065】
化合物による処置のための患者を同定する方法は、その患者の癌からサンプルを得る工程、および特定のチューブリンのアイソタイプまたは特定の微小管結合生体分子がその癌細胞中に特定のレベル(または、レベルの範囲内)で存在するか否かを決定する工程を包含する。特定の実施形態において、チューブリンのアイソタイプまたは微小管結合生体分子の特定のレベルの存在は、特定の化合物に対する感受性、またはその欠如と相関する。特定の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルより、少なくとも約50%高いレベルで上記マーカーを発現する。特定の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルの少なくとも2倍で、上記マーカーを発現する。特定の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルの少なくとも3倍で、上記マーカーを発現する。特定の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルの少なくとも4倍で、上記マーカーを発現する。特定の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルの少なくとも5倍で、上記マーカーを発現する。他の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルより、少なくとも約75%低いレベルで、上記マーカーを発現する。さらに他の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルより、少なくとも約50%低いレベルで、上記マーカーを発現する。特定の実施形態において、上記癌細胞は、コントロール細胞またはコントロール細胞の集団において観察されるレベルより、少なくとも約25%低いレベルで、上記マーカーを発現する。なお他の実施形態において、上記癌細胞は、上記マーカーを発現しない。
【0066】
上記患者は、上記サンプルから得られた情報に基づいて、上記化合物による処置に対する「適当な」候補者として同定され得るか、またはその患者は、上記サンプルから得られた情報に基づいて、その化合物による処置に対する「不適当な」候補者として同定され得る。その患者のいずれの分類も、本発明の一部と見なされる。なぜなら患者が特定の処置に応答するであろうと決定することのみではなく、患者が特定の処置に応答しないであろうと決定することも、有用であるからである。後者において、その患者は、その患者を補助する可能性の低い薬学的因子による処置から引き離される。
【0067】
上記癌由来のサンプルは、上記患者の癌の生検によって得られ得る。特定の実施形態において、上記患者の腫瘍由来の1つより多いサンプルは、さらなる研究のために、細胞の代表的なサンプルを得るために入手される。例えば、乳癌を有する患者は、癌細胞のサンプルを得るための針生検を受け得る。その腫瘍についての数回の生検が、癌細胞のサンプルを得るために、使用され得る。他の実施形態において、サンプルは、腫瘍の外科的切除から得られ得る。この場合において、1つ以上のサンプルが、さらなる研究のために、その切除された腫瘍から採取され得る。上記癌が、白血病である場合、癌細胞のサンプルは、血液サンプルまたは骨髄生検を得ることによって得られ得る。
【0068】
上記サンプルが得られた後、そのサンプルは、さらに処理され得る。上記癌細胞は、正常組織を除去するために、培養され得るか、洗浄され得るか、またはそうでなければ、選択され得る。上記細胞は、腫瘍サンプルからその細胞を取り出すためにトリプシン処理され得る。上記細胞は、蛍光細胞分析分離(FACS)または他の細胞分離技術によって分離され得る。上記細胞は、研究用に、多数の細胞を得るために培養され得る。特定の例において、上記細胞は、不死化され得る。さらに、上記細胞は、冷凍され得る。その細胞は、パラフィン中に包理され得る。
【0069】
上記患者の癌由来のサンプルが得られた後、特定のチューブリンのアイソタイプまたは特定の微小管結合生体分子がその細胞に存在するか否かを決定する工程は、遺伝子産物(mRNA)、タンパク質、タンパク質複合体、翻訳後に改変されたタンパク質など)の発現、発現レベル、存在、遺伝子産物の活性(例えば、メッセンジャーRNAを決定するために、当該分野に公知である任意の技術を使用し得る。特定の実施形態において、上記mRNAは、目的の遺伝子の発現を決定するために上記癌細胞サンプルから単離される。特定の実施形態において、複数の遺伝子の発現レベルが、1回で決定され得る。例えば、チューブリンの複数のアイソタイプの発現、複数の微小管結合生体分子の発現、またはそれらの組み合わせが、決定され得る。特定の実施形態において、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、15種、20種、25種、または30種の遺伝子の発現が、決定され得る。特定の遺伝子に由来するmRNA転写物のレベルが、当該分野において公知である任意の方法を使用して、定性的または定量的に決定され得る。mRNAのレベルは、逆転写されたRNAの定量的PCRによって定量化され得る。mRNAのレベルはまた、ノーザンブロット分析によって定量化され得る。mRNA転写物の存在はまた、遺伝子チップ分析によって決定され得る。上記遺伝子チップの使用は、複数の遺伝子の発現レベルを決定するのに特に有用である。例えば、10〜20種またはそれより少ない遺伝子の発現のレベルを決定することにおいて、定量的PCRが、使用され得る。より多くの遺伝子の発現レベルが決定される場合、遺伝子チップはより簡便であるが、依然として定量的PCRは、使用され得る。
【0070】
遺伝子チップが使用される特定の実施形態において、その遺伝子チップは、種々のEST由来の配列を含み得る(すなわち、その配列は、微小管の重合に関与する配列に限られ得る)。特定の実施形態において、上記遺伝子チップマイクロアレイは、少なくとも100種、500種、1000種、10000種、15000種、20000種、25000種、30000種、35000種、40000種、45000種、50000種、または100000種の配列を含む。上記患者から得られたサンプル由来のmRNAを、上記マイクロアレイ上に表される遺伝子の発現パターンを決定するために、そのマイクロアレイ上の配列とハイブリダイズさせる。これらのマイクロアレイは、Agilent Technologies、Affymetrix,Inc.などのような会社から購入され得る。いくつかの例において、上記マイクロアレイは、遺伝子のサブセットのみ(例えば、微小管の重合に関与する遺伝子)が発現について分析される場合などに、研究者によって調製され得る。
【0071】
他の実施形態において、目的の遺伝子についてのmRNA転写物の存在を決定することよりもむしろ、実際のタンパク質の存在またはレベルが、決定される。タンパク質についての分析は、当該分野において公知である任意の方法を使用して行われ得る。特定の実施形態において、上記タンパク質に対する抗体が、使用される。これらの抗体は、好ましくは、目的のタンパク質に対して特異的である。特定の実施形態において、上記抗体は、1種のチューブリンのアイソタイプまたは微小管結合タンパク質のみと反応する。上記抗体は、上記癌細胞と直接接触させられ得るか、またはその抗体は、その細胞のタンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動後のウェスタン分析において使用され得る。これらの抗体は、目的のタンパク質に対するそれらの結合を可視化するために改変され得る。例えば、上記抗体は、蛍光マーカーによって誘導体化され得るか、その抗体は、放射性標識され得るか、またはその抗体は、可視化のための酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)と結合体化され得る。
【0072】
目的のタンパク質はまた、質量分析によって決定され得る。マトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析は、サンプル中の特定のタンパク質の存在を決定するために、以前より使用されている。MALDI−TOF分光学は、乳癌細胞におけるチューブリンのアイソタイプの存在を決定するためにさえ使用されている(Verdier−Pinardら、Biochemistry 42:5349−5357、2003;本明細書中に参考として援用される)。液体クロマトグラフィー−質量分析もまた、細胞サンプルにおける目的の特定のタンパク質の存在を決定するために使用され得る(Verdier−Pinardら、Biochemistry 42:12019−12027、2003;本明細書中に参考として援用される)。細胞中の目的のタンパク質の質量分析による分析は、分析されるタンパク質に対するm/zの異なる比に基づく。例えば、チューブリンの異なるアイソタイプについての分析において、チューブリンの各アイソタイプに対するm/zの比は、個々のアイソタイプを互いから識別するために、固有でなければならない。特定の実施形態において、目的のタンパク質は、質量分析によってタンパク質の一部のみを分析するために消化される。他の実施形態において、上記タンパク質は、部分的に、精製される。例えば、チューブリンは、上記細胞に存在するチューブリンのアイソタイプを十分に決定するために、他の細胞タンパク質から分離して精製され得る。伝統的なカラムクロマトグラフィーおよびHPLCは、質量分析によって分析されるタンパク質を精製するために使用され得る。
【0073】
(チューブリンのアイソタイプ)
本発明の特定の実施形態において、上記患者から得られる癌細胞において発現される1つ以上のチューブリンのアイソタイプが、決定される。特定の実施形態において、特定の癌細胞は、α−チューブリンおよびβ−チューブリンの各々のうちの1つの型だけを発現し得る。より一般的に、上記細胞は、代表的には、異なるレベルにて複数のアイソタイプを発現する。他の実施形態において、癌細胞の集団内の異なる細胞は、同一か、または異なるアイソタイプを発現する。ヒトにおいて、微小管は、α−チューブリンとβ−チューブリンとの反復性のヘテロダイマーから構成される。微小管は、運動性、形態発生、細胞内輸送、細胞の形、有糸分裂、および減数分裂を含む多くの細胞機能に関与する(Desaiら、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.13:83−117、1997;Oakley Trends Cell Biol.10:537−542、2000;Sharpら、Nature 407:41−47、2000;これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)。
【0074】
α−チューブリンおよびβ−チューブリンの両方は、複数のアイソタイプとして存在する。種々のアイソタイプは、それぞれ、約450アミノ酸長である。上記アイソタイプは、高度に保存されるが、それらは、それらのC末端において広い配列のバリエーションを提示する。そのC末端は、微小管に対する微小管結合タンパク質(MAP)の結合に関与することが見出されている(Verdier−Pinardら、Biochemistry 42:12019−12027、2003;Luduena Int.Rev.Cytol.178:207−275、1998;これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)。これらのアイソタイプは、頻繁に、組織特異的な発現を示す(概説については、Sulivan Annu.Rev.Cell Biol.4:687−716、1988;Luduenaら、Curr.Opin.Cell Biol.4:53−75、1992;Leduena Mol.Biol.Cell 4:445−457、1993;Luduena Int.Rev.Cytol.178:207−275(1998);Sullivanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4327−4331、1986;これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)。ヒトなどの哺乳動物系では、同定された6種のα−チューブリンが、存在している。ヒトにおいて見出された6種のα−チューブリンのアイソタイプは、以下の通りである:α1/bα1(NCBIアクセッション番号CAA25855);α1/Kα1(177403、AAC31959、AAD33871);α3(Q13748);α4(A25873);α6(Q9BQE3);およびα8(Q9NY65)。β−チューブリンの7種のアイソタイプが、ヒトにおいて同定されている:βI(NCBIタンパク質データベースアクセッション番号AAD33873、P07437);βII(AAH01352、NP_001060);βIII(AAH00748、NP_006077);βIVa(P04350、NP_006078);βIVb(P05217);βV(NP_115914);およびβVI(NP_110400)。NCBIタンパク質データベース中のこれらのタンパク質およびそれらのタンパク質配列についての記載事項は、本明細書中に参考として援用される。
【0075】
【化30】

α−チューブリンに関してアイソタイプI(Kα1)と異なるアミノ酸、またはβ−チューブリンに関してアイソタイプI(HM40/TUBB)と異なるアミノ酸は、黒色で強調される。等電点は、NCBIタンパク質データベース(第1の欄で示されるアクセッション番号)において見出されるチューブリンの一次配列に基づき、ExPaSy Compute pl/MWツールを使用して算出された。異なるC末端を有する2つのβIVa−チューブリン配列は、NCBIタンパク質データベース中に見出された。最初のC末端配列は、ヒトの脳において見出され、そして最後の配列は、ヒトの希突起神経膠腫およびマウスの脳において見出された。
【0076】
特定の実施形態において、種々のチューブリンのアイソタイプのC末端において見出される配列のバリエーションを考慮して、アイソタイプが癌細胞において発現されるか否かの決定は、PCRプライマー、ポリヌクレオチドプローブ、またはチューブリンのC末端由来のペプチドに基づく。種々のアイソタイプの同定に使用される抗体は、チューブリンのアイソタイプのC末端を指向し得る。上記アイソタイプのC末端に集中することで、上記プライマー、プローブ、ペプチド、または抗体は、特定のアイソタイプに対して特異的であり、かつ他のアイソタイプと交差反応しない可能性がより高い。特定の実施形態において、最後の100アミノ酸、75アミノ酸、50アミノ酸、40アミノ酸、30アミノ酸、25アミノ酸、20アミノ酸、15アミノ酸、または10アミノ酸は、特定のチューブリンのアイソタイプが癌細胞において発現されるか否かの決定に使用される。特定の実施形態において、上記C末端の最後の15〜25アミノ酸または15〜20アミノ酸が、使用される。
【0077】
さらに、上記チューブリンは、多くの翻訳後修飾を受ける。これらの修飾としては、チロシン化−脱チロシン化、アセチル化、リン酸化、ポリグルタミン酸付加、およびポリグリシン付加が挙げられる。チューブリンタンパク質の翻訳後修飾は、そのアイソタイプに依存し得る。例えば、α−チューブリンは、アセチル化されてチロシン化−脱チロシン化を受けることが見出されている。βIII−チューブリンは、リン酸化されることが示されている。1種以上のこのような翻訳後の修飾は、上記患者の癌細胞において発現されるチューブリンのアイソタイプを決定するために使用され得る。
【0078】
特定の実施形態において、患者を選択する方法は、上記α−チューブリンのアイソタイプの発現レベルまたはタンパク質レベルを決定することに基づく。他の実施形態において、その方法は、上記β−チューブリンのアイソタイプの発現レベルまたはタンパク質レベルを決定することに基づく。特定の実施形態において、その方法は、α−チューブリンおよび/もしくはβ−チューブリンの1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、または13種の特定のアイソタイプに集中し得る。特定の実施形態において、その方法は、アイソタイプIのKα1−チューブリンの発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。特定の他の実施形態において、その方法は、アイソタイプI(bα1)のα−チューブリンの発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。他の実施形態において、その方法は、α3−チューブリンの発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。さらに他の実施形態において、その方法は、α4−チューブリンの発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。特定の実施形態において、その方法は、α6−チューブリンの発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。特定の実施形態において、その方法は、α8−チューブリンの発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。
【0079】
特定の実施形態において、上記方法は、β−チューブリンのアイソタイプの発現レベル(発現の欠如を含む)の決定に基づく。例えば、患者を選択する方法は、特定の実施形態において、βIII−チューブリンの発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。他の実施形態において、その方法は、βI−チューブリン(TUBB)の発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。他の実施形態において、その方法は、βII−チューブリン(TUBB2)の発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。他の実施形態において、その方法は、βIVa−チューブリン(TUBB5)の発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。他の実施形態において、その方法は、βIVb−チューブリン(Hβ2)の発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。他の実施形態において、その方法は、βV−チューブリン(Beta V)の発現レベル(発現の欠如を含む)に基づき得る。他の実施形態において、その方法は、βVI−チューブリンの発現レベルに基づき得る。当業者によって認識されるように、βIII−チューブリン(TUBB4)とβIVb−チューブリン(Hβ2)との種々の組み合わせは、患者が特定の癌処置に対する候補であるか否かを決定するために使用され得る。特定の実施形態において、βIII−チューブリン(TUBB4)およびβIVb−チューブリン(Hβ2)の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。
【0080】
当業者によって認識されるように、特定の実施形態において、アイソタイプI(bα1)のα−チューブリン(TUBA3)と、βIII−チューブリン(TUBB4)と、βIVb−チューブリン(Hβ2)と、TAUと、MAP4と、スタスミンとの種々の組み合わせは、患者が特定の癌処置に対する候補であるか否かを決定するために使用され得る。特定の実施形態において、アイソタイプI(bα1)のα−チューブリン(TUBA3)、βIII−チューブリン(TUBB4)、βIVb−チューブリン(Hβ2)、TAU、MAP4、およびスタスミンのうちの2種、3種もしくは4種の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。特定の実施形態において、βIII−チューブリン(TUBB4)、βIVb−チューブリン(Hβ2)、TAU、およびスタスミンのうちの2種、3種もしくは4種の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。
【0081】
特定の実施形態において、1つ以上のチューブリン遺伝子の変異、多型、対立遺伝子、または他の形態が、処置のための患者の同定において決定される。本発明は、チューブリンのアイソタイプのみの決定に限られない。
【0082】
(他の微小管結合生体分子)
患者が特定の化合物による処置に対する候補であるか否かの決定において、チューブリンのアイソタイプがその決定において使用され得るだけでなく、他の微小管結合生体分子も、チューブリンのアイソタイプと組み合わせてか、または単独で評価され得る。微小管の重合もしくは脱重合に直接的かまたは間接的に関与することが公知である任意の生体分子が、本発明のシステムにおいて有用であり得る。これらの生体分子は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA、遺伝子)、タンパク質、ペプチド、細胞小器官、代謝産物(例えば、GTP、GDP)などを含み得る。微小管の重合もしくは脱重合に関連することが見出される生体分子の特定の例としては、中心小体、中心体(微小管形成中心(MTOC)としても公知である)、γ−チューブリン、微小管結合タンパク質(MAP)、キナーゼ、ホスホリラーゼ、およびカタストロフ促進タンパク質が挙げられる。本発明はまた、この時点で同定されていない他の微小管結合生体分子の使用を包含する。
【0083】
特定の実施形態において、上記患者の癌細胞において見出される中心小体の特徴が、特定の化合物に対する感受性を決定するために使用される。中心小体は、代表的には、互いに対して直角に向けられた対として見出される円柱構造物である。各円柱は、風車のように配列された9個の相互連結された三重微小管から構成される。中心小体の微小管において見出されるα−チューブリンとβ−チューブリンとのヘテロダイマーは、ポリグルタミン酸付加によって、翻訳後に修飾される。中心小体を含む生物体(例えば、ヒト)は、さらなるチューブリンを有する。これらのさらなるチューブリンは、d、e、z、およびhと称され、そしてそれらは、中心小体の構造または組み立てにおける役割を有すると仮定される。特定の実施形態において、これらのチューブリンのアイソタイプまたは変異体は、患者の化合物に対する感受性を決定するために使用される。
【0084】
中心小体は、中心体(微小管形成中心としても公知である)といわれるタンパク質の塊によって囲まれる。中心体において見出される任意のタンパク質は、処置のための患者を選択するために、本発明において使用され得る。中心体において見出されているか、または中心小体に関連することが見出されているタンパク質の例としては、セントリン、ペリセントリン(pericentrin)、ニネイン(ninein)、およびγ−チューブリンが挙げられる。中心体に関連することが見出される任意のタンパク質のアイソタイプ、多型、変異、または他の形態は、本発明において有用であり得る。細胞分裂の間、中心体は、有糸分裂紡錘体の形成を支援する。中心体は、通常、間期の間に核の近くに配置され、そして微小管は、その中心体から伸びる。その微小管は、それらの末端(プラス端)へのチューブリンヘテロダイマーの付加およびそれらの末端(プラス端)からのチューブリンヘテロダイマーの喪失によって、伸長および短縮する。細胞分裂の間、微小管紡錘体の動きは、娘細胞の各々への、重複した染色体の分離を可能にする。微小管の重合を標的とする薬物は、微小管紡錘体に媒介される染色体分離を妨げる。代表的に、このクラスの薬物は、2つの分類に分けられ得る:微小管を安定化する薬剤(例えば、タキソール)、および微小管を不安定化する薬物(例えば、ビンカアルカロイドおよびコルヒチン)。したがって、染色体分離のこのプロセスに関与するタンパク質または他の生体分子は、患者がこのような薬剤による処置に感受性であるか否かの決定に有用であり得る。これらのタンパク質の特定のアイソタイプ、多型、変異、対立遺伝子、または他の形態は、これらの薬剤に対する感受性または耐性をもたらし得る。
【0085】
特定の実施形態において、γ−チューブリンの発現レベルまたはタンパク質レベルは、本発明のシステムにおいて決定される。γ−チューブリンは、α−チューブリンおよびβ−チューブリンと相同性であり、そして中心体内の微小管の重合の核をなす。数個のγ−チューブリン分子は、γ−チューブリン環複合体を形成するために、グリップ(grip)といわれるタンパク質(γ環状タンパク質)に結合する。γ−チューブリン環複合体による核を有する微小管は、一方の末端(マイナス端)にてキャッピングされるようである。上記キャップのグリップタンパク質は、中心体に対する結合を媒介することに関与すると考えられる。γ−チューブリンの保存されたチロシン残基のリン酸化は、微小管の核形成を調節することが示されている。γ−チューブリンおよびγ環状タンパク質の種々の形態は、本発明のシステムを使用して、処置のための患者の選択において評価され得る。特定の実施形態において、γ−チューブリンの保存されたチロシンのリン酸化は、患者の選択において使用される。
【0086】
他の実施形態において、微小管結合タンパク質(MAP)の発現が、本発明のシステムにおいて決定される。任意のMAPの発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定され得る。MAPは、微小管に結合する種々のクラスのタンパク質である。いくつかのMAPは、微小管を安定化する一方で、他のMAPは、微小管を不安定化する。他のMAPは、隣接する微小管と架橋形成する。いくつかのMAPは、微小管を、膜または中間フィラメントに連結する。I型MAPは、代表的に、神経細胞の軸索および樹状突起において見出される;しかし、I型MAPは、非神経細胞においても見出されている。I型MAPは、負に荷電したチューブリンのドメインに結合する配列KKEX(Lys−Lys−Glu−X)の繰り返しを有する。特定の実施形態において、I型MAPのタンパク質レベルまたは発現は、本発明のシステムにおいて決定される。MAP−4およびTauなどのII型MAPは、軸索、樹状突起、および非神経細胞において見出される。II型MAPは、チューブリンを結合する、18アミノ酸の配列の3〜4回の繰り返しを有する。特定の実施形態において、II型MAPのタンパク質レベルまたは発現が、本発明のシステムにおいて決定される。特定の実施形態において、MAP−4の発現レベルまたはタンパク質レベルは、処置のための患者の選択において評価される。MAP−4は、上記癌細胞においてチューブリンのアイソタイプを決定することに関連して、本発明のシステムにおいて使用され得る。他の実施形態において、Tauの発現レベルまたはタンパク質レベルが、(必要に応じて、チューブリンのアイソタイプと関連して)決定される。他の実施形態において、XMAP215の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。XMAP215は、215kDaの高度に保存されたMAPであり、そして細胞周期に関して、微小管の動力学の制御において役割を果たす。XMAP215は、微小管のプラス端を安定化し、それによってプラス端における伸長を促進し、かつカタストロフな短縮を防ぐ。
【0087】
他の実施形態において、カタストロフ促進タンパク質(カタストロフィン)が、評価される。カタストロフは、微小管の迅速な脱重合である。スタスミンは、いくつかの癌細胞において過多に増大しているカタストロフィンである;したがって、スタスミンのレベルは、特定の癌治療のための患者の選択において決定され得る。必要に応じて、スタスミンレベルは、患者の癌細胞において発現されるチューブリンのアイソタイプを決定することに関連して決定され得る。別のカタストロフィンは、XKCM1であり、XKCM1は、キネシンモータータンパク質のMCAKサブファミリーのメンバーである。XMAP215は、XKCM1の作用に拮抗する。患者の癌細胞におけるXKCM1のレベルもまた、本発明の選択システムにおいて決定され得る。
【0088】
本発明はまた、細菌タンパク質FtsZのホモログの発現レベルまたはタンパク質レベルを決定する工程を包含し得る。FtsZは、チューブリンの祖先であると見なされ、そして細菌の細胞質分裂において役割を果たすことが見出されている。FtsZは、プロトフィラメントに集合し得、そしてそのFtsZプロトフィラメントは、シートまたは小管を形成するように集合し得る。高等生物におけるFtsZのホモログは、患者が特定の癌処置に適しているか否かを決定するために、本発明において使用され得る。他の実施形態において、FtsZを発現する細菌細胞は、抗腫瘍性薬剤(例えば、微小管の形成を妨害することによる)として使用され得る化合物を同定するために使用され得る。FtsZは、化合物と、微小管の重合もしくは脱重合に影響を及ぼす化合物による処理に対する感受性との間の相関を確立するために、細菌細胞において使用され得る。
【0089】
本明細書中に記載される任意の微小管結合生体分子は、特定の化合物を使用する処置のための患者の選択において使用され得る。微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルの決定は、患者の選択において単独で行われ得るか、またはその決定は、他の微小管結合生体分子またはチューブリンのアイソタイプに関連して行われ得る。特定の実施形態において、MAP−4の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。他の実施形態において、Tauの発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。さらに他の実施形態において、スタスミンの発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。他の実施形態において、CLIP−170の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。特定の実施形態において、EB1の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。他の実施形態において、p150の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。特定の実施形態において、上記癌細胞において見出されるβ−チューブリンのアイソタイプは、MAP−4、Tau、スタスミン、CLIP−170、EB1、および/またはp150に関連して決定される。特定の他の実施形態において、上記癌細胞において見出されるβ−チューブリンのアイソタイプのレベルは、MAP−4の発現レベルまたはタンパク質レベルに関連して決定される。さらに他の実施形態において、上記癌細胞において見出されるβ−チューブリンのアイソタイプのレベルは、スタスミンの発現レベルまたはタンパク質レベルに関連して決定される。なお他の実施形態において、上記癌細胞において見出されるβ−チューブリンのアイソタイプのレベルは、CLIP−170の発現レベルまたはタンパク質レベルに関連して決定される。他の実施形態において、上記癌細胞において見出されるβ−チューブリンのアイソタイプのレベルは、EB1の発現レベルまたはタンパク質レベルに関連して決定される。特定の実施形態において、上記癌細胞において見出されるβ−チューブリンのアイソタイプのレベルは、p150の発現レベルまたはタンパク質レベルに関連して決定される。
【0090】
特定の他の実施形態において、多剤排出トランスポーター(multidrug transporter)P−糖タンパク質(P−gp)の発現レベルまたはタンパク質レベルが、決定される。P−gpは、微小管の重合に関与しないが、微小管の重合に影響を及ぼす化合物を含む細胞傷害性化合物に対する耐性において役割を果たすことが、公知である。例えば、パクリタキセル(タキソール)に対するいくつかの癌の耐性は、多剤排出トランスポーターP−糖タンパク質の存在に起因することが示されている(Horwitzら、J.Natl.Cancer Inst.Monogr.15:55−61、1993;本明細書中に参考として援用される)。P−gpの発現レベルまたはタンパク質レベルは、上記患者由来のサンプルにおいてチューブリンのアイソタイプまたは他の微小管結合生体分子を決定することに関連して試験され得る。
【0091】
(患者の同定)
特定のチューブリンのアイソタイプもしくは特定の微小管結合生体分子またはそれらの組み合わせの発現レベルあるいはタンパク質レベルに基づいて、患者は、特定の化合物を使用する処置のために選択される。特定の実施形態において、上記患者を処置するために使用される化合物は、微小管の重合/脱重合を妨げることが公知である化合物である。特定の実施形態において、上記化合物は、α−チューブリンに結合する。他の実施形態において、上記化合物は、β−チューブリンに結合する。特定の実施形態において、上記化合物は、有機化合物である。特定の実施形態において、上記化合物は、低分子である。特定の実施形態において、上記化合物は、抗腫瘍性の活性を有する。上記化合物は、ヒトにおける使用に関してFDAによって認可され得るか、またはその化合物は、ヒトにおける使用に関してFDAによる審査を受けている可能性がある。
【0092】
ある特定の実施形態において、上記化合物は、ヘミアスタリンアナログである。特定の実施形態において、上記化合物は、抗癌活性および/または抗有糸分裂活性を有するヘミアスタリンアナログである。好ましくは、上記ヘミアスタリンアナログは、微小管の重合もしくは脱重合を妨げる抗微小管薬剤である。特定の実施形態において、上記アナログは、式(I):
【0093】
【化31】

を有し、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る。
【0094】
特定の実施形態において、上記ヘミアスタリンアナログは、式(II):
【0095】
【化32】

のヘミアスタリンアナログであり、
gは、1または2であり、
Lは、CRL1L2、S、OまたはNRL3であり、ここでRL1、RL2およびRL3の各出現は、独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
G1、RM1およびRM2の各出現は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、そして、
L1基、RL2基、RL3基、RG1基、RM1基またはRM2基のうちの隣接する任意の2つは、一緒になって、3個〜6個の原子を含む置換もしくは非置換の脂環式部分またはヘテロ脂環式部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、存在しないか、水素であるか、あるいは置換もしくは非置換の低級アルキルまたはヘテロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖の低級アルキルまたはヘテロアルキル、環式もしくは非環式の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは飽和もしくは不飽和の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは置換もしくは非置換のアリール部分またはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、置換もしくは非置換の、飽和した環式もしくは不飽和の環式の、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アルキル(アリール)部分またはヘテロアルキル(アリール)部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し得、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、そしてRおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルである。
【0096】
他の実施形態において、上記ヘミアスタリンアナログは、式(III):
【0097】
【化33】

のヘミアスタリンアナログであり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
は、CHまたはC=Oであり、RおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’またはNRQ’Q’’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、置換または非置換の複素環式部分を形成し、それにより、上記アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい。
【0098】
特定の実施形態において、上記ヘミアスタリンアナログは、式(IV):
【0099】
【化34】

のヘミアスタリンアナログであり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、それにより、上記アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい。
【0100】
特定の実施形態において、上記ヘミアスタリンアナログは、E7974(ER−807974としても公知である)であり、そしてそのヘミアスタリンアナログは、式(V):
【0101】
【化35】

を有する。
【0102】
特定の実施形態において、上記ヘミアスタリンアナログは、ER−808824であり、そしてそのヘミアスタリンアナログは、式(VI):
【0103】
【化36】

を有する。
【0104】
ヘミアスタリンアナログ、その合成、処置の方法、および薬学的組成物は、米国特許出願第60/366,592号(2002年3月22日出願);同第10/508,607号(2004年9月22日出願);および同第10/667,864号(2003年9月22日出願)(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0105】
特定の実施形態において、ヘミアスタリン(heiasterlin)アナログまたはその薬学的組成物は、癌の細胞がクラスIIIアイソタイプのβ−チューブリンを高いレベル(例えば、コントロール細胞において観察されるレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍)で発現すると分かっている場合に、その癌患者を処置するために使用される。他の実施形態において、ヘミアスタリンアナログまたはその薬学的組成物は、癌の細胞がクラスIVbアイソタイプのβ−チューブリンを高いレベル(例えば、コントロール細胞において観察されるレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍)で発現すると分かっている場合に、その癌患者を処置するために使用される。他の実施形態において、ヘミアスタリンアナログまたはその薬学的組成物は、癌の細胞がTAUを高いレベル(例えば、コントロール細胞において観察されるレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍)で発現すると分かっている場合に、その癌患者を処置するために使用される。他の実施形態において、ヘミアスタリンアナログまたはその薬学的組成物は、癌の細胞がスタスミンを高いレベル(例えば、コントロール細胞において観察されるレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍)で発現すると分かっている場合に、その癌患者を処置するために使用される。他の実施形態において、ヘミアスタリンアナログまたはその薬学的組成物は、癌の細胞がMAP4を高いレベル(例えば、コントロール細胞において観察されるレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍)で発現すると分かっている場合に、その癌患者を処置するために使用される。他の実施形態において、ヘミアスタリンアナログまたはその薬学的組成物は、癌の細胞がクラスIアイソタイプのα−チューブリン(TUBA3/b−α1)を高いレベル(例えば、コントロール細胞において観察されるレベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍)で発現すると分かっている場合に、その癌患者を処置するために使用される。特定の実施形態において、上記処置に使用される化合物は、本明細書中に記載されるようなヘミアスタリンアナログの分類のメンバーまたは小分類のメンバーである。特定の実施形態において、上記選択された患者を処置するために使用されるヘミアスタリンアナログは、E7974である。特定の実施形態において、上記選択された患者を処置するために使用されるヘミアスタリンアナログは、ER−808824である。
【0106】
上記患者が特定の化合物を使用する処置のために選択された後、その患者は、治療有効量の上記化合物またはその薬学的組成物の投与によって処置され得る。上記処置は、上記化合物またはその薬学的組成物の、数週間または数ヶ月間にわたる複数回の投与を包含し得る。特定の実施形態において、上記化合物は、本明細書中に記載されるようなヘミアスタリンアナログ(例えば、E7974)である。上記化合物の投薬は、0.001mg/m〜100mg/mの範囲、0.001mg/m〜10mg/mの範囲、0.01mg/m〜10mg/mの範囲、0.1mg/m〜75mg/mの範囲、または1mg/m〜50mg/mの範囲であり得る。
【0107】
(化合物と遺伝子発現との間の相関の決定)
ハリコンドリンBアナログのE7389およびヘミアスタリンアナログのE7974と、チューブリンのアイソタイプまたは微小管結合生体分子の発現との間の、本発明者らによって確立されたような相関に鑑みて、当業者は、他の化合物および他のマーカーについての相関が決定され得ることを認識する。このような相関は、患者を同定および処置する上記の方法における使用を見出す。このような相関は、癌患者に、より良好で、より有効な処置を提供する。特定の実施形態において、上記相関を確立するのに使用される化合物は、抗微小管薬剤(すなわち、細胞における微小管の重合もしくは脱重合を妨げる薬剤)である。特定の実施形態において、上記化合物は、微小管、α−チューブリン、またはβ−チューブリンを結合する。特定の他の実施形態において、上記化合物は、本明細書中に記載されるようなヘミアスタリンアナログである。
【0108】
本発明のシステムにおいて、細胞は、規定された時間にわたって上記試験化合物に曝される。次いで、増殖の阻害または他の表現型が、上記試験化合物と接触させられる細胞について決定される。上記チューブリンのアイソタイプの発現または他の微小管結合タンパク質の発現が、上記試験化合物と接触させられる細胞について決定される。次いで、これらのデータは、上記試験化合物と、チューブリンのアイソタイプの発現または微小管結合タンパク質の発現との間の相関を算出するために使用される。0.05以下のp値は、代表的に、統計学的に有意であると見なされる;しかし、特定の実施形態において、0.07以下のp値、0.10以下のp値、0.15以下のp値、または0.20以下のp値が、有意であると見なされる。より大きいp値は、より少ない数の細胞株が本発明のシステムにおいて試験される場合に受容され得る。
【0109】
本発明のシステムにおいて使用される細胞は、任意の供給源から得られ得る。好ましくは、上記細胞は、細胞培養において確実かつ再現可能に増殖され得る。上記細胞は、任意の種に由来する細胞であり得、その種としては、細菌、真菌、哺乳動物、ヒト、酵母、ラット、マウス、E.coli、S.cerevisiaeなどが挙げられる。上記細胞が、より高等な生物体に由来する場合、その細胞は、任意の組織(例えば、神経、脳、皮膚、筋肉、内分泌腺、肺、心臓、胃、結腸、肝臓、腎臓、膵臓、膀胱、乳房、卵巣、精巣、前立腺、血液、骨髄、骨、結合組織、甲状腺、副腎、下垂体、脾臓など)に由来し得る。特定の実施形態において、上記細胞は、内胚葉起源、中胚葉起源、または外胚葉起源の細胞であり得る。特定の実施形態において、上記細胞は、癌細胞であり得る。他の実施形態において、上記細胞は、不死化される。上記細胞は、癌を有する患者の生検に由来し得る。上記細胞はまた、外科的標本から得られ得る。上記細胞はまた、患者の血液から得られ得る。
【0110】
特定の実施形態において、上記細胞は、商業的供給源または細胞株の受託機関(例えば、ATCCまたは同等な外国の受託機関)から得られる。上記細胞はまた、NCI−Anticancer Drug Screen Panelから得られ得る。特定の実施形態において、上記細胞は、乳癌細胞株である。乳癌細胞株の例は、AU565、BT−20、MCF−7、MDA−MB−231、MDA−MB−435、MDA−MB−468、HCC38、HCC70、HCC1143、HCC1419、HCC1428、HCC1500、HCC1599、HCC1806、HCC1954、HCC2218、UACC−812、UACC−893、ZR−75−1、HS 578T、およびZR−75−30である。他の実施形態において、上記細胞は、肺癌細胞株である。肺癌細胞株の例としては、NCI−H460、A549、A549−T12、NCI−H460、およびA549−T24が挙げられる。さらに他の実施形態において、上記細胞は、卵巣癌細胞株である。卵巣細胞株としては、OVCAR−3およびIGROV1が挙げられる。薬物耐性細胞株または亜系統株(sub−line)もまた、本発明において使用され得る。例えば、上記細胞株は、他の抗微小管薬剤(例えば、タキソール、ビンカアルカロイド、タキソテールなど)に耐性であり得る。特定の実施形態において、少なくとも5種、10種、15種、20種、25種、30種、または50種の細胞株が、使用される。当業者によって認識されるように、細胞株の数が増加するにつれて、確立される相関は、より有意になる。好ましくは、約20種の細胞株が、本発明のシステムにおいて使用される。
【0111】
上記細胞は、試験化合物と接触させられる。上記試験化合物は、抗微小管薬剤であり得る。上記試験化合物は、本明細書中に記載されるようなヘミアスタリンアナログであり得る。上記試験化合物の種々の濃度が、使用され得、その濃度は、0.001μM〜100mMの範囲、0.01μM〜10mMの範囲、0.01μM〜1mMの範囲、または0.1μM〜1mMの範囲である。上記試験化合物は、数時間、数日間、または数週間にわたって上記細胞と接触させられる。特定の実施形態において、上記試験化合物は、1〜14日間にわたって上記細胞と接触させられる。他の実施形態において、上記試験化合物は、2〜10日間にわたって上記細胞と接触させられる。他の実施形態において、上記試験化合物は、約7日間にわたって上記細胞と接触させられる。他の実施形態において、上記試験化合物は、約4日間にわたって上記細胞と接触させられる。
【0112】
上記試験期間の終わりにおいて、上記細胞の表現型は、当該分野において公知である方法を使用して評価される。例えば、細胞増殖阻害アッセイが、使用され得る。細胞増殖は、改変されたメチレンブルーベースの微量培養アッセイを使用して評価され得る(Aminら、Cancer Res.47:6040−45、1987;Finlayら、Anal.Biochem.139:272−277、1984;これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)。上記試験化合物に曝された細胞の他の局面または特徴(例えば、細胞の大きさ、細胞死、有糸分裂を行なう細胞の数、有糸分裂紡錘体、細胞周期のS期にある細胞など)もまた、評価され得る。
【0113】
上記患者選択システムにおいて上に記載されるように、次いで、チューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合タンパク質の発現レベルまたはタンパク質レベルが、試験された細胞について決定される。任意の方法が、発現レベルまたはタンパク質レベルを決定するために使用され得、その方法としては、ノーザンブロット、PCR技術、ウェスタンブロット、質量分析、イムノアッセイ、イムノアッセイ、細胞の染色などが挙げられる。一旦目的のタンパク質についての発現レベルまたはタンパク質レベルが決定されると、このデータは、統計学的方法を使用して、表現型データ(例えば、細胞増殖阻害アッセイから得られたIC50)と相互に関連させられる。
【0114】
特定の実施形態において、遺伝子発現の相対的定量化のための標準的な比較C法が、使用される。遺伝子発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子(例えば、GAPDH)の発現のレベルに対して正規化され得る。目的の遺伝子の発現のベースラインがまた、コントロール細胞株において確立され得る。特定の実施形態において、相関係数(Pearson r)の従来の閾値は、0.05以下のp値で有意と見なされる。0.20以下のp値、0.15以下のp値、または0.10以下のp値もまた、使用され得る。より大きいp値は、細胞株の数が20未満である場合に、特に有用であり得る。特定の実施形態において、特定の試験化合物を使用する上記実験は、統計学的に有意な相関を確立するために、より多い数の細胞株を用いて繰り返される。
【0115】
一旦統計学的に有意な相関が、確立されると、次いでその相関は、上記試験化合物またはその試験化合物に関連した化合物による処置のための患者を選択することにおいて使用され得る。患者を同定および/または処置するための本発明のシステムは、上に記載される。特定の実施形態において、上記相関は、チューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合生体分子の特定のレベルまたは特定の範囲に基づき得る。例えば、癌細胞における特定のタンパク質の範囲、または癌細胞におけるmRNAレベルの特定の範囲が、相関を確立するために使用され得る。他の実施形態において、1つより多いマーカーが、統計学的に有意な相関を確立するために決定され得る。特定の実施形態において、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のマーカーは、統計的有意性を確立するために分析される必要があり得る。再び、マーカーの存在または非存在が使用されても、マーカーのレベルもしくは範囲が使用されても、それらの組み合わせが使用されてもよい。
【0116】
特定の実施形態において、複数の試験化合物が、試験される。特定の例において、複数の試験化合物の間に、相関が存在し得る。例えば、E7974、E7389およびビンブラスチンは、実施例1に記載される細胞株のパネルにおいて相関することが見出された。これらの化合物は、パクリタキセルと相関しなかった。このような結果は、E7974、E7389、およびビンブラスチンが、同じの癌の処置において有用であり得ること、ならびにこれらの化合物が、パクリタキセルによる処置に対して感受性ではない癌の処置において有用であり得ることを示し得る。
【0117】
同様の方法は、特定のチューブリンのアイソタイプまたは特定の微小管結合生体分子を発現する癌を処置するのに有効である化合物を同定するために使用され得る。その方法は、他の公知である処置に無反応性の癌(例えば、パクリタキセル(タキソール(登録商標))による処置に対して感受性ではない乳癌)の処置において有用である化合物を同定するのに、特に有用である。この方法において、化合物のライブラリーまたはコレクションは、細胞増殖を阻害し、かつその阻害が、特定のチューブリンのアイソタイプもしくは特定の微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルと相関する化合物を同定するためにスクリーニングされる。同定された化合物は、リード化合物または薬物候補として役立ち得る。
【0118】
(キット)
特許請求の範囲の方法を実施する臨床家または研究者のためのキットは、使用のために都合よくパッケージされた、材料、試薬、機器、および説明書を備え得る。このキットは、ポリヌクレオチド(例えば、プライマー、PCRプライマー、プローブ、DNA、RNA、DNAアナログなど)、緩衝液、酵素(例えば、リガーゼ、エンドヌクレアーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、プロテアーゼ、ポリメラーゼ、耐熱性ポリメラーゼなど)、エッペンドルフチューブ、取扱説明書、ヌクレオチド、クロマトグラフィー材料(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー)、スピンカラム、試験化合物(例えば、ヘミアスタリンアナログ、ハリコンドリンBアナログ、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、タキソテール、コルヒチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、他の抗微小管薬剤)、細胞株(癌細胞株、乳癌細胞株、肺癌細胞株、卵巣癌細胞株)、増殖培地、溶媒(例えば、DMSO、DMF)を備え得る。
【0119】
患者を選択する方法を実施するのに有用なキットは、その患者の癌のサンプルを入手するのに有用な機器および材料を備え得る。このような機器および材料としては、注射器、針、解剖刀、コップ、チューブ、ラベルなどが挙げられ得る。上記キットはまた、上記チューブリンのアイソタイプの発現または微小管結合タンパク質の発現が遺伝子チップ、ノーザンブロット、またはPCRによって決定される場合、サンプルからmRNAを精製するための材料を含み得る。イムノアッセイが、特許請求の範囲の方法において使用される場合、その発現が決定されるべきタンパク質に対する抗体が、上記キットに含まれる。好ましくは、その抗体は、マーカーに対して特異的である。
【0120】
マーカーと試験化合物との間の相関を確立するのに有用なキットは、細胞株、コントロール化合物、統計ソフトウェア、増殖培地、緩衝液、試験化合物およびコントロール化合物を溶解するための溶媒、組織培養プレート(例えば、96ウェルプレート)、増殖阻害アッセイを行うための材料、およびチューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルを検出するために必要とされる材料を備え得る。好ましくは、上記キットは、試験化合物を除いて、研究者が本明細書中に記載されるような相関を確立するために必要とする全てのものを備える。上記試験化合物は、代表的に、その研究者によって供給される。特定の細胞株もまた、その研究者によって提供され得る。
【0121】
本発明はまた、特許請求の範囲の方法を実施するのに使用される試薬を含む。これらの試薬は、プライマー、プローブ、またはチューブリンのアイソタイプまたは微小管結合生体分子に特異的な抗体を含む。本発明の実施において有用なプライマーおよびプローブの例は、実施例の表1および表2に列挙される。
【0122】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の実施例を考慮して、さらに認識され、その実施例は、本発明のある特定の実施形態を例示することを意図するが、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0123】
(実施例1−チューブリンのアイソタイプと、E7389およびE7974との間の相関の確立)
(材料および方法)
(細胞株)
以下のヒト乳癌細胞株を、ATCCから得た。細胞を、ATCCが推奨する培養条件に従って維持した。
【0124】
【化37】

(細胞増殖阻害アッセイ)
培養したヒト乳癌細胞を、96ウェルプレートにおき、そして4日間または7日間にわたって試験化合物の継続的な存在下において増殖させた。その細胞を試験化合物に7日間にわたって曝すために、培地を、4日間曝露した後に、化合物を含む新鮮な培地と交換し、そして細胞をさらに3日間にわたってインキュベートした。細胞増殖を、メチレンブルーベースの微量培養アッセイ(Finlayら、Anal.Biochem.、139:272−277、1984;本明細書中に参考として援用される)の改変(Aminら、Cancer Res.、47:6040−6045、1987;本明細書中に参考として援用される)を使用して評価した。
【0125】
この研究において使用される細胞株によるPgPの考えられる発現を調査するために、パクリタキセルの抗増殖効果を、ベラパミル(PgPの公知のインヒビター)の存在下および非存在下において決定した。
【0126】
(RNAの単離およびcDNAの合成)
細胞の全RNAの単離のために、細胞を、トリプシン処理によって回収した。細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を用いて2回洗浄した。RNAlater RNA Stabilization Reagent(Qiagen)を、細胞ペレットに添加し、そしてサンプルを、RNAの単離まで−80℃にて保存した。RNeasy Protect Mini Kit(Qiagen、カタログ番号74124)を使用して、細胞から全RNAを単離した。標準的な製造業者のプロトコルを、この手順において使用した。QIAshredderスピンカラム(Qiagen、カタログ番号79654)を使用して、サンプルを均質化し、そしてカラム上でのDNase消化工程(RNase−Free DNase Set、Qiagen、カタログ番号79254)を、あらゆるDNAによる汚染を除去するために含めた。
【0127】
次いで細胞の全RNAの約1〜2ugを、RETROscriptTMKit(Ambion、カタログ番号1710)を使用するcDNA合成のために、RT−PCR反応において使用した。その反応を、提供された製造業者のプロトコルに従って実施した。Oligo(dT)と、デカマーのランダムプライマーとの等量混合物を、その反応において使用した。
【0128】
(プライマーおよびプローブ、定量的リアルタイムPCR)
(β−チューブリン遺伝子)
7種のβチューブリン遺伝子(クラスIアイソタイプ、遺伝子HM40/TUBB;クラスIIアイソタイプ、遺伝子Hb9/TUBB2;クラスIIIアイソタイプ、遺伝子Hb4/TUBB4;クラスIVaアイソタイプ、遺伝子Hb5/TUBB5;クラスIVbアイソタイプ、遺伝子Hb2;クラスVアイソタイプ、遺伝子5−beta/Beta V;およびクラスVIアイソタイプ、遺伝子Hb1/TUBB1)は、その5’末端領域において、互いに高度に相同的である。この理由から、本発明者らは、各遺伝子の相同性が低い3’末端由来のアンプリコンを選択した。遺伝子特異的なプライマーおよびプローブの配列を、表1に示す。プローブを、FAMレポーターおよびTAMRAクエンチャーによって標識した。合計1uLの合成したcDNAは、目的の各遺伝子のPCR増幅のための基質として機能した。定量的リアルタイムPCRを、遺伝子に特異的なプライマーおよびプローブを使用し、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて96ウェルプレートにおいて行なった。各サンプルを、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems、カタログ番号4304437)を使用して三連でアッセイした。製造業者が勧めるサーマルサイクル条件を、59℃のアニーリング温度で使用した。
【0129】
(スタスミン遺伝子、MAP4遺伝子、Tau遺伝子、およびα−チューブリン遺伝子)
スタスミンおよびMAP4に対する順方向プライマーおよび逆方向プライマーならびにプローブを、表1に示す遺伝子の3’末端から設計した。Tau遺伝子および6種のαチューブリン遺伝子に対する特異的プローブおよび特異的プライマーを、Applied Biosystemsから受領した(表2)。スタスミンmRNAおよびMAP4 mRNAの定量分析を、Taqman One−Step RT−PCR Master Mix Reagents Kit(Applied Biosystems、カタログ番号4309169)を使用して行なった。標準的なサーマルサイクルパラメータを、48℃で30分間のインキュベーションおよび95℃で10分間のインキュベーション、その後の40サイクルの95℃における15秒間のインキュベーション、および60℃で1分間のインキュベーションを用いて行なった。α−チューブリンのアイソタイプの発現を、上に記載したような、β−チューブリンのアイソタイプと同じ方法で分析した。
【0130】
(遺伝子の相対的発現レベルの算出および統計分析)
遺伝子発現の相対的定量化のための標準的な比較C法を、使用した(ABIチュートリアル)。遺伝子発現レベルを、GAPDHコントロールの発現のレベルに対して正規化した。AU565細胞株における目的の遺伝子の発現レベルを、比較のために、参照(ベースライン)コントロールとして選択した。
【0131】
試験薬剤に対する細胞株の感受性(細胞増殖阻害アッセイにおいて得たIC50)と、目的の遺伝子の発現レベルとの間の相関を、算出した。相関係数(Pearson r)の従来の閾値を、0.05以下のp値で有意と見なした。
【0132】
標準的な重回帰分析(multiple stepwise regression analysis)を、得られたデータに対して行なった。この分析のために、4種の化合物のIC50値を、標準化し、そして14種の遺伝子発現を、その分析の全てにおいて、標準化およびlog10変換の両方に供した。
【0133】
(結果)
4種のチューブリン結合性抗癌剤の抗増殖効果を、19種のヒト乳癌細胞株のパネルにおいて、メチレンブルーベースの細胞増殖阻害アッセイによって評価した。以下の薬剤を、この研究において使用した:ハリコンドリンアナログE7389、ヘミアスタリンアナログE7974、ビンブラスチン、およびパクリタキセル。それぞれのIC50の決定を、少なくとも3つの別個の実験において行なった。多剤耐性排出ポンプ(P−糖タンパク質、すなわちPgP)の存在は、試験薬剤に対する細胞株の感受性に著しく影響し得、したがってβ−チューブリンの発現と試験薬剤に対する細胞株の感受性との間の相関を隠蔽し得る。したがって、細胞株を、PgPブロッカーであるベラパミル(10μMの濃度で使用した)のパクリタキセル感受性に対する効果をモニタリングすることによって、PgPの発現の形跡について試験した。PgPの発現についての形跡は、試験した細胞株のいずれにおいても見出されなかった(表4)。細胞増殖阻害についての平均IC50値を、表3に示す。E7389は、4種の化合物のうちで最も活性が高く、0.29〜1.8nMの範囲のIC50値で乳癌細胞株の増殖を阻害した。最も感受性の高い細胞株におけるIC50と、最も感受性の低い細胞株との間の倍数での差(fold−difference)は、4種全ての化合物についてほぼ同じであった(E7389、E7974、パクリタキセル、およびビンブラスチンについて、それぞれ、6.2、6.8、5.8、および5.6)。薬物間の相関は、3種の微小管重合インヒビターE7974、E7389、およびビンブラスチンに対する感受性の間で見られたが、微小管重合安定化剤パクリタキセルとの間では見られなかった。
【0134】
7種のβ−チューブリンのアイソタイプの遺伝子、4種のα−チューブリンのアイソタイプの遺伝子、ならびにスタスミン遺伝子、Tau遺伝子、およびMAP4遺伝子の発現分析を、19種のヒト乳癌細胞株における定量的リアルタイムPCRにおいて試験した。GAPDH mRNAに対する各遺伝子発現の正規化を、各実験において行なった。Cデータに基づいて、β−チューブリンの間で最も高く発現した遺伝子は、クラスIアイソタイプおよびクラスIVbアイソタイプであった。この研究において試験した細胞株のパネルにおいて最も低いレベルで発現したβチューブリン遺伝子は、クラスIIアイソタイプ、クラスIVaアイソタイプおよびクラスVIアイソタイプであった。その細胞株の間の遺伝子発現を比較するために、細胞株AU565中の転写物のレベルを、ベースラインとして任意に選択した(表5)。細胞株の間で最も変化した遺伝子発現レベルは、クラスII、クラスIIIおよびクラスIVaのβ−チューブリンのアイソタイプについて観察された(図1)。
【0135】
チューブリン結合性薬剤に対する細胞株の感受性と、9種の試験した遺伝子の発現レベルとの比較を、最初に、相関分析を使用して行なった(表6)。4種全ての化合物の効果との最も高い相関はβ−チューブリン遺伝子の中では、クラスIIIアイソタイプであった。この相関は、E7389およびE7974の場合において有意なレベルに達した。興味深いことに、観察された相関は、ネガティブであり、このことは、クラスIIIアイソタイプのより高い発現レベルがE7389およびE7974に対するより高い感受性を伴うことを示す。E7974はまた、有意なレベルに近い、クラスIアイソタイプの発現とのある程度の相関を示した(r=−0.42、p=0.07)。
【0136】
スタスミン遺伝子およびMAP4遺伝子の発現レベルは、この型の分析における細胞増殖に対する化合物の効果と有意に相関しなかったが、E7974との相関が、最も高く、そしてその相関は、この分析において、より多くの細胞株を含めて意味深いものになり得る。
【0137】
選択した遺伝子発現レベルと、チューブリン結合性薬剤に対する感受性との関連を、標準的な重回帰分析を使用して、さらに評価した(表7)。E7389のIC50は、クラスIII、クラスIVb、およびクラスVのβ−チューブリンのアイソタイプの発現、ならびにクラスIのα−チューブリンのアイソタイプの発現と有意に相関した。E7974に対する感受性も、クラスIIIおよびクラスIVbのβ−チューブリンのアイソタイプに関連したが、E7974に対する感受性は、この分析において、Tauおよびスタスミンの遺伝子発現とも関連した。
【0138】
【表1】

【0139】
【表2】

【0140】
【表3】

【0141】
【表4】

【0142】
【表5−1】

【0143】
【表5−2】

【0144】
【表6】

【0145】
【表7】

(実施例2−処置のための患者の同定における遺伝子チップの使用)
本実施例は、特定の抗微小管薬剤を使用する処置のための患者の選択における遺伝子チップマイクロアレイの使用を記載する。
【0146】
患者の癌由来のサンプルを得る。その癌細胞由来の細胞からmRNAを、単離する。その単離したmRNAを、逆転写してcDNAを得、次いでそのcDNAを、蛍光マーカーによって標識する。次いでその標識cDNAを、チューブリンのアイソタイプ、ならびにTau、MAP4、およびスタスミンに特異的なヌクレオチドを含むマイクロアレイと一緒にインキュベートする。そのアレイを、漸増性のストリンジェントな洗浄を使用して繰り返し洗浄して、ハイブリダイズしていないcDNAを除去する。次いでそのアレイを、脱水する。次いでそのハイブリダイズした標識cDNAを有するアレイを、レーザー走査型顕微鏡を使用して分析する。各スポットに対する正味のシグナルを、平均スポット強度から局所のバックグラウンドを減算することによって決定した。次いで各スポットについてのシグナル強度を、正規化する。
【0147】
上記癌細胞において見られる発現レベルに基づいて、上記患者は、処置に関して選択されるか、または選択されない。例えば、β−チューブリンのクラスIIIアイソタイプの発現レベルは、E7389およびE7974に対する高い感受性と相関することを示した。したがって、癌細胞が高いレベルのβ−チューブリンのクラスIIIアイソタイプを発現する患者は、E7389、E7974、またはこれらの化合物の他のアナログによる処置に対する適切な候補である。特定の例において、特定のβ−チューブリンのアイソタイプの発現レベルは、特定の化合物による処置のための患者を判定し得る。例えば、患者の癌におけるβ−チューブリンのクラスIIアイソタイプの発現は、タキソールによる処置のための患者を判定し得る。
【0148】
(他の実施形態)
上述のものは、本発明の特定の非限定的な好ましい実施形態の記載である。当業者は、この記載に対する種々の変更および改変が、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の精神または範囲から逸脱することなくなされ得ることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、乳癌細胞株におけるβ−チューブリンのアイソタイプの発現を示す。チューブリン遺伝子の発現は、GAPDH mRNAに対して正規化され、そしてΔCとしてプロットされた。
【図2】図2は、E7389に対する感受性と、β−チューブリンのアイソタイプの遺伝子の発現レベルとの間の線形相関を示す。
【図3】図3は、E7974に対する感受性と、β−チューブリンのアイソタイプの遺伝子の発現レベルとの間の線形相関を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物による処置のために癌を有する患者を同定する方法であって、該方法は、
(a)患者の該癌からサンプルを得る工程;ならびに
(b)該サンプルを、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルについて分析する工程であって、相関が、化合物に対する感受性と、該マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルとの間に存在し、そして、
該化合物が、式(I):
【化1】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であり、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る、
工程;ならびに
(c)該患者を、該少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて同定する工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記化合物は、式(II):
【化2】

の化合物であり、
gは、1または2であり、
Lは、CRL1L2、S、OまたはNRL3であり、ここでRL1、RL2およびRL3の各出現は、独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
G1、RM1およびRM2の各出現は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、そして、
L1基、RL2基、RL3基、RG1基、RM1基またはRM2基のうちの隣接する任意の2つは、一緒になって、3個〜6個の原子を含む置換もしくは非置換の脂環式部分またはヘテロ脂環式部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、存在しないか、水素であるか、あるいは置換もしくは非置換の低級アルキルまたはヘテロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖の低級アルキルまたはヘテロアルキル、環式もしくは非環式の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは飽和もしくは不飽和の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは置換もしくは非置換のアリール部分またはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、置換もしくは非置換の、飽和した環式もしくは不飽和の環式の、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アルキル(アリール)部分またはヘテロアルキル(アリール)部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し得、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、そしてRおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物は、式(III):
【化3】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
は、CHまたはC=Oであり、RおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’またはNRQ’Q’’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、置換または非置換の複素環式部分を形成し、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物は、式(IV):
【化4】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物は、式(V):
【化5】

の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物は、式(VI):
【化6】

の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マーカーは、α−チューブリンのアイソタイプからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マーカーは、β−チューブリンのアイソタイプからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マーカーは、クラスI β−チューブリンのアイソタイプ(HM40/TUBB)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、クラスIVa β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ5/TUBB5)、およびクラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記マーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、およびクラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記マーカーは、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hb4/TUBB4)である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記マーカーは、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記マーカーは、スタスミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記マーカーは、MAP4である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記マーカーは、TAUである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも2つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも2つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析され、該少なくとも2つマーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)、スタスミン、TAU、およびMAP4からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも3つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも3つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析され、該少なくとも3つのマーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)、スタスミン、TAU、およびMAP4からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記癌は、乳癌、卵巣癌、および肺癌からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記癌は、乳癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記癌は、多剤耐性の癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記癌の細胞は、P−糖タンパク質(Pgp)を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記癌は、パクリタキセル耐性の癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記癌からサンプルを得る工程は、該癌の生検サンプルを得る工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記癌からサンプルを得る工程は、該癌からRNAのサンプルを得る工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記RNAのサンプルを得る工程の後に該RNAをcDNAに逆転写する工程をさらに包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記マーカーに特異的なプライマーを使用して前記cDNAに対してPCRを行なう工程;および
該マーカーの発現を決定する工程;
をさらに包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記cDNAと、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合タンパク質からなる群より選択される前記マーカーに特異的なプローブのアレイとを接触させる工程;および
該マーカーの発現レベルを定量化する工程;
をさらに包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記癌からサンプルを得る工程は、該癌からタンパク質のサンプルを得る工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプルと、前記マーカーに特異的な抗体とを接触させる工程;
をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプルを前記マーカーについて質量分析を使用して分析する工程;
をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記癌からサンプルを得る工程は、該癌から細胞のサンプルを得る工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記患者を前記少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて同定する工程は、該少なくとも1つのマーカーの増加したレベルに基づいて該患者を同定する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つのマーカーの増加したレベルは、コントロール細胞におけるレベルの少なくとも2倍である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つのマーカーの増加したレベルは、コントロール細胞におけるレベルの少なくとも3倍である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つのマーカーの増加したレベルは、コントロール細胞におけるレベルの少なくとも5倍である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて、癌を有する患者を処置するための化合物を選択する方法であって、該方法は、
該患者に、式(I):
【化7】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される該少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて投与する工程であって、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る、
工程;
を包含する、方法。
【請求項40】
前記化合物は、式(II):
【化8】

の化合物であり、
gは、1または2であり、
Lは、CRL1L2、S、OまたはNRL3であり、ここでRL1、RL2およびRL3の各出現は、独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
G1、RM1およびRM2の各出現は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、そして、
L1基、RL2基、RL3基、RG1基、RM1基またはRM2基のうちの隣接する任意の2つは、一緒になって、3個〜6個の原子を含む置換もしくは非置換の脂環式部分またはヘテロ脂環式部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、存在しないか、水素であるか、あるいは置換もしくは非置換の低級アルキルまたはヘテロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖の低級アルキルまたはヘテロアルキル、環式もしくは非環式の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは飽和もしくは不飽和の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは置換もしくは非置換のアリール部分またはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、置換もしくは非置換の、飽和した環式もしくは不飽和の環式の、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アルキル(アリール)部分またはヘテロアルキル(アリール)部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し得、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、そしてRおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルである、
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物は、式(III):
【化9】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
は、CHまたはC=Oであり、RおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’またはNRQ’Q’’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、置換または非置換の複素環式部分を形成し、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物は、式(IV):
【化10】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物は、式(V):
【化11】

の化合物である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物は、式(VI):
【化12】

の化合物である、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記マーカーは、α−チューブリンのアイソタイプからなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記マーカーは、β−チューブリンのアイソタイプからなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記マーカーは、クラスI β−チューブリンのアイソタイプ(HM40/TUBB)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、クラスIVa β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ5/TUBB5)、およびクラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記マーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、およびクラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記マーカーは、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)およびクラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記マーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)である、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記マーカーは、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hb4/TUBB4)である、請求項39に記載の方法。
【請求項52】
前記マーカーは、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)である、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記マーカーは、スタスミンである、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記マーカーは、MAP4である、請求項39に記載の方法。
【請求項55】
前記マーカーは、TAUである、請求項39に記載の方法。
【請求項56】
マーカー遺伝子の発現と化合物に対する感受性との間の相関を確立する方法であって、該方法は、
細胞を提供する工程;
該細胞と、式(I):
【化13】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩とを接触させる工程であって、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る、
工程;
該細胞を増殖阻害についてアッセイする工程;
該細胞におけるチューブリンのアイソタイプの遺伝子または微小管結合遺伝子の発現を決定する工程;ならびに
1つ以上のチューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルと、試験された該化合物に対する感受性との間の相関を決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項57】
前記細胞は、癌細胞株である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記細胞は、乳癌細胞株、卵巣癌細胞株、または肺癌細胞株である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
β−チューブリンのアイソタイプの発現が、決定される、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
全てのα−チューブリンのアイソタイプおよびβ−チューブリンのアイソタイプの発現が、決定される、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
全てのα−チューブリンのアイソタイプおよびβ−チューブリンのアイソタイプの発現、ならびにスタスミン、MAP4、Tau、CLIP−170、EB1、およびp150からなる群より選択される他の微小管結合生体分子の発現が、決定される、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
p値が0.05以下である場合に、相関が存在する、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
p値が0.06以下である場合に、相関が存在する、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
p値が0.10以下である場合に、相関が存在する、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
化合物による処置のために癌を有する患者を同定する方法であって、該方法は、
(a)患者の該癌から得たサンプルを、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルについて分析する工程であって、相関が、化合物に対する感受性と、該マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルとの間に存在し、そして
該化合物は、式(I):
【化14】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であり、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る、
工程;ならびに
(b)該患者を、該少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて同定する工程;
を包含する、方法。
【請求項66】
前記化合物は、式(II):
【化15】

の化合物であり、
gは、1または2であり、
Lは、CRL1L2、S、OまたはNRL3であり、ここでRL1、RL2およびRL3の各出現は、独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
G1、RM1およびRM2の各出現は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、そして、
L1基、RL2基、RL3基、RG1基、RM1基またはRM2基のうちの隣接する任意の2つは、一緒になって、3個〜6個の原子を含む置換もしくは非置換の脂環式部分またはヘテロ脂環式部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、存在しないか、水素であるか、あるいは置換もしくは非置換の低級アルキルまたはヘテロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖の低級アルキルまたはヘテロアルキル、環式もしくは非環式の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは飽和もしくは不飽和の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは置換もしくは非置換のアリール部分またはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、置換もしくは非置換の、飽和した環式もしくは不飽和の環式の、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アルキル(アリール)部分またはヘテロアルキル(アリール)部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し得、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、そしてRおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルである、
請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物は、式(III):
【化16】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
は、CHまたはC=Oであり、RおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’またはNRQ’Q’’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、置換または非置換の複素環式部分を形成し、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記化合物は、式(IV):
【化17】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記化合物は、式(V):
【化18】

の化合物である、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物は、式(VI):
【化19】

の化合物である、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記マーカーは、α−チューブリンのアイソタイプからなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記マーカーは、β−チューブリンのアイソタイプからなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記マーカーは、クラスI β−チューブリンのアイソタイプ(HM40/TUBB)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、クラスIVa β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ5/TUBB5)、およびクラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)からなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項74】
前記マーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、およびクラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)からなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記マーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)である、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
前記マーカーは、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hb4/TUBB4)である、請求項65に記載の方法。
【請求項77】
前記マーカーは、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)である、請求項65に記載の方法。
【請求項78】
前記マーカーは、スタスミンである、請求項65に記載の方法。
【請求項79】
前記マーカーは、MAP4である、請求項65に記載の方法。
【請求項80】
前記マーカーは、TAUである、請求項65に記載の方法。
【請求項81】
少なくとも2つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析される、請求項65に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも2つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析され、該少なくとも2つマーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)、スタスミン、TAU、およびMAP4からなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項83】
少なくとも3つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析される、請求項65に記載の方法。
【請求項84】
少なくとも3つの前記マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルが、分析され、該少なくとも3つのマーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ4/TUBB4)、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)、スタスミン、TAU、およびMAP4からなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項85】
前記癌は、乳癌、卵巣癌、および肺癌からなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項86】
前記癌は、乳癌である、請求項65に記載の方法。
【請求項87】
前記癌は、多剤耐性の癌である、請求項65に記載の方法。
【請求項88】
前記癌の細胞は、P−糖タンパク質(Pgp)を発現する、請求項65に記載の方法。
【請求項89】
前記癌は、パクリタキセル耐性の癌である、請求項65に記載の方法。
【請求項90】
前記患者を前記少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルに基づいて同定する工程は、該少なくとも1つのマーカーの増加したレベルに基づいて該患者を同定する工程を包含する、請求項65に記載の方法。
【請求項91】
前記少なくとも1つのマーカーの増加したレベルは、コントロール細胞におけるレベルの少なくとも2倍である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記少なくとも1つのマーカーの増加したレベルは、コントロール細胞におけるレベルの少なくとも3倍である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記少なくとも1つのマーカーの増加したレベルは、コントロール細胞におけるレベルの少なくとも5倍である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
癌の処置のための医薬の製造であって、患者の該癌が、α−チューブリンのアイソタイプ、β−チューブリンのアイソタイプ、および微小管結合生体分子からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルを有するとして同定され、ここで相関が、化合物に対する感受性と、該マーカーの発現レベルまたはタンパク質レベルとの間に存在する、製造における、式(I):
【化20】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の使用であって、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る、
使用。
【請求項95】
癌の処置のための医薬の製造であって、該癌を有する患者が、請求項1〜33のいずれか1項の方法によって同定される、製造における、式(I):
【化21】

の化合物の使用であって、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る、
使用。
【請求項96】
前記化合物が、式(II):
【化22】

の化合物であり、ここで
gは、1または2であり、
Lは、CRL1L2、S、OまたはNRL3であり、ここでRL1、RL2およびRL3の各出現は、独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
G1、RM1およびRM2の各出現は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、そして、
L1基、RL2基、RL3基、RG1基、RM1基またはRM2基のうちの隣接する任意の2つは、一緒になって、3個〜6個の原子を含む置換もしくは非置換の脂環式部分またはヘテロ脂環式部分、あるいは置換もしくは非置換のアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、存在しないか、水素であるか、あるいは置換もしくは非置換の低級アルキルまたはヘテロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖の低級アルキルまたはヘテロアルキル、環式もしくは非環式の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは飽和もしくは不飽和の低級アルキルまたはヘテロアルキル、あるいは置換もしくは非置換のアリール部分またはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、置換もしくは非置換の、飽和した環式もしくは不飽和の環式の、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アルキル(アリール)部分またはヘテロアルキル(アリール)部分、あるいはアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し得、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、そしてRおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルである、
請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項97】
前記化合物は、式(III):
【化23】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
は、CHまたはC=Oであり、RおよびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’またはNRQ’Q’’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、置換または非置換の複素環式部分を形成し、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項98】
前記化合物は、式(IV):
【化24】

の化合物であり、
gは、1、2、3または4であり、
9aおよびR10aは、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでR9a基およびR10a基は、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
L1およびRL2は、それぞれ独立して、水素または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、独立して、置換もしくは非置換の直鎖低級アルキルまたは分枝鎖低級アルキルであり、そして、
Qは、ORQ’であり、ここでRQ’は、水素または低級アルキルであり、それにより、該アルキル部分の各々は、置換されても置換されなくても、直鎖でも分枝鎖でも、環式でも非環式でもよい、
請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項99】
前記化合物は、式(V):
【化25】

の化合物である、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項100】
前記化合物は、式(VI):
【化26】

の化合物である、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項101】
前記マーカーは、クラスI α−チューブリンのアイソタイプ(TUBA3/b−α1)である、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項102】
前記マーカーは、クラスIII β−チューブリンのアイソタイプ(Hb4/TUBB4)である、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項103】
前記マーカーは、クラスIVb β−チューブリンのアイソタイプ(Hβ2)である、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項104】
前記マーカーは、スタスミンである、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項105】
前記マーカーは、MAP4である、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項106】
前記マーカーは、TAUである、請求項94または請求項95に記載の使用。
【請求項107】
マーカー遺伝子の発現と化合物に対する感受性との間の相関を確立するインビトロの方法であって、該方法は、
細胞を提供する工程;
該細胞と、式(I):
【化27】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩とを接触させる工程であって、
nは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、それぞれ独立して、CR、C(=O)、または−SO−であり、ここで、RおよびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、
およびRの各出現は、独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、−(C=O)Rまたは脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここで、Rの各出現は、独立して、水素、OH、OR、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはここで、R基、R基およびR基のうちの任意の2つは、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し;ここでRは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか;あるいはRは、NRが二重結合を介してRに連結される場合に、存在しなくてもよく、
Rは、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり、そして、
Qは、ORQ’、SRQ’、NRQ’Q’’、N、=N−OH、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり、ここでRQ’およびRQ’’は、それぞれ独立して、水素、または脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であるか、あるいはRQ’およびRQ’’は、RQ’およびRQ’’が結合される窒素原子と一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、脂環式(アリール)部分、ヘテロ脂環式(アリール)部分、脂環式(ヘテロアリール)部分もしくはヘテロ脂環式(ヘテロアリール)部分、またはアリール部分もしくはヘテロアリール部分を形成し得る、
工程;
該細胞を増殖阻害についてアッセイする工程;
該細胞におけるチューブリンのアイソタイプの遺伝子または微小管結合遺伝子の発現を決定する工程;ならびに
1つ以上のチューブリンのアイソタイプもしくは微小管結合生体分子の発現レベルまたはタンパク質レベルと、試験された該化合物に対する感受性との間の相関を決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項108】
前記細胞は、癌細胞株である、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞は、乳癌細胞株、卵巣癌細胞株、または肺癌細胞株である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
β−チューブリンのアイソタイプの発現が、決定される、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
全てのα−チューブリンのアイソタイプおよびβ−チューブリンのアイソタイプの発現が、決定される、請求項107に記載の方法。
【請求項112】
全てのα−チューブリンのアイソタイプおよびβ−チューブリンのアイソタイプの発現、ならびにスタスミン、MAP4、Tau、CLIP−170、EB1、およびp150からなる群より選択される他の微小管結合生体分子の発現が、決定される、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
p値が0.05以下である場合に、相関が存在する、請求項107に記載の方法。
【請求項114】
p値が0.06以下である場合に、相関が存在する、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
p値が0.10以下である場合に、相関が存在する、請求項107に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−522624(P2008−522624A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545623(P2007−545623)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/044426
【国際公開番号】WO2006/063135
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】