説明

ベルトコンベア

【課題】 搬送する商品の形態にかかわらず、同一のコンベアで商品を安定して搬送することが出来るコンベアを提供すること。
【解決手段】 フレームの機長方向両側に配置したテールローラ2,2’間にトラフ7が配置され、そのトラフを内包するよう無端状の搬送ベルト3,3’が前記テールローラに亘って巻回されたベルトコンベアにおいて、前記トラフ7における幅方向の略中央部に、機長方向に沿って凹部24を形成し、、更に前記搬送ベルトに荷重が作用した時、該搬送ベルトが前記凹部側に撓むのを促進する撓み促進手段を備え、円筒形や球形の商品の場合、前記搬送ベルトが凹部内に撓むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は商品を搬送するベルトコンベアに係り、更に詳しくはスーパーマーケットなどのバックヤードで、商品にラベル貼付等の値付け作業を行うときに使用するベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットのバックヤード等において、商品にラベルを貼付する場合、商品をベルトコンベア等で搬送し、その搬送中にラベル貼付機により値段等が印字されたラベルを貼付する。
ところで、商品を搬送するコンベアは、例えばハムやソーセージといった円筒形の商品や、西瓜等の球状の商品を搬送するコンベアは、搬送面が平らなコンベアを使用すると前記商品がベルト上で転動し、搬送が不安定になり、搬送中の商品にラベル貼付機でラベルを貼付することは困難である。その為に、円筒形や球状の商品を搬送する場合は、搬送面が略V字状をした特別のコンベアで搬送する必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、底面が平らなトレイに収納された商品や、箱詰された商品を搬送する場合、搬送面が略V字状をした前記コンベアでは、商品が載る位置によって商品の搬送状態が一定せず、不安定な状態で搬送される。その為、底面が平らな商品を搬送する場合は、搬送面が平らなコンベアを使用する必要があった。
【0004】
従って、従来は搬送する商品に応じて異種のコンベア、例えばV形コンベアと平面コンベアが必要になるため、それぞれのコンベアの設置スペースを設けなければならず、又それぞれのコンベアを用意しなければならないため、設備費が増加するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−85115号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、搬送する商品の形態にかかわらず同一のコンベアで商品を安定して搬送することが出来るコンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のベルトコンベアは、枠体の機長方向両側に配置したテールローラ間にトラフが配置され、そのトラフを内包するよう無端状の搬送ベルトが前記テールローラに亘って巻回されたベルトコンベアにおいて、前記トラフにおける幅方向の略中央部に、機長方向に沿って凹部を形成し、更に前記搬送ベルトに所定の荷重が作用した時、該搬送ベルトが前記凹部側に撓むのを促進する撓み促進手段を備えたことを特徴とする(請求項1)。
上記トラフは、所定間隔を置いて対向配置される前後一対の枠体と同一体に構成しても、或いは枠体間に橋渡し状に架設する構成等、何れでもよい。
又、該トラフの幅方向中央部に形成する凹部の形状としては、例えばV字状、或いは円弧状等、何れでもよいが、要は円筒形や球状の商品をトラフ上側の搬送ベルトに載置した場合、該搬送ベルトの搬送面(往路側)が凹部形状に沿って撓み、商品を安定して搬送できるものであればよい。
更に、テールローラに亘って巻回する無端状の搬送ベルトは、前後のフレーム間(搬送方向と直交する方向)に、1本のベルト、或いはフレーム間に所定幅のベルトを複数本平行に巻回するなど何れでもよい。
又、搬送ベルトの駆動方式としては、駆動機構を一体に取付けた今日一般的に採用されているセンタードライブ方式、或いはヘッドドライブ方式、または駆動機構を分離した方式等、何れの方式でもよい。
上記撓み促進手段としては、搬送ベルトを支持するテールローラの軸部外形を、トラフの凹部形状に合わせたテーパ軸部とする方法(請求項2)、搬送ベルトを複数本、例えば2本〜3本で構成する方法、1本のベルトの幅方向中央部にスリットを入れて撓み易く(割れ易く)する方法、更に搬送ベルトを伸縮しやすい材質で形成する等が、挙げられ、これを単独或いは複数を組み合わせて使用する等いずれでもよい。
【0008】
上記手段によれば、両側のテールローラに亘って巻回された搬送ベルトの搬送面(往路側)は、トラフ表面が平坦な通常のコンベアと同様、平らな状態を維持して回動する。この搬送ベルト上に、球状、或いは円筒状の商品を載せた場合、該搬送ベルトの搬送面(往路側)は撓み促進手段の働きによって下方に撓み、トラフの凹部で前記商品が支えられ、安定した姿勢のまま搬送ベルトで搬送される。又、底面が平らなトレイ等の商品が載置された場合、該トレイ等は例えば円筒形の商品と比べて底面積が大きいので搬送ベルトによる支持箇所は、ベルト幅方向の中央部から幅方向外側に離れた位置で支えられる。それにより、搬送ベルトの撓みは少なく、トラフ表面が平坦な通常のコンベアの場合と殆ど変わらない状態で商品を安定して搬送することができる。
【0009】
そして、前記トラフの幅方向両側部は、前記凹部の幅方向両側縁の上縁と略面一な平坦面に形成し、前記撓み促進手段は、前記テールローラにおける前記トラフの平坦部と対応するストレート軸部を除きその内側部分を該軸の中央に向かって径が細くなるテーパ軸部と、前記凹部の幅方向の中心を境に、両テールローラに亘って搬送ベルトを二本平行に巻回した構成としてもよい(請求項3)。
その場合、テールローラにおけるテーパ軸部の最小径部は、前記トラフにおける凹部の最低部と略同じにする。
【0010】
上記手段によれば、トラフの幅方向略中央部を境に二本の搬送ベルトが平行に巻回され、しかもその搬送ベルトを支持する両側のテールローラは該ローラの中央部が両側から中央に向けて小径に傾斜しているため、前記トラフの幅方向の略中央付近に位置する搬送ベルトの内側縁では該ベルトは撓み易くなり、両ベルトの内側縁の撓みによって球状や円筒形の商品を安定してしっかり保持し、確実に搬送することができる。しかも、トラフの幅方向両側には平坦面が形成されているため、底部が平らな商品(トレイ)でも安定して搬送できる。
【0011】
又、前記テールローラのストレート軸部の外周面にはリブ嵌合溝を形成し、他方、搬送ベルトの内側面には前記嵌合溝と対応する位置に蛇行防止リブを固着し、蛇行防止リブをリブ嵌合溝に嵌合してもよい(請求項4)。
この手段によれば、軸部の径が均一なストレート軸部に形成したリブ嵌合溝に、搬送ベルトの蛇行防止リブが嵌合することで、搬送ベルトの蛇行は防止され、安定した回動が確保される。
【0012】
そして、前記トラフの凹部の形状を、断面略V字状(請求項5)とした場合は、該V字を構成する両側の傾斜直線面で球状や円筒形の外周を支持できる。それにより、商品を安定よく支持でき、安定した搬送が可能となる。
【0013】
又、前記搬送ベルトの搬送面上方には、ラベル貼付装置を設けてもよい(請求項6)。この場合は、球状や円筒形の商品であっても安定した搬送ができる為、該商品へのラベル貼付も安定して確実に行なうことができる。
更に、ベルトコンベアは、テールローラ間にトラフを配置し搬送ベルトを巻回したコンベア部と、前記コンベア部を着脱自在に載架すると共にコンベア部の一方のテールローラを駆動回転する駆動手段を備えたフレーム部とからなる分離タイプとしてもよい(請求項7)。
その場合は、搬送ベルトの交換、清掃などを簡単に行なうことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のベルトコンベアは請求項1記載の構成により、商品が球状や円筒形であれば搬送ベルトがトラフの凹部内に撓んで支えられるので、該商品を安定して搬送することができる。又、底面が平らな商品は、例えば円筒形の商品に比べて底面積が大きくなるので、搬送ベルトの撓みは少なく、従って、トラフの表面が平らな通常のベルトコンベアと同様、商品を搬送することができる。よって、商品の形態にかかわらず、同一のベルトコンベアで商品を搬送することができる。
そして、撓み促進手段を請求項2記載の構成とした場合は、両テールローラに亘って巻回される搬送ベルトは、テーパ軸部の範囲内で円滑に撓み、球状や円筒状の商品を安定よく支持して搬送できる。
又、請求項3によれば、二本の搬送ベルトの内側縁は撓み易くなり、両ベルトの内側縁の撓みによって球状や円筒形の商品を安定してしっかり保持し、確実に搬送することができる。しかも、トラフの幅方向両側には平坦面が形成されているため、底部が平らな商品(トレイ)でも安定して搬送できる。
【0015】
更に、請求項4記載の構成により、軸部の径が均一なストレート軸部に形成したリブ嵌合溝に、搬送ベルトの蛇行防止リブが嵌合することで、搬送ベルトの蛇行は防止され、安定した回動が確保される。
また、請求項5記載の構成により、該V字状凹部を構成する両側の傾斜直線面で球状や円筒形の外周を二点支持できる。それにより、商品を安定よく支持でき、安定した搬送が可能となる。
そして、請求項6記載の構成とした場合は、球状や円筒形の商品であっても安定した搬送ができる為、該商品へのラベル貼付も安定して確実に行なうことができる。
更に、請求項7記載の構成とした場合は、搬送ベルトの交換、清掃等を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一例を図面に基づいて説明する。
図示のベルトコンベアは、機長方向に所定間隔を置いて架設した2本のテールローラに亘って無端状の搬送ベルトを二本、一定の張力を保持して平行に巻回したコンベア部と、該コンベア部を分離可能に載承するフレーム部とからなり、そのフレーム部には前記コンベア部の搬送ベルトを駆動する駆動手段を備え、コンベア部は機長方向一側部にコンベア長を付勢力に抗して縮ませ、搬送ベルトに作用する張力を弱めることが可能な可動部を備えている。
【0017】
図1乃至図2は、フレーム部に対して長尺一本物のコンベア部が装着されたベルトコンベアで、Aは無端状の搬送ベルトを二本、平行に巻装したコンベア部、Bは前記コンベア部Aの搬送ベルトを駆動回転する駆動手段を備えたフレーム部で、コンベア部Aはフレーム部Bに対して分離着脱可能に載架されており、そのコンベア部Aの搬送面上方にはラベル貼付装置Cが配置されている。
【0018】
コンベア部Aは、コンベア長(無端状ベルトを巻回支持する左右のローラ間の距離)を長短調節可能に構成した枠体1と、その枠体1の長手方向両側に横架支持したテールローラ2,2’と、その左右一対のテールローラ2,2’に亘って巻回した無端状の搬送ベルト3,3’と、前記枠体1に架設した一方のテールローラ2(図面では左側のローラ)に回転力を付与する回転伝達ベルト(タイミングベルト)4を備えて構成されている。
上記2本の搬送ベルト3,3’は、撓み促進手段に該当する。尚、搬送ベルト3,3’は図示するように完全に分離した形態に限定されず、例えば、1本のベルトの幅方向中央部にスリットを、周方向に適宜間隔を置いて形成して撓み易くした形態のものでもよい。
【0019】
前記枠体1は、使用時のコンベア長より短い長さの固定枠5と、その固定枠5の長手方向の一側に該長手方向に沿ってスライド可能に連設した可動部6とで構成され、前記固定枠5の可動部6を連設した側とは反対側の端部にテールローラ2が回転可能に架設され、可動部6の側端にテールローラ2’が回転可能に架設されている。
前記固定枠5は、側板部5aの上縁に水平板部5bを略直角に屈曲形成した前後一対の枠板5’を所定の間隔を置いて対向配置すると共に、両水平板部5b間に断面略V字状のトラフ7を配置し、前後の側板部5aとトラフ7が連結杆8で連結されて構成されている。
前後一対の枠板5’の水平板部5bの内側端縁とトラフ7の幅方向の外側端縁との間には、左右のテールローラ2,2’に亘って巻回する搬送ベルト3,3’の裏側中央に設けられるリブ3aが嵌合する隙間9,9’が形成され、これにより搬送ベルト3,3’の蛇行走行を防止するように構成されている。又、上記テールローラ2,2’の外周面には前記隙間9,9’と対応する位置に搬送ベルト3,3’のリブ3aが嵌合するリブ嵌合溝23が凹設されており、これにより搬送ベルト3,3’の蛇行走行を防止し得るようになっている。
【0020】
可動部6は、前後一対の側板6aを、前記した固定枠5における前後の側板部5a間に嵌合し得る間隔で平行に配置し、連結杆10で一体的に連結して構成され、その可動部6のテールローラ2’を架設した側とは反対側が前記固定枠5の側板部5aに対して左右スライド可能に連結されている。
固定枠5に対する可動部6のスライド構造は、固定枠5の前後の側板部5aに長孔部11を対峙して形成し、他方、可動部6の側板6aには前記長孔部11に嵌合する案内ピン12と掛止杆13が間隔を置いて取り付けられている。尚、案内ピン12を前後独立した形態、掛止杆13を前後の側板に亘って架設した1本物で構成してあるが、両者とも独立した形態としたり、1本物とすることは任意である。
又、前記長孔部11の開口長さは、可動部6を移動してコンベア長を短くし、左右のテールローラ2,2’に亘って巻回された搬送ベルト3,3’に弛みが生じ、該搬送ベルト3,3’の取り外しを容易に行なうことができる長さとする。
【0021】
そして、前記固定枠5の側板部5aにおける長孔部11よりコンベア長の中心寄り方向位置にブラケット14を固着し、そのブラケット14の通孔に案内板15を移動可能に挿通すると共に、該案内板15の一側部は前記可動部6の案内ピン12に連結し、他側部は後述する分離手段に連結されている。そして、案内板15における案内ピン12近傍に固着したスプリング受けと前記ブラケット14との間にはコイルスプリング16が弾圧装着されている。それにより、可動部6の案内ピン12と掛止杆13は前記コイルスプリング16の弾発力で前記長孔部11内を固定枠5の側端側(図面では右方向)に向けて押動スライドされ、コンベア部Aは所定のコンベア長に確立される。従って、前記可動部6をコイルスプリング16の弾発力に抗して押動すれば、案内ピン12と掛止杆13は長孔部11内を固定枠5の中心方向に向かって移動し、コンベア長は短くなる。
【0022】
上記可動部6の移動を所定の移動位置(短縮した位置)で固定する固定手段は、前記長孔部11の長さ方向の中程位置から略直角下向きに連通形成した凹部17と、前記可動部6に架設した掛止杆13とで構成され、凹部17に掛止杆13が嵌入係合することで可動部6の移動固定が保持される。
長孔部11に連絡する凹部17の形成位置は、可動部6を長孔部11の内側端方向に押動し、案内ピン12が該長孔部11の内側端近傍位置に位置した時、該案内ピン12を中心として可動部6が下向きに回動し、掛止杆13が嵌合する位置とする。
【0023】
又、前記固定枠5を構成する前後の側板部5aには、フレーム部Bの長手方向二箇所に設けた支持杆18,18’に対して上方から嵌合し得る係合孔19,19’が切欠き形成されており、この係合孔19,19’を支持杆18,18’に嵌合係着することでコンベア部Aをフレーム部Bに対して載架定着でき、コンベア部Aをフレーム部Bに載架定着した時、該フレーム部Bに装備した駆動手段の動力がコンベア部Aに伝達されるように構成されている。
【0024】
即ち、固定枠5のテールローラ2と可動部6のテールローラ2’に亘って巻回した搬送ベルト3,3’は、テールローラ2の駆動回転により回転されるが、そのテールローラ2にフレーム部B側に装備した駆動手段の回転力を伝達する回転伝達ベルト(タイミングベルト)4が、該テールローラ2と固定枠5の側板部5aとの間に配置されている。
上記回転伝達ベルト4は両面歯付きのタイミングベルトで、テールローラ2の軸上に固着した歯付プーリ20とその歯付プーリ20の位置よりコンベア長の中央方向へ所定間隔をおいて軸支した歯付プーリ21,21’とに亘って巻回装着されている。そして、コンベア部Aをフレーム部Bに載架定着した時、歯付プーリ20と歯付プーリ21’間の回転伝達ベルト4の外周面がフレーム部B側の駆動手段22の歯付伝達プーリ22bの外周面に押圧当接され、該歯付伝達プーリ22bの回転力で回転伝達ベルト4が回転される。
【0025】
コンベア部Aの固定枠5における前後の側板部5a間に配置されるトラフ7は、金属製の帯板を用いてテールローラ2,2’間に配置し得る長さとし、その機長方向(長手方向)全長に亘って幅方向の中央部が最低部となる断面略V字状の凹部24が屈曲形成されている。そして、幅方向の両側縁は下方に折り曲げて捻れ変形等が生じないように剛性が付与されている。又、断面略V字形の頂点は、該トラフ7を挟む側板部5aの水平板部5bの表面と略面一の高さとし、テールローラ2,2’に亘って巻回される二本の搬送ベルト3,3’の搬送面(往路面)側を水平に支持するように構成されている。尚、トラフ7とこれを挟む側板部5aの連結一体化は、前記したように連結杆8の他に、トラフ7の長手方向の両側端に連結プレート8’を固着して連結してもよい。
【0026】
又、前記凹部24の形状は、図示するV字状に限定されず、例えばU字状、V字状或いはU字状の最低部に断面矩形状の溝を連設形成するなど、何れでもよく、要は円筒形や球状の商品を、搬送ベルト3,3’の幅方向に転動させること無く安定して搬送できる形状であればよい。即ち、円筒形や球状の商品を、搬送ベルト3,3’を介してトラフ7の凹部24で安定よく支持する。
【0027】
そして、上記トラフ7の凹部24の形状に合わせて、搬送ベルト3,3’を巻回するテールローラ2,2’の軸部の外形も同じ形状に形成されている。即ち、テールローラに撓み促進手段が備えられている。例えば、凹部24がV字状である場合、テールローラ2,2’の軸部も、軸長の両側にストレート軸部2aが、そのストレート軸部2aの間に中央部に向かって漸次小径となるテーパ軸部2bが形成され、そのテーパの角度はトラフ7の凹部24の傾斜角度に合せてある。それにより、本ベルトコンベアから下流側のコンベアへ商品Wを移乗する際、商品Wが安定して搬送され、乗り移りがスムーズに行なわれることになる。
【0028】
上記の如く構成したコンベア部Aを水平に載架支持するフレーム部Bは、前記コンベア部Aを載承保持する載せ枠25と、その載せ枠25を所定高さに支持する脚体26と、コンベア部Aの一方のテールローラ2を駆動回転する為の駆動手段22とで構成されている。
前記載せ枠25は、前記コンベア部Aの高さと略同じ高さを有した前後一対の側枠25aを所定の間隔を置いて平行に対向配置し、その両側枠25aを長手方向に間隔を置いた2箇所を連結杆25bで連結して構成してある。そして、前後一対の側枠25aの内面には前記コンベア部Aの載架位置を規定する支持杆18,18’が内方に向けて水平に突設されている。
【0029】
上記駆動手段22は、モータ22a、歯付伝達プーリ22b、及びモータ22aの出力を歯付伝達プーリ22bに伝達するチェーンやベルト等の伝達帯22cとで構成され、歯付伝達プーリ22bの外径は前記回転伝達ベルト4との接触範囲が広くなるように大径に形成されている。
【0030】
上記に如く構成したベルトコンベアは、コンベア部Aをフレーム部B上に載架定着することでフレーム部B側に装備されている駆動手段22の歯付伝達プーリ22bとコンベア部Aの回転伝達ベルト4とが当接係合し、歯付伝達プーリ22bの回転で回転伝達ベルト4が回転し、テールローラ2が駆動回転され、それによりテールローラ2,2’に亘って巻回した搬送ベルト3,3’は回転される(図3参照)。
そして、コンベア部Aをフレーム部Bから分離し取り外す時は、図4に示すように、テールローラ2’を支持した可動部6をコイルスプリング16の弾発力に抗して固定枠5側に押動すると、該可動部6の案内ピン12と掛止杆13は固定枠5の長孔部11内をコンベア長の中心方向に向かって移動し、コンベア長が短くなってテールローラ2とテールローラ2’の間隔が狭くなり、搬送ベルト3、3’に作用する張力が弱くなると共に、可動部6の押動で案内板15がスライドされ、フレーム部Bの支持杆18’に係着しているコンベア部Aを分離可能にする。これにより、コンベア部Aはフレーム部Bの支持杆18を中心として上方に回動することで固定枠5の係合孔19’は支持杆18’から外れ、もう一方の係合孔19と支持杆18の係着は該コンベア部A(枠体1)を係合孔19に沿って移動させることで外れる(図5参照)。
又、フレーム部Bから外したコンベア部Aにおいて搬送ベルト3,3’を外す場合は、前記した可動部6の押動の行き止まり手前の位置で該可動部を係着して移動を固定し、テールローラ2,2’間の間隔を使用状態に比べて狭くし、搬送ベルト3,3’を容易に取外すことができる。
【0031】
次に、上記したベルトコンベアによる商品の搬送について説明すると、底面が平らなトレイなどに収容された商品Wである場合、該商品Wの底面積は円筒形の商品W’(図7参照)と比べて大きい為、搬送ベルト3,3’の撓みは少なく、トラフ7の表面が平坦な通常のベルトコンベアの場合と同様に略水平状で搬送することができる(図6参照)。
しかし、円筒形の商品W’である場合、テールローラ2,2’に亘って巻回される二本の搬送ベルト3,3’は、その内側縁がトラフ7の凹部24の幅方向の略中央付近に位置するため、該搬送ベルト3,3’の内側縁は商品W’との接触で下方に撓み、商品W’は凹部24で支えられる。それにより、商品W’は搬送ベルト3,3’の撓みによって安定よく支持され、確実に搬送される(図7、及び図8参照)。
【0032】
上記した実施の形態は、テールローラ2,2’に亘って二本の搬送ベルト3,3’を巻回した例であるが、本発明は図9(a)に示すように、一枚の搬送ベルト27でもよいものである。その場合、商品が円筒形や球状である場合、前記したように凹部の形状に沿って撓む必要があるため、ベルト材質は撓み易い材質を選択する。又、材質の他に、例えばベルトの幅方向中心線上に沿って該ベルトが分離しない程度のスリットを入れるなどしてもよい。
又、一枚の搬送ベルト27とした場合、円筒形や球状の商品W’を搬送する場合、上記構成により撓み変形するが、その撓み変形により該ベルト27は幅方向の中心方向に移動する。その為、搬送ベルト27の蛇行防止は、図9(a)に示すように、側板部の上面に搬送ベルト27の幅方向移動を規制する蛇行防止ガイド28,28’を設けて行なうようにしてもよい。
【0033】
又、前示実施例において、トラフ7の幅方向両側に、側板部5aと一体の水平板部5bを配置しているが、この水平板部5bがなく、トラフの凹部24’が前記側板部まで延長していてもよいものである(図9(b)参照)。尚、その場合、トラフの幅方向端縁を前後の側板部に連結固定してもよい。又、トラフの凹部24’の形状を変更した場合は、テールローラ2,2’の形状もそれに合わせて変更する。
【0034】
上記した実施の形態は、駆動手段をコンベア部から切り離した分離タイプについて行なったが、本発明は駆動手段がコンベア部に一体に装備された一般的なベルトコンベアでもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るベルトコンベアの一実施例を示す正面図。
【図2】一部を切欠して示す同拡大平面図。
【図3】搬送ベルトの駆動構造を示す同正面図。
【図4】コンベア部の機長を短縮した状態を示す部分拡大図。
【図5】コンベア部をフレーム部から分離した状態を示す同正面図。
【図6】図2の(6)−(6)線に沿える一部切欠拡大側面図。
【図7】図2の(7)−(7)線に沿える縦断面図。
【図8】円筒形の商品を搬送する状態を示す斜視図。
【図9】(a)は搬送ベルトの蛇行防止手段の他の例を示す断面図、(b)はトラフの凹部形状の変形例を示す断面図。
【符号の説明】
【0036】
A…コンベア部 B…フレーム部
C…ラベル貼付装置 2,2’…テールローラ
2a…ストレート軸部 2b…テーパ軸部
3,3’…搬送ベルト 3a…蛇行防止リブ
7…トラフ 23…リブ嵌合溝
24…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の機長方向両側に配置したテールローラ間にトラフが配置され、そのトラフを内包するよう無端状の搬送ベルトが前記テールローラに亘って巻回されたベルトコンベアにおいて、
前記トラフにおける幅方向の略中央部に、機長方向に沿って凹部を形成し、更に前記搬送ベルトに所定の荷重が作用した時、該搬送ベルトが前記凹部側に撓むのを促進する撓み促進手段を備えたことを特徴とするベルトコンベア。
【請求項2】
前記撓み促進手段は、前記テールローラの軸部外形に、前記トラフの凹部形状に合わせたテーパ軸部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のベルトコンベア。
【請求項3】
前記トラフの幅方向両側部は、前記凹部の幅方向両側縁の上縁と略面一な平坦面に形成され、前記撓み促進手段は、前記テールローラにおける前記トラフの平坦部と対応するストレート軸部を除きその内側部分が該軸の中央に向かって径が細くなるテーパ軸部と、且つ前記凹部の幅方向の中心を境に、両テールローラに亘って搬送ベルトを二本平行に巻回していることを特徴とする請求項1記載のベルトコンベア。
【請求項4】
前記テールローラのストレート軸部の外周面にリブ嵌合溝が形成され、他方、搬送ベルトの内側面には前記嵌合溝と対応する位置に蛇行防止リブが固着されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のベルトコンベア。
【請求項5】
前記トラフの凹部の形状が、断面略V字状であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のベルトコンベア。
【請求項6】
前記搬送ベルトの搬送面上方に、ラベル貼付装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のベルトコンベア。
【請求項7】
前記ベルトコンベアは、テールローラ間にトラフを配置し搬送ベルトを巻回したコンベア部と、前記コンベア部を着脱自在に載架すると共にコンベア部の一方のテールローラを駆動回転する駆動手段を備えたフレーム部とからなる事を特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載のベルトコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−50953(P2007−50953A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236235(P2005−236235)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】