説明

ベルト伝達機構の解析方法

【課題】振動解析モデルを用いてベルト伝達機構の挙動を評価するベルト伝達機構の解析方法において、駆動プーリモデルの立ち上がり時における従動プーリモデルのスリップを回避し、ベルト伝達機構の解析/評価に要する処理時間を短縮化する。
【解決手段】振動解析モデルにより駆動プーリモデル31を回転駆動させて目標回転数とするまでの立ち上げステップでは、各従動プーリモデル32,33,34に所定の角速度を付与する模擬条件が用いられる。その結果、駆動プーリモデル31と各従動プーリモデルの周速度が一致するようになり、従動プーリモデル32,33,34がベルトモデル35に対してスリップしてしまうことが回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト伝達機構の挙動をコンピュータ上の振動解析モデルを用いて評価するベルト伝達機構の解析方法に関し、特にベルト伝達機構の解析/評価に要する処理時間を短縮化する方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
駆動プーリ及び従動プーリがベルトによって巻き掛けられるベルト伝達機構では、その設計時においてベルトのばたつきや異音の発生に対する充分な評価を行うことが望まれている。このため、近年では、エンジン等のベルト伝達機構の設計開発時等においては、コンピュータ上で振動解析モデルを用いてベルトの振動・異音等を解析して評価する振動解析システムが用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、この種の振動解析システムが開示されている。この振動解析システムでは、評価対象となるベルト伝達機構の各設計条件が、データとして演算部に入力される。この設計条件としては、ベルト伝達機構に関するレイアウト特性、駆動プーリ及び従動プーリに関する特性、ベルトに関する特性等が用いられる。具体的なデータとしては、例えばプーリの位置や半径、ベルト速度、プーリの負荷、駆動プーリの角速度、ベルトの剛性等が挙げられる。演算部では、これらの設計条件に基づいてベルト伝達機構の挙動をモデル化し、振動解析モデルを構築する。特許文献1の振動解析モデルでは、駆動プーリのモデル(駆動プーリモデル)及び従動プーリのモデル(従動プーリモデル)が所定のレイアウト通りに配置され、各プーリモデルにベルトのモデル(ベルトモデル)が巻き掛けられる。ベルトモデルは、長さ方向に微小区間に節点分割され、各節点間を弾性体要素又は剛性要素で連結される。更に、この振動解析モデルでは、駆動プーリモデルの回転駆動に追従して回転するベルトモデル及び従動プーリの各挙動が解析される。このような振動解析モデルに基づき、演算部からは、従動プーリの角速度やスリップ率、ベルトの張力、レイアウトの固有振動数等が出力情報として出力される。開発設計者は、以上のようにして出力された情報に基づきベルト伝達機構の挙動を評価し、これらの結果を今後の開発設計等に利用するようにしている。
【特許文献1】特開2004−93490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような振動解析システムを用いてベルト伝達機構を解析する方法においては、振動解析システム上で駆動プーリモデルを回転駆動させて目標回転数とし、定常状態となったベルト伝達機構の挙動を評価する方法が一般的である。ところが、このようにして駆動プーリモデルの回転数を目標回転数まで増大させる立ち上げ時においては、駆動プーリモデルに追従して回転するベルトモデルの送り速度も急激に上昇することから、ベルトモデルに対して従動プーリモデルがスリップしてしまうことがある。その結果、振動解析システム上において、ベルト伝達機構が定常状態となるまでの間の時間が長くなり、振動解析に要する処理時間が長期化してしまうことがある。この点について図9及び図10を参照しながら更に詳細に説明する。
【0005】
図9は、振動解析システム上で駆動する駆動プーリモデル及び従動プーリモデルの回転数の経時変化を示すものであり、図10は、この際の従動プーリモデルのスリップ率の経時変化を示すものである。なお、図9の例では、評価対象とする駆動プーリの目標回転数を6000rpmとしている。
【0006】
振動解析システムでは、評価対象とするベルト伝達機構の設計条件が入力された後、この設計条件に基づいて振動解析モデルが構築され、解析処理がなされる。この際には、静止状態の駆動プーリモデルが回転駆動され、その回転数が徐々に増大していく(図9の実線L参照)。一方、駆動プーリモデルが回転駆動されると、回転するベルトモデルに従動する従動プーリモデルの回転数も徐々に増大していく(図9の破線M参照)。ところが、図9の例で示すように、駆動プーリモデルの目標回転数が比較的大きく、駆動プーリの回転数の上昇勾配が比較的大きくなると、例えば図10に示すように、駆動プーリモデルの立ち上がり時において従動プーリモデルがスリップしてしまう。その結果、図9の例においては、駆動プーリモデルの回転数が時間taにおいて目標回転数に至るのに対し、従動プーリモデルの回転数が定常状態となるのはtaよりも後の時間tbとなる。従って、定常状態のベルト伝達機構の挙動を評価する上では、上記時間taから時間tbまでの間で余分に処理時間を費やすこととなり、解析/評価に要する時間も長くなってしまう。特に、多数の従動プーリを有するベルト伝達機構の振動解析を行う場合には、各従動プーリでスリップが生じることがあり、このような場合には、ベルト伝達機構が定常状態となるまでに更に長い処理時間(例えば1日以上)を要することもある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動解析モデルを用いてベルト伝達機構の挙動を評価するベルト伝達機構の解析方法において、駆動プーリモデルの立ち上がり時における従動プーリモデルのスリップを回避し、ベルト伝達機構の解析/評価に要する処理時間を短縮化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、駆動プーリと従動プーリとにベルトを掛け渡して動力を伝達するベルト伝達機構の挙動をコンピュータ上の振動解析モデルを用いて評価するベルト伝達機構の解析方法を前提としている。そして、このベルト伝達機構の解析方法は、評価対象となるベルト伝達機構の特性に関する設計条件を上記コンピュータに入力する入力ステップと、 従動プーリモデルの周速度を駆動プーリモデルの周速度に近づけるための模擬条件を用いながら駆動プーリモデルを回転駆動させてその回転数を目標回転数とする立ち上げステップと、上記設計条件を用いながら上記駆動プーリモデルの回転数を目標回転数に保った状態として伝達機構の挙動を評価する評価ステップとを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
第1の発明では、コンピュータ上の振動解析モデルを用いることで、ベルト伝達機構の挙動の評価が行われる。具体的に、本発明に係る解析方法では、入力ステップと、立ち上げステップと、評価ステップとが行われる。入力ステップでは、評価対象となるベルト伝達機構の特性に関する設計条件がデータとしてコンピュータへ入力される。立ち上げステップでは、コンピュータ上でモデル化された駆動プーリのモデル(駆動プーリモデル)が回転駆動され、その回転数が目標回転数に至るように増大する。次の評価ステップでは、駆動プーリモデルの回転数を目標回転数とした状態でベルト伝達機構の挙動の評価が行われる。
【0010】
ここで、本発明の立ち上げステップでは、振動解析モデルの解析条件として、従動プーリのモデル(従動プーリモデル)の周速度を駆動プーリモデルの周速度に近づけるための模擬条件が用いられる。このため、立ち上げステップでは、駆動プーリモデルの周速度(ベルトの送り速度)と、従動プーリの周速度とが一致するようにして、駆動プーリモデルが目標回転数に到達する。従って、駆動プーリモデルの立ち上がり時において、ベルトモデルの送り速度と従動プーリモデルの周速度も一致するようになるので、ベルトモデルに対して従動プーリモデルがスリップしてしまうことが回避される。その結果、従動プーリモデルの回転数は、駆動プーリモデルに追随するようにして速やかに定常状態となる。
【0011】
一方、次の評価ステップでは、上記模擬条件に代わって上記設計条件が用いられ、この設計条件に基づいて駆動プーリモデルが目標回転数のまま回転する。つまり、上記立ち上げステップでベルト伝達機構が速やか定常状態となると、その後の評価ステップでは、設計条件に基づいて評価対象となるベルト伝達機構の本来の挙動が再現される。開発設計者等は、このようなベルト伝達機構の挙動を評価し、今後の開発設計等に利用する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明のベルト伝達機構の解析方法において、上記立ち上げステップでは、上記駆動プーリモデルと同調するように上記従動プーリモデルも回転駆動させる模擬条件を用いることを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明の立ち上げステップでは、駆動プーリモデルと同調して従動プーリも回転駆動させる模擬条件が用いられる。つまり、実際のベルト伝達機構では、従動プーリはベルトに従動して回転するものであるので、従動プーリ自体が回転駆動されることはない。しかしながら、本発明の立ち上げステップでは、従動プーリモデルが、駆動プーリと同調して擬似的に回転駆動される。その結果、立ち上げステップでは、従動プーリの周速度と駆動プーリの周速度とが近づくことになるので、この際の従動プーリモデルのスリップが回避される。
【0014】
一方、次の評価ステップでは、上記模擬条件に代わって本来の設計条件が用いられるため、従動プーリモデルはベルトモデルに従動するように回転する。その結果、評価ステップでは、ベルト伝達機構の本来の挙動が振動解析モデルによって再現される。
【0015】
第3の発明は、第1の発明のベルト伝達機構の解析方法において、上記立ち上げステップでは、上記従動プーリモデルの負荷をゼロにする模擬条件、又は従動プーリモデルの負荷を上記設計条件での従動プーリの負荷よりも小さくする模擬条件を用いることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明の立ち上げステップでは、従動プーリモデルの負荷を実際の設計条件よりも小さくする、又はゼロとする模擬条件が用いられる。つまり、実際のベルト伝達機構では、従動プーリに入力軸を介して所定の負荷(例えばオルタネータやウォータポンプ等の負荷)が作用する。しかしながら、本発明の立ち上げステップでは、このような設計条件での負荷よりも従動プーリモデルの負荷が小さくなる、あるいは従動プーリモデルの負荷がゼロとなる。その結果、駆動プーリモデルの立ち上がり時において、従動プーリモデルはベルトモデルに完全に従動するようにして回転するので、従動プーリモデルのスリップが回避される。
【0017】
一方、次の評価ステップでは、上記模擬条件に代わって本来の設計条件が用いられるため、従動プーリモデルには本来の負荷が作用する。その結果、評価ステップでは、ベルト伝達機構の本来の挙動が振動解析モデルによって再現される。
【0018】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明のベルト伝達機構の解析方法において、上記入力ステップでは、駆動プーリの目標回転数を上記コンピュータに任意に入力可能となっており、上記立ち上げステップでは、上記目標回転数が所定値以上である場合に、上記模擬条件を用いて駆動プーリモデルを回転駆動させる一方、目標回転数が所定値より小さい場合には、上記設計条件を用いて駆動プーリモデルを回転駆動させることを特徴とするものである。
【0019】
第4の発明では、開発設計者等が入力した駆動プーリの目標回転数に応じて、立ち上げステップでの解析条件が変更される。具体的に、駆動プーリの目標回転数が所定値以上であり、駆動プーリモデルの目標回転数が比較的高い場合には、立ち上げステップ時において、従動プーリモデルがベルトモデルに対してスリップし易くなる。従って、このような場合には、立ち上げステップで上述したような模擬条件が用いられる。その結果、立ち上げステップ時における従動プーリモデルのスリップが確実に回避されることになる。
【0020】
一方、駆動プーリの目標回転数が所定値より小さく、駆動プーリモデルの目標回転数が比較的小さい場合には、立ち上げステップ時において、模擬条件が用いられずに本来の設計条件が用いられる。従って、この場合には、立ち上げステップ及び評価ステップの双方においてベルト伝達機構の本来の挙動が振動解析モデルによって再現される。この場合、駆動プーリの目標回転数は比較的小さい回転数となっているため、立ち上げステップ時に従動プーリモデルがスリップしてしまうこともない。
【0021】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明のベルト伝達機構の解析方法において、上記立ち上げステップでは、複数の従動プーリのうち設計条件の負荷が所定値以上となる従動プーリモデルの周速度を駆動プーリモデルの周速度に近づけるための模擬条件を用いることを特徴とするものである。
【0022】
第5の発明の立ち上げステップでは、複数の従動プーリモデルがある場合に、設計条件での負荷が比較的高い従動プーリモデルについて、その周速度を駆動プーリモデルの周速度に近づけるための模擬条件が用いられる。つまり、本発明の立ち上げステップでは、負荷が比較的高い従動プーリモデルのみのスリップを回避するように模擬条件が用いられる。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明では、駆動プーリモデルを目標回転数とするまでの立ち上げステップ時において、従動プーリの周速度を駆動プーリモデルの周速度に近づけるための模擬条件を用いるようにしている。このため、本発明によれば、駆動プーリモデルの回転数が増大する際に従動プーリモデルがスリップしてしまう現象(例えば図9及び図10参照)を回避でき、従動プーリモデルを速やかに定常状態とすることができる。従って、ベルト伝達機構が定常状態となるまでの処理時間が短縮化されるので、このベルト伝達機構の解析/評価を従来の方法よりも短時間で行うことができる。
【0024】
また、第2の発明によれば、立ち上げステップ時において、駆動プーリモデルに併せて従動プーリモデルも回転駆動させることで、従動プーリモデルのスリップを容易且つ確実に回避することができる。
【0025】
また、第3の発明によれば、立ち上げステップ時において、従動プーリモデルの負荷を擬似的に低減することで、従動プーリモデルの負荷に拘わらず従動プーリモデルのスリップを回避することができる。特に、立ち上げステップ時において、従動プーリモデルの負荷をゼロとすることで、従動プーリモデルのスリップを確実に回避することができる。
【0026】
更に、第4の発明では、評価対象とする駆動プーリの目標回転数が所定値以上である場合のみ、立ち上げステップ時に模擬条件を用いるようにしている。従って、スリップが生じ得ないような駆動プーリモデルの低速立ち上げ条件においては、立ち上げステップから本来の設計条件を用いることで、ベルト伝達機構の挙動を正確に再現できる。
【0027】
また、第5の発明では、設計条件の負荷が比較的高い従動プーリモデルについて、この従動プーリモデルがスリップしないように模擬条件を用いている。従って、スリップが生じ得ないような低負荷の従動プーリモデルについては、立ち上げステップから本来の設計条件を用いることで、ベルト伝達機構の挙動を正確に再現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
〈評価対象となるベルト伝達機構の構成>
まず、本発明に係るベルト伝達機構の解析方法において、その評価対象となるベルト伝達機構10の概略構成について説明する。図1に示すように、ベルト伝達機構10は、エンジン用の補機ベルト伝達機構を構成している。ベルト伝達機構10は、駆動プーリ11と複数の従動プーリ12,13,14とが補機駆動ベルト(ベルト)15によって巻き掛けられて構成されている。
【0030】
駆動プーリ11は、Vベルトプーリからなるクランクプーリであり、エンジン(図示省略)のクランク軸11a上に回転一体に取り付けられている。なお、この例のエンジンは、直列4気筒のガソリンエンジンである。駆動プーリ11は、クランク軸11aの回転変動をもって、図1に示すように時計回りに回転する。
【0031】
複数の従動プーリは、テンションプーリ12とウォータポンププーリ13とオルタネータプーリ14とから構成されている。テンションプーリ12は、補機駆動ベルト15に内面掛けにて巻き掛けられている。テンションプーリ12は、オートテンショナ16の一部を構成している。オートテンショナ16は、テンションプーリ12によってベルト張力を自動調整する比例減衰式のオートテンショナを構成している。
【0032】
ウォータポンププーリ13は、補機駆動ベルト15に外面掛けにて巻き掛けられている。ウォータポンププーリ13は、冷却水循環用のウォータポンプ(図示省略)の入力軸13a上に回転一体に取り付けられている。オルタネータプーリ14は、補機駆動ベルト15に内面掛けにて巻き掛けられている。オルタネータプーリ14は、オルタネータ(図示省略)の入力軸14a上に回転一体に取り付けられている。また、オルタネータプーリ14は、駆動プーリ11の最張り側に配置されている。ベルト伝達機構10では、このようなオルタネータプーリ14のレイアウトにより、オルタネータプーリ14を確実に駆動できる反面、補機駆動ベルト15におけるスリップやばたつきが生じ易くなっている。
【0033】
〈振動解析システムの構成〉
次に、上述のようなベルト伝達機構10を評価するための振動解析システム20について説明する。振動解析システム20は、評価対象となるベルト伝達機構10の挙動をコンピュータ上でシミュレーションしてベルト伝達機構10のベルトのばたつき、スリップ等を振動解析モデル上で再現することで、ベルト伝達機構10の設計を支援するものである。図2に示すように、振動解析システム20は、入力部21と演算部22と出力表示部23とを備えている。
【0034】
入力部21は、評価対象となるベルト伝達機構10の特性に関する設計条件を開発設計者等がデータとして入力するためのものである。この設計条件としては、上述した駆動プーリ11、各従動プーリ12,13,14、補機駆動ベルト15、及びオートテンショナ16に関する各特性が挙げられる。具体的に、駆動プーリ11及び各従動プーリ12,13,14に関する設計条件としては、プーリ位置、プーリ径、慣性(イナーシャ)、及び負荷(駆動負荷)等が挙げられる。また、補機駆動ベルト15に関する設計条件としては、剛性、初期張力、単位重量、摩擦係数等が挙げられる。また、オートテンショナ16に関する設計条件としては、バネ定数、摩擦トルク、減衰特性等が挙げられる。更に、入力部21には、駆動プーリ11の角速度(角速度の変動特性を含む)及び目標回転数が入力可能となっている。これにより、モデル化された駆動プーリを任意の角速度で回転駆動させて目標回転数とすることが可能となっている。加えて、入力部21には、モデル化された各従動プーリ12,13,14を回転駆動させるための角速度(角速度の変動特性を含む)が模擬条件のデータとして入力可能となっている。この模擬条件の詳細は後述するものとする。
【0035】
演算部22は、入力部21に入力されたデータに基づき振動解析モデルを構築して解析処理を行うものである。演算部22では、図3に示すような振動解析モデルが構築される。具体的に、演算部22においては、振動解析モデルによって駆動プーリ11のモデル(駆動プーリモデル31)と、テンションプーリ12のモデル(テンションプーリモデル32)と、ウォータポンププーリ13のモデル(ウォータポンププーリモデル33)と、オルタネータプーリ14のモデル(オルタネータプーリモデル34)とが、実際のレイアウト通りに配置され、駆動プーリモデル31及び各従動プーリモデル32,33,34とが、補機駆動ベルト15のモデル(ベルトモデル35)によって巻き掛けられる。駆動プーリモデル31及び各従動プーリモデル32,33,34は、剛体としてモデル化されており、慣性モーメントと質量要素とが定義付けられている。また、各従動プーリモデル32,33,34には、連結する補機の駆動負荷が付与される。更に、ベルトモデル35は、例えば図4に示すように、はり要素35aと質量要素35bとが交互に配列されながら連結されてモデル化されている。また、はり要素35aには、引張り剛性と曲げ剛性とが定義付けられている。駆動プーリモデル31及び各従動プーリモデル32,33,34と、ベルトモデル35とは接触定義されており、接触荷重から摩擦力が計算可能となっている。
【0036】
出力表示部23は、演算部22で行った振動解析に関する情報が出力表示されるものである。つまり、開発設計者等は、出力表示部23に表示された情報に基づき、ベルト伝達機構の挙動を評価する。出力表示部23に出力されるデータとしては、駆動プーリ11及び各従動プーリ12,13,14における荷重、角速度、スリップ率等や、レイアウトの固有振動数、補機駆動ベルト15の張力及びばたつき、オートテンショナ16の変位、揺動特性等が挙げられる。
【0037】
−ベルト伝達機構の解析方法−
次に、上記振動解析システム20を用いたベルト伝達機構の解析方法について図5を参照しながら説明する。まず、ステップS1においては、開発設計者等が入力部21に必要なデータを入力する入力ステップが行われる。具体的に、ステップS1では、評価対象となるベルト伝達機構10について、上述した設計条件がデータとして入力される。また、この際には、後述する立ち上げステップにおいて、上記駆動プーリモデル31を回転駆動させるための角速度ω1と、この駆動プーリモデル31の所望の回転数で保持させるための目標回転数n1とが入力される。
【0038】
更に、ステップS1では、後述する立ち上げステップにおいて、ベルトモデル35に対する各従動プーリモデル32,33,34のスリップを回避するための模擬条件がデータとして入力部21に入力される。この模擬条件としては、立ち上げステップ時において、駆動プーリモデル31と同調するように各従動プーリモデル32,33,34を回転駆動させるための角速度ω2,ω3,ω4が、各従動プーリモデル32,33,34についてそれぞれ入力される。具体的には、例えば駆動プーリ11のプーリ半径がr1,上記立ち上げステップで駆動プーリモデル31を回転駆動させるための角速度がω1、テンションプーリ12のプーリ半径がr2である場合、テンションプーリモデル32を回転駆動させるための角速度ω2は、ω2=(r1/r2)×ω1の式より算出され、このω2が模擬条件として入力部21に入力される。同様に、ウォータポンププーリ13のプーリ半径がr3である場合、ウォータポンププーリモデル33を回転駆動させるための角速度ω3は、ω3=(r1/r3)×ω1の式より算出され、このω3が模擬条件として入力部21に入力される。更に、オルタネータプーリ14のプーリ半径がr4である場合、オルタネータプーリモデル34を回転駆動させるための角速度ω4が、ω4=(r1/r4)×ω1の式より算出され、このω4が模擬条件として入力部21に入力される。
【0039】
ステップS1において、全てのデータが入力部21に入力されると、演算部22は、評価対象となるベルト伝達機構10の挙動を上述した振動解析モデルによって解析する。具体的に、まず、ステップS2では、駆動プーリモデル31を静止状態とさせながら、各モデルを静的な釣り合い式によって関連づけてこの際の各特性を算出する。ステップS2の後には、駆動プーリモデル31を回転駆動させてその回転数を目標回転数とする立ち上げステップ(ステップS3〜ステップS8)が行われる。
【0040】
具体的に、この立ち上げステップでは、まずステップS3において駆動プーリモデル31に上述した角速度ω1が付与される。ここで、ステップS4において、入力部21に入力された目標回転数n1が所定の判定値(例えば6000rpm)以上であるか否かの判定が行われる。従って、例えば入力部21に入力された目標回転数が6000rpmである場合には、目標回転数n1が判定値以上となるのでステップS5へ移行する。
【0041】
ステップS5では、駆動プーリモデル31が回転駆動されて振動解析モデルの立ち上がり時の解析処理が行われる。具体的に、ステップS5では、静止状態であった駆動プーリモデル31が図6に示すように回転駆動される。このため、図7に示すように、駆動プーリモデル31の回転数(図7の実線L1)が徐々に増大していく。ここで、ステップS5では、各従動プーリモデル32,33,34に上述した角速度ω2,ω3,ω4がそれぞれ入力される。このため、駆動プーリモデル31の立ち上がり時には、図6に示すように、駆動プーリモデル31に同調するように各従動プーリモデル32,33,34もそれぞれ回転駆動され、各従動プーリモデル32,33,34の回転数(図7の破線M1)も徐々に増大していく。尚、図7では、従動プーリモデルのうちオルタネータプーリモデル34の回転数のみを代表して、破線M1として示している。
【0042】
以上のようにして、駆動プーリモデル31の立ち上がり時には、駆動プーリモデル31の周速度(即ち、駆動プーリモデルの角速度とプーリ半径の積)と、各従動プーリモデル32,33,34の周速度(即ち、従動プーリモデルの角速度とプーリ半径の積)とが略一致することになる。これにより、駆動プーリモデル31によって回転されるベルトモデル35の送り速度と、各従動プーリモデル32,33,34の角速度とが等しくなる。その結果、駆動プーリモデル31の立ち上がり時においては、従来の方法では図10に示すように従動プーリモデルがベルトモデルに対してスリップしていたのに対し、本発明に係る方法では図8に示すように各従動プーリモデル32,33,34のスリップが回避される。尚、図8では、各従動プーリモデルのうちオルタネータプーリモデル34のスリップ率のみを代表して表している。以上のようにして、図7に示すように、駆動プーリモデル31が目標回転数に至る時間taの時点において、各従動プーリモデル32,33,34の回転数が定常状態に達することになる。
【0043】
以上のような模擬条件を用いた解析処理は、ステップS6において駆動プーリモデル31の回転数が目標回転数に至るまで継続して行われる。一方、ステップS6で駆動プーリモデル31の回転数が目標回転数になったと判定されると、立ち上げステップが終了し、次の評価ステップ(ステップS9〜ステップS10)へ移行する。
【0044】
評価ステップでは、まずステップS9で駆動プーリモデル31の回転数が目標回転数で保たれた状態となる。ここで、ステップS9では、上記模擬条件に代わって本来のベルト伝達機構10の設計条件を用いて解析処理が行われる。つまり、ステップS9では、各従動プーリモデル32,33,34に付与されていた角速度ω2,ω3,ω4がゼロとなり、各従動プーリモデル32,33,34がベルトモデル35に従動しながら定常の回転数で回転することになる。ステップS10では、このような状態のベルト伝達機構10の挙動に関する情報が、上述した出力表示部23に出力表示される。開発設計者等は、このようにして出力表示部23に表示された情報に基づき、ベルト伝達機構10の挙動を評価する。
【0045】
一方、上述したステップS4において、入力部21に入力された目標回転数が所定の判定値(例えば6000rpm)よりも小さい値(例えば1000rpm)である場合、ステップS7へ移行する。ステップS7では、上述したステップS5と同様、駆動プーリモデル31が目標回転数まで回転駆動されるが、この際には上述した模擬条件が用いられず、本来の設計条件が用いられて解析処理が行われる。つまり、ステップS7においては、各従動プーリモデル32,33,34に角速度ω2,ω3,ω4が付与されないので、駆動プーリモデル31の立ち上がり時には、各従動プーリモデル32,33,34がベルトモデル35に従動しながら回転することになる。しかしながら、ステップS7では、駆動プーリモデル31の目標回転数を6000rpmとした場合と比較して、駆動プーリモデル31の回転数(図7の実線L2)の上昇勾配が小さいため、各従動プーリモデル32,33,34がベルトモデル35に対してスリップしてしまうことがない。従って、ステップS7においても、駆動プーリモデル31が目標回転数に至る時間taの時点において、各従動プーリモデル32,33,34の回転数(図7の破線M2)が定常状態に達することになる。尚、図7では、従動プーリモデルのうちオルタネータプーリモデル34の回転数のみを代表して、破線M2として示している。
【0046】
以上のようにして、ステップS8で駆動プーリモデル31が目標回転数に至ったと判定されると、ステップS9へ移行し、上述と同様の評価ステップが行われる。つまり、ステップS8からステップS9へ移行する場合には、ステップS7と同様の設計条件を継続して用いながら解析処理が行われ、ステップS10においてベルト伝達機構10の挙動が評価される。
【0047】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、駆動プーリモデル31を目標回転数とするまでの立ち上げステップ時において、各従動プーリモデル32,33,34の周速度を駆動プーリモデル31の周速度に近づけるように、各従動プーリモデル32,33,34に角速度を付与するようにしている。このため、ベルトモデル35に対して各従動プーリモデル32,33,34がスリップしてしまうことを回避できるので、各従動プーリモデル32,33,34を速やかに定常状態とすることができる。その結果、例えば図7に示す本発明に係る方法では、図9に示す従来の方法と異なり、駆動プーリモデル31が目標回転数に至る時間taの時点から各従動プーリモデル32,33,34を定常状態で回転させることができる。従って、本発明に係る方法では、従来の方法と異なり、時間taから時間tbまでの間に余分な処理時間を費やすことがない。よって、上記実施形態によれば、振動解析システム20を用いてベルト伝達機構10の挙動を迅速に評価することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、評価対象とする駆動プーリ11の目標回転数が所定値以上である場合のみ、立ち上げステップ時に上記模擬条件を用いるようにしている。従って、スリップが生じ得ないような駆動プーリモデル31の低速立ち上げ条件においては、立ち上げステップから本来の設計条件を用いることで、ベルト伝達機構10の挙動をより正確に再現することができる。
【0049】
〈実施形態の変形例〉
上述した実施形態に係るベルト伝達機構の解析方法については、以下のような変形例を採用するようにしても良い。
【0050】
−変形例1−
上述したステップS5において、各従動プーリモデル32,33,34の負荷(駆動負荷)をゼロとする模擬条件を用いるようにしても良い。つまり、本来のベルト伝達機構10の設計条件では各従動プーリモデル32,33,34に所定の負荷が作用することになるが、この模擬条件を用いると、駆動プーリモデル31の立ち上げ時に各従動プーリモデル32,33,34を無負荷状態とすることができる。従って、この変形例1のステップS5においては、各従動プーリモデル32,33,34がベルトモデル35に完全に従動することになるので、上記実施形態と同様に、各従動プーリモデル32,33,34のスリップを回避することができる。その結果、この変形例1においても、立ち上げステップで各従動プーリモデル32,33,34を速やかに定常状態とすることができ、ベルト伝達機構10の解析/評価に要する時間を短縮化できる。
【0051】
また、このような場合には、従動プーリモデル32,33,34の負荷を必ずしもゼロとしなくても良く、この従動プーリモデル32,33,34の負荷を設計条件での各従動プーリ12,13,14の負荷よりも小さくする模擬条件を用いるようにしても良い。この場合にも、立ち上げステップでは、各従動プーリモデル32,33,34がベルトモデル35に対してスリップし難くなるため、各従動プーリモデル32,33,34の回転数を従来の方法よりも速やかに定常状態とすることができる。
【0052】
−変形例2−
上述した実施形態及び変形例1のステップS5においては、必ずしも全ての従動プーリモデル32,33,34について模擬条件を用いなくても良く、スリップがし易い従動プーリのみに模擬条件を用いても良い。具体的に、複数の従動プーリモデル32,33,34のうち、設計条件の負荷が所定値以上となるものについてのみ、模擬条件を用いるようにしても良い。例えば上記実施形態においては、設計条件としての負荷が比較的高いオルタネータプーリモデル34についてのみ、立ち上げステップで所定の角速度を付与するようにし、それ以外の従動プーリモデル32,33には角速度を付与しないようにする。この場合、最もスリップがし易いオルタネータプーリモデル34について、そのスリップを確実に防止することができる。一方、それ以外の従動プーリモデル32,33については、立ち上げステップ時から本来の設計条件が用いられるので、ベルト伝達機構10の挙動を正確に再現することができる。
【0053】
同様に、上記変形例1の例においても、比較的負荷の高いオルタネータプーリモデル34についてのみ、その負荷をゼロ又は設計条件よりも小さくする模擬条件を用いても良い。また、複数の従動プーリモデル32,33,34のうち、最も負荷の高い従動プーリモデル34を演算部22等で自動的に選別し、選別された従動プーリモデル34についてのみ模擬条件を用いるようにしても良い。
【0054】
《その他の実施形態》
上述した各実施形態については、以下のような方法を採用しても良い。
【0055】
上述した各実施形態の模擬条件は、必ずしも入力部21に入力されるものでなくても良く、例えば入力部21に入力された設計条件に基づいて演算部22等で自動的に算出されるものであっても良い。具体的には、例えば駆動プーリ11のプーリ半径と角速度、及び各従動プーリモデル32,33,34のプーリ半径から、各従動プーリモデル32,33,34に付与するべき角速度を自動的に算出し、立ち上げステップにおいて、自動的に算出された角速度を各従動プーリモデル32,33,34に付与するようにしても良い。
【0056】
また、立ち上げステップにおいて、上述した各実施形態と異なる模擬条件を用いるようにしても良い。つまり、このような模擬条件は、従動プーリモデル32,33,34の周速度を駆動プーリモデル31の周速度に近づけるためのものであって、且つベルトモデル35に対する各従動プーリモデル32,33,34のスリップを回避する効果を奏するものであれば、如何なるものであっても良い。具体的には、立ち上げステップ時において、例えばベルトモデル35に関する摩擦係数を設計条件よりも大きくする模擬条件を用いることで、各従動プーリモデル32,33,34のスリップを回避するようにしても良い。
【0057】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明は、ベルト伝達機構の挙動をコンピュータ上の振動解析モデルを用いて評価するベルト伝達機構の解析方法に関して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施形態に係るベルト伝達機構の解析方法について、評価対象となるベルト伝達機構の概略構成図である。
【図2】振動解析システムの概略構成図である。
【図3】ベルト伝達機構の振動解析モデルを示す図である。
【図4】振動解析モデルにおけるベルトモデルの概念図である。
【図5】ベルト伝達機構の解析方法を示すフローチャートである。
【図6】立ち上げステップ時の振動解析モデルの挙動を模式的に表した図である。
【図7】実施形態に係るベルト伝達機構の解析方法において、駆動プーリモデル及び従動プーリモデルの回転数の経時変化を表したグラフである。
【図8】実施形態に係るベルト伝達機構の解析方法において、従動プーリモデルのスリップ率の経時変化を表したグラフである。
【図9】従来例のベルト伝達機構の解析方法において、駆動プーリモデル及び従動プーリモデルの回転数の経時変化を表したグラフである。
【図10】従来例のベルト伝達機構の解析方法において、従動プーリモデルのスリップ率の経時変化を表したグラフである。
【符号の説明】
【0060】
10 ベルト伝達機構
11 駆動プーリ
12 テンションプーリ(従動プーリ)
13 ウォータポンププーリ(従動プーリ)
14 オルタネータプーリ(従動プーリ)
15 補機駆動ベルト(ベルト)
20 振動解析システム
21 入力部
22 演算部
23 出力表示部
31 駆動プーリモデル
32 テンションプーリモデル(従動プーリモデル)
33 ウォータポンププーリモデル(従動プーリモデル)
34 オルタネータプーリモデル(従動プーリモデル)
35 ベルトモデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動プーリと従動プーリとにベルトを掛け渡して動力を伝達するベルト伝達機構の挙動をコンピュータ上の振動解析モデルを用いて評価するベルト伝達機構の解析方法であって、
評価対象となるベルト伝達機構の特性に関する設計条件を上記コンピュータに入力する入力ステップと、
従動プーリモデルの周速度を駆動プーリモデルの周速度に近づけるための模擬条件を用いながら駆動プーリモデルを回転駆動させてその回転数を目標回転数とする立ち上げステップと、
上記設計条件を用いながら上記駆動プーリモデルの回転数を目標回転数に保った状態としてベルト伝達機構の挙動を評価する評価ステップとを備えていることを特徴とするベルト伝達機構の解析方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記立ち上げステップでは、上記駆動プーリモデルと同調するように上記従動プーリモデルも回転駆動させる模擬条件を用いることを特徴とするベルト伝達機構の解析方法。
【請求項3】
請求項1において、
上記立ち上げステップでは、上記従動プーリモデルの負荷をゼロにする模擬条件、又は従動プーリモデルの負荷を上記設計条件での従動プーリの負荷よりも小さくする模擬条件を用いることを特徴とするベルト伝達機構の解析方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
上記入力ステップでは、駆動プーリの目標回転数を上記コンピュータに任意に入力可能となっており、
上記立ち上げステップでは、上記目標回転数が所定値以上である場合に、上記模擬条件を用いて駆動プーリモデルを回転駆動させる一方、目標回転数が所定値より小さい場合には、上記設計条件を用いて駆動プーリモデルを回転駆動させることを特徴とするベルト伝達機構の解析方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
複数の従動プーリを有するベルト伝達機構を評価対象としており、
上記立ち上げステップでは、複数の従動プーリのうち設計条件の負荷が所定値以上となる従動プーリモデルの周速度を駆動プーリモデルの周速度に近づけるための模擬条件を用いることを特徴とするベルト伝達機構の解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−241526(P2008−241526A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83948(P2007−83948)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】