説明

ベルト押し延ばし型マンドレル

【課題】旋盤等の装置の中心線上で大きなベルトを精度よく保持することが可能なマンドレルを提供し、そうしたベルトを嚢状部材無しで低コストに製造できるようにする。
【解決手段】筒状の芯軸1の両端にそれぞれ円形プレート3,5の対を配置し、隣り合った2個の円形プレートに面するようプレート3又は5の表面に溝6を形成し又は予め形成しておき、その溝6内にOリング7を配することによってマンドレルを形成する。ボルトでプレート3・5間を締め付けるとOリング7が変形してプレート3,5の周から部分的に出っ張るので、締め付けが均等であれば、このマンドレルに筒状で金属製のシート10を装着したとき、マンドレルとシート10の間の間隔が十分均等になる。更に、シート10の周りにベルト11を介しベルト基材12を装着又は形成し、その上に被覆を形成することによって、被覆付のベルトが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆付ベルトの製造に使用されるマンドレルに関する。
【0002】
なお、本発明のマンドレルで製造することができる被覆付ベルトは多岐に亘るが、本願では、その説明の簡明化のため、静電記録システム用ベルトを製造するシステムへの適用例で、本発明についての説明を行っている。
【背景技術】
【0003】
従来から電子写真式複写機、電子写真式プリンタ等の静電記録システムが市販されている。この種のシステムでは、一般に、誘電部材例えば光導電部材の表面をほぼ均一に帯電させ、記録したい像に応じたパターンでその面を放電等させることにより、その部材上に静電潜像を形成する。次いで、色素入りマーキング粒子即ちトナーを吸着させることでその潜像を現像する。更に、こうして発生したトナー像に記録媒体例えば紙を接近例えば接触させ、その部位に電界を印加することによって、誘電部材から記録媒体へとトナー像を転写させる。転写が済んだら、転写元の誘電部材から転写先の記録媒体を引き離した上で、その媒体上にトナー像を熔着させる処理を実行する。この処理即ち熔着処理では、通常、ローラ間又はベルト間の接触間隙(ニップ)に記録媒体を通し、そのローラ乃至ベルトでその媒体を加熱乃至加圧することにより、その上のトナー像をその媒体に熔融・固着させる。そのニップを形成するローラ乃至ベルトのうち一方は加熱熔融用の硬質なものにすることが多く、他方は加圧用の軟質なものにすることが多い。本願では、ローラ状かベルト状かを問わず、硬質な方を加熱部材、軟質な方を加圧部材と称することとする。
【0004】
こうした熔着システムでは、その表面がエラストマ例えばシリコーン(登録商標;以下表記省略)ラバーで覆われていて柔らかい部材か、そうした別素材薄層は伴わないが軟質な部材を、加圧部材として用いるのが普通である。他方の加熱部材も、加圧部材をその加熱部材に押しつけたとき両部材間に機能的なニップが形成されるよう、金属コアの表面を硬質なテフロン(デュポン社の登録商標;以下表記省略)又は薄いエラストマで覆った構成にするのが普通である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それらのうちより軟質な部材である加圧部材は、通常、筒状の鋼製コア乃至ロッドの表面にエラストマ又はラバー素材による筒状被覆を配置することで形成される。熔着システムでは、その加圧部材をより硬質な部材たる加熱部材に押しつけることで、加圧部材・加熱部材間の接触部に細長くニップを形成する。そのニップ内では、随所で加圧部材が支持プレートに接触しその加圧部材の表面が摩耗していく。そのため、ローラ等の加圧部材を長期に亘り使用し続けるのは難しく、破片(即ちデブリ)がシステム内に散布されてしまうことにもなりかねない。更に、加圧部材や加熱部材の表面にある起伏のせいでニップ幅が不均一になっていると、摩耗の進行と相俟ってトナーがうまく熔融しなくなり、記録媒体例えば紙上に形成される像に欠陥が生じ始める。特に、ある一種類のエラストマ素材例えばシリコーンラバーを使用し、デュロメータで計測した硬度値が均一になるよう従来の手法でエラストマ被覆を形成する場合、形成される被覆に起伏が生じやすいため、摩耗した加圧部材等の交換を頻繁に行うことを余儀なくされる。そのため、加圧加熱両部材の構成を改良してその寿命を延ばし熔着システムの性能を高めることが、コスト面でも性能面でも切望されている。更に、ニップ幅均等化や加圧部材の素材的劣化を抑えることで加圧加熱両部材の寿命を延ばし熔着性能を高めることができるので、熔着部材に均等な被覆を形成することやその素材的劣化を十分に抑え又はなくすことが可能な、従来より優れた手法も求められている。
【0006】
また、ベルトの表面に被覆を形成する手法としては、一般に、ベルトの内側に嚢状部材を配置し、その嚢状部材を空気でふくらますことでベルトに張りを持たせ、その状態でそのベルトの表面に被覆を形成する、という手法が知られている。しかしながら、この手法では、張りを持たせたときの直径が300mm以上に達する大型のベルトをその位置がずれないようしっかりと保持するのが難しい。即ち、そうした大型ベルトに対し効率的且つ低コストに表面被覆を形成できる手法は、従来は存在していなかった。こうしたことから、ユーザによる被覆形成工程を含め種々の工程を精度よく且つ効率的に実行することができ、従って熔着システムで使用される加熱乃至加圧ベルトを含め種々の被覆付ベルトを精度よく且つ効率的に製造できる手法が求められている。
【0007】
本発明の目的の一つは、嚢状部材を使用せず低コストに被覆付ベルトを製造することが可能になるよう、旋盤等の装置の中心線上で大きなベルトを精度よく保持することが可能な押し延ばし型マンドレルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るマンドレルによれば、電子写真記録システム用か否か、また加熱熔融用のベルト(加熱ベルト)か否かを問わず、ベルト状の部材乃至構造物に均一な被覆を形成することができる。このマンドレルは従来の市販品等に見られない格別な構成であり、ベルトを精密に製造する際に充足させねばならない厳格な条件を充足させうるように工夫されている。即ち、本実施形態に係るマンドレルは、アルミニウム製で管状の芯軸と、複数枚の円形プレートからなるエンドキャップ複数個と、バイトン(デュポン社の登録商標;以下表記省略)製のOリングとを備える。ベルト製造時には、こうした芯軸及びエンドキャップの周りに下敷きシートを装着し、更にその周りに裏打ちベルトを装着又は形成する。下敷きシートは、その端部同士が重なり合わないよう1枚のステンレス鋼板を筒状に丸めた構成であり、その上に約1mm厚のシリコーン膜を装着又は形成することによって、下敷きシートの筒より若干太く継ぎ目のない筒状の裏打ちベルトを、下敷きシートの周りに配しその位置を固定することができる。電子写真記録システム用の加熱ベルトを形成する際には、こうして装着又は形成された裏打ちベルトの周りに、それに相応しいポリイミド等の素材による膜を装着又は形成することによって、ベルト基材を装着又は形成する。電子写真記録システム用以外等、他種ベルトを形成する際には、その用途に相応しい素材を使用すればよい。いずれにせよ、そのベルト基材は製造しようとしている加熱ベルトの本体になる部材であるので、変位しないようこうして裏打ちベルトによって保持させる。エンドキャップ上にOリングの座として形成されている溝の幅はOリング自体の太さよりも若干小さいので、相応に配置されたボルト等によって円形プレート間を締めてOリングを均等に出っ張らせ、そのOリングで下敷きシートを押すことで、裏打ちベルトを介しベルト基材に対し均等に力を加えることができ、それによってそのベルト基材をほぼ完全な筒状に保つことができる。こうしてアセンブリを組み上げたら、そのアセンブリを旋盤に装着する。そして、ポリイミド(又は基材に相応しい他の素材)で形成されているベルト基材上にシリコーン等の素材をフローコーティング(流し塗り)し、更にバイトン、テフロン等の素材によって他の(諸)層をそのシリコーン層上に形成することにより、加熱ベルト等のベルトを製造することができる。こうした装置を試作し更にその装置で加熱ベルトを試作してみたところ、その直径が302mmの品を好適に製造することができた。これ以外のサイズのベルトも、それに相応しいサイズのマンドレルを本発明に従い準備し使用することで、製造することができよう。本実施形態のマンドレルによれば、特に、市販されている従来のものでは充足することができない条件を充足すること、例えば高いベルト硬化温度に耐えうるといった条件を充足することができる。本実施形態のマンドレルによれば、また、その上にあるベルト基材がほぼ完全な筒状になるので、そのベルト基材に対しフローコーティング(流し塗り)を好適に施すことができる。流し塗りを好適に行えるので、加熱ベルト、ITB(中間転写ベルト)等の電子写真記録システム用ベルトや、電子写真記録用でないものを含め、様々な種類のベルトを効率的に、しかも継ぎ目が生じないよう製造することができる。そうしたベルトを製作する業者にとってはこれは有益なことである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るマンドレルを示す図である。
【図2】そのマンドレルの一端を示す拡大図である。
【図3】そのマンドレルを用い加熱部材又は加圧部材を製造する際に使用する種々の部材を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るマンドレルの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2に、本発明の一実施形態に係るマンドレルを示す。その芯軸1は精密ベアリング面2を有する軸であり、その面2は軸1の中心線に対して精密に軸対称になっている。この軸1の端部4には金属例えばアルミニウム製の円形プレート3が締結されており、またその軸1のジャーナル上に位置するようプレート3・端部4間に金属例えばアルミニウム製の円形プレート5が配置されている。これらプレート3,5の対は各端一組ずつ都合二組装着されていて、その端部4のエンドキャップとなっている。また、内側にあるプレート5の外寄り周縁部には、対をなす他方のプレート3に面するよう機械加工によって溝6が形成されている。従って、その溝6に座するOリング7はプレート3・5間に一部挟み込まれた状態になっている。更に、それらプレート3・5間の締結は、適当な補強具例えば4本のアレンボルト8を用い、その締め方にばらつきが生じないよう、即ちOリング7が外向きにまんべんなく押し延ばされるよう行われている。そのため、この精密処理用マンドレル上でベルト9を形成したとき、そのベルト9とプレート3,5の筒状周面との間隔は高精度で均等になる。こうして同心性を確保できることは、旋盤上でそのベルト9に付着させる被覆が非常に薄いことからすると、非常に重要なことである。なお、被覆付のベルトのことを参照符号9で、またシリコーン等で形成されていてポリイミド等で被覆可能だがまだ被覆が施されていないベルトのことを参照符号12で表すこととするが、多くの場合、両者を同一視してもかまわない。
【0011】
また、図1には、円形プレート3・5間を相互締結するアレンボルト8の面上位置と、プレート3,5内へのその通し方(破線)とを示してある。図示例では、ねじ山が形成されていない部分13及び形成されている部分14を有するボルト8を使用しているが、これとは異なる種類のボルトやボルト以外のプレート連結手段を用いるようにしてもよい。
【0012】
溝6は、Oリング7を円形プレート3・5間に配することができる限り、プレート3上に形成してもよいし、プレート5上に形成してもよい。重要なことはプレート3・5間にOリング7の一部が挟まっていることと、そのOリング7に変形性があることである。即ち、プレート3・5間を(均等に)締めるとOリング7が図1及び図3の如く変形して(均等に)突き出た状態になることである。
【0013】
図3に、本発明に従い製作したマンドレルを用い、継ぎ目のないシリコーン、バイトン又はテフロン製の熔融又は加圧ベルトを製造する手順について、その例を示す。このマンドレルは新規な構成であるので、精密なベルトを製造する上で満たさねばならない種々の条件を、市販のマンドレルと違い満足させることができる。図示の通り、このマンドレルは、アルミニウム製で管状の芯軸1、エンドキャップを構成する二組の円形プレート3及び5、並びにバイトン製のOリング7で構成されている。プレート3,5は、軸1の両端に各1個ずつ軸延長方向から締結されその端部4のエンドキャップとなっており、個々のエンドキャップの周上には機械加工によって溝6例えば傾斜のある座が形成されている。溝6を設ける場所は、プレート3の内寄り周縁部でもよいし、プレート5の外寄り周縁部でもよい。都合2個あるOリング7は対応する溝6に座しており、その座の幅がOリング7の径より若干小さいので、Oリング7は着座先のエンドキャップから部分的に出っ張ることとなる。その出っ張りの大きさは、ボルト8によるプレート3・5間の締め具合で調整することができる。ベルト製造時には、こうした軸1及びエンドキャップの周りに下敷きシート10を装着し、更にその周りに裏打ちベルト11を装着又は形成する(図3上部参照)。下敷きシート10は、その端部同士が重なり合わないよう1枚のステンレス鋼板を筒状に丸めた構成であり、その上に約1mm厚のシリコーン膜を装着又は形成することによって、下敷きシート10の筒より若干太く継ぎ目のない筒状の裏打ちベルト11をその下敷きシート10の周りに配することができる。なお、裏打ちベルト11を形成するシリコーンの厚みは約1〜17mmの範囲内で任意に選定することができる。こうして装着又は形成された裏打ちベルト11の周りには、ポリイミド等、基材に相応しい素材による膜を装着又は形成することによってベルト基材12を装着又は形成する。このベルト基材12は、製造しようとしているベルト例えば加熱ベルトの下地になるベルトであり、変位しないよう裏打ちベルト11によって保持されている。即ち、ボルト8でプレート3・5間を締めてOリング7をまんべんなく押し延ばし、そのOリング7の出っ張りで下敷きシート10を均等に押すことで、裏打ちベルト11を介しベルト基材12に対し力を均等に加えることができ、それによってそのベルト基材12の位置を固定し形状をほぼ完全な筒状に保つことができる。こうしてアセンブリを組み上げたら(図3下部参照)、そのアセンブリを旋盤に装着する。そして、ポリイミド(又は基材に相応しい他の素材)で形成されているベルト基材12上にシリコーン等の素材をフローコーティング(流し塗り)し、更にバイトン、テフロン等の素材によって他の(諸)層をそのシリコーン層上に形成することにより、熔融又は加圧ベルトを製造することができる。
【0014】
図4に、本発明の他の実施形態に係るマンドレル及びその構成部品の例を示す。図示の状態では、それぞれボアホール15を有する円形プレート3,5が芯軸1の左側端部4に装着され、そのボアホール15には部分的にねじ山のあるボルト8が螺入されている。プレート3,5はそれによって相互締結され、更には軸5に連結されている。溝6は、図示の通り外側にあるプレート5の内寄り周縁部に機械加工で形成されている。また、本実施形態ではその溝6にOリング7が1本ずつ収まっているが、その本数が左右1本ずつでない形態でも本発明を実施することができる。いずれにせよ、図1に示した如くボルト8を締めるとOリング7がプレート3,5の周から出っ張っていくので、下敷きシート10たる金属板がOリング7越しに装着してあれば、Oリング7のその変形でその下敷きシート10をしっかり保持することができる。また、ボルト8を締めることで、プレート5をその軸1の端部4に押しつけて固定することができる。端部4に対する位置関係については図2を参照されたい。
【0015】
このように、本発明の一実施形態によれば、被覆付ベルト9の製造に役立つマンドレル、具体的には(1)筒状の芯軸1と、(2)その芯軸1の端部4に装着された金属製の円形プレート3と、(3)そのプレート3と共に芯軸1に固定された別の円形プレート5と、(4)芯軸1と同心になるよう且つ他方の円形プレートに面するようプレート3、5又はその双方の周上に形成された溝6と、(5)プレート3・5間が締められると変形して両円形プレート3,5の周から部分的に出っ張るようその溝6内に配されたOリング7と、(6)プレート3・5間を締めるためのボルト8であってプレート3・5間を均等に締めうるようそのプレート3,5の外面上に並ぶボルト8と、を備え、(7)被覆を形成したいベルト12をその周りに装着したときOリング7の出っ張りによってそのベルト12とプレート3,5との間隔が均等化されるマンドレルを、得ることができる。
【0016】
なお、円形プレート3,5は互いに同一の寸法にするのが望ましい。プレート3,5には、芯軸1に連結乃至装着することができるよう、互いに同じ形状の中心開口を設けるのが望ましい。プレート3,5には、更に、その表面に沿いボルト8が均等間隔で並ぶよう、締結用の開口を均等間隔で設けるのが望ましい。そして、プレート3は金属例えばアルミニウムで形成するのが望ましい。
【0017】
また、本発明の一実施形態によれば、ベルト型の構造物の上に均一な被覆を形成可能な装置、具体的には(1)マンドレルと、(2)そのマンドレルの周りに随時装着される筒状で金属製のシート10と、(3)そのシート10の周りに随時装着される可撓製のベルト11と、(4)そのベルト11の周りに被覆対象たる基材12として随時装着される被覆可能なベルト型の構造物と、を備える装置を得ることができる。この装置では、(5)筒状の芯軸1と、(6)その芯軸1の両端にそれぞれ対をなして配置された複数の円形プレート3,5と、(7)隣り合った2個の円形プレート3,5に面するようプレート3又は5の表面に機械加工等で形成された溝6と、(8)プレート3・5間を締めると変形してその周から部分的に出っ張るようその溝6内に配されたOリング7と、を備えるマンドレルを使用する。なお、プレート3,5は互いに同一の寸法にするのが望ましい。プレート3,5には、芯軸1に連結乃至装着することができるよう、互いに同じ形状の中心開口を設けるのが望ましい。プレート3,5には、更に、その表面に沿い4本以上のボルト8が均等間隔で並ぶよう、締結用の開口を均等間隔で十分な個数設けるのが望ましい。プレート3は金属例えばアルミニウムで形成するのが望ましい。そして、Oリング7は弾性及び変形性を呈するエラストマ等の素材で形成するのが望ましい。
【0018】
そして、本発明の一実施形態によれば、電子写真記録システムで使用される加熱ベルトを製造する方法、具体的には(1)マンドレルを準備するステップと、(2)金属で形成された筒状のシート10をそのマンドレルの周りに装着するステップと、(3)可撓性のあるベルト11をそのシート10の周りに装着又は形成するステップと、(4)そのベルトの周りにベルト型の構造物を装着又は形成するステップと、(5)基材12となるその構造物に被覆を施すことで加熱ベルトを形成するステップと、を有する方法を得ることができる。この方法では、そのマンドレルとして、(6)筒状の芯軸1と、(7)その芯軸1の端部4に装着された金属製の円形プレート3と、(8)プレート3と共に芯軸1に固定された別の円形プレート5と、(9)芯軸1と同心になるよう且つ他方の円形プレートに面するよう円形プレート3又は5の周上に形成された溝6と、(10)プレート3・5間が締められると変形して両円形プレート3,5の周から部分的に出っ張るようその溝6内に配されたOリング7と、(11)プレート3・5間を締めるためのボルト8であってプレート3・5間を均等に締めうるようそのプレート3,5の外面上に並ぶボルト8と、を備えるマンドレルを使用する。更に、基材12に被覆を施し加熱ベルトを形成する際には、(12)ボルト8でプレート3・5間を均等に締め付けOリング7の一部をプレート3,5の周から出っ張らせることによって、そのベルトとプレート3,5との間隔を概ね均等にする。なお、プレート3,5は互いに同一の寸法にするのが望ましい。プレート3,5には、芯軸1に連結乃至装着することができるよう、互いに同じ形状の中心開口を設けるのが望ましい。プレート3,5には、更に、その表面に沿いボルト8が均等間隔で並ぶよう、締結用の開口を均等間隔で設けるのが望ましい。プレート3は金属例えばアルミニウムで、Oリング7はシリコーンで、シート10はステンレス鋼で、ベルト11は継ぎ目のないシリコーンで、ベルト基材12はポリイミドで、それぞれ形成するのが望ましい。
【符号の説明】
【0019】
1 芯軸、2 精密ベアリング面、3,5 円形プレート、4 芯軸端部、6 溝、7 Oリング、8 ボルト、9 被覆付ベルト、10 下敷きシート、11 裏打ちベルト、12 ベルト基材、13 ねじ山非形成部分、14 ねじ山形成部分、15 ボアホール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の芯軸と、
その芯軸の端部に装着された金属製の第1円形プレートと、
第1円形プレートと共に芯軸に固定された第2円形プレートと、
芯軸と同心になるよう且つ他方の円形プレートに面するよう第1又は第2円形プレートの周上に形成された溝と、
円形プレート間が締められると変形して両円形プレートの周から部分的に出っ張るようその溝内に配されたOリングと、
円形プレート間を締めるためのボルトであってその円形プレート間を均等に締めうるようその円形プレートの外面上に並ぶボルトと、
を備え、被覆を形成したいベルトをその周りに装着したときOリングの出っ張りによってそのベルトと第1及び第2円形プレートとの間隔が均等化される被覆付ベルト製造用マンドレル。
【請求項2】
マンドレルと、そのマンドレルの周りに随時装着される金属製で筒状のシートと、そのシートの周りに随時装着される可撓製のベルトと、そのベルトの周りに被覆対象たる基材として随時装着されるベルト型の構造物と、を備え、
そのマンドレルが、筒状の芯軸と、その芯軸の両端にそれぞれ対をなして配置された第1及び第2円形プレートと、隣り合った2個の円形プレートに面するよう第1又は第2円形プレートの表面に形成された溝と、円形プレート間を締めると変形してその周から部分的に出っ張るようその溝内に配されたOリングと、を備えるベルト被覆均一形成装置。
【請求項3】
請求項2記載のベルト被覆均一形成装置であって、第1円形プレート及びそれと同一寸法の第2円形プレートが、互いに同じ形状の中心開口を介し、芯軸に連結乃至装着されたベルト被覆均一形成装置。
【請求項4】
マンドレルを準備するステップと、金属で形成された筒状のシートをそのマンドレルの周りに装着するステップと、可撓性のあるベルトをそのシートの周りに装着又は形成するステップと、そのベルトの周りにベルト型の構造物を装着又は形成するステップと、基材となるその構造物に被覆を施すことで加熱ベルトを形成するステップと、を有し、
そのマンドレルとして、
筒状の芯軸と、
その芯軸の端部に装着された金属製の第1円形プレートと、
第1円形プレートと共に芯軸に固定された第2円形プレートと、
芯軸と同心になるよう且つ他方の円形プレートに面するよう第1又は第2円形プレートの周上に形成された溝と、
円形プレート間が締められると変形して両円形プレートの周から部分的に出っ張るようその溝内に配されたOリングと、
円形プレート間を締めるためのボルトであってその円形プレート間を均等に締めうるようその円形プレートの外面上に並ぶボルトと、
を備えるマンドレルを使用し、
基材に被覆を施し加熱ベルトを形成する際に、ボルトで円形プレート間を均等に締め付けOリングの一部を円形プレートの周から出っ張らせることによって、そのベルトと第1及び第2円形プレートとの間隔を概ね均等にする電子写真記録システム用加熱ベルト製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−64486(P2010−64486A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207887(P2009−207887)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】