説明

ベルト搬送装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】循環軌跡に沿って移動するベルト部材と、その背面側にベルト背面部材をベルト部材に接触可能な程度に近接配置させた構成の装置にあって、ベルト部材の循環時にベルト背面部材に対するベルト部材の貼り付きを抑えながら、ベルト部材の循環軌跡を安定させる。
【解決手段】複数の張架部材2(2a,2b)に張架されて循環する無端状ベルト部材1と、このベルト部材1の背面側に設けられ、停止時のベルト部材1に対して非接触配置され且つ循環時のベルト部材1に対して不定期に接触する程度に近接配置される近接部3Aを有するベルト背面部材3と、このベルト背面部材3の近接部3Aのベルト部材1との対向面の全部又は一部にベルト部材1と接触してベルト部材1の静電吸着不能な非吸着面5を有し、この非吸着面5の存在によりベルト部材1の近接部3Aへの貼り付きを不能とする非貼り付き部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト搬送装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式等の画像形成装置のうち、記録材を静電吸着して搬送する搬送ベルトや、トナー像を一時的に保持搬送する中間転写ベルトを循環させるタイプのベルト搬送装置では、搬送ベルトや中間転写ベルトのベルト部材背面側に、例えば転写部材等の部材を支持するための支持部材としてベルト背面部材が設けられる。このようなベルト背面部材は、特に、装置の小型化がなされる場合に、その一部がベルト部材の内周面に近接して配置されるようになる。
【0003】
また、このようなベルト搬送装置を使用する際、ベルト部材のばたつきを抑えるために、ベルト部材を外周面側に張らせるように、ベルト背面部材をベルト部材の内周面に押し当てるようにした構成が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−305877号公報(発明の実施の形態、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、循環軌跡に沿って移動するベルト部材と、その背面側にベルト背面部材をベルト部材に接触可能な程度に近接配置させた構成の装置にあって、ベルト部材の循環時にベルト背面部材に対するベルト部材の貼り付きを抑えながら、ベルト部材の循環軌跡を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本件請求項1に係る発明は、複数の張架部材に張架されて循環する無端状ベルト部材と、このベルト部材の背面側に設けられ、停止時のベルト部材に対して非接触配置され且つ循環時のベルト部材に対して不定期に接触する程度に近接配置される近接部を有するベルト背面部材と、このベルト背面部材の前記近接部のベルト部材との対向面の全部又は一部にベルト部材と接触してベルト部材の静電吸着不能な非吸着面を有し、この非吸着面の存在によりベルト部材の近接部への貼り付きを不能とする非貼り付き部とを備えるベルト搬送装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るベルト搬送装置において、前記非貼り付き部は、ベルト背面部材の近接部と一体的又は別体に設けられ、非吸着面として機能する範囲内でベルト部材との摩擦帯電量が小さく抑えられる材料にて構成されているベルト搬送装置である。
請求項3に係る発明は、請求項2に係るベルト搬送装置において、前記ベルト部材がポリアミドイミド系樹脂で構成され、前記非吸着面は、ポリウレタン系樹脂シート材を前記ベルト背面部材上に設けたベルト搬送装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係るベルト搬送装置において、前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し線状接触面として接触するように構成されているベルト搬送装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1に係るベルト搬送装置において、前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し点状接触面として接触するように構成されているベルト搬送装置である。
請求項6に係る発明は、トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体に対向配置される請求項1乃至5のいずれかに係るベルト搬送装置とを備えた画像形成装置である。
【0008】
請求項7に係る発明は、トナー像を保持する像保持体と、この像保持体に対向配置されて無端状ベルト部材が循環するベルト搬送装置とを備え、ベルト搬送装置は、複数の張架部材に張架されて循環する無端状ベルト部材と、このベルト部材の背面側に設けられ、停止時のベルト部材に対して非接触配置され且つ循環時のベルト部材に対して不定期に接触する程度に近接配置される近接部を有するベルト背面部材と、このベルト背面部材の前記近接部のベルト部材との対向面の一部にベルト部材と接触してベルト部材の静電吸着不能な非吸着面を有し、この非吸着面の存在によりベルト部材の近接部への貼り付きを不能とする非貼り付き部と、この非貼り付き部のうち非吸着面以外でベルト部材の循環方向に直交する幅方向両側に設けられ且つ非吸着面に比べて静電吸着し易い吸着作用面を有し、この吸着作用面の存在によりベルト部材の幅方向両側部を当該吸着作用面に静電吸着させない状態で像保持体から離間する方向に静電吸引移動させ、ベルト部材の循環搬送姿勢を補正する姿勢補正部とを具備する画像形成装置である。
【0009】
請求項8に係る発明は、請求項7に係る画像形成装置のうち像保持体を複数備える態様において、ベルト部材が全ての像保持体に接触している状態の接触位置と、ベルト部材が一つの像保持体と接触し且つ残りの像保持体と離間している状態の離間位置との間で変位できるような変位機構を備えた画像形成装置である。
請求項9に係る発明は、請求項7に係る画像形成装置において、前記非貼り付き部の非吸着面は、非吸着面として機能する範囲内でベルト部材との摩擦帯電量が小さく抑えられる材料にて構成されている画像形成装置である。
請求項10に係る発明は、請求項7に係る画像形成装置において、前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し線状接触面として接触するように構成されている画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、請求項7に係る画像形成装置において、前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し点状接触面として接触するように構成されている画像形成装置である。
請求項12に係る発明は、請求項7に係る画像形成装置のうち、前記ベルト部材がトナー像を一時的に保持する中間転写体の態様において、前記ベルト部材の非吸着面の領域に対向して当該ベルト部材の表面側に離間配置され且つ当該ベルト部材上のトナー像の濃度を検知する検知部材を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、循環軌跡に沿って移動するベルト部材と、その背面側にベルト背面部材をベルト部材に接触可能な程度に近接配置させた構成のベルト搬送装置にあって、ベルト部材の循環時にベルト背面部材に対するベルト部材の貼り付きを抑えながら、ベルト部材の循環軌跡を安定させることができる。
請求項2に係る発明によれば、ベルト部材がベルト背面部材を擦って発生する摩擦帯電量による静電吸着力をベルト部材の循環が阻害されない程度に小さく抑えることができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、汎用性のものを使用して摩擦帯電量を小さくすることができる。
請求項4に係る発明によれば、別部材を付加することなく、非貼り付き部を容易に形成できる。
請求項5に係る発明によれば、別部材を付加することなく、非貼り付き部を容易に形成できる。
請求項6に係る発明によれば、循環軌跡に沿って移動するベルト部材と、その背面側にベルト背面部材をベルト部材に接触可能な程度に近接配置させた構成のベルト搬送装置と、ベルト部材に対向する像保持体とを備えた画像形成装置にあって、ベルト部材の循環時にベルト背面部材に対するベルト部材の貼り付きを抑えながら、ベルト部材の循環軌跡を安定化させることができる。
【0011】
請求項7に係る発明によれば、循環軌跡に沿って移動するベルト部材の表面側に複数の像保持体を備える一方、ベルト部材の背面側にベルト背面部材をベルト部材に接触可能な程度に近接配置させた構成の画像形成装置にあって、ベルト部材の循環時にベルト背面部材に対するベルト部材の貼り付きを抑えると共にベルト部材の両端部をベルト背面部材側に静電吸引移動させるという相反する効果を実現しながら、ベルト部材の循環軌跡を安定させることができる。
請求項8に係る発明によれば、ベルト部材が像保持体に接触する数量によって、例えばモノクロ及びカラーの夫々モードの異なる画像が容易に形成できるようになると共に、特に、装置の小型化が可能になる。
請求項9に係る発明によれば、ベルト部材がベルト背面部材を擦って発生する摩擦帯電量による静電吸着力をベルト部材の循環が阻害されない程度に小さく抑えることができる。
請求項10に係る発明によれば、別部材を付加することなく、非貼り付き部を容易に形成できる。
請求項11に係る発明によれば、別部材を付加することなく、非貼り付き部を容易に形成できる。
請求項12に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、ベルト部材のより安定した位置に検知部材を配置することができ、この検知部材でのより高精度な検知が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、本発明が適用される実施の形態モデルの概要について説明する。
◎実施の形態モデルの概要
図1は、本発明を具現化する実施の形態モデルに係る第一の態様のベルト搬送装置が適用された画像形成装置の概要を示す。同図において、本実施の形態モデルの画像形成装置は、ベルト搬送装置のベルト部材1の表面側に対向してトナー像を保持する像保持体8(8a,8b:本例では二個)が配置され、ベルト部材1の背面側には像保持体8上のトナー像をベルト部材1側に転写する転写部材9(9a,9b)が像保持体8に対向した位置に配設されたものとなっている。
【0013】
このような画像形成装置に適用される代表的なベルト搬送装置としては、図1(a)及び(b)に示すように、複数の張架部材2(2a,2b)に張架されて循環する無端状ベルト部材1と、このベルト部材1の背面側に設けられ、停止時のベルト部材1に対して非接触配置され且つ循環時のベルト部材1に対して不定期に接触する程度に近接配置される近接部3Aを有するベルト背面部材3と、このベルト背面部材3の近接部3Aのベルト部材1との対向面の全部又は一部にベルト部材1と接触してベルト部材1の静電吸着不能な非吸着面5を有し、この非吸着面5の存在によりベルト部材1の近接部3Aへの貼り付きを不能とする非貼り付き部4とを備えている。尚、図1(a)は画像形成装置の概略構成を示すものであり、(b)は(a)の近接部3Aを矢印E方向から見たときの近接部3Aの表面を部分拡大したものである。
【0014】
ここで、ベルト背面部材3はベルト部材1の背面側に設けられるものであり、例えば転写部材9等の内蔵物を支持するように設けられるため、形状安定性、量産性等の観点から合成樹脂製のものが好適である。また、「不定期に接触する程度に近接配置」とは、循環するベルト部材1がばたついたり、背面側に押圧されることで、ベルト部材1がベルト背面部材3に対し接触する程度の距離に配置される近接部3Aをベルト背面部材3が備えていることを意味する趣旨である。
更に、ベルト部材1は複数の張架部材2に張架されて循環するものであればよく、具体的には、記録材を保持して搬送する搬送ベルトの態様であってもよいし、トナー像を一時的に保持し、記録材に一括転写するような中間転写体の態様であっても差し支えない。
【0015】
更にまた、非貼り付き部4としては、ベルト部材1と近接部3Aとの貼り付きを防ぐために非吸着面5を備えていればよく、この非吸着面5としては、ベルト部材1がベルト背面部材3の近接部3Aへ貼り付くことを防ぐものであり、循環するベルト部材1との静電吸着力が小さくなるように、例えばベルト部材1との摩擦帯電量の小さいシートを貼付したり、ベルト背面部材3自体の表面を静電吸着力が小さくなるようにベルト部材1との接触面積を減らすものが挙げられる。
【0016】
そして、非貼り付き部4としては、ベルト部材1が擦って発生する摩擦帯電量による静電吸着力を小さく抑える観点からすれば、次のようにすることが好ましい。
すなわち、非貼り付き部4は、ベルト背面部材3の近接部3Aと一体的又は別体に設けられ、非吸着面5として機能する範囲内でベルト部材1との摩擦帯電量が小さく抑えられる材料にて構成されるようにすれば、発生する摩擦帯電量自体を低く抑えることができるようになる。具体的には、ベルト部材1がポリアミドイミド系樹脂で構成される場合、非吸着面5はポリウレタン系樹脂シート材をベルト背面部材3上に設けるようにすればよい。尚、ポリウレタン系樹脂シート材としては、ゴム材、発泡材等のシートが挙げられる。
【0017】
また、非貼り付き部4によってベルト部材1との接触面積を減らす観点からすれば、次のようにすればよい。
すなわち、非貼り付き部4の非吸着面5が、ベルト部材1に対し線状接触面として接触するように構成されることが好ましい。これにより、ベルト部材1とベルト背面部材3とが接触してもその接触面積が小さく抑えられ、両者間で発生する静電吸着力を小さく抑えることができるようになる。
【0018】
ここで、線状接触面を備える代表的態様としては、近接部3Aにベルト部材1側に突出する複数のリブを構成するものが挙げられる。このとき、リブとしては、ベルト部材1と接触する部位がリブの頂部になるような曲線状の断面を有するものが好ましい。
一方、点状接触面を備える代表的態様としては、近接部3Aに、非吸着面5として、シボ加工による算術平均粗さRaが5μm以上且つ十点平均粗さRzが20μm以上のシボ面を形成するものが挙げられる。仮に、シボ面の算術平均粗さRaが5μm未満であったり、十点平均粗さRzが20μm未満であると、ベルト部材1とシボ面との平均間隔も小さくなり、ベルト部材1がベルト背面部材3を擦った際の静電吸着力によってベルト部材1が貼り付く虞が発生するようにもなる。また、シボ面としては、粗さを粗くすれば接触面積を減らすことは可能であるが、ベルト部材1への損傷を軽減し且つ加工性を容易にする観点からすれば、算術平均粗さRaが20μm以下が好ましい。尚、算術平均粗さRa及び十点平均粗さRzは、JIS B 0601−1994に準拠した。
【0019】
一般的に、張架部材2にて張架されたベルト部材1は、張架部材2によってベルト自体が延ばされる方向の力を受け、ベルト循環方向に直交する幅方向の両端部側で波打ちが大きくなり易い。そのため、本実施の形態モデルに係る第二の態様のベルト搬送装置が適用された画像形成装置としては、ベルト部材1の波打ちを考慮したものとなっている。
すなわち、図2(a)及び(b)に示すように、トナー像を保持する像保持体8(8a,8b)と、この像保持体8に対向配置されて無端状ベルト部材1が循環するベルト搬送装置とを備え、ベルト搬送装置は、複数の張架部材2(2a,2b)に張架されて循環する無端状ベルト部材1と、このベルト部材1の背面側に設けられ、停止時のベルト部材1に対して非接触配置され且つ循環時のベルト部材1に対して不定期に接触する程度に近接配置される近接部3Aを有するベルト背面部材3と、このベルト背面部材3の近接部3Aのベルト部材1との対向面の一部にベルト部材1と接触してベルト部材1の静電吸着不能な非吸着面5を有し、この非吸着面5の存在によりベルト部材1の近接部3Aへの貼り付きを不能とする非貼り付き部4と、この非貼り付き部4のうち非吸着面5以外でベルト部材1の循環方向に直交する幅方向両側に設けられ且つ非吸着面5に比べて静電吸着し易い吸着作用面7を有し、この吸着作用面7の存在によりベルト部材1の幅方向両側部を当該吸着作用面7に静電吸着させない状態で像保持体8から離間する方向に静電吸引移動させ、ベルト部材1の循環搬送姿勢を補正する姿勢補正部6とを具備している。尚、図2(a)は第二の態様のベルト搬送装置が適用された画像形成装置の概略構成を示すものであり、(b)は(a)の近接部3Aを矢印F方向から見たときの近接部3Aの表面を部分拡大したものである。
【0020】
特に、この第二の態様のベルト搬送装置は、ベルト部材1が全ての像保持体8(8a,8b)に接触している状態の接触位置と、ベルト部材1が一つの像保持体8aと接触し且つ残りの像保持体8bと離間している状態の離間位置との間で変位できるような変位機構を備えた画像形成装置への適用が好適である。
つまり、図2(c)に示すように、薄いベルト部材1を張架して循環させるようにすると、張架されたベルト部材1の幅方向両端部での波打ちが生じることがある。このような波打ちは、ベルト部材1に対向する像保持体8があり、特に、この像保持体8がベルト部材1に近接配置された部位(例えば像保持体8との転写部位の近傍の部位や像保持体8を複数備える態様にあっては、離間配置された像保持体8の態様)では、ベルト部材1の循環時に波打ち部位が像保持体8に接触する可能性がある。そのようなベルト部材1の像保持体8に対する不要な接触を防ぐために、ベルト背面部材3の近接部3Aに対し、ベルト部材1が貼り付かないように、かつ、ベルト部材1の波打ちを抑える姿勢補正を行うようにすることが好ましい。
【0021】
すなわち、ベルト背面部材3の近接部3Aの一部にベルト部材1への静電吸着不能な非吸着面5を有する非貼り付き部4を備え、この非貼り付き部4の非吸着面5の外側にベルト部材1を静電吸着させない状態で静電吸引移動可能な吸着作用面7を有する姿勢補正部6を備えるようにすれば、両者の作用により、ベルト部材1の波打ちを抑えながら、かつ、ベルト部材1が近接部3Aに貼り付かないような画像形成装置が実現できるようになる。尚、図2(c)は(a)のc−c断面図である。
【0022】
そして、このような画像形成装置の代表的態様としては、モノクロ画像及びカラー画像のような夫々モードの異なる画像を形成する際、ベルト部材1が変位機構によって変位することで、モードを切り替えられるようになっている装置が挙げられる。
【0023】
次に、このようなモードを切り替える場合のベルト部材1の影響をより詳しく説明する。今、図2(c)に示すように、ベルト部材1にその幅方向両端部で波打ちが発生しており、ベルト背面部材3の近接部3Aの一部に非吸着面5が、また、この非吸着面5の外側には吸着作用面7が形成されているものとする。ベルト部材1の波打ちは、図2(a)に示すように、画像形成装置として、ベルト部材1が複数の像保持体8(8a,8b)に接触する場合には、ベルト部材1が像保持体8によって押さえられたり、あるいは、転写部材9(9a,9b)としてロール状部材を使用する態様においてはベルト部材1の背面側から像保持体8に対向して配置される転写部材9と像保持体8との間でベルト部材1が挟持されるようになり、画像欠陥等の発生は特に大きな問題とはならない。
【0024】
しかしながら、ベルト部材1と離間する像保持体8(本例では8b)がある場合には、その離間距離によってはベルト部材1の波打ち部位が離間した像保持体8bと接触することがある。特に、張架部材2(2a,2b)にて張架されたベルト部材1に対し変位機構を用いて変位させる際、ベルト部材1がいずれかの像保持体8aに接触したまま他の像保持体8bから離間する方式を採用すると、ベルト部材1を変位させる変位機構自体は簡略化されるものの、離間距離を大きくすることが困難となるため離間距離が取れず、ベルト部材1の波打ちが離間した像保持体8bに接触し、画像欠陥を発生する虞がある。
【0025】
これに対し、本実施の形態モデルによれば、ベルト背面部材3の近接部3Aのうち、ベルト部材1の波打ちに対応した部位が吸着作用面7となっていることから、ベルト部材1とも摩擦帯電し易く、また一旦摩擦帯電するとベルト部材1にはベルト背面部材3側に静電吸着力が作用し、ベルト部材1の波打ち部位がベルト背面部材3側に引っ張られるようになる。その結果、ベルト部材1の波打ちが抑えられてその姿勢が補正され、離間した像保持体8bとの離間距離が小さい場合にも像保持体8bへのベルト部材1の接触が抑えられるようになる。
【0026】
このような態様において、非吸着面5としては、ベルト部材1が近接部3Aに全体として貼り付かないようになっていればよく、例えば非吸着面5を近接部3Aの幅方向中央寄りに設けるようにしてもよい。
また、吸着作用面7としては、特に限定されないが、構成を簡略化させる観点からすれば、ベルト部材1と吸着作用面7との間で摩擦による静電吸着力により、ベルト部材1を静電吸着させない状態で静電吸引移動が可能な程度に平滑な平滑面を用いることが好ましい。尚、第二の態様のベルト搬送装置が適用された画像形成装置において、非貼り付き部4の非吸着面5については第一の態様と同様であることから、ここではその説明を省略する。
【0027】
そして、ベルト部材1が中間転写体である態様にあっては、中間転写体上のトナー像の濃度を検知する検知部材を配置するに際し、非吸着面5の領域に対応して配置することが好ましい。これによれば、トナー像を検知する際、ベルト部材1のばたつきがより少ない部位でベルト部材1上の検知が可能になり、より高精度な検知がなされるようになる。
【0028】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3は、本実施の形態モデルの第一の態様のベルト搬送装置が適用された実施の形態1の画像形成装置を示す。同図において、本実施の形態の画像形成装置は、装置筐体10の下部に記録材を供給する記録材供給ユニット11が引き出し可能に設けられる一方、この記録材供給ユニット11の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー像を記録材上に形成する作像エンジン20(20a〜20d)を鉛直方向に直線状に配列したものである。
また、これらの作像エンジン20の上方には、作像エンジン20により記録材上に形成されたトナー像を定着する定着装置14が設けられており、更に、定着装置14により定着された記録材が装置筐体10から排出されて収容される記録材排出受け10aを装置筐体10の上面の一部に備えた構成となっている。
【0029】
更に、装置筐体10内の記録材供給ユニット11と定着装置14との間にて、4個の作像エンジン20a〜20dに跨って対向する位置には、記録材を静電吸着して搬送し、所定の剥離部位にて剥離できるように構成されたベルト搬送装置30が設けられている。
【0030】
本実施の形態における作像エンジン20は、各色トナー像が形成可能なプロセスカートリッジ21、このプロセスカートリッジ21の背後に設けられてプロセスカートリッジ21内のトナー像が保持される感光体22に静電潜像を形成するための例えばレーザ露光装置24、および、ベルト搬送装置30内にてプロセスカートリッジ21内の感光体22に対向する位置に設けられた転写ロール27にて構成されている。尚、プロセスカートリッジ21内の感光体22の周囲には、感光体22を帯電する帯電ロール23、感光体22上に形成された静電潜像をトナーにて可視像化する現像ロール25及び現像ロール25にトナーを供給するトナー供給ロール26等が設けられている。
【0031】
また、本実施の形態における記録材供給ユニット11は、供給可能な記録材が収容される供給カセット11aを有し、この供給カセット11aの記録材搬送方向下流側端部近傍には、この供給カセット11aから記録材を1枚ずつ捌いて送り出すための捌き機構12が設けられている。この捌き機構12では、ピックアップロール12aを使って供給カセット11aから繰り出された記録材が、フィードロール12b及びリタードロール12cの作用によって捌かれて、最上部の1枚の記録材のみが下流側に送り出されるようになっている。
【0032】
そして、ベルト搬送装置30の上流側には、搬送される記録材に対し一旦位置決め規制を行った後、所定のタイミングで位置決め規制された記録材をベルト搬送装置30側へ搬送するレジストロール13が設けられている。
一方、定着装置14は、例えば加熱ロール14aと加圧ロール14bとで構成され、トナー像の定着が十分なされるようになっている。また、この定着装置14の記録材搬送方向下流側で装置筐体10の開口部に面して、記録材を記録材収容受け10a上に排出する排出ロール15が設けられている。尚、この排出ロール15は、記録材の両面に画像形成を行うための反転搬送を可能にすべく、必要に応じて反転動作を行うようになっている。
【0033】
また、本実施の形態における記録材搬送経路は、供給カセット11aから搬送された記録材が、レジストロール13、ベルト搬送装置30及び定着装置14を経由して排出ロール15に至る通常搬送経路41と、排出ロール15によって反転された記録材が、この排出ロール15から通常搬送経路41とは異なる経路でレジストロール13まで搬送される反転搬送経路42とで構成されている。
また、本実施の形態では、反転搬送経路42の一部が記録材供給ユニット11内部にも設けられている。尚、これらの通常搬送経路41及び反転搬送経路42には、記録材の搬送性を確保するための搬送部材(搬送ロールや搬送ガイド等)が適宜設けられている。
【0034】
次に、本実施の形態のベルト搬送装置30について説明する。
図4に示すように、感光体22(22a〜22d)に対向して配置されるベルト搬送装置30は、2個の張架ロール32,33に張架されて、例えば上方の記録材搬送方向下流側の張架ロール33を駆動ロールとして循環する例えばポリアミドイミド系樹脂からなる無端状ベルト部材としての搬送ベルト31と、この搬送ベルト31背面側に設けられて例えば転写ロール27(27a〜27d)を支持する合成樹脂製のベルト背面部材としての支持枠体35と、搬送ベルト31の記録材搬送面の記録材搬送方向上流側の張架ロール32に対し搬送ベルト31を挟んで対向する位置に設けられ且つ記録材を搬送ベルト31上に静電吸着するための帯電装置34と、搬送ベルト31の非記録材搬送面で張架ロール33より搬送ベルト31の循環方向下流側にて搬送ベルト31を支持枠体35側へ押し付けるように設けられ且つ搬送ベルト31上の清掃を行うクリーニング部材36とで構成されている。また、本実施の形態では、ベルト搬送装置30側に転写ロール27を備えるようになっている。
【0035】
ここで、帯電装置34は、バックアップロールとして接地された張架ロール32との間に図示外のバイアス電源から所定の帯電バイアスが印加されることで搬送ベルト31に対し良好な静電吸着性がもたらされ、搬送ベルト31での記録材の搬送が開始できるようになっている。
【0036】
一方、搬送ベルト31の背面側に設けられた支持枠体35は、例えばポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイを用いて射出成形した部材で構成されている。そして、この支持枠体35は、転写ロール27と隣り合う下流側部位では搬送ベルト31の記録材搬送面の内周面に近接するように突出する表面側突出面35Aが形成される一方、転写ロール27に対応する部位及び転写ロール27と隣り合う上流側部位では非記録材搬送面側に突出する裏面側突出面35B(近接部に相当)が形成されている。尚、最上流側の転写ロール27aの上流側や、最下流側の転写ロール27dの下流側には、小型化の観点からこのような突出面は設けていない。
【0037】
そして、特に、本実施の形態では、図5(a)に示すように、支持枠体35の裏面側突出面35Bのうち、クリーニング部材36の近傍位置(図中αで示す領域)では、クリーニング部材36によって搬送ベルト31が裏面側突出面35Bに最近接するようになっている。そのため、裏面側突出面35Bの搬送ベルト幅方向全域に亘って、支持枠体35に搬送ベルト31が接触して擦った際に両者間に発生する静電吸着力によって搬送ベルト31が支持枠体35に貼り付かないようにする非貼り付き部が形成され、この非貼り付き部の非吸着面としてポリウレタン系樹脂のシート37が貼付されている(図5(b)参照)。尚、図5(b)の下方の図は裏面側突出面35Bを矢印D方向から見たときの正面図であり、上方の図はその平面図となっている。
【0038】
つまり、本例では、支持枠体35がベルト背面部材に相当し、ベルト搬送装置30を小型化するために、搬送ベルト31と支持枠体35の一部とが近接して配置され、その距離は、両者間では搬送ベルト31の循環時に接触が生じ得る程度の距離となっている。
【0039】
次に、このようなベルト搬送装置30での支持枠体35と搬送ベルト31との作用について説明する。図5(a)に示すようなベルト搬送装置30では、クリーニング部材36が搬送ベルト31を支持枠体35側に押し付けているため、搬送ベルト31が支持枠体35に一層接触し易くなる。特に、このような現象は、搬送ベルト31が長期間に亘って使用された後や、部品精度や装置の組立精度、環境条件によっても発生し易くなる。このような場合、支持枠体35と搬送ベルト31とが擦れ、互いの帯電系列での差が大きい場合には、相互に摩擦帯電し易くなり、両者間に大きな静電吸着力が発生するようになる。特に、本実施の形態のように、支持枠体35を合成樹脂で作製すると、部品精度や量産性等の点で良好であるものの、摩擦帯電の影響は支持枠体35を金属で構成する場合に比べ顕著になる。
【0040】
そして、このような静電吸着力が発生すると、搬送ベルト31が支持枠体35に貼り付き易くなり、一箇所で貼り付きが生じると、その近傍の搬送ベルト31も支持枠体35側へ引っ張られるようになり、勢い、貼り付きは拡大傾向に赴く。その結果、搬送ベルト31の循環が不安定になったり、挙げ句の果てには循環が停止するようにもなる。
そこで、本実施の形態のように対応箇所にシート37を貼付することで、この部位では搬送ベルト31が支持枠体35に直接接触することが妨げられ、シート37と選択的に接触するようになる。この場合、ポリアミドイミド系樹脂からなる搬送ベルト31とポリウレタン系樹脂のシート37では、両者間に発生する摩擦帯電量は小さく(互いの帯電系列が近いことに起因している)、搬送ベルト31をシート37側に静電吸着しようとする力を小さくすることができ、搬送ベルト31の貼り付きを防ぐことができるようになる。すなわち、シート37の貼付部位が非吸着面として作用することで、このような効果を奏するようになる。そのため、安定した搬送ベルト31の循環が確保されるようになる。つまり、本実施の形態では、シート37が貼付された部位が支持枠体35の非貼り付き部として機能するようになっている。
【0041】
また、本実施の形態では、図5(b)に示すように、シート37を支持枠体35の搬送ベルト循環方向に直交する幅方向全域に亘って貼付するようにしたが、接触可能性のある部位に選択的に貼付するようにしても差し支えない。また、シート37を裏面側突出面35B全域に貼付するようにしても差し支えない。更に、表面側突出面35Aも接触の可能性があれば、シート37を貼付するようにしても差し支えない。尚、シート37としては、搬送ベルト31に使用される材料に合わせて、この材料と帯電系列が近い材料を支持枠体35に貼付するようにすればよい。また、シート37の材料が支持枠体35を形成する材料と同じ場合には、摩擦帯電を考慮しなくてもよいことから、支持枠体35自体を搬送ベルト31に更に近接配置させるようにしても差し支えない。
【0042】
以上の実施の形態では、非貼り付き部として支持枠体35にシート37を貼付する態様を示したが、非貼り付き部としてはこれに限られず、他の方式を用いるようにしてもよい。すなわち、搬送ベルト31が支持枠体35を擦るようになっても、その接触面積を小さくすれば、発生する摩擦帯電量自体を少なくすることができ、搬送ベルト31の貼り付きを防ぐことができるようになる。
図5(c)及び(d)はこのような非貼り付き部の態様を示すもので、(c)は、非吸着面として支持枠体35作製時に同時に裏面側突出面35Bに搬送ベルト31の循環方向に沿った方向の複数のリブ38を設けたものである。リブ38は、本例では搬送ベルト循環方向に沿った方向に断面略半円状の突起を形成したもので、これにより、搬送ベルト31が支持枠体35に接触するようになっても、搬送ベルト31はこのリブ38の頂部と接触するようになり、接触面が線状接触面となるため接触面積自体が非常に小さいものとなる。そのため、リブ38と搬送ベルト31とが擦れても、この部位で発生する摩擦帯電量は非常に少なく抑えられ、支持枠体35への搬送ベルト31の貼り付きを防ぐことができるようになる。尚、リブ38の形状はこれに限られないが、搬送ベルト31の循環を良好に保つ観点からすれば、リブ38としては搬送ベルト循環方向に沿う成分を有することが好ましい。また、本例では、リブ高さが1mmのものを用いるようにしたが、これに限定されず、通常、0.2mm以上のものを用いるようにすればよい。
【0043】
また、図5(d)は、非吸着面として、シボ加工によるシボ面39を裏面側突出面35Bに形成するようにしたものである。シボ加工は、通常、成形金型に粉体のブラスト材を吹き付けるブラスト処理や化学エッチング処理を行って凹凸面を形成し、この凹凸面によって裏面側突出面35Bに多数の微小突起を形成するようにしたものである。そのため、搬送ベルト31に対する支持枠体35の接触面が点状接触面となり、接触面積がごく小さくなる。そのため、両者間での摩擦帯電量を少なくすることができるようになり、支持枠体35に対する搬送ベルト31の貼り付きを防ぐことができるようになる。尚、本例では、シボ面39として、算術平均粗さRaが8μmのものを用いるようにしたが、これに限られず、算術平均粗さRaが5μm以上又は十点平均粗さRzが20μm以上のものであればよい。
つまり、これらの態様においては、リブ38やシボ面39が形成された領域が支持枠体35の非吸着面として機能するようになっている。
【0044】
次に、このような画像形成装置におけるプロセスカートリッジ21の交換方法及び記録材供給ユニット11への記録材補給方法について説明する。
図6(a)は、装置筐体10側に設けられた本体カバー10bが装置筐体10から開放された状態を示すもので、本体カバー10bには反転搬送経路42の一部とベルト搬送装置30が図示外のブラケット等によって一体的に取り付けられ、本体カバー10bが開放されると、それに伴って移動するようになっている。また、本体カバー10bは装置筐体10側の下方に設けられた支軸50をピボットとして、矢印A方向に開放できるようになっている。そのため、この本体カバー10bが開放されることで、例えば図に示すように、プロセスカートリッジ21(本例では作像エンジン20cのプロセスカートリッジに相当)を矢印B方向に容易に引き出すことが可能となる。
【0045】
また、図6(b)は、装置筐体10側の下部に設けられた記録材供給ユニット11が装置筐体10から矢印C方向に引き出された状態を示している。通常、このように記録材供給ユニット11を装置筐体10から引き出した状態で記録材の補給を行うようになる。そのため、メンテナンス性にも優れた小型化された画像形成装置が実現できるようになる。
【0046】
◎実施の形態2
図7は、第二の態様のベルト搬送装置が適用された実施の形態2の画像形成装置を示す。本実施の形態の画像形成装置は実施の形態1と略同様に構成され、また、ベルト搬送装置30も略同様の構成となっている。ただし、実施の形態2のベルト搬送装置30は、実施の形態1のベルト搬送装置と異なり、モノクロ画像形成時と、カラー画像形成時とで、搬送ベルト31の位置が変位する所謂リトラクト可能な構成のものとなっている。
【0047】
本実施の形態におけるカラー画像形成時のベルト搬送装置30は、実施の形態1と同様構成(図4参照)のため、ここでは省略し、モノクロ画像形成時について説明する。モノクロ画像形成時には、図7のように、3個の感光体22a〜22cから搬送ベルト31が離間するようになっている。つまり、本実施の形態の搬送ベルト31は、モノクロ画像形成時には、最下流側の感光体22dとのみ接触し、他の感光体22a〜22cとは離間した状態となる。
【0048】
本実施の形態での搬送ベルト31を変位させるための変位機構は、図8のように構成されている。尚、図8は、ベルト搬送装置30の変位機構の構成を模式化したものであり、分かり易くするため、変位量を大きくして表している。
同図において、本実施の形態のベルト搬送装置30は、例えば最下流側(図中上方に位置する側)の張架ロール33の回転軸33aを軸中心として、上流側の張架ロール32が感光体22側から離間する矢印G方向に全体的に回転できるように構成されている。このとき、各転写ロール27a〜27dも支持枠体(図示せず)と共に、この回転に合わせて移動するが、転写ロール27は夫々搬送ベルト31側に向かって付勢される付勢部材28を備えているため、転写ロール27には搬送ベルト31に対し外側へ押し付ける方向の力が作用している。そのため、変位量の少ない転写ロール27dでは、転写ロール27dの位置が離間前と略同様の位置に保持されるようになる。その結果、上流側の3個の転写ロール27a〜27cまでの転写部位では、対応する感光体22(22a〜22c)と離間した配置となり、最下流側の転写ロール27dでは、感光体22dと対向配置された状態を保つことができ、モノクロ画像が記録材上に形成されるようになる。
【0049】
このような画像形成装置においては、搬送ベルト31が上流側の3個の感光体22a〜22cと離間した際には、その中の最下流側に位置する感光体22cと搬送ベルト31との離間距離が一番狭くなる。このような場合に、搬送ベルト31自体の幅方向端部で波打ちがあると、この部位がこの離間距離の狭い感光体22cに最も接触し易くなる。
このような接触は、搬送ベルト31を感光体22から大きく離間させれば問題とはならないが、装置を小型化し、変位機構を簡略化するには、離間距離を小さく抑えることが必要であり、このため、搬送ベルト31の波打ちに対する対応策が必要となる。
【0050】
本実施の形態では、搬送ベルト31の波打ちの対応策として、次のような構成を採っている。すなわち、図9(a)及び(b)に示すように、搬送ベルト31の背面側の支持枠体35の表面側突出面35Aを搬送ベルト31の内周面から約1mm以下になるように近付けて配置し、その一部(本例では幅方向中央寄り)に実施の形態1と同様のシート37を貼付すると共に、この貼付領域以外の表面側突出面35Aは表面が平滑な平滑面40としている。つまり、シート37を貼付した領域が非吸着面を有する非貼り付き部であり、その両側の平滑面40が吸着作用面を有する姿勢補正部となっている。尚、図9(b)の下方の図は支持枠体35を矢印H方向から見たときの正面図であり、上方の図はその平面図となっている。また、平滑面40としては、算術平均粗さRaが5μm未満の値のものとした。
【0051】
次に、本実施の形態における搬送ベルト31の循環軌跡について説明する。
図10(a)は、本実施の形態における搬送ベルト31の幅方向の姿勢を示すもので、支持枠体35の表面側突出面35Aには、中央寄りにシート37が貼付され、このシート37の両側には夫々平滑面40が形成されている。
このような構成において、搬送ベルト31が表面側突出面35Aに接触して擦れると、この部位ではシート37との摩擦帯電量が小さくなっていることから、中央寄りでは搬送ベルト31を表面側突出面35A側に静電吸着しようとする作用は小さく、搬送ベルト31の循環軌跡は安定したものとなる。また、平滑面40では、搬送ベルト31の波打ちによって擦れが生じても、ここで発生する摩擦帯電量が、平滑面40に残存することで、通過する搬送ベルト31を静電吸着させない状態で静電吸引する力として作用し、搬送ベルト31を平滑面40側に静電吸引移動させるようになる。そのため、搬送ベルト31の波打ちが抑えられ、搬送ベルト31と感光体22との離間距離が狭い状態であっても、感光体22表面に対する搬送ベルト31の接触を防ぐことができるようになる。
【0052】
つまり、本実施の形態では、搬送ベルト31に近いシート37貼付部位は非吸着面として作用することで静電吸着力が抑えられて非貼り付き部の性能が確保される一方、平滑面40では吸着作用面として作用することで姿勢補正部として搬送ベルト31の波打ちを抑える方向の力が作用する。その結果、搬送ベルト31の循環軌跡が安定し、波打ちによる悪影響も抑えることができるようになる。
【0053】
仮に、図10(b)のように、搬送ベルト31に波打ちがなければ、感光体22に接触する問題は発生しないが、表面側突出面35Aに非吸着面を設けないと、搬送ベルト31の貼り付きを生じるようになる。一方、(c)のように、搬送ベルト31に波打ちがあると、この波打ちが感光体22に接触するようになる。また、表面側突出面35Aに非吸着面を設けないと、搬送ベルト31が表面側突出面35Aを擦った場合に摩擦帯電量が大きくなり過ぎ、波打ちが規制される方向の作用が働くものの搬送ベルト31の循環軌跡が損なわれるようになる。
本実施の形態では、図10(a)のように、表面側突出面35Aの中央寄りにシート37を貼付して非吸着面とし、このシート37の両側を吸着作用面として機能する平滑面40とすることで、搬送ベルト31の循環軌跡を阻害することなく、波打ちを抑えるという、相反する作用を満たすことができるようになる。
【0054】
ここでは、非吸着面として表面側突出面35Aにシート37を貼付する態様を示したが、シート37を貼付する代わりに、実施の形態1と同様に、図9(c)に示すようなリブ38を設けるようにしてもよく、更に、(d)に示すようなシボ面39を形成するようにしても同様の効果を奏する。ただし、リブ38やシボ面39を形成する場合にも、それらの両側を平滑面40とすることは云うまでもない。
【0055】
◎実施の形態3
図11は、実施の形態1及び実施の形態2のベルト搬送装置と異なるベルト搬送装置が用いられた画像形成装置の実施の形態3を示す。
本実施の形態のベルト搬送装置300は、実施の形態1のベルト搬送装置30(例えば図3参照)と異なり、搬送ベルトを使用する代わりに、トナー像を一旦保持して搬送する中間転写ベルト310を用いるようにしたものである。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0056】
同図において、本実施の形態の画像形成装置は、ベルト搬送装置300が記録材を吸着搬送するものではなく、複数の張架ロール(本例では3個)320,330,340に張架されて図中矢印方向に循環する中間転写ベルト310を備えたものとなっている。このとき、張架ロール340に対し中間転写ベルト310を挟んで対向する位置には、張架ロール340をバックアップロールとする二次転写ロール360が設けられ、両者の間に所定の二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト310上のトナー像を記録材上に一括転写するようになっている。
【0057】
本実施の形態における記録材搬送経路は、供給カセット11aから送り出された記録材が、レジストロール13、二次転写部位(二次転写ロール360と張架ロール340との対向部位)を経由して、定着装置14、排出ロール15に至る通常搬送経路410と、排出ロール15によって反転された記録材が、通常搬送経路410とは異なる経路でレジストロール13まで搬送される反転搬送経路420とで構成されている。尚、これらの通常搬送経路410及び反転搬送経路420には記録材の搬送性を確保するための搬送部材(搬送ロールや搬送ガイド等)が適宜設けられている。
【0058】
そして、本実施の形態のベルト搬送装置300は、図12に示すように、例えば張架ロール330を駆動ロールとして循環する例えばポリアミドイミド系樹脂からなる中間転写ベルト310と、この中間転写ベルト310背面側(内周面側)に設けられ、転写ロール27を支持する例えばポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイからなる支持枠体350と、張架ロール330の近傍の中間転写ベルト循環方向上流側にて中間転写ベルト310上の残留トナーを清掃するクリーニング部材36とで構成されている。
【0059】
特に、本実施の形態では、支持枠体350の裏面側突出面350Bのうち、クリーニング部材36に近い部分の裏面側突出面350Bに工夫を凝らしている。図13(a)の下方の図は、図12の矢印J方向から見たときの支持枠体350の正面図であり、上方の図は、その平面図を示したもので、支持枠体350のこの部位にポリウレタン系樹脂のシート37が、中間転写ベルト310の幅方向に亘って全域に貼付されている。
【0060】
次に、本実施の形態の画像形成装置について、通常搬送経路410を搬送される記録材の搬送動作を中心に図11を基に説明する。同図において、供給カセット11aからピックアップロール12aによって繰り出された記録材は、フィードロール12b及びリタードロール12cの作用によって捌かれて、最上部の1枚の記録材のみが下流側に送り出される。送り出された記録材は、レジストロール13によって位置決め規制された後、所定のタイミングで下流側の二次転写部位に搬送される。
【0061】
一方、作像エンジン20側では、所定のトナー像を夫々の感光体22上に形成し、中間転写ベルト310の循環に合わせて、作像エンジン20dから順に中間転写ベルト310上に各色のトナー像を転写する。中間転写ベルト循環方向最下流に位置する作像エンジン20aを通過した中間転写ベルト310上には、4色の多重化されたトナー像が形成される。この多重化トナー像は、そのまま中間転写ベルト310の循環に合わせて二次転写部位へ搬送される。
二次転写部位では、供給カセット11aから送り出された記録材上に、中間転写ベルト310上の多重化トナー像が一括転写される。転写を終えた記録材は、そのまま定着装置14に搬送されて、転写されたトナー像が定着された後、排出ロール15から記録材排出受け10aに排出される。
【0062】
このような態様にあって、ベルト搬送装置300での支持枠体350と中間転写ベルト310との作用について説明する。図12に示したように、支持枠体350の裏面側突出面350Bでは、特に、クリーニング部材36によって中間転写ベルト310が支持枠体350側に押圧されていることから、クリーニング部材36に近い位置では、中間転写ベルト310が支持枠体350に接触し易くなる。支持枠体350と中間転写ベルト310とが接触して互いに擦るようになると、両者の間に摩擦帯電が生じるようになる。この摩擦帯電量が大きくなり過ぎると、中間転写ベルト310と支持枠体350との間に静電吸着力が作用し、中間転写ベルト310の循環軌跡を損なうようになり、最後には中間転写ベルト310が支持枠体350に貼り付く事態をも引き起こすようになる。
このようにして中間転写ベルト310の循環軌跡が損なわれると、中間転写ベルト310上でのトナー像の多重化が影響され、色ずれ等の画像欠陥を生じるようになったり、貼り付きによって画像形成自体を停止させる事態に至るようにもなる。
【0063】
このような事態を回避するために、本実施の形態では、図13(a)に示すように、対応する裏面側突出面350Bにポリウレタン系樹脂のシート37を支持枠体350上に貼付するようにしている。つまり、非吸着面としてシート37を使用するようにしたものである。中間転写ベルト310とポリウレタン系樹脂のシート37とでは、その帯電系列が近いことから、摩擦帯電量が小さく、そのため、中間転写ベルト310が支持枠体350に擦れるようになっても、中間転写ベルト310とシート37との間の静電吸着力が小さく、中間転写ベルト310の循環軌跡への影響を抑えることができ、中間転写ベルト310の安定した循環を確保できるようになる。
【0064】
本実施の形態では、図13(a)に示すように、シート37を支持枠体350の中間転写ベルト循環方向に直交する幅方向全域に亘って貼付するようにしたが、接触可能性のある部位に選択的に貼付するようにしても差し支えない。また、シート37を裏面側突出面350B全域に貼付するようにしても差し支えない。
【0065】
以上の実施の形態では、非吸着面としてシート37を用いた非貼り付き部の態様を示したが、非貼り付き部としてはこれに限られず、他の方式を用いるようにしてもよい。つまり、図13(b)に示すように、非貼り付き部の非吸着面として、支持枠体350作製時に同時に裏面側突出面350Bに複数のリブ38を形成するようにしてもよい。リブ38は、本例では中間転写ベルト循環方向に沿った方向に断面略半円状の突起が形成されたもので、これにより、中間転写ベルト310が支持枠体350に接触するようになっても、中間転写ベルト310はこのリブ38の頂部とのみ接触するため、接触面積は非常に小さいものとなる。そのため、リブ38と中間転写ベルト310とが擦れても、この部位で発生する摩擦帯電量は非常に少なく、支持枠体350側への中間転写ベルト310の貼り付きを防ぐことができるようになる。
【0066】
また、図13(c)に示すように、非貼り付き部の非吸着面として、シボ加工によるシボ面39を裏面側突出面350Bに形成するようにしてもよい。この場合、裏面側突出面350Bに多数の微小突起が形成されるようになり、中間転写ベルト310と支持枠体35との接触時に接触面積がごく小さいものとなり、両者間の摩擦帯電量を少なく抑えることができるようになる。
そして、本実施の形態では、支持枠体350の裏面側突出面350Bのみならず、表面側突出面側にも同様の非貼り付き部を設けるようにしても差し支えない。
【0067】
◎実施の形態4
図14は、実施の形態4の画像形成装置でのベルト搬送装置を示すもので、本実施の形態では、実施の形態3の画像形成装置と略同様に構成されているが、中間転写ベルト上のトナー像の画像濃度等を検知する検知器を備えた点が実施の形態3と異なる。尚、実施の形態3と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
【0068】
同図において、ベルト搬送装置300は、実施の形態3のベルト搬送装置300(図12参照)と略同様に構成されるが、張架ロール320の近傍で、かつ、中間転写ベルト循環方向上流側の位置に、中間転写ベルト310の外周面に対向するように画像濃度を検知可能な検知器370を備えたものとなっている。また、支持枠体350側にも、この検知器370に対し中間転写ベルト310を挟んで対向する位置に表面側突出面350Aを設け、この表面側突出面350Aの構造と検知器370の配設位置との関係に工夫を凝らしたものとなっている。
【0069】
本実施の形態の表面側突出面350Aは、図15(a)に示すように、その中間転写ベルト循環方向中央寄りに非貼り付き部の非吸着面としてのシート37を貼付したものとなっている。
また、(b)に示すように、このシート37が貼付された位置に対応して、中間転写ベルト310上の画像濃度を検知する検知器370が設けられている。つまり、検知器370が配設された位置では、中間転写ベルト310と支持枠体350との距離は、シート37が貼付された分だけ他方より狭くなっている。
【0070】
検知器370で中間転写ベルト310上の画像濃度を検知する場合、中間転写ベルト310のばたつきにより、検知精度が異なるようになる。そのため、検知器370を配置する場所は、中間転写ベルト310のばたつきが小さく、かつ、検知器370を設置できる空間を要する必要がある。
本実施の形態では、検知器370を表面側突出面350Aのシート37貼付部位に対応するように配置しているため、中間転写ベルト310のばたつきがあっても、シート37が貼付された部分ではそのばたつき量を周囲より小さく抑えることができ、シート37が貼付されていない部分に配置する場合に比べ、検知器370での検知精度を向上することができるようになる。尚、中間転写ベルト310がシート37に接触しても中間転写ベルト310の循環軌跡が安定に維持されることは云うまでもない。
【0071】
本実施の形態では、非貼り付き部の非吸着面としてシート37を貼付する態様を示したが、これに限られず、実施の形態3と同様に、非貼り付き部の非吸着面として、表面側突出面350Aに複数のリブを形成したり、シボ面を設けるようにしても差し支えなく、シート37を用いる場合と同様の効果を奏するようになる。
【実施例】
【0072】
◎実施例1
本実施例は、搬送ベルトや中間転写ベルトのベルト材に対し、非貼り付き部の非吸着面として適したシート材を確認するために行ったもので、ベルト材(ポリアミドイミド系樹脂)でシート材表面を擦った後のシート材の表面電位を測定するようにした。
測定環境は、摩擦帯電量が大きくなる低温低湿環境(具体的には10℃15%RHとした)にて行い、シート材として、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂のシートを使用し、固定したシート材に対してベルト材を載せ、ベルト材に所定の荷重を加えながら略水平方向に引っ張る形でシート材表面を擦るようにした。
【0073】
5回の測定を行った結果は、図16に示すように、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン共に測定誤差が大きくなったが、ポリウレタンがプラス及びマイナスの値を示し、他ではプラスの値が得られた。また、その中央値では、ポリウレタンが一番小さな表面電位となった。
表面電位の測定において、安定した測定値を得ることは非常に難しく、このようなばらつきの大きな結果となったが、中でも、ポリウレタンにて±の値が得られたことは、ポリウレタンの帯電系列が他の材料に比べ、ベルト材(ポリアミドイミド系樹脂)に近いことによるものと判断された。
【0074】
◎実施例2
本実施例は、支持枠体の表面性と摩擦帯電量との関係を評価したものである。
シボ加工を行った樹脂表面(ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのアロイ)に対し、ベルト材(ポリアミドイミド系樹脂)に所定の荷重を加えて、略水平方向に引っ張る形で擦るようにした。尚、環境条件は実施例1と同様にした。
5回の繰り返し試験を行った結果は、図17のようになった。尚、Ra、Rzは、JIS B 0601−1994に準拠した測定を行って得られた算術平均粗さRaと、十点平均粗さRzである。
【0075】
図17によれば、算術平均粗さRaが大きくなると、ベルト材との接触面積が減少するためか、中央値の値が徐々に小さくなることが理解された。実測値は一概にこの傾向を示したとは言い切れないが、これは、表面電位の測定自体が不安定要因を含んでおり、安定した測定値が得られ難いことにもよる。尚、参考としてポリウレタンシートも記載したが、ポリウレタンでは実測値として±の値が得られることから、この点でシボ加工とは異なる性質を有することが理解された。
【0076】
また、このような表面性を有する支持枠体を用い、実施の形態1のベルト搬送装置にて実際の搬送ベルト(ベルト材)の循環性を評価した。その結果、循環性は算術平均粗さRaが小さくなると損なわれる傾向を示し、Raが3.5μm以下では搬送ベルトの循環性が損なわれることが確認された。また、この傾向は、十点平均粗さRzでも同様の結果が得られた。
【0077】
以上のような結果を基に、本件発明者らは、更に、検討を行った結果、算術平均粗さRaが5μm以上、または、十点平均粗さRzが20μm以上であれば、搬送ベルト(ベルト材)の循環性が損なわれないことが確認された。このことは、実施の形態2で用いる平滑面としては、5μm未満であればよいことが理解された。尚、粗さとしては、ベルト材循環時のベルト材に対する傷発生等を防ぐ観点から、算術平均粗さRaの上限値を20μmとすることが好ましいことも判明した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】(a)は本実施の形態モデルに係る第一の態様のベルト搬送装置が適用された画像形成装置の概要を示す説明図であり、(b)はベルト背面部材に設けられた非貼り付き部を示す部分拡大図である。
【図2】(a)は本実施の形態モデルに係る第二の態様のベルト搬送装置が適用された画像形成装置の概要を示す説明図であり、(b)はベルト背面部材に設けられた非貼り付き部及び姿勢補正部の部分拡大図、(c)はベルト部材の波打ちを示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図4】実施の形態1のベルト搬送装置を示す説明図である。
【図5】(a)はベルト搬送装置の部分拡大図であり、(b)〜(d)は、非貼り付き部の具体例を示す説明図である。
【図6】実施の形態1の画像形成装置における(a)はプロセスカートリッジ交換方法、(b)は記録材の補給方法を示す説明図である。
【図7】実施の形態2に係るベルト搬送装置を示す説明図である。
【図8】実施の形態2の搬送ベルトの変位機構を示す模式図である。
【図9】(a)は実施の形態2のベルト搬送装置の部分拡大図、(b)〜(d)は非貼り付き部及び姿勢補正部の具体例を示す説明図である。
【図10】(a)は実施の形態2におけるベルトの循環作用の説明図、一方、(b)及び(c)は比較モデルの説明図であり、(b)はベルト部材に波打ちがない場合、(c)はベルト部材に波打ちがある場合を示す。
【図11】実施の形態3に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図12】実施の形態3のベルト搬送装置を示す説明図である。
【図13】(a)〜(c)は実施の形態3の非貼り付き部の具体例を示す説明図である。
【図14】実施の形態4に係るベルト搬送装置を示す説明図である。
【図15】(a)は実施の形態4の非貼り付き部の具体例を示し、(b)は非貼り付き部と検知器との位置関係を示す説明図である。
【図16】実施例1の結果を示す表である。
【図17】実施例2の結果を示す表である。
【符号の説明】
【0079】
1…ベルト部材,2(2a,2b)…張架部材,3…ベルト背面部材,3A…近接部,4…非貼り付き部,5…非吸着面,6…姿勢補正部,7…吸着作用面,8(8a,8b)…像保持体,9(9a,9b)…転写部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の張架部材に張架されて循環する無端状ベルト部材と、
このベルト部材の背面側に設けられ、停止時のベルト部材に対して非接触配置され且つ循環時のベルト部材に対して不定期に接触する程度に近接配置される近接部を有するベルト背面部材と、
このベルト背面部材の前記近接部のベルト部材との対向面の全部又は一部にベルト部材と接触してベルト部材の静電吸着不能な非吸着面を有し、この非吸着面の存在によりベルト部材の近接部への貼り付きを不能とする非貼り付き部とを備えることを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載のベルト搬送装置において、
前記非貼り付き部は、ベルト背面部材の近接部と一体的又は別体に設けられ、非吸着面として機能する範囲内でベルト部材との摩擦帯電量が小さく抑えられる材料にて構成されていることを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載のベルト搬送装置において、
前記ベルト部材がポリアミドイミド系樹脂で構成され、
前記非吸着面は、ポリウレタン系樹脂シート材を前記ベルト背面部材上に設けたことを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項4】
請求項1記載のベルト搬送装置において、
前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し線状接触面として接触するように構成されていることを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項5】
請求項1記載のベルト搬送装置において、
前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し点状接触面として接触するように構成されていることを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項6】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体に対向配置される請求項1乃至5のいずれかに記載のベルト搬送装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
トナー像を保持する像保持体と、
この像保持体に対向配置されて無端状ベルト部材が循環するベルト搬送装置とを備え、
ベルト搬送装置は、
複数の張架部材に張架されて循環する無端状ベルト部材と、
このベルト部材の背面側に設けられ、停止時のベルト部材に対して非接触配置され且つ循環時のベルト部材に対して不定期に接触する程度に近接配置される近接部を有するベルト背面部材と、
このベルト背面部材の前記近接部のベルト部材との対向面の一部にベルト部材と接触してベルト部材の静電吸着不能な非吸着面を有し、この非吸着面の存在によりベルト部材の近接部への貼り付きを不能とする非貼り付き部と、
この非貼り付き部のうち非吸着面以外でベルト部材の循環方向に直交する幅方向両側に設けられ且つ非吸着面に比べて静電吸着し易い吸着作用面を有し、この吸着作用面の存在によりベルト部材の幅方向両側部を当該吸着作用面に静電吸着させない状態で像保持体から離間する方向に静電吸引移動させ、ベルト部材の循環搬送姿勢を補正する姿勢補正部とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置のうち像保持体を複数配置した態様において、
ベルト部材が全ての像保持体に接触している状態の接触位置と、ベルト部材が一つの像保持体と接触し且つ残りの像保持体と離間している状態の離間位置との間で変位できるような変位機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記非貼り付き部の非吸着面は、非吸着面として機能する範囲内でベルト部材との摩擦帯電量が小さく抑えられる材料にて構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し線状接触面として接触するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記非貼り付き部の非吸着面は、前記ベルト部材に対し点状接触面として接触するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項7記載の画像形成装置のうち、前記ベルト部材がトナー像を一時的に保持する中間転写体の態様において、
前記ベルト部材の非吸着面の領域に対向して当該ベルト部材の表面側に離間配置され且つ当該ベルト部材上のトナー像の濃度を検知する検知部材を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−169234(P2009−169234A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8967(P2008−8967)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】