説明

ベンズイソオキサゾール

【化1】


本発明は式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体に関し、式中、mは1〜3の整数を示し;Xはアミノ、ヒドロキシ、−オキソ又は−Z−Rを示し;Yは、Xが−Z−Rを示す場合には不在であり、Xがオキソを示す場合には−(C=O)−Rであり;Zはカルボニル、−オキシ−カルボニル−又は−NR−カルボニル−を示し;RはC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又は−Hetを示し;Rは水素、ハロ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシ又はC1−4アルキルを示し;R及びRはそれぞれ独立して水素、Ar又はC1−4アルキルから選ばれ;Rは水素、C1−4アルキルカルボニル−又はAr−カルボニル−を示し;RはC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル−又はNRより成る群から選ばれる置換基を示し;R及びRはそれぞれ独立して水素、Het又はC1−4アルキルから選ばれ;Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル又はピラゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることができ;Hetはオキサゾリル又はイソオキサゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;そしてAr、Ar、Ar、Ar、Ar又はArはそれぞれ独立して、場合によりハロ、ニトロ、C1−4アルキル、ヒドロキシ又はC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個又は可能な場合には2個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるフェニルを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D−アミノオキシダーゼ阻害活性及び精神分裂病(schizophrenia)を含む精神障害への治療効果又は予防効果を示すベンズイソオキサゾール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)は高度に選択的な酵素であり、それは特に小さい側鎖を有するもの、特にD−セリン及びD−アラニンを優先させて中性D−アミノ酸を分解する。それは、内因性及び外因性供給源に由来するD−アミノ酸を除去する解毒剤として作用することができたが、もっと最近、精神分裂病におけるN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体経路の調節に含まれる遺伝子として同定された(非特許文献1)。
【0003】
両方ともNMDA受容体アンタゴニストであるフェンサイクリジン(phencyclidine)又はケタミン(ketamine)の投与に続く精神分裂病患者における精神病的症状の増悪ならびに正常な人間における精神異常発現効果は、精神分裂病の病態生理学にNMDA受容体機能不全が含まれることを示す。
【0004】
グルタメートを介するNMDA受容体の機能的活性化は、このリガンド型イオンチャンネルの調節部位が共−アゴニスト(co−agonist)に占有されることを必要とする。D−セリンは、NMDA受容体のストリキニーネ非感受性グリシン部位の有力な内因性共−アゴニストである(非特許文献2)。DAAOの活性は脳中のD−セリンを選択的に枯渇させ、従ってNMDA−型グルタメート受容体活性を減衰させることができ、それは精神分裂病における最近提案された機構であるグルタメートシグナリングの機能低下を生じ得る。かくして本発明の目的は、DAAO活性を選択的に低下させ、従って精神分裂病患者における損なわれたNMDA−型グルタメート受容体活性を改善する化合物を提供することである。
【0005】
3−ピペラジニル及び3−ピペリジニル−ベンズイソオキサゾールが抗−精神病活性を有し、抗不安薬、筋肉弛緩薬、抗うつ薬、制吐薬として、ならびに老年痴呆と関連する攻撃性の処置において及び精神分裂病を含む人格障害の処置において有用であることは既知であり、例えば特許文献1及び特許文献2を参照されたい。これらの化合物は、精神障害におけるドパミン作用性経路に向けられており、従って、精神分裂病患者における正の(positive)症状、すなわち幻覚及び妄想を処置する。特許文献3に、ある種の3−(アミノアルキルアミノ)−1.2−ベンズイソオキサゾール及び関連化合物が、アルツハイマー病のようなコリン作用性機能の低下を特徴とする種々の記憶機能不全の処置に有用であることが示された。特許文献3に記載されている化合物のいくつかは、モノアミンオキシダーゼを阻害し、従って抗うつ薬として有用であることも見出された。特許文献4に開示されている置換(ピリジニルアミノ)−ベンズイソオキサゾールに類似の有用性が伴う。
【0006】
3−ピペラジニル−及び3−ピペリジニル−ベンズイソオキサゾールと比較して、本発明の化合物の特別な構造的相違は、これらの化合物をDAAOアンタゴニストとする。従って、これらの化合物は精神分裂病の負の(negative)症状、すなわち情動、思考及びイニシアチブの虚弱又は他の認知障害と関連するGABA作用性経路に向けられる。
【0007】
3−アルキルオキシ−アミノもしくはジ(C1−4アルキル)アミノ置換基を含んでなるさらに別のベンズイソオキサゾールは特許文献5及び特許文献6及び特許文献7に、局所麻酔薬、抗ヒスタミン薬、抗−炎症剤として、心臓血管効果を有するとして、特にβ−ブロッカーとして、ならびにパーキンソン病、うつ病及びアルツハイマー病を含むニューロパシーへの治療的及び予防的効果を有するとして記載されている。しかしながら、これらの化合物がDAAO阻害活性を有し、従って精神障害、例えば特に精神分裂病の処置に有用であることは全く知られていない。
【特許文献1】国際公開第93/16073号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第353 821号明細書
【特許文献3】国際公開第94/12495号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第594 000号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第779 281号明細書
【特許文献6】特開昭52−031070号公報
【特許文献7】特開昭57−021377号公報
【非特許文献1】Chumakov I.,et al.著,PNAS Vol.99,2002年,pp.13675−13680
【非特許文献2】Mothet J−P.,et al.著,PNAS Vol.97,2002年,pp.4926−4931
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の第1の目的は、精神障害、特に精神分裂病ならびに痛み、痙性、てんかんを含むNMDA受容体機能不全に結び付けられる他の疾患ならびにアルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害及び自閉症のような学習及び記憶が損なわれる疾患の処置のための薬剤の製造における式(I)のベンズイソオキサゾール誘導体の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記で用いられた式(I)のベンズイソオキサゾール誘導体は、式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、
mは1〜3の整数を示し;
Xはヒドロキシ、アミノ、−オキソ又は−Z−Rを示し;
Yは存在しないか、又は−(C=O)−Rを示し;
Zはカルボニル、−オキシ−カルボニル−、=N−カルボニル−又は−NR−カルボニルを示し;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又は−Hetを示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ−、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル−又はAr−カルボニル−を示し;
はC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又はHetより成る群から選ばれる置換基を示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar又はArはそれぞれ独立して、場合によりハロ、ニトロ、C1−4アルキル、ヒドロキシ又はC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個又は可能な場合には2個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるフェニルを示す]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体から成る。
【0012】
本発明のさらに別の目的において、式(I)の化合物の合成における中間生成物、すなわちその3−アミノ−1,2−ベンズイソオキサゾール誘導体及び3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾール誘導体(下記の式(Ig)及び(Ia)の化合物)がDAAO阻害活性を有することが見出された。国際公開第00/027199号パンフレットに、いくつかの置換3−アミノ−1,2−ベンズイソオキサゾール誘導体が抗−トロンビン活性を有し、従って血栓塞栓性疾患、血管形成及び心臓バイパス手術後のような全身的高凝固性状態又は局所的高凝固性状態の処置において有用であることが示された。類似して、3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾール誘導体のいくつかに関し、それらが形態発生的及び細胞伸長(cell elongation)活性を有することが既知であるが(Branca C.,et al.著,Plant Cell Reports,10(10),1991年,498−500)、これらの誘導体ならびに3−アミノ−1,2−ベンズイソオキサゾール誘導体がDAAO阻害活性を有し、従って前記のような精神障害の処置において有用であることは、これまで知られていなかった。
【0013】
従って、本発明の1つの目的は、例えば精神分裂病のような精神障害の処置のための薬剤の製造における式(Ia)又は(Ig)の化合物、
【0014】
【化2】

【0015】
そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体の使用を提供することであり、式中、
mは1〜3の整数を示し;特にmは1を示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ−、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示し;本発明の別の態様において、Rは水素、ハロ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシ−又はC1−4アルキルより成る群から選ばれる置換基を示し;本発明のさらに別の態様において、Rは水素、ハロ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシ−、C1−4アルキル又は1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されたC1−4アルキルより成る群から選ばれる置換基を示し;本発明のさらにもっと別の態様において、Rは水素、クロロ、ニトロ、メチル、メトキシ又はヒドロキシカルボニルを示し;特定の態様において、Rは水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、ニトロ、メチル、メトキシ又はヒドロキシカルボニルを示す。
【0016】
従って、本発明の1つの目的は、精神分裂病患者における損なわれたNMDA−型グルタメート受容体活性ならびに痛み、痙性、てんかんを含むNMDA受容体機能不全に結び付けられる他の疾患ならびにアルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AI
DS、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害及び自閉症のような学習及び記憶が損なわれる疾患の処置のための薬剤の製造における式(Ia)の中間体の使用を提供することである。
【0017】
さらに、Xが−Z−Rを示す式(I)の化合物に関し、それらがDAAO阻害活性を喪失せずに式(Ig)及び(Ia)の3−アミノもしくは3−ヒドロキシ誘導体に加水分解される傾向があることが見出された。従って、本発明のさらに別の目的において、Xが−Z−Rを示す式(I)の化合物は前記のような精神障害の処置におけるプロドラッグとして有用であり、それは、該化合物が生体系に投与されると、自然の化学反応、酵素触媒化学反応及び/又は代謝的化学反応あるいはそれぞれの組み合わせの結果として、さらに別の生物学的に活性な化合物に転換されるからである。Xが−Z−Rを示す式(I)の化合物がDAAO阻害活性を有することにかかわらず、この活性は典型的には3−アミノもしくは3−ヒドロキシ誘導体の活性より低い。従ってプロドラッグとしての該化合物の使用は、経口的バイオアベイラビリティー、薬力学的半減期などの向上を介して薬剤の有効性又は安全性を向上させるように働く。
【0018】
前記の定義及び下記において用いられる場合、
−ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードの総称であり;
−C1−4アルキルは1〜4個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどを定義し;
−C1−6アルキルはC1−4アルキル及び6個の炭素原子を有するその高級同族体、例えばヘキシル、1,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチルなどを含むものとし;
−C1−4アルキルオキシは、1〜4個の炭素原子及び1個の酸素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどを定義し;
−カルボニル(i)、オキシ−カルボニル−(ii)、=N−カルボニル−(iii)及びNR−カルボニル(iv)は、それぞれ次式の2価の基を定義し;
【0019】
【化3】

【0020】
−オキソは、結合している炭素原子と一緒になってカルボニル部分を形成する酸素原子を定義する。
【0021】
上記の定義及び下記において言及される複素環は、そのすべての可能な異性体を含むものとし、例えばトリアゾリルは1,2,4−トリアゾリル及び1,3,4−トリアゾリルも含み;オキサジアゾリルは1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル及び1,3,4−オキサジアゾリルを含み;チアジアゾリルは1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル及び1,3,4−チアジアゾリルを含む。
【0022】
さらに、上記の定義及び下記において言及される複素環は、いずれの環炭素又は適宜ヘテロ原子を介して式(I)の分子の残りの部分に結合していることもできる。かくして例えば複素環がイミダゾリルである場合、それは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、3−イミダゾリル、4−イミダゾリル及び5−イミダゾリルであることができ;それがチアゾリルである場合、それは2−チアゾリル、4−チアゾリル及び5−チアゾリルであるこ
とができ;それがベンゾチアゾリルである場合、それは2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリル及び7−ベンゾチアゾリルであることができる。
【0023】
上記で言及した製薬学的に許容され得る付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性の酸付加塩の形態を含むものとする。塩基の形態をそのような適した酸で処理することにより、後者を簡単に得ることができる。適した酸は、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸など;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などを含んでなる。
【0024】
上記で言及した製薬学的に許容され得る付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性の塩基付加塩の形態を含むものとする。そのような塩基付加塩の形態の例は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム塩ならびにまた製薬学的に許容され得るアミン、例えばアンモニア、アルキルアミン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン、アミノ酸、例えばアルギニン、リシンとの塩である。
【0025】
逆に、適した塩基又は酸を用いる処理により、該塩の形態を遊離の酸もしくは塩基の形態に転換することができる。
【0026】
上記で用いられた付加塩という用語は、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することができる溶媒和物も含む。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0027】
前記で用いられた立体化学的異性体という用語は、式(I)の化合物が有することができる可能な種々の異性体ならびにコンフォーメーション的形態を定義する。他に言及するか又はことわらない限り、化合物の化学的名称はすべての可能な立体化学的及びコンフォーメーション異性体の混合物を示し、該混合物は基本的分子構造のすべてのジアステレオマー、エナンチオマー及び/又はコンフォーマーを含有する。純粋な形態又は互いとの混合物の両方における式(I)の化合物のすべての立体化学的異性体が本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0028】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物、特にベンズイソオキサゾール−窒素がN−酸化されているN−オキシドを含むものとする。
【0029】
特定の態様において、本発明は、前記で定義された精神障害の処置のための薬剤の製造における、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(I)の化合物の使用を提供する;
−mが1〜3の整数を示す;
−Xが−オキソ又は−Z−Rを示す;
−Yは、Xが−Z−Rを示す場合には存在せず、Xがオキソを示す場合には−(C=O)−Rを示す;
−Zがカルボニル、−オキシ−カルボニル−又は−NR−カルボニル−を示す;
−RがC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又は−Hetを示す;
−Rが水素、ハロ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシ又は場
合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示し;特にRが水素、ハロ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシ又はC1−4アルキルを示す;
−R及びRがそれぞれ独立して水素、Ar又はC1−4アルキルから選ばれる;
−Rが水素、C1−4アルキルカルボニル−又はAr−カルボニル−を示す;
−RがC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル−又はNRより成る群から選ばれる置換基を示す;
−R及びRがそれぞれ独立して水素、Het又はC1−4アルキルから選ばれる;−Hetがオキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル又はピラゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることができ、特に該複素環はC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されており;特別な態様において、Hetがイソオキサゾリル及びピラゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環はアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されており、特に該複素環はC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されている;
−Hetがオキサゾリル又はイソオキサゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ、特に該複素環はC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されており;特別な態様において、HetがC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリルを示す;
−Ar、Ar、Ar、Ar、Ar又はArがそれぞれ独立してフェニルを示す。
【0030】
本発明のさらに別の目的は、DAAO阻害活性を有する新規な化合物を提供することであり、該化合物は前記で定義された式(I)を有し、しかしながら、但し;
−Zが−オキシカルボニルであり且つRがクロロ−もしくはニトロ−フェニル−である場合、Rはメチルオキシ−、エチルオキシ−、クロロ又はフルオロではなく
−Zが−オキシカルボニルであり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、フェニル、クロロフェニル、ニトロフェニル、クロロもしくはメチルで置換されたイソオキサゾリルであるか、又はRがエチル及びメチルで置換されたピラゾリルである場合、Rは水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、エチルオキシ、メチルオキシ又はメチルではなく
−Zが−NR−カルボニルであり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、t−ブチルオキシ−、ベンジルオキシ−、フェニル又はジ−クロロフェニルである場合、Rは水素、ハロ、メチル又はトリフルオロメチルではなく
−Zがオキシカルボニルであり且つR又はRがメチル、イソプロピル、プロピル、t−ブチル又はクロロ、1個のメチル置換基もしくは1個のメチル及び1個のジ−クロロ−フェニル置換基で置換されたイソオキサゾリルである場合、Rは水素、クロロ又はメチルではない
【0031】
前記の但し書きを以って;
−Maybridge plc HTSカタログにおいて入手可能な特定のベンズイソオキサゾール、
−Science of Synthesis,11,2002年,p.289−335に開示されている特定の1,2−ベンズイソオキサゾール、
−Journal of Polymer Science,19(5),1981年,p.1061−1071に開示されている3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾールの活性ジアシル誘導体から得られる特定のポリアミド、
−Acta Poloniae Pharmaceutica,41(6),1984年,p.625−631;Polish Journal of Pharmacology and Pharmacy,30(5),1978年,p.1061−1071;Polish Journal of Thermal Analysis,15(2),1979年,p.257−260及びChemische Berichte,102(11),1969年,p.3775−3787に開示されている3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾールのアシル誘導体、
−日本特許出願第80−95447号明細書に開示されている特定の3−置換1,2−ベンズイソオキサゾールならびに
−Journal of Heterocyclic Chemistry,10(6),1973年,p.957−961に開示されている特定の3−アシルアミノベンズイソオキサゾール
が本新規なDAAO阻害剤の種類から排除される。
【0032】
興味深い群の化合物は、Zがオキシ−カルボニル又はNR−カルボニルを示す式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体であり、下記では式(Ic)
【0033】
【化4】

【0034】
[式中、
mは1〜3の整数を示し;
はO又はNRを示し;
はC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又はHetを示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、フェニル、C1−4アルキル又はハロ
、ヒドロキシ、フェニルもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
は水素、C1−4アルキル、フェニル−カルボニル−又はC1−4アルキル−カルボニル−を示し;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
但し;
−Xが−O−であり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、フェニル、クロロフェニル、ニトロフェニル、クロロもしくはメチルで置換されたイソオキサゾリルであるか、あるいはRがエチル及びメチルで置換されたピラゾリルである場合、Rは水素、クロロ、フルオロ、ブロモ又はメチルではなく、
−XがNRであり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、t−ブチルオキシ−、ベンジルオキシ−、フェニル又はジ−クロロ−フェニルである場合、Rは水素、ハロ、メチル又はトリフルオロメチルではなく
−Xが−O−であり且つR又はRがメチル、イソプロピル、プルピル、t−ブチルあるいはクロロ、1個のメチル置換基又は1個のメチル及び1個のジ−クロロ−フェニル置換基で置換されたイソオキサゾリルである場合、Rは水素、クロロ又はメチルではない
の化合物と称する。
【0035】
上記の但し書きを以って;
−Maybridge plc HTSカタログにおいて入手可能な特定のベンズイソオキサゾール
が本DAAO阻害剤の組から排除される。
【0036】
本発明の目的は、薬剤として用いるための式(Ic)の化合物を提供すること、特に例えば精神分裂病患者における損なわれたNMDA−型グルタメート受容体活性を改善するための薬剤を含むがこれに限られない精神障害の処置用の薬剤の製造におけるようなDAAO阻害剤としての式(Ic)の化合物の使用を提供することでもある。
【0037】
特に、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(Ic)の化合物を提供する:
−mが1である式(Ic)の化合物;
−XがO又はNR;特にNRを示す式(Ic)の化合物;
−RがNR又はHet、特にそれぞれ独立してC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリル又はイミダゾリルである式(Ic)の化合物;
−Rが水素、ハロ、特にクロロであるか、又はRがC1−4アルキル、特にメチルを示す式(Ic)の化合物;
−R及びRが水素、Het及びC1−4アルキル、特に水素、メチル、プロピル、
イソプロピル又はt−ブチルからそれぞれ独立して選ばれる式(Ic)の化合物;
−Rが水素を示し、RがC1−4アルキル、フェニル又はフェニルで置換されたC1−4アルキルである式(Ic)の化合物;
−Rが水素、フェニル−カルボニル−又はC1−4アルキル−カルボニル−を示す式(Ic)の化合物;
−XがOを示し、R及びRがそれぞれ独立してHet、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれる式(Ic)の化合物;下記では式(Ie)の化合物とも称される;
−Hetがそれぞれ独立してC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリル又はイミダゾリルである式(Ic)の化合物;
−HetがC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリルである式(Ic)の化合物。
【0038】
本発明の目的は、薬剤として用いるための式(Ie)の化合物を提供すること、特に例えば精神分裂病患者における損なわれたNMDA−型グルタメート受容体活性を改善するための薬剤を含むがこれに限られない精神障害の処置用の薬剤の製造におけるようなDAAO阻害剤としての式(Ie)の化合物の使用を提供することでもある。
【0039】
特に、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(Ie)の化合物を提供する:
−mが1である式(Ie)の化合物;
−Rが水素、ハロ、特にクロロ又はブロモであるか、又はRがC1−4アルキル、特にメチルを示す式(Ie)の化合物;
−R及びRが水素、Het及びC1−4アルキル、特に水素、メチル、プロピル、イソプロピル又はt−ブチルからそれぞれ独立して選ばれる式(Ie)の化合物;あるいはまたR及びRがHet及びC1−4アルキル、特にメチル、プロピル、イソプロピル又はt−ブチルからそれぞれ独立して選ばれる式(Ie)の化合物;
−HetがC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリルである式(Ie)の化合物。
【0040】
別の興味深い群の化合物は、Xがオキソを示し、Yが−(C=O)−Rを示す式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体であり、下記では式(Id)の化合物と称され、
【0041】
【化5】

【0042】
式中、
mは1〜3の整数を示し;
はC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又はHetを示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ−、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Ar、Ar又はArはそれぞれ独立して、場合によりハロ、ニトロ、C1−4アルキル、ヒドロキシ又はC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個又は可能な場合には2個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるフェニルを示し、
但し;
−mが1を示し且つRがクロロ−もしくはニトロ−フェニルを示す場合、Rは水素、メトキシ−、エトキシ−、クロロ又はフルオロではなく;
−Rがエトキシ−又はメトキシ−を示す場合、Rは水素、ブロモ、フルオロ又はクロロではなく;
−Rがメチルを示す場合、Rは水素、ブロモ又はクロロではない。
【0043】
前記の但し書きを以って;
−Maybridge plc HTSカタログにおいて入手可能な特定のベンズイソオキサゾール、
−Science of Synthesis,11,2002年,p.289−335に開示されている特定の1,2−ベンズイソオキサゾール、
−Journal of Polymer Science,19(5),1981年,p.1061−1071に開示されている3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾールの活性ジアシル誘導体から得られる特定のポリアミド、
−Acta Poloniae Pharmaceutica,41(6),1984年,p.625−631;Polish Journal of Pharmacology and Pharmacy,30(5),1978年,p.1061−1071;Polish Journal of Thermal Analysis,15(2),1979年,p.257−260及びChemische Berichte,102(11),1969年,p.3775−3785に開示されている3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾールのアシル誘導体、
−Chemische Berichte,103(1),1979年,p.123−132に開示されている3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾールの特定の転位アシル誘導体
が本新規なDAAO阻害剤の種類から排除される。
【0044】
本発明の目的は、薬剤として用いるための式(Id)の化合物、特に例えば精神分裂病患者における損なわれたNMDA−型グルタメート受容体活性を改善するための薬剤を含むがこれに限られない精神障害の処置用の薬剤の製造におけるようなDAAO阻害剤としての式(Id)の化合物の使用を提供することでもある。
【0045】
特に、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(Id)の化合物:
−mが1である式(Id)の化合物;
−RがC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル−又はNR、特にC1−4アルキル、フェニル又はフェニル−C1−4アルキル−である式(Id)の化合物;
−Rが水素、ハロ又はC1−4アルキル、特にメチル又はクロロである式(Id)の化合物;
−R及びRが水素、Het及びC1−4アルキル、特に水素、メチル、プロピル、Het、イソプロピル又はt−ブチルからそれぞれ独立して選ばれる式(Id)の化合物;
−Hetがそれぞれ独立してC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリル又はイミダゾリルである式(Id)の化合物;
特に薬剤として用いるため、さらにもっと特定的に、前記の精神障害の処置用の薬剤の製造における、例えば精神分裂病の処置用の薬剤の製造における使用のための前記の群の化合物
を提供する。
【0046】
好ましい群の化合物は、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(I)の化合物から成る:
−Xが−オキソを示す式(I)の化合物;
−Rが水素又はハロ、特に水素又はクロロを示す式(I)の化合物;
−RがAr、Ar−C1−4アルキル−、−NR又はHet、特にフェニル、ベンジル、メチル及びジクロロフェニルで置換されたイソオキサゾリルを示すか、あるいはRがNRを示す式(I)の化合物;
−R及びRがそれぞれ独立して水素、Het又はC1−4アルキルから選ばれる式(I)の化合物;
−Hetがそれぞれ独立してC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリル又はイミダゾリルを示す式(I)の化合物。
【0047】
他の特定の群の化合物は、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される化合物である;
−Xが−Z−Rである式(I)の化合物;
−Zがオキシカルボニルである式(I)の化合物;
−Rがモノ−もしくはジ(メチル)アミノ−である式(I)の化合物;
−RがHet、特にメチルで置換されたイソオキサゾリルである式(I)の化合物;−Rがトリフルオロメチル又はハロ、特にクロロである式(I)の化合物;
−R及び/又はRがC1−4アルキル、特にメチル、プロピル、イソプロピル又はt−ブチルである式(I)の化合物;
−Zが−オキシ−カルボニル又は−NR−カルボニルを示し、Rが−NR又はHetである式(I)の化合物;
特に薬剤として用いるため、さらにもっと特定的に、例えば精神分裂病のような精神障害の処置用の薬剤の製造における使用のための前記の群の化合物。
【0048】
本発明のさらに別の態様において、R置換基は5もしくは6位にあり、Het置換基は場合によりメチルで置換されていることができる2’−イソオキサゾリルであり、特に該イソオキサゾリル置換基の5’位で置換されている。
【0049】
本発明の目的は、Rがイソオキサゾリル、ピラゾリル又はベンズイソオキサゾリルより成る群から選ばれる複素環Hetであり、ここで該Hetは場合によりC1−4アルキル、フェニル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ、但し、Rが置換イソオキサゾリルである場合、Rはクロロではない式(I)の化合物を提供することでもある。
【0050】
本明細書の実験の部においてさらに例示する通り、R、R、R、R及びRが前記の通りに定義される式(Ia)、(Ib)、(Ie)又は(If)の化合物は一般に、以下の合成スキームを用いて製造される。
【0051】
【化6】

【0052】
、R、R、R及びRは前記の式(I)の化合物に関する通りに定義される。
【0053】
−(C=O)−O−R’がエステル残基を示し、本発明の出発材料である式(II)の化合物は、周知の化合物であるか、又は周知の方法に従って合成することができる[例えばChem.Abstr.,49,1955年,11594、J.Org.Chem,44,1979年,3292又はChem.Ber.,100,1967年,954]。第1段階(段階a)において、式(II)の化合物を例えばジクロロメタンのような不活性溶媒中で、塩基の存在下においてヒドロキシルアミンで処理し、一般式(III)を有する化合物を製造する。
【0054】
用いられる溶媒は特に制限されず、但しそれは反応を妨げず、且つある量の出発材料を溶解でき、それは例えばへキサン、トルエン、ジイソプロピルエーテル又はテトラヒドロフランであることができる。
【0055】
用いられる塩基は、例えばアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸リチウム、アルカリ金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムもしくは炭酸水素リチウム、アルカリ金属水素化物、例えば水素化カリウム、水素化ナトリウムもしくは水素化リチウムあるいはアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムもしくは水酸化リチウムであることができる。
【0056】
出発材料又は試薬に依存して反応温度を変えることができるが、通常は0℃〜100℃、好ましくは20℃〜50℃の範囲内である。
【0057】
出発材料、試薬又は反応温度に依存して反応時間を変えることができるが、通常それは10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間である。
【0058】
反応の完了後、この方法の標的化合物を通常の方法に従って反応混合物から単離する。例えば蒸発により溶媒を除去し、残留物に酸性水溶液を加え(例えば塩酸を用いて)、沈殿する化合物を濾過し、抽出物を水で洗浄し、それを減圧下に高められた温度(例えば50℃〜150℃の範囲内)で乾燥する。得られる標的化合物を、必要なら再結晶、再沈殿又はクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0059】
第2段階(段階b)において、当該技術分野において既知の環化反応に従って、一般式(II)を有する化合物から一般式(Ia)を有する化合物を合成し、ここで式(II)の化合物を不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン又はジイソプロピルエーテル中で、脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、クロロシラン及びN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)を用いて処理し、一般式(Ia)のベンズイソオキサゾール及びその互変異性体(Ib)を製造する。
【0060】
出発材料又は試薬に依存して反応温度を変えることができるが、通常は0℃〜100℃、好ましくは20℃〜70℃の範囲内である。
【0061】
出発材料、試薬又は反応温度に依存して反応時間を変えることができるが、通常それは10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間である。
【0062】
反応の完了後、この方法の標的化合物を通常の方法に従って反応混合物から単離する。例えば蒸発により溶媒を除去し、残留物に酸性水溶液を加え(例えば塩酸を用いて)、沈殿する化合物を濾過し、抽出物を水で洗浄し、それを減圧下に高められた温度(例えば50℃〜150℃の範囲内)で乾燥する。得られる標的化合物を、必要なら再結晶、再沈殿又はクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0063】
最後の段階(段階c)において、式(Ie)のカルバメートエステル及び式(If)のウレアをベンズイソオキサゾール(Ia)及びそのそれぞれの互変異性体(Ib)から、当該技術分野において既知のイソシアナートとの反応に従って合成する[例えばAdvanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structures,March J.,Ed.,791,1985年,John Wiley & Sons,Inc.,New York USA;Introduction to Organic Chemistry,Streitwe
iser A.and Heathcock C.H.,Ed.,785,1981年,MacMillan Publishing Co.,Inc.,New York USAを参照されたい]。場合により、イソシアナートへのアルコールの付加を有機金属化合物により[J.Chem.Soc.,C 2663,1968年,1479]、光により[J.Org.Chem.,42,1977年,1428]又は第3級アルコールの場合、リチウムアルコキシドにより[J.Org.Chem.,43,1978年,2690]触媒することもできる。この反応は通常、例えばトリエチルアミン、ジオキシン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又は塩化メチレンのような不活性溶媒中で行なわれる。出発材料又は試薬に依存して反応温度及び反応時間を変えることができるが、通常は室温で終夜行なわれる。
【0064】
反応の完了後、この方法の標的化合物を通常の方法に従って反応混合物から単離する。例えば反応混合物中で沈殿する標的生成物を濾過することにより、あるいは反応混合物を中和し、続いて疎水性溶媒(例えばベンゼン、エーテル、酢酸エチル)を加えて化合物を抽出し、有機層を水で洗浄し、それを減圧下及び高められた温度であるいは無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発により溶媒を除去することにより、標的化合物を単離する。得られる標的化合物を、必要なら再結晶、再沈殿又はクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0065】
本明細書中の実験の部においてさらに例示する通り、R、R、Rが前記の通りに定義される式(Ig)、(Ih)及び(Ii)の化合物は一般に、対応する3−アミノベンズイソオキサゾール(Ig)から当該技術分野において既知の反応条件を用いて製造される(スキーム2)。
【0066】
【化7】

【0067】
、R及びRは前記の式(I)の化合物に関する通りに定義される;
はC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル又はHetを示し、ここでAr、Ar及びHetは式(I)の化合物に関する通りに定義される。
【0068】
3−アミノベンズイソオキサゾールは一般に、例えばJ.Hetercycl.Chem.26,1989年,1293に記載されている2−段階Shutskeの合成を用いて製造される。Shutskeの3−アミノベンズイソオキサゾールの合成は、適した2−フルオロベンゾニトリルへのアセトンオキシムの付加(段階a)、続いてその後の例えば塩酸を用いる酸−媒介環化(段階b)を含む。
【0069】
式(Ih)のウレア誘導体は一般に、当該技術分野において既知のイソシアナートとの反応に従って得られる(段階c)[例えばAdvanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structures,March J.,Ed.,791,1985年,John Wiley & Sons,Inc.,New York USA;Introduction to Organic Chemistry,Streitweiser A.and Heathcock C.H.,Ed.,785,1981年,MacMillan Publishing Co.,Inc.,New York USAを参照されたい]。この反応は通常、例えばジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又は塩化メチレンのような不活性溶媒中で行なわれる。出発材料又は試薬に依存して反応温度及び反応時間を変えることができるが、通常は室温で終夜行なわれる。
【0070】
式(Ii)のアミドは一般に、当該技術分野において既知の対応するカルボン酸又はアシルハライドとの反応に従って得られる(段階d)[例えばIntroduction to Organic Chemistry,Streitweiser A.and Heathcock C.H.,Ed.,548,1981年,MacMillan Publishing Co.,Inc.,New York USAを参照されたい]。
【0071】
必要であるか、又は望ましい場合、以下のさらなる段階のいずれか1つもしくはそれより多くをいずれかの順序で行なうことができる:
(i)残る保護基の除去;
(ii)式(I)の化合物又はその保護された形態のさらに別の式(I)の化合物又はその保護された形態への転換;
(iii)式(I)の化合物又はその保護された形態の、式(I)の化合物又はその保護された形態のN−オキシド、塩、第4級アミン又は溶媒和物への転換;
(iv)式(I)の化合物又はその保護された形態のN−オキシド、塩、第4級アミン又は溶媒和物の、式(I)の化合物又はその保護された形態への転換;
(v)式(I)の化合物又はその保護された形態のN−オキシド、塩、第4級アミン又は溶媒和物の、式(I)の化合物又はその保護された形態の別のN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン又は溶媒和物への転換;
(vi)式(I)の化合物が(R)及び(S)エナンチオマーの混合物として得られる場合、所望のエナンチオマーを得るための混合物の分割。
【0072】
式(I)の化合物、そのN−オキシド、付加塩、第4級アミン及び立体化学的異性体を、当該技術分野において既知の方法を用い、さらに別の本発明に従う化合物に転換することができる。
【0073】
上記の方法において、中間化合物の官能基を保護基により遮断することが必要であり得ることは、当該技術分野における熟練者にわかるであろう。
【0074】
保護することが望ましい官能基にはヒドロキシ、アミノ及びカルボン酸が含まれる。ヒ
ドロキシのための適した保護基にはトリアルキルシリル基(例えばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、ベンジル及びテトラヒドロピラニルが含まれる。アミノのための適した保護基にはtert−ブチルオキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニルが含まれる。カルボン酸のための適した保護基にはC(1−6)アルキル又はベンジルエステルが含まれる。
【0075】
官能基の保護及び脱保護は、反応段階の前又は後に行なうことができる。
【0076】
保護基の使用は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’3rd edition,T W Greene & P G M Wuts,Wiley Interscience(1988)に記載されている。
【0077】
さらに、式(I)の化合物中のN−原子を当該技術分野において既知の方法により、例えば2−プロパノン、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドのような適した溶媒中でCH−Iを用い、メチル化することができる。
【0078】
当該技術分野において既知の官能基変換の方法に従って式(I)の化合物を互いに転換することもでき、その方法のいくつかの例を下記に挙げる。
【0079】
3価の窒素をそのN−オキシド形態に転換するための当該技術分野において既知の方法に従い、式(I)の化合物を対応するN−オキシド形態に転換することもできる。該N−オキシド化反応は一般に、式(I)の出発材料を3−フェニル−2−(フェニルスルホニル)オキサジリジンと、又は適した有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより行なうことができる。適した無機過酸化物は、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含み;適した有機過酸化物はペルオキシ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸又はハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロ−ペルオキシドを含むことができる。適した溶媒は、例えば水、低級アルコール類、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン及びそのような溶媒の混合物である。
【0080】
当該技術分野において既知の方法の適用により、式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体を得ることができる。選択的結晶化及びクロマトグラフィー法、例えば向流分配液体クロマトグラフィーなどのような物理的方法により、ジアステレオマーを分離することができる。
【0081】
式(I)の化合物のいくつか及び本発明における中間体のいくつかは不斉炭素原子を含有し得る。該化合物及び該中間体の純粋な立体化学的異性体を、当該技術分野において既知の方法の適用により得ることができる。例えば選択的結晶化又はクロマトグラフィー法、例えば向流分配液体クロマトグラフィーなどの方法ような物理的方法により、ジアステレオ異性体を分離することができる。エナンチオマーはラセミ混合物から、最初に適した分割剤、例えばキラル酸を用いて該ラセミ混合物をジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物に転換し;次いで該ジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物を、例えば選択的結晶化又はクロマトグラフィー法、例えば液体クロマトグラフィーなどの方法により物理的に分離し;そして最後に該分離されたジアステレオマー塩もしくは化合物を対応するエナンチオマーに転換することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体を、適した中間体及び出発材料の純粋な立体化学的異性体から得ることもでき、但し、介在する反応は立体特異的に起こる。
【0082】
式(I)の化合物及び中間体のエナンチオマーの形態を分離する別の方法は液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。
【0083】
上記で記載した反応法において用いられる中間体及び出発材料のいくつかは既知の化合物であり、商業的に入手可能であるか、又は当該技術分野において既知の方法に従って製造することができる。
【0084】
下記の実験部分で記載する通り、式(I)の化合物ならびに式(Ia)及び(Ig)の中間体のDAAO阻害活性が試験管内で、DAAOの触媒活性を測定する酵素アッセイにおいて示された。
【0085】
従って本発明は、薬剤として又は治療において、さらに特定的に精神分裂病を含む精神障害の処置において用いるための式(I)の化合物、式(Ia)の中間体、式(Ig)の中間体ならびにそれらの製薬学的に許容され得るN−オキシド、付加塩、第4級アミン及び立体化学的異性体を提供する。式(I)の化合物、式(Ia)の中間体、式(Ig)の中間体ならびにそれらの製薬学的に許容され得るN−オキシド、付加塩、第4級アミン及び立体化学的異性体を、下記で本発明に従う化合物と呼ぶことができる。
【0086】
本発明に従う化合物が特に有用である障害は、精神分裂病ならびに痛み、痙性、てんかんを含むNMDA受容体機能不全に結び付けられる他の疾患ならびにアルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害及び自閉症のような学習及び記憶が損なわれる疾患である。同様に、外傷又は発作のような脳損傷により引き起こされる疾患は利益を得ることができる。前記で言及した通り、本発明の化合物は精神分裂病における負の症状、すなわち精神分裂病患者の損なわれた社会的相互作用(例えば情動、思考及びイニシアチブの虚弱)及び認知障害の防除に有効である。ドパミンアンタゴニストは、精神分裂病における正の症状、すなわち精神病、攻撃行動及び不安の防除に有効であると報告されている。従って本発明の化合物は、DAAO阻害剤をドパミン阻害剤と組み合わせ、精神分裂病の正及び負の症状の両方の軽減を与える組み合わせ治療における使用に関して特に興味深い。
【0087】
本発明に従う化合物の有用性の観点から、精神分裂病及び上記の他の疾患状態のような精神障害に苦しむ動物、例えば人間を含む哺乳類の処置のための方法を提供し、それは本発明に従う化合物の有効量を投与することを含んでなる。
【0088】
該方法は、人間を含む温血動物への本発明に従う化合物の有効量の全身的又は局所的投与を含んでなる。当該技術分野における熟練者は、本発明に従うDAAO阻害剤の治療的に有効な量が、DAAO活性を低下させるため且つ従って精神分裂病患者における損なわれたNMDA−型グルタメート受容体活性を改善するために十分な量であることを認識するであろう。この量は、中でも損なわれたNMDA−型グルタメート受容体活性のレベル、治療用調製物中の化合物の濃度及び患者の状態に依存して変る。一般に、例えば精神分裂病のような精神障害の処置のための治療薬として投与されるべきDAAO阻害剤の量は、診療する医師が事例毎に(on a case−by−case basis)決定するであろう。
【0089】
一般に適した用量は、処置部位において0.5nM〜200μM、そしてもっと通常には5nM〜50μMの範囲内のDAAO阻害剤の濃度を生ずる用量である。これらの処置濃度を得るために、処置の必要な患者はおそらく体重のkg当たりに0.01mg〜300mg、特に体重のkg当たりに10mg〜100mgを投与されるであろう。上記の通り、量は事例毎に変わり得る。これらの処置方法において、本発明に従う化合物は好ましくは投与前に調製される。本明細書下記で記載する通り、適した製薬学的調製物は既知の
方法により、周知且つ容易に入手可能な成分を用いて調製される。
【0090】
さらにもっと別の側面において、本発明は前記のいずれかの精神障害又は適応症の処置のための薬剤の製造における本発明に従う化合物の使用を提供する。
【0091】
治療的効果を達成するために必要な、本明細書で活性成分とも呼ばれる本発明に従う化合物の量は、もちろん特定の化合物、投与経路、受容者の年令及び状態ならびに処置されている特定の障害もしくは疾患と共に変るであろう。適した1日の用量は体重のkg当たりに0.01mg〜50mg、特に体重のkg当たりに0.05mg〜10mgである。処置方法は、1日当たりに1〜4回の摂取の管理に基づく活性成分の投与も含むことができる。
【0092】
活性成分を単独で投与することができるが、それを製薬学的組成物として与えるのが好ましい。従って本発明はさらに、製薬学的に許容され得る担体又は希釈剤と一緒に本発明に従う化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。担体又は希釈剤は、組成物の他の成分と適合性であり、且つその受容者に有害でないという意味で「許容され得」なければならない。
【0093】
薬学の技術分野において周知のいずれかの方法により、例えばGennaro et al.著,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Company,1990年,特にPart 8:Pharmaceutical preparations and
their Manufactureを参照されたい)に記載されているような方法を用い、本発明の製薬学的組成物を調製することができる。活性成分として塩基の形態又は付加塩の形態における特定の化合物の治療的に有効な量を製薬学的に許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、担体は投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、好ましくは経口的、経皮的又は非経口的のような全身的投与;あるいは吸入を介するか、鼻スプレー、点眼又はクリーム、ジェル、シャンプーなどを介するような局所的投与に適した単位投薬形態にある。例えば経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれか、例えば懸濁剤、シロップ、エリキサー及び溶液のような経口用液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど:あるいは粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。非経口用組成物の場合、担体は通常少なくとも大部分において無菌水を含むであろうが、例えば溶解性を助けるための他の成分が含まれることができる。例えば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含む注入可能な溶液を調製することができる。注入可能な懸濁剤も調製することができ、その場合には適した液体担体、懸濁化剤などを用いることができる。経皮的投与に適した組成物において、担体は場合により浸透促進剤及び/又は適した湿潤剤を、場合によりいずれかの性質の小さい割合における適した添加剤と組み合わせて含むことができ、添加剤は皮膚にいずれの有意な有害な効果をも引き起こさない。該添加剤は皮膚への投与を容易にすることができ、及び/又は所望の組成物の調製の助けとなることができる。これらの組成物を種々の方法で、例えば経皮パッチとして、スポット−オン(spot−on)として、又は軟膏として投与することができる。局所的適用に適した組成物として、薬剤を局所的に投与するために通常用いられるすべての組成物、例えばクリーム、ジェリー、包帯、シャンプー、チンキ剤、塗布剤、軟膏、膏薬、粉剤などを挙げることができる。該組成物の適用は、例えば窒素、二酸化炭素、フレオンのようなプロペラントを用いるか、又はプロペラントを用いないエアゾール、例えばポンプスプレー、滴剤、ローション又は半固体、例えばスワブ(swab)として適用することができる増粘された組成物によることができる。特に膏薬、クリーム、ジェリー、軟膏などのような半固体組成物は、簡便に用いられるであろう。
【0094】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、前記の製薬学的組成物を投薬単位形態物において調製するのが特に有利である。本明細書及び請求項で用いられる投薬単位形態物は、1回の投薬量として適した物理的に分離した単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあらかじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的担体と一緒に含有する。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、粉剤小包、ウェハース、注入可能な溶液又は懸濁剤、小さじ1杯、大さじ1杯などならびに分離されたそれらの複数である。
【0095】
製薬学的組成物中における式(I)の化合物の溶解性及び/又は安定性を増すために、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンあるいはそれらの誘導体を用いるのが有利でり得る。アルコールのような補助溶媒も製薬学的組成物中における式(I)の化合物の溶解性及び/又は安定性を向上させることができる。水性組成物の調製において、本化合物の付加塩はそれらの向上した水溶性のために、明らかにより適している。
【0096】
実験の部
下記で、「RT」という用語は室温を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、DIPEはジイソプロピルエーテルを意味し、DMFはジメチルホルムアミドを意味し、CDIはN,N’−カルボニルジイミダゾールを意味し、KtBuOは2−プロパノール,2−メチル−,カリウム塩を意味する。
【実施例】
【0097】
A.中間体の製造
実施例A1
【0098】
【化8】

【0099】
−雰囲気下に室温においてヒドロキシルアミン(3M)の溶液を攪拌し、次いでNaOH(240mlのHO中の7.05モル)及びサリチル酸メチル(750mlのジオキサン中の300g)を滴下し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。完了後、反応溶媒を50℃において蒸発させ、残る残留物を冷却し、12N HClで酸性化した。混合物を10〜15℃で30分間攪拌し、得られる沈殿を濾過し、氷−水で洗浄し、減圧下に90℃で乾燥した。定量的に2−ヒドロキシベンズヒドロキサム酸を与えた(中間体1)。
【0100】
【化9】

【0101】
中間体1(THF中の1,92M)の溶液を60℃で攪拌した。CDIの溶液(THF中の3,84M)を前記の溶液に還流下で30分かけて加え、60℃でさらに2時間還流させた。反応混合物を40℃に冷却し、溶媒を蒸発させた。完了後、残る残留物を水でクエンチングし、12N HClを用いてpH2に酸性化した。混合物を10〜15℃で30分間攪拌し、得られる沈殿を濾過し、氷−水で洗浄し、減圧下に90℃で乾燥した。定量的に3−ヒドロキシベンズイソオキサゾールを与えた(中間体2)。
実施例A2
【0102】
【化10】

【0103】
DMF(50ml)中のアセトキシム(0.055モル)の溶液を室温で攪拌し、次いでKtBuO(0.055モル)を加え、溶液を室温でさらに30分間攪拌した。2−シアノフルオロベンゼン(0.050モル)を滴下し、反応混合物を室温でさらに1時間攪拌した。反応混合物を200mlのイソプロピルエーテルの溶液及び200mlの飽和NHCl溶液中に注ぎ出し、10分間激しく攪拌した。完了後、有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発乾固した。残留物(収量:9g)をエタノール(100ml)中に溶解した。2N HClの溶液(100ml)を加え、反応混合物を1時間還流させた。完了後、溶媒を蒸発させ、水性残留物をKCOの溶液でアルカリ性とし、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発乾固した。定量的に1−2−ベンズイソオキサゾール−3−アミン4.7g(70%),融点111℃を与えた(中間体3)。
B.化合物の製造
実施例B1
【0104】
【化11】

【0105】
ジオキサン(5ml)中の3−ヒドロキシ−6−メトキシ−1,2−ベンズイソオキサゾール(0.0007モル)の溶液を室温で攪拌し、次いでイソシアン酸イソプロピル(0.0010モル)を滴下した。反応混合物を室温で終夜攪拌した。反応を完結させ、混合物を蒸発乾固した。残留物をDIPE中で再結晶した。0.083gの化合物1(47%の収率),融点121℃を与えた。
実施例B2
【0106】
【化12】

【0107】
CHCl(5ml)中の中間体2の溶液にトリエチルアミン(0.0025モル)を加えた。反応混合物を室温で攪拌し、次いで塩化ベンゾイル(0.0025モル)を滴下した。反応混合物を室温で終夜攪拌した。混合物をHOで2回洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発乾固した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤CHCl)により精製し、0.430gの化合物2(72%の収率,融点65℃)及び0.030gの化合物3(5%の収率,融点115℃)を与えた。
実施例B3
【0108】
【化13】

【0109】
イソプロピルエーテル(5ml)中の中間体3(0.0025モル)の溶液にTHF(1ml)を加え、反応混合物を室温で攪拌した。イソシアン酸フェニル(0.0050モル)を加え、反応混合物を室温で終夜攪拌した。沈殿を濾過し、イソプロピルエーテルで洗浄し、蒸発乾固した。残留物をXterra MS C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上の逆相HPLC上で、1.6ml/分の流量を用いて(溶離条件:3種の移動相(移動相A 95%25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相
B:アセトニトリル;移動相 C:メタノール)を用い、6.5分内に100%Aから50%B及び50%Cへ,1分内に100%Bへ,1分間100%及び1.5分間100%Aを用いて再−平衡化の勾配条件を行なった)さらに精製し、0.010gの化合物4を与えた(5%の収率,融点246℃)。
実施例B4
【0110】
【化14】

【0111】
CHCl(10ml)中の中間体3(0.0025モル)及びトリエチルアミン(0.0025モル)の混合物を室温で攪拌した。フェニルアセチルクロリド(0.0025モル)を滴下し、反応混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物をHOで2回洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をイソ
プロパノール中で結晶化させた。0.210gの化合物5(84%の収率),融点164℃を与えた。
実施例B5
【0112】
【化15】

【0113】
CHCl(5ml)中の中間体2(0.0025モル)及びトリエチルアミン(0.0025モル)の混合物を室温で攪拌した。2−メチルプロパノイルクロリド(0.0025モル)を滴下し、反応混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物をHOで2回洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発乾固した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン/CHCl 60/40)を用いて残留物をさらに精製し、0.300gの化合物6(59%の収率,融点88℃)を与えた。
実施例B6
【0114】
【化16】

【0115】
CHCl(10ml)中の中間体3(0.0025モル)及びトリエチルアミン(0.0025モル)の混合物を室温で攪拌した。2−メチルプロパノイルクロリド(0.0025モル)を滴下し、反応混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物をHOで2回洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発乾固した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl)により残留物をさらに精製し、0.235gの化合物8及び1個の画分を与え、それをXterra MS C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上の逆相HPLCクロマトグラフィーを用い、1.6ml/分の流量で(溶離条件:3種の移動相(移動相A 95%25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相 B:アセトニトリル;移動相 C:メタノール)を用い、6.5分内に100%Aから50%B及び50%Cへ,1分内に100%Bへ,1分間100%及び1.5分間100%Aを用いて再−平衡化の勾配条件を行なった)さらに精製し、0.010gの化合物7(融点130℃)を与えた。
実施例B7
【0116】
【化17】

【0117】
CHCl(5ml)中のトリエチルアミン(0.0025モル)の溶液に塩化ベンゾイル(0.0025モル)を加えた。混合物を室温で攪拌し、CHCl(5ml)中の中間体3(0.0025モル)を滴下した。反応混合物を室温で終夜攪拌した。混合物をHOで2回洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl)により残留物を精製し、0.010gの化合物9(2%の収率,融点133℃)及び1個の画分を与え、それをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤 ヘキサン/CHCl)によりさらに精製し、0.225gの化合物10(38%の収率,融点97〜100℃)及び0.100gの化合物11(17%の収率,融点154〜160℃)を与えた。
【0118】
本明細書下記の表は、実施例A1に従って製造されるさらなる化合物を示す。これらの化合物は、それぞれ実施例B1及びB2に従う対応するカルバメート及びエステルの合成のための中間化合物であるが、DAAO阻害活性を有することが示され、従って薬剤、特に精神分裂病及び前記で挙げた他の疾患状態の処置のための薬剤の製造における活性化合物として有用である。
【0119】
【表1】

【0120】
本明細書下記の表2及び3は、本明細書前記で示した実施例B2に従って製造されるさらなる化合物を示す。これらの化合物はDAAO阻害活性を有することが示され、従って薬剤、特に精神分裂病及び前記で挙げた他の疾患状態の処置のための薬剤の製造における活性化合物として有用である。
【0121】
【表2】

【0122】
【表3】

【0123】
本明細書下記の表4は、本明細書前記で示した実施例B1に従って製造されるさらなる化合物を示す。これらの化合物はDAAO阻害活性を有することが示され、従って薬剤、特に精神分裂病及び前記で挙げた他の疾患状態の処置のための薬剤の製造における活性化合物として有用である。
【0124】
【表4】

【0125】
本明細書下記の表5は、本明細書前記で示した実施例B2に従って製造されるさらなる化合物を示す。これらの化合物はDAAO阻害活性を有することが示され、従って薬剤、特に精神分裂病及び前記で挙げた他の疾患状態の処置のための薬剤の製造における活性化合物として有用である。
【0126】
【表5】

【0127】
C.薬理学的実施例
D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO;EC 1.4.3.3)は、アミノ酸のD−立体異性体の酸化を触媒する。
【0128】
一般的反応を:
【0129】
【化18】

【0130】
と記述することができる。
【0131】
DAAOの触媒活性の測定のための2つの試験管内法を開発した:
1.過酸化物法:補助酵素ホースラディッシュペルオキシダーゼを用い、生産される過酸化物の量を測定する。
2.ケト酸法:生成するαケト酸を測定する。
【0132】
両方法は:
Natata,Y,Shimojo,J.,Akino,K.著,Two spectrophotometric assays for D−amino acid oxidase:for study of distribution patterns.Int.J.Biochem 20,1988年,p1235−1238
から応用された。
実施例C.1:過酸化物法を用いるDAAOの試験管内阻害
DAAOの触媒作用により生産される過酸化物の量を決定するための一般的な反応を:
【0133】
【化19】

【0134】
と記述することができる。
【0135】
50μlの合計体積でFAD(5,5μg/ml)、HRP(200μg/ml)、DHBS(1667μg/ml)及び4−アミノアンチピリン(500μg/ml)を含有する0.019Mピロリン酸ナトリウム緩衝液中の基質D−アラニン(7,5mM)と一緒に、DAAO(2,6μg/ml)を室温で60分間インキュベーションする。化合物を0.5μlの体積で1%の最終的なDMSO濃度まで加えた。0.5Mリン酸塩緩衝液pH5.0の30μlの添加により反応を停止させた。492nmにおける吸光度の測定により、キノン−イミン染料を検出した。すべての製品はSigmaから購入された。
実施例C.2:ケト酸法を用いるDAAOの試験管内阻害
DAAOの触媒作用により生産される過酸化物の量の決定のための一般的方法を:
【0136】
【化20】

【0137】
と記述することができる。
【0138】
50μlの合計体積でFAD(11μg/ml)及びウシ肝臓カタラーゼ(EC 1.
11.1.6)(4.3mg/ml)を含有する0.19mMピロリン酸緩衝液pH8.3中の基質D−アラニン(15mM)と一緒に、DAAO(20μg/ml)を室温で10分間インキュベーションする。化合物を0.5μlの体積で1%の最終的なDMSO濃度まで加えた。1N HCl中の25μlの1mM 1,4−ジニトロフェニルヒドラジンの添加により反応を停止させる。室温における2回目の10分間のインキュベーションの後、175μlの0.6N NaOHを加え、生成するヒドラゾンを450nmにおける吸光度の測定により検出する。すべての製品はSigmaから購入された。
【0139】
本明細書下記の表は、DAAO−活性への本発明に従う化合物の効果を挙げている。
【0140】
【表6】

【0141】
D.組成物実施例
以下の調製物は、本発明に従って動物及び人間の患者に全身的もしくは局所的に投与するのに適した典型的な製薬学的組成物を例示する。
【0142】
これらの実施例を通じて用いられる「活性成分」“A.I.”は、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容され得る付加塩に関する。
【0143】
実施例D.1:フィルム−コーティング錠
錠剤芯の調製
A.I.(100g)、ラクトース(570g)及び澱粉(200g)の混合物を十分に混合し、その後約200mlの水中のドデシル硫酸ナトリウム(5g)及びポリビニルピロリドン(10g)の溶液で加湿した。湿潤粉末混合物を篩別し、乾燥し、再び篩別した。次いで微結晶セルロース(100g)及び水素化植物油(15g)を加えた。全体を十分に混合し、錠剤に圧縮し、それぞれ10mgの活性成分を含んでなる10.000個の錠剤を与えた。
【0144】
コーティング
変性エタノール(75ml)中のメチルセルロース(10g)の溶液に、CHCl(150ml)中のエチルセルロース(5g)の溶液を加えた。次いでCHCl(75ml)及び1,2,3−プロパントリオール(2.5ml)を加えた。ポリエチレングリコール(10g)を融解させ、ジクロロメタン(75ml)中に溶解した。後者の溶液を前者に加え、次いでオクタデカン酸マグネシウム(2.5g)、ポリビニル−ピロリドン(5g)及び濃厚染料懸濁液(30ml)を加え、全体を均一にした。かくして得られる混合物を用い、コーティング装置において錠剤芯をコーティングした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精神障害の処置用の薬剤の製造のためのDAAO阻害化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体の使用であって、該化合物が式
【化1】

[式中、
mは1〜3の整数を示し;
Xはヒドロキシ、アミノ、−オキソ又は−Z−Rを示し;
Yは存在しないか、又は−(C=O)−Rを示し;
Zはカルボニル、−オキシ−カルボニル−、=N−カルボニル−又は−NR−カルボニルを示し;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又は−Hetを示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ−、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル−又はAr−カルボニル−を示し;
はC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又はHetより成る群から選ばれる置換基を示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルか
ら選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar又はArはそれぞれ独立して、場合によりハロ、ニトロ、C1−4アルキル、ヒドロキシ又はC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個又は可能な場合には2個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるフェニルを示す]
を有する使用。
【請求項2】
式(I)の化合物に関し、
mが1〜3の整数を示し;
Xが−オキソ又は−Z−Rを示し;
Yが、Xが−Z−Rを示す場合には存在せず、Xがオキソを示す場合には−(C=O)−Rを示し;
Zがカルボニル、−オキシ−カルボニル−又は−NR−カルボニル−を示し;
がC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又は−Hetを示し;
が水素、ハロ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシ又はC1−4アルキルを示し;
及びRがそれぞれ独立して水素、Ar又はC1−4アルキルから選ばれ;
が水素、C1−4アルキルカルボニル−又はAr−カルボニル−を示し;
がC1−4アルキル、Ar、Ar−C1−4アルキル−又はNRより成る群から選ばれる置換基を示し;
及びRがそれぞれ独立して水素、Het又はC1−4アルキルから選ばれ;
Hetがオキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル又はピラゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることができ、特に該複素環はC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されており;特定の態様において、Hetがイソオキサゾリル及びピラゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環はアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されており、特に該複素環はC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されており;
Hetがオキサゾリル又はイソオキサゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ、特に該複素環はC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されてお
り;特定の態様において、HetがC1−4アルキル、フェニル又は1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリルを示し;
Ar、Ar、Ar、Ar、Ar又はArがそれぞれ独立してフェニルを示す請求項1に従う使用。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の式(I)の化合物であって、しかしながら但し、;
−Zが−オキシカルボニルであり且つRがクロロ−もしくはニトロ−フェニル−である場合、Rはメチルオキシ−、エチルオキシ−、クロロ又はフルオロではないか、
−Zが−オキシカルボニルであり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、フェニル、クロロフェニル、ニトロフェニル、クロロもしくはメチルで置換されたイソオキサゾリルであるか、又はRがエチル及びメチルで置換されたピラゾリルである場合、Rは水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、エチルオキシ、メチルオキシ又はメチルではないか、
−Zが−NR−カルボニルであり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、t−ブチルオキシ−、ベンジルオキシ−、フェニル又はジ−クロロフェニルである場合、Rは水素、ハロ、メチル又はトリフルオロメチルではないか、あるいは
−Zがオキシカルボニルであり且つR又はRがメチル、イソプロピル、プロピル、t−ブチル又はクロロ、1個のメチル置換基もしくは1個のメチル及び1個のジ−クロロ−フェニル置換基で置換されたイソオキサゾリルである場合、Rは水素、クロロ又はメチルではない
化合物。
【請求項4】
がイソオキサゾリル、ピラゾリル又はベンズイソオキサゾリルより成る群から選ばれる複素環Hetであり、ここで該Hetは場合によりC1−4アルキル、フェニル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ、
但し、Rが置換イソオキサゾリル又は置換ピラゾリルである場合、Rは水素、クロロ又はメチルではない
式(I)の化合物。
【請求項5】
薬剤として用いるための請求項3又は4に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
精神分裂病の処置のための薬剤の製造における請求項1〜4のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項7】
処置が必要な動物に式(I)の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、精神分裂病のような精神障害の処置方法。
【請求項8】
精神障害の処置用の薬剤の製造におけるDAAO阻害活性を有する中間体、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体の使用であって、該中間体が式(Ia)又は(Ig)
【化2】

[式中、
mは1〜3の整数を示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ−、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示す]
を有する使用。
【請求項9】

【化3】

[式中、
mは1〜3の整数を示し;
はO又はNRを示し;
はC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、Ar、Ar−C1−4アルキル−、−NR又はHetを示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキルを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、フェニル、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシ、フェニルもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
は水素、C1−4アルキル、フェニル−カルボニル−又はC1−4アルキル−カルボニル−を示し;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該複素環は場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
但し;
−Xが−O−であり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、フェニル、クロロフェニル、ニトロフェニル、クロロもしくはメチルで置換されたイソオキサゾリルであるか、あるいはRがエチル及びメチルで置換されたピラゾリルである場合、Rは水素、クロロ、フルオロ、ブロモ又はメチルではなく、
−XがNRであり且つRがメチル、メチルオキシ−、エチルオキシ−、t−ブチルオキシ−、ベンジルオキシ−、フェニル又はジ−クロロ−フェニルである場合、Rは水素、ハロ、メチル又はトリフルオロメチルではなく
−Xが−O−であり且つR又はRがメチル、イソプロピル、プルピル、t−ブチルあるいはクロロ、1個のメチル置換基又は1個のメチル及び1個のジ−クロロ−フェニル置換基で置換されたイソオキサゾリルである場合、Rは水素、クロロ又はメチルではない
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体。
【請求項10】
mが1であり;
がO又はNRを示し;
がNR又はHetであり;
が水素、ハロであるか、又はRがC1−4アルキルを示し;
及びRが水素、Het及びC1−4アルキルからそれぞれ独立して選ばれ;
が水素又はC1−4アルキル−カルボニル−を示し;
Hetがそれぞれ独立してC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリル又はイミダゾリルであり;
HetがC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリルである請求項9に従う化合物。
【請求項11】
mが1であり;
がNRを示し;
がNR又はHetであり;
が水素、クロロ又はメチルであり;
が水素を示し、RがC1−4アルキル、フェニル又はフェニルで置換されたC1−4アルキルであり;
が水素、フェニル−カルボニル−又はC1−4アルキル−カルボニル−を示し;
Hetがそれぞれ独立してC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリル又はイミダゾリルであり;
HetがC1−4アルキル及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルから選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたイソオキサゾリルである請求項9に従う化合物。
【請求項12】
がOを示し、R及びRがそれぞれ独立してHet、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルを示す請求項9に従う化合物。
【請求項13】
薬剤として用いるための請求項9〜12のいずれかに従う化合物。
【請求項14】
精神分裂病のような精神障害の処置のための薬剤の製造における式(Ic)の化合物の使用。
【請求項15】
製薬学的に許容され得る担体ならびに活性成分として請求項3、4又は9〜12のいずれか1つに記載の化合物の有効DAAO阻害量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項16】
処置が必要な動物に式(I)の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、精神分裂病のような精神障害の処置方法。
【請求項17】
処置が必要な動物に式(Ia)又は(Ig)の中間体の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、精神分裂病のような精神障害の処置方法。
【請求項18】

【化4】

[式中、
mは0〜3の整数を示し;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、Ar、Ar−C1−4アルキル、NR又はHetを示し;
は水素、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−6アルキルオキシカルボニル−、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキルオキシ−、場合により1個もしくはそれより多いハロ原子で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか、あるいはRは場合により1個もしくはそれより多いハロゲン原子で置換されていることができるC1−4アルキル−を示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、Het、Ar、C1−4アルキル又はハロ、ヒドロキシもしくはC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されたC1−4アルキルから選ばれ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該Hetは場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Hetはオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾチアゾリルから選ばれる複素環を示し、ここで該Hetは場合によりアミノ、C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル−、フェニル、フェニル−C1−4アルキル−及び1個もしくはそれより多いハロ置換基で置換されたフェニルより成る群からそれぞれ独立して選ばれる1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができ;
Ar、Ar又はArはそれぞれ独立して、場合によりハロ、ニトロ、C1−4アルキル、ヒドロキシ又はC1−4アルキルオキシから選ばれる1個又は可能な場合には2個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができるフェニルを示し、
但し;
−mが1を示し且つRがクロロ−もしくはニトロ−フェニルを示す場合、Rは水素、メトキシ、エトキシ、クロロ又はフルオロではなく;
−Rがエトキシ又はメトキシを示す場合、Rは水素、ブロモ、フルオロ又はクロロで
はなく;
−Rがメチルを示す場合、Rは水素、ブロモ又はクロロではない]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体。
【請求項19】
薬剤として用いるための式(Id)の化合物。
【請求項20】
精神分裂病のような精神障害の処置のための薬剤の製造における式(Id)の化合物の使用。
【請求項21】
処置が必要な動物に式(Id)の中間体の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、精神分裂病のような精神障害の処置方法。

【公表番号】特表2007−529468(P2007−529468A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503333(P2007−503333)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051105
【国際公開番号】WO2005/089753
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】