説明

ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤及びH2受容体拮抗剤含有医薬組成物

【課題】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤の両者を含有してなる安定な経口医薬組成物及びその製造方法の開発が切望されている。
【解決手段】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と、ヒスタミンH2受容体拮抗剤を含有してなる経口医薬組成物であって、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸抵抗性層で保護されていることを特徴とする経口医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と、ヒスタミンH2受容体拮抗剤を含有してなる経口医薬組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベプラゾールを始めとするベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤は、胃潰瘍治療剤及び胃酸分泌抑制剤として、一般に処方され使用されている薬物であり、1日1〜2回の服用により、良好な治療成績が得られている。
また、ファモチジンに代表されるヒスタミンH2受容体拮抗剤も胃酸分泌を抑制する薬物として汎用されているが、その胃酸分泌抑制効果はプロトンポンプ阻害剤の効果には及ばないことが知られている。
しかるに、最近、プロトンポンプ阻害剤をH2受容体拮抗剤と併用することにより、さらに強力な胃酸分泌の抑制が得られることが報告されている(特許文献1、2)。このような薬物治療において優れた結果を得るためには、患者のコンプライアンスを高めることが重要となる。したがって、2種又はそれ以上の異なる製剤を患者に投与することも可能であるが、服用する製剤の数の増加をもたらす為、H2受容体拮抗剤と酸感受性プロトンポンプ阻害剤を合剤にすることが、より望ましく、患者の満足感を得ることにつながる。
また、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤を含有する製剤にあっては、一般にベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸性溶媒および中性溶媒中で化学的分解を生じやすいため、酸性の胃液との接触から保護するべく、腸溶性被覆層を施さなければならない。さらには、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤に徐放性被覆層を施す等の手段により、安定な長時間作用型製剤の提供が望まれる場合もある。また、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とH2受容体拮抗剤の両者を含有する経口製剤を製造するためには、物理的性状の異なる薬効成分が物理化学的な相互作用を引き起こすことなく、安定性が保たれる必要がある。
特に、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒を始めとする多重単位を含む錠剤の調製に際し、例えば、腸溶性被覆層で被覆したベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒を圧縮して錠剤に成型する場合には、腸溶性被覆層が圧縮により、その層の一部が破損し、投与時に消化管内の酸性の胃液が層の割れを通じて浸透する恐れがある。すなわち当該顆粒に施された腸溶性被覆層の酸抵抗性は、圧縮後の錠剤では十分ではないため、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤は、服用後に消化管の消化液によって分解が促進されることになる。
【0003】
【特許文献1】国際公開公報 WO2004/037256
【特許文献2】中国特許公報 CN−1559612
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤の両者を含有してなる安定な経口医薬組成物及びその製造方法の開発が切望されている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤の両者を含有してなる安定な経口医薬組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような状況に鑑み、本発明者らは、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤の両者を含有してなる安定な経口医薬組成物について、鋭意検討を行った。その結果、以下に示す構成により、初期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と、ヒスタミンH2受容体拮抗剤を含有してなる経口医薬組成物であって、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸抵抗性層で保護されていることを特徴とする経口医薬組成物である。
【0008】
本発明に係るベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤は、特に限定されないが、例えば、ラベプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール若しくはパントプラゾール又はその光学異性体やその薬理学的に許容される塩(EP0005129、EP174726、EP166287、WO90/06925、WO91/19711号、WO91/9712、WO95/01977、WO94/27988等)が挙げられる。薬理学的に許容される塩とは、例えば、Mg塩、Ca塩、Na塩、K塩もしくはLi塩等が挙げられる。また、ラセミ体または実質的に純粋なエナンチオマーの形態で使用することもできる。好ましくは、ラベプラゾール又はその薬理学的に許容される塩であり、特に好ましくはラベプラゾールナトリウムである。
【0009】
本発明に係るヒスタミンH2受容体拮抗剤は、特に限定されないが、例えば、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン又はその薬理学的に許容される塩であり、特に好ましくはファモチジンである。
【0010】
本発明に係る酸抵抗性層とは、米国薬局方で定められている酸抵抗性を有する層であり、プロトンポンプ阻害剤を含有する顆粒又は錠剤を0.1M HCl水溶液に2時間浸漬させたときにそのHCl水溶液中に放出されるプロトンポンプ阻害剤の重量が、当初の製剤中に含まれているプロトンポンプ阻害剤重量の10%以下とする機能を有する被覆層である。酸抵抗性層としては、例えば、腸溶性被覆層又は徐放性被覆層が挙げられる。
また、本発明における、酸抵抗性層でベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤を保護する形態としては、特に限定されないが、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤に直接に、又はベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤を含有する粉体層の外側に、あるいはさらに層を重ねた外側に、酸抵抗性層で被覆する形態等が挙げられる。例えば、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤を含有する顆粒に酸抵抗性層で被覆してもよいし、1)ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤を含有する顆粒と2)ヒスタミンH2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒を圧縮してなる錠剤に酸抵抗性層を被覆してもよい。
【0011】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸抵抗性層で保護されている経口医薬組成物は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤がどのような状態で存在してもよいし又はどのような固形剤型であってもよい。ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤は、各々別個に製剤中に存在してもよいし、両者を混合した状態で存在させてもよい。また、剤型は、特に限定されないが、好ましくは錠剤、口腔内崩壊錠、顆粒剤、カプセル剤であり、特に好ましくは錠剤である。本発明に係る経口医薬組成物は、例えば、酸抵抗性層で被覆された多重単位(マルチプルユニット)を構成要素として含有する錠剤、酸抵抗性層で被覆された錠剤、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤を層状に順に被覆した多重層錠剤、又はベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤が充填されたカプセル剤等が挙げられる。
【0012】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と酸抵抗性層の間には、水溶性、水不溶性、又は水分散性の皮膜からなる中間層を配してもよい。特に、酸抵抗性層が腸溶性被覆層である場合は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸性状態で分解しやすい特性を有するため、酸性基剤である腸溶性基剤との直接接触を避けることが要求される。したがって、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と酸抵抗性層の間に、水溶性、水不溶性、又は水分散性の皮膜からなる、中間層を配することが望ましいのである。
【0013】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤の組み合わせは、特に限定されないが、最も好ましい組み合わせは、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤がラベプラゾールであり、ヒスタミンH2受容体拮抗剤がファモチジンである。
また、薬効成分の配合量は、特に限定されないが、1製剤中、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤の配合量は、通常5〜80mgであり好ましくは10〜60mgである。また、H2受容体拮抗剤の配合量は、通常10〜800mgであり好ましくは50〜500mgである。
【0014】
本発明は、また、1)ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒と2)H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒を共に圧縮してなる錠剤であって、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸抵抗性層で保護されていることを特徴とする経口医薬組成物である。製造法としては、酸抵抗性層で被覆した1)と2)の両者を混合後に圧縮しても良いし、酸抵抗性層で被覆していない通常顆粒の1)と2)の両者を混合後に圧縮して得られた錠剤に酸抵抗性層を被覆してもよい。また、酸抵抗性層で被覆した1)を圧縮し次に2)を加えて再度圧縮して有核錠としても良いし、通常顆粒の1)を圧縮し次に2)を加えて再度圧縮して有核錠としてこれに酸抵抗性層を被覆してもよい。あるいは、2)を圧縮し次に酸抵抗性層で被覆した1)を加えて再度圧縮して有核錠としても良いし、2)を圧縮し次に通常顆粒の1)を加えて再度圧縮して有核錠としてこれに酸抵抗性層を被覆してもよい。
また、さらに、少なくとも1種類以上の水溶性低融点物質を、粉末状態で配合して、1)ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒と2)H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒と共に圧縮しても良いし、H2受容体拮抗剤含有顆粒の中に配合して、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒と共に圧縮して錠剤としてもよい。水溶性低融点物質とは、40℃〜80℃の融点を有する添加剤であれば特に限定されないが、好ましくは、マクロゴール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルであり、さらに好ましくは、マクロゴール、ショ糖脂肪酸エステルである。水溶性低融点物質の配合量は、錠剤重量に対して通常、5%〜40%であり、好ましくは10 〜40%であり、さらに好ましくは15 〜30%である。製剤の打錠時の圧縮圧は、通常20kg〜400kgの低打錠圧で行うことが必要であり、好ましくは50kg〜300kgであり、さらに好ましくは100kg〜300kgである。また、打錠後に熱処理をすることが望ましい。熱処理は、水溶性低融点物質の融点以上の温度で、好ましくは40〜90℃で、さらに好ましくは60〜80℃で、通常3分〜120分、好ましくは5〜60分、さらに好ましくは10〜50分加温することを特徴とするものである。本発明に係る錠剤は、低打錠圧での打錠でありながら、硬度が高く、摩損度は低いという際立って優れた錠剤特性を有する。これは、下記の理由によるものである。
即ち、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒の各々を被覆する酸抵抗性層は、腸溶性被覆層又は徐放性被覆層のいずれであっても、通常の打錠圧(500〜2000kg)を負荷した場合には、打錠時の圧縮により、被覆層の一部に亀裂が生じがちであり、被覆層の酸抵抗性機能が失われる可能性が高い。したがって、酸抵抗性層で被覆された個々の顆粒の酸抵抗性が圧縮により、影響されないように、本発明にかかる水溶性低融点物質を配合して低打錠圧で打錠することにより、一旦、錠剤強度の低い錠剤を作り、その後、配合した水溶性低融点物質を一旦融解させる熱処理を加えることにより、水溶性低融点物質が錠剤の内部に網を張る形になり、十分な錠剤強度を確保できるのである。本発明に係る錠剤は、長期間の保存時にも優れた安定性を確保できる。さらに、フィルム層で被覆してフィルム錠としてもよい。
【0015】
本発明に係る具体的な態様を下記に示すが、本発明はこれらに限定される訳ではない。

図1は、腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(1)とH2受容体拮抗剤含有顆粒(2)を混合し、水溶性低融点物質加えて共に低圧で圧縮し熱処理してなる多重単位の錠剤を示す。この錠剤は、フィルム被覆層(4)によって被覆されていてもよい。

図2は、腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(1)、H2受容体拮抗剤含有顆粒(2)及び種々の賦形剤(3)を混合し、水溶性低融点物質加えて共に低圧で圧縮し熱処理してなる多重単位の錠剤を示す。この錠剤は、フィルム被覆層(4)によって被覆されていてもよい。

図3は、2つの分離された層を有し、一方の層は、腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(1)が賦形剤(5)、水溶性低融点物質と混合されていて、他方の層はH2受容体拮抗剤の粉末(6)からなり、低圧で圧縮し熱処理した錠剤を示す。錠剤はフィルム被覆層(4)で被覆されていてもよい。最初に、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒(6)を打錠機の臼に充填し、上杵で軽く圧縮して成型した後に、さらに腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(1)と賦形剤(5)、水溶性低融点物質を臼に充填して、低圧で再度圧縮して成型することにより、積層錠を製造することができる。
【0016】
さらに、本発明は、1)ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒と2)H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒を共に圧縮してなる錠剤に、酸抵抗性層を被覆してなる錠剤である。
【0017】
本発明に係る具体的な態様を下記に示すが、本発明はこれらに限定される訳ではない。

図4は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(7)、H2受容体拮抗剤含有顆粒(8)及び賦形剤(5)を混合し打錠した錠剤に、腸溶性被覆層を被覆した錠剤を示す。錠剤は腸溶性被覆層(9)で被覆され、所望により、錠剤の核と腸溶性被覆層の間に中間層(10)を設けてもよい。

図5は、2つの分離された層を有し、一方の層はベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤(7)と賦形剤(5)を混合されていて、他方の層はH2受容体拮抗剤の粉末(6)からなる、共に圧縮してなる錠剤を示す。錠剤は腸溶性被覆層(9)で被覆されており、所望により、錠剤の核と腸溶性被覆層の間に中間層(10)を設けてもよい。
最初に、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒(6)を打錠機の臼に充填し、上杵で軽く圧縮して成型した後に、さらにベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(7)と賦形剤(5)を臼に充填して、再度圧縮して成型することにより、積層錠とし、次に腸溶性被覆層(9)で被覆を行うことにより製造することができる。

図6は、腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒に適宜賦形剤、水溶性低融点物質を加えて低圧で打錠し熱処理して得られた錠剤(11)を臼に入れ、次にH2受容体拮抗剤含有顆粒(2)に適宜賦形剤、水溶性低融点物質を加えて低圧で打錠し熱処理して得られた有核錠を示す。錠剤はフィルム被覆層(4)で被覆してもよい。
【0018】
本発明に係るベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と、ヒスタミンH2受容体拮抗剤を含有してなる経口医薬組成物であって、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸抵抗性層で保護されていることを特徴とする経口医薬組成物は、以下のように特徴づけられ製造できる。
【0019】
(ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒)
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒は、様々な方法で製造することができる。具体的には、結晶セルロース等の水不溶性シード、又は、種々の糖、糖アルコール、コーンスターチ等の単独若しくは混合物からなる水溶性シードを用いて、コーティング装置により、プロトンポンプ阻害剤で被覆してもよい。プロトンポンプ阻害剤は他の成分と混合して噴霧してもよく、例えば、結合剤、界面活性剤、崩壊剤、アルカリ性添加物等ともに水又は有機溶媒の溶液又は懸濁液として噴霧すること等が挙げられる。結合剤としては、たとえばエチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドンが、界面活性剤は医薬的に許容される非イオンまたはイオン界面活性剤であればよく、たとえばラウリル硫酸ナトリウムである。崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、Ac−di−sol等が挙げられる。また、所望によりアルカリ性添加剤と混合してもよく、例えば、たとえば水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
尚、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤に種々の賦形剤や結合剤、崩壊剤、アルカリ性添加剤を加えて、押出し造粒、転動造粒、流動層造粒によって顆粒を製造し、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒としてもよい。
また、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤に種々の賦形剤や結合剤、崩壊剤、アルカリ性添加剤を加え、水若しくはエタノールに分散させ、噴霧乾燥によっても製造できる。
【0020】
次に、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒に腸溶性被覆層等の酸抵抗性層を被覆する前に、所望によりベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と酸抵抗性層の間に、水溶性、水不溶性、又は水分散性の皮膜からなる、中間層を配することができる。特に、酸抵抗性層が腸溶性被覆層である場合は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸性状態で分解しやすい特性を有するため、酸性基剤である腸溶性基剤との直接接触を避けることが要求される為である。
中間層は、コーティング装置、流動層造粒装置でコーティングを行うことができる。中間層は、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、酸化チタン、タルク等を単独又は適宜組み合わせることにより、使用することができる。
【0021】
(酸抵抗性層を被覆したベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒)
酸抵抗性層として、腸溶性被覆層を被覆する場合は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒又はベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒に中間層を施した顆粒に対して、水または適当な有機溶媒中に分散または溶解させた腸溶性基剤を、コーティング装置や流動層造粒装置を用いて被覆することができる。腸溶性基剤としては、たとえばメタアクリル酸共重合体、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−スフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、シェラックまたは他の適当な腸溶性被覆層ポリマ等を挙げる事ができる。腸溶性被覆層には、可塑剤を添加してもよく、たとえばクエン酸トリエチル、フタル酸エステル、セバチン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベート等が挙げられる。可塑剤の量は、通常腸溶性コーティング基剤の重量に対して通常7〜40%、好ましくは10〜40%である。
酸抵抗性層として、徐放性基剤を被覆する場合は、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒又はベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒に中間層を施した顆粒に対して、水または適当な有機溶媒中に分散または溶解させた徐放性性基剤を、コーティング装置や流動層造粒装置を用いて被覆することができる。徐放性基剤としては、水不溶性高分子、水溶性高分子、滑沢剤等を挙げることができ、これらの単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
水不溶性高分子とは、たとえば、セルロースエーテル類(エチルセルロース、エチルメチルセルロース、エチルプロピルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロース等のセルロースアルキルエーテル類、ベンジルセルロースなどのセルロースアラルキルエーテル類、シアノエチルセルロースなどのセルロースシアノアルキルエーテル類等)、セルロースエステル類(セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース有機酸エステル類)、メタクリル酸・アクリル酸コポリマー(商品名:オイドラギットRS、オイドラギットRL、オイドラギットNE、レームファルマ社製)等が挙げられる。水溶性高分子とは、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0022】
上述の酸抵抗性被覆層は、H2受容体拮抗剤含有顆粒の被覆に用いることもでき、また、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒とH2受容体拮抗剤の粉末若しくはH2受容体拮抗剤含有顆粒を圧縮してなる錠剤の被覆に使用することも可能である。
【0023】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒とH2受容体拮抗剤の組成物からなる錠剤に、さらに水溶性被覆層で被覆してもよい。被覆層は水溶性または水中で即時崩壊性でなければならない。水溶性被覆層は腸溶性被覆層で被覆された顆粒又は錠剤に、コーティング装置を用いて、水又は有機溶媒に溶解又は懸濁させて被覆をさせることにより得られる。たとえば糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。また、可塑剤、着色剤や帯電防止剤、たとえば二酸化チタン、タルクおよび他の添加物を被覆層に含有させることもできる。
【0024】
(H2受容体拮抗剤含有顆粒の調製)
H2受容体拮抗剤は、種々の賦形剤、崩壊剤と混合し、湿式造粒又は乾式造粒により、造粒してよい。得られた顆粒の乾燥減量は、3%未満にすること望ましい。
【0025】
(多重単位錠剤)
腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒は、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒、賦形剤、滑沢剤と混合し打錠する。滑沢剤は、特に限定されないが、たとえばフマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。この混合物を圧縮して多重単位錠剤を製造する。さらにフィルム被覆層で被覆して、H2受容体拮抗剤の光安定性を向上させることができる。尚、フィルム被覆層には、着色剤、滑沢剤等の添加物を加えることができる。
好ましくは、錠剤成分として、水溶性低融点物質を配合するのがのぞましい。即ち、腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒は、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒、賦形剤、滑沢剤、水溶性低融点物質と混合し打錠する。尚、水溶性低融点物質はマクロゴール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステル等のいずれでもよく、1種以上を配合することを特徴とする。打錠に適した滑沢剤は、たとえばステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクである。この混合物を圧縮して得られた錠剤を、水溶性低融点物質の融点以上の温度で熱処理をして、多重単位錠剤を製造する。さらにフィルム被覆層で被覆して、H2受容体拮抗剤の光安定性を向上させることができる。尚、フィルム被覆層には、着色剤、滑沢剤等の添加物を加えることができる。
【0026】
上述した多重単位錠剤を製造する際には、H2受容体拮抗剤含有顆粒に代えて、腸溶性被覆層を施したH2受容体拮抗剤含有顆粒を用いてもよい。H2受容体拮抗剤は、酸性条件下でわずかではあるが、分解する性質を有するからである。
【0027】
また、上述した多重単位錠剤を製造する際には、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒の配合に代えて、腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒にH2受容体拮抗剤の溶液又は懸濁液をコーティングして被覆した顆粒を用いてもよい。
【0028】
(多重顆粒含有カプセル剤)
腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒は、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒と共に、所望により、滑沢剤、賦形剤等と混合して、カプセルに充填してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤とヒスタミンH2受容体拮抗剤の両者を含有してなる安定な経口医薬組成物を提供することが可能である。
とりわけ、酸抵抗性層で被覆されているベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒、水溶性低融点物質を配合し圧縮後に熱処理してなる錠剤にあっては、打錠後に被覆層の酸抵抗性機能が失われることなく、十分な錠剤強度と崩壊特性を有する良好な多重単位錠剤の製剤化が可能である。その効果例を下記に示す。
【0030】
1、本発明に係る錠剤の優れた錠剤強度
実施例1及び2、対照例1及び2で得られた錠剤について硬度計を用いて硬度を測定した。製剤処方を表1及び表2に、その結果を表3に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】


実施例1及び2は、表3に示したように高い硬度を有し、取り扱い上問題のない良好な硬度であった。一方、対照例1及び2は、脆弱すぎて硬度測定は不可能であり、5N以下であった。
本発明に係る酸抵抗性層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒、水溶性低融点物質を配合し圧縮後に熱処理してなる錠剤は、優れた錠剤強度を有することは明らかである。
【0034】
2、本発明に係る錠剤の優れた崩壊特性
実施例1及び2で製造した錠剤について、日本薬局方XIIIの崩壊試験法に従い、0.1M−HClを使用して、崩壊試験を実施し、錠剤の崩壊により錠剤内部から露出した腸溶性顆粒を目視で観察し、腸溶性被覆層(皮膜)の亀裂の有無を確認した。また、崩壊時間の結果を表4に示した。
【0035】
【表4】


実施例1及び2の錠剤が崩壊して放出された酸抵抗性層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒には、腸溶性被覆層(皮膜)の亀裂や損傷は認められなかった。また、崩壊時間も良好であった。
本発明に係る酸抵抗性層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒、H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒、水溶性低融点物質を配合し圧縮後に熱処理してなる錠剤は、打錠後の被覆層の酸抵抗性機能が失われることなく、良好な崩壊特性を有することは、明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるわけではない。
【実施例】
【0037】
実施例1
(i) 腸溶性ラベプラゾールナトリウム含有顆粒の調製
ラベプラゾールナトリウム 150gおよびエチルセルロース 26.5gを、1599gの無水エタノールに溶解した。この溶液をワースター型流動層造粒コーティング機(商品名:マルチプレックス、パウレック)を使用して、核物質であるノンパレル108 500gにコーティングし乾燥させ、ラベプラゾールナトリウム含有顆粒(1)を製造した。
次にエチルセルロース 69.3gおよびヒドロキシプロピルセルロース 424.2gを、8132.7gの無水エタノールに溶解させ、さらにステアリン酸マグネシウム 199.1gを分散させ、上記の400gのラベプラゾールナトリウム含有顆粒(1)にコーティングし、中間層で被覆されたラベプラゾールナトリウム含有顆粒(2)を得た。
さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 453.1gおよびジアセチル化モノグリセリド 45.3gを、8700gの無水エタノール水溶液に溶解させ、さらに酸化チタン、タルク、赤色酸化鉄からなるブレンド色素 66.6gを分散させた後、上記の中間層で被覆されたベプラゾールナトリウム含有顆粒(2)400gにコーティングし、腸溶性被覆層で被覆されたラベプラゾールナトリウム含有顆粒(3)を得た。
(ii) 本発明に係る錠剤の調製
次に、上記の調製した腸溶性ラベプラゾールナトリウム含有顆粒(3)37.3gに、ファモチジン1.25g、マクロゴール6000 20g、乳糖(フローラック)16g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC、グレード:LH−21) 25g、ステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、ポリ袋で混合し、直径13mmの杵臼にて打圧150〜200kgで打錠し、1錠800mg中にラベプラゾールナトリウム10mgとファモチジン10mgを含有する錠剤を得た。この錠剤を70℃の恒温層中で40分間加温した後に、室温で冷却し、本発明に係る錠剤を得た。
【0038】
実施例2
実施例1で得られた腸溶性ラベプラゾールナトリウム含有顆粒(3)37.3gに、ファモチジン1.25g、マクロゴール6000 30g、乳糖(フローラック)16g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC、グレード:LH−21) 25g、ステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、ポリ袋で混合し、直径13mmの杵臼にて打圧150〜200kgで打錠し、1錠800mg中にラベプラゾールナトリウム10mgとファモチジン10mgを含有する一次錠剤を得た。この錠剤を70℃の恒温層中で40分間加温した後に、室温で冷却し、本発明に係る二次錠剤を得た。
【0039】
上記実施例に係る溶出制御製剤の顕著な優れた効果を示す為に、以下に対照例を挙げる。
対照例は、表2に示した処方で、通常の打錠操作により1次錠剤のみを調製し、調製後に加温、冷却操作を施さなかった。即ち、下記の手順にしたがって、調製をおこなった。

対照例1
実施例1で得た腸溶性ラベプラゾールナトリウム含有顆粒(3)37.3gに、ファモチジン1.25g、マクロゴール6000 20g、乳糖(フローラック)16g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC、グレード:LH−21) 25g、ステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、ポリ袋で混合し、直径13mmの杵臼にて打圧150〜200kgで打錠し、1錠800mg中にラベプラゾールナトリウム10mgとファモチジン10mgを含有する錠剤を得た。

対照例2
実施例1で得た腸溶性ラベプラゾールナトリウム含有顆粒(3)37.3gに、ファモチジン1.25g、マクロゴール6000 30g、乳糖(フローラック)16g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC、グレード:LH−21) 25g、ステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、ポリ袋で混合し、直径13mmの杵臼にて打圧150〜200kgで打錠し、1錠800mg中にラベプラゾールナトリウム10mgとファモチジン10mgを含有する錠剤を得た。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(1)がH2受容体拮抗剤含有顆粒(2)と混合された多重単位の錠剤の断面図の例示である。錠剤はフィルム被覆層(4)によって被覆される。
【図2】腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(1)がH2受容体拮抗剤含有顆粒(2)及び賦形剤(3 )と混合された多重単位の錠剤の断面図の例示である。錠剤はフィルム被覆層(4)によって被覆される。
【図3】2つの分離された層を有し、一方の層は、腸溶性被覆層で被覆されたベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒(1)が賦形剤(5)と混合されていて、他方の層は包含されたH2受容体拮抗剤の粉末 (6 )からなる錠剤の断面図の例示である。分離された層は所望により、中間層(10 )によって分離され、錠剤はフィルム被覆層(4)で被覆される。
【図4】ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤(7 )がH2受容体拮抗剤1 種またはそれ以上(8 )および賦形剤(5 )と混合され、腸溶性被覆層で被覆された錠剤の断面図の例示である。錠剤は腸溶性被覆層(9 )で被覆され、所望により、錠剤の核と腸溶性被覆層の間に中間層(10)が設けられる。
【図5】2つの分離された層を有し、一方の層はベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤(7 )が賦形剤(5)と混合されていて、他方の層は包含されたH2受容体拮抗剤の粉末(6)からなる錠剤の断面図の例示である。錠剤は腸溶性被覆層(9 )で被覆され、所望により、錠剤のコアと腸溶性被覆層の間に中間層(10)が設けられる。
【図6】腸溶性被覆層で被覆された酸感受性プロトンポンプ阻害剤(11)の錠剤がH2受容体拮抗剤含有顆粒 (2 )とで有核錠を成す錠剤の断面図の例示である。錠剤はフィルム被覆層(4)で被覆される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と、ヒスタミンH2受容体拮抗剤を含有してなる経口医薬組成物であって、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸抵抗性層で保護されていることを特徴とする経口医薬組成物。
【請求項2】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が、ラベプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール若しくはその光学異性体又はその薬理学的に許容される塩である請求項1記載の経口医薬組成物。
【請求項3】
ヒスタミンH2受容体拮抗剤が、ファモチジン、ラニチジン若しくはシメチジン又はその薬理学的に許容される塩である請求項1又は2記載の経口医薬組成物。
【請求項4】
酸抵抗性層が、腸溶性被覆層又は徐放性被覆層である請求項1〜3のいずれか1項記載の経口医薬組成物。
【請求項5】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤と酸抵抗性層の間に、水溶性、水不溶性、又は水分散性の皮膜からなる中間層を配してなる請求項1〜4のいずれか1項記載の経口医薬組成物。
【請求項6】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤の配合量が5〜80mgであり、H2受容体拮抗剤の配合量が10〜800mgである請求項1〜5のいずれか1項記載の経口医薬組成物。
【請求項7】
経口医薬組成物が、錠剤、口腔内崩壊錠、カプセル剤又は顆粒剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の経口医薬組成物。
【請求項8】
経口医薬組成物が、錠剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の経口医薬組成物。
【請求項9】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤がラベプラゾールであり、ヒスタミンH2受容体拮抗剤がファモチジンである請求項1〜8のいずれか1項記載の経口医薬組成物。
【請求項10】
1)ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒と2)H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒を共に圧縮してなる錠剤であって、ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤が酸抵抗性層で保護されていることを特徴とする経口医薬組成物。
【請求項11】
さらに、少なくとも1種類以上の水溶性低融点物質を、粉末状態で配合、又はH2受容体拮抗剤含有顆粒の中に配合したものである請求項10記載の錠剤。
【請求項12】
50kg〜300kgの低打錠圧で打錠し、熱処理してなる請求項10又は11記載の錠剤。
【請求項13】
熱処理が、水溶性低融点物質の融点以上の温度で加温することを特徴とするものである請求項12記載の錠剤。
【請求項14】
水溶性低融点物質が、40℃〜80℃の融点を有する、マクロゴール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルである請求項11〜13のいずか1項記載の錠剤。
【請求項15】
さらに、フィルム層で被覆してなる請求項10〜14のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項16】
1)ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤含有顆粒と2)H2受容体拮抗剤の粉末又はH2受容体拮抗剤含有顆粒を圧縮してなる錠剤に酸抵抗性層を被覆してなる錠剤。
【請求項17】
ベンズイミダゾール系プロトンポンプ阻害剤がラベプラゾールであり、ヒスタミンH2受容体拮抗剤がファモチジンである請求項10〜16のいずれか1項記載の経口医薬組成物。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−91648(P2007−91648A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284005(P2005−284005)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】