説明

ベンゾシクロアルケン類、その製造法および剤

【課題】メラトニンの作用と関連した疾患の予防・治療剤の提供。
【解決手段】式


〔式中、R、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基等、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基等、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基等、A環は置換されたベンゼン環、XはC2−4アルキレン基等、Yは結合手または低級アルキレン基等を示す〕で表される化合物またはその塩、その製造法および剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたメラトニン受容体親和性を有する新規ベンゾシクロアルケン類、その製造法および剤に関する。
【背景技術】
【0002】
メラトニン(N−アセチル−5−メトキシトリプタミン)は主に脳の松果体で合成、分泌されるホルモンで、暗環境で増加し、明環境で減少する。メラトニンは色素細胞や女性生殖線に抑制的に働き、また光周期情報伝達に関与して生物時計の同調因子として作用している。それゆえメラトニンは、生殖及び内分泌障害、睡眠−覚醒リズム障害、時差ボケ(jet lag)、老化に伴う各種障害等のメラトニン活性と関連した疾患の治療に用いることが考えられている。
また、最近ではメラトニンの生成量が老化とともに減少することが明らかになっており、 メラトニンの生成量を維持することにより、 老化そのものを防止できるとの報告〔非特許文献1参照〕もある。 しかしながら、中枢神経系の作用を期待する場合、メラトニン自体は脳内移行性が良くないため、末梢投与では有効に作用が発現しないこと〔非特許文献2〕、また、生体内の代謝酵素により容易に代謝されること〔非特許文献3〕がそれぞれ報告されている。
【0003】
メラトニン作用物質またはその拮抗物質として、例えばN−〔2−(7−メトキシナフト−1−イル)エチル〕アセトアミドなどを含む、式
【化1】

〔Rは低級アルキル、RはH、低級アルキル等、RはH、ハロゲン化されていてもよい低級アルキル等〕で表されるナフタレン誘導体〔特許文献1、2〕、2位がアシルアミノ基で置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体〔特許文献3、4〕が報告されている。
【0004】
一方、エンド二重結合を持つベンゾシクロアルケン類としては、例えば以下の化合物が知られている。
1)ステロイドの合成中間体として、式
【化2】

で表される化合物〔非特許文献4〕。
2)式
【化3】

〔Rは CH,Cl,NOを示す〕で表される化合物〔非特許文献5〕。該化合物の用途についての記載はない。
3)ドーパミン受容体アンタゴニスト作用を有するテトラサイクリックスピロベンズアゼピンの中間体として、式
【化4】

〔RはH、アルキル基等、RおよびRはH、低級アルコキシ基等、Pは保護基、mは0〜2を示す〕で表される化合物〔特許文献5〕。
4)抗菌、抗炎症作用を有する式
【化5】

〔Rはアリール等、RはH、アリール等、RはH等、Rはアシル等、Rは低級アルキル、RはH等、RはH、低級アルコキシ等を示す〕で表される化合物〔特許文献6〕。
5)血小板活性化因子拮抗作用を有する式
【化6】

〔RはH、低級アルキル、Rは−CH2CONRR等、RはH、低級アルキル、Rは低級アルコキシ等、mは1ないし4、nは1、2又は3を示す〕で表される化合物〔特許文献7〕。
しかしながら、これらの化合物とメラトニン受容体との関係については全く報告されていない。
【特許文献1】特開平7−48331号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第447285号明細書
【特許文献3】特開平3−169840号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第420064号公報
【特許文献5】米国特許第5,158,948号明細書
【特許文献6】米国特許第3,642,785号明細書
【特許文献7】米国特許第4,656,190号明細書
【非特許文献1】アンナールズ オブ ザ ニューヨーク アカデミー オブ サイエンスイズ(Ann.N.Y.Acad.Sci.),719巻,456-460頁(1994)
【非特許文献2】バイオオーガニック アンド メディシナル ケミストリー レターズ (Bioorg. Med. Chem. Lett.),4巻,1485頁(1994年)
【非特許文献3】臨床検査 38巻,11号,1994年
【非特許文献4】テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.), 2085頁(1969)
【非特許文献5】ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティー(J. Chem. Soc.)(C), 3506頁(1971)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メラトニンと構造を異にし、メラトニンレセプターに対する親和性に優れ、脳内移行性、代謝安定性にも優れたメラトニンアゴニストは、治療上メラトニンよりも優れた効果を期待することができる。
現状では、メラトニン受容体活性、代謝安定性、および脳内移行性等の点で十分満足できるものが見いだされていない。そこで、上記の公知化合物とは化学構造が異なり、優れたメラトニン受容体作動活性または拮抗活性を有し、医薬品として十分満足できる化合物の開発が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、式
【化7】

(式中、mは0〜2の整数を、A環は下記と同意義を示す)のベンゾシクロアルケンのベンゼン環と共役したエンド二重結合部分にカルボニルアミノC2−4アルキルを有することに化学構造上の特徴を有する、式
【化8】

〔式中、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基、
は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、
は置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基または置換基を有する水酸基、
は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基、
A環は置換されたベンゼン環、
Xは置換基を有していてもよいC2−4アルキレン基、
Yは結合手または置換基を有していてもよい低級アルキレン基を示す〕で表される化合物(I)またはその塩〔以下、化合物(I)と略記することもある〕の創製に初めて成功し、さらにこの化合物(I)を含む式
【化9】

〔式中、……… は単結合または二重結合、
1aは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基、
環は置換基を有していてもよいベンゼン環、
は置換基を有していてもよい低級アルキレン基、
他の記号は前記と同意義を示す〕で表される化合物またはその塩〔以下、化合物(I)と略記することもある〕がメラトニン受容体に対する親和性、安定性などメラトニンアゴニストとしての優れた性質を有しており、医薬として十分満足できるものであることを見出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)化合物(I)、
(2)Rが(i)水素原子または(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
が(i)水素原子、(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、または(iii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C2−6アルキニル基、C2−6アルケニル基、C7−11アラルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルコキシ基、C6−10アリールオキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基、C6−10アリール−カルボニルオキシ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノC1−4アルキル基、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、3ないし6員環状アミノ基、C1−3アルキレンジオキシ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、スルファモイル基、モノ−C1−6アルキルスルファモイル基、ジ−C1−6アルキルスルファモイル基、C1−6アルキルチオ基、C6−10アリールチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C6−10アリールスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基またはC6−10アリールスルホニル基で1ないし5個置換されていてもよい、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし10員の複素環基、
が(i)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を1または2個有していてもよいアミノ基、または(iii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を有する水酸基、
が(i)水素原子または(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
A環が(i)ハロゲン原子、
(ii)ヒドロキシル基、
(iii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
(iv)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を1または2個有していてもよいアミノ基、
(v)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を有していてもよいメルカプト基、
(vi)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を有する水酸基、
(vii)C1−6アシルアミノ基、および
(viii)C1−3アルキレンジオキシ基から選ばれる置換基1ないし3個で置換されたベンゼン環、
Xが(i)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、(ii)ハロゲン原子、(iii)ニトロ基、(iv)シアノ基、(v)ヒドロキシル基、(vi)C1−6アルコキシ基、(vii)アミノ基、(viii)モノ−C1−6アルキルアミノ基、(ix)ジ−C1−6アルキルアミノ基、(x)C1−6アルキル−カルボニル基または(xi)C6−10アリールオキシ基で1ないし3個されていてもよい直鎖状C2−4アルキレン基、および
Yが結合手または(i)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、(ii)ハロゲン原子、(iii)ニトロ基、(iv)シアノ基、(v)ヒドロキシル基、(vi)C1−6アルコキシ基、(vii)アミノ基、(viii)モノ−C1−6アルキルアミノ基、(ix)ジ−C1−6アルキルアミノ基、(x)C1−6アルキル−カルボニル基または(xi)C6−10アリールオキシ基で1ないし3個されていてもよい直鎖状C1−3アルキレン基である前記(1)記載の化合物、
【0008】
(3)Rが水素原子またはC1−6アルキル基である前記(2)記載の化合物、
(4)Rが(i)水素原子、(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよいC6−14アリール基、または(iii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C2−6アルキニル基、C2−6アルケニル基、C7−11アラルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルコキシ基、C6−10アリールオキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基、C6−10アリール−カルボニルオキシ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノC1−4アルキル基、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、3ないし6員環状アミノ基、C1−3アルキレンジオキシ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、スルファモイル基、モノ−C1−6アルキルスルファモイル基、ジ−C1−6アルキルスルファモイル基、C1−6アルキルチオ基、C6−10アリールチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C6−10アリールスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基またはC6−10アリールスルホニル基で1ないし3個置換されていてもよい5または6員芳香族複素環基である前記(2)記載の化合物、
(5)Rがハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよいC1−6アルキル基である前記(2)記載の化合物、
(6)Rが水素原子またはC1−6アルキル基である前記(2)記載の化合物、
(7)A環がハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環である前記(2)記載の化合物、
(8)A環が
【化10】

〔式中、RはC1−6アルコキシ基を示す〕である前記(2)記載の化合物、
(9)Xがエチレン基である前記(2)記載の化合物、
(10)Yが結合手またはメチレン基である前記(2)記載の化合物、
【0009】
(11)Rが水素原子、Rが(i)水素原子または(ii)ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基またはC6−10アリール基で1ないし3個置換されていてもよい(a)C6−14アリール基または(b)5または6員芳香族複素環基、Rが1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、Rが水素原子、A環がハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環、Xがエチレン基、およびYが結合手またはメチレン基である前記(1)記載の化合物、
(12)Rが水素原子、Rが水素原子、C6−10アリール基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基、Rが1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、Rが水素原子、A環がハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環、XがC2−4アルキレン基、およびYが結合手またはメチレン基である前記(1)記載の化合物、
(13)2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(5−メトキシ−2−フェニル−1H−インデン−3−イル)エチル〕アセトアミド、N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕プロピオンアミドまたはN−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕ブチルアミドである前記(1)記載の化合物、
(14)式(i)
【化11】

〔式中、X’は前記(1)記載のXで示される基から水素原子をひとつ取り除いた3価の基を、その他の記号は前記と同意義を示す〕または
(ii)
【化12】

〔式中、各記号は前記と同意義を示す〕で表される化合物またはその塩とカルボン酸、その塩またはその反応性誘導体、あるいはイソシアナート類とを反応させることを特徴とする前記(1)記載の化合物の製造法、
(15)前記(1)記載の化合物を含有してなる医薬組成物、
(16)メラトニン受容体親和性組成物である前記(15)記載の組成物、
(17)生体リズム調節剤である前記(16)記載の組成物、
(18)睡眠覚醒リズム調節剤である前記(16)記載の組成物、
(19)時差ボケ調節剤である前記(11)記載の組成物、
(20)睡眠障害治療剤である前記(15)記載の組成物、
(21)化合物(I)を含有してなるメラトニン受容体親和性組成物、および
(22)メラトニン受容体作動組成物である前記(21)記載の組成物などに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化合物(I)またはその塩および化合物(I)またはその塩は、メラトニン受容体に対する優れた親和性を示すので、生体内におけるメラトニンの作用と関連した疾患の臨床上有用な予防・治療剤を提供することができる。また、本発明の化合物(I)またはその塩および化合物(I)またはその塩は体内動態にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記式中、R、R、R、RまたはR1aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基などがあげられ、炭素数1ないし16個のものが好ましい。具体的には、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基およびアリール基などが用いられる。
該「アルキル基」としては、例えば低級アルキル基などが好ましく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1−6アルキル基などが汎用される。
該「アルケニル基」としては、例えば低級アルケニル基などが好ましく、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルなどのC2−6アルケニル基などが汎用される。
該「アルキニル基」としては、例えば低級アルキニル基などが好ましく、例えばエチニル、1−プロピニル、プロパルギルなどのC2−6アルキニル基などが汎用される。
該「シクロアルキル基」としては、例えば低級シクロアルキル基などが好ましく、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−6シクロアルキル基などが汎用される。
該「アリール基」としては、例えばフェニル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−インデニル、2−アンスリルなどのC6−14アリール基などが用いられ、好ましくはフェニル基などが汎用される。
なお、R1aが二重結合を介して環に結合している場合には、R1aは前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」から水素原子をひとつ取り除いた2価の基を示す。
【0012】
、R、R、RまたはR1aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどのC1−6アルコキシ基など)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1−6アルキル基など)、アミノ基、モノ−低級アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノなどのモノ−C1−6アルキルアミノ基など)、ジ−低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノなどのジ−C1−6アルキルアミノ基など)、カルボキシル基、低級アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニルなどのC1−6アルキル−カルボニル基など)、低級アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなどのC1−6アルコキシ−カルボニル基など)、カルバモイル基、モノ−低級アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイルなどのモノ−C1−6アルキルカルバモイル基など)、ジ−低級アルキルカルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイルなどのジ−C1−6アルキルカルバモイル基など)、モノ−アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル、ナフチルカルバモイルなどのモノ−C6−10アリールカルバモイル基)、ジ−アリールカルバモイル基(例えば、ジフェニルカルバモイルなどのジ−C6−10アリールカルバモイル基)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシなどのC6−10アリールオキシ基)などが用いられる。
該「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」は、前記の置換基を、炭化水素基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0013】
で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例えば炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれた1種または2種、好ましくは、1個ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし10員の(単環式または2環式)複素環基などがあげられる。例えば2−または3−チエニル、2−または3−フリル、1−,2−または3−ピロリル、1−,2−または3−ピロリジニル、2−,4−または5−オキサゾリル、2−,4−または5−チアゾリル、3−,4−または5−ピラゾリル、2−,4−または5−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5員複素環基、例えば2−,3−または4−ピリジル、2−,4−または5−ピリミジニル、チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピラニル、チオピラニル、1,4−オキサジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアジニル、ピペラジニル、トリアジニル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む6員複素環基、例えばインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、インドリジニル、キノリジニル、1,8−ナフチリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナントリジニル、クロマニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む2環性または3環性縮合環基(好ましくは、上述の5ないし6員環基が、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含んでいてもよい5ないし6員環1ないし2個と縮合して形成される基)等が用いられる。このうち好ましくは、ベンゼン環と縮合していてもよい5または6員芳香族複素環基(例えば、2−,3−または4−ピリジル、2−または3−チエニル、1−,2−または3−インドリル、2−,3−,4−,5−または8−キノリルなど)などがあげられる。
【0014】
で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」が有していてもよい置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどのC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基など)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル等のC2−6アルキニル基など)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルなどのC2−6アルケニル基など)、アラルキル基(例えばベンジル、α-メチルベンジル、フェネチル等のC7−11アラルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基等、好ましくはフェニル基)、低級アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等のC1−6アルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等のC6−10アリールオキシ基など)、低級アルカノイル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1−6アルキル−カルボニル基など)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル等のC6−10アリール−カルボニル基)、低級アルカノイルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ等のC1−6アルキル−カルボニルオキシ基など)、アリール−カルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等のC6−10アリール−カルボニルオキシ基など)、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシ−カルボニル基など)、カルバモイル基、モノ−,ジ−またはトリ−ハロゲノ−低級アルキル基(例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル等のモノ−,ジ−またはトリ−ハロゲノ−C1−4アルキル基など)、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アミノ基、モノ−低級アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ等のモノ−C1−6アルキルアミノ基など)、ジ−低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ等のジ−C1−6アルキルアミノ基など)、炭素原子と1個の窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい3ないし6員の環状アミノ基(例えば、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリル、ビラゾリル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、ジヒドロピリジル、ピリジル、N−メチルピペラジニル、N−エチルピペラジニル等の3ないし6員の環状アミノ基など)、アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1−3アルキレンジオキシ基など)、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、スルファモイル基、モノアルキルスルファモイル基(例えば、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N−プロピルスルファモイル、N−イソプロピルスルファモイル、N−ブチルスルファモイル等のモノ−C1−6アルキルスルファモイル基など)、ジアルキルスルファモイル基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジブチルスルファモイル等のジ−C1−6アルキルスルファモイル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ等のC1−6アルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等のC6−10アリールチオ基など)、低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル等のC1−6アルキルスルフィニル基など)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6−10アリールスルフィニル基など)、低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル等のC1−6アルキルスルホニル基など)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6−10スルホニル基など)などが用いられる。好ましくは、C6−10アリール基、C7−11アラルキル基である。
該「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」は、前記の置換基を、複素環基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0015】
で示される「置換基を有していてもよいアミノ基」としては、例えば前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」などを置換基として1または2個有していてもよいアミノ基などがあげられる。該「アミノ基」が有していてもよい置換基の好ましいものとしては、例えば低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピルなどのC1−6アルキル基等)、低級アルケニル基(例、2−プロペニル、2−ブテニルなどのC2−6アルケニル基等)、低級アルキニル基(例、エチニル、プロパルギルなどのC2−6アルキニル基等)、低級シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−6シクロアルキル基等)などがあげられる。該低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級シクロアルキル基は前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様のもので1ないし5個、好ましくは1ないし3個置換されていてもよい。
で示される「置換基を有する水酸基」としては、水酸基の水素原子の代わりに例えば前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」などを1個有する水酸基があげられる。このうち、例えば置換基を有していてもよい低級アルキル基などを1個有する水酸基などが好ましい。該「低級アルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなどのC1−6アルキル基などが用いられ、「低級アルキル基」が有していてもよい置換基としては、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様のものが同様の個数用いられる。
【0016】
A環で示される「置換されたベンゼン環」が有する置換基およびA環で示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」が有していてもよい置換基としては、それぞれ例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいメルカプト基、置換基を有する水酸基(好ましくは、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基等)、アミド基(例えば、ホルムアミド、C1−6アルキル−カルボニルアミノ基(例、アセトアミドなど)、好ましくはC1−6アルキル−カルボニルアミノ基など)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなどのC1−3アルキレンジオキシ基など)などがあげられる。置換基が低級アルキレンジオキシ基である場合は、隣接する2個の炭素原子とともに環を形成することが望ましい。
該「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、例えば前記のR、R、R、RまたはR1aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同様のものなどが用いられる。
該「置換基を有していてもよいアミノ基」としては、例えば前記のRで示される「置換基を有していてもよいアミノ基」と同様のものなどが用いられる。
該「置換基を有していてもよいメルカプト基」としては、メルカプト基の水素原子の代わりに例えば前記のR、R、R、RまたはR1aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」などを1個有していてもよいメルカプト基が用いられる。該「置換基を有していてもよいメルカプト基」が有していてもよい置換基の好ましいものとしては、例えばアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1−6アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−インデニル、2−アンスリルなどのC6−14アリール基など)、複素環基等があげられ、このうち好ましくはC1−6アルキル基である。該「複素環基」としては、例えば前記のRで示される「複素環基」と同様のものが用いられる。
該「置換基を有する水酸基」としては、例えば前記のRで示される「置換基を有する水酸基」と同様のものなどが用いられる。
該「置換基を有していてもよい低級アルコキシ基」の「低級アルコキシ基」としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどのC1−6アルコキシ基などが用いられる。該「低級アルコキシ基」が有していてもよい置換基としては、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様のもの、好ましくはアリール基等が同様の個数用いられる。
【0017】
前記「置換されたベンゼン環」は、例えば前記の置換基等をベンゼン環の置換可能な位置に1ないし3個有し、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
前記「置換基を有していてもよいベンゼン環」は、例えば前記の置換基等をベンゼン環の置換可能な位置に1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
前記「置換されたベンゼン環」および「置換基を有していてもよいベンゼン環」としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチルなど)およびC1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなど)から選ばれた1ないし3個の置換基等で置換されたベンゼン環が好ましい。中でも1〜2個のハロゲン原子またはC1−6アルコキシ基、特に、1個の例えばC1−3アルコキシ基(例えば、メトキシなど)で置換されたベンゼン環が好ましい。
【0018】
Xで示される「置換基を有していてもよいC2−4アルキレン基」の「C2−4アルキレン基」とは、炭素数2ないし4のアルカンから水素原子を2個除いた2価の基を示す。該「C2−4アルキレン基」としては、例えば、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレンなどがあげられる。好ましくは直鎖状C2−4アルキレン基である。さらに好ましくはエチレン基である。
Xで示される「置換基を有していてもよいC2−4アルキレン基」の「C2−4アルキレン基」が有していてもよい置換基としては、例えば置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどのC1−6アルコキシ基など)、アミノ基、モノ−低級アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノなどのモノ−C1−6アルキルアミノ基など)、ジ−低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのジ−C1−6アルキルアミノ基など)、低級アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニルなどのC1−6アルキル−カルボニル基など)、C6−10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシなど)などがあげられる。好ましくは置換基を有していてもよい炭化水素基などである。
上記の「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、前記のR、R、R、RまたはR1aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同様のものなどが用いられる。
該「置換基を有していてもよいC2−4アルキレン基」の「C2−4アルキレン基」は、例えば前記の置換基を、C2−4アルキレン基の置換可能な位置に1ないし3個、好ましくは1ないし2個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0019】
YまたはXで示される「置換基を有していてもよい低級アルキレン基」の「低級アルキレン基」としては、例えば炭素数1ないし6のアルカンから水素原子を2個除いた2価の基等を示す。該「低級アルキレン基」としては、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレンなどのC1−6アルキレン基などがあげられる。好ましくは直鎖状C1−3アルキレン基である。
YまたはXで示される「置換基を有していてもよい低級アルキレン基」の「低級アルキレン基」が有していてもよい置換基としては、例えば前記「C2−4アルキレン基」が有していてもよい置換基と同様のものが同様の個数用いられる。
で示される「C1−6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどがあげられる。好ましくはメトキシ基である。
【0020】
前記の式中、
またはR1aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」の好ましいものとしては、例えばアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1−6アルキル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリルなどのC2−6アルケニル基など)、アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギルなどのC2−6アルキニル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−6シクロアルキル基など)などである。このうち、低級アルキル基(例えば、メチルなどのC1−6アルキル基など)、低級シクロアルキル基(例えば、シクロプロピルなどのC3−6シクロプロピルなど)などがさらに好ましい。該「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルキニル基」、「シクロアルキル基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基(好ましくは、ハロゲン原子など)などを1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよい。
またはR1aは水素原子、低級アルキル基などが好ましい。特に好ましくは水素原子である。
【0021】
で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」の好ましいものとしては、例えばアリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−インデニル、2−アンスリルなどのC6−14アリール基など)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1−6アルキル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリルなどのC2−6アルケニル基など)、アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギルなどのC2−6アルキニル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−6シクロアルキル基など)などである。このうち、C6−14アリール基、低級アルキル基(例えば、メチルなどのC1−6アルキル基など)、低級シクロアルキル基(例えば、シクロプロピルなどのC3−6シクロプロピルなど)などが好ましく、C6−14アリール基がさらに好ましい。該「アリール基」、「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルキニル基」、「シクロアルキル基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基(好ましくは、ハロゲン原子など)などを1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよい。
【0022】
で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」の好ましいものとしては、例えば2−,3−または4−ピリジル、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、2−,4−または5−イミダゾリル、2−または3−インドリルなどのベンゼン環と縮合していてもよい5または6員芳香族複素環基(好ましくは単環性複素環基)などである。これらの複素環基は、例えば前記「複素環基」が有していてもよい置換基(好ましくは、ハロゲン原子など)などを1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよい。
は、i)水素原子、ii)ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基またはC6−10アリール基で1ないし5個それぞれ置換されていてもよいアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−インデニル、2−アンスリルなどのC6−14アリール基)または5〜6員芳香族複素環基(例えば2−,3−または4−ピリジル、2−,4−または5−イミダゾリル、2−または3−チエニルなど)または iii)低級アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのC1−6アルキル基など)などが好ましい。さらに好ましくは水素またはフェニル基などである。特に好ましくはフェニル基である。
【0023】
で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」の好ましいものとしては、例えばアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1−6アルキル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリルなどのC2−6アルケニル基など)、アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギルなどのC2−6アルキニル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−6シクロアルキル基など)などである。このうち、低級アルキル基(例えば、メチルなどのC1−6アルキル基など)、低級シクロアルキル基(例えば、シクロプロピルなどのC3−6シクロアルキル基など)などがさらに好ましい。該「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルキニル基」、「シクロアルキル基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基(好ましくは、ハロゲン原子など)などを1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよい。
で示される「置換基を有していてもよいアミノ基」の置換基の好ましいものとしては、例えば i)置換基を有していてもよい低級アルキル基および ii)置換基を有していてもよいアリール基などが1または2個用いられる。該「低級アルキル基」は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどのC1−6アルキル基などが用いられる。該「低級アルキル基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基などを1ないし3個有していてもよい。該「アリール基」は、例えばフェニル基などのC6−10アリール基などが用いられる。該「アリール基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基(好ましくは、フッ素、塩素などのハロゲン原子、メトキシ、エトキシなどのC1−6アルコキシ基など)を1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよい。Rで示される「置換基を有していてもよいアミノ基」としては、例えば1ないし3個の低級アルコキシ基(例えば、メトキシなど)で置換されたフェニルアミノ基などが汎用される。
【0024】
で示される「置換基を有する水酸基」の置換基の好ましいものとしては、例えば置換基を有していてもよい低級アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどのC1−6アルキル基など)などが用いられる。該「低級アルキル基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基などを1ないし3個有していてもよい。Rで示される「置換基を有する水酸基」の好ましいものとしては、例えば1ないし3個の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのC1−6アルコキシ基など)などが汎用される。該「低級アルコキシ基」の置換基としては、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基などが用いられる。
【0025】
は置換基を有していてもよい炭化水素基が好ましい。このうち、i)置換基を有していてもよい低級アルキル基および ii)置換基を有していてもよい低級シクロアルキル基などが好ましく、置換基を有していてもよい低級アルキル基がさらに好ましい。「低級アルキル基」は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1−6アルキル基などが好ましい。「低級シクロアルキル基」は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−6シクロアルキル基などが好ましい。該「低級アルキル基」および「低級シクロアルキル基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基などを1ないし3個有していてもよい。Rの好ましい例としては、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルなど)またはC3−6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)などがあげられる。特に好ましくはハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基である。
【0026】
は水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどのC1−6アルキル基など)などが好ましい。該「低級アルキル基」は、例えば前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基(好ましくはハロゲン原子など)などを1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよい。Rは、さらに好ましくは、水素原子またはC1−4アルキル基(例えば、メチルなど)などであり、特に水素原子が好ましい。
【0027】
A環およびA環は、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシなどのC1−6アルコキシ基など)およびハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環が好ましい。このうち、
【化13】

〔式中、RはC1−6アルコキシ基を示す〕などのときがさらに好ましい。Rは好ましくはメトキシ基である。
【0028】
Xは、例えば置換基を有していてもよい炭化水素基を1ないし2個有していてもよいC2−4アルキレン基(例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレンなど)などが好ましい。さらに好ましくは、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどのC1−6アルキル基など)を1ないし2個有していてもよい直鎖状C2−3アルキレン基である。Xはさらに好ましくは、メチル基で1ないし2個置換されていてもよいエチレン基である。Xは特に好ましくはエチレン基である。
【0029】
は、例えば置換基を有していてもよい炭化水素基を1ないし2個有していてもよい低級アルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレンなどのC1−6アルキレン基など)などが好ましい。さらに好ましくは、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどのC1−6アルキル基など)を1ないし2個有していてもよい直鎖状C2−3アルキレン基(例えば、エチレン、トリメチレン)である。Xはさらに好ましくは、メチル基で1ないし2個置換されていてもよいエチレン基である。Xは特に好ましくはエチレン基である。
【0030】
Yは、例えば i)結合手または ii)ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を1ないし2個有していてもよいメチレン基などが好ましい。Yはさらに好ましくは、結合手またはメチレン基である。特に好ましくは結合手である。
……… は単結合が好ましい。
【0031】
本発明の化合物(I)またはその塩として、例えば
が水素、
が i)水素または ii)1ないし5個、好ましくは1ないし3個の置換基(例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、C6−10アリール基)をそれぞれ有していてもよいアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−インデニル、2−アンスリルなどのC6−14アリール基)または5〜6員芳香族複素環基(例えば2−,3−または4−ピリジル、2−,4−または5−イミダゾリル、2−または3−チエニル)、
がハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルなど)またはC3−6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、
が水素、
A環が低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシなどのC1−6アルコキシ基など)またはハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)で置換されたベンゼン環、
XがC2−4アルキレン基(例えば、エチレン、トリメチレン、プロピレンなど、好ましくはエチレン)、
Yが結合手またはハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有していてもよいメチレン基(好ましくは結合手またはメチレン基)である化合物が好ましい。
また、Rが水素原子、Rが水素原子、C6−10アリール基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えばベンジル、フェネチルなど)、Rが1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、Rが水素原子、A環がハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環、XがC2−4アルキレン基、およびYが結合手またはメチレン基の化合物も好ましい。
【0032】
さらに好ましくは、例えば
が水素、
が水素またはフェニル基、
がハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピルなど)、
が水素、
A環が
【化14】

Xがエチレン基、
Yが結合手である化合物である。
【0033】
化合物(I)またはその塩として、例えば
1aが水素、
が i)水素または ii)1ないし5個の置換基をそれぞれ有していてもよいアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−インデニル、2−アンスリルなどのC6−14アリール基)または5〜6員芳香族複素環基、
がハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルなど)またはC3−6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、
が水素、
環が低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシなどのC1−6アルコキシ基など)またはハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)で置換されたベンゼン環、
がC2−4アルキレン基(例えば、エチレン、トリメチレン、プロピレンなど)、
Yが結合手またはハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有していてもよいメチレン基、
……… が単結合である化合物が好ましい。
【0034】
さらに好ましくは、例えば
1aが水素、
が水素またはフェニル基、
がハロゲン化されていてもよいC1−3アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピルなど)、
が水素、
環が
【化15】

がエチレン基、
Yが結合手、
……… が単結合である化合物である。
【0035】
本発明の化合物(I)または化合物(I)の具体例として、例えば、2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(5−メトキシ−2−フェニル−1H−インデン−3−イル)エチル〕アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)エチル〕アセトアミド、N−〔2−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)エチル〕アセトアミド、N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕プロピオンアミド、N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕ブチルアミドなどがあげられる。
中でも、好ましくは2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(5−メトキシ−2−フェニル−1H−インデン−3−イル)エチル〕アセトアミド、N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕プロピオンアミド、N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕ブチルアミドなどである。
【0036】
本発明の化合物(I)または化合物(I)の塩としては、合成中間体として用いられる塩の他、薬学的に許容可能な塩などが用いられる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩があげられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩があげられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
中でも薬学的に許容可能な塩が好ましく、その例としては、化合物(I)内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など無機酸との塩、例えば酢酸、フタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との塩があげられ、酸性官能基を有する場合には、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などがあげられる。
【0037】
本発明の化合物(I)またはその塩(以下、単に化合物(I)と略称する)、化合物(I)またはその塩(以下、単に化合物(I)と略称する)の製造法について以下に述べる。
本発明の化合物(I)は、例えば以下の反応式で示される方法またはこれに準じた方法等により得られる。また化合物(I)は、例えば以下の反応式で示される方法、これに準じた方法または前記の文献 テトラヘドロン レターズ,2085頁(1969)、ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティー(C), 3506頁(1971)、USP 5,158,948、USP 3,642,785、USP 4,656,190等に記載の方法により得られる。
以下にその反応式の略図を示すが、略図中の化合物の各記号は前記と同意義を示す。
【0038】
反応式−1
【化16】

【0039】
反応式−2
【化17】

【0040】
式中の化合物(II)〜(XII)は、塩を形成している場合も含み、この様な塩としては、例えば化合物(I)の塩と同様のものなどが用いられる。
化合物(II)〔式中、Lはハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を示す〕は自体公知の方法、例えばジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J. Org. Chem.), 54巻, 491頁 (1989)、57巻, 3772頁 (1992)、ブレタン オブ ザ ケミカル ソサイエティー オブ ジャパン(Bull. Chem. Soc. Jpn.),55巻, 918頁 (1982)などに記載の方法またはこれらに準じた方法に従って製造することができる。
Lで示されるハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。Lで示されるアルキルスルホニル基としては、例えばC1−5アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニルなど)などが挙げられる。Lで示されるアルキルスルホニルオキシ基としては、例えばハロゲン化されていてもよいC1−5アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、トリクロロメタンスルホニルオキシなど)などが挙げられる。Lで示されるアリールスルホニルオキシ基としては、例えば置換されていてもよいベンゼンスルホニルオキシ基(例えばp-トルエンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシなど)などが挙げられる。
【0041】
化合物(V)は自体公知の方法、例えばジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J. Org. Chem.), 55巻,1874頁(1990)、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.), 105巻, 3992頁(1983)、ジャーナル オブ ケミカル ソサエティ パーキン トランザケーション I (J. Chem. Soc., Perkin. Trans. I), 3399頁(1988)、リービッヒ アンナーレン ケミー(Liebigs. Ann. Chem.), 263頁(1987)、 オーガノメタリックス(Organometallics), 10巻,508頁(1991)、 ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.), 8巻,53頁(1965)、 USP 5,059,609などに記載の方法またはそれに準じた方法によっても製造することができる。
また、式中の化合物が市販されている場合には市販品をそのまま用いることもできる。
【0042】
化合物(III)〔式中、Rは炭化水素基を示す〕は、化合物(II)と式 RCH2COOR 〔式中、RおよびRは前記と同意義を示す〕で表されるエステル誘導体とを、塩基の存在下で反応させることにより製造される。Rで示される「炭化水素基」としては、例えば前記の「炭化水素基」等があげられ、そのうち低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピルなどのC1−6アルキルなど)や置換基を有していてもよいベンジル基等が好ましい。該「置換基を有していてもよいベンジル基」は、ベンジル基の置換可能な位置に1ないし3個の、例えばハロゲン原子、C1−3アルキル等の置換基を有していてもよく、具体例としては、例えばベンジル、p-クロロベンジル、p-メチルベンジルなどが挙げられる。
化合物(II)1モルに対し該エステル誘導体を約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いる。塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類、ピリジン、ルチジンなどの芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第三ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられる。これら塩基の使用量は、化合物(II)1モルに対し約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いる。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜48時間、好ましくは30分〜5時間である。反応温度は通常−20〜200℃、好ましくは−10〜150℃である。生成物(III)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0043】
化合物(IV)は、酸あるいは塩基を用いて化合物(III)のエステル基を加水分解することにより製造される。酸加水分解には、 一般に塩酸、 硫酸などの鉱酸類や三塩化ホウ素、三臭化ホウ素などのルイス酸類、ルイス酸とチオールまたはスルフィドの併用、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸類が用いられる。アルカリ加水分解には、 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、 水酸化バリウムなどの金属水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第三ブトキシドなどの金属アルコキシド類、 トリエチルアミン、イミダゾール、ホルムアミジンなどの有機塩基類などが用いられる。これら酸および塩基は、化合物(III)1モルに対して約0.5〜10モル、好ましくは約0.5〜3.0モル用いる。本反応は無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、ヘキサンなどの飽和炭化水素類、ギ酸、酢酸などの有機酸類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、水などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常10分〜60時間、好ましくは10分〜12時間である。反応温度は通常−10〜200℃、好ましくは0〜120℃である。生成物(IV)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0044】
化合物(V)は、化合物(IV)を自体公知の閉環反応に付して製造される。 該環化反応としては、例えば、加熱による方法、酸性物質を用いる方法、ハロゲン化剤と反応させた後、ルイス酸存在下で環化させる方法、およびこれらに準じる方法などが用いられる。
加熱により閉環する場合は無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えば1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどの高沸点炭化水素類、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの高沸点エーテル類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常10分〜24時間、好ましくは10分〜10時間である。反応温度は通常100〜300℃、好ましくは100〜200℃である。
酸性物質を用いて閉環する場合、例えばオキシ塩化リン、五塩化リン、三塩化リン、チオニルクロリド、塩酸、硫酸、ポリリン酸などの酸性物質が用いられる。化合物(IV)1モルに対して酸性物質を約0.5〜100モル、好ましくは約5.0〜20モル用いる。本反応は無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、ヘキサンなどの飽和炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、無水酢酸などの酸無水物類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜12時間、好ましくは30分〜6時間である。反応温度は通常0〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0045】
ハロゲン化剤と反応させた後、ルイス酸存在下で閉環する場合、ハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、臭化チオニルなどのハロゲン化チオニル類、塩化ホスホリル、臭化ホスホリルなどのハロゲン化ホスホリル類、五塩化リン、三塩化リン、五臭化リン、三臭化リンなどのハロゲン化リン類、オキサリルクロリドなどのオキサリルハライド類、ホスゲンなどが挙げられる。化合物(IV)1モルに対してハロゲン化剤を約1.0〜30モル、好ましくは約1.0〜10モル用いる。本反応は無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、ヘキサンなどの飽和炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常10分〜12時間、好ましくは10分〜5時間である。反応温度は通常−10〜200℃、好ましくは−10〜120℃である。生成物は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留などの分離手段により容易に精製され、次にルイス酸と共に処理される。ルイス酸としては、例えば無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、無水塩化鉄などが挙げられる。化合物(IV)1モルに対してルイス酸を約0.1〜20モル、好ましくは約0.2〜5.0モル用いる。本反応は無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、モノクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜12時間、好ましくは30分〜6時間である。反応温度は通常−10〜200℃、好ましくは−10〜120℃である。前記の環化反応により得られた生成物(V)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0046】
化合物(VII)は、アセトニトリルを塩基処理して生成するカルボアニオンと化合物(V)とを反応させて化合物(VI)を得、次いで脱水反応に付すことによって製造される。化合物(VII)はE体あるいはZ体の配置異性体単独またはEおよびZ体の混合物として得られる。化合物(V)1モルに対しアセトニトリルを約1.0〜3.0モル、好ましくは約1.0〜1.3モル用いる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第三ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられ、これら塩基の使用量は化合物(V)1モルに対し約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜1.5モルである。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜48時間、好ましくは30分〜5時間である。反応温度は通常−78〜100℃、好ましくは−78〜50℃である。生成物は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0047】
脱水反応に用いられる触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硫酸水素カリウム、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、三フッ化ホウ素エーテル錯体などの酸性触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性触媒などが挙げられるが、さらに例えばN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水剤、アルミナ、二酸化ナトリウム、オキシ塩化リン、塩化チオニル、メタンスルホニルクロリドなどを用いてもよい。本反応は無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜24時間、好ましくは30分〜5時間である。反応温度は通常0〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
【0048】
また、化合物(VII)はアルキルホスホン酸ジエステルの塩基処理により生成するホスホナートカルボアニオンと化合物(V)とを反応させて、E体あるいはZ体の配置異性体単独またはEおよびZ異性体の混合物としても得られる。アルキルホスホン酸ジエステルとしては、例えばジエチルシアノメチルホスホナートなどが用いられる。化合物(V)1モルに対しアルキルホスホン酸ジエステルを約1.0〜3.0モル、好ましくは約1.0〜1.5モル用いる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第三ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられる。これら塩基の使用量は化合物(V)1モルに対し約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜1.5モルである。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常1時間〜50時間、好ましくは1時間〜10時間である。反応温度は通常−78〜200℃、好ましくは0〜150℃である。化合物(VII)の異性体混合物は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0049】
化合物(VII)の側鎖の炭素鎖を延長する場合、公知の炭素鎖延長反応に準じて行えばよく、例えばシアノ基をアルカリ性または酸性条件下で加水分解して、カルボキシル基とした後、あるいは該カルボキシル基をエステル体に導いた後、還元反応に付してアルコール体とし、次いでハロゲン化、シアノ化を経る反応などが採用される。
【0050】
化合物(VIII)は、化合物(VII)を還元反応に付すことにより製造される。
式中、X’は前記Xで示される基から水素原子をひとつ取り除いた3価の基を示す。使用される還元剤としては、例えば水素化アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどの金属水素化物類、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素錯化合物類、または水素添加触媒として例えばラネーニッケル、ラネーコバルト等の触媒等が用いられる。還元剤の使用量は、例えば金属水素化物の場合、化合物(VII)1モルに対して約1.0〜10モル、好ましくは約1.0〜3.0モル、金属水素錯化合物の場合、化合物(VII)1モルに対して約1.0〜10モル、好ましくは約1.0〜3.0モル、水素添加の場合、ラネーニッケル、ラネーコバルト等の触媒を化合物(VII)に対して約10〜1000重量%、好ましくは約100〜300重量%である。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ギ酸、酢酸などの有機酸類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。ラネーニッケルやラネーコバルト触媒を用いる際には副反応を抑えるために、さらにアンモニア等のアミン類を添加してもよい。反応時間は、用いる還元剤や触媒の活性および量によって異なるが、通常1時間〜100時間、好ましくは1時間〜50時間である。反応温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜80℃である。ラネーニッケル、ラネーコバルト等の触媒を用いた場合、水素の圧力は通常1〜100 kgf/cm2 である。生成物(VIII)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0051】
化合物(IX)は、化合物(VIII)を酸処理し、異性化させることにより製造される。 酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸などの無機酸類、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、フタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸などの有機酸類、三フッ化ホウ素エーテル錯体などが好ましい。 これら酸触媒の使用量は化合物(VIII)1モルに対し約0.01〜10モル、好ましくは約0.01〜5.0モルである。本反応は無溶媒で行うか、反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、 水などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常1分〜12時間、好ましくは1分〜2時間である。反応温度は通常−10〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。生成物(IX)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0052】
化合物(I)は、化合物(IX)と、カルボン酸、その塩またはその反応性誘導体とを反応させることにより行われる。該カルボン酸としては、例えば式 R−COOH〔式中、Rは前記と同意義を示す〕で表される化合物があげられる。該カルボン酸の反応性誘導体としては、例えば酸ハロゲン化物(例、酸塩化物、酸臭化物など)、酸アミド(例、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾトリアゾールなどとの酸アミドなど)、酸無水物(例、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などのC1−6脂肪族カルボン酸無水物)、酸アジド、活性エステル(例、ジエトキシリン酸エステル、ジフェノキシリン酸エステル、p−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、シアノメチルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドとのエステル、N−ヒドロキシフタルイミドとのエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとのエステル、6−クロロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとのエステル、1−ヒドロキシ−1H−2−ピリドンとのエステルなど)、活性チオエステル(例、2−ピリジルチオエステル、2−ベンゾチアゾリルチオエステルなど)などが用いられる。
【0053】
また該反応性誘導体を用いる代わりに、該カルボン酸またはその塩を適当な縮合剤の存在下、直接化合物(IX)と反応させても良い。縮合剤としては、例えばN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)などのN,N'−ジ置換カルボジイミド類、N,N'−カルボニルジイミダゾールなどのアゾライド類、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、オキシ塩化リン、アルコキシアセチレンなどの脱水剤、2−クロロメチルピリジニウムヨージド、2−フルオロ−1−メチルピリジニウムヨージドなどの2−ハロゲノピリジニウム塩などが用いられる。これらの縮合剤を用いた場合、反応はカルボン酸の反応性誘導体を経て進行すると考えられる。式 R−COOH(Rは前記と同意義)で表されるカルボン酸またはその反応性誘導体は、化合物(IX)1モルに対し通常約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いる。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、 ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。カルボン酸の反応性誘導体として酸ハロゲン化物を用いる場合は、放出されるハロゲン化水素を反応系内から除去する目的で、脱酸剤の存在下に反応を行うことができる。このような脱酸剤としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類、ピリジン、ルチジンなどの芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン類などを加えておくのが望ましい。脱酸剤の使用量は、化合物(IX)1モルに対し約0.8〜5モル、好ましくは約1〜3モルである。反応時間は用いる試薬や溶媒により異なるが通常30分〜24時間、好ましくは30分〜4時間である。反応温度は通常0〜100℃、好ましくは0〜70℃である。
【0054】
また化合物(I)は、化合物(VIII)に 式 R−COOH(Rは前記と同意義)で表されるカルボン酸またはその反応性誘導体を加え、酸性条件下で5分〜3時間、好ましくは10分〜1時間、0〜100℃、好ましくは0〜70℃で撹拌した後に、前記の脱酸剤を加えてアシル化反応に付すことにより、 系内で異性化を伴いながら製造することもできる。該カルボン酸またはその反応性誘導体は、化合物(VIII)1モルに対し通常約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いる。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、 ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。得られた生成物(I)は常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0055】
さらに、化合物(I)のうちRがアルキル基の場合には、上記アシル化の後、対応するアルキル化剤(例えば、アルキルハライド、アルコールのスルホン酸エステルなど)を用いて、塩基の存在下アルキル化反応を行う。化合物(I)1モルに対しアルキル化剤を約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いる。塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類、ピリジン、ルチジンなどの芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第三ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられる。化合物(I)1モルに対し塩基を約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いるのが好ましい。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜48時間、好ましくは30分〜6時間である。反応温度は通常−20〜200℃、好ましくは−10〜150℃である。生成物(I)は常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0056】
化合物(I)が尿素類である場合、 化合物(VIII)または化合物(IX)とイソシアナート類とを反応させることにより製造される。該イソシアナート類としては、例えば式 R'N=C=O〔式中、R'は前記のRからNHを除いた基を示す〕で表わされる化合物またはその塩が用いられる。化合物(VIII)または(IX)1モルに対して該イソシアナート類を約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いる。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常10分〜24時間、好ましくは10分〜4時間である。反応温度は通常0〜100℃、好ましくは0〜70℃である。
【0057】
化合物(X)は、化合物(V)をアルキル化反応に付し、ついで臭化水素酸で処理することによって製造される。アルキル化反応は、シクロプロピルブロミドとマグネシウムから調製されるグリニャール試薬を不活性な溶媒で希釈した後、化合物(V)と反応させる。シクロプロピルブロミドからグリニャール試薬を調製する方法は、公知の方法に準じて行えばよい。シクロプロピルブロミド1モルに対してマグネシウムを約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜1.5モル用いる。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、ヘキサンなどの飽和炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、 ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常10分〜10時間、好ましくは15分〜3時間である。反応温度は通常0〜150℃、好ましくは40〜80℃である。反応の際に、少量のヨウ素を存在させてもよい。反応終了後生成したグリニャール試薬は室温で放置して反応を完結させた後、溶媒を留去、あるいは留去することなく溶媒を添加して希釈し、化合物(V)を滴下して反応させる。 該グリニャール試薬1モルに対して化合物(V)を約0.4〜3.0モル、好ましくは約0.4〜1.0モル用いる。希釈に使用される溶媒としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、ヘキサンなどの飽和炭化水素類、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、 ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。希釈に使用される溶媒の量は、該グリニャール試薬に対し容量で約1.0〜30倍、好ましくは約1.0〜15倍量用いる。反応時間は通常10分〜10時間、好ましくは15分〜3時間である。反応温度は通常0〜150℃、好ましくは40〜100℃である。生成物は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。臭化水素酸の使用量は、 化合物(V)1モルに対し約1.0〜30モル、好ましくは約1.0〜5.0モルが好ましい。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ギ酸、酢酸などの有機酸類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、水などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常1時間〜60時間、好ましくは1時間〜15時間である。反応温度は通常0〜200℃、好ましくは0〜80℃である。生成物(X)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0058】
化合物(XI)は、化合物(X)とフタルイミドカリウムとを反応させることにより製造される。フタルイミドカリウムは化合物(X)1モルに対し約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜1.5モル用いる。化合物(X)とフタルイミドカリウムとの縮合は所望により塩基の存在下、無溶媒もしくは不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類、ピリジン、ルチジンなどの芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物類、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第三ブトキシドなどの金属アルコキシド類などが挙げられ、これらの使用量は化合物(X)1モルに対し塩基を約1.0〜5.0モル、好ましくは約1.0〜2.0モル用いる。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜20時間、好ましくは30分〜8時間である。反応温度は通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃である。生成物(XI)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0059】
化合物(XII)は、化合物(X)とシアノ化合物とを反応させることにより製造される。シアノ化合物としては、 例えばシアン化ナトリウム、 シアン化カリウムおよびこれらの混合物が挙げられる。 また反応系中でシアン化水素と、 例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩類とを反応させることによって調製して用いることもできる。シアノ化合物は、化合物(X)1モルに対し約0.8〜10モル、好ましくは約1.0〜2.0モルが好ましい。本置換反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。また相関移動触媒の存在下、水と水に不溶、 または難溶の上記有機溶媒を用いることもできる。相関移動触媒としては、例えば臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類が挙げられる。相関移動触媒の使用量は、化合物(X)1モルに対し約0.001〜10モル、好ましくは約0.005〜0.5モル用いる。反応時間は通常30分〜20時間、好ましくは30分〜8時間である。反応温度は通常0〜200℃、好ましくは20〜150℃である。生成物(XII)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0060】
化合物(IX)は、化合物(XI)の保護基を脱保護することにより製造される。化合物(XI)1モルに対し、例えばメチルアミン、エチルアミンなどのアミン類、ヒドラジン、フェニルヒドラジンなどのヒドラジン類、硫化ナトリウム、硫化カリウムなどの硫化アルカリ類、塩酸、硫酸などの鉱酸類などを通常約1.0モル〜20モル、好ましくは約1.0モル〜5.0モル用いるのが好ましい。本反応は反応に不活性な溶媒を用いて行うのが有利である。このような溶媒として反応が進行する限り特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒もしくはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応時間は通常30分〜12時間、好ましくは30分〜5時間である。反応温度は通常0〜200℃、好ましくは20〜100℃である。生成物(IX)は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。また化合物(IX)は、 化合物(VII)から化合物(VIII)を製造する操作と同様の操作により、 化合物(XII)のシアノ基を還元することによっても製造される。
【0061】
前記の化合物(VII)および化合物(VIII)の配置異性体(E,Z体)については異性化が生じた時点で、例えば抽出、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの通常の分離手段により単離、精製することができ、純粋な化合物を製造することができる。また新実験化学講座14(日本化学会編)251〜253頁、または第4版実験化学講座19(日本化学会編)273〜274頁に記載の方法およびそれらに準じる方法に従って、加熱、酸触媒、遷移金属錯体、金属触媒、ラジカル種触媒、光照射あるいは強塩基触媒などにより二重結合の異性化を進行させ、対応する純粋な異性体を得ることもできる。
化合物(I)は置換基の種類によっては立体異性体が生ずるが、この異性体単独のみならず、それらの混合物も本発明に含まれる。
上記の反応工程において、さらに所望により、公知の脱保護反応、アシル化反応、アルキル化反応、水素添加反応、酸化反応、還元反応、炭素鎖延長反応、置換基交換反応を各々、単独あるいはその二以上を組み合わせて行うことによっても化合物(I)を合成することができる。これらの反応は、例えば「新実験化学講座 第14,15巻 日本化学編 昭和52,53年発行」等に記載された方法に準じて行えばよい。
【0062】
前記本発明の各反応および原料化合物合成の各反応において、原料化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する場合、これらの基にペプチド化学などで一般的に用いられるような保護基が導入されていてもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
アミノ基の保護基としては、例えばホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニルなど)、C1−6アルキルオキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、ベンゾイル基、C7−10アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニルなど)、トリチル基、フタロイル基、N,N−ジメチルアミノメチレン基などが用いられる。これらの基は、1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
【0063】
カルボキシル基の保護基としては、例えばC1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、トリチル基、シリル基などが用いられる。これらの基は、1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
ヒドロキシル基の保護基としては、例えばC1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、C7−10アラルキル基(例、ベンジルなど)、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニルなど)、ベンゾイル基、C7−10アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニルなど)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、シリル基などが用いられる。これらの基は、1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピルなど)、フェニル基、C7−10アラルキル基(例、ベンジルなど)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
また、これらの保護基の除去方法としては、自体公知またはそれに準じる方法が用いられるが、例えば酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウムなどを使用する方法、還元などが用いられる。
【0064】
本発明の化合物(I)は、公知の手段、例えば溶媒抽出、液性変換、転溶、晶出、再結晶、クロマトグラフィーなどによって単離精製することができる。また、本発明の化合物(I)の原料化合物またはその塩は、前記と同様の公知の手段などによって単離精製することができるが、単離することなくそのまま反応混合物として次の工程の原料として供されてもよい。
上記反応によって、目的物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体または他の塩に変換することもできる。かくして得られる化合物(I)は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分溜、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等により反応溶液から単離、精製することができる。
なお、化合物(I)が、コンフィギュレーショナル アイソマー(配置異性体)、ジアステレオマー、コンフォーマー等として存在する場合には、所望により、前記分離、精製手段によりそれぞれを単離することができる。また、化合物(I)が光学活性体である場合には、通常の光学分割手段によりd体、l体に分離することができる。
【0065】
本発明の化合物(I)または化合物(I)は、メラトニン受容体に対し高い親和性を示し、また毒性が低く、かつ、副作用も少ないため、安全な医薬品として有用である。
本発明の化合物(I)または化合物(I)は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、メラトニンアゴニストとして作用し、メラトニン受容体親和性組成物、特にメラトニン受容体作動組成物として有用であり、生体リズム調節障害などのメラトニンにより影響される可能性のある疾患、例えば睡眠覚醒リズム障害、時差ボケ(jet lag)、三交替勤務等による体調の変調、季節的憂鬱病、生殖および神経内分泌疾患、老人性痴呆、アルツハイマー病、老化に伴う各種障害(例えば、老化防止など)、脳循環障害、ストレス、てんかん、痙攣、不安、うつ病、パーキンソン病、高血圧、緑内症、癌、不眠症、糖尿病などの予防・治療に使用でき、さらに、免疫調節、向知能、精神安定または排卵調整(例、避妊)に対しても有効である。本発明の化合物(I)または化合物(I)は、例えば生体リズム調節剤、好ましくは睡眠障害治療剤(例えば、睡眠導入剤など)、睡眠覚醒リズム調節剤(睡眠覚醒リズム調整作用も含む)、時間帯域変化症候群、いわゆる時差ボケ(jet lag)治療剤等として用いられる。
【0066】
本発明の化合物(I)または化合物(I)は、毒性が低く、そのままあるいは自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体を混合した医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤、貼布剤など、さらにはチューインガム等として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。化合物(I)または化合物(I)の本発明製剤中の含有量は、例えば剤型、投与方法、担体等により変えることができるが、通常製剤全体の約0.01ないし100重量%である。該投与量は、投与対象、投与ルート、疾患などによっても異なるが、例えば睡眠障害治療剤として、成人に対し、経口剤として投与する場合、有効成分化合物(I)または化合物(I)として約0.1ないし20mg/kg体重、好ましくは約0.2ないし10mg/kg体重、さらに好ましくは約0.5ないし10mg/kg体重であって、1日1ないし数回に分けて投与することができる。さらに他の活性成分(例えばベンゾジアゼピン系化合物であるトリアゾラム、ジアゼパム、アルプラゾラム、エスタゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬剤、例えば脂肪酸誘導体であるブトクタミドまたはその塩などの睡眠リズム調整剤、シス−9,10−オクタデセノアミドなどの睡眠物質など)と併用してもよい。該その他の活性成分と化合物(I)または(I)とを自体公知の方法にしたがって混合し、医薬組成物(例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤など)として併用すればよい。
【0067】
本発明製剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質があげられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などがあげられる。また、必要に応じて、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤などの添加物を適宜、適量用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油などが挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、などの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロールなどが挙げられる。
【実施例】
【0068】
本発明は、さらに以下の参考例、実施例、製剤例および実験例によって詳しく説明されるが、これらの例は単なる実施であって、本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の参考例、実施例中の「室温」は通常約10℃から35℃を示す。%は特記しない限り重量パーセントを示す。
その他の本文中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s : シングレット(singlet)
d : ダブレット(doublet)
t : トリプレット(triplet)
q : カルテット(quartet)
m : マルチプレット(multiplet)
br : ブロード(broad)
J : カップリング定数(coupling constant)
Hz : ヘルツ(Herz)
CDCl : 重クロロホルム
−DMSO : 重ジメチルスルホキシド
NMR : プロトン核磁気共鳴
【0069】
参考例1 (E)−(6−メトキシ−2−フェニルインダン−1−イリデン)アセトニトリル
アルゴン雰囲気下、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(2.19g,13.6mmol)のテトラヒドロフラン(80ml)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.56M,8.72ml,13.6mmol)を−78℃で徐々に滴下した。10分間撹拌後、反応液にアセトニトリル(0.65ml,12.4mmol)を滴下した。さらに20分間撹拌後、反応液に6−メトキシ−2−フェニル−1−インダノン(2.70g,11.3mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下して、1時間撹拌した。反応液に水を注いで徐々に室温に戻し、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をトルエン(100ml)に溶解し、10−カンファースルホン酸(0.5g)を加えて反応混合物を2時間加熱還流した。反応液を飽和重曹水に注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣を再結晶して表題化合物を得た(収量0.47g,収率16%)。
融点 112−114℃(酢酸エチル/イソプロピルエーテルから再結晶)
NMR(CDCl)δ:3.03(1H,d,J=17Hz),3.59(1H,dd,J=8.2Hz,17Hz),3.86(3H,s),4.49(1H,d,J=8.2Hz),5.69(1H,d,J=2.6Hz),6.95-7.32(8H,m)
【0070】
参考例2 2−(5−メトキシ−2−フェニル−1H−インデン−3−イル)エチルアミン 塩酸塩
(E)−(6−メトキシ−2−フェニルインダン−1−イリデン)アセトニトリル(0.45g,1.72mmol)のエタノール(30ml)溶液に、飽和アンモニア/エタノール溶液(10ml)およびラネーコバルト(0.3g)を加え、反応混合物を水素雰囲気下(5 kgf/cm2)、室温で10時間攪拌した。ラネーコバルトをろ去した後、減圧下で溶媒を留去して、2−(6−メトキシ−2−フェニルインダン−1−イリデン)エチルアミンを得た。これを塩化水素/エタノール溶液に溶解した後、減圧下で溶媒を留去して表題化合物を得た(収量0.3g,収率58%)。本化合物はこれ以上精製することなく次反応に用いた。
【0071】
参考例3 4−(3−ブロモプロピル)−1,2−ジヒドロ−6−メトキシナフタレン
アルゴン雰囲気下、マグネシウム(2.9g)を懸濁させたテトラヒドロフラン(100ml)溶液に、ブロモシクロプロパン(14.4g,119mmol)を氷冷下で徐々に滴下した。30分間室温で撹拌後、反応液に7−メトキシ−1−テトラロン(15g,85.1mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液を滴下して、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、飽和塩化アンモニウム水を注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣を酢酸(100ml)に溶解し、20%臭化水素酸(75ml)を加えて反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応液を濃縮後、飽和重曹水に注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:9)で精製して表題化合物を得た(収量20g,収率84%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:2.00-2.15(2H,m),2.17-2.30(2H,m),2.55-2.70(4H,m),3.45(2H,t,J=6.6Hz),3.80(3H,s),5.94(1H,t,J=4.4Hz),6.69(1H,dd,J=2.6Hz,8.1Hz),6.83(1H,d,J=2.6Hz),7.06(1H,d,J=8.1Hz)
元素分析値:C1417BrOとして
計算値:C,59.80;H,6.09
実測値:C,59.77;H,6.32
【0072】
参考例4 2−[3−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロピル]イソインドール−1,3−ジオン
4−(3−ブロモプロピル)−1,2−ジヒドロ−6−メトキシナフタレン(10g,35.6mmol)およびフタルイミドカリウム(7.9g,42.7mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)中、100℃で1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却後、水を注いで有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=2:8)で精製して表題化合物を得た(収量11.8g,収率95%, オイル状)。
NMR(CDCl)δ:1.95(2H,m),2.12-2.27(2H,m),2.48(2H,t,J=7.7Hz),2.63(2H,t,J=7.7Hz),3.70-3.93(5H,m),5.92(1H,t,J=4.6Hz),6.67(1H,dd,J=2.6Hz,8.1Hz),6.78(1H,d,J=2.6Hz),7.03(1H,d,J=8.1Hz),7.65-7.90(4H,m)
元素分析値:C2221NOとして
計算値:C,76.06;H,6.09;N,4.03
実測値:C,76.23;H,6.23;N,3.99
【0073】
参考例5 3−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロピルアミン
2−[3−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロピル]イソインドール−1,3−ジオン(11.8g,34.0mmol)およびヒドラジン一水和物(5.1g,0.1mol)をエタノール(150ml)中、1時間加熱還流した。反応液を氷冷後、生じた不溶物を濾過して得られた母液を減圧下で濃縮して表題化合物を得た(収量5.7g,収率77%, オイル状)。本化合物はこれ以上精製することなく次反応に用いた。
NMR(CDCl)δ:1.68(2H,m),2.15-2.30(2H,m),2.46(2H,t,J=7.5Hz),2.60-2.80(4H,m),3.80(3H,s),5.89(1H,t,J=4.4Hz),6.68(1H,dd,J=2.4Hz,8.2Hz),6.83(1H,d,J=2.4Hz),7.06(1H,d,J=8.2Hz),NH2の2Hはブロードで確認できない。
【0074】
参考例6 4−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)ブチロニトリル
4−(3−ブロモプロピル)−1,2−ジヒドロ−6−メトキシナフタレン(10g,35.6mmol)およびシアン化ナトリウム(1.92g,39.1mmol)をジメチルスルホキシド(20ml)中、室温で1時間撹拌した。反応液に水を注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:9)で精製して表題化合物を得た(収量7.5g,収率93%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:1.80-1.98(2H,m),2.18-2.30(2H,m),2.35(2H,t,J=7.0Hz),2.50-2.75(4H,m),3.80(3H,s),5.95(1H,t,J=4.6Hz),6.70(1H,dd,J=2.6Hz,8.1Hz),6.78(1H,d,J=2.6Hz),7.07(1H,d,J=8.1Hz)
元素分析値:C1517NOとして
計算値:C,79.26;H,7.54;N,6.16
実測値:C,79.23;H,7.66;N,6.36
【0075】
参考例7 4−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)ブチルアミン
参考例2と同様の方法により、4−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)ブチロニトリルから表題化合物を得た(収率90%, オイル状)。
NMR(d−DMSO)δ:1.30-1.60(4H,m),2.05-2.67(10H,m),3.73(3H,s),5.87(1H,t,J=4.0Hz),6.70(1H,dd,J=2.0Hz,8.1Hz),6.76(1H,d,J=2.0Hz),7.05(1H,d,J=8.1Hz)
【0076】
参考例8 (E)−(6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリル
60%水素化ナトリウム(2.71g,67.9mmol)のテトラヒドロフラン(150ml)懸濁液に、シアノメチルホスホン酸ジエチル(11.5g,64.8mmol)を氷冷下で滴下した。15分間撹拌後、反応液に6−メトキシ−1−インダノン(10.0g,61.7mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液を滴下して反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応液を水に注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=2:8)で精製し、さらに酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して表題化合物を得た(収量6.00g,収率53%)。
融点 95−96℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:3.01-3.18(4H,m),3.83(3H,s),5.61(1H,t,J=2.4Hz),6.96-7.03(2H,m),7.27(1H,d,J=8.8Hz)
【0077】
参考例9 (E)−2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミン
(E)−(6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリル(1.60g,8.64mmol)のエタノール(80ml)溶液に、2Mアンモニア/メタノール溶液(40ml)およびラネーコバルト(1.6g)を加え、反応混合物を水素雰囲気下(4 kgf/cm2)、40℃で32時間、さらに70℃で8時間攪拌した。ラネーコバルトをろ去した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1からクロロホルム:メタノール:トリエチルアミン=90:8:2)で精製して表題化合物を得た(収量1.40g,収率86%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:2.70-2.80(2H,m),2.89-2.97(2H,m),3.48(2H,d,J=6.6Hz),3.81(3H,s),5.91-6.01(1H,m),6.77(1H,dd,J=2.4Hz,8.2Hz),6.96(1H,d,J=2.4Hz),7.13(1H,d,J=8.2Hz),NH2の2Hはブロードで確認できない。
【0078】
参考例10 3−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)プロピオン酸
3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸(4.0g,22.2mmol)の酢酸(20ml)溶液に、臭素(3.9g,24.4mmol)を10℃で徐々に滴下した。室温で30分間撹拌後、反応液に水を注いで有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサンで洗浄して表題化合物を得た(収量5.0g,収率87%)。
融点 94−96℃
NMR(CDCl)δ:2.64(2H,t,J=7.8Hz),2.88(2H,t,J=7.8Hz),3.87(3H,s),6.82(1H,d,J=8.6Hz),7.11(1H,dd,J=2.2Hz,8.6Hz),7.39(1H,d,J=2.2Hz),9.15(1H,br s)
元素分析値:C1011BrOとして
計算値:C,46.36;H,4.28
実測値:C,46.66;H,4.21
【0079】
参考例11 5−ブロモ−6−メトキシ−1−インダノン
3−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)プロピオン酸(5.0g,19.3mmol)を塩化チオニル(10ml)と共に1時間加熱還流した。反応液を減圧下で濃縮して過剰の塩化チオニルを除き、得られた残査を1,2−ジクロロエタン(50ml)に溶解した。氷冷下で、反応液に塩化アルミニウム(2.8g,20.8mmol)を10分かけて加え、室温でさらに1時間撹拌した。反応液を氷水に注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサンで洗浄して表題化合物を得た(収量4.3g,収率92%)。
融点 149−151℃
NMR(CDCl)δ:2.63-2.71(2H,m),3.02-3.15(2H,m),3.93(3H,s),7.19(1H,s),7.70(1H,s)
元素分析値:C10BrOとして
計算値:C,49.82;H,3.76;BR3.14
実測値:C,49.77;H,3.71;BR2.95
【0080】
参考例12 (E)−(5−ブロモ−6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリル
参考例8と同様の方法により、5−ブロモ−6−メトキシ−1−インダノンおよびシアノメチルりん酸ジエチルから表題化合物を得た(収率75%)。
融点 180−182℃
NMR(CDCl)δ:3.00-3.18(4H,m),3.92(3H,s),5.63(1H,t,J=2.4Hz),6.94(1H,s),7.56(1H,s)
元素分析値:C1210BrNOとして
計算値:C,54.57;H,3.82;N,5.30;BR0.25
実測値:C,54.40;H,3.96;N,5.15;BR0.10
【0081】
参考例13 (E)−2−(5−ブロモ−6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミン
参考例9と同様の方法により、(E)−(5−ブロモ−6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリルから表題化合物を得た(収率95%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:2.70-2.80(2H,m),2.85-3.00(2H,m),3.47(2H,d,J=7.0Hz),3.90(3H,s),5.98(1H,m),6.95(1H,s),7.41(1H,s)
【0082】
参考例14 2−(6−ブロモ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩
(E)−2−(5−ブロモ−6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミン(5.0g,18.6mmol)を飽和塩化水素/エタノール(200ml)溶液に溶解して、2時間加熱還流した。反応液を冷却後、減圧下で溶媒を留去し、得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄して表題化合物を得た(収量4.61g,収率81%)。
融点 244−247℃(エタノールから再結晶)
NMR(d−DMSO)δ:2.89(2H,t,J=7.1Hz),3.00-3.15(2H,m),3.31(2H,s),3.92(3H,s),6.46(1H,s),7.24(1H,s),7.65(1H,s),8.16(2H,br s)
【0083】
参考例15 2−ベンジリデン−6−メトキシ−1−インダノン
6−メトキシ−1−インダノン(10g,61.2mmol)、ベンズアルデヒド(7.85g,74.0mmol)、ピペリジン(1.05g,12.3mmol)および酢酸(4.4g,74.0mmol)をトルエン(150ml)中、3時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、減圧下で溶媒を留去し、水を注いで有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。生じた結晶をジエチルエーテルで洗浄して表題化合物を得た(収量12.3g,収率80%)。
融点 131−133℃
NMR(CDCl)δ:3.87(3H,s),3.99(2H,s),7.21(1H,dd,J=2.6Hz,8.1Hz),7.36(1H,d,J=2.6Hz),7.37-7.72(7H,m)
【0084】
参考例16 2−ベンジル−6−メトキシ−1−インダノン
2−ベンジリデン−6−メトキシ−1−インダノン(12.25g,48.9mmol)のエタノール(500ml)溶液に、10%含水パラジウムカーボン(1.5g)を加え、反応混合物を水素雰囲気下、常温常圧で接触還元した。パラジウムカーボンをろ去した後、減圧下でろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=2:8)で精製して表題化合物を得た(収量11.26g,収率92%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:2.60-3.20(4H,m),3.39(1H,dd,J=3.8Hz,13.9Hz),3.84(3H,s),7.12-7.39(8H,m)
【0085】
参考例17 (E)−(2−ベンジル−6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリル
参考例1と同様の方法により、2−ベンジル−6−メトキシ−1−インダノンおよびアセトニトリルから表題化合物を得た(収率76%)。本化合物はこれ以上精製することなく次反応に用いた。
【0086】
参考例18 (E)−2−(2−ベンジル−6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミン
参考例9と同様の方法により、(E)−(2−ベンジル−6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリルから表題化合物を得た(収率69%,オイル状)。
NMR(d−DMSO)δ:2.32-3.30(9H,m),3.76(3H,s),5.97(1H,t,J=6.8Hz),6.75(1H,dd,J=2.4Hz,8.2Hz),7.01(1H,d,J=2.4Hz),7.08-7.40(6H,m)
【0087】
参考例19 2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩
参考例14と同様の方法により、(E)−2−(2−ベンジル−6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミンから表題化合物を得た(収率74%)。
融点 217−219℃(エタノールから再結晶)
NMR(d−DMSO)δ:2.96(4H,br s),3.15(2H,s),3.79(3H,s),3.82(2H,s),6.68(1H,dd,J=2.2Hz,8.1Hz),7.06(1H,d,J=2.2Hz),7.15-7.40(6H,m),8.13(2H,br s)
【0088】
参考例20 (E)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸エチル
60%水素化ナトリウム(5.7g,154mmol)のテトラヒドロフラン(150ml)懸濁液に、ホスホノ酢酸トリエチル(34.6g,154mmol)を氷冷下滴下して、水素の発生が収まり反応液が均一になるまで約20分間撹拌した。この反応液に3−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド(19.8g,128mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液を滴下し、室温で3時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で精製して表題化合物を得た(収量28.8g,定量的)。
融点 39−41℃
NMR(CDCl)δ:1.34(3H,t,J=7.1Hz),3.93(3H,s),4.26(2H,q,J=7.1Hz),6.30(1H,d,J=16Hz),6.96(1H,t,J=8.6Hz),7.21-7.33(2H,m),7.59(1H,d,J=16Hz)
元素分析値:C1213FOとして
計算値:C,64.28;H,5.84;F,8.47
実測値:C,64.33;H,5.74;F,8.32
【0089】
参考例21 3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)プロピオン酸エチル
参考例16と同様の方法により、(E)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸エチルから表題化合物を得た(定量的,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:1.24(3H,t,J=7.2Hz),2.58(2H,t,J=7.5Hz),2.88(2H,t,J=7.5Hz),3.87(3H,s),4.13(2H,q,J=7.2Hz),6.82-6.98(3H,m)
【0090】
参考例22 3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)プロピオン酸
3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)プロピオン酸エチル(29.1g,129mmol)のエタノール(50ml)/水(50ml)混合溶媒に、水酸化カリウム(9.4g,167mmol)を加え80℃で1時間加熱撹拌した。反応液を冷却後、希塩酸水溶液に注いで生じた結晶をろ取し、これをジエチルエーテルで洗浄して表題化合物を得た(収量24.4g,収率96%)。
融点 116−119℃
NMR(CDCl)δ:2.65(2H,t,J=7.5Hz),2.89(2H,t,J=7.5Hz),3.87(3H,s),6.80-7.00(3H,m)
元素分析値:C1011FOとして
計算値:C,60.60;H,5.59実測値:C,60.49;H,5.43
【0091】
参考例23 5−フルオロ−6−メトキシ−1−インダノン
参考例11と同様の方法により、3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)プロピオン酸から表題化合物を得た(収率94%)。
融点 152−154℃
NMR(CDCl)δ:2.70(2H,t,J=5.5Hz),3.07(2H,t,J=5.5Hz),3.91(3H,s),7.17(1H,d,J=10.3Hz),7.29(1H,d,J=10.3Hz)
元素分析値:C10FOとして
計算値:C,66.66;H,5.03
実測値:C,66.85;H,4.97
【0092】
参考例24 (E)−(5−フルオロ−6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリル
参考例8と同様の方法により、5−フルオロ−6−メトキシ−1−インダノンおよびシアノメチルりん酸ジエチルから表題化合物を得た(収率73%)。
融点 197−199℃
NMR(CDCl)δ:3.00-3.19(4H,m),3.91(3H,s),5.52(1H,br s),6.99-7.10(2H,m)
【0093】
参考例25 (E)−2−(5−フルオロ−6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミン
参考例9と同様の方法により、(E)−(5−フルオロ−6−メトキシインダン−1−イリデン)アセトニトリルから表題化合物を得た(収率85%,オイル状)。
【0094】
参考例26 2−(6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩
参考例19と同様の方法により、(E)−2−(5−フルオロ−6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミンから表題化合物を得た(収率71%)。
融点 207−210℃
NMR(d−DMSO)δ:2.87(2H,t,J=7.4Hz),3.00-3.17(2H,m),3.29(2H,s),3.90(3H,s),6.40(1H,s),7.27(1H,d,J=8.1Hz),7.33(1H,d,J=11.1Hz),8.15(2H,br s)
【0095】
実施例1 2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(5−メトキシ−2−フェニル−1H−インデン−3−イル)エチル〕アセトアミド
2−(5−メトキシ−2−フェニル−1H−インデン−3−イル)エチルアミン塩酸塩(0.2g,0.67mmol)およびトリエチルアミン(0.34g,3.33mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)およびクロロホルム(2ml)混合溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(0.28g,1.33mmol)を氷冷下で徐々に滴下した。20分間攪拌した後、反応液を水に注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製して表題化合物を得た(収量0.22g,収率92%)。
融点 138−139℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:3.03(2H,t,J=7.2Hz),3.61(2H,q,J=7.2Hz),3.71(2H,s),3.88(3H,s),6.29(1H,br s),6.81(1H,dd,J=2.2Hz,8.4Hz),7.03(1H,d,J=2.2Hz),7.39(1H,d,J=8.4Hz),7.40(5H,s)
元素分析値:C2018NOとして
計算値:C,66.48;H,5.02;N,3.88
実測値:C,66.23;H,4.90;N,3.65
【0096】
実施例2 2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕アセトアミド
(E)−2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミン(0.4g,2.11mmol)、トリフルオロ酢酸無水物(0.53g,2.53mmol)およびトリフルオロ酢酸(0.48g,4.22mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液に、氷冷下トリエチルアミン(0.85g,8.44mmol)を徐々に滴下した。室温で1時間攪拌した後、反応液を水に注いで、有機物をクロロホルムで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=15:85)で精製し、さらにイソプロピルエーテル/ヘキサンから再結晶して表題化合物を得た(収量0.20g,収率33%)。
融点 87−88℃(イソプロピルエーテル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:2.84(2H,dt,J=1.2Hz,6.6Hz),3.32(2H,d,J=6.6Hz),3.70(2H,q,J=6.6Hz),3.85(3H,s),6.33(1H,br s),6.40(1H,br s),6.80(1H,dd,J=2.2Hz,8.2Hz),6.91(1H,d,J=2.2Hz),7.36(1H,d,J=8.2Hz)
元素分析値:C1414NOとして
計算値:C,58.95;H,4.95;N,4.91
実測値:C,58.89;H,4.94;N,5.08
【0097】
実施例3 2,2,2−トリフルオロ−N−〔3−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロピル〕アセトアミド
実施例1と同様の方法により、3−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロピルアミンおよびトリフルオロ酢酸無水物から表題化合物を得た(収率87%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:1.84(2H,m),2.16-2.30(2H,m),2.50(2H,t,J=6.8Hz),2.67(2H,t,J=7.9Hz),3.40(2H,q,J=6.6Hz),3.80(3H,s),5.91(1H,t,J=4.6Hz),6.35(1H,br s),6.70(1H,dd,J=2.8Hz,8.2Hz),6.77(1H,d,J=2.8Hz),7.07(1H,d,J=8.2Hz)
元素分析値:C1618NOとして
計算値:C,61.34;H,5.79;N,4.47;F,18.19
実測値:C,61.22;H,5.77;N,4.63;F,18.22
【0098】
実施例4 N−〔3−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロピル〕アセトアミド
実施例1と同様の方法により、3−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)プロピルアミンおよびアセチルクロリドから表題化合物を得た(収率90%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:1.75(2H,m),1.95(3H,s),2.13-2.30(2H,m),2.46(2H,t,J=7.4Hz),2.66(2H,t,J=7.9Hz),3.29(2H,q,J=6.5Hz),3.80(3H,s),5.50(1H,br s),5.89(1H,t,J=4.4Hz),6.69(1H,dd,J=2.2Hz,8.1Hz),6.79(1H,d,J=2.2Hz),7.07(1H,d,J=8.1Hz)
元素分析値:C1621NOとして
計算値:C,74.10;H,8.16;N,5.40
実測値:C,74.23;H,8.21;N,5.33
【0099】
実施例5 N−〔4−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)ブチル〕アセトアミド
実施例1と同様の方法により、4−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)ブチルアミンおよびアセチルクロリドから表題化合物を得た(収率95%)。
融点 79−81℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:1.49-1.62(4H,m),1.95(3H,s),2.14-2.30(2H,m),2.36-2.50(2H,m),2.66(2H,t,J=8.1Hz),3.20-3.33(2H,m),3.80(3H,s),5.44(1H,br s),5.87(1H,t,J=4.4Hz),6.68(1H,dd,J=2.4Hz,8.2Hz),6.80(1H,d,J=2.4Hz),7.06(1H,d,J=8.2Hz)
元素分析値:C1723NOとして
計算値:C,74.69;H,8.48;N,5.12
実測値:C,74.66;H,8.30;N,5.01
【0100】
実施例6 2,2,2−トリフルオロ−N−[4−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)ブチル]アセトアミド
実施例1と同様の方法により、4−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イル)ブチルアミンおよびトリフルオロ酢酸無水物から表題化合物を得た(収率97%,オイル状)。
NMR(CDCl)δ:1.40-1.70(4H,m),2.15-2.30(2H,m),2.38ー2.55(2H,m),2.67(2H,t,J=7.9Hz),3.30-3.42(2H,m),3.80(3H,s),5.87(1H,t,J=4.6Hz),6.27(1H,br s),6.69(1H,dd,J=2.6Hz,8.1Hz),6.78(1H,d,J=2.6Hz),7.07(1H,d,J=8.1Hz)
元素分析値:C1720NOとして
計算値:C,62.38;H,6.16;N,4.28;F,17.41
実測値:C,61.98;H,6.14;N,4.14;F,17.45
【0101】
実施例7 N−[2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]アセトアミド
(E)−2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミン(736mg,3.89mmol)およびトリエチルアミン(0.59g,5.84mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、塩化アセチル(0.37g,4.70mmol)を氷冷下で徐々に滴下した。室温で2時間撹拌した後、反応液を水に注ぎ有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去して(E)−N−[2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチル]アセトアミドを得た(収量1.0g,収率90%)。
得られた(E)−N−[2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチル]アセトアミド(1.0g,4.32mmol)をトリフルオロ酢酸(6ml)/テトラヒドロフラン(6ml)の混合溶液に溶解し、1.5時間加熱還流した。反応液を水に注いで、有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=96:4)で精製して表題化合物を得た(収量0.9g,収率90%)。
NMR(CDCl)δ:1.96(3H,s),2.76(2H,t,J=6.4Hz),3.30(2H,s),3.60(2H,q,J=6.4Hz),3.85(3H,s),5.68(1H,br s),6.31(1H,s),6.79(1H,dd,J=2.4Hz,8.0Hz),6.94(1H,d,J=2.4Hz),7.35(1H,d,J=8.0Hz)
【0102】
実施例8 2,2,2−トリフルオロ−N−[2−(6−ブロモ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]アセトアミド
2−(6−ブロモ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩(1.2g,3.94mmol)およびトリエチルアミン(1.2g,11.8mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、無水トリフルオロ酢酸(0.99g,4.73mmol)を氷冷下で徐々に滴下した。室温で2時間撹拌した後、反応液を水に注ぎ有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=15:85)で精製し、さらに酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して表題化合物を得た(収量1.06g,収率74%)。
融点 126−129℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:2.80-2.91(2H,m),3.32(2H,s),3.70(2H,q,J=6.9Hz),3.95(3H,s),6.33(1H,s),6.46(1H,br s),6.95(1H,s),7.63(1H,s)
元素分析値:C1413BrFNOとして
計算値:C,46.18;H,3.60;N,3.85;BR1.94;F,15.65
実測値:C,46.06;H,3.49;N,3.75;BR1.78;F,15.58
【0103】
実施例9 N−[2−(6−ブロモ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]アセトアミド
実施例8と同様の方法により、2−(6−ブロモー5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化アセチルから表題化合物を得た(収率83%)。
融点 146−148℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(CDCl)δ:1.97(3H,s),2.71-2.84(2H,m),3.27-3.34(2H,m),3.58(2H,q,J=7.0Hz),3.95(3H,s),5.62(1H,br s),6.31(1H,t,J=1.7Hz),6.99(1H,s),7.61(1H,s)
元素分析値:C1416BrNOとして
計算値:C,54.21;H,5.20;N,4.52;BR5.76
実測値:C,54.16;H,5.23;N,4.67;BR5.77
【0104】
実施例10 N−[2−(6−ブロモ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]プロピオンアミド
実施例8と同様の方法により、2−(6−ブロモ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化プロピオニルから表題化合物を得た(収率95%)。
融点 106−109℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:1.15(3H,t,J=7.6Hz),2.19(2H,q,J=7.6Hz),2.77(2H,dt,J=1.4Hz,7.0Hz),3.29(2H,d,J=1.8Hz),3.60(2H,q,J=6.9Hz),3.95(3H,s),5.60(1H,br s),6.31(1H,s),6.98(1H,s),7.61(1H,s)
元素分析値:C1518BrNOとして
計算値:C,55.57;H,5.60;N,4.32;BR4.65
実測値:C,55.55;H,5.68;N,4.07;BR4.78
【0105】
実施例11 2,2,2−トリフルオロ−N−[2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]アセトアミド
実施例8と同様の方法により、2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および無水トリフルオロ酢酸から表題化合物を得た(収率95%)。
融点 126−128℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:2.93(2H,t,J=7.1Hz),3.23(2H,s),3.60(2H,q,J=7.1Hz),3.80(2H,s),3.85(3H,s),6.45(1H,br s),6.72(1H,dd,J=2.4Hz,8.1Hz),6.92(1H,d,J=2.4Hz),7.12-7.37(6H,m)
元素分析値:C2120NOとして
計算値:C,67.19;H,5.37;N,3.73
実測値:C,67.22;H,5.35;N,3.45
【0106】
実施例12 N−[2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]アセトアミド
実施例8と同様の方法により、2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化アセチルから表題化合物を得た(収率94%)。
融点 133−135℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:1.87(3H,s),2.85(2H,t,J=6.6Hz),3.22(2H,s),3.50(2H,q,J=6.6Hz),3.82(2H,s),3.84(3H,s),5.52(1H,br s),6.70(1H,dd,J=2.2Hz,8.1Hz),6.94(1H,d,J=2.2Hz),7.12-7.34(6H,m)
元素分析値:C2123NOとして
計算値:C,78.47;H,7.21;N,4.36
実測値:C,78.30;H,7.04;N,4.32
【0107】
実施例13 N−[2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]プロピオンアミド
実施例8と同様の方法により、2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化プロピオニルから表題化合物を得た(収率98%)。
融点 149−151℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:1.10(3H,t,J=7.6Hz),2.10(2H,q,J=7.6Hz),2.86(2H,t,J=7.0Hz),3.22(2H,s),3.51(2H,q,J=7.0Hz),3.82(2H,s),3.84(3H,s),5.52(1H,br s),6.70(1H,dd,J=2.4Hz,8.1Hz),6.95(1H,d,J=2.4Hz),7.13-7.39(6H,m)
元素分析値:C2225NOとして
計算値:C,78.77;H,7.51;N,4.18
実測値:C,78.79;H,7.46;N,4.29
【0108】
実施例14 N−[2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]ブチルアミド
実施例8と同様の方法により、2−(2−ベンジル−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化ブチリルから表題化合物を得た(収率97)。
融点 127−129℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:0.91(3H,t,J=7.3Hz),1.50-1.70(2H,m),2.04(2H,t,J=7.5Hz),2.86(2H,t,J=7.0Hz),3.22(2H,s),3.51(2H,q,J=7.0Hz),3.82(2H,s),3.85(3H,s),5.51(1H,br s),6.70(1H,dd,J=2.4Hz,8.1Hz),6.95(1H,d,J=2.4Hz),7.12-7.35(6H,m)
元素分析値:C2327NOとして
計算値:C,79.05;H,7.79;N,4.01
実測値:C,78.93;H,7.83;N,3.93
【0109】
実施例15 N−[2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]プロピオンアミド
参考例14と同様の方法により、(E)−2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミンから2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩を得た。さらに実施例8と同様の方法により、2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化プロピオニルから表題化合物を得た(収率86%)。
融点 61−63℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:1.14(3H,t,J=7.5Hz),2.18(2H,q,J=7.5Hz),2.76(2H,dt,J=1.4Hz,6.6Hz),3.30(2H,d,J=1.8Hz),3.61(2H,q,J=6.6Hz),3.85(3H,s),5.55(1H,br s),6.31(1H,s),6.78(1H,dd,J=2.2Hz,8.1Hz),6.93(1H,d,J=2.2Hz),7.35(1H,d,J=8.1Hz)
元素分析値:C1519NOとして
計算値:C,73.44;H,7.81;N,5.71
実測値:C,73.24;H,7.74;N,5.85
【0110】
実施例16 N−[2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]ブチルアミド
実施例15と同様の方法により、2−(6−メトキシインダン−1−イリデン)エチルアミンおよび塩化ブチリルから表題化合物を得た(収率65%)。
融点 64−67℃
NMR(CDCl)δ:0.93(3H,t,J=7.3Hz),1.58-1.74(2H,m),2.13(2H,t,J=7.5Hz),2.76(2H,t,J=7.0Hz),3.30(1H,br s),3.61(2H,q,J=6.4Hz),5.55(1H,br s),6.31(1H,br s),6.78(1H,dd,J=2.4Hz,8.1Hz),6.93(1H,d,J=2.4Hz),7.35(1H,d,J=8.1Hz)
元素分析値:C1621NOとして
計算値:C,74.10;H,8.16;N,5.40
実測値:C,74.31;H,8.04;N,5.42
【0111】
実施例17 N−[2−(6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]プロピオンアミド
実施例8と同様の方法により、2−(6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化プロピオニルから表題化合物を得た(収率83%)。
融点 140−143℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(CDCl)δ:1.15(3H,t,J=7.5Hz),2.19(2H,q,J=7.5Hz),2.76(2H,dt,J=1.5Hz,7.0Hz),3.29(2H,d,J=1.8Hz),3.60(2H,q,J=7.0Hz),3.94(3H,s),5.59(1H,br s),6.26(1H,br s),7.00(1H,d,J=8.1Hz),7.19(1H,d,J=10.6Hz)
元素分析値:C1518FNOとして
計算値:C,68.42;H,6.89;N,5.32
実測値:C,68.64;H,6.84;N,5.25
【0112】
実施例18 N−[2−(6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル]ブチルアミド
実施例8と同様の方法により、2−(6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチルアミン・塩酸塩および塩化ブチリルから表題化合物を得た(収率80%)。
融点 90−92℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl)δ:0.94(3H,t,J=7.3Hz),1.65(2H,m),2.14(2H,t,J=7.5Hz),2.75(2H,dt,J=1.5Hz,7.0Hz),3.29(2H,br s),3.60(2H,q,J=6.6Hz),3.94(3H,s),5.60(1H,br s),6.26(1H,br s),7.00(1H,d,J=8.1Hz),7.19(1H,d,J=11.0Hz)
元素分析値:C1620FNOとして
計算値:C,69.29;H,7.27;N,5.05
実測値:C,69.19;H,7.26;N,5.16
【0113】
〔表1〕に、実施例1〜18で得られた化合物の構造式を示す。
[表1]

【0114】
製剤例1
(1)実施例1で得られた化合物 10.0g
(2)乳糖 60.0g
(3)コーンスターチ 35.0g
(4)ゼラチン 3.0g
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0g
実施例1で得られた化合物10.0gと乳糖60.0gおよびコーンスターチ35.0gの混合物を10重量%ゼラチン水溶液30ml(ゼラチンとして3.0g)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化した後、40℃で乾燥し再び篩過した。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0gと混合し、圧縮した。得られた中心錠を、蔗糖、二酸化チタン、タルクおよびアラビアゴムの水懸濁液による糖衣でコーティングした。コーティングが施された錠剤をミツロウで艶出して1000錠のコート錠を得た。
【0115】
製剤例2
(1)実施例1で得られた化合物 10.0g
(2)乳糖 70.0g
(3)コーンスターチ 50.0g
(4)可溶性デンプン 7.0g
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0g
実施例1で得られた化合物10.0gとステアリン酸マグネシウム3.0gを可溶性デンプンの水溶液70ml(可溶性デンプンとして7.0g)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖70.0gおよびコーンスターチ50.0gと混合した。混合物を圧縮して1000錠の錠剤を得た。
【0116】
実験例1 2−〔125I〕ヨードメラトニン結合の阻害作用
生後7日のヒヨコ(白色レグホン)より前脳を摘出し、氷冷したアッセイ緩衝液(50mM トリス−HCl,pH7.7,25℃)でホモジネートを調製し、44,000×g、10分間の遠心により沈渣を得た。これを同緩衝液で1回洗浄した後に0.3−0.4mg タンパク/mlとなるようにアッセイ緩衝液でホモジナイズして膜サンプルとした。試験管に薬液、膜サンプル、リガンド(80pM 2−〔125I〕ヨードメラトニン、約100,000dpm)を全量0.5mlで混合し、25℃、90分間インキュベートした。氷冷したアッセイ緩衝液3mlを加えて直ちにワットマン(Whatman)GF/B上に吸引濾過し、フィルターはさらに氷冷したアッセイ緩衝液3mlで2回洗った後にγ−カウンターで放射活性を測定した。10μMメラトニン存在下の結合をノンスペシフィックバインディングとして差し引いた値をスペシフィックバインディングとした。50%阻害濃度(IC50)をログプロビット(log−probit)法により算出し、その結果を〔表2〕に示す。
[表2]
2−〔125I〕ヨードメラトニン結合の阻害作用
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例化合物 IC50(nM)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1 0.087
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〔表2〕の結果から、本発明の化合物(I)および化合物(I)は、優れたメラトニン受容体親和性活性、特にメラトニン受容体作動活性を有することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔式中、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基、
は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、
は置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基または置換基を有する水酸基、
は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基、
A環は置換されたベンゼン環、
Xは置換基を有していてもよいC2−4アルキレン基、
Yは結合手または置換基を有していてもよい低級アルキレン基を示す〕で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
が(i)水素原子または(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
が(i)水素原子、(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、または(iii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C2−6アルキニル基、C2−6アルケニル基、C7−11アラルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルコキシ基、C6−10アリールオキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基、C6−10アリール−カルボニルオキシ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノC1−4アルキル基、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、3ないし6員環状アミノ基、C1−3アルキレンジオキシ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、スルファモイル基、モノ−C1−6アルキルスルファモイル基、ジ−C1−6アルキルスルファモイル基、C1−6アルキルチオ基、C6−10アリールチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C6−10アリールスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基またはC6−10アリールスルホニル基で1ないし5個置換されていてもよい、炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし10員の複素環基、
が(i)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を1または2個有していてもよいアミノ基、または(iii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を有する水酸基、
が(i)水素原子または(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
A環が(i)ハロゲン原子、
(ii)ヒドロキシル基、
(iii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、
(iv)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を1または2個有していてもよいアミノ基、
(v)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を有していてもよいメルカプト基、
(vi)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基を有する水酸基、
(vii)C1−6アシルアミノ基、および
(viii)C1−3アルキレンジオキシ基から選ばれる置換基1ないし3個で置換されたベンゼン環、
Xが(i)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、(ii)ハロゲン原子、(iii)ニトロ基、(iv)シアノ基、(v)ヒドロキシル基、(vi)C1−6アルコキシ基、(vii)アミノ基、(viii)モノ−C1−6アルキルアミノ基、(ix)ジ−C1−6アルキルアミノ基、(x)C1−6アルキル−カルボニル基または(xi)C6−10アリールオキシ基で1ないし3個されていてもよい直鎖状C2−4アルキレン基、および
Yが結合手または(i)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよい(a)C1−6アルキル基、(b)C2−6アルケニル基、(c)C2−6アルキニル基、(d)C3−6シクロアルキル基または(e)C6−14アリール基、(ii)ハロゲン原子、(iii)ニトロ基、(iv)シアノ基、(v)ヒドロキシル基、(vi)C1−6アルコキシ基、(vii)アミノ基、(viii)モノ−C1−6アルキルアミノ基、(ix)ジ−C1−6アルキルアミノ基、(x)C1−6アルキル−カルボニル基または(xi)C6−10アリールオキシ基で1ないし3個されていてもよい直鎖状C1−3アルキレン基である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が水素原子またはC1−6アルキル基である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が(i)水素原子、(ii)ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよいC6−14アリール基、または(iii)ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C2−6アルキニル基、C2−6アルケニル基、C7−11アラルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルコキシ基、C6−10アリールオキシ基、C1−6アルキル−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基、C6−10アリール−カルボニルオキシ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノC1−4アルキル基、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、3ないし6員環状アミノ基、C1−3アルキレンジオキシ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、スルファモイル基、モノ−C1−6アルキルスルファモイル基、ジ−C1−6アルキルスルファモイル基、C1−6アルキルチオ基、C6−10アリールチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C6−10アリールスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基またはC6−10アリールスルホニル基で1ないし3個置換されていてもよい5または6員芳香族複素環基である請求項2記載の化合物。
【請求項5】
がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1−6アルキルカルバモイル基、ジ−C1−6アルキルカルバモイル基、モノ−C6−10アリールカルバモイル基、ジ−C6−10アリールカルバモイル基、C6−10アリール基またはC6−10アリールオキシ基で1ないし5個置換されていてもよいC1−6アルキル基である請求項2記載の化合物。
【請求項6】
が水素原子またはC1−6アルキル基である請求項2記載の化合物。
【請求項7】
A環がハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環である請求項2記載の化合物。
【請求項8】
A環が
【化2】

〔式中、RはC1−6アルコキシ基を示す〕である請求項2記載の化合物。
【請求項9】
Xがエチレン基である請求項2記載の化合物。
【請求項10】
Yが結合手またはメチレン基である請求項2記載の化合物。
【請求項11】
が水素原子、Rが(i)水素原子または(ii)ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基またはC6−10アリール基で1ないし3個置換されていてもよい(a)C6−14アリール基または(b)5または6員芳香族複素環基、Rが1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、Rが水素原子、A環がハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環、Xがエチレン基、およびYが結合手またはメチレン基である請求項1記載の化合物。
【請求項12】
が水素原子、Rが水素原子、C6−10アリール基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基、Rが1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、Rが水素原子、A環がハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる置換基1ないし2個で置換されたベンゼン環、XがC2−4アルキレン基、およびYが結合手またはメチレン基である請求項1記載の化合物。
【請求項13】
2,2,2−トリフルオロ−N−〔2−(5−メトキシ−2−フェニル−1H−インデン−3−イル)エチル〕アセトアミド、N−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕プロピオンアミドまたはN−〔2−(5−メトキシ−1H−インデン−3−イル)エチル〕ブチルアミドである請求項1記載の化合物。
【請求項14】
式(i)
【化3】

〔式中、X’は請求項1記載のXで示される基から水素原子をひとつ取り除いた3価の基を、その他の記号は請求項1記載と同意義を示す〕または
(ii)
【化4】

〔式中、各記号は請求項1記載と同意義を示す〕で表される化合物またはその塩とカルボン酸、その塩またはその反応性誘導体、あるいはイソシアナート類とを反応させることを特徴とする請求項1記載の化合物の製造法。
【請求項15】
請求項1記載の化合物を含有してなる医薬組成物。
【請求項16】
メラトニン受容体親和性組成物である請求項15記載の組成物。
【請求項17】
生体リズム調節剤である請求項16記載の組成物。
【請求項18】
睡眠覚醒リズム調節剤である請求項16記載の組成物。
【請求項19】
時差ボケ調節剤である請求項11記載の組成物。
【請求項20】
睡眠障害治療剤である請求項15記載の組成物。
【請求項21】

【化5】

〔式中、……… は単結合または二重結合、
1aは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基、
は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基、
は置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基または置換基を有する水酸基、
は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基、
環は置換基を有していてもよいベンゼン環、
は置換基を有していてもよい低級アルキレン基、および
Yは結合手または置換基を有していてもよい低級アルキレン基を示す〕で表される化合物またはその塩を含有してなるメラトニン受容体親和性組成物。
【請求項22】
メラトニン受容体作動組成物である請求項21記載の組成物。

【公開番号】特開2006−117699(P2006−117699A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6261(P2006−6261)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【分割の表示】特願平8−195119の分割
【原出願日】平成8年7月25日(1996.7.25)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】