ベンゾヘテロサイクル誘導体の癌の予防及び治療又は癌転移抑制のための用途
本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体の新規な用途に関するものにして、より詳しくは、ベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む癌の予防及び治療用組成物に関する。本発明者等はKRSが67LRと相互作用することにより、癌(癌又は腫瘍)細胞の移動を促進して転移に影響を及ぼすことを究明し、KRS及び67LRの相互作用を阻害する物質が癌細胞の転移を抑制して癌を予防及び治療できることを確認した。従って、本発明の組成物は癌の転移を抑制するので癌の予防及び治療のための新たな手段を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年11月05日に出願された大韓民国特許出願第10-2009-0106350号を優先権主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体の新規の用途に関するものにして、より詳細には、ベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む癌の予防及び治療又は癌転移抑制用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
癌(又は腫瘍)は非正常的で、非制御性で無秩序な細胞増殖の産物である。特に、破壊的な成長性、浸透性及び転移性があれば悪性に分類される。浸透性とは、周囲の組織を浸透又は破壊する性質にして、一般的に組織の境界をなす基底層を破壊させ、腫瘍が局部的に伝播されることを意味し、たまたま体内の循環系にも流入される。転移とは、一般的にリンパ管(lymphotic)又は血管により初発位置とは異なる箇所に腫瘍細胞が広がることを意味する。転移はさらに、漿液性体腔又は他の空間を通じて直接伸長して腫瘍細胞を移動させることを意味する場合もある。
【0004】
現在、癌は主に3種の治療法、つまり外科的な手術、放射線照査及び化学療法の内の一つ又はこれらの組み合わせを通じて治療されている。手術は疾病組織を大部分除去することを含む。このような外科的な手術は特定部位、例えば、乳房、結腸及び皮膚に位置した腫瘍を除去するには効果的であるが、脊椎のような一部区域にある腫瘍を治療するか、又は白血病のような分散性腫瘍疾患の治療には使用できない。
【0005】
化学療法は、細胞複製又は細胞代謝を崩壊させ、また乳房、肺及び精巣の癌治療に広く使用されるが、腫瘍疾病の治療に使用される全身性化学療法の副作用は癌の治療をうける患者に最も問題となる。このような副作用の中でも目まいと嘔吐は一般的であって深刻な副作用である。化学療法による副作用は患者の生命に大きな影響を及ぼし、治療に対する患者の順応性を急激に変化させることができる。さらに、化学治療剤と関連した副作用には一般的に、このような薬物投与の際注意すべき容量制限毒性(DLT,Dose Limiting Toxicity)がある。例えば、粘膜炎は多くの抗がん剤、例えば、癌代謝物質細胞毒素剤である5−フルオロウラシル、メソトレキセート及び抗腫瘍抗生剤(例、トキソルビシン)等に対する容量制限毒性がある。このような化学療法由来の副作用の内、大部分は深刻な場合入院するか又は痛症治療のために鎮痛剤を必要とする場合もある。このような化学治療剤及び放射線治療による副作用等は癌患者の臨床的処置の際主要問題になっている。
【0006】
一方、腫瘍の転移は癌治療の生存率において決定的な要素である。67kDaのラミニン収容体(67LR)は原形質膜に包埋された(embedded)非インテグリン型受容体として、癌の浸濕(浸潤)及び転移と連関がある(Nelson, J. et al. The 67 kDa laminin receptor: structure, function and role in disease. Biosci. Rep. 28, 33-48(2008))。67LRはこれらの37kDa前躯体(37LPR)の重合(dimerization)により生成されるが、このような変化過程に対する分子的な細部機作は広く知られていない。37LPRはポリソーム形成に関与するリボソームサブユニットp40と同一である(Auth, D. & Brawerman, G. A 33-kDa polypeptide with homology to the laminin receptor: component of translation machinery. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 4368-4372(1992))。67LRは多様な種類の癌より高濃度で観察される(Nelson, J. et al. The 67 kDa laminin receptor: structure, function and role in disease. Biosci. Rep. 28, 33-48(2008); Menard, S., Castronovo, V., Tagliabue, E. & Sobel, M. E. New insights into the metastasis-associated 67 kD laminin receptor. J. Cell. Biochem. 67, 155-165(1997))。しかしながら、67LRの膜内存在における調節者や分子的メカニズムは未だに究明されていない。
【0007】
KRSは蛋白質合成のために同族の(cognate)アミノ酸及びtRNAを接合させるaminoacyl-t-RNA synthetases(ARSs)に属する。これら原始酵素等は触媒的活性の他にも多面的(pleiotropic)特徴を有する(Park, S. G., Ewalt, K. L. & Kim, S. Functional expansion of aminoacyl-tRNA synthetases and their interacting factors: new perspectives on housekeepers. Trends Biochem. Sci . 30 , 569-574(2005))。これに反してKRSを含む幾つかの哺乳類のARSは構成蛋白質の多様な機能を調節するために、分子貯蔵所(molecular reservoir)として作用する(Ray, P. S., Arif, A. & Fox, P. Macromolecular complexes as depots for releasable regulatory proteins. Trends Biochem. Sci. 32, 158-164(2007)巨大分子複合体を形成する(Lee, S. W., Cho, B. H., Park, S. G. & Kim, S. Aminoacyl-tRNA synthetase complexes: beyond translation. J. Cell. Sci. 117, 3725-3734(2004); Han, J. M., Kim, J. Y. & Kim, S. Molecular network and functional implications of macromolecular tRNA synthetase complex. Biochem. Biophys. Res. Commun. 303, 985-993(2003))。ヒトのKRSはRNAとその他の蛋白質間の相互作用に関与する固有のN末端延長部位を含有している(Rho, S. B. et al. Genetic dissection of protein-protein interactions in multi-tRNA synthetase complex. Proc. Natl. Sci. Acad. USA 96, 4488-4493(1999); Francin, M., Kaminska, M., Kerjan, P. & Mirande. M. The N-terminal domain of mammalian Lysyl-tRNA synthetase is a functional tRNA-binding domain. J. Biol. Chem. 277, 1762-1769(2002))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、本発明者等はヒトのライシルt-RNA合成酵素(lysyl-t-RNA)synthetase,KRS)の機能的多様性と関連して研究を重ねる中、この蛋白質と結合可能性がある蛋白質の一つとして37LRP/p40 を確認し、KRSが37LRPの重合により形成される原形質膜にあるラミニン受容体(67LR)を安定化させることにより、細胞移動及び癌転移を促進するなど、KRSが原形質膜のラミニン受容体を通じて癌転移又は癌細胞移動に影響を及ぼすことを究明し、KRSと67LRの相互作用を阻害する物質が癌転移を抑制することにより、癌の予防及び治療効果を有するので、これを阻害するベンゾ形態でサイクル誘導体の新たな用途を究明して本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明の目的はKRS及び67LRの相互作用を阻害して癌転移を抑制することにより、癌を予防及び治療するベンゾ形態でサイクル誘導体の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を含む癌の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を含む癌転移阻害用薬学的組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌の予防及び治療剤製造のための用途を提供する。
【0013】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌転移阻害剤製造のための用途を提供する。
【0014】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌の予防及び治療方法を提供する。
【0015】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌転移阻害方法を提供する。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明者等はKRSが癌転移又は細胞移動に及ぼす影響を初めて究明した。つまり、本発明はKRSが原形質膜のラミニン受容体(67LR)を通じて癌転移又は癌細胞移動に影響を及ぼすことを究明した。さらに、KRSと67LRの相互作用を阻害する物質の癌転移を抑制して癌の予防及び治療の目的に使用できることを初めて究明し、化合物のライブラリーをスクリーニングしてベンゾ形態でサイクル誘導体化合物を選別した。
【0018】
本発明で“KRS”、“KRS蛋白質又は“KRSポリペプチド”はライシルt-RNA合成酵素で知られているポリペプチドを意味する。前記KRSポリペプチドは当業界に知られたKRSポリペプチドでもあるが、好ましくは、Genbank Accession No.NP_005539に表示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドでもある。さらに、本発明のKRSはこれの機能的同等物を含む。
【0019】
本発明で機能的同等物とは、Genbank Accession No.NP-005539に表示されたアミノ酸配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の配列相同性(つまり、同一性)を有するポリペプチドを意味する。例えば、70%, 71%, 72%, 73%, 74%, 75%, 76%, 77%, 78%, 79%, 80%, 81%, 82%, 83%, 84%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, and 100%の配列相同性を有するポリペプチドを含むもので、Genbank Accession No.NP-005539に表示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドと実質的に同質の生理活性を表わすポリペプチドを意味する。ここで“実質的に同質の生理活性”とは、原形質膜のラミニン受容体と相互作用し、癌転移または癌細胞移動を調節することを意味する。
【0020】
本発明で“ラミニン受容体”または“67kDaのラミニン受容体(67LR)”は原形質膜に包埋された(embedded)非インテグリン受容体であって例えば、Genbank Accession No.NM_002295,S37431,AF284768,S37431,AF284768,JO3799,XP_370865,XP_001083023.に記載された塩基配列またはアミノ酸配列を有することができる。さらに、本発明でラミニン受容体はこれの機能的同等物を含む。
【0021】
本発明でのKRS及び67LRの相互作用の阻害は、当業界に広く知られた蛋白質、蛋白質相互作用の検出方法を利用することができ、例えば、試験管内蛋白質、蛋白質結合アッセイ(試験管内フルーダウンアッセイ)、EMSA(electrophoretic mobility shift assays)、蛋白質結合のための免疫アッセイ、機能的アッセイ(リン酸化アッセイ等)、非免疫沈澱アッセイ、免疫沈澱ウェスタンブロットアッセイ、免疫共同位置化アッセイ(immuno-co-localization)、交叉結合(cross linking)、親和クロマトグラフィー(affinity chromatography)、免疫沈降法(immunoprecipitation,IP)、イーストツーハイブリッド(yeast two-hybrid,Y2H)、蛍光共鳴エネルギー転移(fluorescence complementation,energy transfer,FRET)、分割蛋白質の再結合(bimolecular fluorescence complementation,Bi-FC)等当業界に広く知られた方法で実施できる。
【0022】
本発明の化合物のスクリーニング方法は例えば、バクテリアリプレッサーLexAまたは酵母GAL4のDNA結合ドメイン及び、酵母GAL4蛋白質のトランスアクチベーション(transactivation)ドメインにそれぞれ融合されたKRSと67LR、またはこれら蛋白質の一部または相同体(homologues)を発現する酵母を利用して、酵母-2ハイブリッドアッセイを実施することができる(KIM,M.J.et al.,Nat.Gent.,34:330-336,2003)。KRSと67LRの相互作用はLexA蛋白質またはGAL4のDNA結合ドメインに結合された調節配列を有しているプロモータの統制下でリポータ遺伝子の発現を誘導するトランスアクチベータを再構成させる。
【0023】
前記リポータ遺伝子では前記記載の通り、当業界に広く知られた検出可能なポリペプチドを符号化する遺伝子(例:CAT(chloramphenicol acetyltransferase)、ルシフェラゼー、ベータカラクトシダーゼ、ベータグルコシダーゼ、アルカリンホスファターゼ及びGFP(green fluorescent protein)等を使用できる。若し、KRSと67LR、又はこれらの蛋白質の一部又は相同体の相互作用は試験製剤により促進又は強化される場合、前記リポータ遺伝子の発現は正常条件に比べてさらに増加される。逆に、前記相互作用が試験製剤により阻害されるか又は弱化される場合、前記リポータ遺伝子は発現しないか又は正常条件に比べて発現程度が落ちる。
【0024】
さらに、リポータ遺伝子では酵母の成長を可能にする蛋白質(つまり、前記リポータ遺伝子が発現されない場合酵母の成長が抑制される)を符号化するものに選ばれることができる。例えば、アミノ酸又は窒素塩基のための生合成過程に関係のある酵素を符号化する栄養要求性(auxotropic)遺伝子(例:ADE3、HIS3等の酵母遺伝子又は他の種由来の同等遺伝子)でもある。このシステムから発現されたAIMP2とp53、又はこれら蛋白質の一部又は相同体の相互作用は試験製剤により抑制されるか又は弱化される場合、前記リポータ遺伝子は発現しないか又は発現程度が落ちる。従って、前記条件下で酵母の成長は停止又は遅くなる。このようなリポータ遺伝子の発現による効果は肉眼や装置(例:顕微鏡)を通じて観察するすることができる。
【0025】
本発明では前記スクリーニング方法を利用して、化合物ライブラリーをスクリーニングし、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピロール誘導体化合物がKRSと67LRの相互作用を阻害し、ガンの転移を阻害することによりガンを予防又は治療する効果があることを確認した。
【0026】
従って、本発明は下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体、又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むガンの予防及び治療用薬学組成物を提供する。
【化1】
【0027】
前記式で
【化2】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化3】
及び-NH-R5
からなる群より選ばれたものであり;
R4は水素又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化4】
及び
【化5】
からなる群より選ばれたものである。
【0028】
“アルキル”は鎖内に約1個乃至20個の炭素原子を含む直鎖又は側鎖でもある脂肪族炭化水素群を意味する。好ましくは、アルキル群は前記鎖内に約1個乃至12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル群は前記鎖内に約1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素原子を含む。側鎖は一つ以上の低級アルキル群、例えば、メチル、エチル又はプロピルが線状アルキル鎖に付着されていることを意味する。“低級アルキル”は直鎖又は側鎖でもある鎖内に約1個乃至6の炭素原子を有する群を意味する。“アルキル”は置換できないか又は、同一であるか又は異なることもあり、一つ以上の置換体により置換することができて、各置換体はハロゲン、アルキル、アリル、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、カルボキシなどでもある。アルキルはメチル、エチル、ブチル又はイソブチルでもある。
【0029】
“アルコキシ”はアルキル群が前記記載の通り、アルキルO群を意味する。適合したアルコキシ群の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシを含む。母残基に対する結合は酸素を通じる。好ましくは、アルコキシはメトキシ又はエトキシでもある。
【0030】
“アリル”は芳香族炭化水素環系を意味し、この例にはフェニル、インデニル、インダニル、ナフチル及びフルオレニルなどがある。
【0031】
“ハロゲン”は弗素原子、塩素原子、ブローム原子及びヨード原子を含むことができて好ましくは、弗素原子、塩素原子又はブローム原子でもある。
【0032】
“ハロゲンにより置換されたアルキル”は1乃至3個のハロゲン原子(等)により置換されたアルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、フルオロエチル、クロロエチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル、フルオロプロピル、フルオロブチル、フルオロヘキシルなどであり、好ましくは、ハロゲンで置換された(C1-C6)アルキル、さらに、に好ましくは、塩素又は弗素で置換された(C1-C6)アルキルでもある。さらに、好ましくは、トリフルオロメチルでもある。
【0033】
“ハロゲンにより置換されたアリル”は1乃至3個のハロゲン原子(等)により置換されたアリル基を意味し、例えば、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、クロロフェニル、フルオロエチル、クロロエチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル、フルオロプロピル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ブロモフェニル、ジブロモフェニル、トリブロモフェニル、ジフルオロベンジル、ジクロロベンジル、ジブロモベンジルなどがあり、好ましくは、クロロフェニルでもある。
【0034】
“アルキルにより置換されたアリル”又は“アリルアルキル”は1乃至3個のアルキル置換体により置換されたアルキル基を意味し、例えば、ベンジル、エチルフェニル、プロフィルフェニル、ジメチルフェニル、ジエチルフェニル、トリメチルフェニル、トリエチルフェニルなどがあり、ベンジルでもある。
【0035】
本発明の化合物は化学式1でR1は水素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、クロロ、ニトロ又はアミンでもあってR2は水素、2.4.6トリメチルフェニル(2,4,6-Trimethyl-phenyl)、2,6ジメトキシフェニル(2,6-Dimethoxy-phenyl)、
【化6】
又は-NH-R5としてR4は水素又はトリフルオロメチルであり、R5はフェニル、4-エチルフェニル(4-Ethyl-phenyl)、3,4-ジクロロフェニル(3,4-Dichloro-Phenyl)、4-フェニルアゾフェニル(4-Phenylazo-phenyl)でもある。さらに、 R3は水素、
【化7】
又は
【化8】
でもある。より具体的に、KRS及び67LRの相互作用を阻害して抗癌効果を示すのが確認された化合物及びこれの出所は下記表1の通りである。
【表1】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0036】
より具体的には、本発明は化学式2のN-(6-メトキシ-ベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシ-ベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン((5-Chloro benzooxazol-2-yl)-phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン(5-Chloro benzooxazol-2-yl)-(4-ethyl-phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)-(3,4-ジクロロフェニル)-アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro-phenyl)-amine)、化学式7の(-5ニトロベンゾオキサーゾル-2-イル)-(4-フェニルアゾフェニル)アミン((5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド((N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(-5ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式10のN-(5メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式11のN-(5メチルベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methyl-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzooxazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methyl-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の(2-(2,4,6-トリメチルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-Trimethyl-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2-[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾール-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methyl-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]butyricacid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl)-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-(5-フルオロ-1H-インドル-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むガンの予防及び治療用薬学組成物を提供する。
【0037】
本発明のスクリーニング方法を通じてスクリーニングされる化合物は、1次腫瘍細胞の転移を抑制するので多様なガンに適用することができる。これに制限はされないが、例えば、大腸癌、肺癌、肝臓癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血でもある。前記癌の予防及び治療は本発明のKRS及び67LRの相互作用の阻害により、癌細胞の移動又は転移が減少するので癌細胞の転移を抑制することで実施される。
【0038】
本発明の化合物はそれ自体、又は薬学的に許容可能な塩の形態で使用できる。本発明で“薬学的に許容可能な”とは、生理学的に許容されヒトに投与された時、通常的にアレルギー反応又はこれと類似した反応を引起こさないことを意味し、前記塩では薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が好ましい。前記遊離酸では有機酸と無機酸を使用することができる。前記有機酸はこれに制限されるものではないが、クエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、ホルム酸、プロピオン酸、オキサル酸、トリフルオロアセト酸、ベンゾ酸、グルコン酸、メタスルホン酸、グリコール酸、コハク酸、4-トルエンスルホン酸、グルタミン酸及びアスパラギン酸を含む。さらに、前記無機酸はこれに制限はされないが塩酸、臭素酸、硫酸及びリン酸を含む。
【0039】
本発明の化合物又はこれを含む組成物を臨床的に投与される場合に、本発明の組成物は経口又は非経口で投与に適した単位投与型の薬剤学的製剤に製剤化させて使用することができる。一般的な医薬品の形態で製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は本発明の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース又はラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。さらに、単純な賦形剤の他にマグネシウムスチレートタルクのような潤滑剤なども使用される。経口投与のための液状製剤には懸濁剤、内溶液剤、乳剤、シロップ剤などが懸濁によく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。非経口投与のための製剤には滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、軟膏剤、クリーム剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤にはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリブオイルのような植物性オイル、エチルオレエートのような注射可能なエステルなどが使用できる。
【0040】
さらに、本発明の化合物又はこれを含む組成物は非経口で投与することができ、非経口投与は皮下注射、静脈注射、筋肉内注射又は胸部内注射注入方式による。非経口投与用剤形に製剤するためには、本発明の化学式1乃至化学式17の化合物を安定剤又は緩衝剤とともに、水で混合して溶液又は懸濁液に製造してこれをアンプル又はバイアルの単位投与型に製剤化する。投薬単位は、例えば、個別投薬量の1,2,3又は4倍に、又は1/2,1/3又は1/4倍を含有することができる。個別投与量は有効薬物が1回に投与される量を含有し、これは通常1日投与量の全部、1/2,1/3又は1/4倍に相当する。特定患者に対する投与量水準は体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法及び排泄ならびに薬剤混合及び疾患の重症度により変化させることができる。
【0041】
これら製剤は全ての製薬化学に一般的に広く知られた処方書である文献(Remington's Pharmaceutical Science, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania 18042, chapter 87: Blaug, Seymour)に記載されている。
【0042】
前記の通り本発明の化合物は、KRS及び67LRの相互作用を阻害して1次腫瘍細胞又は癌細胞の移動や転移が容易になされないようにすることで、本発明は本発明の化合物又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むガン転移阻害用薬学的組成物を提供する。前記化合物は化学式1乃至化学式17に記載された化合物の一つでもある。
【0043】
一方、本発明の組成物は本発明の化合物、つまり、化学式1乃至化学式17に記載された化合物を0.001乃至99.999重量%、担体を99.999乃至0.001重量%で含有した組成物でもある。前記担体は薬学的に許容可能な担体でもある。
【0044】
本発明の薬学的組成物はガンを予防及び治療する効果を有する公知の化合物又は癌転移を抑制する効果を有する公知の化合物と併用して投与することができる。
【0045】
本発明の化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩のガンの予防及び治療剤製造のための用途を提供する。
【0046】
さらに、本発明の化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌転移阻害剤製造のための用途を提供する。
【0047】
本発明は化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌の予防及び治療方法を提供する。
【0048】
本発明は化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌転移阻害方法を提供する。
【0049】
前記ベンゾヘテロサイクル誘導体は化学式1乃至化学式17で記載された化合物の一つでもある。
【0050】
本発明のベンゾヘテロサイクル誘導体及びこれの薬学的に許容可能な塩は、有効量で経口、経皮、皮下、静脈又は筋肉を含む多様な経路を通じて投与される。前記にて“有効量”とは、患者に投与した際、ガンの治療及び予防効果又は癌転移抑制効果を示す量を意味し、前記“個体(subject)”とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物でもあって、動物から由来した細胞、組織、器官でもある。前記個体は治療を要する患者でもある。
【0051】
前記本発明のベンゾヘテロサイクル誘導体及びこれの薬学的に許容可能な塩は、それ自体をそのまま投与するか又は前述した通り、多様な製剤に製造されて投与することができ、望む効果、つまり、ガンの予防及び治療効果又は癌転移抑制効果が表われるまで投与することができる。本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩は、当業界に広く知られた方法により多様な経路で投与することができる。経口又は非経口、例えば、口腔、筋肉内、静脈内、皮内、動脈内、骨髄内、境膜内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下又は皮下投与されるか又は、胃腸管、粘膜又は呼吸器から投与することもできる。例えば、本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩を皮膚に直接塗布する方法又は前記ポリペプチドを注射用製剤に製造してこれを30ケージの細い抽出針で皮膚下層に一定量を注入、又は注射針で皮膚を軽く短刺(prick)する方法で投与することもでき、皮膚に直接塗布することもできる。さらに、本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩は標的細胞や組織(例:皮膚細胞や皮膚組織)に高親和性結合を誘発する分子と結合されるか、又は前記分子内にカプセル化された形態で投与することもできる。本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩は当業界に広く知られた技術を利用してステロール(例:コレステロール)、脂質(例:陽イオン脂質、ビロソーム又はリポソーム)又は標的細胞特異的結合剤(例:標的細胞特異的受容体により認知されるリガンド)と結合することもできる。適合したカップリング剤又は架橋剤には例えば、蛋白質 A、カボジイミド、N-コハクイミジル-3-(2-ピリジルチオ)プロピオテート(SPDP)などを含むことができる。
【0052】
これらの製剤は製薬化学に一般的に、知られた処方書である文献(Remington's Pharmaceutical Science, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania)に記述されている。
【0053】
参考に、本明細書で言及したヌクレオチド及び蛋白質作業には下記の文献を参照することができる。(Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989); Deutscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, vol. 182. Academic Press. Inc., San Diego, CA(1990))。
【0054】
本発明に記載された図面に対して下記の通り説明する。
【0055】
図1乃至6はヒトKRSとラミニン受容体の特異的な相互作用を確認したものである。図1で、全体の長さのヒトKRSと67LR/p40間の相互作用はイーストツーハイブリッド分析を通じて実施された。多重ARS複合体の二つの構成要素であるAIMP1及びAIMP2はそれぞれ陽性及び陰性対照群として使用された。陽性相互作用はX-galを含有した酵母培地で青色コロニーの形成により標識された。図2で67LRPは35Sメチオニンの存在下でin vitro翻訳により合成され、これらをGST-KRS又はGSTと反応した(pull-down)。GST-KRSと共沈澱された(co-precipitated)37LRPは自家放射撮影法を利用して測定した。図3でKRS及び67LRPの相互作用に連関されたペプチド部位はイーストツーハイブリッド分析を通じて測定された。N末端の細胞内部位(54乃至113番目のアミノ酸)及びC末端の細胞外部位(137乃至210番目のアミノ酸)を有している296個のアミノ酸を有する37LRPは膜間ドメイン(113乃至137番目のアミノ酸)により区分される。ヒトのKRS(597個のアミノ酸)のN末端特異的拡張(約70個のアミノ酸)部位の次にOB-foldアンチコードン結合性ドメイン(約70乃至214のアミノ酸)と触媒ドメイン(約220乃至574アミノ酸)が位置している。図4でMyc-KRSに感染されたA549細胞を溶解して表示された形態で免疫ブロットを実施した(WCL:whole cell lysate)。細胞は細胞質及び膜分画で分画し、抗-Myc抗体で免疫沈澱した。さらに、67LR及び37LRPの共沈澱はウェスタンブロットで確認した。IgGは対照群に使用した。図5で、Myc-KRSに感染されたA549細胞の溶解物を指示した抗体でウェスタンブロットを実施した。細胞は細胞質(C)及び膜分画(M)で分離され、抗Myc抗体で免疫沈澱され、67LRP及び67LRで共沈澱されたことをウェスタンブロットで調査した。対照群としてはIgGを使用した。図6でKRS67LRのラミニン依存性相互作用を共沈澱に確認した。ラミニン(10μg/ml,1h)処理した場合、67LR及びKRS間の結合が増えたことを確認した。これの確認のため、67LRを認識するantibody(abcan,cat#ab2508)で免疫沈澱(immunoprecipitation)をなし、左側のIgGラーベルは兎から得た全体IgG(total IgG)として陰性対照群に使用された。10%SDS PAGEを行いPVDF膜に移した後、KRSと67LRを認識する抗体でそれぞれ免疫ブロットをした。
【0056】
図7乃至12はラミニン誘導性膜転座(translocation)及びKRSのリン酸化に対して確認したものである。図7でA549細胞をラミニン(10μg/ml)で処理してウェスタンブロットを利用して67LR、37LRP及びKRSの量(level)を時間帯別に観察した。Hsp90及びカドヘリン(Cad)をそれぞれ細胞質及び膜のマーカーとして使用した。図8でA549細胞を1時間ラミニンで処理、又は無処理して抗67LR(MLuC5,Santacruz,sc-59732)(赤色)及びKRS抗体(緑色)使用して免疫蛍光染色を実施した。図9で549細胞をPLC-ガンマ、PKC及びPI3Kをそれぞれ抑制するU73122(U)、スタウロスポリン(staurosporin,ST)及びLY294002(LY)で3時間処理し、ラミニンで1時間処理した後、これらリン酸化酵素抑制剤が67LR及びKRSの細胞質及び膜にどのような影響を及ぼすかを確認した。図10でA549細胞をMyc-KRSで感染させて24時間培養した。その後、表示された(indicated)薬物で処理して、前記の通りラミニンで処理した。Myc-KRSを免疫沈澱させ、抗-p-Thr,Ser,及びTyr抗体で免疫ブロットを実施した。図11でA549細胞をMyc-KRSで感染させて24時間培養した。感染されたLY294002で3時間処理し、ラミニンで1時間処理した。Myc-KRSは免疫沈澱され、67LRの共沈澱はウェスタンブロットで調査した。免疫沈澱法の対照群としてIgGを使用した。図12で前記の通り、A549細胞をラミニン及びLY294002の存在又は不在下で培養した。EPRS(glutamyl-prolyl-tRNA synthetase)はこれに特異的な抗体(AbCam)と免疫沈澱されて、KRSの共沈澱はウェスタンブロットで確認した(上)。免疫消尽上澄液(immune depleted supernatant:ID)で抗KRS及びEPRS抗体とウェスタンブロットを行った。
【0057】
図13乃至図17は膜結合67LRの水準はKRSに依存する点を確認したものである。図13でA549細胞をEV又はKRS又はsi対照群(si cont)又はsi KRSで感染させて、細胞を細胞質と膜分画に分けてそれぞれの分画での67LR及びKRSの量をウェスタンブロットで確認した。カドヘリン(赤色)及びhsp90をそれぞれ細胞膜及び細胞質のマーカーに使用した。図14でEV(共ベクター又はKRSで感染させたA549細胞をG418で1週間選別して、抗LR抗体(MluC5)を利用した免疫蛍光染色を利用して67LRの細胞内分布を確認した。膜に分布したLRは矢印で強調した。図15でA549細胞において膜結合性67LRの量は抗LR抗体(MluC5)を利用して遊細胞分析機で観察した。共ベクター又はKRSプラスミドで感染された細胞等を24時間培養した。(上)67LRの量においてKRS抑制の効果を確認するために、細胞をsiKRS又はsi対照群に感染させて48時間培養した。(下)図16で67LRの細胞的安全性においてKRSの重要性はパルスチェイス実験を通じて調査された。293細胞をsiKRS又はsi対照群に感染させて放射性メチオニンを1時間反応させた。67LRを67LRに特異的に反応する抗体(F-18,Santacruz)と免疫沈澱させて、SDA-PAGEにより分離させ、自家放射撮影法を実施した。特異性siRNAによるKRSの抑制はウェスタンブロットにより行われ、ローディング対照群としてチューブリンを使用した。
【0058】
図17乃至図20はKRSは67LRを通じて細胞移動及び癌転移を促進する点を確認したものである。図17でA549細胞を表示されたプラスミドで感染させ、ラミニンの不存在(図21)又は存在(図17)下で培養し、これらの細胞移動に対する効果はトランスウェルチャンバーで移動した細胞を測定して確認した。膜を通過した細胞の数を計数して各パネルに表示した。実験は3回繰返した。図18で前記の通り処理した細胞等をMMP-2の活性及び量測定のためにそれぞれザイモグラフ(上)及びウェスタンブロット(中)実施のために使用した。アクチンはローディング対照群で使用した。図19で乳房癌細胞株である4T-1細胞を表示されたsiRNAで感染させ、Balb/Cマウスの背に皮下注射した。27日経過後マウスの肺を摘出して直径1mm以上の腫瘍結節を計数した。図20で外因性KRS(KRS-1,及びKRS-2)を発現する2種の相異する4T-1細胞を前記の通り接種して4〜5週間経過後腫瘍結節を計数した。共ベクターを感染させた細胞を対照群に使用した。
【0059】
図21乃至図24は細胞移動、蛋白質合成及び細胞周期において、細胞内及び細胞外KRSの効果を確認したものである。図21でラミニン不存在下で培養されたA549細胞の移動はトランスウェルチャンバーで移動した細胞を測定して図17での通り確認した。図22でKRSの細胞外化学走性的(chemotactic)活性確認のため、表示された濃度でKRSを含む無血清培地をトランスウェルチャンバーの下のチャンバーに入れ、A549細胞を上のチャンバーに入れて培養して移動した細胞を計数した。図23でA549細胞からKRSの量はsiRNAと外因性KRSの導入により下落調節又は上昇調節された。感染された細胞はそれぞれ48時間及び24時間培養され、無メチオニン培地で1時間培養して栄養欠乏状態にした後、放射性標識がなされたメチオニンで2時間標識した。洗浄後細胞を4時間培養して0.5%のトリトンX-100溶解液で溶解させ、放射性活性を液状閃光計数機(liquid scintillation counting)で測定した。図24でA549細胞を表示された通り感染させて固定させ、プロピジュームアイオダイド(Propidium iodide)で染色して流細胞分析機で分析した。
【0060】
図25乃至図27は癌転移においてKRSの抑制効果を確認したものである。図25で標的蛋白質の発現において、siKRS及びsiDRSの効果はウェスタンブロットにより調査された。ローディング対照群としては、チューブリンを使用した。図26でsiRNAが感染された細胞(1x106)を前記の方法と同じく注射した。21日経過後腫瘍の大きさ及び体積を測定して1次腫瘍増殖においてKRS及びDRS抑制の効果を調査した。それぞれの群は6匹のマウスを使用した(図19で1匹、図27で5匹表示)。図27で前記マウスから摘出された肺は10%ホルマリン溶液に固定された。転移性腫瘍結節及び数は表示の通りである。
【0061】
図28乃至図30は癌転移においてKRS過発現の効果を確認したものである。図28でKRS1及びKRS2細胞株の過発現はウェスタンブロットにより観察された。図29で1次腫瘍増殖におけるKRS過発現の効果は互いに比較された。図30で腫瘍転移におけるKRS過発現の効果は接種後30日目に調査された。それぞれの群は4匹のマウスを使用した(図20で代表的な1匹、図30で4匹表示)。
【0062】
図31乃至図36はKRS及び67LR間の相互作用の化合物による阻害及び67LRの細胞内安全性に及ぼす影響を示したものである。図31では化学式15の化合物(CAND KL1,KL1)50μg/mlで表示された対の蛋白質を含む酵母細胞の成長阻害を示す。対照群はDMSOを処理した細胞のOD値で示した。図32はCAND-KL1の存在又は不存在下で表示された相互作用の対を有する酵母細胞を含むウェルにおける細胞成長を示した写真である。図33で293細胞から共免疫沈澱法によりKRS及び67LR間の相互作用に対するKL1の容量依存性効果を試験した。細胞はKL1で3時間処理して67LRを免疫沈澱し、KRSの共沈澱はウェスタンブロットで確認した。図34で表示された量でKL1が存在する中で、放射線同位元素で合成されたラミニン受容体をGST-KRS(1μg)と混合した。GST-KRSをグルタチオンセファロスビード(glutathione Sepharose beads)で沈澱させ、共沈澱されたラミニン受容体を放射線撮影で検出した。図35では549細胞から67LR及び37LRPの細胞内水準にKL1が及ぼす影響をウェスタンブロットで検査した。図36ではKRS及びCAND-KL1間の相互作用を実験方法に記載された通り、表面プラスモン共鳴(surface plasmon resonance)方法により検査した。GST-KRSはCM5センサチップ(CM5 Sensor Chip)に付着し、表示された濃度(相異する色で表示)で共鳴ユニット(resonance unit,RU)により結合を測定した。GST蛋白質はKRS特異的結合親和度を測定するために対照群に使用した。外見結合定数(apparent binding constant)はBLAevaluationプログラムを利用して得た。
【0063】
図37乃至図43はKRSラミニン受容体の阻害が細胞移動及び癌転移を抑制することを示す。MMP2活性(図37)及び細胞移動(図38及び図39)に対するKL1の用量依存的効果を測定した。細胞移動に対しては細胞をKL1で8時間処理した。図40では細胞の蛋白質合成に対するKL1の効果を確認するために、A549細胞をKL1で表示された濃度で処理した後、無メチオニン培地で飢餓処理した(starved)。その後[35S]メチオニンを2時間添加した。以後細胞を完全培地(complete medium)で4時間培養した後、シンチレーション計数機で添加されたメチオニンの量を測定した。図41でKL1の用量依存的細胞毒性をA549細胞を利用して測定した。図42で癌転移に対するKL1の効果を前記記載の方法で測定した。それぞれの群は6匹のマウスでなされ、KL1は3週間1日1回30mg/kgの用量で腹腔内に注射した。その後マウスより直径1mm以上の転移された腫瘍結節の数を計数して平均を示した(左側)。代表的な肺の写真は右側に示した。図43でKL1を処理した群と、処理しない群の1次腫瘍(primary tumor)を観察した結果、体重と大きさに差がないことが確認された。
【発明の効果】
【0064】
本発明者等はKRSが67LRと相互作用することにより、癌(又は腫瘍)細胞の移動を促進して癌転移に影響を及ぼすことを究明し、KRS及び67LRの相互作用を阻害する物質が癌細胞の転移を抑制してガンを予防及び治療できることを確認した。従って、本発明の組成物は癌の転移を抑制するのでガンの予防及び治療のための新たな手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1はヒトKRSと37LRP/p40間の相互作用をイーストツーハイブリッド分析を通じて確認したものである。
【図2】図2はヒトKRSと37LRPの相互作用をフルダーウン分析を通じて確認したものである。
【図3】図3はヒトKRSと37LRPの相互作用部位を確認したものである。
【図4】図4はKRSと67LR及び37LRPとの結合を確認するためにMyc-KRSに感染されたA549細胞に対して抗Myc及び抗ラミニン受容体抗体を利用して免疫ブロット分析をした結果である。
【図5】図5はKRSの67LR及び37LRPとの結合を確認するためにMyc-KRSで感染されたA549細胞の溶解物に対するウェスタンブロット分析をした結果である。
【図6】図6はラミニン処理に伴うKRS及び67LRの結合を免疫沈澱で確認したものである。
【図7】図7はA549細胞にラミニン処理の際67LR、37LRP及びKRSの量をウェスタンブロットで確認したものである。
【図8】図8はA549細胞にラミニン処理又は無処理の際67LR及びKRSの発現を免疫蛍光染色で確認したものである。
【図9】図9はリン酸化酵素抑制剤が67LR及びKRSの細胞質及び膜での発現に及ぼす影響を確認したものである。
【図10】図10はKRSを発現するA549細胞からラミニン及びリン酸化酵素抑制剤処理の際、リン酸化程度をp-Thr、Ser、及びTyr抗体で免疫ブロットを実施して確認したものである。
【図11】図11はKRSを発現するA549細胞からリン酸化されたKRSの67LRとの結合可否をウェスタンブロットで確認したものである。
【図12】図12はKRSとEPRSの結合にラミニンが及ぼす影響をウェスタンブロットで確認したものである。
【図13】図13はsi対照群又はsiKRSの形質感染の際、67LR及びKRSの量をウェスタンブロットで確認したものである。
【図14】図14はEV(共ベクタ−)又はKRSで感染させたA549細胞に対して67LRの細胞内分布を免疫蛍光染色で確認したものである。
【図15】図15はA549細胞において膜結合性67LRの量を遊細胞分析機で確認したものである。
【図16】図16は67LRの細胞的安全性にKRSが及ぼす影響をパルスチェイス実験で確認したものである。
【図17】図17はKRS及び/又は67LRの発現抑制の際、細胞移動に及ぼす影響を確認したものである。
【図18】図18はKRS及び/又は67LRの発現抑制の際、MMP-2活性及び量をザイモグラフ及びウェスタンブロットで確認したものである。
【図19】図19は4T-1細胞株が移植されたマウスでKRS発現抑制の際、腫瘍結節の数を示したものである。
【図20】図20は4T-1細胞株が移植されたマウスでKRS発現増進の際、腫瘍結節の数を示したものである。
【図21】図21はラミニン不存在下で培養されたA549細胞の移動を測定したものである。
【図22】図22は細胞移動に対するKRSの化学走性的(chemotactic)活性を測定したものである。
【図23】図23はA549細胞からsiRNAと外因性KRSの導入に伴うKRSの量及び細胞内全体の蛋白質活性量を確認したものである。
【図24】図24はA549細胞からsiRNAと外因性KRSの導入に伴うKRSの量及び細胞周期を確認したものである。
【図25】図25は標的蛋白質の発現においてsiKRS及びsiDRSの効果をウェスタンブロットで確認したものである。
【図26】図26は腫瘍細胞移植に伴う1次腫瘍増殖において、KRS及びDRS抑制効果を確認したものである。
【図27】図27は腫瘍細胞移植に伴う転移性腫瘍結節及び数を確認したものである。
【図28】図28はKR-1及びKRS-2細胞株のKRSの過発現をウェスタンブロットで確認したものである。
【図29】図29は腫瘍細胞移植に伴う1次腫瘍増殖において、KRS過発現の効果を確認したものである。
【図30】図30は腫瘍細胞移植に伴う転移性腫瘍結節を確認したものである。
【図31】図31は本発明の化合物(CAND-KL1,KL1)50μg/mlからKRS及び67LR(KRSLR);KRS及びAIMP2(KRS-AIMP2);及びMRS及びAIMP3(MRS-AIMP3)蛋白質を含む酵母細胞の成長阻害を示したものである。
【図32】図32は本発明の化合物の存在ま不存在下で酵母細胞の成長を示したものである。
【図33】図33は293細胞から共免疫沈澱によりKRS及び67LR間の相互作用に対するKL1の用量依存性効果を試験したものである。
【図34】図34本発明の化合物の量に伴うKRS及び67LR相互作用を67LRをKRSと共沈澱させて確認したものである。
【図35】図35はA549細胞から67LR及び37LRPの細胞内水準に本発明の化合物が及ぼす影響をウェスタンブロットで確認したものである。
【図36】図36はKRS及び本発明の化合物間の相互作用を表面プラスモン共鳴(surface plasmon resonance)方法で確認したものである。
【図37】図37は本発明の化合物がMMP2活性に及ぼす影響を確認したものである。
【図38】図38は本発明の化合物が細胞移動に及ぼす影響を確認したものである。
【図39】図39は本発明の化合物が細胞移動に及ぼす影響を定量的に確認したものである。
【図40】図40は本発明の化合物が細胞の蛋白質に及ぼす影響を確認したものである。
【図41】図41は本発明の化合物が有する細胞毒性をA549細胞を利用して確認したものである。。
【図42】図42は本発明の化合物が癌転移に及ぼす影響を確認したものである。
【図43】図43は本発明の化合物が1次腫瘍の重量及び体積に及ぼす影響を確認したものである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0067】
ただし、下記実施例は本発明を例示するのみ、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0068】
<実験方法>
1.細胞培養及び材料等
A549及びHEK293細胞はATCCから購入した。マウス乳房癌(mammary carcinoma)4T-1細胞株は、キム ソンーチン博士(カチョン医大)から得た。10%牛胎児血清(Fetal bovine serum,FBS)及び1%抗体を含むRPMI(A549細胞及び4T1細胞に対する)及びDMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium,他の細胞に対する)培地を細胞培養に使用した。37LRPを符号化するpcDNA3.1ベクターは、タチバナ ヒロフミ博士(九州大学)から得た。Mycが付着された(Myc-tagged)ヒトKRS及びDRSはpcDNA3ベクターのEcoRI/XhoI制限酵素部位にクローニングした。齧歯類KRScDNAはRT-PCRで確保し、pcDNA3.1ベクターのHindIII/XhoI制限酵素部位にクローニングした。齧歯類及びヒトKRS及びDRSにターゲティング(targeting)するsiRNAはInvitrogen社から購入した。siRNAの配列は要請すれば提供されるであろう。遺伝子ポーター(Gene poter,GTS)及びリポペクタミン2000(invitrogen)は形質感染試薬に使用された。LY294002、U73122及ぼすスタウロスポリン(staurosporin)はCalbiochemから購入し、シクロヘキシマイド(cycloheximide)及びラミニン(Laminin Engelbreth-Holm-Swarm murine sarcoma)はSigmaから購入した。
【0069】
2.免疫沈降及びウェスタンブロット
細胞を150mM NaCl,0.5%トリトンX-100,0.1%SDS及び蛋白質分解酵素阻害剤を含む20mM Tris-HClバッファ(pH7.4、溶解バッファ)で溶解した。蛋白質抽出物を正常IgG及び蛋白質Gアガロスと2時間培養した後(incubation)、非特異的にIgGに結合した蛋白質を除去するために遠心分離した。上澄液を精製ドニー67LR抗体(F18,Santacruz)と混合して揺り動かしながら4℃で2時間培養し、蛋白質Aアガロスを混合した。氷で冷却した溶解バッファを利用して3回洗浄した後、沈澱物をSDSサンプルバッファに溶解させ、SDS-PAGEで分離した。相異する細胞分画でKRS及びLRの結合を確認するために、pcDNA3.1-Myc-KRSで形質感染し、proteoextractキット(Calbichem)を利用して製造社の指針に従ってプラズマメンブレンとサイトプラズム分画を分離し、前記の通り共同免疫沈降を行った。蛋白質水準を分析するために、蛋白質を細胞から抽出して10%SDS-PAGEで分離した。別に言及しない限り抗LR抗体(Abcam,ab2508)を37LRP及び67LRの同時免疫ブロッティングに使用した。hsp90及びパンカドヘリン(Pan-cadherin)に対する抗体はSantacruzから購入した。
【0070】
3.流細胞分析(flow cytometry)
細胞サイクルをaddressするために、培養された細胞を表示されたベクター又は化合物に形質感染又は処理して70%のエタノールで4℃で1時間固定した後、氷で冷却したPBSで2回洗浄した。その後、細胞をpropidium iodide(50μg/ml), 0.1% sodium citrate, 0.3% NP40, and RNaseA(50μg/ml)で40分間染色してフローサイトメトリー(FACS Calibur,Beckton-Dickinson)を行った。それぞれのサンプルに対してCell Quest proソフトウェアを使用して20000細胞を分析した。細胞表面の67kD LRの量を分析するために、1X10 6細胞をIgG又は67LRの細胞外ドメインを認識する抗LR抗体(MLuC5,1μg)と培養し、FITC2次抗体と培養した。PBSで洗浄してサンプルをFACSでスキャニングした。
【0071】
4.免疫蛍光染色
9mmカーバスリップ(cover slip)上のA549細胞を70%メチルアルコールで固定して、冷却されたPBSで洗浄した。1%CAS、3%BSA及び0.5%triton X-100を含むブロッキングバッファで30分間処理した(incubation)後、細胞をKRSに対する抗体(Abcam)、及びMLuC-5に対する抗体(Santacruz)で1時間培養した。アレキサ488及び568(invitrogen)を添加して室温で30分間処理した。冷却したPBSで30分間洗浄した後、標本をレーザースキャニングマイクロスコフィーで観察した。
【0072】
5.パルスチェース実験(Pulse chase experiment)
293細胞をリポペクタミン2000を利用して、siKRS又はsi対照群(invitrogen)で形質感染させた。これをメチオニンが含まれていない培地で1時間培養し、[35 S]メチオニン(50μCi/ml)を添加して1時間培養した。新鮮な培地で放射線メチオニンを洗浄した後、67LRをこれに特異的な抗体(Santacruz)で免疫沈降させ、12%SDS PAGEで分離し、BAS(FLA-3000、Fujifilm)を利用して露出させた(autroadiography)。67LRの量はMulti gaugeプログラム(V3.0,Fujifilm)を利用して測定した。
【0073】
6.イーストツーハイブリッド(yeast two hybrid)分析
ヒトKRSの多様な断片を符号化するcDNAを相応するプライマーを利用してPCRで得た。KRSに対するPCR産物をEcoRI及びXhoIで切断し、pEG202ベクター(LexA融合蛋白質の製造のため)及びpJG4-5ベクター(B42融合蛋白質の製造のため)の相応する位置に連結した。37LRP断片を符号化するcDNAはBarbara J.Ballermann博士(アルバータ大学)から得て、これをpJG4-5ベクターのEcoRI及びXhoI部位に挿入した。二つの融合蛋白質間の相互作用はX-gal含有酵母培地上で青色コロニーの形成可否で分析した。
【0074】
7.In vitro結合分析
GST-KRS又はGSTを大腸菌ロジェタ(DE3)ストレインで発現させ、前記蛋白質抽出物を1%-Triton X-100及び0.5% N-ラウリルサコシンが含有されたPBSバッファで4℃で2時間グルタチオンセファロースと混合した。ヒト37LRPは TNT Quick coupled Transcription/Translation system(Promega)を使用し、pcDNA-37LRP を鋳型に使用して、[35 S]メチオニンの存在下でin vitro translationにより合成した。合成された37LRPは前記GST蛋白質混合物に添加し、1%-Triton X-100、0.5% N-ラウリルサコシン、1mM DTT,2mM EDTA及び 300μMフェニルメチルスルホニルフルオライドが含有されたPBSバッファで撹拌しながら4℃で4時間培養して、0.5%-Triton X-100を含有する同じバッファで6回洗浄した。その後、セパロスビードで結合された蛋白質を、SDSサンプルバッファで溶出してSDS-PAGEで分離し、放射線を測定した(autoradiograph)。
【0075】
8.細胞移動(cell migration)分析
細胞移動は先行文献(Park, S. G. et al. Human lysyl-tRNA synthetase is secreted to trigger pro-inflammatory response, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 102, 6356-6361(2005))に記載された通り、ポリカーボネート膜(8.0μm 空隙サイズ、Costar)を有する、24ウェルトランスウェルチャンバーで測定した。A549細胞を無血清(serum-free)RPMI培地に懸濁した後、各ウェル当たり1x105細胞の濃度で上位チャンバーに入れた。表示された濃度の精製されたヒトKRS、ラミニン(10μg/ml)又はゼラチン(10μg/ml)を下位ウェルに入れて細胞がCO2培養器で37℃で6時間移動するようにした。細胞は70%メチルアルコールを含むPBSで30分間固定してPBSで3回洗浄した。細胞をヘマトシリン(Sigma)で10分間染色後蒸留水で洗浄した。綿棒で膜の上の部分で移動しない細胞を除去した。膜をチャンバーから分離してGel Mount(Biomeda,米国)に上げておいた(mount)。移動した細胞(膜の下位面に付着したもの)を顕微鏡下で(x20)4ヶ所を選別する方式で測定した。
【0076】
9.ザイモグラフィー(zymography)
表示されたsiRNA及び再組合せKRS(又はDRS)を符号化するプラスミドで形質感染されたA549細胞をそれぞれ48時間及び24時間培養して、10% FBSを含有するRPMI培地に接種した(1X105 細胞/ウェル)。細胞を無血清RPMI培地で2時間飢餓処理(starving)した後、ラミニンを添加して10μg/mlで24時間培養した。20μlの培養培地を5x FODバッファ(4% SDS,20%グリセノール及び0.01%ブロモフェノールブルーを含有する0.125MTris-HC1,pH6.8)と混合して、1mg/mlのゼラチンを含有する10%SDS-PAGEを行った。ゲルを2.5%トリトンx-100でそれぞれ20分ずつ2回洗浄し、蒸留水でそれぞれ20分ずつ2回洗浄して、反応バッファ(10 mM CaCl2, 150 mM NaCl, 1 μM ZnCl2, 1% Triton X-100, and 0.002% sodium azide)を含有する50mM Tris-HC1,pH7.5)と37℃で4時間培養した。ゲルを蒸留水で洗浄し、クマシブルーR250で染色して35%メタノールで脱染(destain)した。
【0077】
10.生体内癌転移実験
マウス乳房癌細胞4T-1細胞をsiKRS,siDRS又はsi対照群で形質感染させ、24時間培養した。細胞(1X106)を6週令の雌Balb/cマウスの背に皮下注射した。目標遺伝子の発現に対するsiRNAの効果は形質感染48時間後に残った細胞で実験して、3乃至10日まで注入後2日おきに1次腫瘍でも相応する抗体を使用したウェスタンブロットで前記siRNAの効果を試験した。腫瘍の成長は1週に3回腫瘍の大きさを測定することで観察した。全体の体重も同時に測定した。注入後21日目にマウスから1次腫瘍及び肺を摘出した。肺は10%のホルマリンで24時間固定した。肺から転移性腫瘍結節の数及び大きさを測定し、直径1mm以上の腫瘍結節は別に記録した。1次腫瘍の重量も測定した。癌転移に対するKRS過発現の効果を検査するために、齧歯類KRS及び共ベクターを4T-1細胞に形質感染させて、安定的な形質感染体をG418の存在下で3週間培養して選別した。その後複数個の単一コロニーを選びウェスタンブロットでKRSの発現を比較した。KRSを対照群細胞に比べて高い水準で発現する2個の相異するコロニー(KRS-1及びKRS-2)を選別して注入に利用した。全ての過程は注入30日後にマウスを犠牲させたことを除いては前記での通りに行った。
【0078】
11、癌転移抑制活性テスト
化合物ライブラリをスクリーニングして得た本発明の化合物に対してKRS及びラミニン受容体(67LR)間の相互作用を阻害程度をイーストツーハイブリッド方法により下記の通り確認した。LexAベクター(clontech)及びB42ベクターにそれぞれKRS、LR、AIMP2,AIMP3及びMRSをそれぞれクローニングして必要とするベクターを製造した。その内でLexA-KRS及びB42-LRベクターを酵母EGY/SH細胞に共同形質転換(co-transformation)させて、前記酵母細胞をウラシル(Ura)、ヒスチジン(His)、トリプトファン(Yrp)及びルシン(Leu)がないガラクトース培地で吸光度(540nm波長)が0.2になるように希釈後 200μずつ96well plateに入れた。10mg/ml濃度のそれぞれの化合物 1μ1をそれぞれのウェルに入れ、6日間培養後540nmで吸光度を測定した。本発明者等は対照群の成長に比べて50%以上成長が減少する化合物を選別した。選別された化合物の阻害特異性はLexAKRS/B42-AIMP2及びLexA-MRS/B42-AIMP3と同じ別の2個の相互作用の対を使用してテストした。
【0079】
12.細胞蛋白質合成
A549細胞を表示した濃度の化学式15の化合物(2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾール3-イル]ビューティリキ酸、CAND-KL1又はKL1で表示)で処理後、細胞を無メチオニン培地で30分間培養し、[35 S]メチオニン(10mCi/ml)を添加して2時間培養した。細胞を再度完全培地で4時間培養して細胞を集めた。これを分解して細胞の放射線量をシンチレーション計数機で測定した。
【0080】
13.細胞毒性分析
104 A549細胞を96ウェルプレートに入れて、表示された濃度の化学式15の化合物で24時間処理した。以後、製造社の指針に従いEZ-cytox(Daeil Lab,Korea)化合物をそれぞれのウェルに10μlずつ入れて2時間培養した。マイクロプレートリーダーを利用して吸光度を420nmで測定した。
【0081】
14.表面プラスモン共鳴分析(surface plasmon resonance assay)
KRS及び化学式15の化合物間の相互作用をBIAcore3000(GE healthcare)を利用して検査した。GST及びGST-KRSを希釈して10mMアセト酸ナトリウム(sodium acetate.pH5.0)で20μg/mlに合わせた。それぞれの蛋白質をCM5センサーチップ(CM5 sensor chip,GE healthcare)の表面に付着させた。CAND-KL1を1%-DMSOを含むPBSで表示された濃度に希釈して、25℃で20μl/分の速度で注入して結合を共鳴ユニットの変化で測定した。CAND-KL1のGST-KRSに対する特異的な結合活性はセンサーグラム(sensorgram)でGSTに対する結合を抜いて測定した。実視結合定数はBIAevaluationプログラムを使用して基底線(baseline)を移動させて1:1結合させることにより得られた。
【0082】
<実験結果>
1.KRS及び67LR間の特異的相互作用
全体の長さのKRSと37LRPとの特異的相互作用はイーストツーハイブリッド分析により確認した。LexA-KRSはKRSのパートナーとして知られた(Kim, J.Y. et al. p38 is essential for the assembly and stability of macromolecular tRNA synthetase complex: Implications for its physiological significance, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 7912-7916(2002))AIMP2ばかりでなく、B42-37LRPと結合して青色コロニーを形成し、AIMP1に対してはそうではなかった(図1)。インビトロバインディングアッセイに対しては[35 S]メチオニンで表示された37LRP をGST-KRS又はGSTと混合してグルタチオンセファロースで沈澱させ、自家放射線撮影をした。37LRPはGST-KRSと共に沈澱したが、GSTとはしなかった(図2)。イーストツーハイブリッド分析による消失地図(deletion mapping)でヒトKRSと、N末端延長部位とLRのC末端細胞のドメインがそれらの結合に関与することを確認した(図3)。
【0083】
細胞質内37LRPは膜包埋性67LRに転換されるので、本発明者等はKRSが37LRP及び67LRと相異して結合するかを確認した。myc-KRSを肺癌細胞株A549細胞に導入して抗-Myc抗体と免疫沈澱させた。細胞溶解物のウェスタンブロット結果、67LRは37LRPより少量存在した(図4右側カラム)。しかしながら、myc-KRSは37LRPよりも67LRに容量優先的に結合した(図4中間カラム)。本発明者等は、以降、A549細胞を細胞質と原形質膜分画で分離して、myc-KRSと37LRP及び67LRの相互作用を確認した。37LRPは細胞質で67LRは原形質膜でそれぞれ優勢して観察された反面(図5右側)、KRSは細胞質においてより多い量が観察されたが、二つの分画全てに存在した。二つの分画全てを抗-Myc抗体と免疫沈澱させた時、細胞質内少量の37LRPも沈澱されたが、膜に存在する67LRが主にKRSと共に沈澱された(図5左側)。このような結果は、KRSがラミニン受容体の二つの形態全部と潜在的に結合することができるが、細胞内で67LRとの結合を選好することを暗示した。本発明者等はラミニン処理により内在するKRS及び67LRの相互作用が影響を受けるのかを確認した。これら二つの蛋白質の相互作用はラミニン処理により増加された(図6参照)。
【0084】
2.KRSのラミニン依存性膜転座はリン酸化及び多重 t-RNA合成酵素複合体からの遊離が関与される。
本発明者等は、A549細胞でKRSの細胞内分布がラミニン処理により変化するかを細胞分画と免疫蛍光染色法を通じて調査した。ラミニン処理後、KRSと67LRの膜内存在量は細胞質内のKRS及び37LRP 量やこれらの発現には殆ど変化なく漸次増加した(図7及び結果未図示)。免疫蛍光染色においても67LR及びKRSがラミニン処理により、膜側に移動したことを説明している(図8、それぞれ赤色及び緑色)。発明者等はKRSの膜転座(translocation)がラミニンにより触発された(triggered)信号伝達によって生理的に調節されるのかを調査した。ホスホイノシチド3-OHカイネイズ(phosphoinositide 3-OH kinase(PI3K),(Shaw, L. M., Rabinovitz, I., Wang, H. H., Toker, A. & Mericurio. A.M. Activation of phosphoinositide 3-OH kinase by the alpha6beta4 integrin promotes carcinoma invasion. Cell 91, 949-960(1997))、蛋白質リン酸化酵素C(protein kinase C(PKC),(Li, Y. Q. et al. Protein kinase C mediates the signal for interferon-gamma mRNA expression in cytotoxic T cells after their adhesion to laminin. Immunology 93, 455-461(1998))、及びホスホリパーゼCガンマ(phospholipase C-gamma(PLC-gamma)(Vossmeyer, D., Hofmann, W., Loster, K., Reutter, W. & Danker, K. Phospholipase C-gamma binds alpha1beta1 integrin and modulates alpha1beta1 integrin-specific adhesion. J. Biol. Chem. 277, 4636-4643(2002); Kanner, S. B., Grosmaire, L. S., Ledbetter, J. A. & Damle, N. K. Beta 2-integrin LFA-1 signaling through phospholipase C-gamma 1 activation. Proc .Natl. Acad. Sci. USA 90, 7099-7103(1993))のような複数の相異するリン酸化酵素らがラミニンにより活性化されるとして知られている。このようなリン酸化酵素らの内、どのようなものがKRSのラミニン依存性膜転座に関与するかを確認するために、本発明者等はそれぞれのカイネイズに特異的な抑制剤でそれぞれのリン酸化酵素を遮断して、この処理が如何にKRSのラミニン依存性膜転座に影響を及ぼすかを確認した。膜分画でKRSと67LRのラミニン依存的増加は、PI3K抑制剤であるLY294002の存在下で抑制されるのに反して、U73122又はスタウロスホリンで処理した細胞らは対照群細胞と同様に67LRのラミニン依存的増加を示した(図9上及び結果未図示)。これらリン酸化酵素らの内、いずれも細胞内KRSの量に影響を及ぼしたものはなかった(図9下)。これらの結果はP13KがKPSのラミニン誘導性リン酸化に連関したものであることを暗示する。チロシンでないトレオニンとセリンではリン酸化されたKRSはラミニン処理により増加された反面、LY294002の存在下では抑制されたが、スタウロスホリンはなんらの影響も与えなかった(図10)。本発明者等はさらに、KRSのラミニン誘導性リン酸化が67LRとの相互作用に必要であるかを調査した。LY294002処理はKRS及び67LRのラミニン誘導性結合を抑制した(図11)。細胞質KRSが多重ARS複合体に固定されているので、本発明者等はさらに、KRSのラミニン依存的リン酸化がKRSと複合体の別の酵素構成成分であるグルタミルプロリル(glutamyl prolyl tRNA synthetase,EPRS)と共免疫沈澱することにより、多重ARS複合体との結合に影響を及ぼすかを調査した。LY化合物(LY294002)の不在下でラミニン処理はKRSとEPRSの結合を減少させ、同時に免疫消尽された溶解性分画(immuno depleted soluble fraction)のKRSを増加させた(図12上、下パネルの左側レーン)。これに反してEPRSに結合したKRSは細胞がLY294002で前処理された時、ラミニン処理に影響をうけなかったが(図12上、下パネルの右側レーン)、これはKRSのリン酸化がKRSの複合体のラミニン依存的遊離に必要であることを示唆した。
【0085】
3.KRSは67LRの細胞内安全に必要である。
本発明者等はKRSがA549細胞において、67LRの膜内存在量に影響を及ぼすか否かを確認した。原形質膜での67LRの量はKRSにより増加されるが(図13、左側)、ラミニン効果はKRSがこれに対する特異的なsiRNAにより、抑制される時には消え去るが(図13、右側)、これは67LRのラミニン依存的促進において、KRSの重要性を示唆する。ラミニン受容体の細胞内分布は空ベクター又はKRSに形質感染されたA549細胞間で免疫蛍光染色を通じて比較された。ラミニン受容体は対照群と比べてKRS過発現細胞の膜部位に強く染色された(図14)。本発明者等はさらに、遊細胞分析器で膜に存在する67LRを調査した。膜に存在する67LRの量は外部からKRSを供給する時増加し、siKRSでKRSを抑制した時減少した(図15)。
【0086】
本発明者等はKRSが如何にして67LRの膜内存在量を増加させるかを調査した。理論的にKRSは37LRP から転写又は転換(conversion)を通じて67LRを促進することができる。しかし、KRSの形質感染はLR転写調節の暫定的役割を除いてはLR転写を増加させなかった(結果未図示)。本発明者等はさらに、37LRPの変形が37LRPが67LRに転換するにおいて、先行要件として知られているので(Landowski, T. H., Dratz, E.,A. & Starkey, J. R. Studies of the structure of the metastasis-associated 67 kDa laminin binding protein: fatty acid acylation and evidence supporting dimerization of the 32 kDa gene product to form the mature protein. Biochemistry 34, 11276-11287(1995); Buto, S. et al. Formation of the 67-kDa laminin receptor by acylation of the precursor. J. Cell. Biochem. 69, 244-251(1998))、KRSが37LRPの脂肪族アシル化(fatty acylation)を媒介するかを調査した。その結果、KRSは37LRPの脂肪属アシル化に全く影響を与えなかった(結果未図示)。本発明者等はさらに、パルスチェイス(puls chase)実験を通じて67LRの代謝転換においてKRSの効果を調査した。初期蛋白質合成は放射性メチオニンで表示され、シクロヘキシミドで抑制された。67LRの消滅は時間的間隔をおいて自家放射線撮影により観察された。67LRはKRSがsiRNAにより抑制される際、急激に減少されたが、この数値はsi対照群においては時間間隔によって維持されたのとは対照的である(図16)。従って、KRSは原形質膜で67LRと結合することにより、67LRの半減期を増加させるものと見られる。
【0087】
4.KRSは67LRを通じて細胞移動及び癌転移を増加させる。
本発明者等はKRSの発現程度がラミニン依存的A549細胞移動に影響を及ぼすか否かをトランスウェルメンブレン分析を通じて調査した。対照群細胞の移動はラミニン処理により平均6倍ほど促進された(図21及び図17)。しかしながら、ラミニン依存的細胞移動はKRSがsiRNAにより抑制された時減少した(図17、si対照群及びsi KRS)。これとは逆にKRS過発現はラミニン処理により促進された細胞移動を増加させた(図17、EV及びKRS)。しかしながら、細胞移動においてKRSの効果はラミニン受容体がsiRNAにより抑制されると消え去る(図17、si-LR、下パネル)。KRSは複数の癌細胞からサイトカインとして分泌されるので(Park, S. G. et al. Human lysyl-tRNA synthetase is secreted to trigger pro-inflammatory response, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 102, 6356-6361(2005))、本発明者等は細胞外因性KRSが細胞移動に影響を及ぼすか否かを調査した。A549細胞を相異する濃度の精製されたKRSで処理した際、この分析からKRSの細胞外因性効果を除けば、細胞移動は殆ど影響されなかった(図22)。反面、細胞蛋白質の合成及び細胞周期は実験するあいだ、KRSの抑制及び過発現に影響されなかったが、これはKRS依存的細胞移動が前記過程の効果に起因しないことを示唆する(図23及び図24)。ラミニン処理がMMP-2(matrix metllo proteinase-2)の活性化を招くので(Givant-Horwitz, V., Davidson, B. & Reich, R. Laminin-induced signaling in tumor cells the role of the M(r)67,000 laminin receptor. Cancer Res. 64, 3572-3579(2004))、MMP-2のラミニン依存的活性化においてKRSの役割をin vitroザイモグラフィー分析を通じて調査した。MMP-2 活性をラミニンにより活性化され、これはsi-KRSの存在下で抑制されたが(図18左側)、KRSの過発現により一層増進された(図18右側)。
【0088】
KRSが癌転移と関連された67LRを通じて細胞移動を促進できるので、肺によく転移するマウスの乳房癌4T-1細胞を使用して、KRSの発現水準により癌転移が影響されるのかを調査した。KRS又は多重ARS複合体の別の構成要素であるDRS(aspartyl tRNA synthetase)をそれらに特異的なsiRNAで発現を抑制し、如何にKRS及びDRSの発現減少が癌転移に影響を及ぼすかを比較した。si-KRS及びsi DRSの抑制効果をウェスタンブロットで確認して(図25)、これら細胞それぞれ及びsi対照群で処理した細胞をBalb/cマウスの背皮膚に皮下注射で注入した。注入された3種全部が類似した質量及び体積の腫瘍を発生させて(図26)、KRSの水準が1次腫瘍の成長には影響しないことを知らせてくれた。注入して21日目に肺を分離し、転移性腫瘍結節(直径1mmより大きいもの)の数を3群間で比較した。転移性結節の数は対照群及びDRSが抑制された細胞から得たものに比べてKRSの抑制により大きく減少した(図19及び図27)。逆に前記方法によりKRSの過発現が癌転移を増進するかを調査した。そこで、KRSを符号化するプラスミドの形質感染及びG418スクリーニングにより、KRSを安定的に過発現する4T-1細胞株を初めて構築した。構築された細胞株でKRSの過発現はウェスタンブロットで確認し、空ベクターで形質感染された細胞らに比べて大量でKRSを発現する2個の相異する細胞(KRS1及びKRS2)を選別した(図28)。これらの細胞も類似した質量と大きさの1次腫瘍を生成した(図29)。これらの細胞を注入した後、30日目に肺を検査したとき、KRS過発現細胞二つとも対照群細胞に比べてより多くの結節を生成した(図20及び図30)。このような結果はKRSが生体内で癌転移を誘導することを暗示する。
【0089】
5.本発明の化合物のKRS及びラミニン受容体間の相互作用阻害確認
本発明者等は本発明の化合物によりKRSと、ラミニン受容体間の相互作用を調節できるか否かを調べるために、本発明の化合物を処理してKRS及び67LR間の相互作用を確認した。このため、本発明者等はKRS及びラミニン受容体間の相互作用が起こると、細胞成長がなされるようにイーストツーハイブリッドシステムを造り、化合物が相互作用を阻害するか否かを調べた。若し、化合物がKRS及びラミニン受容体間の相互作用を阻害すれば、これは酵母細胞の成長を阻害するであろう。
その結果、下記表2の通り対照群細胞に比べて50%前後の成長阻害を示し、KRSと67LRの相互作用を阻害することが分った。
【0090】
【表2】
【0091】
以降それぞれの化合物をKRSAIMP2 (Kim, J.Y. et al. p38 is essential for the assembly and stability of macromolecular tRNA synthetase complex: Implications for its physiological significance. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 7912-7916(2002); Han, J.M. et al. Hierarchical network between the components of the multi-tRNA synthetase complex: Implications for complex formation. J. Biol. Chem. 281, 38663-38667(2006))and MRS-AIMP3(Quevillon, S. & Mirande, M. The p18 component of the multisynthetase complex shares a protein motif with the beta and gamma subunits of eukaryotic elongation factor 1. FEBS Lett. 395, 63-67(1996); Kim, K.J. et al. Determination of three dimensional structure and residues of novel tumor suppressor, AIMP3/p18, required for the interaction with ATM. J. Biol. Chem.(2008))のような2個の異なる相互作用対に対しても処理した。このようなテストを通じて本発明者等はKRSLRの相互作用のみを阻害する化合物を選別した(下記表3参照)。
【0092】
【表3】
【0093】
これらの内、化学式15の化合物(CAND-KL1,KL1でも表示)に対して、KRS及び67LRの細胞内相互作用も阻害するか否かを試験した。A549細胞を相異する濃度のKL1で処理し、67LRをこれの抗体で免疫沈澱させて、KRSの共免疫沈澱(co-immunoprecipitation)を調べて見た。67LRと共沈澱されたKRSの量はKL1量の増加により減少し、KRS及び67LRの細胞内の量は変わりがなかった(図33)。放射線同位元素を利用して形成されたラミニン受容体及びGST-KRS間のin-vitro相互作用がなされるようにして、相異する量のKL1を添加した。GST-KRSとフルダウン(pull-down)されたラミニン受容体の量はKL1化合物の添加量が増加するに従い減少した(図34)。67LRの細胞内の安全性はKRSの結合によるもので、これら二つの蛋白質の結合を阻害するKL1の処理により、67LRの細胞内水準が影響を受けるのかを確認した。67LRの水準はKL1の添加量によって減少し、細胞質内37LRPは影響がなかった(図35)。本発明者等はKL1がKRSと直接結合するかをBIAcore3000を利用して表面プラスモン共鳴(sgrface plasmon resonance)により検査した。KRSにKL1が結合するのは、KL1の量が増加するに従い増加し、Kdは約2.6μMに測定された(図36)。KL1がKRSの表面を占めてラミニン受容体への接近を立体的に妨害するものと見られる。
【0094】
6.KRS-67LRの阻害は細胞移動及び癌転移を抑制する。
本発明者等はKL1が前記のように細胞移動及び癌転移に影響を及ぼすか否かを試験した。細胞移動に及ぼす影響を確認するために、本発明者等はMMP-2及ぼすトランスウェル膜分析に相異する量のKL1を添加した。二つの分析でKL1はMMP-2活性及び細胞移動を処理された量によって阻害した(図37乃至図39)。細胞内蛋白質合成及び生存能は同一な実験条件でKL1が処理により影響を受けず(図40及ぼす図41)、これは化合物処理による細胞移動の阻害が蛋白質合成及び細胞生存能によるものではない点を暗示する。本発明者等はKL1の存在及び不存在の際、前記に記述した通りの癌転移実験を行った。KL1を30mg/kgの量で1日1回で3週間マウスに注入した時、転移されたノジュール(nodule)の数は著しく減少した(図42)。反面KL1は腫瘍成長に影響を及ぼさなかった(図43)。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上察した通り、本発明者等はKRSが67LRと相互作用することにより、癌(又は腫瘍)細胞の移動を促進して癌の転移(metastasis)に影響を及ぼすことを究明し、KRS及び67LRの相互作用を阻害する物質が癌細胞の転移を抑制して、癌を予防及び治療できることを確認した。従って、本発明の組成物は癌の転移を抑制するので癌の予防及び治療のための新たな手段を提供する。
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年11月05日に出願された大韓民国特許出願第10-2009-0106350号を優先権主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体の新規の用途に関するものにして、より詳細には、ベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む癌の予防及び治療又は癌転移抑制用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
癌(又は腫瘍)は非正常的で、非制御性で無秩序な細胞増殖の産物である。特に、破壊的な成長性、浸透性及び転移性があれば悪性に分類される。浸透性とは、周囲の組織を浸透又は破壊する性質にして、一般的に組織の境界をなす基底層を破壊させ、腫瘍が局部的に伝播されることを意味し、たまたま体内の循環系にも流入される。転移とは、一般的にリンパ管(lymphotic)又は血管により初発位置とは異なる箇所に腫瘍細胞が広がることを意味する。転移はさらに、漿液性体腔又は他の空間を通じて直接伸長して腫瘍細胞を移動させることを意味する場合もある。
【0004】
現在、癌は主に3種の治療法、つまり外科的な手術、放射線照査及び化学療法の内の一つ又はこれらの組み合わせを通じて治療されている。手術は疾病組織を大部分除去することを含む。このような外科的な手術は特定部位、例えば、乳房、結腸及び皮膚に位置した腫瘍を除去するには効果的であるが、脊椎のような一部区域にある腫瘍を治療するか、又は白血病のような分散性腫瘍疾患の治療には使用できない。
【0005】
化学療法は、細胞複製又は細胞代謝を崩壊させ、また乳房、肺及び精巣の癌治療に広く使用されるが、腫瘍疾病の治療に使用される全身性化学療法の副作用は癌の治療をうける患者に最も問題となる。このような副作用の中でも目まいと嘔吐は一般的であって深刻な副作用である。化学療法による副作用は患者の生命に大きな影響を及ぼし、治療に対する患者の順応性を急激に変化させることができる。さらに、化学治療剤と関連した副作用には一般的に、このような薬物投与の際注意すべき容量制限毒性(DLT,Dose Limiting Toxicity)がある。例えば、粘膜炎は多くの抗がん剤、例えば、癌代謝物質細胞毒素剤である5−フルオロウラシル、メソトレキセート及び抗腫瘍抗生剤(例、トキソルビシン)等に対する容量制限毒性がある。このような化学療法由来の副作用の内、大部分は深刻な場合入院するか又は痛症治療のために鎮痛剤を必要とする場合もある。このような化学治療剤及び放射線治療による副作用等は癌患者の臨床的処置の際主要問題になっている。
【0006】
一方、腫瘍の転移は癌治療の生存率において決定的な要素である。67kDaのラミニン収容体(67LR)は原形質膜に包埋された(embedded)非インテグリン型受容体として、癌の浸濕(浸潤)及び転移と連関がある(Nelson, J. et al. The 67 kDa laminin receptor: structure, function and role in disease. Biosci. Rep. 28, 33-48(2008))。67LRはこれらの37kDa前躯体(37LPR)の重合(dimerization)により生成されるが、このような変化過程に対する分子的な細部機作は広く知られていない。37LPRはポリソーム形成に関与するリボソームサブユニットp40と同一である(Auth, D. & Brawerman, G. A 33-kDa polypeptide with homology to the laminin receptor: component of translation machinery. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 4368-4372(1992))。67LRは多様な種類の癌より高濃度で観察される(Nelson, J. et al. The 67 kDa laminin receptor: structure, function and role in disease. Biosci. Rep. 28, 33-48(2008); Menard, S., Castronovo, V., Tagliabue, E. & Sobel, M. E. New insights into the metastasis-associated 67 kD laminin receptor. J. Cell. Biochem. 67, 155-165(1997))。しかしながら、67LRの膜内存在における調節者や分子的メカニズムは未だに究明されていない。
【0007】
KRSは蛋白質合成のために同族の(cognate)アミノ酸及びtRNAを接合させるaminoacyl-t-RNA synthetases(ARSs)に属する。これら原始酵素等は触媒的活性の他にも多面的(pleiotropic)特徴を有する(Park, S. G., Ewalt, K. L. & Kim, S. Functional expansion of aminoacyl-tRNA synthetases and their interacting factors: new perspectives on housekeepers. Trends Biochem. Sci . 30 , 569-574(2005))。これに反してKRSを含む幾つかの哺乳類のARSは構成蛋白質の多様な機能を調節するために、分子貯蔵所(molecular reservoir)として作用する(Ray, P. S., Arif, A. & Fox, P. Macromolecular complexes as depots for releasable regulatory proteins. Trends Biochem. Sci. 32, 158-164(2007)巨大分子複合体を形成する(Lee, S. W., Cho, B. H., Park, S. G. & Kim, S. Aminoacyl-tRNA synthetase complexes: beyond translation. J. Cell. Sci. 117, 3725-3734(2004); Han, J. M., Kim, J. Y. & Kim, S. Molecular network and functional implications of macromolecular tRNA synthetase complex. Biochem. Biophys. Res. Commun. 303, 985-993(2003))。ヒトのKRSはRNAとその他の蛋白質間の相互作用に関与する固有のN末端延長部位を含有している(Rho, S. B. et al. Genetic dissection of protein-protein interactions in multi-tRNA synthetase complex. Proc. Natl. Sci. Acad. USA 96, 4488-4493(1999); Francin, M., Kaminska, M., Kerjan, P. & Mirande. M. The N-terminal domain of mammalian Lysyl-tRNA synthetase is a functional tRNA-binding domain. J. Biol. Chem. 277, 1762-1769(2002))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、本発明者等はヒトのライシルt-RNA合成酵素(lysyl-t-RNA)synthetase,KRS)の機能的多様性と関連して研究を重ねる中、この蛋白質と結合可能性がある蛋白質の一つとして37LRP/p40 を確認し、KRSが37LRPの重合により形成される原形質膜にあるラミニン受容体(67LR)を安定化させることにより、細胞移動及び癌転移を促進するなど、KRSが原形質膜のラミニン受容体を通じて癌転移又は癌細胞移動に影響を及ぼすことを究明し、KRSと67LRの相互作用を阻害する物質が癌転移を抑制することにより、癌の予防及び治療効果を有するので、これを阻害するベンゾ形態でサイクル誘導体の新たな用途を究明して本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明の目的はKRS及び67LRの相互作用を阻害して癌転移を抑制することにより、癌を予防及び治療するベンゾ形態でサイクル誘導体の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を含む癌の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を含む癌転移阻害用薬学的組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌の予防及び治療剤製造のための用途を提供する。
【0013】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌転移阻害剤製造のための用途を提供する。
【0014】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌の予防及び治療方法を提供する。
【0015】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌転移阻害方法を提供する。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明者等はKRSが癌転移又は細胞移動に及ぼす影響を初めて究明した。つまり、本発明はKRSが原形質膜のラミニン受容体(67LR)を通じて癌転移又は癌細胞移動に影響を及ぼすことを究明した。さらに、KRSと67LRの相互作用を阻害する物質の癌転移を抑制して癌の予防及び治療の目的に使用できることを初めて究明し、化合物のライブラリーをスクリーニングしてベンゾ形態でサイクル誘導体化合物を選別した。
【0018】
本発明で“KRS”、“KRS蛋白質又は“KRSポリペプチド”はライシルt-RNA合成酵素で知られているポリペプチドを意味する。前記KRSポリペプチドは当業界に知られたKRSポリペプチドでもあるが、好ましくは、Genbank Accession No.NP_005539に表示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドでもある。さらに、本発明のKRSはこれの機能的同等物を含む。
【0019】
本発明で機能的同等物とは、Genbank Accession No.NP-005539に表示されたアミノ酸配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の配列相同性(つまり、同一性)を有するポリペプチドを意味する。例えば、70%, 71%, 72%, 73%, 74%, 75%, 76%, 77%, 78%, 79%, 80%, 81%, 82%, 83%, 84%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, and 100%の配列相同性を有するポリペプチドを含むもので、Genbank Accession No.NP-005539に表示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドと実質的に同質の生理活性を表わすポリペプチドを意味する。ここで“実質的に同質の生理活性”とは、原形質膜のラミニン受容体と相互作用し、癌転移または癌細胞移動を調節することを意味する。
【0020】
本発明で“ラミニン受容体”または“67kDaのラミニン受容体(67LR)”は原形質膜に包埋された(embedded)非インテグリン受容体であって例えば、Genbank Accession No.NM_002295,S37431,AF284768,S37431,AF284768,JO3799,XP_370865,XP_001083023.に記載された塩基配列またはアミノ酸配列を有することができる。さらに、本発明でラミニン受容体はこれの機能的同等物を含む。
【0021】
本発明でのKRS及び67LRの相互作用の阻害は、当業界に広く知られた蛋白質、蛋白質相互作用の検出方法を利用することができ、例えば、試験管内蛋白質、蛋白質結合アッセイ(試験管内フルーダウンアッセイ)、EMSA(electrophoretic mobility shift assays)、蛋白質結合のための免疫アッセイ、機能的アッセイ(リン酸化アッセイ等)、非免疫沈澱アッセイ、免疫沈澱ウェスタンブロットアッセイ、免疫共同位置化アッセイ(immuno-co-localization)、交叉結合(cross linking)、親和クロマトグラフィー(affinity chromatography)、免疫沈降法(immunoprecipitation,IP)、イーストツーハイブリッド(yeast two-hybrid,Y2H)、蛍光共鳴エネルギー転移(fluorescence complementation,energy transfer,FRET)、分割蛋白質の再結合(bimolecular fluorescence complementation,Bi-FC)等当業界に広く知られた方法で実施できる。
【0022】
本発明の化合物のスクリーニング方法は例えば、バクテリアリプレッサーLexAまたは酵母GAL4のDNA結合ドメイン及び、酵母GAL4蛋白質のトランスアクチベーション(transactivation)ドメインにそれぞれ融合されたKRSと67LR、またはこれら蛋白質の一部または相同体(homologues)を発現する酵母を利用して、酵母-2ハイブリッドアッセイを実施することができる(KIM,M.J.et al.,Nat.Gent.,34:330-336,2003)。KRSと67LRの相互作用はLexA蛋白質またはGAL4のDNA結合ドメインに結合された調節配列を有しているプロモータの統制下でリポータ遺伝子の発現を誘導するトランスアクチベータを再構成させる。
【0023】
前記リポータ遺伝子では前記記載の通り、当業界に広く知られた検出可能なポリペプチドを符号化する遺伝子(例:CAT(chloramphenicol acetyltransferase)、ルシフェラゼー、ベータカラクトシダーゼ、ベータグルコシダーゼ、アルカリンホスファターゼ及びGFP(green fluorescent protein)等を使用できる。若し、KRSと67LR、又はこれらの蛋白質の一部又は相同体の相互作用は試験製剤により促進又は強化される場合、前記リポータ遺伝子の発現は正常条件に比べてさらに増加される。逆に、前記相互作用が試験製剤により阻害されるか又は弱化される場合、前記リポータ遺伝子は発現しないか又は正常条件に比べて発現程度が落ちる。
【0024】
さらに、リポータ遺伝子では酵母の成長を可能にする蛋白質(つまり、前記リポータ遺伝子が発現されない場合酵母の成長が抑制される)を符号化するものに選ばれることができる。例えば、アミノ酸又は窒素塩基のための生合成過程に関係のある酵素を符号化する栄養要求性(auxotropic)遺伝子(例:ADE3、HIS3等の酵母遺伝子又は他の種由来の同等遺伝子)でもある。このシステムから発現されたAIMP2とp53、又はこれら蛋白質の一部又は相同体の相互作用は試験製剤により抑制されるか又は弱化される場合、前記リポータ遺伝子は発現しないか又は発現程度が落ちる。従って、前記条件下で酵母の成長は停止又は遅くなる。このようなリポータ遺伝子の発現による効果は肉眼や装置(例:顕微鏡)を通じて観察するすることができる。
【0025】
本発明では前記スクリーニング方法を利用して、化合物ライブラリーをスクリーニングし、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピロール誘導体化合物がKRSと67LRの相互作用を阻害し、ガンの転移を阻害することによりガンを予防又は治療する効果があることを確認した。
【0026】
従って、本発明は下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体、又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むガンの予防及び治療用薬学組成物を提供する。
【化1】
【0027】
前記式で
【化2】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化3】
及び-NH-R5
からなる群より選ばれたものであり;
R4は水素又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化4】
及び
【化5】
からなる群より選ばれたものである。
【0028】
“アルキル”は鎖内に約1個乃至20個の炭素原子を含む直鎖又は側鎖でもある脂肪族炭化水素群を意味する。好ましくは、アルキル群は前記鎖内に約1個乃至12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル群は前記鎖内に約1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素原子を含む。側鎖は一つ以上の低級アルキル群、例えば、メチル、エチル又はプロピルが線状アルキル鎖に付着されていることを意味する。“低級アルキル”は直鎖又は側鎖でもある鎖内に約1個乃至6の炭素原子を有する群を意味する。“アルキル”は置換できないか又は、同一であるか又は異なることもあり、一つ以上の置換体により置換することができて、各置換体はハロゲン、アルキル、アリル、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、カルボキシなどでもある。アルキルはメチル、エチル、ブチル又はイソブチルでもある。
【0029】
“アルコキシ”はアルキル群が前記記載の通り、アルキルO群を意味する。適合したアルコキシ群の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシを含む。母残基に対する結合は酸素を通じる。好ましくは、アルコキシはメトキシ又はエトキシでもある。
【0030】
“アリル”は芳香族炭化水素環系を意味し、この例にはフェニル、インデニル、インダニル、ナフチル及びフルオレニルなどがある。
【0031】
“ハロゲン”は弗素原子、塩素原子、ブローム原子及びヨード原子を含むことができて好ましくは、弗素原子、塩素原子又はブローム原子でもある。
【0032】
“ハロゲンにより置換されたアルキル”は1乃至3個のハロゲン原子(等)により置換されたアルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、フルオロエチル、クロロエチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル、フルオロプロピル、フルオロブチル、フルオロヘキシルなどであり、好ましくは、ハロゲンで置換された(C1-C6)アルキル、さらに、に好ましくは、塩素又は弗素で置換された(C1-C6)アルキルでもある。さらに、好ましくは、トリフルオロメチルでもある。
【0033】
“ハロゲンにより置換されたアリル”は1乃至3個のハロゲン原子(等)により置換されたアリル基を意味し、例えば、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、クロロフェニル、フルオロエチル、クロロエチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル、フルオロプロピル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ブロモフェニル、ジブロモフェニル、トリブロモフェニル、ジフルオロベンジル、ジクロロベンジル、ジブロモベンジルなどがあり、好ましくは、クロロフェニルでもある。
【0034】
“アルキルにより置換されたアリル”又は“アリルアルキル”は1乃至3個のアルキル置換体により置換されたアルキル基を意味し、例えば、ベンジル、エチルフェニル、プロフィルフェニル、ジメチルフェニル、ジエチルフェニル、トリメチルフェニル、トリエチルフェニルなどがあり、ベンジルでもある。
【0035】
本発明の化合物は化学式1でR1は水素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、クロロ、ニトロ又はアミンでもあってR2は水素、2.4.6トリメチルフェニル(2,4,6-Trimethyl-phenyl)、2,6ジメトキシフェニル(2,6-Dimethoxy-phenyl)、
【化6】
又は-NH-R5としてR4は水素又はトリフルオロメチルであり、R5はフェニル、4-エチルフェニル(4-Ethyl-phenyl)、3,4-ジクロロフェニル(3,4-Dichloro-Phenyl)、4-フェニルアゾフェニル(4-Phenylazo-phenyl)でもある。さらに、 R3は水素、
【化7】
又は
【化8】
でもある。より具体的に、KRS及び67LRの相互作用を阻害して抗癌効果を示すのが確認された化合物及びこれの出所は下記表1の通りである。
【表1】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0036】
より具体的には、本発明は化学式2のN-(6-メトキシ-ベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシ-ベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン((5-Chloro benzooxazol-2-yl)-phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン(5-Chloro benzooxazol-2-yl)-(4-ethyl-phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)-(3,4-ジクロロフェニル)-アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro-phenyl)-amine)、化学式7の(-5ニトロベンゾオキサーゾル-2-イル)-(4-フェニルアゾフェニル)アミン((5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド((N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(-5ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式10のN-(5メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式11のN-(5メチルベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methyl-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzooxazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methyl-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の(2-(2,4,6-トリメチルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-Trimethyl-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2-[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾール-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methyl-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]butyricacid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl)-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)-(5-フルオロ-1H-インドル-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むガンの予防及び治療用薬学組成物を提供する。
【0037】
本発明のスクリーニング方法を通じてスクリーニングされる化合物は、1次腫瘍細胞の転移を抑制するので多様なガンに適用することができる。これに制限はされないが、例えば、大腸癌、肺癌、肝臓癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血でもある。前記癌の予防及び治療は本発明のKRS及び67LRの相互作用の阻害により、癌細胞の移動又は転移が減少するので癌細胞の転移を抑制することで実施される。
【0038】
本発明の化合物はそれ自体、又は薬学的に許容可能な塩の形態で使用できる。本発明で“薬学的に許容可能な”とは、生理学的に許容されヒトに投与された時、通常的にアレルギー反応又はこれと類似した反応を引起こさないことを意味し、前記塩では薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が好ましい。前記遊離酸では有機酸と無機酸を使用することができる。前記有機酸はこれに制限されるものではないが、クエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、ホルム酸、プロピオン酸、オキサル酸、トリフルオロアセト酸、ベンゾ酸、グルコン酸、メタスルホン酸、グリコール酸、コハク酸、4-トルエンスルホン酸、グルタミン酸及びアスパラギン酸を含む。さらに、前記無機酸はこれに制限はされないが塩酸、臭素酸、硫酸及びリン酸を含む。
【0039】
本発明の化合物又はこれを含む組成物を臨床的に投与される場合に、本発明の組成物は経口又は非経口で投与に適した単位投与型の薬剤学的製剤に製剤化させて使用することができる。一般的な医薬品の形態で製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は本発明の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース又はラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。さらに、単純な賦形剤の他にマグネシウムスチレートタルクのような潤滑剤なども使用される。経口投与のための液状製剤には懸濁剤、内溶液剤、乳剤、シロップ剤などが懸濁によく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。非経口投与のための製剤には滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、軟膏剤、クリーム剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤にはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリブオイルのような植物性オイル、エチルオレエートのような注射可能なエステルなどが使用できる。
【0040】
さらに、本発明の化合物又はこれを含む組成物は非経口で投与することができ、非経口投与は皮下注射、静脈注射、筋肉内注射又は胸部内注射注入方式による。非経口投与用剤形に製剤するためには、本発明の化学式1乃至化学式17の化合物を安定剤又は緩衝剤とともに、水で混合して溶液又は懸濁液に製造してこれをアンプル又はバイアルの単位投与型に製剤化する。投薬単位は、例えば、個別投薬量の1,2,3又は4倍に、又は1/2,1/3又は1/4倍を含有することができる。個別投与量は有効薬物が1回に投与される量を含有し、これは通常1日投与量の全部、1/2,1/3又は1/4倍に相当する。特定患者に対する投与量水準は体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法及び排泄ならびに薬剤混合及び疾患の重症度により変化させることができる。
【0041】
これら製剤は全ての製薬化学に一般的に広く知られた処方書である文献(Remington's Pharmaceutical Science, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania 18042, chapter 87: Blaug, Seymour)に記載されている。
【0042】
前記の通り本発明の化合物は、KRS及び67LRの相互作用を阻害して1次腫瘍細胞又は癌細胞の移動や転移が容易になされないようにすることで、本発明は本発明の化合物又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むガン転移阻害用薬学的組成物を提供する。前記化合物は化学式1乃至化学式17に記載された化合物の一つでもある。
【0043】
一方、本発明の組成物は本発明の化合物、つまり、化学式1乃至化学式17に記載された化合物を0.001乃至99.999重量%、担体を99.999乃至0.001重量%で含有した組成物でもある。前記担体は薬学的に許容可能な担体でもある。
【0044】
本発明の薬学的組成物はガンを予防及び治療する効果を有する公知の化合物又は癌転移を抑制する効果を有する公知の化合物と併用して投与することができる。
【0045】
本発明の化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩のガンの予防及び治療剤製造のための用途を提供する。
【0046】
さらに、本発明の化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌転移阻害剤製造のための用途を提供する。
【0047】
本発明は化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌の予防及び治療方法を提供する。
【0048】
本発明は化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌転移阻害方法を提供する。
【0049】
前記ベンゾヘテロサイクル誘導体は化学式1乃至化学式17で記載された化合物の一つでもある。
【0050】
本発明のベンゾヘテロサイクル誘導体及びこれの薬学的に許容可能な塩は、有効量で経口、経皮、皮下、静脈又は筋肉を含む多様な経路を通じて投与される。前記にて“有効量”とは、患者に投与した際、ガンの治療及び予防効果又は癌転移抑制効果を示す量を意味し、前記“個体(subject)”とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物でもあって、動物から由来した細胞、組織、器官でもある。前記個体は治療を要する患者でもある。
【0051】
前記本発明のベンゾヘテロサイクル誘導体及びこれの薬学的に許容可能な塩は、それ自体をそのまま投与するか又は前述した通り、多様な製剤に製造されて投与することができ、望む効果、つまり、ガンの予防及び治療効果又は癌転移抑制効果が表われるまで投与することができる。本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩は、当業界に広く知られた方法により多様な経路で投与することができる。経口又は非経口、例えば、口腔、筋肉内、静脈内、皮内、動脈内、骨髄内、境膜内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下又は皮下投与されるか又は、胃腸管、粘膜又は呼吸器から投与することもできる。例えば、本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩を皮膚に直接塗布する方法又は前記ポリペプチドを注射用製剤に製造してこれを30ケージの細い抽出針で皮膚下層に一定量を注入、又は注射針で皮膚を軽く短刺(prick)する方法で投与することもでき、皮膚に直接塗布することもできる。さらに、本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩は標的細胞や組織(例:皮膚細胞や皮膚組織)に高親和性結合を誘発する分子と結合されるか、又は前記分子内にカプセル化された形態で投与することもできる。本発明の化合物及びこれの薬学的に許容可能な塩は当業界に広く知られた技術を利用してステロール(例:コレステロール)、脂質(例:陽イオン脂質、ビロソーム又はリポソーム)又は標的細胞特異的結合剤(例:標的細胞特異的受容体により認知されるリガンド)と結合することもできる。適合したカップリング剤又は架橋剤には例えば、蛋白質 A、カボジイミド、N-コハクイミジル-3-(2-ピリジルチオ)プロピオテート(SPDP)などを含むことができる。
【0052】
これらの製剤は製薬化学に一般的に、知られた処方書である文献(Remington's Pharmaceutical Science, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania)に記述されている。
【0053】
参考に、本明細書で言及したヌクレオチド及び蛋白質作業には下記の文献を参照することができる。(Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989); Deutscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, vol. 182. Academic Press. Inc., San Diego, CA(1990))。
【0054】
本発明に記載された図面に対して下記の通り説明する。
【0055】
図1乃至6はヒトKRSとラミニン受容体の特異的な相互作用を確認したものである。図1で、全体の長さのヒトKRSと67LR/p40間の相互作用はイーストツーハイブリッド分析を通じて実施された。多重ARS複合体の二つの構成要素であるAIMP1及びAIMP2はそれぞれ陽性及び陰性対照群として使用された。陽性相互作用はX-galを含有した酵母培地で青色コロニーの形成により標識された。図2で67LRPは35Sメチオニンの存在下でin vitro翻訳により合成され、これらをGST-KRS又はGSTと反応した(pull-down)。GST-KRSと共沈澱された(co-precipitated)37LRPは自家放射撮影法を利用して測定した。図3でKRS及び67LRPの相互作用に連関されたペプチド部位はイーストツーハイブリッド分析を通じて測定された。N末端の細胞内部位(54乃至113番目のアミノ酸)及びC末端の細胞外部位(137乃至210番目のアミノ酸)を有している296個のアミノ酸を有する37LRPは膜間ドメイン(113乃至137番目のアミノ酸)により区分される。ヒトのKRS(597個のアミノ酸)のN末端特異的拡張(約70個のアミノ酸)部位の次にOB-foldアンチコードン結合性ドメイン(約70乃至214のアミノ酸)と触媒ドメイン(約220乃至574アミノ酸)が位置している。図4でMyc-KRSに感染されたA549細胞を溶解して表示された形態で免疫ブロットを実施した(WCL:whole cell lysate)。細胞は細胞質及び膜分画で分画し、抗-Myc抗体で免疫沈澱した。さらに、67LR及び37LRPの共沈澱はウェスタンブロットで確認した。IgGは対照群に使用した。図5で、Myc-KRSに感染されたA549細胞の溶解物を指示した抗体でウェスタンブロットを実施した。細胞は細胞質(C)及び膜分画(M)で分離され、抗Myc抗体で免疫沈澱され、67LRP及び67LRで共沈澱されたことをウェスタンブロットで調査した。対照群としてはIgGを使用した。図6でKRS67LRのラミニン依存性相互作用を共沈澱に確認した。ラミニン(10μg/ml,1h)処理した場合、67LR及びKRS間の結合が増えたことを確認した。これの確認のため、67LRを認識するantibody(abcan,cat#ab2508)で免疫沈澱(immunoprecipitation)をなし、左側のIgGラーベルは兎から得た全体IgG(total IgG)として陰性対照群に使用された。10%SDS PAGEを行いPVDF膜に移した後、KRSと67LRを認識する抗体でそれぞれ免疫ブロットをした。
【0056】
図7乃至12はラミニン誘導性膜転座(translocation)及びKRSのリン酸化に対して確認したものである。図7でA549細胞をラミニン(10μg/ml)で処理してウェスタンブロットを利用して67LR、37LRP及びKRSの量(level)を時間帯別に観察した。Hsp90及びカドヘリン(Cad)をそれぞれ細胞質及び膜のマーカーとして使用した。図8でA549細胞を1時間ラミニンで処理、又は無処理して抗67LR(MLuC5,Santacruz,sc-59732)(赤色)及びKRS抗体(緑色)使用して免疫蛍光染色を実施した。図9で549細胞をPLC-ガンマ、PKC及びPI3Kをそれぞれ抑制するU73122(U)、スタウロスポリン(staurosporin,ST)及びLY294002(LY)で3時間処理し、ラミニンで1時間処理した後、これらリン酸化酵素抑制剤が67LR及びKRSの細胞質及び膜にどのような影響を及ぼすかを確認した。図10でA549細胞をMyc-KRSで感染させて24時間培養した。その後、表示された(indicated)薬物で処理して、前記の通りラミニンで処理した。Myc-KRSを免疫沈澱させ、抗-p-Thr,Ser,及びTyr抗体で免疫ブロットを実施した。図11でA549細胞をMyc-KRSで感染させて24時間培養した。感染されたLY294002で3時間処理し、ラミニンで1時間処理した。Myc-KRSは免疫沈澱され、67LRの共沈澱はウェスタンブロットで調査した。免疫沈澱法の対照群としてIgGを使用した。図12で前記の通り、A549細胞をラミニン及びLY294002の存在又は不在下で培養した。EPRS(glutamyl-prolyl-tRNA synthetase)はこれに特異的な抗体(AbCam)と免疫沈澱されて、KRSの共沈澱はウェスタンブロットで確認した(上)。免疫消尽上澄液(immune depleted supernatant:ID)で抗KRS及びEPRS抗体とウェスタンブロットを行った。
【0057】
図13乃至図17は膜結合67LRの水準はKRSに依存する点を確認したものである。図13でA549細胞をEV又はKRS又はsi対照群(si cont)又はsi KRSで感染させて、細胞を細胞質と膜分画に分けてそれぞれの分画での67LR及びKRSの量をウェスタンブロットで確認した。カドヘリン(赤色)及びhsp90をそれぞれ細胞膜及び細胞質のマーカーに使用した。図14でEV(共ベクター又はKRSで感染させたA549細胞をG418で1週間選別して、抗LR抗体(MluC5)を利用した免疫蛍光染色を利用して67LRの細胞内分布を確認した。膜に分布したLRは矢印で強調した。図15でA549細胞において膜結合性67LRの量は抗LR抗体(MluC5)を利用して遊細胞分析機で観察した。共ベクター又はKRSプラスミドで感染された細胞等を24時間培養した。(上)67LRの量においてKRS抑制の効果を確認するために、細胞をsiKRS又はsi対照群に感染させて48時間培養した。(下)図16で67LRの細胞的安全性においてKRSの重要性はパルスチェイス実験を通じて調査された。293細胞をsiKRS又はsi対照群に感染させて放射性メチオニンを1時間反応させた。67LRを67LRに特異的に反応する抗体(F-18,Santacruz)と免疫沈澱させて、SDA-PAGEにより分離させ、自家放射撮影法を実施した。特異性siRNAによるKRSの抑制はウェスタンブロットにより行われ、ローディング対照群としてチューブリンを使用した。
【0058】
図17乃至図20はKRSは67LRを通じて細胞移動及び癌転移を促進する点を確認したものである。図17でA549細胞を表示されたプラスミドで感染させ、ラミニンの不存在(図21)又は存在(図17)下で培養し、これらの細胞移動に対する効果はトランスウェルチャンバーで移動した細胞を測定して確認した。膜を通過した細胞の数を計数して各パネルに表示した。実験は3回繰返した。図18で前記の通り処理した細胞等をMMP-2の活性及び量測定のためにそれぞれザイモグラフ(上)及びウェスタンブロット(中)実施のために使用した。アクチンはローディング対照群で使用した。図19で乳房癌細胞株である4T-1細胞を表示されたsiRNAで感染させ、Balb/Cマウスの背に皮下注射した。27日経過後マウスの肺を摘出して直径1mm以上の腫瘍結節を計数した。図20で外因性KRS(KRS-1,及びKRS-2)を発現する2種の相異する4T-1細胞を前記の通り接種して4〜5週間経過後腫瘍結節を計数した。共ベクターを感染させた細胞を対照群に使用した。
【0059】
図21乃至図24は細胞移動、蛋白質合成及び細胞周期において、細胞内及び細胞外KRSの効果を確認したものである。図21でラミニン不存在下で培養されたA549細胞の移動はトランスウェルチャンバーで移動した細胞を測定して図17での通り確認した。図22でKRSの細胞外化学走性的(chemotactic)活性確認のため、表示された濃度でKRSを含む無血清培地をトランスウェルチャンバーの下のチャンバーに入れ、A549細胞を上のチャンバーに入れて培養して移動した細胞を計数した。図23でA549細胞からKRSの量はsiRNAと外因性KRSの導入により下落調節又は上昇調節された。感染された細胞はそれぞれ48時間及び24時間培養され、無メチオニン培地で1時間培養して栄養欠乏状態にした後、放射性標識がなされたメチオニンで2時間標識した。洗浄後細胞を4時間培養して0.5%のトリトンX-100溶解液で溶解させ、放射性活性を液状閃光計数機(liquid scintillation counting)で測定した。図24でA549細胞を表示された通り感染させて固定させ、プロピジュームアイオダイド(Propidium iodide)で染色して流細胞分析機で分析した。
【0060】
図25乃至図27は癌転移においてKRSの抑制効果を確認したものである。図25で標的蛋白質の発現において、siKRS及びsiDRSの効果はウェスタンブロットにより調査された。ローディング対照群としては、チューブリンを使用した。図26でsiRNAが感染された細胞(1x106)を前記の方法と同じく注射した。21日経過後腫瘍の大きさ及び体積を測定して1次腫瘍増殖においてKRS及びDRS抑制の効果を調査した。それぞれの群は6匹のマウスを使用した(図19で1匹、図27で5匹表示)。図27で前記マウスから摘出された肺は10%ホルマリン溶液に固定された。転移性腫瘍結節及び数は表示の通りである。
【0061】
図28乃至図30は癌転移においてKRS過発現の効果を確認したものである。図28でKRS1及びKRS2細胞株の過発現はウェスタンブロットにより観察された。図29で1次腫瘍増殖におけるKRS過発現の効果は互いに比較された。図30で腫瘍転移におけるKRS過発現の効果は接種後30日目に調査された。それぞれの群は4匹のマウスを使用した(図20で代表的な1匹、図30で4匹表示)。
【0062】
図31乃至図36はKRS及び67LR間の相互作用の化合物による阻害及び67LRの細胞内安全性に及ぼす影響を示したものである。図31では化学式15の化合物(CAND KL1,KL1)50μg/mlで表示された対の蛋白質を含む酵母細胞の成長阻害を示す。対照群はDMSOを処理した細胞のOD値で示した。図32はCAND-KL1の存在又は不存在下で表示された相互作用の対を有する酵母細胞を含むウェルにおける細胞成長を示した写真である。図33で293細胞から共免疫沈澱法によりKRS及び67LR間の相互作用に対するKL1の容量依存性効果を試験した。細胞はKL1で3時間処理して67LRを免疫沈澱し、KRSの共沈澱はウェスタンブロットで確認した。図34で表示された量でKL1が存在する中で、放射線同位元素で合成されたラミニン受容体をGST-KRS(1μg)と混合した。GST-KRSをグルタチオンセファロスビード(glutathione Sepharose beads)で沈澱させ、共沈澱されたラミニン受容体を放射線撮影で検出した。図35では549細胞から67LR及び37LRPの細胞内水準にKL1が及ぼす影響をウェスタンブロットで検査した。図36ではKRS及びCAND-KL1間の相互作用を実験方法に記載された通り、表面プラスモン共鳴(surface plasmon resonance)方法により検査した。GST-KRSはCM5センサチップ(CM5 Sensor Chip)に付着し、表示された濃度(相異する色で表示)で共鳴ユニット(resonance unit,RU)により結合を測定した。GST蛋白質はKRS特異的結合親和度を測定するために対照群に使用した。外見結合定数(apparent binding constant)はBLAevaluationプログラムを利用して得た。
【0063】
図37乃至図43はKRSラミニン受容体の阻害が細胞移動及び癌転移を抑制することを示す。MMP2活性(図37)及び細胞移動(図38及び図39)に対するKL1の用量依存的効果を測定した。細胞移動に対しては細胞をKL1で8時間処理した。図40では細胞の蛋白質合成に対するKL1の効果を確認するために、A549細胞をKL1で表示された濃度で処理した後、無メチオニン培地で飢餓処理した(starved)。その後[35S]メチオニンを2時間添加した。以後細胞を完全培地(complete medium)で4時間培養した後、シンチレーション計数機で添加されたメチオニンの量を測定した。図41でKL1の用量依存的細胞毒性をA549細胞を利用して測定した。図42で癌転移に対するKL1の効果を前記記載の方法で測定した。それぞれの群は6匹のマウスでなされ、KL1は3週間1日1回30mg/kgの用量で腹腔内に注射した。その後マウスより直径1mm以上の転移された腫瘍結節の数を計数して平均を示した(左側)。代表的な肺の写真は右側に示した。図43でKL1を処理した群と、処理しない群の1次腫瘍(primary tumor)を観察した結果、体重と大きさに差がないことが確認された。
【発明の効果】
【0064】
本発明者等はKRSが67LRと相互作用することにより、癌(又は腫瘍)細胞の移動を促進して癌転移に影響を及ぼすことを究明し、KRS及び67LRの相互作用を阻害する物質が癌細胞の転移を抑制してガンを予防及び治療できることを確認した。従って、本発明の組成物は癌の転移を抑制するのでガンの予防及び治療のための新たな手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1はヒトKRSと37LRP/p40間の相互作用をイーストツーハイブリッド分析を通じて確認したものである。
【図2】図2はヒトKRSと37LRPの相互作用をフルダーウン分析を通じて確認したものである。
【図3】図3はヒトKRSと37LRPの相互作用部位を確認したものである。
【図4】図4はKRSと67LR及び37LRPとの結合を確認するためにMyc-KRSに感染されたA549細胞に対して抗Myc及び抗ラミニン受容体抗体を利用して免疫ブロット分析をした結果である。
【図5】図5はKRSの67LR及び37LRPとの結合を確認するためにMyc-KRSで感染されたA549細胞の溶解物に対するウェスタンブロット分析をした結果である。
【図6】図6はラミニン処理に伴うKRS及び67LRの結合を免疫沈澱で確認したものである。
【図7】図7はA549細胞にラミニン処理の際67LR、37LRP及びKRSの量をウェスタンブロットで確認したものである。
【図8】図8はA549細胞にラミニン処理又は無処理の際67LR及びKRSの発現を免疫蛍光染色で確認したものである。
【図9】図9はリン酸化酵素抑制剤が67LR及びKRSの細胞質及び膜での発現に及ぼす影響を確認したものである。
【図10】図10はKRSを発現するA549細胞からラミニン及びリン酸化酵素抑制剤処理の際、リン酸化程度をp-Thr、Ser、及びTyr抗体で免疫ブロットを実施して確認したものである。
【図11】図11はKRSを発現するA549細胞からリン酸化されたKRSの67LRとの結合可否をウェスタンブロットで確認したものである。
【図12】図12はKRSとEPRSの結合にラミニンが及ぼす影響をウェスタンブロットで確認したものである。
【図13】図13はsi対照群又はsiKRSの形質感染の際、67LR及びKRSの量をウェスタンブロットで確認したものである。
【図14】図14はEV(共ベクタ−)又はKRSで感染させたA549細胞に対して67LRの細胞内分布を免疫蛍光染色で確認したものである。
【図15】図15はA549細胞において膜結合性67LRの量を遊細胞分析機で確認したものである。
【図16】図16は67LRの細胞的安全性にKRSが及ぼす影響をパルスチェイス実験で確認したものである。
【図17】図17はKRS及び/又は67LRの発現抑制の際、細胞移動に及ぼす影響を確認したものである。
【図18】図18はKRS及び/又は67LRの発現抑制の際、MMP-2活性及び量をザイモグラフ及びウェスタンブロットで確認したものである。
【図19】図19は4T-1細胞株が移植されたマウスでKRS発現抑制の際、腫瘍結節の数を示したものである。
【図20】図20は4T-1細胞株が移植されたマウスでKRS発現増進の際、腫瘍結節の数を示したものである。
【図21】図21はラミニン不存在下で培養されたA549細胞の移動を測定したものである。
【図22】図22は細胞移動に対するKRSの化学走性的(chemotactic)活性を測定したものである。
【図23】図23はA549細胞からsiRNAと外因性KRSの導入に伴うKRSの量及び細胞内全体の蛋白質活性量を確認したものである。
【図24】図24はA549細胞からsiRNAと外因性KRSの導入に伴うKRSの量及び細胞周期を確認したものである。
【図25】図25は標的蛋白質の発現においてsiKRS及びsiDRSの効果をウェスタンブロットで確認したものである。
【図26】図26は腫瘍細胞移植に伴う1次腫瘍増殖において、KRS及びDRS抑制効果を確認したものである。
【図27】図27は腫瘍細胞移植に伴う転移性腫瘍結節及び数を確認したものである。
【図28】図28はKR-1及びKRS-2細胞株のKRSの過発現をウェスタンブロットで確認したものである。
【図29】図29は腫瘍細胞移植に伴う1次腫瘍増殖において、KRS過発現の効果を確認したものである。
【図30】図30は腫瘍細胞移植に伴う転移性腫瘍結節を確認したものである。
【図31】図31は本発明の化合物(CAND-KL1,KL1)50μg/mlからKRS及び67LR(KRSLR);KRS及びAIMP2(KRS-AIMP2);及びMRS及びAIMP3(MRS-AIMP3)蛋白質を含む酵母細胞の成長阻害を示したものである。
【図32】図32は本発明の化合物の存在ま不存在下で酵母細胞の成長を示したものである。
【図33】図33は293細胞から共免疫沈澱によりKRS及び67LR間の相互作用に対するKL1の用量依存性効果を試験したものである。
【図34】図34本発明の化合物の量に伴うKRS及び67LR相互作用を67LRをKRSと共沈澱させて確認したものである。
【図35】図35はA549細胞から67LR及び37LRPの細胞内水準に本発明の化合物が及ぼす影響をウェスタンブロットで確認したものである。
【図36】図36はKRS及び本発明の化合物間の相互作用を表面プラスモン共鳴(surface plasmon resonance)方法で確認したものである。
【図37】図37は本発明の化合物がMMP2活性に及ぼす影響を確認したものである。
【図38】図38は本発明の化合物が細胞移動に及ぼす影響を確認したものである。
【図39】図39は本発明の化合物が細胞移動に及ぼす影響を定量的に確認したものである。
【図40】図40は本発明の化合物が細胞の蛋白質に及ぼす影響を確認したものである。
【図41】図41は本発明の化合物が有する細胞毒性をA549細胞を利用して確認したものである。。
【図42】図42は本発明の化合物が癌転移に及ぼす影響を確認したものである。
【図43】図43は本発明の化合物が1次腫瘍の重量及び体積に及ぼす影響を確認したものである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0067】
ただし、下記実施例は本発明を例示するのみ、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0068】
<実験方法>
1.細胞培養及び材料等
A549及びHEK293細胞はATCCから購入した。マウス乳房癌(mammary carcinoma)4T-1細胞株は、キム ソンーチン博士(カチョン医大)から得た。10%牛胎児血清(Fetal bovine serum,FBS)及び1%抗体を含むRPMI(A549細胞及び4T1細胞に対する)及びDMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium,他の細胞に対する)培地を細胞培養に使用した。37LRPを符号化するpcDNA3.1ベクターは、タチバナ ヒロフミ博士(九州大学)から得た。Mycが付着された(Myc-tagged)ヒトKRS及びDRSはpcDNA3ベクターのEcoRI/XhoI制限酵素部位にクローニングした。齧歯類KRScDNAはRT-PCRで確保し、pcDNA3.1ベクターのHindIII/XhoI制限酵素部位にクローニングした。齧歯類及びヒトKRS及びDRSにターゲティング(targeting)するsiRNAはInvitrogen社から購入した。siRNAの配列は要請すれば提供されるであろう。遺伝子ポーター(Gene poter,GTS)及びリポペクタミン2000(invitrogen)は形質感染試薬に使用された。LY294002、U73122及ぼすスタウロスポリン(staurosporin)はCalbiochemから購入し、シクロヘキシマイド(cycloheximide)及びラミニン(Laminin Engelbreth-Holm-Swarm murine sarcoma)はSigmaから購入した。
【0069】
2.免疫沈降及びウェスタンブロット
細胞を150mM NaCl,0.5%トリトンX-100,0.1%SDS及び蛋白質分解酵素阻害剤を含む20mM Tris-HClバッファ(pH7.4、溶解バッファ)で溶解した。蛋白質抽出物を正常IgG及び蛋白質Gアガロスと2時間培養した後(incubation)、非特異的にIgGに結合した蛋白質を除去するために遠心分離した。上澄液を精製ドニー67LR抗体(F18,Santacruz)と混合して揺り動かしながら4℃で2時間培養し、蛋白質Aアガロスを混合した。氷で冷却した溶解バッファを利用して3回洗浄した後、沈澱物をSDSサンプルバッファに溶解させ、SDS-PAGEで分離した。相異する細胞分画でKRS及びLRの結合を確認するために、pcDNA3.1-Myc-KRSで形質感染し、proteoextractキット(Calbichem)を利用して製造社の指針に従ってプラズマメンブレンとサイトプラズム分画を分離し、前記の通り共同免疫沈降を行った。蛋白質水準を分析するために、蛋白質を細胞から抽出して10%SDS-PAGEで分離した。別に言及しない限り抗LR抗体(Abcam,ab2508)を37LRP及び67LRの同時免疫ブロッティングに使用した。hsp90及びパンカドヘリン(Pan-cadherin)に対する抗体はSantacruzから購入した。
【0070】
3.流細胞分析(flow cytometry)
細胞サイクルをaddressするために、培養された細胞を表示されたベクター又は化合物に形質感染又は処理して70%のエタノールで4℃で1時間固定した後、氷で冷却したPBSで2回洗浄した。その後、細胞をpropidium iodide(50μg/ml), 0.1% sodium citrate, 0.3% NP40, and RNaseA(50μg/ml)で40分間染色してフローサイトメトリー(FACS Calibur,Beckton-Dickinson)を行った。それぞれのサンプルに対してCell Quest proソフトウェアを使用して20000細胞を分析した。細胞表面の67kD LRの量を分析するために、1X10 6細胞をIgG又は67LRの細胞外ドメインを認識する抗LR抗体(MLuC5,1μg)と培養し、FITC2次抗体と培養した。PBSで洗浄してサンプルをFACSでスキャニングした。
【0071】
4.免疫蛍光染色
9mmカーバスリップ(cover slip)上のA549細胞を70%メチルアルコールで固定して、冷却されたPBSで洗浄した。1%CAS、3%BSA及び0.5%triton X-100を含むブロッキングバッファで30分間処理した(incubation)後、細胞をKRSに対する抗体(Abcam)、及びMLuC-5に対する抗体(Santacruz)で1時間培養した。アレキサ488及び568(invitrogen)を添加して室温で30分間処理した。冷却したPBSで30分間洗浄した後、標本をレーザースキャニングマイクロスコフィーで観察した。
【0072】
5.パルスチェース実験(Pulse chase experiment)
293細胞をリポペクタミン2000を利用して、siKRS又はsi対照群(invitrogen)で形質感染させた。これをメチオニンが含まれていない培地で1時間培養し、[35 S]メチオニン(50μCi/ml)を添加して1時間培養した。新鮮な培地で放射線メチオニンを洗浄した後、67LRをこれに特異的な抗体(Santacruz)で免疫沈降させ、12%SDS PAGEで分離し、BAS(FLA-3000、Fujifilm)を利用して露出させた(autroadiography)。67LRの量はMulti gaugeプログラム(V3.0,Fujifilm)を利用して測定した。
【0073】
6.イーストツーハイブリッド(yeast two hybrid)分析
ヒトKRSの多様な断片を符号化するcDNAを相応するプライマーを利用してPCRで得た。KRSに対するPCR産物をEcoRI及びXhoIで切断し、pEG202ベクター(LexA融合蛋白質の製造のため)及びpJG4-5ベクター(B42融合蛋白質の製造のため)の相応する位置に連結した。37LRP断片を符号化するcDNAはBarbara J.Ballermann博士(アルバータ大学)から得て、これをpJG4-5ベクターのEcoRI及びXhoI部位に挿入した。二つの融合蛋白質間の相互作用はX-gal含有酵母培地上で青色コロニーの形成可否で分析した。
【0074】
7.In vitro結合分析
GST-KRS又はGSTを大腸菌ロジェタ(DE3)ストレインで発現させ、前記蛋白質抽出物を1%-Triton X-100及び0.5% N-ラウリルサコシンが含有されたPBSバッファで4℃で2時間グルタチオンセファロースと混合した。ヒト37LRPは TNT Quick coupled Transcription/Translation system(Promega)を使用し、pcDNA-37LRP を鋳型に使用して、[35 S]メチオニンの存在下でin vitro translationにより合成した。合成された37LRPは前記GST蛋白質混合物に添加し、1%-Triton X-100、0.5% N-ラウリルサコシン、1mM DTT,2mM EDTA及び 300μMフェニルメチルスルホニルフルオライドが含有されたPBSバッファで撹拌しながら4℃で4時間培養して、0.5%-Triton X-100を含有する同じバッファで6回洗浄した。その後、セパロスビードで結合された蛋白質を、SDSサンプルバッファで溶出してSDS-PAGEで分離し、放射線を測定した(autoradiograph)。
【0075】
8.細胞移動(cell migration)分析
細胞移動は先行文献(Park, S. G. et al. Human lysyl-tRNA synthetase is secreted to trigger pro-inflammatory response, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 102, 6356-6361(2005))に記載された通り、ポリカーボネート膜(8.0μm 空隙サイズ、Costar)を有する、24ウェルトランスウェルチャンバーで測定した。A549細胞を無血清(serum-free)RPMI培地に懸濁した後、各ウェル当たり1x105細胞の濃度で上位チャンバーに入れた。表示された濃度の精製されたヒトKRS、ラミニン(10μg/ml)又はゼラチン(10μg/ml)を下位ウェルに入れて細胞がCO2培養器で37℃で6時間移動するようにした。細胞は70%メチルアルコールを含むPBSで30分間固定してPBSで3回洗浄した。細胞をヘマトシリン(Sigma)で10分間染色後蒸留水で洗浄した。綿棒で膜の上の部分で移動しない細胞を除去した。膜をチャンバーから分離してGel Mount(Biomeda,米国)に上げておいた(mount)。移動した細胞(膜の下位面に付着したもの)を顕微鏡下で(x20)4ヶ所を選別する方式で測定した。
【0076】
9.ザイモグラフィー(zymography)
表示されたsiRNA及び再組合せKRS(又はDRS)を符号化するプラスミドで形質感染されたA549細胞をそれぞれ48時間及び24時間培養して、10% FBSを含有するRPMI培地に接種した(1X105 細胞/ウェル)。細胞を無血清RPMI培地で2時間飢餓処理(starving)した後、ラミニンを添加して10μg/mlで24時間培養した。20μlの培養培地を5x FODバッファ(4% SDS,20%グリセノール及び0.01%ブロモフェノールブルーを含有する0.125MTris-HC1,pH6.8)と混合して、1mg/mlのゼラチンを含有する10%SDS-PAGEを行った。ゲルを2.5%トリトンx-100でそれぞれ20分ずつ2回洗浄し、蒸留水でそれぞれ20分ずつ2回洗浄して、反応バッファ(10 mM CaCl2, 150 mM NaCl, 1 μM ZnCl2, 1% Triton X-100, and 0.002% sodium azide)を含有する50mM Tris-HC1,pH7.5)と37℃で4時間培養した。ゲルを蒸留水で洗浄し、クマシブルーR250で染色して35%メタノールで脱染(destain)した。
【0077】
10.生体内癌転移実験
マウス乳房癌細胞4T-1細胞をsiKRS,siDRS又はsi対照群で形質感染させ、24時間培養した。細胞(1X106)を6週令の雌Balb/cマウスの背に皮下注射した。目標遺伝子の発現に対するsiRNAの効果は形質感染48時間後に残った細胞で実験して、3乃至10日まで注入後2日おきに1次腫瘍でも相応する抗体を使用したウェスタンブロットで前記siRNAの効果を試験した。腫瘍の成長は1週に3回腫瘍の大きさを測定することで観察した。全体の体重も同時に測定した。注入後21日目にマウスから1次腫瘍及び肺を摘出した。肺は10%のホルマリンで24時間固定した。肺から転移性腫瘍結節の数及び大きさを測定し、直径1mm以上の腫瘍結節は別に記録した。1次腫瘍の重量も測定した。癌転移に対するKRS過発現の効果を検査するために、齧歯類KRS及び共ベクターを4T-1細胞に形質感染させて、安定的な形質感染体をG418の存在下で3週間培養して選別した。その後複数個の単一コロニーを選びウェスタンブロットでKRSの発現を比較した。KRSを対照群細胞に比べて高い水準で発現する2個の相異するコロニー(KRS-1及びKRS-2)を選別して注入に利用した。全ての過程は注入30日後にマウスを犠牲させたことを除いては前記での通りに行った。
【0078】
11、癌転移抑制活性テスト
化合物ライブラリをスクリーニングして得た本発明の化合物に対してKRS及びラミニン受容体(67LR)間の相互作用を阻害程度をイーストツーハイブリッド方法により下記の通り確認した。LexAベクター(clontech)及びB42ベクターにそれぞれKRS、LR、AIMP2,AIMP3及びMRSをそれぞれクローニングして必要とするベクターを製造した。その内でLexA-KRS及びB42-LRベクターを酵母EGY/SH細胞に共同形質転換(co-transformation)させて、前記酵母細胞をウラシル(Ura)、ヒスチジン(His)、トリプトファン(Yrp)及びルシン(Leu)がないガラクトース培地で吸光度(540nm波長)が0.2になるように希釈後 200μずつ96well plateに入れた。10mg/ml濃度のそれぞれの化合物 1μ1をそれぞれのウェルに入れ、6日間培養後540nmで吸光度を測定した。本発明者等は対照群の成長に比べて50%以上成長が減少する化合物を選別した。選別された化合物の阻害特異性はLexAKRS/B42-AIMP2及びLexA-MRS/B42-AIMP3と同じ別の2個の相互作用の対を使用してテストした。
【0079】
12.細胞蛋白質合成
A549細胞を表示した濃度の化学式15の化合物(2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾール3-イル]ビューティリキ酸、CAND-KL1又はKL1で表示)で処理後、細胞を無メチオニン培地で30分間培養し、[35 S]メチオニン(10mCi/ml)を添加して2時間培養した。細胞を再度完全培地で4時間培養して細胞を集めた。これを分解して細胞の放射線量をシンチレーション計数機で測定した。
【0080】
13.細胞毒性分析
104 A549細胞を96ウェルプレートに入れて、表示された濃度の化学式15の化合物で24時間処理した。以後、製造社の指針に従いEZ-cytox(Daeil Lab,Korea)化合物をそれぞれのウェルに10μlずつ入れて2時間培養した。マイクロプレートリーダーを利用して吸光度を420nmで測定した。
【0081】
14.表面プラスモン共鳴分析(surface plasmon resonance assay)
KRS及び化学式15の化合物間の相互作用をBIAcore3000(GE healthcare)を利用して検査した。GST及びGST-KRSを希釈して10mMアセト酸ナトリウム(sodium acetate.pH5.0)で20μg/mlに合わせた。それぞれの蛋白質をCM5センサーチップ(CM5 sensor chip,GE healthcare)の表面に付着させた。CAND-KL1を1%-DMSOを含むPBSで表示された濃度に希釈して、25℃で20μl/分の速度で注入して結合を共鳴ユニットの変化で測定した。CAND-KL1のGST-KRSに対する特異的な結合活性はセンサーグラム(sensorgram)でGSTに対する結合を抜いて測定した。実視結合定数はBIAevaluationプログラムを使用して基底線(baseline)を移動させて1:1結合させることにより得られた。
【0082】
<実験結果>
1.KRS及び67LR間の特異的相互作用
全体の長さのKRSと37LRPとの特異的相互作用はイーストツーハイブリッド分析により確認した。LexA-KRSはKRSのパートナーとして知られた(Kim, J.Y. et al. p38 is essential for the assembly and stability of macromolecular tRNA synthetase complex: Implications for its physiological significance, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 7912-7916(2002))AIMP2ばかりでなく、B42-37LRPと結合して青色コロニーを形成し、AIMP1に対してはそうではなかった(図1)。インビトロバインディングアッセイに対しては[35 S]メチオニンで表示された37LRP をGST-KRS又はGSTと混合してグルタチオンセファロースで沈澱させ、自家放射線撮影をした。37LRPはGST-KRSと共に沈澱したが、GSTとはしなかった(図2)。イーストツーハイブリッド分析による消失地図(deletion mapping)でヒトKRSと、N末端延長部位とLRのC末端細胞のドメインがそれらの結合に関与することを確認した(図3)。
【0083】
細胞質内37LRPは膜包埋性67LRに転換されるので、本発明者等はKRSが37LRP及び67LRと相異して結合するかを確認した。myc-KRSを肺癌細胞株A549細胞に導入して抗-Myc抗体と免疫沈澱させた。細胞溶解物のウェスタンブロット結果、67LRは37LRPより少量存在した(図4右側カラム)。しかしながら、myc-KRSは37LRPよりも67LRに容量優先的に結合した(図4中間カラム)。本発明者等は、以降、A549細胞を細胞質と原形質膜分画で分離して、myc-KRSと37LRP及び67LRの相互作用を確認した。37LRPは細胞質で67LRは原形質膜でそれぞれ優勢して観察された反面(図5右側)、KRSは細胞質においてより多い量が観察されたが、二つの分画全てに存在した。二つの分画全てを抗-Myc抗体と免疫沈澱させた時、細胞質内少量の37LRPも沈澱されたが、膜に存在する67LRが主にKRSと共に沈澱された(図5左側)。このような結果は、KRSがラミニン受容体の二つの形態全部と潜在的に結合することができるが、細胞内で67LRとの結合を選好することを暗示した。本発明者等はラミニン処理により内在するKRS及び67LRの相互作用が影響を受けるのかを確認した。これら二つの蛋白質の相互作用はラミニン処理により増加された(図6参照)。
【0084】
2.KRSのラミニン依存性膜転座はリン酸化及び多重 t-RNA合成酵素複合体からの遊離が関与される。
本発明者等は、A549細胞でKRSの細胞内分布がラミニン処理により変化するかを細胞分画と免疫蛍光染色法を通じて調査した。ラミニン処理後、KRSと67LRの膜内存在量は細胞質内のKRS及び37LRP 量やこれらの発現には殆ど変化なく漸次増加した(図7及び結果未図示)。免疫蛍光染色においても67LR及びKRSがラミニン処理により、膜側に移動したことを説明している(図8、それぞれ赤色及び緑色)。発明者等はKRSの膜転座(translocation)がラミニンにより触発された(triggered)信号伝達によって生理的に調節されるのかを調査した。ホスホイノシチド3-OHカイネイズ(phosphoinositide 3-OH kinase(PI3K),(Shaw, L. M., Rabinovitz, I., Wang, H. H., Toker, A. & Mericurio. A.M. Activation of phosphoinositide 3-OH kinase by the alpha6beta4 integrin promotes carcinoma invasion. Cell 91, 949-960(1997))、蛋白質リン酸化酵素C(protein kinase C(PKC),(Li, Y. Q. et al. Protein kinase C mediates the signal for interferon-gamma mRNA expression in cytotoxic T cells after their adhesion to laminin. Immunology 93, 455-461(1998))、及びホスホリパーゼCガンマ(phospholipase C-gamma(PLC-gamma)(Vossmeyer, D., Hofmann, W., Loster, K., Reutter, W. & Danker, K. Phospholipase C-gamma binds alpha1beta1 integrin and modulates alpha1beta1 integrin-specific adhesion. J. Biol. Chem. 277, 4636-4643(2002); Kanner, S. B., Grosmaire, L. S., Ledbetter, J. A. & Damle, N. K. Beta 2-integrin LFA-1 signaling through phospholipase C-gamma 1 activation. Proc .Natl. Acad. Sci. USA 90, 7099-7103(1993))のような複数の相異するリン酸化酵素らがラミニンにより活性化されるとして知られている。このようなリン酸化酵素らの内、どのようなものがKRSのラミニン依存性膜転座に関与するかを確認するために、本発明者等はそれぞれのカイネイズに特異的な抑制剤でそれぞれのリン酸化酵素を遮断して、この処理が如何にKRSのラミニン依存性膜転座に影響を及ぼすかを確認した。膜分画でKRSと67LRのラミニン依存的増加は、PI3K抑制剤であるLY294002の存在下で抑制されるのに反して、U73122又はスタウロスホリンで処理した細胞らは対照群細胞と同様に67LRのラミニン依存的増加を示した(図9上及び結果未図示)。これらリン酸化酵素らの内、いずれも細胞内KRSの量に影響を及ぼしたものはなかった(図9下)。これらの結果はP13KがKPSのラミニン誘導性リン酸化に連関したものであることを暗示する。チロシンでないトレオニンとセリンではリン酸化されたKRSはラミニン処理により増加された反面、LY294002の存在下では抑制されたが、スタウロスホリンはなんらの影響も与えなかった(図10)。本発明者等はさらに、KRSのラミニン誘導性リン酸化が67LRとの相互作用に必要であるかを調査した。LY294002処理はKRS及び67LRのラミニン誘導性結合を抑制した(図11)。細胞質KRSが多重ARS複合体に固定されているので、本発明者等はさらに、KRSのラミニン依存的リン酸化がKRSと複合体の別の酵素構成成分であるグルタミルプロリル(glutamyl prolyl tRNA synthetase,EPRS)と共免疫沈澱することにより、多重ARS複合体との結合に影響を及ぼすかを調査した。LY化合物(LY294002)の不在下でラミニン処理はKRSとEPRSの結合を減少させ、同時に免疫消尽された溶解性分画(immuno depleted soluble fraction)のKRSを増加させた(図12上、下パネルの左側レーン)。これに反してEPRSに結合したKRSは細胞がLY294002で前処理された時、ラミニン処理に影響をうけなかったが(図12上、下パネルの右側レーン)、これはKRSのリン酸化がKRSの複合体のラミニン依存的遊離に必要であることを示唆した。
【0085】
3.KRSは67LRの細胞内安全に必要である。
本発明者等はKRSがA549細胞において、67LRの膜内存在量に影響を及ぼすか否かを確認した。原形質膜での67LRの量はKRSにより増加されるが(図13、左側)、ラミニン効果はKRSがこれに対する特異的なsiRNAにより、抑制される時には消え去るが(図13、右側)、これは67LRのラミニン依存的促進において、KRSの重要性を示唆する。ラミニン受容体の細胞内分布は空ベクター又はKRSに形質感染されたA549細胞間で免疫蛍光染色を通じて比較された。ラミニン受容体は対照群と比べてKRS過発現細胞の膜部位に強く染色された(図14)。本発明者等はさらに、遊細胞分析器で膜に存在する67LRを調査した。膜に存在する67LRの量は外部からKRSを供給する時増加し、siKRSでKRSを抑制した時減少した(図15)。
【0086】
本発明者等はKRSが如何にして67LRの膜内存在量を増加させるかを調査した。理論的にKRSは37LRP から転写又は転換(conversion)を通じて67LRを促進することができる。しかし、KRSの形質感染はLR転写調節の暫定的役割を除いてはLR転写を増加させなかった(結果未図示)。本発明者等はさらに、37LRPの変形が37LRPが67LRに転換するにおいて、先行要件として知られているので(Landowski, T. H., Dratz, E.,A. & Starkey, J. R. Studies of the structure of the metastasis-associated 67 kDa laminin binding protein: fatty acid acylation and evidence supporting dimerization of the 32 kDa gene product to form the mature protein. Biochemistry 34, 11276-11287(1995); Buto, S. et al. Formation of the 67-kDa laminin receptor by acylation of the precursor. J. Cell. Biochem. 69, 244-251(1998))、KRSが37LRPの脂肪族アシル化(fatty acylation)を媒介するかを調査した。その結果、KRSは37LRPの脂肪属アシル化に全く影響を与えなかった(結果未図示)。本発明者等はさらに、パルスチェイス(puls chase)実験を通じて67LRの代謝転換においてKRSの効果を調査した。初期蛋白質合成は放射性メチオニンで表示され、シクロヘキシミドで抑制された。67LRの消滅は時間的間隔をおいて自家放射線撮影により観察された。67LRはKRSがsiRNAにより抑制される際、急激に減少されたが、この数値はsi対照群においては時間間隔によって維持されたのとは対照的である(図16)。従って、KRSは原形質膜で67LRと結合することにより、67LRの半減期を増加させるものと見られる。
【0087】
4.KRSは67LRを通じて細胞移動及び癌転移を増加させる。
本発明者等はKRSの発現程度がラミニン依存的A549細胞移動に影響を及ぼすか否かをトランスウェルメンブレン分析を通じて調査した。対照群細胞の移動はラミニン処理により平均6倍ほど促進された(図21及び図17)。しかしながら、ラミニン依存的細胞移動はKRSがsiRNAにより抑制された時減少した(図17、si対照群及びsi KRS)。これとは逆にKRS過発現はラミニン処理により促進された細胞移動を増加させた(図17、EV及びKRS)。しかしながら、細胞移動においてKRSの効果はラミニン受容体がsiRNAにより抑制されると消え去る(図17、si-LR、下パネル)。KRSは複数の癌細胞からサイトカインとして分泌されるので(Park, S. G. et al. Human lysyl-tRNA synthetase is secreted to trigger pro-inflammatory response, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 102, 6356-6361(2005))、本発明者等は細胞外因性KRSが細胞移動に影響を及ぼすか否かを調査した。A549細胞を相異する濃度の精製されたKRSで処理した際、この分析からKRSの細胞外因性効果を除けば、細胞移動は殆ど影響されなかった(図22)。反面、細胞蛋白質の合成及び細胞周期は実験するあいだ、KRSの抑制及び過発現に影響されなかったが、これはKRS依存的細胞移動が前記過程の効果に起因しないことを示唆する(図23及び図24)。ラミニン処理がMMP-2(matrix metllo proteinase-2)の活性化を招くので(Givant-Horwitz, V., Davidson, B. & Reich, R. Laminin-induced signaling in tumor cells the role of the M(r)67,000 laminin receptor. Cancer Res. 64, 3572-3579(2004))、MMP-2のラミニン依存的活性化においてKRSの役割をin vitroザイモグラフィー分析を通じて調査した。MMP-2 活性をラミニンにより活性化され、これはsi-KRSの存在下で抑制されたが(図18左側)、KRSの過発現により一層増進された(図18右側)。
【0088】
KRSが癌転移と関連された67LRを通じて細胞移動を促進できるので、肺によく転移するマウスの乳房癌4T-1細胞を使用して、KRSの発現水準により癌転移が影響されるのかを調査した。KRS又は多重ARS複合体の別の構成要素であるDRS(aspartyl tRNA synthetase)をそれらに特異的なsiRNAで発現を抑制し、如何にKRS及びDRSの発現減少が癌転移に影響を及ぼすかを比較した。si-KRS及びsi DRSの抑制効果をウェスタンブロットで確認して(図25)、これら細胞それぞれ及びsi対照群で処理した細胞をBalb/cマウスの背皮膚に皮下注射で注入した。注入された3種全部が類似した質量及び体積の腫瘍を発生させて(図26)、KRSの水準が1次腫瘍の成長には影響しないことを知らせてくれた。注入して21日目に肺を分離し、転移性腫瘍結節(直径1mmより大きいもの)の数を3群間で比較した。転移性結節の数は対照群及びDRSが抑制された細胞から得たものに比べてKRSの抑制により大きく減少した(図19及び図27)。逆に前記方法によりKRSの過発現が癌転移を増進するかを調査した。そこで、KRSを符号化するプラスミドの形質感染及びG418スクリーニングにより、KRSを安定的に過発現する4T-1細胞株を初めて構築した。構築された細胞株でKRSの過発現はウェスタンブロットで確認し、空ベクターで形質感染された細胞らに比べて大量でKRSを発現する2個の相異する細胞(KRS1及びKRS2)を選別した(図28)。これらの細胞も類似した質量と大きさの1次腫瘍を生成した(図29)。これらの細胞を注入した後、30日目に肺を検査したとき、KRS過発現細胞二つとも対照群細胞に比べてより多くの結節を生成した(図20及び図30)。このような結果はKRSが生体内で癌転移を誘導することを暗示する。
【0089】
5.本発明の化合物のKRS及びラミニン受容体間の相互作用阻害確認
本発明者等は本発明の化合物によりKRSと、ラミニン受容体間の相互作用を調節できるか否かを調べるために、本発明の化合物を処理してKRS及び67LR間の相互作用を確認した。このため、本発明者等はKRS及びラミニン受容体間の相互作用が起こると、細胞成長がなされるようにイーストツーハイブリッドシステムを造り、化合物が相互作用を阻害するか否かを調べた。若し、化合物がKRS及びラミニン受容体間の相互作用を阻害すれば、これは酵母細胞の成長を阻害するであろう。
その結果、下記表2の通り対照群細胞に比べて50%前後の成長阻害を示し、KRSと67LRの相互作用を阻害することが分った。
【0090】
【表2】
【0091】
以降それぞれの化合物をKRSAIMP2 (Kim, J.Y. et al. p38 is essential for the assembly and stability of macromolecular tRNA synthetase complex: Implications for its physiological significance. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 7912-7916(2002); Han, J.M. et al. Hierarchical network between the components of the multi-tRNA synthetase complex: Implications for complex formation. J. Biol. Chem. 281, 38663-38667(2006))and MRS-AIMP3(Quevillon, S. & Mirande, M. The p18 component of the multisynthetase complex shares a protein motif with the beta and gamma subunits of eukaryotic elongation factor 1. FEBS Lett. 395, 63-67(1996); Kim, K.J. et al. Determination of three dimensional structure and residues of novel tumor suppressor, AIMP3/p18, required for the interaction with ATM. J. Biol. Chem.(2008))のような2個の異なる相互作用対に対しても処理した。このようなテストを通じて本発明者等はKRSLRの相互作用のみを阻害する化合物を選別した(下記表3参照)。
【0092】
【表3】
【0093】
これらの内、化学式15の化合物(CAND-KL1,KL1でも表示)に対して、KRS及び67LRの細胞内相互作用も阻害するか否かを試験した。A549細胞を相異する濃度のKL1で処理し、67LRをこれの抗体で免疫沈澱させて、KRSの共免疫沈澱(co-immunoprecipitation)を調べて見た。67LRと共沈澱されたKRSの量はKL1量の増加により減少し、KRS及び67LRの細胞内の量は変わりがなかった(図33)。放射線同位元素を利用して形成されたラミニン受容体及びGST-KRS間のin-vitro相互作用がなされるようにして、相異する量のKL1を添加した。GST-KRSとフルダウン(pull-down)されたラミニン受容体の量はKL1化合物の添加量が増加するに従い減少した(図34)。67LRの細胞内の安全性はKRSの結合によるもので、これら二つの蛋白質の結合を阻害するKL1の処理により、67LRの細胞内水準が影響を受けるのかを確認した。67LRの水準はKL1の添加量によって減少し、細胞質内37LRPは影響がなかった(図35)。本発明者等はKL1がKRSと直接結合するかをBIAcore3000を利用して表面プラスモン共鳴(sgrface plasmon resonance)により検査した。KRSにKL1が結合するのは、KL1の量が増加するに従い増加し、Kdは約2.6μMに測定された(図36)。KL1がKRSの表面を占めてラミニン受容体への接近を立体的に妨害するものと見られる。
【0094】
6.KRS-67LRの阻害は細胞移動及び癌転移を抑制する。
本発明者等はKL1が前記のように細胞移動及び癌転移に影響を及ぼすか否かを試験した。細胞移動に及ぼす影響を確認するために、本発明者等はMMP-2及ぼすトランスウェル膜分析に相異する量のKL1を添加した。二つの分析でKL1はMMP-2活性及び細胞移動を処理された量によって阻害した(図37乃至図39)。細胞内蛋白質合成及び生存能は同一な実験条件でKL1が処理により影響を受けず(図40及ぼす図41)、これは化合物処理による細胞移動の阻害が蛋白質合成及び細胞生存能によるものではない点を暗示する。本発明者等はKL1の存在及び不存在の際、前記に記述した通りの癌転移実験を行った。KL1を30mg/kgの量で1日1回で3週間マウスに注入した時、転移されたノジュール(nodule)の数は著しく減少した(図42)。反面KL1は腫瘍成長に影響を及ぼさなかった(図43)。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上察した通り、本発明者等はKRSが67LRと相互作用することにより、癌(又は腫瘍)細胞の移動を促進して癌の転移(metastasis)に影響を及ぼすことを究明し、KRS及び67LRの相互作用を阻害する物質が癌細胞の転移を抑制して、癌を予防及び治療できることを確認した。従って、本発明の組成物は癌の転移を抑制するので癌の予防及び治療のための新たな手段を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む癌の予防及び治療用薬学的組成物。
【化13】
[前記式で
【化14】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたもので;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか、又はハロゲンにより置換されたアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたもので;
R2は水素、アリルアルキル、
【化15】
及びNH-R5からなる群より選ばれたもので、
R4は水素又は非置換されるか、又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか、又はハロゲンにより置換されたアリル、又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化16】
及び
【化17】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項2】
化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン(5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(4-ethyl-phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-)ジクロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl-amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-Benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式10のN-(-5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-Benzooxazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-TriMethly-phenyl)-benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2-[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾオキサゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する癌の予防及び治療用薬学的組成物。
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【請求項3】
前記癌は大腸癌、肺癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血からなる群より選ばれたことを特徴とする第1項又は第2項記載の組成物。
【請求項4】
前記癌の予防及び治療は癌細胞の転移を抑制することにより行われることを特徴とする第1項又は第2項記載の組成物。
【請求項5】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む癌の転移阻害用薬学的組成物。
【化22】
[前記式で、
【化23】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、,
【化24】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化25】
及び
【化26】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項6】
化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン(5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)(4-ethyl phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-ジロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl)amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン((5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-Benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式10のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzothiazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチリルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-TriMethly-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾ−ル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する第5項記載の癌転移阻害用薬学的組成物。
【請求項7】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌の予防及び治療剤製造のための用途:
【化27】
[前記式で、
【化28】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化29】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化30】
及び
【化31】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項8】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又は、これの薬学的に許容可能な塩の癌転移阻害剤製造のための用途:
【化32】
[前記式で、
【化33】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化34】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化35】
及び
【化36】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項9】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又は、これの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌の予防及び治療方法。
【化37】
[前記式で、
【化38】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化39】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化40】
及び
【化41】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項10】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又は、これの薬学的に許容可能な塩をこれを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌転移阻害方法。
【化42】
[前記式で、
【化43】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化44】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化45】
及び
【化46】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項11】
前記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体は、化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)(4-ethyl phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-ジロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl)amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン((5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式 10のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzothiazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチリルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-Trimethyl-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾ−ル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物であることを特徴とする第7項又は第8項記載の用途。
【請求項12】
前記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体は化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-)Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)(4-ethyl phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-ジロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl)amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式10のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzothiazol-2-yl)4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-Trimethyl-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾ−ル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl)-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物であることを特徴とする第9項又は第10項記載の方法。
【請求項13】
前記癌は大腸癌、肺癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血からなる群より選ばれたことを特徴とする第7項又は第8項記載の用途。
【請求項14】
前記癌は大腸癌、肺癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血からなる群より選ばれたことを特徴とする第9項又は第10項記載の方法。
【請求項1】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む癌の予防及び治療用薬学的組成物。
【化13】
[前記式で
【化14】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたもので;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか、又はハロゲンにより置換されたアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたもので;
R2は水素、アリルアルキル、
【化15】
及びNH-R5からなる群より選ばれたもので、
R4は水素又は非置換されるか、又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか、又はハロゲンにより置換されたアリル、又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化16】
及び
【化17】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項2】
化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン(5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(4-ethyl-phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-)ジクロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl-amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-Benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式10のN-(-5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-Benzooxazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-TriMethly-phenyl)-benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2-[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾオキサゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する癌の予防及び治療用薬学的組成物。
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【請求項3】
前記癌は大腸癌、肺癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血からなる群より選ばれたことを特徴とする第1項又は第2項記載の組成物。
【請求項4】
前記癌の予防及び治療は癌細胞の転移を抑制することにより行われることを特徴とする第1項又は第2項記載の組成物。
【請求項5】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む癌の転移阻害用薬学的組成物。
【化22】
[前記式で、
【化23】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、,
【化24】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化25】
及び
【化26】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項6】
化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン(5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)(4-ethyl phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-ジロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl)amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン((5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-Benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式10のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzothiazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチリルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-TriMethly-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾ−ル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する第5項記載の癌転移阻害用薬学的組成物。
【請求項7】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩の癌の予防及び治療剤製造のための用途:
【化27】
[前記式で、
【化28】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化29】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されるか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化30】
及び
【化31】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項8】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又は、これの薬学的に許容可能な塩の癌転移阻害剤製造のための用途:
【化32】
[前記式で、
【化33】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化34】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化35】
及び
【化36】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項9】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又は、これの薬学的に許容可能な塩を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌の予防及び治療方法。
【化37】
[前記式で、
【化38】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化39】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化40】
及び
【化41】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項10】
下記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体又は、これの薬学的に許容可能な塩をこれを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする癌転移阻害方法。
【化42】
[前記式で、
【化43】
は原子が要件により許容される二重結合又は単一結合を示し;
AはO,NH及びSからなる群より選ばれたものであり;
XはC又はNであり;
R1は水素、非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキル。アルコキシ、ハロゲン、ニトロ及びアミンからなる群より選ばれたものであり;
R2は水素、アリルアルキル、
【化44】
及びNH-R5からなる群より選ばれたものであり、
R4は水素又は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアルキルであり;
R5は非置換されたか又はハロゲンにより置換されたアリル又は非置換されたか、又はハロゲンにより置換されたアリルアルキルであり;
R3は水素、
【化45】
及び
【化46】
からなる群より選ばれたものである。]
【請求項11】
前記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体は、化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)(4-ethyl phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-ジロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl)amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン((5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式 10のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzothiazol-2-yl)-4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチリルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-Trimethyl-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾ−ル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物であることを特徴とする第7項又は第8項記載の用途。
【請求項12】
前記化学式1で表示されるベンゾヘテロサイクル誘導体は化学式2のN-(6-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(6-Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式3のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)ベンザマイド(N-(5-)Methoxy-benzooxazol-2-yl)-benzamide)、化学式4の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)フェニルアミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)phenyl-amine)、化学式5の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-エチルフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)(4-ethyl phenyl)-amine)、化学式6の(5-クロロベンゾオキサゾール-2-イル)(3,4-ジロロフェニル)アミン((5-Chloro-benzooxazol-2-yl)-(3,4-dichloro phenyl)amine)、化学式7の(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)(4-フェニルアゾ-フェニル)アミン(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)-(4-phenylazo-phenyl)-amine)、化学式8のN-ベンゾオキサゾール-2-イルベンザマイド(N-Benzooxazol-2-yl-benzamide)、化学式9のN-(5-ニトロベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Nitro-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式10のN-(5-メトキシベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methoxy-benzooxazol-2-yl)benzamide)、化学式11のN-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-ベンザマイド(N-(5-Methly-benzooxazol-2-yl benzamide)、化学式12のN-(6-ニトロベンゾチアゾール-2-イル)-4-トリフルオロメチルベンザマイド(N-(6-Nitro-benzothiazol-2-yl)4-trifluoromethyl-benzamide)、化学式13の[2-(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)-フェノキシ]アセト酸([2-(5-Methly-benzooxazol-2-yl)-phenoxy]-acetic acid)、化学式14の2-(2,4,6-トリメチルフェニル)ベンゾオキサゾール-5-イルアミン(2-(2,4,6-Trimethyl-phenyl)benzooxazol-5-ylamine)、化学式15の2[2-(4-メチルベンゾイルイミノ)ベンゾチアゾ−ル-3-イル]酪酸(2-[2-(4-Methly-benzoylimino)-benzothiazol-3-yl]-butyric acid)、化学式16の2-(2,6-ジメトキシフェニル)ベンゾチアゾール(2-(2,6-Dimethoxy-phenyl)-benzothiazole)及び化学式17の(2-クロロ-4-フルオロベンジル)(5-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)アミン((2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-(5-fluoro-1H-indol-3-ylmethyl)-amine)、からなる群より選ばれた化合物であることを特徴とする第9項又は第10項記載の方法。
【請求項13】
前記癌は大腸癌、肺癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血からなる群より選ばれたことを特徴とする第7項又は第8項記載の用途。
【請求項14】
前記癌は大腸癌、肺癌、肝癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頚部癌、悪性黒色腫、リンパ腫、再生不良性貧血からなる群より選ばれたことを特徴とする第9項又は第10項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公表番号】特表2013−510143(P2013−510143A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537820(P2012−537820)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007806
【国際公開番号】WO2011/056021
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508369906)エスエヌユー アール アンド ディービー ファウンデーション (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007806
【国際公開番号】WO2011/056021
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508369906)エスエヌユー アール アンド ディービー ファウンデーション (11)
【Fターム(参考)】
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