説明

ペオニフロリン含有ゼリー製剤

【課題】携帯性に優れ、優れたゼリー強度を有し、ペオニフロリンが安定化された、ペオニフロリン含有抽出物のゼリー製剤を提供する。
【解決手段】ゼリー基剤としてペクチンを用い、ペクチン1重量部に対する2価の金属イオンの含量を金属換算量で0.015〜0.05重量部になるよう調整することにより、軽量で嵩張らず、携帯に便利なペオニフロリン含有抽出物のゼリー製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分としてペオニフロリンを含むゼリー製剤に関するものであり、さらに詳しくはペオニフロリン含有八味地黄丸抽出物を有効成分として含むゼリー製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
漢方薬は、ほとんどが散剤、顆粒剤、錠剤、液剤などの製剤として用いられている。漢方薬を散剤、顆粒剤、錠剤などの固形製剤とした場合、1回当り数グラムの服用量が必要となり、服用する人にとってかなりの負担となっている。また、漢方薬独特の苦みなどにより、服用に不快感を伴ったり、服用が困難であったりするなどの問題がある。
漢方薬の固形製剤における数グラムの服用量を少なくする製剤として液剤があり、例えば、排尿障害治療薬として賞用されている八味地黄丸抽出エキスの液剤が、内服液として市販されている。この八味地黄丸抽出エキスには、ペオニフロリンが有効に濃縮されていることが、特許文献1に記載されている。
【0003】
しかしながら、八味地黄丸抽出エキスを液剤とした場合、固形剤より服用しやすいという利点はあるものの、漢方薬独特の苦みなどが口中に広がる点に変わりがないばかりか、すべての配合成分を可溶化する必要があるために、製剤容量の小型化が難しく、重くて嵩張り、携帯に不便である。八味地黄丸抽出エキスは、排尿障害、特に尿漏れや頻尿に有効であり、旅行などに際して携行されることが多いため、上記の携帯に適していないということは、特に問題である。
【特許文献1】特開平11−12185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、1回の服用量が少なくて、しかも軽くて嵩張らないで携帯に便利な八味地黄丸抽出エキス含有製剤の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、八味地黄丸抽出エキスをゼリー製剤化することに着目した。そして、ゼリー製剤の基剤としてペクチンを使用した場合、特に低メトキシルペクチンを使用した場合に意外にも優れたゼリー強度が得られ、さらにpHを所定の範囲にすることにより、八味地黄丸抽出エキス中のペオニフロリンが安定化されることを見出して、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液剤に比べて軽くて嵩張らず、携帯に便利な八味地黄丸抽出エキス含有ゼリー製剤が得られる。そして、このゼリー製剤では、八味地黄丸抽出物中の有効成分であるペオニフロリンが安定化されるとともに、ゼリー強度も安定化され、しかも漢方薬独特の苦みがマスキングされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のゼリー製剤に含まれるペオニフロリンは、化学的に合成されたものであってもよく、牡丹皮、芍薬などの生薬から抽出されたものであってもよく、あるいは八味地黄丸、葛根湯、桂枝湯のような漢方薬から抽出されたものであってもよい。生薬または漢方薬からの抽出物の形態としては、乾燥粉末、抽出エキス(例えば、乾燥エキス、軟エキス、流エキス)などが挙げられる。
【0008】
本発明のゼリー製剤に含まれるペオニフロリンが八味地黄丸抽出物に由来する場合について、以下に説明する。
該抽出物の形態としては、乾燥粉末および乾燥エキス、軟エキス、流エキスなどの抽出エキスが挙げられるが、抽出エキスが好ましい。八味地黄丸の抽出エキスとしては、八味地黄丸を水で加熱抽出し、得られる抽出液を濃縮した後、濃縮物をエタノールで抽出して得られるエキスが、さらに好ましい。
【0009】
このような八味地黄丸抽出エキスは、例えば、経験漢方処方分量集(気賀林一編、医道の日本社)、漢方処方解説(矢数道明著、創元社)及び特開平11-12185公報に記載の方法に従って調製される。
具体的には、例えば、地黄25g、山茱萸15g、山薬15g、沢瀉15g、茯苓15g、牡丹皮15g、桂皮5gおよび附子5gを、水2200mLで煮出して抽出し(95℃、60分間)、ろ過した後、ろ液を濃縮する。このようにして得られる濃縮液220mLに対して、94mLのエタノールを加えて16時間放置し、遠心分離して沈殿を除去した液をさらに濃縮し、濃縮液に水を加えて55mLとすることにより、八味地黄丸抽出エキス(以下、「エキスH」ともいう)が製造される。八味地黄丸抽出エキスとして市販品を用いることもできる。
【0010】
本発明のゼリー製剤に含まれるペオニフロリンの含量は、特に限定されないが、ゼリー製剤に対して重量比で0.001〜1%、好ましくは0.03〜0.1 %である。
本発明のゼリー製剤に配合されるペオニフロリン含有成分が生薬または漢方薬からの抽出物である場合、その含量は特に限定されないが、ゼリー製剤に対して重量比で5〜90 %、好ましくは10〜80 %である。そして、ペオニフロリン含有成分が八味地黄丸抽出物(エキスH含む)である場合、その含量は、通常、ゼリー製剤に対して重量比で5〜85 %であり、好ましくは10〜80 %である。
【0011】
本発明のゼリー製剤では、その基剤としてペクチンを用いることにより、優れた保存安定性を有するゼリー製剤が得られる。
ペクチンは、柑橘類やリンゴなどから抽出される、ガラクチュロン酸がα-1,4グルコシド結合によって直鎖状に連なった多糖類である。ガラクチュロン酸のカルボキシル基は部分的にメチルエステル化されており、メトキシル基含量が7 %より多いものを高メトキシル(HM)ペクチン、7%以下のものを低メトキシル(LM)ペクチンという。高メトキシルペクチン及び低メトキシルペクチンは、ともに市販されている。
【0012】
本発明におけるペクチンとしては、ゼリー化が可能であれば特に限定されず、高メトキシルペクチンまたは低メトキシルペクチンのいずれでもよいが、有効成分であるペオニフロリンの安定性の観点からは、低メトキシルペクチンがより好ましい。
ペクチンの含量は、特に限定されないが、高メトキシルペクチンの場合、通常、ゼリー製剤に対して重量比で0.5〜6%、好ましくは2〜5%であり、低メトキシルペクチンの場合、通常、ゼリー製剤に対して重量比で0.5〜4%、好ましくは1.8〜2.8 %である。
【0013】
本発明のゼリー製剤では、低メトキシルペクチン1重量部に対して、2価の金属イオンを金属換算量で0.015〜0.05重量部、より好ましくは0.020〜0.035重量部になるよう調整することにより、保存安定性のより優れたゼリー製剤が得られる。ここで2価の金属イオンとしては、ゼリー製剤中に2価の陽イオンを放出するものであればよく、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンが挙げられ、カルシウムイオンが好ましい。
【0014】
生薬抽出物または漢方薬抽出物含有ゼリー製剤の金属イオン濃度を調整する場合、一般的に生薬抽出物または漢方薬抽出物には少量の金属イオンが含有されていることがあるので、生薬抽出物または漢方薬抽出物に内在している金属イオン量を考慮しながら、ゼリー製剤中の金属イオン濃度を調整する必要がある。すなわち、ゼリー製剤中の2価の金属イオン濃度を調整するとき、ゼリー製剤中の2価の金属イオン濃度を測定し、所望の2価の金属イオン濃度に足りない場合は、2価の金属イオンを適宜添加することにより所望の2価の金属イオン濃度に調整できる。
ゼリー製剤中の2価の金属イオン濃度を測定する方法としては、通常、公知の方法が使用でき、例えば、液体クロマトグラフィーを用いることにより測定できる。
【0015】
ゼリー製剤中に2価の金属イオンを添加する場合、金属塩の形で添加することができ、例えば、精製塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等のカルシウム塩、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩が挙げられ、好ましくはカルシウム塩、特に乳酸カルシウムである。これら金属塩を添加する場合、ゼリー製剤中の金属イオン濃度が、金属換算量で所望の金属イオン濃度になるよう添加する。
【0016】
また、ゼリー製剤中の2価の金属イオン濃度を直接的に測定せずに所望の2価の金属イオン濃度を有するゼリー製剤を製造する場合は、ゼリー製剤に配合する低メトキシルペクチン量から、上記の低メトキシルペクチンと2価の金属イオンの金属換算量との重量比に基づいてゼリー製剤中にあるべき2価の金属イオンの金属換算量を計算し、そこから生薬抽出物または漢方薬抽出物に含まれる金属イオンの金属換算量を差し引くことにより、新たに添加すべき2価の金属イオンの金属換算量を算出することができる。
さらに、ペクチンとして高メトキシルペクチンを用いる場合、2価の金属イオンを添加しなくても、保存安定性のより優れたゼリー製剤が得られる。
【0017】
有効成分としてのペオニフロリン含有成分がエキスHである場合、ゼリー製剤のpHが3.0〜4.5のときに、製剤中に含まれるペオニフロリンが長期間にわたって安定であり、pH3.5〜4.0のときにより安定である。
【0018】
本発明のゼリー製剤のpHを上記の範囲に調整するためのpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、フタル酸、乳酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、グルコン酸、グリセロリン酸、サリチル酸、アミノエチルスルホン酸等の有機酸およびその塩(例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩)、ならびに塩酸、リン酸、酢酸、炭酸などの無機酸およびその塩、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、必須アミノ酸等のアミノ酸およびその塩(例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩)、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニアなどのアルカリ剤およびその塩が挙げられ、これらのpH調整剤は2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明のゼリー製剤には、有効成分であるペオニフロリンの安定性、およびゼリー製剤自体の安定性を低下させない範囲において、甘味剤、防腐剤、香料、矯味剤、乳化剤、分散剤、溶解補助剤、抗酸化剤、着色剤などを適宜添加してもよい。
甘味剤としては、例えば、エリスリトール、キシリトール、アセスルファムカリウム、砂糖、マンニトール、マルチトール、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア、ソルビトース、還元麦芽糖水飴などが挙げられ、これらの甘味剤は2種以上を併用してもよい。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどが挙げられ、これらの防腐剤は2種以上を併用してもよい。
香料としては、例えば、コーラフレーバー、黒糖フレーバー、アップルフレーバー、レモンフレーバー、ストロベリーフレーバー、メントールなどが挙げられ、これらの香料も2種以上併用することができる。
【0020】
本発明のゼリー製剤は、通常のゼリー製剤の製造方法により製造することができる。具体的には、例えば、まず、ゼリー基剤、ペオニフロリン含有抽出物および任意成分に、分散媒として適量の温水を加えて撹拌することにより分散、溶解または懸濁させるか、あるいはゼリー基剤、ペオニフロリン含有抽出物および任意成分に、室温で分散媒として適量の水を加え、撹拌しながらこれを加熱することにより、分散、溶解または懸濁させた後、該分散液、溶液または懸濁液を冷却することにより、ゼリー製剤が得られる。高温に曝すのが好ましくない成分を配合する場合には、上記で得られる分散液、溶液または懸濁液が適当な温度になるまで放置した後に、当該成分を添加し、さらに冷却してゼリー製剤を得てもよく、あるいは高温に曝すのが好ましくない成分を冷却直前に添加してゼリー製剤を得てもよい。
このようにして得られるゼリー製剤の包装形態は、特に限定されないが、有効成分の1回投与量を1つのスティックに充填すれば、携帯するのに特に便利である。
ゼリー製剤のスティックへの充填およびシールは、常法により行なわれる。
【0021】
以下に、製造例、実施例、比較例および試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0022】
製造例1
地黄25g、山茱萸15g、山薬15g、沢瀉15g、茯苓15g、牡丹皮15g、桂皮5gおよび附子5gを水2200mLに加え、95℃で60分間加熱する。混合物をろ過し、ろ液を220mLまで濃縮し、得られた濃縮液に94mLのエタノールを加え、16時間放置する。これを遠心分離して沈殿物を除去した液を濃縮し、濃縮物に水を加えて55mLとすることにより、エキスHを製造した。
なお、エキスHのカルシウム濃度を、日本薬局方一般試験法液体クロマトグラフ法に準じ、高速液体クロマトグラフィー装置LC-10ADVP(島津製作所製)、電気伝導度検出器CDD-10AvP(島津製作所製)及びカラムTSKgel IC-Cation I/IIHR 4.6mmID×10cmL(東ソー社製)を用いて測定したところ、0.092%(W/V)であった。
【0023】
実施例1
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.8)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 12.320
LMペクチン 0.644
エリスリトール 2.800
キシリトール 2.800
アセスルファムカリウム 0.050
クエン酸 0.028
クエン酸Na 0.026
乳酸カルシウム 0.042
ソルビン酸カリウム 0.014
黒糖フレーバー 0.028
精製水 9.248
合計 28.000
【0024】
実施例2
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.0)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 22.400
HMペクチン 0.560
精製白糖 4.500
アセスルファムカリウム 0.050
クエン酸 0.040
クエン酸Na 0.020
乳酸カルシウム 0.057
ソルビン酸カリウム 0.014
黒糖フレーバー 0.028
精製水 0.331
合計 28.000
【0025】
実施例3
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.8)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 19.600
LMペクチン 0.780
エリスリトール 3.000
キシリトール 2.000
クエン酸 0.028
クエン酸Na 0.026
乳酸カルシウム 0.041
ソルビン酸カリウム 0.014
コーラフレーバー 0.028
精製水 2.483
合計 28.000
【0026】
実施例4
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.8)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 5.600
LMペクチン 0.500
エリスリトール 2.000
キシリトール 3.000
クエン酸 0.028
クエン酸Na 0.026
乳酸カルシウム 0.018
ソルビン酸カリウム 0.014
チョコフレーバー 0.028
精製水 16.786
合計 28.000
【0027】
実施例5
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.0)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 2.800
HMペクチン 1.120
エリスリトール 2.000
キシリトール 3.000
精製白糖 10.000
クエン酸 0.040
クエン酸Na 0.020
乳酸カルシウム 0.023
ソルビン酸カリウム 0.014
チョコフレーバー 0.028
精製水 8.955
合計 28.000
【0028】
実施例6
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.0)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 4.300
HMペクチン 0.140
エリスリトール 4.500
キシリトール 4.500
精製白糖 10.000
クエン酸 0.040
クエン酸Na 0.020
乳酸カルシウム 0.023
ソルビン酸カリウム 0.014
チョコフレーバー 0.028
精製水 4.435
合計 28.000
【0029】
比較例1
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH4.5)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 12.210
カラギーナン 0.036
ローカストビーンガム 0.036
ソルビン酸カリウム 0.014
キシリトール 2.800
エリスリトール 2.800
アセスルファムカリウム0.050
クエン酸ナトリウム 0.336
塩化カリウム 0.014
黒糖フレーバー 0.028
精製水 9.675
合計 28.000
【0030】
比較例2
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH4.5)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 12.210
カンテン末 0.182
ソルビン酸カリウム 0.014
キシリトール 2.800
エリスリトール 2.800
アセスルファムカリウム0.050
クエン酸ナトリウム 0.336
コーラフレーバー 0.028
精製水 9.580
合計 28.000
【0031】
試験例1
製造例1で製造したエキスHを70℃で1週間保存した後、ペオニフロリンの含量をHPLCにて測定し、スタート時の値に対する残存量の割合(%)を表1に示す。
【表1】

【0032】
試験例2
実施例1、比較例1および比較例2で得られたゼリー製剤について、40℃で3ヶ月間経過後のゼリー強度を測定した。ゼリー強度(N/m∧2)の測定は、(株)山電RHEONER RE-3305により,φ16mmの円柱型プランジャーを使用し、圧縮速度1mm/s、クリアランス5%にて行なった。ゼリー強度及びスタート時(0時)のゼリー強度に対するゼリー強度の割合(%)を表2に示す。
【表2】

比較例1および2(pH4.5)では、ゼリー強度の低下が認められたが、実施例1(pH3.8)では、ゼリー強度の低下が認められなかった。
【0033】
試験例3
実施例1の処方により、3ロットのゼリー製剤(pH3.8)を調製し、アルミスティックに包装し(1包14g)、40℃で6ヶ月経過後のペオニフロリンの含量およびゼリー強度を測定した。
【表3】

40℃で6ヶ月経過後のペオニフロリン残存量は90%以上であり、ゼリーの強度に低下は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてペオニフロリンを含み、ペクチンをゼリー基剤とすることを特徴とするゼリー製剤。
【請求項2】
ペオニフロリンが生薬または漢方薬抽出物中に含まれる、請求項1に記載のゼリー製剤。
【請求項3】
漢方薬抽出物が八味地黄丸抽出物である、請求項2に記載のゼリー製剤。
【請求項4】
八味地黄丸抽出物が、八味地黄丸を水で加熱抽出し、抽出液を濃縮した後、該濃縮物をエタノールで抽出したものである、請求項3に記載のゼリー製剤。
【請求項5】
請求項3又は4のいずれか1つに記載の八味地黄丸抽出物をゼリー製剤に対して重量比で5〜85%含む、ゼリー製剤。
【請求項6】
ペクチンをゼリー製剤に対して重量比で0.5〜6%含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
【請求項7】
ペクチンが高メトキシルペクチンである、請求項1〜6のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
【請求項8】
ペクチンが低メトキシルペクチンである、請求項1〜6のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
【請求項9】
低メトキシルペクチン1重量部に対して、2価の金属イオンを金属換算量で0.015〜0.05重量部含む、請求項8に記載のゼリー製剤。
【請求項10】
2価の金属イオンがカルシウムイオンである、請求項9に記載のゼリー製剤。
【請求項11】
pHが3.0〜4.5である、請求項1〜10のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
【請求項12】
スティック包装された請求項1〜11のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
【請求項13】
八味地黄丸抽出物をゼリー製剤に対して重量比で5〜85%含み、低メトキシルペクチンをゼリー製剤に対して重量比で0.5〜6%含むゼリー製剤において、低メトキシルペクチン1重量部に対する2価の金属イオンの含量を金属換算量で0.015〜0.05重量部に調整することを特徴とするペオニフロリン含有ゼリー製剤の安定化方法。
【請求項14】
八味地黄丸抽出物が、八味地黄丸を水で加熱抽出し、抽出液を濃縮した後、該濃縮物をエタノールで抽出したものである、請求項13に記載の安定化方法。
【請求項15】
pHを3.0〜4.5に調整することからなる、請求項13又は14のいずれか1つに記載の安定化方法。

【公開番号】特開2007−238561(P2007−238561A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66529(P2006−66529)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000207827)大鵬薬品工業株式会社 (52)
【出願人】(597087804)大蔵製薬株式会社 (9)
【Fターム(参考)】