説明

ペプチド脱ホルミル化酵素活性化プロドラッグ

本発明は、微生物を有効量の明細書中に記載される化合物に接触させることにより、ペプチド脱ホルミル化酵素を発現する微生物の増殖を阻害するための方法を提供する。この方法は、グラム陽性微生物およびグラム陰性微生物(例えば、S.aureus、S.epidermaidis、K.pneumoniae、E.aerogenes、およびE.cloacae)の増殖を阻害する。この方法は、インビトロ、エキソビボおよびインビボで実施され得る。被験体に有効量の上述の化合物を投与または送達することにより、その被験体においてペプチド脱ホルミル化酵素を発現する微生物による感染の症状を緩和するための方法も、さらに提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条の下で、米国仮特許出願第60/374,089号(2002年4月18日出願、その内容は、本明細書によって本開示中に参考として援用されれる)による優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、酵素触媒性薬剤活性化(ECTATM)療法、特に、ペプチド脱ホルミル化酵素(「PDF」)を発現する微生物に特異的なECTA療法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
本開示を通して、種々の刊行物が括弧内の第1著者および日付、特許番号、または公開番号によって参照される。完全な書誌的な参照は、本願の最後に提供される。これらの参考文献の開示は、本願の属する分野の状態をより完全に記載するために、本明細書によって本開示中に参考として援用される。
【0004】
酵素触媒性薬剤活性化(ECTATM)療法は、標的酵素に独特なプロドラッグ基質を提供する、新規の技術である。従来の療法とは異なり、ECTAプロドラッグは、標的酵素を阻害することも、不可逆的に不活性化することもない。米国特許第6,159,706号、PCT/US98/16607、PCT/US99/01332、およびPCT/US00/20008。
【0005】
標的酵素は、感染した細胞内のような、標的細胞内または標的酵素が発現している環境下で(標的酵素が存在していない環境と比較して)優先的に、ECTAプロドラッグを毒素に変換する。化合物は標的化薬剤を必要としないので、化合物は、局所的または全身的に、直接的に利用され得る。
【0006】
ECTA分子は、大部分の例において、自発的に(標的酵素による活性化なしに)細胞毒性生成物を生じない。ECTA分子は、非標的酵素によっては評価可能なほどに活性化されない。このことにより、非疾患組織または非感染組織に対する毒性を生ずるかもしれない。表1は、ECTA分子および酵素アクチベーターの特徴を総括する。
【0007】
【表1】

植物、人々または農業的に重要な動物における細菌感染、ウイルス感染および真菌感染の場合、病原生物には存在するが、宿主には存在しない代謝経路が、潜在的なECTA標的酵素の供給源である。例えば、いくつかの経路および関与する酵素は、細菌、真菌および植物でのみ見出されており、哺乳動物細胞においては見出されていない。1つの例が、「必須」アミノ酸−動物は合成できず、食物と共に摂取しなければならないアミノ酸の合成である。NelsonおよびCox(1972)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
別の例は、ペプチド脱ホルミル化酵素(「PDF」,EC3.5.1.31)であり、成長しているポリペプチド鎖において、N末端のN−ホルミルメチオニンの脱ホルミル化を触媒する。Meinnel(1999)。この酵素は、細菌に存在し、活性である(Meinnelら,1993)が、哺乳動物に存在しているという報告はされていない。細菌性PDFの配列と相同な配列が細菌哺乳動物において見出されたが、その正確な機能は未知である。Giglioneら(2000a)および(2000b)。
【0009】
この酵素は、ヒトにおいて活性ではないので、抗細菌性薬物(大部分はPDF阻害剤)の標的として使用されている。ジチオールは、活性部位の金属イオンとスルヒドリル基の協調によって、非特異的なPDF阻害剤として作用し得る。Rajagopalanら(1997)。1,2−ジチオールまたは1,3−ジチオールの場合、活性部位からの金属イオンのゆっくりとした溶出が生じる。それぞれ安定な5員環または6員環を形成し、その各々が、この効果を担っている2つの金属−イオウ結合を含む。
【0010】
合理的に設計されたコンビナトリアルライブラリーが、一般構造がHS−CH−CH(R)−CONH−CH(R)−CONH−Rである機構ベースのPDF阻害剤を選択するために使用された。Weiら(2000)。ライブラリーから選択された最適な阻害剤は、Rとしてn−Bu基、Rとして−(CH−NH−C(=)NH−NH、そしてRとして2−ナフタレンを有している。この化合物は、15nMのKを有する競合的PDF阻害剤として作用する。
【0011】
Jayasekeraら(2000)は、E.coliのPDFを阻害することが公知の抗コレステロール性チロプピック酸(thyropropic acid)と構造的に関連する一連の非ペプチド性化合物を記載する。アクチノニン(Actinonin)は、ナノモーラーより小さいK範囲の活性を有する強力なPDF阻害剤であることが報告されている。Chenら(2000)。
【0012】
WeiおよびPei(2000)は、5−フルオロデオキシウリジンの5’−ジペプチジル誘導体が、PDF触媒性の脱ホルミル化に際して低分子(5−フルオロデオキシウリジン(5−F−dUrd))を放出することを記載している。5−F−dUrdの形成は、精製したPDFまたはE.coli粗溶解物によって触媒される基質の反応において、モニタリングされた。この化合物は、E.coli細菌に適用した場合、わずかに細胞毒性であった(IC50>100μM)。細菌内でのPDFの発現の増大(PDF過剰発現株を使用)によっては、能力は増大しなかった。この化合物は、グラム陽性微生物に対しては、いくらかより有効であった(IC50=50μM)。
【0013】
さらなる阻害剤が、Apfelら(2000)、Apfelら(2001a)、Apfelら(2001b)、Clementsら(2001)、Durandら(1999)、およびChenら(2000)に記載されている。しかし、PDFによって選択的にかつ有効に活性化されて毒素になる化合物または薬剤は、報告されていない。本発明は、この必要性を満たし、同様に関連する利益を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の開示)
従って、1つの局面において、本発明は、以下の構造を有するプロドラッグ化合物を提供する:
【0015】
【化2】

ここで、毒素は、酵素によって活性化されると放出される、5−F−dUrdとは異なる、細胞毒性のある分子または抗生物活性のある分子である;
ここで、R、R、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、水素、置換または非置換のC〜C14の芳香族またはヘテロ芳香族(例えば、フェニルメチレン、4−ヒドロキシフェニルメチレン、イミダゾールメチレンなど)、および置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、3−アミノプロピル、N―メチル−3−アミノエチル、2−メトキシエチルなど)からなる群から選択される;
ここで、Rは、置換または非置換の芳香族またはヘテロ芳香族(例えば、フェニルメチレン、トリアゾールメチレン、チオフェンメチレンなど)、ならびに置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、エチル、プロピル、2−ヒドロキシエチルなど)および−CH−CH−X−CHからなる群から選択され、ここで、Xは、O、S,NH、NR、およびCHからなる群から選択され、ここで、Rは、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である;
ここで、AおよびAは、独立して同じかまたは異なり、=O、=S、=NH、=N−OH、または=N−Rからなる群から選択され、ここで、Rは、水素またはC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)である;
ここで、Aは、=O、=S、=NH、=N−OH、=N−R、または=C(R)(R10)からなる群から選択され、ここで、R、R、およびR10は、独立して同じかまたは異なり、水素またはC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここでBは、−O−、−S−、−NH−または−N(R11)−からなる群から選択され、ここで、R11は、水素およびC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−N(R12)−または−C(R13)(R14)−からなる群から選択され、ここで、R12、R13、およびR14は、独立して同じかまたは異なり、水素、あるいは置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、3−アミノプロピル、N−メチル−3−アミノエチル、2−メトキシエチルなど)からなる群から選択され、ここで、Bが−N(R12)−または−C(R13)(R14)−である場合、Bは、R12、R13、またはR14を介してRまたはRへとさらに結合され、環式構造を形成し得、ここで、−B−C(R)(R)−C(=A)−フラグメントは、全体として、プロリンあるいはプロリンの誘導体またはアナログである;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−NH−または−N(R15)−からなる群から選択され、ここで、R15は、水素およびC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−NH−、−N(R)−および−C(R16)(R17)−からなる群から選択され、ここで、R16およびR17は、独立して同じかまたは異なり、水素、あるいは置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、リンカーは、存在しないか、または痕跡を残さないリンカーであり、以下の構造の1つから選択され得る:
【0016】
【化3】

ここで、nは、2または3であり、Rは、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である;
ここで、YおよびZは、独立して同じかまたは異なり、水素、低級アルキル、置換または非置換の低級アルケニル、置換または非置換の低級アルキニル、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環式基、置換または非置換の低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシレート、スルホネート、アルキルスルホン、アルキルスルホキシドおよびトリアルキルシリルからなる群から選択される。
【0017】
1つの局面において、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、置換または非置換のC〜Cの低級アルキルからなる群から選択される。さらなる局面において、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、メチルおよびHからなる群から選択される。またさらなる局面において、RおよびRは、それぞれHである。
【0018】
1つの局面において、Rは、−CH−CH−X−CHであり、ここで、Xは、酸素、イオウまたはメチレンからなる群から選択される。さらなる局面において、Rは、置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cの低級アルキル、およびHからなる群から選択される。またさらなる局面において、Rは、メチルまたはHである。RおよびRが、独立して同じかまたは異なり、Hおよび置換または非置換のC〜Cのアルキルからなる群から選択される化合物もまた提供される。
【0019】
別の局面において、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、Hおよびメチルからなる群から選択される。代替的な実施形態において、RおよびRのいずれかまたは両方がHである。
【0020】
1つの局面において、ペプチド脱ホルミル化酵素のECTA化合物は、N−ホルミル−Met−Leu−リンカー−原毒素族(Prototoxophore)の構造を有する。
【0021】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0022】
【化4】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0023】
【化5】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0024】
【化6】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0025】
【化7】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0026】
【化8】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0027】
【化9】

毒素が存在しない場合、化合物はNB3145である。
【0028】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0029】
【化10】

毒素が存在しない場合、化合物はNB3162である。
【0030】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0031】
【化11】

毒素が存在しない場合、化合物はNB3177である。
【0032】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0033】
【化12】

毒素が存在しない場合、化合物はNB3144である。
【0034】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0035】
【化13】

毒素が存在しない場合、化合物はNB3165である。
【0036】
微生物を有効量の上記の化合物に接触させることにより、PDFを発現する微生物の増殖を阻害するための方法もまた、本発明によって提供される。この方法は、グラム陽性微生物およびグラム陰性微生物(例えば、S.aureus、S.epidermaidis、K.pneumoniae、E.aerogenes、およびE.cloacae)の増殖を阻害する。この方法は、インビトロ、エキソビボおよびインビボで実施され得る。被験体に有効量の上述の化合物を投与または送達することにより、その被験体においてPDFを発現する微生物による感染の症状を緩和するための方法も、さらに提供される。「被験体」は、本明細書において定義され、哺乳動物(例えば、ヒト患者)を含む。
【0037】
本発明はまた、単独でか、あるいは公知であるかまだ発見されていない他の化合物または他の薬剤およびキャリアと組合わせて、上述のプロドラッグ化合物を含む組成物も提供する。1つの局面において、キャリアは、別の分子または不活性物質(例えば、プレートまたはカラム)である。代替的な実施形態において、キャリアは、薬学的に受容可能なキャリアである。薬学的に受容可能なキャリアは、当該分野で公知であり、上に簡単に記載されている。
【0038】
(発明を行うための様式)
本明細書で使用する場合、特定の用語は、以下に定義される意味を有し得る。
【0039】
単数形の「a」、「an」および「the」は、文章が違うことを明確に指示しない限り、複数についての言及を含む。例えば、用語「a cell」は、複数の細胞(それらの混合物を含む)を含む。
【0040】
用語「含む(comprise)」は、その組成物および方法は、示す要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図する。「本質的に〜からなる」は、組成物および方法を定義するために使用する場合、その組合せに本質的に重要である他の要素を除外することを意味する。従って、本質的に本明細書で定義される要素からなる組成物は、単離方法および精製方法からの極微量の夾雑物および薬学的に受容可能なキャリア(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、防腐剤など)を除外しない。「からなる」は、他の成分の極微量よりも多い量の要素、および本発明の組成物を投与するための実質的な方法工程を除外することを意味する。これらの変遷用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0041】
「低級アルキル、アルキニル、またはアルケニル」は、直鎖状の、分岐鎖上のまたは環式の基を意味し、他に定義しない限り、1〜10個の炭素原子を含む(C〜C10)か、あるいは、C〜C、あるいはC〜Cを含有する基である。
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、薬学的に活性な薬剤または物質の前駆体形態または誘導体形態を意味し、薬物代謝物と比較して標的細胞に対する細胞毒性が弱く、酵素的に活性化され得るか、またはより活性な形態へと変換され得る。
【0043】
「組成物」は、活性薬剤、および不活性(例えば、表面、塗装、検出可能な薬剤または標識、あるいは薬学的に受容可能なキャリア)または活性な他の化合物または組成物(例えば、アジュバントまたは消毒薬)の組合せを意味することを意図する。
【0044】
「薬学的組成物」は、活性薬剤と不活性または活性なキャリアとの組合せを含むことを意図し、この組合せにより、この組成物が、インビトロ、インビボまたはエキソビボでの診断的使用または治療的使用に適切なものとなる。
【0045】
用語「予防的効果量」とは、被験体における感染または植物の外寄生を防止する上で有効な量をいう。
【0046】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」および「生物学的に受容可能なキャリア」とは、本発明の化合物と共に宿主または患者に投与されるキャリアまたはアジュバントをいい、有効量の化合物を送達するために十分な容量で投与される場合、化合物の薬学的活性を破壊せず、非毒性である。適切なキャリアの例としては、液相キャリア(例えば、滅菌溶液または水溶液)および下に記載するキャリアが挙げられる。薬学的に受容可能なキャリアの例としては、任意の標準的な薬学的キャリア(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水、および乳濁液(例えば、油/水乳濁液または水/油乳濁液))、ならびに種々の型の加湿剤が挙げられる。組成物はまた、安定剤および防腐剤も有し得る。キャリア、安定剤およびアジュバントの例については、Martin,REMINGTON'S PHARM.SCI.,15版(Mack Publ.Co.,Easton(1975))を参照のこと。
【0047】
「置換基」とは、置換される基において、炭素または窒素に結合した1個以上の水素を置換する基をいう。例示的な置換基としては、アルキル、アルキリデニル、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アルケニル、アルケニルカルボキシ、アルケニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、OH、アミド、カルボキサミド、カルボキシ、スルホニル、=O、=S、−NO、ハロゲン、ハロアルキル、必要に応じて置換されている飽和または不飽和の縮合環、−S(O)R、−SOR、−SR、−NRR’、−OH、−CN、−C(O)R、−OC(O)R、−NHC(O)R、−(CHCORまたは−(CHCONRR’が挙げられ、ここで、nは、0〜4であり、RおよびR’は、独立してH、アルキル、アリールまたはアルキルアリールである。置換基はまた、炭素原子および1個以上の結合している水素原子の必要に応じて置換されたヘテロ原子による置換も含む。
【0048】
用語「処置」とは、以下のいずれかをいう:患者における特定の障害の症状を緩和すること;特定の障害に関連する確認可能な測定値を改善すること;または、微生物の数を減少させること。当業者は、微生物量の減少または感染に関連する症状の緩和を記録することよって、宿主が「処置」されている時を決定することができる。
【0049】
用語「薬学的に受容可能な塩、プロドラッグまたは誘導体」とは、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステル、エーテル、エステルの塩、溶媒化合物(例えば、エタノレート(ethanolate))、または他の誘導体に関し、レシピエントに投与されると、本発明の化合物、あるいはその活性な代謝物または残留物を(直接的または間接的に)提供し得る。特に好ましい誘導体およびプロドラッグは、このような化合物が哺乳動物に投与される場合、本発明の化合物の生物学的利用能を増大させる(例えば、経口投与される化合物がより容易に血中に吸収されることを可能にすることによって)か、または生物学的区画(例えば、脳またはリンパ系)への親化合物の送達を増強する、誘導体およびプロドラッグである。
【0050】
本発明の化合物の塩は、無機性または有機性の酸および塩基から得られ得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自身では薬学的に受容可能ではないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的受容可能な酸付加塩を得る場合に、中間体として有用な塩を調製する際に使用され得る。塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)の水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)の水酸化物、アンモニア、式NW(ここで、Wは、C1〜4のアルキルおよびTHAM(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)である)の化合物が挙げられる。
【0051】
塩の例としては、アセテート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ブチレート、シトレート、カンホレート、カンホルスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、フルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、へミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロアイオダイド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、パーモエート(palmoate)、ペクチネート、パースルフェート、フェニルプロピオネート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、スクシネート、タートレート、チオシアネート、トシレートおよびウンデカノエートが挙げられる。塩の他の例としては、適切なカチオン(例えば、Na、Li、NH、およびNW(ここで、Wは、C1〜4のアルキル基である))と化合物を形成した本発明の化合物のアニオンが挙げられる。
【0052】
治療的使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に受容可能である。しかし、薬学的に受容可能ではない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に受容可能な化合物の調製または精製において、または植物において微生物の外寄生を軽減するための使用について、用途を見出し得る。
【0053】
用語「痕跡を残さないリンカー」は、1つの分子の2つの部分の間のスペーサーつまりコネクターであって、分子の2つの部分の間の特定の結合が切断された場合、この分子の第2の部分に結合したままであり、その痕跡を残さずに取り除かれるコネクターを示す。例えば、F.M.H.de Grootら(2000)J.Med.Chem.43:3093−3102を参照のこと。
【0054】
用語「有効量」は、治療的有効量または予防的有効量を含む。この用語は、単独での治療または他の薬剤との併用のいずれかとして、患者における感染または植物における外寄生を処置または予防する際に有効な量をいう。
【0055】
微生物の「増殖を阻害する」とは、薬剤と接触させることによって、この薬剤と接触させられていない同じ種のコントロール微生物と比べて、このような微生物の増殖速度を減少させることを意味する。
【0056】
「被験体」は、PDFを発現する微生物に対して、直接的な宿主または間接的な宿主であるか、またはあり得る任意の生体であり、植物および動物(例えば、魚類、鳥類または哺乳動物、好ましくはヒト)を含む。魚類としては、ペットおよび養殖魚が挙げられるが、これらに限定されない。鳥類としては、ペット、競技用動物および家畜が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物としては、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物、およびペットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
例としては、非脊椎動物、脊椎動物(例えば、鳥類または哺乳動物(例えば、ヒト患者))が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物としては、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物、およびペットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
PDFは、よく研究された酵素である。その結晶構造は公知である。Chanら(1997)。この酵素は、E.coli BL21(DE3)細胞において発現されている(Rajagopalanら(1997))。この論文の著者らは、この遺伝子配列の文献データに基づいて設計されたプライマーを用いるPCRによって、E.coli defの遺伝子を単離した。精製した酵素は、大気中酸素による触媒部位のFe2+の急速な酸化に起因して不安定である。Rajagopalanら(1998)。不活性化を避けるための酵素の適切な操作条件が報告されている。Rajagopalanら(1997)。重要なことに、Zn2+およびNi2+を含有するPDFは安定であり、酵素の触媒的特性をインビトロで評価することが可能である。PDFには、単純な継続的比色アッセイが存在する。WeiおよびPei(1997)。それは、基質としてN−ホルミルメチオニルロイシンp−ニトロアニリドを利用する。PDF反応に続く共役アミノペプチダーゼ反応により、p−ニトロアニリンが放出され、これは405nmで分光光度計でモニタリングされ得る。
【0059】
PDFは、完全なECTAの標的酵素である。PDFは、細菌では活性であり、ヒト宿主では不活性である。PDFは、広い基質特異性を有している。脱ホルミル化は、メチオニン(または、基質のPI位置に寛容な別のアミノ酸(例えば、ノルロイシン))の遊離アミノ基を解放し、このアミノ基は、続いて求核攻撃を行い得る。合理的に設計したジペプチドを用いて、この遊離アミノ基は、ジペプチドの最適に配置されたカルボニル基を攻撃し得、従って、ジペプチド起源の環状分子(ジケトピペラジン、DKP)を形成し、毒素を放出する。このジペプチドは、DKP形成を増強するために最適化され得る。提供される反応スキームは、図に示される。ここで、Xは、イオウ(メチオニン)または−CH−(ノルロイシン)であり得る。RおよびRは、公開されているPDFについてのSARデータに基づいて選択され得る、脂肪族ラジカルである。Huら(1998)。
【0060】
従って、1つの局面において、本発明は、以下の構造を有するプロドラッグ化合物を提供する。
【0061】
【化14】

ここで、毒素は、酵素によって活性化されると放出される、5−F−dUrdとは異なる、細胞毒性のある分子または抗生物活性のある分子である;
ここで、R、R、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、水素、置換または非置換のC〜C14の芳香族またはヘテロ芳香族(例えば、フェニルメチレン、4−ヒドロキシフェニルメチレン、イミダゾールメチレンなど)、および置換または非置換のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、3−アミノプロピル、N―メチル−3−アミノエチル、2−メトキシエチルなど)からなる群から選択される;
ここで、Rは、置換または非置換の芳香族またはヘテロ芳香族(例えば、フェニルメチレン、トリアゾールメチレン、チオフェンメチレンなど)、ならびに置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、エチル、プロピル、2−ヒドロキシルなど)および−CH−CH−X−CHからなる群から選択され、ここで、Xは、O、S,NH、NR、およびCHからなる群から選択され、ここで、Rは、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である;
ここで、AおよびAは、独立して同じかまたは異なり、=O、=S、=NH、=N−OH、または=N−Rからなる群から選択され、ここで、Rは、水素またはC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)である;
ここで、Aは、=O、=S、=NH、=N−OH、=N−R、または=C(R)(R10)からなる群から選択され、ここで、R、R、およびR10は、独立して同じかまたは異なり、水素またはC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここでBは、−O−、−S−、−NH−または−N(R11)−からなる群から選択され、ここで、R11は、水素およびC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−N(R12)−または−C(R13)(R14)−からなる群から選択され、ここで、R12、R13、およびR14は、独立して同じかまたは異なり、水素、あるいは置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、3−アミノプロピル、N−メチル−3−アミノエチル、2−メトキシエチルなど)からなる群から選択され、ここで、Bが−N(R12)−または−C(R13)(R14)−である場合、Bは、R12、R13、またはR14を介してRまたはRへとさらに結合され得、環式構造を形成し、ここで、−B−C(R)(R)−C(=A)−フラグメントは、全体として、プロリンあるいはプロリンの誘導体またはアナログである;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−NH−または−N(R15)−からなる群から選択され、ここで、R15は、水素およびC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−N(R)−および−C(R16)(R17)−からなる群から選択され、ここで、R16およびR17は、独立して同じかまたは異なり、水素、あるいは置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、リンカーは、存在しないか、または痕跡を残さない(traceless)リンカーであり、以下の構造の1つから選択され得る:
【0062】
【化15】

ここで、nは、2または3であり、Rは、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である;
ここで、YおよびZは、独立して同じかまたは異なり、水素、低級アルキル、置換または非置換の低級アルケニル、置換または非置換の低級アルキニル、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の複素環式基、置換または非置換の低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシレート、スルホネート、アルキルスルホン、アルキルスルホキシドおよびトリアルキルシリルからなる群から選択される。
【0063】
1つの局面において、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、置換または非置換のC〜Cの低級アルキルからなる群から選択される。さらなる局面において、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、メチルおよびHからなる群から選択される。またさらなる局面において、RおよびRは、それぞれHである。
【0064】
1つの局面において、Rは、−CH−CH−X−CHであり、ここで、Xは、酸素、イオウまたはメチレンからなる群から選択される。さらなる局面において、Rは、置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cの低級アルキル、およびHからなる群から選択される。またさらなる局面において、Rは、メチルまたはHである。1つの局面において、RおよびRが、独立して同じかまたは異なり、Hおよび置換または非置換のC〜Cのアルキルからなる群から選択される。
【0065】
別の局面において、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、Hおよびメチルからなる群から選択される。代替的な実施形態において、RおよびRのいずれかまたは両方がHである。
【0066】
毒素の例としては、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド類、マイトマイシン、ブレオマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、オキサシリン、カルボペネム(carbopenem)、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、マクロライド、シクロセリン、フルオロキノロン類、グリコペプチド、アミノ配糖体、ペプチド抗生物質、オキサゾリジノン類、キノロン類、スルホンアミド、細胞毒性ヌクレオシド、プテリジンファミリー、ナイトロジェンマスタード、ポリハロゲン化ビフェニル、ジイネン(diynene)、ポドフィロトキシン(podophillotoxin)、タキソイド(taxoid)、ドキソルビシン、カルミノマイシン(carminomycin)、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン(podophillotoxin)、エトポシド、リン酸エトポシド、メルファラン、ビンデシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイドシジン(leurosidine)、ロイロシン(leurosine)、ビス−(2−クロロエチル)アミン、トリクロロカーバン(trichlorcarban)、トリクロロカーバニリド(trichlorocarbanilide)、トリブロモサリチルアニリド、スルファメトキサゾール(sulphamethoxazole)、クロラムフェニコール、シクロセリン、トリメトプリム、クロルヘキシジン、ヘキサクロロフェン、フェンチクロル(fentichlor)、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、4−クロロ−2−(2、4−ジクロロフェノキシ)フェノール、3−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、6−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、5−クロロ−2−(3,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、5−クロロ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)フェノール、5−クロロ−2−(3,5−ジクロロフェノキシ)フェノール、2、2’−ジヒドロキシビフェニエーテル、ハロゲン化2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−メルカプトピリジン−N−オキシド、コンブレタスタチン(combretastatin)、カンプトテシン(camptothesin)、アポトリデン(apoptolidene)、シスプタチン、エポチロン(epothilone)、ハリコンドリン(halichondrin)、ヘミアステリン(hemiasterlin)、メチオプリム(methioprim)、タプシガリン(thapsigargin)、クロロキン、4−ヒドロキシシクロホスファミド、エトポシド、コルヒチン、メルファラン、ケルセチン、ゲニステイン(genistein)、エラブスタチン(erbstatin)、N−(4−アミノブチル)−5−クロロ−2−ナフタレン−スルホンアミド、ピリジニルオキサゾール−2−オン、イソキノリルオキサゾロン−2−オン、ベラパミル、キニーネ、キニジン、およびクロロキンからなる群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0068】
【化16】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0069】
【化17】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0070】
【化18】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0071】
【化19】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0072】
【化20】

1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0073】
【化21】

毒素が存在しない場合、この化合物はNB3145である。
【0074】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0075】
【化22】

毒素が存在しない場合、この化合物はNB3162である。
【0076】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0077】
【化23】

毒素が存在しない場合、この化合物はNB3177である。
【0078】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0079】
【化24】

毒素が存在しない場合、この化合物はNB3144である。
【0080】
1つの局面において、化合物は以下の構造を有する:
【0081】
【化25】

毒素が存在しない場合、この化合物はNB3165である。
【0082】
微生物を有効量の上記の化合物と接触させることによりPDFを発現する微生物の増殖を阻害する方法も、本発明により提供される。PDFの発現を検出するための方法は、当該分野で公知である(例えば、WeiおよびPei(1997)を参照のこと)。この方法は、グラム陽性微生物およびグラム陰性微生物(例えば、S.aureus、S.epidermidis、K.pneumoniae、E.aerogenes、E.cloacaeおよび以下の表2に同定される微生物)の増殖を阻害する際に特に有用である。被験体に有効量の上記の化合物を投与または送達することによりその被験体において感染(この感染はPDFを発現する微生物によって引き起こされる)の症状を緩和するための方法が、さらに提供される。被験体に有効量の上記の化合物を投与または送達することによりPDFを発現する微生物によって引き起こされる感染を処置するための方法もまた提供される。「被験体」は、上に定義されており、哺乳動物(例えば、ヒト患者)を含む。PDFを発現する微生物の例、ならびに、これらの微生物の感染により引き起こされるそれに対応する疾患および症状が、下の表2で提供される。
【0083】
【表2】

本発明また、単独でか、あるいは公知またはまだ発見されていない他の化合物または他の薬剤、およびキャリアと組合わせて、上述のプロドラッグ化合物を含む組成物も提供する。1つの実施形態において、キャリアは、薬学的に受容可能なキャリアである。
【0084】
プロドラッグの臨床的使用において、抗生物質は、おそらく、よく確立された指針に従う。投薬は、おそらく、大部分の他の抗生物質について既に使用されている投薬と類似する。8時間ごとに1度または1日に1度、1週間または2週間の間または患者が感染性生物について陰性であると試験されるまで、プロドラッグの用量は100mg〜1gmの範囲であることが推定される。
【0085】
1つの局面において、本発明は、有効量の基質プロドラッグを適用することにより、PDFを発現する微生物によって引き起こされる感染について、植物を処置または防護する方法を含む。
【0086】
植物を処置するために使用される場合、化合物の良好な分散および接着を達成するために、化合物を分散および接着を補助する成分と共に処方することが有利であり得る。適切な処方は、当業者に公知である。
【0087】
本発明はまた、葉、根、あるいは植物または根の周囲の土壌に有効量のプロドラッグ化合物を適用することにより、PDFを発現する微生物の感染について、植物を処置または保護するための方法も提供する。これらの単離された化合物は、公知の農薬または殺虫剤と併用され得る。
【0088】
本発明に属する化合物は、PDFを発現する微生物によって引き起こされる感染について、植物を処置または保護するために使用される場合、加湿可能な粉末、顆粒などとして処方され得るか、または適切な媒体などの中に微小被包化され得る。他の処方物の例としては、可溶性粉末、加湿可能な顆粒、乾燥流動物(flowable)、水性流動物、加湿可能で分散可能な顆粒、乳化可能な濃縮物および水性懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な処方物は、当業者に公知である。
【0089】
本発明はさらに、PDFを発現する微生物によって引き起こされる感染について予防または処置のいずれかを行うために有効な量で、魚類にプロドラッグ化合物を投与するための方法を提供する。化合物は、化合物を魚類用の給餌に取り込むことにより投与され得る。あるいは、化合物は、魚類が生活している水に添加され得るか、またはその中に含まれる。最後に、化合物は、適切な薬学的調製物として魚類に投与され得る。他の適切な処方は、当業者に公知である。
【0090】
本発明のプロドラッグを製造するためのプロセスが、さらに提供される。一般に、このプロセスは、以下の工程を必要とする:
【0091】
【化26】

合理的に設計されたコンビナトリアルライブラリーが、機構ベースのPDF阻害剤を選択するために使用された。Weiら(2000)。ライブラリーから選択された最適な阻害剤は、以下の構造を有している:HS−CH−CH[(CH−CH]−CONH−CH[−(CH−NH−C(=NH)−NH]−CONH−R(ここで、Rは、2−ナフタレンである)。この化合物は、15nMのKを有する競合的PDF阻害剤として作用する。
【0092】
上記のダイアグラムに関して、Xは、イオウ(メチオニン)または−CH−(ノルロイシン)であり得る。R〜RおよびB〜Bは、上に規定した通りである。反応条件および略語の完全な名称は、以下の実施例において見出され得る。
【0093】
本発明は、PDFを発現する微生物を含むサンプルを有効量の候補プロドラッグ化合物に接触させることで、PDFを発現する生物の増殖を阻害する潜在的な治療剤を同定するための方法を提供する。別個のサンプルにおいて、同じ微生物を有効量の本発明のプロドラッグに接触させる。薬剤が、本明細書に記載されるプロドラッグと比較して匹敵する抗増殖性能力を有している場合、その候補は、PDFを発現する微生物の成長を阻害するか、またはそれを殺すために有用である。
【0094】
プロドラッグは、PDFによるプロドラッグの活性化に好ましい条件下でサンプルと接触させられ、次いで、サンプルの増殖阻害または微生物の死をアッセイする。あるいは、サンプルは、基質についてのPDFによる反応の副生成物の存在について試験され得る。種々の量の基質が、PDFが細胞から毒素を放出するために有効な時間の間PDFを発現する微生物と接触させられ、この細菌を溶解し、そして当該分野で公知の方法(例えば、HPLC)を使用して検体が分析され、反応生成物を同定する。
【0095】
種々の濃度の潜在的な薬剤をサンプルと接触させ、その薬剤の最適な有効濃度を決定する。従って、1つの局面において、本発明は、PDFの選択的な基質である薬剤の発見およびその使用に関する。
【0096】
本明細書に記載するプロドラッグおよびスクリーニングを行うために必要な装置を含むキットもまた、本発明によって提供される。
【0097】
本発明の方法は、インビトロ、エキソビボまたはインビボで実施され得る。動物(例えば、ラットまたはマウス)において本発明をインビボで実施することにより、治療的薬剤またはプロドラッグの臨床試験に先立って使用され得る、簡便な動物モデル系が提供される。この系において、微生物量が減少するか、または感染の症状が改善された場合(それぞれ、未処置の感染した動物と比較する)に、潜在的なプロドラッグは成功である。感染していない別のネガティブコントロールの細胞群または動物群を有することもまた、有用であり得、これらは比較の基準を提供する。
【0098】
インビボで実施する場合、候補プロドラッグは、有効量で動物に投与または送達される。本明細書で使用する場合、インビボおよびエキソビボの目的についての用語「投与する」とは、微生物量を減少させるために有効な有効量の候補プロドラッグを被験体に提供することを意味する。これらの例において、薬剤またはプロドラッグは、薬学的に受容可能なキャリアと共に投与され得る。本発明の薬剤、プロドラッグおよび組成物は、例えば、薬学的組成物中の活性成分として、医薬の製造において使用され得、ならびに、従来の手順に従った投与によるヒトおよび他の動物の処置のために使用され得る。
【0099】
薬学的組成物を投与する方法は、当業者に公知であり、微量注入、静脈内投与または非経口投与が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、局所的(topical)投与、経口投与、または局所的(local)投与、および静脈内投与、皮下投与、または筋肉内投与について意図されている。投与は、処置の経過にわたり、継続的または間欠的に行われ得る。投与についての最も有効な手段および投薬を決定するための方法は、当業者に公知であり、治療に使用されるプロドラッグ、治療の目的、処置される微生物、感染の重篤度、および処置される被験体によって変化する。一回の投与または複数回の投与は、処置医により選択される用量レベルおよびパターンで行われ得る。例えば、組成物は、抗生物質耐性のある微生物による感染に既に罹患している被験体に投与され得る。この状況において、有効「治療量」の組成物が、微生物の成長と増殖が継続するのを防止するため、およびそれを少なくとも部分的に止めて、感染に関連する症状を改善するために投与され得る。
【0100】
しかし、プロドラッグは、感染を発症しやすいか、またはその危険性がある被験体または個体に投与され得る。これらの実施形態において、「薬学的有効量」の組成物が、細胞の生存および機能を感染前のレベルに近い一定のレベルで維持するために投与される。
【0101】
インビボでの投与は、処置の経過にわたり、継続的または間欠的にある用量で行われ得る。投与についての最も有効な手段および投薬量を決定するための方法は、当業者に公知であり、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞、および処置される被験体によって変化する。一回の投与または複数回の投与は、処置医により選択される用量レベルおよびパターンで行われ得る。薬剤の投与の適切な投薬処方および方法は、下に見出され得る。
【0102】
薬学的組成物は、経口投与、鼻腔内投与、非経口投与、または吸入治療によって投与され得、錠剤、ロゼンジ、顆粒、カプセル、ピル、アンプル、坐剤、またはエアロゾルの形態を取り得る。薬学的組成物はまた、水性希釈剤または非水性希釈剤中に存在する活性成分の懸濁液、溶液および乳濁液、シロップ、顆粒化物または粉末の形態を取り得る。本発明の薬剤に加えて、薬学的組成物はまた、他の薬学的に活性な化合物、または複数の本発明の化合物を含み得る。
【0103】
より具体的には、本発明の薬剤(本明細書において活性成分ともいわれる)は、任意の適切な経路(経口経路、直腸経路、経鼻経路、局所的経路(経皮経路、エアロゾル経路、頬経路および舌下経路が挙げられる)、経膣経路、非経口経路(皮下経路、筋肉内経路、静脈内経路および皮内経路が挙げられる)、および経肺経路)により治療のために投与され得る。経路はレシピエントの状態および年齢、ならびに処置される疾患により変化することも理解される。
【0104】
理想的には、薬剤は、疾患部位で活性化合物の最大濃度が達成されるように投与されるべきである。これは、例えば、薬剤(必要に応じて生理食塩水中に含まれる)の静脈内注入、または経口投与(例えば、活性成分を含む、錠剤、カプセルまたはシロップとしての投与)によって達成され得る。薬剤の所望の血中レベルは、継続的な注入によって持続され、疾患組織内に治療量の活性成分を提供し得る。作動可能な混合物を使用することにより、個々の治療的化合物または薬物を単独で使用する場合に必要とされ得る投薬量よりも少ない各々の構成要素薬剤の総投薬量を必要とする治療的混合物が提供され、それによって副作用を軽減することが意図される。
【0105】
薬剤を単独で投与することは可能であるが、少なくとも1種類の活性成分(上で定義した)を、その活性成分についての1種類以上の薬学的に受容可能なキャリア、および必要に応じて他の治療的薬剤と共に含む薬学的処方物として、薬剤を提供することが好ましい。各キャリアは、「受容可能」でなければならず、「受容可能」とは、処方物中の他の成分に適合性であり、患者にとって有害ではないという意味である。
【0106】
処方物としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所的投与(経皮投与、頬投与および舌下投与が挙げられる)、経膣投与、非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与および皮内投与が挙げられる)、および経肺投与のために適切な処方物が挙げられる。処方物は、単位投薬形態で簡便に提供され得、薬学の分野において公知の任意の方法によって調製され得る。このような方法は、活性粒子を、1種類以上の補助的成分を構成するキャリアと組合わせる工程を包含する。一般的に、処方物は、均一かつ密接に、活性粒子を、液体キャリアまたは微細に分割された固体キャリア、あるいはその両方と組合わせ、次いで、必要な場合には、製品の形状を整えることによって、調製される。
【0107】
経口投与のために適切な本発明の処方物は、分離単位(例えば、カプセル、カシェ剤または錠剤)として提供され得、その各々は、所定の量の活性成分を、粉末もしくは顆粒として、水性の液体もしくは非水性の液体中の溶液または懸濁液として、または油中水型の液体乳濁液もしくは水中油型の液体乳濁液として含む。活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはパスタを提供し得る。
【0108】
錠剤は、圧縮または成形によって製造され得、必要に応じて1種類以上の補助的成分を有する。圧縮錠剤は、自由流動形態(例えば、粉末または顆粒)の活性成分を適切な機械で圧縮することにより調製され得、この自由流動形態の活性成分は、必要に応じて、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(disintegrant)(例えば、ナトリウムスターチグリコレート、架橋化ポビドン、架橋化ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤と混合されている。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化した化合物の混合物を適切な機械で成形することにより製造され得る。錠剤は、必要に応じて、コーティングまたは刻み目を付けられ得、そして活性成分がゆっくりと放出されるか、または制御されたように放出されるように処方され得る。ここで、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを種々の割合で使用することにより、所望の放出プロフィールが提供される。錠剤は、必要に応じて、腸溶性コーティングを施して提供され、胃ではない腸の部分において放出される。
【0109】
口での局所的投与のために適切な処方物としては、香り付けした基礎(通常は、スクロースおよびアカシア、またはトラガカント)中に活性成分を含むロゼンジ、不活性な基礎(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)中に活性成分を含む香錠;および、適切な液体キャリア中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0110】
本発明に従う局所投与のための薬学的組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、パスタ(past)、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして処方され得る。あるいは、処方物は、活性成分および必要に応じて1種類以上の賦形剤または希釈剤を浸透させたパッチまたは包帯剤(例えば、包帯または接着性の硬膏)を含み得る。
【0111】
所望の場合には、クリーム基礎の水相は、例えば、少なくとも約30%w/wの多価アルコール、すなわち2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール(例えば、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール、ならびにそれらの混合物)を含み得る。局所的処方は、望ましくは、皮膚または他の患部への薬剤の吸収または浸透を増強する化合物を含み得る。このような皮膚浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連するアナログが挙げられる。
【0112】
本発明の乳濁液の油相は、既知の様式で既知の成分から構成され得る。この相はただ乳化剤(あるいは、排出促進剤として知られる)のみを含み得るが、望ましくは、少なくとも1種類の乳化剤と、脂肪またはオイルあるいはその両方との混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。1つのバリエーションにおいて、乳化剤はオイルと脂肪の両方を含む。総じて、安定剤を有するかまたは有さない乳化剤は、いわゆる乳化ワックスを構成し、オイルおよび/または脂肪を共に有するそのワックスは、いわゆる乳化軟膏基礎を形成し、この基礎は、クリーム処方物の油性分散相を形成する。
【0113】
本発明の処方物での使用のために適切な排出促進剤および乳濁液安定剤としては、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレートおよびナトリウムラウリルスルフェートが挙げられる。
【0114】
処方物のための適切なオイルまたは脂肪の選択は、所望の化粧品特性が達成されることに基づく。これは、薬学的乳濁液処方物において使用される可能性のある大部分のオイルにおいて、活性化合物の可溶性が非常に低いためである。従って、クリームは、好ましくは、油っぽくなく、染色性ではなく、そして洗浄可能である製品であるべきであり、菅または他の容器からの漏れを避けるために適切な粘度を有する。直鎖または分岐鎖の一塩基性または二塩基性のアルキルエステル(例えば、ジイソアジペート、イソセチルステアレート、ヤシ油脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2−エチルへキシルパルミテートまたは分岐鎖エステルの混合物(Crodamol CAPとして公知))が、使用され得る。これらは、要求される特性に基づいて、単独でまたは併用で使用され得る。あるいは、高融点脂質(例えば、白色ワセリン)および/または流動パラフィン、あるいは他の金属油が、使用され得る。
【0115】
また、眼への局所的投与のために適切な処方物としては、点眼剤が挙げられ、点眼剤において、活性成分は、適切なキャリア、特に薬剤のための水性溶媒に溶解または懸濁されている。
【0116】
直腸投与のための処方物は、例えば、ココア脂またはサリチレートを含む適切な基礎を有する坐剤として提供され得る。
【0117】
経膣投与のために適切な処方物は、薬剤に加えて、当該分野で適切であることが公知であるキャリアを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ、泡沫体またはスプレー処方物として提供され得る。
【0118】
キャリアが固体である場合の経鼻投与のために適切な処方物としては、例えば、約20〜約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗雑粉末が挙げられ、これは、乾燥粉末として投与されるか、または吸入デバイスにおいて、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻道を介することによる迅速な吸入によって投与される。キャリアが投与(例えば、経鼻スプレー、点鼻剤、または噴霧器によるエアロゾル投与)のための液体である場合の適切な処方物としては、薬剤の水性溶液または油性溶液が挙げられる。
【0119】
非経口投与のための適切な処方物としては、水性または非水性の等張性滅菌注射溶液(これは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および処方物を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る);および、水性または非水性の滅菌懸濁液(これは、懸濁剤および増粘剤を含み得る)、ならびにリポソーム、または化合物を血液成分または1つ以上の組織に標的化するように設計された他の微粒子システムが挙げられる。処方物は、単位用量または複数用量のシールされた容器(例えば、アンプルおよびバイアル)で提供され得、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得、使用の直前に滅菌液体キャリア(例えば、注射のための水)の添加のみを必要とする。即時注射溶液および即時注射懸濁液は、既に述べた種類の滅菌の粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0120】
目的の単位投薬処方物は、1日分の薬剤の用量または単位、1日分の薬剤の用量の一部(本明細書において、上述)、またはそれらの適切な分割量を含有する処方物を含む。
【0121】
特に上述した成分に加えて、本発明の処方物は、問題となっている型の処方物に関連する当該分野の従来の他の薬剤を含み得ることが理解されるべきである。例えば、経口投与のために適切な薬剤は、甘味料、増粘剤および香料添加剤のようなさらなる薬剤を含み得る。本発明の薬剤、組成物および方法が、他の適切な組成物および治療と併用されることもまた意図される。
【0122】
本発明のこれらの薬剤および上述の化合物、ならびにそれらの誘導体は、本明細書に記載される方法における使用のための医薬の調製のために使用され得る。
【0123】
プロドラッグ抗生物質の臨床的使用において、抗生物質は、おそらく、よく確立された指針に従う。投薬は、おそらく、大部分の他の抗生物質について既に使用されている投薬と類似する。8時間ごとに1度または1日に1度、1週間または2週間の間または患者が感染性生物について陰性であると試験されるまで、プロドラッグの用量は100mg〜1gmの範囲であることが推定される。
【0124】
以下の実施例は、例示のためであって、本発明を制限することは意図しない。
【実施例】
【0125】
(実施例1 化合物番号1および番号2の合成スキーム)
【0126】
【化27】

BOC − N−tert−ブトキシカルボニル;BOP − ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;TEA − トリエチルアミン;THF − テトラヒドロフラン;RT − 室温;TFA − トリフルオロ酢酸
(化合物1の合成)
無水THF(25ml)中のN−Bocロイシン(1.0g、4.32mmol)、トリクロサン(1.25g、4.32mmol)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1.91g、4.32mmol)、およびトリエチルアミン(1.33g、12.9mmol)の溶液をアルゴン雰囲気下で0℃で4時間攪拌した。水(20ml)を加えて、その反応混合物を酢酸エチルで抽出した(2×30ml)。合わせた有機層を、水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、溶出液としてへキサン中の2%酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製し、無色のゴムとして化合物1を得た(1.66g、75%)。
【0127】
【化28】

(化合物番号2の合成)
無水アニソール(0.055g、0.5mmol)中の化合物1(0.25g、0.5mmol)の溶液を0℃まで冷却し、TFA(0.56g、5.0mmol)を15分間にわたりゆっくりと添加した。氷浴を除去し、攪拌をさらに3時間続けた。次いで、減圧下で全ての揮発成分を除去し、ゴムを得た。無水THFを添加し、アルゴン雰囲気下で0℃まで冷却した。ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(0.25g、0.57mmol)、N−ホルミルメチオニン(0.1g、0.57mmol)、およびトリエチルアミン(0.21g、2.1mmol)を添加した。薄層クロマトグラフィーは、0℃で0.5時間後に反応の完了を示した。反応物を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、無色の厚いゴムとして化合物番号2を得た。
【0128】
【化29】

(実施例2 一般的合成スキーム)
【0129】
【化30】

【0130】
【化31】

【0131】
【化32】

ここで、上の合成スキームのすべてにおいて、XおよびYは、独立して同じかまたは異なり、水素、低級アルキル(置換または非置換)、低級アルケニル(置換または非置換)、低級アルキニル(置換または非置換)、アリール基(置換または非置換)、複素環式基(置換または非置換)、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシレート、スルホネート、アルキルスルホン、アルキルスルホキシドおよびトリアルキルシリルからなる群から選択される。
【0132】
上の一般的合成スキームおよび以下の特定の実施例において、以下が適用される:PyBOPは、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートである;DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドである;NaHCOは、炭酸水素ナトリウムである;RP−HPLCは、逆相高速液体クロマトグラフィーである;TLCは、薄層クロマトグラフィーである;HClは、塩酸である;TFAは、トリフルオロ酢酸である;および、DIEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。
【0133】
上の一般的方法を使用して、以下の特定の化合物を調製した。
【0134】
(実施例3:(r)−ピロリジン1,2−ジカルボン酸2−tert−ブチルエステル−1−4−ホルミル−2,6−ジメチル−フェニル)エステルの調製(スキーム2、化合物2))
【0135】
【化33】

乾燥DMF(12mL)中のN−tert−ブチルオキシカルボニル−D−プロリン(2.34g、10.9mmol)および3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1.96g、13.0mmol)の溶液にPy−BOP(6.8g、13.0mmol)を添加し、溶解するまで攪拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.6mL、43.0mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(122mg、1mmol)を攪拌しながら添加した。得られた溶液を2.5時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(100mL)で覆い、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和ブラインで洗浄した。エーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生じた赤色のオイルをジクロロメタン溶出液を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。透明の明黄色のオイルを回収した(1.16g、31%)。
【0136】
【化34】

(実施例4:2−(s)−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−酪酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステルの調製(スキーム2の中間体))
【0137】
【化35】

乾燥THF(20mL)中のN−ホルミル−L−メチオニン(1.77g、10.0mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(1.38g、12.0mmol)の氷冷した溶液に1,3−ジクロロヘキシカルボジイミド(2.48g、12.0mmol)を添加した。溶液を氷浴中で攪拌し、結晶を急速に形成させた。反応物を冷蔵庫に一晩(約14時間)置いた。結晶沈殿物(おそらく、ジシクロへキシルウレアの副生成物)を濾過により除去した。濾液を塩化メチレンで希釈し、生じた固体を濾過で除去した。濾液を真空下で固体にした。これらの固体を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和ブラインで洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下でオイルにした。この粗オイル(2.8g、102%(理論上))をさらに精製することなく使用した。
【0138】
(実施例5:1−(s)−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリル)−ピロリジン−2−カルボン酸−4−ホルミル−2,6−ジメチル−フェニルエステルの調製(スキーム2、化合物3):)
【0139】
【化36】

乾燥ジクロロメタン(5.0mL)中の化合物5(1.16g、3.33mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(5.0mL)を添加した。生じた溶液を窒素下で30分間攪拌した。溶液を真空下で濃縮して過剰のTFAを除去し、次いで、ジクロロメタン(7mL)に再度溶解した。この溶液に化合物4(0.91g、3.31mmol)およびDIEA(1.2mL、6.88mmol)を添加した。反応混合物を窒素下で室温で3時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル中に入れ、次いで、HCl水溶液(0.1M)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和ブラインで洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して乾燥させた。透明なオイルを回収した(1.09g、収率81%)。
【0140】
【化37】

(実施例6:1−(s)−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリル)−ピロリジン−2−カルボン酸−4−ヒドロキシメチル−2,6−ジメチル−フェニルエステルの調製(スキーム2、化合物4))
【0141】
【化38】

無水THF(10mL)中の化合物3(1.08g、2.7mmol)の溶液に硼水素化ホウ素ナトリウム(50mg、1.3mmol)を添加した。生じた懸濁液を20分間攪拌し、その後、TLC分析は、アルデヒドの完全な還元を示した。混合物を酢酸エチル(100mL)で覆い、HCl水溶液(0.1M、15mL)でクエンチした。有機層を分離し、HCl水溶液(0.1M、15mL)、飽和NaHCO水溶液(15mL)、およびブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して乾燥させた。残留物を酢酸エチル/ジクロロメタン溶出液を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色の固体を得た(165mg、収率15%)。
【0142】
【化39】

(実施例7:1−エチル−6−フルオロ−7−(4−{4−[1−(s)−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリル)−ピロリジン−2−カルボニルオキシ]−3,5−ジメチル−ベンジルオキシカルボニル}−ピペラジン−1−イル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸の調整(スキーム2、化合物5))
【0143】
【化40】

無水DMF中の化合物2(20mg、0.049mmol)および1,1−カルボニルジイミダゾール(36mg、0.22mmol)の溶液を、アルゴン下で3時間攪拌した。生じた透明の黄色の溶液を氷浴中で冷やし、水(3μL、0.17mmol)でクエンチし、90分間攪拌した。室温まで温めた後、ノルフロキサシン(19mg、0.060mmol)および炭酸水素ナトリウム(17mg、0.20mmol)を添加して、懸濁液を形成した。懸濁液は、150分の攪拌の後、徐々に透明になった(しかし、完全にではない)。反応混合物を酢酸エチル(10mL)中に入れ、10%クエン酸溶液(2×4mL)および飽和ブライン(4mL)で洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で乾燥状態にした。生じた透明のオイル(29mg)を分取RP−HPLC(20〜60%アセトニトリル)で精製し、黄色の粉末として生成物を得た(10.3mg、収率27%)。
【0144】
【化41】

(実施例8:2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−エチル−ペンタン酸4−クロロメチル−フェニルエステルの調製(スキーム3))
【0145】
【化42】

化合物X(0.2gr、0.55mmol)の無水ジクロロメタン溶液を氷浴中で冷却し、PCl(0.11gr、0.55mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応が完了した後で、NaHCO水溶液を添加し、10分間攪拌した。有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。揮発成分を蒸発させて、化合物XXを得、これをさらに精製することなく次の反応のために使用した。
【0146】
【化43】

(実施例9:2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタン酸4ー−ホルミル−フェニル−エステルの調製(スキーム1、化合物2))
【0147】
【化44】

(実施例10:2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸4−ヒドロキシメチル−フェニルエステルの調製(スキーム1、化合物4))
【0148】
【化45】

(実施例11:2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸4−(1−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−2−イルスルファニルメチル)−フェニルエステル(NB3024)の調製)
【0149】
【化46】

(実施例12: 2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−メチル−ペンタン酸2,6−ジブロモ−4−ヒドロキシメチル−フェニルエステル(NB3144)の調製)
【0150】
【化47】

(実施例13:2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸5’−ヒドロキシメチル−[1,1’;3’,1”]ターフェニル−2’−イルエステルの調製(NB3145))
【0151】
【化48】

(実施例14: 2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸2−ブロモ−4−ヒドロキシメチル−6−メトキシ−フェニルエステル(NB3162)の調製)
【0152】
【化49】

(実施例15:2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸4−ヒドロキシメチル−2,6−ジメチル−フェニルエステル(NB3165)の調製)
【0153】
【化50】

(実施例16:1−エチル−6−フルオロ−7−(4−{4−[2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタノイルオキシ]−ベンジルオキシカルボニル}−ピペラジン−1−イル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(NB3057)の調製)
【0154】
【化51】

(実施例17:1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−7−ピペラジン−1−イル−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸4−[2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタノイルオキシ]−ベンジルエステル(NB3068)の調製)
【0155】
【化52】

(実施例18:2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸2−ブロモ−6−フラン−2−イル−4−ヒドロキシメチル−フェニルエステル(NB3177)の調製)
【0156】
【化53】

(実施例19: 2−(2−ホルミルアミノ−4−メチルスルファニル−ブチリルアミノ)−4−メチル−ペンタン酸4−{[ビス−(2−クロロ−エチル)−カルバモイルオキシ]−メチル}−フェニルエステル(NB3103)の調製)
【0157】
【化54】

(実施例20 感受性試験)
抗微生物性化合物のMICを決定するためのNCCLS(National Committee for Clinical Laboratory Standards)方法をハイスループットスクリーニングのために改変した。試験化合物の全てのストックを、それらの溶解性に依存して水またはDMSOのいずれかの中に調製した。最も高い濃度において、DMSO含量は0.5%を超えるべきではない。簡潔には、最も高い濃度からの20個の試験化合物の2倍連続希釈物を384ウェルのマイクロタイタープレートに作製した。各ウェルに最終濃度約1〜1.5×10細胞/mlとなるように、培地中に試験細菌を接種した。マイクロプレート読み取り機(Tecan SpectraFluor Plus)を使用して、細菌の成長を600nmの光学密度の増大により決定した。MICは、細菌の成長に必要な適切な温度での16〜18時間のインキュベーションの後で、細菌の成長(可視的な成長と等しい)が阻害された、最低濃度として定義する。化合物番号2についての結果を表3(細菌)および表4に示す。
【0158】
【表3−1】

【0159】
【表3−2】

【0160】
【表4】

E.coli/TEM − TEM−1 β−ラクタマーゼ発現E.coli;MRSA − メチシリン耐性S.Aureus;MSSA − メチシリン感受性S.Aureus
哺乳動物細胞を上述のように化合物番号2で処理した。この化合物は、16時間の曝露の後で哺乳動物細胞に対して毒性ではない(IC50は約30μM)。
【0161】
上で提供したアッセイを使用して、化合物番号2の能力をトリクロサンと比較した。結果を表5に示す。
【0162】
【表5】

(実施例21:鍵となる細菌性病原体に対するNB3057およびNB3068の活性)
表6では、いくつかの細菌性病原体に対するNB3057およびNB3068のMICをノルフロキサシンおよびシプロフロキサシンと比較している。
【0163】
【表6】

(実施例22:種々の化合物の血漿安定性の測定)
表7は、PBS、ミュラー−ヒントン培地、マウス血漿およびヒト血漿におけるいくつかのPDF ECTA化合物の血漿安定性を示す。
【0164】
【表7】

本発明を上記の実施形態と関連して記載してきたが、上述の記載および実施例は、例示の目的であって、本発明の範囲を制限することを意図していない。本発明の範囲内にある他の局面、利点および改変が、本発明の属する分野の当業者に明らかである。
【0165】
【化55】

【0166】
【化56】

【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】この図面は、本発明の化合物のPDF活性化についての反応スキームを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造
【化1】

を有する化合物であって、
ここで、R、R、RおよびRは、独立して同じかまたは異なり、水素、置換または非置換のC〜C14の芳香族またはヘテロ芳香族(例えば、フェニルメチレン、4−ヒドロキシフェニルメチレン、イミダゾールメチレンなど)、および置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、3−アミノプロピル、N―メチル−3−アミノエチル、2−メトキシエチルなど)からなる群から選択される;
ここで、Rは、置換または非置換の芳香族またはヘテロ芳香族(例えば、フェニルメチレン、トリアゾールメチレン、チオフェニルメチレンなど)、ならびに置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、エチル、プロピル、2−ヒドロキシルなど)および−CH−CH−X−CHからなる群から選択され、ここで、Xは、O、S,NH、NR、およびCHからなる群から選択され、ここで、Rは、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である;
ここで、AおよびAは、独立して同じかまたは異なり、=O、=S、=NH、=N−OH、または=N−Rからなる群から選択され、ここで、Rは、水素またはC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル);
ここで、Aは、=O、=S、=NH、=N−OH、=N−R、または=C(R)(R10)からなる群から選択され、ここで、R、R、およびR10は、独立して同じかまたは異なり、水素またはC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここでBは、−O−、−S−、−NH−または−N(R11)−からなる群から選択され、ここで、R11は、水素およびC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−NH−、−N(R12)−または−C(R13)(R14)−からなる群から選択され、ここで、R12、R13、およびR14は、独立して同じかまたは異なり、水素、あるいは置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、3−アミノプロピル、N−メチル−3−アミノエチル、2−メトキシエチルなど)からなる群から選択され、ここで、Bが−N(R12)−または−C(R13)(R14)−である場合、Bは、R12、R13、またはR14を介してRまたはRへとさらに結合され得、環式構造を形成し、ここで、−B−C(R)(R)−C(=A)−フラグメントは、全体として、プロリンあるいはプロリンの誘導体またはアナログである;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−NH−または−N(R15)−からなる群から選択され、ここで、R15は、水素およびC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、Bは、存在しないか、あるいは−O−、−S−、−NH−、−N(R16)−または−C(R16)(R17)−からなる群から選択され、ここで、R16およびR17は、独立して同じかまたは異なり、水素、あるいは置換または非置換の飽和または不飽和のC〜Cのアルキル(例えば、メチル、エチル、またはメトキシメチル)からなる群から選択される;
ここで、リンカーは、存在しないか、または痕跡を残さないリンカーである;ならびに
ここで、毒素は、活性化した酵素によって活性化されると毒性となる薬剤であるが、5−フルオロデオキシウリジン、あるいはその誘導体またはアナログではない、
化合物。
【請求項2】
およびRが両方とも水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−CH−CH−X−CHであり、ここで、Xが酸素、イオウまたはメチルからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Xがイオウまたは酸素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
およびAが両方とも酸素である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が−NHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記リンカーが、C−CH−、ならびに、XおよびXが独立して同じかまたは異なり、−O−、−S−、およびRが水素または低級アルキルであるN(R)からなる群から選択される−C−CH−X−C(=X)、ならびに、nが2または3であり、Rが水素または低級アルキルである−(CH−NR−(C=O)−からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が存在しない、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記毒素が、2−メルカプトピリジン−N−オキシド、シプロフロキサシン、ナイトロジェンマスタード、ならびにそれらの誘導体、アナログおよび薬学的に受容可能な塩からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が−NHであり、Bが−O−であり、Bが2−メチル−プロピルであり、そしてRが水素である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記毒素が、ノルフロキサシン、あるいはその誘導体、アナログまたは薬学的に受容可能な塩である、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が精製されたものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物およびキャリアを含む、組成物。
【請求項14】
前記キャリアが、薬学的に受容可能なキャリアである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
微生物を有効量の請求項1に記載の化合物と接触させる工程を包含する、微生物の成長を阻害するための方法。
【請求項16】
被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、被験体を処置するための方法。
【請求項17】
潜在的な治療薬剤を同定するための方法であって、以下の工程:
(a)微生物を請求項1に記載の化合物と、該化合物が該微生物中に取り込まれるために好ましい条件の下で接触させる工程;および
(b)該微生物の処理していないサンプルとの比較において、該微生物の増殖量をアッセイする工程、
を包含する、方法。


【図1】
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【公表番号】特表2006−507219(P2006−507219A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−585666(P2003−585666)
【出願日】平成15年4月17日(2003.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/011981
【国際公開番号】WO2003/088913
【国際公開日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【出願人】(504388709)セルメッド オンコロジー(ユーエスエー), インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】