ペメトレキセドの固体形
ペメトレキセドは葉酸拮抗性抗腫瘍剤であり、細胞複製に必要不可欠な葉酸依存性代謝過程を乱すことによってその作用を発揮する。プリンおよびピリミジン生合成で必要とされる3つの酵素、すなわちチミジル酸合成酵素(TS)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)を抑制することによって機能すると考えられている。ペメトレキセドの多形体および非晶形、またはその薬学的に許容される塩、ならびにそれらの作製方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ペメトレキセドの固体形およびその塩、ならびにそれを調製する方法に関する。本願はまた、非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩、およびその調製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ペメトレキセド二ナトリウムは、式(I)の化学構造で表わされるN−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸二ナトリウム塩七水和物と化学的には記述される。
【0003】
【化1】
ペメトレキセドは葉酸拮抗性抗腫瘍剤であり、細胞複製に必要不可欠な葉酸依存性代謝過程を乱すことによってその作用を発揮する。プリンおよびピリミジン生合成で必要とされる3つの酵素、すなわちチミジル酸合成酵素(TS)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)を抑制することによって機能すると考えられている。ペメトレキセドは、商品名ALIMTA(登録商標)として市場で入手可能である。
【0004】
Taylorらは、米国特許第5,344,932号で、ペメトレキセド、その関連化合物、および薬学的に許容されるカチオンを説明している。
【0005】
Cheliusらは、特許文献1で、ペメトレキセド二ナトリウム水和物結晶形Iおよびその調製方法を開示している。
【0006】
Cheliusらは、特許文献2で、ペメトレキセド二ナトリウム七水和物結晶形IIおよびその調製方法を開示している。
【0007】
非特許文献1には、ペメトレキセド二酸の調製方法が説明されている。
【0008】
Busolliらは、特許文献3で、ペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩の調製方法を開示している。
【0009】
Busolliらは、特許文献4で、結晶形A、B、C、D、E、F、Gと表したペメトレキセド二酸の7つの結晶形、およびその調製方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第01/14379号(A2)パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/62760号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008021411号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2008021405号(A1)パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Journal of Organic Process Research & Development、3巻、1999年、184頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
十分に安定であるペメトレキセド二ナトリウムおよび二酸の新規固体形、ならびに生産量までスケールアップするのに適した調製方法が継続して求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(要旨)
一態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である化合物を提供する。様々な実施形態および変形を提供する。
【0014】
別の態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩を固体として含む組成物であって、固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の少なくとも50重量%はペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である組成物を提供する。様々な実施形態および変形を提供する。
【0015】
別の態様において、2θ角で表され、かつ銅Kα線源を装備した回折計で得られたX線回折像を有するペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である化合物であって、前記X線粉末回折像は、4.0±0.2、17.3±0.2、18.0±0.2、19.5±0.2、20.4±0.2、21.0±0.2、29.0±0.2、および43.3±0.2の2θ角を有するピークからなる群から選択された5本以上のピークを含む化合物を提供する。
【0016】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の固体分散体であって、i)非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩と、ii)薬学的に許容される担体を含む固体分散体を提供する。
【0017】
さらに別の態様において、非晶形のペメトレキセド二ナトリウムを調製する方法であって、
i)溶媒中ペメトレキセド二ナトリウムの溶液を準備するステップと、
ii)溶媒を除去するステップと
を含む方法を提供する。
【0018】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物である固体を作製する方法であって、前記方法は、
i)ペメトレキセド二ナトリウム塩の水溶液を準備するステップと、
ii)水と共沸混合物を生成することができる有機炭化水素溶媒を添加するステップと、
iii)固体が得られるまで共沸蒸留を実施するステップと
を含む方法を提供する。
【0019】
さらに別の態様において、約5.8、12.4、18.3、18.6、19.6、20.4、24.5、24.9、25.8、28.9、29.2、29.6、および32.8±0.2°の2θでピークを含むX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Aである化合物を提供する。
【0020】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二酸の結晶形Aを調製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のエタノール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Aである沈殿した固体を単離するステップと
を含む方法を提供する。
【0021】
さらに別の態様において、約5.7、12.1、12.3、17.7、18.4、20.2、22.2、22.5、22.7、24.7、25.6、25.8、26.6、28.2、30.3、31.3、および31.8±0.2°の2θでピークを含むX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bである化合物を提供する。
【0022】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二酸の結晶形Bを作製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のイソプロピルアルコール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Bである沈殿した固体を単離するステップと
を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図2】実施例1に従って調製された非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図3】実施例5に従って調製されたポビドンK−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図4】実施例6に従って調製されたHPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図5】実施例7に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウムのX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図6】実施例7に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウムの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図7】実施例7に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウムの赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図8】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図9】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図10】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図11】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の示差走査熱量測定サーモグラムの具体例を示す図である。
【図12】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形AのX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図13】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Aの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図14】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Aの赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図15】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Aの示差走査熱量測定曲線の具体例を示す図である。
【図16】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形BのX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図17】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Bの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図18】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Bの赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図19】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Bの示差走査熱量測定サーモグラムの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の技術者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載する方法および材料に類似または匹敵する方法および材料ならいずれでも、本発明の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および材料を記載する。
【0025】
別の記載がない限り、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」などの単語の使用はいずれも、「限定することなく含む(including without limitation)」を意味し、その単語の前のいずれの一般的記述も、その直後に続く特定または類似の品目または物質に限定しないと解釈されるものとする。本発明の実施形態は相互に排他的ではなく、様々な組合せで実施してもよい。本発明の記載した実施形態および開示した実施例は、添付の特許請求の範囲に記載した本発明を限定する目的ではなく、例示の目的で記載する。
【0026】
本発明では、次の用語を以下に定義する。
【0027】
「薬学的に許容される」は、一般に無毒性であり、生物学的に望ましくないものではない医薬品を調製するのに有用であることを意味し、動物用途および/またはヒト用医薬品用途に許容されることが含まれる。
【0028】
「化合物」という用語は、定義された化学構造の分子的実体を意味するために使用される。
【0029】
「組成物」という用語としては、粉末、懸濁液、乳濁液、および/またはそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。組成物という用語は、指定された材料を指定された量で含有する生成物、および指定された材料の指定された量の組合せに直接または間接に由来する任意の生成物を包含するよう意図されている。「組成物」は、単一化合物、または化合物の混合物を含むことができる。医薬品有効成分に関して用いられているとき、「組成物」という用語は、同じ化合物の異なる固体形の混合物を定義することができる。
【0030】
「医薬組成物」という用語は、有効成分、担体を構成する薬学的に許容される賦形剤、および材料のうちいずれか2つ以上の組合せ、複合体、もしくは凝集、または材料のうち1つもしくは複数の解離、または材料のうち1つもしくは複数の他のタイプの反応もしくは相互作用に直接もしくは間接に由来する任意の生成物を含む生成物を包含するよう意図されている。したがって、本明細書に記載する医薬組成物は、有効成分、追加の有効成分、および薬学的に許容される賦形剤を混合することによって作製された任意の組成物を包含する。
【0031】
「賦形剤」という用語は、充填剤、希釈剤、担体など有効成分ではない医薬品の成分を意味する。医薬組成物を調製するのに有用である賦形剤は、好ましくは一般に安全で無毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではなく、動物用途およびヒト用医薬品用途に許容される。本明細書および特許請求の範囲で使用する「薬学的に許容される賦形剤」には、1つ以上のこのような賦形剤が含まれる。
【0032】
化学反応またはプロセスに関するとき、本明細書では「処理している」、「接触させている」、および「反応させている」という用語は同義で使用され、2つ以上の試薬を適切な条件下で添加または混合して、指示および/または所望した生成物を生じることを指す。指示および/または所望した生成物を生じる反応は、最初に添加された2つの試薬の組合せで直接起こるとは限らない可能性がある。すなわち、混合物中で生じる1つまたは複数の中間体が存在する可能性があり、最終的に指示および/または所望した生成物を生じることを理解されたい。さらに、「単離している」という用語は、化合物を混合物とする任意の望ましくない物質から単離された化合物の純度にかかわらず、単離中の化合物の分離を示すために使用される。したがって、単離または分離された化合物の純度は、「単離している」という状態に影響を与えない。
【0033】
「含水率」という用語は、本明細書ではKarl Fisher試験など固体中の水を決定する伝統的技法で測定して、固体の重量に対する固体中に存在する水の量(%で表わす)を示すために使用される。
【0034】
「固体分散体」という用語は、異なる化学的同一性を有する少なくとも2つの成分を含有し、それらの成分が相互に分子レベルで密接に混合されている均質な固体を示す。例えば、このような固体分散体は、2つの成分が溶媒中に液体溶液の溶質として存在するとき得られ、また溶媒蒸発した後に残渣として得られる。
【0035】
「溶媒」という用語は、個々の溶媒または溶媒の混合物を含めて1つまたは複数の成分が溶解している任意の液体媒体を定義する。
【0036】
単一化合物は、異なった物理的諸特性を有する種々の固体を生じる場合がある。同じ薬物の異なる固体形は、医薬品の有効成分としてのそれらの使用に関連して機能的な意味を有する特性を含めて、異なる特性を示す可能性がある。例えば、同じ薬物の多形体は、溶解速度およびバイオアベイラビリティのような医薬として重要な特性が実質的に異なる可能性がある。同様に、異なる多形体は、商業生産するための有効医薬としてのその適性に影響を及ぼす可能性がある吸湿性、流動性などの加工特性が異なる可能性がある。
【0037】
本発明によって得られたすべてのTGA曲線は、TGAQ500V620.6 Build 31機器で、勾配10℃/分、380℃までで実施した。赤外(IR)スペクトルが記載されている場合はいつでも、Perkin Elmer System Spectrum 1モデル分光光度計またはThermo Nexus 470分光計を用いて、450cm−1〜4000cm−1、臭化カリウムペレットで分解能4cm−1で記録し、試験化合物の濃度は1重量%である。示差走査熱量測定分析は、TA InstrumentsのDSC Q200 V23 9 Build 78モデルまたはDSC Q200 V23 10 Build 79モデルで、勾配10℃/分、300℃までで実施した。
【0038】
本明細書に報告されたXRPDデータはすべて、BrukerまたはPANalytical AXS D8 Advance Powder X−ray Diffractometerを用いて、波長1.5418Åを有するCu Kα線で得られた。2θ角および間隔dの指定には若干の誤差の許容範囲があり得るので、特定の結晶形を特定するためにX線粉末回折像を比較する好ましい方法は、未知の形のX線粉末回折像を既知の形のX線粉末回折像に重ね合わせることである。本願で述べるすべての分析データについて、特定の値は多くの要因、例えば特定の機器、試料調製および個々のオペレータに依存することに留意されたい。
【0039】
本特許出願は、ペメトレキセド二ナトリウムの非晶形を提供する。大局的な観点から、ペメトレキセド二ナトリウム塩は、実質的に純粋な非晶形の状態で存在しようと混合物の一部分として存在しようといずれの非晶形も考えられる。特に、大部分、好ましくは95重量%を超える非晶形部分とごく一部分、好ましくは2重量%を超える結晶形部分とを含むペメトレキセド二ナトリウム塩の固体が考えられる。非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの非溶媒和の形、ならびに溶媒和の形および水和物の形が考えられる。
【0040】
図1は、ペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体のXRPD像の一例を提供する。非晶形のペメトレキセド二ナトリウムは、図2に示すように約8.268%w/wの重量減少に対応する特徴的な熱重量曲線(TGA)を有する。ペメトレキセドの非晶形を作製する方法は別に考えられ、本明細書の以下にさらに詳細に記載する。
【0041】
一実施形態において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形は、i)非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩と、ii)薬学的に許容される担体とを含む固体分散体の成分として存在する。好ましくは、固体分散体は、約10%〜約90%のペメトレキセド二ナトリウム塩と約10%〜約90%の担体を含む。
【0042】
固体分散体は、例えばペメトレキセド二ナトリウム塩および担体を溶媒に溶解し、溶媒を除去することによって調製することができる。好ましい溶媒は水である。固体分散体を作製する方法は別に考えられ、以下にさらに詳細に記載する。
【0043】
好ましい担体としては、セルロース誘導体およびポリビニルピロリジンが挙げられる。一変形形態では、担体はセルロース誘導体である。セルロース誘導体は、担体として有用にするいくつかの特性を有するものと予想される。好ましくは、固体分散体中の担体として適したセルロース誘導体は、最終分散液中の成分の所望の比、および製造適合性を確保するのに十分なレベルで液体揮発性溶媒に溶解するのに十分な溶解性を有する。メタノール中での溶解性は、選ばれたセルロース誘導体の所望の溶解性を測定するのに有用な方法として使用することができる。適当なセルロース誘導体は、メタノール中での溶解性が0.01g/ml以上、好ましくは0.1g/ml以上であることが好ましい。一変形形態では、セルロース誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。図3に、ポビドン−K−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のXRPDを示す。図4に、HPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のXRPDを示す。
【0044】
固体分散体は、医薬製剤での使用により適したものとするいくつかの限定された溶解性特性を有することが好ましい。好ましくは、固体分散体は、水中での溶解性が約50mg/ml〜約150mg/mlの範囲である。別に考えられる特定の一変形形態では、非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩とHPMCを50:50の重量比で含み、水中での溶解性が約83mg/mlである固体分散体を提供する。別に考えられる特定の別の変形形態では、非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩とPVPを50:50の重量比で含み、水中での溶解性が約137mg/mlである固体分散体を提供する。
【0045】
ペメトレキセドナトリウム塩の非晶形を遊離の固体の形で、または少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む固体分散体として作製する方法も別に考えられ、この方法は、
i)溶媒中ペメトレキセド二ナトリウムの単独または薬学的に許容される担体を組み合わせた溶液を準備するステップと、
ii)溶媒を除去するステップと
を含む。
【0046】
ステップi)は、ペメトレキセド二ナトリウム溶液を準備するものである。ペメトレキセド二ナトリウム溶液の準備には、ペメトレキセド二ナトリウムの単独または場合によっては薬学的に許容される担体と組み合わせて溶媒または溶媒の混合物に溶解することが含まれ、あるいはこのような溶液は、ペメトレキセド二ナトリウムを生成する反応から直接得ることができる。溶媒和物および水和物を含めて結晶形または半晶質の形など結晶多形のいずれでも、使用することができる。
【0047】
溶媒は、水、ジメチルスルホキシド(DMSO);ジメチルホルムアミド(DMF);イソプロピルアルコール(IPA)、およびメタノールなどのアルコール;アセトン、エチルメチルケトン、およびメチルイソブチルケトンなどのケトン;ならびにそれらの混合物とすることができる。好ましい溶媒は、水またはアルコール性水溶液である。溶解温度は、約20℃から約100℃または溶媒の還流温度とすることができる。好ましくは、溶解は室温で実施する。
【0048】
溶解に使用する溶媒の量は、溶媒、および方法のために選ばれた溶解温度に依存する。溶液中のペメトレキセド二ナトリウム濃度は、一般に溶媒中約0.1〜約10g/mlとすることができる。
【0049】
薬学的に許容される担体と一緒にペメトレキセド二ナトリウムの溶液を調製するとき、異なる材料を仕込む順序は、得られる生成物にとって重要ではない。特定の順序は、実際に使用する機器に対して好ましい場合があり、当業者によって容易に決定される。どんな場合でも、ペメトレキセド二ナトリウムは、溶媒中で完全に可溶でなければならず、透明な溶液を提供すべきである。溶解していない結晶が存在すると、完全には非晶質でない材料が形成される。ペメトレキセド二ナトリウムおよび使用する薬学的に許容される担体を同じ溶媒に溶解することができ、またはこれらを異なる溶媒に溶解し、次いで組み合わせて混合物を生成してもよい。
【0050】
望むなら、溶液を濾過して、溶解していない粒子を除去してもよい。溶解していない粒子は、濾過、遠心、デカンテーション、および他の技法で適切に除去してもよい。溶液は、紙、ガラス繊維、もしくは他の膜材料、またはセライトなどの清澄剤を通過させることによって濾過することができる。使用する機器ならびに溶液の濃度および温度に応じて、濾過装置を予備加熱して、早過ぎる結晶化を回避する必要があり得る。
【0051】
ペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体の調製に使用することができる薬学的に許容される担体としては、ポリビニルピロリドン(N−ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー;ポビドン)、ゴム類、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、マニトールなどを含む)、シクロデキストリン類、ゼラチン類、ヒプロメロースフタル酸エステル、糖類、多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド類、ポリオキシエチレン誘導体、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール誘導体などの医薬用親水性担体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。所望の放出プロファイルの実現または安定性の増強のために医薬用担体のうちの1つを超えるものの混合物を使用することは、本発明の範囲内である。さらに、すべての粘度グレード、分子量、市販の製品、それらのコポリマー、混合物も、すべて制限なく本発明の範囲内である。
【0052】
溶媒および薬学的に許容される担体のこれらのリストは、使用することができるものの代表例にすぎず、リストは網羅するものではない。
【0053】
ステップii)は、溶媒を除去するものである。溶媒の除去は、蒸発、常圧蒸留、または真空蒸留などの技法を使用して適切に実施することができる。溶媒除去に使用することができる適当な技法としては、噴霧乾燥、Buchi Rotavaporなどの回転式蒸発器装置を使用する蒸留、撹拌式薄膜乾燥(「ATFD」)などが挙げられる。これらの技法は、ペメトレキセド二ナトリウムおよびペメトレキセド二ナトリウムと薬学的に許容される担体とを含む混合物の水溶液と有機溶液に適用可能である。しかし、揮発性の高い有機溶媒を使用した溶液ほど、一般に加工が容易になる。
【0054】
好ましくは、溶媒の除去は、ペメトレキセド二ナトリウムまたは薬学的に許容される担体を含むその混合物の溶液の噴霧乾燥によって行われる。
【0055】
噴霧乾燥プロセスによって得られた非晶形のペメトレキセド二ナトリウムまたは薬学的に許容される担体を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体は、医薬組成物の調製に適切に利用することができる。
【0056】
噴霧乾燥およびATFDは、バッチサイズが約100gまたは約1kg以上の工業規模生産により適している。Buchi Rota−vapor乾燥および真空乾留など他の技法は、約100g未満の量などの実験室規模プロセスに適している場合がある。
【0057】
溶媒の蒸発は、約100mmHg未満〜約600mmHg未満などの真空下、約−30℃〜約100℃などの温度で実施することができる。不純物レベルの増大および生成物特性の大きな変化がない限り、いずれの温度および真空条件も使用することができる。
【0058】
ステップii)から得られた非晶形の材料は、掻き取りもしくは容器の振盪などの技法を使用して、または特定の装置に特異的な技法を使用して、機器から回収することができる。
【0059】
生成物は、望むなら乾燥してもよい。
【0060】
乾燥は、残留溶媒含有量がInternational Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(「ICH」)ガイドラインによって記載されている限界内にある量に減少するまで減圧下で実施することができる。ガイドラインの溶媒レベルは、溶媒のタイプに依存するが、約5000ppm以下、または好ましくは約4000ppm以下、またはより好ましくは約3000ppm以下である。
【0061】
乾燥は、約650mmHg未満または約50mmHg未満などの減圧、約35℃〜約70℃などの温度で実施することができる。乾燥は、約1〜20時間、またはそれ以上の時間など所望の結果を実現する任意所望の時間実施することができる。乾燥は、生成物仕様に応じてより短いまたはより長い時間実施することもできる。
【0062】
乾燥は、棚型乾燥機、真空オーブン、空気オーブンなどの機器で、または流動床乾燥機、スピンフラッシュ乾燥機、およびフラッシュ乾燥機を使用して適切に実施することができる。
【0063】
急速乾燥を利用して、残留有機溶媒を含まない所望の非晶形を提供する場合が多いことは一般に好ましい。
【0064】
ペメトレキセド二ナトリウムまたはその水和物またはその固体分散体として得られた非晶形の材料は、約15%(w/w)以下の含水率を有してもよい。いくつかの広範な曝露状態で、最高約21%の水分を得ることがあるが、非晶形は著しく保持されたままである。好ましい実施形態において、含水率は、約5%〜約10%(w/w)とすることができる。
【0065】
固体のペメトレキセド二ナトリウム塩を含有する組成物であって、組成物中のその固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量に対して少なくとも50%が非晶形である組成物が別に考えられる。この組成物のより好ましい形態では、固体のペメトレキセド二ナトリウム塩は、医薬品を製剤化する際に有効成分としての使用に適している。組成物中の固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の残部、すなわちペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量の50%以下は、結晶形であってもよい。結晶形の一例は、本明細書の以下に記載するペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である。ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の他の例は、例えば米国特許出願公開第2008/0045711号(記載の目的のためにかつその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一実施形態では、組成物は、組成物中の固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量に対して少なくとも90%のペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形を含むことができる。別の実施形態において、組成物は、組成物中の固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量に対して少なくとも95%のペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形を含むことができる。この実施形態の特定の変形形態では、組成物は、2%を超えるペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形以外のいずれの形も実質的に含まない。
【0066】
非晶形と結晶形の混合物を含む組成物は、例えば非晶形の部分と結晶形の部分を直接混合することによって調製することができる。さらに、以下に記載する特定の変形形態に関して、組成物は、以下に記載するように調製することができる。
【0067】
X線回折は、固体混合物中の結晶形および/または非晶形の相対量を定量する好都合でかつ実用的な手段を提供する。X線回折は、混合物中の所与の化合物の回折ピークの強度が混合物中の対応する粉末部分に比例しているので、定量的用途に適用可能である。未知組成物中の結晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩の組成(%)を決定することができる。好ましくは、固体粉末のペメトレキセド二ナトリウム塩について測定を行う。未知組成物のX線粉末回折像は、ペメトレキセド二ナトリウム塩の純粋な結晶形を含有する既知の定量用標準品と比較して、特定の結晶形の比(%)を特定する。非晶形が組成物の主要部分である場合、量を、さらに分析対象の固体の全重量と比較することができる。これは、未知の固体粉末組成物の回折像のピークの相対強度を純粋な既知試料のX線回折像に起因する較正曲線と比較することによって行われる。曲線は、ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の純粋な試料の最大ピークについてX線粉末回折像に基づいて較正することができる。較正曲線は、当業者に知られている方式で作製することができる。例えば、様々な量のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の5種以上の人為的混合物を調製することができる。非限定的な例では、このような混合物は、各結晶形に付き2%、5%、7%、8%、および10%のペメトレキセド二ナトリウム塩を含有することができる。次いで、標準的X線回折技法を使用して、各人為的混合物についてX線回折像を得る。ピーク位置のわずかな変動がある場合それは、測定するべきピークの位置を調整することによって説明することができる。次いで、人為的混合物のそれぞれについて選択された特徴的ピークの強度を、結晶形の既知の重量百分率に対してプロットする。得られたプロットは、未知試料中のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の量の決定を可能にする較正曲線である。ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形と非晶形の未知混合物については、混合物中の選択された特徴的ピークの強度は、較正用混合物中のこのピークの強度に比べたものであり、組成物中の所与の結晶形の百分率を決定するために使用することができ、残部は非晶形の材料である。全結晶化度は、以下の通り決定することができる。
【0068】
結晶化度(%)=(C/A+C−B)×100、式中、Cは結晶形ピーク下面積であり、Aはアモルファスハロー下面積であり、Bは空気散乱、蛍光などによるバックグラウンドノイズである。
【0069】
特定の変形形態では、本特許出願は、多量のペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と少量のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形を含む組成物を提供する。好ましくは、組成物は、50%を超えるペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形、および少なくとも5%のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形を含む。この変形形態では、ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形は、表1に記載のピークを有するX線粉末回折像の多形体であることが特に考えられる。
【0070】
【表1−1】
【0071】
【表1−2】
図8は、上述したように組成物のXRDの一例を示す。実質的に図8と合致しているペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物を含む組成物は、別に考えられる。
【0072】
本発明は特定の理論に拘泥するものではないが、二ナトリウム結晶形IIIの結晶形は、4.0、17.3、18.0、19.5、20.4、21.0、29.0、および43.3±0.2°の回折角(2θ)で特徴的なピークを有すると考えられる。各ピークは±0.2°の測定許容誤差で示される。ペメトレキセド二ナトリウム塩のこの結晶形(本明細書で結晶形IIIと命名)は別に考えられる。ペメトレキセドの非晶形と結晶形の混合物を作製する方法、特に本明細書に記載する特定の変形を作製する方法を以下にさらに詳細に記載する。
【0073】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物である組成物を作製する方法であって、この方法は
i)ペメトレキセド二ナトリウム塩の水溶液を準備するステップと、
ii)水と共沸混合物を生成することができる有機炭化水素溶媒を添加するステップと、
iii)固体が得られるまで共沸蒸留を実施するステップと
を含む方法も提供する。
【0074】
第1のステップは、ペメトレキセド二ナトリウム水溶液を準備するものである。これは、ペメトレキセド二ナトリウムを水または水と溶媒の混合物に溶解することによって実現することができ、あるいはこのような溶液は、ペメトレキセド二ナトリウムを生成する反応から直接得ることができる。溶媒和物および水和物を含めて結晶形または半晶質の形など結晶多形のいずれでも、使用することができる。溶解温度は、約20℃から約100℃または溶媒の還流温度とすることができる。好ましくは、溶解は室温で実施する。
【0075】
溶解に使用する溶媒の量は、方法のために選ばれた溶媒および溶解温度に依存する。溶液中のペメトレキセド二ナトリウム濃度は、一般に溶媒中約0.1〜約10g/mlとすることができる。
【0076】
次いで、水は、有機炭化水素溶媒との共沸蒸留によって除去することができる。固体形の混合物を含む組成物の調製のための適当な有機炭化水素溶媒は、トルエン、キシレンなどから選択することができ、好ましくはトルエンとすることができる。
【0077】
結晶形IIIの調製のための適当な温度は、ペメトレキセド二ナトリウム溶液の水と有機炭化水素溶媒の比に依存する。例えば、溶媒が水とトルエンの12.2:87.8(v/v)の比の混合物であるとき、温度は約100〜105℃である。
【0078】
望むなら、固体を乾燥して、所望の固体をもたらすことができる。乾燥は、残留溶媒含有量がInternational Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(「ICH」)ガイドラインによって記載されている限界内にある量に減少するまで減圧下で実施することができる。ガイドラインの溶媒レベルは、溶媒のタイプに依存するが、約5000ppm以下、または好ましくは約4000ppm以下、またはより好ましくは約3000ppm以下である。
【0079】
乾燥は、約650mmHg未満または約50mmHg未満などの減圧、約35℃〜約70℃などの温度で実施することができる。乾燥は、約1〜20時間、またはそれ以上の時間など所望の結果を実現する任意所望の時間実施することができる。乾燥は、生成物仕様に応じてより短いまたはより長い時間実施することもできる。
【0080】
乾燥は、棚型乾燥機、真空オーブン、空気オーブンなどの機器で、または流動床乾燥機、スピンフラッシュ乾燥機、およびフラッシュ乾燥機を使用して実施することができる。
【0081】
急速乾燥を利用して、残留有機溶媒を含まない所望の結晶形を提供する場合が多いことは一般に好ましい。
【0082】
本明細書に記載したように得られた結晶形IIIを含む固体のペメトレキセド二ナトリウムは、非晶形の含有量が約50重量%を超える場合がある。一変形形態では、結晶形IIIを含むペメトレキセド二ナトリウムは、約50重量%〜約60重量%の非晶形の材料を含むことができる。
【0083】
非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムは、図9に示すように約22%(w/w)の重量減少に対応する特徴的な熱重量曲線(TGA)を有する。非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムは、約3340、2930、2355、1596、1403、1089、および596±5cm−1におけるピークを含む臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを有する。非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムの臭化カリウムを用いて記録された赤外吸収スペクトルは、実質的に図10のスペクトルと合致している。さらに、非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムは、実質的に図11と合致しているそのDSCサーモグラムを特徴とする。さらに、ペメトレキセド二ナトリウム半結晶形IIIは、約86、244、および271℃において吸熱性ピーク、ならびに約278℃において発熱ピークを有するそのDSC曲線を特徴とする。
【0084】
約5.8、12.4、18.3、18.6、19.6、20.4、24.5、24.9、25.8、28.9、29.2、29.6、および32.8±0.2°の2θで特徴的なピークを含むXRPD像を有するペメトレキセド二酸の結晶形Aも提供する。実質的に図12と合致しているXRPD像を有するペメトレキセド二酸は、別に考えられる。ペメトレキセド二酸の結晶形Aは、図13に示すように約26%(w/w)の重量減少に対応する特徴的な熱重量(TGA)曲線を有する。ペメトレキセド二酸の結晶形Aは、約3286、3228、2940、1685、1543.9、1399、1348、1300、1226、および663±5cm−1におけるピークを含む臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを特徴とする。実質的に図14のスペクトルと合致している臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを有するペメトレキセド二酸の結晶形Aは、別に考えられる。さらに、ペメトレキセド二酸の結晶形Aは、図15に示す約71および163℃で吸熱性ピークを有するそのDSCサーモグラムを特徴とする。
【0085】
ペメトレキセド二酸の結晶形Aの調製方法は、ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩と水酸化ナトリウム水溶液を反応させ、続いてエタノールの存在下、酸でpH約3まで中和するステップを含む。中和に利用する酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、p−トルエン硫酸などから選択することができる。反応を実施するのに適当な温度は、約20℃〜約80℃とすることができる。
【0086】
約5.7、12.1、12.3、17.7、18.4、20.2、22.2、22.5、22.7、24.7、25.6、25.8、26.6、28.2、30.3、31.3、および31.8±0.2°の2θで特徴的なピークを含むXRPD像を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bも提供される。実質的に図16と合致しているXRPD像を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bは、別に考えられる。本発明のペメトレキセド二酸の結晶形Bは、約5%(w/w)の重量減少に対応する特徴的な熱重量(TGA)曲線を有し、図17に示す。さらに、ペメトレキセド二酸の結晶形Bは、約3424、3310、3190、2941、2354、1694、1524、1374、1087、945、776、および662±5cm−1において特徴的な吸収ピークを有する臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを特徴とすることができる。実質的に図18と合致している赤外スペクトルを有するペメトレキセド二酸の結晶形Bは、別に考えられる。さらに、ペメトレキセド二酸の結晶形Bは、図19に示す約114、134、195、および249℃で吸熱性ピークを有するそのDSCサーモグラムを特徴とする。
【0087】
ペメトレキセド二酸の結晶形Bを調製する方法は、4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]安息香酸メチルエステルと水酸化ナトリウム水溶液を反応させ、その後イソプロピルアルコールの存在下、酸でpH約3まで中和し、続いて先に本明細書に記載した通常の方法によって乾燥するステップを含む。中和に利用する酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、p−トルエン硫酸などから選択することができる。反応を実施するのに適当な温度は、約20℃〜約80℃とすることができる。乾燥した生成物を場合によっては粉砕して、所望の粒径を得ることができる。粉砕または微粒子化は、生成物を乾燥する前、または生成物の乾燥が完了した後に行うことができる。粉砕操作は、粒子を高速で相互に衝突させることによって、粒子のサイズを低減し、粒子の表面積を増大させる。粉砕は、エアージェットミルのようなジェット粉砕機器を使用して、または他の通常の粉砕機器を使用して適切に行うことができる。
【0088】
さらに別の実施形態において、本発明の方法で生成された非晶形のペメトレキセド二ナトリウム、または少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体、またはペメトレキセド二酸もしくはその薬学的に許容される塩の多形体を少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0089】
本発明の方法で得られた非晶形のペメトレキセド二ナトリウム、または少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体、またはペメトレキセドもしくはその薬学的に許容される塩の多形体を経口投与用の固体組成物としてカプセル、錠剤、丸剤、粉末、または顆粒の形で製剤化することができる。これらの組成物では、本発明による活性生成物と1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を混合する。原薬は、例えば溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル、および乳濁液を含めて、水、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、または流動パラフィンなど不活性の希釈剤、溶媒、またはビヒクルを含有する経口投与向け液体組成物として製剤化することができ、使用してもよい。
【0090】
非経口投与用の組成物は、懸濁液、乳濁液、または水性もしくは非水性滅菌溶液とすることができる。溶媒またはビヒクルとして、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを使用してもよい。これらの組成物は、アジュバント、特に湿潤剤、乳化剤、および分散化剤を含有することができる。滅菌は、数種類の方式、例えば細菌フィルターを使用して、滅菌剤を組成物に組み込むことによって、照射することによって、または加熱することによって実施することができる。これらは、使用時に滅菌水または他の何らかの無菌の注射可能な媒体に溶解することができる無菌組成物の形で調製することができる。
【0091】
本発明において有用である薬学的に許容される賦形剤としては、デンプン、α化デンプン、ラクトース、粉末セルロース、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、マンニトール、ソルビトール、砂糖などの希釈剤;アカシア、グアーゴム、トラガカント、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、α化デンプンなどの結合剤;デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、α化デンプン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、コロイダル二酸化ケイ素などの崩壊剤;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛などの滑沢剤;コロイダル二酸化ケイ素などの流動促進剤;アニオン性またはカチオン性または中性界面活性剤などの溶解性または湿潤向上剤;様々なグレードのシクロデキストリンおよび樹脂などの錯形成剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、様々なグレードのメタクリル酸メチル、ワックスなどの放出速度調節剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の薬学的に許容される有用な賦形剤としては、フィルム形成要素、可塑剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、粘度向上剤、保存剤、酸化防止剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明をいくつかの特定の態様および実施形態について述べてきたが、本明細書を考慮すれば他の実施形態は当業者に自明となる。さらに、本発明は、いくつかの特定の態様および実施形態をさらに詳細に記載する下記の実施例を参照することにより明確に示されるが、実施例は、いかなる方式によっても本発明の範囲を限定するものではない。材料と方法の両方に対する多くの修正形態は、本発明の範囲から逸脱することなく実施できることは、当業者には明らかとなる。
【実施例】
【0093】
(実施例1):噴霧乾燥機を使用した非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを7.4:92.6の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(5g)を、25〜35℃の温度でメタノール(240ml)と脱ミネラル水(19ml)の溶媒混合物に溶解し、次いで溶液を濾過し、続いてメタノール(10ml)で洗浄した。次の噴霧乾燥機パラメータを使用して、
入口温度:75℃
ポンプ:20%
アスピレータ:50%
N2圧:5Kg/cm2
溶液の全量を完全に蒸発乾固させて、乾燥した表題化合物を得た。
収量:1.7g。
TGA:8.268%重量減少。
【0094】
得られた試料を、封止したポリテン袋中に20℃〜25℃の温度で58日間維持して、物理的安定性をチェックした。周囲室温で58日間維持した後、材料は、元のXRPD像の保持によって示されるように、その非晶性を保持することがわかった。
含水率:11.51%(Karl Fisher法)。
58日後のXRPDおよび物理的観察−非晶形
(実施例2):非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを6.9:93.1の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(3g)をメタノール(100ml)に溶解し、続いて脱ミネラル水(10ml)を加えた。メタノール(20ml)および脱ミネラル水(1ml)を、得られた懸濁液に加え、次いで懸濁液を55℃の温度に加熱した。メタノール(20ml)を懸濁液に添加した。溶液を濾過し、メタノール(10ml)で洗浄した。噴霧乾燥機を次の噴霧乾燥機パラメータで使用して、
入口温度:100℃
ポンプ:20%
アスピレータ:70%
N2圧:5Kg/cm2
得られた全濾液を完全に蒸発させて、表題化合物を得た。
収量:0.7g
TGA:9.81%重量減少。
【0095】
(実施例3):メタノール量を低減することによる非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを50:50の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(5g)を脱ミネラル水(35ml)に溶解した。メタノール(35ml)を溶液に添加し、次いで濾過した。次の噴霧乾燥機パラメータを使用して、
入口温度:100℃
ポンプ:10%(3ml/分)
アスピレータ:70%
N2圧:5Kg/cm2
得られた濾液を噴霧乾燥用乾燥機にかけ、続いて45℃の温度で真空乾燥にかけて、表題の非晶形の材料を得た。
収量:1.8g
含水率:6.09%(KF法)
得られた試料を、封止したポリテン袋中に20℃〜25℃の温度で7日間維持して、物理的安定性をチェックした。7日間維持した後、材料は、元のXRPD像の保持によって示されるように、その非晶形を保持することがわかった。
【0096】
(実施例4):非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを37.2:68.8の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(20g)を脱ミネラル水(140ml)に溶解した。得られた溶液に、メタノール(280ml)を25〜35℃の温度で添加し、濾過し、続いてメタノール(30ml)で洗浄した。噴霧乾燥機を使用して、得られた全濾液を蒸発乾固して、表題化合物を得た。
収量:11.14g
含水率:6.49%(KF法)
得られた試料を、封止したポリテン袋中に20℃〜25℃の温度で3日間維持して、物理的安定性をチェックした。3日間維持した後、材料は、元のXRPD像の保持によって示されるように、その非晶形を保持することがわかった。
【0097】
試料をペトリ皿に維持し、室温で24時間貯蔵して、物理的安定性をチェックした。24日間維持した後、材料は、元のXRPD像の維持によって示されるように、その結晶多形を保持することがわかった。
【0098】
(実施例5):ポビドンK−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体の調製
ペメトレキセド二ナトリウム(2.5g)、ポビドン(Grade K−30、2.5g)、および脱塩水(35ml)をフラスコに加え、混合物全体を5分間撹拌した。得られた懸濁液に、30℃の温度でメタノール(70ml)を添加し、15分間撹拌した。懸濁液を濾過し、メタノール(10ml)で洗浄した。次の噴霧乾燥機パラメータを使用して、
入口温度:100℃
N2圧:5kg/cm2
アスピレータ:70%
ポンプ:20%
得られた全濾液を100℃の温度で1時間噴霧乾燥にかけて、表題のポビドンK−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体を得た。
収量:2g
含水率:7.51重量%(KF)。
【0099】
(実施例6):HPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体の調製
HPMC(2.5g)を脱塩水(17.5ml)中に懸濁した。ペメトレキセド二ナトリウム(2.5g)、脱塩水(17.5ml)、メタノール(60ml)を、得られた懸濁液に28℃の温度で添加し、溶液全体を25分間撹拌した。得られた溶液を濾過し、メタノール(10ml)で洗浄した。噴霧乾燥機を次の噴霧乾燥機パラメータで使用して、
入口:100℃
N2:5kg/cm2
アスピレータ:70%
ポンプ:20%
得られた濾液を100℃の温度で30分間蒸発させて、表題のHPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの分散液を得た。
含水率:7.67重量%(KF)。
【0100】
(実施例7):ペメトレキセド二ナトリウムの調製(凍結乾燥方法を使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(1.0g)を水(7.5ml)に溶解し、溶液を約24℃の凍結乾燥器に入れた。得られた溶液を−15℃で約15時間凍結乾燥にかけ、凍結乾燥が完了した後に固体が残る。固体を回収して、880mgの表題化合物が得られた。
【0101】
TGA重量減少:20.88%。
【0102】
(実施例8):共沸蒸留によるペメトレキセド二ナトリウムの非晶形と結晶形IIIの混合物の調製
ペメトレキセド二ナトリウム(1.0g)を水(7ml)に溶解し、得られた溶液をBuchi Rotavaporに加えた。トルエン(50ml)を加え、続いて約103℃で水の共沸蒸留を行った。蒸留ステップを8回繰り返して、800mgの表題化合物を得た。
【0103】
TGA重量減少:21.94%
結晶化度(%)=22.1重量%。
【0104】
(実施例9):ペメトレキセドの結晶形Aの調製
水酸化ナトリウム(6.91g)を水(172.8)に溶解し、次いで溶液を、窒素雰囲気中で丸底フラスコに加えた。ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩(25g)をフラスコに加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いでエタノール(172.8ml)で希釈した。反応混合物を、27℃で1N HCl(20ml)を用いて3.05にpH調整した。反応混合物を70℃に加熱し、10分間撹拌し、次いで27℃まで放冷し、15分間撹拌した。反応懸濁液を濾過し、固体を水とエタノール(1:1(体積))の混合物(150ml)で洗浄した。濡れた固体を30分間吸引乾燥し、650mmHgの真空下、45℃で乾燥して、14.5gの表題化合物を得た。
【0105】
TGA重量減少:25.8%。
【0106】
(実施例10):ペメトレキセドの結晶形Bの調製
水酸化ナトリウム(13.8g)を水(345ml)に溶解し、次いで溶液を、窒素雰囲気中で丸底フラスコに加えた。ジメチルN−[4−(2−(4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル)エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩(50g)をフラスコに加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いでイソプロピルアルコール(345ml)で希釈し、次いで1N HCl(25.8ml)で3.01にpH調整した。反応混合物を65℃に加熱し、30分間撹拌し、次いで27℃まで放冷し、30分間撹拌した。反応懸濁液を濾過し、固体を水とイソプロピルアルコール(1:1(体積))の混合物(160ml)で洗浄した。濡れた固体を30分間吸引乾燥し、650mmHgの真空下、45℃で乾燥して、31gの表題化合物を得た。
TGA重量減少:5.1%。
【0107】
上記の代替実施形態の大部分は相互に排他的ではなく、様々な組合せで実施してもよい。上記その他の変形および上記の特性の組合せは、特許請求の範囲によって定義される本発明から逸脱することなく利用することができるので、上記の実施形態の説明は、例示するためのものであって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明を限定するものでないと理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ペメトレキセドの固体形およびその塩、ならびにそれを調製する方法に関する。本願はまた、非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩、およびその調製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ペメトレキセド二ナトリウムは、式(I)の化学構造で表わされるN−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸二ナトリウム塩七水和物と化学的には記述される。
【0003】
【化1】
ペメトレキセドは葉酸拮抗性抗腫瘍剤であり、細胞複製に必要不可欠な葉酸依存性代謝過程を乱すことによってその作用を発揮する。プリンおよびピリミジン生合成で必要とされる3つの酵素、すなわちチミジル酸合成酵素(TS)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)を抑制することによって機能すると考えられている。ペメトレキセドは、商品名ALIMTA(登録商標)として市場で入手可能である。
【0004】
Taylorらは、米国特許第5,344,932号で、ペメトレキセド、その関連化合物、および薬学的に許容されるカチオンを説明している。
【0005】
Cheliusらは、特許文献1で、ペメトレキセド二ナトリウム水和物結晶形Iおよびその調製方法を開示している。
【0006】
Cheliusらは、特許文献2で、ペメトレキセド二ナトリウム七水和物結晶形IIおよびその調製方法を開示している。
【0007】
非特許文献1には、ペメトレキセド二酸の調製方法が説明されている。
【0008】
Busolliらは、特許文献3で、ペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩の調製方法を開示している。
【0009】
Busolliらは、特許文献4で、結晶形A、B、C、D、E、F、Gと表したペメトレキセド二酸の7つの結晶形、およびその調製方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第01/14379号(A2)パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/62760号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008021411号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2008021405号(A1)パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Journal of Organic Process Research & Development、3巻、1999年、184頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
十分に安定であるペメトレキセド二ナトリウムおよび二酸の新規固体形、ならびに生産量までスケールアップするのに適した調製方法が継続して求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(要旨)
一態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である化合物を提供する。様々な実施形態および変形を提供する。
【0014】
別の態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩を固体として含む組成物であって、固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の少なくとも50重量%はペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である組成物を提供する。様々な実施形態および変形を提供する。
【0015】
別の態様において、2θ角で表され、かつ銅Kα線源を装備した回折計で得られたX線回折像を有するペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である化合物であって、前記X線粉末回折像は、4.0±0.2、17.3±0.2、18.0±0.2、19.5±0.2、20.4±0.2、21.0±0.2、29.0±0.2、および43.3±0.2の2θ角を有するピークからなる群から選択された5本以上のピークを含む化合物を提供する。
【0016】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の固体分散体であって、i)非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩と、ii)薬学的に許容される担体を含む固体分散体を提供する。
【0017】
さらに別の態様において、非晶形のペメトレキセド二ナトリウムを調製する方法であって、
i)溶媒中ペメトレキセド二ナトリウムの溶液を準備するステップと、
ii)溶媒を除去するステップと
を含む方法を提供する。
【0018】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物である固体を作製する方法であって、前記方法は、
i)ペメトレキセド二ナトリウム塩の水溶液を準備するステップと、
ii)水と共沸混合物を生成することができる有機炭化水素溶媒を添加するステップと、
iii)固体が得られるまで共沸蒸留を実施するステップと
を含む方法を提供する。
【0019】
さらに別の態様において、約5.8、12.4、18.3、18.6、19.6、20.4、24.5、24.9、25.8、28.9、29.2、29.6、および32.8±0.2°の2θでピークを含むX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Aである化合物を提供する。
【0020】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二酸の結晶形Aを調製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のエタノール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Aである沈殿した固体を単離するステップと
を含む方法を提供する。
【0021】
さらに別の態様において、約5.7、12.1、12.3、17.7、18.4、20.2、22.2、22.5、22.7、24.7、25.6、25.8、26.6、28.2、30.3、31.3、および31.8±0.2°の2θでピークを含むX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bである化合物を提供する。
【0022】
さらに別の態様において、ペメトレキセド二酸の結晶形Bを作製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のイソプロピルアルコール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Bである沈殿した固体を単離するステップと
を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図2】実施例1に従って調製された非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図3】実施例5に従って調製されたポビドンK−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図4】実施例6に従って調製されたHPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図5】実施例7に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウムのX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図6】実施例7に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウムの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図7】実施例7に従って調製されたペメトレキセド二ナトリウムの赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図8】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩のX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図9】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図10】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図11】実施例8に従って調製された固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の示差走査熱量測定サーモグラムの具体例を示す図である。
【図12】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形AのX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図13】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Aの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図14】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Aの赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図15】実施例9に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Aの示差走査熱量測定曲線の具体例を示す図である。
【図16】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形BのX線粉末回折像の具体例を示す図である。
【図17】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Bの熱重量分析曲線の具体例を示す図である。
【図18】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Bの赤外吸収スペクトルの具体例を示す図である。
【図19】実施例10に従って調製されたペメトレキセドの結晶形Bの示差走査熱量測定サーモグラムの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の技術者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載する方法および材料に類似または匹敵する方法および材料ならいずれでも、本発明の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および材料を記載する。
【0025】
別の記載がない限り、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」などの単語の使用はいずれも、「限定することなく含む(including without limitation)」を意味し、その単語の前のいずれの一般的記述も、その直後に続く特定または類似の品目または物質に限定しないと解釈されるものとする。本発明の実施形態は相互に排他的ではなく、様々な組合せで実施してもよい。本発明の記載した実施形態および開示した実施例は、添付の特許請求の範囲に記載した本発明を限定する目的ではなく、例示の目的で記載する。
【0026】
本発明では、次の用語を以下に定義する。
【0027】
「薬学的に許容される」は、一般に無毒性であり、生物学的に望ましくないものではない医薬品を調製するのに有用であることを意味し、動物用途および/またはヒト用医薬品用途に許容されることが含まれる。
【0028】
「化合物」という用語は、定義された化学構造の分子的実体を意味するために使用される。
【0029】
「組成物」という用語としては、粉末、懸濁液、乳濁液、および/またはそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。組成物という用語は、指定された材料を指定された量で含有する生成物、および指定された材料の指定された量の組合せに直接または間接に由来する任意の生成物を包含するよう意図されている。「組成物」は、単一化合物、または化合物の混合物を含むことができる。医薬品有効成分に関して用いられているとき、「組成物」という用語は、同じ化合物の異なる固体形の混合物を定義することができる。
【0030】
「医薬組成物」という用語は、有効成分、担体を構成する薬学的に許容される賦形剤、および材料のうちいずれか2つ以上の組合せ、複合体、もしくは凝集、または材料のうち1つもしくは複数の解離、または材料のうち1つもしくは複数の他のタイプの反応もしくは相互作用に直接もしくは間接に由来する任意の生成物を含む生成物を包含するよう意図されている。したがって、本明細書に記載する医薬組成物は、有効成分、追加の有効成分、および薬学的に許容される賦形剤を混合することによって作製された任意の組成物を包含する。
【0031】
「賦形剤」という用語は、充填剤、希釈剤、担体など有効成分ではない医薬品の成分を意味する。医薬組成物を調製するのに有用である賦形剤は、好ましくは一般に安全で無毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではなく、動物用途およびヒト用医薬品用途に許容される。本明細書および特許請求の範囲で使用する「薬学的に許容される賦形剤」には、1つ以上のこのような賦形剤が含まれる。
【0032】
化学反応またはプロセスに関するとき、本明細書では「処理している」、「接触させている」、および「反応させている」という用語は同義で使用され、2つ以上の試薬を適切な条件下で添加または混合して、指示および/または所望した生成物を生じることを指す。指示および/または所望した生成物を生じる反応は、最初に添加された2つの試薬の組合せで直接起こるとは限らない可能性がある。すなわち、混合物中で生じる1つまたは複数の中間体が存在する可能性があり、最終的に指示および/または所望した生成物を生じることを理解されたい。さらに、「単離している」という用語は、化合物を混合物とする任意の望ましくない物質から単離された化合物の純度にかかわらず、単離中の化合物の分離を示すために使用される。したがって、単離または分離された化合物の純度は、「単離している」という状態に影響を与えない。
【0033】
「含水率」という用語は、本明細書ではKarl Fisher試験など固体中の水を決定する伝統的技法で測定して、固体の重量に対する固体中に存在する水の量(%で表わす)を示すために使用される。
【0034】
「固体分散体」という用語は、異なる化学的同一性を有する少なくとも2つの成分を含有し、それらの成分が相互に分子レベルで密接に混合されている均質な固体を示す。例えば、このような固体分散体は、2つの成分が溶媒中に液体溶液の溶質として存在するとき得られ、また溶媒蒸発した後に残渣として得られる。
【0035】
「溶媒」という用語は、個々の溶媒または溶媒の混合物を含めて1つまたは複数の成分が溶解している任意の液体媒体を定義する。
【0036】
単一化合物は、異なった物理的諸特性を有する種々の固体を生じる場合がある。同じ薬物の異なる固体形は、医薬品の有効成分としてのそれらの使用に関連して機能的な意味を有する特性を含めて、異なる特性を示す可能性がある。例えば、同じ薬物の多形体は、溶解速度およびバイオアベイラビリティのような医薬として重要な特性が実質的に異なる可能性がある。同様に、異なる多形体は、商業生産するための有効医薬としてのその適性に影響を及ぼす可能性がある吸湿性、流動性などの加工特性が異なる可能性がある。
【0037】
本発明によって得られたすべてのTGA曲線は、TGAQ500V620.6 Build 31機器で、勾配10℃/分、380℃までで実施した。赤外(IR)スペクトルが記載されている場合はいつでも、Perkin Elmer System Spectrum 1モデル分光光度計またはThermo Nexus 470分光計を用いて、450cm−1〜4000cm−1、臭化カリウムペレットで分解能4cm−1で記録し、試験化合物の濃度は1重量%である。示差走査熱量測定分析は、TA InstrumentsのDSC Q200 V23 9 Build 78モデルまたはDSC Q200 V23 10 Build 79モデルで、勾配10℃/分、300℃までで実施した。
【0038】
本明細書に報告されたXRPDデータはすべて、BrukerまたはPANalytical AXS D8 Advance Powder X−ray Diffractometerを用いて、波長1.5418Åを有するCu Kα線で得られた。2θ角および間隔dの指定には若干の誤差の許容範囲があり得るので、特定の結晶形を特定するためにX線粉末回折像を比較する好ましい方法は、未知の形のX線粉末回折像を既知の形のX線粉末回折像に重ね合わせることである。本願で述べるすべての分析データについて、特定の値は多くの要因、例えば特定の機器、試料調製および個々のオペレータに依存することに留意されたい。
【0039】
本特許出願は、ペメトレキセド二ナトリウムの非晶形を提供する。大局的な観点から、ペメトレキセド二ナトリウム塩は、実質的に純粋な非晶形の状態で存在しようと混合物の一部分として存在しようといずれの非晶形も考えられる。特に、大部分、好ましくは95重量%を超える非晶形部分とごく一部分、好ましくは2重量%を超える結晶形部分とを含むペメトレキセド二ナトリウム塩の固体が考えられる。非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの非溶媒和の形、ならびに溶媒和の形および水和物の形が考えられる。
【0040】
図1は、ペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体のXRPD像の一例を提供する。非晶形のペメトレキセド二ナトリウムは、図2に示すように約8.268%w/wの重量減少に対応する特徴的な熱重量曲線(TGA)を有する。ペメトレキセドの非晶形を作製する方法は別に考えられ、本明細書の以下にさらに詳細に記載する。
【0041】
一実施形態において、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形は、i)非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩と、ii)薬学的に許容される担体とを含む固体分散体の成分として存在する。好ましくは、固体分散体は、約10%〜約90%のペメトレキセド二ナトリウム塩と約10%〜約90%の担体を含む。
【0042】
固体分散体は、例えばペメトレキセド二ナトリウム塩および担体を溶媒に溶解し、溶媒を除去することによって調製することができる。好ましい溶媒は水である。固体分散体を作製する方法は別に考えられ、以下にさらに詳細に記載する。
【0043】
好ましい担体としては、セルロース誘導体およびポリビニルピロリジンが挙げられる。一変形形態では、担体はセルロース誘導体である。セルロース誘導体は、担体として有用にするいくつかの特性を有するものと予想される。好ましくは、固体分散体中の担体として適したセルロース誘導体は、最終分散液中の成分の所望の比、および製造適合性を確保するのに十分なレベルで液体揮発性溶媒に溶解するのに十分な溶解性を有する。メタノール中での溶解性は、選ばれたセルロース誘導体の所望の溶解性を測定するのに有用な方法として使用することができる。適当なセルロース誘導体は、メタノール中での溶解性が0.01g/ml以上、好ましくは0.1g/ml以上であることが好ましい。一変形形態では、セルロース誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。図3に、ポビドン−K−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のXRPDを示す。図4に、HPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体のXRPDを示す。
【0044】
固体分散体は、医薬製剤での使用により適したものとするいくつかの限定された溶解性特性を有することが好ましい。好ましくは、固体分散体は、水中での溶解性が約50mg/ml〜約150mg/mlの範囲である。別に考えられる特定の一変形形態では、非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩とHPMCを50:50の重量比で含み、水中での溶解性が約83mg/mlである固体分散体を提供する。別に考えられる特定の別の変形形態では、非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩とPVPを50:50の重量比で含み、水中での溶解性が約137mg/mlである固体分散体を提供する。
【0045】
ペメトレキセドナトリウム塩の非晶形を遊離の固体の形で、または少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む固体分散体として作製する方法も別に考えられ、この方法は、
i)溶媒中ペメトレキセド二ナトリウムの単独または薬学的に許容される担体を組み合わせた溶液を準備するステップと、
ii)溶媒を除去するステップと
を含む。
【0046】
ステップi)は、ペメトレキセド二ナトリウム溶液を準備するものである。ペメトレキセド二ナトリウム溶液の準備には、ペメトレキセド二ナトリウムの単独または場合によっては薬学的に許容される担体と組み合わせて溶媒または溶媒の混合物に溶解することが含まれ、あるいはこのような溶液は、ペメトレキセド二ナトリウムを生成する反応から直接得ることができる。溶媒和物および水和物を含めて結晶形または半晶質の形など結晶多形のいずれでも、使用することができる。
【0047】
溶媒は、水、ジメチルスルホキシド(DMSO);ジメチルホルムアミド(DMF);イソプロピルアルコール(IPA)、およびメタノールなどのアルコール;アセトン、エチルメチルケトン、およびメチルイソブチルケトンなどのケトン;ならびにそれらの混合物とすることができる。好ましい溶媒は、水またはアルコール性水溶液である。溶解温度は、約20℃から約100℃または溶媒の還流温度とすることができる。好ましくは、溶解は室温で実施する。
【0048】
溶解に使用する溶媒の量は、溶媒、および方法のために選ばれた溶解温度に依存する。溶液中のペメトレキセド二ナトリウム濃度は、一般に溶媒中約0.1〜約10g/mlとすることができる。
【0049】
薬学的に許容される担体と一緒にペメトレキセド二ナトリウムの溶液を調製するとき、異なる材料を仕込む順序は、得られる生成物にとって重要ではない。特定の順序は、実際に使用する機器に対して好ましい場合があり、当業者によって容易に決定される。どんな場合でも、ペメトレキセド二ナトリウムは、溶媒中で完全に可溶でなければならず、透明な溶液を提供すべきである。溶解していない結晶が存在すると、完全には非晶質でない材料が形成される。ペメトレキセド二ナトリウムおよび使用する薬学的に許容される担体を同じ溶媒に溶解することができ、またはこれらを異なる溶媒に溶解し、次いで組み合わせて混合物を生成してもよい。
【0050】
望むなら、溶液を濾過して、溶解していない粒子を除去してもよい。溶解していない粒子は、濾過、遠心、デカンテーション、および他の技法で適切に除去してもよい。溶液は、紙、ガラス繊維、もしくは他の膜材料、またはセライトなどの清澄剤を通過させることによって濾過することができる。使用する機器ならびに溶液の濃度および温度に応じて、濾過装置を予備加熱して、早過ぎる結晶化を回避する必要があり得る。
【0051】
ペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体の調製に使用することができる薬学的に許容される担体としては、ポリビニルピロリドン(N−ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー;ポビドン)、ゴム類、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、マニトールなどを含む)、シクロデキストリン類、ゼラチン類、ヒプロメロースフタル酸エステル、糖類、多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド類、ポリオキシエチレン誘導体、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール誘導体などの医薬用親水性担体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。所望の放出プロファイルの実現または安定性の増強のために医薬用担体のうちの1つを超えるものの混合物を使用することは、本発明の範囲内である。さらに、すべての粘度グレード、分子量、市販の製品、それらのコポリマー、混合物も、すべて制限なく本発明の範囲内である。
【0052】
溶媒および薬学的に許容される担体のこれらのリストは、使用することができるものの代表例にすぎず、リストは網羅するものではない。
【0053】
ステップii)は、溶媒を除去するものである。溶媒の除去は、蒸発、常圧蒸留、または真空蒸留などの技法を使用して適切に実施することができる。溶媒除去に使用することができる適当な技法としては、噴霧乾燥、Buchi Rotavaporなどの回転式蒸発器装置を使用する蒸留、撹拌式薄膜乾燥(「ATFD」)などが挙げられる。これらの技法は、ペメトレキセド二ナトリウムおよびペメトレキセド二ナトリウムと薬学的に許容される担体とを含む混合物の水溶液と有機溶液に適用可能である。しかし、揮発性の高い有機溶媒を使用した溶液ほど、一般に加工が容易になる。
【0054】
好ましくは、溶媒の除去は、ペメトレキセド二ナトリウムまたは薬学的に許容される担体を含むその混合物の溶液の噴霧乾燥によって行われる。
【0055】
噴霧乾燥プロセスによって得られた非晶形のペメトレキセド二ナトリウムまたは薬学的に許容される担体を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体は、医薬組成物の調製に適切に利用することができる。
【0056】
噴霧乾燥およびATFDは、バッチサイズが約100gまたは約1kg以上の工業規模生産により適している。Buchi Rota−vapor乾燥および真空乾留など他の技法は、約100g未満の量などの実験室規模プロセスに適している場合がある。
【0057】
溶媒の蒸発は、約100mmHg未満〜約600mmHg未満などの真空下、約−30℃〜約100℃などの温度で実施することができる。不純物レベルの増大および生成物特性の大きな変化がない限り、いずれの温度および真空条件も使用することができる。
【0058】
ステップii)から得られた非晶形の材料は、掻き取りもしくは容器の振盪などの技法を使用して、または特定の装置に特異的な技法を使用して、機器から回収することができる。
【0059】
生成物は、望むなら乾燥してもよい。
【0060】
乾燥は、残留溶媒含有量がInternational Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(「ICH」)ガイドラインによって記載されている限界内にある量に減少するまで減圧下で実施することができる。ガイドラインの溶媒レベルは、溶媒のタイプに依存するが、約5000ppm以下、または好ましくは約4000ppm以下、またはより好ましくは約3000ppm以下である。
【0061】
乾燥は、約650mmHg未満または約50mmHg未満などの減圧、約35℃〜約70℃などの温度で実施することができる。乾燥は、約1〜20時間、またはそれ以上の時間など所望の結果を実現する任意所望の時間実施することができる。乾燥は、生成物仕様に応じてより短いまたはより長い時間実施することもできる。
【0062】
乾燥は、棚型乾燥機、真空オーブン、空気オーブンなどの機器で、または流動床乾燥機、スピンフラッシュ乾燥機、およびフラッシュ乾燥機を使用して適切に実施することができる。
【0063】
急速乾燥を利用して、残留有機溶媒を含まない所望の非晶形を提供する場合が多いことは一般に好ましい。
【0064】
ペメトレキセド二ナトリウムまたはその水和物またはその固体分散体として得られた非晶形の材料は、約15%(w/w)以下の含水率を有してもよい。いくつかの広範な曝露状態で、最高約21%の水分を得ることがあるが、非晶形は著しく保持されたままである。好ましい実施形態において、含水率は、約5%〜約10%(w/w)とすることができる。
【0065】
固体のペメトレキセド二ナトリウム塩を含有する組成物であって、組成物中のその固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量に対して少なくとも50%が非晶形である組成物が別に考えられる。この組成物のより好ましい形態では、固体のペメトレキセド二ナトリウム塩は、医薬品を製剤化する際に有効成分としての使用に適している。組成物中の固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の残部、すなわちペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量の50%以下は、結晶形であってもよい。結晶形の一例は、本明細書の以下に記載するペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である。ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の他の例は、例えば米国特許出願公開第2008/0045711号(記載の目的のためにかつその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一実施形態では、組成物は、組成物中の固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量に対して少なくとも90%のペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形を含むことができる。別の実施形態において、組成物は、組成物中の固体のペメトレキセド二ナトリウム塩の全重量に対して少なくとも95%のペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形を含むことができる。この実施形態の特定の変形形態では、組成物は、2%を超えるペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形以外のいずれの形も実質的に含まない。
【0066】
非晶形と結晶形の混合物を含む組成物は、例えば非晶形の部分と結晶形の部分を直接混合することによって調製することができる。さらに、以下に記載する特定の変形形態に関して、組成物は、以下に記載するように調製することができる。
【0067】
X線回折は、固体混合物中の結晶形および/または非晶形の相対量を定量する好都合でかつ実用的な手段を提供する。X線回折は、混合物中の所与の化合物の回折ピークの強度が混合物中の対応する粉末部分に比例しているので、定量的用途に適用可能である。未知組成物中の結晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩の組成(%)を決定することができる。好ましくは、固体粉末のペメトレキセド二ナトリウム塩について測定を行う。未知組成物のX線粉末回折像は、ペメトレキセド二ナトリウム塩の純粋な結晶形を含有する既知の定量用標準品と比較して、特定の結晶形の比(%)を特定する。非晶形が組成物の主要部分である場合、量を、さらに分析対象の固体の全重量と比較することができる。これは、未知の固体粉末組成物の回折像のピークの相対強度を純粋な既知試料のX線回折像に起因する較正曲線と比較することによって行われる。曲線は、ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の純粋な試料の最大ピークについてX線粉末回折像に基づいて較正することができる。較正曲線は、当業者に知られている方式で作製することができる。例えば、様々な量のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の5種以上の人為的混合物を調製することができる。非限定的な例では、このような混合物は、各結晶形に付き2%、5%、7%、8%、および10%のペメトレキセド二ナトリウム塩を含有することができる。次いで、標準的X線回折技法を使用して、各人為的混合物についてX線回折像を得る。ピーク位置のわずかな変動がある場合それは、測定するべきピークの位置を調整することによって説明することができる。次いで、人為的混合物のそれぞれについて選択された特徴的ピークの強度を、結晶形の既知の重量百分率に対してプロットする。得られたプロットは、未知試料中のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形の量の決定を可能にする較正曲線である。ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形と非晶形の未知混合物については、混合物中の選択された特徴的ピークの強度は、較正用混合物中のこのピークの強度に比べたものであり、組成物中の所与の結晶形の百分率を決定するために使用することができ、残部は非晶形の材料である。全結晶化度は、以下の通り決定することができる。
【0068】
結晶化度(%)=(C/A+C−B)×100、式中、Cは結晶形ピーク下面積であり、Aはアモルファスハロー下面積であり、Bは空気散乱、蛍光などによるバックグラウンドノイズである。
【0069】
特定の変形形態では、本特許出願は、多量のペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と少量のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形を含む組成物を提供する。好ましくは、組成物は、50%を超えるペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形、および少なくとも5%のペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形を含む。この変形形態では、ペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形は、表1に記載のピークを有するX線粉末回折像の多形体であることが特に考えられる。
【0070】
【表1−1】
【0071】
【表1−2】
図8は、上述したように組成物のXRDの一例を示す。実質的に図8と合致しているペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物を含む組成物は、別に考えられる。
【0072】
本発明は特定の理論に拘泥するものではないが、二ナトリウム結晶形IIIの結晶形は、4.0、17.3、18.0、19.5、20.4、21.0、29.0、および43.3±0.2°の回折角(2θ)で特徴的なピークを有すると考えられる。各ピークは±0.2°の測定許容誤差で示される。ペメトレキセド二ナトリウム塩のこの結晶形(本明細書で結晶形IIIと命名)は別に考えられる。ペメトレキセドの非晶形と結晶形の混合物を作製する方法、特に本明細書に記載する特定の変形を作製する方法を以下にさらに詳細に記載する。
【0073】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物である組成物を作製する方法であって、この方法は
i)ペメトレキセド二ナトリウム塩の水溶液を準備するステップと、
ii)水と共沸混合物を生成することができる有機炭化水素溶媒を添加するステップと、
iii)固体が得られるまで共沸蒸留を実施するステップと
を含む方法も提供する。
【0074】
第1のステップは、ペメトレキセド二ナトリウム水溶液を準備するものである。これは、ペメトレキセド二ナトリウムを水または水と溶媒の混合物に溶解することによって実現することができ、あるいはこのような溶液は、ペメトレキセド二ナトリウムを生成する反応から直接得ることができる。溶媒和物および水和物を含めて結晶形または半晶質の形など結晶多形のいずれでも、使用することができる。溶解温度は、約20℃から約100℃または溶媒の還流温度とすることができる。好ましくは、溶解は室温で実施する。
【0075】
溶解に使用する溶媒の量は、方法のために選ばれた溶媒および溶解温度に依存する。溶液中のペメトレキセド二ナトリウム濃度は、一般に溶媒中約0.1〜約10g/mlとすることができる。
【0076】
次いで、水は、有機炭化水素溶媒との共沸蒸留によって除去することができる。固体形の混合物を含む組成物の調製のための適当な有機炭化水素溶媒は、トルエン、キシレンなどから選択することができ、好ましくはトルエンとすることができる。
【0077】
結晶形IIIの調製のための適当な温度は、ペメトレキセド二ナトリウム溶液の水と有機炭化水素溶媒の比に依存する。例えば、溶媒が水とトルエンの12.2:87.8(v/v)の比の混合物であるとき、温度は約100〜105℃である。
【0078】
望むなら、固体を乾燥して、所望の固体をもたらすことができる。乾燥は、残留溶媒含有量がInternational Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(「ICH」)ガイドラインによって記載されている限界内にある量に減少するまで減圧下で実施することができる。ガイドラインの溶媒レベルは、溶媒のタイプに依存するが、約5000ppm以下、または好ましくは約4000ppm以下、またはより好ましくは約3000ppm以下である。
【0079】
乾燥は、約650mmHg未満または約50mmHg未満などの減圧、約35℃〜約70℃などの温度で実施することができる。乾燥は、約1〜20時間、またはそれ以上の時間など所望の結果を実現する任意所望の時間実施することができる。乾燥は、生成物仕様に応じてより短いまたはより長い時間実施することもできる。
【0080】
乾燥は、棚型乾燥機、真空オーブン、空気オーブンなどの機器で、または流動床乾燥機、スピンフラッシュ乾燥機、およびフラッシュ乾燥機を使用して実施することができる。
【0081】
急速乾燥を利用して、残留有機溶媒を含まない所望の結晶形を提供する場合が多いことは一般に好ましい。
【0082】
本明細書に記載したように得られた結晶形IIIを含む固体のペメトレキセド二ナトリウムは、非晶形の含有量が約50重量%を超える場合がある。一変形形態では、結晶形IIIを含むペメトレキセド二ナトリウムは、約50重量%〜約60重量%の非晶形の材料を含むことができる。
【0083】
非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムは、図9に示すように約22%(w/w)の重量減少に対応する特徴的な熱重量曲線(TGA)を有する。非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムは、約3340、2930、2355、1596、1403、1089、および596±5cm−1におけるピークを含む臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを有する。非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムの臭化カリウムを用いて記録された赤外吸収スペクトルは、実質的に図10のスペクトルと合致している。さらに、非晶形の固体と結晶形IIIの混合物を含むペメトレキセド二ナトリウムは、実質的に図11と合致しているそのDSCサーモグラムを特徴とする。さらに、ペメトレキセド二ナトリウム半結晶形IIIは、約86、244、および271℃において吸熱性ピーク、ならびに約278℃において発熱ピークを有するそのDSC曲線を特徴とする。
【0084】
約5.8、12.4、18.3、18.6、19.6、20.4、24.5、24.9、25.8、28.9、29.2、29.6、および32.8±0.2°の2θで特徴的なピークを含むXRPD像を有するペメトレキセド二酸の結晶形Aも提供する。実質的に図12と合致しているXRPD像を有するペメトレキセド二酸は、別に考えられる。ペメトレキセド二酸の結晶形Aは、図13に示すように約26%(w/w)の重量減少に対応する特徴的な熱重量(TGA)曲線を有する。ペメトレキセド二酸の結晶形Aは、約3286、3228、2940、1685、1543.9、1399、1348、1300、1226、および663±5cm−1におけるピークを含む臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを特徴とする。実質的に図14のスペクトルと合致している臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを有するペメトレキセド二酸の結晶形Aは、別に考えられる。さらに、ペメトレキセド二酸の結晶形Aは、図15に示す約71および163℃で吸熱性ピークを有するそのDSCサーモグラムを特徴とする。
【0085】
ペメトレキセド二酸の結晶形Aの調製方法は、ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩と水酸化ナトリウム水溶液を反応させ、続いてエタノールの存在下、酸でpH約3まで中和するステップを含む。中和に利用する酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、p−トルエン硫酸などから選択することができる。反応を実施するのに適当な温度は、約20℃〜約80℃とすることができる。
【0086】
約5.7、12.1、12.3、17.7、18.4、20.2、22.2、22.5、22.7、24.7、25.6、25.8、26.6、28.2、30.3、31.3、および31.8±0.2°の2θで特徴的なピークを含むXRPD像を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bも提供される。実質的に図16と合致しているXRPD像を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bは、別に考えられる。本発明のペメトレキセド二酸の結晶形Bは、約5%(w/w)の重量減少に対応する特徴的な熱重量(TGA)曲線を有し、図17に示す。さらに、ペメトレキセド二酸の結晶形Bは、約3424、3310、3190、2941、2354、1694、1524、1374、1087、945、776、および662±5cm−1において特徴的な吸収ピークを有する臭化カリウムによる赤外吸収スペクトルを特徴とすることができる。実質的に図18と合致している赤外スペクトルを有するペメトレキセド二酸の結晶形Bは、別に考えられる。さらに、ペメトレキセド二酸の結晶形Bは、図19に示す約114、134、195、および249℃で吸熱性ピークを有するそのDSCサーモグラムを特徴とする。
【0087】
ペメトレキセド二酸の結晶形Bを調製する方法は、4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]安息香酸メチルエステルと水酸化ナトリウム水溶液を反応させ、その後イソプロピルアルコールの存在下、酸でpH約3まで中和し、続いて先に本明細書に記載した通常の方法によって乾燥するステップを含む。中和に利用する酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、p−トルエン硫酸などから選択することができる。反応を実施するのに適当な温度は、約20℃〜約80℃とすることができる。乾燥した生成物を場合によっては粉砕して、所望の粒径を得ることができる。粉砕または微粒子化は、生成物を乾燥する前、または生成物の乾燥が完了した後に行うことができる。粉砕操作は、粒子を高速で相互に衝突させることによって、粒子のサイズを低減し、粒子の表面積を増大させる。粉砕は、エアージェットミルのようなジェット粉砕機器を使用して、または他の通常の粉砕機器を使用して適切に行うことができる。
【0088】
さらに別の実施形態において、本発明の方法で生成された非晶形のペメトレキセド二ナトリウム、または少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体、またはペメトレキセド二酸もしくはその薬学的に許容される塩の多形体を少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0089】
本発明の方法で得られた非晶形のペメトレキセド二ナトリウム、または少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体、またはペメトレキセドもしくはその薬学的に許容される塩の多形体を経口投与用の固体組成物としてカプセル、錠剤、丸剤、粉末、または顆粒の形で製剤化することができる。これらの組成物では、本発明による活性生成物と1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を混合する。原薬は、例えば溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル、および乳濁液を含めて、水、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、または流動パラフィンなど不活性の希釈剤、溶媒、またはビヒクルを含有する経口投与向け液体組成物として製剤化することができ、使用してもよい。
【0090】
非経口投与用の組成物は、懸濁液、乳濁液、または水性もしくは非水性滅菌溶液とすることができる。溶媒またはビヒクルとして、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを使用してもよい。これらの組成物は、アジュバント、特に湿潤剤、乳化剤、および分散化剤を含有することができる。滅菌は、数種類の方式、例えば細菌フィルターを使用して、滅菌剤を組成物に組み込むことによって、照射することによって、または加熱することによって実施することができる。これらは、使用時に滅菌水または他の何らかの無菌の注射可能な媒体に溶解することができる無菌組成物の形で調製することができる。
【0091】
本発明において有用である薬学的に許容される賦形剤としては、デンプン、α化デンプン、ラクトース、粉末セルロース、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、マンニトール、ソルビトール、砂糖などの希釈剤;アカシア、グアーゴム、トラガカント、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、α化デンプンなどの結合剤;デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、α化デンプン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、コロイダル二酸化ケイ素などの崩壊剤;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛などの滑沢剤;コロイダル二酸化ケイ素などの流動促進剤;アニオン性またはカチオン性または中性界面活性剤などの溶解性または湿潤向上剤;様々なグレードのシクロデキストリンおよび樹脂などの錯形成剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、様々なグレードのメタクリル酸メチル、ワックスなどの放出速度調節剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の薬学的に許容される有用な賦形剤としては、フィルム形成要素、可塑剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、粘度向上剤、保存剤、酸化防止剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明をいくつかの特定の態様および実施形態について述べてきたが、本明細書を考慮すれば他の実施形態は当業者に自明となる。さらに、本発明は、いくつかの特定の態様および実施形態をさらに詳細に記載する下記の実施例を参照することにより明確に示されるが、実施例は、いかなる方式によっても本発明の範囲を限定するものではない。材料と方法の両方に対する多くの修正形態は、本発明の範囲から逸脱することなく実施できることは、当業者には明らかとなる。
【実施例】
【0093】
(実施例1):噴霧乾燥機を使用した非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを7.4:92.6の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(5g)を、25〜35℃の温度でメタノール(240ml)と脱ミネラル水(19ml)の溶媒混合物に溶解し、次いで溶液を濾過し、続いてメタノール(10ml)で洗浄した。次の噴霧乾燥機パラメータを使用して、
入口温度:75℃
ポンプ:20%
アスピレータ:50%
N2圧:5Kg/cm2
溶液の全量を完全に蒸発乾固させて、乾燥した表題化合物を得た。
収量:1.7g。
TGA:8.268%重量減少。
【0094】
得られた試料を、封止したポリテン袋中に20℃〜25℃の温度で58日間維持して、物理的安定性をチェックした。周囲室温で58日間維持した後、材料は、元のXRPD像の保持によって示されるように、その非晶性を保持することがわかった。
含水率:11.51%(Karl Fisher法)。
58日後のXRPDおよび物理的観察−非晶形
(実施例2):非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを6.9:93.1の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(3g)をメタノール(100ml)に溶解し、続いて脱ミネラル水(10ml)を加えた。メタノール(20ml)および脱ミネラル水(1ml)を、得られた懸濁液に加え、次いで懸濁液を55℃の温度に加熱した。メタノール(20ml)を懸濁液に添加した。溶液を濾過し、メタノール(10ml)で洗浄した。噴霧乾燥機を次の噴霧乾燥機パラメータで使用して、
入口温度:100℃
ポンプ:20%
アスピレータ:70%
N2圧:5Kg/cm2
得られた全濾液を完全に蒸発させて、表題化合物を得た。
収量:0.7g
TGA:9.81%重量減少。
【0095】
(実施例3):メタノール量を低減することによる非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを50:50の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(5g)を脱ミネラル水(35ml)に溶解した。メタノール(35ml)を溶液に添加し、次いで濾過した。次の噴霧乾燥機パラメータを使用して、
入口温度:100℃
ポンプ:10%(3ml/分)
アスピレータ:70%
N2圧:5Kg/cm2
得られた濾液を噴霧乾燥用乾燥機にかけ、続いて45℃の温度で真空乾燥にかけて、表題の非晶形の材料を得た。
収量:1.8g
含水率:6.09%(KF法)
得られた試料を、封止したポリテン袋中に20℃〜25℃の温度で7日間維持して、物理的安定性をチェックした。7日間維持した後、材料は、元のXRPD像の保持によって示されるように、その非晶形を保持することがわかった。
【0096】
(実施例4):非晶形のペメトレキセド二ナトリウムの調製(水とメタノールを37.2:68.8の比で使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(20g)を脱ミネラル水(140ml)に溶解した。得られた溶液に、メタノール(280ml)を25〜35℃の温度で添加し、濾過し、続いてメタノール(30ml)で洗浄した。噴霧乾燥機を使用して、得られた全濾液を蒸発乾固して、表題化合物を得た。
収量:11.14g
含水率:6.49%(KF法)
得られた試料を、封止したポリテン袋中に20℃〜25℃の温度で3日間維持して、物理的安定性をチェックした。3日間維持した後、材料は、元のXRPD像の保持によって示されるように、その非晶形を保持することがわかった。
【0097】
試料をペトリ皿に維持し、室温で24時間貯蔵して、物理的安定性をチェックした。24日間維持した後、材料は、元のXRPD像の維持によって示されるように、その結晶多形を保持することがわかった。
【0098】
(実施例5):ポビドンK−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体の調製
ペメトレキセド二ナトリウム(2.5g)、ポビドン(Grade K−30、2.5g)、および脱塩水(35ml)をフラスコに加え、混合物全体を5分間撹拌した。得られた懸濁液に、30℃の温度でメタノール(70ml)を添加し、15分間撹拌した。懸濁液を濾過し、メタノール(10ml)で洗浄した。次の噴霧乾燥機パラメータを使用して、
入口温度:100℃
N2圧:5kg/cm2
アスピレータ:70%
ポンプ:20%
得られた全濾液を100℃の温度で1時間噴霧乾燥にかけて、表題のポビドンK−30を含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体を得た。
収量:2g
含水率:7.51重量%(KF)。
【0099】
(実施例6):HPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの非晶形の固体分散体の調製
HPMC(2.5g)を脱塩水(17.5ml)中に懸濁した。ペメトレキセド二ナトリウム(2.5g)、脱塩水(17.5ml)、メタノール(60ml)を、得られた懸濁液に28℃の温度で添加し、溶液全体を25分間撹拌した。得られた溶液を濾過し、メタノール(10ml)で洗浄した。噴霧乾燥機を次の噴霧乾燥機パラメータで使用して、
入口:100℃
N2:5kg/cm2
アスピレータ:70%
ポンプ:20%
得られた濾液を100℃の温度で30分間蒸発させて、表題のHPMCを含むペメトレキセド二ナトリウムの分散液を得た。
含水率:7.67重量%(KF)。
【0100】
(実施例7):ペメトレキセド二ナトリウムの調製(凍結乾燥方法を使用)
ペメトレキセド二ナトリウム(1.0g)を水(7.5ml)に溶解し、溶液を約24℃の凍結乾燥器に入れた。得られた溶液を−15℃で約15時間凍結乾燥にかけ、凍結乾燥が完了した後に固体が残る。固体を回収して、880mgの表題化合物が得られた。
【0101】
TGA重量減少:20.88%。
【0102】
(実施例8):共沸蒸留によるペメトレキセド二ナトリウムの非晶形と結晶形IIIの混合物の調製
ペメトレキセド二ナトリウム(1.0g)を水(7ml)に溶解し、得られた溶液をBuchi Rotavaporに加えた。トルエン(50ml)を加え、続いて約103℃で水の共沸蒸留を行った。蒸留ステップを8回繰り返して、800mgの表題化合物を得た。
【0103】
TGA重量減少:21.94%
結晶化度(%)=22.1重量%。
【0104】
(実施例9):ペメトレキセドの結晶形Aの調製
水酸化ナトリウム(6.91g)を水(172.8)に溶解し、次いで溶液を、窒素雰囲気中で丸底フラスコに加えた。ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩(25g)をフラスコに加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いでエタノール(172.8ml)で希釈した。反応混合物を、27℃で1N HCl(20ml)を用いて3.05にpH調整した。反応混合物を70℃に加熱し、10分間撹拌し、次いで27℃まで放冷し、15分間撹拌した。反応懸濁液を濾過し、固体を水とエタノール(1:1(体積))の混合物(150ml)で洗浄した。濡れた固体を30分間吸引乾燥し、650mmHgの真空下、45℃で乾燥して、14.5gの表題化合物を得た。
【0105】
TGA重量減少:25.8%。
【0106】
(実施例10):ペメトレキセドの結晶形Bの調製
水酸化ナトリウム(13.8g)を水(345ml)に溶解し、次いで溶液を、窒素雰囲気中で丸底フラスコに加えた。ジメチルN−[4−(2−(4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル)エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩(50g)をフラスコに加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いでイソプロピルアルコール(345ml)で希釈し、次いで1N HCl(25.8ml)で3.01にpH調整した。反応混合物を65℃に加熱し、30分間撹拌し、次いで27℃まで放冷し、30分間撹拌した。反応懸濁液を濾過し、固体を水とイソプロピルアルコール(1:1(体積))の混合物(160ml)で洗浄した。濡れた固体を30分間吸引乾燥し、650mmHgの真空下、45℃で乾燥して、31gの表題化合物を得た。
TGA重量減少:5.1%。
【0107】
上記の代替実施形態の大部分は相互に排他的ではなく、様々な組合せで実施してもよい。上記その他の変形および上記の特性の組合せは、特許請求の範囲によって定義される本発明から逸脱することなく利用することができるので、上記の実施形態の説明は、例示するためのものであって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明を限定するものでないと理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である化合物。
【請求項2】
実質的に図1と合致しているX線粉末回折像を有するペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形の含水率が約15%(w/w)未満である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形の含水率が、約5%(w/w)と約10%(w/w)の間である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
ペメトレキセド二ナトリウム塩を固体として含む組成物であって、少なくとも50重量%の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩がペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である組成物。
【請求項6】
医薬品の有効成分として適した粉末の形である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも95重量%の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩が非晶形である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも2重量%の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩が結晶形である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも5%(w/w)の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩がペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記結晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩が、2θ角で表され、かつ銅Kα線源を装備した回折計で得られたX線回折像を有し、前記X線粉末回折像が、4.0±0.2、17.3±0.2、18.0±0.2、19.5±0.2、20.4±0.2、21.0±0.2、29.0±0.2、および43.3±0.2の2θ角を有するピークからなる群から選択された5本以上のピークを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
実質的に図8と合致しているX線粉末回折像を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
2θ角で表され、かつ銅Kα線源を装備した回折計で得られたX線回折像を有するペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である化合物であって、前記X線粉末回折像が、4.0±0.2、17.3±0.2、18.0±0.2、19.5±0.2、20.4±0.2、21.0±0.2、29.0±0.2、および43.3±0.2の2θ角を有するピークからなる群から選択された5本以上のピークを含む化合物。
【請求項13】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の固体分散体であって、i)非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩と、ii)薬学的に許容される担体とを含む固体分散体。
【請求項14】
非晶形の含有量が約95重量%以上である、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項15】
ペメトレキセド二ナトリウムの結晶形を実質的に含まない、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項16】
前記薬学的に許容される担体がポリビニルピロリドンである、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項17】
前記薬学的に許容される担体がヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項13に記載の固溶体。
【請求項18】
約10%〜約90%のペメトレキセド二ナトリウム塩と約90%〜約10%の前記担体を含む、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項19】
水中での溶解性が約50mg/ml〜約150mg/mlの範囲である、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項20】
非晶形のペメトレキセド二ナトリウムを調製する方法であって、
i)溶媒中ペメトレキセド二ナトリウムの溶液を準備するステップと、
ii)溶媒を除去するステップと
を含む方法。
【請求項21】
溶媒除去した後に単離された固体を乾燥するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒が有機溶媒である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記溶媒が水である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒が噴霧乾燥によって除去される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記除去ステップが、噴霧乾燥機を約100℃以下の入口温度で使用することによって実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記溶媒が、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、水、またはそれらの混合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
準備するステップが、ペメトレキセド二ナトリウムおよび薬学的に許容される担体を溶媒に溶解するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記薬学的に許容される担体がポリビニルピロリドンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記薬学的に許容される担体がヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物を含む固体を作製する方法であって、前記方法は、
i)ペメトレキセド二ナトリウム塩の水溶液を準備するステップと、
ii)水と共沸混合物を生成することができる有機炭化水素溶媒を添加するステップと、
iii)固体が得られるまで共沸蒸留を実施するステップ
とを含む方法。
【請求項31】
前記有機炭化水素溶媒がトルエンまたはキシレンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記有機炭化水素溶媒がトルエンである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
約5.8、12.4、18.3、18.6、19.6、20.4、24.5、24.9、25.8、28.9、29.2、29.6、および32.8±0.2°の2θでピークをもつX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Aである化合物。
【請求項34】
実質的に図12と合致しているX線粉末回折像を有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
ペメトレキセド二酸の結晶形Aを調製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のエタノール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Aである沈殿した固体を単離するステップと
を含む方法。
【請求項36】
固体を乾燥するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記溶液を準備するステップが、
i)ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩と水酸化ナトリウム水溶液を反応させるステップと、ii)反応塊を、pHが約3に到達するまで外部酸で処理するステップとを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記外部酸が塩酸である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
約5.7、12.1、12.3、17.7、18.4、20.2、22.2、22.5、22.7、24.7、25.6、25.8、26.6、28.2、30.3、31.3、および31.8±0.2°の2θでピークをもつX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bである化合物。
【請求項40】
実質的に図16と合致しているX線粉末回折像を有する、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
ペメトレキセド二酸の結晶形Bを作製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のイソプロピルアルコール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Bである沈殿した固体を単離するステップとを含む方法。
【請求項42】
固体を乾燥するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記準備するステップが、i)ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩と水酸化ナトリウム水溶液を反応させるステップと、ii)反応塊を、pHが約3に到達するまで外部酸で処理するステップとを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記外部酸が塩酸である、請求項43に記載の方法。
【請求項1】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である化合物。
【請求項2】
実質的に図1と合致しているX線粉末回折像を有するペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形の含水率が約15%(w/w)未満である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形の含水率が、約5%(w/w)と約10%(w/w)の間である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
ペメトレキセド二ナトリウム塩を固体として含む組成物であって、少なくとも50重量%の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩がペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形である組成物。
【請求項6】
医薬品の有効成分として適した粉末の形である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも95重量%の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩が非晶形である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも2重量%の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩が結晶形である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも5%(w/w)の前記固体のペメトレキセド二ナトリウム塩がペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記結晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩が、2θ角で表され、かつ銅Kα線源を装備した回折計で得られたX線回折像を有し、前記X線粉末回折像が、4.0±0.2、17.3±0.2、18.0±0.2、19.5±0.2、20.4±0.2、21.0±0.2、29.0±0.2、および43.3±0.2の2θ角を有するピークからなる群から選択された5本以上のピークを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
実質的に図8と合致しているX線粉末回折像を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
2θ角で表され、かつ銅Kα線源を装備した回折計で得られたX線回折像を有するペメトレキセド二ナトリウム塩の結晶形である化合物であって、前記X線粉末回折像が、4.0±0.2、17.3±0.2、18.0±0.2、19.5±0.2、20.4±0.2、21.0±0.2、29.0±0.2、および43.3±0.2の2θ角を有するピークからなる群から選択された5本以上のピークを含む化合物。
【請求項13】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の固体分散体であって、i)非晶形のペメトレキセド二ナトリウム塩と、ii)薬学的に許容される担体とを含む固体分散体。
【請求項14】
非晶形の含有量が約95重量%以上である、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項15】
ペメトレキセド二ナトリウムの結晶形を実質的に含まない、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項16】
前記薬学的に許容される担体がポリビニルピロリドンである、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項17】
前記薬学的に許容される担体がヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項13に記載の固溶体。
【請求項18】
約10%〜約90%のペメトレキセド二ナトリウム塩と約90%〜約10%の前記担体を含む、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項19】
水中での溶解性が約50mg/ml〜約150mg/mlの範囲である、請求項13に記載の固体分散体。
【請求項20】
非晶形のペメトレキセド二ナトリウムを調製する方法であって、
i)溶媒中ペメトレキセド二ナトリウムの溶液を準備するステップと、
ii)溶媒を除去するステップと
を含む方法。
【請求項21】
溶媒除去した後に単離された固体を乾燥するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒が有機溶媒である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記溶媒が水である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒が噴霧乾燥によって除去される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記除去ステップが、噴霧乾燥機を約100℃以下の入口温度で使用することによって実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記溶媒が、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、水、またはそれらの混合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
準備するステップが、ペメトレキセド二ナトリウムおよび薬学的に許容される担体を溶媒に溶解するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記薬学的に許容される担体がポリビニルピロリドンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記薬学的に許容される担体がヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
ペメトレキセド二ナトリウム塩の非晶形と結晶形の混合物を含む固体を作製する方法であって、前記方法は、
i)ペメトレキセド二ナトリウム塩の水溶液を準備するステップと、
ii)水と共沸混合物を生成することができる有機炭化水素溶媒を添加するステップと、
iii)固体が得られるまで共沸蒸留を実施するステップ
とを含む方法。
【請求項31】
前記有機炭化水素溶媒がトルエンまたはキシレンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記有機炭化水素溶媒がトルエンである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
約5.8、12.4、18.3、18.6、19.6、20.4、24.5、24.9、25.8、28.9、29.2、29.6、および32.8±0.2°の2θでピークをもつX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Aである化合物。
【請求項34】
実質的に図12と合致しているX線粉末回折像を有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
ペメトレキセド二酸の結晶形Aを調製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のエタノール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Aである沈殿した固体を単離するステップと
を含む方法。
【請求項36】
固体を乾燥するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記溶液を準備するステップが、
i)ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩と水酸化ナトリウム水溶液を反応させるステップと、ii)反応塊を、pHが約3に到達するまで外部酸で処理するステップとを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記外部酸が塩酸である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
約5.7、12.1、12.3、17.7、18.4、20.2、22.2、22.5、22.7、24.7、25.6、25.8、26.6、28.2、30.3、31.3、および31.8±0.2°の2θでピークをもつX線粉末回折像(XRPD)を有するペメトレキセド二酸の結晶形Bである化合物。
【請求項40】
実質的に図16と合致しているX線粉末回折像を有する、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
ペメトレキセド二酸の結晶形Bを作製する方法であって、
a)ペメトレキセド二酸のイソプロピルアルコール溶液を準備するステップと、
b)この塊を冷却して、固体の沈殿を引き起こすステップと、
c)ペメトレキセド二酸の結晶形Bである沈殿した固体を単離するステップとを含む方法。
【請求項42】
固体を乾燥するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記準備するステップが、i)ジメチルN−[4−(2−{4−ヒドロキシ−6−アミノピロロ−[2,3−d]ピリミジン−3−イル}エチル)ベンゾイル]−L−グルタミン酸PTSA塩と水酸化ナトリウム水溶液を反応させるステップと、ii)反応塊を、pHが約3に到達するまで外部酸で処理するステップとを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記外部酸が塩酸である、請求項43に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2010−523589(P2010−523589A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502285(P2010−502285)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/059244
【国際公開番号】WO2008/124485
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(506159459)ドクター レディズ ラボラトリーズ リミテッド (9)
【出願人】(506017137)ドクター レディズ ラボラトリーズ, インコーポレイテッド (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/059244
【国際公開番号】WO2008/124485
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(506159459)ドクター レディズ ラボラトリーズ リミテッド (9)
【出願人】(506017137)ドクター レディズ ラボラトリーズ, インコーポレイテッド (24)
【Fターム(参考)】
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