説明

ホイールガイド式のスタビライザ装置

本発明は、自動車のアクスルのためのスタビライザ装置に関する。前記アクスルは、ローリングスタビライザ(2)及び各ホイール毎に少なくとも1つのホイールガイドアーム(1)を有している。この場合、このホイールガイドアーム(1)のシャシー側の枢着部は、前記ローリングスタビライザ(2)の端部域と、当該ホイールガイドアーム(1)の弾発運動により前記ローリングスタビライザ(2)のねじり操作が行われるように結合されている。本発明に基づき当該スタビライザ装置は、ローリングスタビライザ(2)の各端部が、ホイールガイドアーム(1)に結合された中空軸(6)に収容されているという点において優れている。この場合、中空軸(6)はシャシー側の軸受け支持体(3)に支承されており、この軸受け支持体(3)は車両に弾性的に結合可能である。本発明によるスタビライザ装置は、特に固体伝送音分離若しくは快適車両の要求と、スタビライザの直接的な応答特性との間の構造的な目的の対立を排除するために役立つ。更に、とりわけスタビライザ装置の所要構成空間、重量及びモジュール性に関する改良が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、ローリングスタビライザを備えた車両アクスルのためのスタビライザ装置に関する。
【0002】
ローリングスタビライザが、このローリングスタビライザと結合されたホイールガイドアームによって、例えばホイールサスペンションのプルロッド又はプッシュロッドによって直接に作動される、前記上位概念に記載の形式の車両アクスルは、このようにして特に1:1のスタビライザ伝達比が得られるという点において有利である。つまり換言すると、ホイールの弾発運動は部分的にだけではなく、その都度全体的に、スタビライザの対応するねじれ運動に変換されるので、例えばこれに相応してより薄い、若しくはより薄肉の、延いてはより軽量のスタビライザが使用され得る。更に、スタビライザの支承部も、応答特性を悪化させることなくより一層可撓性に延いてはより一層快適に設計され得る。
【0003】
更に、この構成形式により、2つのボールジョイントを備えた各1つの専用のスタビライザリンクを介したスタビライザ端部の慣例の枢着部も、慣例の折り曲げられたスタビライザ脚部も省かれるので、重量が削減され、付加的に、価値の高い構成空間が著しく空けられる。
【0004】
但し、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第102004020073号明細書及びヨーロッパ特許第1564041号明細書から公知のような、前記上位概念に記載の形式のホイールガイド式のスタビライザ装置の場合は、ホイールガイドアームのシャシー側の端部と、それぞれ対応配置されたスタビライザの端部との間の結合範囲において、著しい構造上の目的の対立が生じる。それというのも、まさにこの範囲に、さもなければ別個の構成部材である「ホイールガイドアーム」若しくは「プルロッド/プッシュロッド」及び「ローリングスタビライザ」相互の対照的な異なる構造的な要求が課されており、これらの要求を、前記上位概念に記載の形式のスタビライザは依然として満たさねばならない。
【0005】
この場合に重要な機能若しくは要求には、ホイール支持体とアクスルキャリア若しくはシャシーとの間のその都度個別に要求される可撓性及び振動緩衝と同様、特にホイールの弾発運動の、スタビライザの対応するねじれ運動へのできるだけ直接的な変換、ホイール支持体からシャシー若しくはアクスルキャリアへの力伝達が属している。
【0006】
スタビライザとホイールガイドアームとを、前記上位概念に記載の形式のホイールガイド式のスタビライザ装置に統合する場合は特に、軟らかなゴム軸受けと、アクスルキャリアにおけるホイールガイドアームのシャシー側の結合領域の相応に高い可撓性とが、良好な音響減衰を伴う快適支承に関しては有利であるが、但し同時にスタビライザの応答特性に関しては不都合に作用するという問題が生じる。スタビライザ端部におけるホイールガイドアームの結合に関して更に難しいことには、スタビライザの回転軸線が車両横方向に延びているのに対して、ホイールガイドアームの回転軸線、特に問題となるプルロッド又はプッシュロッドの回転軸線は、一般に車両長手方向軸線に対して鋭角に延びている。
【0007】
従って、スタビライザ端部と、ホイールガイドアームのシャシー側の端部と、シャシー若しくはアクスルキャリアとの間の結合領域はできるだけ、規定された柔らかさで振動を緩衝する、シャシーへのホイール力の導入を保証する必要があるが、更に、ホイール弾発のスタビライザねじれへの、できるだけ緩衝されない直接的な変換を保証する必要があると同時に、弾発時に生じる、ホイールガイドアームの長手方向軸線とスタビライザの回転軸線との間の角度変化をも許容する必要がある。
【0008】
これを背景とする本発明の課題は、前記の従来技術における欠点を克服するホイールガイド式のスタビライザ装置を提供することである。この場合、このスタビライザ装置は特に、車両の快適特性、音響及び固体伝送音分離に関する利点と同時に、スタビライザの直接的な応答をもたらすことが望ましい。更に、当該スタビライザ装置により必要とされる構成空間における改良が、重量削減及び改善されたモジュール性に関して、ホイールサスペンション及びアクスルシステムにおける使用との関連において達成されることが望ましい。
【0009】
この課題は、請求項1に記載の構成を有するスタビライザ装置によって解決される。
【0010】
有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0011】
自体公知の形式で、本発明によるスタビライザ装置はローリングスタビライザを備えた車両アクスルで使用するために規定されており、この場合、当該アクスルは各ホイール毎に少なくとも1つのホイールガイドアームを有している。このホイールガイドアームのシャシー側の枢着部も、やはり自体公知の形式で所属のローリングスタビライザの端部域に結合されており、これにより、ホイールガイドアームの弾発運動に基づいて、ローリングスタビライザのねじり操作が行われる。
【0012】
本発明に基づき、スタビライザ装置は、ローリングスタビライザの端部側が、それぞれホイールガイドアームに結合された、少なくとも部分的に中空の軸に収容されているという点において優れている。この中空軸は、シャシー側の軸受け支持体に支承されており、この軸受け支持体は車両に、例えば車両のアクスルキャリアに弾性的に結合可能である。
【0013】
スタビライザ端部をそれぞれシャシー側で弾性的に支承された中空軸に収容することは、このようにして特にスタビライザの端部域では最早屈曲部が不要であるという点において有利である。むしろ、このようにしてスタビライザの端部は、本発明ではスタビライザ端部をホイールガイドアームの車両側の端部と結合するという課題を担う中空軸に基づき、棒状に真っ直ぐに構成することができるので、本発明によるスタビライザ装置は特に、但し排他的では決してないが、極めて軽量の、しかし構造的には要求度の高いパイプスタビライザに適している。
【0014】
更に、前記中空軸に基づき、有効スタビライザねじれ長さとして、スタビライザの全長若しくはスタビライザ装置の全幅を、構造的に望ましく完全に利用することもできる。更に、全体として特に構成空間節約型の、中空軸支承部並びにスタビライザ端部とホイールガイドアームとの間の結合部の配置形式が得られる。
【0015】
更に、軸受け支持体に基づき、スタビライザ、中空軸及びホイールガイドアームから成るモジュール全体の、車両シャシーに対する振動及び音響伝達に関する最適な分離を行うことができると同時に、ホイールガイドアームは非弾性的に中空軸若しくはスタビライザに作用するので、これにより、ホイールの弾発運動時のスタビライザの直接的な応答のために役立つ。
【0016】
また、車両のアクスル部材モジュールとしてのスタビライザ装置全体の、特に簡単な製作性及び単純な組込みに関する別の利点も得られる。
【0017】
本発明はまず、車両シャシー若しくはアクスルキャリアにおける軸受け支持体の弾性的な結合部が構造的にどのように構成されているのかということとは無関係に実現される。有利な構成では、軸受け支持体の弾性的な結合部は、(車両高さ軸線に沿った)z方向では、x方向(車両長手方向軸線)若しくはy方向(車両横方向軸線)のばね定数の少なくとも2倍の高さのばね定数を有している。このようにして、とりわけホイールガイドアームの長手方向軸線に沿って行われる、不都合な音響伝達及び振動伝達に関して良好な快適特性が得られると同時に、z方向での高いばね定数に基づき、スタビライザの直接的な応答が保証されている。
【0018】
この場合、アクスルキャリア若しくは車両シャシーにおける軸受け支持体の弾性的な結合は、有利にはエラストマ軸受け若しくはハイドロ軸受けによって行われ、これらの軸受けは、車両における振動緩衝及び音響吸収の目的に関して、著しく有利であるということが判っている。
【0019】
本発明の特に有利な構成では、エラストマ軸受け若しくはハイドロ軸受けが、ホイールガイドアームと中空軸の長手方向軸線の交点に関して点対称に配置されている。このようにして、ホイールガイドアームから個々の支承点への、ホイール力の最適な一様な導入及び配分が得られる。この構成では支承点が、ホイールガイドアームと中空軸若しくはスタビライザの長手方向軸線の交点に位置する有効力導入点に関して点対称に配置されているので、二次的なモーメントは生ぜしめられず、従って、力導入時には、シャシー若しくはアクスルキャリアに対する軸受け支持体の不都合な傾動も全く行われない。
【0020】
本発明は、スタビライザの端部域が中空軸に収容可能である限りは、ローリングスタビライザがどのような形状を具体的に有しているのかということとは無関係に実現され得る。但し特に有利な構成では、ローリングスタビライザは主として真っ直ぐなバー若しくは真っ直ぐなパイプにより形成されている。このことは、最小限の重量並びに最適な材料利用と同様に、特に廉価な製作をもたらす。それというのも、このようにして、スタビライザの全長に全く一様なねじり負荷がかかるからである。更に、当該のスタビライザ装置は、構造的に特に正確に構成することができ、更に、このスタビライザ装置はモジュールユニットとして簡単に組み込むことができる。
【0021】
本発明の別の構成では、ローリングスタビライザが2つの別個のスタビライザ半部から成っている。この場合、これらのスタビライザ半部間には、これらのスタビライザ半部を互いに能動的に相対回動させるためのアクチュエータが配置され得る。このようにして、作動中の車両の意味で、作動モーメント又は作動力が、ホイールサスペンションと車両ボディとの間に生ぜしめられるか、若しくはホイールサスペンションに導入され得る。つまり、例えばカーブ走行に際して車両の能動的なローリングスタビライジングを行うことができるか、又はローリングスタビライザの有効硬さを車両の走行状態に関連して変化させることができる。
【0022】
但し、分かりやすくする理由で選ばれた前記の「スタビライザ半部」という概念は、2つのスタビライザ半部が必然的に同じ長さを有していなければならないということに限定されるものではない。つまり、両スタビライザ半部は、前記のような能動的なローリングスタビライザの有効性又は特性線全体を変化させることなく、それぞれ異なる長さを有していてよい。
【0023】
更に、本発明の実現化に関しては、確実なトルク伝達と同時に、ホイールガイドアームの長手方向軸線と中空軸の回転軸線との間の角度の可変性が保証されている限りは、ホイールガイドアームの車両側の端部と中空軸とが互いにどのように結合されるのかということは重要ではない。
【0024】
本発明の更に別の有利な構成では、ホイールガイドアームの中空軸に対する結合は、2つのボールジョイントを介して行われる。このことは、これにより遊び無しの運動伝達が、ホイールガイドアームと中空軸との間、若しくはホイールガイドアームとローリングスタビライザとの間で、ホイールサスペンションの場合に有利であると判ったボールヘッド技術を用いて行われる場合に有利である。同時にこのようにして、弾発運動若しくは操舵運動時に必要とされる、ホイールガイドアームと中空軸との間の旋回運動の自由度が円滑に供与される。更に、このようなホイールガイドアームと中空軸との間の結合部は、長い耐用年数において概ねメインテナンスフリーであり且つ構造的に良好に構成可能である。
【0025】
この場合、特に有利には、前記ボールジョイントのボール中心点が、それぞれ中空軸の直径直線上に配置されている。このようにして最適なモーメント導入が、ボールジョイントの最小限の負荷で、同時にボールジョイントと中空軸との間の最適なてこ腕によって達成される。
【0026】
本発明の更に別のやはり有利な構成では、ボールジョイントのジョイントハウジングがホイールガイドアーム自体によって形成されている。この構成は、特にホイールガイドアームの車両側の端部域を一体的なフォーク状に形成する形で行われ、この場合、ボールジョイントのジョイントハウジングは、ホイールガイドアームの両フォーク端部に設けられた、対応する孔によって形成されているか、又はこれらの孔に収容される。このようにして、有利なコスト節約型の機能統合と同時に、高い剛性及び少ない所要構成空間が達成される。
【0027】
軸受け支持体における中空軸の支承形式は、発生するホイール力が、ホイールガイドアームから中空軸を介して軸受け支持体に確実に伝達される限り、本発明ではさしあたり任意である。但し、本発明の有利な構成では、中空軸は固定軸受け/浮動軸受けを介して軸受け支持体に支承されている。このようにして、支承部の動きやすさ及び応力フリー性があらゆる温度条件及び負荷条件下で保証され得、更に、固定軸受け/浮動軸受けを適宜設計することにより、構造的な精度を特徴とする、長い耐用年数が得られる。
【0028】
この場合有利には、中空軸の固定軸受けがスリーブジョイントによって形成されている。スリーブジョイントは廉価であり且つ自動車のアクスルシステムの範囲において有利であるということが判っている。スリーブジョイントは、高度な耐荷重能力、簡単なメインテナンス、省スペース型の構成及び特に角度誤差若しくは軸撓みの問題のない吸収という点において優れている。
【0029】
本発明の特に有利な別の構成では、ローリングスタビライザと結合されるホイールガイドアームは、ホイールサスペンションのプルロッド又はプッシュロッドである。ホイールサスペンションのプルロッド若しくはプッシュロッドは、該ロッドの長手方向軸線と走行方向との間の鋭角に基づき、スタビライザの作動に特に良好に適している。それというのも、このようにして、プルロッド若しくはプッシュロッドの弾発に起因する角運動と、ローリングスタビライザの対応するねじれとの間で、ほぼ1:1の伝達比が得られるからである。
【0030】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0031】
図1には、本発明によるスタビライザ装置の1実施例における、ホイールガイドアーム1と所属のスタビライザ端部2との間の結合部が平面図で示されている。この場合、図1には走行方向に関して左側のスタビライザ端部2並びに所属のホイールガイドアーム1のシャシー側の端部域が描かれている。この場合、所属の車両の走行方向は、破線矢印Dで示唆したように図面上方に向かって延びている。
【0032】
まず、図1では、特に図3と一緒に見ると、本実施例ではパイプスタビライザとして形成された車両のローリングスタビライザ2の車両左側の端部域が認識され、更に、ホイールガイドアーム1(やはり部分的にのみ図示)のシャシー側の端部域が認識され、このホイールガイドアーム1は本実施例では自動車の左前輪のホイールサスペンションのプルロッドである。
【0033】
図1及び図3に示したローリングスタビライザ2の端部は軸受け支持体3に収容されており、この軸受け支持体3は2つの支承点4,5を介して車両シャシー若しくは車両のアクスルキャリア(図示せず)に結合されている。軸受け支持体3は、軽量構造の意味で軽金属ダイカスト製の一体の構成部材の形で存在しており且つ支承点4,5において、それぞれエラストマ軸受け若しくはハイドロ軸受けとして形成された、車両シャシー若しくは車両のアクスルキャリアとの結合用の支承箇所を支持している。
【0034】
つまり、ローリングスタビライザ2とホイールガイドアーム1とから成る装置全体は前記エラストマ軸受け4,5を介して車両シャシーに対して振動しないように分離されていると同時に、ローリングスタビライザ2の直接的な応答が、以下に詳しく説明する、ホイールガイドアーム1とローリングスタビライザ2との間の非弾性的な結合部により保証されている。この場合特に、エラストマ軸受け4,5をx‐y平面内、即ち図1の図平面内で快適支承の意味で軟らかく調整することが可能である。それというのも、とりわけ前記平面内で不都合な振動及び音響伝達が行われ、ホイール支持体(図示せず)から出発して最初にホイールガイドアーム1の長手方向で伝達されるからである。同時に、エラストマ軸受け4,5はz方向で、即ち車両高さ軸線に沿って、事実上快適性が失われることなく、x‐y平面内におけるよりも何倍も硬く調整することができ、これにより、特にホイールの弾発運動時のローリングスタビライザ2の直接的な応答が保証されている。
【0035】
スタビライザ端部2の支承部は特に図3の断面図からはっきりと判り、この断面図は図1の平面図に対して、ローリングスタビライザ2の長手方向軸線を中心として90°だけ回動されている。従って、図3は自動車の走行方向に対して水平方向で見た図である。図3の断面図に基づき、パイプ状に中空に形成されたローリングスタビライザ2の端部自体が中空軸6に収容されていることが認識される。この中空軸6とスタビライザ端部2との間の相対回動不能な結合は、図示の実施例ではスタビライザ2の最外端部に配置された、円環状の溶接シーム7の形で行われ、この溶接シーム7が、スタビライザ端部2と中空軸端部6とを互いに結合している。
【0036】
このことはまず第1に、ローリングスタビライザ2の全長が、該スタビライザ2の規定されたねじれ変形のために一様に供与されているということを意味している。これにより、ローリングスタビライザ2の構造的に最適な設計が可能となるので、当該スタビライザ2の直線的な応答特性が、正に規定されたねじり剛性と同時に、最小限のスタビライザ重量を備えて実現され得る。
【0037】
軸受け支持体3に対する中空軸6延いてはローリングスタビライザ2の支承は、図示の実施例では固定支承/浮動支承の形で行われ、この場合、図面左側の針状ころ軸受け8が浮動軸受けとして、図面右側に配置された固定軸受け9と組み合わされる。この固定軸受けはスリーブジョイント9の形で形成されているので、特に例えば動的なホイール力に基づくスタビライザ2の中心ずれ若しくは軸撓みが容易に吸収され得る。
【0038】
中空軸6と、ホイールガイドアーム1若しくはホイールガイドアームにより形成されるホイールサスペンションのプルロッド1のシャシー側の端部との間の結合は、図示の実施例では特に図3から判るように、2つのボールジョイント10,11を介して行われる。この場合、両ボールジョイント10,11のボールヘッドは、それぞれ中空軸6と一体に成形された、互いに対向位置する2つの固定突起12,13に結合されているのに対して、両ボールジョイントのジョイントハウジングは、それぞれホイールガイドアーム若しくはプルロッド1のフォーク状に形成されたシャシー側の端部に配置されているか、若しくはプルロッド1の端部自体によって形成される。
【0039】
後者は図2からも明らかであり、プルロッド1の適当にフォーク状に形成されたシャシー側の端部が、2つのフォーク端部に配置されたボールジョイント10,11を有しているということが例示されている。
【0040】
直線的なスタビライザ若しくはスタビライザ端部2と、中空軸6と、軸受け支持体3とから成る本発明による装置は、図1及び図3から判るように、スタビライザ2の軸方向で並べられた、「スタビライザ支承」、ホイールガイドアーム1からスタビライザ2への「力の導入」及びシャシー若しくはアクスルキャリアにおけるスタビライザ装置の「結合」という、それぞれ異なる課題間の機能分離を可能にする。これにより、スタビライザ装置の著しく組み込み易く且つ運転において頑丈な構成が得られるだけでなく、従来技術において提案された別の構成と比べて、価値の高い構成空間も著しく節減される。更に、図示のスタビライザ装置は予め組み込まれる完成ユニットとして簡単に車両シャシーに取り付けられ、この場合、エラストマ軸受け4,5のみを介した装置全体の結合に基づき、同時に製作誤差に敏感な有利な組込みが得られている。
【0041】
その結果明らかになるのは、本発明に基づき、従来技術と比べて車両の快適特性及び固体伝送音分離に関する決定的な利点が、スタビライザの直接的な応答を保持しつつもたらされるスタビライザ装置が得られるということである。この場合更に、従来技術との比較において、所要構成空間並びに構成及び組込みに関する著しい改良が得られる。
【0042】
即ち、本発明は構造的な改良に関して、並びに特に走行力学的に最も要求度の高いアクスルシステムに使用するためのホイールガイド式のスタビライザ装置の組込みにおける簡略化に関して著しく貢献している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明によるスタビライザ装置の1実施例における、ホイールガイドアームとスタビライザ端部との間の結合部の概略平面図である。
【図2】本発明によるスタビライザ装置のためのホイールガイドアームの1例の等角図である。
【図3】図1に示したホイールガイドアームとスタビライザ端部との間の結合部の垂直断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のアクスルのためのスタビライザ装置であって、前記アクスルが、ローリングスタビライザ(2)及び各ホイール毎に少なくとも1つのホイールガイドアーム(1)を有しており、該ホイールガイドアーム(1)のシャシー側の枢着部が前記ローリングスタビライザ(2)の端部域と、当該ホイールガイドアーム(1)の弾発運動により前記ローリングスタビライザ(2)のねじり操作が行われるように結合されている形式のものにおいて、
該ローリングスタビライザ(2)の端部側が、それぞれ前記ホイールガイドアーム(1)と結合された少なくとも部分的に中空の軸(6)に収容されており、該中空軸(6)が、車両に弾性的に結合可能なシャシー側の軸受け支持体(3)に支承されていることを特徴とする、ホイールガイド式のスタビライザ装置。
【請求項2】
車両における前記軸受け支持体(3)の弾性的な結合部が、z方向(車両高さ軸線)で、x方向若しくはy方向のばね定数の少なくとも2倍の高さのばね定数を有している、請求項1記載のスタビライザ装置。
【請求項3】
車両における前記軸受け支持体(3)の弾性的な結合が、エラストマ軸受け(4,5)若しくはハイドロ軸受け(4,5)によって行われる、請求項1又は2記載のスタビライザ装置。
【請求項4】
前記エラストマ軸受け(4,5)若しくはハイドロ軸受け(4,5)が、前記ホイールガイドアーム(1)と中空軸(6)の長手方向軸線の交点に関してそれぞれ点対称に分けられて配置されている、請求項3記載のスタビライザ装置。
【請求項5】
前記ローリングスタビライザ(2)が、主として真っ直ぐなバー若しくは真っ直ぐなパイプにより形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のスタビライザ装置。
【請求項6】
前記ローリングスタビライザ(2)が2つの別個のスタビライザ半部から成っており、これらのスタビライザ半部間に、当該スタビライザ半部を互いに相対回動させるためのアクチュエータを配置することができる、請求項1から5までのいずれか1項記載のスタビライザ装置。
【請求項7】
前記中空軸(6)に対する前記ホイールガイドアーム(1)の結合が、2つのボールジョイント(10,11)を介して行われる、請求項1から6までのいずれか1項記載のスタビライザ装置。
【請求項8】
前記ボールジョイント(10,11)のボール中心点が、前記中空軸(6)の直径直線上に配置されている、請求項7記載のスタビライザ装置。
【請求項9】
前記ボールジョイント(10,11)のジョイントハウジングが、前記ホイールガイドアーム(1)によって形成されている、請求項7又は8記載のスタビライザ装置。
【請求項10】
前記中空軸(6)が、固定軸受け/浮動軸受け(8,9)を介して前記軸受け支持体(3)に支承されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のスタビライザ装置。
【請求項11】
前記中空軸の固定軸受け(9)が、スリーブジョイント(9)によって形成されている、請求項10記載のスタビライザ装置。
【請求項12】
前記ホイールガイドアーム(1)が、ホイールサスペンションのプルロッド又はプッシュロッドである、請求項1から11までのいずれか1項記載のスタビライザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−531211(P2009−531211A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501834(P2009−501834)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000371
【国際公開番号】WO2007/112714
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(506054589)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (151)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen AG
【住所又は居所原語表記】D−88038 Friedrichshafen,Germany
【Fターム(参考)】