説明

ホルミシス複合材料の成形方法

【課題】容易に成形でき、しかも高精度で成形品を製造できる複合樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】粉状の強化ホルミシス原石粉末原料を60重量%以上、マトリックス樹脂に充填してなるホルミシス原石粉末複合素材を用いる。このホルミシス原石粉末複合素材を破砕し、ホルミシス原石粉末複合素材の破砕片を平面上又は所定の立体形状の面上に並べて加熱加圧し、密集一体化させることによって所定の形状の複合樹脂成形品を製造する。ホルミシス原石粉末の原料には各種ホルミシス原石粉末を用いることができる。また、マトリックス樹脂には各種熱可塑性樹脂を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二段階で成形するホルミシス複合材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホルミシス原石は低放射線を放射するものとして岩盤浴の材料として利用される。しかしながら、かかる原石で岩盤浴に利用できるように板状に成形するには多量の原石を必要とする(特許文献1)。また、療法対象に応じて自然放射の10倍〜10,000倍の強度範囲で線量を調整する必要がある。したがって、あらかじめ原石粉砕物と樹脂を混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMCプレス法などを利用して成形する方法が提案されるが、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とすると、リサイクルがほとんど不可能となる欠点がある。
【0003】
そこで、熱硬化性樹脂(GFRP)の代替として、リサイクル可能な、メチルメタアクリレートなどの熱可塑性樹脂を用いる方法も考えられるが、押出成形を採用すると、成形上充填材の配合率は高々30〜40%であり、しかも均一分散が難しい。また、強度の確保上、繊維の配合が望ましく、さらに同時に遠赤外線効果、マイナスイオン効果、磁力線効果を併用するのが好ましいが、充填量40%以上の配合は困難である。各種充填材を必要に応じて配合するためには、高充填を達成する必要があるが、SMCプレス法 (Sheet Molding Compounds)を使用するにしても. 熱可塑性樹脂を使用して所定のSMCシート(基材・樹脂・充填材を混練しシート状にしたもの)を用意するのが困難であり、又量産性に欠ける。
【0004】
【特許文献1】特開2006−187443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は鋭意研究の結果、熱可塑性樹脂をマトリックスとしても、充填配合量を60重量%以上とすることはSMC工法以外には不可能であるが、熱可塑性樹脂を使用する場合、一旦混練固化させた充填材料との複合材料を作成し、これを粉砕または破砕し、これを成形材料として二段成形すると、60重量%以上、好ましくは70重量%以上85重量%までの充填材料分を樹脂分に対して配合しても成形することができ、成形すると、低線量放射線原石粉末が無機質粉末及び/又は繊維分とともに熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散して、低線量放射線のホルミシス原石に相当する作用効果を達成できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、低線量放射線原石粉末を含み、無機質粉末及び/又は無機質繊維と合わせて合計60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した素材を粉砕又は破砕して複合中間原料を用意する工程と、該複合中間原料を所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した複合中間原料を加熱加圧して一体化する工程を備えることを特徴とするホルミシス複合材料の成形方法にある。本発明において使用する複合中間原料はそのまま金型内に付し、これを熱プレスまたは熱ローラプレス、ベルト式プレスで加熱加圧することにより、容易にシート状に成形できるが、特に、成形型中に充填する工程では、一対の成形型に空気流とともに複合中間原料を投入する投入口を設ける一方、成形型の他方向に空気流の排出口を設け、複合中間原料を空気流とともに成形型に投入する一方下方から排気し、成形型中で空気流下流から上流に複合中間原料を順次堆積させて充填させるが、これに代えて成形型中に充填する工程では、一対の成形型で形成される型内部を減圧し、材料投入口を開放して複合中間原料を型内部に吸引充填させることも可能である。
【0007】
本発明によれば、低線量放射線原石粉末とともに、ホルミシス原石粉末または無機材が高充填された一次成形材料を一旦粉砕または破砕して形成した複合中間材を成形型内に充填し、これを加熱加圧するようにしたので、ホルミシス原石粉末または無機材が高充填された樹脂マトリックス中に低線量放射線原石粉末が均一分散し、原石に相当する複合製品を成形でき、生産コストを低減することができる。
【0008】
また、本発明によれば、低線量放射線原石粉末を含み、無機質粉末及び/又は無機質繊維と合わせて合計60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、低放射線原石粉末が無機質粉末及び/又は無機質繊維とともに熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなるホルミシス複合材料を提供することができる。本発明において、低線量放射線原石として各種放射線原石、例えば、ウラン鉱石、トリウム鉱石、ラジウム、ラドン鉱石などの一般放射線鉱石だけでなく、バドガッシュタイン鉱石などの各種低線量放射線原石を含むことができるが、被爆量を自然放射線の10倍から10000倍に制限するのが好ましく、配合量だけでなく、1000倍の線量を達成するためには中国ウラン原石、10000倍の線量を達成するためにはセシウム137鉱石を使用するのが好ましい。また、無機質粉末としては、耐熱性を与える水酸化アルミニウム、プラスチック製品増量剤であるタンカル、シリカなど、さらに、遠赤外線放射粉末である炭素、麦飯石、黙示石、珪藻土の1種以上を、さらにまた、各種ミネラル源である無機および有機ゲルマニウムなど、あるいは各種希土類磁石粉末等の磁性粉末を含ませることができる。無機質繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維および繊維ボロン等の各種繊維、有機繊維としては各種天然繊維、各種合成繊維が含まれる。導電性繊維であっては、発熱可能であるカーボンまたはグラファイト繊維が好ましい。
【0009】
したがって、本発明では、1種の複合中間素材に、または1枚の最終プレートにホルミシス効果以外の各種効果、遠赤外線効果、マイナスイオン効果、磁性効果を並存させることができるが、各種効果を各中間素材に持たせ、これらを混合させる、または各層に持たせ、これらを積層するようにすることができる。すなわち、本発明は、低線量放射線原石粉末を含み、無機質粉末及び/又は無機質繊維と合わせて合計60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、低放射線原石粉末が無機質粉末及び/又は無機質繊維とともに熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなるホルミシス複合材料層と、無機質粉末及び/又は無機質繊維60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、無機質粉末及び/又は無機質繊維が熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなる無機質層とを含んでなり、ホルミシス効果とその他の効果、例えば遠赤外線効果を発揮することができる岩盤浴プレートを提供するものでもある。その場合は、無機質粉末または無機質繊維が導電性カーボンからなり、電気抵抗加熱能を備える層を含むのが好ましい。
【0010】
本発明では、上記熱可塑性樹脂は用途に応じて各種熱可塑性樹脂が選択されてよく、充填材料種類、寸法、充填量などとの関係で調整される。ホルミスト効果を発揮する岩盤浴プレートとしては耐熱性、耐水性、剛性などを考慮し、構造材料に適するPP(ポリプロピレン),PC(ポリカーボネイト)ポリアミド樹脂などを使用するのが好ましい。また、充填材料との混練性を改善する目的で、相溶する二以上の熱可塑性樹脂を配合して調整することができる。
【0011】
本発明に基づいて成形される成形品は着色するのが好ましく、一種又は二種以上の着色した60〜85重量%のホルミシス原石粉末原料に対し40〜15重量%の透明又は透光性熱可塑性樹脂を混練して固化したホルミシス原石粉末強化素材の破砕片を用意し、ホルミシス原石粉末原料を着色するのが好ましい。着色したホルミシス原石粉末原料に対し同系統に着色した熱可塑性樹脂を混練して固化したホルミシス原石含有素材の破砕片を用意することも可能であり、上記破砕片が2種以上の異種の着色材料である場合もある。
【0012】
本発明の他の特徴は混練固化した複合素材を粉砕又は破砕し、これを成形型内にエア充填して加熱し加圧して薄いシート、やや厚いプレート状又は立体形状の複合樹脂成形品を製造するようにした点にある。充填材が水分を含有する場合は溶融したマトリックス樹脂との混練前に、他の熱源で加熱し含有水分を蒸発させるようにしてもよく、又溶融したマトリックス樹脂と複数のホルミシス原石粉末とを混練する際にホルミシス原石粉末をマトリックス樹脂の熱によって加熱してホルミシス原石粉末の含有水分を蒸発させるようにしてもよい。このようにすると、強化ホルミシス原石粉末の乾燥工程を別途必要とせず、製造工程を簡素化できる。
【0013】
使用済みのホルミシス原石粉末素材をリサイクルする場合、回収したホルミシス原石粉末素材を適当な大きさ、例えばホルミシス原石粉末の立体的形状が残存する程度の大きさ、例えば一辺が5mm〜20mmの大きさに破砕し、適当な熱源によって加熱してマトリックス樹脂を軟化又は溶融させ、必要に応じてマトリックス樹脂を添加し、ホルミシス原石粉末素材の原料の全部又は一部として用いることもできる。
【0014】
成形品に表面樹脂層を形成する場合、複合樹脂成形品の表面に軟化又は溶融した合成樹脂材料を重ねることにより形成してもよく、合成樹脂製のフィルム、シート又はプレートを積層することにより形成することもできる。複合樹脂成形品の表面樹脂層は複合樹脂成形品の外表面の全部に形成してもよく、外表面の一部、例えばプレート状複合樹脂成形品の上面又は下面だけに形成してもよい。
【0015】
成形品は表面樹脂層を形成して所定の製品形状に加圧成形することができるが、複合樹脂成形品の表面に合成樹脂製のフィルム、シート又はプレートを積層し、あるいは軟化又は溶融した合成樹脂材料を重ねる際に、所定の製品形状に成形することもできる。この複合樹脂成形品の成形には金型やローラなどを用い、絞り成形、曲げ成形、真空成形、圧空成形、マッチモールド成形などを採用することができる。
【0016】
合成樹脂製のフィルム、シート又はプレートと複合樹脂成形品とは接着剤によって接着するようにしてもよく、複合樹脂成形品のマトリックス樹脂と表面樹脂層の合成樹脂材料との親和性によって相互に結合するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態を列挙すれば、以下通りである。
【0018】
低線量放射線原石粉末と遠赤外線放射無機質粉末及び/又は磁性粉末を含み、これらを合わせて60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した1種又は2種以上の複合素材を粉砕又は破砕して1種又は2種以上の複合中間原料を用意する工程と、該1種又は2種以上の複合中間原料を所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した1種又は2種以上の複合中間原料を加熱加圧して一体化する工程を備えるホルミシス複合材料の成形方法。これによりホルミシス効果に遠赤外線効果又は磁力線効果を併用させることができる。
【0019】
2種以上の複合中間原料を用い、各複合中間原料が低線量放射線原石粉末を充填剤の主成分とし、充填剤60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した複合素材を粉砕又は破砕して形成したホルミシス効果複合材料と、遠赤外線放射用無機質粉末を充填剤の主成分とし、充填剤60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した複合素材を粉砕又は破砕して形成した遠赤外線放射用複合材料と、磁性材料粉末を充填剤の主成分とし、充填剤60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した複合素材を粉砕又は破砕して形成した磁性材料複合材料から選ばれ、この2種以上の組み合わせである。これにより、各種効果の最適値の組み合わせを容易にすることができる。
【0020】
複合中間材料が低線量放射線原石粉末と他の無機質粉末及び/又は有機無機繊維分とを含み、これらを合わせて60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した1種又は2種以上の複合素材を粉砕又は破砕してなる1種又は2種以上の複合中間原料であって、異なる着色を有する成形方法。これにより、人工大理石風の装飾効果を有する壁、床材にホルミシス効果を持たせることができる。
【0021】
成形型中に充填する工程では、一対の成形型に空気流とともに1種又は2種以上の複合中間原料を投入する投入口を設ける一方、成形型の他方向に空気流の排出口を設け、複合中間原料を空気流とともに成形型に投入する一方下方から排気し、成形型中で空気流下流から上流に複合中間原料を順次堆積させて充填させる成形方法。これにより各種成形の自動化が行える。
【0022】
成形型中に充填する工程では、一対の成形型で形成される型内部を減圧し、この状態で材料投入口を開放して1種又は2種以上の複合中間原料を型内部に吸引充填させる成形方法。これにより各種成形の自動化が行える。
【0023】
本発明によれば、自然放射の100〜10,000倍の低線量放射線原石粉末を含み、無機質粉末及び/又は有機無機繊維分と合わせて合計60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、低放射線原石粉末が無機質粉末及び/又は有機無機繊維分とともに熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなるホルミシス複合材料を提供することができる。
【0024】
無機質粉末として水酸化アルミニウムを含み、異なる着色複合中間原料を構成し、これを用いることにより、最終製品が人工大理石板を構成することができる。
【0025】
無機質粉末が遠赤外線放射粉末または磁性粉末を含み、異なる複合中間原料をなし、最終複合材料中に点在させることにより人工大理石板にホルミシス以外に遠赤外線効果又は磁力線効果を発揮させることができる。
【0026】
化学繊維又は天然繊維を用い、複合材料マトリックス中に繊維方向をランダムに配交して分散させることによりシート状ホルミシス複合材料に所定のフレキシブル性能に優れた引張り強度を持たせることができる。
【0027】
繊維分として紙パルプ成分を用いることにより、最終製品を合成紙シートとして構成することができ、壁紙等にホルミシス効果を持たせることができる。
【0028】
低線量放射線原石粉末と無機質粉末及び/又は無機質繊維とを合わせて60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、低放射線原石粉末、無機質粉末及び無機質繊維が熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなるホルミシス複合材料層と、無機質粉末及び/又は無機質繊維60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、無機質粉末及び/又は無機質繊維が熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなる無機質層とを含んでなる岩盤浴プレート。ホルミシス複合材料プレートと遠赤外線複合材料プレートを重ねることにより両者の相乗効果を発揮させることができる。
【0029】
無機質粉末または無機質繊維として導電性カーボンまたはグラファイトからなる粉末または線維を配合し、電気抵抗加熱性能を与えると、遠赤外線放射効果を発揮させ易くすることができる。
【0030】
以下、本発明の製造例を説明する。
(製造例1)
図1は本発明に係る再生可能なホルミシス原石粉末強化樹脂製品の製造方法の好ましい実施形態を示す。ホルミシス原石粉末強化樹脂製品を製造する場合、ホルミシス原石粉末材料を準備する。このホルミシス原石粉末はナノ粒子粉末とすることもできるが、通常、平均外径10μm〜35μmの粉状のものを用いる。また、熱可塑性樹脂、例えば適当な大きさのチップ状のポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を準備する。これらの樹脂は1種でもよく、2種が混ざったものでもよい。
【0031】
他方、混練機10の加熱ヒータを作動させ、混練機10内部を熱可塑性樹脂の溶融温度、例えば100°C〜300°Cの範囲内の温度まで上昇させておき、図1の(a)に示されるように、破砕した熱可塑性樹脂のチップを混練機10内に投入し、攪拌しながら溶融させる。バインダー樹脂のチップの投入は一度に行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。バインダー樹脂の溶融中に攪拌羽根の回転による溶融樹脂の攪拌によって熱が発生する場合には加熱ヒータによる加熱温度はバインダー樹脂の溶融温度よりも多少低温であってもよい。
【0032】
熱可塑性樹脂が十分に軟化又は溶融すると、準備したホルミシス原石粉末原料、例えばラジウム原石粉末を一度に又は複数回に分けて混練機10内に投入するとともに、他の充填材としてカーボン粉末及び/又は繊維を一度に又は複数回に分けて混練機10内に投入し、軟化・溶融した熱可塑性樹脂とラジウム原石粉末及びカーボン粉末(30重量%:35重量%:35重量%)を実質的に均一になるように混練する。充填材は一度に大量に投入すると、軟化・溶融した樹脂の温度が低下してしまうことがあるので、混練機10への投入前にホルミシス原石粉末素材の原料を予め加熱ヒータ等で適当な温度に加熱してもよい。
【0033】
また、熱可塑性樹脂を溶融状態のままで長時間加熱すると、樹脂本来の物性が損なわれることもあるので、十分に溶融した後、短時間で混練を完了させるのが好ましい。本件発明者の実験によれば、溶融してから混練が完了するまでの時間は5分〜30分程度が好ましいことが判明したが、加熱温度や熱可塑性樹脂の物性によって異なるので、最適な時間は実験などによって求めるのがよい。
【0034】
十分な混練が済むと、図1の(b)(c)に示されるように、混練物20を取り出し、破砕機11で適切な寸法、例えば一辺が3mm〜40mmの大きさの鱗片状に破砕する。この破砕片21の寸法は後の工程における加圧によって流動させるので特に限定されないが、空気流に乗せて成形型内に充填するので空気流に浮遊しやすい形状が好ましく、堆積しても堆積物全体を空気が透過するような形態とするのが肝要である。
【0035】
同様にして図1の(d)に示されるように、異なる着色、例えば白色、青色、赤色、黄色の破砕片21を製造する。上記製造例では1種類の複合中間原料を用いたが、同時に第2混練機10‘を用いて異なる配合の第2複合素材20’を形成し、これを破砕した複合中間原料を混合するようにしてもよい。
【0036】
こうして複数の色彩の破砕片21が得られると、これらを成形面、例えば図1の(e)に示されるように、加熱した一対の金型30、31で囲まれる金型内を排気口32から排気して減圧し、複合中間原料を上部充填口33から吸引充填し、その位置で加熱加圧する。すると、色彩の異なる熱可塑性樹脂が流動しながら相互に一体化して圧縮(圧縮比L/4〜5)されるので、温度低下後、取り出し、表面を研磨すると、図1の(f)に示されるように、表面に樹脂層41が形成された磨いた表面の模様と思えるような人工大理石模様のホルミシス製品40が得られる。
【0037】
本発明では空気流に乗せて破砕片を成形型内に充填することができるように成形型中に充填する工程では、成形型の上方を空気流の投入口とする一方、成形型の下方を空気流の排出口とし、空気流に対し透過性を有する複合中間原料を空気流とともに成形型に投入するとともに下方から排気し、成形型中で下方から上方に中間原料を順次堆積させて充填させる。詳しくは、例えば充填機として回転した空気流に破砕片を浮遊させ、送り出し順次堆積させるサイクロン方式を用いる場合がある。
【0038】
他方、成形型内を真空にして一回成形分量の破砕片の一部又は全部を減圧吸引充填する充填する方式も有効である。
【0039】
(製造例2)
製造例1では熱可塑性樹脂に対しホルミスト原石粉末及びカーボン粉末を等量配合したが、熱可塑性樹脂30重量%に対しホルミスト原石粉末70重量%を配合した第1複合材料プレートを製造し、他方、熱可塑性樹脂30重量%に対しカーボン粉末70重量%を配合した第2複合材料プレート上に重畳し、これを接合して1枚のプレートとする以外は製造例1と同様にして岩盤浴プレートを製造する。
【0040】
(製造例3)
熱可塑性樹脂30重量%に対しホルミスト原石粉末30重量%、カーボン粉末20重量%、カーボン繊維20重量%を配合する以外は、製造例1と同様にして岩盤浴プレートを製造する。このプレートは導電性を示し、通電することにより電気抵抗加熱が可能であった。
したがって、ホルミスト効果とともに遠赤外線効果を同時に発揮させる場合には効果的である。
【0041】
(製造例4)
熱可塑性樹脂30重量%に対しホルミスト原石粉末70重量%を配合した第1複合材料プレートを製造し、他方、熱可塑性樹脂30重量%に対しカーボン粉末70重量%を配合した第2複合材料プレート、熱可塑性樹脂30重量%に対しグラファイト粉末及び繊維70重量%を配合した第3複合材料プレートを製造し、これらを重畳し、これを接合して1枚のプレートとする以外は製造例1と同様にして岩盤浴プレートを製造する。第3プレートは導電性を示し、通電することにより電気抵抗加熱が可能であった。したがって、ホルミスト効果とともに遠赤外線効果を同時に発揮させる場合には効果的である。
【0042】
(製造例5)
熱可塑性樹脂30重量%に対しホルミスト原石粉末35重量%と磁性粉末35重量%を配合したホルミスト磁性複合材料プレートを製造する。磁性粉末が樹脂に対し均一に混練しやすいようにし、磁性粉末は着磁させず、ホルミスト原石粉末と先に混練し、樹脂に混練する。他方、熱可塑性樹脂30重量%に対しカーボン粉末70重量%を配合した遠赤外線効果複合材料プレート、熱可塑性樹脂30重量%に対しグラファイト粉末及び繊維70重量%を配合した導電性複合材料プレートを製造し、これらを重畳し、これを接合して1枚のプレートとする以外は製造例1と同様にして岩盤浴プレートを製造する。第3プレートは導電性を示し、通電することにより電気抵抗加熱が可能であった。したがって、ホルミスト効果とともに遠赤外線効果を同時に発揮させる場合には効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るホルミシス原石粉末強化樹脂成形品の製造方法の第1実施形態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10、10‘ 混練機
11 破砕機
20、20‘ 複合素材
21 破砕片
30、31 金型
40 複合材製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低線量放射線原石粉末と他の無機質粉末及び/又は有機無機繊維分とを含み、これらを合わせて60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した1種又は2種以上の複合素材を粉砕又は破砕して1種又は2種以上の複合中間原料を用意する工程と、該1種又は2種以上の複合中間原料を所定の成形型中に充填する工程と、成形型内に密集した1種又は2種以上の複合中間原料を加熱加圧して一体化する工程を備えることを特徴とするホルミシス複合材料の成形方法。
【請求項2】
複合中間原料の1種が低線量放射線原石粉末と遠赤外線放射無機質粉末及び/又は磁性粉末を含む請求項1記載の成形方法。
【請求項3】
複合中間原料の2種以上が少なくとも低線量放射線原石粉末を充填剤の主成分とし、充填剤60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した複合素材を粉砕又は破砕して形成したホルミシス効果複合材料と、遠赤外線放射用無機質粉末を充填剤の主成分とし、充填剤60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した複合素材を粉砕又は破砕して形成した遠赤外線放射用複合材料と、磁性材料粉末を充填剤の主成分とし、充填剤60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した複合素材を粉砕又は破砕して形成した磁性材料複合材料の2種以上の組み合わせからある請求項1記載の成形方法。
【請求項4】
複合中間材料が低線量放射線原石粉末と他の無機質粉末及び/又は有機無機繊維分とを含み、これらを合わせて60〜85重量%に対し熱可塑性樹脂40〜15重量%を混練して固化した1種又は2種以上の複合素材を粉砕又は破砕してなる1種又は2種以上の複合中間原料であって、異なる着色を有する請求項1記載の成形方法。
【請求項5】
成形型中に充填する工程では、一対の成形型に空気流とともに1種又は2種以上の複合中間原料を投入する投入口を設ける一方、成形型の他方向に空気流の排出口を設け、複合中間原料を空気流とともに成形型に投入する一方下方から排気し、成形型中で空気流下流から上流に複合中間原料を順次堆積させて充填させる請求項1記載のホルミシス複合材料の成形方法。
【請求項6】
成形型中に充填する工程では、一対の成形型で形成される型内部を減圧し、この状態で材料投入口を開放して1種又は2種以上の複合中間原料を型内部に吸引充填させる請求項1記載のホルミシス複合材料の成形方法。
【請求項7】
自然放射の100〜10,000倍の低線量放射線原石粉末を含み、無機質粉末及び/又は有機無機繊維分と合わせて合計60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、低放射線原石粉末が無機質粉末及び/又は有機無機繊維分とともに熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなるホルミシス複合材料。
【請求項8】
無機質粉末が水酸化アルミニウムを含み、異なる着色複合中間原料をなし、最終製品が人工大理石板を構成する請求項7記載の複合材料。
【請求項9】
無機質粉末が遠赤外線放射粉末または磁性粉末を含み、異なる複合中間原料をなし、最終複合材料中に点在する請求項7記載のホルミシス複合材料。
【請求項10】
有機無機繊維分が化学繊維又は天然繊維であって、複合材料マトリックス中に繊維方向をランダムに配交して分散してなる請求項7記載のホルミシス複合材料。
【請求項11】
繊維分が紙パルプ成分から成り、最終製品が合成紙シートを構成する請求項7記載のホルミシス複合材料。
【請求項12】
低線量放射線原石粉末と無機質粉末及び/又は無機質繊維とを合わせて60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、低放射線原石粉末、無機質粉末及び無機質繊維が熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなるホルミシス複合材料層と、無機質粉末及び/又は無機質繊維60〜85重量%と熱可塑性樹脂40〜15重量%とからなり、無機質粉末及び/又は無機質繊維が熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に均一分散してなる無機質層とを含んでなる岩盤浴プレート。
【請求項13】
無機質粉末または無機質繊維が導電性カーボンまたはグラファイトからなり、電気抵抗加熱性能を備え、遠赤外線放射効果を有する請求項7記載の岩盤浴プレート。

【図1】
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【公開番号】特開2009−12451(P2009−12451A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69(P2008−69)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(398057178)株式会社オールマイティー (17)
【Fターム(参考)】