説明

ホースプロテクタおよび車両用ウォッシャホース配索構造

【課題】弾性材からなるシール部とパネル部材とによって挟まれるホースの潰れを簡易な構成で防止することが可能であると共に、シール部におけるシール性を確保することが可能なホースプロテクタおよび該ホースプロテクタを用いた車両用ウォッシャホース配索構造を提供する。
【解決手段】カウルパネル5に取付けられたフードシール部6と内側パネル3aとによって挟まれ、フードシール部6を横切ってエンジンルーム2の内側から外側へ可撓性を有するホース20を連通状態で配索させるホースプロテクタ30であって、内側パネル3aに固定されフードシール部6と内側パネル3aとの間に挟持される本体部31と、フードシール部6の一方側と他方側とを連通するように本体部31に形成された連通孔33と、フードシール部6の一方側と他方側においてそれぞれ連通孔33と連通されホース20を接続可能なホースジョイント32を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホースプロテクタおよび車両用ウォッシャホース配索構造に係り、特に可撓性を有するホースの潰れを防止するためのホースプロテクタおよび該ホースプロテクタを用いた車両用ウォッシャホース配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のウォッシャ装置では、ウォッシャタンクに固定されたポンプ装置と車両ボンネットやカウルカバー等に取付けられたウォッシャノズルとがウォッシャホースで接続されている。ポンプ装置で昇圧された洗浄液は、ウォッシャホースを通ってウォッシャノズルまで圧送され、ウォッシャノズルからガラス面へ向けて噴射される。
【0003】
ウォッシャタンクはエンジンルーム内に配設されており、一端がポンプ装置に連結されたウォッシャホースは、エンジンルーム後方で内部から外部に導出されている。エンジンルームの後端上部には、弾性材からなるフードシール部が設けられている。このフードシール部は、エンジンフードの後端側の内面と当接して、エンジンルーム内外間のシール性を確保するためのものである。ウォッシャホースは、エンジンルーム内部から外部へ導出される部位において、フードシール部とエンジンフード内面とによって挟まれるように配設されている。
【0004】
ウォッシャホースは、可撓性を有しており、フードシール部とエンジンフード内面とによって挟持されると弾性的に断面偏平形状に変形する。このとき断面偏平形状となる潰れ度合が大きいと、ウォッシャホース内の洗浄液の流路が狭くなり、洗浄液の噴射不良が生じるおそれがあった。
このようなホースの潰れを防止するための技術として、ウォッシャホース内に金属製のコイルスプリングを配設したり、コイルスプリングをウォッシャホースに外嵌させた後に粘着剤付ウレタンフォーム材を巻き付けてコイルスプリングとウォッシャホースとを固着したりする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載のようにウォッシャホース内にコイルスプリングを配設することにより、屈曲等によってウォッシャホースが潰れてしまうことが防止される。また、特許文献1に記載のようにコイルスプリングをウォッシャホースに外嵌させた後に外側から粘着剤付ウレタンフォーム材を巻き付けることにより、コイルスプリングの位置ずれを規制して確実にウォッシャホースの潰れを防止することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−304465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記技術では、ウォッシャホースの潰れを防止するためコイルスプリングが必要であり、さらにコイルスプリングをウォッシャホースに外嵌させた状態でコイルスプリングの位置ずれを防止するためには、粘着剤付ウレタンフォーム材にてコイルスプリングをウォッシャホースに固着する必要があるため、部品点数が多く作業に手間が掛かり、作業性が良好でなかった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、弾性材からなるシール部とパネル部材とによって挟まれるホースの潰れを簡易な構成で防止することが可能であると共に、シール部におけるシール性を確保することが可能なホースプロテクタおよび該ホースプロテクタを用いた車両用ウォッシャホース配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、第1パネル部材に取付けられた弾性材からなるシール部と第2パネル部材とによって挟まれ、前記シール部を横切って一方側から他方側へ可撓性を有するホースを連通状態で配索させるホースプロテクタであって、前記第2パネル部材に固定され前記シール部と前記第2パネル部材との間に挟持されるプロテクタ本体と、前記シール部の一方側と他方側とを連通するように前記プロテクタ本体に形成された連通孔と、前記シール部の一方側と他方側においてそれぞれ前記連通孔と連通され前記ホースを接続可能なホースジョイントと、を備えたことを特徴としている。
【0010】
このように本発明では、プロテクタ本体に連通孔を形成すると共に、シール部の一方側と他方側においてそれぞれ連通孔に連通したホースジョイントを形成して、ホースを接続可能な構成としている。このような構成のホースプロテクタを、第2パネル部材にシール部と対応させて固定し、シール部と第2パネル部材とによって挟まれるように配置することにより、ホースプロテクタのホースジョイントに接続された可撓性を有するホースは、シール部と第2パネル部材とによって挟まれることがない。これにより、シール部におけるホースの潰れを確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明は、前記プロテクタ本体には、前記第2パネル部材に開口形成された取付孔に挿通され弾性係合する係合片を有するクランプ部が一体に形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明では、クランプ部を第2パネル部材に開口形成された取付孔に挿通するだけで、ホースプロテクタを第2パネル部材へ容易に固定できるので、取付作業性が極めて良好となる。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明は、第1パネル部材に取付けられた弾性材からなるシール部と第2パネル部材とによって挟まれ、前記シール部を横切って一方側から他方側へ可撓性を有するホースを配索させるホースプロテクタであって、前記第2パネル部材に固定され前記シール部と前記第2パネル部材との間に挟持されるプロテクタ本体と、前記シール部の一方側から他方側にかけて前記ホースを収容保持可能に前記プロテクタ本体に形成されたホース収容溝と、を備え、前記プロテクタ本体には、前記第2パネル部材に開口形成された取付孔に挿通され弾性係合する係合片を有するクランプ部が一体に形成されていることを特徴としている。
【0013】
このように本発明では、プロテクタ本体にホース収容溝を形成しており、このような構成のホースプロテクタを、第2パネル部材にシール部と対応させて固定し、シール部と第2パネル部材とによって挟まれるように配置することにより、プロテクタ本体のホース収容溝内に収容保持されたホースは、シール部と第2パネル部材とによって挟まれることがない。これにより、シール部におけるホースの潰れを確実に防止して、シール部の一方側から他方側へホースを導出することができる。また、クランプ部を第2パネル部材に開口形成された取付孔に挿通するだけで、ホースプロテクタを第2パネル部材へ容易に固定できるので、取付作業性が極めて良好となる。
【0014】
また、本発明において、前記プロテクタ本体は、前記シール部と前記第2パネル部材とに挟持される部位の断面外形が、前記シール部を横切る方向と直交する方向での両端部において、それぞれ端部に近いほど厚さが薄くなるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明では、プロテクタ本体がシール部と第2パネルとの間に弾性的に挟持されたときに、プロテクタ本体の幅方向の両端部付近においてもシール部をプロテクタ本体表面形状に追従させて確実に当接させることができるので、シール性を確保することが可能となる。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明の車両用ウォッシャホースの配索構造は、上記ホースプロテクタを用いたことを特徴としている。上記ホースプロテクタを用いることにより、上記作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のホースプロテクタおよび該ホースプロテクタを用いた車両用ウォッシャホース配索構造によれば、弾性材からなるシール部とパネル部材とによって挟まれるホースの潰れを簡易な構成で防止することが可能であると共に、シール部におけるシール性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
図1〜図5は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はワイパ装置の取付け状態を示す説明図、図2は図1のエンジンフードとカウルパネルとの当接部付近の断面説明図、図3はホースプロテクタの説明図、図4は図3のホースプロテクタを側面方向から見た断面説明図、図5は図3のホースプロテクタを正面方向から見た断面説明図である。
図6〜図10は本発明の他の実施形態に係るものであり、図6はホースプロテクタの説明図、図7は図6のホースプロテクタを上方向から見た説明図、図8は図6のホースプロテクタを側面方向から見た断面説明図である。また、図9はホースプロテクタの説明図、図10は図9のホースプロテクタを側面方向から見た断面説明図である。
【0018】
図1に示す一実施形態に係るウォッシャ装置Wは、洗浄液を貯留するウォッシャタンク10と、ウォッシャタンク10に併設されたポンプ装置12と、洗浄液の搬送路である可撓性を有するホース20と、洗浄液をウインドシールド4に向けて噴射するウォッシャノズル14とを主要構成要素としている。
ウォッシャタンク10は、車両1のエンジンルーム2内の前方下部に配設されている。ポンプ装置12は、ウォッシャタンク10の下部に装着されている。
【0019】
ホース20は、ポンプ装置12の吐出口に連結されており、エンジンルーム2内で車両後方へ向けて配索され、エンジンルーム2の後方左側で内部から外部へ導出されている。
エンジンフード3には車両後方両側にヒンジ(不図示)が設けられており、エンジンフード3は、エンジンルーム2上部を塞いだ状態からエンジンルーム2上部を開放した状態(図1参照)に開閉可能となっている。
【0020】
図2に示すように、ウォッシャノズル14は、第2パネル部材としてのエンジンフード3の後端側の内側パネル3aに取付けられている。本例では、ウォッシャノズル14は、車幅方向に離間して2箇所に配設されている(図1参照)。詳しくは、エンジンフード3の内側パネル3aには、ウォッシャノズル14を取付けるための取付孔3bが形成されており、ウォッシャノズル14は、弾性係止片14aをこの取付孔3bに弾性係合させることによってエンジンフード3に取付けられている。
ウォッシャノズル14が内側パネル3aに取付けられると、ウォッシャノズル14のホース接続口14bは、内側パネル3aとエンジンフード3の外側パネルとの間の空間内へ突出した状態となる。
【0021】
ホース20は、エンジンルーム2の車両左側からエンジンルーム2の外部へ導出されており、エンジンフード3の車両左側の端部付近から内側パネル3aに沿って中央方向へ複数のクランプ(不図示)を用いて配索されている。そして、ホース20は内側パネル3aで分岐し、分岐されたホース20の端部はそれぞれ2箇所のウォッシャノズル14のホース接続口14bへ連結されている。
【0022】
エンジンルーム2の後端上部、すなわちウインドシールド4の下端部には、車幅方向に沿って第1パネル部材としてのカウルパネル5が取付けられている。このカウルパネル5には挿通孔5aが形成されており、この挿通孔5aにワイパピボット7が車両内部から外部へ向けて挿通されている。ワイパピボット7にはワイパアーム8が固定されており、ワイパアーム8はワイパピボット7が往復回動することによって、先端部に取付けられたワイパブレード9でウインドシールド4表面を往復払拭することが可能となっている。
【0023】
カウルパネル5の前端5bは、車両上方を向くように折り曲げられており、この前端5bには、上方へ突出するようにゴム等の弾性材からなる長尺状のフードシール部(シール部)6が配設されている。このフードシール部6は、車幅方向に沿ってエンジンフード3の内側パネル3aの後端側と当接することにより、エンジンルーム2内外を液密的に仕切ってシール性を確保するためのものである。
本例のフードシール部6は、内側パネル3aと弾性的に当接する当接部6aと、当接部6aを支持すると共にカウルパネル5の前端5bに取付け可能な取付部6bとを備えている。
【0024】
当接部6aは長手方向において断面略円筒状に形成されており、内部に中空部6dを有している(図4参照)。当接部6aは、内側パネル3aと当接したとき、内側パネル3aの形状に合わせて断面扁平形状に弾性変形してシール性を確保することができる。
取付部6bにはスロット6cが形成されており(図4参照)、このスロット6cをカウルパネル5の前端5bに嵌め込むことによって、フードシール部6をカウルパネル5の前端5bに取付けることが可能である。
【0025】
常時は、エンジンフード3が閉じられた状態となっており、ホース20は、エンジンルーム2の内部から外部へ導出される部位A(図1参照)において、フードシール部6を車両前後方向に横切るように配索される。
ここで、従来のようにホース20がフードシール部6と内側パネル3aとによって直接的に挟まれた状態となると、可撓性を有するホース20は断面偏平形状に潰れてしまい、洗浄液を十分に搬送できなくなるおそれがある。
【0026】
このような潰れを防止するために、ホース20のうち、フードシール部6と内側パネル3aとによって挟まれる部位にコイルスプリング等を配設すると、部品点数が増加すると共に取付け作業に手間が掛かってしまう。
エンジンフード3が閉じて、コイルスプリング等が配設されたホース20にフードシール部6が弾性的に当接した状態では、ホース20はコイルスプリングが配設されたことによって偏平形状に潰れることは防止される。
しかしながら、ホース20が断面外形を略円形に保持するため、フードシール部6は、ホース20の両側においてホース20の断面形状に略完全に追従して変形することが困難となる。これにより、コイルスプリング等を配設した場合には、フードシール部6と内側パネル3aとの間に隙間ができて、良好なシール性を確保することができなくなるという問題が生じてしまう。
【0027】
このため、本例のウォッシャホースの配索構造では、図2に示すように、フードシール部6と内側パネル3aとによって挟持される部位に、ホース20を連通状態で配索するための樹脂材料からなるホースプロテクタ30が配設されている。すなわち、本例ではホースプロテクタ30は、内側パネル3aのうち、エンジンフード3を閉じたときにフードシール部6が弾性的に当接する位置に、接着固定されている。そして、ホースプロテクタ30には、エンジンフード3が閉じた状態でエンジンルーム2の内外にそれぞれ対応させてホースジョイント32が形成されており、このホースジョイント32にホース20が接続されている。
【0028】
図3に示すように、本例のホースプロテクタ30は、断面外形略三角形状の本体部(プロテクタ本体)31と、本体部31から突出するように一体形成された円筒状のホースジョイント32とを備えている。
本体部31は、略矩形状の平面部31aと、平面部31aの幅方向の両端部を連結し下方に凸状となる曲面部31bと、本体部31の延出方向(X方向)両端の側面部31cとを備えている。すなわち、本体部31は、断面外形が、フードシール部6を横切る方向であるX方向と直交するY方向での両端部において、それぞれ端部に近いほど厚さが薄くなるように曲線状に形成されている。
ホースジョイント32の先端部には抜け止め用の拡径部32aが形成されている。双方のホースジョイント32は、本体部31を貫通する連通孔33によって互いに連通されている。
【0029】
ホースプロテクタ30は、平面部31aが両面テープ等の接着剤35によって内側パネル3aに接着されることにより、エンジンフード3に固定されている。このように本例のホースプロテクタ30は、内側パネル3aの所定箇所に接着剤35によって容易に接着固定にて取付け可能であり、2箇所のホースジョイント32には、ホースプロテクタ30を内側パネル3aに接着する前または後において、ホース20の端部を挿入することによりホース20を接続することができる。すなわち、本例のホースプロテクタ30は車両1への取付け作業が極めて容易となっている。
【0030】
図4は、エンジンフード3が閉じた状態で、ホースプロテクタ30を図3のY方向から見た説明図である。また、図5は、エンジンフード3が閉じた状態で、ホースプロテクタ30を図3のX方向から見た断面説明図である。
図4に示すように、エンジンフード3が閉じると、フードシール部6の当接部6aが断面偏平形状に弾性変形した状態で曲面部31bと密着する。また、ホースプロテクタ30が横切る箇所以外においても、フードシール部6は内側パネル3aと密着する。このとき、本体部31は厚さ方向に圧縮力を受けるが、所定の剛性を有しているのでほとんど変形することはない。これにより、ホースプロテクタ30は、内部の連通孔33を介して十分に洗浄液を搬送することが可能である。
【0031】
また、図5に示すように、エンジンフード3が閉じると、フードシール部6は、ホースプロテクタ30の曲面部31bの曲線形状に合わせて撓むので、従来のようにホースの両側にエンジンルーム2の内外を連通する隙間が生じてしまうことなくシール状態を確保することができる。
すなわち、本例のホースプロテクタ30の本体部31は、断面外形が、フードシール部6を横切るX方向と直交するY方向での両端部において、それぞれ急激な段差を生じることなく、端部に近いほど厚さが薄くなるように曲線状に形成されているので、フードシール部6は、本体部31の曲面部31bの表面形状に追従することができる。これにより、本例では、ホースプロテクタ30を挟持する部位において、フードシール部6は、シール性を維持することが可能である。
なお、本例では、ホースプロテクタ30の本体部31が曲面部31bを有するように形成されているが、フードシール部6を密着させることができれば、これに限られるものではない。例えば、本体部31を断面台形状に形成してもよい。
【0032】
次に、本例のホースプロテクタ30の改変例について説明する。なお、上記実施形態と同じ構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図6〜図8に示すホースプロテクタ130は、クランプ部36を有しており、ホースプロテクタ30を接着剤ではなくクランプ部36によって内側パネル3aに取付け可能とした例である。
本例ではホースプロテクタ130の本体部31の平面部31aには、上方へ突出するようにクランプ部36が一体形成されている。
【0033】
本例のクランプ部36は、弾性係合する4つの係合片37から構成されている。4つの係合片37は所定間隔をあけて環状に配列されている。各係合片37は、平面部31aから上方へ突出する支持部37aと、支持部37aによって支持される係合部37bから構成されている。
支持部37aは、断面略扇形状であり、内側パネル3aの板厚と略同じ長さに設定されており、径方向に弾性的に撓むことが可能となっている(図7参照)。係合部37bは、上面視で支持部37aよりも大径な扇形状であり、上面が上方に向けて凸状となる曲面形状に形成されている。
【0034】
本例では、内側パネル3aには、4つの支持部37aによって形成される外形円と略同一内径の取付孔3cが形成されている。
このように構成されているので、本例では、ホースプロテクタ130のクランプ部36を内側パネル3aに形成された取付孔3cの下部に配置した状態で、クランプ部36を取付孔3c内に押し付けていくと、取付孔3c内周縁と係合部37bの上面(曲面)が当接し、これにより4つの係合片37が径方向内側へ撓む。係合片37が径方向内側へ撓むことにより、係合部37bは取付孔3cを通過し、係合部37bが取付孔3cを通過した時点で、4つの係合片37は径方向外側の自然状態に戻る。これにより、クランプ部36が弾性的に取付孔3cに係合し、ホースプロテクタ130は、内側パネル3aに取付けられる(図8参照)。
【0035】
このように、本例では、ホースプロテクタ130を接着剤ではなく、クランプ部36を内側パネル3aに弾性係合させて取付け可能としたので、取付性がさらに良好となり、しかも取外しも容易となる。
【0036】
図9〜図10に示すホースプロテクタ230は、図6〜図8の例と同様にクランプ部36を設けると共に、ホースジョイント32を設けるかわりに、ホース20を収容保持可能なホース収容溝38を形成した例である。クランプ部36は、図6〜図8の例と同様であるので説明を省略する。
【0037】
本例では、本体部31には、フードシール部6と弾性的に当接する曲面部31bの幅方向の中央部に、双方の側面部31cを貫通するように延出方向に沿って断面略円形のホース収容溝38が形成されている。このホース収容溝38の内径寸法は、ホース20の外径と略同一に設定されている。
本例では、ホース収容溝38は、曲面部31bでの開口38aの幅がホース20の外径よりも狭く設定されているので、可撓性を有するホース20を下方から押し付けていくことにより、ホース収容溝38内にホース20を収容保持することができる。
【0038】
本例では、クランプ部36を取付孔3cに弾性係合させてホースプロテクタ230を内側パネル3aに取付けた後、ホース20を本体部31に形成されたホース収容溝38内に収容保持させることができる。すなわち、本例では、本体部31の曲面部31bに、開口38aが形成されているので、ホースプロテクタ230が内側パネル3aに取付けられた状態で、ホース20を着脱することが可能である。
また、図10に示すように、エンジンフード3を閉じたときには、フードシール部6の当接部6aがホース20の一部と曲面部31bとに弾性的に当接することにより、シール性を確保することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、ウォッシャ装置Wのホース20を配索するためのホースプロテクタ30,130,230について説明したが、可撓性を有するホースであれば、ウォッシャ装置Wに用いられるホースでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るワイパ装置の取付け状態を示す説明図である。
【図2】図1のエンジンフードとカウルパネルとの当接部付近の断面説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るホースプロテクタの説明図である。
【図4】図3のホースプロテクタを側面方向から見た断面説明図である。
【図5】図3のホースプロテクタを正面方向から見た断面説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るホースプロテクタの説明図である。
【図7】図6のホースプロテクタを上方向から見た説明図である。
【図8】図6のホースプロテクタを側面方向から見た断面説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るホースプロテクタの説明図である。
【図10】図9のホースプロテクタを側面方向から見た断面説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1‥車両、2‥エンジンルーム、3‥エンジンフード、
3a‥内側パネル(第2パネル部材)、3b‥取付孔、3c‥取付孔、
4‥ウインドシールド、5‥カウルパネル(第1パネル部材)、
5a‥挿通孔、5b‥前端、6‥フードシール部(シール部)、6a‥当接部、
6b‥取付部、6c‥スロット、6d‥中空部、7‥ワイパピボット、
8‥ワイパアーム、9‥ワイパブレード、10‥ウォッシャタンク、
12‥ポンプ装置、14‥ウォッシャノズル、14a‥弾性係止片、
14b‥ホース接続口、20‥ホース、30,130,230‥ホースプロテクタ、
31‥本体部(プロテクタ本体)、31a‥平面部、31b‥曲面部、
31c‥側面部、32‥ホースジョイント、32a‥拡径部、33‥連通孔、
35‥接着剤、36‥クランプ部、37‥係合片、37a‥支持部、
37b‥係合部、38‥ホース収容溝、38a‥開口、W‥ウォッシャ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パネル部材に取付けられた弾性材からなるシール部と第2パネル部材とによって挟まれ、前記シール部を横切って一方側から他方側へ可撓性を有するホースを連通状態で配索させるホースプロテクタであって、
前記第2パネル部材に固定され前記シール部と前記第2パネル部材との間に挟持されるプロテクタ本体と、前記シール部の一方側と他方側とを連通するように前記プロテクタ本体に形成された連通孔と、前記シール部の一方側と他方側においてそれぞれ前記連通孔と連通され前記ホースを接続可能なホースジョイントと、を備えたことを特徴とするホースプロテクタ。
【請求項2】
前記プロテクタ本体には、前記第2パネル部材に開口形成された取付孔に挿通され弾性係合する係合片を有するクランプ部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホースプロテクタ。
【請求項3】
第1パネル部材に取付けられた弾性材からなるシール部と第2パネル部材とによって挟まれ、前記シール部を横切って一方側から他方側へ可撓性を有するホースを配索させるホースプロテクタであって、
前記第2パネル部材に固定され前記シール部と前記第2パネル部材との間に挟持されるプロテクタ本体と、前記シール部の一方側から他方側にかけて前記ホースを収容保持可能に前記プロテクタ本体に形成されたホース収容溝と、を備え、
前記プロテクタ本体には、前記第2パネル部材に開口形成された取付孔に挿通され弾性係合する係合片を有するクランプ部が一体に形成されていることを特徴とするホースプロテクタ。
【請求項4】
前記プロテクタ本体は、前記シール部と前記第2パネル部材とに挟持される部位の断面外形が、前記シール部を横切る方向と直交する方向での両端部において、それぞれ端部に近いほど厚さが薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のホースプロテクタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のホースプロテクタを用いたことを特徴とする車両用ウォッシャホースの配索構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−25797(P2008−25797A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202052(P2006−202052)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】