説明

ホール・ガードシステム

【課題】多様で新規な不正遊技に対して適正かつ迅速に判定を行うとともに、作成したワクチンを会員店舗に配布・注入して即座に不正遊技を停止させることを可能にするホール・ガードシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】台コンピュータ4で収集されたデータを基にホストコンピュータ6で分析・監視されてインターネット3等によりセンターコンピュータ1にて総合的に監視するように構成されたホール・ガードシステムにおいて、前記センターコンピュータ1内に、会員店舗2における特定の台コンピュータ4にて発生した特定の不正遊技データを分析、パターン化して該不正遊技に反応するワクチンを作成するワクチン作成手段9を設けるとともに、該ワクチンを全ての会員のホストコンピュータ6に配布・注入するもので、不正遊技の監視は、ワクチンデータとの比較によってなされるので、発生する様々な不正攻略に対してこれを発見することができ、しかも新たな不正遊技に対しても即座にワクチンを作成して会員店舗全てに配布・注入できるので、新たな設備投資等を必要とせず、低コストである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、会員店舗毎に設置され台コンピュータを管理・監視するホストコンピュータと、センターに設置されるセンターコンピュータとをインターネット等の通信網を通じて接続するとともに、前記台コンピュータで収集されたデータを基にホストコンピュータで分析・監視されさらに前記センターコンピュータにて総合的に監視するように構成されたホール・ガードシステムに関する。好適には、パチンコ遊技店舗を会員とするホール・ガードシステムに適用されるが、その他の遊技店舗等にも適用され得る。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ等の景品を伴う遊技施設にあっては、従来から客等による様々な不正行為がなされており、これらの不正遊技を防止しようとする店舗側との間でいたちごっこが続いている。不正遊技としては、パチンコ台やスロット台の盤面を開いたり、磁石を盤面に近づけてパチンコ玉を不正に制御したり、長尺のセルロイド片やピアノ線を用いて直接入玉を制御したり、あるいはコインを不正に取り出したり、賞球電波を不正に送出したり、あるいは不正ROMを不正に組み込んだりすることが行われてきた。そのようなことから、パチンコ台やスルットル台の盤面の開放を検知するセンサーや磁気あるいは電波を検出するセンサーを設置して、検出結果を監視センターに通報するもの(例えば下記特許文献1には、監視センサが電磁波や磁気等による不正操作によって検出作動すると、表示ランプ等の表示手段を点灯させることが記載されている。)が提案された。また、パチンコ台やスロット台毎にコンピュータ端末機を設置して、電源投入時にROMをチェックして異常を監視センターに通報するもの(例えば下記特許文献2には、プログラム用メモリが不正に修正された裏メモリと交換された場合、セキュリティ情報とに不一致が生じて不正行為が発見され、警告手段を作動させることが記載されている)等が提案された。これらのものはパチンコ台あるいはスルットル台や不正ROM等の状態を一義的に把握するもので、言わば、直接検知方式による監視システムに属するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−33167号公報(段落21)
【特許文献2】
特開平11−188169号公報(段落36)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のような直接方式のみによる監視システムでは、近年のようなコンピュータを使用した多様な賞球態様に対する不正遊技や次々と行われる新規な不正遊技に対して適正に監視、対抗することは困難になりつつあり、そして不正遊技を検知できたとしても、会員店舗に対する不正遊技の防止対策が迅速に行われない現状にある。
【0005】
そこで本発明は、従来の直接検知方式のみによるガードシステムの課題を解決して、多様で新規な不正遊技に対して適正かつ迅速に判定を行うとともに、作成したワクチンを会員店舗に配布・注入して即座に不正遊技を停止させることを可能にするホール・ガードシステムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、会員店舗毎に設置され台コンピュータを管理・監視するホストコンピュータと、センターに設置されるセンターコンピュータとをインターネット等の通信網を通じて接続するとともに、前記台コンピュータで収集されたデータを基にホストコンピュータで分析・監視されさらに前記センターコンピュータにて総合的に監視するように構成されたホール・ガードシステムにおいて、前記センターコンピュータあるいはホストコンピュータ内に、会員店舗における特定の台コンピュータにて発生した特定の不正遊技データを分析、パターン化して該不正遊技に反応するワクチンを作成するワクチン作成手段を設けるとともに、該ワクチンを全ての会員のホストコンピュータに配布・注入するように構成したことを特徴とする。また本発明は、前記ホストコピュータによる監視が、パターン化された特定のワクチンとの反応に基づき不正遊技の種類の判定を行う間接検知方式によりなされるように構成したことを特徴とする。前記ホストコピュータによる監視が、特定のセンサーからの異常信号あるいは部品の異常により不正遊技判定を行う直接検知方式も併用して構成したことを特徴とする。また本発明は、前記間接検知方式による監視が、パチンコ台にあっては、スタート信号、賞球払出し信号、アウト信号、大当り信号、確率変動信号、台オープン信号、ケースオープン信号を、または、スロット台にあっては、スタート信号、払出し枚数信号、投入枚数信号、大当り信号、小当り信号、台オープン信号、ケースオープン信号を単位時間毎に収集して全時間保存するとともに、所定時間毎の状態値のバランスの崩れを常時チェックすることによって、不正遊技を検知するように構成したことを特徴とする。また本発明は、前記間接検知方式による監視が、パチンコ台にあっては、スタート信号、賞球払出し信号、アウト信号、大当り信号、確率変動信号、台オープン信号、ケースオープン信号を、または、スロット台にあっては、スタート信号、払出し枚数信号、投入枚数信号、大当り信号、小当り信号、台オープン信号、ケースオープン信号を単位時間毎に収集して全時間保存するとともに、所定時間毎の状態値データのデータ模様をワクチンとして登録し、同様な状態値データの発生を受けて不正遊技を検知するとともに、前記登録されたワクチンを会員全店舗に配布・注入するように構成したことを特徴とする。また本発明は、前記ワクチンに反応した不正遊技の発生と同時に、当該台に対して警報処理および打止信号の送出がなされるとともに、契約警備会社および店舗管理者への警報処理がなされるように構成されたことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【0007】
【実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のホール・ガードシステムの第1実施の形態の概略ブロック構成図、図2はネットワーク構成図、図3は店舗における機器構成図、図4は店舗における機器構成の詳細図、図5は本発明のホール・ガードシステムの第2実施の形態の概略ブロック構成図、図6は本発明のホール・ガードシステムにおける遊技データの判定とワクチン作成フローの概略図、図7は店舗におけるホストコンピュータの監視画面例で115番台の一分間の遊技データの表示窓を示す図、図8は135番台についての画面表示例図、図9は210番台についての画面表示例図、図10R>0はホストコンピュータにおける監視画面のビットパターンの変形例を示す図、図11は本発明のホール・ガードシステムの従来のものとの機能比較図である。
【0008】
図1に示すように、本発明のホール・ガードシステムは、会員店舗毎に設置され台コンピュータ4を管理・監視するホストコンピュータ6と、センターに設置されるセンターコンピュータ1とをインターネット等の通信網(ネットワーク)3を通じて接続するとともに、前記台コンピュータ4で収集されたデータを基にホストコンピュータ6で分析・監視されさらに前記センターコンピュータ1にて総合的に監視するように構成されたホール・ガードシステムにおいて、前記センターコンピュータ1(あるいは後述する第2実施の形態のもののようなホストコンピュータ6)内に、会員店舗における特定の台コンピュータ4にて発生した特定の不正遊技データを分析、パターン化して該不正遊技に反応するワクチンを作成するワクチン作成手段9を設けるとともに、該ワクチンを全ての会員のホストコンピュータ6に配布・注入するように構成したことを特徴とする。
【0009】
以下に詳述すると、会員店舗2内には、パチンコ台またはスロット台毎あるいは2台のパチンコ台またはスロット台を管理する台コンピュータ4と、該台コンピュータ4を数十台集合したものを管理する島コンピュータ5と、これら島コンピュータ5の複数個数を有線あるいは無線LANにて接続したホストコンピュータ(メインコンピュータ)6が設置される。これら会員店舗2、2・・・における各ホストコンピュータ6はインターネット等のネットワーク通信網3にてホールガードセンターのコンピュータ1と接続される。各会員店舗2のホストコンピュータ6を通じて会員店舗2における台コンピュータ4の遊技情報データは、インターネット等を通じてホールガードセンターのコンピュータ1における監視・分析手段7に送信される(白矢印)。
【0010】
ホールガードセンターのコンピュータ1において、遊技情報データを監視・分析手段7にて分析した後、不正遊技発見・データ蓄積手段8によって不正遊技を判定し、新たな不正遊技があれば新データとして蓄積するとともに、新たなワクチンであるとしてワクチン作成手段9により新ワクチンとして登録される。その後、ワクチン配布・注入手段10によりインターネット等を介してる会員店舗2におけるホストコンピュータ6にワクチンが配布・注入される。インターネット等に加入していない会員には、やや時間的な遅れはあるものの、ワクチンが記録された記録媒体を郵送にて送付することもできる。これによって、前記ワクチンに対応する不正遊技が行われると、ホストコンピュータ6の監視によって検知され島コンピュータ5を経由して台コンピュータ4に対応動作の指令が送られ、その台は警報あるいは使用停止がなされる。同時に会員店舗2のホストコンピュータ6を通じて警備会社、ポケベル(携帯電話でも可)、音声合成によるインターカムや放送、メール等により不正遊技が生じた旨の報知がなされる。
【0011】
図2はネットワーク構成図を示すもので、黒丸は会員である加盟店舗2を表し、白丸は非加盟店を表している。これらの会員店舗2の前記ホストコンピュータ6は最寄りのNTT局等を通じてインターネット等のネットワーク3により、ホールガードセンターのコンピュータ1と接続される。図3は会員店舗における機器構成図で、背中合せに配設されたパチンコ台12が多数隣接配列されて島を構成している。図示の例では、背中合せに配設された2台のパチンコ台12、12毎に1つの台コンピュータ4が設置され、2台のパチンコ台12を管理する。島における全ての台コンピュータ4、4・・・を統合管理する島コンピュータ5が島毎に設置される。複数の島コンピュータ5は店舗内の有線あるいは無線LANによりホール・ガードメインコンピュータ(ホストコンピュータ)6に接続されて管理される。
【0012】
図4は店舗における機器構成の詳細図である。ネットワークハブ11によりホストコンピュータ6と複数の島コンピュータ5とがネットワークとして接続される。ホストコンピュータ6は、ホール・ガードシステムの機能を実現するためのソフトウェアを内蔵するコンピュータであり、パチンコ台12からの情報は伝送系機器(ネットワークハブ11、島コンピュータ5、台コンピュータ4)を経由してホストコンピュータ6に集結される。内蔵するソフトウェアにより検知された各種警報情報は、ポケベル呼出装置15やNTT公衆回線網16を経由して運用者に通報される。ワクチン等の注入を行う店舗外ネットワークの接続は、外部ネットワーク接続装置13および外部ネットワーク14を介して行われ、カメラ監視システムはカメラコントロール装置20を介して制御データを送出する。
【0013】
島コンピュータ5は、ホストコンピュータ6およびネットワークハブ11ならびに島コンピュータ5の伝送経路と、島コンピュータ5および台コンピュータ4の伝送経路を結合するためのネットワークアダプタ機器で、両者のプロコトルが異なっているため必要となる。台コンピュータ4は、パチンコ台またはスロット台12からの情報を収集するためのネットワーク端末機器である。1端末当り2台のパチンコ台またはスロット台に接続することができ、ディジーチェーン式の接続方式を採る。音声合成装置17は、ホストコンピュータ6が検知した警報情報を音声により告知するための変換機能を有する装置で、店内放送設備18および店内用インターカム19により警報音声を店内に流す。
【0014】
図5は本発明のホール・ガードシステムの第2実施の形態の概略ブロック構成図で、前記図1の第1実施の形態のものが不正遊技の発見やワクチンの作成・蓄積等をホール・ガードセンターのコンピュータ1において行うのに対して、本実施の形態のものでは、会員店舗2におけるホストコンピュータ6において不正遊技の発見やワクチンの作成・蓄積等を行えるように構成したものである。各台コンピュータ4からの遊技情報を島コンピュータ5に集結した後、店舗内LAN等を介してホストコンピュータ6に集結する。該ホストコンピュータ6内では、遊技情報データを監視・分析手段7にて分析した後、不正遊技発見・データ蓄積手段8によって不正遊技を判定し、新たな不正遊技があれば新データとして蓄積するとともに、新たなワクチンであるとしてワクチン作成手段9により新ワクチンとして登録される。その後、ワクチン配布・注入手段10によりインターネット等を介してホール・ガードセンターのコンピュータ1にワクチンデータを送信する。なお、前記図1の第1実施の形態のセンターコンピュータ内にて遊技情報分析・ワクチン作成を行う形式のものと、本実施の形態の会員店舗のホストコンピュータ内にて遊技情報分析・ワクチン作成を行う形式のものとを組み合わせて構成することもできる。
【0015】
ホール・ガードセンターのコンピュータ1では、ワクチン受付手段27により前記不正遊技が発見された特定の会員店舗からのワクチンデータを受け付け、ワクチン蓄積手段28にて該新たなワクチンデータを保存蓄積する。同時に、ワクチン配布手段により他の会員全てにインターネット等のネットワーク3を通じて当該ワクチンデータを配布する。会員店舗では、ホストコンピュータ6における不正遊技発見・データ蓄積手段8に受信したワクチンデータを保存蓄積し、該ワクチンに反応する不正遊技を排除することができる。
【0016】
図6は遊技データの判定とワクチン作成フローの概略図である。以下簡単に説明する。ステップS1において、各パチンコ台またはスロット台に設置された賞球の種類毎のセンサーからのセンサーデータを、台データとして単位時間(1秒間)毎に台コンピュータ4によりサンプリングする。つまり、パチンコ台にあっては、入賞、大当り、賞球、アウト玉、確率変動を、スロット台にあっては、スタート、払出し枚数、投入枚数、大当り、小当り等のバランスを常時チェックするもので、単位時間を物差しとして様々なバランスの崩れを検知して不正遊技を発見するものである。センサーデータをタイムスライスして単位時間で全センサーデータを取り込み、その状態値を積算することなくそのまま電送して全時間保存する(ステップS2)。ステップS3において、前記単位時間の状態値(パチンコ台にあっては、入賞、大当り、賞球、アウト玉、確率変動、スロット台にあっては、スタート、払出し枚数、投入枚数、大当り、小当り等)をある所定間隔(1分間)を表示窓として表示する(特定の台を指定して表示される)。表示内容をスライドして前後表示する。
【0017】
このようにして収集された状態値データは、ステップS4にて正常状態値と比較され、所定の範囲内にあればルーチンとしてステップS1に戻る。収集されたデータが正常状態値の範囲から逸脱した場合は、ステップS5に移行し、データベース化された既成のワクチンの一つの状態値と比較され、所定のn%で同じであればステップS6にて即座に警報が発せられる。その後、ステップS7にて台停止の設定の有無を検出して、台停止が設定されていればステップS8にて台停止がなされる。台停止がなされていなければ、ステップS1に戻り、しばらくの間、不正遊技の監視が続行される。ステップS5にて否が判断されると、ステップS9にて新規不正遊技の可能性有りとして記録される。単位時間の状態値がそのまま保存されたものを、状態値であるビットパターン(後述する)のままパターンマッチングで不正判定に使用する。ビットパターンを積算し数値として判定に利用する。前述したように、状態値は全時間保存されるので、時間と入賞(スタート信号)を暗号としたセット打ちも発見できる。また、ワクチンは検知するデータの型によって何種類かに分類される。
【0018】
以下、ワクチンについて述べる。直接検知方式ではセンサーからの信号入力と同時に不正判定が行えるが、間接検知方式では、1または複数のセンサーから収集された単位時間毎のビットパターンのデータを解析して、データの持つ意味(すなわち不正遊技の種類と遊技方法)についてデータベース化しておき、このデータと不正遊技との関係を使用して実際に行われている遊技を検知する。不正遊技を検知するパターンデータ群、数値、個別プログラム等をワクチンと呼ぶ。これらワクチンの1または複数は、ある特定の不正遊技に対応している。間接検知方式ではどのワクチンに反応するかで、どの不正遊技が実際に行われているかを判定して不正遊技を検知するものである。このように、不正遊技に対してハード的なセンサーを取り付けることなく検出が可能となった。
【0019】
<ワクチン例1>
大当りから一定時間前(30分前)に遡ってそのデータ(スタート、アウト、賞球、スロットにあっては、スタート、投入枚数、払出し枚数の組合せ)がワクチンパターンのいずれかに合致するか、または、何パーセントがパターンマッチするかによって判定される。不正遊技の新しいパターンデータは管理者によってパターンデータベースに追加される。
<ワクチン例2>
ある正常な数値範囲の中にあるかどうかを判定する。入賞、大当り、賞球、アウト玉、確率変動等の計算値によって正常な数値は不正遊技の方法毎に多くの種類がある。新規な不正遊技の新しい正常数値は管理者によってデータベースに追加される。遊技する人の技量によって発生するデータの振れ(個性)を移動平均によって吸収する。毎日の台調整(釘調整)によって変動する台の個性を、変動する判定基準値の採用によって吸収し、不正遊技判定の精度を維持向上させる。
【0020】
次に判定タイミングについて述べる。判定タイミングとしては定時送信によるものと緊急(即時)送信によるものとがある。定時送信では、状態値の1分間のデータを1分間毎に送信する。緊急(即時)送信では、大当り、台オープン、ケースオープン等の事象が発生した場合に、即座に送信が行われる。特別優先通信権を持った通信である。送信は、伝送路に電気的信号のある間隔空白時間が発生した場合に送信される。異常検知後の対応として、24VDC、12VDC、5VDC、フォトカプラー選択出力や、リレースイッチのオン等、発射制御の初期値が設定できる。
【0021】
図7〜図9を用いて、会員店舗2のホストコンピュータ6における遊技の監視状態例を説明する。図7の画面表示例はパチンコ115番台についてのもので、18時16分26秒に115番台で台オープンが発生したことが検知され、同時に115番台について18時16分からの1分間の遊技状態値(ビットパターン)が表示されたものである。ビットパターン表示部において、「大当り」は大当りの発生の有無を示し、「確変」は115番台における大当りの通常の確率に対する変動を示し、「オープン」はパチンコ台枠の開扉の検知を示し、「スタート」は抽選機の権利取得を示し、「アウト」は外れを示すもので、当り玉を含めてパチンコ玉の総数が把握できる。「賞球」は当りに入って玉が出ることを示す。
【0022】
図8の画面表示例はパチンコ135番台についてのもので、11時58分からのビットパターンについて見ると、スタート回数および発射(アウト)は正常なパターンを示している。しかしながら、賞球の払出しについては、大当りでもないのに異常に回数が多いことが分かる。したがって、セル、ピアノ線、磁石等の不正手段が使用されスタート以外の入賞穴に入賞が行われたことが推定される。これによって、監視画面では、11時58分38秒に135番台でセル、ピアノ線、磁石異常が発生と判定された。
【0023】
図9の画面表示例は210番台についてのもので、14時11分からのビットパターンについて見ると、スタートが規則的な時間で入っていてアウトが同様に規則的に打っているが、単発打ちしている状態が明らかである。このような打ち方が連続して行われていることから、体感器(不正に組み込んだROMと同じ挙動を有する機器を懐中に隠し持って体感で賞球時期等を把握するもの)による異常が判定される。監視画面では、14時11分02秒に215番台で体感器による異常が発生と表示されている。図10はホストコンピュータにおける監視画面のビットパターンの変形例を示す図で、前記図7〜9の0と1とから構成されるビットパターンに代えて、見易いドットパターンを得るために、0の代わりにアンダードットにて表示した例である。アンダードットの他、アンダーバー、アンダーポイント、ハイフォン、ポイント、ドット等が使用される。
【0024】
図11は本発明のホール・ガードシステムの従来のものとの機能比較図で、AネットおよびBネットシステムによる従来の直接検知方式のものでは、台枠オープンの検知が可能である程度であるのに対して、本発明のホール・ガードシステムでは、遊技状態値(ビットパターン)の把握により、あらゆる異常状態を的確かつ迅速に検知することが可能であることが分かる。特に、従来のものにはない、画像システムとの連動、外部への通知、データ保存、再現機能、拡張性に優れるものである。
【0025】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、台コンピュータ、島コンピュータおよびホストコンピュータの形状、形式およびそれらのLAN等を通じた接続形態、ホストコンピュータとセンターコンピュータとを接続するインターネット等の通信網ネットワークの形態、不正遊技の分析、パターン化形態、ワクチン作成形態、ワクチン配布・注入形態、遊技状態値を把握するためのセンサーの種類および配設位置、パチンコ台にあっては、スタート信号、賞球払出し信号、アウト信号、大当り信号、確率変動信号、台オープン信号、ケースオープン信号、スロット台にあっては、スタート信号、払出し枚数信号、投入枚数信号、大当り信号、小当り信号、台オープン信号、ケースオープン信号等の監視すべき遊技状態値を得る対象として、必要に応じてオプション等により、ホストコンピュータの電源オフ検知、画像による監視、店舗のトータル保安管理(券売機オープン、両替機オープン、換金所オープン、玉場オープン、賞品倉庫オープン)等が加えることができる。また、状態値のサンプリング時間(1秒間以外も可)、状態値の表示時間(1分間以外も可)、所定時間毎の状態値のバランスの崩れのチェック形態(ビットパターン比較の他、適宜の数値比較も採用できる)、ワクチンの作成形態および配布・注入形態、不正遊技に対する店舗内および警備会社等への警報処理(ポケベル、メール、電話、インターカムによるメロディや音声、警報ランプ点灯等の他適宜の警報形態が採用される)および打止信号の送出形態等については適宜選定できる。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、会員店舗毎に設置され台コンピュータを管理・監視するホストコンピュータと、センターに設置されるセンターコンピュータとをインターネット等の通信網を通じて接続するとともに、前記台コンピュータで収集されたデータを基にホストコンピュータで分析・監視されさらに前記センターコンピュータにて総合的に監視するように構成されたホール・ガードシステムにおいて、前記センターコンピュータあるいはホストコンピュータ内に、会員店舗における特定の台コンピュータにて発生した特定の不正遊技データを分析、パターン化して該不正遊技に反応するワクチンを作成するワクチン作成手段を設けるとともに、該ワクチンを全ての会員のホストコンピュータに配布・注入するように構成したことにより不正遊技の監視は、ワクチンデータとの比較によってなされるので、発生する様々な不正攻略に対してこれを発見することができ、しかも新たな不正遊技に対しても即座にワクチンを作成して会員店舗全てに配布・注入できるので、新たな設備投資等を必要とせず、低コストである。
【0027】
また、前記ホストコンピュータによる監視が、パターン化された特定のワクチンとの反応に基づき不正遊技の種類の判定を行う間接検知方式によりなされるように構成した場合は、正常状態値との比較や特定ワクチンとの比較が明瞭になされる上、多様な不正攻略に対応することが可能となる。
さらに、前記ホストコンピュータによる監視が、特定のセンサーからの異常信号あるいは部品の異常により不正遊技判定を行う直接検知方式も併用して構成した場合は、瞭然とした特定の部品のセンサーからの異常信号の検知と、多様な不正攻略に対応することが可能な間接検知方式と組み合わせて、より確実に不正遊技判定を行うことが可能となる。
【0028】
さらにまた、前記間接検知方式による監視が、パチンコ台にあっては、スタート信号、賞球払出し信号、アウト信号、大当り信号、確率変動信号、台オープン信号、ケースオープン信号を、または、スロット台にあっては、スタート信号、払出し枚数信号、投入枚数信号、大当り信号、小当り信号、台オープン信号、ケースオープン信号を単位時間毎に収集して全時間保存するとともに、所定時間毎の状態値のバランスの崩れを常時チェックすることによって、不正遊技を検知するように構成した場合は、監視信号を各部品から得るものであっても、多様な不正遊技に対応できるばかりでなく、新たな不正遊技に対しても対応できる他、単位時間毎に収集した信号を全時間保存して時間と入賞(スタート信号)を暗号としたセット打ちも発見できる。
また、前記間接検知方式による監視が、パチンコ台にあっては、スタート信号、賞球払出し信号、アウト信号、大当り信号、確率変動信号、台オープン信号、ケースオープン信号を、または、スロット台にあっては、スタート信号、払出し枚数信号、投入枚数信号、大当り信号、小当り信号、台オープン信号、ケースオープン信号を単位時間毎に収集して全時間保存するとともに、所定時間毎の状態値データのデータ模様をワクチンとして登録し、同様な状態値データの発生を受けて不正遊技を検知するとともに、前記登録されたワクチンを会員全店舗に配布・注入するように構成した場合は、前記同様の効果の他、新たな不正遊技からワクチンを作成して全ての会員店舗に配布・注入することができるので、会員店舗相互にて強力な防御機能が発揮でき、加盟店には優良な顧客が自然に集まることとなる。
【0029】
さらに、前記ワクチンに反応した不正遊技の発生と同時に、当該台に対して警報処理および打止信号の送出がなされるとともに、監視カメラによる画像記録との連動や契約警備会社および店舗管理者への警報処理がなされるように構成された場合は、被害を最小限に抑えるとともに、不正遊技を画像記録しさらに報知して、不届き者を速やかに排除することが可能となる。
このように、本発明によれば、多様で新規な不正遊技に対して適正かつ迅速に判定を行うとともに、作成したワクチンを会員店舗に配布・注入して即座に不正遊技を停止させることを可能にするホール・ガードシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホール・ガードシステムの第1実施の形態の概略ブロック構成図である。
【図2】同、ネットワーク構成図である。
【図3】同、店舗における機器構成図である。
【図4】同、店舗における機器構成の詳細図である。
【図5】本発明のホール・ガードシステムの第2実施の形態の概略ブロック構成図である。
【図6】本発明のホール・ガードシステムにおける遊技データの判定とワクチン作成フローの概略図である。
【図7】店舗におけるホストコンピュータの監視画面例で115番台の一分間の遊技データの表示窓を示す図である。
【図8】同、135番台についての画面表示例図である。
【図9】同、210番台についての画面表示例図である。
【図10】同、ホストコンピュータにおける監視画面のビットパターンの変形例を示す図である。
【図11】本発明のホール・ガードシステムの従来のものとの機能比較図である。
【符号の説明】
1   ホール・ガードセンター(コンピュータ)
2   会員店舗
3   ネットワーク(インターネット等)
4   台コンピュータ
5   島コンピュータ
6   ホストコンピュータ(メインコンピュータ)
7   監視・分析手段
8   不正遊技発見・データ蓄積手段
9   ワクチン作成手段
10   ワクチン配布・注入手段
11   ネットワークハブ
12   パチンコ台・スロット台
13   外部(店舗外)ネットワーク接続装置
14   外部(店舗外)ネットワーク
15   ポケベル呼出装置(携帯電話呼出装置)
16   NTT公衆回線網
17   音声合成装置
18   店舗内放送設備
19   店舗内インターカム
20   カメラコントロール装置
27   ワクチン受付手段
28   ワクチン蓄積手段
30   ワクチン配布手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会員店舗毎に設置され台コンピュータを管理・監視するホストコンピュータと、センターに設置されるセンターコンピュータとをインターネット等の通信網を通じて接続するとともに、前記台コンピュータで収集されたデータを基にホストコンピュータで分析・監視されさらに前記センターコンピュータにて総合的に監視するように構成されたホール・ガードシステムにおいて、前記センターコンピュータあるいはホストコンピュータ内に、会員店舗における特定の台コンピュータにて発生した特定の不正遊技データを分析、パターン化して該不正遊技に反応するワクチンを作成するワクチン作成手段を設けるとともに、該ワクチンを全ての会員のホストコンピュータに配布・注入するように構成したことを特徴とするホール・ガードシステム。
【請求項2】
前記ホストコピュータによる監視が、パターン化された特定のワクチンとの反応に基づき不正遊技の種類の判定を行う間接検知方式によりなされるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のホール・ガードシステム。
【請求項3】
前記ホストコピュータによる監視が、特定のセンサーからの異常信号あるいは部品の異常により不正遊技判定を行う直接検知方式も併用して構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のホール・ガードシステム。
【請求項4】
前記間接検知方式による監視が、パチンコ台にあっては、スタート信号、賞球払出し信号、アウト信号、大当り信号、確率変動信号、台オープン信号、ケースオープン信号を、または、スロット台にあっては、スタート信号、払出し枚数信号、投入枚数信号、大当り信号、小当り信号、台オープン信号、ケースオープン信号を単位時間毎に収集して全時間保存するとともに、所定時間毎の状態値のバランスの崩れを常時チェックすることによって、不正遊技を検知するように構成したことを特徴とする請求項2または3に記載のホール・ガードシステム。
【請求項5】
前記間接検知方式による監視が、パチンコ台にあっては、スタート信号、賞球払出し信号、アウト信号、大当り信号、確率変動信号、台オープン信号、ケースオープン信号を、または、スロット台にあっては、スタート信号、払出し枚数信号、投入枚数信号、大当り信号、小当り信号、台オープン信号、ケースオープン信号を単位時間毎に収集して全時間保存するとともに、所定時間毎の状態値データのデータ模様をワクチンとして登録し、同様な状態値データの発生を受けて不正遊技を検知するとともに、前記登録されたワクチンを会員全店舗に配布・注入するように構成したことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のホール・ガードシステム。
【請求項6】
前記ワクチンに反応した不正遊技の発生と同時に、当該台に対して警報処理および打止信号の送出がなされるとともに、契約警備会社および店舗管理者への警報処理がなされるように構成されたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のホール・ガードシステム。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate



【図6】
image rotate



【図7】
image rotate



【図8】
image rotate



【図9】
image rotate



【図10】
image rotate



【図11】
image rotate


【公開番号】特開2004−113482(P2004−113482A)
【公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−281255(P2002−281255)
【出願日】平成14年9月26日(2002.9.26)
【出願人】(396005140)
【出願人】(396005162)日本ソフトエンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】