説明

ボアホールから離れた領域における非線形の音響特性の3次元画像を生成するシステム及び方法

本開示の一部の態様において、搬送検層装置を用いてボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像及び縦波速度対横波速度比を生成する方法が開示される。一部の態様において、前記方法は、前記ボアホール内に第1音響源を配置して第1周波数の弾性エネルギーの可動ビームを生成する工程と、前記ボアホール内に第2音響源を配置して第2周波数の弾性エネルギーの可動ビームを生成する工程と、前記第1周波数の前記可動ビーム及び前記第2周波数の前記可動ビームが前記ボアホールから離れた位置においてインターセプトする工程と、前記ボアホールにおいてセンサのアレイによって、前記第1周波数と前記第2周波数との差に等しい周波数を有するとともに非線形の混合ゾーンにおける3つの波の非共線混合処理によって生成された前記ボアホールの方向への伝播方向を有する第3の弾性波を受信する受信工程と、前記第1音響源及び前記第2音響源の配置、前記第3の波の方向、及び音響的に非線形な媒体における非共線混合を支配する選択規則に基づいて前記3つの波の混合ゾーンの位置を特定する特定工程と、前記生成工程、前記受信工程、及び前記特定工程を複数の方位角、傾斜、及び前記ボアホール内の長手方向位置において繰り返すことによって記録されるデータを用いて前記非線形特性の3次元画像を作成する工程とを備える。この方法は、前記ボアホール周囲の同一の領域の圧縮音響速度対せん断音響速度比の3次元画像を生成するために追加的に用いられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年5月11日に出願された米国特許出願第12/463,802号に基づく優先権を主張する。この米国特許出願第12/463,802号は、2009年4月16日に出願された米国仮出願第61/170,070号に基づく優先権を主張する。この両出願は、米国特許法第119条(e)の規定に基づき、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、米国エネルギー省によって認められた共同研究開発契約(Cooperative Research And Development Agreement(CRADA))の契約番号DE-AC52-06NA25396に基づく米国政府の支援を得てなされた。米国政府は本発明について所定の権利を有する。
【0003】
本発明は、一般には岩石層の地震波探査に関し、より具体的には弾性エネルギーを提供するように構成されたボアホール内音響源の組み合わせを使用し、3波混合処理によって形成される第3の波を受信して解析することによって、ボアホールから離れた領域における非線形特性及び縦波速度対横波速度比の3次元画像を生成することに関する。
【背景技術】
【0004】
地盤特性の音響探査は、使用する波源の寸法及び出力によって制限される傾向にあり、実際には、採掘孔用音響トランスデューサの出力はワイヤー線ケーブルの電力伝送能力によって制限される。高周波信号の浸透距離は相対的に短いが、その一方、低周波信号を用いるためには、地層へ伝送されるエネルギーを最大化するとともに掘削孔内の不要信号を最小化するために、ボアホール壁に固定された大きな波源を必要とすることが多い。現在の音響ボアホール装置は、ボアホール壁に沿って伝播し、又は、ボアホール周辺の岩石層の線形特性の不均質構造によって散乱される反射音響波を検出するボアホール内の音響源を念頭に設計されている。Leggett三世らの米国特許第7,301,852号は、2つの音響源アレイを用いてボアホールから放射し、音響信号の交差位置において岩石内の非線形混合によって第3の波を生成することで岩石層の境界を検出するように構成された採掘同時検層(Logging While Drilling)装置を開示している。第3の波は地盤特性の不均一性によって散乱され、散乱された信号が検層装置のセンサによって検出される。この音響源アレイの開示は、単に方向性を示すものに過ぎず、追加的な説明はなされていない。
【0005】
油層探鉱や天然ガス探査地点においてボアホールから地層の非線形特性を明らかにするための試みが行われているが、いずれの方法にも限界がある。例えば、D’Angeloらの米国特許第5,521,882号には、ボアホール壁に沿って伝播する非線形の波を、周囲の岩石層への侵入及び採掘孔泥水への屈折を限定的にして、受圧部を用いて記録するように構成された音響装置が開示されている。Khanの米国特許第6,175,536号には、1つのボアホールから地層へ送信され別のボアホールで受信された地震波信号のスペクトル分析によって地層の非線形性の程度を推定する方法が開示されている。このような従来技術を考えると、ボアホールから離れた領域において非線形特性の3次元画像を生成する装置及び方法が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一部の態様に従って、搬送検層装置を用いてボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成する方法が開示される。この方法は、前記ボアホール内に第1音響源を配置して第1周波数の弾性エネルギーを生成し、前記ボアホール内に第2音響源を配置して第2周波数の弾性エネルギーを生成する生成工程と、前記第1周波数及び前記第2周波数の弾性エネルギーが前記ボアホールから離れた位置にある混合ゾーンにおいてインターセプトする工程と、前記ボアホールにおいてセンサのアレイによって、前記第1周波数と前記第2周波数との差に等しい周波数を有するとともに非線形の混合ゾーンにおける3つの波の非共線混合処理によって生成された前記ボアホールの方向への伝播方向を有する第3の弾性波を受信する受信工程と、前記第1音響源及び前記第2音響源の配置、前記第3の波の方向、及び音響的に非線形な媒体における非共線混合を支配する選択規則に基づいて前記3つの波の混合ゾーンの位置を特定する特定工程と、前記生成工程、前記受信工程、及び前記特定工程を複数の方位角、傾斜、及び前記ボアホール内の長手方向位置において繰り返すことによって記録されるデータを用いて前記非線形特性の3次元画像を作成する工程と、を備える。
【0007】
本開示の一部の態様に従って、搬送検層装置を用いてボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成する方法が開示される。この方法は、前記ボアホール内に第1音響源を特定の空間構成で配置して第1周波数の弾性エネルギーを生成し、前記ボアホール内に第2音響源を配置して第2周波数の弾性エネルギーを生成する生成工程と、前記ボアホールにおいて3成分センサのアレイによって、前記第1周波数と前記第2周波数との差に等しい周波数を有し、前記ボアホールへ戻ってくる3波混合処理によって生成された第3の弾性波の到来を受信する受信工程と、前記センサアレイによって受信された信号に基づいて前記第3の波の伝播方向を決定する決定工程と、前記第1の音響源と前記第2音響源の配置及び前記第3の波の前記伝播方向に基づいて3波混合領域の位置を画像処理するする画像処理工程と、複数の方位角、傾斜、及び前記ボアホール内の長手方向位置において前記生成工程、前記受信工程、前記決定工程、及び前記画像処理工程を繰り返して記録されたデータを用いて前記非線形特性の3次元画像を形成する工程と、を備える。
【0008】
本開示の一部の態様に従って、搬送検層装置を用いてボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成する方法がさらに開示される。これらの方法においては、2つの音響源及びセンサのアレイの前記ボアホール内における構成は共通しているが、一の音響源又は他の音響源が弾性エネルギーの可動ビーム又は可動波を生成でき、及び前記アレイ内の前記センサユニットが無指向性3成分装置の組み合わせであってもよい点で異なっている。この方法は、前記ボアホール内に第1音響源を特定の空間構成で配置して第1周波数を有する弾性エネルギーの可動一次ビーム又は弾性エネルギーの可動一次波を生成し、前記ボアホール内に第2音響源を配置して第2周波数を有する可動一次ビーム又は弾性エネルギーの可動一次波を生成し、前記2つの音響源からの前記弾性エネルギーが前記ボアホールから離れた位置において混合するようにする生成工程と、前記第1周波数と前記第2周波数との差に等しい周波数を有し、特定の方向へ伝播して前記ボアホールへ戻ってくる3波混合処理によって生成された第3の弾性波の到来を受信する受信工程と、前記第1の音響源及び前記第2音響源の配置及び前記第3の波の信号の特性に基づいて3波混合領域の位置を決定する決定工程と、複数の方位角、傾斜、及び前記ボアホール内の長手方向位置において前記生成工程、前記受信工程、及び前記決定工程を繰り返して記録されたデータを用いて前記非線形特性の3次元画像を形成する工程と、を備える。
【0009】
本開示の一部の態様に従って、前記ボアホール周辺の地盤の前記非線形特性の3次元画像は、地盤の非線形性と前記特性との適切な関係を用いて貯留層特性に変換される。この画像は、検層時の特性であってもよく、時間的に離れた2つの検層実行間での変化を表すものであってもよい。
【0010】
本開示の一部の態様に従って、前記ボアホール周囲の岩石の圧縮音響速度対せん断音響速度比の3次元画像を生成する方法が開示される。これらの方法は、上述の[0005]段落から[0008]段落において説明された非線形特性の3次元画像を形成する方法の変形である。
【0011】
搬送検層装置を用いてボアホールから離れた岩石層の非線形特性及び縦波速度対横波速度比の3次元画像を生成する装置が開示される。この装置は、前記ボアホール内に配置され、第1周波数の弾性エネルギーの可動ビーム又は可動波を生成する第1音響源と、第2周波数の弾性エネルギーの可動ビーム又は可動波を生成する第2音響源と、前記第1周波数及び前記第2周波数のビーム又は波が前記ボアホールから離れた位置でインターセプトし、観測対象領域の非線形特性が前記第1周波数と前記第2周波数との差に等しい周波数を有するとともに前記ボアホールの方向への伝播方向を有する第3の弾性波を3波混合処理により生成するときに当該第3の弾性波を受信するように構成された無指向性又は3成分センサアレイと、前記ボアホール内に配置され、音響源の放射及び第3の弾性波の記録を制御する第1プロセッサと、有線装置用に有線ケーブルを介して坑上にデータを伝送するように構成された装置と、前記受信された第3の波の特性及び前記第1の音響源及び前記第2音響源の配置に少なくとも部分的に基づいて前記3次元画像を形成するように構成された第2のプロセッサと、を備える。
【0012】
本発明の上記及び上記以外の目的、特徴、及び性質、並びに、関連する構成要素の動作方法及び機能、そして製造における各部分の組み合わせと経済性については、添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明と添付の特許請求の範囲を検討することによってさらに明らかになる。これらはいずれも本明細書の一部を構成する。本明細書において、同様の参照符号は種々の図における対応部分を表している。添付図面は例示及び説明のためのものであり、本発明の発明特定事項の定義として用いることは意図されていない。本明細書及び特許請求の範囲における用法によれば、単数形の"a"、"an"及び"the"には複数のものへの言及が含まれるが、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りでない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本開示の様々な態様に従って、ボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成するための構成を示す。
【0014】
【図2】図2は、本開示の様々な態様に従って、ボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成するための構成を示す。
【0015】
【図3】図3は、本開示の様々な態様に従って、ボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成するための構成を示す。
【0016】
【図4】図4は、本開示の様々な態様に従って、ボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成するためのフローチャートを示す。
【0017】
【図5】図5は、2つの一次波がビームの場合における表1のビーム間相互作用の選択規則1の数値シミュレーションを示す。
【0018】
【図6】図6は、非線形混合選択規則によって支配される2つの一次音響波の非線形混合による差分周波数の第3の波の生成の幾何学的配置を示す。
【0019】
【図7】図7は、ビームとブロードビーム又は平面波を用いてイメージングを行う本開示の一態様の適用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本開示の様々な態様に従って、ボアホールから離れた領域における非線形特性及び縦波速度対横波速度比の3次元画像を生成することができる複数の構成の1つを示す。第1音響源105はボアホール110内に設置されており、第1周波数f1で音響エネルギーの可動一次ビームを生成する。第2音響源115もボアホール110内に配置されており、第2周波数f2で音響エネルギーの可動一次ビームを生成する。一例として、第1音響源105及び第2音響源115はいずれもフェイズドアレイ音響源であってもよく、縦波ビーム又は横波ビームの一方を生成するように構成されていてもよい。
【0021】
図1に示されるように、第1音響源105は第1装置本体120に配置され、第2音響源115は第2装置本体125に配置される。しかし、この開示は限定的なものではなく、第1装置本体120及び第2装置本体125を共通の装置本体(不図示)に共に配置することもできる。装置本体120及び125は、ボアホール110の長軸150に沿った平行移動及びボアホール110の長軸周りの方位角の回転155を含む少なくとも2自由度でボアホール110内を独立に移動できるように設けられる。第1音響源105は、ボアホール110内において第2音響源115の上方に配置されてもよく下方に配置されてもよい。装置本体120及び125は、ボアホール110内で搬送検層装置(不図示)に設けられてもよい。
【0022】
第1音響源105及び第2音響源115の所定の方位角方向に対して、第2音響源115によって生成されたビーム及び第1音響源105によって生成されたビームは、ボアホール110から離れた混合ゾーン130において集光及びインターセプトされるように構成される。ビームを独立に操縦することと音響源105、115間の角距離を変化させることを組み合わせることによってインターセプション角(angle of interception)を制御するときに、混合ゾーン130は、ビームとボアホールの長軸150とによって定義される平面内を移動する。混合ゾーン130のボアホール110からの距離は、ボアホール110のエッジ近辺から周辺の地下岩石層に約300メートル入ったところまでの幅がある。一例として、[0018]段落において説明されている音響源アレイにおける隣接する要素間での位相差及び/又は時間遅延は、一次ビームの音響エネルギーを特定の混合ゾーンに集中させるために修正される。
【0023】
2つの波の間における地盤の非線形特性によって第3の弾性波が生成される。この第3の弾性波は、非線形物質(ここでは岩石層)において起こる3波混合処理によって生成される。この処理では、異なる周波数f1及びf2を有する2つの集束非共線波(一次波とも称される)が混合して、f1-f2、f1+f2、2×f1及び2×f2等の調和周波数及び相互変調周波数を有する追加的な波が形成される。第3の波の強度は、混合ゾーンにおける岩石の非線形性の関数である。一例として、周波数f1の一次圧縮(P)波及び周波数f2の一次せん断(SV)波が非線形媒体を通過するときに、周波数f1-f2の第3の圧縮(P)波又はせん断(SV)波が生成される。さらなる説明については、Johnson et al. (1987)及びJohnson and Shankland (1989)を参照のこと。これらの文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0024】
以下の[0031]段落及び[0033]段落において伝播選択規則(propagation selection rules)に基づいて説明されるように、第3の波の伝播ベクトルは、2つの一次波の伝播ベクトルと同一面上にある。交角、f1/f2比、及び縦波速度対横波速度比を適宜組み合わせることにより、ボアホール110に戻る一次ビームに対して特定の角度の方向に伝播する周波数f1-f2の第3の弾性波が得られる。
【0025】
センサ又は受信機アレイ135は、ボアホール110に戻ってくる第3の波を検出するためにボアホール110内の特定の位置に配置される。図示のように、本開示の一部の態様におけるセンサアレイ135は、センサ装置本体140に接するが装置本体120及び125とは別個に配置されるセンサアレイを構成する2以上のセンサを含む。センサ135は、ボアホール110の長軸150に沿ってボアホール110内を独立して移動可能に構成される。一部の態様において、センサ装置本体140は装置本体120及び125の下方に配置され、又は、装置本体120及び125の上方及び下方に配置される。一部の態様において、センサ装置本体140は、装置本体120及び125の一方又は両方と接続される。
【0026】
第3の波は、センサアレイ135によって、ボアホール110内で検出される。図2は、図1と同様の配置を示す。図2においては、受信機135がボアホール壁に固定された3成分ジオフォン145によって置き換えられている。到着する第3の波の到来方向を決定してシステムに冗長性を加えるために、得られた信号は情報処理によって傾斜及び方位角に分解される。
【0027】
一部の態様において、コンピュータ読み取り可能な命令(不図示)を実行するように構成された第1プロセッサは、音響源放射の制御及びセンサアレイ135によって記録されたデータの圧縮又はフィルタリング等の処理タスクを実行するためにボアホール110内に配置されてもよい。コンピュータ読み取り可能な命令(不図示)を実行するように構成された第2のプロセッサは、第1プロセッサを補助し又は第1プロセッサとは異なる処理タスクを実行するためにボアホール110の外部に配置されてもよい。例えば、第2のプロセッサは、3次元画像を生成する際の一部分の処理又はすべての処理を実行することができる。送信機又は受信機(不図示)は、有線ケーブル(不図示)を介して坑上にデータを伝送するためにボアホール110内に配置されてもよい。
【0028】
音響源105、115の一方のボアホールに沿った所定の深さにおいて、ボアホール軸を通る平面において混合ゾーンを空間的に走査するために一定の相対方向の傾斜でビームを掃引し、混合領域を回転走査するために音響源を方位角方向に回転し、アッセンブリ全体をボアホール110に沿って移動させることにより、非線形特性を得るためにボアホール周囲の混合ゾーンの3次元領域を走査できる。音響源105、115及びセンサアレイ135を独立の装置本体に配置することにより、データの高い冗長性が得られ、探査の際の深さを変化させることができる。このようにして、非線形特性を得るためにボアホール周囲の岩石の3次元領域を調べることができ、戻ってきた信号に基づいて非線形特性の3次元画像を処理及び計算することができる。
【0029】
図3は、本開示の様々な態様に従って、ボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成するための他の構成を示す。図3の配置は、図2の配置と似ているが、主要な相違点は、ボアホール110内に配置されている音響源が可動ビームに代えて弾性波を生成することである。図3に示されているとおり、第1音響源305は、ボアホール110内において第1装置本体320に接するように配置されており、音響エネルギーの第1周波数f1の第1弾性波を生成する。第2音響源315は、ボアホール110内に第2装置本体325に接するように配置され、音響エネルギーの第2周波数f2の第2弾性波を生成する。音響源305、315によって生成される第1及び第2弾性波は、様々な混合ゾーン130においてボアホール110から離れた位置でインターセプトするように構成される。受信機145は、ボアホール110内に配置されて、上述した3波混合処理によって混合ゾーン130で生成された第3の波を受信する。3波混合処理についてはさらに後述する。音響源305、315によって生成された波は本質的に無指向性なので、波の混合は混合ゾーン130の全領域において同時に発生し、図で表した面の外まで拡がる。また、受信機145は指向性を有する傾向がある。この目的のために、一例として3成分ジオフォンアレイを用いることができる。得られた信号は、傾斜・方位角及び走時の範囲において、情報処理により複数の到来信号に分解される。音響源及び受信機の位置、走時、及び分解された指向性を有する到着方向を前提とすると、以下の[0031]段落から[0033]段落で説明される選択規則を適用して第3の波が生成された固有の混合ゾーンを決定するための十分な情報があるといえる。この固有の写像により、受信信号の特性に基づいて3次元画像を生成することができる。
【0030】
図4は、搬送検層装置を用いて、非線形特性の3次元画像及び縦波速度対横波速度比を形成する方法を示す。この方法は、まずステップ405において、第1周波数の可動ビーム弾性エネルギーを生成する第1音響源がボアホール内に配置され、また、第2周波数の可動ビーム弾性エネルギーを生成する第2音響源がボアホール内に配置される。この第1及び第2周波数の可動ビームは、ボアホールから離れた位置でインターセプトされるように配置される。このように、第2ビームの方位角は第1ビームの方位角と同じであるが、ボアホールの長軸に対する傾斜が異なる。次に、ステップ410に進み、第3の弾性波がボアホール内でセンサアレイによって受信される。上述のとおり、第3の弾性波は、第1周波数と第2周波数との差に等しい周波数を有し、ボアホールに向かう伝播方向を有するように3波混合処理によって生成される。ステップ415では、第1音響源及び第2音響源の配置及び第3の波の特性に基づき、[0031]段落から[0033]段落において説明する選択規則に従って、ボアホールから離れた3波混合位置が決定される。ステップ420では、複数の方位角、傾斜、及びボアホール内での長手方向における位置においてステップ405の生成処理、ステップ410の受信処理、及びステップ415の決定処理を繰り返すことによって記録されたデータを用いて非線形特性の3次元画像が生成される。圧縮せん断相互作用がある場合には、[0038]段落に従って圧縮速度/せん断速度(Vp/Vs)比を得るために、受信信号がステップ425において分析される。ステップ430では、非線形特性が、流体飽和率、有効応力、岩盤割れ目密度、及び鉱物特性等の物理的な貯留層特性に変換される。
【0031】
本開示の一部の態様において、第1音響源及び第2音響源は、ビーム、円筒波、又は球面波の音響源であってもよく、センサアレイは、無指向性単一成分センサ及び3成分ジオフォンの任意を組み合わせを用いることができる。成分部分の組み合わせを変えることにより、信号処理及びイメージングにおける冗長性の程度を変更することができる。
【0032】
固体における2つの音響波の非線形混合の実験結果が報告されている。例えば、Rollins, Taylor, and Todd (1964)、Johnson et al. (1987)、及びJohnson and Shankland (1989)などである。これらの文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。周波数f1の一次圧縮(P)波及び周波数f2の一次せん断(S)波が非線形媒体において交差する特別な場合には、周波数f1-f2を有する第3のP波又はS波が生成される。一次P波及びS波はそれぞれ波動ベクトルk1及びk2を有するビームであり、非線形の地盤特性が一様な場合には、生成された第3の波は、波の相互作用の運動学(kinematics)に基づき、選択規則k1-k2=k3に従った波動ベクトルk3を有する平面波であることが要請される。この選択規則は、一次波の許容される交角及び第3の波の具体的な伝播方向に厳しい制約を課す。2つの線形平面波の非線形混合の一般的な運動論、選択規則、及び振幅応答については、Jones and Kobett (1963), Rollins、Taylor et al. (1964)、及びKorneev, Nihei and Myer (1998)においてさらに説明されている。これらの文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。これらの文献は、混合媒体の非線形パラメータと非線形混合の信号強度との間の具体的な関係を提供する。例えば、Korneev, Nihei and Myerの式53及び式54は、P平面波及びSV(垂直に偏波したせん断波)平面波の混合強度が岩石の非線形パラメータの具体的な組み合わせに比例することを示している。
【0033】
2つの弾性平面波の非線形相互作用を支配するKorneev, Nihei and Myerの選択規則は、2つの弾性ビームの相互作用のガイダンスとして用いることができる。これらの平面波選択規則により、以下の6つの非線形相互作用が後方散乱波を生成することになる。
【0034】
2つの弾性平面波の非線形相互作用を支配する選択規則。この表及び本明細書においてf1はf2よりも大きいものとする。
【表1】

【0035】
図5(a)、図5(b)、及び図5(c)は、2つの一次波がビーム間相互作用のビームである場合における表1の選択規則の数値シミュレーションを示す。図5(a)に示されている25kHzの圧縮ビームと図5(b)に示されている18kHz せん断ビームとが混合して、図5(c)に示されている周波数が7kHz(= 25kHz-18kHz)の第3のビームが生成される。この例では、Korneev, Nihei and Myerの平面波予測に従って、周波数(f1-f2)でP(f1)波に対して133°の角度を有する第3の後方伝播Pビームが、P(f1)とSV(f2)ビームとが重なる領域での非線形混合によって生成される。
【0036】
ビームの非線形相互作用の運動学によって、波動ベクトル及び周波数の特定の組み合わせが生成される。この第3の波は、特定の走時、並びにf3=f1-f2及びk3=k1-k2等で表される特定の周波数f3及び波動ベクトルk3で戻ってくる。f1、f2、k2、及びk3の組み合わせについて、同一平面における第3の波のwell-definedな伝播波動ベクトルk3(k1及びk2で定義される)が存在する。特定の受信機位置及び2つの一次波k1及びk2の非線形混合が起こる位置で検出された信号の間には直接の対応がある。受信機の信号強度は、他の要素の中でも特に混合ゾーンにおける岩石の非線形性の強度に比例し、ベクトルk3上にある受信機において最大となる。したがって、受信機における信号強度は、図1に示されるビーム軌跡に沿って、岩石の非線形性に幾何学的にマッピングされる。
【0037】
波の伝播についての幾何学理論によって、各相互作用ゾーンにおいて生成されるビームは、特定の時間遅延後に、ボアホールの3つの波動ベクトルk1、k2及びk3の配置によって定義される特定の受信機に到来することが示される。ボアホール内の特定の位置に特定の時間に戻ってきた信号の強度は、相互作用位置の非線形性の程度によって決まるので、ビームに沿った岩石の非線形特性の相対強度の時間画像を形成することができる。受信機に戻ってきた信号の振幅の大きさは、それ自身が混合ゾーンの石油物理学的特性を示す。ビーム及び平面波が必要な収束角を保ったまま方位角及び傾斜ついて走査される場合には、ボアホール周囲の岩石の非線形特性の局所的な周方向及び径方向の3次元画像を得ることができる。アッセンブリ全体をボアホールの上下に移動させることによって、ボアホール周囲の岩石の非線形特性の3次元画像を繰り返し得ることができる。これらの繰り返し得られた画像の重み重合を生成することにより、ボアホール全体の周囲にある岩石の非線形特性の画像を以下で説明するコンピュータ処理により生成することができる。また、音響源及び受信機が3つの別個の装置本体の一部になっている場合には、そのうちの1つ又は2つを動かし、3つ目のものを固定しておくことができる(例えば、受信機装置本体が上下動されるときに音響源を固定しておく。)。または、装置本体同士が異なる間隔を有するようにして坑井への降下を行ってもよい。
【0038】
弾性ビームとより幅の広いビーム(準平面波)との間の非線形混合については、選択規則が緩和されている。ビーム幅が前記第3の波の約10波長である場合には、波動ベクトルk3=k1-k2を中心とした周波数f1-f2の第3の波が一次ビームに沿って継続的に生成される。f3 =f1-f2の周波数に対して得られる信号強度は、混合領域の平均非線形特性、周波数f1の平均伝播速度と周波数f2の平均伝播速度との比(f1及びf2は圧縮波又はせん断波であってもよい)、混合ゾーンの領域、及び混合の配置の関数である。この関数は、様々な混合モードについて計算される。例えば、f1に対する圧縮波P及びf2に対するSV 等の特定の重要な混合モードについての信号強度は、以下のように与えられる。
【数1】


ここで、Uは前記ボアホールで受信された前記第3の波の変位振幅であり、A1は圧縮波の縦偏極であり、B2はせん断波の縦偏極である。βは、Landau and LifschitzのA、B及びCパラメータの関数であり、混合ゾーンにおける岩石の非線形性を表す。νは混合ゾーンの領域であり、rは混合ゾーンから受信機までの距離である。Fは入射ビームの配置に依存しKorneev, Nihei, Myers理論に基づいて特定の幾何学的配置について数値計算できる一次の幾何形状因子である。Δは、波動ベクトルk1, k2及びk3の数値計算可能な関数であり、相互作用の幾何学的配置が当該選択規則に従う場合にのみ重要な選択規則形状因子である。式における下付文字のPSVPは、圧縮波を生成する圧縮せん断相互作用について言及するものである。
【0039】
本開示の一部の態様に従って、縦波速度対横波速度比の画像は、以下のようにして生成される。図6に示されるように、音響源の1つが周波数f1の圧縮波(P波)を生成し、他の音響源が周波数f2のSV波を生成し、この両方の波が特定の混合領域に向けられたときに、差分周波数f3 = f1-f2の第3の圧縮波(P波)の伝播方向が、選択規則によって決定される混合ゾーンにおける岩石の平均in situ Vp/Vs比によって制御される。図2又は図3の3成分受信機アレイ145における信号の測定値に基づいて、第3の波の方向が決定され、これにより混合ゾーンのin situ Vp/Vsが計算される。ビーム及び平面波が必要な収束角を保ったまま方位角及び傾斜について走査される場合には、前記ボアホール周囲の岩石のin situ Vp/Vs比の局所的な周方向及び径方向の3次元画像が得られる。アッセンブリ全体を前記ボアホール内で上下動させることにより、前記ボアホール周囲の岩石のin
situ Vp/Vsの3次元画像を繰り返し取得できる。これらの繰り返し取得された画像の重み重合を生成することにより、ボアホール全体の周囲の岩石のin situ Vp/Vsの画像が、以下のコンピュータ処理により生成される。または、装置本体同士が異なる間隔を有するようにして坑井への降下を行ってもよい。
【0040】
本開示の一部の態様では、一次ビームの周波数f1のf2に対する比を走査することにより、Vp/Vs比の別の決定方法が実現される。図6は、図1の構成において生成される2つのビームの相互作用の幾何学的配置を示す。この幾何学的配置は、ベクトル解析及び段落[0031]〜段落[0034]において説明した三角法を用いて分析される。ベクトルk1及びk2の長さk1及び長さk2は、対応する周波数及び速度の比によって定義される。図6に示したとおり、リターン角(returning angle)φは、f1/f2、Vp/Vs比、及び2つの一次ビームの交角θの関数である。また、物理的な選択規則によって、第3の波は、図5に示した例のようなf1/f2、Vp/Vs比、及びインターセプション角θの特定の組み合わせにおいてのみ生成が可能となる。
【0041】
Vp/Vs比については、記号r及び図6で定義された文言を用いることにより、ベクトルk3の大きさk3は、k1と-k2のベクトル和によって与えられる。この大きさk3は次のように表される。
【数2】

また、余弦法則によって、大きさk3は次のようにも表される。
【数3】

この2つの式を組み合わせ、k1
にf1/Vpを代入し、k2にf2/Vsを代入すると、選択規則によって課される幾何学的条件の表現が導かれる。
【数4】

この二次方程式は、r、つまり混合ゾーンのVpVs比について解くことができる。これにより、特定の混合領域のin situ Vp/Vs比を評価する別の例示的な方法が導かれる。この方法は以下のシーケンスで表される。a)標準的な音波波形ログを記録して掘削孔近くのVp及びVsを決定し、フェイズド音響源アレイの隣接する要素の間の位相差を推定するためのデータを取得し、測定対象の幾何学的配置におけるおおよその収束角にビームを向ける。b)制御角θの方向で集束しボアホール周囲の特定の空間において混合するようにP音響源及びSV音響源を操作する。c) f1を固定したままf2を変動させ、ボアホール内のセンサで差分周波数f1-f2の受信信号の振幅を測定する。d)アレイ中の各受信機の信号が最大振幅強度に達した周波数を特定する。e)音響源及び受信機の幾何学的配置から角度θ及び角度φを決定する。傾斜方向においてビームを掃引し、方位角方向にビームを回転し、アッセンブリ全体を前記ボアホールの上下方向に動かし、これらの操作を繰り返すことにより、前記ボアホール周囲の3次元領域のVpVs比を探査し、これにより前記ボアホール周囲の岩石のin situ Vp/Vs比の3次元画像を取得することができる。
【0042】
上述した方法は、周波数の差分f1-f2がはっきり特定されており、スペクトル解析を行って測定の信号対雑音比を改善できる点で有利な効果を奏する。また、両周波数f1及びf2が同時に比例的にチャープする場合には、得られる差分周波数信号f1-f2もはっきりとしたチャープ信号になる。時変符号には、第1のビーム/波、第2のビーム/波、又は第1のビーム/波及び第2のビーム/波の両方における振幅変動、周波数変動、及び/又は位相変動の単数又は複数を含む。一次周波数のうちの1つを周波数比を固定したまま周波数で掃引した場合に第3の差分波は広帯域になる。このように、得られた第3のビームf2-f1は同じ方向を保ったまま広い周波数帯で掃引される。これにより、チャープ信号又は符号化された信号の標準的な自己相関によって信号対雑音比を改善することができる。
【0043】
波動ベクトルk3 = k1-k2はwell-definedであるため、受信機135において記録された第3の波における信号と雑音を、ボアホールにおいて3成分受信機を利用してさらに区別できる。3成分受信機の信号は、ホドグラム解析等の技術により特定の指向性を有するようになる。
【0044】
本開示の一部の態様においては、上記の工程を逆の極性(180度の位相差)で繰り返し行ってその結果を合計することにより信号対雑音比を改善することができる。リターン差分周波数信号の振幅は2つの一次波の振幅の積に比例し一次音響源が反転しても極性が反転しないため、リターン差分周波数信号はコヒーレントに重ね合わされる。一方、システム内の一次波によって生成される任意の線形雑音は極性を反転させて重ね合わせにより打ち消し合う。
【0045】
ビームと波の様々な包括的組み合わせを用いて代替的な方法を実現できる。一例として、音響信号及び地震波信号のコンピュータ処理により画像を生成する方法は以下の工程を含む。第1に、非線形混合処理により生成された第3の波の信号を分離するために、記録された第3の波の周波数成分のスペクトル解析及び差分周波数信号の適当な選択規則を実行する。センサが3成分ジオフォンを含む場合には、方向技術(orientation techniques)を用いてボアホールにぶつかる第3の波の方向を決定する。続いて、非線形媒体における非共線混合の選択規則、第1ビーム、第2ビーム及び第3の波の波数並びに2つのビーム音響源及びセンサアレイの位置に基づいて、記録された第3の波の振幅を一次混合波の周波数比の関数として分析し、第3の波の信号が発生した混合位置を決定する。続いて、各音響源・受信機の組み合わせについてチャープされた送信機信号を用いて、受信信号の相互相関により地震波形(seismogram)を生成する。続いて、時間と距離の一方又は両方においてボアホール周囲の地盤の非線形特性の3次元画像を得るために、全データセットに対して3次元時間画像処理又は3次元深度画像処理を行う。地震波形から画像を生成する方法は公知である。例えば、Hill et al.には、ビームから画像を形成する特定な場合の一般的な方法が記載されている。Hill et al.は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0046】
図7は、他の代替的な画像処理方法を例示する。図7は、狭いビーム705及び広いビーム710が相互作用する場合を示す。探索される領域のVp及びVsの滑らかな背景モデルを仮定し、選択規則を適用することにより、狭いビームに沿った混合ゾーン730について受信機位置735において検出されるエネルギーの幾何学的写像が可能になる。このようにして、非線形特性の時間画像を狭いビームに沿って生成することができる。方位角方向に回転しアッセンブリをボアホールに沿って動かすことにより、ボアホール周辺の領域の3次元時間画像を生成することができる。異なるビーム傾斜での測定の連続した繰り返し、f2/f1で表される周波数比αを変更することにより、一連の3次元時間画像を生成することができる。画像処理におけるこの冗長性によって、滑らかな背景モデル及び3次元空間画像をさらに改良することができる。
【0047】
岩石の非線形パラメータは、天然ガス、石油、及び水の飽和率の変動、有効応力、岩盤割れ目密度及び鉱物含有量等の多数の重要な炭化水素貯留層パラメータに関連することが分かった。例えば、Ostrovsky and Johnson 2001を参照。この文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。本開示の一態様において、本方法により生成された非線形特性の3次元画像は、記録時におけるボアホール周辺における特性の分布に関する定量的な情報を提供するように変換される。また、本方法の連続的な繰り返しことにより、貯留層を監視するために、貯留層特性の時間変化を検出することができる。
【0048】
受信した波形の記録は、地盤の非線形特性の画像を生成するために処理される。ビームの指向性及び飛行時間によって、散乱波の生成場所を特定することができ、この点で従来の無指向性モノポール音響源及びダイポール音響源を用いた通常の音響画像処理技術に基づく装置と区別される。
【0049】
現時点において最も実用的かつ望ましいと考えられている様々な態様に基づいて、例示のために本発明を詳細に説明したが、このような詳細な説明は例示のみを目的としたものであって、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ添付された特許請求の範囲の趣旨及び範囲に入る変形や均等な配置も本発明に含められることが意図されている。更なる例として、本発明においては、あらゆる実施形態の一又は複数の特徴を他の実施形態の一又は複数の特徴と可能な限り結合することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送検層装置を用いてボアホールから離れた領域における非線形特性の3次元画像を生成する方法であって、
前記ボアホール内に第1音響源を配置して第1周波数の弾性エネルギーを生成し、前記ボアホール内に第2音響源を配置して第2周波数の弾性エネルギーを生成する生成工程と、
前記第1周波数及び前記第2周波数の弾性エネルギーが前記ボアホールから離れた位置にある混合ゾーンにおいてインターセプトする工程と、
前記ボアホールにおいてセンサのアレイによって、前記第1周波数と前記第2周波数との差に等しい周波数を有するとともに非線形の混合ゾーンにおける3つの波の非共線混合処理によって生成された前記ボアホールの方向への伝播方向を有する第3の弾性波を受信する受信工程と、
前記第1音響源及び前記第2音響源の配置、前記第3の波の方向、及び音響的に非線形な媒体における非共線混合を支配する選択規則に基づいて前記3つの波の混合ゾーンの位置を特定する特定工程と、
前記生成工程、前記受信工程、及び前記特定工程を複数の方位角、傾斜、及び前記ボアホール内の長手方向位置において繰り返すことによって記録されるデータを用いて前記非線形特性の3次元画像を作成する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記第1音響源及び前記第2音響源が、可動ビーム、限定的な指向性を有する波、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される弾性エネルギーを生成するように構成された請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ボアホールへ伝播する弾性エネルギーが前記ボアホールから離れた領域において非線形相互作用によって生成され、第1周波数を有する圧縮弾性エネルギー又はせん断弾性エネルギーのいずれか1つを生成するように構成された前記第1音響源からのものであり、第2周波数を有する圧縮弾性エネルギー又はせん断弾性エネルギーのいずれか1つを生成するように構成された前記第2音響源からのものである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1音響源及び前記第2音響源が音響源のアレイを備える請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1音響源、前記第2音響源、及び前記センサアレイが、前記搬送検層装置の共通の装置本体又は前記ボアホールの長軸に沿って独立して動くことができる前記搬送検層装置の個別の装置本体のいずれかに配置される請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記センサアレイが前記ボアホールの壁に固定される3成分センサを備える請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ボアホールの長軸に対して所望の方位角及び傾斜の方向に前記第1周波数を有する波及び/又は前記第2周波数を有する波のエネルギーを集中させるエネルギー集中工程を備える請求項2に記載の方法。
【請求項8】
式f2 = α f1で表される周波数f2の範囲にある前記第2周波数の波を生成する生成工程と、αの値を掃引する掃引工程とを備える請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記ボアホールの長軸に対して選択された方位角及び傾斜の方向に前記第2周波数の波のエネルギーを集中させる前記エネルギー集中工程及び前記式f2
= α f1で表される周波数f2の範囲にある前記第2周波数の波を生成する前記生成工程を繰り返す工程と、前記ボアホールの長軸に対して選択された方位角方向に前記第2音響源を回転させた後にαの値を掃引する工程と、を備える請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ボアホールの長軸に対して選択された方位角及び傾斜の方向に前記第2周波数の波のエネルギーを集中させる前記エネルギー集中工程及び前記式f2
= α f1で表される周波数f2の範囲にある前記第2周波数の波を生成する前記生成工程を繰り返す工程と、前記ボアホールの長軸に対して選択された方位角方向に前記第2音響源を回転させるとともに前記音響源及び/又は前記センサアレイを前記ボアホールの長軸に沿って動かした後にαの値を掃引する工程と、を備える請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ボアホールの長軸に対して選択された方位角及び傾斜の方向に前記第2周波数の波のエネルギーを集中させる前記エネルギー集中工程及び前記式f2
= α f1で表される周波数f2の範囲にある前記第2周波数の波を生成する前記生成工程を逆の極性で繰り返す工程と、前記ボアホールの長軸に対して選択された方位角方向に前記第2音響源を回転させるとともに前記音響源及び前記センサアレイを前記ボアホールの長軸に沿って動かした後にαの値を掃引する工程と、を備える請求項8に記載の方法。
【請求項12】
探査深度及び前記3次元画像の解像度を変更するために、前記第1音響源及び/もしくは前記第2音響源並びに/又は前記センサアレイの間隔を変更することにより複数の径方向スキャンを取得する工程を備える請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1音響源及び前記第2音響源から送信された前記音響エネルギーの一方又は両方に対してチャーピング又は符号化の一方又は両方を行う工程を備える請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1周波数の音響エネルギー又は前記第2周波数の音響エネルギーの一方に対して、振幅変調、位相変調、周期変調又はこれらの任意の組み合わせによる変調を行う工程を備える請求項8に記載の方法。
【請求項15】
搬送検層装置を用いてボアホールから離れた岩石層における非線形特性の3次元画像を生成する装置であって、
前記ボアホール内に配置され、第1周波数の弾性エネルギーを生成する第1音響源と、
前記ボアホール内に配置され、第2周波数の弾性エネルギーを生成する第2音響源と、
前記第1周波数及び前記第2周波数のエネルギーが前記ボアホールから離れた位置でインターセプトし、
観測対象領域の非線形特性が前記第1周波数と前記第2周波数との差に等しい周波数を有するとともに前記ボアホールの方向への伝播方向を有する第3の弾性波を3波混合処理により生成するときに当該第3の弾性波を受信するように構成されたセンサアレイと、
前記受信した第3の波の特性及び前記第1の音響源及び前記第2音響源の配置に少なくとも部分的に基づいて前記3次元画像を生成するように構成されたプロセッサと、
を備える装置。
【請求項16】
有線装置用の有線ケーブルを介してデータを坑上に伝送するように構成された装置と、
前記第3の弾性波の記録を制御するために前記ボアホールに配置された後続のプロセッサと、
をさらに備える請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1音響源及び前記第2音響源が、可動ビーム、限定的な指向性を有する波、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される弾性エネルギーを生成するように構成された請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記第1音響源及び前記第2音響源が圧縮弾性エネルギー又はせん断弾性エネルギーの一方又は両方を生成するように構成された請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1音響源及び前記第2音響源が音響源のアレイを備える請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記第1音響源、前記第2音響源、及び前記センサアレイが、前記搬送検層装置の共通の装置本体又は前記ボアホールの長軸に沿って独立して動くことができる前記搬送検層装置の個別の装置本体のいずれかに配置される請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記センサアレイが、装置本体に搭載された単数又は複数のハイドロフォン、又は、前記ボアホールの壁に固定された単数又は複数の3成分ジオフォンもしくは加速度計の一方又は両方を備える請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記音響源の一方又は両方によって生成される波の伝播方向にある前記ボアホールの長軸に対する方位角及び傾斜が制御可能である請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記センサアレイ及び前記音響源が前記ボアホールの前記長軸に沿って共に又は別個に動くことができるように設けられた請求項15に記載の装置。
【請求項24】
前記音響源及び前記センサアレイの間隔を変えることにより複数の径方向のスキャンが得られる請求項15に記載の装置。
【請求項25】
前記音響源の間隔を変えることにより複数の径方向のスキャンが得られる請求項15に記載の装置。
【請求項26】
所定のボアホール位置において、前記第2音響源が式f2 = α f1で表される周波数f2の範囲となるようにに制御され、αの値を掃引する請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の波及び前記第2の波の一方又は両方に対してチャーピング又は符号化の一方又は両方を行う請求項17に記載の装置。
【請求項28】
前記第1の波又は前記第2の波の一方が変調され、及び当該変調が振幅、位相、周期及びこれらの任意の組み合わせから成る群より選択される請求項27に記載の装置。
【請求項29】
単一の方位角、傾斜及び軸方向場所に関連する位置のそれぞれにおいて前記音響源の制御が繰り返され、2度目には逆の極性で両方の信号について繰り返される請求項15に記載の装置。
【請求項30】
ボアホール周囲の地盤の遠隔の非線形領域において2つの非共線一次ビーム又は非共線一次波の非共線混合処理によって生成され、前記ボアホール周囲の地盤の非線形特性の3次元画像を得るために前記ボアホールにおいて記録された第3の波の処理を実行するコンピュータに実装された方法であって、
スペクトル解析によって記録された第3の波の周波数成分を解析し、前記非線形混合処理によって生成された前記第3の波の信号を分離するために差分周波数に対応する信号を選択する工程と、
前記一次混合ビーム又は一次混合ビームの周波数比の関数として前記記録された第3の波の振幅を解析し、非線形な媒体における非共線混合の選択規則、前記第1のビーム又は第1の波、第2のビーム又は第2の波、及び前記第3の波の波数、及び2つの一次音響源及びセンサアレイの位置に基づいて前記第3の波の信号が発生した混合位置を決定する工程と、
前記ボアホールにぶつかり前記センサアレイに記録された前記第3の波の方向を、前記センサアレイにおいて検出された前記第3の弾性波の解析に基づいて確認する工程と、
ボアホール周辺の前記地盤の前記非線形特性の3次元時間画像及び3次元距離画像を得るために前記全データセットに対して画像処理を行う工程と、
を備えるコンピュータに実装された方法。
【請求項31】
前記3波混合処理が発生した非線形の 領域の位置を決定する工程を備える請求項30に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項32】
前記第1音響源及び前記第2音響源が、可動ビーム、限定的な指向性を有する波、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される弾性エネルギーを生成するように構成された請求項30に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項33】
前記センサが3成分ジオフォンを含む場合に前記ボアホールにぶつかる前記第3の波の方向を決定する工程を備える請求項30に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項34】
2つの連続する反対の極性の音響源の放射から得られた前記記録された信号が、雑音を抑圧し、非線形の第3の波の振幅を改善するために追加される請求項30に記載のコンピュータに実装された方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−524271(P2012−524271A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505985(P2012−505985)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031485
【国際公開番号】WO2010/121200
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(510316464)シェブロン ユー.エス.エー.インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Chevron U.S.A.Inc.
【住所又は居所原語表記】6001 Bollinger Canyon Road San Ramon,California 94583,United States of America
【出願人】(510341075)ロスアラモス ナショナル セキュリティ リミテッド ライアビリティ カンパニー (3)
【氏名又は名称原語表記】Los Alamos National Security LLC
【住所又は居所原語表記】Mail Stop A187,P.O.Box 1663,Los Alamos,New Mexico 87544 United States of America
【Fターム(参考)】