説明

ボイラ用燃料調整装置

【課題】 バーナへの燃料供給量を微調整して、最適な燃焼状態を維持するボイラ用燃料調整装置の提供。
【解決手段】 ボイラ2におけるバーナ3への燃料供給量を調整する装置であり、主調整弁17と副調整弁19とを備える。主調整弁17は、バーナ3の燃焼量に応じて燃料供給路15の開度を調整する。具体的には、バーナ3への給気路10に設けられたオリフィス前後の差圧に基づき、ガバナ機構により燃料供給路15の開度を機械的に自動調整する。燃焼室6からの排ガス路11には、排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度センサ23が設けられている。この酸素濃度センサ23に基づき、排ガス中の酸素濃度が一定に保持されるように、副調整弁19の開度が微調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸気ボイラ、温水ボイラ、熱媒ボイラなどの各種ボイラに関するものである。特に、バーナへの燃料供給量を調整するためのボイラ用燃料調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーナが高燃焼と低燃焼とを切り替えて作動するボイラの場合、高燃焼または低燃焼に応じて、バーナひいては燃焼室への燃焼用空気量および燃料供給量が調整されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のボイラは、たとえば排ガス中の酸素濃度に基づき、バーナへの燃料供給量を微調整して、最適な燃焼状態を維持することはできなかった。特に、バーナの燃焼状態の移行時(たとえば高燃焼から低燃焼への移行時)には、空気比が乱れやすかった。また、外気温が変化した場合にも、空気の容積が変化するので、空気比に影響を与えるが、従来、それらを考慮してバーナへの燃料供給量を微調整することはできなかった。
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、排ガス中の酸素濃度などに基づき、バーナへの燃料供給量を微調整して、最適な燃焼状態を維持できるボイラ用燃料調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ボイラにおけるバーナへの燃料供給量を調整する装置であって、前記バーナへの燃料供給路に設けられ、前記バーナの燃焼量に応じて前記燃料供給路の開度を調整する主調整弁と、排ガスの温度、または排ガス中の煤塵、窒素酸化物、酸素もしくは一酸化炭素の量を検出するセンサと、このセンサによる検出信号に基づき前記燃料供給路の開度を調整する副調整弁とを備えることを特徴とするボイラ用燃料調整装置である。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、主調整弁で調整された燃料流量は、排ガス中の酸素量などに基づき、副調整弁にて微調整される。これにより、ボイラは、最適な燃焼状態を維持することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記主調整弁は、前記バーナへの給気路に設けられたオリフィス前後の差圧に基づき、ガバナ機構により前記燃料供給路の開度を機械的に自動調整する構成であり、前記センサは、燃焼室からの排ガス路に設けられ、排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度センサであり、前記副調整弁は、前記主調整弁より下流において、前記主調整弁と直列に設けられることを特徴とする請求項1に記載のボイラ用燃料調整装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、主調整弁は、バーナへの給気量に基づき、燃料供給路の開度を機械的に調整される。また、副調整弁は、排ガス中の酸素濃度に基づき、燃料供給路の開度を微調整される。これにより、排ガス中の酸素濃度を一定に制御することが可能である。すなわち、副調整弁の開度を調整することで、外気温などの変動に対しても容易に追従して、酸素濃度を一定に制御でき、安定した燃焼が実現される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記燃料供給路には、前記副調整弁と並列にオリフィスが設けられることを特徴とする請求項2に記載のボイラ用燃料調整装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、副調整弁と並列にオリフィスが設けられる。これにより、さらに細かく燃料流量の調整が可能となる。また、万一、副調整弁が故障などしても、オリフィスを介した経路があるので、ボイラの運転を継続することができる。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記主調整弁は、前記バーナへの給気路に設けられたオリフィス前後の差圧に基づき、ガバナ機構により前記燃料供給路の開度を機械的に自動調整する構成であり、前記センサは、燃焼室からの排ガス路に設けられ、排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度センサであり、前記副調整弁は、前記主調整弁と並列に設けられることを特徴とする請求項1に記載のボイラ用燃料調整装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、主調整弁は、バーナへの給気量に基づき、燃料供給路の開度を機械的に調整される。また、副調整弁は、排ガス中の酸素濃度に基づき、燃料供給路の開度を微調整される。これにより、排ガス中の酸素濃度を一定に制御することが可能である。すなわち、副調整弁の開度を調整することで、外気温などの変動に対しても容易に追従して、酸素濃度を一定に制御でき、安定した燃焼が実現される。
【発明の効果】
【0013】
この発明のボイラ用燃料調整装置によれば、排ガス中の酸素濃度などに基づき、バーナへの燃料供給量を微調整して、最適な燃焼状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。
本発明のボイラ用燃料調整装置は、各種ボイラにおいて、そのバーナへの燃料供給量を調整する装置である。従って、燃料調整装置は、ボイラに組み込まれ、ボイラの一部を構成する。ボイラは、その種類を特に問わないが、典型的には小型貫流ボイラなどの水管ボイラである。
【0015】
ボイラは、バーナと伝熱管とを有する缶体を備える。バーナへは、燃料供給路を介して燃料が供給されると共に、給気路を介して燃焼用空気が供給される。バーナへ供給される燃料としては、液体燃料でもよいが、ここでは気体燃料(燃料ガス)とされている。すなわち、ボイラは、気体燃料を燃焼させるガス焚きボイラとされている。この場合、ガスバーナとして、拡散燃焼方式と予混合燃焼方式のいずれも採用することができる。たとえば、予混合燃焼方式の場合、給気路の中途に燃料供給路を接続し、燃焼用空気の一部または全部に気体燃料を予め混合してバーナへ供給する。
【0016】
いずれにしても、バーナは、缶体内に構成された燃焼室へ向けて、燃料を燃焼させる。バーナからの燃焼ガスにより伝熱管の加熱が図られ、伝熱管との熱交換後の排ガスは、排ガス路を介して外部へ排出される。ところで、バーナは、燃焼量を調整可能に構成されている。典型的には、高燃焼、低燃焼および停止の三段階で燃焼量が切り替えられる。バーナへは、その燃焼量に応じた燃料と燃焼用空気とが供給される。
【0017】
バーナへの燃焼用空気量の調整は、給気路に設けたダンパ、または給気路に空気を送り込む送風機により行われる。典型的には、給気路に設けた回転式ダンパにより行われる。このダンパは、給気路を構成する管の中途に設けられた可動板であり、その管の直径方向へ配置した回転軸に保持されている。従って、回転軸を回転操作して、管内におけるダンパの傾き角を変更することで、送風機からバーナへ供給する給気量を変更することができる。
【0018】
一方、バーナへの燃料供給量の調整は、燃料供給路に設けた燃料調整装置により行われる。燃料調整装置は、主調整弁と副調整弁とを備える。主調整弁は、バーナの燃焼量に応じて、燃料供給量を粗調整する。また、副調整弁は、各種センサの検出信号に基づき、燃料供給量を微調整する。
【0019】
具体的には、主調整弁は、空気比を一定にするように、バーナへの給気量に基づき、燃料供給路の開度を調整する。たとえば、バーナへの給気路にオリフィスを設け、このオリフィス前後の差圧に基づき、主調整弁は、その開度がガバナ機構により機械的に調整される。一方、副調整弁は、典型的には排ガス中の酸素濃度を設定値に維持するように、排ガス路に設けた酸素濃度センサの検出信号に基づき、燃料供給路の開度を微調整する。この場合、副調整弁も、主調整弁と同様に、空気比を一定にするよう作用するものといえる。ここで、空気比とは、実際燃焼空気量/理論燃焼空気量をいう。つまり、「燃焼に際して実際に必要な空気量」/「燃焼に際して理論上必要な空気量」を「空気比」という。
【0020】
主調整弁と副調整弁との配置の仕方により、次の三つの実施形態を挙げることができる。いずれの実施形態においても、主調整弁での粗調整と、副調整弁での微調整との組合せにより、バーナへの燃料供給量が調整される。
【0021】
第一実施形態では、主調整弁と副調整弁とが、一本の燃料供給路に直列に設けられる。この際、副調整弁は、主調整弁より下流(バーナ側)に配置するのが好ましい。この構成の場合、主調整弁で粗調整された流量は、下流の副調整弁にて微調整され、その微調整後の流量でバーナへ燃料が供給される。
【0022】
第二実施形態は、第一実施形態の変形例であり、副調整弁と並列にさらにオリフィスが設けられる。具体的には、第一実施形態において、燃料供給路には主調整弁より下流で、副調整弁の前後を連通するバイパス路がさらに設けられ、このバイパス路にオリフィスが設けられる。この構成の場合、副調整弁とオリフィスとが並列に配置されることで、副調整弁においてさらに細かな流量調整が可能となる。また、万一、副調整弁が故障などしても、オリフィスを介したバイパス路により、ボイラの運転の継続が可能となる。
【0023】
第三実施形態では、主調整弁と副調整弁とが、並列に設けられる。すなわち、第一実施形態において、主調整弁の下流に副調整弁を直列に設ける代わりに、燃料供給路には、主調整弁の前後を連通するバイパス路がさらに設けられ、このバイパス路に副調整弁が設けられる。この構成の場合、主調整弁で調整された流量と、副調整弁で調整された流量とが合流してバーナへ供給される。
【0024】
いずれの実施形態においても、副調整弁の開度調整は、各種センサの出力に基づき行われる。センサの種類は特に問わないが、典型的には、排ガス中の酸素の量(濃度)を検出する酸素濃度センサが用いられる。この場合、排ガス中の酸素濃度を一定にするように、制御器は副調整弁の開度を調整する。これにより、あらゆる変動に対しても、排ガス中の酸素濃度を一定に維持して、ボイラの安定した燃焼を実現することができる。
【0025】
但し、副調整弁の開度調整は、酸素濃度センサ(Oセンサ)に限らず、他のセンサにより行ってもよい。具体的には、ボイラの排ガスの温度を検出する排ガス温度センサ、その排ガス中の煤塵の量(濃度)を検出する煤塵センサ、排ガス中の窒素酸化物の量(濃度)を検出する窒素酸化物センサ(NOセンサ)、排ガス中の一酸化炭素の量(濃度)を検出する一酸化炭素センサ(COセンサ)などでもよい。いずれにしても、各センサは、排ガス路に設けられる。
【0026】
排ガス温度センサを用いる場合は、排ガス温度に基づき、最適燃焼状態となるように、副調整弁の開度を調整する。また、煤塵センサを用いる場合は、煤塵量が少なくなる方向に副調整弁の開度を調整する。さらに、窒素酸化物センサまたは一酸化炭素センサを用いる場合は、窒素酸化物または一酸化炭素が少なくなる方向に副調整弁の開度を調整すればよい。
【実施例1】
【0027】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明のボイラ用燃料調整装置は、各種ボイラに適用可能であるが、ここでは水管ボイラの一種である貫流式の蒸気ボイラに適用した例について説明する。
【0028】
図1は、本発明の燃料調整装置1の実施例1が適用されたボイラ2を示す概略縦断面図である。ボイラ2は、バーナ3と多数の伝熱管4,4,…とが配置された缶体5を備え、この缶体5内が燃焼室6とされる。各伝熱管4は、垂直に配置され、上下両端部が上部管寄せ7と下部管寄せ8とに連通している。
【0029】
缶体5には、バーナ3側の一端部に、送風機9からの燃焼用空気をバーナ3へ送る給気路10が接続され、バーナ3と反対側の他端部に、缶体5からの排ガスを排出する排ガス路(煙道および煙突)11が接続される。バーナ3の燃焼によって生ずる燃焼ガスは、各伝熱管4内の水を加熱した後、排ガスとして排ガス路11から排出される。
【0030】
本実施例のバーナ3は、平面状の燃焼面(予混合気噴出面)を有する完全予混合式とされている。また、このバーナ3は、燃焼量を調整可能に構成されている。本実施例では、高燃焼、低燃焼および停止の三段階で燃焼量が切り替えられる。
【0031】
給気路10には、送風機9より下流側に、バーナ3側へ送り出す空気流量を調整するダンパ12が設けられている。このダンパ12は、給気路10の流路方向と直交するように配置された回転軸13を中心に回転可能な板材である。この回転軸13は、ダンパ12および給気路10の幅方向中央に配置されている。給気路10内に、ダンパ12が回転可能に保持されることで、その傾き角を調整して、バーナ3側へ送り出す空気流量が調整される。
【0032】
具体的には、ボイラ2の制御盤(図示省略)は、バーナ3の燃焼量を切り替える際、その燃焼量に応じた燃焼用空気をバーナ3へ供給するように、回転軸13を回転操作してダンパ12の回転停止位置を変更する。また、その際、後述するように、バーナ3への燃料供給量も変更される。
【0033】
給気路10には、ダンパ12より下流側に、燃料ガスを給気路10内へ噴出する燃料噴出部14が設けられている。この燃料噴出部14へは、燃料供給路15を介して燃料ガスが供給される。燃料供給路15には燃料調整装置1が設けられており、給気路10ひいてはバーナ3へ供給する燃料流量が調整される。燃料供給路15を介して給気路10内へ燃料ガスを噴出することで、バーナ3側へ送る空気に燃料ガスを混合することができる。
【0034】
燃料供給路15には、上流側から順に、電磁弁16、主調整弁17、オリフィス18、副調整弁19および手動弁20が設けられている。本実施例では、電磁弁16および主調整弁17は、主調整ユニット21として構成されている。そして、燃料調整装置1は、主調整ユニット21(特に主調整弁17)と副調整弁19とを備えて構成される。
【0035】
電磁弁16は、ボイラ2の制御盤により開閉制御される弁である。主調整弁17は、空気比を一定にするように、バーナ3への給気量に基づき、開度が機械的に自動調整される弁である。具体的には、給気路10の中途に設けたオリフィス(図示省略)前後の差圧に基づき、開度がガバナ機構により機械的に自動調整される。一方、副調整弁19は、開度調整可能な弁(たとえばモータバルブ)から構成され、制御器22により開度調整される。この制御器22は、ボイラ2の制御盤と共通化してもよい。さらに、手動弁20は、手動により開閉される弁であるが、通常は開かれた状態に維持されている。
【0036】
本実施例では、副調整弁19は、排ガス中の酸素濃度を一定にするように、開度調整される。そのために、排ガス路11には、酸素濃度センサ23が設けられている。そして、制御器22は、この酸素濃度センサ23を用いて排ガス中の酸素濃度を監視し、その酸素濃度が設定値に維持されるように、副調整弁19の開度を調整する。
【0037】
本実施例の燃料調整装置1が設けられたボイラ2の概略動作は、以下のとおりである。
外気吸込路24から供給される燃焼用空気(外気)は、燃料供給路15から供給される燃料ガスと給気路10内において予混合され、この予混合気はバーナ3から缶体5内へ向けて噴出される。その際、予混合気は着火手段(図示省略)により着火され、バーナ3から燃焼室6内へ向けて燃焼する。この燃焼に伴い生ずる燃焼ガスは、缶体5内の伝熱管4と熱交換して排ガスとなり、この排ガスは排ガス路11から大気中へ排出される。各伝熱管4内の水は、燃焼ガスとの熱交換により加熱され、蒸気化される。この蒸気は、上部管寄せ7に接続される蒸気取出手段(図示省略)から蒸気使用設備(図示省略)へ供給される。
【0038】
本実施例のボイラ2は、高燃焼と低燃焼とを切り替えて運転する。そのために、ダンパ12は、高燃焼風量位置と低燃焼風量位置のいずれかに選択されて位置決めされる。つまり、高燃焼か低燃焼かの選択信号に基づき、ダンパ12の回転軸13が回転操作されて、ダンパ12の位置が変更される。
【0039】
一方、燃料供給量は、燃料調整装置1により調整される。具体的には、バーナ3の作動時には電磁弁16が開かれる。そして、燃焼用空気量が変更されるに伴って、空気比を一定に保つように、前述したように主調整弁17が機械的に自動調整される。さらに、酸素濃度センサ23による排ガス中の酸素濃度に基づき、酸素濃度が一定に維持されるように、制御器22により副調整弁19の開度が微調整される。主調整弁17で粗調整した後、それより下流において、副調整弁19で微調整することで、空気比一定の制御を細かく行える。
【実施例2】
【0040】
図2は、本発明の燃料調整装置1の実施例2が適用されたボイラ2を示す概略縦断面図である。本実施例2の燃料調整装置1およびボイラ2も、基本的には前記実施例1の燃料調整装置1およびボイラ2と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0041】
本実施例2では、前記実施例1における燃料供給路15に、副調整弁19と並列にオリフィス25を設けている。すなわち、燃料供給路15には主調整ユニット21より下流で、副調整弁19の前後を連通するバイパス路26が設けられている。そして、このバイパス路26に、オリフィス25が設けられている。この構成の場合、副調整弁19とオリフィス25とが並列に配置されることで、副調整弁19においてさらに細かな流量調整が可能となる。従って、排ガス中の酸素濃度を設定値に維持する制御を、さらに細かく行うことができる。また、万一、副調整弁19が故障などしても、オリフィス25を介したバイパス路26により、ボイラ2の運転の継続が可能となる。
【実施例3】
【0042】
図3は、本発明の燃料調整装置1の実施例3が適用されたボイラ2を示す概略縦断面図である。本実施例3の燃料調整装置1およびボイラ2も、基本的には前記実施例1の燃料調整装置1およびボイラ2と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0043】
前記実施例1では、主調整弁17と副調整弁19とを直列に配置したが、本実施例3では、主調整弁17と副調整弁19とを並列に配置している。すなわち、燃料供給路15には、主調整ユニット21の下流に副調整弁19を設ける代わりに、主調整ユニット21の前後を連通するバイパス路26を設けている。そして、このバイパス路26には、電磁弁27と副調整弁19とを設けている。この構成の場合、主調整弁17で調整された流量と、副調整弁19で調整された流量とが合流して燃料噴出部14へ供給される。
【0044】
本発明のボイラ用燃料調整装置1は、前記各実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、ボイラ2の構成は、一例であって、適宜変更可能なことは言うまでもない。しかも、前記各実施例では、気体燃料を用いたガス焚きボイラに適用した例について説明したが、液体燃料を用いた油焚きボイラに適用することもできる。
【0045】
また、本実施例3において、バイパス路26は、主調整ユニット21の前後を連通するように設けたが、主調整弁17の前後を連通するように設けてもよい。この場合、主調整ユニット21の電磁弁16と、バイパス路26の電磁弁27とを共通化することができる。
【0046】
さらに、前記各実施例では、副調整弁19の開度調整は、排ガス中の酸素濃度に基づき行ったが、排ガス温度、または排ガス中の煤塵、窒素酸化物(NO)もしくは一酸化炭素(CO)の量(濃度)などに基づき行ってもよい。この場合、排ガス路11には、酸素濃度センサ23に代えて、温度センサ、煤塵センサ、NOセンサ、COセンサなどが設置される。
【0047】
温度センサを用いる場合には、制御器22は、排ガス温度を監視して、最適燃焼状態に維持するように、副調整弁19の開度を調整する。また、煤塵センサを用いる場合には、制御器22は、排ガス中の煤塵量を監視して、煤塵量が少なくなるように、副調整弁19の開度を調整する。さらに、NOセンサやCOセンサを用いる場合には、制御器22は、排ガス中の窒素酸化物や一酸化炭素の量を監視して、これらが少なくなるように、副調整弁19の開度を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の燃料調整装置の実施例1が適用されたボイラを示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の燃料調整装置の実施例2が適用されたボイラを示す概略縦断面図である。
【図3】本発明の燃料調整装置の実施例3が適用されたボイラを示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 燃料調整装置
2 ボイラ
3 バーナ
6 燃焼室
10 給気路
11 排ガス路
15 燃料供給路
17 主調整弁
19 副調整弁
23 センサ(酸素濃度センサ)
25 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラにおけるバーナへの燃料供給量を調整する装置であって、
前記バーナへの燃料供給路に設けられ、前記バーナの燃焼量に応じて前記燃料供給路の開度を調整する主調整弁と、
排ガスの温度、または排ガス中の煤塵、窒素酸化物、酸素もしくは一酸化炭素の量を検出するセンサと、
このセンサによる検出信号に基づき前記燃料供給路の開度を調整する副調整弁と
を備えることを特徴とするボイラ用燃料調整装置。
【請求項2】
前記主調整弁は、前記バーナへの給気路に設けられたオリフィス前後の差圧に基づき、ガバナ機構により前記燃料供給路の開度を機械的に自動調整する構成であり、
前記センサは、燃焼室からの排ガス路に設けられ、排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度センサであり、
前記副調整弁は、前記主調整弁より下流において、前記主調整弁と直列に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ用燃料調整装置。
【請求項3】
前記燃料供給路には、前記副調整弁と並列にオリフィスが設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のボイラ用燃料調整装置。
【請求項4】
前記主調整弁は、前記バーナへの給気路に設けられたオリフィス前後の差圧に基づき、ガバナ機構により前記燃料供給路の開度を機械的に自動調整する構成であり、
前記センサは、燃焼室からの排ガス路に設けられ、排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度センサであり、
前記副調整弁は、前記主調整弁と並列に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ用燃料調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−157553(P2008−157553A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347398(P2006−347398)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】