ボルト検査装置
【課題】ボルトの頭部に探触子を当てるだけでボルト軸全体を安定して、かつ高感度で検査できるボルト検査装置を提供する。
【解決手段】複合探触子12−2は、ボルトの頭部に装着される。複合探触子12−2は、ボルトの頭部に装着された状態において前記頭部をボルト軸方向に見て円周状に配置された12個の周辺垂直振動子1ch〜12chを有する。ボルト検査装置の制御部は、複合探触子12−2の12個の周辺垂直振動子の中から、互いに隣接して配置された3つの周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する。ボルト検査装置の送受信部は、制御部によって前記グループが選択されるごとに、選択された前記グループに含まれる3個の周辺垂直振動子の全部を動作させることにより動作させた3個の周辺垂直振動子を介してエコーを受信する。
【解決手段】複合探触子12−2は、ボルトの頭部に装着される。複合探触子12−2は、ボルトの頭部に装着された状態において前記頭部をボルト軸方向に見て円周状に配置された12個の周辺垂直振動子1ch〜12chを有する。ボルト検査装置の制御部は、複合探触子12−2の12個の周辺垂直振動子の中から、互いに隣接して配置された3つの周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する。ボルト検査装置の送受信部は、制御部によって前記グループが選択されるごとに、選択された前記グループに含まれる3個の周辺垂直振動子の全部を動作させることにより動作させた3個の周辺垂直振動子を介してエコーを受信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いてボルトに欠陥が存在するかどうかを検査するボルト検査装置、及びボルト検査装置に使用される超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
図16に従来例を示す。図16のように、従来のボルト用の超音波探触子50には、中央に1個の垂直振動子10しか組み込まれていなかった。このため、垂直振動子10が垂直超音波ビーム6を発した場合には、図16に示すように超音波が到達しない「未到達領域51」が生じてしまい、「未到達領域51」に欠陥が存在する場合には検出できないという課題があった。
【0003】
図17は、別の従来例を示す(例えば非特許文献1)。図17では、超音波探触子50に斜角振動子110が組み込まれている。斜角振動子110を超音波探触子50に組み込むことで、図16に示した「未到達領域51」に斜角超音波ビーム70が到達し、この領域に存在する欠陥を検出するこが可能である。しかし、図16に示した「未到達領域51」のすべての表面付近を検査するには、斜角振動子110を組み込んだ超音波探触子50をボルト軸回りに回転させる必要があるという課題があった。
【0004】
一方、斜角振動子では、ボルト頭部表面からの多重エコーが検出され、この多重エコーが妨害となるという課題があった(例えば特許文献1)。
【0005】
また、超音波探傷装置自体の課題として、超音波探触子50とボルト頭部上面2aとの接触状況により検査データが影響を受けるため、超音波探触子50とボルト頭部上面2aとの接触状況に細かな注意を払わなければならないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−008827号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「ボルトの疲労割れ、遅れ割れ検査」、[online]、[平成18年2月20日検索]、(株)日鐵テクノリサーチ、インターネット<http://www.nstr.co.jp/boruto.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡易な手段によってボルトの検査に適用することができ、特にボルトの頭部に超音波探触子を当てるだけでボルト軸全体を検査することのできるボルトのボルト検査装置を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、超音波探触子とボルト頭部上面との接触状況に左右されない安定した検査を可能にするボルトのボルト検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のボルト検査装置は、
頭部と軸部とからなるボルトの前記頭部に装着されるとともに前記軸部に向けて超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する超音波探触子であって、前記超音波探触子が前記頭部に装着された状態において前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出すると共に前記装着された状態において前記頭部を前記軸方向に見て円周状に配置された複数の垂直振動子である複数の周辺垂直振動子を有する超音波探触子と、
前記超音波探触子の有する前記複数の周辺垂直振動子の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する制御部と、
前記制御部によって前記グループが選択されるごとに、選択された前記グループに含まれる複数の周辺垂直振動子の全部を動作させることにより動作させた前記複数の周辺垂直振動子を介してエコーを受信する送受信部と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記超音波探触子は、
第1から第N(Nは3以上の整数)まで前記円周状に配置されたN個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループとして、N個の周辺垂直振動子の中から、互いに隣接して配置されたA個(Aは2≦A≦N−1を満たす整数)の周辺垂直振動子からなるグループを予め設定された規則に従って順次選択することを特徴とする。
【0012】
前記超音波探触子は、
第1から第12まで前記円周状に配置された12個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループを順次選択する場合に、
第1周辺垂直振動子〜第3周辺垂直振動子からなる第1グループ、
第3周辺垂直振動子〜第5周辺垂直振動子からなる第2グループ、
第5周辺垂直振動子〜第7周辺垂直振動子からなる第3グループ、
第7周辺垂直振動子〜第9周辺垂直振動子からなる第4グループ、
第9周辺垂直振動子〜第11周辺垂直振動子からなる第5グループ、
第11周辺垂直振動子、第12周辺垂直振動子、第1周辺垂直振動子からなる第6グループ、
の6つのグループを、予め設定された順番で順次選択することを特徴とする。
【0013】
前記制御部は、
前記予め設定された順番として、前記第1グループから前記第6グループの順に順次選択することを特徴とする。
【0014】
前記超音波探触子は、さらに、
前記円周状に配置された複数の周辺垂直振動子に囲まれるように配置されると共に、前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する垂直振動子である中央垂直振動子を有し、
前記送受信部は、
前記中央垂直振動子を動作させることにより前記中央垂直振動子を介してエコーを受信することを特徴とする。
【0015】
前記ボルト検査装置は、さらに、
前記超音波探触子の前記中央垂直振動子が発した超音波に起因する前記ボルトの特定の部位である特定部からのエコーに対応するデータである特定部エコーデータを記憶する特定部エコーデータ記憶部と、
A個の周辺垂直振動子からなる前記グループと前記中央垂直振動子とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する検出エコーデータ記憶部と、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成して出力する指令信号出力部と、
前記指令信号出力部が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータに所定の処理を実行する処理実行部と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とする処理を指令する有効指令信号と無効とする処理を指令する無効指令信号とのいずれかを生成して出力し、
前記処理実行部は、
有効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とし、無効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを無効とすることを特徴とする。
【0017】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータの補正処理を指令する補正指令信号を生成して出力し、
前記処理実行部は、
補正指令信号を入力した場合には、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを補正することを特徴とする。
【0018】
前記超音波探触子は、さらに、
前記ボルトの前記頭部を磁力で吸引することにより、前記超音波探触子を前記ボルトの前記頭部に固定するための磁石を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明により、ボルトの頭部に探触子を当てるだけでボルト軸全体を安定して検査できるボルトのボルト検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1における複合探触子12を備えたボルト検査装置100を示す図。
【図2】実施の形態1における複合探触子12の構成を示す図。
【図3】実施の形態1における複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着した図。
【図4】実施の形態1における複合探触子12が、さらに磁石9を備えた構成を示す図。
【図5】実施の形態2におけるデータ採否処理を行なうデータ処理部19のブロック図。
【図6】図5のデータ処理部19の動作を示すフローチャート。
【図7】実施の形態2における中央垂直振動子10の出力エコー波形。
【図8】実施の形態2における周辺垂直振動子11の出力エコー波形。
【図9】実施の形態2におけるデータ補正処理を行うデータ処理部19のブロック図。
【図10】図9のデータ処理部19の動作を示すフローチャート。
【図11】実施の形態3におけるボルト検査装置(100−2)の構成図。
【図12】実施の形態3における複合探触子(12−2)を示す図。
【図13】実施の形態3におけるボルト検査装置(100−2)の動作概要を示すフローチャート。
【図14】実施の形態3における複合探触子(12−2)の周方向特性を示すグラフ。
【図15】実施の形態3における複合探触子(12−2)の周方向特性を説明する図。
【図16】従来技術を説明する図。
【図17】従来技術を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態1〜実施の形態3は、試験体であるボルトに超音波を照射する探触子及び超音波探傷するボルト検査装置に関する。
【0022】
実施の形態1.
図1〜図4を参照して実施の形態1を説明する。実施の形態1は、ボルトの超音波探傷に使用される複合探触子であって中央垂直振動子と複数の周辺垂直振動子とを備えた複合探触子に関する。
【0023】
図1は、「実施の形態1の複合探触子12」が用いられるボルト検査装置100を示している。ボルト検査装置100は、検査装置本体15、切換部14、複合探触子12とを備える。切換部14と複合探触子12とは、接続ケーブル13で接続されている。
【0024】
検査装置本体15は、送受信部16、増幅部17、データ処理部19、制御部26、出力部20を備える。
(1)送受信部16は、それぞれの振動子に送信パルスを与えるとともに中央垂直振動子10や周辺垂直振動子11が検出した超音波エコー信号(エコーデータともいう)を受信する。
(2)増幅部17は、受信信号を増幅する。
(3)データ処理部19は、データを処理する。
(4)制御部26は、切換部14や送受信部16やデータ処理部19を制御する。
(5)出力部20は、処理結果を外部に出力する。
制御部26とデータ処理部19とは、データ処理ブロック18を構成する。
【0025】
図1に示すように、複合探触子12は、ボルト1のボルト頭部上面2aに装着される。図1に示すように「ボルト頭部上面2a」とは、ボルトの頭部の上面である。通常、複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着する場合には、例えばゼリー状の接触媒質5が、ボルト頭部上面2aに塗布される。
【0026】
複合探触子12の詳細ついて説明する前に、ボルト検査装置100の動作概要を図2を参照して説明する。図2は、複合探触子12の構成を示す図である。図2は、一例として一つの中央垂直振動子(No.9)と8個の周辺垂直振動子(No.1〜No.8)とを備えた複合探触子12を示している。ここで「周辺垂直振動子」とは図2に示すように円周状に配置された個々の垂直振動子のことを指す。また、「中央垂直振動子」とは、円周状に配置された複数の周辺垂直振動子に囲まれるように配置された垂直振動子のことを指す。図2(b)は、複合探触子12が頭部2のボルト頭部上面2aに装着された状態において、複合探触子12をボルト1の軸方向にみた場合に相当する。
【0027】
中央垂直振動子、周辺垂直振動子の数を限定するものではない。複合探触子12では、複数の周辺垂直振動子が、中央垂直振動子の周りにこの中央垂直振動子を囲むように配置されていればよい。例えば、複合探触子12は、一つの中央垂直振動子と12個の周辺垂直振動子とを備えるような構成でも構わない。以下では、複合探触子12が、一つの中央垂直振動子(No.9)と8個の周辺垂直振動子(No.1〜No.8)とを備えた場合を例に説明する。図2による複合探触子12の詳しい説明は後述する。
(1)制御部26が切換部14の端子1〜端子9のうちのいずれかの端子に切り替える。後述する図2に示すように複合探触子12は9個の振動子を備えており、端子1〜端子9がそれぞれの振動子(No.1〜No.9)に対応する。No.1〜No.8が周辺垂直振動子11であり、No.9が中央垂直振動子10である。制御部26は、切換部14のいずれかの端子に切り替えた後、送受信部16に送信パルスを送信させる。この送信パルスにより対応する振動子が超音波を発する。
(2)超音波を発した振動子は、自身の発した超音波のエコーを検出する。このエコーは前記振動子により検出信号(エコーデータという場合がある)に変換され送受信部16が受信する。
(3)送受信部16は、前記検出信号を増幅部17に出力する。
(4)データ処理部19は、増幅部17により増幅され検出信号(エコーデータ)を処理する。
(5)出力部20は、データ処理部19が処理したデータを他の装置に出力する。
【0028】
図2を用いて複合探触子12の構成を詳しく説明する。図2に示すように、複合探触子12は、超音波を送受信することのできる中央垂直振動子10(No.9)と複数の周辺垂直振動子11(No.1〜No.8)とを備えている。
(1)「中央垂直振動子10」は、複合探触子12がボルト頭部上面2aに装着された状態において、図1に示すようにボルト1の幹部3(軸部)の軸方向と略同一の方向に垂直超音波ビーム6(以下、中央垂直超音波ビームという)を発し、発した中央垂直超音波ビーム6のエコーを検出する。
(2)「周辺垂直振動子11」は、複合探触子12がボルト頭部上面2aに装着された状態において、幹部3(軸部)の軸方向と略同一の方向に垂直超音波ビーム7(以下、周辺垂直超音波ビームという)を発し、発した周辺垂直超音波ビーム7のエコーを検出する。ここで「垂直」とは、複合探触子12がボルト頭部上面2aに正常に装着された状態において、振動子の超音波ビームを発する方向がボルト1の軸方向であることを意味する。すなわち、周辺垂直振動子11は、中央垂直振動子10と同様にボルト1の軸方向に超音波ビームを発する。
【0029】
図2(b)の平面図に示すように、複合探触子12では、中央垂直振動子10が中心に配置され、複数の周辺垂直振動子11が中央垂直振動子10の周りに中央垂直振動子10を囲むように、No.1〜No.8の周辺垂直振動子11が連続して円周状に配置されている。
【0030】
また、図2(a),(b)に示すように、中央垂直振動子10と複数の周辺垂直振動子11とは、同一のケース30に収納されており、一体化した複合探触子12として構成されている。
【0031】
以上、図2に示したように、実施の形態1の複合探触子12は中央垂直振動子10と複数の周辺垂直振動子11を備える。このため、図1に示すように、中央垂直振動子10の中央垂直超音波ビーム6と、複数の周辺垂直振動子11のそれぞれによる周辺垂直超音波ビーム7とにより、表面を含めたボルト軸の内部全体を検査することができる。すなわち、周辺垂直振動子11の周辺垂直超音波ビーム7はボルト軸方向に円錐状に広がって進むので図16で示した「未到達領域51」の課題を解消できると共に、それぞれの周辺垂直振動子11はボルトの軸方向に超音波を発するためボルト頭部表面からのエコ−検出による妨害エコーの課題も解消できる。また、図17で述べたような探触子を回転させる手間も不要になる。
【0032】
図3、図4は、複合探触子12が、さらに磁石9を備えた構成を示す図である。図3は、複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着した様子を示す。図4は、磁石9が組み込まれた接材用リング8を備えた複合探触子12の構成を示す。図4に示すように、複合探触子12は、1個の中央垂直振動子10と8個の周辺垂直振動子11とが収納されているケース30と、磁石9が組み込まれた接材用リング8とを備えている。図4に示すように、ケース30は円柱状である。接材用リング8は、その内径側がケース30の外径側と固着している。接材用リング8は、円柱状であるケース30のうちのボルト頭部上面2aに接する側の底面側付近に取り付けられる。このように、ケース30の外周に接材用リング8を設け、接材用リング8の全体または一部に磁石を用いることで、ケース30を外部から押さえる必要がなくなる。例えば、人が手で複合探触子12を押さえることなく、固定的に複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着することができる。
【0033】
本実施の形態1の複合探触子12は、中央垂直振動子10と複数の周辺垂直振動子11とを備えたので、図16で示した超音波の「未到達領域」をなくすことができる。また、複数の周辺垂直振動子を備えたので複合探触子12をボルト軸周りに回転させる必要がない。このため、ボルトの超音波探傷試験において、複合探触子12の装着後は複合探触子12を動かす必要がなくなり、作業効率が向上する。また、周辺垂直振動子11は複合探触子12がボルト頭部に装着された状態においてボルトの軸方向に超音波を発するので(斜角振動子ではないので)、ボルト頭部表面からのエコ−検出による妨害エコーの課題も解消できる。
【0034】
本実施の形態1の複合探触子12は、磁石を備えたので、複合探触子12をボルト頭部上面部に装着する場合に複合探触子12を押さえる必要ない。このため、ボルトの超音波探傷検査の作業効率が向上する。
【0035】
実施の形態2.
図5〜図10を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2は、図1の実施の形態1において説明した複合探触子12を備えるボルト検査装置100に関する。実施の形態2のボルト検査装置100の構成は、図1に示した通りである。
【0036】
実施の形態2で説明するボルト検査装置100の概要は次の様である。
(1)ボルト検査装置100は、超音波を送受信することのできる中央垂直振動子10および複数の周辺垂直振動子11からなる複合探触子12を備える。
(2)そして、その複合探触子12をボルト1のボルト頭部上面2aに接触(装着)させるだけで、ボルト1の各部に存在する欠陥からの反射波を複合探触子12によって検出する。
(3)反射波を検出する場合に、ボルト検査装置100は、複合探触子12の中央垂直振動子10から超音波を発するとともに発した超音波のエコーを中央垂直振動子10が検出することにより、ボルト1の特定の部位(以下、特定部という場合がある)からのエコー(特定部エコーデータ)を検出する。超音波の感度は接触媒質の状況や試験体の表面性状によって大きく左右されることから、実施の形態2のボルト検査装置100では、中央垂直振動子10で得られた特定部からの特定部エコーデータのエコー高さと、予め記憶している基準値とを比較する。そしてボルト検査装置100は、この比較結果に基づき、中央垂直振動子10が検出したエコーあるいは周辺垂直振動子11が検出したエコーのデータ処理を決定する。例えば、ボルト検査装置100は、特定部エコーデータのエコー高さと基準値との比較結果に基づき、検出したエコーをデータとして採用するか否かの採否判断を行う。あるいは、ボルト検査装置100は、特定部エコーデータのエコー高さと基準値との比較結果に基づき、検出したエコーのデータを補正する補正量を決定し補正処理を実行する。
(4)このように実施の形態2のボルト検査装置100は、中央垂直振動子10が発した超音波に起因する特定部からのエコーに対応する特定部エコーデータを記憶しておき、この記憶した特定部エコーデータと予め設定されている基準値とを比較し、比較結果に基づき、中央垂直振動子10、周辺垂直振動子11の検出したデータに所定の処理(検出したデータを採用する否かの採否処理、検出したデータに補正を加える補正処理等)を行なうことが特徴である。このような処理により、安定した性能でボルトの超音波探傷検査をすることができる。以下の説明では、先ずデータの採否について説明し、次にデータの補正について説明する。
【0037】
図5を用いてデータの採否処理について説明する。図5は、実施の形態2で説明するボルト検査装置100のデータ処理部19の内部構成を示すブロック図である。
【0038】
図5に示すように、データ処理部19は、第1記憶部21S(特定部エコーデータ記憶部)、第2記憶部21H(検出エコーデータ記憶部)、比較部22(指令信号出力部)、判定部23(処理実行部)を備える。第1記憶部21Sと比較部22とが特定側処理部19Sを構成し、第2記憶部21Hと判定部23とが検出側処理部19Hを構成する。
【0039】
図6〜図8を参照して図5のデータ処理部19の動作を説明する。
図6は、図5に示すデータ処理部19の動作を示すフローチャートである。
図7は、複合探触子12が備える中央垂直振動子10の出力エコー波形を示す。
図8は、複合探触子12が備える周辺垂直振動子11の出力エコー波形を示す。
【0040】
まず図7を説明する。
図7は、横軸は時間を示す。縦軸は、中央垂直振動子10が発した超音波のエコーを中央垂直振動子10自身が検出した際のエコー高さを示す。
記号はそれぞれ以下を示す。
すなわち、
TH:送信パルス、
S1:ボルト頭部上面2aからのエコー、
F1:ある欠陥部からの欠陥部エコー(検出エコーデータ)、
F1−1:F1の欠陥部と異なるある欠陥部からの欠陥部エコー(検出エコーデータ)、FE1:欠陥部エコーF1のエコー高さ、
B:バックエコー(特定部エコーデータ)、
BE:バックエコー高さ、
JL:基準値
を示している。
【0041】
次に図8を説明する。
図8は、横軸は時間を示す。縦軸は、ある一つの周辺垂直振動子11に着目し、その周辺垂直振動子11が発した超音波のエコーをその周辺垂直振動子11自身が検出した際のエコー高さを示す。
記号はそれぞれ以下を示す。
すなわち、
TS:送信パルス、
S2:ボルト頭部上面2aからのエコー、
F2:ある欠陥部からの欠陥部エコー(検出エコーデータ)、
FE2:欠陥部エコーF2のエコー高さ、
B2:バックエコー(特定部エコーデータ)、
BE2:バックエコー高さ、
JL2:基準値を示している。
【0042】
図6のフローチャートを参照して図5のデータ処理部19の動作を説明する。
【0043】
S101において、第1記憶部21Sが図7に示すバックエコーB(特定部エコーデータ)を入力して記憶する。このバックエコーBは、中央垂直振動子10が発した超音波に起因するボルト1の特定部からのエコーに対応する特定部エコーデータである。特定部エコーデータとして採用するのは、中央垂直振動子10が検出したデータのうち、好適なものを採用してよい。
【0044】
S102において、第2記憶部21H(検出エコーデータ記憶部)が、複数の周辺垂直振動子11と中央垂直振動子10とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する。すなわち図2に示したNo.1〜No.9のうちのいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する。第2記憶部21Hは、No.1〜No.9振動子のうち全部の振動子の検出したデータを記憶することができる。図7では、欠陥部エコーF1、F1−1は、いずれも検出エコーデータである。また図8では欠陥部エコーF2が検出エコーデータである。第2記憶部21Hは、これら検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を記憶する。
【0045】
S103において、比較部22(指令信号出力部)は、第1記憶部21Sが記憶したバックエコーB(特定部エコーデータ)と予め設定されている基準値JLとを比較する。そのイメージを図7に示している。比較部22(指令信号出力部)は、例えば第1記憶部21Sに記憶されたバックエコーB(特定部エコーデータ)と基準値JL(制御部26から送られてくる)とを比較する。その比較方法として、例えば、比較部22(指令信号出力部)は、図7に示すようにバックエコーBの「バックエコー高さBE」と、基準値JLとを比較する。比較部22は、その比較結果に基づいて、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータを有効とする処理の実行を指令する「有効指令信号JS」と無効とする処理を令する「無効指令信号JS」とのいずれかを生成して出力する。具体例としては、比較部22は、「バックエコー高さBE」が基準値JLの70%未満の場合には無効指令信号JSを生成して出力し、70%以上の場合は有効指令信号JSを生成して出力する。
【0046】
S104において、判定部23(処理実行部)は、有効指令信号を入力した場合には第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を有効とする。一方、判定部23は、無効指令信号を入力した場合には第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を無効とする。判定部23(処理実行部)は、欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を有効とした場合には出力部にこれらを出力する(図5の出力FV)。
【0047】
次に図9、図10と前述の図7、図8を用いて、データを補正する場合を説明する。
【0048】
図9は、データの補正を行う場合のデータ処理部19のブロック図である。図9では、図5に対して比較部22が補正量演算部24(指令信号出力部)となっており、判定部23が補正部25(処理実行部)となっている。図10のフローチャートを参照して、図9に示したデータ処理部19の補正処理の動作を説明する。
【0049】
S201において、S101の場合と同様に、第1記憶部21Sが図7に示すバックエコーB(特定部エコーデータ)を入力して記憶する。
【0050】
S202において、S102の場合と同様に、第2記憶部21H(検出エコーデータ記憶部)が、複数の周辺垂直振動子11と中央垂直振動子10とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する。第2記憶部21Hは、S102同様に、検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を記憶する。
【0051】
S203において、補正量演算部24(指令信号出力部)は、第1記憶部21Sが記憶したバックエコーB(特定部エコーデータ)と予め設定されている基準値JT(例えば制御部26から送られてくる)とを比較する。その比較方法としてはS103と同様に、補正量演算部24は、図7に示すようにバックエコーBの「バックエコー高さBE」と、基準値JTとを比較する。補正量演算部24は、その比較結果に基づいて、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータの補正を指令する補正指令信号JCを生成して出力する。具体例としては、補正量演算部24は「バックエコー高さBE」と基準値JTとの比率を計算する。その計算の結果、「バックエコー高さBE」が基準値JTの50%である場合には、第2記憶部21Hが記憶する検出エコーデータの値(大きさ)を2倍にする指示を内容とする補正指令信号JCを生成して出力する。
【0052】
S204において、補正部25は、補正指令信号JCを入力した場合には、入力した補正指令信号JCにしたがって、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータを補正する。前記の例で説明すれば、補正部25は、第2記憶部21Hが記憶している検出エコーデータの値(大きさ)を2倍にする指示を内容とする補正指令信号JCを入力した場合には、第2記憶部21Hが記憶している検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等の値を2倍にする補正を実行する。補正部25は、補正後のデータを出力部20に出力する(図9のFN)。
【0053】
以上ではデータの採否、データの補正について説明したがこれは一例である。図5に示した比較部22は、第1記憶部21Sが記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理の実行を指令する指令信号を生成して出力する機能を有するものである。そして、判定部23は、比較部22が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータに所定の処理を実行する機能を有するものである。なお周辺垂直振動子自身のエコーでもデータの採否、補正が可能である。
【0054】
実施の形態2のボルト検査装置100は、判定部23が、検出したデータの採否を判定するので、精度の高い測定結果を得ることができる。
【0055】
実施の形態2のボルト検査装置100は、補正部25が、検出したデータの補正処理を行なうので、安定した性能で検査することができる。
【0056】
以上の実施の形態では、超音波を送受信することのできる中央垂直振動子および複数の周辺垂直振動子からなる超音波探触子と、それぞれの振動子に送信パルスを与えるとともに検出した超音波エコー信号を受信する送受信部と、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信信号を記憶したり判断処理するデータ処理部と、処理結果を外部に提示する出力部とから成り、前記中央垂直振動子を中心に置き、複数の周辺垂直振動子をその周りに配置して同じケースに収納され、一体化した複合探触子として構成されていることを特徴とするボルトのボルト検査装置を説明した。
【0057】
以上の実施の形態では、送受信部、増幅部、データ処理部および出力部に関し、中央垂直振動子と周辺垂直振動子との間で、一つまたは複数の部分を共用化するために時間的に切り替えて使用するようにしたボルト検査装置を説明した。
【0058】
以上の実施の形態では、複合探触子の外周に接材用リングを設け、接材用リングの全体または一部に磁石を用いることで、探触子を外部から抑えなくても開放状態で探触子全体がボルトの頭部に接触できるようにしたボルト検査装置を説明した。
【0059】
以上の実施の形態では、中央垂直振動子のデータ処理で得られるボルト特定部からのエコー高さによって、中央垂直振動子および周辺垂直振動子のデータ処理で得られるボルトの検査データの有効/無効を判断するようにしたボルト検査装置を説明した。
【0060】
以上の実施の形態では、中央垂直振動子のデータ処理で得られるボルト特定部からのエコー高さによって、中央垂直振動子および周辺垂直振動子のデータ処理で得られるボルトの検査データの感度に補正を加えるボルト検査装置を説明した。
【0061】
実施の形態3.
次に、図11〜図15を用いて実施の形態3を説明する。実施の形態3は、実施の形態1の図2において説明した複合探触子12に類似の複合探触子(12−2)を備えたボルト検査装置(100−2)に関する。
【0062】
図11は、複合探触子(12−2)を備えたボルト検査装置(100−2)の構成を示している。
【0063】
図12は実施の形態3における複合探触子(12−2)を示す図である。図12は図2(b)に対応する図であり、一例として、周辺垂直振動子11を12個(1ch〜12ch)、中央垂直振動子10を1個有する場合を示した。
【0064】
実施の形態2におけるボルト検査装置100によるボルト探傷では各振動子を単独で駆動させるが、各振動子を単独で駆動させたとしても得られる感度はあまり高くはない。つまり、図12に示す周辺垂直振動子11を、1ch、2ch・・・と単独で駆動させても、各周辺垂直振動子の1個当りの送信エネルギーは小さいので、欠陥などから反射してくるエネルギーも小さい。これは結果として比較的小さい欠陥を見逃す可能性がある。
【0065】
そこで、実施の形態3のボルト検査装置(100−2)では、各振動子を単独で駆動させるのではなく、複数の振動子を並列に接続して一緒に駆動させる構成とする。例えば図12において、1chと2chの周辺垂直振動子11を並列に接続して同時に駆動する。以降、3chと4ch、5chと6chなど、周辺垂直振動子11を順次並列に接続して駆動する。この場合、送信1回で駆動される振動子面積が広がるために、出力される送信エネルギーおよび受信される反射エネルギーも増大し、高い感度での探傷が可能となる。この方法は何も2chの並列接続に限ったことではない。例えば1ch〜3ch、4ch〜6ch・・・など3chづつ駆動させてもよいし、更に多くのチャンネルを並列接続してもよい。
【0066】
このように、ボルト検査装置(100−2)の特徴は、制御部(26−2)が、切換部(14−2)を制御することにより、1ch〜12chの周辺垂直振動子11の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択することである。
【0067】
ボルト検査装置(100−2)の上記の特徴により、ボルト検査装置100)に対して、ボルト検査装置(100−2)は、制御部(26−2)、切換部(14−2)及び複合探触子(12−2)等の構成が相違する。このため、符号に「−2」を付けて区別した。
【0068】
(ボルト検査装置(100−2)の動作概要)
図13はボルト検査装置(100−2)の動作概要を説明する図である。図13を参照して説明する。
【0069】
図11に示すように、複合探触子(12−2)がボルト頭部上面2aに装着された状態とする。
【0070】
S301において、制御部(26−2)が、複合探触子(12−2)の有する複数の周辺垂直振動子11の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する。
例えば、制御部(26−2)は、
周辺垂直振動子(1ch)〜周辺垂直振動子(3ch)からなる第1グループ、
周辺垂直振動子(4ch)〜周辺垂直振動子(6ch)からなる第2グループ、
周辺垂直振動子(7ch)〜周辺垂直振動子(9ch)からなる第3グループ、
周辺垂直振動子(10ch)〜周辺垂直振動子(12ch)からなる第4グループ、
の4つのグループを、予めプログラムされた順番で順次選択する。この例では、制御部(26−2)は、前記第1グループから第4グループの順に選択するものとする。
【0071】
この選択に関しては、図11に示すように、切換部(14−2)によって、複数個の周辺垂直振動子11を並列接続することができる。制御部(26−2)は、切換部(14−2)に対し、プログラムに従って、前記第1グループから第4グループにかけて順次切り換える制御信号を出力し、周辺垂直振動子11の接続を切り換える。
【0072】
S302において、送受信部16は、制御部(26−2)によって3個の周辺垂直振動子11からなるグループが選択されるごとに、選択されたグループに含まれる3個の周辺垂直振動子11の全部を動作させることにより動作させた3個の周辺垂直振動子11を介してエコーを受信する。
【0073】
(有効指令信号/無効指令信号、補正指令信号)
S303において、受信されたエコーは、実施の形態2で述べた「検出エコーデータ」として、第2記憶部21Hに記憶される。また、ボルト検査装置(100−2)では中央垂直振動子10も駆動させて、そのエコーである特定部エコーデータを第1記憶部21Sに記憶する。そして、実施の形態2の図6、図10等に示した処理と同様に、ボルト検査装置(100−2)では、有効指令信号/無効指令信号(図6)あるいは補正指令信号(図10)を生成し、ボルト検査装置100と同様の処理を実施する。
【0074】
(周辺垂直振動子11の切換方式)
S301で述べたように隣接する複数の周辺垂直振動子11を並列に接続して駆動した場合は送信1回当りの感度は高くなるが、各送受信ブロック間(ブロックとは選択された複数の周辺垂直振動子11を一つの振動子とみたもの)の周方向間隔(角度)も大きくなる。このため、特定の角度で感度が低下する。
【0075】
図14は、角度と感度との関係を示す実験データのグラフである。図14は、図11に示す首下部3mm深さスリット210に対する感度特性を示すグラフである。首下部3mm深さスリット210とは、図11に示す位置においてボルト軸方向に対して直角方向に3mm切り込んだスリット欠陥である。図14では横軸が周方向角度ずれ(度)を示し、縦軸がエコー高さ(%)を示している。また、図15は図14を補足する図である。図14は、3つの周辺垂直振動子からなるグループにおいて、その中央の周辺垂直振動子からの周方向角度と感度(エコー高さ)との関係を示している。さらに具体的に説明する。図14は図15において「1ch〜3ch」をグループとして選択した場合の中心となる周辺垂直振動子(2ch)からの周方向角度と感度との関係を示している。もちろん他の隣接する3つの周辺垂直振動子についても同様である。「横軸の周方向角度ずれ(度)」とは、図15において「1ch〜3ch」のうち中央に位置する周辺垂直振動子(2ch)からの周方向角度を示している。周方向角度ずれ=「0°」の場合とは、図15において、首下部3mm深さスリット210が周辺垂直振動子(2ch)の中央を示す線分62の真下に位置することを意味し、周方向角度ずれ=「0°」における「80%」とは、この「0°」における「1ch〜3ch」のグループによるエコー高さ(感度に相当)を80%と定めたものである。100%でないのは単に80%と定めただけである。また、図14において例えば周方向角度ずれ=「45°」におけるエコー高さとは、図15において線分62から45°の位置にある線分60位置における「1ch〜3ch」のグループの検出したエコー高さ(感度)を示している。
【0076】
例えばS301のように、1ch〜3ch、4ch〜6ch、7ch〜9ch、10ch〜12chと順次に3chずつ並列接続する場合、1ch〜3chの真中は2chの真中であり(図15の線分62)、4ch〜6chの真中は5chの真中(線分65)である。両者の真中どうしには図15に示すように周方向角度で90°の開きがある。このため、各送受信ブロックは真中から±45°の周方向角度(例えば線分62〜線分60までの範囲、線分65〜線分60までの範囲)をカバーする必要がある。
【0077】
上述の図14の実験例でのデータに示すように、±45°の周方向角度があった場合、感度の数値は約「33%」である。0度の場合は感度の数値は約「80%」であるので、約0.4倍程度に感度が低下する可能性がある。すなわち、図15の場合に示す1ch〜3ch、4ch〜6chを例にとれば、線分60の位置では、線分62、線分65の位置に比べて感度が約0.4倍程度低下する可能性がある。
【0078】
そこで、複数(この例では3個)の周辺垂直振動子11を並列接続する場合に際して、並列チャンネル数より少ないチャンネル数づつシフトしながら接続し切り換えてもよい。
【0079】
例えば3つのチャンネルを並列接続する場合、図15において、
「1ch〜3ch」、
「2ch〜4ch」、
「3ch〜5ch」、
「4ch〜6ch」、
「5ch〜7ch」、
「6ch〜8ch」、
「7ch〜9ch」、
「8ch〜10ch」、
「9ch〜11ch」、
「10ch〜12ch」、
「11ch、12ch、1ch」、
「12ch、1ch、2ch」、と順次に12グループを切り換えていく。この場合、各送受信ブロック間の周方向角度差は30°であるから、±15°をカバーすればよいことになる。したがって、その範囲での感度の低下量は僅かなものである。図14を参照すると15°での感度の数値は約「73%」であり低下量はわずかである。
【0080】
あるいは、切換方法は、回数の少ない中間的な案として、
周辺垂直振動子(1ch)〜周辺垂直振動子(3ch)からなる第1グループ、
周辺垂直振動子(3ch)〜周辺垂直振動子(5ch)からなる第2グループ、
周辺垂直振動子(5ch)〜周辺垂直振動子(7ch)からなる第3グループ、
周辺垂直振動子(7ch)〜周辺周辺垂直振動子(9ch)からなる第4グループ、
周辺垂直振動子(9ch)〜周辺垂直振動子(11ch)からなる第5グループ、
周辺垂直振動子(11ch)、周辺垂直振動子(12ch)、周辺垂直振動子(1ch)からなる第6グループ、
の6つのグループを、予めプログラムされた順番で順次選択してもよい。
【0081】
なお、制御部(26−2)は、6つのグループを切り換える場合は、第1グループ、第2グループというように順番に選択していくが、これは一例であり、グループの選択順序は限定されない。例えば第5グループ、第2グループ、第4グループ、第1グループ、第3グループ、第6グループのように順次選択しても構わない。
【0082】
以上のように、実施の形態3のボルト検査装置(100−2)は、複数の周辺垂直振動子11を一緒に駆動させてエコーを検出するので、高感度でボルト内部の欠陥を発見することができる。
【0083】
以上の実施の形態3では周辺垂直振動子が1ch〜12chあり、この12個の周辺垂直振動子の中から隣接する3つの周辺垂直振動子を選択する場合を示したが、12個の周辺垂直振動子の中から互いに隣接する2つの周辺垂直振動子を選択しても良いし(例えば「1ch、2ch」、「3ch、4ch」・・・、あるいは「1ch、2ch」、「2ch、3ch」・・・)、隣接する4つの周辺垂直振動子を選択しても良い(例えば「1ch〜4ch」、「2ch〜5ch」・・・、あるいは「1ch〜4ch」、「3ch〜6ch」・・・、あるいは「1ch〜4ch」、「4ch〜7ch」・・・、「1ch〜4ch」、「5ch〜8ch」等)。これらのように、どのように周辺振動子のグループを選択するかについては、「予め設定された規則」として制御部26−2が保有している。
【0084】
また、実施の形態3では周辺垂直振動子が1ch〜12chの12個の場合を示したが例示である。周辺垂直振動子は12個に限らず任意の複数個で構わない。例えば6個、8個、10個等でも構わない。これらの複数の周辺垂直振動子の中から、上記のように、2個の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択してもよいし、あるいは3個の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択してもよいし、いくつの周辺垂直振動子からなるグループを順次選択してもよい。すなわち、複合探触子12−2は、第1から第N(Nは3以上の整数)まで隣接して前記円周状に配置されたN個の周辺垂直振動子を有する。そして、
制御部26−2は、グループとして、N個の周辺垂直振動子の中から、互いに隣接して配置されたA個(Aは2≦A≦N−1を満たす整数)の周辺垂直振動子からなるグループを予め設定された規則に従って順次選択する。
【0085】
以上のようにボルト検査装置100−2は、複数の振動子からなるグループを順次切り替えてエコーを検出するので、高感度でボルト内部の欠陥を検出することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 ボルト、2 ボルトの頭部、2a ボルト頭部上面、2b ボルト頭部下面、3 ボルトの幹部、4 ボルトのネジ部、5 接触媒質、6 中央垂直超音波ビーム、7 周辺垂直超音波ビーム、8 接材用リング、9 磁石、10 中央垂直振動子、11 周辺垂直振動子、12,12−2 複合探触子、13 接続ケーブル、14,14−2 切換部、15 検査装置本体、16 送受信部、17 増幅部、18 データ処理ブロック、19 データ処理部、19H 検出側処理部、19S 特定側処理部、20 出力部、21H 第2記憶部、21S 第1記憶部、22 比較部、23 判定部、24 補正量演算部、25 補正部、26,26−2 制御部、30 ケース、50 超音波探触子、51 未到達領域、100,100−2 ボルト検査装置、210 首下部3mm深さスリット、F1 欠陥部エコー、FE 欠陥部エコー高さ、B バックエコー、BE バックエコー高さ、JL 基準値、JS 有効/無効指令信号、JT 基準値、JC 補正指令信号。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いてボルトに欠陥が存在するかどうかを検査するボルト検査装置、及びボルト検査装置に使用される超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
図16に従来例を示す。図16のように、従来のボルト用の超音波探触子50には、中央に1個の垂直振動子10しか組み込まれていなかった。このため、垂直振動子10が垂直超音波ビーム6を発した場合には、図16に示すように超音波が到達しない「未到達領域51」が生じてしまい、「未到達領域51」に欠陥が存在する場合には検出できないという課題があった。
【0003】
図17は、別の従来例を示す(例えば非特許文献1)。図17では、超音波探触子50に斜角振動子110が組み込まれている。斜角振動子110を超音波探触子50に組み込むことで、図16に示した「未到達領域51」に斜角超音波ビーム70が到達し、この領域に存在する欠陥を検出するこが可能である。しかし、図16に示した「未到達領域51」のすべての表面付近を検査するには、斜角振動子110を組み込んだ超音波探触子50をボルト軸回りに回転させる必要があるという課題があった。
【0004】
一方、斜角振動子では、ボルト頭部表面からの多重エコーが検出され、この多重エコーが妨害となるという課題があった(例えば特許文献1)。
【0005】
また、超音波探傷装置自体の課題として、超音波探触子50とボルト頭部上面2aとの接触状況により検査データが影響を受けるため、超音波探触子50とボルト頭部上面2aとの接触状況に細かな注意を払わなければならないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−008827号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「ボルトの疲労割れ、遅れ割れ検査」、[online]、[平成18年2月20日検索]、(株)日鐵テクノリサーチ、インターネット<http://www.nstr.co.jp/boruto.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡易な手段によってボルトの検査に適用することができ、特にボルトの頭部に超音波探触子を当てるだけでボルト軸全体を検査することのできるボルトのボルト検査装置を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、超音波探触子とボルト頭部上面との接触状況に左右されない安定した検査を可能にするボルトのボルト検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のボルト検査装置は、
頭部と軸部とからなるボルトの前記頭部に装着されるとともに前記軸部に向けて超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する超音波探触子であって、前記超音波探触子が前記頭部に装着された状態において前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出すると共に前記装着された状態において前記頭部を前記軸方向に見て円周状に配置された複数の垂直振動子である複数の周辺垂直振動子を有する超音波探触子と、
前記超音波探触子の有する前記複数の周辺垂直振動子の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する制御部と、
前記制御部によって前記グループが選択されるごとに、選択された前記グループに含まれる複数の周辺垂直振動子の全部を動作させることにより動作させた前記複数の周辺垂直振動子を介してエコーを受信する送受信部と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記超音波探触子は、
第1から第N(Nは3以上の整数)まで前記円周状に配置されたN個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループとして、N個の周辺垂直振動子の中から、互いに隣接して配置されたA個(Aは2≦A≦N−1を満たす整数)の周辺垂直振動子からなるグループを予め設定された規則に従って順次選択することを特徴とする。
【0012】
前記超音波探触子は、
第1から第12まで前記円周状に配置された12個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループを順次選択する場合に、
第1周辺垂直振動子〜第3周辺垂直振動子からなる第1グループ、
第3周辺垂直振動子〜第5周辺垂直振動子からなる第2グループ、
第5周辺垂直振動子〜第7周辺垂直振動子からなる第3グループ、
第7周辺垂直振動子〜第9周辺垂直振動子からなる第4グループ、
第9周辺垂直振動子〜第11周辺垂直振動子からなる第5グループ、
第11周辺垂直振動子、第12周辺垂直振動子、第1周辺垂直振動子からなる第6グループ、
の6つのグループを、予め設定された順番で順次選択することを特徴とする。
【0013】
前記制御部は、
前記予め設定された順番として、前記第1グループから前記第6グループの順に順次選択することを特徴とする。
【0014】
前記超音波探触子は、さらに、
前記円周状に配置された複数の周辺垂直振動子に囲まれるように配置されると共に、前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する垂直振動子である中央垂直振動子を有し、
前記送受信部は、
前記中央垂直振動子を動作させることにより前記中央垂直振動子を介してエコーを受信することを特徴とする。
【0015】
前記ボルト検査装置は、さらに、
前記超音波探触子の前記中央垂直振動子が発した超音波に起因する前記ボルトの特定の部位である特定部からのエコーに対応するデータである特定部エコーデータを記憶する特定部エコーデータ記憶部と、
A個の周辺垂直振動子からなる前記グループと前記中央垂直振動子とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する検出エコーデータ記憶部と、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成して出力する指令信号出力部と、
前記指令信号出力部が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータに所定の処理を実行する処理実行部と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とする処理を指令する有効指令信号と無効とする処理を指令する無効指令信号とのいずれかを生成して出力し、
前記処理実行部は、
有効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とし、無効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを無効とすることを特徴とする。
【0017】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータの補正処理を指令する補正指令信号を生成して出力し、
前記処理実行部は、
補正指令信号を入力した場合には、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを補正することを特徴とする。
【0018】
前記超音波探触子は、さらに、
前記ボルトの前記頭部を磁力で吸引することにより、前記超音波探触子を前記ボルトの前記頭部に固定するための磁石を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明により、ボルトの頭部に探触子を当てるだけでボルト軸全体を安定して検査できるボルトのボルト検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1における複合探触子12を備えたボルト検査装置100を示す図。
【図2】実施の形態1における複合探触子12の構成を示す図。
【図3】実施の形態1における複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着した図。
【図4】実施の形態1における複合探触子12が、さらに磁石9を備えた構成を示す図。
【図5】実施の形態2におけるデータ採否処理を行なうデータ処理部19のブロック図。
【図6】図5のデータ処理部19の動作を示すフローチャート。
【図7】実施の形態2における中央垂直振動子10の出力エコー波形。
【図8】実施の形態2における周辺垂直振動子11の出力エコー波形。
【図9】実施の形態2におけるデータ補正処理を行うデータ処理部19のブロック図。
【図10】図9のデータ処理部19の動作を示すフローチャート。
【図11】実施の形態3におけるボルト検査装置(100−2)の構成図。
【図12】実施の形態3における複合探触子(12−2)を示す図。
【図13】実施の形態3におけるボルト検査装置(100−2)の動作概要を示すフローチャート。
【図14】実施の形態3における複合探触子(12−2)の周方向特性を示すグラフ。
【図15】実施の形態3における複合探触子(12−2)の周方向特性を説明する図。
【図16】従来技術を説明する図。
【図17】従来技術を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態1〜実施の形態3は、試験体であるボルトに超音波を照射する探触子及び超音波探傷するボルト検査装置に関する。
【0022】
実施の形態1.
図1〜図4を参照して実施の形態1を説明する。実施の形態1は、ボルトの超音波探傷に使用される複合探触子であって中央垂直振動子と複数の周辺垂直振動子とを備えた複合探触子に関する。
【0023】
図1は、「実施の形態1の複合探触子12」が用いられるボルト検査装置100を示している。ボルト検査装置100は、検査装置本体15、切換部14、複合探触子12とを備える。切換部14と複合探触子12とは、接続ケーブル13で接続されている。
【0024】
検査装置本体15は、送受信部16、増幅部17、データ処理部19、制御部26、出力部20を備える。
(1)送受信部16は、それぞれの振動子に送信パルスを与えるとともに中央垂直振動子10や周辺垂直振動子11が検出した超音波エコー信号(エコーデータともいう)を受信する。
(2)増幅部17は、受信信号を増幅する。
(3)データ処理部19は、データを処理する。
(4)制御部26は、切換部14や送受信部16やデータ処理部19を制御する。
(5)出力部20は、処理結果を外部に出力する。
制御部26とデータ処理部19とは、データ処理ブロック18を構成する。
【0025】
図1に示すように、複合探触子12は、ボルト1のボルト頭部上面2aに装着される。図1に示すように「ボルト頭部上面2a」とは、ボルトの頭部の上面である。通常、複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着する場合には、例えばゼリー状の接触媒質5が、ボルト頭部上面2aに塗布される。
【0026】
複合探触子12の詳細ついて説明する前に、ボルト検査装置100の動作概要を図2を参照して説明する。図2は、複合探触子12の構成を示す図である。図2は、一例として一つの中央垂直振動子(No.9)と8個の周辺垂直振動子(No.1〜No.8)とを備えた複合探触子12を示している。ここで「周辺垂直振動子」とは図2に示すように円周状に配置された個々の垂直振動子のことを指す。また、「中央垂直振動子」とは、円周状に配置された複数の周辺垂直振動子に囲まれるように配置された垂直振動子のことを指す。図2(b)は、複合探触子12が頭部2のボルト頭部上面2aに装着された状態において、複合探触子12をボルト1の軸方向にみた場合に相当する。
【0027】
中央垂直振動子、周辺垂直振動子の数を限定するものではない。複合探触子12では、複数の周辺垂直振動子が、中央垂直振動子の周りにこの中央垂直振動子を囲むように配置されていればよい。例えば、複合探触子12は、一つの中央垂直振動子と12個の周辺垂直振動子とを備えるような構成でも構わない。以下では、複合探触子12が、一つの中央垂直振動子(No.9)と8個の周辺垂直振動子(No.1〜No.8)とを備えた場合を例に説明する。図2による複合探触子12の詳しい説明は後述する。
(1)制御部26が切換部14の端子1〜端子9のうちのいずれかの端子に切り替える。後述する図2に示すように複合探触子12は9個の振動子を備えており、端子1〜端子9がそれぞれの振動子(No.1〜No.9)に対応する。No.1〜No.8が周辺垂直振動子11であり、No.9が中央垂直振動子10である。制御部26は、切換部14のいずれかの端子に切り替えた後、送受信部16に送信パルスを送信させる。この送信パルスにより対応する振動子が超音波を発する。
(2)超音波を発した振動子は、自身の発した超音波のエコーを検出する。このエコーは前記振動子により検出信号(エコーデータという場合がある)に変換され送受信部16が受信する。
(3)送受信部16は、前記検出信号を増幅部17に出力する。
(4)データ処理部19は、増幅部17により増幅され検出信号(エコーデータ)を処理する。
(5)出力部20は、データ処理部19が処理したデータを他の装置に出力する。
【0028】
図2を用いて複合探触子12の構成を詳しく説明する。図2に示すように、複合探触子12は、超音波を送受信することのできる中央垂直振動子10(No.9)と複数の周辺垂直振動子11(No.1〜No.8)とを備えている。
(1)「中央垂直振動子10」は、複合探触子12がボルト頭部上面2aに装着された状態において、図1に示すようにボルト1の幹部3(軸部)の軸方向と略同一の方向に垂直超音波ビーム6(以下、中央垂直超音波ビームという)を発し、発した中央垂直超音波ビーム6のエコーを検出する。
(2)「周辺垂直振動子11」は、複合探触子12がボルト頭部上面2aに装着された状態において、幹部3(軸部)の軸方向と略同一の方向に垂直超音波ビーム7(以下、周辺垂直超音波ビームという)を発し、発した周辺垂直超音波ビーム7のエコーを検出する。ここで「垂直」とは、複合探触子12がボルト頭部上面2aに正常に装着された状態において、振動子の超音波ビームを発する方向がボルト1の軸方向であることを意味する。すなわち、周辺垂直振動子11は、中央垂直振動子10と同様にボルト1の軸方向に超音波ビームを発する。
【0029】
図2(b)の平面図に示すように、複合探触子12では、中央垂直振動子10が中心に配置され、複数の周辺垂直振動子11が中央垂直振動子10の周りに中央垂直振動子10を囲むように、No.1〜No.8の周辺垂直振動子11が連続して円周状に配置されている。
【0030】
また、図2(a),(b)に示すように、中央垂直振動子10と複数の周辺垂直振動子11とは、同一のケース30に収納されており、一体化した複合探触子12として構成されている。
【0031】
以上、図2に示したように、実施の形態1の複合探触子12は中央垂直振動子10と複数の周辺垂直振動子11を備える。このため、図1に示すように、中央垂直振動子10の中央垂直超音波ビーム6と、複数の周辺垂直振動子11のそれぞれによる周辺垂直超音波ビーム7とにより、表面を含めたボルト軸の内部全体を検査することができる。すなわち、周辺垂直振動子11の周辺垂直超音波ビーム7はボルト軸方向に円錐状に広がって進むので図16で示した「未到達領域51」の課題を解消できると共に、それぞれの周辺垂直振動子11はボルトの軸方向に超音波を発するためボルト頭部表面からのエコ−検出による妨害エコーの課題も解消できる。また、図17で述べたような探触子を回転させる手間も不要になる。
【0032】
図3、図4は、複合探触子12が、さらに磁石9を備えた構成を示す図である。図3は、複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着した様子を示す。図4は、磁石9が組み込まれた接材用リング8を備えた複合探触子12の構成を示す。図4に示すように、複合探触子12は、1個の中央垂直振動子10と8個の周辺垂直振動子11とが収納されているケース30と、磁石9が組み込まれた接材用リング8とを備えている。図4に示すように、ケース30は円柱状である。接材用リング8は、その内径側がケース30の外径側と固着している。接材用リング8は、円柱状であるケース30のうちのボルト頭部上面2aに接する側の底面側付近に取り付けられる。このように、ケース30の外周に接材用リング8を設け、接材用リング8の全体または一部に磁石を用いることで、ケース30を外部から押さえる必要がなくなる。例えば、人が手で複合探触子12を押さえることなく、固定的に複合探触子12をボルト頭部上面2aに装着することができる。
【0033】
本実施の形態1の複合探触子12は、中央垂直振動子10と複数の周辺垂直振動子11とを備えたので、図16で示した超音波の「未到達領域」をなくすことができる。また、複数の周辺垂直振動子を備えたので複合探触子12をボルト軸周りに回転させる必要がない。このため、ボルトの超音波探傷試験において、複合探触子12の装着後は複合探触子12を動かす必要がなくなり、作業効率が向上する。また、周辺垂直振動子11は複合探触子12がボルト頭部に装着された状態においてボルトの軸方向に超音波を発するので(斜角振動子ではないので)、ボルト頭部表面からのエコ−検出による妨害エコーの課題も解消できる。
【0034】
本実施の形態1の複合探触子12は、磁石を備えたので、複合探触子12をボルト頭部上面部に装着する場合に複合探触子12を押さえる必要ない。このため、ボルトの超音波探傷検査の作業効率が向上する。
【0035】
実施の形態2.
図5〜図10を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2は、図1の実施の形態1において説明した複合探触子12を備えるボルト検査装置100に関する。実施の形態2のボルト検査装置100の構成は、図1に示した通りである。
【0036】
実施の形態2で説明するボルト検査装置100の概要は次の様である。
(1)ボルト検査装置100は、超音波を送受信することのできる中央垂直振動子10および複数の周辺垂直振動子11からなる複合探触子12を備える。
(2)そして、その複合探触子12をボルト1のボルト頭部上面2aに接触(装着)させるだけで、ボルト1の各部に存在する欠陥からの反射波を複合探触子12によって検出する。
(3)反射波を検出する場合に、ボルト検査装置100は、複合探触子12の中央垂直振動子10から超音波を発するとともに発した超音波のエコーを中央垂直振動子10が検出することにより、ボルト1の特定の部位(以下、特定部という場合がある)からのエコー(特定部エコーデータ)を検出する。超音波の感度は接触媒質の状況や試験体の表面性状によって大きく左右されることから、実施の形態2のボルト検査装置100では、中央垂直振動子10で得られた特定部からの特定部エコーデータのエコー高さと、予め記憶している基準値とを比較する。そしてボルト検査装置100は、この比較結果に基づき、中央垂直振動子10が検出したエコーあるいは周辺垂直振動子11が検出したエコーのデータ処理を決定する。例えば、ボルト検査装置100は、特定部エコーデータのエコー高さと基準値との比較結果に基づき、検出したエコーをデータとして採用するか否かの採否判断を行う。あるいは、ボルト検査装置100は、特定部エコーデータのエコー高さと基準値との比較結果に基づき、検出したエコーのデータを補正する補正量を決定し補正処理を実行する。
(4)このように実施の形態2のボルト検査装置100は、中央垂直振動子10が発した超音波に起因する特定部からのエコーに対応する特定部エコーデータを記憶しておき、この記憶した特定部エコーデータと予め設定されている基準値とを比較し、比較結果に基づき、中央垂直振動子10、周辺垂直振動子11の検出したデータに所定の処理(検出したデータを採用する否かの採否処理、検出したデータに補正を加える補正処理等)を行なうことが特徴である。このような処理により、安定した性能でボルトの超音波探傷検査をすることができる。以下の説明では、先ずデータの採否について説明し、次にデータの補正について説明する。
【0037】
図5を用いてデータの採否処理について説明する。図5は、実施の形態2で説明するボルト検査装置100のデータ処理部19の内部構成を示すブロック図である。
【0038】
図5に示すように、データ処理部19は、第1記憶部21S(特定部エコーデータ記憶部)、第2記憶部21H(検出エコーデータ記憶部)、比較部22(指令信号出力部)、判定部23(処理実行部)を備える。第1記憶部21Sと比較部22とが特定側処理部19Sを構成し、第2記憶部21Hと判定部23とが検出側処理部19Hを構成する。
【0039】
図6〜図8を参照して図5のデータ処理部19の動作を説明する。
図6は、図5に示すデータ処理部19の動作を示すフローチャートである。
図7は、複合探触子12が備える中央垂直振動子10の出力エコー波形を示す。
図8は、複合探触子12が備える周辺垂直振動子11の出力エコー波形を示す。
【0040】
まず図7を説明する。
図7は、横軸は時間を示す。縦軸は、中央垂直振動子10が発した超音波のエコーを中央垂直振動子10自身が検出した際のエコー高さを示す。
記号はそれぞれ以下を示す。
すなわち、
TH:送信パルス、
S1:ボルト頭部上面2aからのエコー、
F1:ある欠陥部からの欠陥部エコー(検出エコーデータ)、
F1−1:F1の欠陥部と異なるある欠陥部からの欠陥部エコー(検出エコーデータ)、FE1:欠陥部エコーF1のエコー高さ、
B:バックエコー(特定部エコーデータ)、
BE:バックエコー高さ、
JL:基準値
を示している。
【0041】
次に図8を説明する。
図8は、横軸は時間を示す。縦軸は、ある一つの周辺垂直振動子11に着目し、その周辺垂直振動子11が発した超音波のエコーをその周辺垂直振動子11自身が検出した際のエコー高さを示す。
記号はそれぞれ以下を示す。
すなわち、
TS:送信パルス、
S2:ボルト頭部上面2aからのエコー、
F2:ある欠陥部からの欠陥部エコー(検出エコーデータ)、
FE2:欠陥部エコーF2のエコー高さ、
B2:バックエコー(特定部エコーデータ)、
BE2:バックエコー高さ、
JL2:基準値を示している。
【0042】
図6のフローチャートを参照して図5のデータ処理部19の動作を説明する。
【0043】
S101において、第1記憶部21Sが図7に示すバックエコーB(特定部エコーデータ)を入力して記憶する。このバックエコーBは、中央垂直振動子10が発した超音波に起因するボルト1の特定部からのエコーに対応する特定部エコーデータである。特定部エコーデータとして採用するのは、中央垂直振動子10が検出したデータのうち、好適なものを採用してよい。
【0044】
S102において、第2記憶部21H(検出エコーデータ記憶部)が、複数の周辺垂直振動子11と中央垂直振動子10とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する。すなわち図2に示したNo.1〜No.9のうちのいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する。第2記憶部21Hは、No.1〜No.9振動子のうち全部の振動子の検出したデータを記憶することができる。図7では、欠陥部エコーF1、F1−1は、いずれも検出エコーデータである。また図8では欠陥部エコーF2が検出エコーデータである。第2記憶部21Hは、これら検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を記憶する。
【0045】
S103において、比較部22(指令信号出力部)は、第1記憶部21Sが記憶したバックエコーB(特定部エコーデータ)と予め設定されている基準値JLとを比較する。そのイメージを図7に示している。比較部22(指令信号出力部)は、例えば第1記憶部21Sに記憶されたバックエコーB(特定部エコーデータ)と基準値JL(制御部26から送られてくる)とを比較する。その比較方法として、例えば、比較部22(指令信号出力部)は、図7に示すようにバックエコーBの「バックエコー高さBE」と、基準値JLとを比較する。比較部22は、その比較結果に基づいて、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータを有効とする処理の実行を指令する「有効指令信号JS」と無効とする処理を令する「無効指令信号JS」とのいずれかを生成して出力する。具体例としては、比較部22は、「バックエコー高さBE」が基準値JLの70%未満の場合には無効指令信号JSを生成して出力し、70%以上の場合は有効指令信号JSを生成して出力する。
【0046】
S104において、判定部23(処理実行部)は、有効指令信号を入力した場合には第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を有効とする。一方、判定部23は、無効指令信号を入力した場合には第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を無効とする。判定部23(処理実行部)は、欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を有効とした場合には出力部にこれらを出力する(図5の出力FV)。
【0047】
次に図9、図10と前述の図7、図8を用いて、データを補正する場合を説明する。
【0048】
図9は、データの補正を行う場合のデータ処理部19のブロック図である。図9では、図5に対して比較部22が補正量演算部24(指令信号出力部)となっており、判定部23が補正部25(処理実行部)となっている。図10のフローチャートを参照して、図9に示したデータ処理部19の補正処理の動作を説明する。
【0049】
S201において、S101の場合と同様に、第1記憶部21Sが図7に示すバックエコーB(特定部エコーデータ)を入力して記憶する。
【0050】
S202において、S102の場合と同様に、第2記憶部21H(検出エコーデータ記憶部)が、複数の周辺垂直振動子11と中央垂直振動子10とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する。第2記憶部21Hは、S102同様に、検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等を記憶する。
【0051】
S203において、補正量演算部24(指令信号出力部)は、第1記憶部21Sが記憶したバックエコーB(特定部エコーデータ)と予め設定されている基準値JT(例えば制御部26から送られてくる)とを比較する。その比較方法としてはS103と同様に、補正量演算部24は、図7に示すようにバックエコーBの「バックエコー高さBE」と、基準値JTとを比較する。補正量演算部24は、その比較結果に基づいて、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータの補正を指令する補正指令信号JCを生成して出力する。具体例としては、補正量演算部24は「バックエコー高さBE」と基準値JTとの比率を計算する。その計算の結果、「バックエコー高さBE」が基準値JTの50%である場合には、第2記憶部21Hが記憶する検出エコーデータの値(大きさ)を2倍にする指示を内容とする補正指令信号JCを生成して出力する。
【0052】
S204において、補正部25は、補正指令信号JCを入力した場合には、入力した補正指令信号JCにしたがって、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータを補正する。前記の例で説明すれば、補正部25は、第2記憶部21Hが記憶している検出エコーデータの値(大きさ)を2倍にする指示を内容とする補正指令信号JCを入力した場合には、第2記憶部21Hが記憶している検出エコーデータである欠陥部エコーF1、F1−1、F2等の値を2倍にする補正を実行する。補正部25は、補正後のデータを出力部20に出力する(図9のFN)。
【0053】
以上ではデータの採否、データの補正について説明したがこれは一例である。図5に示した比較部22は、第1記憶部21Sが記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理の実行を指令する指令信号を生成して出力する機能を有するものである。そして、判定部23は、比較部22が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータに所定の処理を実行する機能を有するものである。なお周辺垂直振動子自身のエコーでもデータの採否、補正が可能である。
【0054】
実施の形態2のボルト検査装置100は、判定部23が、検出したデータの採否を判定するので、精度の高い測定結果を得ることができる。
【0055】
実施の形態2のボルト検査装置100は、補正部25が、検出したデータの補正処理を行なうので、安定した性能で検査することができる。
【0056】
以上の実施の形態では、超音波を送受信することのできる中央垂直振動子および複数の周辺垂直振動子からなる超音波探触子と、それぞれの振動子に送信パルスを与えるとともに検出した超音波エコー信号を受信する送受信部と、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信信号を記憶したり判断処理するデータ処理部と、処理結果を外部に提示する出力部とから成り、前記中央垂直振動子を中心に置き、複数の周辺垂直振動子をその周りに配置して同じケースに収納され、一体化した複合探触子として構成されていることを特徴とするボルトのボルト検査装置を説明した。
【0057】
以上の実施の形態では、送受信部、増幅部、データ処理部および出力部に関し、中央垂直振動子と周辺垂直振動子との間で、一つまたは複数の部分を共用化するために時間的に切り替えて使用するようにしたボルト検査装置を説明した。
【0058】
以上の実施の形態では、複合探触子の外周に接材用リングを設け、接材用リングの全体または一部に磁石を用いることで、探触子を外部から抑えなくても開放状態で探触子全体がボルトの頭部に接触できるようにしたボルト検査装置を説明した。
【0059】
以上の実施の形態では、中央垂直振動子のデータ処理で得られるボルト特定部からのエコー高さによって、中央垂直振動子および周辺垂直振動子のデータ処理で得られるボルトの検査データの有効/無効を判断するようにしたボルト検査装置を説明した。
【0060】
以上の実施の形態では、中央垂直振動子のデータ処理で得られるボルト特定部からのエコー高さによって、中央垂直振動子および周辺垂直振動子のデータ処理で得られるボルトの検査データの感度に補正を加えるボルト検査装置を説明した。
【0061】
実施の形態3.
次に、図11〜図15を用いて実施の形態3を説明する。実施の形態3は、実施の形態1の図2において説明した複合探触子12に類似の複合探触子(12−2)を備えたボルト検査装置(100−2)に関する。
【0062】
図11は、複合探触子(12−2)を備えたボルト検査装置(100−2)の構成を示している。
【0063】
図12は実施の形態3における複合探触子(12−2)を示す図である。図12は図2(b)に対応する図であり、一例として、周辺垂直振動子11を12個(1ch〜12ch)、中央垂直振動子10を1個有する場合を示した。
【0064】
実施の形態2におけるボルト検査装置100によるボルト探傷では各振動子を単独で駆動させるが、各振動子を単独で駆動させたとしても得られる感度はあまり高くはない。つまり、図12に示す周辺垂直振動子11を、1ch、2ch・・・と単独で駆動させても、各周辺垂直振動子の1個当りの送信エネルギーは小さいので、欠陥などから反射してくるエネルギーも小さい。これは結果として比較的小さい欠陥を見逃す可能性がある。
【0065】
そこで、実施の形態3のボルト検査装置(100−2)では、各振動子を単独で駆動させるのではなく、複数の振動子を並列に接続して一緒に駆動させる構成とする。例えば図12において、1chと2chの周辺垂直振動子11を並列に接続して同時に駆動する。以降、3chと4ch、5chと6chなど、周辺垂直振動子11を順次並列に接続して駆動する。この場合、送信1回で駆動される振動子面積が広がるために、出力される送信エネルギーおよび受信される反射エネルギーも増大し、高い感度での探傷が可能となる。この方法は何も2chの並列接続に限ったことではない。例えば1ch〜3ch、4ch〜6ch・・・など3chづつ駆動させてもよいし、更に多くのチャンネルを並列接続してもよい。
【0066】
このように、ボルト検査装置(100−2)の特徴は、制御部(26−2)が、切換部(14−2)を制御することにより、1ch〜12chの周辺垂直振動子11の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択することである。
【0067】
ボルト検査装置(100−2)の上記の特徴により、ボルト検査装置100)に対して、ボルト検査装置(100−2)は、制御部(26−2)、切換部(14−2)及び複合探触子(12−2)等の構成が相違する。このため、符号に「−2」を付けて区別した。
【0068】
(ボルト検査装置(100−2)の動作概要)
図13はボルト検査装置(100−2)の動作概要を説明する図である。図13を参照して説明する。
【0069】
図11に示すように、複合探触子(12−2)がボルト頭部上面2aに装着された状態とする。
【0070】
S301において、制御部(26−2)が、複合探触子(12−2)の有する複数の周辺垂直振動子11の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する。
例えば、制御部(26−2)は、
周辺垂直振動子(1ch)〜周辺垂直振動子(3ch)からなる第1グループ、
周辺垂直振動子(4ch)〜周辺垂直振動子(6ch)からなる第2グループ、
周辺垂直振動子(7ch)〜周辺垂直振動子(9ch)からなる第3グループ、
周辺垂直振動子(10ch)〜周辺垂直振動子(12ch)からなる第4グループ、
の4つのグループを、予めプログラムされた順番で順次選択する。この例では、制御部(26−2)は、前記第1グループから第4グループの順に選択するものとする。
【0071】
この選択に関しては、図11に示すように、切換部(14−2)によって、複数個の周辺垂直振動子11を並列接続することができる。制御部(26−2)は、切換部(14−2)に対し、プログラムに従って、前記第1グループから第4グループにかけて順次切り換える制御信号を出力し、周辺垂直振動子11の接続を切り換える。
【0072】
S302において、送受信部16は、制御部(26−2)によって3個の周辺垂直振動子11からなるグループが選択されるごとに、選択されたグループに含まれる3個の周辺垂直振動子11の全部を動作させることにより動作させた3個の周辺垂直振動子11を介してエコーを受信する。
【0073】
(有効指令信号/無効指令信号、補正指令信号)
S303において、受信されたエコーは、実施の形態2で述べた「検出エコーデータ」として、第2記憶部21Hに記憶される。また、ボルト検査装置(100−2)では中央垂直振動子10も駆動させて、そのエコーである特定部エコーデータを第1記憶部21Sに記憶する。そして、実施の形態2の図6、図10等に示した処理と同様に、ボルト検査装置(100−2)では、有効指令信号/無効指令信号(図6)あるいは補正指令信号(図10)を生成し、ボルト検査装置100と同様の処理を実施する。
【0074】
(周辺垂直振動子11の切換方式)
S301で述べたように隣接する複数の周辺垂直振動子11を並列に接続して駆動した場合は送信1回当りの感度は高くなるが、各送受信ブロック間(ブロックとは選択された複数の周辺垂直振動子11を一つの振動子とみたもの)の周方向間隔(角度)も大きくなる。このため、特定の角度で感度が低下する。
【0075】
図14は、角度と感度との関係を示す実験データのグラフである。図14は、図11に示す首下部3mm深さスリット210に対する感度特性を示すグラフである。首下部3mm深さスリット210とは、図11に示す位置においてボルト軸方向に対して直角方向に3mm切り込んだスリット欠陥である。図14では横軸が周方向角度ずれ(度)を示し、縦軸がエコー高さ(%)を示している。また、図15は図14を補足する図である。図14は、3つの周辺垂直振動子からなるグループにおいて、その中央の周辺垂直振動子からの周方向角度と感度(エコー高さ)との関係を示している。さらに具体的に説明する。図14は図15において「1ch〜3ch」をグループとして選択した場合の中心となる周辺垂直振動子(2ch)からの周方向角度と感度との関係を示している。もちろん他の隣接する3つの周辺垂直振動子についても同様である。「横軸の周方向角度ずれ(度)」とは、図15において「1ch〜3ch」のうち中央に位置する周辺垂直振動子(2ch)からの周方向角度を示している。周方向角度ずれ=「0°」の場合とは、図15において、首下部3mm深さスリット210が周辺垂直振動子(2ch)の中央を示す線分62の真下に位置することを意味し、周方向角度ずれ=「0°」における「80%」とは、この「0°」における「1ch〜3ch」のグループによるエコー高さ(感度に相当)を80%と定めたものである。100%でないのは単に80%と定めただけである。また、図14において例えば周方向角度ずれ=「45°」におけるエコー高さとは、図15において線分62から45°の位置にある線分60位置における「1ch〜3ch」のグループの検出したエコー高さ(感度)を示している。
【0076】
例えばS301のように、1ch〜3ch、4ch〜6ch、7ch〜9ch、10ch〜12chと順次に3chずつ並列接続する場合、1ch〜3chの真中は2chの真中であり(図15の線分62)、4ch〜6chの真中は5chの真中(線分65)である。両者の真中どうしには図15に示すように周方向角度で90°の開きがある。このため、各送受信ブロックは真中から±45°の周方向角度(例えば線分62〜線分60までの範囲、線分65〜線分60までの範囲)をカバーする必要がある。
【0077】
上述の図14の実験例でのデータに示すように、±45°の周方向角度があった場合、感度の数値は約「33%」である。0度の場合は感度の数値は約「80%」であるので、約0.4倍程度に感度が低下する可能性がある。すなわち、図15の場合に示す1ch〜3ch、4ch〜6chを例にとれば、線分60の位置では、線分62、線分65の位置に比べて感度が約0.4倍程度低下する可能性がある。
【0078】
そこで、複数(この例では3個)の周辺垂直振動子11を並列接続する場合に際して、並列チャンネル数より少ないチャンネル数づつシフトしながら接続し切り換えてもよい。
【0079】
例えば3つのチャンネルを並列接続する場合、図15において、
「1ch〜3ch」、
「2ch〜4ch」、
「3ch〜5ch」、
「4ch〜6ch」、
「5ch〜7ch」、
「6ch〜8ch」、
「7ch〜9ch」、
「8ch〜10ch」、
「9ch〜11ch」、
「10ch〜12ch」、
「11ch、12ch、1ch」、
「12ch、1ch、2ch」、と順次に12グループを切り換えていく。この場合、各送受信ブロック間の周方向角度差は30°であるから、±15°をカバーすればよいことになる。したがって、その範囲での感度の低下量は僅かなものである。図14を参照すると15°での感度の数値は約「73%」であり低下量はわずかである。
【0080】
あるいは、切換方法は、回数の少ない中間的な案として、
周辺垂直振動子(1ch)〜周辺垂直振動子(3ch)からなる第1グループ、
周辺垂直振動子(3ch)〜周辺垂直振動子(5ch)からなる第2グループ、
周辺垂直振動子(5ch)〜周辺垂直振動子(7ch)からなる第3グループ、
周辺垂直振動子(7ch)〜周辺周辺垂直振動子(9ch)からなる第4グループ、
周辺垂直振動子(9ch)〜周辺垂直振動子(11ch)からなる第5グループ、
周辺垂直振動子(11ch)、周辺垂直振動子(12ch)、周辺垂直振動子(1ch)からなる第6グループ、
の6つのグループを、予めプログラムされた順番で順次選択してもよい。
【0081】
なお、制御部(26−2)は、6つのグループを切り換える場合は、第1グループ、第2グループというように順番に選択していくが、これは一例であり、グループの選択順序は限定されない。例えば第5グループ、第2グループ、第4グループ、第1グループ、第3グループ、第6グループのように順次選択しても構わない。
【0082】
以上のように、実施の形態3のボルト検査装置(100−2)は、複数の周辺垂直振動子11を一緒に駆動させてエコーを検出するので、高感度でボルト内部の欠陥を発見することができる。
【0083】
以上の実施の形態3では周辺垂直振動子が1ch〜12chあり、この12個の周辺垂直振動子の中から隣接する3つの周辺垂直振動子を選択する場合を示したが、12個の周辺垂直振動子の中から互いに隣接する2つの周辺垂直振動子を選択しても良いし(例えば「1ch、2ch」、「3ch、4ch」・・・、あるいは「1ch、2ch」、「2ch、3ch」・・・)、隣接する4つの周辺垂直振動子を選択しても良い(例えば「1ch〜4ch」、「2ch〜5ch」・・・、あるいは「1ch〜4ch」、「3ch〜6ch」・・・、あるいは「1ch〜4ch」、「4ch〜7ch」・・・、「1ch〜4ch」、「5ch〜8ch」等)。これらのように、どのように周辺振動子のグループを選択するかについては、「予め設定された規則」として制御部26−2が保有している。
【0084】
また、実施の形態3では周辺垂直振動子が1ch〜12chの12個の場合を示したが例示である。周辺垂直振動子は12個に限らず任意の複数個で構わない。例えば6個、8個、10個等でも構わない。これらの複数の周辺垂直振動子の中から、上記のように、2個の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択してもよいし、あるいは3個の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択してもよいし、いくつの周辺垂直振動子からなるグループを順次選択してもよい。すなわち、複合探触子12−2は、第1から第N(Nは3以上の整数)まで隣接して前記円周状に配置されたN個の周辺垂直振動子を有する。そして、
制御部26−2は、グループとして、N個の周辺垂直振動子の中から、互いに隣接して配置されたA個(Aは2≦A≦N−1を満たす整数)の周辺垂直振動子からなるグループを予め設定された規則に従って順次選択する。
【0085】
以上のようにボルト検査装置100−2は、複数の振動子からなるグループを順次切り替えてエコーを検出するので、高感度でボルト内部の欠陥を検出することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 ボルト、2 ボルトの頭部、2a ボルト頭部上面、2b ボルト頭部下面、3 ボルトの幹部、4 ボルトのネジ部、5 接触媒質、6 中央垂直超音波ビーム、7 周辺垂直超音波ビーム、8 接材用リング、9 磁石、10 中央垂直振動子、11 周辺垂直振動子、12,12−2 複合探触子、13 接続ケーブル、14,14−2 切換部、15 検査装置本体、16 送受信部、17 増幅部、18 データ処理ブロック、19 データ処理部、19H 検出側処理部、19S 特定側処理部、20 出力部、21H 第2記憶部、21S 第1記憶部、22 比較部、23 判定部、24 補正量演算部、25 補正部、26,26−2 制御部、30 ケース、50 超音波探触子、51 未到達領域、100,100−2 ボルト検査装置、210 首下部3mm深さスリット、F1 欠陥部エコー、FE 欠陥部エコー高さ、B バックエコー、BE バックエコー高さ、JL 基準値、JS 有効/無効指令信号、JT 基準値、JC 補正指令信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と軸部とからなるボルトの前記頭部に装着されるとともに前記軸部に向けて超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する超音波探触子であって、前記超音波探触子が前記頭部に装着された状態において前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出すると共に前記装着された状態において前記頭部を前記軸方向に見て円周状に配置された複数の垂直振動子である複数の周辺垂直振動子を有する超音波探触子と、
前記超音波探触子の有する前記複数の周辺垂直振動子の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する制御部と、
前記制御部によって前記グループが選択されるごとに、選択された前記グループに含まれる複数の周辺垂直振動子の全部を動作させることにより動作させた前記複数の周辺垂直振動子を介してエコーを受信する送受信部と
を備えたことを特徴とするボルト検査装置。
【請求項2】
前記超音波探触子は、
第1から第N(Nは3以上の整数)まで前記円周状に配置されたN個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループとして、N個の周辺垂直振動子の中から、隣接して配置されたA個(Aは2≦A≦N−1を満たす整数)の周辺垂直振動子からなるグループを予め設定された規則に従って順次選択することを特徴とする請求項1記載のボルト検査装置。
【請求項3】
前記超音波探触子は、
第1から第12まで前記円周状に配置された12個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループを順次選択する場合に、
第1周辺垂直振動子〜第3周辺垂直振動子からなる第1グループ、
第3周辺垂直振動子〜第5周辺垂直振動子からなる第2グループ、
第5周辺垂直振動子〜第7周辺垂直振動子からなる第3グループ、
第7周辺垂直振動子〜第9周辺垂直振動子からなる第4グループ、
第9周辺垂直振動子〜第11周辺垂直振動子からなる第5グループ、
第11周辺垂直振動子、第12周辺垂直振動子、第1周辺垂直振動子からなる第6グループ、
の6つのグループを、予め設定された順番で順次選択することを特徴とする請求項2記載のボルト検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記予め設定された順番として、前記第1グループから前記第6グループの順に順次選択することを特徴とする請求項3記載のボルト検査装置。
【請求項5】
前記超音波探触子は、さらに、
前記円周状に配置された複数の周辺垂直振動子に囲まれるように配置されると共に、前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する垂直振動子である中央垂直振動子を有し、
前記送受信部は、
前記中央垂直振動子を動作させることにより前記中央垂直振動子を介してエコーを受信することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のボルト検査装置。
【請求項6】
前記ボルト検査装置は、さらに、
前記超音波探触子の前記中央垂直振動子が発した超音波に起因する前記ボルトの特定の部位である特定部からのエコーに対応するデータである特定部エコーデータを記憶する特定部エコーデータ記憶部と、
A個の周辺垂直振動子からなる前記グループと前記中央垂直振動子とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する検出エコーデータ記憶部と、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成して出力する指令信号出力部と、
前記指令信号出力部が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータに所定の処理を実行する処理実行部と
を備えたことを特徴とする請求項5記載のボルト検査装置。
【請求項7】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とする処理を指令する有効指令信号と無効とする処理を指令する無効指令信号とのいずれかを生成して出力し、
前記処理実行部は、
有効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とし、無効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを無効とすることを特徴とする請求項6記載のボルト検査装置。
【請求項8】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータの補正処理を指令する補正指令信号を生成して出力し、
前記処理実行部は、
補正指令信号を入力した場合には、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを補正することを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載のボルト検査装置。
【請求項9】
前記超音波探触子は、さらに、
前記ボルトの前記頭部を磁力で吸引することにより、前記超音波探触子を前記ボルトの前記頭部に固定するための磁石を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のボルト検査装置。
【請求項1】
頭部と軸部とからなるボルトの前記頭部に装着されるとともに前記軸部に向けて超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する超音波探触子であって、前記超音波探触子が前記頭部に装着された状態において前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出すると共に前記装着された状態において前記頭部を前記軸方向に見て円周状に配置された複数の垂直振動子である複数の周辺垂直振動子を有する超音波探触子と、
前記超音波探触子の有する前記複数の周辺垂直振動子の中から、隣接して配置された複数の周辺垂直振動子からなるグループを順次選択する制御部と、
前記制御部によって前記グループが選択されるごとに、選択された前記グループに含まれる複数の周辺垂直振動子の全部を動作させることにより動作させた前記複数の周辺垂直振動子を介してエコーを受信する送受信部と
を備えたことを特徴とするボルト検査装置。
【請求項2】
前記超音波探触子は、
第1から第N(Nは3以上の整数)まで前記円周状に配置されたN個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループとして、N個の周辺垂直振動子の中から、隣接して配置されたA個(Aは2≦A≦N−1を満たす整数)の周辺垂直振動子からなるグループを予め設定された規則に従って順次選択することを特徴とする請求項1記載のボルト検査装置。
【請求項3】
前記超音波探触子は、
第1から第12まで前記円周状に配置された12個の周辺垂直振動子を有し、
前記制御部は、
前記グループを順次選択する場合に、
第1周辺垂直振動子〜第3周辺垂直振動子からなる第1グループ、
第3周辺垂直振動子〜第5周辺垂直振動子からなる第2グループ、
第5周辺垂直振動子〜第7周辺垂直振動子からなる第3グループ、
第7周辺垂直振動子〜第9周辺垂直振動子からなる第4グループ、
第9周辺垂直振動子〜第11周辺垂直振動子からなる第5グループ、
第11周辺垂直振動子、第12周辺垂直振動子、第1周辺垂直振動子からなる第6グループ、
の6つのグループを、予め設定された順番で順次選択することを特徴とする請求項2記載のボルト検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記予め設定された順番として、前記第1グループから前記第6グループの順に順次選択することを特徴とする請求項3記載のボルト検査装置。
【請求項5】
前記超音波探触子は、さらに、
前記円周状に配置された複数の周辺垂直振動子に囲まれるように配置されると共に、前記軸部の軸方向と略同一の方向に超音波を発し、発した超音波のエコーを検出する垂直振動子である中央垂直振動子を有し、
前記送受信部は、
前記中央垂直振動子を動作させることにより前記中央垂直振動子を介してエコーを受信することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のボルト検査装置。
【請求項6】
前記ボルト検査装置は、さらに、
前記超音波探触子の前記中央垂直振動子が発した超音波に起因する前記ボルトの特定の部位である特定部からのエコーに対応するデータである特定部エコーデータを記憶する特定部エコーデータ記憶部と、
A個の周辺垂直振動子からなる前記グループと前記中央垂直振動子とのうちの少なくともいずれかが検出したエコーに対応するデータである検出エコーデータを記憶する検出エコーデータ記憶部と、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成して出力する指令信号出力部と、
前記指令信号出力部が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータに所定の処理を実行する処理実行部と
を備えたことを特徴とする請求項5記載のボルト検査装置。
【請求項7】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とする処理を指令する有効指令信号と無効とする処理を指令する無効指令信号とのいずれかを生成して出力し、
前記処理実行部は、
有効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを有効とし、無効指令信号を入力した場合には前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを無効とすることを特徴とする請求項6記載のボルト検査装置。
【請求項8】
前記指令信号出力部は、
前記特定部エコーデータ記憶部が記憶した特定部エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータの補正処理を指令する補正指令信号を生成して出力し、
前記処理実行部は、
補正指令信号を入力した場合には、前記検出エコーデータ記憶部が記憶した検出エコーデータを補正することを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載のボルト検査装置。
【請求項9】
前記超音波探触子は、さらに、
前記ボルトの前記頭部を磁力で吸引することにより、前記超音波探触子を前記ボルトの前記頭部に固定するための磁石を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のボルト検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−163798(P2011−163798A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23999(P2010−23999)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(392036153)菱電湘南エレクトロニクス株式会社 (13)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(392036153)菱電湘南エレクトロニクス株式会社 (13)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】
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