説明

ポインティング装置及びこれを備えた電子機器

【課題】薄型化したポインティング装置を提供する。
【解決手段】ポインティング装置1は、光源基板11に設けられて被写体12に光13を照射する光源2と、被写体12からの反射光を電気信号に変換する撮像素子3と、電気信号を取り出すために光源基板11に対して光源2の反対側に配置されたフレキシブル基板4とを備え、被写体12によるポインティング装置1の押下に応じて閉じるシートスイッチ5をさらに備え、シートスイッチ5は、弾性及び導電性を有して光源基板11からフレキシブル基板4に向かう方向に突出するドーム部材6と、ドーム部材6の端面に接続された電極8と、ドーム部材6によって覆われて電極8と離れた位置に配置された電極7とを有し、被写体12によるポインティング装置1の押下に応じて、ドーム部材6が弾性変形して電極7と接触する位置をフレキシブル基板4よりも光源基板11側に配置可能にする穴10を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポインティング装置及びこれを備えた電子機器に関し、より詳細には携帯電話等の携帯情報端末に搭載可能なポインティング装置及びこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話及びPDA(Personal Digital Assistants)を含む携帯情報端末では、キーパッドを利用したユーザーインターフェースを採用している。このようなキーパッドは、数字及び文字を入力するための複数個のボタンと方向ボタンとで構成されている。
【0003】
近年では、携帯情報端末のディスプレイ部にグラフィックを表すことができるようになり、このディスプレイ部を2次元で用いることができるようになっている。したがって、このように、携帯情報端末の機能が、コンピューターの機能に近づいて、操作が複雑化している昨今では、上記メニューキーおよびその他の機能キーを方向キーとして用いて所望の機能の動作を行う方法は、操作を容易に行うことができないから、携帯情報端末の入力方法として、採用しにくくなっている。このため、コンピューターに用いられているようなマウスやタッチパッドのような操作を可能とするポインティング装置が、携帯情報端末に所望されるようになっている。
【0004】
このような背景において、携帯情報端末のためのポインティング装置としては、装置に接触する指先等の模様を撮像素子で観察することで、接触面の変化を抽出する方法が提案されている。また、光源により接触面を照明し、接触面の模様をレンズで撮像素子に結像させて、模様の変化を検出することで、指先の動きを入力信号に変換する方法が提案されている。
【0005】
例えば、このようなポインティング装置としては、特表2008−507787号公報(特許文献1)に記載されているものがある。このポインティング装置は、カバーガラス、光源部および受光部から構成されている。光源部は、光源およびその上部に配置された複数の反射ミラーからなる光源ガイドに分けられる。光源から発光した光は、反射ミラーにより所定の角度に反射され、カバーガラスに照射されるようになっている。カバーガラスに照射された光は、指の表面により反射されるようになっており、指の表面で反射した光は受光部に照射されるようになっている。受光部は、反射ミラー、集光レンズおよび光イメージセンサで構成されている。反射ミラーにて反射された光が、集光レンズで結像されて、光イメージセンサに提供されるようになっている。
【0006】
また、更なるポインティング装置としては、特開2009−176271号公報(特許文献2)に記載されているものがある。この光ポインティング装置は、被写体に光を照射する光源と、被写体接触面が形成されたカバー部と、反射された光を検出する受光部と、被写体で反射された光を受光部に導光する光学部材から構成されている。
【0007】
また、さらに他のポインティング装置として特表2007−528554号公報(特許文献3)に記載されているものがある。この光ポインティング装置は、被写体として指を光学面に直接使用せず、格子または認識可能なパターンを使用しており、被写体に光を照射する光源と、この光源から照射された光を受けて被写体の動きに対する映像を反射する格子又は認識可能なパターンから構成された対物面と、この対物面上に位置し、指との摩擦力を増加させる表面を有する映像取得面の操作面と、この対物面から反射された光を集光して光センサーに送る結像系光レンズと、指によって動かれた対物面を元の位置に復元させるための自動移送装置と、光レンズから反射されるイメージを受けて電気的信号に切り換える光センサーとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2008−507787号公報(2008年03月13日公開)
【特許文献2】特開2009−176271号公報(2009年08月06日公開)
【特許文献3】特表2007−528554号公報(2007年10月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ポインティング装置が搭載される携帯情報端末は、その利便性を向上する目的で可搬性をあげるため近年ますます薄型化が図られている。そのため携帯情報端末に搭載される部品の薄型化も求められており、ポインティング装置においても薄型化が要求されている。
【0010】
また、携帯情報端末の小型化、ポインティングに関連する操作性の向上も図られている。
ポインティング装置は前述のようにコンピューターに用いられているようなマウス及びタッチパッドのような操作を可能とするが、ポインティング装置を使用してメニューキーおよびその他の機能キーを選択した後、決定するためのスイッチを押す必要がある。
【0011】
近年の携帯情報端末においては、小型化を図るためにポインティング装置と決定のためのスイッチを別々に設けることなく、ポインティング装置の裏面にシートスイッチが一体になるよう張り合わす構造となっている。
【0012】
一体化することにより、ポインティング装置と決定のためのスイッチとの占有面積を小さくすることができ、ポインティング装置によりメニューキー等を選択した後、同じ指で決定キーを押して、選択したメニューキー等を確定することが可能になっている。
【0013】
しかし、ポインティング装置の薄型化の要求に対して、前述したシートスイッチを裏面に貼り付ける構成は、携帯情報端末の厚さが増加する要因であり、薄型化に不利であり、薄型化への制約となる。
【0014】
図8は、従来のポインティング装置91の構成を示す正面断面図である。ポインティング装置91は、光源基板81を備えている。光源基板81の上には、光源92と撮像素子93とが設けられている。光源92の上方には、反射体86が配置されており、撮像素子93の上方には、レンズ87が配置されている。光源92、撮像素子93、反射体86、及びレンズ87を覆うように略直方体状のカバー88が設けられており、カバー88の上面には、指からなる被写体82が置かれている。
【0015】
光源92から出射した光83は、反射体86により反射されて、カバー88の表面に届く。カバー88の表面上には被写体82としての指があり、この指の表面で反射した光83がレンズ87で集光され撮像素子93(イメージセンサー)に結像し、その指の画像の変化を検出することで、指先の動きを電気信号に変換する。
【0016】
基板81の裏面には、撮像素子93によって変換された電気信号を取り出すための電極85が設けられ、基板81の裏面側に配置されたフレキシブルプリント基板94と半田89により電気的に接続されている。
【0017】
フレキシブルプリント基板9の裏面には電極97、電極98が設けられている。図9は、フレキシブル基板94を裏面から見た斜視図である。電極97は円形状に形成されており、電極98は電極97の周りに円環状に形成されている。
【0018】
再び図8を参照すると、フレキシブルプリント基板94の裏面側には、シートスイッチ95が貼り付けられている。シートスイッチ95は、電極97・98と、弾性及び導電性を有して光源基板81からフレキシブル基板94に向かう方向に突出して、電極97を覆って、その端面が電極98に電気的に接続されたドーム状の形状のドーム部材96と、ドーム部材96を覆うようにフレキシブルプリント基板94の裏面に設けられた保護シート80と、保護シート80の頂部に設けられた押し子81とを有している。
【0019】
ドーム部材96は、電極97とは非接触であり電気的に非導通状態である。その下には、押し子81に対向して固定板99が設けられている。固定板99は、ポインティング装置91を組み込む電子機器に設けられた基板によって構成されている。
【0020】
被写体82を構成する指により、メニューキーおよびその他の機能キーを選択した後、決定するため指によりポインティング装置を押すと、固定板99との間に挟まれたシートスイッチ95の金属ドーム部材96が、押し子81及び保護シート80を介して、平たく変形し、フレキシブルプリント基板94の裏面の電極97と接触する。これにより金属ドーム部材96の端面が接触していた電極98とともに接触することになり、電極97と電極98とが電気的接触状態になる。ポインティング装置91を組み込む電子機器においてこの導通状態を検出して決定信号を発生する。
【0021】
被写体82を構成する指がポインティング装置91を押すのやめると、弾性変形して電極97と接触していたシートスイッチ95のドーム部材96はドーム状に復帰して電極97から離れ、電極97と電極98とは再び非接触状態になり非導通状態になる。シートスイッチ95の厚さは、一般的に0.3mm〜0.4mm程度あり、ポインティング装置91の厚さが増加する要因のひとつになっている。
【0022】
また、決定操作のためにポインティング装置91を押す際、斜め方向に力を加えた場合、シートスイッチ95の押し子81があるためポインティング装置91が傾く場合がある。ポインティング装置91が傾くと所望のポインティング箇所を選択しようとして、意図しない箇所を選択決定する可能性があり、操作性の低下につながる。
【0023】
以上の点を鑑みて本発明は、薄型化したポインティング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するために、本発明に係るポインティング装置は、光源基板に設けられて被写体に光を照射する光源と、前記被写体からの反射光を電気信号に変換する撮像素子と、前記電気信号を取り出すために前記光源基板に対して前記光源の反対側に配置されたフレキシブル基板とを備えたポインティング装置であって、前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて閉じるシートスイッチをさらに備え、前記シートスイッチは、弾性及び導電性を有して前記光源基板から前記フレキシブル基板に向かう方向に突出するドーム部材と、前記ドーム部材の端面に接続された第1電極と、前記ドーム部材によって覆われて前記第1電極と離れた位置に配置された第2電極とを有し、前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて、前記ドーム部材が弾性変形して前記第2電極と接触する位置を前記フレキシブル基板よりも前記光源基板側に配置可能にする配置手段を設けたことを特徴とする。
【0025】
この特徴によれば、被写体によるポインティング装置の押下に応じて、ドーム部材が固定板に抗して弾性変形して第2電極と接触する位置が、フレキシブル基板よりも光源基板側になるので、フレキシブル基板の固定板側の面においてドーム部材が固定板に抗して弾性変形して第2電極と接触していた従来の構成よりも、シートスイッチの取り付け位置を、フレキシブル基板から光源基板に向かう方向にずらすことができるので、そのずらした寸法だけ、ポインティング装置を薄型化することができる。
【0026】
本発明に係るポインティング装置では、前記配置手段は、前記ドーム部材を囲むように前記フレキシブル基板に形成された穴を含み、前記第1及び第2電極は、前記光源基板の前記フレキシブル基板側に配置されていることが好ましい。
【0027】
上記構成により、シートスイッチを構成する第1及び第2電極、ならびにドーム部材の取り付け位置を、従来の構成のフレキシブル基板の固定基板側から、光源基板のフレキシブル基板側に移動させることができ、その移動させた距離だけ、ポインティング装置を薄型化することができる。
【0028】
また、本構成によれば、シートスイッチを構成するドーム部材の回りをフレキシブル基板が取り囲んでいる構成であるため、ドーム部材が電極と接触したときの押し子のフレキシブル基板からの突出量が、従来の構成における押し子のフレキシブル基板からの突出量よりも小さく、ポインティング装置が誤選択により斜めに傾くことを防止することができ、誤選択による操作性の低下を防止することができる。
【0029】
本発明に係るポインティング装置では、前記穴は、円形状に形成されていることが好ましい。
【0030】
上記構成により、シートスイッチを構成するドーム部材は、フレキシブル基板に垂直な方向から見て、円形形状をしたものが一般的であるため、前記穴は、ドーム部材に沿って円形状に形成されるので、シートスイッチを構成するドーム部材をフレキシブル基板に取り付ける際の位置決めが容易になり、精度良く取り付けることが可能となり、ポインティング装置の生産性がより向上する。
【0031】
また、シートスイッチを構成するドーム部材の周囲を、円形の穴を形成して均等にフレキシブル基板で囲むので、ポインティングした後の決定操作の際のポインティング装置が、傾きに対してより安定になる。
【0032】
本発明に係るポインティング装置では、前記穴は、俵形状に形成されていることが好ましい。
【0033】
シートスイッチにおいてドーム部材が円形のみならず、俵型をしたものがあり、本構成は俵型のドーム部材を持ったシートスイッチを使用し、そのドーム部材の形状(俵型)に合わせてフレキシブル基板の穴の形状を俵型にする。俵型のドーム部材の場合第2電極8bに接触する部分が俵型ドーム部材の凸状の曲線部分のみになる。ドーム部材の直線部分は必ずしも接触する必要がない。このため、直線部分の電極を削除することができ、これにより、電極の面積を小さくすることができるためポインティング装置の小型化が可能になる。
本発明に係るポインティング装置は、光源基板に設けられて被写体に光を照射する光源と、前記被写体からの反射光を反射させてその内部を導光させる導光体と、前記導光体によって導光された光を受光して電気信号に変換する撮像素子と、前記電気信号を取り出すために前記光源基板に対して前記光源の反対側に配置されたフレキシブル基板とを備え、前記導光体は、前記光源と前記撮像素子とを保護するカバー部と一体成型されているポインティング装置であって、前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて閉じるシートスイッチをさらに備え、前記シートスイッチは、弾性及び導電性を有して前記光源基板から前記フレキシブル基板に向かう方向に突出するドーム部材と、前記ドーム部材の端面に接続された第1電極と、前記ドーム部材によって覆われて前記第1電極と離れた位置に配置された第2電極と、前記ドーム部材の突出方向側に配置された固定板とを有し、前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて、前記ドーム部材が前記固定板に抗して弾性変形して前記第2電極と接触する位置を前記フレキシブル基板よりも前記光源基板側に配置可能にする配置手段を設けたことを特徴とする。
【0034】
本発明に係るポインティング装置では、前記配置手段は、前記ドーム部材を囲むように前記フレキシブル基板に形成された穴を含み、前記第1及び第2電極は、前記光源基板の前記フレキシブル基板側に配置されていることが好ましい。
【0035】
本発明に係るポインティング装置では、前記穴は、円形状に形成されていることが好ましい。
【0036】
本発明に係るポインティング装置では、前記穴は、俵形状に形成されていることが好ましい。
【0037】
本発明に係る電子機器は、本発明に係るポインティング装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて、前記ドーム部材が弾性変形して前記第2電極と接触する位置を前記フレキシブル基板よりも前記光源基板側に配置可能にする配置手段を設けたので、従来の構成よりも、シートスイッチの取り付け位置を、フレキシブル基板から光源基板に向かう方向にずらすことができ、そのずらした寸法だけ、ポインティング装置を薄型化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態1に係るポインティング装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】上記ポインティング装置に設けられた光源基板とフレキシブル基板とをポインティング装置の裏面から見た斜視図である。
【図3】(a)は従来のポインティング装置が傾いた状態を示す図であり、(b)は実施の形態1に係るポインティング装置が傾きを防止された状態を示す図である。
【図4】上記フレキシブル基板の変形例を裏面から見た斜視図である。
【図5】上記光源基板とフレキシブル基板との他の変形例をポインティング装置の裏面から見た斜視図である。
【図6】実施の形態2に係るポインティング装置の構成を示す正面断面図である。
【図7】(a)は実施の形態3に係る携帯電話機の構成を示す正面図であり、(b)はその背面図であり、(c)はその側面図である。
【図8】従来のポインティング装置の構成を示す正面断面図である。
【図9】上記ポインティング装置に設けられたフレキシブル基板を裏面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のポインティング装置及びこれを備えた電子機器に関する実施の一形態について図1〜図7に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0041】
(実施の形態1)
(実施の形態1に係るポインティング装置の構成)
図1は、実施の形態1に係るポインティング装置1の構成を示す正面断面図である。ポインティング装置1は、光源基板11を備えている。光源基板11の上には、光源2と撮像素子3とが設けられている。光源2の上方には、反射体16が配置されており、撮像素子3の上方には、レンズ17が配置されている。光源2、撮像素子3、反射体16、及びレンズ17を覆うように略直方体状のカバー18が光源基板11上に設けられており、カバー18の上面には、指からなる被写体12が置かれている。
【0042】
光源2から出射した光13は、反射体16により反射されて、カバー18の表面に届く。カバー18の表面上には被写体12としての指があり、この指の表面で反射した光13がレンズ17で集光され撮像素子3(イメージセンサー)に結像し、その指の画像の変化を検出することで、指先の動きを電気信号に変換する。
【0043】
図2は、ポインティング装置1に設けられた光源基板11とフレキシブル基板4とをポインティング装置1の裏面から見た斜視図である。図1及び図2を参照すると、光学基板11の裏面の両端部には、撮像素子3によって光から変換された電気信号を取り出すための電極15が設けられ、基板11の裏面側に配置されたフレキシブルプリント基板4と半田19により電気的に接続されている。
【0044】
光学基板11の裏面の両端部に形成された電極15によって挟まれる位置には、電極7、電極8が設けられている。電極7は円形状に形成されており、電極8は電極7の周りに円環状に形成されている。
【0045】
フレキシブルプリント基板4の電極7・8に対向する位置には、正方形状の穴10が形成されている。光源基板11のフレキシブルプリント基板4側の面には、シートスイッチ5が設けられている。シートスイッチ5は、光源基板11の裏面に形成された電極7・8と、弾性及び導電性を有して光源基板11からフレキシブル基板4に向かう方向に穴10を通って突出して、電極7を覆い、その端面が円環状の電極8に電気的に接続されたドーム状の形状のドーム部材6と、ドーム部材6を覆うようにフレキシブルプリント基板4の裏面に設けられた保護シート20と、保護シート20の頂部に設けられた押し子21とを有している。
【0046】
ドーム部材6は、電極7とは非接触であり電気的に非導通状態である。シートスイッチ5の下側には、押し子21に対向して固定板9が設けられている。固定板9は、ポインティング装置1を組み込む電子機器に設けられた基板によって構成されている。
【0047】
従来例においてフレキシブルプリント基板4の裏面に設けていたシートスイッチ5の金属ドーム部材6と接触する電極7、電極8を光源基板11の裏面に設け、フレキシブルプリント基板4の中央部にシートスイッチ5の金属ドーム部材6のサイズよりも大きな穴10を開ける構成とした。
【0048】
フレキシブルプリント基板4の中央部に穴10を開け、光学基板11の裏面には電極7、電極8および電気信号をとりだすための電極15を同一面上に設けている。図1に示す通り、シートスイッチ5の金属ドーム6が電極7に接触する箇所が、従来はフレキシブルプリント基板4の裏面であったものが、光源基板11の裏面になる。
【0049】
フレキシブル基板4に形成した穴10の一辺の寸法L1は、ドーム部材6の断面直径D1の1倍を超え1.6倍以下が好ましい。穴10の一辺の寸法L1は、例えば3mm〜8mmであり、ドーム部材6の断面直径D1は、例えば3mm〜5mmである。また、円環状の電極8の外径は約6mm、電極7の直径は約2mmである。
【0050】
光源基板11とカバー18とを合わせた高さH1は約1.3mm〜1.8mmであり、シートスイッチ5の高さH2は約0.3mm〜0.4mmである。光源基板11の裏面からフレキシブル基板4の裏面までの高さH3は約0.2mm〜0.3mmである。
【0051】
(実施の形態1に係るポインティング装置の作用)
被写体12を構成する指により、メニューキーおよびその他の機能キーを選択した後、決定するため指によりポインティング装置1を固定板9に向かって押すと、光源基板11と固定板9との間に挟まれたシートスイッチ5の金属ドーム部材6が、押し子21及び保護シート20を介して、平たく変形し、光源基板11の裏面の電極7と接触する。これにより金属ドーム部材6の端面が接触していた電極8とともに接触することになり、電極7と電極8とが電気的接触状態になる。ポインティング装置1を組み込む電子機器においてこの導通状態を検出して決定信号を発生する。
【0052】
(実施の形態1に係るポインティング装置の効果)
これによりシートスイッチ5の取り付け箇所が従来よりも高い位置であって、光学基板11に近い位置にすることができるため、ポインティング装置1の厚みを低減することが可能になる。フレキシブルプリント基板4と半田19とを合わせた厚みはおよそ0.2mm〜0.3mmであり。その厚さの分だけ、シートスイッチ5を光学基板11に近づけることができるので、ポインティング装置1の薄型化が図られる。
【0053】
図3(a)は従来のポインティング装置が傾いた状態を示す図であり、(b)は実施の形態1に係るポインティング装置が傾きを防止された状態を示す図である。図3(a)に示すように、指により構成された被写体82が従来のポインティング装置を押す際に垂直方向の力に加え、水平方向の力も作用する場合、押し子81を支点として従来のポインティング装置は傾く。一方、図3(b)に示すように、ドーム部材6、保護シート20、及び押し子21により構成されるシートスイッチ5の周囲にフレキシブル基板4が配置される構成では、押し子21のフレキシブル基板4からの突出量も少なく、押し子21を支点としたポインティング装置の傾きを防止することができる。
【0054】
このように、ポインティング後の決定操作のため、ポインティング装置1を押したとき、従来例ではシートスイッチ95の押し子81がフレキシブル基板94から突出して配置されているためにポインティング装置が斜めに傾いて意図しない箇所を選択決定する可能性があったが、本実施の形態の構成によればシートスイッチ5の周囲にフレキシブルプリント基板4があるためポインティング装置1が斜めに傾くのを防ぐことができ、誤選択による操作性の低下が防止できる。
【0055】
(変形例)
図4は、フレキシブル基板の変形例を裏面から見た斜視図であり、フレキシブル基板4aの中央部に穴10aを円形状に開けた例を示す。
【0056】
図1を参照して前述したシートスイッチ5の金属ドーム部材6は一般的に断面が円形の形状が多い。金属ドーム部材6の形状ならびに大きさに合わせてフレキシブルプリント基板4aの中央部を円形にくり抜くことによって、シートスイッチ5をフレキシブル基板4に取り付ける際の位置決めが容易になり、精度よく取り付けることが可能になる。よって、より生産性の向上したポインティング装置を提供することができる。
【0057】
加えて、シートスイッチ5の金属ドーム部材6の周囲を均等にフレキシブルプリント基板4に形成した円形の穴10aで囲むことによって、ポインティング後の決定操作の際のポインティング装置の傾きに対してより安定にすることができる。穴10aの直径は、ドーム部材6の断面直径の1倍を超え、1.6倍以下であることが好ましい。穴10aの直径は、例えば、3mm〜8mmであることが好ましい。
【0058】
図5は、光源基板とフレキシブル基板との他の変形例をポインティング装置の裏面から見た斜視図である。フレキシブル基板4bの中央部に俵形状の穴10bを開けた例を示す。図1を参照して前述したシートスイッチ5の金属ドーム6の断面形状には俵形のものがある。
【0059】
本明細書において俵形とは、互いに平行で同じ長さを有する一対の直線と、一対の直線の一方の一端と一対の直線の他方の一端とを結んで外側に凸状の曲線と、一対の直線の一方の他端と一対の直線の他方の他端とを結んで外側に凸状の曲線とからなる形状を意味するものとする。
【0060】
本構成において断面俵形の金属ドーム部材を備えたシートスイッチを使用し、その断面形状に合わせてフレキシブルプリント基板4bの中央部を削除した穴10bを形成する構成とする。
【0061】
俵形にすることにより、光源基板11の金属ドーム部材6との接触のための電極7および電極8bの面積を小さくすることができるため光源基板11の面積を小さくすることができる。よって、ポインティング装置の小型化、小面積化が可能である。
【0062】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係るポインティング装置1cの構成を示す正面断面図である。実施の形態1で前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は繰り返さない。
【0063】
ポインティング装置1cは、光源基板11を備えている。光源基板11の上には、光源2と撮像素子3とが設けられている。光源2及び撮像素子3を覆うように略直方体状のカバー18cが、光源基板11上に設けられている。カバー18cは、光源2から光を撮像素子3に導く導光体が一体成型されている。カバー18cの上面には、指からなる被写体12が置かれている。
【0064】
光源2から出射した光13は、カバー18cに一体成型された導光体に導かれてカバー18cの表面に届く。カバー18cの表面上には被写体12としての指があり、この指の表面で反射した光13が再び導光体に導かれて撮像素子3(イメージセンサー)に結像し、その指の画像の変化を検出することで、指先の動きを電気信号に変換する。光源基板11から下の構成は、前述した実施の形態1と同じ構成であるので、その詳細な説明は繰り返さない。
【0065】
薄型化および部品数、組み立て工数削減を目的として、導光体をカバー部と一体成型したポインティング装置においても、前述した実施の形態1と同じくポインティング装置の厚みを低減することが可能になる。また、誤選択による操作性の低下が防止できるポインティング装置の提供が可能となる。実施の形態1と同様に、穴10は、正方形状に形成されていてもよいし、円状に形成されていても良く、また、俵状に形成されていても良い。
【0066】
(実施の形態3)
図7(a)は実施の形態3に係る携帯電話機100の構成を示す正面図であり、(b)はその背面図であり、(c)はその側面図である。図7では、電子機器として携帯電話機である例を示しているがこれに限定されるものではない。電子機器として、例えば、PC(特にモバイルPC)、PDA、ゲーム機、テレビ等のリモコンなどであってもよい。
【0067】
図7に示すように、携帯電話機100は、モニター側筐体101および操作側筐体102を備える。モニター側筐体101は、モニター部105およびスピーカー部106を含み、操作側筐体102は、マイク部103、テンキー104および光ポインティング装置1を含む。携帯電話機100に搭載される光ポインティング装置1は、上述の実施形態1及び2で説明した光ポインティング装置1・1cの何れも適用可能である。
【0068】
なお、本実施形態において、光ポインティング装置1は、図7(a)に示すように、テンキー104の上側に配置されているが、光ポインティング装置1の配置方法およびその向きについては、これに限定されるわけではない。
【0069】
スピーカー部106は、音声情報を外部に出力するものであり、マイク部103は音声情報を携帯電話機100に入力するものである。モニター部105は、映像情報を出力するものであり、本実施形態においては、光ポインティング装置1からの入力情報を表示するものである。
【0070】
なお、本実施形態の携帯電話機100は、図7(a)〜図7(c)に示すように、上部の筐体(モニター側筐体101)と下部の筐体(操作側筐体102)とがヒンジを介して接続されている、いわゆる折りたたみ式の携帯電話機100を例として挙げている。携帯電話機100として、折りたたみ式が主流であるため、本実施形態では折りたたみ式の携帯電話機を一例として挙げているのであって、光ポインティング装置1を搭載することができる携帯電話機100は、折りたたみ式に限るものではない。
【0071】
近年、折りたたみ式の携帯電話機100において、折りたたんだ状態で厚みが10mm以下のものも登場してきている。携帯電話機100の携帯性を考慮するならば、その厚みは極めて重要な要素となっている。図6に示す操作側筐体102において、図示されない内部の回路基板等を除いて、その厚みを決定する部品は、マイク部103、テンキー104、光ポインティング装置1である。この中で、光ポインティング装置1の厚さが最も厚く、光ポインティング装置1の薄型化は、携帯電話機100の薄型化に直接繋がる。よって、上述のように薄型化可能な本発明の光ポインティング装置は、携帯電話機100のような薄型化を必要とする電子機器に対して好適な発明である。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ポインティング装置及びこれを備えた電子機器に利用することができ、より詳細には携帯電話等の携帯情報端末に搭載可能なポインティング装置及びこれを備えた電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 ポインティング装置
2 光源
3 撮像素子
4 フレキシブル基板
5 シートスイッチ
6 ドーム部材
7 電極(第2電極)
8 電極(第1電極)
8b 電極(第1電極)
9 固定板
10 穴
11 光源基板
12 被写体
13 光
15 電極
16 反射体
17 レンズ
18 カバー
19 半田
20 保護シート
21 押し子
100 携帯電話機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源基板に設けられて被写体に光を照射する光源と、
前記被写体からの反射光を電気信号に変換する撮像素子と、
前記電気信号を取り出すために前記光源基板に対して前記光源の反対側に配置されたフレキシブル基板とを備えたポインティング装置であって、
前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて閉じるシートスイッチをさらに備え、
前記シートスイッチは、弾性及び導電性を有して前記光源基板から前記フレキシブル基板に向かう方向に突出するドーム部材と、
前記ドーム部材の端面に接続された第1電極と、
前記ドーム部材によって覆われて前記第1電極と離れた位置に配置された第2電極とを有し、
前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて、前記ドーム部材が弾性変形して前記第2電極と接触する位置を前記フレキシブル基板よりも前記光源基板側に配置可能にする配置手段を設けたことを特徴とするポインティング装置。
【請求項2】
前記配置手段は、前記ドーム部材を囲むように前記フレキシブル基板に形成された穴を含み、
前記第1及び第2電極は、前記光源基板の前記フレキシブル基板側に配置されている請求項1記載のポインティング装置。
【請求項3】
前記穴は、円形状に形成されている請求項2記載のポインティング装置。
【請求項4】
前記穴は、俵形状に形成されている請求項2記載のポインティング装置。
【請求項5】
光源基板に設けられて被写体に光を照射する光源と、
前記被写体からの反射光を反射させてその内部を導光させる導光体と、
前記導光体によって導光された光を受光して電気信号に変換する撮像素子と、
前記電気信号を取り出すために前記光源基板に対して前記光源の反対側に配置されたフレキシブル基板とを備え、
前記導光体は、前記光源と前記撮像素子とを保護するカバー部と一体成型されているポインティング装置であって、
前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて閉じるシートスイッチをさらに備え、
前記シートスイッチは、弾性及び導電性を有して前記光源基板から前記フレキシブル基板に向かう方向に突出するドーム部材と、
前記ドーム部材の端面に接続された第1電極と、
前記ドーム部材によって覆われて前記第1電極と離れた位置に配置された第2電極と、
前記ドーム部材の突出方向側に配置された固定板とを有し、
前記被写体による前記ポインティング装置の押下に応じて、前記ドーム部材が前記固定板に抗して弾性変形して前記第2電極と接触する位置を前記フレキシブル基板よりも前記光源基板側に配置可能にする配置手段を設けたことを特徴とするポインティング装置。
【請求項6】
前記配置手段は、前記ドーム部材を囲むように前記フレキシブル基板に形成された穴を含み、
前記第1及び第2電極は、前記光源基板の前記フレキシブル基板側に配置されている請求項5記載のポインティング装置。
【請求項7】
前記穴は、円形状に形成されている請求項6記載のポインティング装置。
【請求項8】
前記穴は、俵形状に形成されている請求項6記載のポインティング装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載のポインティング装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−89067(P2012−89067A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237455(P2010−237455)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】