説明

ポジションロケーショントラッキングシナリオ中のバッテリー寿命及びネットワーク資源の最適化

ポジショントラッキング中のバッテリー寿命及びネットワーク資源を最適化するための装置及び方法が開示される。トラックされるターゲットの位置は、予め規定されたジオフェンス境界と比較される。もしターゲットの位置がジオフェンス境界から遠く離れている場合には、ターゲットのポジションフィックスは低いクオリティオブサービス(QoS)パラメータを用いて計算される。もしターゲットの位置がジオフェンス境界から遠く離れていない場合には、ターゲットのポジションフィックスは高いクオリティオブサービス(QoS)パラメータを用いて計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一般に、人々(people)や資産(asset)の無線トラッキング(wireless tracking)のための装置及び方法に関する。特に、本開示は、ジオフェンス(geofence)内のようなポジショントラッキング中のバッテリー寿命(battery life)及びネットワーク資源(network resource)の最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
ジオフェンストラッキング(geofence tracking)は、規定された地理的境界(geographic boundary)内の個人的資産(personal asset)、乗り物(vehicle)或いは職員(personnel)といったターゲットの移動(movement)をモニターすることである。ジオフェンストラッキングは、地理的境界からの選定されたターゲット(乗り物など)の入出(entry and exit)をトラック及び記録(record)するため、及び選定されたターゲットの入及び/又は出活動(entry and/or exit activity)のユーザーに警告を出す、ために用いられる。
【0003】
地理的位置内のターゲット位置は、ポジションフィックス(position fix)によって立証される。高精度のポジションフィックスを取得するためには、移動局(mobile station)デバイス(例えば、ポータブルデバイス)は、SPS(Satellite Positioning System)擬似レンジ測定(pseudorange measurement)を取得し、ジオフェンス境界(geofence boundary)に対するその位置を計算する。或いは、限定されるものではないが、アドバンストフォワードリンクトリラテレーション(Advanced Forward Link Trilateration)(AFLT)、ラジオフリクェンシアイデンティフィケーション(Radio Frequency Identification)(RFID)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))或いはジグビー(Zigbee)システムといったグランドシステムが用いられるかもしれない。SPS擬似レンジ測定を用いて正確なポジションフィックスを達成することは、移動局に複雑な計算を行うことを要求し、それは基地局のバッテリー電力を枯渇させるとともに高価なネットワーク資源(例えば、ジオフェンスネットワーク資源、移動局ネットワーク資源、等)を用いることになる。ここで用いられるように、SPS擬似レンジ測定は、グローバルポジショニングシステム(Global Positioning System)(GPS)、ガリレオ(Galileo)、ロシアングローバルナビゲーションサテライトシステム(Russian Global Navigation Satellite system)(GLONASS)、NAVSTAR、グローバルナビゲーションサテライトシステム(Global Navigation Satellite system)(GNSS)、これらのシステムの組み合わせからのサテライトを用いるシステム、或いは将来開発される任意のSPS、からかもしれず、それぞれは一般にここではサテライトポジショニングシステム(Satellite Positioning System)(SPS)として当てはまる。ここで用いられるように、SPSはまた、擬似ライト(pseudolite)のような類似の地球のレンジング信号源(analogous terrestrial ranging signal source)を含むものとして理解される。
【発明の概要】
【0004】
ポジショントラッキング中のバッテリー寿命及びネットワーク資源の最適化のための装置及び方法が開示される。一態様によれば、ポジショントラッキング中のバッテリー寿命及びネットワーク資源を最適化するための方法は、ジオフェンス中心(geofence center)及びジオフェンス境界(geofence boudary)を規定することと、ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取ることと、移動局(mobile station)ネットワーク情報を取得することと、移動局ネットワーク情報をジオフェンスネットワーク情報と比較することと、移動局ネットワーク情報がジオフェンスネットワーク情報内でない場合に、スキップカウンタをインクリメントすることと、スキップカウンタを最大スキップ値と比較することと、スキップカウンタが最大スキップ値を越えた場合に、低いクオリティオブサービスパラメータ(low quality of service parameter)を用いてポジションフィックス(position fix)を計算することと、を備える。
【0005】
他の態様では、ポジショントラッキング中のバッテリー寿命及びネットワーク資源を最適化するための方法は、ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定することと、ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取ることと、移動局ネットワーク情報を取得することと、移動局ネットワーク情報をジオフェンスネットワーク情報と比較することと、移動局ネットワーク情報がジオフェンスネットワーク情報内である場合に、最新の真のポジションフィックス(last real position fix)をリカバーする(recover)ことと、円を規定するために、距離半径(distance radius)を計算し、距離半径を最新の真のポジションフィックス(last real position fix)に参照させる(reference)ことと、円がジオフェンス境界から遠く離れて(far from)いるか否かを決定することと、クオリティオブサービスパラメータを用いてポジションフィックスを計算することと、を備える。
【0006】
他の態様では、ポジショントラッキングデバイスは、ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定するため及びポジションフィックスを計算するためのプログラマブル命令を有するプロセッサと、ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取るため、及び移動局ネットワーク情報を受け取るための受信ユニットと、移動局ネットワーク情報をジオフェンスネットワーク情報と比較するためのコンパレータと、を備える。
【0007】
他の態様では、その上に記憶されたプログラムコードを含んだコンピュータ可読媒体は、ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定するプログラムコードと、ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取るプログラムコードと、移動局ネットワーク情報を取得するプログラムコードと、移動局ネットワーク情報をジオフェンスネットワーク情報と比較するプログラムコードと、移動局ネットワーク情報がジオフェンスネットワーク情報内でない場合に、スキップカウンタをインクリメントするプログラムコードと、スキップカウンタを最大スキップ値と比較するプログラムコードと、スキップカウンタが最大スキップ値を越えた場合に、低いクオリティオブサービスパラメータを用いてポジションフィックスを計算するプログラムコードと、を備える。
【0008】
他の態様では、その上に記憶されたプログラムコードを含んだコンピュータ可読媒体は、ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定するプログラムコードと、ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取るプログラムコードと、移動局ネットワーク情報を取得するプログラムコードと、移動局ネットワーク情報をジオフェンスネットワーク情報と比較するプログラムコードと、移動局ネットワーク情報がジオフェンスネットワーク情報内である場合に、最新の真のポジションフィックスをリカバーするプログラムコードと、円を規定するために、距離半径を計算し、距離半径を最新の真のポジションフィックスに参照させるプログラムコードと、円がジオフェンス境界から遠く離れているか否かを決定するプログラムコードと、クオリティオブサービスパラメータを用いてポジションフィックスを計算するプログラムコードと、を備える、
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ポジショントラッキング中にバッテリー寿命及びネットワーク資源が最適化されることができる例示の状態を示した地理的な図である。
【図2】図2は、ポジショントラッキング中にバッテリー寿命及びネットワーク資源を最適化するための代表的なフロー図である。
【図3】図3は、代表的なジオフェンス中心及び境界と、最新の真のポジションフィックスP(tn-1)を有するDRによって生成された代表的な円(エリア)とを示している。
【図4】図4は、ジオフェンス端から「遠く」離れているか否かを移動局デバイスが決定する代表的なシナリオを示している。
【図5】図5は、プロセッサ、受信ユニット、コンパレータユニット及びスキップカウンタを備えたポジショントラッキングデバイスの一態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
付随した図面に関連付けて以下に説明される詳細な記述は、本開示の種々の態様の記述として意図され、本開示が実行される唯一の態様を示すことは意図されていない。本開示で述べられる各態様は、本開示の例示或いは例証として単に与えられたものであり、他の態様にわたって好ましい或いは効果的であるとして必ずしも解釈されるべきではない。詳細な記述は、本開示の完全な理解を与える目的のための特定の細目を含んでいる。しかしながら、これらの特定の細目無しに本開示が実行されるかもしれないことは、当業者にとって明らかであろう。いくつかの例では、本開示のコンセプトを曖昧にすることを避けるために、公知の構成及びデバイスがブロック図に示されている。頭字語(acronyms)及び他の記述的な用語(terminology)は、便宜及び明確化のために単に用いられ、開示の範囲を制限することは意図されていない。
【0011】
ここで述べられる種々の例証的なロジックブロック、モジュール及び回路は、1以上のプロセッサでインプリメント或いは実行される。プロセッサは、マイクロプロセッサのような一般目的プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)のような特定用途プロセッサ、或いはソフトウェアをサポートすることが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームであり得る。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、或いは任意の他の用語に当てはまるか否かにかかわらず、命令(instruction)、データ構造、或いはプログラムコードのいかなる組み合わせも意味するように広く構成される。或いは、プロセッサは、特定用途集積回路(application specific integrated circuit)(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロコントローラ、ステートマシン(state machine)、ディスクリートハードウェアコンポーネントの組み合わせ、或いはそれらの任意の組み合わせであるかもしれない。ここで述べられる種々の例証的なロジックブロック、モジュール及び回路は、ソフトウェアを記憶するためのマシン可読媒体をも含んでいてもよい。マシン可読媒体は、データ信号をエンコードする1以上のストレージデバイス、トランスミッションライン、或いはキャリア波を含んでいてもよい。
【0012】
図1は、ポジショントラッキング中にバッテリー寿命及びネットワーク資源が最適化されることができる例示の状態を示している。図1は、ニューヨーク州ニューヨークからカリフォルニア州ロサンゼルスにパッケージ111(図示せず)を配達する3つの輸送キャリア(transport carrier)(第1の輸送キャリア110、第2の輸送キャリア130及び第3の輸送キャリア140)を示している。輸送キャリアは、米国郵便サービス(United States Postal Service)(USPS)或いは他の配達サービスのために、パッケージ111を配達している。一態様では、ユーザーは、パッケージ111がどこにあるか、及びパッケージ111がどのくらいで配達されるかを決めるために、パッケージ111をトラックすることを望んでいる。ユーザーはまた、予め規定されたジオフェンス境界(geofence boundary)420内にいつパッケージ111が到着したかを高い精度で知ることを望んでいる。一態様では、予め規定されたジオフェンス境界は、ロサンゼルス郡(Los Angeles County)を取り囲む。ここで、パッケージ111を運んでいる第1の輸送キャリア110がカリフォルニアの外側を移動している最中は、正確なポジションロケーショントラッキングの必要はない。第1の輸送キャリア110がロサンゼルス郡から非常に遠いとき、移動局デバイス(mobile station device)1000は、特定された時間に対して、高いクオリティオブサービス(high quality of service)(QoS)パラメータを用いたポジションフィックス(position fix)の計算を遅延させ、その代わりに低いQoS(low QoS)パラメータを用いてポジションフィックスを計算するかもしれない。一態様では、QoSは、ポジション決定精度(position determination accuracy)及びフィックスされる時間(time-to-fix)を参照する。
【0013】
例示において、第2の輸送キャリア130は、第1の輸送キャリア110よりもロサンゼルス郡により近いが、依然としてジオフェンス境界420から「遠い(far)」。「遠い(far)」の定義は、特定の例(particular example)に依存し、ユーザーによって設定されたパラメータを含むことができることを、当業者は理解するであろう。ここでは、ポジションフィックスは、低いQoSパラメータを用いて計算される。
【0014】
例において、第3の輸送キャリア140は、第2の輸送キャリア130よりもロサンゼルス郡により近い。図1の第3の輸送キャリア140は、ジオフェンス境界420から「遠くない(not far)」。ここでは、低いQoSパラメータを用いてポジションフィックスを計算することは、第3の輸送キャリア140のジオフェンス境界420への近接を示すために十分ではない。第3の輸送キャリア140のポジションフィックスは、高いQoSパラメータを用いて計算される。
【0015】
ポジションフィックスは、限定されるものではないが、スタンドアローンのグランドシステムアシスタンスを持たないサテライトポジショニングシステム(Satellite Positioning System)(SPS)、初期化のためのグランドシステムアシスタンスを持つMS−based(Mobile Station-based)SPS、ポジションフィックスを実行する外部エンティティ(external entity)を持つMS−assisted(Mobile Station-assisted)、コードディヴィジョンマルチプルアクセス(CDMA)セクタトリラテレーション(sectors trilateration)に基づくAFLT(Advanced Forward Link Trilateration)、SPS及びCDMAセクタトリラテレーションに基づくハイブリッド(hybrid)、及びセクタロケーションに基づくセクタセンターを含む、種々のモードにおいて取得することができる。SPSは、グローバルポジショニングシステム(Global Positioning System)(GPS)、ガリレオ(Galileo)、GLONASS、NAVSTAR、GNSS、及び、これらのシステムの組み合わせからのサテライト或いは任意の将来開発されるサテライトシステムを用いる任意のシステムを含む。ここで用いられるように、SPSはまた、擬似ライト(pseudolite)のような類似の地球のレンジング信号源(analogous terrestrial ranging signal source)を含むものとして理解されるであろう。当業者は、限定されるものではないが、慣性(inertial)センサ、モバイルスイッチングセンター(Mobile Switching Center)(MSC)アイデンティフィケーション(ID)、CDMAゾーン(CDMA zone)、ロウミング(roaming)リスト、AFLTシステム、RFID、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))又はジグビー(Zigbee)等、のような、ポジションフィックスを計算するための他のモードもまた利用可能であることを理解するであろう。一般的に、SPSポジションフィックスは高いQoS(例えば、高い精度及びフィックスするための短い時間(higher-accuracy and shorter time-to-fix))を有しているが、SPSを用いてポジションフィックスを計算することは、移動局デバイス1000からのより多くのバッテリー電力及びネットワーク資源を必要とする。ポジションフィックスを計算するための他のモードは、低いQoS(例えば、低い精度及びフィックスするための長い時間(lower-accuracy and longer time-to-fix))を有しているが、移動局デバイス1000からのより少ないバッテリー電力及びネットワーク資源を必要とする。一態様では、高いQoSパラメータは、SPSソースから取得される。一態様では、高いQoSパラメータは、非SPSソースから取得される。他の態様では、低いQoSパラメータは、非SPSソースから取得される。
【0016】
図2は、ポジショントラッキング中にバッテリー寿命及びネットワーク資源を最適化するための代表的なフロー図である。当業者は、図2がブロックの代表的な組み合わせ及び順序を示していることを理解するであろう。図2に示されたブロックの種々の他の組み合わせ及び順序は、開示の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者にとって容易に明らかであろう。
【0017】
ブロック210において、ジオフェンス中心(geofence center)及びジオフェンス境界(geofence boundary)420が規定される。移動局デバイス1000は、ジオフェンス中心及び境界を規定するために、緯度、経度及び半径を受信する。緯度、経度及び半径は全て、ユーザー、オペレータ或いはアプリケーション自体によって構成されるジオフェンスシステムパラメータである。図3は、緯度320、経度330及び半径R340に基づく代表的なジオフェンス境界420を示している。当業者は、これらのジオフェンスシステムパラメータは、ユーザーのニーズに依存して変化するかもしれないことを理解するであろう。さらに一般的に、当業者は、ジオフェンス境界420が、ユーザー、オペレータ及び/又は特定のアプリケーションによって規定されたパラメータを有する多角形によって規定され得ることを理解するであろう。
【0018】
ブロック220において、移動局デバイス1000は、システムID/ネットワークID(“SID/NID”)のリスト、及びSID/NIDペア(集合的にジオフェンスネットワーク情報とラベルする)に関連付けられたセルアイデンティフィケーション(Cell ID)のリストを受信する。図2では、ジオフェンスSID/NIDペア及び関連するセルアイデンティフィケーションを“G”とする。SID/NIDペアリストは、1以上のオペレータをカバーし得る。各リストサイズは、ゼロ或いはより長いかもしれない。SID/NIDペア及び関連するセルアイデンティフィケーションは、予め決められた地理的エリア内の中心点CP(例えば、緯度、経度)及び半径R340によって生成されたジオフェンスエリアをカバーするセクタのリストを明示する。図3は、典型的なジオフェンス境界420を横切るセルアイデンティフィケーション1から6を示している。セルアイデンティフィケーションは、ジオフェンス境界420内のセルに関連した数的なアイデンティフィケーションである。
【0019】
ブロック230において、移動局デバイス1000は、現在のSID/NIDペア及び関連するセルアイデンティフィケーション(集合的に移動局ネットワーク情報とラベルする)を取得する。図2では、このSID/NIDペア及び関連するセルアイデンティフィケーション(移動局ネットワーク情報)を“C”とする。ポジションフィックスを取得することなく、移動局デバイス1000は、そのセルアイデンティフィケーションを決定することができ、そのセルアイデンティフィケーションがジオフェンス境界420によってカバーされるジオフェンスエリア内のセルアイデンティフィケーションのリスト上であるか否かを決定することができる。
【0020】
ブロック240において、移動局デバイス1000は、その現在のSID/NIDペア及び関連するセルアイデンティフィケーションが、SID/NIDペア及び関連するセルアイデンティフィケーションのジオフェンスリストに含まれるか否かを見るためにチェックする。図2では、この決定を“C⊂G”(すなわち、CがGの適切な部分集合(subset)であるか否か)とする。
【0021】
ブロック240において、もし“C”が“G”に含まれていなければ、ブロック250に進む。ブロック250において、スキップカウンタは1単位(one unit)インクリメントされる。スキップカウンタは、移動局ネットワーク情報がジオフェンスネットワーク情報内にない回数のカウント値を維持する。
【0022】
ブロック260において、移動局デバイス1000は、スキップカウンタが予め決められた閾最大スキップ(threshold Max Skip)(例えば、最大スキップ値)よりも大きいか否か決定する。一態様では、もしスキップカウンタが最大スキップ値よりも小さいか或いは等しい場合には、アップデートされた移動局ネットワーク情報を取得するために、フローはブロック230にループバックするかもしれない。或いは、他の態様では、フローは、アップデートされた移動局ネットワーク情報を取得するために、ブロック230に戻ることによって再開始する(reinitiate)前に中断及び遅延する(discontinue and delay)かもしれない。最大スキップ値は、ユーザー、オペレータ又はアプリケーション自体によって構成された、予め決められたジオフェンスシステムパラメータである。一態様では、最大スキップ値は、ジオフェンス境界420からの移動局デバイスの距離にしたがって構成される。当業者は、最大スキップ値が、移動局デバイス1000がポジションフィックスを取得することを遅らせるように構成されるかもしれないことを理解するであろう。一態様では、最大スキップ値は、時間にわたって動的に変化する。一態様では、もしスキップカウンタが最大スキップ値よりも小さい或いは等しい場合には、移動局デバイス1000が、ジオフェンス境界420によってカバーされるジオフェンスエリア内でなく、移動局デバイスの現在のSID/NIDペア及び関連するセルアイデンティフィケーション“C”によってカバーされる地理的エリア内に位置しているというポジションレポートが生成される。
【0023】
もしスキップカウンタが最大スキップ値よりも大きい場合には、ブロック270に進む。ブロック270において、移動局デバイス1000は、低いQoS("Quality of Service")ポジションフィックスを計算し、出力P(tn)を供給する。高いQoSポジションフィックスの代わりに低いQoSポジションフィックスを取得することは、バッテリー電力を枯渇させネットワーク資源を使い果たすことを避けることになる。一態様では、低いQoSポジションフィックスを取得する前に移動局デバイス1000がスキップする回数の最大量を設定することは、安全な手段であり、移動局デバイス1000が少なくともいくつかの真の(real)ポジションフィックスを取得することを保証する。
【0024】
ブロック240において、もし“C”が“G”に含まれていれば、ブロック245に進む。ブロック245では、“C”が“G”に含まれている。ブロック245において、最新の真のポジションフィックス(last real position fix)P(tn-1)及び前回の時間tn-1がリカバー(recover)される。最新の真のポジションフィックスP(tn-1)は、前回の時間tn-1でのポジションフィックスである。
【0025】
ブロック255において、現在の時間tnが取得される。
【0026】
ブロック265において、距離半径DRがVn(トラックされる資産(asset)の最大速度)を用いて計算され、現在の時間tnと前回の時間tn-1との時間差(tn−tn-1)が計算される。Vnは、入力され、知られていると仮定される。Vnは、ユーザー、オペレータ又はアプリケーション自体によって構成されたジオフェンスシステムパラメータである。DRは、移動局デバイスの現在の位置の境界リミット(boundary limit)を表している。DRは、最新の真のポジションフィックスP(tn-1)に参照される。したがって、当業者は、移動局の現在の位置を表す地理的エリア(円(circle))をどのようにして決定するかを理解するであろう。図3は、DR350によって生成された典型的なDR円Aと、最新の真のポジションフィックスP(tn-1)360とを示している。
【0027】
ブロック275において、DR円Aは、ジオフェンス境界420と比較される。ジオフェンス境界420のエッジは、予め決められ、知られている。ブロック275において、DR円Aがジオフェンス境界420から「遠い」か否かを決定する。当業者は、ジオフェンス境界420上の任意の所与の点に最も近いDR円A上の点が、この決定をすることに利用されることを理解するであろう。当業者は、いくつかの状況において、DR円A上の点がジオフェンス境界420上の1つの点よりもより近いかもしれないということを、認識するであろう。
【0028】
図4は、2つの位置での移動局デバイス1000を示している。1つの位置では、移動局デバイス1000は、ジオフェンス境界420から「遠い(far)」。第2の位置では、移動局デバイス1000は、ジオフェンス境界420から「遠く」ない。予め決められたジオフェンス境界閾値ThGFが、円Aがジオフェンス境界420から「遠い」か否かを決定するために用いられる。ジオフェンス境界420とDR円Aとの相対的な距離は、所与のDR円Aがジオフェンス端(geofence edge)から「遠い」か否かを決定する。「遠い(far)」の定義及び予め決められたジオフェンス境界閾値ThGFは、特定のジオフェンスシステム及びそのパラメータに基づき、ユーザー、オペレータ又はアプリケーション自体によって決められる。
【0029】
ブロック275において、もしDR円Aがジオフェンス境界から「遠い」と決定された場合には、ブロック270に進む。ブロック270において、移動局デバイス1000は、低いQoS("Quality of Service")ポジションフィックスを計算し、出力P(tn)を供給する。高いQoSポジションフィックスの代わりに低いQoSポジションフィックスを取得することは、バッテリー電力を枯渇させネットワーク資源を使い果たすことを避けることになる。一態様では、ブロック270に続いて、もし新しい位置が決定されるべきであれば、アップデートされた移動局ネットワーク情報を得るためにブロック230に戻る。
【0030】
ブロック275において、もしDR円Aがジオフェンス境界から「遠く」ないと決定された場合には、ブロック285に進む。図4は、ジオフェンス境界420から「遠く」ない第2の位置での移動局デバイス1000を示している。ブロック285において、移動局デバイス1000は、高いQoS("Quality of Service")ポジションフィックスを計算し、出力P(tn)を供給する。ユーザーはジオフェンス境界420への移動局デバイス1000の正確な近接を知る必要があるため、高精度の正確性が必要である。一態様では、ブロック285に続いて、もし新しい位置が決定されるべきであれば、アップデートされた移動局ネットワーク情報を得るためにブロック230に戻る。
【0031】
ブロック285或いはブロック270から、ブロック280に進み、そこでP(tn)がジオフェンスエリア(すなわち、ジオフェンス境界によって規定されたエリア)の内側であるか否かが判断される。もしno(内側でない)であれば、ブロック230に戻る。もしyes(内側である)であれば、ブロック290に進み、移動局デバイス1000がジオフェンスエリアに入ったことを知らせる。
【0032】
図5は、ポジショントラッキングデバイスの一態様を示している。この態様では、ポジショントラッキングデバイス500は、ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定するため、及びポジションフィックスを計算するためのプログラマブル命令を有するプロセッサ510を備えている。さらに、ポジショントラッキングデバイス500は、ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受信するため、及び移動局ネットワーク情報を受信するための受信ユニット520を含んでいる。当業者は、一態様において、受信ユニット520の一部或いは全体がプロセッサ510の一部であることを理解するであろう。他の態様では、受信ユニット520は、プロセッサ510からの分離コンポーネントである。ポジショントラッキングデバイス500は、移動局ネットワーク情報をジオフェンスネットワーク情報と比較するためのコンパレータユニット530を含んでいる。当業者は、一態様において、コンパレータユニット530の一部或いは全体がプロセッサ510の一部であることを理解するであろう。他の態様では、コンパレータユニット530は、プロセッサ510からの分離コンポーネントである。一態様において、ポジショントラッキングデバイス500は、移動局ネットワーク情報がジオフェンスネットワーク情報内ではない回数のカウント値を維持するためにスキップカウンタ540を含んでいる。一態様では、スキップカウンタ540は、プロセッサ510内に収容されているかもしれない。他の態様では、スキップカウンタ540は、プロセッサ510からの分離コンポーネントである。当業者は、スキップカウンタ540がハードウェア或いはソフトウェアでインプリメントされることを理解するであろう。
【0033】
開示された態様の上述した記述は、当業者が本開示を作成する或いは使用することができるように提供されている。これらの態様の種々の変更は、当業者にとって容易に明白であり、ここで規定された一般的な原理は、開示の精神或いは範囲から逸脱せずに、他の態様に適用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジショントラッキング中のバッテリー寿命及びネットワーク資源を最適化するための方法であって、
ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定することと、
前記ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取ることと、
移動局ネットワーク情報を取得することと、
前記移動局ネットワーク情報を前記ジオフェンスネットワーク情報と比較することと、
前記移動局ネットワーク情報が前記ジオフェンスネットワーク情報内でない場合に、スキップカウンタをインクリメントすることと、
前記スキップカウンタを最大スキップ値と比較することと、
前記スキップカウンタが前記最大スキップ値を越えた場合に、低いクオリティオブサービスパラメータを用いてポジションフィックスを計算することと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記ポジションフィックスを出力することを
さらに備えた請求項1の方法。
【請求項3】
前記低いクオリティオブサービスパラメータは、非SPSベースの擬似レンジを含む
請求項2の方法。
【請求項4】
前記低いクオリティオブサービスパラメータは、非SPSベースの擬似レンジを含む
請求項1の方法。
【請求項5】
前記スキップカウンタが前記最大スキップ値を越えない場合に、ポジションレポートを生成することを
さらに備えた請求項1の方法。
【請求項6】
前記スキップカウンタが前記最大スキップ値を越えない場合に、再び前記最大スキップ値と比較するためにアップデートされた移動局ネットワーク情報を取得することを
さらに備えた請求項1の方法。
【請求項7】
前記最大スキップ値は、構成可能である
請求項1の方法。
【請求項8】
前記移動局ネットワーク情報は移動局デバイスに関連し、前記最大スキップ値は前記移動局デバイスと前記ジオフェンス境界との距離に応じて構成可能である
請求項7の方法。
【請求項9】
前記ポジションフィックスが前記ジオフェンス境界によって規定されるエリア内であるか否かを決定することを
さらに備えた請求項1の方法。
【請求項10】
前記ポジションフィックスが前記ジオフェンス境界によって規定されるエリアに入ったことを知らせることを
さらに備えた請求項9の方法。
【請求項11】
ポジショントラッキング中のバッテリー寿命及びネットワーク資源を最適化するための方法であって、
ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定することと、
前記ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取ることと、
移動局ネットワーク情報を取得することと、
前記移動局ネットワーク情報を前記ジオフェンスネットワーク情報と比較することと、
前記移動局ネットワーク情報が前記ジオフェンスネットワーク情報内である場合に、最新の真のポジションフィックスをリカバーすることと、
円を規定するために、距離半径を計算し、前記距離半径を前記最新の真のポジションフィックスに参照させることと、
前記円が前記ジオフェンス境界から遠く離れているか否かを決定することと、
クオリティオブサービスパラメータを用いてポジションフィックスを計算することと、
を備えた方法。
【請求項12】
前記クオリティオブサービスパラメータは、前記円が前記ジオフェンス境界から遠く離れている場合には、低いクオリティオブサービスパラメータである
請求項11の方法。
【請求項13】
前記クオリティオブサービスパラメータは、前記円が前記ジオフェンス境界から遠く離れていない場合には、高いクオリティオブサービスパラメータである
請求項11の方法。
【請求項14】
前記ポジションフィックスを出力することを
さらに備えた請求項12の方法。
【請求項15】
前記ポジションフィックスを出力することを
さらに備えた請求項13の方法。
【請求項16】
前記低いクオリティオブサービスパラメータは、非SPSベースの擬似レンジを含む
請求項12の方法。
【請求項17】
前記低いクオリティオブサービスパラメータは、慣性(inertial)センサ、モバイルスイッチングセンター(MSC)ID、CDMAゾーン、ロウミング(roaming)リスト、AFLT、RFID、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))又はジグビー(Zigbee)システムの少なくとも1つからの非SPSベースの擬似レンジを含む
請求項12の方法。
【請求項18】
前記高いクオリティオブサービスパラメータは、SPSベースの擬似レンジを含む
請求項13の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの前記SPSベースの擬似レンジは、擬似ライト(pseudolite)からである
請求項18の方法。
【請求項20】
前記高いクオリティオブサービスパラメータは、非SPSベースの擬似レンジを含む
請求項13の方法。
【請求項21】
前記ポジションフィックスが前記ジオフェンス境界によって規定されるエリア内であるか否かを決定することを
さらに備えた請求項11の方法。
【請求項22】
前記ポジションフィックスが前記ジオフェンス境界によって規定されるエリアに入ったことを知らせることを
さらに備えた請求項21の方法。
【請求項23】
ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定するため及びポジションフィックスを計算するためのプログラマブル命令を有するプロセッサと、
前記ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取るため、及び移動局ネットワーク情報を受け取るための受信ユニットと、
前記移動局ネットワーク情報を前記ジオフェンスネットワーク情報と比較するためのコンパレータユニットと、
を備えたポジショントラッキングデバイス。
【請求項24】
前記移動局ネットワーク情報が前記ジオフェンスネットワーク情報内でない回数のカウント値を維持するスキップカウンタを
さらに備えた請求項23のポジショントラッキングデバイス。
【請求項25】
前記プロセッサは、前記ポジションフィックスを低いクオリティオブサービスパラメータ用いて計算する
請求項24のポジショントラッキングデバイス。
【請求項26】
前記プログラマブル命令は、前記移動局ネットワーク情報が前記ジオフェンスネットワーク情報内である場合に、最新の真のポジションフィックスをリカバーするための命令を含む
請求項23のポジショントラッキングデバイス。
【請求項27】
前記プログラマブル命令は、円を規定するために、距離半径を計算し、前記距離半径を前記最新の真のポジションフィックスに参照させるための命令を含む
請求項26のポジショントラッキングデバイス。
【請求項28】
前記プログラマブル命令は、前記円が前記ジオフェンス境界から遠く離れているか否かを決定するための命令を含む
請求項27のポジショントラッキングデバイス。
【請求項29】
前記プロセッサは、前記円が前記ジオフェンス境界から遠く離れている場合に、低いクオリティオブサービスパラメータを用いて前記ポジションフィックスを計算する
請求項28のポジショントラッキングデバイス。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記円が前記ジオフェンス境界から遠く離れていない場合に、高いクオリティオブサービスパラメータを用いて前記ポジションフィックスを計算する
請求項28のポジショントラッキングデバイス。
【請求項31】
ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定するプログラムコードと、
前記ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取るプログラムコードと、
移動局ネットワーク情報を取得するプログラムコードと、
前記移動局ネットワーク情報を前記ジオフェンスネットワーク情報と比較するプログラムコードと、
前記移動局ネットワーク情報が前記ジオフェンスネットワーク情報内でない場合に、スキップカウンタをインクリメントするプログラムコードと、
前記スキップカウンタを最大スキップ値と比較するプログラムコードと、
前記スキップカウンタが前記最大スキップ値を越えた場合に、低いクオリティオブサービスパラメータを用いてポジションフィックスを計算するプログラムコードと、
を備えた、その上に記憶されたプログラムコードを含んだコンピュータ可読媒体。
【請求項32】
ジオフェンス中心及びジオフェンス境界を規定するプログラムコードと、
前記ジオフェンス境界によって規定されたエリアに関連付けられたジオフェンスネットワーク情報を受け取るプログラムコードと、
移動局ネットワーク情報を取得するプログラムコードと、
前記移動局ネットワーク情報を前記ジオフェンスネットワーク情報と比較するプログラムコードと、
前記移動局ネットワーク情報が前記ジオフェンスネットワーク情報内である場合に、最新の真のポジションフィックスをリカバーするプログラムコードと、
円を規定するために、距離半径を計算し、前記距離半径を前記最新の真のポジションフィックスに参照させるプログラムコードと、
前記円が前記ジオフェンス境界から遠く離れているか否かを決定するプログラムコードと、
クオリティオブサービスパラメータを用いてポジションフィックスを計算するプログラムコードと、
を備えた、その上に記憶されたプログラムコードを含んだコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−526358(P2011−526358A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513737(P2011−513737)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047266
【国際公開番号】WO2009/152472
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】