説明

ポッティング装置

【課題】ポッティング装置に停電等のトラブルが発生し、検出結果に関する情報が失われてしまった場合であっても、直ちに、半導体チップの検出を再開することができるポッティング装置を提供すること。
【解決手段】搬送される基板(テープ状基板2)に実装されている電子部品(半導体チップ4)と基板(テープ状基板2)とに、ポッティング材を塗付するポッティング装置5,13であって、ポッティング材の塗付を行う前に、基板(テープ状基板2)上の電子部品(半導体チップ4)の有無を検出し、この検出結果に基づき、ポッティング材の塗付を行うかどうかの判断を行うポッティング装置5,13において、電子部品(半導体チップ4)の有無を検出する検出手段(カメラユニット15)を、ポッティング材の塗付位置に配設し電子部品(半導体チップ4)の有無の検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポッティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICチップ等の半導体チップと、この半導体チップが取り付けられるTAB(Tape Automated bonding)テープとの間を封止するために、半導体チップとTABテープとの間にポッティング材を塗布するポッティング装置が知られている。
【0003】
係るポッティング装置においては、ポッティング材の塗付を行う前に、TABテープ上の半導体チップの有無を検出し、この検出結果に基づき、ポッティング材の塗付を行うかどうかの判断を行っている。つまり、ポッティング材の塗付を行うべき箇所に半導体チップが有る場合には、ポッティング材の塗付工程を行い、ポッティング材の塗付を行うべき箇所に半導体チップが無い場合には、ポッティング材の塗付工程を行わない。
【0004】
例えば、特許文献1には、ポッティング材の塗付を行う塗布工程が実行される領域の手前、すなわち、TABテープをポッティング装置に供給するTABテープ供給装置とポッティング装置の塗布工程の実行領域との間に、画像認識手段を配設し、この画像認識手段により半導体チップの有無を検出する構成が開示されている。
【0005】
この特許文献1の構成においては、画像認識手段と塗布工程の実行領域との間に、TABテープが搬送される距離がある。そのため、存在の有無が検出された半導体チップが塗付工程の実行領域に到達するまでの間、その検出結果に関する情報(以下、検出情報という。)をメモリ等に保存し、この保存されている検出情報に基づいて、塗付作業を行うかどうかを判断している。
【0006】
【特許文献1】特許第2608001号(図1等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ポッティング装置に停電等のトラブルが発生し、検出情報が失われてしまった場合には、オペレータが、TABテープを反対方向に戻し、改めて、半導体チップの検出を行う必要がある。このTABテープの戻し作業は、煩わしく、ポッティング作業の作業効率を大きく損ねる原因となる。
【0008】
そこで、本発明は、ポッティング装置に停電等のトラブルが発生し、検出情報が失われてしまった場合であっても、作業効率を大きく低下させることなくポッティング作業を行うことができるポッティング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、搬送される基板に実装されている電子部品に、ポッティング材を塗付するポッティング装置であって、ポッティング材の塗付を行う前に、基板上の電子部品の有無を検出し、この検出結果に基づき、ポッティング材の塗付を行うかどうかの判断を行うポッティング装置において、電子部品の有無を検出する検出手段を、電子部品に対してポッティング材の塗付工程が実行される位置に配設することとする。
【0010】
ポッティング装置をこのように構成することで、ポッティング装置に停電等のトラブルが発生し、検出結果に関する情報が失われてしまった場合にも、基板を搬送方向とは逆方向に戻すことなく、直ちに、電子部品の検出を再開することができる。このため、ポッティング作業の効率を大きく損なうことがない。
【0011】
また、他の発明は、上述の発明に加え、検出手段を、撮像手段とし、この撮像手段は、電子部品とこの電子部品の周囲を撮像することとする。ポッティング装置をこのように構成することで、電子部品の検出を容易に行うことができ、かつ誤検出を防ぐことができる。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加え、撮像手段は、基板に対して、ポッティング材の塗付を行う塗布機構が配設される側に配設されていることとする。ポッティング装置をこのように構成することで、撮像手段を、基板に対して塗布機構と同じ側に配設したので、ポッティング装置全体の大きさの小型化を図ることができる。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加え、基板の少なくとも電子部品が実装される部分を照明する照明手段を備えることとする。ポッティング装置をこのように構成することで、ポッティング装置の周囲の明るさに拘らず撮像を行うことができ、電子部品の有無の誤検出を防止することができる。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加え、照明手段は、撮像手段の撮影光軸と電子部品が実装される基板の実装面における撮像手段の撮影範囲の外縁との間の距離をR、実装面から照明手段までの高さをH、撮影手段の撮影画角をθ、照明手段の撮影光軸から距離をDとしたときに、D>R+H・tanθ、とすることとする。ポッティング装置をこのように構成することで、撮像手段に輝度の高い反射光が入射することを防止することができ、電子部品の有無の誤検出を防止することができる。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加え、照明手段は撮影光軸の周りに等間隔に3箇所以上設けられていることとする。ポッティング装置をこのように構成することで、電子部品を均一な照度分布の照明光で照明することができる。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加え、撮像手段は、塗付機構と一体に構成されていることとする。ポッティング装置をこのように構成することで、撮像手段と塗付機構とを同一の駆動源で移動することができる。
【0017】
また、他の発明は、上述の発明に加え、撮像手段は、塗付機構に対して基板の搬送方向と直交する方向に配設されていることとする。ポッティング装置をこのように構成することで、ポッティング装置の搬送方向に沿う方向の大きさの小型化を図ることができる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加え、基板が搬送されている間、検知手段は、塗布工程が実行される位置に配設されていることとする。ポッティング装置をこのように構成することで、基板の搬送が停止した際に、撮像手段が、基板上に配設されているため、電子部品の有無の検出をよりすばやく行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ポッティング装置に停電等のトラブルが発生し、検出情報が失われてしまった場合であっても、作業効率を大きく低下させることなくポッティング作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明をする。
【0021】
図1は、封止装置1の全体の構成を示す構成図である。この封止装置1は、基板であるテープ状基板2と、このテープ状基板2の実装面3に実装される電子部品である半導体チップ4(図2参照)とにポッティング材を塗付し、そして、塗布されたポッティング材を硬化させることで、テープ状基板2と半導体チップ4との封止を確実なものとする。封止装置1は、実装面3と半導体チップ4とにポッティング材を塗付するポッティング装置5と、このポッティング装置5にテープ状基板2を供給する供給装置6と、半導体チップ4と実装面3に塗付されたポッティング材を加熱し熱硬化させることで封止状態を形成する加熱炉7と、封止されたテープ状基板2を巻き取る巻取装置8とを有する。
【0022】
以下の説明において、供給装置6から巻取装置8の方向に向かう方向を右方向(右側)、その反対側を左方向(左側)として説明を行なう。また、図1において、紙面表側を前方向(前側)、その反対側(紙面裏側)を後方向(後側)とし、図面の上方向を上方向(上側)、その反対方向を下方向(下側)として、以下の説明を行なうこととする。
【0023】
図2は、テープ状基板2の概略の構成を示す図面であり、テープ状基板2を上方から見たテープ状基板2の部分的な平面図である。図2に示すように、テープ状基板2には、その実装面3に複数の半導体チップ4が、予め一定間隔で実装されている。なお、テープ状基板2は、半導体チップ4が実装される面の側、すなわち実装面3の側を上方に向けた状態で、封止装置1内を左側から右方向に搬送される。
【0024】
テープ状基板2の実装面3には、半導体チップ4に覆われている部分に、図示を省略する電極部が設けられている。そして、この電極部(図示省略)に半導体チップ4の下側面に設けられている図示を省略する端子部が電気的に接続されることで、半導体チップ4のテープ状基板2への実装が行われる。テープ状基板2は、例えば、ポリミド等のフレキシブルな薄い樹脂フィルムをテープ状に形成し、これを基材としてこの上に、ICチップ等の半導体チップを実装することで、COF(Chip On Film or Chip On Flexible Circuit Board)として構成されている。なお、テープ状基板2は、COFの他、TABを構成するものとしてもよい。
【0025】
先ず、図1および図2を参照しながら、テープ状基板2とここに実装されている半導体チップ4との封止工程についてその概略を説明する。封止装置1は、上述したように、供給装置6と、ポッティング装置5と、加熱炉7と、巻取装置8とを有する。テープ状基板2は、供給装置6、ポッティング装置5、加熱炉7そして巻取装置8の順に搬送される。テープ状基板2の搬送は、停止と移動を繰り返しながら間欠的に行われる。
【0026】
供給装置6には、テープ状基板2がリールに巻回された状態で収納され、この供給装置6から、ポッティング装置5にテープ状基板2が供給される。ポッティング装置5においては、停止と移動を繰り返しながら間欠的に搬送されるテープ状基板2が停止している間に、テープ状基板2と半導体チップ4との間にポッティング材の塗付が行われる。ポッティング装置5の左右両側には、テープ状基板2の搬送を行うための搬送ローラ9,10を備える搬送装置11が備えられている。この搬送ローラ9,10により、テープ状基板2は、所定量の移動と所定時間の停止を行う間欠的な搬送が行われる。ポッティング装置5においてポッティング材が塗付されたテープ状基板2は、加熱炉7に供給される。テープ状基板2と半導体チップ4との間に塗付されたポッティング材は、加熱炉7内を通過する間に熱硬化し、テープ状基板2と半導体チップ4の間の封止状態が確実なものとなる。半導体チップ4との間を封止させられたテープ状基板2は、巻取装置8のリールに巻回され、封止工程が終了する。なお、供給装置6、ポッティング装置5、搬送装置11、加熱炉7、および巻取装置8は、それぞれ、筐体12a,12b,12c,12d内に収容されている。
【0027】
次にポッティング装置5の構成について説明する。図3は、ポッティング装置5の概略の構成を正面から見た正面図である。図4は、ポッティング装置5の概略の構成を右側面から見た右側面面である。図3に示すように、本実施の形態に係るポッティング装置5は、4台のポッティング装置13を備えて1台のポッティング装置5として構成されている。したがって、一度に4の半導体チップ4について、テープ状基板2との間にポッティング材の塗付を行うことができる。各ポッティング装置13は、同一の構成となっている。したがって、以下の説明においては、1台のポッティング装置13について説明することとする。なお、ポッティング装置5は、1台のポッティング装置13を有する構成とする他、2台、3台、あるいは5台以上のポッティング装置13を有する構成としてもよい。
【0028】
ポッティング装置13は、ポッティング材を塗付する塗布機構としてシリンジユニット14と、撮像手段としてのカメラユニット15と、シリンジユニット14およびカメラユニット15の両方を支持すると共に両者を一体的に移動する移動機構16と、テープ状基板2を支持する基板支持ユニット17等を有する。前側から順に、シリンジユニット14、カメラユニット15、移動機構16の順に配設され、基板支持ユニット17は、シリンジユニット14の下方に配設されている。なお、ガイドレール18の前方には、各ポッティング装置13毎に、それぞれ、ノズルクリーニング部19およびノズル位置補正部20が備えられている。
【0029】
シリンジユニット14は、シリンジ21とシリンジ保持部22を有する。シリンジ21は、ポッティング材収容部23、エア注入部24およびポッティング材を吐出するノズル25を有する。エア注入部24は、空気送り管26を介して、図示外のコンプレッサに接続されている。したがって、コンプレッサ(図示外)から、ポッティング材収容部23内に圧縮空気が送り込まれると、送り込まれた空気の量に応じて、ポッティング材収容部23内のポッティング材が、ニードル状を呈するノズル25の先端(下端)から吐出させられる。
【0030】
シリンジ21は、シリンジ保持部22の収容部27に収容されることで、シリンジ保持部22に保持されている。シリンジ21が収容部27に収容されシリンジ保持部22に保持された状態において、ノズル25はシリンジ保持部22の下側に突出し、また、エア注入部24はシリンジ保持部22の上側に突出している。シリンジ保持部22は、アルミニウム材から形成されるブロック体(塊体)である。収容部27は、切削加工等によりシリンジ21の形状に合わせた中空部として形成されている。
【0031】
シリンジ保持部22の前側には、アルミニウム材から形成される冷却用の放熱フィン28が備えられている。シリンジ21内のポッティング材は、シリンジ21に圧縮空気が送り込まれること等により温度が上昇傾向にある。放熱フィン28を設けることにより、シリンジ保持部22に放出されたポッティング材の熱が、シリンジ保持部22の外部に放出され易くなる。シリンジ21内のポッティング材の放熱をスムーズに行うことで、ポッティング材を所定の温度に保つように構成されている。なお、シリンジ保持部22および冷却用の放熱フィン28を、アルミニウム材から形成することで、シリンジ21からシリンジ保持部22の外側への熱の伝導性を高くし、放熱効果を高くしている。さらに、放熱フィン28に電動ファン29を備えることで放熱効果の向上を図っている。
【0032】
シリンジユニット14は、シリンジ保持部22に固定されるブラケット30を介して、移動機構16に対して取り付けられている。移動機構16は基台31上に設置されている。移動機構16は、支持アーム32、X方向移動機構33、Y方向移動機構34およびZ方向移動機構35を有する。X方向移動機構33、Y方向移動機構34、およびZ方向移動機構35は、基台31の上に、基台31側(下側)から順に、X方向移動機構33、Y方向移動機構34、Z方向移動機構35の順で配設されている。すなわち、X方向移動機構33が基台31に直接設置され、このX方向移動機構33の上に、Y方向移動機構34が設けられる。そして、Y方向移動機構34の上に支持アーム32を介してZ方向移動機構35が設けられている。
【0033】
Z方向移動機構35は、支持アーム32の上部に備えられ、モータ36とこのモータ36の出力軸に連結されるリードスクリュー37を有している。ブラケット30は、シリンジ保持部22に固定される側と反対側が、リードスクリュー37に対してねじ結合した状態で支持されている。したがって、シリンジユニット14は、モータ36が駆動されると、リードスクリュー37にリードされながら、モータ36の駆動方向と駆動量に応じて、上下方向に移動する。なお、ブラケット30は、図示を省略する回転止め機構により、リードスクリュー37の回転に引きずられてリードスクリュー37の周りに回転してしまわないように構成されている。
【0034】
Y方向移動機構34は、前後方向に配設される図示外のガードレールと、このガイドレール(図示外)に沿って、支持アーム32を前後方向に移動させるモータ等の図示外の駆動機構とを有している。すなわち、ポッティング装置5は、Y方向移動機構34により、支持アーム32を、前後方向に移動可能な構成となっている。
【0035】
X方向移動機構33は、左右方向に配設される図示外のガードレールと、このガイドレール(図示外)に沿って、支持アーム32とY方向移動機構34とを左右方向に移動するモータ等の図示外の駆動機構とを有している。すなわち、ポッティング装置5は、X方向移動機構33により、Y方向移動機構34と共に支持アーム32を、左右方向に移動可能な構成となっている。
【0036】
したがって、シリンジユニット14は、X方向移動機構33、Y方向移動機構34およびZ方向移動機構35により左右方向(搬送方向)、前後方向および上下方向に移動可能となっている。
【0037】
シリンジユニット14の後方の位置には、ブラケット30に取り付けられているカメラユニット15が配設されている。カメラユニット15は、不図示のCCD(Charge Coupled Device)が内部に備えられる撮像部38および図示外の撮影レンズを有するレンズ鏡筒39を有する。カメラユニット15は、レンズ鏡筒39の部分をブラケット30に対して固定されることで、シリンジユニット14と共に移動機構16に対して取り付けられている。
【0038】
ポッティング装置13は、カメラユニット15をシリンジユニット14の後方に配設することで、左右方向についての大きさの小型化が図られている。ポッティング装置5は、4つのポッティング装置13を左右方向に配設する構成となっているため、各ポッティング装置13の左右方向の大きさの小型化を図ることで、ポッティング装置5全体の左右方向(搬送方向)の大きさについて小型化を図ることができる。
【0039】
カメラユニット15の下側には、照明ユニット40が配設されている。図5は、ポッティング装置13のシリンジユニット14およびカメラユニット15部分を下方から見た図である。この図5に示すように、この照明ユニット40は、照明手段としてのLED41と、このLED41が取り付けられるLED保持部42を有する。LED保持部42には複数のLED41が取り付けられている。
【0040】
LED保持部42は、上下方向に貫通する孔部43を有し、上下方向から見た形状が円環体を呈している。LED保持部42の下側の面には凹部44が形成されている。凹部44は、開口部を下方に向け、孔部43を囲む溝状を呈している。すなわち、凹部44は、孔部43の周囲に環状に形成されている。LED41は、凹部44の内側に等間隔で配設されている。
【0041】
LED保持部42は、シリンジ保持部22の後側の面に取り付けられている。したがって、照明ユニット40は、シリンジユニット14と一体的に構成されていることになる。カメラユニット15も上述のようにブラケット30を介してシリンジユニット14と一体に構成されている。つまり、カメラユニット15と照明ユニット40は、シリンジユニット14に一体的に取り付けられている。したがって、1つの移動機構16により、シリンジユニット14、カメラユニット15、および照明ユニット40は、一体的に左右方向、前後方向および上下方向に移動可能に構成されている。
【0042】
照明ユニット40の孔部43を通して、カメラユニット15が、照明ユニット40の下方を撮影できるように、カメラユニット15と照明ユニット40は相互に位置合わせされた状態で、ブラケット30とシリンジ保持部22とにそれぞれ取り付けられている。すなわち、撮影レンズ(不図示)の光軸が、孔部43の中心を通るように、カメラユニット15と照明ユニット40は相互に位置合わせされている。
【0043】
シリンジユニット14の下方向には、供給装置6から加熱炉7に向かって搬送されるテープ状基板2をガイドすると共に支持するガイドレール18が配設されている。ガイドレール18は、前後1対のガイド部材18a,18bにより構成されている。ガイド部材18a,18bは、テープ状基板2の前後方向の両縁部の下側を支持すると共に、テープ状基板2が搬送される際に前後方向に蛇行しないように、テープ状基板2の両縁部に対して前後方向で当接することで蛇行を抑えるように構成されている。ガイド部材18aとガイド部材18bの間は上下方向に抜ける空間45となっている。そして、この空間45の下方向には、基板支持ユニット17が配設されている。
【0044】
基板支持ユニット17は、基板支持部46、ヒータ部47、および断熱部48から構成される工具部49と、工具部昇降機構50とを有する。基板支持部46は、アルミニウム材から形成されるブロック体であり、上面にテープ状基板2を支持する支持面46aが設けられている。この支持面46aには、基板支持部46を上方から見た図である図6に示すように、吸引孔46bが形成されている。吸引孔46bは、前後に2列、各列について左右方向に4つ形成されている。これらの吸引孔46bは、基板支持部46の内部に形成される図示外の中空部と接続され、この中空部が図示を省略するチューブ等を介して図示外の吸引装置が接続されることで、これらの吸引孔46bから空気が吸引されるように構成されている。
【0045】
基板支持部46の下側には、ヒータ部47が備えられている。このヒータ部47もアルミニウム材から形成されるブロック体であり、その内側に、カートリッジヒータ等の加熱手段が備えられている。ヒータ部47から発生した熱は、基板支持部46に及ぶ。
【0046】
ヒータ部47の下側には、断熱部48が配設され、工具部49は、断熱部48を介して工具部昇降機構50の上端に備えられる台座部51に取り付けられている。工具部昇降機構50は、図示を省略するモータ等の駆動機構を有し、台座部51に取り付けられている工具部49を上下方向に移動する。また、基板支持ユニット17は、左右方向に延設されるガイドレール17a上に設置され、このガイドレール17aに沿って、左右方向に移動できるように構成されている。
【0047】
なお、封止装置1は、CPU(Central Processing
Unit)等により構成される制御部52(図1参照)を有し、この制御部52により、ポッティング装置5を含めた封止装置1の動作を制御している。
【0048】
次に、以上のように構成されるポッティング装置13によって、ポッティング材を、テープ状基板2に実装されている半導体チップ4と実装面3とに塗付する際の塗付工程、すなわちポッティング装置13の動作について説明する。
【0049】
先ず、封止装置1を稼動するのに先立ち、4つのポッティング装置13のそれぞれの基板支持ユニット17を、テープ状基板2に実装される半導体チップ4の配設間隔の整数倍の間隔で等間隔に配設する。各基板支持ユニット17は、ガイドレール17aに沿って移動することで、左右方向の位置をそれぞれ変えることができるように構成されている。このように4つの基板支持ユニット17を配設することで、各基板支持ユニット17の基板支持部46の支持面46aに、4つの半導体チップ4を同時に対向させることができる。テープ状基板2は、左から右に停止と移動を繰り返しながら間欠的に搬送され、停止時には、4つの半導体チップ4が、それぞれ各基板支持ユニット17の支持面46aに対向するように搬送させられる。この基板支持部46の位置において、半導体チップ4に対してポッティング材の塗付が実行される。
【0050】
テープ状基板2が搬送されている間、工具部昇降機構50は、工具部49を下方に偏倚させ、支持面46aをテープ状基板2から下方に離れた位置に配設させている。実装面3との間にポッティング材を塗付すべき半導体チップ4が、支持面46aと対向するようにテープ状基板2が搬送されると、テープ状基板2の搬送が停止させられる。そして、基板支持ユニット17は、工具部昇降機構50により工具部49を上方に移動し、支持面46aをテープ状基板2に当接または近接させる。この際、上述のテープ状基板2の搬送により支持面46aと半導体チップ4とは対向する位置関係となっている。そして、図示外の吸引装置により吸引孔46bの内部を負圧とし、支持面46aにテープ状基板2を吸引することで、テープ状基板2を支持面46aに固定する。
【0051】
ところで、図7に示すように、ポッティング装置13は、移動機構16により、テープ状基板2が搬送されている間は、シリンジ21のノズル25をテープ状基板2より前方に配設させると共に、カメラユニット15を基板支持部46に対向する上方に配設させている。
【0052】
このように、テープ状基板2が搬送されている間、シリンジ21のノズル25をテープ状基板2より前方に偏倚させることで、テープ状基板2を搬送している最中に、ノズル25からポッティング材が漏れ落ちたとしても、テープ状基板2を汚してしまうことを防止することができる。
【0053】
テープ状基板2の搬送が停止し、テープ状基板2を吸引孔46bの吸引力により支持面46aに固定した状態で、カメラユニット15により、テープ状基板2に半導体チップ4が実装されているかどうかを検出する。半導体チップ4の検出に先立ち、既に、カメラユニット15は、ポッティング材の塗付が行われる位置である基板支持部46の上方に位置しているので、テープ状基板2の搬送が停止した後、すぐに半導体チップ4の有無の検出を開始することができる。
【0054】
カメラユニット15が、テープ状基板2の上方に位置している状態において、照明ユニット40の孔部43を通して、テープ状基板2の半導体チップ4とその周辺部分を撮影できるように孔部43の大きさや位置、あるいはカメラユニット15の撮影画角等が構成されている。そして、カメラユニット15により撮像された画像に基づいて、制御部52に設けられる画像認識処理部において、テープ状基板2に半導体チップ4が実装されているかどうかを判断する。すなわち、半導体チップ4の有無の判断を行う。
【0055】
半導体チップ4の有無を検出は、カメラユニット15の撮像範囲内に、半導体チップ4が実装されている範囲が含まれていれば行うことができる。すなわち、半導体チップ4とその周囲のテープ状基板2の実装面3を撮像した場合には、半導体チップ4の画像部分と実装面3の画像部分とは互いに異なる画像として得られる。例えば、半導体チップ4の画像部分が実装面3の画像部分に対して、輝度の高い画像として得られたり、あるいは、逆に輝度の低い画像として得られる。そして、この輝度情報の違い等に基づいて半導体チップ4の有無を検出することができる。したがって、カメラユニット15の撮像範囲内に、半導体チップ4とその周囲の実装面3が含まれるようにすることで、半導体チップ4の有無の検出を容易に行うことができる。
【0056】
また、カメラユニット15の撮影範囲を、半導体チップ4が実装されている範囲とその周囲が広めに含まれるように設定することで、誤検出を防止できる。すなわち、カメラユニット15の撮影範囲をこのように広めに設定することにより、半導体チップ4の有無の検出を行う際に、カメラユニット15を半導体チップ4の実装位置に対して配設する位置精度を高くしなくても誤検出を防止することができる。
【0057】
ポッティング装置13は、上述の判断において、半導体チップ4が実装されていると判断した場合には、後述するポッティング材の塗付工程を実行する。逆に、半導体チップ4が実装されていないと判断した場合には、ポッティング材の塗付工程は実施しない。なお、テープ状基板2に半導体チップ4が実装されているかどうかの判断は、各ポッティング装置13毎に行われ、判断の結果に基づいてポッティング材の塗付工程を実行するか否かの判断も各ポッティング装置13毎に行われる。
【0058】
本実施の形態に係るポッティング装置13は、照明ユニット40を備え、テープ状基板2と半導体チップ4の画像を鮮明に撮像することが出来るように構成されている。ポッティング装置5(各ポッティング装置13)は、オペレータ(作業者)の安全性の確保やテープ状基板2へのごみの付着を防止するため、筐体12b(図1参照)内に収容されている。そのため、カメラユニット15の撮影面となるテープ状基板2の実装面3において、撮影に必要な光量を確保できない場合がある。したがって、照明ユニット40により実装面3を照明することで、筐体内においても、テープ状基板2等の画像を鮮明に撮像することが出来る光量を確保することができる。その結果、半導体チップ4の有無の誤検出を防止することができる。
【0059】
照明ユニット40の照明光を照射する部分となるLED41は、カメラユニット15との位置関係において、図8に示すように配設されている。図8において、カメラユニット15の被撮影面、すなわちテープ状基板2の実装面3を含む面における撮影範囲の外縁Eと撮影レンズ(図示省略)の光軸Lとの距離をR、カメラユニット15の撮影画角を2θ、実装面3からLED41までの高さをHとしたときに、LED41と光軸Lとの距離Dが、
D>R+H・tanθ … (1)
となる位置にLED41が配設されている。
【0060】
CCD(不図示)による画像は、CCDの画素に蓄積される電荷の量が所定量を超えると、その部分の画素に対応する画像が白く潰れるいわゆる色とびを生じる。したがって、カメラユニット15のCCD(不図示)に、LED41から照射され、実装面3あるいは半導体チップ4で反射した照明光の内、照度の高い照明光がCCD(不図示)に入射すると、画像に白とびを生じる。しかしながら、LED41を、上記(1)式を満たす位置に配設することで、LED41から照射され、実装面3あるいは半導体チップ4で反射した照明光の内、照度の高い照明光がCCD(不図示)に入射することを防止でき、画像に白とびが発生することを防止することができる。特に、半導体チップ4のダイシング部分は、反射率が高いため、この部分で反射した照度の高い照明光がCCD(不図示)に入射すると、この照明光を受光した部分では白とびの現象が起きやすくなる。しかしながら、LED41を上述の式(1)を満足するように配設することで、実装面3あるいは半導体チップ4で反射したLED41の照明光の内、照度の高い照明光がCCD(不図示)に入射することを防止することができる。
【0061】
例えば、図8の点線で示すように、仮想のLED41′を、D<R+H・tanθの位置に配設した場合には、LED41′からの照明光の内、反射率が高い部分53で反射した照度の高い照明光がCCD(不図示)に入射し、撮像した画像に白とびを生ずる虞がある。しかしながら、LED41のように、D>R+H・tanθの位置に配設することで、LED41からの照明光の内、反射率が高い部分53で反射した照度の高い照明光はCCDに入射しない。そのため、撮像した画像に白とびを生ずることを防ぐことができる。
【0062】
図5に示すように、LED41は、12個備えられ、各LED41は、孔部43の中心、すなわち、光軸Lの周りに30度間隔で配設されている。したがって、実装面3と半導体チップ4を照度に偏りなく照明することができる。なお、3個以上のLED41を、光軸Lの周りに均等に配設することで、照度に偏りなく実装面3と半導体チップ4を照明することができる。好ましくは、図5に示すように、光軸Lの周りに全周に亘って隙間無く(隙間を少なく)LED41を環状に配設することで、より偏りない照度の照明光により実装面3と半導体チップ4を照明することができる。
【0063】
テープ状基板2に半導体チップ4が実装されていることを確認した後、半導体チップ4と実装面3とにポッティング材を塗付する塗付工程を実行する。ポッティング材の塗付は、ノズル25の先端を、半導体チップ4の周縁に沿って移動させながらポッティング材を吐出することで、半導体チップ4の周縁のテープ状基板2との間にポッティング材を塗付する。
【0064】
ノズル25の先端を、半導体チップ4の周縁に沿って移動させる制御は次のように行われる。先ず、カメラユニット15により、各半導体チップ4毎にそれぞれ設けられるターゲットマーク54(図2参照)の検出を行う。そして、CCD(不図示)の撮像面上の所定位置に、ターゲットマーク54が結像するように、カメラユニット15を移動機構16により移動する。具体的には、次のようにして、CCD(不図示)の撮像面上の所定位置に、ターゲットマーク54を結像させる。
【0065】
CCD(不図示)の撮像面上で検出されたターゲットマーク54の結像とCCD(不図示)の撮像面上の所定位置(例えば、撮像面の中心位置)とのずれ量とずれの方向を検出する。そして、このずれ量とずれの方向に関するデータが、制御部52に送られる。このデータに基づいて移動機構16を制御し、ターゲットマーク54の結像が、CCD(不図示)の撮像面上の所定位置に結像するようにカメラユニット15を移動させる。
【0066】
半導体チップ4は、テープ状基板2に実装される際に、ターゲットマーク54に対して所定の位置関係になるように実装されている。この所定の位置関係は、制御部52に予め記憶されている。また、CCD(不図示)の撮像面上の所定位置と、ノズル25の先端部から吐出されるポッティング材の吐出位置との位置関係についても予め判っており、制御部52に記憶されている。
【0067】
したがって、ターゲットマーク54をCCD(不図示)の撮像面上の所定位置に一致させることにより、ノズル25から吐出されるポッティング材の吐出位置を、半導体チップ4に対して所望の位置に移動することができる。すなわち、予め判っている半導体チップ4とターゲットマーク54との位置関係、およびCCD(不図示)の撮像面上の所定位置とポッティング材の吐出位置との位置関係に基づいて、テープ状基板2と半導体チップ4との間の封止部の所望位置にノズル25の吐出位置を合わせることができる。このようにして、ノズル25の吐出位置をテープ状基板2と半導体チップ4との封止部に沿わせて移動しながらポッティング材の吐出を行う。
【0068】
支持面46aは、ヒータ部47により加熱されている。したがって、支持面46aに固定されるテープ状基板2がヒータ部47の熱により加熱されることになる。そのため、加熱されたテープ状基板2に塗付されたポッティング材の粘度を低くすることができ、実装面3と半導体チップ4との間に、ポッティング材が流れ込み易くなり、実装面3と半導体チップ4との間の封止を確実に行うことができる。
【0069】
ところで、カメラユニット15は、シリンジユニット14の後側に配設されている。したがって、隣接するポッティング装置13との間の間隔を確保することができる。そのため、ポッティング材をテープ状基板2と半導体チップ4との間に塗付する際等、ポッティング装置13を左右方向へ移動するときに、その移動量を大きく確保することができる。
【0070】
なお、カメラユニット15の下方には、上述したように照明ユニット40が備えられている。この照明ユニット40によりターゲットマーク54が照明され、CCD(図示外)の撮像面上に、鮮明なターゲットマーク54の像を結像させることができる。
【0071】
カメラユニット15で撮影されたターゲットマーク54と対応している半導体チップ4に対してポッティング材の塗付が完了した後は、Z方向移動機構35を駆動してシリンジユニット14を上方に移動する。また、支持面46aの吸引孔46bによる吸引を停止し、工具部昇降機構50を駆動して工具部49を下方に移動する。すなわち、支持面46aをテープ状基板2から離間させる。
【0072】
続いて、カメラユニット15がテープ状基板2の上方に位置するように移動機構16を駆動する。そして、カメラユニット15が、テープ状基板2の上方に位置している状態で、次の塗付作業の対象となる半導体チップ4がカメラユニット15の下方に位置するように、テープ状基板2を右方向に搬送する。この搬送が終了した後、再び、上述したように、半導体チップ4の有無の判断、ポッティング材の塗付等を行う。
【0073】
上述した構成のポッティング装置13(ポッティング装置5)によれば、ポッティング材の塗布作業を行う位置において、塗付作業を行うべき半導体チップ4の有無の検出を行っている。そのため、半導体チップ4の有無を検出した後、ポッティング装置13(ポッティング装置5)に停電等のトラブルが発生し、半導体チップ4の有無に関する情報が失われてしまった場合であっても、テープ状基板2の搬送位置等をトラブル発生時の状態のままにして、直ちに、半導体チップ4の有無の検出が可能となる。
【0074】
なお、図9に示すように、ガイドレール18の前方には、各ポッティング装置13毎にそれぞれノズルクリーニング部19とノズル位置補正部20が備えられている。図9は、テープ状基板2がセットされているガイドレール18、ノズルクリーニング部19およびノズル位置補正部20を上方から見た図である。
【0075】
ノズルクリーニング部19のクリーニング孔19aは、図示外の吸引機に接続され、クリーニング孔19aの内部は負圧となっている。そのため、クリーニング孔19aにノズル25を対向させると、ノズル25の先端に付着したポッティング材を吸い込み払拭することができる。所定時間毎に、あるいは、所定個数のテープ状基板2に対してポッティング材の塗付作業を行う毎に、ノズル25がクリーニング孔19aに対向するように、移動機構16を駆動し、ノズル25に付着したポッティング材を払拭する。これにより、ポッティング材が、テープ状基板2等の意図しない箇所に落ちてしまうことを防止することができる。また、ノズル25の先端に不均一に付着したポッティング材によるポッティング材の塗布位置ずれ、ノズル25の先端に付着したポッティング材による塗布幅の増加を防止できる。
【0076】
ノズル位置補正部20は、移動機構16により設定されたポッティング材の所定の塗布位置と、実際の塗付位置との差を求めるために検査用にポッティング材を塗布する部分である。ノズル25の先端位置と、CCD(不図示)の撮像面上のターゲットマーク54を一致させる所定位置とが設計値通りの位置関係になっている状態では、この位置関係に基づいて移動機構16を駆動することで、ノズル25の位置、すなわちポッティング材の吐出位置を制御することができる。しかしながら、該位置関係が設計値通りになっていない場合には、ポッティング材の所定の塗布位置を、設計値通りにすることができない。例えば、ノズル25を交換した場合に、ノズル25が傾斜して取り付けられてしまった場合には、ノズル25の先端位置が設計値通りにならないことがある。また、ノズル25とシリンジ21が一体になっている構造の場合も、シリンジ21を交換した際に、ノズル25が傾斜してしまう場合がある。さらに、ノズル25の先端部にポッティング材が付着してしまった場合に、ポッティング材の塗布位置を、設計値通りにすることができない。
【0077】
そこで、先ず、ノズル位置補正部20上に、移動機構16に設定される基準位置を基準にした基準の塗付位置を定める。この基準の塗布位置は、該基準位置に対する位置関係のデータとして制御部52に記憶される。そして、制御部52に記憶されている基準の塗布位置に基づき、移動機構16を制御し、基準の塗布位置を目標にして実際にポッティング材を吐出する。カメラユニット15により、実際に塗布されたポッティング材を撮影し、塗布されたポッティング材の塗布位置の該基準位置に対する位置関係を求める。CCD(不図示)の撮像面上の所定位置と該基準位置との位置関係は設計事項であり予め既知とすることができる。そのため、カメラユニット15により塗布されたポッティング材を撮影することで、実際に塗布されたポッティング材の塗布位置の該基準位置に対する位置関係を知ることができる。ノズル25の傾き等がある場合には、実際に塗布されたポッティング材の塗布位置の該基準位置に対する位置関係が、基準の塗布位置の該基準位置に対する位置関係に対して差を有することになる。この差を検出し、この差を移動機構16の制御に反映することで、ノズル25の先端位置と、CCD(不図示)の撮像面上の所定位置とが設計値通りになっていない場合であっても、ポッティング材の吐出位置を正確に制御することができる。
【0078】
上述の実施の形態におけるポッティング装置5においては、半導体チップ4の有無の検出手段としてカメラユニット15を用いているが、投光部と受光部を備えるいわゆる反射型の光センサにより該検出手段を構成することとしてもよい。投光部と受光部は、投光部からの光が半導体チップ4の上面で反射され、受光部に入射する位置関係になるように、例えば、シリンジ保持部22の下面に取り付ける。このような構成とした場合には、半導体チップ4が実装されている場合は、受光部において、半導体チップ4の上面で反射した光が受光されることで、半導体チップ4が実装されていると判断することができる。そして、テープ状基板2の半導体チップ4を実装すべき部分を透明に構成しておくことで、この部分に半導体チップ4が実装されていない場合には、投光部から投光された光が、半導体チップ4が実装されているべき透明部分を透過し、受光部において受光を検出することができない。これにより、半導体チップ4が実装されていないと判断することができる。
【0079】
また、半導体チップ4の有無の検出手段としては、投光部と受光部を備えるいわゆる透過型の光センサにより該検出手段を構成することとしてもよい。投光部と受光部は、半導体チップ4の実装位置を挟んで対向するように、いずれか一方を工具部49に配置し、他方をシリンジユニット14に配置する。このような構成とした場合には、テープ状基板2の半導体チップ4を実装すべき部分を透明に構成しておくことで、この部分に半導体チップ4が実装されていない場合には、投光部から投光された光が該透明部分を透過し、受光部において受光が検出され、これにより半導体チップ4が実装されていないと判断できる。受光が検出されない場合は、投光部からの光線が半導体チップ4により遮光されているため、半導体チップ4が実装されていると判断できる。
【0080】
透過型の光センサを用いる場合には、図10に示すように、基板支持部46の支持面46aの略中央に図示外の投光部の光が出射する孔部46Cを形成する。そして、受光部としてカメラユニット15を用いる構成とすることができる。投光部(図示外)は、基板支持部46の内部に設けたり、あるいは、基板支持部46の外部から光ファイバ等により、光を孔部46Cに導くようにしてもよい。受光部としてカメラユニット15を用いる場合には、テープ状基板2に半導体チップ4が実装されていない場合は、カメラユニット15において、孔部46Cから出射した光が輝点として所定以上の輝度の光点として撮像される。このような輝点が検出された場合に、半導体チップ4が実装されていないと判断する。
【0081】
なお、COF基板は、TAB基板と異なり、半導体チップが接合される領域にデバイスホールがない。従って、反射型の光検出では、半導体チップの色や反射光がCOFに類似していると、COFテープからの反射光と、半導体チップからの反射光が区別しがたい場合が生じる。しかし、透過型の光検出では、半導体チップの透光率がCOFと比較し格段に小さいので、半導体チップの有無の検出を、反射型と比較して、正確に行なうことができる。
【0082】
上述の半導体チップ4は、ICチップの他、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read−Only Memory)等の半導体メモリ等であり、また、テープ状基板2は、半導体メモリ以外の半導体部品や、抵抗素子等の電子部品が実装されている物でもよい。また、テープ状基板2はCOFの他、TABテープその他のテープであってもよい。
【0083】
また、撮像手段としてのカメラユニット15の撮像部38は、CCDの他、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いても良い。撮像部38は、いわゆるエリアセンサの他、ラインセンサであってもよい。また、照明手段としては、LED41の他、ハロゲンランプ等の光源を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態に係るポッティング装置を含む封止装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るポッティング装置に使用されるテープ状基板の部分的な平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るポッティング装置の正面図である。
【図4】図3に示すポッティング装置の右側面図である。
【図5】図3に示すポッティング装置のシリンジユニットとカメラユニットを下方から見た図である。
【図6】図3に示すポッティング装置の基板支持部を上方から見た図である。
【図7】図3に示すポッティング装置のノズルがテープ状基板より前方に配設されるとともに、カメラユニットがテープ状基板の上方に配設されている図である。
【図8】図3に示すポッティング装置のLEDとカメラユニットとの位置関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るポッティング装置に対して配設されるガイドレール、ノズルクリーニング部およびノズル位置補正装置を上方から見た図である。
【図10】図3に示すポッティング装置の基板支持部に投光用の孔部を形成した構成を示す図であり、基板支持部を上方から見た図である。
【符号の説明】
【0085】
2 … テープ状基板(基板)
4 … 半導体チップ(電子部品)
5,13 … ポッティング装置
15 … カメラユニット(検出手段、撮像手段)
14 … シリンジユニット(塗布機構)
41 … LED(照明手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される基板に実装されている電子部品に、ポッティング材を塗付するポッティング装置であって、上記ポッティング材の塗付を行う前に、上記基板上の上記電子部品の有無を検出し、この検出結果に基づき、上記ポッティング材の塗付を行うかどうかの判断を行うポッティング装置において、
上記電子部品の有無を検出する検出手段を、上記電子部品に対して上記ポッティング材の塗付工程が実行される位置に配設したことを特徴とするポッティング装置。
【請求項2】
前記検出手段は、撮像手段であり、この撮像手段は、前記電子部品とこの電子部品の周囲を撮像することを特徴とする請求項1に記載のポッティング装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記基板に対して、前記ポッティング材の塗付を行う塗布機構が配設される側に配設されていることを特徴とする請求項2に記載のポッティング装置。
【請求項4】
前記基板の少なくとも電子部品が実装される部分を照明する照明手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポッティング装置。
【請求項5】
前記照明手段は、前記撮像手段の撮影光軸と前記電子部品が実装される前記基板の実装面における前記撮像手段の撮影範囲の外縁との間の距離をR、前記実装面から前記照明手段までの高さをH、前記撮影手段の撮影画角をθ、前記照明手段の上記撮影光軸から距離をDとしたときに、
D>R+H・tanθ
とすることを特徴とする請求項4に記載のポッティング装置。
【請求項6】
前記照明手段は前記撮影光軸の周りに等間隔に3箇所以上設けられていることを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載のポッティング装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、前記塗付機構と一体に構成されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載のポッティング装置。
【請求項8】
前記撮像手段は、前記塗付機構に対して前記基板の搬送方向と直交する方向に配設されていることを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載のポッティング装置。
【請求項9】
前記基板が搬送されている間、前記検知手段は、前記塗布工程が実行される位置に配設されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のポッティング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−140845(P2008−140845A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323523(P2006−323523)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(592141488)アスリートFA株式会社 (96)
【Fターム(参考)】