説明

ポリアルケニルエーテル

本発明は、柔軟性、低極性樹脂との相溶性、組成の均一性、機械的強度、溶解性、粘着性、接着性、付着性、電気絶縁性、耐候性、耐水性、透明性、耐熱老化性、耐プレッシャークッカーテストでの結果等に優れた、分子内に一般式(I)


(式中、nは、2〜1000の整数を表し、Rは、置換もしくは非置換の低級アルキル、酸素原子を含有してもよい置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、R、R、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、置換もしくは非置換のポリアルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す。ただし、2以上存在するR、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)で表される構造を含むポリアルケニルエーテル等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、塗料、コーティング剤、インク、粘接着剤、フィルム、繊維、フォトレジスト、ソルダーレジスト、半導体封止材料、積層板、造形材料、シーリング材、成型材、化粧品、化粧品基材、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、相溶化剤等の塗料用添加剤等またはこれらの原料等の用途に有用なポリアルケニルエーテル等に関する。
【背景技術】
ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂およびそれらの光・電子線硬化型樹脂は、塗料、コーティング剤、インク、粘接着剤、フォトレジスト、シーリング材、バインダー、成型材、化粧品、化粧品基材、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、相溶化剤等の塗料用添加剤等の用途に幅広く使用されている。
しかしながら、従来知られているポリエーテル骨格、ポリジエン骨格等を有する上記の樹脂は、柔軟性、低極性樹脂との相溶性、組成の均一性、機械的強度、溶解性、粘着性、接着性、付着性、電気絶縁性、耐候性、耐水性、透明性、電子回路用基板の必要特性である耐プレッシャークッカーテストでの結果等の点で、満足されるものではない。
ポリ2−クロロエチルビニルエーテル骨格を有するポリウレタンが知られている(「マクロモレキュラー・ケミストリー・アンド・フィジックス(Macromolecular Chemistry and Physics)」、1997年、第198巻、p.3051−3064参照)が、ポリ2−クロロエチルビニルエーテル骨格を有する樹脂は、加熱条件下では脱塩素化反応を起こす等安定性に問題がある。また、その原料となる2−クロロエチルビニルエーテルは、廃棄物処理法および生活環境保全条例において規制物質になっている等により、環境に悪い影響を与えると考えられる。
【発明の開示】
本発明は、次の(1)〜(11)を提供する。
(1) 分子内に一般式(I)

(式中、nは、2〜1000の整数を表し、Rは、置換もしくは非置換の低級アルキル、酸素原子を含有してもよい置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、R、R、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、置換もしくは非置換のポリアルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す。ただし、2以上存在するR、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)で表される構造を含むポリアルケニルエーテル。以下、該ポリアルケニルエーテルをポリアルケニルエーテル(I)と表現することもある。
(2) 重量平均分子量が、3000〜1000000である(1)記載のポリアルケニルエーテル。
(3) 一般式(II)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義であり、Rは、ポリイソシアネート化合物由来の残基を表し、R10は、置換もしくは非置換の低級アルキレン、置換もしくは非置換のシクロアルキレンまたは置換もしくは非置換のアリーレンを表し、R11、R12およびR13は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)で表されるポリアルケニルエーテル。以下、該ポリアルケニルエーテルをウレタンアクリレート(II)と表現することもある。
(4) 数平均分子量が、200〜20000である(3)記載のポリアルケニルエーテル。
(5) (3)または(4)記載のポリアルケニルエーテルと光または熱ラジカル重合開始剤とを含有する組成物。
(6) 分子内に一般式(III)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、R14は、置換もしくは非置換の低級アルキレン、置換もしくは非置換のシクロアルキレンまたは置換もしくは非置換のアリーレンを表す)で表される構造を含むポリアルケニルエーテル。以下、該ポリアルケニルエーテルをポリアルケニルエーテル(III)と表現することもある。
(7) 重量平均分子量が、3000〜1000000である(6)記載のポリアルケニルエーテル。
(8) 一般式(IV)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、R15、R16およびR17は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)で表されるポリアルケニルエーテル。以下、該ポリアルケニルエーテルをアクリレート(IV)と表現することもある。
(9) 数平均分子量が、200〜20000である(8)記載のポリアルケニルエーテル。
(10) (8)または(9)記載のポリアルケニルエーテルと光または熱ラジカル重合開始剤とを含有する組成物。
(11) 一般式(A)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表されるポリアルケニルエーテル。
一般式中の各基の定義において、低級アルキルとしては、例えば、炭素数1〜8の直鎖または分岐状のものがあげられ、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。低級アルキレンとしては、前記の低級アルキルより水素原子を1つ除いたもの等があげられる。
アルコキシとしては、例えば、炭素数1〜18の直鎖または分岐状のものがあげられ、その具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ等があげられる。
ポリアルコキシとしては、例えば、繰り返し単位数が1〜100までのエチレングリコール系、プロピレングリコール系、ブチレングリコール系等のものがあげられ、より具体的には、CH−(CH−O−[(CHO]−(式中、pおよびqは、同一または異なって、1〜8の整数を表し、rは1〜100の整数を表す)等があげられる。
シクロアルキルとしては、例えば、炭素数3〜10のものがあげられ、その具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等があげられる。酸素原子を含有するシクロアルキルとしては、例えば、オキシラニル、オキセタニル、オキソラニル等があげられる。シクロアルキレンとしては、前記のシクロアルキルより水素原子を1つ除いたもの等があげられる。
アリールおよびアラルキルのアリール部分としては、例えば、炭素数6〜14のアリールがあげられ、その具体例としては、フェニル、ナフチル、アントリル等があげられ、アラルキルのアルキレン部分としては、例えば、前記の低級アルキルから水素原子を1つまたは2つ除いた基等があげられる。アラルキルの具体例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、ジフェニルメチル等があげられる。アリーレンとしては、前記のアリールより水素原子を1つ除いたもの等があげられる。
ポリイソシアネート化合物由来の残基におけるポリイソシアネート化合物としでは、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン等の脂環式ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等があげられる。
ポリイソシアネート化合物由来の残基としては、置換もしくは非置換の低級アルキレン、置換もしくは非置換のシクロアルキレン、または置換もしくは非置換のアリーレンが好ましい。低級アルキレン、シクロアルキレンおよびアリーレンとしては、それぞれ前記と同様のものがあげられる。置換低級アルキレン、置換シクロアルキレンおよび置換アリーレンにおける置換基としては、後述の置換低級アルキルにおける置換基の定義で例示するものと同様のものがあげられる。
置換低級アルキル、置換アルコキシ、置換ポリアルコキシ、置換シクロアルキル、置換アリール、置換アラルキル、置換低級アルキレン、置換シクロアルキレンおよび置換アリーレンにおける置換基としては、例えば、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイル、シンナモイルオキシ、アロイルオキシ、ポリアルコキシ、ハロゲン原子等があげられる。その置換数は、特に限定されないが、1〜3であるのが好ましい。
置換基の定義において、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニルおよび低級アルカノイルのアルキル部分としては、前記低級アルキルの定義で例示したものと同様のものがあげられ、アロイルオキシのアリール部分としては、前記アリールの定義で例示したものと同様のものがあげられ、ポリアルコキシとしては、前記ポリアルコキシの定義で例示したものと同様のものがあげられる。ハロゲン原子としては、フツ素、塩素、臭素、ヨウ素およびアスタチンの各原子があげられる。
ポリアルケニルエーテル(I)、ウレタンアクリレート(II)、ポリアルケニルエーテル(III)およびアクリレート(IV)において、それぞれ、Rが低級アルキルであり、R、R、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキルである化合物が好ましく、さらには、Rが低級アルキルであり、R、R、R、RおよびRが水素原子である化合物が好ましい。
(1)原料化合物
本発明のポリアルケニルエーテル(I)、ウレタンアクリレート(II)、ポリアルケニルエーテル(III)およびアクリレート(IV)を製造するための原料の好ましい例としては、一般式(A)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物(以下、化合物Aと表現することもある)等があげられる。化合物Aにおいて、Rが低級アルキルであり、R、R、R、RおよびRが同一または異なって、水素原子または低級アルキルである化合物がより好ましく、さらには、Rが低級アルキルであり、R、R、R、RおよびRが水素原子である化合物が好ましい。
これらの原料は、例えば、対応するアルケニルエーテルモノマーおよび必要によりこれと共重合可能なカチオン重合性モノマーを、開始剤およびルイス酸の存在下、公知の方法[例えば、澤本光男、高分子学会編:新高分子実験学2、高分子の合成・反応(1)、242−276頁、共立出版(1995)等]を用いて単独重合または共重合させて、片末端にアセタールを有するポリアルケニルエーテル(コポリマー)を得て、これを酸加水分解させ片末端にホルミル基を有するポリアルケニルエーテル(コポリマー)に変換し、最後に還元処理することにより製造することができる。
アルケニルエーテルモノマーの具体例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−ビニロキシエチルベンゾエート、2−アセトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル、ジエチル[2−(ビニロキシ)エチル]マロネート、3−トリス(エトキシカルボニル)プロピルビニルエーテル、2−ビニロキシエチルシンナメート、シクロヘキシルビニルエーテル、n−ヘキサデシルビニルエーテル、4−フルオロブチルビニルエーテル、3−ブロモブチルビニルエーテル、4−エトキシブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル、イソプロピルプロペニルエーテル、n−ブチルプロペニルエーテル、イソブチルプロペニルエーテル、シクロヘキシルプロペニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、4−メチル−2−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−ヘプチルビニルエーテル、3−メチル−1−ヘキシルビニルエーテル、5−メチル−1−ヘキシルビニルエーテル、2−エチル−1−ヘキシルビニルエーテル等があげられ、これらは単独でまたは2種以上混合して使用される。
アルケニルエーテルモノマーと共重合可能なカチオン重合性モノマーとしては、特に限定されないが、好ましい具体例として、スチレン、α−メチルスチレン、イソブテン、N−ビニルカルバゾール、p−メトキシスチレン、n−ノニルビニルエーテル、イソノニルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、イソデシルビニルエーテル、n−ウンデシルビニルエーテル、イソウンデシルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、イソドデシルビニルエーテル、n−トリデシルビニルエーテル、イソトリデシルビニルエーテル、n−テトラデシルビニルエーテル、イソテトラデシルビニルエーテル、n−ペンタデシルビニルエーテル、イソペンタデシルビニルエーテル、n−ヘキサデシルビニルエーテル、イソヘキサデシルビニルエーテル、n−ヘプタデシルビニルエーテル、イソヘプタデシルビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、イソオクタデシルビニルエーテル、n−ノナデシルビニルエーテル、イソノナデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、イソエイコシルビニルエーテル、n−ヘキサデシルプロペニルエーテル等があげられる。これらの共重合可能なモノマーの使用量は、重合に用いるすべてのモノマー中の50重量%以下であることが好ましい。
開始剤としては、例えば、水、アルコール、有機酸、無機酸、一般式(V)

(式中、R24は、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、Yは、低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシまたはハロゲン原子を表す)で表される構造を分子中に1つのみ含む化合物等があげられる。
一般式(V)中の各基の定義において、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアラルキル、低級アルコキシおよびハロゲン原子は、それぞれ前記と同義であり、低級アルカノイルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。
開始剤における例示をより具体的に示すと、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等、有機酸としては、例えば、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等、無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等、一般式(V)で表される構造を分子中に1つのみ含む化合物としては、例えば、アルケニルエーテルモノマーの有機酸、無機酸またはアルコール付加体があげられる。
開始剤のアルケニルエーテルモノマーの有機酸、無機酸またはアルコール付加体において、アルケニルエーテルモノマーとしては、前記アルケニルエーテルモノマーの具体例で例示したものと同様のものがあげられ、アルケニルエーテルモノマーに付加する有機酸、無機酸およびアルコールとしては、それぞれ前記各開始剤の具体例で例示したものと同様のものがあげられる。
ルイス酸としては、特に限定されないが、金属ハロゲン化物またはその錯体類(ジエチルエーテル錯体、酢酸錯体、水錯体、メタノール錯体等)が好ましく、例えば、BCl、BF、BF・O(CHCH、TiCl、SnCl、SnBr、AlCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl等またはその錯体類があげられ、中でも、スズ、ホウ素またはアルミニウムのハロゲン化物(BF、SnCl、AlCl等)またはその錯体類が好ましく、さらには、BF(三フッ化ホウ素)またはその錯体類がより好ましい。前記の金属ハロゲン化物において、ハロゲン原子が低級アルキル、低級アルコキシ、フェノキシ等で置換されたものをルイス酸として使用してもよい。ここで、低級アルキルおよび低級アルコキシは、それぞれ前記と同義である。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、アルケニルエーテルモノマー1モルに対して、0.0001〜3.0モルであるのが好ましい。
重合反応の際は、必要に応じて、ルイス塩基を添加してもよい。ルイス塩基としては、例えば、酢酸エチル、クロロ酢酸エチル、ジエチルカーボネート、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、テトラヒドロチオフェン、2,6−ジメチルピリジン等があげられる。ルイス塩基の使用量は、特に限定されないが、アルケニルエーテルモノマー1モルに対して0.001〜100モルであるのが好ましい。
重合反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、反応に不活性なものであれば、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ化合物、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の飽和炭化水素等、およびこれらの混合溶媒等があげられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、アルケニルエーテルモノマー1重量部に対して、0.5〜100重量部であるのが好ましい。
重合反応の温度は、特に限定されないが、−80〜100℃であるのが好ましい。
酸加水分解による片末端にアセタールを有するポリアルケニルエーテル(コポリマー)から片末端にホルミル基を有するポリアルケニルエーテル(コポリマー)への変換は、例えば、公知の方法[Tetrahedron,43,825(1987)、J.Org.Chem.,51,567(1986)、特開2001−11009号公報等]に準じて行うことができ、最後の還元処理は、例えば、ラネーニッケル等の金属触媒を利用して水素により還元する方法、水素化ホウ素ナトリウムにより還元する方法等により行うことができる。
酸加水分解の方法としては、酢酸と水の混合溶媒中で加熱攪拌する方法が好ましい。
化合物Aの数平均分子量は、好ましくは、200〜10000、より好ましくは、500〜5000である。
化合物Aは、塗料、コーティング剤、インク、粘接着剤、フォトレジスト、ソルダーレジスト、造形材料、シーリング材、成型材、化粧品、化粧品基材、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、相溶化剤等の塗料用添加剤等またはこれらの原料等の用途に有用である。
(2)ポリアルケニルエーテル(I)
本発明のポリアルケニルエーテル(I)は、例えば、化合物Aおよびポリイソシアネート化合物、必要に応じて、ポリオール類、鎖伸長剤、重合停止剤等を原料として、公知の方法(USP5952437等)またはそれらの方法に準じて、製造することができる。
ポリイソシアネート化合物としては、前記と同様のものがあげられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
ポリオール類としては、例えば、a)ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリマーポリオール、b)ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリビニルエーテル系ポリオール等のポリオールオリゴマー、c)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール、d)ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のヒドロキシカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を多塩基酸と反応させて得られるポリエステルポリオール等があげられる。ここで多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジ安息香酸、4,4−ジフェニレンジカルボン酸、エチレンビス(p−安息香酸)、1,4−テトラメチレンビス(p−オキシ安息香酸)、エチレンビス(p−オキシ安息香酸)、1,3−トリメチレンビス(p−オキシ安息香酸)等の芳香族ジカルボン酸等があげられる。また、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の酸性基を有するポリオールを用いた場合に得られるポリアルケニルエーテル(I)は、公知の方法(特開平5−194836号公報、特開平8−27242号公報、特開平8−259884号公報等)またはそれらに記載の方法に準じて、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン等の有機塩基または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基を好ましくは、酸性基に対して、0.5〜1.5当量(モル比)使用して、酸性基(カルボキシル基等)を中和することにより、水性ポリウレタン樹脂とすることができる。
ポリオール類を使用する場合、全ポリオール中(化合物Aを含む)、化合物Aが、1モル%以上含まれているのが好ましく、2モル%以上含まれているのがより好ましい。
鎖伸長剤としては、低分子量のポリオール類、ジアミン類、アルカノールアミン類、ヒドラジン等が用いられる。
低分子量のポリオール類としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヒドロキノン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等があげられる。
ジアミン類としてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等があげられる。
アルカノールアミン類としてはジエタノールアミン、トリエタノールアミン等があげられる。
重合停止剤としては、ジブチルアミン等のジアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のヒドロキシル基を有するアミン類、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アミノ酪酸等のモノアミン型アミノ酸類、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類等、またはそれらの混合物等があげられる。
原料中のヒドロキシル基とアミノ基の合計モル数に対するイソシアネート基のモル数の比は、0.1〜10であるのが好ましく、さらには0.5〜3であるのが好ましく、0.8〜2であるのがより好ましい。
本発明のポリアルケニルエーテル(I)は、公知の方法、例えば溶液法、溶融法(ワンショット法、プレポリマー法等)等により製造することができる。
反応温度は、0〜300℃であるのが好ましい。
本発明のポリアルケニルエーテル(I)の製造の際は、必要に応じて、溶媒を用いてもよく、該溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等があげられ、鎖伸長剤としてジアミン類を用いる場合には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類を使用することもできる。これらは、ポリアルケニルエーテル(I)の原料1重量部に対して、0.5〜100重量部使用されるのが好ましい。
また、本発明のポリアルケニルエーテル(I)の製造の際は、必要に応じて、オクチル酸スズ、テトラブトキシチタン、ジラウリル酸ジn−ブチルスズ等の有機金属触媒、トリエチレンジアミン等の第三級アミン類等の触媒を使用してもよく、その使用量は通常、ポリアルケニルエーテル(I)の原料の使用量に対して、0.001〜5重量%であるのが好ましい。
本発明のポリアルケニルエーテル(I)の重量平均分子量は、特に限定されないが、ポリウレタンエラストマー等として使用する場合、3000〜1000000であるのが好ましく、さらには10000〜500000であるのが好ましく、30000〜300000であるのがより好ましい。また、インク用途として使用する場合、1000〜100000であるのが好ましく、1000〜30000であるのがより好ましい。
本発明のポリアルケニルエーテル(I)の中で特に上記の重量平均分子量を有するものは、柔軟性、低極性樹脂との相溶性、組成の均一性、溶解性、粘着性、接着性、付着性、電気絶縁性、耐候性、耐水性、透明性、耐熱老化性、耐プレッシャークッカーテストでの結果等に優れている。
本発明のポリアルケニルエーテル(I)は、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、帯電防止剤、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、シランカップリング剤、着色剤、ワックス剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、滑剤、触媒、粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、フィラー、溶剤、造膜助剤、分散剤、造粘剤、香料等の慣用の添加剤を加えて使用してもよい。例えば、ポリウレタン塗料、ラッカー等の用途に用いる場合は、硝酸セルロース、セルロースアセテート−プロピロネートセルロースアセテート−ブチレート等のセルロース誘導体を加えて使用することもできる。これらの添加剤は、ポリアルケニルエーテル(I)を製造する際に加えてもよい。
本発明のポリアルケニルエーテル(I)は、塗料、コーティング剤、インク、粘接着剤、フォトレジスト、ソルダーレジスト、造形材料、シーリング材、成型材、化粧品、化粧品基材、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、相溶化剤等の塗料用添加剤等またはこれらの原料等の用途に有用である。
(3)ウレタンアクリレート(II)
本発明のウレタンアクリレート(II)は、例えば、化合物A、ポリイソシアネート化合物、一般式(D)

(式中、R10、R11、R12およびR13はそれぞれ前記と同義である)で表されるヒドロキシル基を有するアクリレートを原料として製造することができる。
原料中のヒドロキシル基のモル数に対するイソシアネート基のモル数の比は、0.1〜20であるのが好ましく、0.5〜10であるのがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、前記と同様のものがあげられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
ヒドロキシル基を有するアクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等があげられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、他のアクリル酸またはメタアクリル酸誘導体についても同様に表現する。
本発明のウレタンアクリレート(II)は、公知の方法、例えば溶液法、溶融法(ワンショット法、プレポリマー法等)等により製造することができる。
反応温度は、好ましくは50〜110℃、より好ましくは55〜105℃である。
反応の際に、ビニル基の重合を防止する目的でラジカル重合の禁止剤を添加することが好ましい。該ラジカル重合の禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノチアジン等があげられ、これらはウレタンアクリレート(II)の原料に対して、0.001〜5重量%使用するのが好ましい。
溶液法で反応を行う場合、溶媒を用い、該溶媒としては、光ラジカル重合性モノマー、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等があげられる。
光ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、単官能性化合物、多官能性化合物等があげられる。単官能性化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデジル(メタ)アクリルレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、tert−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類等があげられる。多官能性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエラレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等があげられる。
また、反応の際は、必要に応じて、触媒を使用してもよく、該触媒としては、前記(2)の説明であげたポリアルケニルエーテル(I)製造の際に用いられる触媒と同様のものがあげられる。該触媒の使用量は、ウレタンアクリレート(II)の原料の使用量に対して、0.001〜5重量%であるのが好ましい。
なお、上述した本発明のウレタンアクリレート(II)の原料に、ポリオール類、ジアミン類等を加えて製造して得られるポリアルケニルエーテルも本発明のポリアルケニルエーテル(I)の概念に含まれる。ポリオール類およびジアミン類としては、それぞれ前記(2)の説明であげたものと同様のものがあげられる。
本発明のウレタンアクリレート(II)を光照射または加熱によりラジカルを発生する重合開始剤(光または熱ラジカル重合開始剤)、必要に応じて、前記の光ラジカル重合性モノマー、さらに必要に応じて他の光ラジカル重合性ポリマーまたはオリゴマー等と混合することにより、ウレタンアクリレート(II)と光または熱ラジカル重合開始剤を含有する組成物(以下、組成物−IIと表現することもある)が得られるが、組成物−IIの調製に際して、これらの成分の添加の順番、混合の方法等は特に限定されるものではない。
他の光ラジカル重合性ポリマーまたはオリゴマーとしては、本発明のウレタンアクリレート(II)以外のウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリシロキサン等があげられる。
組成物−IIに使用されるウレタンアクリレート(II)の数平均分子量は、好ましくは200〜20000、より好ましくは500〜5000である。
熱ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロペン)二塩酸塩、2−tert−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二水和物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ化合物、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシオクトエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキシド類、キュメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキシド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、カリウムパーサルフェイト、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジアルキルパーオキシド類またはパーオキシジカーボネート類、過酸化水素等があげられる。
熱ラジカル重合開始剤の含有量は、ウレタンアクリレート(II)100重量部に対して好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類等があげられる。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、ウレタンアクリレート(II)100重量部に対して好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
組成物−IIは、50〜200℃に加熱する(熱ラジカル重合開始剤を含有する場合)か、または、赤外線、可視光、紫外線、電子線もしくはα、β、γ線等を照射する(光ラジカル重合開始剤を含有する場合)ことにより硬化する。
組成物−IIは、コーティング剤、フォトレジスト、ソルダーレジスト等の用途に有用である。
また、組成物−IIを硬化して得られる硬化物に含まれるウレタンアクリレート(II)が重合して得られるポリアルケニルエーテルも本発明のポリアルケニルエーテル(I)の概念に含まれる。
本発明のウレタンアクリレート(II)は、必要に応じて、光カチオン重合型のポリマー・オリゴマー・モノマー、光カチオン開始剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、帯電防止剤、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、シランカップリング剤、着色剤、ワックス剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、滑剤、触媒、粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、フィラー、溶剤、造膜助剤、分散剤、造粘剤、香料等の慣用の添加剤を加えて使用してもよい。これらの添加剤は、ウレタンアクリレート(II)を製造する際に加えてもよい。
本発明のウレタンアクリレート(II)は、塗料、コーティング剤、インク、粘接着剤、フィルム、繊維、フォトレジスト、ソルダーレジスト、半導体封止材料、積層板、造形材料、シーリング材等の用途に有用である。中でも、コーティング剤(特に、光ファイバーの被覆コーティング剤)、粘接着剤等の用途に好適である。
(4)ポリアルケニルエーテル(III)
本発明のポリアルケニルエーテル(III)は、例えば、化合物A、多塩基酸、必要に応じて、ポリオール類、動植物油脂肪酸、動植物油等を原料として、公知の方法(USP6143840等)またはそれらの方法に準じて縮合重合により製造することができる。多塩基酸の使用量は、全原料の使用量に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは25〜60モル%である。アルコール成分(化合物Aとポリオール類)の使用量は、全原料の使用量に対して好ましくは10〜80モル%、より好ましくは25〜60モル%である。
原料中のカルボキシル基のモル数に対するヒドロキシル基のモル数の比は、0.8〜1.5であるのが好ましく、0.9〜1.3であるのがより好ましい。
多塩基酸としては、前記(2)の説明であげた多塩基酸と同様のものがあげられる。
ポリオール類としては、前記(2)の説明であげたポリオール類と同様のものがあげられ、ポリオール類を使用する場合、化合物Aが、原料のアルコール成分中の1モル%以上含まれているのが好ましく、2モル%以上含まれているのがより好ましい。
動植物油脂肪酸としては、例えば、大豆油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、桐油脂肪酸等があげられる。
動植物油としては、例えば、大豆油、サフラワー油、アマニ油、脱水ヒマシ油、桐油等があげられる。
動植物油脂肪酸または動植物油を使用する場合、その使用量は、それぞれ原料の全量に対して20重量%以下であるのが好ましい。
反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。該溶媒としては、前記(2)の説明であげた溶媒と同様のものがあげられる。
本発明のポリアルケニルエーテル(III)の重量平均分子量は、特に限定されないが、ポリエステルエラストマー等として使用する場合、3000〜1000000であるのが好ましく、さらには10000〜500000であるのが好ましく、30000〜300000であるのがより好ましい。
本発明のポリアルケニルエーテル(III)の中で特に上記の重量平均分子量を有するものは、柔軟性、低極性樹脂との相溶性、組成の均一性、機械的強度、溶解性、粘着性、接着性、付着性、電気絶縁性、耐候性、耐水性、透明性、耐熱老化性、耐油性、射出成形時の易成形性、耐プレッシャークッカーテストでの結果等に優れている。
本発明のポリアルケニルエーテル(III)は、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、帯電防止剤、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、シランカップリング剤、着色剤、ワックス剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、滑剤、触媒、粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、フィラー、溶剤、造膜助剤、分散剤、造粘剤、香料等の慣用の添加剤を加えて使用してもよい。これらの添加剤は、ポリアルケニルエーテル(III)を製造する際に加えてもよい。
また、本発明のポリアルケニルエーテル(III)は、アミノ樹脂(尿素、メラミン、グアナミン等とホルムアルデヒドを反応させて得られる尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等)と混合させることにより、塗料、コーティング剤、接着剤等に有用な組成物として使用することも可能である。該アミノ樹脂の使用量は、ポリアルケニルエーテル(III)100重量部に対して5〜60重量部であるのが好ましい。前記の組成物[ポリアルケニルエーテル(III)とアミノ樹脂を含有する組成物]は、塗料等に使用する場合、必要に応じて、分散剤、湿潤剤、沈降防止剤、色別れ防止剤、皮張り防止剤、帯電防止剤、カビ止め剤、防火剤等をそれぞれ、0.01〜5重量%含有していてもよい。被塗物としては、金属、木材、プラスチック、無機素材、コンクリート、アスファルト等があげられる。前記の組成物は、常温から加熱下での乾燥により硬化させることができる。
(5)アクリレート(IV)
本発明のアクリレート(IV)は、化合物Aまたはポリアルケニルエーテル(III)(好ましくは数平均分子量100〜5000)と、アクリル酸類、アクリル酸類のエステルまたはアクリロイルクロライド類等とを、反応させることにより製造することができる。
アクリル酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等があげられる。
アクリル酸類のエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等があげられる。
アクリロイルクロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等があげられる。
反応は、常法[例えば、モリソンボイド 有機化学(中)、第5版、1094〜1106頁、東京化学同人等]に従って行うことができ、中でも、スズ、チタン、亜鉛、マンガン等の金属またはこれらの金属から誘導される有機金属のアルコラート、塩化物、酸化物もしくはカルボン酸塩、硫酸等の鉱酸等を触媒として使用するのが好ましい。これらの触媒は、アクリレート(IV)の原料に対して、1〜5000重量ppm使用するのが好ましい。
反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。該溶媒としては、前記(2)の説明であげた溶媒と同様のものがあげられる。
反応の際に、ビニル基の重合を防止する目的でラジカル重合の禁止剤を添加することが好ましい。該ラジカル重合の禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノチアジン等があげられ、これらはアクリレート(IV)の原料に対して、0.001〜5重量%使用するのが好ましい。
原料中、アクリル酸類、アクリル酸類のエステルまたはアクリロイルクロライド類等の使用量は、化合物Aまたはポリアルケニルエーテル(III)の使用量に対して、0.9〜10当量(モル比)であるのが好ましく、反応温度は、0〜70℃であるのが好ましい。
本発明のアクリレート(IV)は、熱重合(好ましくは、50〜200℃)により、硬化する。
また、本発明のアクリレート(IV)を光または熱ラジカル重合開始剤、必要に応じて、前記(3)の説明であげた光ラジカル重合性モノマー、さらに必要に応じて他の光ラジカル重合性ポリマーまたはオリゴマー等と混合することにより、アクリレート(IV)と光または熱ラジカル重合開始剤を含有する組成物(以下、組成物−IVと表現することもある)が得られるが、組成物−IVの調製に際して、これらの成分の添加の順番、混合の方法等は特に限定されるものではない。
組成物−IVに使用されるアクリレート(IV)の数平均分子量は、好ましくは200〜20000、より好ましくは500〜5000である。
光または熱ラジカル重合開始剤としては、前記(3)の説明であげたものと同様のものがあげられる。
光または熱ラジカル重合開始剤の含有量は、前記(3)における含有量と同様である。
組成物−IVの硬化条件は、前記(3)における組成物−IIの硬化条件と同様の条件である。
本発明のアクリレート(IV)は、必要に応じて、光カチオン重合型のポリマー・オリゴマー・モノマー、光カチオン開始剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、帯電防止剤、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、シランカップリング剤、着色剤、ワックス剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、滑剤、触媒、粘度調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、フィラー、溶剤、造膜助剤、分散剤、造粘剤、香料等の慣用の添加剤を加えて使用してもよい。これらの添加剤は、アクリレート(IV)を製造する際に加えてもよい。
組成物−IVは、50〜200℃に加熱する(熱ラジカル重合開始剤を含有する場合)か、または、赤外線、可視光、紫外線、電子線もしくはα、β、γ線等を照射する(光ラジカル重合開始剤を含有する場合)ことにより硬化する。
組成物−IVは、コーティング剤、フォトレジスト、ソルダーレジスト等の用途に有用である。
また、組成物−IVを硬化して得られる硬化物に含まれるアクリレート(IV)が重合して得られるポリアルケニルエーテルも本発明のポリアルケニルエーテル(III)の概念に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例、比較例、参考例および試験例により、本発明をより詳細に説明する。
実施例1 ポリエチルビニルエーテルa(化合物Aにおいて、Rがエチルであり、R、R、R、RおよびRが水素原子である化合物)の製造
1Lガラス製フラスコに、エチルビニルエーテルの酢酸付加体16.7g、トルエン100g、酢酸エチル160gおよび四塩化スズ0.09gを加えた。この溶液を20℃で撹拌しながら、エチルビニルエーテル228gを添加した。エチルビニルエーテルの添加により重合が開始した。添加終了後、反応液にアンモニア入りエタノール100gを添加して反応を停止した。反応液を、水酸化ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄後、溶媒を留去し、末端にアセタールを有するポリエチルビニルエーテル240g(収率93%)を得た。2Lガラス製フラスコに、得られた末端にアセタールを有するポリエチルビニルエーテル235g、酢酸290gおよび水170gを加えて60℃で3時間攪拌した。反応液を飽和重曹水で中和し、酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを留去し、末端にホルミル基を有するポリエチルビニルエーテル210gを得た。1L SUS製オートクレーブに、得られた末端にホルミル基を有するポリエチルビニルエーテル130g、エタノール420gおよびラネーニッケル10.5gを加え、水素(1961kPa)を導入した。オートクレーブを80℃に加熱し、4時間攪拌した。反応後、ラネーニッケルを濾別した後、溶媒を留去し、末端にヒドロキシル基を有するポリエチルビニルエーテルa 114gを得た。
得られたポリエチルビニルエーテルaの分子特性を第1表に示す。
実施例2 ポリイソブチルビニルエーテルb(化合物Aにおいて、Rがイソブチルであり、R、R、R、RおよびRが水素原子である化合物)の製造
1Lガラス製フラスコに、イソブチルビニルエーテルの酢酸付加体20.2g、トルエン100g、酢酸エチル160gおよび四塩化スズ0.2gを加えた。この溶液を20℃で撹拌しながら、イソブチルビニルエーテル229gを添加した。イソブチルビニルエーテルの添加により重合が開始した。添加終了後、反応液にアンモニア入りエタノール100gを添加して反応を停止した。反応液を、水酸化ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄後、溶媒を留去し、末端にアセタールを有するポリイソブチルビニルエーテル242g(収率97%)を得た。2Lガラス製フラスコに、得られた末端にアセタールを有するポリイソブチルビニルエーテル235g、酢酸290gおよび水170gを加えて60℃で3時間攪拌した。反応液を飽和重曹水で中和し、酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを留去し、末端にホルミル基を有するポリイソブチルビニルエーテル208gを得た。1L SUS製オートクレーブに、得られた末端にホルミル基を有するポリイソブチルビニルエーテル130g、エタノール420gおよびラネーニッケル10.3gを加え、水素(1961kPa)を導入した。オートクレーブを80℃に加熱し、4時間攪拌した。反応後、ラネーニッケルを濾別した後、溶媒を留去し、ポリイソブチルビニルエーテルb 120gを得た。
得られたポリイソブチルビニルエーテルbの分子特性を第1表に示す。

実施例3 ポリウレタンの製造
実施例1で得た末端にヒドロキシル基を有するポリエチルビニルエーテルaを用い、第2表に示す配合組成で、ワンショット法(予熱温度:120℃、反応時間:5分、熟成温度:80℃、熟成時間:72時間)によりポリウレタンを製造した。
得られたポリウレタンの重量平均分子量を第2表に示す。重量平均分子量は以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。以下の実施例および比較例のポリウレタンについても、同様のGPC分析条件でその重量平均分子量を測定した。
(GPC分析条件)
カラム:TSKgel SuperHM−M、TSKgel SuperHM−M、TSKgel SuperHM−H(東ソー(株)製)を直列に接続した。
移動相:テトラヒドロフラン(流速0.5ml/分)
カラムオーブン:40℃
検出器:RI[RI−8000(東ソー(株)製)]
実施例4 ポリウレタンの製造
ポリエチルビニルエーテルaの代わりに実施例2で得た末端にヒドロキシル基を有するポリイソブチルビニルエーテルbを用い、第2表に示す配合組成で、実施例3と同様にしてポリウレタンを製造した。
得られたポリウレタンの重量平均分子量を第2表に示す。
比較例1 ポリウレタンの製造
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(アルドリッチ社製、数平均分子量:2000)を用い、第2表に示す配合組成で、実施例3と同様にしてポリウレタンを製造した。
得られたポリウレタンの重量平均分子量を第2表に示す。
比較例2 ポリウレタンの製造
ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(アルドリッチ社製、数平均分子量:2500)を用い、第2表に示す配合組成で、実施例3と同様にしてポリウレタンを製造した。
得られたポリウレタンの重量平均分子量を第2表に示す。

試験例1 耐水性の評価
実施例3、4および比較例1、2で製造したポリウレタンをそれぞれ用い、下記条件下でのプレス成形により厚さ300μmのフィルムを作成した。得られたフィルムの耐水性を下記の測定方法で含水率を測定することにより評価した。含水率の測定結果を第3表に示す。
(プレス成形の条件)
予熱条件:金型中、180℃で5分間予熱した。
熱プレス条件:180℃で、14710kPa、120秒間、2942kPa、30秒間加圧し、続いて20℃で、6864kPa、120秒間加圧した。
(フィルムの含水率の測定方法)
ポリウレタンフィルムについて、23℃、72時間の水中浸漬試験を実施し、含水率を加熱気化カールフィッシャー水分計(平沼産業(株)製)を用いて測定した。これは、サンプルを210℃に加熱し、蒸発した水分を窒素キャリアーガスを用いてカールフィッシャー水分計に導入し、水分量を測定する方法である。

実施例3、4で製造したポリウレタンより得られたフィルムは、比較例1、2で製造したポリウレタンより得られたフィルムと比較して、水中浸漬試験後、低い含水率を示し、耐水性に優れていることがわかる。
実施例5 ウレタンアクリレートの製造
1Lガラス製フラスコに、トリレンジイソシアネート[TDI、住化バイエルウレタン(株)製、スミジュールT−80]104.4g(0.6モル)およびメトキシヒドロキノン0.22gを仕込んだ。窒素気流雰囲気下にて撹拌しつつ100℃まで加熱し、実施例1で得たポリエチルビニルエーテルa 500.8g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、100℃に保ったままさらに1時間反応を続けた。反応混合物をロータリーエバポレーターに移して、90℃、0.267kPaの加熱減圧条件下で未反応TDIを留去した。
再び反応混合物を1Lガラス製フラスコに移して、室温まで冷却し、空気気流雰囲気中、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.2g(0.2モル)を加え、80℃に加熱して3時間反応させ、ウレタンアクリレート(数平均分子量3176)を得た。反応生成物のIRスペクトルを測定した結果、イソシアネート基の吸収は検知されなかった。ここで得られたウレタンアクリレートをウレタンアクリレートAとする。
比較例3 ウレタンアクリレートの製造
実施例1で得たポリエチルビニルエーテルa 500.8gをポリエチレングリコールモノメチルエーテル(アルドリッチ社製、数平均分子量:2000)400gに変更し、メトキシヒドロキノンの量を0.18gに変更する以外は、実施例5と同様にして、ウレタンアクリレート(数平均分子量2450)を得た。ここで得られたウレタンアクリレートをウレタンアクリレートBとする。
参考例1 ウレタンアクリレートの製造
1Lガラス製フラスコに、両末端にヒドロキシル基を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール[PTG−2000、保土ヶ谷化学工業(株)製、数平均分子量:1994]398.8g(0.2モル)、トリレンジイソシアネート[TDI、住化バイエルウレタン(株)製、スミジュールT−80]69、6g(0.4モル)およびメトキシヒドロキノン0.21gを仕込んた。窒素気流雰囲気下にて撹拌しつつ100℃まで加熱し、100℃を保ったまま2時間反応を続けた。いったん反応混合物を室温まで冷却し、空気気流雰囲気にした後、2−ヒドロキシエチルアクリルート46.4g(0.4モル)を加え、80℃に加熱して3時間反応させ、ウレタンアクリレート(数平均分子量3670)を得た。反応生成物のIRスペクトルを測定した結果、イソシアネート基の吸収は検知されなかった。ここで得られたウレタンアクリレートをウレタンアクリレートCとする。
試験例2 付着性、電気絶縁性の評価
実施例5で得たウレタンアクリレートA 50重量部、参考例1で得られたウレタンアクリレートC 50重量部、IRGACURE184(チバスペシャリティケミカルズ製)2.0重量部、IRGACURE819(チバスペシャリティケミカルズ製)0.5重量部およびIRGANOX1035(チバスペシャリティケミカルズ製)0.3重量部をテトラヒドロフランに溶解させ、固形分60%の溶液を得た。次いでこの溶液を0.27mmのアプリケーターを用いてポリスチレン板、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)板およびガラス板上に塗布した。その後、以下の硬化条件で紫外線(UV)を照射して硬化させ、コーティング膜を作成した。
次に、ウレタンアクリレートAを、比較例3で得たウレタンアクリレートBに代えて、上記と同様の操作で、ポリスチレン板、ABS板およびガラス板上にコーティング膜を作成した。
(硬化条件)
硬化装置:アイグラフィックス社製紫外線硬化装置
ランプ:メタルハライドランプ(光路長25cm)および高圧水銀ランプ(光路長25cm)
強度:80W/cm
コンベアー速度:4.6m/分
照射距離:50cm
得られたポリスチレン板およびABS板上のコーティング膜について、以下に示す方法で基材に対する付着性を評価した。また、得られたガラス板上のコーティング膜について、ガラス版から剥がした後、JISK6911に従って体積電気抵抗率を測定した。測定結果を第4表に示す。
(付着性の評価方法)
付着性試験法:JISK5400に規定される碁盤目テープ法を実施した。コーティング膜に碁盤目の切込みを1mm間隔で入れ、その後セロハンテープで剥離した。結果を100個のます目の内、剥離せずに残ったます目の数を評価点として表す。

実施例5で製造したウレタンアクリレートより得られたコーティング膜は、比較例3で製造したウレタンアクリレートより得られたコーティング膜と比較して、付着性および電気絶縁性に優れていることがわかる。
実施例6 アクリレートの製造
ディーンスタークトラップを装備した500mLガラス製フラスコに、実施例1で得たポリエチルビニルエーテルa 125.2g(0.05モル)、トルエン50g、ヒドロキノン0.5g(0.004モル)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.6g(0.003モル)を仕込み、100℃に加熱した。アクリル酸24.1g(0.3モル)を20分間かけて滴下し、還流下、生成する水を留去しながら15時間反応させた。反応液を冷却後、トルエン210gを加えた有機層を、5重量%水酸化ナトリウム水溶液および水165gで3回洗浄した。有機層にp−メトキシフェノール0.6gを加え、50℃、4.1kPaの条件下で30分間濃縮することにより粘性液体のアクリレート(数平均分子量2702)を得た。得られたアクリレートのH−NMRを測定した結果、ヒドロキシル基に由来するピークは消失し、アクリル基に由来するピークが認められた。ここで得られたアクリレートをアクリレートfとする。
比較例4 アクリレートの製造
実施例1で得たポリエチルビニルエーテルaに代えて、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(PPGBE、アルドリッチ社製、数平均分子量:2500)を125g使用する以外は、実施例6と同様にして、アクリレート(数平均分子量2836)を得た。ここで得られたアクリレートをアクリレートhとする。
試験例3 付着性、電気絶縁性の評価
実施例6で得られたアクリレートf 50重量部、参考例1で得られたウレタンアクリレートC 50重量部、IRGACURE184(チバスペシャリティケミカルズ製)2.0重量部、IRGACURE819(チバスペシャリティケミカルズ製)0.5重量部およびIRGANOX1035(チバスペシャリティケミカルズ製)0.3重量部をテトラヒドロフランに溶解させ、固形分60%の溶液を得た。次いでこの溶液を0.27mmのアプリケーターを用いてポリスチレン板、ABS板およびガラス板上に塗布した。その後、試験例2で記載したのと同様の硬化条件で紫外線(UV)を照射して硬化させ、コーティング膜を作成した。
次に、アクリレートfを、比較例4で得たアクリレートhに代えて、上記と同様の操作で、ポリスチレン板、ABS板およびガラス板上にコーティング膜を作成した。
得られたポリスチレン板およびABS板上のコーティング膜について、試験例2に記載した付着性の評価方法で基材に対する付着性を評価した。また、得られたガラス板上のコーティング膜について、ガラス版から剥がした後、JISK6911に従って体積電気抵抗率を測定した。測定結果を第5表に示す。

実施例6で製造したアクリレートより得られたコーティング膜は、比較例4で製造したアクリレートより得られたコーティング膜と比較して、付着性および電気絶縁性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
本発明により、柔軟性、低極性樹脂との相溶性、組成の均一性、機械的強度、溶解性、粘着性、接着性、付着性、電気絶縁性、耐候性、耐水性、透明性、耐熱老化性、耐プレッシャークッカーテストでの結果等に優れたポリアルケニルエーテル等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に一般式(I)

(式中、nは、2〜1000の整数を表し、Rは、置換もしくは非置換の低級アルキル、酸素原子を含有してもよい置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、R、R、R、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、置換もしくは非置換のポリアルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す。ただし、2以上存在するR、R、RおよびRは、それぞれ同一または異なっていてもよい)で表される構造を含むポリアルケニルエーテル。
【請求項2】
重量平均分子量が、3000〜1000000である請求の範囲1記載のポリアルケニルエーテル。
【請求項3】
一般式(II)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義であり、Rは、ポリイソシアネート化合物由来の残基を表し、R10は、置換もしくは非置換の低級アルキレン、置換もしくは非置換のシクロアルキレンまたは置換もしくは非置換のアリーレンを表し、R11、R12およびR13は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)で表されるポリアルケニルエーテル。
【請求項4】
数平均分子量が、200〜20000である請求の範囲3記載のポリアルケニルエーテル。
【請求項5】
請求の範囲3または4記載のポリアルケニルエーテルと光または熱ラジカル重合開始剤とを含有する組成物。
【請求項6】
分子内に一般式(III)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、R14は、置換もしくは非置換の低級アルキレン、置換もしくは非置換のシクロアルキレンまたは置換もしくは非置換のアリーレンを表す)で表される構造を含むポリアルケニルエーテル。
【請求項7】
重量平均分子量が、3000〜1000000である請求の範囲6記載のポリアルケニルエーテル。
【請求項8】
一般式(IV)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、R15、R16およびR17は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)で表されるポリアルケニルエーテル。
【請求項9】
数平均分子量が、200〜20000である請求の範囲8記載のポリアルケニルエーテル。
【請求項10】
請求の範囲8または9記載のポリアルケニルエーテルと光または熱ラジカル重合開始剤とを含有する組成物。
【請求項11】
一般式(A)

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表されるポリアルケニルエーテル。

【国際公開番号】WO2005/021602
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513563(P2005−513563)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012908
【国際出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【Fターム(参考)】