説明

ポリイミドフィルム

無色透明であり、機械的物性及び熱安定性に優れたポリイミドフィルムが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無色透明のポリイミドフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミド(PI)フィルムは、ポリイミド樹脂のフィルムである。ポリイミド樹脂は、芳香族二無水物と芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートを溶液重合し、ポリアミック酸誘導体を製造した後、高温で閉環脱水させ、イミド化して製造される高耐熱樹脂である。
【0003】
ポリイミド樹脂は、不溶、不融の超耐熱性樹脂であり、耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、耐低温性、耐薬品性等に優れた特性を有しており、自動車用材料、航空機材料、宇宙船材料等の先端耐熱材料、及び絶縁コーティング剤、絶縁膜、半導体、TFT−LCDの電極保護膜等の電子材料を含む広範囲な分野で用いられ、最近は、光ファイバーや液晶配向膜のようなディスプレイ材料、及び導電性フィラーを含有するかもしくは表面に導電性フィラーがコートされた透明電極フィルム等にも用いられている。
【0004】
しかしながら、ポリイミド樹脂は、高い芳香環密度により、茶色または黄色に着色し、可視光線領域での透過率が低い点で有利でない。また、ポリイミド樹脂は、黄色系の色を呈し、光透過率を低く、透明性が要求される分野に用いることは困難であった。
【0005】
このような点を解決するために、モノマー及び溶媒を高純度で精製して重合を行う方法が試みられているが、透過率の改善は大きくなかった。
【0006】
米国特許第5053480号には、芳香族二無水物の代わりに、脂環式二無水物成分を用いる方法が記載されている。この方法によれば、前記の精製方法の結果に比べて、溶液相(solution phase)やフィルム相(film phase)において、透明度及び色相の改善があったが、透過率の改善には限界があり、高い透過率は満足させず、熱的及び機械的特性は低下した。
【0007】
また、米国特許第4595548号、第4603061号、第4645824号、第4895972号、第5218083号、第5093453号、第5218077号、第5367046号、第5338826号、第5986036号、第6232428号、及び韓国特許公開公報第2003−0009437号には、−O−、−SO−、−CH−等の連結基と、p−位ではなくm−位で連結された曲げ構造のモノマーであり、または、−CF等の置換基を有する芳香族二無水物と芳香族ジアミンのモノマーを用いて、熱的特性が大きく低下しない限度内で、透過率及び色相の透明度を向上させた新規な構造のポリイミドを製造した報告があるが、その機械的特性、黄変度、及び可視光線透過率は、半導体絶縁膜、TFT−LCD絶縁膜、電極保護膜、フレキシブルディスプレイ基板として用いるのに十分ではなかった。
【0008】
また、無色透明であっても、線膨張係数(CTE)が高い場合、TFT工程等で温度変化に応じたフィルムの膨張、収縮の程度が大きくなり、素子に用いられる無機物膜に損傷が生じ、素子能力が低下するので、TFTを形成する基板、カラーフィルターを形成する基板、配向膜等にポリイミド樹脂を用いるためには、無色透明でかつ線膨張係数が低くなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、無色透明であると共に、線膨張係数の低いポリイミドフィルムを提供しようとする。
【0010】
また、本発明は、無色透明であると共に、機械的物性及び熱安定性の物性に優れたポリイミドフィルムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明の好適な一態様によれば、ポリイミドフィルムは芳香族二無水物と芳香族ジアミンの共重合体から製造され、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、TMA法に従って50〜250℃で測定した平均線膨張係数(CTE)が35.0ppm/℃以下であり、黄色度が15以下のものであってもよい。
【0012】
前記態様によるポリイミドフィルムは、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、380〜780nmでの平均透過率が85%以上であってもよい。
【0013】
前記態様によるポリイミドフィルムは、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、550nmでの透過率が88%以上、440nmでの透過率が70%以上であってもよい。
【0014】
前記態様によるポリイミドフィルムは、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、50%遮断波長が400nm以下であってもよい。
【0015】
前記態様によるポリイミドフィルムは、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で色座標を測定した場合、L値が90以上であり、a値が5以下であり、b値が5以下であってもよい。
【0016】
前記態様において、前記ポリイミドフィルムは、ジアミンと二無水物を第1溶媒の下で重合してポリアミック酸溶液を得、得られたポリアミック酸溶液をイミド化した後、イミド化した溶液を第2溶媒に添加し、ろ過及び乾燥して固体のポリイミド樹脂固体のポリイミド樹脂を得、得られた固体のポリイミド樹脂を第1溶媒に溶解させてポリイミド溶液を得、その後、これをフィルム形成工程に付すことによって製造されるものであってもよい。
【0017】
前記態様において、前記第2溶媒は、第1溶媒の極性よりも低い極性を有するものであってもよい。
【0018】
前記態様において、前記第1溶媒は、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテート;低沸点溶液;または低吸収性溶媒から選ばれる1種以上を含有してもよく、また、第2溶媒は、水、アルコール類、エーテル類、及びケトン類から選ばれる1種以上を含有してもよい。
【0019】
前記態様によるポリイミドフィルムは、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(TDA)、及び4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)(HBDA)から選ばれる1種以上と、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、及びオキシジフタル酸二無水物(ODPA)から選ばれる1種以上と、を含んでもよい。
【0020】
前記態様によるポリイミドフィルムは、芳香族ジアミンとして、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパン(6HMDA)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(2,2’−TFDB)、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(3,3’−TFDB)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン(DBSDA)、ビス(3−アミノフェニル)スルホン(3DDS)、ビス(4−アミノフェニル)スルホン(4DDS)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−133)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−134)、2,2’−ビス[3(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(3−BDAF)、2,2’−ビス[4(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4−BDAF)、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(3,3’−6F)、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(4,4’−6F)、及びオキシジアニリン(ODA)から選ばれる1種以上を含んでもよい。
【0021】
また、本発明は、 好適な他の態様として、前記ポリイミドフィルムを含む表示素子用基板を提供する。
【0022】
また、本発明は、 好適な他の態様として、前記ポリイミドフィルムを含む配向膜を提供する。
【0023】
また、本発明は、 好適な他の態様として、前記ポリイミドフィルムを含む保護膜を提供する。
【発明の効果】
【0024】
以上、本発明によると、無色透明であると共に、線膨張係数が低く、LCDに適用することができ、また、無色透明であると共に、機械的物性及び熱安定性の物性に優れ、半導体絶縁膜、TFT−LCD絶縁膜、パッシベーション膜、液晶配向膜、光通信用材料、太陽電池用保護膜、フレキシブルディスプレイ基板等の様々な分野に使用可能なポリイミドフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1は、本発明における実施例1で得られた厚さ100μmのポリイミドフィルムを紙上に置いて撮った写真である。
【0026】
図2は、比較例1で得られた厚さ25μmのポリイミドフィルムを紙上に置いて撮った写真である。
【0027】
図3は、比較例4で得られた厚さ25μmのポリイミドフィルムを紙上に置いて撮った写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明についてさらに詳述する。
【0029】
本発明のポリイミドフィルムは、ジアミン成分と二無水物成分を共重合して製造されたポリイミド樹脂を薄膜化してなるものであって、特に、無色透明のポリイミドフィルムである。
【0030】
特に、本発明のポリイミドフィルムは、液晶ディスプレイのバックライトユニットの上部にTFTを形成する基板、カラーフィルタを形成する基板、配向膜等における使用に適する。
【0031】
TFTを基板上に形成する工程は、典型的には、130〜600℃の広い範囲の温度で実施されるが、実際に所望する性能具現のためには、主に250℃付近で、無機物材料を用いて、TFT(a−Si−TFT、poly−Si−TFT)を形成する工程を実施する。従って、この基板の線膨張係数が高ければ、高温のTFT工程で、線膨張係数だけ大きくなった後、常温冷却時に収縮する。この際、基板の膨張および収縮の程度が、TFT材料である無機物のそれと大きく異なると、無機物膜に損傷が生じ、TFT素子の能力が低下する。従って、基板の線膨張係数が低いほど好ましく、本発明のポリイミドフィルムは、この点を考慮して、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、TMA法に従って、50〜250℃で測定した平均線膨張係数(CTE)が35.0ppm/℃以下であることが好ましい。
【0032】
また、本発明の前記ポリイミドフィルムは、黄色度が15以下であり、また、本発明の前記ポリイミドフィルムは、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、380〜780nmでの平均透過率が85%以上であることが好ましい。さらには、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、550nmでの透過率が88%以上、440nmでの透過率が70%以上である。
【0033】
また、本発明の前記ポリイミドフィルムは、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で色座標を測定した場合、L値が90以上であり、a値が5以下であり、b値が5以下である。
【0034】
前記透過率及び色座標の測定値を満たす本発明の前記ポリイミドフィルムは、既存のポリイミドフィルムが有する黄色により使用が制限された用途、例えば、保護膜またはTFT−LCD等での散光シート及び塗膜(例えば、TFT−LCDのインターレイヤー、ゲイト絶縁膜、及び液晶配向膜)等の透明性が要求される分野で使用可能である。液晶配向膜として前記ポリイミドを適用するとき、開口率の増加に寄与し、高コントラスト比のTFT−LCDの製造が可能である。また、フレキシブルディスプレイ基板用としても使用可能である。
【0035】
本発明の前記ポリイミドフィルムは、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、50%遮断波長が400nm以下である。従って、本発明のポリイミドフィルムは、太陽電池等の表面保護膜における使用に適する。
【0036】
従って、本発明で用いられる芳香族二無水物成分は、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(TDA)、及び4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)(HBDA)から選ばれる1種以上を含み、好ましくは、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、及びオキシジフタル酸二無水物(ODPA)から選ばれる1種以上をさらに含む。
【0037】
また、本発明で用いられる芳香族ジアミン成分は、特に限定されるものではないが、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパン(6HMDA)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(2,2’−TFDB)、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(3,3’−TFDB)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン(DBSDA)、ビス(3−アミノフェニル)スルホン(3DDS)、ビス(4−アミノフェニル)スルホン(4DDS)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−133)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−134)、2,2’−ビス[3(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(3−BDAF)、2,2’−ビス[4(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4−BDAF)、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(3,3’−6F)、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(4,4’−6F)、及びオキシジアニリン(ODA)から選ばれる1種以上を含む。
【0038】
前述の二無水物成分とジアミン成分は、等モル量となるようにし、有機溶媒中に溶解して反応させ、ポリアミック酸溶液を製造する。
【0039】
反応時の条件は、特に限定されないが、例えば、反応温度は−20〜80℃、反応時間は2〜48時間である。また、反応時、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気であることが好ましい。
【0040】
前記モノマーの溶液重合反応のための第1溶媒は、ポリアミック酸を溶解する溶媒であれば、特に限定されない。公知の反応溶媒として、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテートから選ばれる一つ以上の極性溶媒が有用である。その他、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムのような低沸点溶液、またはγ−ブチロラクトンのような低吸収性溶媒を用いてもよい。
【0041】
前記第1溶媒の量については、特に限定されないが、適切なポリアミック酸溶液の分子量と粘度を得るために、第1溶媒の含量は、全体のポリアミック酸溶液に基づき50〜95重量%であることが好ましく、70〜90重量%であることがより好ましい。
【0042】
また、ポリアミック酸溶液を用いてポリイミドフィルムを製造する際に、ポリイミドフィルムの摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性のような諸特性を改善させる目的で、ポリアミック酸溶液に充填剤を添加してもよい。充填剤としては、特に限定されないが、好ましい具体例としては、シリカ、酸化チタン、層状シリカ、カーボンナノチューブ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、マイカ等が挙げられる。
【0043】
前記充填剤の粒径は、改質すべきフィルムの特性と添加する充填剤の種類に応じて異なり、特に限定されないが、一般には、平均粒径が0.001〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.005〜25μmであり、さらに好ましくは0.01〜10μmである。この場合、ポリイミドフィルムの改質効果があり、ポリイミドフィルムにおいて良好な表面特性、導電性、及び機械的特性が得られる。
【0044】
また、前記充填剤の添加量についても、改質すべきフィルム特性や充填剤の粒径に応じて異なり、特に限定されるものではない。一般に、充填剤の添加量は、ポリアミック酸溶液100重量部に対して0.001〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10重量部である。
【0045】
充填剤の添加方法は、特に限定されないが、例えば、重合前または重合後にポリアミック酸溶液に添加する方法、ポリアミック酸重合完了後、3本ロールミル等を用いて充填剤を混練する方法、充填剤を含む分散液を用意し、これをポリアミック酸溶液に混合する方法等が挙げられる。
【0046】
前記得られたポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法としては、従来から公知の方法、例えば、ポリアミック酸溶液を支持体にキャストしイミド化を実施する方法を用いることができる。
【0047】
この際、適用されるイミド化法としては、熱イミド化法、化学的イミド化法、または熱イミド化法と化学的イミド化法を併用して適用することができる。化学的イミド化法は、ポリアミック酸溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第3級アミン等に代表されるイミド化触媒とを添加することによって実施される。熱イミド化法または熱イミド化法と化学的イミド化法を併用する場合、ポリアミック酸溶液の加熱条件は、ポリアミック酸溶液の種類、製造されるポリイミドフィルムの厚さ等によって変動し得る。
【0048】
熱イミド化法と化学的イミド化法を併用する場合のポリイミドフィルムの製造例をさらに具体的に説明すると、ポリアミック酸溶液に脱水剤及びイミド化触媒を添加し、支持体上にキャストした後、80〜200℃、好ましくは100〜180℃で加熱し、脱水剤及びイミド化触媒を活性化することにより、部分硬化および乾燥した後、ゲル状のポリアミック酸フィルムを支持体から剥離して得、前記ゲル状のフィルムを200〜400℃で5〜400秒間加熱することにより、ポリイミドフィルムが得られる。
【0049】
別法として、本発明では、前記得られたポリアミック酸溶液から、次のようにポリイミドフィルムを製造することもできる。すなわち、前記ポリイミドフィルムは、得られたポリアミック酸溶液をイミド化した後、イミド化した溶液を第2溶媒に添加し、ろ過及び乾燥して、固体のポリイミド樹脂を得、得られた固体のポリイミド樹脂を第1溶媒に溶解させてポリイミド溶液を得、用いて、その後、これをフィルム形成工程に付すことによって製造することができる。
【0050】
前記ポリアミック酸溶液をイミド化するときは、上述したように、熱イミド化法、化学的イミド化法、及び熱イミド化法と化学的イミド化法を併用して適用することができる。熱イミド化法と化学的イミド化法を併用する場合、イミド化は具体的には、得られたポリアミック酸溶液に脱水剤及びイミド化触媒を添加し、20〜180℃で1〜12時間の間加熱して実施すればよい。
【0051】
前記第1溶媒は、ポリアミック酸溶液の重合時の溶媒と同一の溶媒を用いてもよく、前記第2溶媒は、固体のポリイミド樹脂を得るために、得られたポリアミック酸重合体を溶解しない溶媒を用い、溶解度の差によって固形分を析出する原理を考慮し、第1溶媒よりも極性の低い任意ものを用いる。水、アルコール類、エーテル類、及びケトン類から選ばれる1種以上のものが特に有用である。
【0052】
この際、前記第2溶媒の含量については、特に限定されないが、製造されたポリアミック酸溶液の重量に対して5〜20重量倍を用いることが好ましい。
【0053】
得られた固体のポリイミド樹脂をろ過した後、乾燥する条件は、第2溶媒及び固形化した樹脂内に残存している可能性がある第1溶媒の沸点を考慮して、50〜150℃の温度で2〜24時間乾燥することが好ましい。
【0054】
以降、製膜工程は、固体のポリイミド樹脂が溶解されているポリイミド溶液を支持体上にキャストし、40〜400℃の温度範囲で1〜10℃/minの昇温速度で徐々に昇温させながら、1分〜8時間加熱して、ポリイミドフィルムを得る。
【0055】
得られるポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されず、10〜250μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜150μmである。
【0056】
以下、本発明について、実施例に基づきさらに詳述するが、これらは説明のために記述されるものであって、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0057】
<実施例1>
【0058】
反応器として、攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器、及び冷却器を備えた100mlの3口丸底フラスコに、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)31.82gを入れた後、反応器の温度を0℃に下げた後、2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解し、この溶液を0℃に維持した。これに、6HBDA4.164g(0.008mol)を添加して1時間攪拌し、6HBDAを完全に溶解させた後、BPDA0.58844g(0.002mol)を添加して完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1900cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0059】
前記ポリアミック酸溶液に化学硬化剤として、無水酢酸(酸化アセチル:SamChun社)及びピリジン(SamChun社)をそれぞれ2〜4当量添加した後、ポリアミック酸溶液を20〜180℃の範囲内の温度で、1〜10℃/minの速度で昇温させながら2〜10時間加熱し、ポリアミック酸溶液をイミド化した後、イミド化した溶液30gを水300gに添加して沈殿させ、沈殿された固形分をろ過及び粉砕工程を経て、微粉化した後、80〜100℃の真空オーブンで2〜6時間乾燥し、約8gの固形樹脂粉末を得た。得られた固形樹脂粉末を重合溶媒であるDMAcまたはDMF32gに溶解させ、20wt%のポリイミド溶液を得た。これを、40〜400℃に到る温度範囲で、温度を1〜10℃/minの速度で昇温させながら2〜8時間加熱し、厚さ50μm及び100μmのポリイミドフィルムを得た。
【0060】
<実施例2>
【0061】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)33.59gに2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解させ、この溶液を0℃に維持した。6HBDA3.64355g(0.007mol)を添加した後、ODPA1.551g(0.003mol)を添加して1時間攪拌し、6HBDA及びODPAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1800cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0062】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0063】
<実施例3>
【0064】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)29.50gに2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解させ、この溶液を0℃に維持した。6FDA3.554g(0.008mol)を添加した後、ODPA0.6204g(0.002mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びODPAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1700cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0065】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0066】
<実施例4>
【0067】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)27.90gに2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解させ、この溶液を0℃に維持した。6FDA2.22125g(0.005mol)を添加した後、ODPA1.551g(0.005mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びODPAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1800cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0068】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0069】
<実施例5>
【0070】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)27.362gに2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解させ、この溶液を0℃に維持した。6FDA1.777g(0.004mol)を添加した後、ODPA1.8612g(0.006mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びODPAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1800cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0071】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0072】
<実施例6>
【0073】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)29.38gに2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解させ、この溶液を0℃に維持した。6FDA3.554g(0.008mol)を添加した後、BPDA0.58844g(0.002mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びBPDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度2000cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0074】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0075】
<実施例7>
【0076】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)28.78gに2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解させ、この溶液を0℃に維持した。6FDA3.10975g(0.007mol)を添加した後、BPDA0.88266g(0.003mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びBPDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度2100cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0077】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0078】
<実施例8>
【0079】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)28.77gに2,2’−TFDB3.2023g(0.01mol)を溶解させ、この溶液を0℃に維持した。6FDA3.554g(0.008mol)を添加した後、PMDA0.43624g(0.002mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びPMDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1800cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0080】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0081】
<実施例9>
【0082】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)28.18gに2,2’−TFDB1.60115g(0.005mol)を溶解させ、4,4’−6F1.6713g(0.005mol)を溶解させた後、この溶液を0℃に維持した。6FDA2.22125g(0.005mol)を添加した後、ODPA1.551g(0.005mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びODPAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1800cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0083】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0084】
<実施例10>
【0085】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)25.98gに2,2’−TFDB1.9213g(0.006mol)を溶解させ、4,4’−ODA0.80096g(0.004mol)を溶解させた後、この溶液を0℃に維持した。6FDA2.22125g(0.005mol)を添加した後、ODPA1.551g(0.005mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びODPAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度2000cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0086】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0087】
<実施例11>
【0088】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)27.92gに2,2’−TFDB2.24161g(0.007mol)を溶解させ、3−DDS0.7449g(0.003mol)を溶解させた後、この溶液を0℃に維持した。6FDA3.10975g(0.007mol)を添加した後、BPDA0.88266g(0.003mol)を添加して1時間攪拌し、6FDA及びBPDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1700cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0089】
以降、上記した実施例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0090】
<実施例12>
【0091】
実施例3と同一の組成でポリアミック酸溶液を得た後、得られたポリアミック酸溶液を、ガラス基板でドクターブレードを用いて厚さ500〜1000μmでキャストした後、真空オーブンで40℃で1時間、60℃で2時間乾燥し、自立フィルムを得た後、高温炉で5℃/minの昇温速度で、80℃で3時間、100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で30分間加熱し、厚さ50μm及び100μmのポリイミドフィルムを得た。
【0092】
<実施例13>
【0093】
実施例6と同一の組成でポリアミック酸溶液を得た後、得られたポリアミック酸溶液を、ガラス基板でドクターブレードを用いて厚さ500〜1000μmでキャストした後、真空オーブンで40℃で1時間、60℃で2時間乾燥し、自立フィルムを得た後、高温炉で5℃/minの昇温速度で、80℃で3時間、100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で30分間加熱し、厚さ50μm及び100μmのポリイミドフィルムを得た。
【0094】
<実施例14>
【0095】
実施例8と同一の組成でポリアミック酸溶液を得た後、得られたポリアミック酸溶液を、ガラス基板でドクターブレードを用いて厚さ500〜1000μmでキャストした後、真空オーブンで40℃で1時間、60℃で2時間乾燥し、自立フィルムを得た後、高温炉で5℃/minの昇温速度で、80℃で3時間、100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で30分間加熱し、厚さ50μm及び100μmのポリイミドフィルムを得た。
【0096】
<比較例1>
【0097】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)38.5084gに4−BDAF5.1846g(0.01mol)を溶解し、6FDA4.4425g(0.01mol)を添加した後、1時間攪拌し、6FDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1300cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0098】
反応が終了した後、得られたポリアミック酸溶液を、ガラス基板でドクターブレードを用いて厚さ500〜1000μmでキャストした後、真空オーブンで40℃で1時間、60℃で2時間乾燥し、自立フィルムを得た後、高温炉で5℃/minの昇温速度で、80℃で3時間、100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で30分間加熱し、厚さ25μm、50μm、及び100μmのポリイミドフィルムを得た。
【0099】
<比較例2>
【0100】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)29.4632gにAPB−133 2.9233g(0.01mol)を溶解し、6FDA4.4425g(0.01mol)を添加した後、1時間攪拌し、6FDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1200cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0101】
以降、上記した比較例1と同様な方法で、ポリイミドフィルムを製造した。
【0102】
<比較例3>
【0103】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)25.7796gに3,3’−ODA2.0024g(0.01mol)を溶解し、6FDA4.4425g(0.01mol)を添加した後、1時間攪拌し、6FDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度1600cpsのポリアミック酸溶液を得た。
【0104】
以降、上記した比較例1と同様な方法で製造し、ポリイミドフィルムを得た。
【0105】
<比較例4>
【0106】
実施例1と同様にして、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)16.7344gに4,4’−ODA2.0024g(0.01mol)を溶解し、PMDA2.1812g(0.01mol)を添加した後、1時間攪拌し、PMDAを完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であり、以降、溶液を常温に放置し、8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度2500ポアズのポリアミック酸溶液を得た。
【0107】
以降、上記した比較例1と同様な方法で製造し、ポリイミドフィルムを得た。
【0108】
上記した実施例及び比較例で製造されたポリイミドフィルムの物性を、以下のように測定し、下記表1及び表2に示した。
【0109】
(1)線膨張係数(CTE)
【0110】
TMA(TA Instrument社、Q400)を用いて、TMA法に従って50〜250℃での線膨張係数を測定した。測定条件は、以下の通りである。
【0111】
試片サイズ:20mm×4mm
【0112】
温度:50〜250℃まで昇温、昇温速度10℃/min
【0113】
重さ:10g(試片に吊り下げる錘の重さ)
【0114】
(2)黄色度
【0115】
製造されたフィルムを、紫外分光光度計(Varian社、Cary100)を用いて、ASTM E313の規格で黄色度を測定した。
【0116】
(3)透過率及び50%遮断波長
【0117】
製造されたフィルムを、紫外分光光度計(Varian社、Cary100)を用いて、可視光線透過率及び50%遮断波長を測定した。
【0118】
一方、黄色の文字及び線が印刷された紙上に、実施例1、比較例1、及び比較例4で製造された50μm厚さのポリイミドフィルムを置き、写真を撮ってそれぞれ図1、図2、及び図3に示した。
【0119】
(4)色座標
【0120】
製造されたフィルムを、紫外分光光度計(Varian社、Cary100)を用いて、ASTM E 1347−06の規格に従って測定し、光源は、CIE D65による測定値を基準とした。
【0121】
(5)ガラス転移温度(Tg)
【0122】
示差走査熱量計(DSC、TA Instrument社、Q200)を用いて、ガラス転移温度を測定した。
【表1】

【表2】

上記した物性評価の結果、本発明のポリイミドフィルムは、線膨張係数が35.0以下であることが分かり、従って、本発明のポリイミドフィルムをLCDに適用可能であることが分かる。
【0123】
また、本発明のポリイミドフィルムは、380〜780nmでの平均透過率が85%以上であるのみならず、550nmでの透過率が88%以上であり、440nmでの透過率が70%以上であった。また、色座標を測定した場合、L値が90以上であり、a値が5以下であり、b値が5以下であり、50%遮断波長が400nm以下であることが確認された。また、本発明のポリイミドフィルムは、比較例のポリイミドフィルムに比べて、黄色度に優れたことが確認された。このような本発明のポリイミドフィルムは、図1に示すように、黄色の文字及び線がそのまま見える程度に透明であることが分かる。
【0124】
一方、比較例のポリイミドフィルムは、線膨張係数が高く、比較例1で製造されたポリイミドフィルムの場合、フィルムの厚さが25μmであったにもかかわらず、図2に示すように少し黄色を呈している。
【0125】
また、比較例4の場合、線膨張係数が低いが、黄色度が91.7と極めて高く、図3に示すように、フィルムの厚さが25μmであったにもかかわらず、黄色の文字及び線が見えない程度の有色フィルムであることが分かる。従って、透明性が要求される分野に適用し難いものであることが分かる。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族二無水物と芳香族ジアミンの共重合体から製造され、フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、TMA法に従って50〜250℃で測定した平均線膨張係数(CTE)が35.0ppm/℃以下であり、黄色度が15以下であるポリイミドフィルム。
【請求項2】
フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、380〜780nmでの平均透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で透過率を測定した場合、550nmでの透過率が88%以上、440nmでの透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
紫外分光光度計で透過率を測定した場合、50%遮断波長が400nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項5】
フィルムの厚さ50〜100μmを基準として、紫外分光光度計で色座標を測定した場合、L値が90以上であり、a値が5以下であり、b値が5以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項6】
ジアミンと二無水物を第1溶媒の下で重合してポリアミック酸溶液を得、得られたポリアミック酸溶液をイミド化した後、イミド化した溶液を第2溶媒に添加し、ろ過及び乾燥して固体のポリイミド樹脂を得、得られた固体のポリイミド樹脂を第1溶媒に溶解させてポリイミド溶液を得、その後、これをフィルム形成工程に付すことによって製造される、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項7】
第2溶媒は、第1溶媒の極性よりも低い極性を有することを特徴とする請求項6に記載のポリイミドフィルム。
【請求項8】
第1溶媒は、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテート;低沸点溶液;または低吸収性溶媒から選ばれる1種以上であり、第2溶媒は、水、アルコール類、エーテル類、及びケトン類から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6に記載のポリイミドフィルム。
【請求項9】
芳香族二無水物として、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(TDA)、及び4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)(HBDA)から選ばれる1種以上と、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、及びオキシジフタル酸二無水物(ODPA)から選ばれる1種以上と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項10】
芳香族ジアミンとして、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパン(6HMDA)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(2,2’−TFDB)、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(3,3’−TFDB)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン(DBSDA)、ビス(3−アミノフェニル)スルホン(3DDS)、ビス(4−アミノフェニル)スルホン(4DDS)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−133)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−134)、2,2’−ビス[3(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(3−BDAF)、2,2’−ビス[4(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4−BDAF)、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(3,3’−6F)、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(4,4’−6F)、及びオキシジアニリン(ODA)から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項によるポリイミドフィルムを含む表示素子用基板。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項によるポリイミドフィルムを含む配向膜。
【請求項13】
請求項4によるポリイミドフィルムを含む保護膜。

【公表番号】特表2010−538103(P2010−538103A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522801(P2010−522801)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005007
【国際公開番号】WO2009/028862
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(507190961)コーロン インダストリーズ,インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】