説明

ポリオルガノシロキサンの使用方法、ゴムを加硫する方法、加硫ゴム、ゴム用加硫化剤、マスターバッチ及び混合物

【課題】生成された加硫物の機械的性質を劣化させることなく、製造工程においてゴムの粘性を改善する化合物を提供すること。
【解決手段】本発明において使用されるポリオルガノシロキサンは、ゴムの加工処理における添加剤としての特定のポリオルガノシロキサンの使用によって達成される。使用されるポリオルガノシロキサンの量は、ゴム(混合物)100質量部に対して、0.1〜10質量部である(ゴム100に対する割合;phr)。ポリオルガノシロキサンは3以上のシロキサンユニット及び1以上の有機部分Rを有する。Rは1以上の炭素−炭素多重結合及び少なくとも4つの炭素原子を有する。ポリオルガノシロキサンにおいて、5〜50個の炭素原子の鎖長を有する1以上の長鎖炭化水素部分の存在が除外される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムの加工処理における添加剤としてのポリオルガノシロキサン(polyorganosiloxanes)の使用に関する。ポリオルガノシロキサンは、純物質として、マスターバッチとして、又は混合物として使用することができる。また、本発明は、ゴムの過酸化加硫処理及び加硫化ゴム(加硫物)に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のゴム類及びゴム混合物は、高い粘性を有し、またローラーシステムや内部ミキサに強力に接着しやすいので、その加工には困難が伴う。例えば、射出成形によって加工する場合、型の全空間に充填されないことがあり、これは高い不良品率を招く。このため、流動改善剤(低粘剤)が添加物としてゴムに添加される。例えば、流動改善剤として、脂肪酸誘導体、ワックス又はシリコーン化合物が添加されることがある。
【0003】
流動改善剤の使用は、加工工程におけるゴムの粘性を低下させる。しかしながら、ゴムは、流動改善剤の添加によって希釈されることになる。これにより、一般的に、加硫化ゴムの機械的性質は、流動改善剤無しで加硫化したゴムに比べて低下する。さらに、特に流動改善剤を添加すると、特に高濃度で添加すると、得られた加硫物には、通常望まない滲出が観察される。
【0004】
まず、ゴムの好適な機械的性質(例えば、圧縮永久ひずみ(Compression set)、弾性率(モジュラスModulus)、引裂き強度(Reisfestigkeit))が加硫処理によって改善され、又は実際に達成されることも知られている。加硫処理は、長鎖ゴム分子を架橋し、可塑性を有する生ゴムは、弾力性を有する加硫化ゴム(加硫物)となる。ゴムは、種々の方法で架橋させることができる。例えば、架橋のために、硫黄は、ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)パーオキシド(ジクミルパーオキサイド)等の公知の促進剤又は有機過酸化物と共に使用することができる。過酸化架橋は、圧縮永久ひずみ等の特定の機械的数値が硫黄加硫処理よりも改善されるので、特定の場合に好ましい。さらに、過酸化加硫によって得られた加硫物の熱的安定性(耐老化性)は、硫黄で架橋された加硫物よりも明らかに優れている。これは、炭素―硫黄結合又は硫黄―硫黄結合に比べて炭素―炭素結合の解離エネルギーのほうがより高いからである。
【0005】
異なる種類のゴムの混合物は頻繁に使用されるので、本明細書において、用語「ゴム混合物」は、用語「ゴム」(Kautschuk, rubber)の同意語として使用される。
【0006】
天然ゴム(NR;Natural Rubber)、エチレンプロピレンジエンモノマゴム(EPDM;Ethylene-Propylene-Diene Monomer Rubber)等の多くのゴムは、硫黄と過酸化物のいずれでも加硫することができる。一方、エチレンアクリレートゴム(AEM;Etylene-Acrylate Rubber)等のゴムは、硫黄では加硫されず、上記とは異なる加硫系(ジアミン類、過酸化物)で加硫することができる。
【0007】
ゴムの流動改善剤として、例えば、シリコーン類が知られている。例えば、製品Struktol(登録商標)WS180(Schill+Seilacher「Struktol」社、ハンブルク、ドイツ連邦共和国)は、脂肪酸誘導体類及びシリコーン類の縮合製品である。
【0008】
特許文献1は、メタクリロイルオキシ(methacryloyloxy)又はアクリロイルオキシ(acryloyloxy)含有オルガノシラン類及びオルガノシロキサン類を製造する方法に関する。γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの製法が開示されている。その製造物の使用については言及されていない。
【0009】
特許文献2は、インサイチュー(in situ)で製造された粒状物質を有し、硬化可能な組成のビニル基を含有する有機ポリシロキサン類を開示する。
【0010】
特許文献3は、眼内レンズなどの生物学的適合医療部材の製造に使用可能な、高屈折率を有するポリシロキサン初期重合体に関する。
【0011】
特許文献4は、加硫又は硬化後に作り直しすることができる、加硫可能なエラストマ組成物及び変形可能な熱可塑性組成物を開示する。重合体組成物は、別の重合体のマトリクスに混合された溶解可能な重合体の微細分割物質又は粉末を有する。提供された架橋可能なマトリックス重合体成分は、好ましくは、ビニルもしくはアリル基又は(メト)アクリレート基などの反応性の官能基を有する反応性ポリオルガノシロキサン類を含有する熱加硫可能なシリコーン組成物である。
【0012】
特許文献5は、加硫可能なオルガノシロキサンポリイソブチレン組成物を開示する。対応する加硫エラストマはガス及び蒸気透過性に関して改善された安定性を有する。
【0013】
特許文献6は、ゴムコンパウンドを示す。当該コンパウンドは、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有するゴム(A)と、架橋剤(B)として1分子につき少なくとも2つのSiH基を有するヒドロシロキサン又はヒドロシロキサン誘導体と、ヒドロシリル化触媒系(C)と、少なくとも1つの充填剤(D)と、ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(E)と、を含む。基礎的成分の存在下において、一般的に触媒として使用されるように、当該コンパウンドにおいて、成分(B)は分解される。
【0014】
特許文献7は、アクリロキシ基含有オルガノポリシロキサンを製造する方法を説明する。この方法は、ポリオルガノシロキサンのエポキシ基とアクリル酸又はメタクリル酸との反応を含み、これによりエポキシ基は開環し、続いて、生成された水酸基を、塩化水素受容体の存在下においてアクリロイルクロライド又はメタクリロイルクロライドとの反応によって反応させる。エポキシ基の例として、グリシジルエーテル基及びシクロヘキシルエポキシド基がある。ポリオルガノシロキサンは硬化することができ、この場合、硬化した生成物は、ガラス、セラミック、金属、樹脂、紙、繊維等の種々の表面に対して接着剤、塗料、コーティング剤又は離型剤として使用することができる。
【0015】
特許文献8は、アクリレイティドエポキシシリコーン及びその製造方法を開示する。アクリレイティドエポキシシリコーンは、エポキシシリコーンとアクリル酸との反応生成物であり、放射線硬化可能な製法に使用される。アクリレイティドエポキシシリコーンは、硬化すると、例えば印刷インク上のコーティングに適した高光沢の仕上がりとなる。
【0016】
特許文献9は、反発性に優れ、低温下での反発性低下が抑制されたゴルフボール用ゴム
組成物に関する。このため、基材ゴム(A)は、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩(B)及び有機過酸化物(C)と反応される。基材ゴム(A)は、(メト)アクリロキシ変性シリコーンポリマーを含み、選択的に過酸化物架橋可能なゴムを含む。11phr未満の場合、反発性が低下し、低温下での反発性低下が顕著になる。
【0017】
特許文献10は、改良された流動性を有する組成物に関する。当該組成物は、HNBR(水素化ニトリルゴム)及び4個未満の炭素原子を有する少なくも1つの炭化水素基を持つオルガノポリシロキサンを含む。
【0018】
特許文献11は、ポリオルガノシロキサン及び有機ゴムを含有するゴム組成物を開示する。ポリオルガノシロキサンの有機基の0.02mol%〜10mol%はビニル基である。
【0019】
特許文献12は、難燃性ポリオレフィン系ゴム組成物に関する。当該組成物は、難燃性及び機械的性質が優れていると言われている。当該組成物は、必須的にオルガノポリシロキサンを含み、実施例において使用されるオルガノポリシロキサンは、ビニル基3mol%の有機基を含む。
【0020】
特許文献13は、マレイミド系の活性化エチレン二重結合を有するポリオルガノシロキサンに関する。ポリオルガノシロキサンはケイ酸フィラーの粒子表面とエラストマとのカップリング剤として使用され、その結果、フィラーは、同時に、より簡単な方法でエラストママトリックスに分散される。ポリオルガノシロキサンは、フィラーの質量に対して、1%〜20%使用される。
【0021】
特許文献14は、タイヤトレッド用ゴム組成物において50phr以下の量で使用される変性ポリシロキサンに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】欧州特許出願公開EP0247501A2号公報
【特許文献2】米国特許US4,172,101A号公報
【特許文献3】米国特許出願公開US2004/0116593A1号公報
【特許文献4】米国特許出願公開US2004/0266940A1号公報
【特許文献5】米国特許US5,952,419A号公報
【特許文献6】国際公開WO2007/033801A1号公報
【特許文献7】欧州特許出願公開EP0269114A2号公報
【特許文献8】独国特許出願公開DE3044237A1号公報
【特許文献9】米国特許出願公開US2005/0079928A1号公報
【特許文献10】米国特許出願公開US2005/0143514A1号公報
【特許文献11】米国特許US5,010,137A号公報
【特許文献12】米国特許US4,560,719A号公報
【特許文献13】米国特許出願公開US2004/0023926A1号公報
【特許文献14】米国特許US6,140,450A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
高い酸化抵抗が要求される場合、分子鎖に不飽和官能基(例えば二重結合)を有しないゴムを選択的に使用すると好ましい。不飽和官能基を有さないゴムは、硫黄では加硫されず、一般的には過酸化物で架橋される。
【0024】
過酸化加硫によって得られる架橋の程度は、複数の因子に依存し、特定の場合には不十分となるので、架橋補助剤(作用剤Coagenzien)を添加すると好ましい。そのような作用剤によって、架橋密度は高められ、架橋剤なしの加硫に比べて機械的数値はさらに改善される。過酸化加硫によるゴムの架橋の代表例としては、シアヌル酸トリアリル(TAC;triallyl cyanurate)、イソシアヌル酸トリアリル(TAIC;triallyl isocyanurate)、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTMA;trimethylolpropane tri-meth-acrylate)、ジメタクリル酸エチレングリコール(EDMA;ethylene glycol dimethacrylate)、ジアクリル酸ヘキサンジオール(HDDA;1,6-hexane-diol -diacrylate)、又はN,N’−m−フェニレンビスマレイミド(MPBM;N,N'-m-phenylenebismaleimide)が知られている。
【0025】
特に大量の作用剤を使用することによって、流動改善剤を使用する場合に起こりうる加硫物の機械的性質の劣化を防止することができる。そのような作用剤の添加は、流動改善剤の希釈効果を補償することになる。しかしながら、一般的に、作用剤の使用は、ムーニー粘度(Mooney viscosity)の低下に貢献することはなく、単にゴム混合物にさらなる成分を添加するだけである。非極性ゴムにおける極性作用剤の低溶解性は、形成されるべきネットワークを不均等にすることにもなる。この効果(傾向)は、より多く添加すると、それに相応してより顕著となる。
【0026】
非加硫ゴム処理加工者/加硫ゴム製造者にはかくて厳しい制約が課せられる:一方で、ゴムは加工性が良くなければならないので、流動改善剤を含有する必要がある;他方、加硫化ゴムの機械的性質は、流動改善剤の添加によって不所望の劣化を生ずるべきではない。さらに、通常、添加した流動改善剤がゴム混合物又は加硫物の表面に達するように染み出ることは好ましくない。機械的性質を維持するには、(比較的大量の)作用剤の添加を必要とし、そのことは上述と同様の不利益を生じうる。
【0027】
本発明の課題は、生成された加硫物の機械的性質(例えば、弾性率の低下)を劣化させることなく、製造工程においてゴムの粘性を改善する化合物を提供することである。好ましくは、製造工程におけるゴム混合物の粘性を低下させると共に、加硫化後に得られる加硫物の機械的性質を改善する化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によれば、驚くべきことに、上記課題は、ゴムの加工処理における添加剤としての特定のポリオルガノシロキサンの使用によって達成され、使用されるポリオルガノシロキサンの量は、ゴム(混合物)100質量部(重量部)に対して、0.1〜10質量部(重量部)である(ゴム100に対する割合;phr)。
【0029】
本発明において使用されるポリオルガノシロキサン(複数)の特徴は、ポリオルガノシロキサンが3以上のシロキサンユニット及び1以上の有機部分(ないし残基Rest,moiety)Rを有することであり、Rは1以上の炭素−炭素多重結合及び少なくとも4つの炭素原子を有する。本発明において使用されるポリオルガノシロキサンにおいて、5〜50個の炭素原子の鎖長を有する1以上の長鎖炭化水素部分の存在は除外される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、(過酸化)加硫の際、ポリオルガノシロキサンは、反応によってゴム中に結合して取りこまれ、かくて加硫化ゴムの表面への浸出を阻止する。本発明のポリオルガノシロキサンは、加工性を改善すると共に、加硫におけるゴムの架橋密度も改善することがある。好ましくは、加工性及び架橋の両方に有効に作用する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.有機部分R(Organischer Anteil)
本発明において使用されるポリオルガノシロキサンは、少なくとも1つの有機部分Rを有し、ここで、Rは、少なくとも1つの炭素−炭素多重結合及び少なくとも4つの炭素原子を有する。
【0032】
における炭素−炭素多重結合は、例えば炭素鎖又は炭素原子環における炭素−炭素二重結合であると好ましい。好ましい形態においては、有機部分Rは1価の基(ないし残基Rest,ラジカルradical)である。
【0033】
本発明のすべての形態において、Rが少なくとも5つの炭素原子、例えば、少なくとも6つ、特に少なくとも7つの炭素原子を有するポリオルガノシロキサンであると特に好ましい。
【0034】
本発明のポリオルガノシロキサンが、ゴムにおける架橋作用を可能とするために、少なくとも2つの炭素−炭素多重結合を有しなければならないことは当業者にとって明らかである。したがって、本発明のポリオルガノシロキサンは、少なくとも2つの炭素−炭素多重結合を有する。これは、R基が1つの炭素−炭素多重結合を有している場合、少なくとも2つのR基が存在しなければならず、この形態が好ましいことを意味している。或いは、1つのR基が少なくとも2つの炭素−炭素多重結合を有することも可能であるが、この形態は、対応するポリオルガノシロキサンの製法がより複雑になるので好ましくない。
【0035】
適用可能なR基の例としては、シクロアルケニル基、アルケニル基、ノルボルニル基、(ジ)シクロペンテニル基、又はメタクリレートもしくはアクリレートから誘導される基が挙げられる。好ましい1価R基(残基)は、シクロヘキセン及び(メト)アクリレートから誘導され、酸素もしくは硫黄等の1以上のヘテロ原子で置換された、及び/又は酸素及び硫黄等の1以上のヘテロ原子を割り込ませた炭化水素鎖を介してポリオルガノシロキサンの基礎的な骨格構造に結合される。
【0036】
特に好ましいRの例は以下に示す基である。
【0037】

【0038】
上記構造において、ケイ素原子に結合される炭素原子は、それぞれ、矢印で示されている。
【0039】
これらの官能基は、ヒドロシリル化されやすい二重結合を有する化合物(例えば、以下の(a)〜(c))とSiHユニットの反応によって得ることができる。
(a)アリル(メト)アクリレート
(b)4−ビニルシクロヘキセン、又は
(c)(メト)アクリル酸との反応によってエポキシド環が開環したアリルグリシジルエーテル
【0040】
反応(c)が特に好ましく、この場合上記構造(z)が形成される。このような一般的な種類のポリオルガノシロキサンは、例えば、特許文献7及び特許文献8から知ることができる。
【0041】
基が結合するケイ素原子と炭素−炭素多重結合間の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜6であり、例えば4である。
【0042】
好ましい形態において、本発明において使用されるポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に直接結合される少なくとも1つのビニル基を有する;この好ましい形態において、ビニル基の他には、少なくとも1つの部分Rが存在する。別の好ましい形態において、本発明において使用されるポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に直接結合するビニル基を有しない。
【0043】
好ましい形態において、Rは、構造ユニットIの一部として本発明において使用されるポリオルガノシロキサン中に存在する;
[RSiO[4−(x+a)]/2] (I)
ここで、xは、1、2又は3であり、好ましくは1である。aは、0、1又は2であり、好ましくは1又は2である。Rは、1価の有機基(残基)である。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基のうちから選択され、より好ましくはメチル基である。
【0044】
x=1である好ましい構造ユニットIは、a=1である二官能性構造ユニット(Difunctional structural unit)Iであり:
[RRSiO2/2] (I)、
及びa=2である単官能性構造ユニット(Monofunctional structural unit)Iである:
[RSiO1/2] (I)。
(ここで示す「I」の「D」は「Difunctional」の頭文字を意味し、「I」の「M」は「Monofunctional」の頭文字を意味する。ユニットII及びユニットIIIについても同様である。)
【0045】
上述のように、本発明において使用されるポリオルガノシロキサンは、5〜50個の炭素原子の鎖長を有する炭化水素部分を有さない。
【0046】
2.ポリオルガノシロキサンの構造
上記の好ましい形態である構造ユニットIに加えて、本発明のポリオルガノシロキサンは、好ましくは、二官能性構造ユニットIIも有する:
[R′SiO2/2] (II)。
ここで、(複数の)R′基(残基)は、同一又は異なっており(好ましくは同一である)、それぞれ、酸素原子を介して結合されてもよい直鎖、有枝又は環状の有機基(残基)から選択され、R′基は、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0047】
本発明のポリオルガノシロキサンにおいて、好ましくは、1つの又は−より好ましくは−2つの単官能性構造ユニットIIIも存在する:
[R″SiO1/2] (III)。
ここで、(複数の)R″基(残基)は、同一又は異なっており、それぞれ、酸素原子を介して結合されてもよいヒドロキシル基及び直鎖、有枝又は環状の有機基から選択され、(複数の)R″基は、好ましくは、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基であり、より好ましくはヒドロキシル基及びメチル基である。特に好ましい形態において、(複数の)R″基は同一であり、それぞれメチル基である。
【0048】
本発明におけるオルガノシロキサンの好ましい構造は、以下に挙げられる:
[I[I[II[[III(2-n)
ここで、(i)mは、0〜40の範囲内にあり、nは、0、1又は2である。ただし、(m+n)の合計は少なくとも1であり、(m+n)の合計は好ましくは20以下の範囲である。
(ii)oは0〜1000の範囲内にある。
(iii)(m+o+2)の合計は少なくとも3である。
【0049】
この構造において、本発明のポリオルガノシロキサンにおける二官能性構造ユニットI及びIIは、典型的には、好ましくはブロックとして配置されるのではなく、ポリシロキサン鎖に沿って統計的(ないし不規則的statistisch)に分布される。本発明のポリオルガノシロキサンは、一般的には、製造時に均質な化合物として得ることはできないので、パラメータm、n及びoが平均値であることは当業者にとって明らかである。
【0050】
好ましい形態において、nは零(0)である、すなわち官能基Rはポリオルガノシロキサンにおける二官能性(安定架橋)構造ユニットI中に存在する。本発明において使用されるポリオルガノシロキサンが、特に、加硫処理においてゴムの架橋を促進する目的で使用される場合、かかる形態はとりわけ好ましい。
【0051】
さらに好ましい形態において、nは1又は2であり、好ましくは2である。すなわち、官能基Rは、(少なくとも)単官能性(末端)構造ユニットIにおけるポリオルガノシロキサン中に含まれる。このような形態は、特に、本発明において使用されるポリオルガノシロキサンが主として加硫処理においてゴム鎖の伸長のために使用される場合に特に好ましい。
【0052】
好ましい形態において、本発明のポリオルガノシロキサンのシロキサンユニットの総数(m+o+2)は、8〜1000であり、より好ましくは10〜250であり、特に好ましくは15〜100であり、例えば20〜90である。
【0053】
さらに好ましい形態において、本発明のポリオルガノシロキサンの官能性シロキサンユニットの合計(m+n)は1.0〜15であり、より好ましくは1.5〜10であり、例えば約2である。
【0054】
本発明のポリオルガノシロキサンにおいてR基によって置換されていない二官能性シロキサンユニットIIの数(すなわちo)は、6〜1000であり、より好ましくは8〜150であり、特に好ましくは13〜90であり、例えば18〜80である。
【0055】
本発明において、本発明において使用されるポリオルガノシロキサンは、7以上の炭素原子を有する置換基の一部として炭素−炭素多重結合を包含することができる。しかしながら、この場合、この置換基の他の部分(すなわち、各炭素−炭素多重結合の炭素原子を除いた部分)は、5〜50個の炭素原子を有する炭化水素部分ではなく、1以上のヘテロ原子、特に酸素原子、を有する。
【0056】
本発明のポリオルガノシロキサンは、室温(25℃)で高い粘性を有する液体化合物(ないし混合物)として存在してもよい。とりわけ、シロキサン鎖の長さ(すなわち、SiOユニットの総数、(m+o+2)の合計、約30以上)に依存して、本発明のポリオルガノシロキサンは室温で固体であってもよい。
【0057】
(a)少なくとも1つのゴム及び(b)少なくとも1つの本発明のポリオルガノシロキサンを含有するマスターバッチとして、本発明のポリオルガノシロキサンを使用することができる。
【0058】
マスターバッチは、好ましくは、ゴム100質量部(重量部)に対して(ゴム100に対する割合;phr)、本発明のポリオルガノシロキサンを0.5〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、特に好ましくは0.5〜10質量部含有する。過酸化架橋可能なタイプがゴムとしてマスターバッチに一般的に使用される。例えば、天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR、HNBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロ化もしくはクロロスルホン化ポリエチレン(CM、CSM)、エピクロロヒドリンゴムのターポリマー(GECO)、フッ素ゴム(FKM、FFKM、TFE/P)、アクリルゴム(ACM、AEM)、エチレン−ビニルアセテートゴム(EVA、EVM)、シリコンゴム(VMQ、PMQ、PVMQ、FVMQ)、ポリオクテナマ(ベステナマ;Vestenamer)、ポリウレタンゴム、又は熱可塑性エラストマ(TPE)が使用される。
【0059】
マスターバッチの使用は、本発明のポリオルガノシロキサンのゴムへの混合を容易にする。
【0060】
さらに、以下の(a)及び(b)を含む混合物(ブレンド)の形で本発明のポリオルガノシロキサンを使用することができる;
(a)(好ましくは、無機フィラー(例えばシリカ)又はワックス状材料(例えばポリエチレンワックス)から選択される)1以上の固体担体材料、及び
(b)本発明において使用される1以上のポリオルガノシロキサン。
【0061】
混合物における(a)担体材料と(b)本発明のポリオルガノシロキサンの質量比(重量比)は、好ましくは、10/90〜90/10であり、より好ましくは20/80〜80/20であり、特に好ましくは約60/40である。混合物用の好ましい材料は、シリカ又は無機フィラーであり、例えば、チョーク又はワックス状材料、例えばポリエチレンワックスである。
【0062】
本発明のポリオルガノシロキサンが室温で液体であるとき、混合物の使用は本発明のポリオルガノシロキサンの取り扱いを容易にする。
【0063】
本発明のポリオルガノシロキサンの製造方法は公知であり、とりわけ特許文献7及び特許文献8に言及されている。
【0064】
3.使用及び加硫工程
本発明によれば、ポリオルガノシロキサンは、好ましくは、例えば、ローラーシステムもしくは内部ミキサ(Innenmischer)との解離性能を改善するため、ムーニー粘度を低下させるため、加硫化ゴム混合物の弾性率もしくは引っ張り強度を高めるため、圧縮永久ひずみを低下させるため、破断点伸び率を低下させるため、及び/又は引き裂き伝播抵抗を低下させるために、ゴムの加工処理に使用される。本発明のポリオルガノシロキサンは、場合によりマスターバッチの形態や混合物(ブレンド)の形態で使用してもよい。
【0065】
ゴムないしゴム相は、好ましくは、過酸化加硫可能である。例えば、天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR、HNBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロ化もしくはクロロスルホン化ポリエチレン(CM、CSM)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ABS)、エピクロロヒドリンゴムのターポリマー(GECO)、フッ素ゴム(FKM、FFKM、TFE/P)、アクリルゴム(ACM、AEM)、エチレン−ビニルアセテートゴム(EVA、EVM)、シリコーンゴム(VMQ、PMQ、PVMQ、FVMQ)、ポリオクテナマ(ベステナマ;Vestenamer)、ポリウレタンゴム、又は熱可塑性エラストマ(TPE)がある。しかしながら、好ましくは、本発明のポリオルガノシロキサンは、シリコーンゴムには使用されない。
【0066】
EPM、EPDM、CSM、FPM、IR、BR、CR、AEM、EVM、EVA、NBR及びHNBRが特に好ましく、上述のように、上述のゴムの種類の混合物も使用することもできる。
【0067】
本発明において使用されるポリオルガノシロキサンの量は、ゴム(混合物)100質量部(重量部)に対して(ゴム100に対する割合;phr)、0.1質量部〜10質量部、好ましくは0.5質量部〜10質量部、特に好ましくは1質量部〜10質量部、例えば2質量部〜8質量部、例えば約4質量部である。
【0068】
さらに、本発明は、ゴムを加硫する方法に関し、当該方法においては、下記(i)〜(iii)を含有する加硫混合物を、例えば120℃〜250℃の温度で過酸化加硫する。
(i)1以上の過酸化架橋可能なゴム(例えば、NR、BR、NBR、HNBR、EPM、EPDM、CM、CSM、GECO、FKM、FFKM、TFE/P、ACM、AEM、EVA、EVM、VMQ、PMQ、PVMQ、FVMQ、又はTPE)、
(ii)1以上の過酸化加硫剤、及び
(iii)1以上の本発明のポリオルガノシロキサン、使用されるポリオルガノシロキサンの量は0.1phr〜10phr。
加硫化により、不飽和部分Rを介して、本発明において使用されるポリオルガノシロキサンの反応性架橋が得られる。
【0069】
加硫混合物は、好ましくは、フィラー(例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、ケイ酸塩類)、可塑剤油(例えば、鉱油)、劣化安定(老化防止)剤、過酸化加硫補助剤、さらなる加硫補助剤(例えば硫黄)、及び難燃剤(例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムもしくはリン化合物)等の添加物を慣用量さらに含有する。
【実施例】
【0070】
(i)本発明のポリオルガノシロキサンの製造
以下の本発明のポリオルガノシロキサンA,B及びCを製造した:
ポリオルガノシロキサンA:
第1反応段階において、三口フラスコ中、テトラメチルジシロキサン25.67g(0.191mol)及びオクタメチルシクロテトラシロキサン677.68g(2.284mol)を、酸活性化カルシウムベントナイト触媒(3%)の存在下でヒドロジメチルポリシロキサン(M55)へと反応させる。
【0071】
第2反応段階において、ヒドロジメチルポリシロキサン234.10g(0.056mol)及びアリルグリシジルエーテル1.59g(0.014mol)を最初に仕込み、95℃まで加熱する。続いて、触媒(シュパイア(Speier)触媒7ppm)を添加し、アリルグリシジルエーテル14.31g(0.139mol)を少しずつ添加する。その後起こる反応は100℃で進行し、赤外線分光HSi測定によって監視する。HSiを検出できなくなったら、反応を終了し、余分な成分は蒸留する。
【0072】
第3反応段階において、第2反応段階で生成した生成物100gを触媒(1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン0.5%)及び反応抑制剤(ブチルヒドロキシトルエン0.2%)と共に80℃まで加熱し、メタクリル酸3.91gをゆっくり滴下添加する。その後起こる反応は95℃で進行し、酸価によって監視する。反応が完了したら、余分な成分を蒸留によって除去する。
【0073】
Aは、両末端が官能基化された(di-end-functionalized)長鎖のポリオルガノシロキサン(M55からアリルグリシジルエーテルとの反応によって誘導され、メタクリル酸によってグリシジルエーテルを開環する)である。
【0074】
ポリオルガノシロキサンB:
第1反応段階において、三口フラスコ中、テトラメチルジシロキサン69.7g(0.519mol)及びオクタメチルシクロテトラシロキサン636.63g(2.146mol)を、酸活性化カルシウムベントナイト触媒(3%)の存在下で反応させ、ヒドロジメチルポリシロキサン(M18.2)を得る。
【0075】
第2反応段階において、ヒドロジメチルポリシロキサン212.75g(0.143mol)を最初に仕込み、50℃まで加熱する。続いて、触媒(シュパイア(Speier)触媒8ppm)を添加し、アリルグリシジルエーテル37.25g(0.327mol)を少しずつ添加する。その後起こる反応は60℃で進行し、赤外線分光HSi測定によって監視する。HSiを検出できなくなったら、反応を終了し、余分な成分は蒸留する。
【0076】
第3反応段階において、第2反応段階で生成した生成物100gを触媒(1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン0.5%)及び反応抑制剤(ブチルヒドロキシトルエン0.2%)と共に80℃まで加熱し、メタクリル酸10.25gをゆっくり滴下添加する。その後起こる反応は95℃で進行し、酸価によって追跡した。反応が完了したら、余分な成分を蒸留によって除去する。
【0077】
Bは、短鎖であること以外はAと対応する(両末端が官能基化された)ポリオルガノシロキサンである。
【0078】
ポリオルガノシロキサンC:
第1反応段階において、三口フラスコ中、ポリヒドロメチルシロキサン44.15g(0.018mol)、テトラメチルジシロキサン47.06g(0.350mol)及びオクタメチルシクロテトラシロキサン611.07g(2.060mol)を、トリフルオロメタンスルホン酸(0.004%)の存在下でヒドロジメチルポリシロキサン(M1.950.124)へと反応させる。
【0079】
第2反応段階において、ヒドロジメチルポリシロキサン327.14g(0.160mol)を最初に仕込み、70℃まで加熱する。続いて、触媒(シュパイア(Speier)触媒10ppm)を添加し、アリルグリシジルエーテル78.26g(0.686mol)を少しずつ添加する。その後起こる反応は90℃で進行し、赤外線分光HSi測定によって監視する。HSiを検出できなくなったら、反応を終了し、余分な成分は蒸留する。
【0080】
第3反応段階において、第2反応段階で生成した生成物260.82g(0.105mol)を触媒(1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン0.5%)及び反応抑制剤(ブチルヒドロキシトルエン0.2%)と共に80℃まで加熱し、メタクリル酸39.18g(0.455mol)をゆっくり滴下添加する。その後起こる反応は95℃で進行し、酸価によって監視する。反応が完了したら、余分な成分を蒸留によって除去する。
【0081】
Cは、短鎖であり、両末端(di-end)及び両付加的に(di-pendant)官能基化されたポリオルガノシロキサン(M1.950.124から誘導された)である。
【0082】
(ii)加硫混合物の製造
EPDMゴム(Keltan2340A)100質量部(phr)、焼成カオリン(Polestar200R)100質量部及びパラフィン鉱油(Sunpar2280)30質量部をアップサイドダウン混合方法で混合して混合物を作製した。
【0083】
続いて、混合物を6等分し、過酸化物(Trigonox101−45B−pd)6質量部をローラーシステムで混合した。過酸化物(Trigonox101−45B−pd)6質量部のみを6等分したうちの1つに添加した(対照/ブランクサンプル、No.1)。過酸化物(Trigonox101−45B−pd)6質量部及び特定量のポリオルガノシロキサン及び/又は加工補助剤及び/又は作用剤(Coagens)をローラーシステムで他の5つそれぞれに混合した(以下表1参照)。
【0084】
【表1】

a)対照:ポリオルガノシロキサンを含有しない(ブランクサンプル)と共に加工補助剤及び作用剤を含有しない加硫混合物
b)対照:慣用されている加工補助剤Struktol WS 180 2質量部及び作用剤TAC2質量部含有
c)対照:作用剤TAC2質量部含有
d)本発明
e)支持材料(担体)としてのシリカ及び70%TACからなるドライリキッドDL(Dry Liquid)
【0085】
このようにして得られた加硫混合物のムーニー粘度(Mooney viscosity)及び他のレオロジー特性は下記表2に示す。
【0086】
【表2】

a)DIN53523 第3部:ゴム及びエラストマの試験;ムーニーの剪断ディスク粘度計を用いた試験;ムーニー粘度の測定
b)メーカー:アルファテクノロジーズ、米国オハイオ州アクロン
【0087】
ムーニー粘度の結果は、本発明の実施例4〜6において添加剤としてポリオルガノシロキサンを使用したにもかかわらず、実質的に変化していないことを示している。
【0088】
(V)加硫物の製造
加硫混合物1〜6を厚さ2mm及び6mmのテストシートにして、180℃で加硫した。得られたテスト片1〜6は表3に示す性状を示した。
【0089】
【表3】


a)DIN53504:ゴムの試験;引張試験における破断点引張強度、降伏点引張応力、破断点伸び率及び応力値の測定。モジュラス値(Moduluswerte)はMPa。
b)DIN ISO 815:常温、高温及び低温環境における圧縮永久ひずみCSの測定
c)DIN ISO 34−1: エラストマ又は熱可塑性エラストマ−引き裂き伝播抵抗の測定
【0090】
基準混合物(比較例1)並びに比較例2及び3と比較して本発明の実施例4〜6の注目すべきことは、機械的特性を改善できるということである。例えば、実施例6は、破断点伸び率を大きく低下させることなく、引張強度の著しい改善を示す。実施例5は、−実施例2と比較して−引張強度は同等かわずかに改善しているが、破断点伸び率は著しく改善している。実施例4は、−実施例2と比較して−破断点伸び率は実質的に同等であるが、引張強度は著しく改善している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上のシロキサンユニットを有すると共に、少なくとも1つの有機部分Rを有するポリオルガノシロキサンをゴム加工の添加物として使用すること、但し、
−Rは1以上の炭素−炭素多重結合を有すると共に、少なくとも4つの炭素原子を有し、及び
−ポリオルガノシロキサンにおいて炭素原子5〜50の鎖長を有する1以上の炭化水素部の存在が除外されること、
ポリオルガノシロキサンの使用量は0.1phr〜10phrであること、
を特徴とするポリオルガノシロキサンの使用。
【請求項2】
前記炭素−炭素多重結合は二重結合であることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項3】
前記有機部分Rは1価の基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記R基は、下図の(x)、(y)又は(z)であることを特徴とする請求項4に記載の使用。


【請求項5】
ポリオルガノシロキサンは以下の構造ユニットIを有し;
[RSiO[4−(x+a)]/2] (I)、
ここで、xは、1、2又は3であり、好ましくは1であり、
aは、0、1又は2であり、好ましくは1又は2であり、
Rは、1価の有機基であり、好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基のうちから選択され、より好ましくはメチル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
ポリオルガノシロキサンは以下の構造を有し:
[I[I[II[III(2-n)
ここで、
(i)mは、0〜40の範囲であり、
nは、0、1又は2であり、
ただし、(m+n)の合計は少なくとも1であり、
(m+n)の合計は好ましくは20以下であり、
(ii)oは0〜1000の範囲内にあり、
(iii)(m+o+2)の合計は少なくとも3であり、
(iv)[I]は、Rが1価の有機基(好ましくはメチル基)である二官能性構造ユニット[RRSiO2/2]であり、
(v)[I]は、Rが1価の有機基(好ましくはメチル基)である単官能性構造ユニット[RSiO1/2]であり、
(vi)[II]は、R′基(複数)が同一又は異なり、それぞれ有機基(好ましくはメチル基)である二官能性構造ユニット[R′SiO2/2]であり、及び
(vii)[III]は、R″基(複数)が同一又は異なり、それぞれヒドロキシル基及び直鎖、有枝又は環状の有機基(好ましくはヒドロキシル基及びメチル基)から選ばれる単官能性構造ユニット[R″SiO1/2]であること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
mは2であることを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項8】
nは1又は2であり、好ましくは2であることを特徴とする請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
前記加工は過酸化加硫であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記添加物は、ローラーシステムもしくは内部ミキサとの解離性能を改善するため、ムーニー粘度を低下させるため、加硫化ゴム混合物の係数もしくは引っ張り強度を高めるため、圧縮永久ひずみを低下させるため、破断点伸び率を低下させるため、及び/又は引き裂き伝播抵抗を低下させるために使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記ゴムは、NR、BR、NBR、HNBR、EPM、EPDM、CR、PE、CM、CSM、GECO、FKM、FFKM、TFE/P、ACM、AEM、EVA、EVM、VMQ、PMQ、PVMQ、FVMQ、及びTPEから選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
a)1以上のゴム、及び
b)1以上のポリオルガノシロキサン
を含有するマスターバッチを使用することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
a)1以上の固体担体材料、及び
b)1以上のポリオルガノシロキサン
を含有する混合物(ブレンド)を使用することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
a)1以上の固体担体材料、及び
b)請求項1〜8のいずれか一項に記載の1以上のポリオルガノシロキサン
を含有する混合物。
【請求項15】
(i)1以上の過酸化架橋可能なゴム、
(ii)1以上の過酸化加硫剤、及び
(iii)請求項1〜8のいずれか一項に記載の1以上のポリオルガノシロキサンであり、使用量が0.1phr〜10phrであるポリオルガノシロキサン
を含有する加硫混合物を過酸化加硫することを特徴とするゴムを加硫する方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって製造可能な又は製造された加硫ゴム。

【公表番号】特表2013−518955(P2013−518955A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551616(P2012−551616)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051548
【国際公開番号】WO2011/095538
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(511025466)シル ウント ザイラッハー “シュトルクトル” ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】