説明

ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体

【課題】耐衝撃性、曲げ強度、流動性などに優れ、高い耐薬品性を有するとともに、薄肉成形品であっても成形後に層状剥離を呈することがなく、特に、フィルムゲートやピンゲート等で薄肉成形品を成形した際にゲート近傍に剥離を生じることがないようなポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂50〜94質量%、(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー1〜30質量%、及び(C)ポリオレフィン系樹脂〔成分(B)のポリオレフィン系樹脂は除く〕3〜40質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、(D)ホスフィン化合物0.005〜0.3質量部を含み、かつ溶融混練してなるポリカーボネート樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体に関する。より詳しくは、成形後に層状剥離を呈することがなく、耐衝撃性、曲げ強度、流動性などに優れ、高い耐薬品性を有するポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性などの機械的強度、透明性などに優れたものであることから、電子・情報・電気部品や機械部品など重要な素材として用いられている。しかし、流動性が低い、耐薬品性に劣るなどの弱点も有している。そのため流動性を改良し、そして優れた耐薬品性を付与するため、ポリオレフィンによるポリカーボネートのアロイ化が検討されてきた。
【0003】
特開昭63−215749号(特許文献1)には、共重合により脂肪族の水酸基末端を持つポリカーボネートを作製後、ポリプロピレンおよびグリシジルメタクリレート変性のポリプロピレン等を用い、ポリカーボネート組成物を得ることが開示されている。しかしながら、このような脂肪族の水酸基末端をもつポリカーボネートは熱安定性に乏しく、押出し機内でポリカーボネートのカーボネート結合の切断反応を引き起こし、伸びや衝撃強度の低い材料しか得られない。また、特開昭63−215750号公報(特許文献2)には、共重合によりカルボキシル基末端を有するポリカーボネートを作製し、エポキシ基を有するポリプロピレンと混合し、目的とする組成物を得ることが開示されているが、この場合も、カルボキシル基を含むものであるため、ポリカーボネートの製造が困難であるとともに、上述の末端に水酸基を有するポリカーボネートの場合と同様に、押出し機内でポリカーボネートのカーボネート結合の切断が起こりやすく、また、得られたポリカーボネートもカルボキシル基が残存するため、耐久性が劣るようになる。そのためポリカーボネート樹脂の特徴である機械的強度を維持したまま、流動性や耐薬品性に優れた特性を有するポリカーボネート樹脂組成物を得るには至ってはいない。
【0004】
一方では、ポリカーボネートと、エポキシ基などを有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーと、ポリオレフィンとによるポリカーボネートのアロイ化も行われている(特許文献3〜5)。これらにより耐熱性、耐衝撃性などの機械的強度を維持し、流動性及び耐薬品性にも優れるポリカーボネート樹脂が得られている。しかしながら、さらなる製品の薄肉化が求められており、そのような薄肉成形品としたときに、特許文献3〜5に記載された樹脂組成物では、高せん断のかかるゲート形状の近傍や成形条件によっては剥離してしまうようなことがあり、樹脂組成物のさらなる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−215749号公報
【特許文献2】特開昭63−215750号公報
【特許文献3】特開2009−275131号公報
【特許文献4】特開2009−298993号公報
【特許文献5】特開2010−24368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂の欠点を補い、耐衝撃性、曲げ強度、流動性などに優れ、高い耐薬品性を有するとともに、薄肉成形品であっても成形後に層状剥離を呈することがなく、特に、フィルムゲートやピンゲート等で薄肉成形品を成形した際にゲート近傍に剥離を生じることがないようなポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、芳香族ポリカーボネート樹脂と、エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーと、ポリオレフィン系樹脂とを含む樹脂成分に、ホスフィン化合物を加え、溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物とすることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記のポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体を提供するものである。
1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂50〜94質量%、(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー1〜30質量%、及び(C)ポリオレフィン系樹脂〔成分(B)のポリオレフィン系樹脂は除く〕3〜40質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、(D)ホスフィン化合物0.005〜0.3質量部を含み、かつ溶融混練してなるポリカーボネート樹脂組成物。
2. (A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(E)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、4級ホスホニウム塩の群から選ばれる少なくとも一種を0.0001〜1質量部を含むことを特徴とする上記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
3. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が16000〜35000である上記1または上記2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
4. (B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーにおけるエポキシ基又はグリシジル基の含有量が1〜20質量%である上記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
5. (C)ポリオレフィン系樹脂[成分(B)のポリオレフィン系樹脂は除く]が、メルトインデックス(MI)0.01〜60g/10分である上記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
6. (A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(F)リン系及び/又はハロゲン系難燃剤3〜40質量部を含むことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
7. (A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(G)フッ素含有ポリマー0.05〜5質量部を含むことを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
8. (A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(H)酸化防止剤0.01〜1質量部を含むことを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
9. 上記1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ホスフィン化合物を添加することで、ポリカーボネート樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性が高まり、薄肉成形品においても剥離強度が向上するとともに、流動性、耐衝撃性及び曲げ強度に優れ、高い耐薬品性を有するポリカーボネート樹脂組成物を提供することができ、これを用いることにより成形後に層状剥離を呈することがない成形品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー、(C)ポリオレフィン系樹脂〔成分(B)のポリオレフィン系樹脂は除く〕、および、(D)ホスフィン化合物を含むポリカーボネート樹脂組成物である。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いる各成分について説明する。
【0011】
[(A)芳香族ポリカーボネート樹脂]
本発明における(A)成分である芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される種々の芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
【0012】
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
特に、好ましい2価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールA又はビスフェノールAを主原料としたものである。
【0013】
カーボネート前駆体としては、例えばカルボニルハライド、カルボニルエステル及びハロホルメートなど、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートなどが挙げられる。
【0014】
また、芳香族ポリカーボネートは、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)などが挙げられる。
【0015】
本発明における(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂は粘度平均分子量は16000〜35000であることが好ましく、より好ましくは17000〜32000であり、さらに18000〜30000であることが好ましい。粘度平均分子量が16000未満であると衝撃強度や引張強度が不足し、耐溶剤性も悪くなる傾向があり、また、35000超であると成形性が悪くなり、薄肉部分の成形が困難になるとともに成形体の層剥離が発生し、引張伸度が低下することがある。
【0016】
なお、本発明における(A)成分の粘度平均分子量は、塩化メチレン100cm3に芳香族ポリカーボネート樹脂約0.7gを20℃で溶解した溶液をウベローデ粘度計を用いて測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
(ηsp)/C=[η]+0.45×[η]2
[η]=1.23×10-50.83
(但し、[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度である)
【0017】
本発明における(A)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量中、50〜94質量%である。50質量%未満では引張強度及び弾性率などが低下し、94質量%超では流動性及び耐薬品性などの改良効果が不十分となることがある。配合量は、好ましくは65〜92質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。
【0018】
ここで用いる(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂は、その分子鎖末端基としてヒドロキシル基を有するものを含むが、この末端ヒドロキシル基の量によって、後述する(E)成分である脂肪族アミン類、芳香族アミン類、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、4級ホスホニウム塩などを配合するか否かを定めることができる。
【0019】
すなわち、芳香族ポリカーボネート樹脂の全末端基に対する末端ヒドロキシル基の含有量が10〜80モル%である場合には、アミン塩などを添加する必要がないが、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシル基の含有量が30モル%未満の場合には、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、4級ホスホニウム塩の群から得バレル少なくとも一種の化合物を添加することが好ましい。もちろん、末端ヒドロキシル基の含有量が10モル%以上であっても、アミン塩などを配合してもよく、また、逆に、末端ヒドロキシル基の含有量が30モル%未満であっても、アミン塩などを配合しなくても、差し支えはない。
【0020】
なお、ポリカーボネート樹脂の全末端基に対する末端ヒドロキシル基の量(OH末端分率)は、1H−NMRを測定し、末端のヒドロキシル基に由来するピークの積分値から決定できる。
【0021】
[(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー]
(B)成分におけるポリオレフィン系樹脂は、例えばエポキシ基又はグリシジル基を有するオレフィンの単独重合体、あるいはオレフィンとエポキシ基又はグリシジル基を有する不飽和単量体との共重合体、オレフィン重合体に対してエポキシ基又はグリシジル基を有する不飽和単量体を共重合したものであってもよく、このような共重合体はグラフト共重合体、ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体であってもよい。
【0022】
また、例えばオレフィン重合体の末端、あるいはオレフィンと他の不飽和単量体などとの共重合体及びこれらの複合物中に存在する不飽和結合を、過酸化水素あるいは有機過酸など、例えば過安息香酸、過ギ酸及び過酢酸などにより酸化することでエポキシ基を導入したものであってもよい。すなわち、オレフィン系重合体にエポキシ基又はグリシジル基を導入したものであればいずれを用いてもよい。
【0023】
また、(B)成分におけるポリオレフィン系エラストマーとは、エポキシ基又はグリシジル基を含有し、X線回折法により測定される結晶化度が50%以下の低結晶性ないし非晶性のオレフィン系共重合体のことである。
【0024】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、シクロブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、シクロペンテン、1−ヘキセン、シクロヘキセン、1−オクテン、1−デセン、及び1−ドデセンなどが挙げられる。これらは、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
エポキシ基又はグリシジル基を有する不飽和単量体としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、2−メチルプロペニルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、グリシジルシンナメート、イタコン酸グリシジルエステル、及びN−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]メタクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、さらに、これらのエポキシ基又はグリシジル基を有する不飽和単量体とともに、例えば、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレートなどのようなエポキシ基又はグリシジル基を有さない不飽和単量体を用いて、これらを共重合したような、グリシジル基に加えアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどの基が含まれているものであってもよい。
【0026】
本発明における(B)成分であるポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーに含まれるエポキシ基又はグリシジル基は、1〜20質量%含有するものであることが好ましい。含有量が1質量%未満であると(A)成分と(C)成分との相溶性の改善効果が発揮されず、引張伸び率及び耐衝撃性が低下し、さらに成形体の層剥離が発生することがある。また、20質量%超であると自己架橋が起こるおそれがあり、引張伸び率及び耐衝撃性が低下し、さらに成形体の層剥離が発生することがある。このような点から、エポキシ基又はグリシジル基の含有量は、2〜18質量%がより好ましく、4〜15質量%であることがさらに好ましい。
【0027】
また、(B)成分の重量平均分子量は、5万〜50万程度であることが好ましい。この範囲内であれば、層剥離を防止できると共に、良好な引張伸びや高い耐撃性を得ることができる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法を用いることにより求めることができる。
【0028】
本発明においては、(B)成分として、エポキシ基又はグリシジル基を有するポリオレフィン系樹脂を1種以上用いてもよいし、エポキシ基又はグリシジル基を有するポリオレフィン系エラストマーを1種以上用いてもよく、また上記ポリオレフィン系樹脂1種以上とポリオレフィン系エラストマー1種以上とを併用してもよい。
【0029】
本発明における(B)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量中、1〜30質量%である。1質量%未満では(A)成分と(C)成分との相溶性の改善が充分とはいえず、引張伸び率及び耐衝撃性が低下し、さらに成形体の層剥離が発生することがある。30質量%超では自己架橋が起こりやすく、引張強度及び耐衝撃性が低下し、また弾性率も低下するとともに、場合により成形体の層剥離が発生することがある。このような点から、配合量は、2〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0030】
[(C)ポリオレフィン系樹脂]
本発明における(C)成分であるポリオレフィン系樹脂は、前記(B)成分のエポキシ基又はグリシジル基を有するポリオレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂であり、ポリオレフィン系の樹脂としては、前述したエチレンやプロピレン、ブテンなどのオレフィン類を単独で重合したものやこれらを共重合した重合体があげられる。
【0031】
例えば、ポリエチレン系樹脂としては、エチレンを単独で重合したものであってもよく、エチレンを主体として共重合したものであってもよく、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体などのポリエチレン系樹脂などがあげられる。また、エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレンとエチレンの共重合体などが挙げられ、グラフト共重合体、ランダム共重合体あるいはブロック共重合体のいずれであってもよい。これらの中では耐薬品性の観点で高密度ポリエチレンが特に好ましい。
【0032】
これらのポリエチレン系樹脂のメルトインデックス(MI)は、0.01〜50g/10分程度のものであることが好ましく、0.02〜30g/10分であることがより好ましい。MIが0.01g/10分未満であると目的する流動性の改良効果が小さくなり、50g/10分を超えると射出成形体の層剥離が発生し易くなる傾向がある。
なお、ポリエチレン系樹脂の場合のMIは、ASTM D 1238に準拠した測定法により求めたものであり、樹脂温度190℃、荷重21.18Nにおいて測定したものである。
【0033】
また、プロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独で重合したものであってもよく、プロピレンを主体として共重合したものであってもよい。例えば、アイソタクチックプロピレン単独重合体、あるいはシンジオタクチックプロピレン単独重合体であってもよい。また、共重合体は、例えばプロピレンとエチレンの共重合体などが挙げられ、グラフト共重合体、ランダム共重合体あるいはブロック共重合体のいずれであってもよい。
【0034】
このようなプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)は、0.1〜60g/10分程度のものであることが好ましく、0.1〜50g/10分であることがより好ましい。MIが0.1g/10分以上であれば流動性の改善効果を充分に発揮でき、60g/10分以下であれば成形体の層剥離が発生しにくくなる。なお、このプロピレン系樹脂のMIはASTM D 1238に準拠した測定法により求めたものであり、樹脂温度230℃、荷重21.18Nにおいて測定したものである。
【0035】
また、上記のポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂の他、メルトインデックス(MI)が0.01〜60/10分(230℃、21.18N)程度のポリオレフィン系樹脂であれば、同様に使用することができる。
【0036】
本発明においては、(C)成分として、上記ポリオレフィン系樹脂を1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における(C)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量中、3〜40質量%であり、より好ましくは、5〜35質量%であり、7〜30質量%であることがさらに好ましい。3質量%未満では流動性及び耐薬品性の改善効果が充分に発揮できず、40質量%超では引張伸び率及び弾性率、耐衝撃性が低下し、場合により成形体の層剥離が発生し易くなる傾向がある。
【0037】
[(D)ホスフィン化合物]
本発明の(D)成分として用いるホスフィン化合物は、(B)成分のエポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーの反応性を高め、いわゆる相溶化剤としての生成量を増加することにより、(A)ないし(C)成分の樹脂の相溶性を高め、機械的強度や剥離強度などを向上させるという機能を奏するものであり、有機系のホスフィン化合物が好ましく、特に熱安定性に優れ、分解しにくいことから芳香族系ホスフィン化合物が好ましく用いられる。
【0038】
このような、芳香族系ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ−2,5−キシリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルシクロへキシルホスフィン、ジフェニルプロピルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等のアリール基を有するものが例示されるが、なかでも、トリアリールホスフィンが相溶性を高める点で好ましく、このような、ホスフィン化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明における(D)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して、0.005〜0.3質量部であり、好ましくは0.01〜0.2質量部である。0.005質量部未満では、剥離強度の改善が不十分となり、0.3質量部を超え、多すぎる配合では、強度や耐薬品性が低下するようになる。
【0040】
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、以上の(A)から(D)成分の他に、必要に応じ、(E)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、4級ホスホニウム塩の群から選ばれる少なくとも1種、難燃性の向上のため(F)リン系及び/又はハロゲン系難燃剤や(G)フッ素含有ポリマー、あるいは、耐久性や耐剥離性を向上するために、(H)リン系酸化防止剤を配合することができる。
【0041】
[(E)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、および4級ホスホニウム塩]
本発明における(E)成分は、脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、および4級ホスホニウム塩の群から選ばれる少なくとも1種である。
脂肪族アミン塩及び芳香族アミン塩は、例えば一般式R123N・1/nA1で表すことができ、脂肪族アミン塩のときR1〜R3は、独立して水素原子又は脂肪族基を示す(ただし、全てが同時に水素原子ではない)。芳香族アミン塩のときR1〜R3は、独立して水素原子又は芳香族基を示す(ただし、全てが同時に水素原子ではない)。A1は酸を表し、例えば塩酸、硫酸、硝酸、塩素酸、過塩素酸、酢酸、モノアルキル硫酸、スルホン酸化合物などである。nは、酸A1のアニオンの価数であり、例えば塩酸の場合はn=1、硫酸の場合はn=2である。
【0042】
アンモニウムヒドロキシドは、例えば一般式R4567+・OH-で表すことができる。R4〜R7は、例えば独立して水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す(ただし、全てが同時に水素原子ではない)。
【0043】
このアンモニウムヒドロキシドの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシドなどを挙げることができる。
【0044】
一方、ヒドロキシルアミン塩としては、例えば一般式R89NOH・1/mA2で表すことができ、R8及びR9は、例えば独立に水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す(ただし、全てが同時に水素原子ではない)。A2は酸を示し、mは酸A2のアニオンの価数である。
【0045】
このヒドロキシルアミン塩の例としては、塩酸メチルヒドロキシルアミン、塩酸エチルヒドロキシルアミン、塩酸n−プロピルヒドロキシルアミン、塩酸イソプロピルヒドロキシルアミン、塩酸ジメチルヒドロキシルアミン、塩酸ジエチルヒドロキシルアミン、及びこれらのヒドロキシルアミン類における塩酸を他の酸、例えば硫酸、硝酸、酢酸、モノアルキル硫酸、スルホン酸化合物などに置換したヒドロキシルアミン類などを挙げることができる。
【0046】
また、4級ホスホニウム塩は、特に限定されないが、例えば下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を用いることができる。
(PR4+・(X2- ・・・(I)
(PR4+2・(Y22- ・・・(II)
〔(PR4+-n−P(=O)R”3-n ・・・(III)
上記一般式(I)〜(III)中、Rは有機基を示し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基やシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基などを示す。リン原子に結合する4つのRのうち少なくとも一つはアリール基であることが必要である。また4つのRはたがいに同一でも異なっていてもよく、二つのRが結合して環構造を形成していてもよい。
【0047】
上記一般式(I)中、X2はハロゲン原子、水酸基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、HCO3又はBR’4などの1価の対アニオンを示す。ここで、R’は水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、4つのR’はたがいに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(II)中、Y2はCO3などの2価の対アニオンを示す(2個の1価の対アニオンの場合を含む)。
上記一般式(III)中、R”は炭化水素基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基又は水酸基を示し、R”はたがいに同一でも異なっていてもよく、nは1〜3の整数を示す。
【0048】
上記一般式(I)で表される4級ホスホニウム化合物の具体例としては、例えば、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド、ビフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ビフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムフェノキシド、ビフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、ビフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド又はナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、シクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
【0049】
上記一般式(II)で表されるような2価の対アニオンを有する4級ホスホニウム化合物の具体例としては、例えばビス(テトラフェニルホスホニウム)カーボネート、ビス(ビフェニルトリフェニルホスホニウム)カーボネート、ビス(ナフチルトリフェニルホスホニウム)カーボネートなどの4級ホスホニウム塩や、さらに、例えば2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのビス−テトラフェニルホスホニウム塩、エチレンビス(トリフェニルホスホニウム)ジブロミド、トリメチレンビス(トリフェニルホスホニウム)−ビス(テトラフェニルボレート)なども挙げることができる。
【0050】
上記一般式(III)で表されるようなリン酸塩を有する4級ホスホニウム化合物の具体例としては、例えば、リン酸テトラフェニルホスホニウム、フェニルリン酸テトラフェニルホスホニウム、ジフェニルリン酸テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。
【0051】
ポリカーボネートとポリオレフィンとの相容性を向上させ、剥離を改善する観点からは、これらの4級ホスホニウム塩のうち、上記一般式(I)で表され、リン原子に結合するアリール基を1個以上有するもの、より好ましくは、3個以上有するものがより好ましい。4級ホスホニウム塩は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
本発明においては、前述のように、(E)成分は、(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂が有する全末端官能基に対する末端ヒドロキシル基の割合に応じて、すなわち、末端基に対して末端ヒドロキシル基が30モル%未満であるときに、特に配合することが好ましく、配合することにより、機械的強度や剥離強度などをより向上させることができる。配合する場合、(E)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して、0.0001〜1質量部である。1質量部を超えて配合した場合には、ポリカーボネート樹脂組成物中のポリカーボネートの分子量が低下し、耐薬品性が低下するとともに引張伸度及び衝撃強度が低下するおそれがある。このような点から配合量は、0.0005〜0.5質量部であることがより好ましく、0.001〜0.4質量部であることがさらに好ましい。
【0053】
(E)成分を配合する場合には、(E)成分の脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、4級ホスホニウムは2種類以上組み合わせて用いてもよいが、特に、相容性を向上させ、剥離を改善する観点からは、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドのような4級アンモニウム塩とともに4級ホスホニウム塩とを組み合わせて用いることが好ましく、併用する場合には、アミン類の配合量が4級ホスホニウム塩に対して、0.1〜50倍量の配合量とすることが、仕上がりのポリカーボネートの分子量を制御し、耐薬品性、機械物性を発現する点で好ましい。
【0054】
[(F)リン系および/またはハロゲン系難燃剤]
(F)成分はいわゆる難燃剤であるが、使用で難燃剤には、リン系の難燃剤とハロゲン系の難燃剤とがある。これらのうち、リン系の難燃剤としては赤リンやリン酸エステル系の難燃剤があげられ、リン酸エステル系の難燃剤としては、リン酸エステルのモノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物からなるものがあり、具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート等又はこれらの置換体、縮合物等があげられる。
【0055】
リン酸エステル系難燃剤として好適に用いることができる市販のリン酸エステル化合物としては、たとえば、大八化学工業株式会社製の、TPP〔トリフェニルホスフェート〕、TXP〔トリキシレニルホスフェート〕、CR733S〔レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)〕、CR741〔ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)〕、PX200〔1,3−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、PX201L〔1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、PX202〔4,4'−ビフェニレン−テスラキス)2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートなどを挙げることができる。
上記リン酸エステル系難燃剤は、2価のフェノール類およびAr・OHで表される1価のフェノール類とオキシ塩化燐との反応によって得られる。
【0056】
もう一つの(F)成分であるハロゲン系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ジブロモメチル−ジブロモスクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、ハロゲン化ポリカーボネート及びハロゲン化ポリカーボネートの(共)重合体、これらのオリゴマー(TBAカーボネートオリゴマー)、デカブロモジフェニルエーテル、TBAエポキシオリゴマー、ハロゲン化ポリオレフィン、ハロゲン含有アクリル系樹脂[ハロゲン化ポリベンジル(メタ)アクリレート系樹脂、例えば、ポリ(ペンタブロモベンジル(メタ)アクリレート)などの臭素化ポリベンジル(メタ)アクリレート、ポリ(ペンタクロロベンジル(メタ)アクリレート)などのハロゲン化ベンジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など]、ハロゲン含有スチレン系樹脂[ハロゲン化ポリスチレン(臭素化ポリスチレン、塩素化ポリスチレンなどのスチレン系樹脂をハロゲン化処理したハロゲン化物、ハロゲン化スチレン系単量体の単独又は共重合体など)など]、ハロゲン含有ポリカーボネート系樹脂[臭素化ポリカーボネート、塩素化ポリカーボネートなどハロゲン化ポリカーボネートなど]、ハロゲン含有エポキシ化合物[臭素含有エポキシ樹脂(臭素化エポキシ樹脂など)、塩素化エポキシ樹脂などのハロゲン含有エポキシ樹脂[ハロゲン化エポキシ樹脂など];臭素含有フェノキシ樹脂[臭素化フェノキシ樹脂など]などのハロゲン含有フェノキシ樹脂(ハロゲン化フェノキシ樹脂など)など]、ハロゲン含有リン酸エステル[例えば、トリス(ブロモエチル)ホスフェート、トリス(モノ又はジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(モノ又はジブロモブチル)ホスフェート、トリス(モノ乃至トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ビス(トリブロモネオペンチル)フェニルホスフェート、トリス(モノ乃至トリブロモフェニル)ホスフェートなどの臭素含有リン酸エステルなど]、ハロゲン含有トリアジン化合物(例えば、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジンなどの臭素含有トリアジン化合物など)、ハロゲン含有イソシアヌル酸化合物[例えば、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリス(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、トリス(ペンタブロモベンジル)イソシアヌレートなどの臭素含有イソシアヌル酸化合物など]、ハロゲン化ポリアリールエーテル化合物[例えば、オクタ乃至デカブロモジフェニルエーテル、オクタ乃至デカクロロジフェニルエーテルなどのビス(ハロゲン化アリール)エーテル(例えば、ビス(ハロゲン化フェニル)エーテルなど);臭素化ポリフェニレンエーテルなどのハロゲン含有ポリフェニレンオキシド系樹脂など]、ハロゲン化芳香族イミド化合物[例えば、エチレンビス臭素化フタルイミドなどの臭素化芳香族イミド化合物(例えば、ビスイミド化合物など)など]、ハロゲン化ビスアリール化合物[例えば、臭素化ジフェニルなどのビス(ハロゲン化C6-10アリール);臭素化ジフェニルメタンなどのビス(ハロゲン化C6-10アリール)C1-4アルカン;臭素化ビスフェノールAなどのハロゲン化ビスフェノール類又はその誘導体(ハロゲン化ビスフェノール類のエチレンオキシド付加体を重合した臭素化ポリエステルなど)など]、ハロゲン化脂環族炭化水素[架橋環式飽和又は不飽和ハロゲン化脂環族炭化水素、例えば、ドデカクロロペンタシクロオクタデカ−7,15−ジエンなどのハロゲン化ポリシクロアルカジエンなど]などが挙げられる。
【0057】
これらの(F)成分のリン系および/又はハロゲン系難燃剤はそれぞれ単独であるいは二種以上を組み合わせて使用することができ、これらの成分(F)の含有量は、前記(A)〜(C)からなる成分100質量部に対して、3〜40質量部、好ましくは、5〜25質量部、特に好ましくは、6〜20質量部である。
3質量部以上配合することにより所望の難燃性が得られ、40質量部以下とすることにより耐薬品性、耐熱性、引張伸度、衝撃強度等の低下を避けることができる。
しかしながら、難燃剤を添加することにより、後述する耐剥離性が難燃剤を添加しない場合に比べて低下し、成形品にとって必要とされる難燃性と機械的な特性との兼ね合いにより、難燃剤の配合量を定めることが必要となることはいうまでもないことである。
【0058】
[(G)フッ素含有ポリマー]
(G)成分であるフッ素含有ポリマーとしては、通常フルオロエチレン構造を含む重合体、共重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体があげられる。好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、標準比重から求められる数平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくは500,000〜10,000,000である。
【0059】
本発明で用いることができるポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られているすべての種類のものを用いることができる。なお、ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能力のあるものが好ましい。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。
その具体例としては、例えば、テフロン6−J[三井・デュポンフロロケミカル(株)製]、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201[ダイキン工業(株)製]及びCD076[旭硝子(株)製]等が挙げられる。
【0060】
また、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えば、アルゴフロンF5(モンテフルオス株式会社製)、ポリフロンMPA及びポリフロンFA−100(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
【0061】
これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0062】
これらの(G)成分のフッ素含有ポリマーは、さらなる難燃性の向上(例えば、V−0、5V)のために添加されるもので、その配合量は、成分(A)〜(C)の合計量100質量部あたり0.05〜5質量部である。配合量が0.05質量部未満では滴下防止性に劣り、また5質量部を超えると表面外観や機械物性(衝撃強度)が悪化する。より好ましくは、0.1〜1質量部の範囲である。
【0063】
[(H)酸化防止剤]
本発明における(H)成分である酸化防止剤は、リンを含有していることが好ましく、リン含有酸化防止剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、例えばホスファイト系酸化防止剤やホスホナイト系酸化防止剤等が挙げられる。
【0064】
ホスファイト系酸化防止剤としては、具体的にはトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル化合物が挙げられる。
【0065】
ホスホナイト系酸化防止剤としては、具体的には、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイト等が挙げられる。
【0066】
これらのうち、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリデシルホスファイトが好ましい。
【0067】
また、その他のリン酸エステルとしてトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0068】
これらの(H)成分のリン含有の酸化防止剤は、さらに耐久性や耐剥離性を向上するために添加されるもので、その配合量は、成分(A)〜(C)の合計量に対して、0.01〜1質量部の範囲である。
【0069】
[添加剤]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、上記(A)〜(H)成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、離型剤及び滑剤などがあげられる。
【0070】
[ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分及び必要に応じて用いられる(E)〜(H)成分および各種の添加剤を常法により配合し、溶融混練することにより得ることができる。より好ましくは、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(E)成分のアミン塩など、(B)エポキシ基又はグリシジル基含有ポリオレフィン又はポリオレフィンエラストマー、(D)ホスフィン、(G)フッ素含有ポリマーを押出機にて溶融混練し、ベント口の下流側に(C)ポリオレフィン、(F)難燃剤、(H)リン系酸化防止剤を投入混合して製造する。溶融混練する溶融混練機としては、例えばバンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ及び多軸スクリュー押出機などが挙げられる。溶融混練における加熱温度は、通常220〜300℃、特に250℃程度が適当である。
【0071】
上記条件で溶融混練すると、(B)成分のエポキシ基又はグリシジル基含有ポリオレフィン又はポリオレフィンエラストマーのエポキシ基又はグリシジル基を(D)成分のホスフィンが活性化させ、相溶化成分の生成を促す。それにより、本発明で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、マトリックス相に(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂が、ドメインに(C)成分のポリオレフィン樹脂が存在し、その界面にはポリカーボネートとエポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィンとの反応生成物による相溶化成分が存在するものとなる。適度な相溶化成分の量の介在は界面を安定化させ、ポリカーボネートとポリオレフィンの相溶性が向上し、耐衝撃性、曲げ強度等の機械特性、流動性及び耐薬品性に優れ、剥離し難いポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
【0072】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、公知の成形方法、例えば中空成形、射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形、熱曲げ成形、圧縮成形、カレンダー成形及び回転成形などを適用することにより、成形体とすることができ、特に射出成形による成形法が好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性、曲げ強度、流動性及び耐薬品性に優れるため、射出成形によりこれらの特性が要求される自動車部品、電子機器や情報機器のハウジングなどとして利用可能である。
【0073】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において、GMAはグリシジルメタクリレート、MIはメルトインデックスを示す。
【実施例】
【0074】
実施例及び比較例において用いた(A)〜(F)成分を以下に示す。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
A−1:タフロンFN3000A[出光興産(株)製、分子量29300] OH末端分 率
5モル%
A−2:タフロンFN2600A[出光興産(株)製、分子量25400] OH末端分率
4モル%
A−3:タフロンFN2200A[出光興産(株)製、分子量21500] OH末端分率
3モル%
A−4:溶融法で製造したPC[分子量 19,000] OH末端分率 40モル%
内容積30リットルのSUS316製オートクレーブに、ビスフェノールA 4560g(20モル)、ジフェニルカーボネート4450g(20.8モル)を仕込み、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)をビスフェノールAに対して2.5×10-4モル、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(北興化学工業製 TPPK)を1×10-5モル加え、210℃で30分加熱したのち240℃、270℃、290℃と段階的に昇温し、さらに徐々に真空度を上げ最終的に0.4mmHgにて2時間攪拌混合し、上記A−4に示したポリカーボネートを得た。
なお、末端ヒドロキシル基の量(OH末端分率)は、ポリカーボネート樹脂70mgを重クロロホルム0.6mLに室温下で溶解した後、1H−NMRを測定し(1H核共鳴周波数:500MHz、観測周波数範囲:10000Hz、積算回数:256回)、末端の水酸基由来のピークa(7.06、7.05ppm)、末端のビスフェノールAのフェニルの水素のピーク(6.67、6.65ppm)およびc(4.87ppm)に基づき、算出した。
(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー
B−1:エチレン−GMA共重合体[住友化学(株)製、ボンドファーストE、
GMA含有量12質量%]
B−2:ポリプロピレン−GMAグラフト共重合体[ポリプロピレンとGMAと有機過酸
化物をブレンド後、バッチ式混練にて溶融混練して製造]、GMA含有量9質量%]
(C)ポリオレフィン系樹脂
C−1:ポリプロピレンホモポリマー[プライムポリマー(株)製、J−3000GP、
MI=30g/10分]
C−2:ポリプロピレンブロック重合体[プライムポリマー(株)製、J−785H、
MI=15g/10分]
C−3:ポリプロピレンブロック重合体[プライムポリマー(株)製、E−185G、
MI=0.35g/10分]
C−4:高密度ポリエチレン[プライムポリマー(株)製、ハイゼックス1300J、
MI=12g/10分]
(D)ホスフィン化合物
D−1:トリフェニルホスフィン[北興化学工業(株)製、TPP]
D−2:トリ−p−トリルホスフィン[北興化学工業(株)製、TPTP]
D−3:トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン[北興産化学工業(株)製、
TPAP]
(E)アンモニウムヒドロキシド類
E−1:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド[和光純薬(株)製]
(F)リン系難燃剤
F−1:芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤[大八化学工業(株)製、CR−741]
(G)フッ素含有ポリマー
G−1:ポリテトラフルオロエチレン[旭硝子(株)製、PTFE CD076]
(H)リン含有酸化防止剤
H−1:ホスファイト系酸化防止剤 アデカスタブC[ADEKA(株)製]
【0075】
<試験片の製造方法>
押出機として、供給口を2個有するベント付き二軸押出機[日本製鋼所(株)製、TEX44]を用い、設定温度を250℃とし、スクリュー回転数300rpm、吐出量100kg/時で表1に示すA、B、及びD、E、G成分を溶融混練し、ベント口の下流側にC成分、必要に応じF、H成分を加え目的とするペレットを得た。次いで、次のようにして試験片を作製した。
【0076】
実施例1、2、5、比較例1、2については得られたペレットを110℃で6時間以上乾燥した後、引張り試験片、耐薬品性試験用試験片(TP)については成形温度260℃、金型温度60℃で成形した。また厚み1.5mmの角板については、成形温度280℃、金型温度80℃で成形した。
実施例3、4、6、比較例3〜6については得られたペレットを120℃で6時間以上乾燥した後、引張り試験片、耐薬品性試験用試験片(TP)については成形温度280℃、金型温度80℃で成形した。また厚み1.5mm、1.2mmの角板については、成形温度280℃、金型温度80℃で成形した。
【0077】
<評価方法>
(1)引張強さ・引張弾性率・引張伸び率
JIS K7162に準拠し、厚さ3.2mmの引張りダンベルを作製し評価した。
【0078】
(2)耐薬品性
125×13×3.2mmの試験片を射出成形し、スパン距離80mmの3点曲げ試験法にて、0.7%の歪みをかけた後、マジックリンを含浸させた布をかけ、23℃で168時間放置した後に、外観変化を確認した。サンプル数(n)3で試験を行い、次の基準にしたがい評価した。
3個とも外観変化のないものを「○」
1個でも微細な亀裂が見られるものを「△」
1個でもクラックが見られるものを「×」
【0079】
(3)耐剥離性
(a)フィルムゲート部の剥離性(表面剥離)評価
1.5mm、および1.2mmの厚みで、150×150mm角の試験片をそれぞれフィルムゲート(幅50mm、厚み1mm)充填時間1.2秒にて成形した。
次いで、JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。得られた試験片のゲート中央部から1〜2cmの箇所に碁盤目を1mm間隔で100マス作製し、セロハンテープ(「CT24]、ニチバン(株)製)を用い、指の腹で密着させた後、90°方向に剥離した。判定は、100マスの内、剥離しないマス目の数で表し、表層が剥離しない場合を100/100、完全に剥離した場合を0/100として表した。
なお、この表面剥離性の試験では、難燃剤を含む系は薄肉で剥離しやすく、含まない系は剥離しにくいことから、難燃剤を含む系では、1.5mmの厚みでの剥離性の評価にて明確な差が確認されたが、難燃剤を含まない系では1.5mmの厚みでの剥離性の評価において明確な差が現れなかった。そのため、難燃剤を含まない系では、厚みを1.2mmまで薄くして、より剥離が起きやすい条件で剥離性の評価を行った。
(b)折り曲げ試験による剥離評価
引張り試験片を中央部から両端がつくまで折り曲げ、さらに反対方向に同様に折り曲げた。表面にシワの発生する回数で剥離性を評価した。10回以上は「10<」とした。
このときの試験片は、引っ張り試験同様に厚さ3.2mmのものを使用した。
【0080】
(4)難燃性
UL94に準拠し、125×12.5×1.5mmの試験片使用して行った。
【0081】
〔実施例1〜6、および比較例1〜6〕
表1に示す配合割合で、上記の試験片の製造方法に記載したとおりの方法で試験片を調製して前述した方法により物性評価を行った。得られた結果を表1に示した。
【0082】
【表1】

【0083】
表1によると、フィルムゲートを有する薄肉成形品の場合であっても、表面剥離性に優れ、層状剥離を呈しない成形品が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性及び耐薬品性に優れ、耐衝撃性及び曲げ強度にも優れるため、自動車部品、電子機器や情報機器のハウジングなどに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂50〜94質量%、(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー1〜30質量%、及び(C)ポリオレフィン系樹脂〔成分(B)のポリオレフィン系樹脂は除く〕3〜40質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、(D)ホスフィン化合物0.005〜0.3質量部を含み、かつ溶融混練してなるポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
(A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(E)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩、4級ホスホニウム塩の群から選ばれる少なくとも一種を0.0001〜1質量部を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が16000〜35000である請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーにおけるエポキシ基又はグリシジル基の含有量が1〜20質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
(C)ポリオレフィン系樹脂[成分(B)のポリオレフィン系樹脂は除く]が、メルトインデックス(MI)0.01〜60g/10分である請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項6】
(A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(F)リン系及び/又はハロゲン系難燃剤3〜40質量部を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項7】
(A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(G)フッ素含有ポリマー0.05〜5質量部を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項8】
(A)〜(C)からなる樹脂成分100質量部に対して、(H)酸化防止剤0.01〜1質量部を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる成形体。

【公開番号】特開2012−144604(P2012−144604A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2505(P2011−2505)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】