説明

ポリマー、樹脂組成物、光学部品、光学フィルム、ガスバリア層付光学フィルム、透明導電層付光学フィルム、TFT付光学フィルムおよび画像表示装置

【課題】 優れた耐熱性、光学特性および力学特性を併有するポリマー、樹脂組成物、光学部品、光学フィルム、ガスバリア層付光学フィルム、透明導電層付光学フィルム、TFT付光学フィルムおよび画像表示装置を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)および/または(2)で表される構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマー。
一般式(1)
【化1】


(一般式(1)中、R11、およびR12、R13およびR14は、それぞれ、置換基を表し、a1およびb1は、それぞれ、0〜3の整数を表し、c1およびd1は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
一般式(2)
【化2】


(一般式(2)中、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ、置換基を表し、a2およびd2は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b2およびc2は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性、光学特性および力学特性に優れた新規なポリマー、樹脂組成物、光学部品、光学フィルム、ガスバリア層付光学フィルム、透明導電層付光学フィルム、TFT付光学フィルムおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無機ガラス材料は、透明性および耐熱性に優れ、かつ光学異方性も小さいことから、透明材料として広く使用されている。しかし、無機ガラスは、比重が大きく、かつ脆いため、成型されたガラス製品は重く、破損しやすい等の欠点を有している。このような欠点から、近年は、無機ガラス材料に代替するプラスチック材料の開発が盛んに行われている。
【0003】
こうした無機ガラス材料の代替を目的としたプラスチック材料として、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が知られている。これらのプラスチック材料は、軽量で力学特性に優れ、かつ、加工性にも優れているため、最近では、例えばレンズやフィルムなどの様々な用途に使用されている。
【0004】
一方、液晶表示素子等のフラットパネルディスプレイ分野では、耐破損性の向上、軽量化、薄型化のニーズが高まり、ガラス基板からプラスチックフィルム基板に置き換えることが検討されている。プラスチックフィルム基板はフレキシブルな基板となり得るため、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置の基板として、利用できるため、特に高いニーズがある。
【0005】
上記目的に使用される耐熱性プラスチックとしては、これまでに耐熱性の非晶ポリマー、例えば変性ポリカーボネート(変性PC:例えば、特許文献1の請求項7、[0009]〜[0019]参照)、ポリエーテルスルホン(PES:例えば、特許文献2の[0010]、[0021]〜[0027]参照)、シクロオレフィンコポリマーが(例えば、特許文献3の[0027]〜[0039]参照)知られている。
しかしながら、これらの耐熱性プラスチックを用いてもプラスチックフィルム基板として十分な耐熱性が得られないという問題があった。すなわち、これらの耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板に導電層を形成させた後、配向膜などを付与するため150℃以上の温度に曝した場合、導電性とガスバリア性が大きく低下するという問題があった。また、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する際には、更なる耐熱性が要求されるという問題もあった。
【0006】
さらに、従来のプラスチックフィルム基板は、光学特性の面でガラス基板に劣る。すなわち、ガラスは本質的に光学等方的であるという特性を有するが、プラスチックは、製膜条件と樹脂特有の固有複屈折から、フィルム形状に成形された場合、分子配向に起因する複屈折を発生する。基板として用いられるプラスチックフィルムに複屈折があると、表示の着色・コントラストの低下等、ディスプレイの表示品位の著しい低下をもたらすこととなる。したがって、プラスチックフィルム基板には光学的等方性が要求され、かつ耐熱性を満足することが要求される。
【0007】
プラスチックフィルム基板における光学特性上の問題を解決する一つの方法として、例えば、前述の特許文献1には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下BPFLという)とビスフェノールAを共重合したポリカーボネートが記載されている。特許文献1は、負の複屈折を有するBPFLを用いることによりポリマーとしての複屈折を小さくする技術が記載されている。しかし、特許文献1に記載のポリカーボネートは、低複屈折であるが、耐熱性が不十分であるという欠点があった。また、特許文献4の特許請求の範囲には、スピロビインダンジオールのようなスピロ化合物を用いた低複屈折性ポリカーボネートが記載されている。しかし、特許文献4に記載のポリカーボネートは、低複屈折性ではあるが、力学特性が著しく悪く、成型して得られるフィルムは脆く、実用面では問題があった。
特許文献5の実施例1、実施例19等には、9,9−ビス(アルキル置換−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとテレフタル酸、イソフタル酸からなるポリアリレートで低複屈折かつ高耐熱なポリアリレートが開示されているが、十分なレベルではない。
【0008】
以上のようなことから、高い耐熱性を有し、かつ力学特性や光学特性などの要求性能を十分に満足するプラスチックフィルム基板は未だ見出されておらず、これまでに提案されてきたプラスチック材料の問題点の解決が強く望まれていた。
【0009】
【特許文献1】特開2000−227603号公報
【特許文献2】特開2000−284717号公報
【特許文献3】特開2001−150584号公報
【特許文献4】特開昭63−314235号公報
【特許文献5】国際公開WO99/18141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は従来のプラスチック材料の問題点を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、優れた耐熱性、光学特性および力学特性を併有するポリマーを提供することにある。
また、本発明のもう一つの目的は、前記ポリマー等を用いた樹脂組成物、光学部品、光学フィルム、ガスバリア層付光学フィルム、TFT付光学フィルムおよび画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するため、プラスチック材料を鋭意検討した結果、スピロビフルオレン構造またはその他のスピロ構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とするポリマーによって上記の問題が解決でき、かつ得られた樹脂組成物が耐熱性、光学特性、力学物性などをすべて満足することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の上記の目的は、以下の手段により達成した。
(1)下記一般式(1)および/または(2)で表される構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマー。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ、置換基を表し、a1およびb1は、それぞれ、0〜3の整数を表し、c1およびd1は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ、置換基を表し、a2およびd2は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b2およびc2は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
(2)エステル基、カーボネート基およびウレタン基から選ばれる連結基の少なくとも1種類を主鎖中に有している(1)に記載のポリマー。
(3)(1)および/または(2)に記載のポリマーを含む樹脂組成物。
(4)下記一般式(3)および/または一般式(4)で表される構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマーを用いた光学部品。
一般式(3)
【化3】

(一般式(3)中、環αおよび環βは、単環式または多環式の環を表し、2つの環は同一であっても異なっていてもよく、1つの4級炭素によって連結している。)
一般式(4)
【化4】

(一般式(4)中、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ、置換基を表し、a4およびd4は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b4およびc4は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
(4−2)前記ポリマーが、エステル基、カーボネート基およびウレタン基から選ばれる連結基の少なくとも1種類を主鎖中に有している(4)に記載の光学部品。
(5)(1)および/または(2)に記載のポリマーを用いた光学部品。
(6)下記一般式(3)および/または一般式(4)で表される構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマーを用いた光学フィルム。
一般式(3)
【化5】

(一般式(3)中、環αおよび環βは、単環式または多環式の環を表し、2つの環は同一であっても異なっていてもよく、1つの4級炭素によって連結している。)
一般式(4)
【化6】

(一般式(4)中、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ、置換基を表し、a4およびd4は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b4およびc4は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
(7)(1)および/または(2)に記載のポリマーを用いた光学フィルム。
(8)前記光学フィルムの少なくとも片面にガスバリア層を有する(6)または(7)に記載のガスバリア層付光学フィルム。
(9)(8)に記載のガスバリア層付光学フィルムの少なくとも片面に、透明導電層を有する透明導電層付光学フィルム。
(10)(9)に記載の透明導電層付光学フィルムの該透明伝導層と反対側の片面に、TFTを有するTFT付光学フィルム。
(11)(10)に記載のTFT付光学フィルムを基板として用いた画像表示装置。
(12)液晶表示または有機エレクトロルミネッセンス表示である(11)に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の樹脂組成物は、所定のスピロビフルオレン構造または特定の構造を繰り返し単位として含む。これにより、優れた耐熱性、光学特性および力学特性を全て満たすポリマー等を提供できる。また、本発明の光学部品(例えば、光学フィルム)は、前記ポリマーまたは該ポリマーを含む樹脂組成物を用いるため、本発明によれば、優れた耐熱性、光学特性および力学特性を併有するフィルムを提供できる。また、本発明の画像表示素子およびフラットパネルディスプレイは導電層を有する光学フィルムを用いているため、高品質の画像表示素子およびフラットパネルディスプレイを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明のポリマー、樹脂組成物、光学部品、光学フィルム、ガスバリア層付光学フィルム、透明導電層付光学フィルム、TFT基板付光学フィルムおよび画像表示装置について説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
【0015】
[樹脂組成物およびその中間体]
本発明の下記一般式(1)および/または(2)で表される化学構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマーについて説明する。
【0016】
一般式(1)
【化7】

(一般式(1)中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ、置換基を表し、a1およびb1は、それぞれ、0〜3の整数を表し、c1およびd1は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
【化8】

(一般式(2)中、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ、置換基を表し、a2およびd2は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b2およびc2は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
一般式(1)および(2)中、連結基(−O−)は、芳香環のいずれの炭素に結合してもよいが、スピロ炭素に対し、パラ位およびメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0017】
11〜R24は置換基を表し、好ましい置換基としては、アルキル基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基など)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アリール基(炭素数6〜20が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基など)、アシル基(炭素数2〜10が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)、アシルアミノ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子である。
21、R22、R23およびR24は、置換可能であれば、芳香環のいずれの炭素にも結合してもよいが、スピロ炭素のパラ位およびメタ位が好ましい。
【0018】
本発明の一般式(1)および/または(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーの主鎖中には、連結基として、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、ウレタン基(ウレタン結合)から選ばれる連結基(結合)の少なくとも1種類を主鎖中に有していることが好ましく、種々の結合様式のうち1種類の結合で連結されたポリマーであってもよく、あるいは複数の組み合わせで連結されたポリマーであってもよい。
特に、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、ウレタン基(ウレタン結合)から選ばれる連結基(結合)の少なくとも1種類を主鎖中に有し、かつ、これらの連結基(結合)と、−O−(オキシ結合)、2価の芳香族基、2価の脂肪族基、2価のヘテロ環基、スルホン基(スルホン結合)、アミド基(アミド結合)、イミド基(イミド結合)およびケトン基(ケトン結合)から選ばれる基(結合)の少なくとも1種以上との組み合わせで構成されることがより好ましく、エステル基(エステル結合)を有し、かつ、エステル基と、−O−(オキシ結合)、2価の芳香族基およびケトン基(ケトン結合)の組み合わせから構成されることがさらに好ましい。尚、ここでいう連結基は、スピロ環部分同士を連結する基を意味し、例えば、一般式(1)および/または(2)に含まれる−O−部分も連結基に含む趣旨である。
a1およびb1はそれぞれ0〜3の整数であり、c1およびd1は0であるのが好ましく、a1およびb1は2であり、c1およびd1は0であるのがより好ましい。
また、a2およびd2はそれぞれ0〜3の整数であり、b2およびc2は、0であるのが好ましく、a2およびd2は2であり、b2およびc2は0であるのがより好ましい。
【0019】
以下に、一般式(1)または(2)で表される構造の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記において、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、Acはアセチル基、Phはフェニル基を表す。
【化9】

【化10】

【化11】


【化12】

【0020】
一般式(1)および(2)で表される構造を主鎖中に含有するポリマーは、ホモポリマーであってもよくコポリマーであってもよい。
【0021】
本発明の光学部品および光学フィルムは、下記一般式(3)および/または(4)で表される構造を繰り返し単位として主鎖に含有するポリマーが好ましく、下記一般式(1)および/または(2)で表される構造を繰り返し単位として含有するポリマーがより好ましい。
一般式(3)
【化13】

一般式(3)中、環αおよび環βは、単環式または多環式の環を表し、2つの環は同一であっても異なっていてもよく、1つの4級炭素によって連結している。環αから出ている連結基は、環αを構成する炭素原子のいずれかの位置に結合している。
一般式(4)
【化14】

(一般式(4)中、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ、置換基を表し、a4およびd4は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b4およびc4は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
【0022】
上記一般式(3)中、環αおよび環βは多環式の構造を表すが、2〜5の環が縮合した縮合環であることが好ましく、2〜3環の環が縮合した縮合環であることがより好ましい。環αおよび環βは同一の構造であっても異なる構造であってもよい。多環を構成するそれぞれの環は脂環、芳香環、複素環のいずれであってもよい。連結基が結合する環の構造は、脂環、芳香環または複素環のいずれであってもよいが、芳香環であることが好ましい。
環αおよび環βは置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、アルキル基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基など)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アリール基(炭素数6〜20が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基など)、アシル基(炭素数2〜10が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)、アシルアミノ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子である。
【0023】
上記一般式(4)中、連結基は芳香環のいずれの炭素にも結合してもよいが、スピロ炭素に対しパラ位またはメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
41〜R44は置換基を表すが、好ましい例としては、一般式(1)および/または(2)で示した置換基と同様の置換基が好ましい。a4およびd4はそれぞれ0〜3の整数であり、b4およびc4は、0であるのが好ましく、a4およびd4は2であり、b4およびc4は0であるのがより好ましい。
【0024】
以下に、一般式(3)および(4)の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、下記一般式に上記置換基が結合したものも好ましい例として挙げることができる。
【化15】

【化16】


【化17】

【0025】
上記一般式(3)および/または(4)を繰り返し単位に含まれる連結基は、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、イミド基(イミド結合)、ケトン基(ケトン結合)、エーテル基(エーテル結合)、スルホン基(スルホン結合)、ウレタン基(ウレタン結合)、ウレア基(ウレア結合)などが挙げられるが、好ましくは、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、イミド基(イミド結合)、エーテル基(エーテル結合)であり、特に好ましくは、エステル基(エステル結合)、アミド基(アミド結合)、イミド基(イミド結合)である。種々の結合様式のうち1種類の結合で連結されたポリマーであってもよく、あるいは複数の組み合わせで連結されたポリマーであってもよい。さらに好ましくは、上記一般式(1)および/または(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーの主鎖中に含まれる連結基の好ましい範囲と同義である。
【0026】
本発明のポリマー中に含まれる上記一般式(1)〜(4)で表わされる繰り返し単位構造は、5〜100モル%であることが好ましく、10〜100モル%であることがより好ましく、20〜100モル%であることがさらに好ましい。
【0027】
以下に一般式(1)〜(4)で表される構造を有するポリマーの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の図中のmはメタ置換を、pはパラ置換を示している。
【0028】
【化18】

【0029】
【化19】

【0030】
【化20】

【0031】
【化21】

【0032】
【化22】

【0033】
【化23】

【化24】

【0034】
本発明で用いられる上記一般式(1)〜(4)で表される化学構造を有するポリマーは単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。また、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。コポリマーとする場合、上記一般式(1)〜(4)で表される化学構造を繰り返し単位中に含まない公知の繰り返し単位を、本発明の効果を損ねない範囲で共重合してもよい。なお、コポリマーとした方が溶解性および透明性が改良される場合が多く、好ましく用いることができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物はスピロビフルオレン構造またはスピロ構造を持つビスフェノールまたは類似構造を持つビスアニリンをモノマーとして用いることで合成することができる。具体例を以下に示すが本発明で用いられるモノマーはこれらに限定されるものではない。
【化25】

【0036】
本発明のポリマーは、ガラス転移点温度(Tg)が200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
本発明のポリマーの分子量は、重量平均分子量で10,000〜300,000(ポリスチレン換算)であることが好ましく、20,000〜200,000であることがさらに好ましく、30,000〜150,000であることが最も好ましい。分子量30,000〜300,000程度であれば、プラスチックフィルム基板とした場合に十分な機械的強度が得られる。一方、分子量が500,000以下であれば合成上分子量をコントロールしやすく、かつ適度な溶液の粘度が得られ、取り扱いが容易である。なお、分子量は対応する粘度を目安にすることもできる。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂を混合することもできる。本発明の樹脂組成物で混合可能な樹脂材料は、熱可塑性であっても硬化性樹脂であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、金属の酸化物および/または金属の複合酸化物、ならびにゾルゲル反応により得た金属酸化物を含有することもできる。
【0038】
また本発明の樹脂組成物は、無機層状化合物を含有させることもできる。本発明の樹脂組成物に無機層状化合物を添加することにより、熱変形温度が2〜100℃改善される。また、無機層状化合物を含有する樹脂組成物をプラスチックフィルム基板として使用した場合、ガスバリア性フィルムとしても期待できる。ここで使用される無機層状化合物は、特に限定されるものではないが、膨潤性および/または劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物およびその類似化合物を好適に用いることができる。
【0039】
本発明の樹脂組成物には、その他、必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、および潤滑剤などの各種添加剤(樹脂改質剤)を添加してもよい。また、本発明の樹脂組成物をプラスチックフィルム基板として用いる場合には、剥離フィルムや粘着剤を付加することもできる。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、例えば共立出版の新高分子実験学3に記載された方法により合成することができる。
【0041】
[光学部品および光学フィルム]
本発明のポリマーおよび樹脂組成物は、耐熱性、光学特性、および力学特性等に優れ、光学フィルム、透明導電フィルム基板、TFT基板、液晶表示用基板、有機EL表示用基板、無機EL表示用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、フレキシブル回路用基板、光ディスク基板、光導波路、光ファイバー、レンズ、タッチパネルなどの各種の光学部品に好適に用いることができる。光学部品としてより好ましくは、光学フィルム、レンズ、液晶表示用基板、有機EL表示用基板、太陽電池用基板であり、特に好ましくは光学フィルム、液晶表示用基板、有機EL表示用基板である。
【0042】
また、本発明のポリマーおよび樹脂組成物は、フィルム状またはシート状に成形してフィルムまたは光学フィルムとして用いることができる。フィルム状およびシート状に成形する方法は、公知の方法を採用できるが、溶液流延法、押出成形法(溶融成型法)を用いることが好ましい。
溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号、米国特許第2367603号、米国特許第2492078号、米国特許第2492977号、米国特許第2492978号、米国特許第2607704号、米国特許第2739069号、米国特許第2739070号、英国特許第640731号、英国特許第736892号の各明細書、特公昭45−4554号、特公昭49−5614号、特開昭60−176834号、特開昭60−203430号、特開昭62−115035号の各公報に記載がある。
【0043】
溶液流延法を用いて本発明のフィルムを製造する製造装置の例としては、特開2002−189126号公報の段落[0061]〜[0068]に記載された製造装置、図1および2などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
溶液流延法では、本発明の樹脂組成物を溶媒に溶解する。使用する溶媒は、本発明の樹脂組成物を溶解可能なものであれば特に制限はないが、特に25℃で固形分濃度10質量%以上を溶解できる溶媒を用いることが好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、150℃以下のものがさらに好ましい。沸点を200℃以下とすることにより、溶媒を十分乾燥でき、フィルム中に溶媒が残存するのをより効果的に防ぐことができる。
【0045】
このような溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、シクロヘキサノン、アニソール等が挙げられるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0046】
上記溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。混合溶媒の例としては、塩化メチレンに炭素数1〜5のアルコールを1種ないし数種を混合した溶媒が挙げられる。この場合、アルコールの含有量は、溶媒全体に対して5〜20質量%であることが好ましい。さらに、炭素数3〜12のエーテル、ケトンおよびエステルを適宣混合した溶媒が好ましい例として挙げられ、この場合、炭素数1〜5のアルコールを1種ないし数種混合してもよい。また、発明協会公開技報2001−1745号、段落6に記載の有機溶媒の例なども好ましい例として挙げられる。
【0047】
溶液流延に用いる溶液中における本発明の樹脂組成物の濃度は、5〜60質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。樹脂組成物の濃度を5〜60質量%とすることにより、適度な粘度がより容易に得られ、厚さの調節がより容易であり、かつ良好な製膜性がより容易に得られる。
【0048】
溶液流延する方法は特に限定されないが、例えば、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター等を用いて平板またはロール上に流延することができる。
【0049】
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。第一段階としては30〜100℃で溶媒の濃度が10質量%以下、好ましくは5%質量以下になるまで乾燥し、次いで、第二段階として平板またはロールからフィルムを剥がし、60℃〜樹脂のTg℃の温度範囲で乾燥することが好ましい。
なお、平板またはロールからフィルムを剥がす場合、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、一旦冷却してから剥がしてもよい。
【0050】
押出成型法の条件は、一般的な光学樹脂で用いられる条件と同様であり、溶融温度としては、180〜350℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。
【0051】
本発明のフィルムは延伸されていてもよい。延伸によりフィルムの耐折強度など機械的強度が改善され、取り扱い性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTMD1504、以下ORSと略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善され好ましい。ここにいう、ORSは延伸フィルムまたは延伸シートに内在する、延伸により生じた内部応力である。
【0052】
延伸は、公知の方法を用いることができ、例えば、本発明の樹脂のTg℃より10℃高い温度から50℃高い温度の間で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法、プレス2軸延伸法により延伸できる。延伸倍率は好ましくは1.1〜3.5倍、より好ましくは1.2〜2.5倍である。
【0053】
本発明のフィルムの厚みは特に限定されないが、30〜700μmであることが好ましく、40〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。また、いずれの場合もヘイズは3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。また、本発明のフィルムの全光透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、Reが0〜5.0nmであるのが好ましく、Reが0〜2.0nmであるのがより好ましい。
本発明の光学フィルムは、また、引張弾性率が、1500〜350)MPaであるのが好ましく、1800〜3000MPaであるのがより好ましい。
さらに、本発明の光学フィルムは、ガラス転移温度が200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
特に、本発明の光学フィルムは、Re、引張弾性率およびガラス転移温度のいずれもが上記範囲内であることがさらに好ましい。
本明細書において、Re(λ)は波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。波長λとしては、通常450〜750nmの範囲の値が用いられる。本願においては、632.8nmの値を用いている。
【0054】
本発明の光学フィルム表面には用途に応じて他の層、または他の部品との密着性を高める目的で、フィルム表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行うことができる。さらに、フィルム表面にアンカー層を設けてもよい。
【0055】
本発明の光学フィルムは、少なくとも片面側に透明導電層を積層してもよい。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等を適用できる。中でも、透明性、導電性、機械的特性に優れた金属酸化物膜を透明導電層とすることが好ましい。金属酸化物膜は、例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムまたは酸化スズの金属酸化物膜;不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
【0056】
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよい。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、Cat−CVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号の各公報記載の方法で成膜することができる。中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
【0057】
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、またはプラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Pa、より好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。透明導電層を形成する前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、またはコロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
【0058】
このようにして得られた透明導電層の膜厚は、20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
【0059】
透明導電層の25℃60%RH(relative humidity)で測定した表面電気抵抗は、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、0.1〜100Ω/□であることがより好ましく、0.5〜60Ω/□であることがさらに好ましい。また、透明導電層の光透過性は、80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
【0060】
本発明のフィルムは、ガス透過性を抑制するために、少なくとも片面側にガスバリア層を積層することもできる。好ましいガスバリア層としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウムおよびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物で形成された膜を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物で形成された膜がより好ましく採用することができる。これら無機化合物からなるガスバリア層は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、Cat−CVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製できる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるスパッタリング法およびCat−CVD法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50〜250℃に昇温してもよい。
【0061】
上記ガスバリア層の厚みは、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。
【0062】
上記ガスバリア層は、透明導電層と同じ側、反対側いずれに設けてもよいが、透明電極層とは反対側に設けることが好ましい。
【0063】
本発明の光学フィルムのガスバリア性能は、40℃90%RHで測定した水蒸気透過度が0〜5g/m2・dayであることが好ましく、0〜3g/m2・dayであることがより好ましく、0〜2g/m2・dayであることがさらに好ましい。また、40℃90%RHで測定した酸素透過度は、0〜1ml/m2・day・atmであることが好ましく、0〜0.7ml/m2・day・atmであることがより好ましく、0〜0.5ml/m2・day・atmであることがさらに好ましい。ガスバリア性能が上記範囲内であれば、例えば有機ELやLCDに用いた場合、水蒸気および酸素によるEL素子の劣化を実質的になくすことができるため好ましい。
【0064】
ガスバリア性能を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を形成することが好ましい。欠陥補償層としては、例えば、(1)米国特許第6171663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層、(2)米国特許第6413645号明細書、第64163645号明細書に記載の有機物層を用いることができる。これらの欠陥補償層は、真空下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、または塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させることにより作製することができる。欠陥補償層を塗布方式で作製する場合には、従来の種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
【0065】
本発明のフィルムには耐薬品性付与を目的として無機バリア層、有機バリア層、有機−無機ハイブリッドバリア層などを設けてもよい。
【0066】
[画像表示素子およびフラットパネルディスプレイ]
本発明の光学フィルムは、薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として用いることができる。TFTアレイの作製方法は、例えば、特表平10−512104号公報に記載された方法等を用いることができる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターは、いかなる方法を用いて作製してもよいが、フォトリソグラフィー手法を用いて作製することが好ましい。
【0067】
以上説明した本発明の樹脂組成物、およびそれを用いた光学フィルムは、画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置は特に限定されず、従来知られているものを挙げることができる。また、本発明の光学フィルムを基板として用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明の樹脂および光学フィルムは、フラットパネルディスプレイ以外にも太陽電池、タッチパネルなどの用途にも応用が可能である。タッチパネルは、例えば、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
【0068】
本発明の光学フィルムを基板として液晶表示用途などで使用する場合、光学的均一性を達成するため、本発明の樹脂組成物は非晶性ポリマーであることが好ましい。さらに、レタデーション(Re)、およびその波長分散を制御する目的で、固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。
【0069】
本発明の光学フィルムは、レタデーション(Re)を制御し、ガス透過性や力学特性を改善する観点からは、異種樹脂組成物を組み合わせて積層等することが好ましい。異種樹脂組成物の好ましい組み合わせは特に制限はなく、前記したいずれの樹脂組成物も使用可能である。
【0070】
本発明の光学フィルムを反射型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、および偏光膜の構成を有することが好ましい。このうち本発明の光学フィルムは、透明電極および/または上基板として用いることができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に形成することが好ましい。
【0071】
本発明の光学フィルムを透過型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、および偏光膜の構成を有することが好ましい。このうち本発明の光学フィルムは上透明電極および/または上基板として用いることができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0072】
液晶セルは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-P1ane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta1)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optica1ly Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、表示モードの液晶表示装置に用いることも有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置に用いても有効である。
【0073】
液晶セルおよび液晶表示装置は、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206)、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc.of the-18th-Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para-A(LCD/PDP International 99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the-18th-Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開W098/48320号公報、特許第3022477号公報、および国際公開WO00/65384号公報等に記載されている。
【0074】
本発明の光学フィルムは、有機EL表示用途に使用できる。有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
【0075】
本発明の光学フィルムが使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2〜40V)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。これら発光素子の駆動については、例えば、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号等の各公報、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、日本特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
【0076】
有機ELのフルカラー表示方式としては、カラーフィルター方式、3色独立発光方式、色変換方式などいずれの方式を用いてもよい。
【0077】
液晶表示措置、有機EL表示装置の駆動方式としてはパッシブマトリックス、アクティブマトリックスのいずれでもよい。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0079】
特性値の測定方法
(1)重量平均分子量
東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用いて、テトラヒドロフランもしくはDMFを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定によりポリスチレンの分子量標準品と比較して重量平均分子量を求めた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
セイコー(株)製、DSC6200を用いて、DSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)によりTgを測定した。
(3)フィルム基板の厚さ
アンリツ(株)製、K402Bを用いて、ダイヤル式厚さゲージによりフィルム基板の厚さを測定した。
(4)レタデーション(Re)
フィルム面内方向、波長632.8nmにおける値を自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA-21ADH)を用いて測定した。
(5)フィルム基板の光線透過率
波長550nmにおける光線透過率を分光光度計(島津製作所(株)製、分光光度計UV−3100PC)を用いてフィルム基板の光線透過率を測定した。
(6)フィルム基板の力学特性
フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を作製し、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)を用いて引張弾性率を測定した。測定は3サンプル行い、その平均値を求めることにより評価した(サンプルは25℃、RH60%で一晩放置後使用。チャック間距離3cm)。
【0080】
(実施例1)
<モノマーM−1の合成>
モノマーM−1は、以下に示すルートに従って合成した。
【化26】

フルオレノン18.0g(0.10mol)、3,3‘−ジヒドロキシビフェニル18.6g(0.10mol)、ZnCl240.8gおよび濃塩酸30mLの混合物を190℃にて5h反応させた。反応物を室温まで冷却した後、水500mLを投入し、酢酸エチル500mLにて有機物を抽出した。有機層を3回水洗した後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて単離・精製することにより、M−1 3.5gを得た(収率10%)。
M−1 1H NMR (DMSO−d6):6.00(S、2H)、6.65(d、2H)、6.75(d、2H)、7.14(t、2H)、7.39(t、2H)、7.71(d、2H)、7.98(d、2H)、9.23(s、2H)
【0081】
(実施例2)
<モノマーM−2の合成>
モノマーM−2は、以下に示すルートに従って合成した。
【化27】

【0082】
2,7−ジメトキシフルオレン11.3g(50mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)500mLに溶解させ、NaOCH32.7g(50mmol)を添加し、空気を吹き込みながら室温にて1時間反応させた。反応混合物に水を投入し、酢酸エチルにて有機層を抽出後、水洗し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。カラムクロマトグラフィーにて単離・精製することにより、2,7−ジメトキシフルオレノン6.7gを得た(収率58%)。
Mg0.25gにTHF5mLを添加し、ヨウ素を少量添加した後、加熱還流させた。ここへ、化合物 2.33gとTHF10mLの溶液を20分かけて滴下した。2時間リフラックスにて反応させた後、化合物 2.64gのTHF7mLの溶液を20分かけて滴下した。1時間反応後、室温まで冷却したところ、結晶が析出した。これをろ別、乾燥することで化合物を5.4g得た(収率63%)。
化合物を酢酸中にてリフラックスすることにより、定量的に化合物を得た。
3.6gの化合物を塩化メチレン70mLに溶解させ、BBr31.8mLを滴下した。加熱還流状態にて2時間反応させた後、水を投入し、酢酸エチルにて有機層を抽出し、水洗の後、乾燥した。濃縮したものを酢酸エチル/ヘキサンから結晶化することでM−2 2.8gを得た(収率84%)。
【0083】
M−2 1H NMR (DMSO−d6) : 5.92(S、2H)、6.65(d、2H)、6.70(d、2H)、7.14(t、2H)、7.39(t、2H)、7.60(d、2H)、7.98(d、2H)、9.10(s、2H)
【0084】
(実施例3) 例示化合物(P−8)の作製
モノマーM−1を69.7g(200mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライド2.78g(10mmol)、ハイドロサルファイトナトリウム0.6g、ジクロロメタン375mLおよび水750mLを、攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中で300rpmの攪拌速度で撹拌した。この中へ、テレフタル酸ジクロライド20.3g(100mmol)とイソフタル酸ジクロライド20.3g(100mmol)をジクロロメタン250mLに溶解させた溶液と、2M(2N)のNaOH水溶液210mLとを滴下装置を用いて1時間かけて滴下した。5時間後、ジクロロメタン300mLを添加して有機相を分離した。さらに12M(12N)塩酸水2.0mlを水1Lで希釈した溶液を添加して有機相を洗浄した。さらに水750mLで2回洗浄した後、分離した有機相にジクロロメタン300mLを添加して希釈した後、激しく撹拌した7.5Lのメタノール中に1時間かけて投入した。
得られた白色沈殿を濾取し、40℃で12時間加熱乾燥した後、70℃減圧下で3時間乾燥し、93.5gの例示化合物P−8を得た。
得られた例示化合物P−8の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量100,000であった。また、DSCで測定したTgは340℃であった。
【0085】
(実施例4) 例示化合物(P−17)の作製
モノマーとして上記M−2を用いて、実施例3と同様の方法により例示化合物P−17を合成した。
得られた例示化合物P−17の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量120,000であった。また、DSCで測定したTgは335℃であった。
【0086】
(実施例5) 例示化合物(P−35)の作製
モノマーとして上記M−4を用いて、実施例3と同様の方法により例示化合物P−35を合成した。
M−4はHelv.Chim.Acta、62巻、2285〜2303項(1979年)に記載の方法にて合成できる。
得られた例示化合物P−35の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量110,000であった。また、DSCで測定したTgは338℃であった。
【0087】
(実施例6) 例示化合物(P−39)の作製
モノマーとして上記M−5を用いて、実施例3と同様の方法により例示化合物P−39を合成した。
M−5はJ.Indian.Chem.Soc.誌、997〜1006項(1930年)に記載の方法にて合成できる。
得られた例示化合物P−39の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量110,000であった。また、DSCで測定したTgは334℃であった。
【0088】
(実施例7) 例示化合物(P−52)の作製
モノマーとしてM−1、M−2、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドおよびトリホスゲンをもちいて、実施例3と同様の方法により例示化合物P−52を合成した。
得られた例示化合物P−52の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量90,000であった。また、DSCで測定したTgは340℃であった。
【0089】
(比較例1)
以下に示す方法により下記ポリアリレート(IND−1)を得た。
【化28】

モノマーとしてテレフタル酸ジクロライドとイソフタル酸ジクロライド(モル比1:1の混合物)および6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンを用いて、実施例3と同様の方法にてIND−1を合成した。
得られた化合物IND−1の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量90,000であった。また、DSCで測定したTgは282℃であった。
【0090】
(比較例2)
以下に示す方法により下記ポリアリレート(FL−1)を得た。
【化29】

【0091】
モノマーとしてテレフタル酸ジクロライドとイソフタル酸ジクロライド(モル比1:1の混合物)および9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)−フルオレンを用いて、実施例3と同様の方法により例示化合物FL−1を合成した。
得られた化合物FL−1の分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量100,000であった。また、DSCで測定したTgは305℃であった。
【0092】
(実施例8) 本発明の光学フィルムの作製
実施例3〜7および比較例1、2で作製した樹脂組成物を塩化メチレンに溶解して、15〜25質量%の溶液を調製した。この溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、温度80℃で2時間加えて100℃で4時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離し、フィルムF−1〜F−7を作製した。得られたフィルムF−1〜F−7の熱物性、光学物性および力学物性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
表1より、本発明のフィルムF−1〜F−5は、比較例F−6および比較例F−7と比較すると、Reが小さく、低複屈折性を有していることが分かる。また本発明のフィルムは、比較例F−6および比較例F−7と比較すると、Tgも向上していることが分かる。また、フィルムの引張弾性率は、F−1〜F−5において1500MPa以上を有しており、実用上問題ないレベル(例えば、1800MPa以上)である。
以上の結果より、本発明のフィルムF−1〜5は良好な力学物性、ガラス転移温度を有し、かつ、低い複屈折を達成していることが分かる。
【0095】
(実施例9) 本発明のフラットパネルディスプレイの作製および評価(TN型液晶表示装置)
1.ガスバリア層の形成
上記のフィルムF−1〜F−7の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Si02をターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。
【0096】
2.透明導電層の形成
ガスバリア層を設置したフィルムF−1〜F−7を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を片面に設けた。
【0097】
3.透明導電層付光学フィルムの加熱処理
上記で得られた透明導電層を設置したフィルムF−1〜F−7を、TFT設置を想定して300℃で1時間の加熱処理を行った。
なお、フィルムF−6はこの加熱処理により形状が著しく変化したため、さらなる評価は行なわなかった。
【0098】
4.円偏光膜の作製
本発明のフィルム基板F−1〜F−5および比較例のフィルム基板F−7の透明導電層の反対側に、特開2000−826705号公報、特開2002−131549号公報に記載のλ/4板を積層し、さらにその上に特開2002−865554号公報に記載の偏光板を積層し円偏光板を形成した。なお、偏光膜の透過軸とλ/4板の遅相軸との角度は45°となるように配置した。
【0099】
5.TN型液晶表示装置の作製
本発明のフィルム基板F−1〜F−5および比較例フィルム基板F−7、並びに微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板の透明導電層(ITO)側に、それぞれポリイミド配向膜(SE-7992、日産化学(株)製)を形成し、200℃で30分熱処理した。本発明のフィルム基板F−1〜F−5を用いたものは、抵抗値の増加とガス透過性の増加は全く見られなかった。これに対し、比較例フィルム基板F−7を用いたものは抵抗値およびガス透過性が2倍以上に増大した。
さらに、ラビング処理を行った後、1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板(ガラス基板とプラスチック基板)を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110°の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC-6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70°、Δndの値が269nmのTN型液晶セルを作製した。
さらに、フィルム基板のITOと反対面に上記λ/4板、偏光板を積層し反射型液晶表示装置を作製した。
本発明のフィルム基板F−1〜F−5を用いたものは良好な画像が得られた。一方、比較例フィルム基板F−7を用いたものは、ガスバリア性の低下に起因する黒点故障(画層部に細かな黒い点となり画像が表示されない)や、導電層の割れに起因する色ずれが発生した。
【0100】
(実施例9)
本発明のフラットパネルディスプレイの作製および評価(有機EL表示装置)
上記で加熱処理を行った透明導電層を形成した光学フィルムの透明電極層より、アルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
【0101】
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製) : 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体) : 1質量部
ジクロロエタン :3200質量部
【0102】
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
【0103】
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX-50S、宇部興産製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
【0104】
ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製): 10質量部
1−ブタノール : 3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物 : 20質量部
【0105】
【化30】

【0106】
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料A〜Fを得た。
【表2】

【0107】
得られた有機EL素子試料A〜Fをソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。本発明の試料A〜Eは、発光することを確認した。一方、比較試料Fは一瞬発光したもののすぐに発光しなくなった。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の樹脂は、耐熱性、光学特性、力学特性等に優れているため、透明導電フィルム基板、TFT基板、液晶表示用基板、有機EL表示用基板、無機EL表示用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、光ディスク基板等用の光学フィルム、光導波路、光ファイバー、レンズ、タッチパネルなどの光学部品およびフラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイなどに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)および/または(2)で表される構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマー。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ、置換基を表し、a1およびb1は、それぞれ、0〜3の整数を表し、c1およびd1は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ、置換基を表し、a2およびd2は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b2およびc2は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
【請求項2】
エステル基、カーボネート基およびウレタン基から選ばれる連結基の少なくとも1種類を主鎖中に有している請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
請求項1および/または2に記載のポリマーを含む樹脂組成物。
【請求項4】
下記一般式(3)および/または一般式(4)で表される構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマーを用いた光学部品。
一般式(3)
【化3】

(一般式(3)中、環αおよび環βは、単環式または多環式の環を表し、2つの環は同一であっても異なっていてもよく、1つの4級炭素によって連結している。)
一般式(4)
【化4】

(一般式(4)中、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ、置換基を表し、a4およびd4は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b4およびc4は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
【請求項5】
請求項1および/または2に記載のポリマーを用いた光学部品。
【請求項6】
下記一般式(3)および/または一般式(4)で表される構造を繰り返し単位として主鎖中に含有するポリマーを用いた光学フィルム。
一般式(3)
【化5】

(一般式(3)中、環αおよび環βは、単環式または多環式の環を表し、2つの環は同一であっても異なっていてもよく、1つの4級炭素によって連結している。)
一般式(4)
【化6】

(一般式(4)中、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ、置換基を表し、a4およびd4は、それぞれ、0〜3の整数を表し、b4およびc4は、それぞれ、0〜4の整数を表す。)
【請求項7】
請求項1および/または2に記載のポリマーを用いた光学フィルム。
【請求項8】
前記光学フィルムの少なくとも片面にガスバリア層を有する請求項6または7に記載のガスバリア層付光学フィルム。
【請求項9】
請求項8に記載のガスバリア層付光学フィルムの少なくとも片面に、透明導電層を有する透明導電層付光学フィルム。
【請求項10】
請求項9に記載の透明導電層付光学フィルムの該透明伝導層と反対側の片面に、TFTを有するTFT付光学フィルム。
【請求項11】
請求項10に記載のTFT付光学フィルムを基板として用いた画像表示装置。
【請求項12】
液晶表示または有機エレクトロルミネッセンス表示である請求項11に記載の画像表示装置。

【公開番号】特開2006−89585(P2006−89585A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276502(P2004−276502)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】