説明

ポリマーを含む潤滑組成物

本発明は、潤滑粘度の油と、ポリマー骨格および少なくとも1個のアミノ基を含む添加剤とを含む潤滑組成物を提供する。本発明は、さらに、添加剤が分散特性および/または分散粘度調整特性を有することを提供する。その潤滑組成物は、内燃機関を潤滑するのに好適である。本発明の潤滑組成物は、(i)0.5wt%以下の硫黄含有量、(ii)0.1wt%以下のリン含有量および(iii)1.5wt%以下の硫酸灰分含有量のうちの少なくとも1つの特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑粘度の油と、ポリマー骨格および少なくとも1つのアミノ基を含む添加剤とを含む潤滑組成物を提供する。本発明は、さらに、その添加剤が分散特性および/または分散性粘度調整特性を有することを提供する。その潤滑組成物は、内燃機関を潤滑するのに好適である。
【背景技術】
【0002】
エンジン製造業者は、粒子状排出物の排出、他の汚染物質の排出を最小限に抑えるため、清浄のためならびに燃費および燃料効率を向上させるために、エンジン設計を改良することに集中してきた。エンジン設計の改良の1つとして、排気ガス再循環(EGR)エンジンの使用がある。エンジンの設計および運転の改良が貢献しているが、エンジン油潤滑剤の改良された配合も、また、清浄度を高め、エンジンの作動中に蓄積するエンジン堆積物を最小限に抑え得る。しかしながら、エンジン設計の強化のいくつかは、すすやスラッジの形成および/または蓄積の増加を引き起こしている。
【0003】
増加したすすによる増粘は、へビィデューティーディーゼルエンジン(heavy duty diesel engine)では、よくあることである。いくつかのディーゼルエンジンは、EGRを用いている。EGRエンジンで形成されたすすは、異なる構造を有し、そして、EGRを有しないエンジンでのすすの形成より低いすすのレベルで、エンジン潤滑剤の粘度を増加させる。すす形成を緩和する試みが、以下に要約される参考文献に開示されている。
【0004】
無水マレイン酸で十分にグラフトされかつ様々なアミンと反応されたエチレン−プロピレンコポリマーから製造された従来の分散性粘度調整剤(DVM)が、ディーゼルエンジンでの油の増粘を防ぐ所望の性能を示している。芳香族アミンが、この点において、良好な性能を示すと言われている。このタイプのDVMが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4に開示されている。
【0005】
特許文献1は、4−アミノジフェニルアミン等の芳香族アミンでキャップされた無水マレイン酸でグラフトされたエチレン−プロピレンコポリマーを用いることによって、EGRのすすを抑制することを開示している。
【0006】
特許文献5は、粘度指数向上剤として官能化されたグラフトコポリマーを開示しており、その官能化されたグラフトコポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸物質でグラフトされかつアゾ含有芳香族アミン化合物で誘導体化されたエチレンα−モノオレフィンコポリマーを含む。
【0007】
特許文献6は、不飽和の反応性モノマーでグラフトされかつその後スルフォンアミド単位を含むアミンと反応したポリマーを含む、潤滑油のための多官能性粘度指数向上剤を開示している。そのポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーまたはエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのいずれかである。
【0008】
特許文献7は、アミド含有芳香族アミン物質で誘導体化されたエチレン性不飽和カルボン酸でグラフトされたエチレンα−モノオレフィンコポリマーを開示している。
【0009】
特許文献8は、無水マレイン酸でグラフトされ、スルフォンアミド、ニトロアニリン、二芳香族(diaromatic)ジアゾ化合物、アニリドまたはフェノキシアニリドでキャップされたエチレン−プロピレンコポリマーを開示している。そのコポリマーは、EGRのすすを抑制するのに有用である。
【0010】
潤滑剤に好適な他の分散性粘度調整ポリマーが、検討されており、英国特許第768701号の開示を包含するポリアクリル酸コポリマーを包含する。
【0011】
特許文献9は、コハク酸化ポリブテンがアルキルポリアミンと縮合されスクシンイミド分散剤を生成するかまたはアルキルポリオールと縮合されコハク酸エステル分散剤を生成する、組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,863,623号明細書
【特許文献2】米国特許第6,107,257号明細書
【特許文献3】米国特許第6,107,258号明細書
【特許文献4】米国特許第6,117,825号明細書
【特許文献5】米国特許第5,409,623号明細書
【特許文献6】米国特許第5,356,999号明細書
【特許文献7】米国特許第5,264,140号明細書
【特許文献8】国際公開第06/015130号
【特許文献9】米国特許第4,234,435号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の発明者らは、(i)粘度増加を減少させること(多くの場合、100℃で、6重量%以上のすすの充填で、12mm/sec(cSt)未満)が可能な潤滑組成物および/または(ii)広範な温度範囲にわたって相対的に安定した粘度を維持する潤滑油組成物のうちの少なくとも一方を提供することが、望ましいであろうということを見いだした。これは、粘度指数向上剤またはDVMは、広範な温度範囲にわたって粘度を抑制しかつすすを抑制するために使用され得るからである。したがって、もし粘度指数向上剤が(i)および(ii)を達成することが可能であれば、それも望ましいことであり得る。
【0014】
本発明の発明者らは、上記潤滑組成物が(i)分散性(dispersancy)、(ii)清浄および(iii)潤滑剤に、許容レベルの、すすによる増粘および/またはスラッジ形成を提供することのうちの少なくとも1つを提供可能であることを見出した。したがって、もし添加剤が、分散特性を提供し、かつ潤滑剤に、許容レベルの、すすによる増粘および/またはスラッジ形成を必要に応じて提供することが可能であれば、それも望ましいことであり得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの実施形態では、本発明は、潤滑粘度の油および式(1):
【0016】
【化1】

により表される添加剤を含む潤滑組成物を提供し、式中、
BBは、ポリマー骨格であり;(上記式より明らかなように、[ ]内に含まれる1つ以上の基が骨格ポリマーに結合しているであろう);
Gは、−A−C(O)−または−C(O)−A−であり;
Qは、イミド基またはアミド基のいずれかであり、ここで、Qは、(i)上記イミド基または上記アミド基の窒素原子を介してGに直接結合しているか、または、(ii)ポリアミンの残基を介してGに結合しているかのいずれかであり(Qは、全体的にBBから垂下するか、または、オレフィン−無水マレイン酸コポリマーまたはその反応性同等物から誘導された骨格におけるように、BB鎖内に部分的に埋め込まれていてもよい。当該コポリマーはアミンと少なくとも部分的に反応され当該アミド基または当該イミド基を形成する);
Aは、芳香族基であり;
Eは、独立して、ハロゲン、ニトロ基、カルボン酸もしくはカルボン酸エステル、スルファミド基、アミド基またはヒドロカルビル基であり;
wは、1〜10または1〜5または1〜3であり;
mは、0〜6または0〜4であり;
Zは、独立して、−O−、−S−または>NR(代表的には、−O−または>NR)であり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基(例えば、1〜4個の炭素原子を含む)であり(Rは代表的には水素であるが);
nは、1〜10、1〜4または1〜2であり;
kは、0〜10、0〜3または0〜1であり;
kがゼロでない場合、Xはヒドロカルビル基であり、そして、kがゼロの場合、Xは水素またはヒドロカルビル基であり(上記X基は、また、ヒドロカルビル基またはヒドロカルビレン基であってもよく、それぞれ、窒素、酸素または硫黄等の少なくとも1個のヘテロ原子を含み、例えば、ポリアミンから誘導されるようなものであってもよい);
Vは、独立して、−NHRまたは−Q−BBであり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基(例えば、1〜4個の炭素原子を含む)であり(Rは代表的には水素であるが);
kがゼロでない場合、jは、1〜10、1〜4または1〜2であり;そして、
uは、上記ポリマー骨格に結合しているペンダント基の数である)。
【0017】
代表的には、Gが−A−C(O)−である場合、上記添加剤はポリイソブチレンスクシンイミド以外であってもよい。
【0018】
代表的には、BB−Q−がポリイソブチレンスクシンイミドまたは他のマレイン酸化ポリマー骨格のいずれかである場合、Qは、上記イミド基または上記アミド基の窒素原子を介してAに直接結合している(Gの定義内に規定されたように)。
【0019】
代表的には、BB−Q−がポリイソブチレンスクシンイミドから誘導されかつ式(1)の( )nにより表される基を供給する化合物で後処理される場合、Qは、ポリアミンの残基を介してAに結合している。
【0020】
代表的には、Gが−C(O)−A−である場合、上記添加剤は、ポリイソブチレンスクシンイミドの後処理物であってもよい。
【0021】
1つの実施形態では、本発明は、潤滑粘度の油および式(1)(式中、kは0〜3であり、nは1〜4であり、Rは水素であり、Rは水素である)により表される添加剤を含む潤滑組成物を提供する。
【0022】
1つの実施形態では、以下の式(1)により表される上記添加剤は、
【0023】
【化2】

(式中、各可変部は、上記で定義されたとおりである)である。
【0024】
1つの実施形態では、本発明は、潤滑粘度の油および以下の式(1a)により表される添加剤を含む潤滑組成物を提供する:
【0025】
【化3】

(式中、BB、Q、G、E、m、w、Z、R、n、R、X、j、V、kおよびuは、式(1)と同様に定義される)。
【0026】
1つの実施形態では、本発明は、潤滑粘度の油および以下の式(1b)により表される添加剤を含む潤滑組成物を提供する:
【0027】
【化4】

(式中、BB、Q、Z、R、n、R、X、j、V、w、kおよびuは、式(1)と同様に定義される)。
【0028】
1つの実施形態では、本発明は、内燃機関を潤滑する方法を提供し、当該方法は、当該内燃機関に、本明細書中で開示される潤滑組成物を供給する工程を含む。
【0029】
1つの実施形態では、本発明は、式(1)または式(1a)または式(1b)の添加剤の、分散剤または分散性粘度調整剤としての、潤滑剤中での使用を提供する。
【0030】
1つの実施形態では、本発明は、式(1)または式(1a)または式(1b)の添加剤の、分散剤または分散性粘度調整剤としての、内燃機関用潤滑剤中での使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、上記で開示されたように、潤滑組成物およびエンジンを潤滑するための方法を提供する。
【0032】
本発明で使用される場合、用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」は、当業者に周知の、その通常の意味で、用いられる。具体的には、それは、分子の残りの部分に直接結合している炭素原子を有しかつ主に炭化水素の特性(hydrocarbon character)を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例としては以下のものが挙げられる:
(i)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキルまたはアルケニル)置換基、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基ならびに芳香族置換された芳香族置換基、脂肪族置換された芳香族置換基および脂環式置換された芳香族置換基、さらに環状置換基(当該環状置換基中、その環は、分子の別の部分を介して完全なものとなっている(例えば、2個の置換基が一緒になって環を形成する));
(ii)置換された炭化水素置換基、すなわち、本発明の状況下では、置換基の主に炭化水素の性質(hydrocarbon nature)を変えない非炭化水素基(例えば、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソおよびスルホキシ)を含む置換基;
(iii)ヘテロ置換基、すなわち、主に炭化水素の特性を有するが、本発明の状況下では、炭素以外のものを環または鎖(さもなければ炭素原子からなる)の中で含む置換基;そして、
(iv)ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、窒素を包含し、そして、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般的に、2個以下、好ましくは1個以下の非炭化水素置換基が、ヒドロカルビル基中に炭素原子10個ごとに存在し、代表的には、ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基はない。
【0033】
(式(1)、式(1a)および式(1b)の化合物)
上記ポリマー骨格は、もしそれが少なくとも1つのカルボン酸官能基またはカルボン酸官能基の反応性同等物(例えば、無水物またはエステル)を含むならば、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。そのカルボン酸官能基またはカルボン酸官能基の反応性同等物は、式(1)内ではQとして定義される。そのポリマー骨格は、骨格上にグラフトされたそのカルボン酸官能基(またはカルボン酸官能基の反応性同等物)を、そのポリマー骨格内にまたはそのポリマー骨格の末端基として有してもよい。
【0034】
式(1)中、BB−Q−単位は、例えば、ポリイソブチレン無水コハク酸、無水マレイン酸−スチレンコポリマー、無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステル、(α−オレフィン無水マレイン酸)コポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたスチレンエチレン−αオレフィンポリマー;ポリメタクリレート;ポリアクリレート;ポリヒドロキシカルボン酸(ポリヒドロキシステアリン酸を包含する);無水マレイン酸グラフトコポリマー((i)水素化アルケニルアリール共役ジエンコポリマー(特に、スチレン−ブタジエンの水素化コポリマー)、(ii)無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィン(特に、エチレン−プロピレンコポリマー)または(iii)水素化イソプレンポリマー(特に水素化スチレン−イソプレンポリマー));またはこれらの混合物から誘導可能であってもよい。
【0035】
式(1)のBBを表す好適なポリマー骨格の例としては、ポリメタクリレートもしくはポリアクリレート、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンの水素化コポリマー、イソブチレン−イソプレンコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー等のエチレンα−モノオレフィンコポリマー、ポリイソブテン、水素化スチレン−イソプレンポリマー、水素化イソプレンポリマー、水素化アルケニルアリール共役ジエンコポリマー、ポリオレフィン、無水マレイン酸−スチレンコポリマー(またはその無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステル)、または(α−オレフィン無水マレイン酸)コポリマーあるいはこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態では、BB−Q−は、ポリイソブチレン無水コハク酸またはその混合物から誘導される。
【0036】
ポリメタクリレートまたはポリアクリレートについて、そのカルボン酸基は式(1)のQの範囲で定義される。
【0037】
ポリマーの骨格内に無水マレイン酸単位を含むコポリマー(多くの場合、インターポリマーまたは交互コポリマーと呼ばれる)(例えば、無水マレイン酸−スチレンコポリマーまたは(α―オレフィン無水マレイン酸)コポリマー)について、その無水マレイン酸単位は式(1)のQの範囲で定義される。
【0038】
本明細書中に記載されるポリマー骨格は、潤滑剤技術では公知のものである。例えば:
(i)無水マレイン酸ポリマーおよびスチレン含有ポリマーは、米国特許第6,544,935号より公知のものであり;
(ii)スチレン−エチレン−αオレフィンポリマーは、国際公開第01/30947号に教示されているものであり;
(iii)イソブチレンおよびイソプレンから誘導されたコポリマーは、分散剤の調製に用いられてきたものであり、かつ国際公開第01/98387号に報告されたものであり;
(iv)スチレン−ブタジエンおよびスチレン−イソプレンのコポリマーは、独国特許第3,106,959号;ならびに米国特許第5,512,192号および米国特許第5,429,758号を包含する多数の参照文献に記載されたものであり;
(v)ポリイソブチレン無水コハク酸は、米国特許第4,234,435号および米国特許第3,172,892号を包含する多数の公報に記載されているものであり;
(vi)エチレン−プロピレンコポリマーは、米国特許第4,632,769号、米国特許第4,517,104号および米国特許第4,780,228号に記載されているものであり;
(vii)(α−オレフィン無水マレイン酸)コポリマーは、米国特許第5,670,462号に記載されているものであり;
(viii)ポリメタクリレートおよびポリアクリレートは、Neudoerfl,P.,5th International Colloquim,additives for Lubricants and Operational Fluids,Volume 11,sections 8.2−1 to 8,2−15に記載されているものであり;そして
(ix)ポリヒドロカルボン酸は、欧州特許出願公開第1 752 516号に記載されているものである。
【0039】
そのポリマー骨格のうちの多くは、また、Chemistry and Technology of Lubricants,Second Edition(R.M.MortierおよびS.T.Orszulik編集、Blackie Academic & Professional出版)に記載されているものである。特に、144〜180ページでは、ポリマー骨格(i)〜(iv)および(vi)〜(ix)のうちの多くを論じている。(v)の化学的性質が86〜90ページに、より詳細に記載されている。
【0040】
本発明のポリマー骨格(ポリイソブチレン以外のもの)は、数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ、ポリスチレン標準による)が、最大150,000またはそれより大きく、例えば、1,000〜または5,000〜であり、〜150,000または〜120,000または〜100,000であってもよい。好適な数平均分子量の範囲の例としては、10,000〜50,000または10,000〜15,000または30,000〜50,000が挙げられる。1つの実施形態では、そのポリマー骨格は、5,000より大きい数平均分子量、例えば、5000より大きく150,000までの数平均分子量を有する。また、上記で特定された分子量の限定の他の組み合わせが意図される。
【0041】
本発明のポリマー骨格がポリイソブチレンである場合、数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ、ポリスチレン標準による)は、350〜5000または550〜3000または750〜2500であってもよい。市販のポリイソブチレンポリマーは、550、750、950〜1000、1650または2250の数平均分子量を有する。
【0042】
1つの実施形態では、Aは、1〜6個のまたは1〜4個のまたは1〜2個のまたは1個だけの6員環を含む芳香族基である。Aが1つの6員環である場合、その環は、置換されたフェニル(式1aにより表される)またはフェニル(式(1b)により表される)のいずれかである。1つの実施形態では、Aはフェニルである。
【0043】
式(1)および式(1a)は、Eにより表される基を含んでもよい。Eの定義は、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素等のハロゲンを包含する。代表的には、Eがハロゲンである場合、Eは塩素である。1つの実施形態では、Eはハロゲンではない。
【0044】
Eの定義の範囲内の他の好適な基としては、ニトロ基、カルボン酸もしくはカルボン酸エステル、スルファミド基、アミド基またはヒドロカルビル基が挙げられる。そのヒドロカルビル基としては、代表的には、C1〜4アルキル基または任意に置換された芳香族基が挙げられる。任意に置換された芳香族基としては、代表的には、ベンジル、フェニルまたはナフチルが挙げられる。
【0045】
mがゼロの場合、その芳香族環は非置換であり、そして、Eは水素で置き換えられて芳香族炭素原子の原子価を満たす。式(1b)は、Eが水素で置き換えられて芳香族炭素原子の原子価を満たす場合、添加剤を表す。
【0046】
基−Q−G−Z−は、アントラニル酸無水物または置換されたアントラニル酸無水物から(mが式(1)中でゼロでない場合)誘導可能であってもよい。好適なアントラニル酸無水物の例としては、イサト酸無水物、8−メチルイサト酸無水物、8−エチルイサト酸無水物、8−プロピルイサト酸無水物、8−ブチルイサト酸無水物、ナフチルアントラニル酸無水物またはこれらの混合物がある。1つの実施形態では、式(1a)および式(1b)は、イサト酸無水物から誘導された添加剤を表す。
【0047】
式(1)の化合物は、代表的には、[ ]内に、1〜2000個または1〜500個または5〜250個または1〜4個の範囲の数の基を有する。
【0048】
1つの実施形態では、[ ]内の基の数は、1〜5個の範囲であり、そして、そのポリマー骨格(BB)はポリイソブチレンである。
【0049】
1つの実施形態では、[ ]内の基の数は、5〜250個の範囲であり、そして、そのポリマー骨格としては、無水マレイン酸−スチレンコポリマー、無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステル、(α−オレフィン無水マレイン酸)コポリマー;ポリメタクリレート;ポリアクリレート;ポリヒドロキシカルボン酸;(i)水素化アルケニルアリール共役ジエンコポリマー、(ii)無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンまたは(iii)水素化イソプレンポリマーの、無水マレイン酸グラフトコポリマー;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
1つの実施形態では、[ ]内の基の数は、5〜250個の範囲であり、そして、そのポリマー骨格としては、無水マレイン酸でグラフトされたポリオレフィンまたはこれらの混合物が挙げられる。そのポリオレフィンは、エチレン−プロピレンコポリマーであってもよい。
【0051】
kがゼロに等しい場合、そのヒドロカルビル基は、代表的には、アリール基および少なくとも1個のヘテロ原子を含む。そのヘテロ原子は、窒素、硫黄、酸素またはこれらの混合物であってもよい。1つの実施形態では、そのヘテロ原子は窒素である。
【0052】
Zは、(i)アミン(当該アミンは、第1級アミノ基または第2級アミノ基を含む)、(ii)アルコール、(iii)アミノアルコールおよび(iv)チオールまたは(v)これらの混合物から誘導可能であってもよい。1つの実施形態では、Zはアミンから誘導可能であってもよい。
【0053】
そのアミンは、モノアミンまたはポリアミンであってもよい。そのアミンは芳香族アミンまたは非芳香族であってもよい。
【0054】
好適なポリアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、N−メチルエチレンジアミン、N−タロー(C16〜C18)−1,3−プロピレンジアミン、N−オレイル−1,3−プロピレンジアミン、ポリエチレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよび「ポリアミンボトム(bottom)」(または「アルキレンポリアミンボトム」)が挙げられる。1つの実施形態では、そのポリアミンとしては、ポリアルキレンポリアミンが挙げられる。そのポリアミンのうちの1つから誘導された式(1)の添加剤は、分散特性を有すると考えられる。
【0055】
一般的に、アルキレンポリアミンボトムは、物質(約200℃未満で沸騰する)を2(重量)%未満、通常1(重量)%未満、有すると特徴付けられてもよい。そのようなエチレンポリアミンボトムの代表的な実例としては、テキサス州フリーポートのDow Chemical社の「HPA−X(商標)」と呼ばれるものからまたはHuntsman社から「E−100(商標)」として得られるものがある。これらのアルキレンポリアミンボトムは、二塩化エチレン法を用いて調製されてもよい。
【0056】
芳香族アミンは、2個の連結された芳香族部分を有するアミンであってもよい。用語「芳香族部分」は、単環式基および多環式基の両方を包含するように意図される。芳香族アミンは、代表的には、Zから誘導可能なペンダントカルボニル含有基と縮合可能なN−H基を有するであろう。
【0057】
多環式基は、ナフチル基またはアントラニル基にみられるように、芳香族環が2カ所で別の環と縮合している縮合タイプであってもよい。また、多環式基は、少なくとも2つの環(単環式または多環式のいずれか)が架橋結合によって互いに連結している連結タイプであってもよい。これらの架橋結合は、当業者に公知のものの中でも、アルキレン結合、エーテル結合、エステル結合、ケト結合、スルフィド結合、2〜6個の硫黄原子のポリスルフィド結合、スルホン結合、スルフォンアミド結合、アミド結合、アゾ結合およびいかなる原子も介在しない基の間の直接炭素−炭素結合から選択されてもよい。他の芳香族基としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジンおよびチオフェン等の、ヘテロ原子を含むものが挙げられる。本明細書中で有用な芳香族基の例としては、ベンゼン、ナフタレンおよびアントラセンから、好ましくベンゼンから誘導された芳香族基が挙げられる。また、これら様々な芳香族基のそれぞれは、ヒドロカルビル置換基を包含する様々な置換基によって置換されていてもよい。
【0058】
その芳香族アミンは、一般的に、1個以上の反応性(縮合可能な)アミノ基を含んでもよい。単一の反応性アミノ基が、時折好ましい。上述のN,N−ジメチルフェニレンジアミンの場合のような、複数のアミノ基も、特にもしそれらが相対的に穏やかな条件の下添加剤の過剰な架橋またはゲル化(gellation)を回避するように反応されるならば、同様に有用であり得る。
【0059】
1つの実施形態では、その芳香族アミンは、例えばアミド構造により連結された複数の芳香族環を含む染料中間体から誘導される。例としては、以下の一般構造の物質およびこれらの異性体バリエーションが挙げられる:
【0060】
【化5】

(式中、RおよびRiiは、独立して、アルキル基またはアルコキシ基(例えば、メチル、メトキシまたはエトキシ)である)。1つの例では、RおよびRiiは両方とも−OCHであり、そして、その物質は、Fast Blue RR[CAS#6268−05−9]として知られているものである。連結しているアミド基の方位は、−NR−C(O)−に変えられてもよい。
【0061】
別の例では、Riiは−OCHでありかつRは−CHであり、そして、その物質は、Fast Violet B[99−21−8]として知られているものである。RおよびRiiが両方ともエトキシである場合、その物質は、Fast Blue BB[120−00−3]である。米国特許第5,774,429号は、他の芳香族アミン化合物、詳しくはアミノアルキルフェノチアジンを開示している。N−芳香族置換酸アミド化合物、例えば、米国特許出願公開第2003/0030033A1号に開示されているものが、また、本発明の目的のために用いられてもよい。好適な芳香族アミンとしては、アミン窒素が芳香族炭素環式化合物上の置換基であるもの、すなわち、その窒素が芳香族環内でSP混成でないものが挙げられる。
【0062】
1つの実施形態では、その芳香族アミンは、−O−基により連結された2個の芳香族部分を有するアミンであってもよい。そのようなアミンの例として、フェノキシアニリンまたはアミノフェニルフェニルエーテルとしても知られ以下の式により表され得るフェノキシフェニルアミンおよびその様々な位置異性体(4−フェノキシ、3−フェノキシおよび2−フェノキシアニリン)がある。
【0063】
【化6】

その芳香族基のいずれかまたは両方は、ヒドロカルビル置換基、アミノ置換基、ハロ置換基、スルホキシ置換基、ヒドロキシ置換基、ニトロ置換基、カルボキシ置換基およびアルコキシ置換基を包含する置換基を有してもよい。そのアミン窒素は、示されたように、第1級アミン窒素であってもよく、または、それは第2級、すなわち、さらなる置換基(例えば、ヒドロカルビル、好ましくはメチル等の短鎖アルキル)を有してもよい。1つの実施形態では、その芳香族アミンは、上記で示された非置換の物質である。
【0064】
その芳香族アミンは、−N=N−基、アゾ基により連結された2個の芳香族部分を有するアミンであってもよい。そのような物質は、以下の式により表され得る。
【0065】
【化7】

式中、各Xは独立してNまたはCHであり、そして、R基は、水素であるかまたはフェノキシフェニルアミンについて上述されたような置換基である。それゆえ、それぞれまたはRiiiおよびRivは、独立して、H、−NH、−CH等のヒドロカルビルまたはアルキル、−Cl等のハロ、−SOHまたは−SONa等のスルホキシであり;そして、R、RviおよびRviのそれぞれは、独立して、H、−OH、−NO、−SOH、−CONa等のカルボキシまたは−OC等のアルコキシである。これらの物質は、米国特許第5,409,623号(第4欄参照)に、より詳細に記載されている。
【0066】
1つの実施形態では、そのアゾ連結芳香族アミンは、以下の式により表されるもの、すなわち、4−(4−ニトロフェニルアゾ)アニリンさらにその位置異性体である。
【0067】
【化8】

その示された物質は、ジスパースオレンジ(Disperse Orange)3として知られる染料として市販されている。
【0068】
1つの実施形態では、芳香族アミンは、−C(O)O−基により連結された2個の芳香族部分を有するアミンであってもよい。各基は、酸素連結アミンおよびアゾ連結アミンについて上述されたように、置換されていてもよい。1つの実施形態では、このアミンは、以下の式により表されるものと、さらにその位置異性体である。
【0069】
【化9】

その示された物質は、4−アミノサリチル酸フェニルまたは4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルであり、いずれも市販されている。
【0070】
1つの実施形態では、その芳香族アミンは、以下のN,N−ジアルキルフェニレンジアミンの式により表されるジアミンであってもよい。
【0071】
【化10】

式中、RixおよびRは、独立して、水素またはヒドロカルビル基(代表的には、1〜6個の炭素原子を含む)であってもよい。
【0072】
特に有用な化合物の例は、RixおよびRの両方を水素として定義する(N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン)。
【0073】
1つの実施形態では、その芳香族アミンは、−SO−基により連結された2個の芳香族部分を有するアミンであってもよい。その芳香族部分のそれぞれは、酸素連結アミンおよびアゾ連結アミンについて上述されたように、置換されていてもよい。1つの実施形態では、その連結は、−SO−に加えて、さらに、−NR−または具体的には−NH−基を含み、よって、全体の連結は−SONR−または−SONH−となる。1つの実施形態では、この芳香族アミンは、以下の式により表される。
【0074】
【化11】

その示された構造は、4−アミノ−N−フェニル−ベンゼンスルフォンアミドの構造である。その市販されるバリエーションは、スルファメタジン、すなわち以下の式により表されると考えられるN’−(4,6−ジメチル−2−ピリミジニル)スルファニルアミド(CAS番号:57−68−1)である。
【0075】
【化12】

スルファメタジンは市販されている。
【0076】
その芳香族アミンは、ニトロ置換されたアニリンであってもよく、そのアニリンは、同様に、酸素連結アミンおよびアゾ連結アミンについて上述されたような置換基を有し得る。ニトロアニリンのオルト置換、メタ置換およびパラ置換異性体が含まれる。1つの実施形態では、そのアミンは3−ニトロアニリンである。
【0077】
他の好適な芳香族アミンの例としては、アミノ置換芳香族化合物およびアミン窒素が芳香族環の一部となっているアミン(例えば、3−アミノキノリン、5−アミノキノリンおよび8−アミノキノリン)が挙げられる。また、芳香族環に直接結合している1個の第2級アミノ基およびイミダゾール環に結合している第1級アミノ基を含む芳香族アミン(例えば、2−アミノベンズイミダゾール)が挙げられる。。他のアミンとしては、N−(4−アニリノフェニル)−3−アミノブタンアミドまたは3−アミノプロピルイミダゾールまたは2,5−ジメトキシベンジルアミンが挙げられる。
【0078】
その芳香族アミンは、また、アミノキノリンであってもよい。市販の物質としては、3−アミノキノリン、5−アミノキノリン、6−アミノキノリンおよび8−アミノキノリンならびにこれらの同族体(例えば、4−アミノキナルジン)が挙げられる。
【0079】
その芳香族アミンは、また、2−アミノベンズイミダゾール等のアミノベンズイミダゾールであってもよい。
【0080】
その芳香族アミンは、また、上述のような様々な置換基を含む環置換ベンジルアミンであってもよい。そのようなベンジルアミンの1つとしては、2,5−ジメトキシベンジルアミンがある。
【0081】
特に有用な芳香族アミンの例としては、アニリン、N−メチルアニリンおよびN−ブチルアニリン等のN−アルキルアニリン、ジ(パラ−メチルフェニル)アミン、4−アミノジフェニルアミン、N,N−ジメチルフェニレンジアミン、ナフチルアミン、4−(4−ニトロフェニルアゾ)アニリン(ジスパースオレンジ3)、スルファメタジン、4−フェノキシアニリン、3−ニトロアニリン、4−アミノアセトアニリド(N−(4−アミノフェニル)アセトアミド))、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステル(アミノサリチル酸フェニル)、N−(4−アミノフェニル)ベンズアミド、2,5−ジメトキシベンジルアミン等の様々なベンジルアミン、4−フェニルアゾアニリンおよびこれらの置換バージョンが挙げられる。他の例としては、パラ−エトキシアニリン、パラ−ドデシルアニリン、シクロヘキシル置換ナフチルアミンおよびチエニル置換アニリンが挙げられる。
【0082】
追加的な芳香族アミンおよび関連する化合物が、米国特許第6,107,257号および米国特許第6,107,258号に開示され、そして、これらのうちのいくつかとしては、アミノカルバゾール、ベンゾイミダゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノインダゾリノン、アミノペリミジン、メルカプトトリアゾ−ル、アミノフェノチアジン、アミノピリジン、アミノピラジン、アミノピリミジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、アミノチアジアゾール、アミノチオチアジアゾールおよびアミノベンゾトリアゾールが挙げられる。他の好適なアミンとしては、3−アミノ−N−(4−アニリノフェニル)−N−イソプロピルブタンアミドおよびN−(4−アニリノフェニル)−3−{(3−アミノプロピル)−(ココアルキル)アミノ}ブタンアミドが挙げられる。
【0083】
1つの実施形態では、その芳香族アミンは、酸化防止剤として有用であり得る。この点において特に重要なものとしては、ノニルジフェニルアミンおよびジノニルジフェニルアミン等のアルキル化ジフェニルアミンがある。これらの物質がポリマー鎖のカルボン酸官能基と縮合する限り、それらも本発明中での使用に適する。しかしながら、アミン窒素に結合している2個の芳香族基が立体障害や反応性の低下を引き起こし得ると考えられる。それゆえ、好適なアミンとしては、第1級窒素原子(−NH)を有するものまたはヒドロカルビル置換基の1つが相対的に短鎖のアルキル基(例えば、メチル)である第2級窒素原子を有するものが挙げられる。そのような芳香族アミンには、4−フェニルアゾアニリン、4−アミノジフェニルアミン、2−アミノベンズイミダゾールおよびN,N−ジメチルフェニレンジアミンがある。これらの芳香族アミンおよび他の芳香族アミンのうちのいくつかは、また、分散特性および他の特性に加えて、酸化防止性能をポリマーに付与し得る。
【0084】
上述の芳香族アミンは、単独で用いられてもよく、または、互いに組み合わせて用いられてもよい。それらは、また、追加的な、芳香族アミンまたは非芳香族アミン(例えば、脂肪族アミン)(1つの実施形態では、1〜8個の炭素原子を有する)と併用され得る。他の芳香族アミンとしては、アミノジフェニルアミン等のアミンが挙げられ得る。これらの追加的なアミンは、様々な理由で含まれ得る。残りの酸官能基のいくつかが相対的により巨大な芳香族アミンと不完全に反応する傾向にあるかもしれない場合に、ポリマーの酸官能基の完全な反応を確保するために、脂肪族アミンを含むことが、時折、望ましい場合がある。代替的に、その脂肪族アミンは、その芳香族アミンの性能の大部分を維持しつつ、より高価な芳香族アミンの一部を置き換えてもよい。脂肪族モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよび様々な高級アミンが挙げられる。ジアミンまたはポリアミンが、その機能のために用いられてもよく、このことは、一般にそれらが単一の反応性アミノ基のみを有すること、すなわち第1級基または第2級基、代表的には、第1級基を有することを条件とする。ジアミンの好適な例としては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリドン、アミノエチルモルホリンおよびアミノプロピルモルホリンが挙げられる。そのようなアミンの量は、代表的には、その芳香族アミンの量と比較して少量、すなわち、重量またはモルを基準にして、存在する全アミンの50%未満である。しかし、70〜130%または90〜110%等のより多い量が用いられてもよい。代表的な量としては、10〜70重量%または15〜50重量%または20〜40重量%が挙げられる。これらの範囲内における4−フェノキシアニリンとジメチルアミノプロピルアミンとの特定の組み合わせを用いることは、例えば、すす懸濁の観点から特に良好な性能を提供する。特定の実施形態では、そのポリマーは、3個以上の様々なアミンで、例えば、3−ニトロアニリン、4−(4−ニトロフェニルアゾ)アニリンおよびジメチルアミノプロピルアミンで、官能基化されていてもよい。
【0085】
1つの実施形態では、その芳香族アミンは、キシリレンジアミン、アニリン、4−アミノジフェニルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3,4−ジメトキシフェネチルアミン、1,4−ジメチルフェニレンジアミンおよびこれらの混合物からなる群より選択されてもよい。
【0086】
1つの実施形態では、その芳香族アミンは、キシリレンジアミン、アニリン、4−アミノジフェニルアミン、1,4−ジメチルフェニレンジアミンおよびこれらの混合物からなる群より選択されてもよい。
【0087】
その芳香族アミンのうちの1つからかつポリイソブチレンポリマー骨格から誘導された式(1)の添加剤が、分散特性を有すると考えられる。アニリンまたは4−アミノフェニルアミンから誘導された分散性添加剤の好適な構造の例としては、以下の式
【0088】
【化13】

により表されるものであってよい。
【0089】
その芳香族アミンのうちの1つからかつ非ポリイソブチレンポリマー骨格から誘導された式(1)の添加剤は、分散性粘度調整特性を有すると考えられ、そして特にすすの抑制に有用である。アニリンまたは4−アミノフェニルアミンから誘導されたDVM添加剤の好適な構造の例としては、以下の式により表されるものであってよい。
【0090】
【化14】

【0091】
【化15】

式中、BBはエチレン−プロピレンコポリマーであり、そして、uは上記で定義されている。このタイプの添加剤は、無水マレイン酸でグラフトされかつ官能基化されてイミド基を形成しているエチレン−プロピレンコポリマーから誘導されると考えられる。
【0092】
1つの実施形態では、Zは、アミノアルコールから誘導可能であってもよい。そのアミノアルコールは、1個以上の水酸基および1個以上のアミノ基を含んでもよい。そのアミノアルコールは、本発明の様々な実施形態では、1〜6個または1〜3個の水酸基、1〜8個または1〜2個のアミノ基および2〜50個または2〜40個または2〜25個または2〜15個の炭素原子を含んでもよい。そのアミノアルコールは、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミンまたはこれらの混合物であってもよい。好適なアミノアルコールの例としては、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、セリノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールまたはこれらの混合物が挙げられ得る。
【0093】
1つの実施形態では、Zはアルコールから誘導可能であってもよい。そのアルコールは、一価アルコール、多価アルコールまたはこれらの混合物であってもよい。
【0094】
好適な一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、3−ヘプタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、3,7−ジメチルオクタノールおよびいわゆるゲルベアルコール(例えば、商品名Isofolのもと(Condea社から)市販されているもの)が挙げられ、これらの混合物も包含する。ゲルベアルコールの具体的な例としては、Isofol 12、14T、16、18T、18E、20、24、28、32、32Tおよび36がある。
【0095】
好適な多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、エリスリトール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(トリメチロールエタン)、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(トリメチロールプロパン)、1,2,4−ヘキサントリオール、ジヒドロキシプロパン、ジヒドロキシブタン、ジヒドロキシペンタン、グリセリン、トリヒドロキシプロパン、トリヒドロキシブタン、トリヒドロキシペンタン、グリセロール、エリスリトール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(トリメチロールエタン)、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(トリメチロールプロパン)、1,2,4−ヘキサントリオールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0096】
1つの実施形態では、Zは、チオールまたはその混合物から誘導可能であってもよい。好適なチオールの例としては、チオグリコール酸、チオエタノール(2−メルカプトエタノール)、C8〜10−チオールアルコール、ベンジルメルカプタン、チオフェノールまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
本発明の添加剤を調製するプロセスは、ワンポット反応(one pot reaction)またはツーポット反応(two−pot reaction)のいずれかであってもよい。
【0098】
1つの実施形態では、本発明は、潤滑組成物を提供し、当該潤滑組成物は、
(a)潤滑粘度の油;および
(b)以下のプロセスによって取得される/取得可能な添加剤
を含み、
当該プロセスは、
(1)アントラニル酸無水物;
(2)以下:
(i)無水物基;
(ii)カルボン酸基;または
(iii)アシル基;
を含むポリマー;および
(3)以下:
(i)第1級アミノ基または第2級アミノ基を含む、アミン;
(ii)アルコール;
(iii)アミノアルコール;および
(iv)チオール、
から選択される群のうちの少なくとも1つのメンバー
を反応させて当該添加剤を形成する工程を含む。
【0099】
略述されたそのプロセスは、(1)、(2)および(3)をどのような順番で反応させてもよい。そのプロセスが(2)および(3)を反応させ、続いて(1)と反応させる場合、形成された生成物は、アントラニル酸無水物で後処理されたものとして記載されてもよい。代表的には、後処理された生成物は、ポリアミンから誘導され得るポリイソブチレンスクシンイミドを含む。後処理された生成物のための非限定的な反応スキームは、以下である。
【0100】
【化16】

ポリイソブチレン(Pib)の性質は、上述のものと同一であってもよい。当業者であれば、上記で示された生成物はアミンと反応する4モルのイサト酸無水物を示すが、他の生成物が1個または2個のイサト酸無水物ペンダント基から誘導され得ることを理解するであろう。1モルのイサト酸無水物がそのポリイソブチレンスクシンイミドと反応する場合、その反応は、第1級アミノ基と動的に反応すると考えられる。その反応スキームは、以下により表され得る。
【0101】
【化17】

上記反応スキームは、また、上述の他のポリアルキレンポリアミンに対して同様に適用されるだろう。
【0102】
1つの実施形態では、本発明は、潤滑組成物を提供し、当該潤滑組成物は、
(a)潤滑粘度の油;および
(b)以下のプロセスによって取得される/取得可能な添加剤
を含み、
当該プロセスは、
(1)アントラニル酸無水物(代表的には、イサト酸無水物)を、
(i)第1級アミノ基または第2級アミノ基を含む、アミン;
(ii)アルコール;
(iii)アミノアルコール;または
(iv)チオール
のいずれかと反応させて生成物を形成する工程;および
(2)工程(1)の生成物を、以下:
(i)無水物基;
(ii)カルボン酸基;または
(iii)アシル基
を含むポリマーと反応させて当該添加剤を形成する工程
を含む。
【0103】
上記で略述されたプロセスは、ワンポットプロセスまたはツーポットプロセスいずれかであると見なされてもよい。ワンポットプロセスは、代表的には、すべての反応体を容器内に、生成物を形成する前に、投入する。ツーポットプロセスは、代表的には、(1)および(2)を容器内で、後の(3)との反応前に、反応させる。その反応がワンポットプロセスまたはツーポットプロセスによって行われるかどうかに関わらず、そのアントラニル酸無水物はアミン、アミノアルコール、アルコールまたはチオールから選択される反応体と最初に反応して生成物を形成し、その生成物がポリマーと反応すると考えられる。
【0104】
上述のプロセスは、40℃〜180℃または50℃〜170℃の範囲の反応温度で行われてもよい。
【0105】
その反応は、溶媒の存在下で行われてもよくまたは溶媒の存在下で行われなくてもよい。好適な溶媒の例としては、希釈用油、ベンゼン、t−ブチルベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ヘキサン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0106】
その反応は、大気中または不活性雰囲気中のいずれかで行われてもよい。好適な不活性雰囲気の例としては、窒素またはアルゴン、代表的には窒素が挙げられる。
【0107】
(潤滑粘度の油)
上記潤滑組成物は、潤滑粘度の油を含む。そのような油としては、天然油および合成油、水素化分解、水素添加および水素化仕上げ(hydrofinishing)から得られる油、未精製油、精製油および再精製油ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0108】
未精製油は、天然源または合成源から直接得られ一般的に追加的な精製処理をしていない(または少し行った)ものである。
【0109】
精製油は、それらが1つ以上の精製工程で追加的に処理され1つ以上の特性を改善している点以外は、未精製油と類似する。精製技術は、当該技術分野では公知であり、そして、溶媒抽出、二次蒸留、酸抽出または塩基抽出、濾過、パーコレーション等を包含する。
【0110】
再精製油は、また、再生油または再加工油として知られており、そして、精製油を得るために用いられるプロセスと類似するプロセスによって得られ、また使用済みの添加剤および油分解物の除去のために行われる技術によってさらに処理されることが多い。
【0111】
本発明の潤滑剤を製造するのに有用な天然油としては、動物油、植物油(例えば、ヒマシ油)、鉱物潤滑油(例えば、液体石油およびパラフィン、ナフテンもしくはパラフィン−ナフテン混合タイプの溶媒処理または酸処理された鉱物潤滑油)および石炭もしくは頁岩から得られる油またはこれらの混合物が挙げられる。
【0112】
合成潤滑油は有用であり、そして、その合成潤滑油としては、例えば以下の炭化水素油が挙げられる:重合オレフィンおよび相互重合(interpolimerised)オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)およびこれらの混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化ポリフェニル);ジフェニルアルカン、アルキル化ジフェニルアルカン、アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドならびにこれらの誘導体、類似体および同族体またはこれらの混合物。
【0113】
他の合成潤滑油としては、ポリオールエステル(例えばPriolube(登録商標)3970)、ジエステル、リン含有酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレシル、リン酸トリオクチルおよびデカンホスホン酸のジエチルエステル)またはポリマーテトラヒドロフランが挙げられる。合成油は、フィッシャー−トロプシュ反応により製造されてもよく、代表的には、水素異性化(hydroisomerised)フィッシャー−トロプシュの炭化水素またはワックスであってもよい。1つの実施形態では、油は、フィッシャー−トロプシュのガスツーリキッド(gas−to−liquid)合成法さらに他のガスツーリキッド油により調製されてもよい。
【0114】
潤滑粘度の油は、また、米国石油協会(API)のBase Oil Interchangeability Guidelinesに規定されているように定義されてもよい。5つの基油群は、以下のとおりである:第I群(硫黄含有量が0.03wt%超かつ/または飽和分(saturate)が90wt%未満、粘度指数が80〜120);第II群(硫黄含有量が0.03wt%以下かつ飽和分が90wt%以上、粘度指数が80〜120);第III群(硫黄含有量が0.03wt%以下かつ飽和分が90wt%以上、粘度指数が120以上);第IV群(全てポリα−オレフィン(PAO));および第V群(第I群、第II群、第III群または第IV群に含まれない他の全て)。その潤滑粘度の油は、APIの第I群、第II群、第III群、第IV群もしくは第V群の油またはこれらの混合物を含む。多くの場合、その潤滑粘度の油は、APIの第I群、第II群、第III群、第IV群の油またはこれらの混合物である。代替的に、その潤滑粘度の油は、多くの場合、APIの第II群、第III群もしくは第IV群の油またはこれらの混合物である。
【0115】
存在する潤滑粘度の油の量は、代表的には、本明細書中で上述されたような添加剤および他の性能添加剤の量の合計を100wt%から減じた後に残っている差である。
【0116】
その潤滑組成物は、濃縮物の形態および/または完全に配合された潤滑剤の形態であってもよい。もし本発明の潤滑組成物が濃縮物の形態(追加的な油と混ぜ合わせられて、全体または一部において、仕上がった潤滑剤を形成し得る)であるならば、潤滑粘度の油に対するおよび/または希釈用油に対する本発明の成分の比は、重量で1:99〜99:1の範囲または重量で80:20〜10:90の範囲を包含する。
【0117】
(他の性能添加剤)
組成物は他の性能添加剤を任意に含む。当該他の性能添加剤は、以下のもののうちの少なくとも1つを含む:金属不活性化剤、粘度調整剤、清浄剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、腐食防止剤、分散剤(本明細書中で開示される式(1)の添加剤以外)、分散性粘度調整剤(本明細書中で開示される式(1)の添加剤以外)、極圧剤、酸化防止剤、発泡防止剤、解乳化剤、流動点降下剤、シール膨張剤およびこれらの混合物。代表的には、完全に配合された潤滑油は、これらの性能添加剤のうちの1つ以上を含むであろう。
【0118】
(工業的用途)
本発明の添加剤は、潤滑剤に、潤滑組成物の0.01wt%〜20wt%または0.05wt%〜10wt%または0.08wt%〜5wt%または0.1wt%〜3wt%の範囲で添加されてもよい。
【0119】
その潤滑組成物は、内燃機関内で用いられてもよい。その内燃機関は、EGRを備えていてもよくまたは備えなていなくてもよい。
【0120】
1つの実施形態では、その内燃機関は、ディーゼル燃料エンジン(代表的には、へビィデューティーディーゼルエンジン)、ガソリン燃料エンジン、天然ガス燃料エンジンまたはガソリン/アルコール混合燃料エンジンであってもよい。1つの実施形態では、その内燃機関は、ディーゼル燃料エンジンであってもよく、そして、別の実施形態では、ガソリン燃料エンジンであってもよい。
【0121】
その内燃機関は、2ストロークエンジンまたは4ストロークエンジンであってもよい。好適な内燃機関としては、船舶用ディーゼルエンジン、航空機用ピストンエンジン、低負荷ディーゼルエンジンならびに自動車用エンジンおよびトラック用エンジンが挙げられる。
【0122】
内燃機関のための潤滑剤組成物は、硫黄含有量、リン含有量または硫酸灰分(sulphated ash)(ASTM D−874)含有量に関わらず、あらゆるエンジン潤滑剤に適し得る。そのエンジン油潤滑剤の硫黄含有量は、1wt%以下または0.8wt%以下または0.5wt%以下または0.3wt%以下であってもよい。1つの実施形態では、硫黄含有量は、0.001wt%〜0.5wt%または0.01wt%〜0.3wt%の範囲内であってもよい。リン含有量は、0.2wt%以下または0.1wt%以下または0.085wt%以下またはさらに0.06wt%以下、0.055wt%以下または0.05wt%以下であってもよい。1つの実施形態では、リン含有量は、100ppm〜1000ppmまたは325ppm〜700ppmであってもよい。総硫酸灰分含有量は、2wt%以下または1.5wt%以下または1.1wt%以下または1wt%以下または0.8wt%以下または0.5wt%以下であってもよい。1つの実施形態では、硫酸灰分含有量は、0.05wt%〜0.9wt%または0.1wt%〜0.2wt%〜0.45wt%であってもよい。
【0123】
1つの実施形態では、その潤滑組成物はエンジン油であり、ここで、その潤滑組成物は、(i)0.5wt%以下の硫黄含有量、(ii)0.1wt%以下のリン含有量および(iii)1.5wt%以下の硫酸灰分含有量のうち少なくとも1つを有すると特徴付けられる。
【0124】
1つの実施形態では、その潤滑組成物は、2ストロークまたは4ストロークの船舶用ディーゼル内燃機関に好適である。1つの実施形態では、その船舶用ディーゼル燃焼機関は2ストロークエンジンである。本発明の無灰摩耗防止剤は、船舶用ディーゼル潤滑組成物に、0.01〜20wt%または0.05〜10wt%または0.1〜5wt%で添加されてもよい。
【0125】
以下の実施例は、本発明の実例を提供する。これらの実施例は、包括的なものではなくかつ本発明の範囲を限定するように意図されていない。
【実施例】
【0126】
調製例1(EX1):1200gのポリイソブチレンスクシンイミド(そのポリイソブチレンは、約2000の数平均分子量およびエチレンポリアミンボトムアミンを有する)および23.8gの希釈用油を容器に投入し、そして、155℃に加熱する。イサト酸無水物(32.6g)を分割して添加し、そして、その容器を155℃で4時間保持する。結果として生じた生成物を濾過し、窒素含有量が1.2wt%かつ収量が1197gの生成物が得られる。
【0127】
調製例2(EX2):トルエン中のアミノジフェニルアミンの溶液を、アミノジフェニルアミンとイサト酸無水物が1:1の比となるように、イサト酸無水物とともに投入し、窒素雰囲気下で還流温度まで加熱し、そして、6時間撹拌する。冷却後、結果として生じた生成物を濾過によって単離し、紺青色の粉末が得られる。
【0128】
調製例3(EX3):アニリンを反応性アミンとして用いる以外はEX2と同様の方法で調製する。
【0129】
調製例4(EX4):N,N−ジメチル−ベンゼン−1,4−ジアミンを反応性アミンとして用いる以外はEX2と同様の方法で調製する。
【0130】
調製例5(EX5):トルエン中のベンジルアミンの溶液を、ベンジルアミンとイサト酸無水物が1:1の比になるように、イサト酸無水物とともに投入し、そして、室温、窒素雰囲気下で2時間撹拌する。その生成物を濾過により単離し、オフホワイトの粉末が得られる。
【0131】
調製例6(EX6):フェネチルアミンを反応性アミンとして用いる以外はEX5と同様の方法で調製する。
【0132】
調製例7(EX7):トルエン中のアニリンの溶液を、アニリンとイサト酸無水物が1:1の比となるように、イサト酸無水物とともに投入し、窒素雰囲気下で還流温度まで加熱し、そして、3時間撹拌する。2当量のイサト酸無水物を添加し、そして、この反応を還流温度、窒素雰囲気下で2時間保持する。冷却後、結果として生じた生成物を濾過によって単離し、オフホワイトの粉末が得られる。
【0133】
調製例8(EX8):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル(thermowell)、窒素ライン付きの水面下注入口(subsurface inlet)および冷却器付きディーン−スタークトラップ(Dean−Stark trap)を備える2Lの4つ口フラスコに、3000gの従来のポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2000の数平均分子量を有する)および3507gの希釈用油を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX2からの生成物(539g)を添加し、そして、温度を155℃まで上げ、そして、6時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が1.07wt%かつ収量が6629gの粘性油が得られる。
【0134】
調製例9(EX9):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、361gの直接アルキル化ポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2200の数平均分子量を有する)を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX2からの生成物(64g)を添加し、そして、温度を150℃まで上げ、そして、4時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が1.9wt%の粘性油が得られる。
【0135】
調製例10(EX10):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、600gの従来のポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2000の数平均分子量を有する)および669gの希釈用油を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX3からの生成物(75g)を添加し、そして、温度を155℃まで上げ、そして、10時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が0.75wt%かつ収量が1268gの粘性油が得られる。
【0136】
調製例11(EX11):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、381gの直接アルキル化ポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2200の数平均分子量を有する)を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX3からの生成物(29g)を添加し、そして、温度を150℃まで上げ、そして、4時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が0.91wt%かつ収量が403gの粘性油が得られる。
【0137】
調製例12(EX12):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、817gの直接アルキル化ポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2200の数平均分子量を有する)を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX4からの生成物(81g)を添加し、そして、温度を150℃まで上げ、そして、4時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が1.32wt%の粘性油が得られる。
【0138】
調製例13(EX13):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、480gの従来のポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2000の数平均分子量を有する)および547gの希釈用油を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX5からの生成物(72g)を添加し、そして、温度を155℃まで上げ、そして、4時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が0.87wt%かつ収量が1027gの粘性油が得られる。
【0139】
調製例14(EX14):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、750gの従来のポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2000の数平均分子量を有する)および854gの希釈用油を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX6からの生成物(114g)を添加し、そして、温度を155℃まで上げ、そして、6時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が0.75wt%かつ収量が1616gの粘性油が得られる。
【0140】
調製例15(EX15):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、923gの直接アルキル化ポリイソブチレン無水コハク酸(ポリイソブチレンが2200の数平均分子量を有する)を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX7からの生成物(112g)を添加し、そして、温度を150℃まで上げ、そして、4時間保持する。その生成物を濾過し、窒素含有量が1.2wt%かつ収量が928gの粘性油が得られる。
【0141】
調製例16(EX16):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、無水マレイン酸でグラフトされた400gのエチレン−プロピレンコポリマー(Lucant(登録商標)A−5320Hとして市販される)および941gの希釈用油を投入し、そして、110℃まで加熱する。EX2からの生成物(46g)を1度に添加する。その後、温度を160℃まで上げ、そして、その温度で6時間保持する。結果生じた生成物を濾過し、窒素含有量が0.43wt%かつ収量が1331gの粘性油が得られる。
【0142】
調製例17(EX17):912gの希釈用油を投入しかつEX3の生成物(32g)を用いる以外は、EX16と同様の方法で調製する。その生成物は、0.31wt%の窒素含有量および1289gの収量を有する。
【0143】
調製例18(EX18):917gの希釈用油を投入しかつEX5の生成物(34g)を用いる以外は、EX16と同様の方法で調製する。その生成物は、0.27wt%の窒素含有量および1290gの収量を有する。
【0144】
調製例19(EX19):921gの希釈用油を投入しかつEX6の生成物(36g)を用いる以外は、EX16と同様の方法で調製する。その生成物は、0.31wt%の窒素含有量および1296gの収量を有する。
【0145】
調製例20(EX20):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、イサト酸無水物(58g)、アミノジフェニルアミン(65g)および希釈用油(351g)を投入し、そして、110℃まで2時間加熱する。ポリイソブチレン無水コハク酸(600g)および希釈用油(351g)をそのフラスコに投入する。そのポリイソブチレン無水コハク酸および希釈用油を完全に添加したら、反応温度を160℃まで上げ、そして、その温度で10時間保持する。結果生じた生成物を濾過し、窒素含有量が1.1wt%かつ収量が1300gの粘性油が得られる。
【0146】
調製例21(EX21):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、イサト酸無水物(58g)、アニリン(33g)および希釈用油(334g)を投入し、そして、110℃まで2時間加熱し、その後130まで2時間加熱する。ポリイソブチレン無水コハク酸(600g)および希釈用油(334g)をそのフラスコに投入する。そのポリイソブチレン無水コハク酸および希釈用油を完全に添加したら、反応温度を160℃まで上げ、そして、その温度で10時間保持する。結果生じた生成物を濾過し、窒素含有量が0.64wt%かつ収量が1236gの粘性油が得られる。
【0147】
調製例22(EX22):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、イサト酸無水物(25g)、アミノジフェニルアミン(28g)および希釈用油(762g)を投入し、そして、110℃まで2時間加熱する。無水マレイン酸でグラフトされたエチレン−プロピレンコポリマー(Lucant(登録商標)A−5320Hとして市販される)(375g)および希釈用油(125g)をそのフラスコに投入する。そのコポリマーおよび希釈用油を完全に添加したら、反応温度を160℃まで上げ、そして、その温度で8時間保持する。結果生じた生成物を濾過し、窒素含有量が0.47wt%かつ収量が1234gの粘性油が得られる。
【0148】
調製例23(EX23):オーバーヘッドスターラー、サーモウェル、窒素ライン付きの水面下注入口および冷却器付きディーン−スタークトラップを備える2Lの4つ口フラスコに、イサト酸無水物(25g)、アニリン(14g)および希釈用油(733.3)を投入し、そして、110℃まで4時間加熱する。無水マレイン酸でグラフトされたエチレン−プロピレンコポリマー(375g)および希釈用油(125g)をそのフラスコに投入する。そのコポリマーおよび希釈用油を完全に添加したら、反応温度を160℃まで上げ、そして、その温度で8時間保持する。結果生じた生成物を濾過し、窒素含有量が0.31wt%かつ収量が1211gの粘性油が得られる。
【0149】
調製例24(EX24):2Lのフラスコに、ブチル化ヒドロキシトルエン(0.1wt%)を含む第I群の希釈用油(87wt%)に溶解された1238gのマレイン酸化エチレン−プロピレンコポリマー(Mnが80,000、2.25wt%の無水マレイン酸)を投入する。その溶液を、撹拌しながら、160℃まで温める。EX2からの生成物(13.2g)を、Surfonic(登録商標)L24−5界面活性剤(56.4g)中にスラリーにし、そして、その反応に投入する。その混合物を160℃で16時間撹拌する。ジメチルアミンプロピルアミン(0.7g)を添加用漏斗に投入し、そして、そのフラスコに滴下して加える。その物質を160℃で1時間撹拌する。ジエチルエタノールアミンを含むポリイソブチレン無水コハク酸の生成物(代表的には、アミノアルキル−エステル塩)(19.9g)を、添加用漏斗に投入し、そして、そのフラスコに滴下して加える。その物質を160℃でさらに1時間撹拌する。その生成物を単離し、そして、冷却する。その生成物は0.18wt%の窒素を含み、そして、反応収量は1315gである。
【0150】
調製例25(EX25):2Lに、ブチル化ヒドロキシトルエン(0.1wt%)を含む第II群の希釈用油(85.4wt%)に溶解された1000gのマレイン酸化エチレン−プロピレンコポリマー(Mnが80,000、2.25wt%の無水マレイン酸)を投入する。その溶液を、撹拌しながら、160℃まで温める。EX3からの生成物(9.3g)を、その反応に投入する。その混合物を160℃で8時間撹拌する。ジメチルアミノプロピルアミン(0.7g)を添加用漏斗に投入し、そして、そのフラスコに滴下して加える。その物質を160℃で1時間撹拌する。温度を115℃に下げ、そして、ジエチルエタノールアミンを含むポリイソブチレン無水コハク酸の生成物(代表的には、アミノアルキル−エステル塩)(17.8g)を、添加用漏斗に投入し、そして、そのフラスコに滴下して加える。その物質を115℃でさらに1時間撹拌する。Surfonic(登録商標)L24−5界面活性剤(17.8g)を添加用ロートに投入し、そして、そのフラスコに滴下して加え、そして、温度を115℃で1時間維持する。第II群の希釈用油(141g)を添加用漏斗に投入しそのフラスコに115℃で滴下して加え、そして、その物質をさらに1時間撹拌する。その生成物を単離し、そして、冷却する。その生成物は0.14wt%の窒素を含み、そして、反応収量は1152gである。
【0151】
(レオロジー試験)
上記で調製した一連のサンプルを排油レオロジー試験で評価する。このサンプルは、硫黄含有量、リン含有量および灰分含有量が少ないエンジン油潤滑剤に基づいたものである。このサンプルは、上述の調製例からの生成物をある量含んでいる。このサンプルを、TA Instruments社製AR500(商標)レオメータで振動モードによる振動レオロジー試験を用いて分析する。この試験の形状寸法は、40mmの平らな上面プレートであり、、そして、サンプルをレオメータの平らな温度可変ペルティエプレート上に直接置く。このサンプルを0.080Paのせん断応力で30秒間予備せん断させて、すべてのサンプルが同様なベースラインせん断履歴を確実に有するようにする。振動試験を開始する前に、サンプルを5分間平衡化させる。このサンプルを各温度ステップ間でさらに1分間平衡化させる。サンプルの評価を、0.06の一定のひずみでの温度掃引(temperature sweep)試験で行い、その試験は、40℃〜150℃の温度範囲をカバーし、測定が合計30点において行われる。G’は、弾性率または貯蔵弾性率であり、The Rheology Handbook(Thomas G.Mezger(Ulrich Zoll編集)、Vincentz出版、2002年、ISBN 3−87870−745−2、117頁)に、より詳細に定義されている。一般に、より良好な結果が、より低いG’値を有するサンプルに対して、得られる。得られたデータが表1に示されている。表1では、COMP1はすす処理されたベースライン排油であり、G’比が、各候補種のG’maxの、同等な基準油のG’maxに対する比から計算されて、構造物の蓄積の減少についての正規化基準を提供する。
【0152】
各場合において、G’比の計算が、代表的なすす処理された排油との比較により行われる。すす処理された排油が、各サンプルに先立って、分析され、G’比の計算を可能にする。
【0153】
レオロジースクリーン試験で得られた結果は、本発明の添加剤が無処理の排油に比較してすす構造物の蓄積を減少させることを示している。
【0154】
【表1】

(比較試験)
EX11で得られた結果は、(EX11の)ポリイソブチレン無水コハク酸とアニリンとの反応(イサト酸無水物の不在下で)から得られた比較例(COMP2)とともにある。また、EX9と比較例COMP3(4−アミノジフェニルアミンを含み、そして、イサト酸無水物基を含まない生成物)との同様な比較が示されている。得られた比較データは、以下である。
【0155】
【表2】

その比較データは、本発明の添加剤がアントラニル酸無水物基を含まない比較例と比較して、すす構造物の蓄積を減少させることを示している。
【0156】
上述の物質のうちいくつかは最終配合物内で相互に作用し、それによって、最終配合物の成分が最初に添加されたものと異なり得ることは知られている。それによって形成された生成物(本発明の潤滑剤組成物をその意図される使用で用いる際に形成される生成物を含む)は、容易に記載されないかもしれない。それでもやはり、そのような変化物および反応産物の全てが本発明の範囲に含まれ、本発明は上述の成分を混合することにより調製された潤滑剤組成物を包含する。
【0157】
上掲された文献のそれぞれは、本明細書中に参考として援用される。実施例におけるまたは別段に明記された以外は、物質量、反応条件、分子量、炭素原子数等を特定する本明細書の説明中のすべての数量は、「約」という用語で修飾されていると理解されるべきである。別段示されなければ、本明細書中に言及された各化学物質または組成物は、商業用グレードの物質であると解されべきであり、その商業用グレードの物質は、異性体、副産物、誘導体、および商業用グレード中に存在すると通常理解されるような他の物質を含んでもよい。しかしながら、各化学成分の量は、別段示されなければ、商業用物質中に通常存在し得るいかなる溶媒または希釈油も除いて示される。本明細書中で示される上限量および下限量、範囲ならびに比の境界は、独立して組み合わせられてもよいと理解されるべきである。同様に、本発明の各要素に対する範囲および量が、任意の他の要素に対する範囲または量と一緒に用いられてもよい。
【0158】
本発明をその好ましい実施形態に関して説明してきたが、その様々な改変が本明細書を読むと当業者には明らかになると理解されるべきである。したがって、本明細書中に開示されている本発明は、添付された請求項の範囲内に含まれるような改変を含むことが意図されると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑組成物であって、該潤滑組成物は、
(a)潤滑粘度の油;および
(b)以下のプロセスによって取得される/取得可能な添加剤
を含み、
該プロセスは、
(1)アントラニル酸無水物;
(2)以下:
(i)無水物基;
(ii)カルボン酸基;または
(iii)アシル基;
を含むポリマー;および
(3)以下:
(i)第1級アミノ基または第2級アミノ基を含む、アミン;
(ii)アルコール;
(iii)アミノアルコール;および
(iv)チオール、
から選択される群のうちの少なくとも1つのメンバー
を反応させて該添加剤を形成する工程を含む、潤滑組成物。
【請求項2】
前記アントラニル酸無水物はイサト酸無水物である、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
前記アミンは、第1級アミノ基または第2級アミノ基を含む芳香族アミンである、請求項1〜2のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項4】
前記芳香族アミンは、キシリレンジアミン、アニリン、4−アミノジフェニルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3,4−ジメトキシフェネチルアミン、1,4−ジメチルフェニレンジアミンおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の潤滑組成物。
【請求項5】
前記アミンは、第1級アミノ基または第2級アミノ基を含む非芳香族アミンである、請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項6】
前記非芳香族アミンは、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、N−メチルエチレンジアミン、N−タロー(C16〜C18)−1,3−プロピレンジアミン、N−オレイル−1,3−プロピレンジアミンおよびポリエチレンポリアミンからなる群より選択される、請求項5に記載の潤滑組成物。
【請求項7】
前記ポリエチレンポリアミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびポリアミンボトムからなる群より選択される、請求項6に記載の潤滑組成物。
【請求項8】
潤滑組成物であって、該潤滑組成物は、潤滑粘度の油および以下の式(1)により表される添加剤を含み、
【化18】

式中、
BBは、ポリマー骨格であり;
Gは、−A−C(O)−または−C(O)−A−であり;
Qは、イミド基またはアミド基のいずれかであり、ここで、Qは、(i)該イミド基または該アミド基の窒素原子を介してGに直接結合しているか、または、(ii)ポリアミンの残基を介してGに結合しているかのいずれかであり;
Aは、芳香族基であり;
Eは、独立して、ハロゲン、ニトロ基、カルボン酸もしくはカルボン酸エステル、スルファミド基、アミド基またはヒドロカルビル基であり;
wは、1〜10であり;
mは、0〜6であり;
Zは、独立して、−O−、−S−または>NRであり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり;
nは、1〜10であり;
Xは、水素、ヒドロカルビル基またはヒドロカルビレン基であり;
Vは、独立して、−NHRまたは−Q−BBであり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり;
kは、0〜10であり;
kがゼロでない場合、jは、1〜10、1〜4または1〜2であり;そして、
uは、該ポリマー骨格に結合しているペンダント基の数である、潤滑組成物。
【請求項9】
kは0〜3であり、nは1〜4であり、Rは水素であり、Rは水素である、請求項8に記載の潤滑組成物。
【請求項10】
式(1)のBBにより表される前記ポリマー骨格は、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンの水素化コポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、イソブチレン−イソプレンコポリマー、ポリイソブテン、水素化スチレン−イソプレンポリマー、水素化イソプレンポリマー、水素化アルケニルアリール共役ジエンコポリマー、ポリオレフィン、これらの無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステルまたは(α−オレフィン無水マレイン酸)コポリマーおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項8〜9のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項11】
式(1)のBBにより表される前記ポリマー骨格は、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリイソブテンおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項8〜10のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項12】
前記添加剤は、以下の式により表され、
【化19】

式中、
BBは、ポリマー骨格であり;
Gは、−A−C(O)−または−C(O)−A−であり;
Qは、イミド基またはアミド基のいずれかであり、ここで、Qは、(i)該イミド基または該アミド基の窒素原子を介してGに直接結合しているか、または、(ii)ポリアミンの残基を介してGに結合しているかのいずれかであり;
Eは、独立して、ハロゲン、ニトロ基、カルボン酸もしくはカルボン酸エステル、スルファミド基、アミド基またはヒドロカルビル基であり;
wは、1〜10であり;
mは、0〜6または0〜4であり;
Zは、独立して、−O−、−S−または>NRであり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり;
nは、1〜10であり;
Xは、水素、ヒドロカルビル基またはヒドロカルビレン基であり;
Vは、独立して、−NHRまたは−Q−BBであり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり;
kは、0〜10であり;
kがゼロでない場合、jは、1〜10であり;そして、
uは、該ポリマー骨格に結合しているペンダント基の数である、請求項8〜11のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項13】
前記添加剤は、以下の式により表され、
【化20】

式中、
BBは、ポリマー骨格であり;
Gは、−A−C(O)−または−C(O)−A−であり;
Qは、イミド基またはアミド基のいずれかであり、ここで、Qは、(i)該イミド基または該アミド基の窒素原子を介してGに直接結合しているか、または、(ii)ポリアミンの残基を介してGに結合しているかのいずれかであり;
Zは、独立して、−O−、−S−または>NRであり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり;
wは、1〜10であり;
nは、1〜10であり;
Xは、水素またはヒドロカルビレン基であり;
Vは、独立して、−NHRまたは−Q−BBであり;
は、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり;
kは、0〜10であり;
kがゼロでない場合、jは、1〜10であり;そして、
uは、該ポリマー骨格に結合しているペンダント基の数である、請求項8〜12のいずれかに記載の潤滑組成物。
【請求項14】
内燃機関を潤滑する方法であって、該方法は、
該内燃機関に、請求項1〜13のいずれかに記載の潤滑組成物を供給する工程
を含む、方法。
【請求項15】
前記内燃機関はへビィデューティーディーゼルエンジンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記潤滑組成物は、(i)0.5wt%以下の硫黄含有量、(ii)0.1wt%以下のリン含有量および(iii)1.5wt%以下の硫酸灰分含有量のうちの少なくとも1つを有すると特徴付けられる、請求項14〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
分散剤または分散性粘度調整剤としての添加剤の使用であって、
該添加剤は、以下のプロセスによって取得され/取得可能であり、
該プロセスは:
(1)アントラニル酸無水物;
(2)以下:
(i)無水物基;
(ii)カルボン酸基;または
(iii)アシル基;
を含むポリマー;および
(3)以下:
(i)第1級アミノ基または第2級アミノ基を含む、アミン;
(ii)アルコール;
(iii)アミノアルコール;および
(iv)チオール、
から選択される群のうちの少なくとも1つのメンバー
を反応させて該添加剤を形成する工程を含む、使用。
【請求項18】
内燃機関潤滑剤における分散剤または分散性粘度調整剤としての、請求項17に記載の添加剤の使用。

【公表番号】特表2011−503301(P2011−503301A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533314(P2010−533314)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/082944
【国際公開番号】WO2009/064685
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】